JP2014034163A - 熱収縮チューブの製造方法および熱収縮チューブの製造装置 - Google Patents

熱収縮チューブの製造方法および熱収縮チューブの製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】チューブ径のばらつきを抑制しながら、チューブを安定的に製造可能である熱収縮チューブの製造方法および熱収縮チューブの製造装置を提供する。
【解決手段】熱収縮チューブの製造方法は以下の工程を有している。樹脂からなるチューブ1が樹脂の軟化点以上に加熱される。加熱されたチューブ1の径が拡張される。チューブ1の径が拡張される工程では、チューブ1内部に気体を導入してチューブ1内部を加圧状態としながら、サイジング管3の内部空間36内にチューブ1が通される。サイジング管3の内部空間36内の圧力が測定される。チューブ1内の圧力が、サイジング管3の内部空間36内の圧力に応じて調整される。サイジング管3の内部空間36内にチューブ1を通す工程では、加圧されたチューブ1内の圧力と減圧されたサイジング管3の内部空間36内の圧力との圧力差によってチューブ1が拡張される。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱収縮チューブの製造方法および熱収縮チューブの製造装置に関するものである。
電線接続部の絶縁保護用途として、架橋により形状記憶させた熱収縮チューブが広く利用されている。当該熱収縮チューブは、通常、押出工程、照射工程および膨張工程を経て製造される。膨張工程において、樹脂からなるチューブを樹脂の軟化点以上の温度に加熱し、チューブがサイジング管を通過することによりチューブの径が拡張される。
たとえば、特開平7−178813号公報(特許文献1)には、チューブ内を加圧しながら熱収縮チューブの径を拡張する方法が記載されている。当該方法によれば、チューブを加熱した直後のチューブの外径を測定して、測定されたチューブの外径値に応じてチューブに供給する圧力が調整される。
また、特開昭63−35331号公報(特許文献2)には、チューブを拡張した後にチューブを冷却管に通す場合において、冷却管の出口部における温度を測定し、当該温度に応じてチューブ内に供給される圧力を制御する方法が記載されている。さらに、特表平11−510443号公報(特許文献3)には、拡張領域直前のチューブの外径値に応じて、チューブの拡張を制御する方法が記載されている。
特開平7−178813号公報 特開昭63−35331号公報 特表平11−510443号公報
しかしながら、上記いずれの方法でチューブの径を制御しても、チューブ径のばらつきを抑制しながら、チューブを安定的に製造することは困難であった。
本発明は、上記のような課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、チューブ径のばらつきを抑制しながら、チューブを安定的に製造可能である熱収縮チューブの製造方法および熱収縮チューブの製造装置を提供することである。
本発明に係る熱収縮チューブの製造方法は以下の工程を有している。樹脂からなるチューブが樹脂の軟化点以上に加熱される。加熱されたチューブの径が拡張される。チューブの径が拡張される工程では、チューブ内部に気体を導入してチューブ内部を加圧状態としながら、減圧されたサイジング管の内部空間内にチューブが通される。減圧されたサイジング管の内部空間内の圧力が測定される。チューブ内の圧力が、測定されたサイジング管の内部空間内の圧力に応じて調整される。サイジング管の内部空間内にチューブを通す工程では、加圧されたチューブ内の圧力と減圧されたサイジング管の内部空間内の圧力との圧力差によってチューブが拡張される。
本発明に係る熱収縮チューブの製造方法によれば、減圧されたサイジング管の内部空間内の圧力が測定される。チューブ内の圧力が、測定されたサイジング管の内部空間内の圧力に応じて調整される。サイジング管の内部空間内の圧力は、チューブの外径の変動に応じて精度良く変化する。それゆえ、サイジング管の内部空間内の圧力に応じてチューブ内の圧力を調整することにより、チューブ径のばらつきを効果的に抑制しながら、チューブを安定的に製造することができる。
上記の熱収縮チューブの製造方法において好ましくは、チューブ内の圧力を調整する工程では、サイジング管の内部空間内の圧力が第1の上限値を超えた状態および第1の下限値よりも小さくなった状態のいずれかの状態で所定時間経過した場合に、第1の上限値を超えるときは第1の上限値に応じ、また第1の下限値よりも小さくなるときは第1の下限値に応じてチューブ内の圧力が調整される。これにより、チューブ径のばらつきをより効果的に抑制することができる。
上記の熱収縮チューブの製造方法において好ましくは、チューブ内の圧力を調整する工程では、サイジング管の内部空間内の圧力が第1の上限値よりも大きい第2の上限値を超えた状態および第1の下限値よりも小さい第2の下限値よりも小さくなった状態のいずれかの状態で所定時間経過した場合、第2の上限値を超えるときは第2の上限値に応じ、また第2の下限値よりも小さくなるときは第2の下限値に応じてチューブ内の圧力が調整される。これにより、チューブ径のばらつきをさらに効果的に抑えることができる。
本発明に係る熱収縮チューブの製造装置は、加熱部と、サイジング管と、減圧部と、加圧部と、測定部と、調整部とを有する。加熱部は、樹脂からなるチューブを樹脂の軟化点以上に加熱可能である。サイジング管は、加熱部により加熱されたチューブの径を拡張可能である。減圧部は、チューブが通るサイジング管の内部空間内の圧力を減圧可能である。加圧部は、チューブ内の圧力を加圧可能である。測定部は、減圧部により減圧されたサイジング管の内部空間内の圧力を測定可能である。調整部は、加圧部により加圧されたチューブ内の圧力を調整可能である。減圧部により減圧されたサイジング管の内部空間内の圧力と加圧部により加圧されたチューブ内の圧力との差によりチューブの径が拡張可能に構成されている。チューブ内の圧力は、測定部で測定されたサイジング管の内部空間内の圧力に応じて調整部により調整可能に構成されている。
本発明に係る熱収縮チューブの製造装置によれば、チューブ内の圧力は、測定部で測定されたサイジング管の内部空間内の圧力に応じて調整部により調整可能に構成されている。サイジング管の内部空間内の圧力は、チューブの外径の変動に応じて精度良く変化する。それゆえ、サイジング管の内部空間内の圧力に応じてチューブ内の圧力が調整可能に構成されていることにより、チューブ径のばらつきを効果的に抑制しながら、チューブを安定的に製造することができる。
上記の熱収縮チューブの製造装置において好ましくは、チューブ内の圧力は、測定部により測定されたサイジング管の内部空間内の圧力が第1の上限値を超えた状態または第1の下限値よりも小さくなった状態のいずれかの状態で所定時間経過した場合に、第1の上限値を超えたときは第1の上限値に応じ、また第1の下限値よりも小さくなったときは第1の下限値に応じてチューブ内の圧力が調整される。これにより、チューブ径のばらつきをより効果的に抑制することができる。
上記の熱収縮チューブの製造装置において好ましくは、サイジング管には、他の空間と、他の空間および内部空間を接続する複数の貫通孔とが形成されている。他の空間を通じて内部空間内を減圧可能に減圧部とサイジング管とが接続されている。これにより、サイジング管の内部空間内の圧力分布を均一化することができる。
上記の熱収縮チューブの製造装置において好ましくは、複数の貫通孔の内部空間への開口部の各々は、サイジング管の長手方向に沿って複数形成されており、かつサイジング管の円周方向に沿って複数形成されている。これにより、サイジング管の内部空間内の長手方向および円周方向における圧力分布を低減することができる。
以上説明したように本発明によれば、チューブ径のばらつきを効果的に抑制しながら、熱収縮チューブを安定的に製造することができる。
本発明の一実施の形態における熱収縮チューブの製造装置の構成を概略的に示す模式図である。 本発明の一実施の形態におけるサイジング管の構成の一部を概略的に示す斜視図である。 本発明の一実施の形態におけるサイジング管の構成の一部を概略的に示す斜視図である。 本発明の一実施の形態における熱収縮チューブの製造方法を概略的に示すフロー図である。 チューブ内の実効圧力が高い場合におけるチューブの形状を概略的に示す図である。 チューブ内の実効圧力が低い場合におけるチューブの形状を概略的に示す図である。 サイジング管内でのチューブ内の実効圧力と時間との関係を概略的に示す図である。 サイジング管の内部空間内の圧力と時間との関係を概略的に示す図である。 加圧部により加圧する圧力と時間との関係を概略的に示す図である。 サイジング管の内部空間内の圧力と時間との関係を概略的に示す図である。
以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。なお本発明は本実施の形態に限定されるものではない。
図1を参照して、本実施の形態に係る熱収縮チューブの製造装置10の構成について説明する。図1に示すように、本実施の形態に係る熱収縮チューブの製造装置10は、加熱部2と、サイジング管3と、減圧部6と、加圧部12と、測定部8と、調整部11とを主に有している。
加熱部2は、樹脂からなり熱収縮可能なチューブ1を樹脂の軟化点以上に加熱するためのものであり、たとえば赤外線ヒータである。樹脂は、たとえばフッ素系樹脂、アイオノマー樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂などである。樹脂の軟化点は、たとえば70℃以上210℃以下程度である。
サイジング管3は、加熱部2により加熱されたチューブ1の径を拡張する部分である。サイジング管3には、チューブ1が通るための内部空間36と、内部空間36とは異なる他の空間35が形成されている。内部空間36は第1の内壁37により形成されており、他の空間35は第2の内壁33により形成されている。またサイジング管3には、他の空間35と内部空間36とを接続する複数の第1の貫通孔31が形成されている。さらにサイジング管3には、サイジング管3の外壁面38と他の空間35とを接続する第2の貫通孔32が形成されている。他の空間35は、第2の貫通孔32を通じて配管13に繋がっている。
減圧部6は、チューブ1が通るサイジング管3の内部空間36内の圧力を減圧するためのものであり、たとえば真空ポンプである。減圧部6は、配管13およびバッファ用タンク7を介してサイジング管3と接続されている。また、減圧部6とサイジング管3とは他の空間35を通じてサイジング管3の内部空間36内を減圧可能に接続されている。
加圧部12は、チューブ内の圧力を加圧するためのものであり、たとえばガス供給部である。加圧部12は、調整部11を介してチューブ1の先端と接続され、チューブ1の先端からチューブ1内に気体を供給可能に設けられている。加圧部12は、拡張されたチューブ1の先端部(図1における下側)に接続されていてもよいし、拡張される前のチューブの後端部(図1における上側)に接続されていてもよい。
測定部8は、減圧部6により減圧されたサイジング管3の内部空間36内の圧力を測定するための部分であり、たとえば圧力計である。測定部8は、たとえばサイジング管3の第2の貫通孔32に接続されている配管13と接続して設けられている。なお、圧力計はサイジング管3の内部空間36または他の空間35に直接接続されていても構わない。
調整部11は、加圧部12により加圧されたチューブ1内の圧力を調整するための部分であり、たとえば電空レギュレータである。電空レギュレータは、電気信号に基づいて圧力を制御可能である。チューブ1内の圧力は、測定部8で測定されたサイジング管3の内部空間36内の圧力に応じて調整部11により調整可能に構成されている。本実施の形態に係る熱収縮チューブの製造装置は、たとえば、測定部8で測定された内部空間36内の圧力が制御部9に送られ、当該圧力がある基準値よりも小さい場合に、制御部9が調整部11に特定の電気信号を送ることにより、チューブ1内の圧力が調整可能に構成されていてもよい。また、本実施の形態に係る熱収縮チューブの製造装置は、制御部9によりチューブ1内に加圧する気体の圧力を自動的に制御可能に構成されている。
好ましくは、チューブ1内の圧力は、測定部8により測定されたサイジング管3の内部空間36内の圧力が第1の上限値を超えた状態または第1の下限値よりも小さくなった状態のいずれかの状態で所定時間経過した場合に、第1の上限値を超えたときは第1の上限値に応じ、また第1の下限値よりも小さくなったときは第1の下限値に応じてチューブ1内の圧力が調整可能に構成されている。
なお、本実施の形態に係る熱収縮チューブの製造装置において、減圧部6により減圧されたサイジング管3の内部空間36内の圧力と加圧部12により加圧されたチューブ1内の圧力との差によりチューブ1の径が拡張可能に構成されている。サイジング管3により拡張されたチューブ1は、図示しない巻取ローラにより移動方向Xに移動する。また、サイジング管3により拡張されたチューブ1の外径は、サイジング管3とローラ5との間に配置された外径測定部4により測定される。
図2および図3を参照して、サイジング管3に形成されている貫通孔の配置について説明する。図2および図3に示すように、複数の貫通孔31の内部空間36への開口部39の各々は、サイジング管3の長手方向(チューブの移動方向)に沿って複数形成されており、かつサイジング管の円周方向に沿って複数形成されている。図2に示すように、複数の貫通孔31の内部空間36への開口部39の各々は、サイジング管3の内側面37にサイジング管3の長手方向および円周方向と並列に配置されていても構わない。また、図3に示すように、複数の貫通孔31の内部空間36への開口部39の各々は、サイジング管3の内側面37に千鳥配列で配置されていても構わない。
次に、本実施の形態に係る熱収縮チューブの製造方法について、図4を参照して説明する。
まず、チューブ加熱工程(S10:図4)が実施される。この工程(S10:図4)では、樹脂からなるチューブ1が加熱部2を通過することにより、当該チューブ1が樹脂の軟化点温度以上に加熱される。具体的には、加熱部2によって、樹脂からなるチューブが70℃以上230℃以下程度に加熱される。
次に、チューブ径拡張工程(S20:図4)が実施される。この工程(S20:図4)は、チューブ通過工程(S21:図4)と、サイジング管内圧力測定工程(S22:図4)と、チューブ内圧力調整工程(S23:図4)とを有している。まず、チューブ通過工程(S21:図4)において、チューブ1を構成する樹脂の軟化点温度以上に加熱されたチューブ1がサイジング管3の内部空間36を通過する。図1に示すように、加圧部12によって、チューブ1の先端部からチューブ1の内部に気体が供給され、チューブ1内部の圧力が高められる。加圧部12によりチューブ1内に供給される気体の圧力は、たとば40kPaである。同時に、サイジング管3の内部空間36は、減圧部6により減圧されている。サイジング管3の内部空間36の圧力は、たとえば−96.5kPaである。加圧されたチューブ1内の圧力と、減圧されたサイジング管3の内部空間36内の圧力との圧力差によってチューブ1が半径方向に拡張される。
拡張されたチューブ1は、上流側から下流側へ移動方向Xの方へ移動する。チューブ1の移動速度は、たとえば毎分3mである。チューブ1がサイジング管3により拡張された後に、外径センサによってチューブ1の外径が測定される。
チューブ1は上流側から下流側へ移動することにより、チューブ1がサイジング管3を通過してチューブ1が拡張される。そのため、チューブ1の先端部から一定の圧力でチューブ1内に気体を供給している場合、サイジング管3内におけるチューブ1内の圧力(実効圧力)が変化する。具体的には、時間の経過とともに拡張されたチューブ1の長さが長くなる。チューブ1の長さに応じた圧力損失が発生するため、チューブ1の先端部から供給される圧力が一定の場合、サイジング管3を通過しているチューブ1内の実効圧力が低下する。
図5を参照して、チューブ1に供給される圧力が適切な場合、サイジング管3の入口部30を過ぎた位置周辺からチューブ1の膨張が始まり、すぐにチューブ1の外周がサイジング管3の内側面37と接触する。このように、チューブ1が上流側から下流側に移動しながら、チューブ1の外径が外径d1から外径d2に変化する。ここで、チューブ1が拡張する前の領域を膨張前領域R1とよび、チューブ1が拡張した後の領域を膨張後領域R3とよび、膨張前領域R1と膨張後領域R3との間の領域を過渡領域R2とよぶ。過渡領域R2とは、チューブ1の外径が外径d1から外径d2に変化している領域である。
図6を参照して、チューブ1に供給される圧力が小さい場合、入口部30におけるチューブ1の外径d3が図5の場合と比較して小さくなり、サイジング管3の内部空間36に矢印のように空気が流入する。そのため、サイジング管3の内部空間36の圧力が増加する。サイジング管3の内部空間36の圧力が増加すると、チューブ1の外径d3が小さくなる。図5の場合と比較して、サイジング管3の内部空間36の圧力が低下した場合、チューブ1の過渡領域R2は長くなる。
本実施の形態の熱収縮チューブの製造方法によれば、サイジング管3の内部空間36におけるチューブ1の実効圧力を一定に保つために、サイジング管内圧力測定工程(S22:図4)が実施される。具体的には、チューブ1がサイジング管3の内部空間36を通過しているときに、サイジング管3の内部空間36の圧力が測定部8により測定される。
次に、チューブ内圧力調整工程(S23:図4)が実施される。具体的には、測定部8により測定されたサイジング管3の内部空間36の圧力の情報は制御部9に送られる。制御部9がサイジング管3の内部の圧力に応じて調整部11を制御することにより、チューブ1に供給される気体の圧力が調整される。
図7〜図9を参照して、サイジング管3の内部空間36内に位置するチューブ1内の実効圧力の制御方法について説明する。図7を参照して、まずチューブ1内の圧力が減少する場合を検討する。たとえば時間T0から時間T1にかけてチューブ1内の実効圧力が減少すると、サイジング管3の内部空間36に空気が流入する。すると、図8に示すように、測定部8により測定されるサイジング管3の内部空間36の圧力も基準の圧力P0から圧力P3に増加する(言い換えればサイジング管3の内部空間36の真空度は低下する)。なお、図8の縦軸の圧力はマイナスの圧力を示しており、縦軸の下側の圧力は上側の圧力よりも高いことを示している。また、図7および図9の縦軸の圧力はプラスの圧力を示している。
次に、サイジング管3の内部空間36の圧力が時間T1において第1の上限値P3を超え、当該圧力が第1の上限値P3を超えた状態がある一定時間(T2−T1)継続すると、加圧部12によってチューブ1内を加圧する圧力が増加する。チューブ1内の圧力の増加は、たとえば制御部9によって電空レギュレータを制御して、加圧部12からチューブ1に供給される気体の圧力を増加させることにより行われる。本実施の形態においては、図9に示すように、時間T2においてチューブ1内に加圧される圧力が一定の値だけ増加する。チューブ1内に加圧される圧力が増加しても、図7に示すようにサイジング管3の内部空間36に存在するチューブ1の実効圧力はしばらく減少を続ける。しかしながら、時間T3においてサイジング管3内におけるチューブ1内の実効圧力が極小値をとった後、チューブ1内の実効圧力は徐々に増加する。同様に、サイジング管3の内部空間36の圧力も徐々に減少する。
その後、時間T4においてサイジング管3の内部空間36におけるチューブ1の実効圧力が極大となり、その後、チューブ1内の実効圧力は再び減少する。以上のように、サイジング管3内におけるチューブ1の実効圧力はチューブ1の膨張が安定する圧力範囲P5内において変動する。なお、図7および図8に示すように、サイジング管3内でのチューブ1内の実効圧力とサイジング管3の内部空間36内の圧力の時間変化はほぼ同じである。つまり、サイジング管3の内部空間36内の圧力を制御すれば、サイジング管3内におけるチューブ1内の実効圧力を精度良く制御することができる。
次に、図10を参照して、サイジング管3の内部空間36内に位置するチューブ1内の実効圧力の制御方法についてより詳細に説明する。なお、図10において、縦軸の圧力はマイナスの圧力を示しており、縦軸の下側の圧力は上側の圧力よりも高いことを示している。
領域D1は、サイジング管3の内部空間36の圧力が第1の上限値P3と第1の下限値P2との間において変動している状態である。領域D2において、サイジング管3の内部空間36の圧力が第1の下限値P2よりも小さくなり(言い換えれば内部空間36の真空度が高くなり)、当該圧力が第1の下限値P2よりも小さい状態が一定時間(たとえば60秒)経過した場合、チューブ1に加圧する加圧部12の圧力がたとえば1.0kPa低減される。これにより、サイジング管3の内部空間36の圧力は増加する(言い換えれば内部空間36の真空度が低くなる)。同様に、領域D3において、サイジング管3の内部空間36の圧力が第1の上限値P3を超え(言い換えれば内部空間36の真空度が低くなり)、当該圧力が第1の上限値P3を超えた状態が一定時間(たとえば240秒)経過した場合、チューブ1に加圧する加圧部12の圧力がたとえば0.5kPaだけ増加される。これにより、サイジング管3の内部空間36の圧力は小さくなる(言い換えれば内部空間36の真空度が高くなる)。
次に、領域D4において、サイジング管3の内部空間36の圧力が第1の下限値P2よりも低い第2の下限値P1よりも小さくなり、当該圧力が第2の下限値P1よりも低い状態が一定時間経過した場合、チューブ1に加圧する加圧部12の圧力が一定の値だけ低減される。これにより、サイジング管3の内部空間36の圧力は増加する。同様に、領域D5において、サイジング管3の内部空間36の圧力が第1の上限値P3よりも高い第2の上限値P4を超え、当該圧力が第2の上限値を超えた状態が一定時間(たとえば120秒)経過した場合、チューブ1に加圧する加圧部12の圧力がたとえば1.0kPaだけ増加される。
以上のように、チューブ1内の圧力を調整する工程では、サイジング管3の内部空間36内の圧力が第1の上限値P3を超えた状態および第1の下限値P2よりも小さくなった状態のいずれかの状態で所定時間経過した場合に、第1の上限値P3を超えるときは第1の上限値P3に応じ、また第1の下限値P2よりも小さくなるときは第1の下限値P2に応じてチューブ1内の圧力が調整される。
また、サイジング管3の内部空間36内の圧力が第1の上限値P3よりも大きい第2の上限値P4を超えた状態および第1の下限値P2よりも小さい第2の下限値P1よりも小さくなった状態のいずれかの状態で所定時間経過した場合、第2の上限値P4を超えるときは第2の上限値P4に応じ、また第2の下限値P1よりも小さくなるときは第2の下限値P1に応じてチューブ1内の圧力が調整される。以上のように、本実施の形態の熱収縮チューブの製造方法においては、圧力の上限値および下限値において、それぞれ2段階の基準値を設けてチューブ1内の実効圧力が制御される。
なお、チューブ1内の実効圧力は上述した方法以外の方法で制御されても構わない。たとえば、サイジング管3の内部空間36の圧力が1%増加した場合に、調整部11によってチューブ1を加圧する圧力を5%増加させてもよい。同様に、サイジング管3の内部空間36の圧力が1%減少した場合に、調整部11によってチューブ1を加圧する圧力を5%減少させてもよい。
また、本実施の形態のチューブ1の実効圧力を制御する方法において、サイジング管3の内部空間36の圧力が、閾値(上限値)を超えた状態が一定時間継続した場合または閾値(下限値)よりも小さくなった状態が一定時間継続した場合において、チューブ1に加圧する圧力を変動させる場合について説明したが、本発明はこの場合に限られない。たとえば、サイジング管3の内部空間36の圧力が、ある上限値を超えた場合すぐにチューブ1に加圧する圧力を減少させてもよいし、ある下限値よりも小さくなった場合すぐにチューブ1に加圧する圧力を増加させてもよい。
次に、チューブ巻取工程(S30:図4)が実施される。チューブ巻取工程(S30:図4)では、サイジング管3により拡張されたチューブ1が図示しない巻取ローラによって巻取られる。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態に係る熱収縮チューブの製造方法によれば、減圧されたサイジング管3の内部空間36内の圧力が測定される。チューブ1内の圧力が、測定されたサイジング管3の内部空間36内の圧力に応じて調整される。サイジング管3の内部空間36内の圧力は、チューブ1の外径の変動に応じて精度良く変化する。それゆえ、サイジング管3の内部空間36内の圧力に応じてチューブ1内の圧力を調整することにより、チューブ1径のばらつきを効果的に抑制しながら、チューブを安定的に製造することができる。
また本実施の形態に係る熱収縮チューブの製造方法によれば、チューブ1内の圧力を調整する工程では、サイジング管3の内部空間36内の圧力が第1の上限値P3を超えた状態および第1の下限値P2よりも小さくなった状態のいずれかの状態で所定時間経過した場合に、第1の上限値P3を超えるときは第1の上限値P3に応じ、また第1の下限値P2よりも小さくなるときは第1の下限値P2に応じてチューブ1内の圧力が調整される。これにより、チューブ1径のばらつきをより効果的に抑制することができる。
さらに本実施の形態に係る熱収縮チューブの製造方法によれば、チューブ1内の圧力を調整する工程では、サイジング管3の内部空間36内の圧力が第1の上限値P3よりも大きい第2の上限値P4を超えた状態および第1の下限値P2よりも小さい第2の下限値P1よりも小さくなった状態のいずれかの状態で所定時間経過した場合、第2の上限値P4を超えるときは第2の上限値P4に応じ、また第2の下限値P1よりも小さくなるときは第2の下限値P1に応じてチューブ1内の圧力が調整される。これにより、チューブ1径のばらつきをさらに効果的に抑制することができる。
本実施の形態に係る熱収縮チューブの製造装置10によれば、チューブ1内の圧力は、測定部8で測定されたサイジング管3の内部空間38内の圧力に応じて調整部11により調整可能に構成されている。サイジング管3の内部空間38内の圧力は、チューブ1の外径の変動に応じて精度良く変化する。それゆえ、サイジング管3の内部空間36内の圧力に応じてチューブ1内の圧力が調整可能に構成されていることにより、チューブ1径のばらつきを効果的に抑制しながら、チューブ1を安定的に製造することができる。
また本実施の形態に係る熱収縮チューブの製造装置10によれば、チューブ内の圧力は、測定部8により測定されたサイジング管3の内部空間36内の圧力が第1の上限値P3を超えた状態または第1の下限値P2よりも小さくなった状態のいずれかの状態で所定時間経過した場合に、第1の上限値P3を超えたときは第1の上限値P3に応じ、また第1の下限値P2よりも小さくなったときは第1の下限値P2に応じてチューブ内の圧力が調整される。これにより、チューブ径のばらつきをより効果的に抑制しながら、チューブを安定的に製造することができる。
さらに本実施の形態に係る熱収縮チューブの製造装置10によれば、サイジング管3には、他の空間35と、他の空間35および内部空間36を接続する複数の貫通孔31とが形成されている。他の空間35を通じて内部空間36内を減圧可能に減圧部6とサイジング管3とが接続されている。これにより、サイジング管3の内部空間36内の圧力分布を均一化することができる。
さらに本実施の形態に係る熱収縮チューブの製造装置10によれば、複数の貫通孔31の内部空間36への開口部39の各々は、サイジング管3の長手方向に沿って複数形成されており、かつサイジング管3の円周方向に沿って複数形成されている。これにより、サイジング管3の内部空間36内の長手方向および円周方向における圧力分布を低減することができる。
まず、ポリオレフィン系材料からなる樹脂チューブに対して、50kGyの電子線を照射し、その後、本実施の形態の製造装置および製造方法を用いて、熱収縮チューブを製造した。拡張前のチューブの内径を0.69mmとし、チューブの肉厚は0.24mmとした。毎分3mの線速でチューブ1を製造した。チューブ1の全長を1500mとした。拡張された、拡張後のチューブの内径は1.9mmであり、チューブの肉厚は0.11mmであった。本実施の形態の製造装置および製造方法によって、チューブ径のばらつきが抑制されたチューブを安定して製造することができることが確認された。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 チューブ、2 加熱部、3 サイジング管、4 外径測定部、5 ローラ、6 減圧部、7 バッファ用タンク、8 測定部、9 制御部、10 製造装置、11 調整部、12 加圧部、13 配管、30 入口部、31 貫通孔(第1の貫通孔)、32 第2の貫通孔、35 他の空間、36 内部空間、37 内壁面、P1 第2の下限値、P2 第1の下限値、P3 第1の上限値、P4 第2の上限値、X 移動方向。

Claims (7)

  1. 樹脂からなるチューブを前記樹脂の軟化点以上に加熱する工程と、
    加熱された前記チューブの径を拡張する工程とを備え、
    前記チューブの径を拡張する工程は、
    前記チューブ内部に気体を導入して前記チューブ内部を加圧状態としながら、減圧されたサイジング管の内部空間内に前記チューブを通す工程と、
    減圧された前記サイジング管の前記内部空間内の圧力を測定する工程と、
    前記チューブ内の圧力を、測定された前記サイジング管の前記内部空間内の前記圧力に応じて調整する工程とを含み、
    前記サイジング管の前記内部空間内に前記チューブを通す工程では、加圧された前記チューブ内の圧力と減圧された前記サイジング管の前記内部空間内の圧力との圧力差によって前記チューブが拡張される、熱収縮チューブの製造方法。
  2. 前記チューブ内の圧力を調整する工程では、前記サイジング管の前記内部空間内の圧力が第1の上限値を超えた状態および第1の下限値よりも小さくなった状態のいずれかの状態で所定時間経過した場合に、前記第1の上限値を超えるときは前記第1の上限値に応じ、また前記第1の下限値よりも小さくなるときは前記第1の下限値に応じて前記チューブ内の圧力が調整される、請求項1に記載の熱収縮チューブの製造方法。
  3. 前記チューブ内の圧力を調整する工程では、前記サイジング管の前記内部空間内の圧力が前記第1の上限値よりも大きい第2の上限値を超えた状態および前記第1の下限値よりも小さい第2の下限値よりも小さくなった状態のいずれかの状態で所定時間経過した場合、前記第2の上限値を超えるときは前記第2の上限値に応じ、また前記第2の下限値よりも小さくなるときは前記第2の下限値に応じて前記チューブ内の圧力が調整される、請求項2に記載の熱収縮チューブの製造方法。
  4. 樹脂からなるチューブを前記樹脂の軟化点以上に加熱可能な加熱部と、
    前記加熱部により加熱された前記チューブの径を拡張可能なサイジング管と、
    前記チューブが通る前記サイジング管の内部空間内の圧力を減圧可能な減圧部と、
    前記チューブ内の圧力を加圧可能な加圧部と、
    前記減圧部により減圧された前記サイジング管の前記内部空間内の圧力を測定可能な測定部と、
    前記加圧部により加圧された前記チューブ内の圧力を調整可能な調整部とを備え、
    前記減圧部により減圧された前記サイジング管の前記内部空間内の圧力と前記加圧部により加圧された前記チューブ内の圧力との差により前記チューブの径が拡張可能に構成されており、
    前記チューブ内の圧力は、前記測定部で測定された前記サイジング管の前記内部空間内の圧力に応じて前記調整部により調整可能に構成されている、熱収縮チューブの製造装置。
  5. 前記チューブ内の圧力は、前記測定部により測定された前記サイジング管の前記内部空間内の圧力が第1の上限値を超えた状態または第1の下限値よりも小さくなった状態のいずれかの状態で所定時間経過した場合に、前記第1の上限値を超えたときは前記第1の上限値に応じ、また前記第1の下限値よりも小さくなったときは前記第1の下限値に応じて前記チューブ内の圧力が調整される、請求項4に記載の熱収縮チューブの製造装置。
  6. 前記サイジング管には、他の空間と、前記他の空間および前記内部空間を接続する複数の貫通孔とが形成されており、
    前記他の空間を通じて前記内部空間内を減圧可能に前記減圧部と前記サイジング管とが接続されている、請求項4または5に記載の熱収縮チューブの製造装置。
  7. 前記複数の貫通孔の前記内部空間への開口部の各々は、前記サイジング管の長手方向に沿って複数形成されており、かつ前記サイジング管の円周方向に沿って複数形成されている、請求項6に記載の熱収縮チューブの製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103817920A (zh) * 2014-03-04 2014-05-28 上海长园电子材料有限公司 热缩管扩张真空及外径自动调节装置、热缩管扩张设备
CN109263029A (zh) * 2018-09-03 2019-01-25 广东金明精机股份有限公司 吹膜机膜泡直径调控装置和调控方法

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