JP2014034688A - 反応性スパッタによる成膜方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、CeOのキャップ層などの薄膜をテープ状の基材上に形成する場合、結晶配向性に優れた薄膜を成膜できる方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、反応性スパッタ法を実施し、金属ターゲットからスパッタ粒子を放出させて成膜可能な領域に沿って走行中のテープ状の基材に対し金属酸化物の薄膜を成膜する場合、基材走行方向に平行に一辺を配置してテープ状の基材に対し表面を対向させた矩形板状の金属ターゲットを用い、該ターゲット表面側に磁界を形成しつつ反応性スパッタ法を実施し、矩形板状ターゲットの表面側に矩形環状のエロージョン領域を生成するように反応性スパッタ法を実施する成膜方法であり、矩形環状のエロージョン領域においてテープ状の基材の走行方向に直角な方向の内幅を矩形環状のエロージョン領域の領域幅の70%以上、330%以下とすることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、反応性スパッタによる成膜方法に関する。
RE−123系の酸化物超電導体(REBaCu7−X:REはYを含む希土類元素)は、液体窒素温度で超電導性を示し、電流損失が低いため、実用上極めて有望な素材とされており、これを線材に加工して電力供給用の導体あるいは電磁コイル等として使用することが要望されている。この酸化物超電導線材の一例構造として、機械強度の高いテープ状の金属基材を用い、その表面にイオンビームアシスト蒸着法により結晶配向性の良好な中間層を形成し、該中間層の表面に成膜法により酸化物超電導層を形成し、その表面にAgの保護層とCuの安定化層を形成した酸化物超電導線材が知られている。
前記酸化物超電導線材において、イオンビームアシスト蒸着法による配向層を形成後、更に結晶配向性を高める目的で配向層上にキャップ層を形成し、単結晶と同程度の結晶配向性を有するキャップ層を得た後、酸化物超電導層を成膜することで、結晶配向性の良好な酸化物超電導層を得ることができる。
現状、このRE−123系の酸化物超電導線材に適用されるキャップ層として、CeO層が著名であり、従来技術においてこのCeO層を成膜する方法の一例として、金属Ceをターゲットとして用いた反応性スパッタ法が検討されている。反応性スパッタ法においては、金属Ceのターゲットから発生させたCe原子を成膜雰囲気中で酸化させて中間層上にCeOの粒子として堆積させ、CeOのキャップ層としている。
ところで、酸化物超電導線材は用途に応じて数10m〜数100mの長さ、あるいは、それ以上の長さに形成する必要があるので、長尺の基材上に配向層を形成し、更にCeOのキャップ層と酸化物超電導層と保護層と安定化層を形成する必要がある。このような長尺の酸化物超電導線材を製造する場合、有効なキャップ層の成膜技術として、以下の特許文献1に記載の技術が知られている。
特許文献1の記載の技術は、イオンビームアシスト蒸着法による配向層を形成した長尺の基材を供給リールから成膜領域に供給する際、複数の往復走行レーンを構成するように基材を走行させ、成膜領域にて基材が往復走行する間に必要な膜厚のキャップ層を配向層上に形成し、成膜後に巻取リールに巻き取る技術を開示している。
特開2010−123516号公報
特許文献1に開示された技術は、成膜領域を囲む減圧室に必要な量の酸素ガスを導入し、金属Ceのターゲットから発生させたスパッタ粒子を配向層上に堆積させる前に酸化し、CeOの粒子としてから配向層上に堆積させる反応性スパッタ法を実施する方法とみなすことができる。
本発明者らは、前記反応性スパッタ法を用いて配向層上に粒子堆積を行って結晶配向性の良好な薄膜を形成する研究を行っている。しかし、反応性スパッタ法を用いて薄膜を長尺の基材の配向層上に成膜した場合、基材とターゲットの位置関係によって、形成される薄膜の結晶配向度を示す指数であるΔφ(FWHM、半値全幅)の値が大きく変化することがわかった。
このため、Δφの値に優れた薄膜を配向層上に形成するために種々研究を重ねた結果、本願発明に到達した。
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みてなされたものであり、反応性スパッタ法により結晶配向性に優れた薄膜をテープ状の基材上に形成する場合、面方向のいずれの位置においても結晶配向性に優れた薄膜を成膜できる方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の成膜方法は、酸化性ガスを供給した減圧雰囲気に設置した金属ターゲットを用いた反応性スパッタ法を実施し、前記金属ターゲットからスパッタ粒子を放出させて成膜可能な領域に沿って走行中のテープ状の基材に対し金属酸化物の薄膜を成膜する場合、基材走行方向に平行に一辺を配置して前記テープ状の基材に対し表面を対向させた矩形板状の金属ターゲットを用い、該金属ターゲットの裏面側に磁界発生手段を設置して該ターゲット表面側に磁界を形成しつつ反応性スパッタ法を実施し、矩形板状ターゲットの表面側に矩形環状のエロージョン領域を生成するように反応性スパッタ法を実施する成膜方法であって、前記矩形環状のエロージョン領域において前記テープ状の基材走行方向に直角な方向の内幅を矩形環状のエロージョン領域の領域幅の70%以上、330%以下として反応性スパッタ法を実施して成膜することを特徴とする。
基材走行方向に対し直角方向のエロージョン領域の内幅をエロージョン領域の領域幅の70%〜330%の範囲とすることにより、ターゲットから発生して基材上に堆積するスパッタ粒子の堆積ピークのなだらかな領域を利用して基材上に薄膜を形成できる。このため、得られる膜厚の均一化を促進できる。この結果、基材上に生成する薄膜の結晶配向度を示す指標としてのΔφを小さくすることができ、結晶配向性に優れた薄膜を反応性スパッタ法により製造できる。また、長尺のテープ状の基材上に薄膜を形成した場合であっても、長さ方向のいずれの位置においてもΔφの小さい結晶配向性に優れた薄膜を得ることができる。
本発明において、前記テープ状の基材走行方向に直角な方向のエロージョン領域の内幅を20mm以上とすることができる。
エロージョン領域の内幅を20mm以上とすることにより、ターゲットの裏面側に磁石などの磁界発生手段を無理なく配置することができるようになり、ターゲットの表面側に必要な磁界を印加することができ、スパッタ効率の向上に寄与する。このため、テープ状の基材を走行させて薄膜を形成する場合の生産効率を高くすることができる。
本発明において、金属製のテープ状の基材上に結晶配向性の良好な配向層を形成後、この配向層上に結晶配向性の良好な金属酸化物の薄膜を成膜する場合、先のいずれか一項に記載の成膜方法を用いることができる。
テープ状の基材の上に形成された配向層に対し、基材面方向のいずれの位置においても結晶配向性に優れた状態の薄膜を提供できる。
本発明は、基材走行方向に対し直角方向のターゲットのエロージョン領域の内幅をエロージョン領域の領域幅の70%〜330%の範囲とすることにより、ターゲットから発生して基材上に堆積するスパッタ粒子の堆積ピークのなだらかな領域を利用して成膜することができる。このため、基材上に生成する薄膜の結晶配向度を示す指標としてのΔφを小さくすることができ、結晶配向性に優れた薄膜を反応性スパッタ法により製造できる効果がある。
本発明に係る成膜方法により得られたキャップ層を備えた酸化物超電導線材の一例を模式的に示す概略断面図である。 本発明に係る成膜方法を実施するために用いる成膜装置の一例を示すもので、図2(a)は全体構成を示す斜視図、図2(b)はターゲットの裏面側の磁石の配置を示す側面略図である。 同成膜装置に用いられる矩形状ターゲットの一例と基材走行レーンの方向を示す平面図である。 同成膜装置を用いた実施例に適用された矩形板状ターゲットの一例を示す平面図である。 同成膜装置を用いた比較例に適用された円盤板状ターゲットの一例を示す平面図である。 実施例の成膜試験において得られた薄膜において、成膜に用いた基材位置毎の膜厚分布を示すグラフである。
以下、本発明に係る成膜方法の実施形態について図面に基づいて説明するが、本発明の成膜方法は以下に説明する実施形態に制限されるものではない。
本実施形態で説明する成膜方法により製造目的とする酸化物超電導線材の一例構造を図1に示し、本発明に係る成膜方法を実施するために用いる成膜装置の一例構造を図2に示し、同成膜方法を実施する際に用いる金属ターゲットの一例を図3に示す。
<酸化物超電導線材>
図1は本発明に係る成膜方法を適用して製造した酸化物超電導線材1を模式的に示す概略断面図である。
この実施形態の酸化物超電導線材1は、テープ状の基材2の上方に、下地層3と配向層4とキャップ層5からなる中間層Tが形成され、キャップ層5の上方に酸化物超電導層6と保護層7と金属安定化層8がこの順に積層されてなる。さらに、この形態の酸化物超電導線材1の周面は絶縁被覆層9に覆われている。
基材2は、長尺のケーブルとするためにテープ状であることが好ましく、耐熱性の金属からなるものが好ましい。各種耐熱性金属の中でもニッケル合金が好ましく、市販品であれば、ハステロイ(米国ヘインズ社製商品名)が好適であり、モリブデン、クロム、鉄、コバルト等の成分量が異なる、ハステロイB、C、G、N、W等のいずれの種類も使用できる。また、基材2として、ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni−W合金テープ基材等を使用することもできる。
基材2の厚みは、目的に応じて適宜調整すれば良く、通常は、10〜500μmの範囲とすることができる。
下地層3は、以下に説明する拡散防止層とベッド層の複層構造又は、これらのうちどちらか1層からなる構造とすることができる。
下地層3として設けられる拡散防止層は、通常、構成元素拡散を防止する目的又はその上に形成される他の層の膜質を改善する目的で形成される。下地層3として拡散防止層を設ける場合、該拡散防止層は、窒化ケイ素(Si)、酸化アルミニウム(Al、「アルミナ」とも呼ぶ)又はGZO(GdZr)等から構成される単層構造又は複層構造の層であることが好ましい。
前記拡散防止層の厚みは特に制限されず、例えば10〜400nmとすることができる。拡散防止層の厚みが10nm未満となると、拡散防止層のみでは基材2の構成元素の拡散を十分に防止できなくなる虞がある。一方、拡散防止層の厚みが400nmを超えると、拡散防止層の内部応力が増大し、これにより、他の層を含めて全体が基材2から剥離しやすくなる虞がある。また、拡散防止層の結晶性は特に問われないので、通常のスパッタ法等の成膜法により形成すれば良い。
下地層3として設けられるベッド層は、通常、界面反応性を低減する目的又はその上に配される膜の配向性を得る目的で形成される。下地層3としてベッド層を設ける場合、該ベッド層は、耐熱性の高い材料で形成されることが好ましい。このような材料としては、例えば、Y、Er、CeO、Dy3、Er、Eu、Ho、Laなどの希土類酸化物が挙げられる。その層構造は単層構造でも良いし複層構造でも良い。
前記ベッド層の厚みは特に制限されず、例えば10〜100nmとすることができる。
また、ベッド層の結晶性は特に問われないので、通常のスパッタ法等の成膜法により形成すれば良い。
なお、下地層3は拡散防止層とベッド層の2層構造でも、これらのどちらかからなる単層構造でも良く、場合によっては下地層3を省いても良い。下地層3を省く場合は、基材2上に直接、以下に説明する配向層4が形成される。
配向層4は、酸化物超電導層6の結晶配向性を制御するバッファー層として機能し、酸化物超電導層6と格子整合性の良い金属酸化物からなるものであることが好ましい。また、配向層4は、イオンビームアシスト蒸着法によって形成されたものであることが好ましい。イオンビームアシスト蒸着法によって形成された配向層は結晶配向性に優れ、配向性の指標となるX線回折ピークの半値全幅(ΔΦ)の値を10〜15゜とすることができる。
配向層4の好ましい材料としては、例えば、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物が挙げられる。配向層4は、単層でも良いし、複層構造でも良い。なお、配向層4は複数の層構造でも実現できるので、IBAD法で1つあるいは複数の配向層を形成後、他のスパッタ法などの一般的な成膜法により結晶配向性の良好な配向層を更にエピタキシャル成膜した複層構造とすることができる。
キャップ層5は好ましい材料として、例えば、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等が挙げられる。キャップ層5の材料がCeOである場合、キャップ層5は、Ceの一部が他の金属原子又は金属イオン(M)で置換されたCe−M−O系酸化物を含んでいても良い。CeOからなるキャップ層5の膜厚は、50nm以上であればよいが、単結晶と同程度の十分な配向性、例えば、3〜5゜程度のΔφを得るには100nm以上が好ましい。但し、厚すぎると結晶配向性が悪くなる場合があるので、50〜5000nmの範囲とすることが好ましい。
酸化物超電導層6は、公知の酸化物超電導体に使用されている材料を広く適用することができ、例えばReBaCu7−x(ReはY、La、Nd、Sm、Er、Gd等の希土類元素を表す。)の化学式で表されるものが好ましい。より具体的には、Y123(YBaCu7−x)又はGd123(GdBaCu7−x)が好適なものとして例示できる。前記キャップ層5の上に成膜された酸化物超電導層6は優れた結晶配向性を有し、優れた超電導特性を示す。
酸化物超電導層6の厚みは、500〜5000nm程度が好ましく、均一な厚みであることが好ましい。
保護層7は、酸化物超電導層6の表面(上面と側面)を覆うように、即ち、酸化物超電導層6上を覆うように形成されていて、Agからなる。特に保護層7をスパッタ法などの成膜法により形成した場合、酸化物超電導層6の上面と側面に主体として成膜されるが、更に、保護層7を構成するべきAg粒子の成膜時の回り込みにより、基材2と下地層3と配向層4とキャップ層5と酸化物超電導層6を含む線材の側面や底面側にも薄く形成される。
金属安定化層8は、良導電性の金属の箔やめっき層等からなり、酸化物超電導層6が超電導状態から常電導状態に遷移しようとした時、保護層7とともに酸化物超電導層6の電流を転流させるバイパスとして機能する。
金属安定化層8を構成する金属材料は、良伝導性のCuやCu合金が望ましいが、酸化物超電導線材1を超電導限流器に使用する場合、金属安定化層8は高抵抗の金属材料であることが好ましく、例えばNi−Cr等のNi系合金などからなる。
金属安定化層8の厚みは特に限定されないが、10μm〜500μmであることが好ましく、20μm〜300μmであることがより好ましい。
本実施形態の酸化物超電導線材1の外周は、絶縁被覆層9で被覆されている。絶縁被覆層9は、絶縁テープを巻き回して形成されたものでも良いし、絶縁性樹脂がコーティングされたものでも良い。絶縁被覆層9は、必ずしも設けられていなくても良いが、本発明に係る酸化物超電導線材1を保護する。前記絶縁テープ及び絶縁性樹脂の材料は特に制限されず、例えばポリイミド樹脂等の公知の材料を適用できる。絶縁被覆層9の厚みも特に制限されず、用途に応じて適宜調整すれば良く、例えば100μm〜1mmとすることができる。
<酸化物超電導線材の製造方法>
以下に、前記酸化物超電導線材1の製造方法について説明する。
まず、基材2の上方に下地層3と配向層4とキャップ層5からなる中間層及び酸化物超電導層6を形成する。
基材2の上に下地層3を形成する場合は、イオンビームスパッタ法等の公知の成膜方法を適用できる。
下地層3の上に、イオンビームアシスト蒸着法によって配向層4を形成する方法としては、例えばターゲットにイオンビームを照射して、ターゲットの構成粒子を基材2上に飛来させて堆積させるとともに、基材2に対し所定の入射角度でアシスト用のイオンビームを照射する方法が挙げられる。この方法は公知のイオンビームアシストスパッタ装置で実現できる。この方法により結晶配向性の良好な配向層4を得ることができる。例えば、結晶配向性を示す指標であるΔφとして8〜15゜程度の良好な結晶配向性の配向層4を得ることができる。
続いて、キャップ層5を後に説明する反応性スパッタ法により形成し、次いで酸化物超電導層6をPLD法(パルスレーザー蒸着法)などの成膜法により形成する。前述の配向層4の上に結晶配向性の良好なキャップ層5を形成した場合、3〜5゜程度の単結晶同等の優れた結晶配向性を得ることができる。この良好な配向性を有するキャップ層5上に酸化物超電導層6を形成すると、酸化物超電導層6もキャップ層5の配向性に整合するように結晶化する。
従って得られた酸化物超電導層6は、結晶粒界における量子的結合性に優れ、結晶粒界における超電導特性の劣化が殆どないので、基材2の長さ方向に電気を流し易くなり、十分に高い臨界電流が得られ、優れた超電導性を発揮する。
<反応性スパッタ装置>
次に、前記基材2上に下地層3と配向層4を備えた構成を積層基材Kと呼称し、その上にキャップ層5を以下に説明する反応性スパッタ法により成膜する装置の一例について図2を元に説明する。
図2(a)に示す成膜装置10は、積層基材Kを長手方向に走行させつつ、その配向層4上に、キャップ層5を成膜することができる装置である。
この成膜装置10は、真空チャンバ(図2に符号Aで略記する)に収容される形態で設けられる成膜装置であり、積層基材Kが走行する走行系11と、走行系11に積層基材Kを送り出す送出リール(基材送出手段)12と、走行系11から排出される積層基材Kを巻き取る巻取リール(基材巻取手段)13と、積層基材Kに対してキャップ層5を形成する第1の成膜系14及び第2の成膜系15と、積層基材Kを加熱するヒータ(加熱手段)16とを備えている。
この形態で用いる真空チャンバAは、外部と成膜空間とを仕切る容器であり、気密性を有するとともに、内部が高真空状態とされるため耐圧性を有するものとされる。この真空チャンバには、真空チャンバ内にキャリアガス及び反応ガスを導入するガス供給手段Bと、真空チャンバ内のガスを排気する排気手段Cが接続されているが、図2ではこれらガス供給手段Bと排気手段Cを略記している。
ガス供給手段Bは、キャリアガスと反応ガスとの混合ガスを供給するガス供給源と、ガス供給源と真空チャンバとを接続する配管と、配管の途中に設けられたマスフローコントローラ等よりなり、ガス供給源が供給する混合ガスを、マスフローコントローラによって流量調整しつつ真空チャンバA内に導入する。
キャリアガスとしては、不活性ガスであればよく、特に限定されないが、例えばアルゴンガスが使用される。
反応ガスとしては、目的とするキャップ層の組成に応じて適宜選択され、例えばCeO層のような酸化物層を成膜する場合には酸素ガスを使用できる。
反応ガスとして酸素ガスを用いる場合、混合ガス中における酸素ガスの割合(容量比)は、5〜50%の範囲を選択することができ、10〜20%の範囲を選択することが好ましい。
反応ガスの割合が5%未満などのように少ない場合は、成膜されるスパッタ膜の酸化度が低くなり、所望の機能を有するキャップ層5が得られない可能性がある。また、反応ガスの割合が50%より大きい場合には、その分、キャリアガスの割合が小さくなるため、反応性スパッタ法を行う場合に生成するべきプラズマの質が悪くなり、各ターゲット14a、15bのスパッタ効率が低くなり、キャップ層5を十分な厚さで形成するには、積層基材Kを比較的低速で走行させることが必要となる。その結果、生産性が低下するおそれがある。
排気手段Cは、真空ポンプと、真空ポンプと真空チャンバとを接続する配管、バルブ等よりなり、その真空ポンプの作動により真空チャンバ内を減圧状態にすることができ、キャップ層5を形成する際、あるいは、キャップ層5を形成した後、真空チャンバ内のガスを所定の流量で排気することができる。
送出リール12及び巻取リール13は、互いに離間して配置されている、各リール12、13には、それぞれ、長尺の積層基材Kの端部が取り付けられており、初期状態において、送出リール12の方に積層基材Kが巻回されている。また、送出リール12と巻取リール13の間の積層基材Kは、後述する走行系11の第1のロール17及び第2のロール18に複数周(本実施形態では10周)掛け渡され、この形態の場合、10レーン構成とされている。
本実施形態の成膜装置10において走行系11は、対向して配置された第1のロール17及び第2のロール18を有する。
第1のロール17は、送出リール12と巻取リール13との間に設けられ、第2のロール18は、第1のロール17と離間して対向配置されている。この形態において第1のロール17と第2のロール18はそれらの回転中心軸を鉛直向きとしてそれらのロール周面を横向きにして配置され、第1のロール17の周面と第2のロール18の周面にはテープ状の積層基材Kが、これらの間を複数ターン相互に離間しながら周回するように巻き付けられ、この周回された積層基材Kは、配向層4の表面を外周側にして複数周(図2の例では10周)、各周がレーストラック状になるように並設した状態で掛け渡されている。
本実施形態の成膜装置10において、第1の成膜系14は、第1のロール17側から第2のロール18側に向かう直線経路[順方向(図2中A方向)の往路]を走行する積層基材Kに対し、配向層4表面と対向するように配設された第1のターゲット(金属ターゲット)14aと、該第1のターゲット14に電圧を印加する第1の電源(図示せず)とを備えている。また、第2の成膜系15は、第2のロール18側から第1のロール17側に向かう直線経路[逆方向(図2中B方向)の復路]を走行する積層基材Kに対し、配向層4表面と対向するように配設された第2のターゲット(金属ターゲット)15aと、第2のターゲット15aに電圧を印加する第2の電源(図示せず)が備えられている。
第1のターゲット14aと第2のターゲット15aは、それぞれ、矩形板状をなし、目的とするキャップ層5の金属成分に応じた金属材料によって構成されている。
これらターゲット14a、15aの高さは、積層基材Kが第1のロール17と第2のロール18の間に形成する往路の全幅(図2(a)では最低位置の積層基材Kから最高位置の積層基材Kまでを含む領域の高さ)と復路の全幅(図2(a)では最低位置の積層基材Kから最高位置の積層基材Kまでを含む領域の高さ)をカバーできる程度の高さに形成されている。
前記ターゲット14a、15aの裏面側には、図2(a)、(b)に示すように磁石等の磁界発生手段(装置)20が設置されている。磁界発生手段20は、ターゲット14aあるいはターゲット15aの裏面側の周辺部分に配置された棒状の4本の磁石21と、これらの磁石21の中央部に配置された磁石22から構成されている。磁石21はターゲット14a、15aの一辺の長さよりも短く形成され、ターゲット14a、15aの各周縁の中央内側に位置するようにロの字型に配置され、それらの中央部に積層基材Kの走行方向に平行に磁石22が配置されている。
これらの磁石21、22は、ターゲット14aの表面側及びターゲット15aの表面側にそれぞれ磁界を印加する。これらの磁界は、真空チャンバAの内部を減圧してターゲット14a、15aの表面側にプラズマを生成して成膜を行う場合、ターゲット14aの表面側及びターゲット15aの表面側に生成させた磁力線によって二次電子を螺旋状に運動させてその周囲にプラズマを発生させる効果を奏する。このため、ターゲット表面を集中的にスパッタすることができ、二次電子などをターゲットの表面近傍に止め、二次電子が積層基材K側に飛来することを抑制するため、積層基材Kに加わるダメージを少なくでき、スパッタ効率にも優れさせることができる効果を有する。
また、このように磁石21、22を配置した場合、ターゲット14a、15aの表面部分において、主にターゲット粒子を発生できる領域が限られることとなり、例えば図3に示すように矩形環状のエロージョン領域Rから主にターゲット粒子が発生される。
なお、矩形環状のエロージョン領域Rは、仮に、環状に配置された4つの磁石21をN極、中央の磁石をS極とした場合、4つの磁石21の内側、かつ、中央の磁石22の外側に位置するように所定の領域幅RWを有するように矩形環状に生成される。
本実施形態では、ターゲット14aあるいは15aにおいて、積層基材Kの走行方向に平行な幅をWaと表記し、積層基材Kの走行方向に直角方向の幅(高さ)をWbと表記する。また、矩形環状のエロージョン領域Rについて、その全周にわたり略均一幅となる領域幅をRWと表記し、積層基材Kの走行方向に対し直角方向のエロージョン領域Rの内幅をWcと表記し、積層基材Kの走行方向に対し平行方向のエロージョン領域Rの内幅をWdと表記する。
本実施形態では、これらのターゲット14a、15aにおいて、エロージョン領域Rの内幅Wcをエロージョン領域Rの領域幅RWに対し70%以上、330%以下とすることが望ましい。例えば、一例として、Wa=Wb=300mmの矩形板状の金属ターゲットにおいて、エロージョン領域Rの領域幅RWを30mmに設定すると、内幅Wcを20mm〜100mmの範囲に設定することができる。内幅Wcを20mm以上とするのは、これより小さい内幅Wcであると、ターゲット表面側において必要な磁界を印加するための磁石21、22の配置が困難となる。
また、領域幅RWを10mmとした場合、内幅Wcの下限を20mmとすると、20mm〜33mmの範囲を選択できる。
ただし、領域幅RWを必要以上に小さくするとエロージョン領域Rも小さくなるのでターゲット14a、15aの有効活用の面では不利となる。
次に、上述の成膜装置10の動作について更に説明する。
排気手段が備える真空ポンプの作動により、真空チャンバA内を所定の減圧状態とする。次に、ガス供給手段を用いて、真空チャンバ内に、キャリアガスと反応ガスとの混合ガスを供給する。
また、回転駆動手段の作動により、各ロール17、18及び各リール12、13を、それぞれ、回転駆動する。これにより、送出リール12に巻回されている積層基材Kを、第1のロール17の周面上に送り出す。この送り出された積層基材Kは、走行系11をレーストラック状に複数周走行した後、巻取リール13に巻き取られる。
次に、ヒータ16の作動により、走行系11を走行する積層基材Kを目的の温度に加熱する。
ここで、積層基材Kの加熱温度は、500〜800℃の範囲とすることが好ましく、600〜700℃の範囲であることがより好ましい。積層基材Kをこの温度範囲で加熱することにより、配向層4の表面に、ターゲット物質と反応ガスとの化合物膜を高速かつ高配向性でエピタキシャル成長させることができる。
次に、第1の電源及び第2の電源により、第1のターゲット14a及び第2のターゲット15aに電圧を印加する。これにより、第1のターゲット14aと積層基材Kとの間に供給されたガス、及び、第2のターゲット15aと積層基材Kとの間に供給されたガスを、それぞれ、活性化(電離、イオン化、励起等)させてプラズマを発生させる。そして、このプラズマ中に生成されたキャリアガスのイオンが、各ターゲット14a、15aに衝突し、各ターゲット14a、15aからスパッタ粒子が弾き出される。弾き出されたスパッタ粒子は活性化された反応ガスと反応し、積層基材Kの配向層4の表面に堆積する。これにより、金属酸化物薄膜を成膜することができる。
ここで金属酸化物薄膜が自己配向するものである場合は、その成膜面に堆積する過程で、まず、結晶粒が各結晶軸を配向させてエピタキシャル成長し、その後、横方向(面方向)に結晶粒が急速に粒成長(オーバーグロース)して、結晶粒が面内方向に粗大化して選択成長する。このため、形成されるスパッタ膜は、その下地の成膜面の結晶構造よりも高い面内配向度、例えば、X線回折の半値全幅Δφの値として3〜5゜を示し、単結晶に近い結晶配向性を示す。
この実施形態の走行系11では、送出リール12から送り出される積層基材Kが、第1のロール17の周面上に供給され、第1のロール17及び第2のロール18にガイドされて各周においてレーストラック状に複数周走行した後、巻取リール13に巻き取られるようになっている。この際、積層基材Kには、レーストラック状に走行している間、第1の成膜系14及び第2の成膜系15によって、それぞれ、ターゲット物質と反応ガスとの化合物膜(スパッタ膜)が成膜される。
第1の成膜系14及び第2の成膜系15は、それぞれ、ガス供給手段によって導入される混合ガスを用いて、積層基材Kの配向層4上にキャップ層5を形成する。
前述したターゲット14a、15aに生成されるエロージョン領域Rの内幅Wcをエロージョン領域Rの領域幅RWに対し70%以上、330%以下としているので、走行レーンに沿って移動中の積層基材Kに対し、いずれのレーンにおいてもできるだけ均等にスパッタ粒子の堆積を行うことができ、これにより積層基材Kのいずれの位置であっても膜厚が均一であって、結晶配向性に優れたキャップ層5を形成できる。
これは、ターゲット14a、15aの大きさに対し適切な大きさのエロージョン領域Rを設定することで、ターゲット14a、15aからスパッタ粒子を均等に発生させることができ、これにより積層基材Kが走行中の各レーンにおいて堆積膜厚が均一な状態を得やすいことによる。
ところで、ここまで説明した実施形態ではCeOの薄膜を本発明の成膜方法により形成する場合について説明したが、本発明の成膜方法は、金属ターゲットを用いて酸化物薄膜を形成する場合に広く適用できるのは勿論である。よって、酸化物超電導線材に適用する場合ならば、下地層として使用するY層やAl層などの酸化物薄膜の成膜に広く適用できる。
ハステロイC−276(米国ヘインズ社商品名:表面粗さRa≒5nm)からなる幅10mm、厚み100μm、長さ100mのテープ状の基材上に、イオンビームアシスト蒸着法でGdZrからなる配向層(厚み1μm)を形成し、配向層付きの積層基材を得た。
次に、反応性スパッタ装置の成膜室を0.5Paに減圧し、ArガスとOガスを流入させ、成膜室内の混合ガス中に含まれる酸素ガスの濃度を10%、基材を加熱する加熱装置の熱板の温度を800℃とし、電源の出力を1000W、TS距離(基材とターゲットとの直線距離)を100mm、基材移動速度を50m/h、幅10mmのテープ状の基材を転向部材間に23レーンになるように基材間に5mmの間隔をあけて掛け渡し、反応性スパッタを行ない、配向層の上に厚さ約0.5μmのCeOのキャップ層を成膜した。
上述の工程によりキャップ層を成膜する場合、用いるターゲットとして、図4に示すように縦幅、横幅共に300mmの矩形板状の金属セリウムのターゲット30を用いた。成膜後にこのターゲット30に生成されたエロージョン領域R1を図4に示す。
このエロージョン領域R1の領域幅RWは30mmであり、エロージョン領域Rの基材搬送方向に直角方向の内幅Wcは180mm、基材搬送方向に平行な方向の内幅は180mmであった。なお、ターゲットの裏面側に配置する磁石の設置位置を調整することでエロージョン領域幅は調整することができるが、このエロージョン領域幅は磁石を、ターゲット中心の磁石(幅30mm、長さ180mmの磁石を中央配置したもの)はN極、周辺側の磁石(幅30mm、長さ240mmの4本の磁石をターゲット裏面の各辺に沿ってターゲット裏面コーナー部分を除くように4本配置したもの)はS極として、図2(b)に示すように配置することでエロージョン幅30mmとした場合の試験条件である。
以下の表1に、ターゲット形状、ターゲットの(縦)幅(Wamm)、(横)幅(Wbmm)、Wa/Wbの値、走行レーン数、ターゲットエロージョン領域の内側の横幅Wc(mm)、キャップ層のΔφ、成膜速度、生産性についてそれぞれ記載する。
なお、図3では積層基材Kのレーンに沿って描いているので、積層基材Kのレーンに平行な方向を本実施形態では縦幅Waと定義し、積層基材Kのレーンに直角方向(レーンを構成する積層基材Kの幅方向に平行な方向)を本実施形態では横幅Wbと定義し、以下に説明する。
また、比較のために、図5に示すような円盤状の金属セリウムのターゲットを用いて先の実施例と同等条件にて成膜試験を行った。用いた円盤状のターゲットは、直径338mmであった。このターゲットの裏面側には、円環状の磁石が、その外周縁側と中央側に配置されている。この円盤状のターゲットは、成膜後、図5に示すように、内径218mm、外径278mmの円環状のエロージョン領域が生成した。
また、先の大きさの矩形板状の金属セリウムターゲットに代えて、以下の表1に示す大きさの各金属セリウムターゲットを用いて同等の条件で積層基材上にキャップ層を形成した。これら各試料について、得られたキャップ層のΔφを測定し、成膜速度と合わせて上述の条件とまとめて以下の表1に結果を併記した。ΔφはX線回折装置((株)リガク社製)を用いて測定した。
Figure 2014034688
表1に示す結果から、実験例1と実験例2のターゲットのようにほぼ同じターゲット面積ならば、矩形状のターゲットよりも丸型のターゲットの方がエロージョン領域内側の横方向の内幅Wcが大きくなるため、Δφの値が増加した。また、Δφの値が4.5゜であれば、単結晶と同等の良好な結晶配向性のCeO膜であると判断できるため、表1の結果から、ターゲットのエロージョン領域の内側の横幅Wcの比率が70%以上、330%以下の範囲である実験例5、6、7の試料のΔφが良好であることがわかる。
なお、生産速度20m/hを達成できているので、生産性は良好と判断できる。
次に、先の実験例と同等の矩形板状のCeターゲットを用いてCeOの薄膜をテープ状の基材に代えて、300mm幅の静止状態の基材に形成した場合、磁石の配置を同等としてエロージョン領域幅を30mmに設定し、エロージョン内側の横幅Wcを20mm、50mm、100mm、150mm、200mmに各々設定した場合、得られた基材の幅方向におけるCeOの薄膜の膜厚分布を測定した結果を図6に示す。
成膜条件は、出力1000W、TS距離(基板とターゲット間の直線距離)100mm、静止成膜10分間、成膜後の圧力を0.5Paとした。
図6に示す結果から、Wc=20mmでは膜厚のピークの山がなだらかなので、膜厚レートは徐々に変化して成膜されることがわかる。一方でWc=200mmでは膜厚ピークの山が急なので膜厚レートは大きく変化して成膜されることがわかる。図6に示す膜厚レートを示す山の勾配の違いが重要となる。例えば、Wc=20mmの場合は、ターゲットが縦長となるので、テープ状の積層基材を縦長のターゲットに合わせて縦向きに流した場合、膜厚レートが一定の区間を長く取ることができるので、良好な配向を有する薄膜が生成しやすくなることがわかる。逆に、Wc=200mmの場合ターゲットが横長となり、基材走行の1レーンにおいてすぐに膜厚レートが変化するため、良好な配向性の薄膜が得られないことがわかる。これは、スパッタ粒子が堆積する場合、多く積もったり少なく積もったりする場合、Δφが良好になり難いことを意味している。
このため、Wcの値に合わせて積層基材のレーン数を追従させることが生産効率の面では好ましい。例えば、レーン数を25とする場合、Wc=20mmでは、成膜レートが高いのはレーン中央の7レーン程度(積層基材の幅10mm、間隔5mmとして)となり、他の18レーンは殆ど膜が付かないので、レーン数が無駄に多くなっているのみであり、無駄なレーンを通過させることで時間の無駄が多くなる。この背景から図6に示すようにWcの値が20〜100mmの範囲でピークの山が2つに分かれていないので、ピークの山頂近辺の膜厚レートが安定するため、良好な配向性の膜を得られることがわかる。
なお、表1に示す実験例1のターゲットにおいて仮にWc=20mmとすると、Δφは良好となるが、ターゲットにおいてスパッタされない領域が増加することとなり、ターゲットの無駄が多くなる。
また、ターゲットの縦幅Waと横幅Wbの比率Wa/Wbを大きくしても、同一ターゲット面積の場合、同一エロージョン内側の横幅Wcを小さくすることができ、Δφの良好な薄膜を得ることができる。
本発明は、例えば酸化物超電導送電線や超電導マグネット用のコイル巻線に利用することができる酸化物超電導線材であって、テープ状の基材上に配向層とキャップ層と酸化物超電導層積層した酸化物超電導線材を提供するため、配向層上にキャップ層を形成する場合に適用することができる。
1…酸化物超電導線材、2…基材、3…下地層、4…配向層、K…積層基材、T…中間層、5…キャップ層、6…酸化物超電導層、7…保護層、8…金属安定化層、9…絶縁被覆層、A…真空チャンバ、B…供給手段、C…排気手段、10…成膜装置、11…走行系、12…基材搬出手段、13…基材巻取手段、14…第1の成膜系、14a…ターゲット、15…第2の成膜系、15a…ターゲット、16…加熱装置、17…第1のロール、18…第2のロール、20…磁界発生手段(装置)、21、22…磁石、R…エロージョン領域、RW…領域幅、Wa…縦幅、Wb…横幅、Wc…内幅、Wd…内幅。

Claims (3)

  1. 酸化性ガスを供給した減圧雰囲気に設置した金属ターゲットを用いた反応性スパッタ法を実施し、前記金属ターゲットからスパッタ粒子を放出させて成膜可能な領域に沿って走行中のテープ状の基材に対し金属酸化物の薄膜を成膜する場合、
    基材走行方向に平行に一辺を配置して前記テープ状の基材に対し表面を対向させた矩形板状の金属ターゲットを用い、該金属ターゲットの裏面側に磁界発生手段を設置して該ターゲット表面側に磁界を形成しつつ反応性スパッタ法を実施し、矩形板状ターゲットの表面側に矩形環状のエロージョン領域を生成するように反応性スパッタ法を実施する成膜方法であって、
    前記矩形環状のエロージョン領域において前記テープ状の基材の走行方向に直角な方向の内幅を矩形環状のエロージョン領域の領域幅の70%以上、330%以下として反応性スパッタ法を実施して成膜することを特徴とする反応性スパッタによる成膜方法。
  2. 前記テープ状の基材走行方向に直角な方向のエロージョン領域の内幅を20mm以上とすることを特徴とする請求項1に記載の反応性スパッタによる成膜方法。
  3. 金属製のテープ状の基材上に結晶配向性の良好な配向層を形成後、この配向層上に結晶配向性の良好な金属酸化物の薄膜を成膜する場合、請求項1または2に記載の成膜方法を用いることを特徴とする反応性スパッタによる成膜方法。
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