次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるプリンター10の構成の概略を示す構成図である。また、図2は、表示部27に表示される表示画面50の説明図である。プリンター10は、原稿を光学的に読み取ってイメージデータを生成するスキャナーユニット20と、印刷ヘッドによりインク(着色剤)を用いて画像を印刷媒体(例えば写真用紙)に印刷処理するプリンターユニット23と、を備えている。また、プリンター10は、ユーザーによる各種入力操作が可能な操作パネル26と、装着したメモリーカードMCと画像データのやりとりを行うメモリーカードリーダー30と、装置全体の制御を司るコントローラー31と、を備えている。プリンター10は、例えば、スキャナーユニット20で読み取った画像データや、図示しないパソコン(PC)から受信した画像データ、メモリーカードリーダー30から入力した画像データなどをコントローラー31を介してプリンターユニット23で印刷する。このスキャナーユニット20、プリンターユニット23、操作パネル26、メモリーカードリーダー30及びコントローラー31は、信号のやりとりが可能なようにバス29により接続されている。
スキャナーユニット20は、スキャナーASIC21と、スキャナーエンジン22とを備える。スキャナーASIC21は、スキャナーエンジン22を制御する集積回路であり、コントローラー31からのスキャン指令を受けると、ガラス台上の原稿または、オートドキュメントフィーダー(ADF)ユニットで搬送された原稿をイメージデータとして読み取るようスキャナーエンジン22を制御する。このスキャナーエンジン22は、ADF挿入口にセットされた原稿を読取領域に自動搬送するADFユニットと、原稿を読み取る図示しないコンタクトイメージセンサー(CIS)モジュールと、を備える。
プリンターユニット23は、プリンターASIC24とプリンターエンジン25とを備える。プリンターASIC24は、プリンターエンジン25を制御する集積回路であり、コントローラー31からの印刷要求を受けると、印刷媒体を搬送してインクにより画像を形成するようプリンターエンジン25を制御する。このプリンターASIC24は、画像データを印刷ヘッドで印刷可能な印刷データに変換する機能や、印刷媒体を搬送制御する機能、印刷ヘッドを移動させると共に印刷ヘッドを駆動してインクを吐出させる機能などを有している。プリンターエンジン25は、印刷媒体にインクを吐出して印刷を行う印刷ヘッドと、搬送モーターを備え印刷媒体を搬送する搬送ユニットと、印刷ヘッドへインクを供給するインクカートリッジと、を備えた、フルカラーのインクジェット式のプリンター機構として構成されている。なお、印刷ヘッドは、圧電素子を変形させてインクを加圧する方式を採用してもよいし、発熱抵抗体に電圧をかけインクを加熱して発生した気泡によりインクを加圧する方式を採用してもよい。
操作パネル26は、中央に配置された表示部27と、この表示部を含んで構成された操作部28とを備える。表示部27は、タッチパネル式の液晶ディスプレイとして構成されており、カーソルを上下左右に移動させるカーソルキー、入力をキャンセルするキャンセルキー,選択内容を決定する決定キーなどが表示され、コントローラー31へユーザーの指示をタッチ操作により入力できるようになっている。この操作パネル26では、表示部27に表示された表示画面を指でなぞる際の強さや早さを変更することにより、所定のスクロール方向(遷移方向)に所望の速度で表示画面を遷移するよう設定されている。図2に示すように、表示部27には、複数の表示画像35が配置されて表示される表示画面50が表示される。表示画面50では、画像データ(例えばJPEGデータ)を表示可能な表示画像35に展開できていないときには、画像展開処理中であることを視認可能な、予め定められた未展開画像51を表示する。また、表示部27では、表示画像35が上下方向にスクロールするよう設定されており、ユーザーによる入力により、1列ごと、あるいは、1列以上ごとに遷移するように構成されている。図2に示すように、ユーザーにより下方向に1画像遷移させる入力がなされると、下方向に1画像遷移させた表示画面が表示される。なお、入力した遷移方向が下方向であるときには、より下方向にある表示画像が表示され、このとき、表示画像の移動方向は上方向となる。
メモリーカードリーダー30は、スロットに挿入されたメモリーカードMCとの間でデータの入出力を行う。このメモリーカードリーダー30は、メモリーカードMCが装着されているとき、メモリーカードMCに保存されているファイルを読み出してコントローラー31に送信したりコントローラー31からの命令を入力しこの命令に基づいてメモリーカードMCにデータを書き込んだりする。メモリーカードMCには、画像データ(例えば、JPEGデータ)が格納されている。この画像データには、例えば、小サイズであるサムネイル画像及びサムネイル画像よりも画素数の大きいモニター画像などが添付されていることがある。なお、モニター画像は、例えば、640×480ピクセル程度のスクリーンネイル画像としてもよい。
コントローラー31は、CPU32を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムや各種データ、各種テーブルなどを記憶したフラッシュメモリー33と、一時的にスキャンデータや印刷データを記憶するRAM34と、操作パネル26などと通信する図示しない内部通信インタフェース(I/F)と、を備えている。RAM34は、表示部27に表示する1以上の表示画像35を格納している。このコントローラー31は、スキャナーユニット20やプリンターユニット23からの各種動作信号や各種検出信号を入力したり、操作パネル26の操作に応じて発生する操作信号を入力したりする。また、コントローラー31は、操作パネル26からの選択指令に基づいて印刷用の画像データを選択したり、スキャン指令に基づいて原稿を読み取るようスキャナーユニット20に指令を出力したり、印刷指令に基づいて画像を印刷するようプリンターユニット23に指令を出力したり、操作パネル26に表示指令を出力したりする。
このコントローラー31は、図1に示すように、機能ブロックとして、遷移入力部41、優先順位設定部42、展開処理部43、表示制御部44及び記憶制御部45などを備えている。遷移入力部41は、操作パネル26に入力された信号を取得し、表示画面を遷移方向に遷移させる遷移指示を入力する機能を有している。優先順位設定部42は、遷移指示された表示画面内に含まれる画像とこの表示画面の範囲外である所定範囲(事前展開範囲とも称する)の画像とに対して、表示画像を展開処理する優先順位(展開順位とも称する)を設定する機能を有している。ここでは、事前展開範囲は、表示画像が表示される表示画面50の領域(表示領域とも称する)に隣接する2画面に設定されている(後述図5,6参照)。即ち、優先順位設定部42は、表示画面に対して、入力された遷移方向に隣接する領域と、入力された遷移方向の反対側に隣接する領域と、を含む事前展開範囲に含まれる画像に対して展開順位を設定する処理を実行する機能を有している。この事前展開範囲は、展開した表示画像を記憶する容量などに基づいて経験的に定めるものとしてもよい。この優先順位設定部42は、事前展開範囲に含まれる画像に対して、入力された遷移方向にある(配置される)画像をより優先して画像の展開順位を設定する機能を有している。また、優先順位設定部42は、事前展開範囲に含まれる画像に展開順位を設定するに際して、入力された遷移方向にあり、且つ表示画面に近い距離で配置される画像をより優先して画像の展開順位を設定する処理を実行する機能を有している。また、優先順位設定部42は、遷移指示により所定の画像数が遷移すると、画像の展開順位を設定する処理を実行する機能を有している。ここでは、具体例として、1画面に含まれる画像数(9個)が遷移すると展開順位を設定し直すよう設定されている。展開処理部43は、優先順位設定部42により設定された展開順位に基づいて表示画像を展開処理する機能を有している。この展開処理部43は、入力された遷移方向にある画像をより優先し、更にサムネイル画像を有する画像を優先し、モニター画像を有する画像を次に優先して表示画像を展開処理するよう設定されている。表示制御部44は、展開処理された表示画像を所定の配置にしたがって操作パネル26の表示部27に表示処理する機能を有している。ここでは、表示画像を3×3の配置位置に配置するものとして説明する(図2参照)。記憶制御部45は、展開処理部43により展開された表示画像35をRAM34の所定領域に記憶させる処理を実行する機能を有している。また、記憶制御部45は、遷移入力部41が表示画面を遷移方向に遷移させる遷移指示を入力したあと、事前展開範囲から外れた表示画像をRAM34のバッファから消去する処理を実行する機能を有している。プリンター10では、遷移入力部41や優先順位設定部42、展開処理部43、表示制御部44、記憶制御部45などの機能を利用して、表示部27に表示画像の表示処理を実行する。
次に、こうして構成された本実施形態のプリンター10の動作、例えば、メモリーカードMCに格納された複数の画像データの画像を表示部27に表示する処理について説明する。図3は、コントローラー31が実行する展開画像設定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。図4は、コントローラー31が実行する画像展開処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。展開画像設定処理ルーチンは、複数の画像を表示部27へ表示する際に、表示画像を展開処理する優先順位を設定するルーチンである。この展開画像設定処理ルーチンは、例えば、メモリーカードMCが装着され、ユーザーの操作により、印刷処理など、複数の画像を表示して選択する処理が指定されたあとなどに実行される。ここでは、コントローラー31のCPU32は、遷移入力部41や優先順位設定部42、展開処理部43、表示制御部44、記憶制御部45などの機能を利用してこのルーチンを実行するものとする。なお、展開画像設定処理ルーチンの実行時には、コントローラー31は、後述する画像展開処理ルーチンを並行して実行する。
展開画像設定処理ルーチンを実行すると、CPU32は、まず、表示画面50を遷移させる遷移方向を設定する(ステップS100)。遷移方向の設定は、例えば、操作部28での操作方向に応じた方向を遷移方向として設定し、操作部28が操作されていないときには、初期値である下方向が遷移方向として設定される。次に、表示部27に表示する予定である画像群の画像データの情報を取得する処理を実行する(ステップS110)。ここでは、メモリーカードMCに格納された全ての画像に対して、ファイル名、撮影日時、横長の画像であるか縦長の画像であるかの情報、添付されている画像の情報(サムネイル画像やモニター画像の有無など)などの情報を取得するものとした。次に、取得した画像データの情報に基づき、表示画像の配置位置を設定する(ステップS120)。この処理では、例えば、撮影日時順や、ファイル名の順など、所定の順番でメモリーカードMCに格納された画像データの各表示画像の配置する位置を設定する。この処理では、表示画面50から外れる範囲についても、配置位置を設定するものとする。
次に、CPU32は、表示領域に配置する画像を優先して画像の展開順位を設定する(ステップS130)。図5は、下方向に遷移する際の表示画像の概念の説明図であり、図5(a)は、遷移前、図5(b)は1画面遷移後の説明図である。図6は、上方向に遷移する際の表示画像の概念の説明図であり、図6(a)は、遷移前、図6(b)は1画面遷移後の説明図である。図5,6では、表示画像の展開順位を画像中央に数字で示した。また、表示画像の展開を行わないものに対しては、画像中央に「−」を示した。図5,6では、表示画像の配置関係を理解しやすいように、配置状態の概念図として示したが、実際には、プリンター10では、画像のファイル名と配置位置を示す識別子とを対応付けたテーブルをRAM34に記憶している。このステップS130の処理では、例えば、図5に示すように、表示領域に含まれるものにおいて、上端がより上方にある表示画像をより優先し、また、左側にある画像を次に優先して画像の展開処理を実行する展開順位を設定する。こうすれば、表示画像が展開されて表示処理される際には、より上方から下方へ、左側から右側に流れるように表示画像が配置されていくから、より見やすい。なお、図5(a)に示すように、表示領域の中央の表示画像は、縦長に配置され、上端が両隣の表示画像より上方にあるから、優先順位が上がり4番となる。
続いて、CPU32は、表示領域において遷移方向に隣接する画像をより優先して画像の展開順位を設定する(ステップS140)。この処理では、表示画面50の次頁に該当する事前展開範囲に含まれる画像に対して展開順位を設定する。即ち、ここでは、入力された遷移方向に配置され、且つ表示領域(表示画面50)に近い距離で配置される画像(表示領域の次の列に配置される画像)をより優先して画像の展開順位を設定するものとした。また、事前展開範囲では、表示領域と同様に、事前展開範囲に含まれるものにおいて、上端がより上方にある表示画像をより優先し、また、左側にある画像を次に優先して画像の展開処理を実行する展開順位を設定する。このとき、表示領域に近い距離で配置される画像の判定は、例えば、縦長又は横長に配置される表示画像の情報に基づいて行うことができる。例えば、図5において、表示領域の下方の事前展開範囲に含まれる同じ横列に並ぶ表示画像において、縦画像は横画像に比して表示領域により近くなることから、縦画像をより優先して展開順位を設定することができる。図5(a)に示すように、表示領域に隣接する下段の中央の画像は、縦長に配置され、上端が両隣の表示画像より上方にあるから、優先順位が上がり10番となる。
続いて、CPU32は、表示領域において遷移方向の反対側に隣接する画像を次に優先して画像の展開順位を設定する(ステップS150)。この処理では、表示画面50の前頁に該当する事前展開範囲に含まれる画像に対して展開順位を設定する。即ち、ここでは、入力された遷移方向の反対側に配置され、且つ表示領域(表示画面50)に近い距離で配置される画像(表示領域の次の列に配置される画像)をより優先して画像の展開順位を設定するものとした。また、事前展開範囲では、事前展開範囲に含まれるものにおいて、下端がより下方にある表示画像をより優先し、また、左側にある画像を次に優先して画像の展開処理を実行する展開順位を設定する。図5(a)に示すように、表示領域に隣接する上段の中央の画像は、縦長に配置され、下端が両隣の表示画像より下方にあるから、優先順位が上がり19番となる。このように、表示領域に含まれる画像、表示領域の次頁に含まれる1画面分の画像及び表示領域の次頁に含まれる1画面分の画像(3画面分の画像)に対して、展開処理を行う展開順位を設定する。
続いて、CPU32は、表示画面50の遷移指示が入力されたか否かを判定する(ステップS160)。この判定は、操作パネル26から遷移入力部41が取得した入力信号に基づいて判定するものとした。遷移指示が入力されていないときには、そのまま待機し、遷移指示が入力されたときには、指示された遷移方向を設定すると共に、表示画面50に表示する表示画像を設定する(ステップS170)。次に、前回展開順位を設定したのち1画面が遷移したか否かを判定し(ステップS180)、1画面遷移していないときにはステップS160以降の処理を実行する。一方、ステップS180で1画面が遷移したときには、表示領域及び事前展開範囲を画面遷移後の状態に更新し(ステップS190)、展開処理後の表示画像の保持処理、及び不要な表示画像の消去処理を実行し(ステップS200)、ステップS130以降の処理を実行する。ステップS200の処理では、RAM34に格納されている展開処理後の表示画像のうち、遷移したのちの表示領域内及び事前展開範囲に含まれる表示画像をRAM34に保持すると共に、事前展開範囲から外れた表示画像をRAM34から消去する処理を実行する。なお、RAM34に格納されている、展開処理後の表示画像については詳しくは後述する。こうすれば、RAM34のバッファ領域を有効に利用すると共に、展開した表示画像を有効に利用することができる。また、ステップS130以降の処理では、1画面遷移したのちの表示領域及び事前展開範囲に含まれる画像に対して、遷移方向に基づいて展開順位を設定し直すのである。このように、プリンター10では、表示画面50から前後1画面の遷移が入力されるのを待って、次の展開順位を設定し直すのである。この展開画像設定処理ルーチンは、ユーザーからの終了の入力がされるまで、繰り返し実行される。
なお、例えば、遷移方向が上方向に変更された場合には、図6に示すように、表示領域の上方を最優先する事前展開範囲とし、表示領域の下方を次に優先する事前展開範囲とし、上述した処理を同様の処理を実行する。それぞれの事前展開範囲では、表示領域に近い距離に配置される画像が、より優先されるよう展開順位を高めて展開順位を設定するものとする。
次に、図4の画像展開処理ルーチンを説明する。このルーチンは、展開順位に応じて表示画像の展開処理を実行するルーチンである。このルーチンを実行すると、CPU32は、まず、上記処理で設定した展開順位を取得し(ステップS300)、展開順位に応じた画像データの情報を取得する(ステップS310)。画像データの取得は、展開画像設定処理ルーチンのステップS110で取得した情報を用い、展開順位が「1」であるものから順次選択して行うものとする。次に、取得した情報に基づいて、現在選択されている画像データにサムネイル画像があるか否かを判定し(ステップS320)、選択されている画像データにサムネイル画像があるときには、サムネイル画像の展開処理を実行し、展開した表示画像をRAM34の所定領域に格納する(ステップS330)。このとき、画像データのファイル名と、配置位置と、展開した表示画像とを対応付けてRAM34に格納するものとする。一方、選択されている画像データにサムネイル画像がないときには、展開処理をスキップする(ステップS340)。
ステップS340のあと又は、ステップS330のあと、CPU32は、展開順位が更新されたか否かを判定する(ステップS350)。この判定は、例えば、展開順位が実際に変更されたか否かに基づいて行うこともできるし、遷移指示により1画面遷移したか否かに基づいて行うこともできる。展開順位が更新されていないときには、現在選択されている画像データが展開順位の最後尾か否かを判定し(ステップS360)、最後尾の画像データでないときには、次の展開順位の画像を選択し(ステップS370)、ステップS310以降の処理を実行する。即ち、サムネイル画像があるものに対して表示画像の展開処理を繰り返し実行する。なお、ステップS370では、次の画像データの表示画像が既に保持されているときには(ステップS200)、更に次の展開順位の画像を選択するものとする。このように、展開順位に応じ、更に、サムネイル画像を有する画像データを最も優先し、表示画像の展開処理を実行する。
ステップS360で展開順位の最後尾の画像データが選択されているときには、CPU32は、ステップS340でスキップした画像があるか否かを判定する(ステップS380)。スキップした画像があるときには、展開処理していない表示画像があるものとみなし、スキップした画像データの情報を取得する(ステップS390)。画像データの取得は、展開画像設定処理ルーチンのステップS110で取得した情報を用い、スキップした画像のうち展開順位がより高いものから順次選択して行うものとする。次に、取得した情報に基づいて、現在選択されている画像データにモニター画像があるか否かを判定し(ステップS400)、選択されている画像データにモニター画像があるときには、モニター画像の展開処理を実行し、展開した表示画像をRAM34の所定領域に格納する(ステップS410)。このとき、画像データのファイル名と、配置位置と、展開した表示画像とを対応付けてRAM34に格納するものとする。一方、選択されている画像データにモニター画像がないときには、展開処理をスキップする(ステップS420)。
ステップS420のあと又は、ステップS410のあと、CPU32は、ステップS350と同様に、展開順位が更新されたか否かを判定する(ステップS430)。展開順位が更新されていないときには、現在選択されている画像データが、表示画像を展開していない画像の中で展開順位の最後尾であるか否かを判定し(ステップS440)、最後尾の画像データでないときには、次の展開順位の画像を選択し(ステップS450)、ステップS390以降の処理を実行する。即ち、モニター画像があるものに対して表示画像の展開処理を繰り返し実行する。なお、ステップS450では、次の画像データの表示画像が既に保持されているときには(ステップS200)、更に次の展開順位の画像を選択するものとする。このように、展開順位に応じ、更に、モニター画像を有する画像データを次に優先し、表示画像の展開処理を実行する。
ステップS440で、現在選択されている画像データが展開順位の最後尾であるときには、CPU32は、展開順位が設定されている全画像データの表示画像の展開処理が終了しているか否かを判定する(ステップS460)。全画像の展開処理が終了していないときには、サムネイル画像及びモニター画像のどちらも有さない画像データがあるものとみなし、設定されている展開順位に応じて、この画像データの本画像の展開処理を実行し、展開した本画像を縮小処理して作成した表示画像をRAM34の所定領域に格納する(ステップS470)。このとき、画像データのファイル名と、配置位置と、展開した表示画像とを対応付けてRAM34に格納するものとする。ステップS470のあと、ステップS460で全画像の展開処理が終了したか否かを判定し、全画像の展開処理が終了するまでステップS470で表示画像の展開処理を繰り返し行う。
ここで、表示画像が展開される順番について説明する。図7は、表示画像の種類により展開処理の順番を変更する説明図であり、図7(a)が設定された展開順位の説明図であり、図7(b)が展開処理を実行した順番の説明図である。図7(a)では設定された展開順位を各表示画像に付し、図7(b)では、展開が実行された順番を矢印の先の番号として各表示画像に付している。図7(a)に示すように、展開順位が設定されている場合に、上述した画像展開処理ルーチンでは、まずサムネイル画像を有する画像データから表示画像を展開順位の順番で展開処理する。次に、サムネイル画像を有さずモニター画像を有する画像データの表示画像を展開順位の順番で展開処理する。最後にサムネイル画像及びモニター画像のどちらも有さない画像データの表示画像を展開順位の順番で展開処理する。このように、サムネイル画像、モニター画像及び本画像の順に、画素数が大きくなり、展開時間が掛かることから、画像サイズの大きいものの展開処理をよりあとに行うことにより、できるだけ短時間で、できるだけ多くの画像を展開処理することができる。
ステップS460で、展開順位が設定されている全画像データの表示画像の展開処理が終了したあと、又は、ステップS380でスキップした画像がないとき、即ち展開順位が設定されている全画像データの表示画像の展開処理を終了したときには、CPU32は、展開順位が更新されたか否かを判定する(ステップS480)。展開順位が更新されていないとき、即ち、表示画面50が1画面遷移していないときには、3画面分の表示画像がRAM34にバッファされているので、そのまま待機する。一方、ステップS480、ステップS350及びステップS430で展開順位が更新されたときには、ステップS300以降の処理を実行する。即ち、更新された展開順位を取得し、表示画像の展開処理を実行するのである。
例えば、図5に示すように、図5(a)のように展開順位が設定されたあと、遷移方向として下方向に1画面遷移したときには、図5(b)のように、現在の表示領域に対して遷移方向に隣接する事前展開範囲に含まれる画像が次の表示領域に設定される。また、現在の事前展開範囲に対して遷移方向に隣接する領域に含まれる画像が新たな次の事前展開範囲として設定される。また、現在の表示領域に含まれる画像が次の事前展開範囲として設定される。このとき、遷移方向に配置され、新たな表示領域により近い画像がより優先的な展開順位となる。図6(a),(b)についても同様である。このように、プリンター10では、表示領域外に配置される画像に対して、遷移方向に配置され且つ表示領域により近い位置に配置される画像をより優先し、更に、サムネイル画像、モニター画像などを有する画像を優先し、表示画像を展開処理する展開順位を設定するのである。
そして、CPU32は、展開処理された表示画像を用いて、表示画面50を作成し、表示部27に表示処理させる。この表示画面50を視認したユーザーは、遷移指示を入力し、印刷画像の選択指示などを入力し、画像データの選択処理を行うのである。プリンター10では、遷移指示が入力されると、遷移方向に配置される表示画像が予め展開処理されてバッファされているから、より円滑に表示画像が表示される。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の表示部27が本発明の表示手段に相当し、操作部28及び遷移入力部41が画面遷移入力手段に相当し、優先順位設定部42が優先順位設定手段に相当し、展開処理部43が展開手段に相当し、表示制御部44が表示制御手段に相当し、記憶制御部45が記憶制御手段に相当し、RAM34が記憶手段に相当し、プリンターユニット23が印刷処理手段に相当する。また、表示画面50が表示画面に相当し、事前展開範囲が所定範囲に相当する。なお、本実施形態では、プリンター10の動作を説明することにより本発明の画像処理方法の一例も明らかにしている。
以上詳述した本実施形態のプリンター10によれば、複数の画像を配置した表示画面50を遷移方向に遷移させる遷移指示を入力し、遷移指示された表示画面内に含まれる画像とこの表示画面の範囲外である事前展開範囲の画像とに対して展開順位を設定すると共に、事前展開範囲の画像に対しては入力された遷移方向に配置される画像をより優先して画像の展開順位を設定し、設定された展開順位に基づいて表示画像を展開処理する。このように、表示画面が遷移方向に遷移する際に、展開処理された表示画像が優先的に存在することになるため、複数の画像を表示するに際して、画像を表示するまでに要する時間をより短縮することができる。
また、事前展開範囲の画像に展開順位を設定するに際して、入力された遷移方向にあり、且つ表示画面50に近い距離で配置される画像をより優先して展開順位を設定するため、表示画面に近い距離で配置される表示画像が優先的に展開処理されるから、表示画面をより遷移しやすく、画像を表示するまでに要する時間をより短縮することができる。更に、遷移指示により1画面が遷移すると、画像の展開順位を設定し直すため、1画面が遷移するまでは画像の展開順位を変えずに表示画像の展開処理を継続し、1画面が遷移すると画像の展開順位を設定し直すので、展開順位の設定の頻度をより安定化させ、画像を表示するまでに要する時間をより短縮することができる。更にまた、遷移方向に配置される画像をより優先し、更にサムネイル画像を有する画像を優先し、モニター画像を有する画像を次に優先して表示画像を展開処理するため、展開処理が比較的容易なサムネイル画像の展開をより優先し、モニター画像を次に優先することにより、表示画像の展開時間をより短くすることができ、画像を表示するまでに要する時間をより短縮することができる。そして、表示画面に対して入力された遷移方向に隣接する領域と前記表示画面に対して前記入力された遷移方向の反対側に隣接する領域とを含む事前展開範囲に含まれる画像に対して展開順位を設定するため、表示画面に対して遷移方向の反対側の領域の表示画像が展開されるから、遷移方向が反対方向に変更された場合にも、画像を表示するまでに要する時間をより短縮することができる。そしてまた、表示画面を遷移方向に遷移させる遷移指示を入力したあと、事前展開範囲から外れた表示画像をRAM34から消去させるため、利用される可能性の低い表示画像を優先的に消去することにより、記憶処理の効率化を図ると共に、画像を表示するまでに要する時間をより短縮することができる。そして更に、印刷処理を行うプリンター10は、複数の画像を表示してユーザーに選択させることが多く、本発明を採用する意義が高い。そして更にまた、遷移方向に配置される表示画像が予め展開処理されてバッファされているから、ユーザーがタッチパネルを指でなぞる操作を行うことにより、より大きな遷移指示が入力された場合であっても、より円滑に表示画像を表示することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、表示領域により近い距離に配置される表示画像をより優先して展開順位を設定するものとしたが、遷移方向にある画像をより優先するものとすれば、特にこれに限定されない。例えば、図5(a)において、表示領域に隣接する下段の中央の画像は表示領域に近く、優先順位が上がり10番となるものとしたが、これを省略し、左から順に10番、11番、12番の展開順位としてもよい。こうしても、表示画面が遷移方向に遷移する際に、展開処理された表示画像が優先的に存在することになるため、画像を表示するまでに要する時間をより短縮することができる。
上述した実施形態では、遷移指示により1画面が遷移すると、表示領域及び事前展開範囲を変更し、展開順位を設定し直すものとしたが、特にこれに限定されない。例えば、所定の画像数が遷移すると表示領域及び事前展開範囲を変更し、展開順位を設定し直すものとしてもよい。この所定の画像数としては、n画面分の画像数(nは1以上の整数、以下同じ)としてもよいし、n列分の画像数としてもよい。例えば、4画面分の画像数としてもよいし、5列分の画像数としてもよい。この所定の画像数は、画面の遷移速度や画像の展開速度、展開した表示画像の記憶容量などを考慮して、適宜決定することができる。
上述した実施形態では、設定された展開順位に基づいて表示画像を展開処理するに際して、更にサムネイル画像を有する画像を優先して表示画像を展開処理するものとしたが、特にこれに限定されずこの処理を省略するものとしてもよい。例えば、設定された展開順位の通りに表示画像を展開処理するものとしてもよい。このとき、展開処理する画像は、サムネイル画像を有するものはこれを展開し、サムネイル画像を有さずモニター画像を有するものはこれを展開し、それ以外は本画像を展開するものとしてもよい。こうしても、表示画面が遷移方向に遷移する際に、展開処理された表示画像が優先的に存在することになるため、画像を表示するまでに要する時間をより短縮することができる。なお、サムネイル画像及びモニター画像のうちどちらか一方を展開処理に用いないものとしてもよい。
上述した実施形態では、入力された遷移方向にある画像をより優先して画像の展開順位を設定したあと、展開処理において、サムネイル画像又はモニター画像のない画像データをスキップすることにより、サムネイル画像やモニター画像を有する画像を優先して表示画像を展開処理するものとしたが、特にこれに限定されない。例えば、入力された遷移方向にある画像をより優先して画像の展開順位を設定したあと、サムネイル画像を有する画像を優先して画像の展開順位を再設定するものとしてもよい。図8は、別の展開画像設定処理ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図9は、別の画像展開処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。説明の便宜のため、上述した展開画像設定処理ルーチン及び画像展開処理ルーチンで説明したものと同様の処理については同様のステップ番号を付し、その説明を省略する。図8に示すように、CPU32は、上述した展開画像設定処理ルーチンのステップS100〜S150の処理を行い、表示領域及び事前展開範囲に含まれる画像の展開順位を設定する(ステップS500)。次に、CPU32は、サムネイル画像を有する画像をより優先し、サムネイル画像を有せずモニター画像を有する画像を次に優先して画像の展開順位を再設定する。例えば、図7(b)に示す番号のように、サムネイル画像及びモニター画像を有するか否かに基づいて、展開順位を設定し直すのである。続いて、上述したのと同様に、ステップS160〜S200の処理を実行する。また、図9に示すように、CPU32は、上述した画像展開処理ルーチンのステップS300〜S310の処理を行い、選択した画像データが有するサムネイル画像、モニター画像若しくは本画像の展開処理を実行し、展開した表示画像をRAM34の所定領域に格納する(ステップS510)。このとき、サムネイル画像を有するものが優先順位が高く、モニター画像を有するものが次に優先順位が高くなるように展開順位が再設定されているから、上述した実施形態と同様に、サムネイル画像を有するものをより優先して展開処理を実行することになる。こうしても、展開処理が比較的容易なサムネイル画像やモニター画像の展開をより優先することにより、画像を表示するのに要する時間をより短縮することができる。
上述した実施形態では、表示画面に対して、入力された遷移方向に隣接する領域と、入力された遷移方向の反対側に隣接する領域と、を含む事前展開範囲に含まれる画像に対して展開順位を設定する処理を実行するものとして説明したが、特にこれに限定されない。例えば、表示画面に対して、入力された遷移方向の反対側に隣接する領域を含まない事前展開範囲に含まれる画像に対して展開順位を設定する処理を実行するものとしてもよい。図10は、下方向に遷移する際の別の表示画像の概念の説明図である。図10では、2画面分の事前展開範囲を遷移方向に設定する場合を示した。こうしても、遷移方向が変更されたあとは、表示画面が遷移方向に遷移する際に、展開処理された表示画像が優先的に存在することになるため、画像を表示するまでに要する時間をより短縮することができる。
上述した実施形態では、遷移入力部41が表示画面を遷移方向に遷移させる遷移指示を入力したあと、事前展開範囲から外れた表示画像をRAM34のバッファから消去するものとしたが、特にこれに限定されない。例えば、表示領域及び事前展開範囲のうち少なくとも一方から外れた表示画像をRAM34から消去するものとしてもよい。例えば、図10において、遷移方向に1画面遷移すると、表示領域から外れた表示画像を消去する。こうしても、利用される可能性の低い表示画像を優先的に消去することにより、記憶処理の効率化を図ると共に、画像を表示するまでに要する時間をより短縮することができる。あるいは、表示領域及び事前展開範囲のうち少なくとも一方から外れた表示画像をRAM34から消去する処理を省略するものとしてもよい。
上述した実施形態では、表示領域に隣接する2画面分の範囲を事前展開範囲として説明したが、特にこれに限定されず、予め表示画像を展開しておく事前展開範囲は、表示領域の隣に配置される画像を含む領域であり、表示画面に隣接する範囲としてもよい。この事前展開範囲は、n画面分の画像が含まれる範囲(nは1以上の整数、以下同じ)としてもよいし、n列分の画像が含まれる範囲としてもよい。この事前展開範囲は、展開した表示画像を記憶する容量などに基づいて適宜定めることができる。
上述した実施形態では、上下方向に遷移する表示画面50を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、図11に示すように、横方向に遷移する表示画面としてもよい。図11は、横方向に遷移する際の表示画像の概念の説明図である。このとき、表示領域に近い距離に配置される表示画像を優先するに際して、縦の列に配置される表示画像において、横長の画像をより優先して展開順位を設定するものとしてもよい。こうしても、画像を表示するまでに要する時間をより短縮することができる。
上述した実施形態では、基本的に左側から右側へ、上側から下側に向かって優先順位が低下するものとして説明したが、特にこれに限定されず、右側から左側へ、又は、下側から上側に向かって優先順位が低下するものとしてもよい。
上述した実施形態では、スキャナーユニット20を備えたマルチファンクションプリンターとして構成されたプリンター10として説明したが、スキャナーユニット20を省略したプリンターとしてもよいし、FAX機能を備えたFAX装置としてもよい。また、プリンターユニット23は、カラープリンター機構としたが、特にこれに限定されず、モノクロプリンターとしてもよい。更に、上述した実施形態では、プリンター10として説明したが、複数の画像を表示する装置であれば特にこれに限定されず、例えば、固定式のデスクトップ型や携帯式のノート型などのサーバやワークステーションを含むコンピュータ類、テレビやビデオ、HDDレコーダ、DVDプレーヤ、フォトビューアなどの映像機器類、デジタルカメラ、デジタルビデオ、スキャナーなどの画像処理機器類、固定電話や携帯電話などの通信機器類、固定式または携帯式のゲーム機器類などとしてもよい。更にまた、上述した実施形態では、プリンター10として説明したが、画像処理方法としてもよいし、この方法を実行するプログラムとしてもよい。