JP2014034519A - フラーレン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、フラーレン誘導体の製造方法、かかる製造方法に用いられる化合物および塩基に関する。
光電変換素子は、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に設けられた活性層とを備える素子である。光電変換素子の一態様である有機層を含む有機薄膜太陽電池は、シリコン等の無機化合物からなる活性層を有する無機太陽電池に比べ、製造コストを大幅に低減できる可能性があり、より安価な太陽光発電素子として注目を集めている。
有機薄膜太陽電池としては、例えば、p型半導体であるポリ(3−ヘキシルチオフェン)、及びn型半導体であるフラーレン誘導体を有機層に含む有機薄膜太陽電池が提案されている。有機薄膜太陽電池に用いられるフラーレン誘導体としては、例えば、[6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステル(C60PCBM)、[6,6]−フェニルC71酪酸メチルエステル(C70PCBM)が知られている。ここで炭素を意味する「C」とこれに付された数字とは炭素原子数を表している。以下同様である。
このようなフラーレン誘導体の製造方法としては、例えば、C70フラーレンとメチル4−ベンゾイル酪酸p−トシルヒドラゾンとを反応させ、C70PCBMを製造する方法が提案されている(非特許文献1及び2参照。)。
アンゲヴァンテ ケミー インターナショナル エディション(Angewandte Chemie International Edition)、2003年、第42巻、p.3371−3375
松尾 豊著、「有機薄膜太陽電池の科学」、株式会社化学同人、2011年4月11日、p.68−69
しかしながら上記非特許文献が開示するフラーレン誘導体の製造方法によれば、製造工程における反応温度が高温であるため製造コストが高いという課題がある。
従って、本発明は、反応温度をより低温としてフラーレン誘導体を製造しうる製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記[1]〜[15]を提供する。
[1] 下記式(1)で表される塩とフラーレンとを、塩基の存在下で反応させる、下記式(4)で表されるフラーレン誘導体の製造方法。
〔式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜30の有機基を表す。Zは、下記式(2−1)で表される構造又は下記式(2−2)で表される構造を表す。
R3は、下記式(3)で表される基を表す。Ar1は、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30のアルケニル基又は置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30のアルキニル基を表す。nは1〜3の整数を表す。Yn−は、n価の陰イオンを表す。
(式(3)中、R7は、カルボニル基及びビニレン基とは異なる2価の基を表す。R8は炭素原子数1〜30の有機基を表す。p、q及びrは、それぞれ独立に、0又は1を表す。rが1の場合、pは1である。)〕
〔式(4)中、A環はフラーレン骨格を表す。Ar1及びR3は前述と同じ意味を表す。〕
[2] 前記塩基が有機塩基である、[1]に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[3] 前記有機塩基が下記式(5)で表される化合物である、[2]に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
〔式(5)中、R13は、炭素原子数1〜30の有機基、置換アミノ基、又はアミノ基を表し、R11、R12、及びR14は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜30の有機基を表す。R11、R12、R13、及びR14のうちの2個は、結合してR11、R12、R13、又はR14が結合している炭素原子又は窒素原子とともに環状構造を形成していてもよい。〕
[4] 前記フラーレンがC60フラーレンまたはC70フラーレンである、[1]〜[3]のいずれか1つに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[5] 前記式(1)で表される塩が下記式(6)で表される塩である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
〔式(6)中、R1及びR2は前述と同じ意味を表す。X−は1価の陰イオンを表す。R10は炭素原子数1〜30のアルキル基を表す。〕
[6] 前記R10がメチル基である、[5]に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[7] 前記R10がブチル基である、[5]に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[8] 前記式(4)で表されるフラーレン誘導体が、下記式(7)で表されるフラーレン誘導体又は下記式(8)で表されるフラーレン誘導体である、[6]に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[9] 前記式(4)で表されるフラーレン誘導体が下記式(9)で表されるフラーレン誘導体である、[6]に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[10] 下記式(10)で表される化合物と、下記式(11)で表される化合物と、下記式(12)で表される塩とを反応させる、下記式(1−1)で表される塩の製造方法。
〔式(1−1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜30の有機基を表す。R3は、式(3)で表される基を表す。Ar1は、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30のアルケニル基又は置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30のアルキニル基を表す。X−は、1価の陰イオンを表す。
(式(3)中、R7は、カルボニル基及びビニレン基とは異なる2価の基を表す。R8は炭素原子数1〜30の有機基を表す。p、q及びrは、それぞれ独立に、0又は1を表す。rが1である場合、pは1である。)〕
〔式(10)中、R3、及びAr1は、前述と同じ意味を表す。Qは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。〕
〔式(11)中、R1及びR2は、前述と同じ意味を表す。〕
M+X− (12)
〔式(12)中、X−は、前述と同じ意味を表す。M+は1価の陽イオンを表す。〕
[11] 下記式(15)で表される化合物と、下記式(16)で表される塩とを反応させる、下記式(1−1)で表される塩の製造方法。
〔式(1−1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜30の有機基を表す。R3は、下記式(3)で表される基を表す。Ar1は、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30のアルケニル基又は置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30のアルキニル基を表す。X−は、1価の陰イオンを表す。
(式(3)中、R7は、カルボニル基及びビニレン基とは異なる2価の基を表す。R8は炭素原子数1〜30の有機基を表す。p、q及びrは、それぞれ独立に、0又は1を表す。rが1である場合、pは1である。)〕
〔式(15)中、Ar1、R2、及びR3は前述と同じ意味を表す。〕
R1−X (16)
〔式(16)中、R1は前述と同じ意味を表す。Xは1価の陰イオンを形成しうる原子又は原子団を表す。〕
[12] 下記式(10)で表される化合物と、下記式(11)で表される化合物とを反応させる、式(1−2)で表される塩の製造方法。
〔式(1−2)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜30の有機基を表す。R3は、下記式(3)で表される基を表す。Ar1は、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30のアルケニル基又は置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30のアルキニル基を表す。Q−は塩素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオンを表す。
(式(3)中、R7は、カルボニル基及びビニレン基とは異なる2価の基を表す。R8は炭素原子数1〜30の有機基を表す。p、q及びrは、それぞれ独立に、0又は1を表す。rが1である場合、pは1である。)〕
〔式(10)中、Q、R3、及びAr1は、前述と同じ意味を表す。〕
〔式(11)中、R1及びR2は、前述と同じ意味を表す。〕
[13] 下記式(1−1)で表される塩。
〔式(1−1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜30の有機基を表す。R3は、下記式(3−1)で表される基を表す。Ar1は、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30のアルケニル基又は置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30のアルキニル基を表す。X−は、1価の陰イオンを表す。
(式(3−1)中、R9は、メチレン基、カルボニル基及びビニレン基とは異なる2価の基を表す。R8は炭素原子数1〜30の有機基を表す。p、q及びrは、それぞれ独立に、0又は1を表す。rが1である場合、pは1である。)〕
[14] 下記式(13)で表される化合物。
〔式(13)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜30の有機基を表す。R3は、下記式(3−1)で表される基を表す。Ar1は、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30のアルケニル基又は置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30のアルキニル基を表す。
(式(3−1)中、R9は、メチレン基、カルボニル基及びビニレン基とは異なる2価の基を表す。R8は炭素原子数1〜30の有機基を表す。p、q及びrは、それぞれ独立に、0又は1を表す。rが1である場合、pは1である。)〕
[15] 下記式(14)で表される化合物。
〔式(14)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜30の有機基を表す。R3は、下記式(3−1)で表される基を表す。Ar1は、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30のアルケニル基又は置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30のアルキニル基を表す。
(式(3−1)中、R9は、メチレン基、カルボニル基及びビニレン基とは異なる2価の基を表す。R8は炭素原子数1〜30の有機基を表す。p、q及びrは、それぞれ独立に、0又は1を表す。rが1である場合、pは1である。)〕
[1] 下記式(1)で表される塩とフラーレンとを、塩基の存在下で反応させる、下記式(4)で表されるフラーレン誘導体の製造方法。
[2] 前記塩基が有機塩基である、[1]に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[3] 前記有機塩基が下記式(5)で表される化合物である、[2]に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[4] 前記フラーレンがC60フラーレンまたはC70フラーレンである、[1]〜[3]のいずれか1つに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[5] 前記式(1)で表される塩が下記式(6)で表される塩である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[6] 前記R10がメチル基である、[5]に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[7] 前記R10がブチル基である、[5]に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[8] 前記式(4)で表されるフラーレン誘導体が、下記式(7)で表されるフラーレン誘導体又は下記式(8)で表されるフラーレン誘導体である、[6]に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
M+X− (12)
〔式(12)中、X−は、前述と同じ意味を表す。M+は1価の陽イオンを表す。〕
[11] 下記式(15)で表される化合物と、下記式(16)で表される塩とを反応させる、下記式(1−1)で表される塩の製造方法。
R1−X (16)
〔式(16)中、R1は前述と同じ意味を表す。Xは1価の陰イオンを形成しうる原子又は原子団を表す。〕
[12] 下記式(10)で表される化合物と、下記式(11)で表される化合物とを反応させる、式(1−2)で表される塩の製造方法。
[13] 下記式(1−1)で表される塩。
[14] 下記式(13)で表される化合物。
[15] 下記式(14)で表される化合物。
本発明によれば、より低温で光電変換素子の活性層の材料として用いられ得るフラーレン誘導体を製造することができる製造方法が提供される。このように本発明の製造方法によれば、反応温度を従来の製造方法よりも低くすることができるので製造コストを抑えることができるという効果が得られる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本明細書において、「置換基を有していてもよい」とは、その化合物又は基を構成するすべての水素原子が無置換の場合、及び1個以上の水素原子の一部又は全部が置換基によって置換されている場合の両方の態様を含む。
本明細書において特に特定されていない「置換基」の例としては、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、亜リン酸基、ニトロ基、炭素原子数が1〜30のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜30のヒドロカルビルオキシ基、炭素原子数が1〜30のヒドロカルビルチオ基、炭素原子数が1〜30の置換シリル基が挙げられる。これらの置換基の中でも、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜18のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜18のヒドロカルビルオキシ基、炭素原子数が1〜18のヒドロカルビルチオ基、炭素原子数が1〜18の置換シリル基が好ましく、炭素原子数が1〜12のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜12のヒドロカルビルオキシ基、炭素原子数が1〜12のヒドロカルビルチオ基、炭素原子数が1〜12の置換シリル基がより好ましく、炭素原子数が1〜12のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜12のヒドロカルビルオキシ基が更に好ましい。ヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基及びヒドロカルビルチオ基はそれぞれ、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよい。
本明細書において特に特定されていない「置換基」の例としては、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、亜リン酸基、ニトロ基、炭素原子数が1〜30のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜30のヒドロカルビルオキシ基、炭素原子数が1〜30のヒドロカルビルチオ基、炭素原子数が1〜30の置換シリル基が挙げられる。これらの置換基の中でも、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜18のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜18のヒドロカルビルオキシ基、炭素原子数が1〜18のヒドロカルビルチオ基、炭素原子数が1〜18の置換シリル基が好ましく、炭素原子数が1〜12のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜12のヒドロカルビルオキシ基、炭素原子数が1〜12のヒドロカルビルチオ基、炭素原子数が1〜12の置換シリル基がより好ましく、炭素原子数が1〜12のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜12のヒドロカルビルオキシ基が更に好ましい。ヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基及びヒドロカルビルチオ基はそれぞれ、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよい。
本発明のフラーレン誘導体の製造方法は、下記式(1)で表される塩とフラーレンとを、塩基の存在下で反応させる、下記式(4)で表されるフラーレン誘導体の製造方法である。
式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜30の有機基を表す。Zは、下記式(2−1)で表される構造又は下記式(2−2)で表される構造を表す。
R3は、下記式(3)で表される基を表す。Ar1は、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30のアルケニル基又は置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30のアルキニル基を表す。nは1〜3の整数を表す。Yn−は、n価の陰イオンを表す。
式(3)中、R7は、カルボニル基及びビニレン基とは異なる2価の基を表す。R8は炭素原子数1〜30の有機基を表す。p、q及びrは、それぞれ独立に、0又は1を表す。rが1の場合、pは1である。
上記式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜30の有機基を表す。該有機基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、置換基を有していてもよいアリールアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルチオ基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよい複素環オキシ基、及び置換基を有していてもよい複素環チオ基が挙げられる。
R1及びR2で表されるアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、環状であってもよい。アルキル基の炭素原子数は、通常1〜30であり、1〜20であることが好ましい。アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。本明細書において置換基であるハロゲン原子の例とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。置換基を有していてもよいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル墓、ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基、エイコシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
R1及びR2で表されるアルコキシ基のうちのアルキル基部分は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、環状であってもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、通常1〜30であり、1〜15であることが好ましい。アルコキシ基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子及びアルコキシ基(例えば、炭素原子数1〜10)が挙げられる。置換基を有していてもよいアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基及び2−メトキシエチルオキシ基が挙げられる。
R1及びR2で表されるアルキルチオ基のうちのアルキル基部分は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、環状であってもよい。アルキルチオ基の炭素原子数は、通常1〜30であり、1〜15であることが好ましい。アルキルチオ基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。置換基を有していてもよいアルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基及びトリフルオロメチルチオ基が挙げられる。
R1及びR2で表されるアリール基とは、芳香族炭化水素から芳香環に結合している水素原子1個を除いた基を意味し、アリール基の炭素原子数は通常6〜30である。アリール基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基が挙げられる。該置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基の定義及び具体例は、前述のR1及びR2で表される置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基の定義及び具体例と同じである。置換基を有していてもよいアリール基の具体例としては、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(ここで「C1〜C12アルコキシ」とは、基中に炭素原子数1〜12のアルコキシ基が含まれることを表す。アルコキシフェニル基中のアルコキシ基は、好ましくはC1〜C8アルコキシであり、より好ましくはC1〜C6アルコキシである。C1〜C8アルコキシは、炭素原子数1〜8のアルコキシであることを表し、C1〜C6アルコキシは、炭素原子数1〜6のアルコキシであることを表す。C1〜C12アルコキシ、C1〜C8アルコキシ及びC1〜C6アルコキシの具体例としては、前述のR1〜R10で表されるアルコキシ基の具体例として例示した基が挙げられる。以下も同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基(「C1〜C12アルキル」とは、基中に炭素原子数1〜12のアルキル基が含まれることを表す。アルキルフェニル基中のアルキル基は、好ましくはC1〜C8アルキルであり、より好ましくはC1〜C6アルキルである。C1〜C8アルキルは、炭素原子数1〜8のアルキルであることを表し、C1〜C6アルキルは、炭素原子数1〜6のアルキルであることを表す。C1〜C12アルキル、C1〜C8アルキル及びC1〜C6アルキルの具体例としては、前述のR1及びR2で表されるアルキル基が挙げられる。以下も同様である。)、1−ナフチル基、2−ナフチル基及びペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
R1及びR2で表されるアリールオキシ基は、その炭素原子数が通常6〜30であり、基中のアリール基部分が置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基が挙げられる。該置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基の定義及び具体例は、前述のR1及びR2で表される置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基の定義及び具体例と同じである。置換基を有していてもよいアリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基及びペンタフルオロフェニルオキシ基が挙げられる。
R1及びR2で表されるアリールチオ基は、その炭素原子数が通常6〜30であり、基中のアリール基部分が置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基が挙げられる。該置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基の定義及び具体例は、前述のR1及びR2で表される置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基の定義及び具体例と同じである。置換基を有していてもよいアリールチオ基の具体例としては、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基及びペンタフルオロフェニルチオ基が挙げられる。
R1及びR2で表されるアリールアルキル基は、その炭素原子数が通常7〜30であり、基中のアリール基部分が置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基が挙げられる。該置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基の定義及び具体例は、前述のR1及びR2で表される置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基の定義及び具体例と同じである。置換基を有していてもよいアリールアルキル基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキル基が挙げられる。
R1及びR2で表されるアリールアルコキシ基は、その炭素原子数が通常7〜30であり、基中のアリール基部分が置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基が挙げられる。該置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基の定義及び具体例は、前述のR1及びR2で表される置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基の定義及び具体例と同じである。置換基を有していてもよいアリールアルコキシ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基が挙げられる。
R1及びR2で表されるアリールアルキルチオ基は、その炭素原子数が通常7〜30であり、基中のアリール基部分が置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基が挙げられる。該置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基の定義及び具体例は、前述のR1及びR2で表される置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基の定義及び具体例と同じである。置換基を有していてもよいアリールアルキルチオ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基が挙げられる。
R1及びR2で表される1価の複素環基は、その炭素原子数が通常2〜30であり、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、フラザン、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、チオピラン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、モルホリン、トリアジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、クロメン、クロマン、イソクロマン、ベンゾピラン、キノリン、イソキノリン、キノリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、キナゾリジン、シンノリン、フタラジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、キサンテン、フェナントリジン、アクリジン、β-カルボリン、ペリミジン、フェナントロリン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン等の複素環式化合物から水素原子を1個除いた基を意味する。R1及びR2で表される1価の複素環基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基及び置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基及び置換基を有していてもよいアリール基の定義及び具体例は、前述のR1及びR2で表される置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基及び置換基を有していてもよいアリール基の定義及び具体例と同じである。複素環基は、芳香族複素環基であることが好ましい。芳香族複素環基とは、芳香族性を有する複素環基を指す。
R1及びR2で表される複素環オキシ基としては、上記の複素環基に酸素原子が結合した下記式(11)で表される基が挙げられる。
R1及びR2で表される複素環チオ基としては、上記の複素環基に硫黄原子が結合した下記式(12)で表される基が挙げられる。
R1及びR2で表される複素環チオ基としては、上記の複素環基に硫黄原子が結合した下記式(12)で表される基が挙げられる。
式(11)及び式(12)中、Ar7は、1価の複素環基を表す。Ar7で表される1価の複素環基は、R1及びR2で表される1価の複素環基の定義及び具体例と同じである。
R1及びR2で表される複素環オキシ基は、その炭素原子数が通常2〜30である。複素環オキシ基の具体例としては、チエニルオキシ基、C1〜C12アルキルチエニルオキシ基、ピロリルオキシ基、フリルオキシ基、ピリジルオキシ基、C1〜C12アルキルピリジルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、ピラゾリルオキシ基、トリアゾリルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、チアゾールオキシ基及びチアジアゾールオキシ基が挙げられる。
複素環チオ基は、その炭素原子数が通常2〜30である。複素環チオ基の具体例としては、チエニルメルカプト基、C1〜C12アルキルチエニルメルカプト基、ピロリルメルカプト基、フリルメルカプト基、ピリジルメルカプト基、C1〜C12アルキルピリジルメルカプト基、イミダゾリルメルカプト基、ピラゾリルメルカプト基、トリアゾリルメルカプト基、オキサゾリルメルカプト基、チアゾールメルカプト基及びチアジアゾールメルカプト基が挙げられる。
式(1)中、Ar1は、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30のアルケニル基又は置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30のアルキニル基を表す。Ar1で表される置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基、及び置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基の定義及び具体例は、前述のR1及びR2で表される置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基、及び置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の複素環基の定義及び具体例と同じである。
Ar1で表されるアルケニル基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。置換基を有していてもよいアルケニル基としては、例えば、ビニル基、及び2−プロペニル基が挙げられる。
Ar1で表されるアルキニル基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。置換基を有していてもよいアルキニル基としては、例えば、エチニル基、及び2−プロピニル基が挙げられる。
式(1)中、nは1〜3の整数を表す。Yn−は、n価の陰イオンを表す。nは、1及び2が好ましく、1がより好ましい。
Y−としては、例えば、水素化物イオン(H−)、フッ化物イオン(F−)、塩化物イオン(Cl−)、臭化物イオン(Br−)、ヨウ化物イオン(I−)、水酸化物イオン(OH−)、シアン化物イオン(CN−)、硝酸イオン(NO3 −)、亜硝酸イオン(NO2 −)、次亜塩素酸イオン(ClO−)、亜塩素酸イオン(ClO2 −)、塩素酸イオン(ClO3 −)、過塩素酸イオン(ClO4 −)、過マンガン酸イオン(MnO4 −)、酢酸イオン(CH3COO−)、炭酸水素イオン(HCO3 −)、リン酸二水素イオン(H2PO4 −)、硫酸水素イオン(HSO4 −)、硫化水素イオン(HS−)、チオシアン酸イオン(SCN−)、テトラヒドロキソアルミン酸イオン([Al(OH)4]−)、[Al(OH)4(H2O)2]−、ジシアノ銀(I)酸イオン([Ag(CN)2]−)、テトラヒドロキソクロム(III)酸イオン([Cr(OH)4]−)、テトラクロロ金(III)酸イオン([AuCl4]−)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4 −)、テトラフェニルホウ酸イオン(BPh4 −)、テトラアルキルホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸アニオン(PF6 −)、R50SO4 −、及びR51SO3 −が挙げられる。
R50及びR51は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基、R50及びR51で表される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、及び置換基を有していてもよい1価の複素環基の定義及び具体例は、前述のR1及びR2で表される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、及び置換基を有していてもよい1価の複素環基の定義及び具体例と同じである。
Y−としては水素化物イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及びテトラフルオロホウ酸イオンが好ましく、塩化物イオン、臭化物イオン、及びテトラフルオロホウ酸イオンがより好ましく、臭化物イオン、及びテトラフルオロホウ酸イオンが特に好ましい。
Y2−としては、例えば、酸化物イオン(O2−)、硫化物イオン(S2−)、過酸化物イオン(O2 2−)、硫酸イオン(SO4 2−)、亜硫酸イオン(SO3 2−)、チオ硫酸イオン(S2O3 2−)、炭酸イオン(CO3 2−)、クロム酸イオン(CrO4 2−)、二クロム酸イオン(Cr2O7 2−)、リン酸一水素イオン(HPO4 2−)、テトラヒドロキソ亜鉛(II)酸イオン([Zn(OH)4]2−)、テトラシアノ亜鉛(II)酸イオン([Zn(CN)4]2−)、及びテトラクロロ銅(II)酸イオン([CuCl4]2−)が挙げられ、硫酸イオン、及び亜硫酸イオンが好ましく、硫酸イオンが特に好ましい。
Y3−としては、例えば、リン酸イオン(PO4 3−)、ヘキサシアノ鉄(III)酸イオン([Fe(CN)6]3−)、及びビス(チオスルファト)銀(I)酸イオン([Ag(S2O3)2]3−)が挙げられ、リン酸イオンが好ましい。
式(1)中、Zは、下記式(2−1)で表される構造又は下記式(2−2)で表される構造を表す。
式(1)中、R3は、下記式(3)で表される基を表す。
式(3)中、R7は、カルボニル基及びビニレン基とは異なる2価の基を表す。R8は炭素原子数1〜30の有機基を表す。p、q及びrは、それぞれ独立に、0又は1を表す。rが1である場合、pは1である。
R7としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素原子数3以上のアルケニレン基、置換基を有していてもよいアルキニレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基、及び置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基が挙げられる。
R7で表されるアルキレン基の炭素原子数は、通常1〜20であり、1〜15であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。アルキレン基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、及びデカレン基が挙げられる。
R7で表されるアルケニレン基の炭素原子数は、通常3〜20であり、3〜15であることが好ましく、3〜10であることがより好ましい。アルケニレン基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。アルケニレン基としては、例えば、プロペニレン基、ブテニレン基、及びヘキシニレン基が挙げられる。
R7で表されるアルキニレン基の炭素原子数は、通常2〜20であり、2〜15であることが好ましく、2〜10であることがより好ましい。アルキニレン基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。アルキニレン基としては、例えば、エチニレン基、ブチニレン基、及びヘキセニレン基が挙げられる。
R7で表されるアリーレン基とは、芳香族炭化水素に含まれる芳香環に結合している水素原子のうちの2個を除いた基を意味する。アリーレン基には、ベンゼン環を含む基、縮合環を含む基、2個以上のベンゼン環が直接結合した構造を含む基、2個以上の縮合環が直接結合した構造を含む基、2個以上のベンゼン環がビニレン基等の基を介して結合した構造を含む基、2個以上の縮合環がビニレン基等の基を介して結合した構造を含む基も含まれる。アリーレン基の炭素原子数は、通常、6〜30であり、6〜20であることが好ましい。アリーレン基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基が挙げられる。該置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基の定義及び具体例は、前述のR1及びR2で表される置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基の定義及び具体例と同じである。
R7で表されるヘテロアリーレン基とは、芳香族複素環式化合物に含まれている芳香族複素環に結合している水素原子のうちの2個を取り除いた基を意味する。ヘテロアリーレン基には、単環の芳香族複素環式化合物から水素原子を2個取り除いた基、縮合環を含有する芳香族複素環式化合物から水素原子を2個取り除いた基、及び、2個以上の芳香族複素環式化合物同士を直接結合、又はメチレン基、エチレン基、カルボニル基等の2価の基で橋かけした構造を有する有橋多環式芳香族複素環式化合物から水素原子を2個取り除いた基が含まれる。ヘテロアリーレン基の炭素原子数は、通常、2〜30であり、3〜20であることが好ましい。ヘテロアリーレン基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基及び置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。該置換基を有していてもよい、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基及び置換基を有していてもよいアリール基の定義及び具体例は、前述のR1、及びR2で表される置換基を有していてもよい、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基及び置換基を有していてもよいアリール基の定義及び具体例と同じである。
R7は、アルキレン基であることが好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、及びデカレン基であることがより好ましく、エチレン基、プロピレン基、及びブチレン基であることが特に好ましい。
R8で表される炭素原子数1〜30の有機基の定義及び具体例は、前述のR1及びR2で表される炭素原子数1〜30の有機基の定義及び具体例と同じである。
式(3)中、p及びrが1であり、かつ、qが0であることが好ましい。
式(1)で表される塩としては、例えば、下記式(101)〜下記式(235)で表される塩が挙げられる。
式(101)〜式(235)中、Meはメチル基を表し、Buはブチル基を表す。Rは水素原子又は炭素原子数1〜30の有機基を表す。炭素原子数1〜30の有機基の定義及び具体例は、前述のR1及びR2で表される炭素原子数1〜30の有機基の定義及び具体例と同じである。Rが複数個ある場合、複数個のRは、同一であっても異なってもよい。
式(101)〜式(235)で表される塩の中でも、式(101)〜式(190)で表される塩が好ましく、式(101)〜式(145)で表される塩がより好ましい。
式(1)で表される塩としては、下記式(6)で表される塩が特に好ましい。
式(6)中、R1及びR2は前述と同じ意味を表す。X−は1価の陰イオンを表す。R10は炭素原子数1〜30のアルキル基を表す。
R10で表されるアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、環状であってもよい。アルキル基の炭素原子数は、1〜30であり、1〜20であることが好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル墓、ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基、エイコシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。R10としては、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基が好ましく、メチル基、及びブチル基がより好ましい。
式(6)中、X−は1価の陰イオンを表す。1価の陰イオンとしては、例えば、水素化物イオン(H−)、フッ化物イオン(F−)、塩化物イオン(Cl−)、臭化物イオン(Br−)、ヨウ化物イオン(I−)、水酸化物イオン(OH−)、シアン化物イオン(CN−)、硝酸イオン(NO3 −)、亜硝酸イオン(NO2 −)、次亜塩素酸イオン(ClO−)、亜塩素酸イオン(ClO2 −)、塩素酸イオン(ClO3 −)、過塩素酸イオン(ClO4 −)、過マンガン酸イオン(MnO4 −)、酢酸イオン(CH3COO−)、炭酸水素イオン(HCO3 −)、リン酸二水素イオン(H2PO4 −)、硫酸水素イオン(HSO4 −)、硫化水素イオン(HS−)、チオシアン酸イオン(SCN−)、テトラヒドロキソアルミン酸イオン([Al(OH)4]−)、[Al(OH)4(H2O)2]−、ジシアノ銀(I)酸イオン([Ag(CN)2]−)、テトラヒドロキソクロム(III)酸イオン([Cr(OH)4]−)、テトラクロロ金(III)酸イオン([AuCl4]−)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4 −)、テトラフェニルホウ酸イオン(BPh4 −)、テトラアルキルホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸アニオン(PF6 −)、R50SO4 −、及びR51SO3 −が挙げられる。R50及びR51は、前述と同じ意味を表す。
X−としては水素化物イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及びテトラフルオロホウ酸イオンが好ましく、塩化物イオン、臭化物イオン、及びテトラフルオロホウ酸イオンがより好ましく、臭化物イオン、及びテトラフルオロホウ酸イオンが特に好ましい。
式(6)で表される塩の具体例としては、前記の式(101)〜式(130)で表される塩が挙げられる。
式(1)で表される塩と反応させるフラーレンとしては、例えば、C60フラーレン、C70フラーレン、C74フラーレン、C76フラーレン、及びC84フラーレンが挙げられ、C60フラーレン及びC70フラーレンが好ましい。
本発明の製造方法に用いられる塩基は、無機塩基であっても有機塩基であってもよく、有機塩基が好ましい。無機塩基としては、例えば、金属水酸化物、金属酸化物、炭酸水素金属塩、アンモニア、ヒドラジン、及びヒドロキシルアミンが挙げられる。有機塩基としては、例えば、有機金属化合物、及び含窒素化合物が挙げられ、含窒素化合物が好ましい。含窒素化合物としては、例えば、ピロール、ピロリン、ピロリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、フラザン、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピペリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、モルホリン、トリアジン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、キノリン、イソキノリン、キノリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、キナゾリジン、シンノリン、フタラジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、フェナントリジン、アクリジン、β−カルボリン、ペリミジン、フェナントロリン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン、アミジンおよびこれらの誘導体、アミン、下記式(5)で表される化合物、及びアルキル基で置換されたホスファゼンが挙げられ、下記式(5)で表される化合物が好ましい。
式(5)中、R13は、炭素原子数1〜30の有機基、置換アミノ基、又はアミノ基を表し、R11、R12、及びR14は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜30の有機基を表す。R11、R12、R13、及びR14のうちの2個は、互いに結合してR11、R12、R13、又はR14が結合している炭素原子又は窒素原子とともに環状構造を形成していてもよい。
式(5)中、R11、R12、R13、及びR14で表される炭素原子数1〜30の有機基の定義及び具体例は、前述のR1及びR2で表される炭素原子数1〜30の有機基の定義及び具体例と同じである。
R13で表される置換アミノ基は、アミノ基の水素原子の1個又は2個が置換された基であり、置換基は、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基である。置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基の定義及び具体例は、前述のR1及びR2で表される置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基の定義及び具体例と同じである。置換アミノ基の炭素原子数は通常1〜40程度である。置換アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキルオキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルキルオキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、及び2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基が挙げられる。
式(5)で表される化合物としては、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、及び1,3−ジフェニルグアニジンが好ましい。
本発明の製造方法においては、式(1)で表される塩とフラーレンとを溶媒の存在下で反応させることが好ましい。溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン、デカン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒、及び二硫化炭素溶媒が挙げられ、芳香族炭化水素溶媒、及び二硫化炭素溶媒が好ましく、芳香族炭化水素溶媒がより好ましく、トルエン、キシレン、ジクロロベンゼン、及びトリクロロベンゼンがさらに好ましく、ジクロロベンゼンがより好ましく、o−ジクロロベンゼンが特に好ましい。
本発明の製造方法において、式(1)で表される塩とフラーレンとを反応させる温度は、−100℃〜溶媒の沸点の間の温度が好ましく、−20℃〜溶媒の沸点の間の温度がより好ましく、0℃〜溶媒の沸点の間の温度がさらに好ましい。例えば25℃で液体である溶媒を用いる場合には、20℃〜25℃で反応させることが好ましい。
このように本発明の製造方法によれば、反応温度(式(1)で表される塩とフラーレンとを反応させる温度)を従来の製造方法よりも低い150℃以下とすることができる。
反応に用いるフラーレンに対する式(1)で表される塩のモル比は、0.1〜100が好ましく、0.8〜10がより好ましい。
塩基の添加方法は特に限定されず、式(1)で表される塩、フラーレン及び塩基が反応系内で接触するように添加すればよく、式(1)で表される塩とフラーレンの混合物中に塩基を滴下する方法及び式(1)で表される塩とフラーレンの混合物中に塩基を加える方法が好ましい。式(1)で表される塩とフラーレンの混合物中に塩基を滴下する場合、塩基のみを滴下してもよく、塩基と溶媒とを含む溶液を滴下してもよい。塩基を溶解させる溶媒としては、前記の式(1)で表される塩とフラーレンとを反応させる際に存在していてもよい溶媒と同じ溶媒が挙げられる。
反応に用いるフラーレンに対する塩基のモル比は、0.1〜100が好ましく、0.8〜10がより好ましい。
反応時間は、1分間〜100時間が好ましく、10分間〜20時間がより好ましく、さらに30分間〜10時間がさらに好ましい。
式(4)中、A環はフラーレン骨格を表す。Cはフラーレン骨格を構成する炭素原子である。フラーレンとしては、例えば、C60フラーレン、C70フラーレン、C74フラーレン、C76フラーレン、及びC84フラーレンが挙げられ、C60フラーレン及びC70フラーレンが好ましい。
本発明の製造方法により、式(1)で表される塩とC70フラーレンとを反応させるとα体であるC70フラーレン誘導体の選択率が95%以上となり、異性体の生成が抑制される。従来の方法でα体であるC70フラーレン誘導体を製造すると、α体の選択率が85%以下であるため、リサイクル分取装置等を用いてα体を分離する工程が必要となるところ、本発明の製造方法を用いれば、α体を分離する工程を省略することができる。
式(1)で表される塩とC70フラーレンを反応させて得られる、式(4)で表されるフラーレン誘導体としては、例えば、下記式(7−1)〜下記式(7−10)で表されるフラーレン誘導体、下記式(8−1)〜下記式(8−10)で表されるフラーレン誘導体、及びこれらのフラーレン誘導体の異性体が挙げられる。
式(7−1)〜式(7−10)、及び式(8−1)〜式(8−10)中、Rは前述と同じ意味を表す。Rが複数個ある場合には、複数個あるRは同じであっても異なっていてもよい。
式(7−1)〜式(7−10)で表されるフラーレン誘導体、及び式(8−1)〜式(8−10)で表されるフラーレン誘導体の中でも、式(7−1)〜式(7−5)で表されるフラーレン誘導体、及び式(8−1)〜式(8−5)で表されるフラーレン誘導体が好ましく、式(7−1)で表されるフラーレン誘導体、及び式(8−1)で表されるフラーレン誘導体が特に好ましい。
式(7−1)で表される化合物の中でも、Rが水素原子である下記式(7)で表される化合物が好ましい。
式(8−1)で表される化合物の中でも、Rが水素原子である、下記式(8)で表される化合物が好ましい。
式(1)で表される塩とC60フラーレンを反応させて得られる式(4)で表される化合物としては、例えば、下記式(9−1)〜下記式(9−10)で表される化合物が挙げられる。
式(9−1)〜式(9−10)中、Rは前述と同じ意味を表す。Rが複数個ある場合には、複数個あるRは同じであっても異なっていてもよい。
式(9−1)〜式(9−10)で表される化合物の中でも、式(9−1)〜式(9−5)で表される化合物が好ましく、式(9−1)で表される化合物が特に好ましい。式(9−1)で表される化合物の中でも、Rが水素原子である式(9)で表される化合物が好ましい。
式(1)で表される塩の一態様である下記式(1−1)で表される塩は、下記式(10)で表される化合物と、下記式(11)で表される化合物と、下記式(12)で表される塩とを反応させることによって製造することができる。
式(1−1)中、R1、R2、R3、Ar1、及びX−は、前述と同じ意味を表す。
式(10)中、R3及びAr1は、前述と同じ意味を表す。Qは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。
式(11)中、R1及びR2は、前述と同じ意味を表す。
M+X− (12)
式(12)中、X−は、前述と同じ意味を表す。M+は1価の陽イオンを表す。
M+X− (12)
式(12)中、X−は、前述と同じ意味を表す。M+は1価の陽イオンを表す。
式(12)中、M+で表される1価の陽イオンとしては、例えば、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Ag+、Cu+、NH4 +、H+、H3O+、(R20)3O+、及びN(R21)(R22)(R23)(R24)+が挙げられる。ここで、R20、R21、R22、R23、及びR24は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜30の有機基を表す。該炭素原子数1〜30の有機基の定義及び具体例は、前述のR1及びR2で表される炭素原子数1〜30の有機基の定義及び具体例と同じである。
M+としては、Ag+、及び(R20)3O+が好ましい。
M+としては、Ag+、及び(R20)3O+が好ましい。
式(10)で表される化合物と、式(11)で表される化合物と、式(12)で表される塩との反応は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。該溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン、デカンなどの脂肪族炭化水素溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒、及び二硫化炭素溶媒が挙げられる。これらの溶媒は単独で使用することもでき、任意に混合して使用することもできる。溶媒としては、芳香族炭化水素溶媒、及びハロゲン化芳香族炭化水素溶媒が好ましく、ハロゲン化芳香族炭化水素溶媒がより好ましく、ジクロロベンゼンがさらに好ましく、o−ジクロロベンゼンが特に好ましい。
式(10)で表される化合物と、式(11)で表される化合物と、式(12)で表される塩との反応における反応温度は、−100℃〜溶媒の沸点の間の温度が好ましく、−20℃〜溶媒の沸点の間の温度がより好ましく、0℃〜溶媒の沸点の間の温度がさらに好ましい。
反応時間は、1分間〜100時間が好ましく、10分間〜20時間がより好ましく、30分間〜10時間がさらに好ましい。
反応時間は、1分間〜100時間が好ましく、10分間〜20時間がより好ましく、30分間〜10時間がさらに好ましい。
反応に用いられる式(10)で表される化合物に対する式(11)で表される化合物のモル比は、0.1〜10が好ましく、0.5〜5がより好ましい。
反応に用いられる式(10)で表される化合物に対する式(12)で表される塩のモル比は、0.1〜10が好ましく、0.5〜5がより好ましい。
反応に用いられる式(10)で表される化合物に対する式(12)で表される塩のモル比は、0.1〜10が好ましく、0.5〜5がより好ましい。
式(1−1)で表される塩の他の製造方法としては、下記式(15)で表される化合物と、式(16)で表される塩とを反応させる方法が挙げられる。
式(15)中、Ar1、R2、及びR3は前述と同じ意味を表す。
R1−X (16)
式(16)中、R1は前述と同じ意味を表す。Xは1価の陰イオンを形成しうる原子又は原子団を表す。
R1−X (16)
式(16)中、R1は前述と同じ意味を表す。Xは1価の陰イオンを形成しうる原子又は原子団を表す。
式(15)で表される化合物と式(12)で表される塩との反応は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。該溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン、デカンなどの脂肪族炭化水素溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒、及び二硫化炭素溶媒が挙げられる。これらの溶媒は単独で使用することもでき、任意の組み合わせで混合して使用することもできる。溶媒としては、ハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒が好ましく、ジクロロメタンが特に好ましい。
式(15)で表される化合物と式(12)で表される塩との反応における反応温度は、−100℃〜溶媒の沸点の間の温度が好ましく、−20℃〜溶媒の沸点の間の温度がより好ましく、0℃〜溶媒の沸点の間の温度がさらに好ましい。
反応時間は、1分間〜100時間が好ましく、10分間〜20時間がより好ましく、30分間〜10時間がさらに好ましい。
反応時間は、1分間〜100時間が好ましく、10分間〜20時間がより好ましく、30分間〜10時間がさらに好ましい。
反応に用いられる式(15)で表される化合物に対する式(12)で表される化合物のモル比は、0.1〜10が好ましく、0.5〜5がより好ましい。
式(1)で表される塩の一態様である下記式(1−2)で表される塩は、式(10)で表される化合物と、式(11)で表される化合物とを反応させることにより、下記式(1−2)で表される化合物を製造することが可能である。
式(1−2)中、Q-は塩素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオンを表す。R1、R2、R3、及びAr1は、前述と同じ意味を表す。
式(10)で表される化合物と式(11)で表される化合物との反応は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。該溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン、デカンなどの脂肪族炭化水素溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒、及び二硫化炭素溶媒が挙げられる。これらの溶媒は単独で使用することもできるし、任意に混合して使用することもできる。溶媒としては、芳香族炭化水素溶媒、及びハロゲン化芳香族炭化水素溶媒が好ましく、ハロゲン化芳香族炭化水素溶媒がより好ましく、ジクロロベンゼンがさらに好ましく、o−ジクロロベンゼンが特に好ましい。
式(10)で表される化合物と式(11)で表される化合物との反応の反応温度は、−100℃〜溶媒の沸点の間の温度であることが好ましく、−20℃〜溶媒の沸点の間の温度であることがより好ましく、0℃〜溶媒の沸点の間の温度であることがさらに好ましい。
反応時間は、1分間〜100時間が好ましく、10分間〜20時間がより好ましく、30分間〜10時間がさらに好ましい。
反応に用いられる式(10)で表される化合物に対する式(11)で表される化合物のモル比は、0.1〜10が好ましく、0.5〜5がより好ましい。
Zが式(2−1)で表される構造である式(1)で表される塩を塩基の存在下でフラーレンと反応させる際、式(1)で表される塩と塩基が反応することによって、下記式(13)で表される化合物および/または下記式(14)で表される化合物が生成し、次いで下記式(13)で表される化合物および/または下記式(14)で表される化合物とフラーレンとが反応することにより、式(4)で表される化合物が得られる。
式(13)中、R1、R2、R3、及びAr1は前述と同じ意味を表す。
式(14)中、R1、R2、R3、及びAr1は前述と同じ意味を表す。
本発明の製造方法で製造される式(4)で表される化合物は、高い電子及び/又は正孔(ホール)輸送性を発揮し得ることから、該化合物を含む有機薄膜を素子に用いた場合、電極から注入された電子、正孔、或いは、光吸収によって発生した電荷を輸送することができる。これらの特性を活かして光電変換素子、有機薄膜トランジスタ、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)等の種々の素子に好適に用いることができる。以下、これらの素子について個々に説明する。
<光電変換素子>
本発明の製造方法で製造される式(4)で表される化合物を機能性材料として含む光電変換素子は、第1の電極と第2の電極との間に、式(4)で表される化合物を含む1層以上の活性層を有する。
光電変換素子の好ましい形態としては、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極(第1の電極、第2の電極)と、電子供与性化合物と電子受容性化合物とを含む有機組成物から形成される活性層を有する。式(4)で表される化合物は、電子受容性化合物として用いられることが好ましい。
本発明の製造方法で製造される式(4)で表される化合物を機能性材料として含む光電変換素子は、第1の電極と第2の電極との間に、式(4)で表される化合物を含む1層以上の活性層を有する。
光電変換素子の好ましい形態としては、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極(第1の電極、第2の電極)と、電子供与性化合物と電子受容性化合物とを含む有機組成物から形成される活性層を有する。式(4)で表される化合物は、電子受容性化合物として用いられることが好ましい。
光電変換素子は、通常、基板上に形成される。この基板は、電極を形成し、有機組成物の層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよい。基板の材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、及びシリコンが挙げられる。不透明な基板を用いる場合には、基板とは反対側の電極(即ち、基板から遠い方の電極)が透明又は半透明であることが好ましい。
本発明の製造方法で製造される式(4)で表される化合物を有する光電変換素子の他の態様は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に、式(4)で表される化合物を含む第1の活性層と、該第1の活性層に隣接して、電子供与性化合物を含む第2の活性層を含む光電変換素子である。
透明又は半透明の電極の電極材料の例としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウムスズオキサイド(ITO)、インジウム亜鉛オキサイド(IZO)等からなる導電性材料を用いて形成された膜、NESA、金、白金、銀、銅の膜が挙げられ、ITO、IZO、及び酸化スズが好ましい。電極の形成方法の例としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、及びメッキ法が挙げられる。
また、電極材料として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。
また、電極材料として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。
一方の電極が透明又は半透明である場合、他方の電極は透明でなくてもよく、不透明な電極の電極材料としては、金属、導電性高分子等を用いることができる。不透明な電極の電極材料の具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、及びこれらの金属のうちの2種以上の金属の合金、1種以上の前記金属と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン及び錫からなる群から選ばれる1種以上の金属との合金、グラファイト、グラファイト層間化合物、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体が挙げられる。合金としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、及びカルシウム−アルミニウム合金が挙げられる。
光電変換効率を向上させるために、活性層以外の付加的な中間層を設けてもよい。中間層の材料としては、例えば、フッ化リチウム等のアルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、酸化チタン等の酸化物、PEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)が挙げられる。
<活性層>
活性層は、式(4)で表される化合物を1種単独で含んでいても2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。また、活性層の正孔輸送性及び/又は電子輸送性を高めるため、活性層中に電子供与性化合物及び/又は電子受容性化合物として、式(4)で表される化合物以外の化合物を混合して用いることもできる。なお、電子供与性化合物、電子受容性化合物は、これらの化合物のエネルギー準位から相対的に決定される。
活性層は、式(4)で表される化合物を1種単独で含んでいても2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。また、活性層の正孔輸送性及び/又は電子輸送性を高めるため、活性層中に電子供与性化合物及び/又は電子受容性化合物として、式(4)で表される化合物以外の化合物を混合して用いることもできる。なお、電子供与性化合物、電子受容性化合物は、これらの化合物のエネルギー準位から相対的に決定される。
電子供与性化合物としては、例えば、ポルフィリン化合物、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体が挙げられる。
電子受容性化合物としては、例えば、炭素材料、酸化チタン等の金属酸化物、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(バソクプロイン)等のフェナントロリン誘導体が挙げられる。
活性層中に式(4)で表される化合物と電子供与性化合物とを含む場合、式(4)で表される化合物の割合が、電子供与性化合物100重量部に対して、10重量部〜1000重量部であることが好ましく、20重量部〜500重量部であることがより好ましい。
活性層の厚さは、通常、1nm〜100μmが好ましく、より好ましくは2nm〜1000nmであり、さらに好ましくは5nm〜500nmであり、特に好ましくは20nm〜200nmである。
活性層の製造方法は、如何なる方法で製造してもよく、例えば、本発明の製造方法で得られる式(4)で表される化合物と電子供与性化合物と溶媒とを含む溶液を用いる成膜方法、真空蒸着法による成膜方法が挙げられる。
<光電変換素子の製造方法>
光電変換素子の好ましい製造方法は、第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有する素子の製造方法であって、該第1の電極上に本発明の製造方法で得られる式(4)で表される化合物と溶媒とを含む溶液(インキ)を塗布する塗布法により塗布成膜して活性層を形成する工程、該活性層上に第2の電極を形成する工程を有する素子の製造方法である。
光電変換素子の好ましい製造方法は、第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有する素子の製造方法であって、該第1の電極上に本発明の製造方法で得られる式(4)で表される化合物と溶媒とを含む溶液(インキ)を塗布する塗布法により塗布成膜して活性層を形成する工程、該活性層上に第2の電極を形成する工程を有する素子の製造方法である。
溶液を用いる塗布法に用いられる溶媒は、式(4)で表される化合物を溶解させるものであればよい。該溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン等の炭化水素溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル溶媒が挙げられる。式(4)で表される化合物は、通常、前記溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
溶液を用いて成膜する場合、スリットコート法、ナイフコート法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を用いることができ、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ノズルコート法、インクジェット印刷法、スピンコート法が好ましい。
成膜性の観点からは、25℃における溶媒の表面張力が15mN/mより大きいことが好ましく、15mN/mより大きく100mN/mよりも小さいことがより好ましく、25mN/mより大きく60mN/mよりも小さいことがさらに好ましい。
成膜性の観点からは、25℃における溶媒の表面張力が15mN/mより大きいことが好ましく、15mN/mより大きく100mN/mよりも小さいことがより好ましく、25mN/mより大きく60mN/mよりも小さいことがさらに好ましい。
<有機薄膜トランジスタ>
本発明の製造方法で得られる式(4)で表される化合物は、有機薄膜トランジスタにも用いることができる。有機薄膜トランジスタとしては、ソース電極及びドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となる有機薄膜として形成される有機半導体層(活性層)と、この電流経路を通る電流量を制御するゲート電極とを備えた構成を有するものが挙げられる。このような有機薄膜トランジスタとしては、電界効果型有機薄膜トランジスタ、静電誘導型等有機薄膜トランジスタが挙げられる。
本発明の製造方法で得られる式(4)で表される化合物は、有機薄膜トランジスタにも用いることができる。有機薄膜トランジスタとしては、ソース電極及びドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となる有機薄膜として形成される有機半導体層(活性層)と、この電流経路を通る電流量を制御するゲート電極とを備えた構成を有するものが挙げられる。このような有機薄膜トランジスタとしては、電界効果型有機薄膜トランジスタ、静電誘導型等有機薄膜トランジスタが挙げられる。
電界効果型有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極、これらの間の電流経路となる有機半導体層(活性層)、この電流経路を通る電流量を制御するゲート電極、並びに、有機半導体層とゲート電極との間に配置される絶縁層を備えることが好ましい。
特に、ソース電極及びドレイン電極が、有機半導体層(活性層)に接して設けられており、さらに有機半導体層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられている構造を有することが好ましい。電界効果型有機薄膜トランジスタにおいては、有機半導体層が、式(4)で表される化合物を含む有機薄膜によって構成される。
特に、ソース電極及びドレイン電極が、有機半導体層(活性層)に接して設けられており、さらに有機半導体層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられている構造を有することが好ましい。電界効果型有機薄膜トランジスタにおいては、有機半導体層が、式(4)で表される化合物を含む有機薄膜によって構成される。
静電誘導型有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極、これらの間の電流経路となる有機薄膜として形成される有機半導体層(活性層)、並びに電流経路を通る電流量を制御するゲート電極を有し、このゲート電極が有機半導体層中に設けられていることが好ましい。特に、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体層中に設けられたゲート電極が、有機半導体層に接して設けられていることが好ましい。ここで、ゲート電極の構造としては、ソース電極からドレイン電極へ流れる電流経路が形成され、且つゲート電極に印加した電圧で電流経路を流れる電流量が制御できる構造であればよく、例えば、くし形電極が挙げられる。静電誘導型有機薄膜トランジスタにおいても、有機半導体層が、式(4)で表される化合物を含む有機薄膜によって構成される。
<素子の用途>
本発明の製造方法で得られる式(4)で表される化合物を用いた光電変換素子は、透明又は半透明の電極側から太陽光等の光を入射させることにより、電極間に光起電力が発生し、有機薄膜太陽電池として動作させることができる。有機薄膜太陽電池を複数集積することにより有機薄膜太陽電池モジュールとして用いることもできる。
本発明の製造方法で得られる式(4)で表される化合物を用いた光電変換素子は、透明又は半透明の電極側から太陽光等の光を入射させることにより、電極間に光起電力が発生し、有機薄膜太陽電池として動作させることができる。有機薄膜太陽電池を複数集積することにより有機薄膜太陽電池モジュールとして用いることもできる。
また、電極間に電圧を印加した状態、あるいは無印加の状態で、透明又は半透明の電極側から光を入射させ、光電流が流れ、有機光センサーとして動作させることができる。有機光センサーを複数集積することにより有機イメージセンサーとして用いることもできる。
上述の有機薄膜トランジスタは、例えば電気泳動ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の画素の制御、画面輝度の均一性、画面書き換え速度の制御のために用いられる画素駆動素子等として用いることができる。
<太陽電池モジュール>
有機薄膜太陽電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとり得る。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂、保護ガラス等で覆い、支持基板側とは反対側から光を入射させる構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を入射させる構造とすることもできる。太陽電池モジュールのモジュール構造としては、具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基板一体型モジュール構造等が知られている。式(4)で表される化合物を用いて製造される有機薄膜太陽電池も使用目的、使用場所及び使用環境を勘案して、適宜これらのモジュール構造を選択できる。
有機薄膜太陽電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとり得る。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂、保護ガラス等で覆い、支持基板側とは反対側から光を入射させる構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を入射させる構造とすることもできる。太陽電池モジュールのモジュール構造としては、具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基板一体型モジュール構造等が知られている。式(4)で表される化合物を用いて製造される有機薄膜太陽電池も使用目的、使用場所及び使用環境を勘案して、適宜これらのモジュール構造を選択できる。
代表的なスーパーストレートタイプあるいはサブストレートタイプの太陽電池モジュールは、片側又は両側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に一定間隔にセルが配置され、隣り合うセル同士が金属リード又はフレキシブル配線等によって接続され、外縁部に集電電極が配置されており、発生した電力を外部に取り出される構造となっている。
基板とセルとの間は、セルの保護性向上、集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料をフィルム状として貼合してもよいし、又は充填樹脂として充填してもよい。また、太陽電池モジュールを外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆う必要のない場所において使用する場合には、表面保護層を透明プラスチックフィルムで構成し、又は上記充填樹脂を硬化させることによって保護機能を付与し、片側の支持基板をなくしてもよい。
基板とセルとの間は、セルの保護性向上、集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料をフィルム状として貼合してもよいし、又は充填樹脂として充填してもよい。また、太陽電池モジュールを外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆う必要のない場所において使用する場合には、表面保護層を透明プラスチックフィルムで構成し、又は上記充填樹脂を硬化させることによって保護機能を付与し、片側の支持基板をなくしてもよい。
支持基板の周囲は、内部の密封及びモジュールの剛性を確保するため金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基板とフレームとの間は封止材料で密封シールする。また、セル自体、支持基板、充填材料及び封止材料に可撓性の素材を用いれば、曲面上に太陽電池を構成することもできる。
ポリマーフィルム等のフレキシブル支持体を用いた太陽電池の場合、ロール状の支持体を送り出しながら順次セルを形成し、所望のサイズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のある素材でシールすることにより電池本体を作製できる。また、Solar Energy Materials and Solar Cells, 48,p383-391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とすることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた柔軟性を有する太陽電池は曲面ガラス等に接着固定して使用することもできる。
<有機EL素子>
本発明の製造方法で得られる式(4)で表される化合物は、有機EL素子に用いることもできる。有機EL素子は、第1の電極と第2の電極との間に発光層を有する。有機EL素子は、発光層の他の機能層として、正孔輸送層、電子輸送層を含んでいてもよい。該発光層、正孔輸送層、電子輸送層のうちのいずれの層中に含み得る機能性材料としても本発明の化合物の製造方法で得られる、式(4)で表される化合物を用いることができる。発光層中には、式(4)で表される化合物の他にも、電子輸送材料及び正孔輸送材料(これらを総称して電荷輸送材料と称する場合がある)を含んでいてもよい。有機EL素子の構成例としては、陽極と発光層と陰極とを有する素子、さらに陰極と発光層との間に、該発光層に隣接して電子輸送材料を含有する電子輸送層を有する陽極と発光層と電子輸送層と陰極とを有する構成、陽極と発光層との間に、該発光層に隣接して正孔輸送材料を含む正孔輸送層を有する、陽極と正孔輸送層と発光層と陰極とを有する構成、さらには陽極と正孔輸送層と発光層と電子輸送層と陰極とを有する構成等が挙げられる。第1の電極と第2の電極とのうちの少なくとも一方は、透明又は半透明であることが好ましい。
本発明の製造方法で得られる式(4)で表される化合物は、有機EL素子に用いることもできる。有機EL素子は、第1の電極と第2の電極との間に発光層を有する。有機EL素子は、発光層の他の機能層として、正孔輸送層、電子輸送層を含んでいてもよい。該発光層、正孔輸送層、電子輸送層のうちのいずれの層中に含み得る機能性材料としても本発明の化合物の製造方法で得られる、式(4)で表される化合物を用いることができる。発光層中には、式(4)で表される化合物の他にも、電子輸送材料及び正孔輸送材料(これらを総称して電荷輸送材料と称する場合がある)を含んでいてもよい。有機EL素子の構成例としては、陽極と発光層と陰極とを有する素子、さらに陰極と発光層との間に、該発光層に隣接して電子輸送材料を含有する電子輸送層を有する陽極と発光層と電子輸送層と陰極とを有する構成、陽極と発光層との間に、該発光層に隣接して正孔輸送材料を含む正孔輸送層を有する、陽極と正孔輸送層と発光層と陰極とを有する構成、さらには陽極と正孔輸送層と発光層と電子輸送層と陰極とを有する構成等が挙げられる。第1の電極と第2の電極とのうちの少なくとも一方は、透明又は半透明であることが好ましい。
本発明を以下に示す実施例によってより詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルは、測定対象の化合物10mgを重クロロホルム1.0mLに溶解させ、核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製、JNM-AL300)を用いて測定した。
IRスペクトルは、フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光株式会社製、FT/IR-4100)を用いて測定した。
質量スペクトルは、質量分析装置(サーモクエスト社製、Finnigan LCQDECA)を用いて測定した。
質量スペクトルは、質量分析装置(サーモクエスト社製、Finnigan LCQDECA)を用いて測定した。
(実施例1:ジメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸の製造)
下記のスキームに従って、ジメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸を製造した。
下記のスキームに従って、ジメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸を製造した。
容量30mLの丸型二口フラスコに5−ブロモ−5−フェニル吉草酸メチルを816mg加え、アルゴンガス雰囲気下で乾燥アセトン2mLに溶解させ、続いてジメチルスルフィドを931mg加えて溶解させた。0℃の条件下、得られた溶液に、テトラフルオロホウ酸銀584mgをゆっくり加え、0℃から室温の温度範囲で24時間攪拌した。反応液にアセトンを加え、析出物を濾過した後、減圧下で溶媒を留去した。残渣を3mLジエチルエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥させることにより、ジメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸を1.01g得た。ジメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸の収率は98%であった。得られたジメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸の1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、IRスペクトル、及びMSスペクトルを測定し、ジメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸を同定した。結果を以下に示す。
1H-NMR (300 MHz CDCl3): δ = 7.80-7.42 (m, 5H), 4.77 (t, J = 6.3 Hz, 1H), 3.61 (s, 3H), 2.98 (s, 3H), 2.60 (s, 3H), 2.57-2.19 (m, 4H), 1.71-1.55 (m, 2H)。
13C-NMR (68 MHz CDCl3): δ = 173.05, 130.50, 130.10, 129.74, 129.11, 127.50, 122.79, 118.07, 113.39, 59.82, 51.43, 32.45, 29.52, 23.64, 22.30, 21.53。
IR (neat): ν = 3021 cm-1, 2935, 1731, 1436, 1258, 757, 712, 638。
MS (ESI, m/z): 252.9 [M-BF4 ]+ (calc For C14H21O2S: 253.13)。
13C-NMR (68 MHz CDCl3): δ = 173.05, 130.50, 130.10, 129.74, 129.11, 127.50, 122.79, 118.07, 113.39, 59.82, 51.43, 32.45, 29.52, 23.64, 22.30, 21.53。
IR (neat): ν = 3021 cm-1, 2935, 1731, 1436, 1258, 757, 712, 638。
MS (ESI, m/z): 252.9 [M-BF4 ]+ (calc For C14H21O2S: 253.13)。
(実施例2:[6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステルの製造)
下記のスキームに従って、[6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステルを製造した。
下記のスキームに従って、[6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステルを製造した。
容量30mLの二口フラスコにジメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸を95mg加え、アルゴン雰囲気下でo−ジクロロベンゼン1mLに溶解させ、続いて100mgのC60フラーレンを20mLのo−ジクロロベンゼンで希釈した溶液を加えた。室温条件下、得られた溶液に46mgの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)を1mLのo−ジクロロベンゼンで希釈した溶液を3分間かけて滴下し、4時間攪拌した後、酢酸を25mg加えて反応を停止させた。反応液を1/10の容量に濃縮し、トルエン及びジクロロメタンを展開溶媒に用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより生成物を分離及び精製し、[6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステル(C60PCBM)を57.1mg得た。[6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステルの収率は45%であった。得られた[6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステルの1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、及びIRスペクトルを測定し、ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)、1995年、60巻、p.532−538に記載されたスペクトルと比較して同一であることを確認した。測定結果を以下に示す。
1H−NMR (300 MHz CDCl3): δ = 7.92 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.60-7.44 (m, 3H), 3.68 (s, 3H), 2.94-2.88 (m, 2H), 2.52 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.23-2.13 (m, 2H)。
13C−NMR (75 MHz CDCl3): δ = 173.40, 148.79-136.71, 132.06, 128.43, 128.24, 79.87, 51.85, 51.64, 33.87, 33.67, 22.37。
IR (KBr): ν = 2921 cm-1, 2849, 1735, 699, 573, 550, 526, 482, 453。
13C−NMR (75 MHz CDCl3): δ = 173.40, 148.79-136.71, 132.06, 128.43, 128.24, 79.87, 51.85, 51.64, 33.87, 33.67, 22.37。
IR (KBr): ν = 2921 cm-1, 2849, 1735, 699, 573, 550, 526, 482, 453。
(実施例3:イソプロピルメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸の製造)
下記のスキームに従って、イソプロピルメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸を製造した。
下記のスキームに従って、イソプロピルメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸を製造した。
アルゴンガス雰囲気下、容量30mLの丸型二口フラスコに5−ブロモ−5−フェニル吉草酸メチルを271mg加え、乾燥ジクロロメタン1mLに溶解させた。続いてイソプロピルメチルスルフィドを271mg加えた後、0℃に冷却した。得られた溶液にテトラフルオロホウ酸銀195mgをゆっくり加え、0℃から室温の温度範囲で4時間攪拌した。反応液にジクロロメタンを加え、析出物を濾過した後、減圧下で溶媒を留去した。残渣をヘキサン5mL、ジエチルエーテル5mLでそれぞれ3回洗浄した後、減圧下で乾燥させることにより、イソプロピルメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸を275mg得た。イソプロピルメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸の収率は74%であった。得られたイソプロピルメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸の1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、IRスペクトル、及びMSスペクトルを測定し、イソプロピルメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸を同定した。測定結果を以下に示す。
1H NMR (300 MHz CDCl3): δ = 7.51-7.46 (m, 5H), 4.89 (t, J = 9.6 Hz, 0.33H), 4.80 (t, J = 6.6 Hz, 0.67H), 3.94 (quin, J = 6.9 Hz, 0.67H), 3.64 (s, 2H), 3.62 (s, 1H), 3.39 (quin, J = 6.9 Hz, 0.33H), 3.01 (s, 1H), 2.47 (s, 2H), 2.43-1.42 (m, 6H), 1.65 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 1.56 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 1.39 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 1.30 (d, J = 6.9 Hz, 1H)。
13C NMR (75 MHz CDCl3): δ = 173.25, 131.60, 130.74, 130.66, 130.59, 130.14, 130.09, 129.33, 128.80, 58.69, 58.56, 51,65, 51.60, 45.34, 45.25, 32.67, 32.50, 30.76, 30.58, 21.67, 21.22, 19.42, 18.93, 17.17, 16.82, 16.71, 16.37。
IR (neat): ν = 3031 cm-1, 2943, 1731, 1460, 1440, 1265, 1150, 1058, 734, 713。
MS (ESI, m/z): 280.9 [M-BF4]+. calcd for C16H25O2S: 281.16。
13C NMR (75 MHz CDCl3): δ = 173.25, 131.60, 130.74, 130.66, 130.59, 130.14, 130.09, 129.33, 128.80, 58.69, 58.56, 51,65, 51.60, 45.34, 45.25, 32.67, 32.50, 30.76, 30.58, 21.67, 21.22, 19.42, 18.93, 17.17, 16.82, 16.71, 16.37。
IR (neat): ν = 3031 cm-1, 2943, 1731, 1460, 1440, 1265, 1150, 1058, 734, 713。
MS (ESI, m/z): 280.9 [M-BF4]+. calcd for C16H25O2S: 281.16。
(実施例4:[6,6]−フェニルC71酪酸メチルエステルの製造)
下記のスキームに従って、[6,6]−フェニルC71酪酸メチルエステルを製造した。
下記のスキームに従って、[6,6]−フェニルC71酪酸メチルエステルを製造した。
アルゴンガス雰囲気下、容量30mLの丸型二口フラスコにイソプロピルメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸を55.2mg加え、1mLのo−ジクロロベンゼンに溶解させた。続いて、C70を25.2mg含むo-ジクロロベンゼン溶液20mLを加えた。0℃に冷却した後、22.8mgの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンを1mLのo−ジクロロベンゼンで希釈した溶液を5分間かけて滴下し、室温で18時間攪拌した。反応液を1/10の容量に濃縮し、トルエンを展開溶媒に用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより生成物を分離及び精製し、[6,6]−フェニルC71酪酸メチルエステル(C70PCBM)を10.5mg得た。[6,6]−フェニルC71酪酸メチルエステルの収率は34%であった。得られた[6,6]−フェニルC71酪酸メチルエステルは高速液体クロマトグラフィーにより確認した。また、[6,6]−フェニルC71酪酸メチルエステルの1H−NMRスペクトル、及びIRスペクトルを測定し、アンゲヴァンテ ケミー インターナショナル エディション(Angewandte Chemie International Edition)、2003年、第42巻、p.3371−3375に記載されたデータと比較して同一であることを確認した。[6,6]−フェニルC71酪酸メチルエステルの異性体の割合を1H−NMRスペクトルにより確認したところ、α体の異性体の割合は95%であった。測定結果を以下に示す。
1H NMR (300 MHz CDCl3): δ = 7.92-7.40 (m, 5H), 3.74 (β-type, s, 0.11H), 3.67 (α-type, s, 2.83 H), 3.51 (β-type, s, 0.06H), 2.53-2.42 (m, 4H), 2.25-1.99 (m, 2H)。
IR (KBr): ν = 2941 cm-1, 2923, 1737, 1429, 795, 726, 699, 674, 643, 579, 534, 459。
IR (KBr): ν = 2941 cm-1, 2923, 1737, 1429, 795, 726, 699, 674, 643, 579, 534, 459。
(実施例5:5−ドデシルチオ−5−フェニル吉草酸メチルの製造)
アルゴンガス雰囲気下、容量30mL丸型二口フラスコに1−ドデカンチオールを607mg加え、乾燥アセトニトリル5mLに溶解させた。0℃に冷却した後、炭酸セシウムを977mg加え、続いて5−ブロモ−5−フェニル吉草酸メチルを271mg含む乾燥アセトニトリル溶液1mLをゆっくり滴下した。反応液は、0℃から室温の温度範囲で5時間攪拌した。反応液を濾過した後、濾液に酢酸エチル50mLを加え、飽和食塩水20mLで3回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、5−ドデシルチオ−5−フェニル吉草酸メチルを161mg得た。5−ドデシルチオ−5−フェニル吉草酸メチルの収率は41%であった。得られた5−ドデシルチオ−5−フェニル吉草酸メチルの1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、IRスペクトル、及びMSスペクトルを測定し、5−ドデシルチオ−5−フェニル吉草酸メチルを同定した。測定結果を以下に示す。
アルゴンガス雰囲気下、容量30mL丸型二口フラスコに1−ドデカンチオールを607mg加え、乾燥アセトニトリル5mLに溶解させた。0℃に冷却した後、炭酸セシウムを977mg加え、続いて5−ブロモ−5−フェニル吉草酸メチルを271mg含む乾燥アセトニトリル溶液1mLをゆっくり滴下した。反応液は、0℃から室温の温度範囲で5時間攪拌した。反応液を濾過した後、濾液に酢酸エチル50mLを加え、飽和食塩水20mLで3回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、5−ドデシルチオ−5−フェニル吉草酸メチルを161mg得た。5−ドデシルチオ−5−フェニル吉草酸メチルの収率は41%であった。得られた5−ドデシルチオ−5−フェニル吉草酸メチルの1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、IRスペクトル、及びMSスペクトルを測定し、5−ドデシルチオ−5−フェニル吉草酸メチルを同定した。測定結果を以下に示す。
1H NMR (270 MHz CDCl3): δ = 7.40-7.16 (m, 5H), 3.74 (dd, J = 6.8 and 8.1 Hz, 1H), 3.63 (s, 3H), 2.43-2.15 (m, 4H), 1.98-1.18 (m, 24H), 0.88 (t, J = 6.5 Hz, 3H)
13C NMR (68 MHz CDCl3): δ = 173.60, 142.59, 128.38, 127.71, 126.98, 51.41, 49.39, 35.91, 33.64, 31.86, 30.98, 29.58, 29.52, 29.41, 29.29, 29.11, 28.83, 23.08, 22.63, 14.05
MS (ESI, m/z): 415.2 [M+Na]+. calcd for C24H40NaO2S: 415.26
13C NMR (68 MHz CDCl3): δ = 173.60, 142.59, 128.38, 127.71, 126.98, 51.41, 49.39, 35.91, 33.64, 31.86, 30.98, 29.58, 29.52, 29.41, 29.29, 29.11, 28.83, 23.08, 22.63, 14.05
MS (ESI, m/z): 415.2 [M+Na]+. calcd for C24H40NaO2S: 415.26
(実施例6:ドデシルメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸の製造)
下記のスキームに従って、ドデシルメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸を製造した。
下記のスキームに従って、ドデシルメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸を製造した。
アルゴンガス雰囲気下、容量30mLの丸型二口フラスコに5−ドデシルチオ−5−フェニル吉草酸メチルを98mg加え、1mLの乾燥ジクロロメタンに溶解させた。反応液を0℃に冷却し、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラートを55.5mg加えた。0℃から室温まで6時間攪拌した後、減圧下で反応液中の溶媒を留去した。得られた残渣をヘキサン3mL、及びジエチルエーテル3mLで3回洗浄した後、減圧下で乾燥させることにより、ドデシルメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸を99.8mg得た。ドデシルメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸の収率は81%であった。得られたドデシルメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸の1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、IRスペクトル、及びMSスペクトルを測定し、ドデシルメチル(5−メトキシ−5−オキソ−1−フェニルペンチル)スルホニウム テトラフルオロホウ酸を同定した。測定結果を以下に示す。
1H NMR (270 MHz CDCl3): δ = 7.49 (s, 5H), 4.97 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 3.64 (s, 1.5H), 3.63 (s, 1.5H), 3.43 (t, J = 8.1 Hz, 1H), 3.24-3.14 (m, 0.5H), 3.05 (s, 1.5H), 2.88-2.78 (m, 0.5H), 2.57 (s, 1.5H), 2.41-1.44 (m, 6H), 1.26 (s, 20H), 0.88 (t, J = 6.2 Hz, 3H)。
13C-NMR (68 MHz CDCl3): δ = 173.27, 131.02, 130.72, 130.66, 130.50, 130.01, 129.63, 129.15, 60.66, 59.99, 51.61, 40.77, 40.73, 35.97, 32.54, 32.50, 31.86, 30.31, 29.98, 29.56, 29.50, 29.43, 29.34, 29.29, 29.17, 29.07, 28.92, 28.68, 28.59, 28.38, 28.04, 24.88, 24.38, 22.64, 21.78, 21.65, 21.44, 20.15, 17.31, 14.07。
IR (neat): ν= 2925 cm-1, 2854, 1735, 1458, 1437, 1060, 710。
MS (ESI, m/z): 407.0 [M-BF4]+. calcd for C25H43O2S: 407.30。
13C-NMR (68 MHz CDCl3): δ = 173.27, 131.02, 130.72, 130.66, 130.50, 130.01, 129.63, 129.15, 60.66, 59.99, 51.61, 40.77, 40.73, 35.97, 32.54, 32.50, 31.86, 30.31, 29.98, 29.56, 29.50, 29.43, 29.34, 29.29, 29.17, 29.07, 28.92, 28.68, 28.59, 28.38, 28.04, 24.88, 24.38, 22.64, 21.78, 21.65, 21.44, 20.15, 17.31, 14.07。
IR (neat): ν= 2925 cm-1, 2854, 1735, 1458, 1437, 1060, 710。
MS (ESI, m/z): 407.0 [M-BF4]+. calcd for C25H43O2S: 407.30。
Claims (15)
- 下記式(1)で表される塩とフラーレンとを、塩基の存在下で反応させる、下記式(4)で表されるフラーレン誘導体の製造方法。
- 前記塩基が有機塩基である、請求項1に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
- 前記フラーレンがC60フラーレンまたはC70フラーレンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
- 前記R10がメチル基である、請求項5に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
- 前記R10がブチル基である、請求項5に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
- 下記式(10)で表される化合物と、下記式(11)で表される化合物と、下記式(12)で表される塩とを反応させる、下記式(1−1)で表される塩の製造方法。
M+X− (12)
〔式(12)中、X−は、前述と同じ意味を表す。M+は1価の陽イオンを表す。〕 - 下記式(15)で表される化合物と、下記式(16)で表される塩とを反応させる、下記式(1−1)で表される塩の製造方法。
R1−X (16)
〔式(16)中、R1は前述と同じ意味を表す。Xは1価の陰イオンを形成しうる原子又は原子団を表す。〕 - 下記式(10)で表される化合物と、下記式(11)で表される化合物とを反応させる、式(1−2)で表される塩の製造方法。
- 下記式(1−1)で表される塩。
- 下記式(13)で表される化合物。
- 下記式(14)で表される化合物。
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-
2012
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