JP7186557B2 - 溶媒含有物品の濃縮システム - Google Patents

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Description

本発明は、溶媒含有物品から溶媒を分離して濃縮するためのシステムに関する。
溶媒含有物品を濃縮する方法として、減圧蒸留、膜蒸留等の技術が知られている。しかし、減圧蒸留及び膜蒸留は、処理液を加熱するための大きなエネルギーが必要である。
この点、特許文献1には、加熱によって発生した蒸気を塔頂ラインから機械的蒸気再圧縮(MVR: Mechanical Vapor Recompression)によって圧縮し、得られた圧縮プロセス蒸気をリボイラーに供給し、塔底の熱源とすることにより、エネルギー効率を上げる技術が開示されている。
溶媒含有物品を濃縮する別の方法として、正浸透プロセスを利用する方法が知られている。正浸透による溶媒含有物品の濃縮は、被処理液と誘導溶液間の浸透圧差を駆動力とするため、理論的には送液ポンプ以外のエネルギーを要しない利点がある。しかし、被処理液から誘導溶液へと移動した溶媒を回収し再利用するためには、別途の回収手段が必要である。
この点、特許文献2では、正浸透による被処理液の濃縮と、減圧蒸留、膜蒸留、又はパーベーパレーションによる溶媒の回収とを組み合わせた技術が開示されている。
特表2018-510066号公報 特表2011-525147号公報
特許文献2の技術によると、正浸透による被処理液の濃縮自体に要するエネルギー消費は小さいが、誘導溶液からの溶媒の回収には大きなエネルギー消費を要する。
本発明は、被処理液を濃縮し、溶媒を回収するための、効率的なシステムの提供を目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討を行った。その結果、正浸透プロセスを用いる濃縮及び溶媒回収システムにおいて、溶媒含有物品から成る被処理液から誘導溶液へ溶媒を移動させる際に、被処理液流と誘導溶液流の流量を制御することによって、被処理液の濃縮及び溶媒の回収がより効率的に行えることを見出し、本発明をなすにいたった。即ち、本発明は以下のとおりである。
《態様1》
溶質及び溶媒bを含有する被処理液流aと、誘導溶液流dとを、正浸透膜oを介して向流又は並流させ、前記被処理液流aに含有される溶媒bを前記正浸透膜oを通過させて前記誘導溶液流dに移動させ、前記誘導溶液流dが希釈された希釈誘導溶液流e、及び前記被処理液流aが濃縮された濃縮流cを得る、被処理液流濃縮工程と、
前記誘導溶液流dから溶媒bを分離して、溶媒b及び前記誘導溶液流dが濃縮された濃縮誘導溶液流fを得る、誘導溶液流濃縮工程と、
前記希釈誘導溶液流e及び前記濃縮誘導溶液流fを混合して、誘導溶液流dを得る、誘導溶液流再生工程と、
を有する濃縮システムであって、
前記被処理液流濃縮工程における、前記誘導溶液流dと前記被処理液流aとの流量比(誘導溶液流dの流量(kg/h)/被処理液流aの流量(kg/h))が0.1~5.0であり、かつ、
前記誘導溶液流濃縮工程における前記溶媒bの分離が、蒸発手段によって行われる、
溶媒含有物品の濃縮システム。
《態様2》
前記誘導溶液流d及び前記被処理液流a誘導溶液の流量比が0.75~2.0である、態様1に記載のシステム。
《態様3》
前記溶媒bが水である、態様1又は2に記載のシステム。
《態様4》
前記蒸発手段が、蒸留プロセス又は膜蒸留プロセスである、態様1~3のいずれか一項に記載のシステム。
《態様5》
前記誘導溶液流濃縮工程において発生した溶媒bの蒸気を、機械的蒸気再圧縮手段によって断熱的に圧縮して高温の圧縮蒸気を得て、前記高温の圧縮蒸気の熱を前記誘導溶液流濃縮工程にて再利用する、態様1~4のいずれか一項に記載のシステム。
《態様6》
前記誘導溶液流dが、2価のカチオンを含む無機塩の溶液である、態様1~5のいずれか一項に記載のシステム。
《態様7》
前記正浸透膜oが、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、及びポリアミドから選ばれる少なくとも1種を主成分とする膜であって、かつ、
前記正浸透膜oの透過流束が、1~100kg/(m×hr)である、
態様1~6のいずれか一項に記載のシステム。
《態様8》
被処理液流aと、溶媒bとを、正浸透膜oを介して隣接させ、前記溶媒bを前記正浸透膜oを通過させて前記被処理液流aに移動させて行う、第一洗浄プロセス、及び
前記第一洗浄プロセス後に、前記溶媒bと正浸透膜oを介して隣接している前記被処理液流aを溶媒bに置換して行う、第二洗浄プロセス
を含む洗浄工程を更に有する、態様1~7のいずれか一項に記載のシステムの洗浄方法。
《態様9》
態様1~7のいずれか一項に記載のシステムを用いて溶媒含有物品を濃縮する、溶媒含有物品の濃縮方法。
《態様10》
態様1~7のいずれか一項に記載のシステムを用いて、溶媒含有物品から溶媒bを分離する、溶媒の分離方法。
本発明によると、被処理液を濃縮し、溶媒を回収するための、効率的なシステムが提供される。
本発明の溶媒含有物品の濃縮システムでは、被処理液の濃縮及び誘導溶液からの溶媒の回収トータルのエネルギー消費が低減されている。
本発明のシステムのある実施態様の概要を説明するための概念図である。 本発明のシステムの別の実施態様の概要を説明するための概念図である。 本発明のシステムの更に別の実施態様の概要を説明するための概念図である。 本発明のシステムにおいて任意的に用いられる洗浄工程のある実施態様の概要を説明するための概念図である。
《溶媒含有物品の濃縮システム》
本発明の溶媒含有物品の濃縮システムは、
溶質及び溶媒bを含有する被処理液流aと、誘導溶液流dとを、正浸透膜oを介して向流又は並流させ、前記被処理液流aに含有される溶媒bを前記正浸透膜oを通過させて前記誘導溶液流dに移動させ、前記誘導溶液流dが希釈された希釈誘導溶液流e、及び前記被処理液流aが濃縮された濃縮流cを得る、被処理液流濃縮工程と、
前記誘導溶液流dから溶媒bを分離して、溶媒b及び前記誘導溶液流dが濃縮された濃縮誘導溶液流fを得る、誘導溶液流濃縮工程と、
前記希釈誘導溶液流e及び前記濃縮誘導溶液流fを混合して、誘導溶液流dを得る、誘導溶液流再生工程と、
を有する濃縮システムであって、
前記被処理液流濃縮工程における、前記誘導溶液流dと前記被処理液流aとの流量比(誘導溶液流dの流量(kg/h)/被処理液流aの流量(kg/h))が0.1~5.0であり、かつ、
前記誘導溶液流濃縮工程における前記溶媒bの分離が、蒸発手段によって行われることを特徴とする。
本発明の溶媒含有物品の濃縮システムは、誘導溶液流濃縮工程において発生した溶媒bの蒸気を断熱的に圧縮して高温の圧縮蒸気にするための、機械的蒸気再圧縮手段(MVR: Mechanical Vapor Recompression)を更に有していてよい。MVRにて得られた高温の圧縮蒸気の熱は、誘導溶液流濃縮工程にて再利用することができる。
本発明の溶媒含有物品の濃縮システムは、
被処理液流aと、溶媒bとを、正浸透膜oを介して隣接させ、前記溶媒bを前記正浸透膜oを通過させて前記被処理液流aに移動させて行う、第一洗浄プロセス、及び
前記第一洗浄プロセス後に、前記溶媒bと正浸透膜oを介して隣接している前記被処理液流aを溶媒bに置換して行う、第二洗浄プロセス
を含む洗浄工程を、更に有していてよい。
以下、本発明の溶媒含有物品の濃縮システムについて、図を参照しつつ説明する。
《第1形態の溶媒含有物品の濃縮システム(図1)》
図1の溶媒含有物品の濃縮システムは、被処理液流濃縮工程、誘導溶液流濃縮工程、及び誘導溶液流再生工程を有する。
〈被処理液流濃縮工程〉
図1の溶媒含有物品の濃縮システムにおける被処理液流濃縮工程では、正浸透膜oを有する正浸透ユニットであるユニットAを用いる。ユニットAの内部空間は、正浸透膜oによって、被処理液側空間R及び誘導溶液流側空間Dの2つに分割されている。ユニットAの被処理液側空間Rに、濃縮対象物である被処理液流aを導入する。ユニットAの誘導溶液流側空間Dには、誘導溶液流dを導入する。
被処理液流aは、溶質及び溶媒bを含有する。誘導溶液流dは、誘導物質Xm及び溶媒bを含有する。
そして、被処理液流aと、誘導溶液流dとを、正浸透膜oを介して向流又は並流させると、両溶液の浸透圧差を駆動力として、被処理液流a中の溶媒bが、正浸透膜oを通過して誘導溶液流d側に移動する。これにより、濃縮された被処理液流である濃縮流cと、希釈された誘導溶液流である希釈誘導溶液流eとが得られる。この溶媒bの移動は、正浸透プロセスによるものであり、小さなエネルギーで効率的な溶媒分離が可能である。
濃縮流cは、本発明の溶媒含有物品の濃縮システムの製品として、適宜の利用に供されてよい。希釈誘導溶液流eは、誘導溶液流再生工程に送られる。
図1における被処理液流濃縮工程では、被処理液流aと誘導溶液流dとを向流させているが、並流でもよい。
(誘導溶液流dと被処理液流aとの流量比)
被処理流濃縮工程において、ユニットAに導入される誘導溶液流dと被処理液流aとの流量比(誘導溶液流dの流量(kg/h)/被処理液流aの流量(kg/h))は、0.1~5.0の範囲である。この値は、好ましくは0.75~2.0である。両液の流量比をこの範囲に調節することにより、本発明の溶媒含有物品の濃縮システム全体の消費エネルギーを低減させることができる。
その理由は定かではないが、誘導溶液流dと被処理液流aとの流量比が0.1以上であることにより、誘導溶液流dが正浸透膜oに対して有意の流速で流れることが担保され、正浸透膜o中の溶媒bを誘導溶液d中に取り込んで持ち去る効率が向上する。したがって、被処理液流a中の溶媒bが、正浸透膜oを通過して誘導溶液流dへ移動する際、正浸透膜o中での溶媒bの滞留が抑制され、正浸透膜oの近傍の誘導溶液流dの浸透圧が高く維持されるので、被処理液流の濃縮性能を高いレベルで維持し易くなると考えられる。また、両液の流量比が5.0以下であれば、誘導溶液流の流速が過度に速くなることが回避され、熱交換器による加熱、冷却の効率が維持できるため、エネルギー効率が維持できると考えられる。
ユニットAに導入される被処理液流aの流速は、線速として、好ましくは0.05cm/sec以上、より好ましくは0.1cm/sec以上であり、好ましくは3.0cm/sec以下、より好ましくは1.0cm/sec以下である。
ユニットAに導入される誘導溶液流dの流速は、線速として、好ましくは0.05cm/sec以上、より好ましくは0.1cm/sec以上であり、好ましくは3.0cm/sec以下、より好ましくは1.0cm/sec以下である。
当業者が通常予測するところでは、被処理液流aの流量に対して、誘導溶液流dの流量を小さく設定する方が、誘導溶液流dの単位流量当たりの溶媒bの移動量が多くなるから、正浸透法による溶媒bの移動効率がより高くなる筈である。しかしながら本発明にあっては、以下の現象によって、両液の流量比に最適範囲が存在する。
第一の現象は、誘導溶液流dの流量割合が流量比0.1以上に増加すると、被処理液流a中の溶媒bの移動のし易さが顕著に向上して、被処理液流aの濃縮倍率が上がり易いことである。
第二の現象は、誘導溶液流dの流量割合を流量比5.0以下に制限すると、熱交換器による加熱及び冷却の効率が極めて高くなるため、エネルギー効率が顕著に上げられることである。
以上の現象により、本発明の溶媒含有物品の濃縮システムでは、誘導溶液流dと被処理液流aとの流量比を上記の範囲に設定することにより、効率的な濃縮が可能となり、被処理液流aの濃縮に要する消費エネルギーを顕著に減少することができる。この本発明の効果は、後述する実施例の結果により、具体的に検証されている。
(誘導溶液流濃縮工程)
本発明の溶媒含有物品の濃縮システムにおける誘導溶液流濃縮工程は、蒸発手段であるユニットBにおいて誘導溶液流dの濃縮をおこなう。
ユニットBには、濃縮対象物である誘導溶液流dを導入する。誘導溶液流dは、誘導物質Xm及び溶媒bを含有する。ユニットBに導入された誘導溶液流d中の溶媒bは、蒸発させられて蒸気となって、系外に排除される。これにより、液相部は、溶媒bの一部が除去されて濃縮される。そして、この濃縮物は、濃縮された誘導溶液流である濃縮誘導溶液流fとして、誘導溶液流再生工程に送られる。
誘導溶液流濃縮工程における蒸発手段としては、例えば、蒸留プロセス、逆浸透プロセス、膜蒸留プロセス等を用いることができる。
図1は、蒸発手段として蒸留プロセスを備えるシステムの例である。図1のシステムにおける誘導溶液流濃縮工程では、誘導溶液流dを、所望により所定の温度に調整した後、蒸留塔であるユニットBに送入し、塔頂部から溶媒bを得るとともに、塔底部からは、誘導溶液流dから溶媒bが除去されて濃縮された誘導溶液流である濃縮誘導溶液流fを得る。誘導溶液流dを加熱するための熱源としては、例えば熱交換器q1からの熱を用いることができ、産業プロセス等からの排熱を用いることができる。熱源として排熱を利用すると、溶媒含有物品の濃縮及び溶媒の回収のために、新たに消費されるエネルギー量を削減することができるため、好ましい。
蒸発手段が蒸留プロセスである場合、蒸留塔のボトム部から誘導溶液流dの一部を取り出して、これを適宜の加熱装置により加熱したうえで、蒸留塔に戻してもよい。
逆浸透プロセスとは、半透膜である逆浸透膜に接するように配置された誘導溶液流に圧力をかけ、誘導溶液流に含有される溶媒が逆浸透膜を通過するように構成することにより、溶媒と濃縮誘導溶液流とに分離する工程である。
膜蒸留プロセスは、半透膜を用いて液相部と気相部とに分割された分離室を用いる。この分離質の液相部に誘導溶液流を導入し、気相部を減圧とすると、誘導溶液流に含有される溶媒が、半透膜を通過して、液相部から減圧の気相部に移動する。膜蒸留プロセスは、このような構成により、誘導溶液流を、溶媒と濃縮誘導溶液流とに分離する工程である。
図1の溶媒含有物品の濃縮システムの誘導溶液流濃縮工程では、蒸発手段として蒸留プロセスを備えているが、これを逆浸透プロセス又は膜蒸留プロセスに置き換えた態様も、本発明の好ましい実施形態に含まれる。
誘導溶液流濃縮工程における蒸発手段としては、被処理液流をより高濃度に濃縮でき、本発明のシステムに好ましく含まれる後述のVRCコンプレッサーからの熱を有効利用できる点で、蒸留プロセス又は膜蒸留プロセスであることが好ましい。
〈誘導溶液流再生工程〉
図1の溶媒含有物品の濃縮システムにおける誘導溶液流濃縮工程では、被処理液流濃縮工程で得られた希釈誘導溶液流eと、誘導溶液流濃縮工程で得られた濃縮誘導溶液流fとを、それぞれ最適な流量に制御してバッファータンク内に導入して混合することにより、誘導溶液流dを調製(再生)する工程である。
本工程で再生された誘導溶液流dは、被処理液流濃縮工程及び誘導溶液流濃縮工程で再利用することができる。
本発明の溶媒含有物品の濃縮システムは、誘導溶液流再生工程によって連続的に誘導溶液流dを供給することができるので、被処理液流aの濃縮能力を安定的に持続することができる。
また、本発明の溶媒含有物品の濃縮システムにおける被処理液流濃縮工程及び誘導溶液流濃縮工程は、いずれも溶質の組成が変更されない濃縮を高い処理効率で行うことができる。したがって、これら被処理液流濃縮工程及び誘導溶液流濃縮工程は、それぞれ独立した工程として分離して運転してもよい。
《第2形態の溶媒含有物品の濃縮システム(図2)》
図2の溶媒含有物品の濃縮システムは、図1のシステム同様に、被処理液流濃縮工程、誘導溶液流濃縮工程、及び誘導溶液流再生工程を有するが、誘導溶液流濃縮工程において、蒸発手段とともに機械的蒸気再圧縮(MVR: Mechanical Vapor Recompression)手段を有する場合である。
図2のシステムにおける被処理液流濃縮工程及び誘導溶液流再生工程については、図1のシステムにおける被処理液流濃縮工程及び誘導溶液流再生工程の説明をそのまま適用してよい。
図2における誘導溶液流濃縮工程では、蒸発手段としての蒸留プロセスにより発生した溶媒bの蒸気を、塔頂ラインから蒸気再圧縮(VRC:Vapor Re-Compression)コンプレッサーgによって断熱的に圧縮し、高温の圧縮蒸気状の溶媒bとして熱交換器q3に供給される。熱交換器q3において、この高温の圧縮蒸気状の溶媒bは、冷却されて液状の溶媒bとして回収され、放出された熱はユニットBの蒸発手段の熱源として利用することができる。これにより、溶媒bの回収のために新たに消費されるエネルギー量を大幅に削減することができるため、好ましい。
《第3形態の溶媒含有物品の濃縮システム(図3)》
図3の溶媒含有物品の濃縮システムは、図2のシステム同様に、被処理液流濃縮工程、MVR手段を含む誘導溶液流濃縮工程、及び誘導溶液流再生工程を有するが、誘導溶液流濃縮工程において、蒸発手段として、蒸留プロセスの代わりに膜蒸留プロセスを用いた場合である。
図3のシステムにおける被処理液流濃縮工程及び誘導溶液流再生工程については、図1のシステムにおける被処理液流濃縮工程及び誘導溶液流再生工程の説明をそのまま適用してよい。図3のシステムの誘導溶液流濃縮工程におけるMVR手段については、図2のシステムにおけるMVR手段の説明をそのまま適用してよい。
図3のシステムの誘導溶液流濃縮工程では、蒸発手段として膜蒸留プロセスであるユニットBを用いる。このユニットBは、半透膜pによって液相部Lと気相部Gとに分割されており、気相部Gを減圧することが可能なように設計されている。
図3のシステムにおける誘導溶液流濃縮工程では、誘導溶液流dを、ユニットBの液相部Lへ送入し、誘導溶液流dに含まれる溶媒bを、半透膜pを通過させて減圧の気相部Gに移動させることによって、溶媒bと、濃縮された誘導溶液流である濃縮誘導溶液流fとが得られる。
ユニットBの気相部Gは、所定の圧力まで減圧されていることが好ましい。気相部Gの圧力は、ユニットBのスケール、誘導溶液流dの濃度、溶媒bの所望の生成速度等に応じて適宜に設定されてよいが、絶対圧として、例えば、0.1~80kPaとすることが好ましく、1~50kPaとすることがより好ましい。
ユニットBの気相部Gを減圧するための減圧装置としては、例えば、ダイアフラム真空ポンプ、ドライポンプ、油回転真空ポンプ、エジェクタ、アスピレーターなどが挙げられる。
得られた濃縮誘導溶液流fは、誘導溶液流再生工程に送られる。溶媒bは、蒸気としてユニットBから排出されてVRCコンプレッサーgに送られ、図2の場合と同様に処理される。
《洗浄工程》
本発明の溶媒含有物品の濃縮システムは、洗浄工程を更に有していてよい。
被処理液流aに固形分が多く含まれる場合、若しくは運転を長時間継続した場合、又はこれらの双方の場合には、ユニットAの正浸透膜oに、堆積物が沈着して汚れることがある。このようなときには、正浸透膜oを洗浄して再使用することができる。固形分が多い被処理液流として、例えば、食品、随伴水等が挙げられる。
本発明の溶媒含有物品の濃縮システムにおける正浸透膜の洗浄工程は、
被処理液流aと、溶媒bとを、正浸透膜oを介して隣接させ、前記溶媒bを前記正浸透膜oを通過させて前記被処理液流aに移動させて行う、第一洗浄プロセス、及び
前記第一洗浄プロセス後に、前記溶媒bと正浸透膜oを介して隣接している前記被処理液流aを溶媒bに置換して行う、第二洗浄プロセス
を含むことが好ましい。
本発明における洗浄工程の各プロセスについて、以下に図を参照しつつ説明する。
図4に、本発明における洗浄工程の概略図を示した。
ユニットAの正浸透膜が汚れた場合、溶媒含有物品の濃縮操作を中止して、正浸透膜の洗浄を行うことが好ましい。
〈第一洗浄プロセス〉
第一洗浄プロセスでは、被処理液流aと溶媒bとを正浸透膜oを介して隣接させ、溶媒bが正浸透膜oを通過して被処理液流a側に移動させる。これによって、正浸透膜oに付着した堆積物を除去して洗浄する。
図4に示した洗浄工程では、先ず、バッファータンク内の誘導溶液を排出し、代わりに溶媒bを充填する。そして、空間Rには被処理液流aを供給しつつ、空間Dには溶媒bを供給する。これにより、被処理液aと溶媒bとの浸透圧差により、空間Dから空間Rの方向へ溶媒bが移動する。この溶媒bの移動に伴って、正浸透膜oに付着した堆積物が空間Rの方向に押し出される。この方法によると、膜の表面のみならず、内部に堆積した堆積物も、効率よく除去することが可能となる。
〈第二洗浄プロセス〉
第二洗浄プロセスでは、空間R側に、被処理液流aの代わりに溶媒bを供給する。この操作により、第一洗浄プロセスにおいて膜の空間R側に押し出された堆積物が溶媒bの流れとともにユニットA外に運び去られ、正浸透膜oの洗浄の完全を期すことができる。
第二洗浄プロセスを行っている間は、空間Dへの溶媒bの供給を継続してよい。
《被処理液流濃縮システムの各要素》
以上、本発明の被処理液流濃縮システムによる被処理液流の濃縮方法の概要を説明した。引き続き、本発明の被処理液流濃縮システムにおける各要素について、以下に詳説する。
<被処理流a>
被処理流aとは、溶質及び溶媒bを含有する流体である。この被処理流aは、溶液であっても乳化物であってもよい。
被処理流aに含まれる溶質は、無機化合物及び有機化合物から選択される物質であり、溶媒bに溶解又は分散し、好ましくは溶解する。
被処理液流aの溶媒bは液体である。溶媒bは、あらゆる無機溶媒又は有機溶媒であることができる。溶媒bは、被処理流aにおいて液体として存在する。この溶媒bは、水である場合が多い。
本発明に適用される原料液流aを例示すると、例えば、食品、海水、ガス田・油田から排出される随伴水等を挙げることができる。
本実施形態のシステムによると、誘導溶液流に含まれる誘導物質が被処理流aへ移動することなく、かつ、被処理流aに含まれる溶質が誘導溶液流中に散逸することなく、しかも、被処理流aの加熱を要せずに、溶媒含有物品の濃縮が可能となる。
したがって、本発明のシステムを食品の濃縮に適用する場合には、香味成分の劣化がなく、香気成分の損失が少ない濃縮が可能となる。
被処理物aを構成する食品としては、例えば、コーヒー抽出液、ジュース(例えば、オレンジジュース、トマトジュース等)、乳製品(例えば、乳酸菌飲料、生乳等)、出汁(例えば、昆布出汁、鰹出汁等)、茶抽出液、香料乳化物(例えば、バニラエッセンス、ストロベリーエッセンス等の乳化物)、食品油乳化物(例えば、菜種油、ひまわり油、紅花、コーン等の乳化物)メイプルシロップ等を挙げることができる。
また、本発明のシステムを、ガス田・油田から排出される随伴水の濃縮に適用する場合には、随伴水に含有される無機塩、油分等の移動を実質的に伴わずに、随伴水中の溶媒b(水)を誘導溶液側に移動することができる。したがって、本発明のシステムによると、随伴水中の水の有効利用を図ることができ、或いは、環境の負荷が低減された態様で、随伴水を処理することが可能になる。
本発明のシステムが適用される随伴水としては、例えば、数質量%~十数質量%の無機塩、及び数ppm~数十ppmの油分を含むものを挙げることができる。
〈誘導溶液流d〉
誘導溶液流dは、誘導物質と、その溶媒とから成り、被処理液流aよりも高い浸透圧を持ち、かつ、正浸透膜oを著しく変性させない流体である。被処理液流aと誘導溶液流dとを正浸透膜oを介して接触させると、被処理液流a中の溶媒bが、正浸透膜oを透過して誘導溶液流dに移動する。本発明のシステムでは、このような誘導溶液流dを用いることにより、正浸透プロセスを稼働させ、溶媒含有物品を濃縮することができる。
誘導溶液としては、下記のような誘導物質及び溶媒を含む流体(好ましくは溶液)として調製されてよい他、例えば海水等の、自然界に存在する溶液も使用可能である。誘導溶液として自然界に存在する溶液を使用すると、誘導溶液を準備するために要するエネルギーを低減できる。
(誘導物質)
本実施形態における誘導物質としては、例えば無機塩、糖、アルコール、重合体等を挙げることができる。
無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、 塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナト リウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等を;
糖としては、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖等の一般的な糖類、及びオリゴ糖、希少糖等の特殊な糖類等を;
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等のモノアルコール、及びエチレングルコール、プロピレングリコール等のグリコールを;
重合体としては、例えば、ポリエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の重合体、及びこれらの共重合体等を;
それぞれ挙げることができる。
本実施形態における誘導物質は、多価のカチオンを含む無機塩であることが好ましい。多価のカチオンは、溶媒和イオン半径が大きいから、正浸透プロセスにおいて誘導溶液流dから正浸透膜oを通過して被処理流aへ移動することが抑制され、溶媒含有物品の高純度の濃縮物を得ることが可能となる。
無機塩に含まれる多価のカチオンとしては、例えば、銅(II)イオン、鉄(II)イオン、鉄(III)イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、クロム(II)イオン、クロム(III)イオン、クロム(IV)イオン、カルシウムイオン等を挙げることができる。
無機塩に含まれるアニオンとしては、例えば、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン等を挙げることができる。ハロゲン化物イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、又はヨウ化物イオンが好ましく、塩化物イオンがより好ましい。
多価のカチオンを含む無機塩として、具体的には例えば、塩化銅(II)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化クロム(II)、塩化クロム(III)、塩化カルシウム、硫酸銅(II)、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、硫酸マグネシウム、硫酸クロム(II)、硫酸クロム(III)、硫酸マンガン、硫酸カルシウム等を挙げることができる。
本実施形態における誘導物質としては、2価のカチオンを含む無機塩が好ましく、より好ましくはアルカリ土類金属のハロゲン化物である。
(誘導溶液流dの溶媒)
誘導溶液流dにおける溶媒は、溶媒含有物品である被処理流aから分離すべき溶媒bと同種の溶媒とすることが好ましい。溶媒含有物品中の溶媒が水である場合は、誘導溶液流dにおける溶媒も水であることが好ましい。
(誘導溶液流dの濃度)
誘導溶液流dにおける誘導物質の濃度は、誘導溶液流dの浸透圧が被処理流aの浸透圧より高くなるように設定される。誘導溶液流dの浸透圧は、被処理流aの浸透圧より高ければ、その範囲内で変動しても構わない。二つの液体間の浸透圧差を判断するには、以下のいずれかの方法によることができる。
(1)二つの液体を混合後、二相分離する場合:二相分離後に、体積が増えた方の液体の方が浸透圧が高いと判断する、又は
(2)二つの液体を混合後、二相分離しない場合:正浸透膜oを介して二つの液体を接触させ、一定時間の経過後に体積が大きくなった液体の方が浸透圧が高いと判断する。このときの一定時間とは、その浸透圧差に依存するが、一般的には数分から数時間の範囲である。
典型的な例として、溶媒bに水を使用し、誘導物質Xmに水溶性の無機塩を使用する場合、誘導溶液流d中の誘導物質Xmの濃度として、例えば、5質量%~60質量%の範囲を例示することができる。
〈被処理液流濃縮工程〉
被処理液流濃縮工程では、正浸透膜oによって内部空間が被処理液流側空間R及び誘導溶液流側空間Dの2つに分割されたユニットAを用い、正浸透プロセスが行われる。
(ユニットAの正浸透膜o)
ユニットAの正浸透膜oとは、溶媒bは透過させるが、溶質は透過させない機能を有する膜である。
正浸透膜oの形状としては、例えば、中空糸状、平膜状、スパイラル膜状などが挙げられる。
平膜状の正浸透膜oは、例えば、単一の層から構成されるものであってもよいし、単一の層から成る支持層と、該支持層上の分離活性層とを有するものであってもよい。支持膜は、平膜であっても中空糸膜であってもよい。
平膜を支持膜とする場合、支持膜の片面又は両面に分離活性層を有するものであってよい。
中空糸膜を支持膜とする場合、該支持層の外表面若しくは内表面、又はこれらの双方の面上に分離活性層を有するものであってよい。
本実施形態における支持膜とは、分離活性層を支持するための膜であり、これ自体は分離対象物に対して実質的に分離性能を示さないことが好ましい。平膜状又は中空糸状の正浸透膜oにおける支持膜としては、不織布から成るものを用いることができる。
不織布の素材としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等が挙げられる。
平膜状又は中空糸状の正浸透膜oにおける分離活性層としては、誘導物質の阻止率が高いことから、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、酢酸セルロース等から選ばれる少なくとも1種を主成分とする層であることが好ましい。より好ましくは、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、及びポリアミドから選ばれる少なくとも1種を主成分とすることである。
分離活性層におけるポリアミドは、多官能性酸ハライド及び多官能性芳香族アミンの界面重合により形成されることができる。
多官能性芳香族酸ハライドとは、一分子中に2個以上の酸ハライド基を有する芳香族酸ハライド化合物である。具体的には、例えば、トリメシン酸ハライド、トリメリット酸ハライド、イソフタル酸ハライド、テレフタル酸ハライド、ピロメリット酸ハライド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ハライド、ビフェニルジカルボン酸ハライド、ナフタレンジカルボン酸ハライド、ピリジンジカルボン酸ハライド、ベンゼンジスルホン酸ハライド等を挙げることができ、これらを単独で、又はこれらの混合物を用いることができる。これらの芳香族酸ハライド化合物におけるハロゲン化物イオンとしては、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等を挙げることができる。本発明においては、特にトリメシン酸クロリド単独、又はトリメシン酸クロリドとイソフタル酸クロリドとの混合物、若しくはトリメシン酸クロリドとテレフタル酸クロリドとの混合物が好ましく用いられる。
多官能性芳香族アミンとは、一分子中に2個以上のアミノ基を有する芳香族アミノ化合物である。具体的には、例えば、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルアミン、3,5-ジアミノ安息香酸、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、1,3,5,-トリアミノベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン等を挙げることができ、これらを単独で、又はこれらの混合物を用いることができる。本発明においては、特に、m-フェニレンジアミン及びp-フェニレンジアミンから選ばれる1種以上が好適に用いられる。
多官能性酸ハライド及び多官能性芳香族アミンの界面重合は、定法にしたがって実施することができる。
正浸透膜oの、溶媒bについての透過流束は、1~100kg/(m×hr)であることが好ましい。この透過流束が1kg/(m×hr)未満であれば、溶媒bの分離効率が損なわれる場合があり、100kg/(m×hr)を超えると、誘導溶液流d中の誘導物質が正浸透膜oを通過して濃縮流cへ移動する量が多くなる場合がある。
本明細書における溶媒bについての透過流束とは、正浸透膜oを通過する溶媒bの量を、正浸透膜oの単位面積当たり、及び単位時間当たりに割り付けた量を意味しており、下記数式(1)により定義される。
F=L/(M×H) (1)
ここで、Fは溶媒bについての透過流束(kg/(m×hr))であり、Lは透過した溶媒bの量(kg)であり、Mは正浸透膜oの表面積(m)であり、Hは時間(hr)である。
溶媒bが水である場合の透過流束は、一般に「透水量」と呼ばれ、例えば、処理液として純水を用い、誘導溶液流として3.5質量%食塩水を用いて測定することができる。
(原料液流a及び誘導溶液流dの温度)
被処理液流濃縮工程において、ユニットAの被処理液流側空間Rに導入される被処理液流aの温度は、特に制限されず、特に制御する必要はなく、例えば室温でもよい。
ユニットAの誘導溶液流側空間Dに導入される誘導溶液流dの温度は、特に限定されないが,好ましくは5~60℃であり、より好ましくは15~40℃である。理由は定かではないが、誘導溶液流dの温度が15℃未満又は60℃を超える温度のときは、誘導溶液流d中の誘導物質が正浸透膜oを通過して被処理液流aへ移動する量が多くなる場合が見られる。
〈誘導溶液流濃縮工程〉
誘導溶液流濃縮工程では、誘導溶液流dから溶媒bを分離して、溶媒b及び誘導溶液流dが濃縮された濃縮誘導溶液流fを得る。
誘導溶液流濃縮工程における、誘導溶液流dから溶媒bを分離する手段は蒸発手段であり、具体的には上述したとおり、例えば、蒸留プロセス、逆浸透プロセス、膜蒸留プロセス等を用いることができる。これらのうち、本発明の溶媒含有物品の濃縮システムが好ましく有する機械的蒸気再圧縮手段によって発生した熱を有効に活用し得る点で、蒸留プロセス又は膜蒸留プロセスが好ましい。
膜蒸留プロセスでは、上述したとおり、液相部に導入した誘導溶液流dに含有される溶媒bが、半透膜を介して減圧の気相部に移動するように構成することにより、誘導溶液流dを溶媒bと濃縮誘導溶液流fとに分離する。この膜蒸留プロセスに、例えば図3に示したように、半透膜pによって液相部Lと気相部Gとに分割され、気相部Gを減圧可能に構成されたユニットBを用いて行ってよい。
(膜蒸留プロセスの半透膜p)
膜蒸留プロセスに用いる半透膜pの形状としては、例えば、中空糸状、平膜状、スパイラル膜状等が挙げられる。
平膜状の半透膜pは、例えば、単一の層から構成されるものであってもよいし、支持層と、該支持層上の分離活性層とを有するものであってもよい。中空糸状の半透膜pは、例えば、単一の層から構成される中空糸であってもよいし、中空糸状の支持層と、該支持層の外表面若しくは内表面、又はこれらの双方の面上の分離活性層とを有するものであってもよい。
半透膜pにおける支持層及び分離活性層の素材は、それぞれ、第一の工程における正浸透膜oについて上記に例示した素材から選択される任意のものから構成されていてよい。
半透膜pの、溶媒bについての透過流束は、1~200kg/(m×hr)であることが好ましい。この透過流束が1kg/(m×hr)未満であれば、溶媒bの効率的な分離が損なわれる場合があり、200kg/(m×hr)を超えると、誘導溶液流dから半透膜pを通過して溶媒bへ移動する誘導物質の量が多くなる場合がある。
この透過流束は、被処理液流濃縮工程における正浸透膜oの、溶媒bについての透過流束と同様に定義される。
(膜蒸留プロセスに導入される誘導溶液流dの温度)
誘導溶液流dは、液相部Lに導入される前に、20℃~90℃の範囲に温度調整されていることが好ましい。この温度が20℃未満であれば、膜蒸留による溶媒bの分離の効率が損なわれる場合があり、90℃を超えると、誘導溶液流dに含まれる誘導物質が、半透膜pを通過して溶媒bへ移動する量が増大する場合がある。
誘導溶液流dを加熱するための熱源として、例えば熱交換器q1を用いることができ、又は産業プロセス等の排熱を用いることができる。熱源として排熱を利用すると、溶媒bの分離のために新たに消費されるエネルギー量を削減することができるため、好ましい。
(膜蒸留プロセスにおける気相部G)
膜蒸留プロセスに用いるユニットBの気相部Gは、所定の圧力まで減圧されていることが好ましい。気相部Gの圧力は、装置のスケール、誘導溶液流dの濃度、所望の溶媒bの生成速度等に応じて適宜に設定されてよいが、例えば、0.1~80kPaとすることが好ましく、1~50kPaとすることがより好ましい。
ユニットBの気相部Gを減圧するための減圧装置としては、例えば、ダイアフラム真空ポンプ、ドライポンプ、油回転真空ポンプ、エジェクタ、アスピレーター等が挙げられる。
(誘導溶液流濃縮工程の製品)
誘導溶液流濃縮工程により、誘導溶液流dから溶媒bが分離されて、濃縮された誘導溶液流である濃縮誘導溶液流fとなり、ユニットBから排出される。
この濃縮誘導溶液流fは、希釈誘導溶液流eと混合されて所定の濃度に調整されたうえで、誘導溶液流dとして再利用することができる。濃縮誘導溶液流fの再利用の際、冷却装置q2を用いて濃縮誘導溶液流fの温度を調整してもよい。冷却装置q2としては、例えば、チラー、熱交換器等を用いることができる。
誘導溶液流濃縮工程によって誘導溶液流dから分離された溶媒bは、必要に応じて再利用してよい。
〈誘導溶液流再生工程〉
誘導溶液流再生工程では、希釈誘導溶液流e及び濃縮誘導溶液流fを混合して、誘導溶液流dを得る。
図2及び図3のシステムでは、被処理液流濃縮工程と誘導溶液流濃縮工程とがバッファータンクを介して連結されている。このバッファータンクは、被処理液流濃縮工程で得られた希釈誘導溶液流eと、誘導溶液流濃縮工程で得られた濃縮誘導溶液流fとを、最適の配合量で混合して誘導溶液流dを調製する機能を有する。
バッファータンクで調製(再生)された誘導溶液流dは、被処理液流濃縮工程へは送液ポンプr1により、誘導溶液流濃縮工程へは送液ポンプr2により、それぞれ送られて各工程で使用することができる。
本発明の原料液流濃縮システムは、このような構成であることにより、被処理液流濃縮工程のユニットA及び誘導溶液流濃縮工程のユニットBに、それぞれ、誘導溶液流dを連続的に供給することができるから、正浸透膜を利用した被処理液流の濃縮を長時間連続的に実施することが可能となる。
添付の図1~図4におけるr1~r4は、それぞれ、送液ポンプである。q1、q3、及びq4は、それぞれ、熱交換機である。q2は冷却装置である。
《被処理液流の濃縮方法》
本発明の別の観点によると、上記に説明した本発明の溶媒含有物品の濃縮システムを用いて溶媒含有物品を濃縮する、溶媒含有物品の濃縮方法が提供される。
本発明の溶媒含有物品の濃縮方法によると、誘導物質の混合のない、高純度の濃縮流cを高い効率で得ることができる。
《溶媒の分離方法》
本発明の更に別の観点によると、上記に説明した本発明の溶媒含有物品の濃縮システムを用いて溶媒含有物品から溶媒bを分離する、溶媒の分離方法が提供される。
本発明の溶媒の分離方法によると、高純度の溶媒bを高い効率で分離及び回収することができる。
《溶媒含有物品の濃縮システムの洗浄方法》
本発明の更に別の観点によると、上記に説明した本発明の溶媒含有物品の濃縮システムにおけるユニットAの正浸透膜oを洗浄する、溶媒含有物品の濃縮システムの洗浄方法が提供される。
本発明の洗浄方法は、
被処理液流aと、溶媒bとを、正浸透膜oを介して隣接させ、溶媒bを正浸透膜oを通過させて被処理液流aに移動させて行う、第一洗浄プロセス、及び
第一洗浄プロセス後に、溶媒bと正浸透膜oを介して隣接している被処理液流aを溶媒bに置換して行う、第二洗浄プロセス
を含む。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。しかし、本発明は実施例によって限定されるものではない。
《溶媒含有物品濃縮システムの作製》
〈正浸透膜oを有するユニットAの作製〉
(中空糸支持膜モジュールの作製)
ポリエーテルスルホン(BASF社製、商品名「Ultrason」)をN-メチル-2-ピロリドン(和光純薬(株)製)に溶解して20質量%の中空糸紡糸原液を調製した。
二重紡口を装備した湿式中空糸紡糸機に上記の原液を充填し、水を満たした凝固槽中に押し出し、相分離によって中空糸を形成した。得られた中空糸は巻き取り機に巻き取った。得られた中空糸の外径は1.0mm、内径は0.7mm、内表面の微細孔の径は0.05μmであった。
この中空糸を支持膜として用いた。
上記中空糸支持膜9,000本を、13cm径、75cm長の円筒状プラスチックハウジング内に充填し、両端部を接着剤で固定することにより、有効膜内表面積15mの中空糸支持膜モジュールを作製した。
〈正浸透膜モジュールであるユニットAの作製〉
30L容器に、m-フェニレンジアミン400g及びラウリル硫酸ナトリウム30gを入れ、更に純水19,570gを加えて溶解し、界面重合に用いる第1溶液を20kg調製した。
別の30L容器に、トリメシン酸クロリド260gを入れ、n-ヘキサン12,740gを加えて溶解し、界面重合に用いる第2溶液13kgを調製した。
上記「中空糸支持膜モジュールの作製」で製造した中空糸支持膜モジュールのコア側(中空糸の内側)に第1溶液を充填し、30分静置した後に液を抜いて、中空糸の内側に第1溶液の薄い液膜を形成した。
この状態で、第2溶液をコア側に3分送液し、界面重合を行った。重合温度は25℃とした。
次いで、中空糸支持膜モジュールのコア側に、50℃の窒素を30分間流してn-ヘキサンを蒸散除去した。更に、シェル側及びコア側の双方を純水にて洗浄することにより、中空糸支持膜の内面にポリアミドから成る分離活性層を有する中空糸状の正浸透膜oのモジュールである、ユニットAを作製した。
このユニットAの透水量は、処理液として純水を用い、誘導溶液として3.5質量%食塩水を用いた場合、10.12kg/(m×hr)であった。
〈半透膜pを有する膜蒸留ユニットであるユニットBの作製〉
平均一次粒径0.016μm、比表面積110m/gの疎水性シリカ(日本アエロジル社製、AEROSIL-R972)23質量部とフタル酸時オクチル(DOP)31質量部とフタル酸時ブチル(DBP)6質量部とをヘンシェルミキサーで混合し、これに重量平均分子量が310,000のポリフッ化ビニリデン(SOLVAY社製、Solef(登録商標)6010)40質量部を添加し、再度ヘンシェルミキサーで混合した。この混合物を2軸混練押し出し機で混合し、ペレット化した。
得られたペレットを、2軸混練押し出し機により240℃にて溶融混練し、中空糸状に押出して中空繊維を得た。このとき、押し出し機先端のヘッド内の押し出し口に、中空糸成形用紡口を装着し、その押し出し面にある溶融物押し出し用円環穴から上記溶融物を押し出し、同時に、溶融物押し出し用円環穴の内側にある中空部形成流体吐出用の円形穴から窒素ガスを吐出させ、中空糸状押し出し物の中空部内に流通させることにより、中空糸形状を形成した。中空糸状押し出し物は、空走距離20cmにて水浴(40℃)中に導入し、20m/分の速度で巻き取った。
得られた中空糸状物を、連続的に一対の第一の無限軌道式ベルト引き取り機で20m/分の速度で引き取り、空間温度40℃に制御した第一の加熱槽(0.8m長)を経由させた。その後、第一の無限軌道式ベルト引き取り機と同様な第二の無限軌道式ベルト引き取り機で40m/分の速度で引き取り、2.0倍に延伸した。次いで、空間温度80℃に制御した第二の加熱槽(0.8m長)を経由させた後に、20℃の冷却水槽の水面にて、周期的に曲げつつ冷却した。その後、第三の無限軌道式ベルト引き取り機で30m/分の速度で引き取り、1.5倍まで延伸糸を収縮させた後、周長約3mのカセで巻き取った。冷却水槽の水面における周期的な折り曲げは、一対の、周長が約0.20mであり、かつ4山の凹凸ロールを用い、170rpmの回転速度で中空糸を連続的に挟むことにより行った。
巻き取った中空糸状物を塩化メチレン中に浸漬して、中空糸状物中のDOP及びDBPを抽出除去した後、乾燥させた。次いで、50質量%エチルアルコール水溶液中に浸漬した後、5質量%水酸化ナトリウム水溶液中に40℃にて1時間浸漬して、中空糸状物中のシリカを抽出除去した。その後、水洗し、乾燥して中空糸膜を得た。得られた中空糸の外径は1.25mm、内径は0.68mm、内表面の微細孔の径は0.1μmであった。この中空糸を半透膜として用いた。上記中空糸から成る半透膜4,700本を、13cm径、75cm長の円筒状プラスチックハウジングに充填し、両端部を接着剤で固定することにより、有効膜内表面積7.5mの膜蒸留ユニットであるユニットBを作製した。
このユニットBの透水量は、処理液として3.5質量%食塩水を用いた場合、20.02kg/(m×hr)であった。
《実施例1~8、並びに比較例1及び2》
実施例1~8、並びに比較例1及び2は、図1に示したシステムを使用して実施した。
〈実施例1〉
溶媒bとしては水を使用した。
誘導溶液流dとしては、誘導物質として塩化マグネシウム水溶液を使用し、誘導溶液流d中の塩化マグネシウム濃度は25質量%とした。
被処理溶液流濃縮工程におけるユニットAとしては、上記で作製した中空糸状の正浸透膜oのモジュールである正浸透ユニットを使用した。誘導溶液流濃縮工程におけるユニットBとしては、蒸留塔を使用した。
被処理液流aとしては茶抽出液を用い、その供給速度は1,250kg/hとした。ユニットAにおける誘導溶液流dの流速は625kg/hとした。このユニットAにおける被処理液流aの濃縮倍率が10倍となり、ユニットBにおける蒸留塔の入口温度が112℃になるようにユニットAとユニットBとを連結して運転を行った。
〈実施例2~7、並びに比較例1及び2〉
被処理液流aと誘導溶液dとの流量比が、表1に示した値となるように、誘導溶液流dの流量を変更したほかは、実施例1と同じ手順に従って実施した。
〈実施例8〉
実施例8では、24時間に1回ポンプを停止してユニットAの正浸透膜oの洗浄を行う方式を採用した。洗浄は、図4に示したシステムを利用して行った。すなわち、ポンプr1を止めた後、誘導溶液流dを溶媒b(水)の流れに変更し、ポンプr1を30分間運転した。その後、ポンプr1による水の供給を継続しつつ、被処理液流aを溶媒b(水)の流れに変更して、更に60分間運転することにより、正浸透膜oを洗浄した。
洗浄後、被処理流液a及び誘導溶液流dを、洗浄前の条件に戻して、運転を継続した。
運転条件は、誘導溶液流dの流速を1,250kg/hとした以外は、実施例1と同じ条件とした。
〈実施例9〉
実施例9は、図2に示したシステムを使用して実施した。本実施例で使用したシステムは、図1のシステムにおいて、ユニットBにVRCコンプレッサーgを付加した態様である。
本実施例では、VRCコンプレッサーのリボイラー循環の流速を11,426kg/hとし、誘導溶液流dの流速を1,250kg/hとした以外は、実施例1と同じ条件にて運転を行った。
〈実施例10〉
実施例10は、図3に示したシステムを使用して実施した。本実施例で使用したシステムは、VRCコンプレッサーgを有する図2のシステムにおいて、ユニットBとして上記で作製した膜蒸留ユニットを用いに態様である。
本実施例では、ユニットBにおいて、膜蒸留ユニットの入口温度を65℃とし、気相部Gの圧力を10kPaとした他は、実施例9と同じ条件にて運転を行った。
〈実施例11、並びに比較例3及び4〉
実施例11、並びに比較例3及び4では、被処理液流aとして、随伴水の模擬液を採用した。
随伴水模擬液としては、油分35mg/L(35ppm)、及びNaCl 40,000mg/Lを含み、COD-Cr(2クロム酸カリウム法による酸素要求量)が1,500mg/Lである水溶液を用い、被処理液流aと誘導溶液dとの流量比が、表2に示した値となるように、誘導溶液流dの流量を変更したほかは、実施例1と同じ手順に従って実施した。
《評価》
上記で行った各システムの運転において、透過流速、長期運転性能、及び消費エネルギーを、それぞれ以下の手法によって評価した結果を、実施例1~10並びに比較例1及び2については表1に、実施例11並びに比較例3及び4については表2に、それぞれ示した。表1及び表2において、「MVR手段」及び「洗浄工程」欄の「-」は、当該手段又は工程を使用しなかったことを示す。
〈透過流束〉
ユニットAの正浸透膜モジュールの透水量を測定し、透過流速を以下の手法によって評価した。
透水量は、正浸透膜を挟んで被処理液と誘導溶液とを配置したときに、両液の浸透圧差によって被処理液から誘導溶液に移動する水の量を、正浸透膜の単位面積当たり、及び単位時間当たりに割り付けた量を意味しており、下記数式(1):
F=L/(M×H) (1)
{ここで、Fは透水量(kg/(m×hr))であり、Lは透過した水の量(kg)であり、Mは正浸透膜の表面積(m)であり、Hは時間(hr)である。}により定義される。得られた透水量Fの値から、以下の基準で透過流束性能を評価した。
AA:初期の透水量が10kg/(m×hr)以上であった場合
A:初期の透水量が5kg/(m×hr)以上10kg/(m×hr)未満であった場合
C:初期の透水量が5kg/(m×hr)未満であった場合
〈長期運転〉
3日間(72時間)の運転後に、上記と同じ方法によってユニットAの正浸透膜モジュールの透水量を測定し、以下の基準で長期運転性能を評価した。
AA:3日後の透水量が、初期透水量の1/10以上であった場合。
A:3日後の透水量が、初期透水量の1/10未満であった場合
<消費エネルギーの評価>
各実施例及び比較例のシステムを使用して被処理液流の濃縮を行ったときの、被処理液供給単位量当たりのシステムの消費エネルギーを、コンピュータシミュレーションにより計算し、以下の基準により評価した。
AA:被処理液流1t当たりの消費エネルギーが、750kwh/t以下であった場合
A:被処理液流1t当たりの消費エネルギーが、750kwh/t超、800kwh/t以下であった場合
C:被処理液流1t当たりの消費エネルギーが800kwh/t超であった場合
Figure 0007186557000001
Figure 0007186557000002
a 被処理液流
b 溶媒
c 濃縮流
d 誘導溶液流
e 希釈誘導溶液流
f 濃縮誘導溶液流
g VRCコンプレッサー
o 正浸透膜
p 半透膜
q1、q3、q4 熱交換器
q2 冷却装置
r1、r2、r3、r4 送液ポンプ
D 誘導溶液流側空間
G 気相部
L 液相部
R 被処理液側空間

Claims (7)

  1. 溶質及び溶媒bを含有する被処理液流aと、誘導溶液流dとを、正浸透膜oを介して向流又は並流させ、前記被処理液流aに含有される溶媒bを前記正浸透膜oを通過させて前記誘導溶液流dに移動させ、前記誘導溶液流dが希釈された希釈誘導溶液流e、及び前記被処理液流aが濃縮された濃縮流cを得る、被処理液流濃縮工程と、
    前記誘導溶液流dから溶媒bを分離して、溶媒b及び前記誘導溶液流dが濃縮された濃縮誘導溶液流fを得る、誘導溶液流濃縮工程と、
    前記希釈誘導溶液流e及び前記濃縮誘導溶液流fを混合して、誘導溶液流dを得る、誘導溶液流再生工程と、
    被処理液流aと、溶媒bとを、正浸透膜oを介して隣接させ、前記溶媒bを前記正浸透膜oを通過させて前記被処理液流aに移動させて行う、第一洗浄プロセスと、
    前記第一洗浄プロセス後に、前記溶媒bと正浸透膜oを介して隣接している前記被処理液流aを溶媒bに置換して行う、第二洗浄プロセスと
    を有する濃縮システムの洗浄方法であって、
    前記被処理液流濃縮工程における、前記誘導溶液流dと前記被処理液流aとの流量比(誘導溶液流dの流量(kg/h)/被処理液流aの流量(kg/h))が0.1~5.0であり、かつ、
    前記誘導溶液流濃縮工程における前記溶媒bの分離が、蒸発手段によって行われる、
    溶媒含有物品の濃縮システムの洗浄方法
  2. 前記誘導溶液流d及び前記被処理液流a誘導溶液の流量比が0.75~2.0である、請求項1に記載のシステムの洗浄方法
  3. 前記溶媒bが水である、請求項1又は2に記載のシステムの洗浄方法
  4. 前記蒸発手段が、蒸留プロセス又は膜蒸留プロセスである、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステムの洗浄方法
  5. 前記誘導溶液流濃縮工程において発生した溶媒bの蒸気を、機械的蒸気再圧縮手段によって断熱的に圧縮して高温の圧縮蒸気を得て、前記高温の圧縮蒸気の熱を前記誘導溶液流濃縮工程にて再利用する、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステムの洗浄方法
  6. 前記誘導溶液流dが、2価のカチオンを含む無機塩の溶液である、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステムの洗浄方法
  7. 前記正浸透膜oが、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、及びポリアミドから選ばれる少なくとも1種を主成分とする膜であって、かつ、
    前記正浸透膜oの透過流束が、1~100kg/(m×hr)である、
    請求項1~6のいずれか一項に記載のシステムの洗浄方法
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