JP2014034112A - 透明多層シート - Google Patents

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Abstract

【課題】特定の構造をもつポリカーボネートをコア層に用いる事で、高い可撓性を持ち、且つ表面硬度と熱成形に優れた透明多層シートを提供する。
【解決手段】アクリル系樹脂を含む樹脂層を、ポリカーボネート樹脂を含む基材層の片面もしくは両面に積層させて成る透明多層シートであって、前記ポリカーボネート樹脂が下記式[1]

(式[1]中、Rは単結合、炭素原子数1〜6のアルキレン基、炭素原子数6〜10のアリーレン基、または炭素原子数3〜8の環状アルキレン基を表し、X及びYはそれぞれ独立に炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。)で表される構成単位を含むことを特徴とする透明多層シートを提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明樹脂シートに関するものであり、詳しくは特定の構造をもつポリカーボネート樹脂をコア層に用いる事で、高い可撓性を持ち、且つ表面硬度と熱成形性に優れる透明多層シートに関する。
自動車内装、家電、小型携帯機等の筐体には、意匠層が施された加飾フィルムと、樹脂成形体とを一体化した加飾成形体が多用されている。樹脂成形体と加飾フィルムとを加飾フィルムの意匠層側から一体化することで、立体感、深み感のある成形体を得ることができる。また当該加飾成形体は、長期使用時の摩耗による意匠層劣化が無いという利点がある。
樹脂成形体と加飾フィルムとを一体化させる方法としては、加飾フィルムを予備成形することなく射出成形金型内に挿入し、そこに溶融樹脂を射出して射出成形体を形成すると同時にその成形体に加飾フィルムを貼り合わせる方法、加飾フィルムを熱成形(真空成形、圧空成形、真空圧空成形等)により予備成形した後、これを射出成形金型内にセットし、そこに溶融樹脂を射出して、射出成形体を形成すると同時に予備成形された加飾フィルムと一体化させる方法等が用いられている。
加飾フィルムを構成する被印刷透明シートとして、ポリカーボネート単層シートやアクリル単層シートが挙げられる。ポリカーボネート単層シートは高い靱性、可撓性を有しているものの、表面硬度が低く成形体表面に容易に傷が付くという問題がある。
加飾フィルム用途としての評価はなされていないものの、ポリカーボネート成形体の表面硬度を改善させる方法として、特定の構成単位を持つポリカーボネート(特許文献1)を使用する方法や、ポリカーボネートと特定の(メタ)アクリレート共重合体から成る樹脂組成物(特許文献2)を使用する方法が挙げられる。
一方、アクリル単層フィルムは高い表面硬度を持ち耐擦傷性に優れるが、靱性、可撓性が低く、フィルムの成形が困難であったり、フィルムの取り扱い時や運搬時に割れ等の破損が発生したりするという問題がある。
この問題を改善する方法として、アクリルに対しアクリルゴム粒子を添加し可撓性を高めたフィルムが提示されている(特許文献3)。
可撓性と表面硬度を両立させる方法として、アクリルとポリカーボネートとの積層フィルムが提示されている(特許文献4)。アクリル面を成形体表面、ポリカーボネート面を印刷面としたフィルムを用いることで、アクリル面の表面硬度を維持しつつ、アクリル単層フィルム以上の靱性、可撓性を持たせることが可能である。
しかしながら、上記多層フィルムについても、熱成形温度が高くなるために、成形した際に白化、クラック、発泡等の成形不良が生じることがあり、成形条件が非常に狭くなる。また硬度維持のためには一定以上のアクリル層厚みが必要であるため、フィルム全体厚みが小さくなる程アクリル層厚み/全体厚み比が大きくなり、上記の靱性、可撓性の低下が顕著となる。
熱成形温度を下げる方法として、アクリル系樹脂とポリカーボネート樹脂との積層シートにおいて、ポリカーボネート樹脂層に異なる樹脂(芳香族ポリエステル)をポリマーアロイする事によって、ポリカーボネート樹脂層のガラス転移温度(Tg)を下げて、成形温度を下げる事が提案されている(特許文献5)。しかしながら、上記積層シートについても、表面硬度維持のためには一定以上のアクリル系樹脂層厚みが必要であるため、シート全体厚みが小さくなる程アクリル層厚み/全体厚み比が大きくなり、上記の靱性、可撓性の低下が顕著となる。また、アクリル系樹脂層の表面にハードコート層を有する積層樹脂シートの記載はない。
特開昭64−69625 特開2010−116501 特許第3142774 特開2006−316124 特開2009−196153
本発明は、特定の構造をもつポリカーボネートをコア層に用いる事で、高い可撓性を持ち、且つ表面硬度と熱成形性に優れる透明多層シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、アクリル系樹脂とガラス転移温度の差が小さく、且つ硬度の高い特定の構造をもつポリカーボネート樹脂を用いることで、上記特性を満たすことを見出した。
すなわち、本発明は、以下の特徴を持つ透明多層シートを提供するものである。
1.アクリル系樹脂(A)を含む樹脂層を、ポリカーボネート樹脂(B)を含む基材層の片面もしくは両面に積層させて成る透明多層シートであって、前記ポリカーボネート樹脂(B)が下記式[1]
(式[1]中、Rは単結合、炭素原子数1〜6のアルキレン基、炭素原子数6〜10のアリーレン基、または炭素原子数3〜8の環状アルキレン基を表し、X及びYはそれぞれ独立に炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。)で表される構成単位を含むことを特徴とする、前記透明多層シートである。
2. 前記ポリカーボネート樹脂(B)が下記式[2]
で表される構成単位20〜100質量%と、下記式[3]
で表される構成単位80〜0質量%を含むポリカーボネート単一重合体もしくは共重合体である、上記1に記載の透明多層シートである。
3.前記透明樹脂シートの片面もしくは両面にハードコート層を有し、前記樹脂層側の鉛筆硬度が2H以上である、上記1または2に記載の透明多層シートである。
4.前記透明多層シートの片側の面に印刷層を形成した後に加熱加圧下にて成形されてなり、前記樹脂層側の鉛筆硬度が2H以上である、上記1から3のいずれかに記載の透明多層シートである。
5.前記透明多層シートの片側の面に印刷層を形成した後に加熱加圧下にて圧空成形されてなり、前記樹脂層側の鉛筆硬度が2H以上である、上記1から3のいずれかに記載の透明多層シートである。
6.上記1〜3のいずれか一項に記載の透明多層シートの片側の面に印刷層を形成して熱成形する一方、該印刷層側に溶融樹脂を射出成形して裏打ち層を形成してなるインモールド成形体であって、前記樹脂層側の鉛筆硬度が2H以上であることを特徴とする、前記インモールド成形体である。
本発明によれば、特定の構造をもつポリカーボネート樹脂をコア層に用いる事で、高い可撓性を持ち、且つ表面硬度と熱成形性に優れる透明多層シートが提供され、本発明の透明多層シートは加飾フィルム用途に好適に用いられる。
以下、本発明について製造例や実施例等を例示して詳細に説明するが、本発明は例示される製造例や実施例等に限定されるものではなく、本発明の内容を大きく逸脱しない範囲であれば任意の方法に変更して行なうこともできる。
<アクリル系樹脂(A)>
本発明の透明多層シートに用いられるアクリル系樹脂(A)としては(メタ)アクリル樹脂が挙げられ、具体的には、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)、メチルメタクリレート(MMA)に代表される各種(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、またはPMMAやMMAと他の1種以上の単量体との共重合体が挙げられ、さらにそれらの樹脂の複数種が混合されたものでもよい。これらのなかでも、低複屈折性、低吸湿性、及び耐熱性に優れた環状アルキル構造を含むポリ(メタ)アクリレートが好ましい。以上のような(メタ)アクリル樹脂の商品例として、アクリペット(三菱レイヨン製)、デルペット(旭化成ケミカルズ製)、パラペット(クラレ製)などがあるが、これらに限定されない。
アクリル系樹脂(A)の平均分子量は、一般的に質量平均分子量で3万〜30万であるが、この範囲に制限されるものではない。なお、アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、溶媒としてTHFやクロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定を行うことができる。
アクリル系樹脂(A)は、耐候性を長期間保持する目的のために、紫外線吸収剤を含有させてもよい。紫外線吸収剤の含有量はアクリル系樹脂の0.01〜3.0質量%であるのが好ましい。また、共押出成形時にアクリル系樹脂の熱劣化を防止するため、酸化防止剤、着色防止剤等を適宜含有させてもよい。この際、酸化防止剤の含有量はアクリル系樹脂の0.01〜1質量%であるのが好ましく、着色防止剤の含有量は0.01〜1質量%であるのが好ましい。
上記いずれの場合も、アクリル系樹脂の0.01質量%未満であると、十分な効果を得られないことが想定され、逆に3.0質量%を超えて含有しても、さらなる効果が期待できないばかりか、透明多層シート表面にブリードアウトを起こして白化の原因になったり、密着性や衝撃強度の低下を招いたりすることがあるため好ましくない。
<ポリカーボネート樹脂(B)>
本発明の透明多層シートに用いられるポリカーボネート樹脂(B)は、下記式[1]で表される構成単位を含むポリカーボネートであり、式[1]で表される構造単位を含むポリカーボネートであれば、単一重合体、共重合体のいずれも使用可能である。
式[1]中、Rは単結合、炭素原子数1〜6のアルキレン基、炭素原子数6〜10のアリーレン基、または炭素原子数3〜8の環状アルキレン基を表し、X及びYはそれぞれ独立に炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。好ましいRは、イソプロピリデン基であり、好ましいX及びYは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert-ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基、sec−ブチル基である。
本発明では、前記ポリカーボネート樹脂(B)が上記式[1]で表される構成単位を20〜100質量%含むことが好ましく、40〜100質量%含むことがより好ましく、60〜100質量%含むことが特に好ましい。前記ポリカーボネート樹脂(B)が共重合体の場合には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記式[1]で表される構造単位以外のモノマーが含まれていてもよい。
また、本発明では、前記ポリカーボネート樹脂(B)が下記式[2]
で表される構成単位20〜100質量%と、下記式[3]
で表される構成単位80〜0質量%を含むポリカーボネート単一重合体もしくは共重合体であることが好ましい。更に、上記式[2]で表される構成単位が40〜100質量%であることがより好ましく、上記式[2]で表される構成単位が60〜100質量%であることが特に好ましい。
本発明で特に好ましく用いられるポリカーボネート樹脂(B)を構成するモノマーの具体例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂(B)のガラス転移温度は、アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度との差が小さいという特徴を有する。ポリカーボネート樹脂(B)のガラス転移温度の好ましい範囲は110〜135℃であり、より好ましくは115〜135℃である。アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度との差が小さいと熱成形の際の加熱温度を低くすることが出来るため、クラック等が発生しにくくなるため好ましい。
本発明において、ポリカーボネート樹脂(B)の重量平均分子量は、透明多層シートの耐衝撃性および成形条件に影響する。つまり、重量平均分子量が小さすぎる場合は、透明多層シートの耐衝撃性が低下するので好ましくない。重量平均分子量が高すぎる場合は、アクリル系樹脂(A)を含む樹脂層を積層させる時に過剰な熱源を必要とする場合があり好ましくない。また成形法によっては高い温度が必要になるので、アクリル系樹脂(A)が高温にさらされることになり、その熱安定性に悪影響を及ぼすことがある。ポリカーボネート樹脂(B)の重量平均分子量は、18,000〜40,000が好ましく、21,000〜38,000がより好ましい。さらに好ましくは23,000〜35,000である。
本発明に使用されるポリカーボネート樹脂(B)の製造方法は、公知のホスゲン法(界面重合法)、エステル交換法(溶融法)等、使用するモノマーにより適宜選択できる。
<添加剤等について>
本発明において、アクリル系樹脂(A)を含む樹脂層および/またはポリカーボネート樹脂(B)を含む基材層には紫外線吸収剤を混合して使用することができる。紫外線吸収剤の含有量が少なすぎると耐光性が足りなくなり、含有量が多すぎると成形法によっては過剰な紫外線吸収剤が高い温度がかかることによって飛散して成形環境を汚染するので不具合を起こすことがある。紫外線吸収剤の含有割合は、アクリル系樹脂(A)を含む樹脂の質量に対して0〜5質量%が好ましく、0〜4質量%がより好ましく、さらに好ましくは0〜3質量%である。紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;サリチル酸フェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート系紫外線吸収剤;ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケートなどのヒンダードアミン系紫外線吸収剤;2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン系紫外線吸収剤などが挙げられる。混合の方法は特に限定されず、全量コンパウンドする方法、マスターバッチをドライブレンドする方法、全量ドライブレンドする方法などを用いることができる。
本発明において、アクリル系樹脂(A)を含む樹脂層および/またはポリカーボネート樹脂(B)を含む基材層には本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤を混合して使用することができる。添加剤としては、例えば、抗酸化剤や抗着色剤、抗帯電剤、離型剤、滑剤、染料、顔料、可塑剤、難燃剤、樹脂改質剤、相溶化剤、有機フィラーや無機フィラーといった強化材などが挙げられる。混合の方法は特に限定されず、全量コンパウンドする方法、マスターバッチをドライブレンドする方法、全量ドライブレンドする方法などを用いることができる。
<各種材料積層方法>
本発明の透明多層シートの形成方法は特に限定されない。例えば、個別に形成したアクリル系樹脂(A)を含む樹脂層とポリカーボネート樹脂(B)を含む基材層とを積層して両者を加熱圧着する方法、個別に形成したアクリル系樹脂(A)を含む樹脂層とポリカーボネート樹脂(B)を含む基材層とを積層して、両者を接着剤によって接着する方法、アクリル系樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)とを共押出成形する方法、予め形成しておいたアクリル系樹脂(A)を含む樹脂層を用いて、ポリカーボネート樹脂(B)をインモールド成形して一体化する方法、などの各種方法があるが、製造コストや生産性の観点からは、共押出成形する方法が好ましい。
例えば、アクリル系樹脂(A)及びポリカーボネート樹脂(B)を各々別々の押出機で加熱溶融し、Tダイのスリット状の吐出口からそれぞれ押出して積層し、次いで冷却ロールに密着固化させるようにする製造方法を挙げることができる。
押出機で加熱溶融する温度は、それぞれの樹脂のガラス転移温度(Tg)の80〜150℃高い温度にするのが好ましい。一般的には、ポリカーボネート樹脂(B)を押出するメイン押出機の温度条件は、通常230〜290℃、好ましくは240〜270℃であり、アクリル系樹脂(A)を押出するサブ押出機の温度条件は通常190〜260℃、好ましくは200〜250℃である。
2種類の溶融樹脂を共押出する方法としては、フィードブロック方式、マルチマニホールド方式などの公知の方法を採用することができる。
例えば、フィードブロック方式の場合であれば、フィードブロックで積層した溶融樹脂をTダイなどのシート成形ダイに導入し、シート状に成形した後、表面が鏡面処理された成形ロールに圧着させて、該成形ロール通過中にシートの鏡面仕上げと冷却を行うようにすればよい。
マルチマニホールド方式の場合には、マルチマニホールドダイ内で積層した溶融樹脂を、ダイ内部でシート状に成形した後、成形ロールにて圧着し、表面仕上げおよび冷却を行うようにすればよい。
いずれにしても、ダイの温度は、通常240〜300℃、好ましくは250〜280℃に設定し、成形ロール温度は、通常100〜190℃、好ましくは110〜190℃に設定するのが好ましい。
<透明多層シート>
本発明において、アクリル系樹脂(A)を含む樹脂層の厚さは、透明多層シートの表面硬度や耐衝撃性に影響する。つまり、アクリル系樹脂(A)を含む樹脂層の厚さが薄すぎると表面硬度が低くなり、好ましくない。アクリル系樹脂(A)を含む樹脂層の厚さが大きすぎると耐衝撃性が悪くなり好ましくない。アクリル系樹脂(A)を含む樹脂層の厚さは10〜250μmが好ましく、20〜150μmがより好ましい。さらに好ましくは30〜100μmである。
本発明において、透明多層シートのシート全体の厚さは、表面硬度及び成形性に問題が生じない範囲で適宜設定可能である。但し、一般的にはシート全体の厚さは0.05mm〜2.0mmであるのが好ましく、0.075〜1.8mmがより好ましい。さらに好ましくは0.1〜1.5mmである。
本発明の透明多層シートは、通常、押出法により製造され、そして、押出工程において、或いは、押出された後に、ハードコート処理をしてもよい。本発明は、耐磨耗性や耐指紋性(指紋ふき取り性)に優れたものが好ましく、また、生産性の点から、打ち抜きにて所望形状に加工出来るものが特に好ましい。
本発明に適用可能なハードコート層としては、アクリル系、シリコン系、メラミン系、ウレタン系、エポキシ系等公知の架橋皮膜を形成する化合物が使用できる。また、硬化方法も紫外線硬化、熱硬化、電子線硬化等公知の方法を用いることができる。これらの中で、表面側とする面には特に鉛筆硬度2H以上、又はスチールウール硬度2以上と出来るものが好ましく、アクリル系およびシリコン系が好ましいものとして例示され、特に、加工性と硬さとのバランスからアクリル系が好ましい。
本発明に適用可能なハードコート塗料を塗布する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、メニスカスコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ビートコート法、捌け法などが挙げられる。
ハードコートの密着性を向上させる目的で、ハードコート前に塗布面の前処理を行うことがある。処理例として、サンドブラスト法、溶剤処理法、コロナ放電処理法、クロム酸処理法、火炎処理法、熱風処理法、オゾン処理法、紫外線処理法、樹脂組成物によるプライマー処理法などの公知の方法が挙げられる。
ハードコート層は両面に形成されてもよく、表面層は硬くふき取り性の優れたものが選択され、裏面層は、取り扱いにおける傷発生や、後加工性の付与、例えば、印刷適性の付与などを目的とする選択がなされ、表裏の塗料は適宜変更される。
アクリル系としては、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基(アクリロイルオキシ基及び/またはメタクリロイルオキシ基の意、以下同じ)を有する架橋重合性化合物であって、各(メタ)アクリロイルオキシ基を結合する残基が炭化水素またはその誘導体でありその分子内にはエーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合等を含むことができる。
シリコン系は、適宜、紫外線吸収剤などを配合した熱硬化性のポリオルガノシロキサンの組成物が挙げられる。ポリオルガノシロキサンは、一般式R Si(OR)4−nで表される通常のオルガノシランを加水分解、縮合して得られる加水分解物及び/又は部分縮合物としてなるものなどである。
本発明において、ハードコート処理は熱エネルギーおよび/または光エネルギーを用いて硬化させるハードコート塗料を用いることにより、ハードコート層を形成してもよい。熱エネルギーを用いて硬化させるハードコート塗料としては、例えば、ポリオルガノシロキサン系、架橋型アクリル系などの熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。また、光エネルギーを用いて硬化させるハードコート塗料としては、例えば、1官能および/または多官能であるアクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーからなる樹脂組成物に光重合開始剤が加えられた光硬化性樹脂組成物などが挙げられる。
本発明におけるアクリル系樹脂(A)を含む樹脂層、ポリカーボネート樹脂(B)を含む基材層及びハードコートの各材料は、フィルター処理によりろ過精製されることが好ましい。フィルターを通して生成あるいは積層する事により、異物や欠点といった外観不良が少ない透明多層シートを得ることが出来る。ろ過方法に特に制限はなく、溶融ろ過、溶液ろ過、あるいはその組み合わせ等を使うことが出来る。
使用するフィルターには特に制限はなく、公知のものが使用でき、各材料の使用温度、粘度、ろ過精度により適宜選択される。フィルターの濾材としては、特に限定されないがポリプロピレン、コットン、ポリエステル、ビスコースレイヨンやグラスファイバーの不織布あるいはロービングヤーン巻物、フェノール樹脂含浸セルロース、金属繊維不織布焼結体、金属粉末焼結体、金属繊維織り込み体、あるいはこれらの組み合わせなど、いずれも使用可能である。特に耐熱性や耐久性、耐圧力性を考えると金属繊維不織布を焼結したタイプが好ましい。
ろ過精度は、アクリル系樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)については、50μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。またハードコート剤のろ過精度は、透明多層シートの最表層に塗布される事から、20μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
アクリル系樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)のろ過については、例えば熱可塑性樹脂溶融ろ過に用いられているポリマーフィルターを使うことが好ましい。ポリマーフィルターは、その構造によりリーフディスクフィルター、キャンドルフィルター、パックディスクフィルター、円筒型フィルターなどに分類されるが、特に有効ろ過面積が大きいリーフディスクフィルターが好適である。
本発明の透明多層シートには、その片面または両面に反射防止処理、防汚処理、帯電防止処理、耐候性処理および防眩処理のいずれか一つ以上を施すことができる。反射防止処理、防汚処理、帯電防止処理、耐候性処理および防眩処理の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、反射低減塗料を塗布する方法、誘電体薄膜を蒸着する方法、帯電防止塗料を塗布する方法などが挙げられる。
<印刷層>
本発明の透明多層シートは、該シートの片面に意匠層を設けてもよい。意匠層の形成法として、シート上に直接、グラビア印刷、フレキソ印刷等により所望の意匠を印刷し、加熱乾燥することにより形成する方法、2軸延伸PETフィルム等の転写シートに印刷により形成された意匠層を、加熱転写等の方法により多層シートに転写する方法が挙げられる。たとえば、ポリエステル系、ポリカーボネート系、アクリル系、ウレタン系の印刷インクを用いて印刷可能であり、特にハードコート層との密着性に問題がある場合は、プラズマやイオンエッチング、コロナ放電等の表面処理によって表面改質して密着力を高めることも可能である。また、物理気相成長法や化学気相成長法を用いて、シート上に金属層、金属酸化物層等を設け意匠層とする方法も併せて挙げられる。
意匠層は、前記シート上に直接積層されてもよく、シートとの密着性の向上のために、プライマー層を介して積層されてもよい。プライマー層は、シート上に公知のプライマー剤を塗布することにより形成できる。
本発明の透明多層シートは、加飾成形体とする際の加工性、デザイン性等の向上のために、前記印刷層上に、さらに、熱可塑性樹脂フィルムが積層されてもよい。熱可塑性樹脂フィルムの材質としては、当該加飾フィルムが一体化される成形体の材質に応じて適宜選択できる。たとえばポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、PVC樹脂、耐衝撃ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン樹脂、それらのいずれか2種以上の混合物等が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂フィルムは、前記意匠層上に、直接積層されてもよく、接着剤層を介して積層されてもよい。
<インモールド成形体>
本発明のインモールド成形体は、樹脂成形体と本発明の透明多層シートとを、透明多層シートの意匠面側から一体化させて成る成形体である。
樹脂成形体の材質としては、公知の熱可塑性樹脂の中から適宜選択でき、たとえばポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、PVC樹脂、耐衝撃ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン樹脂、それらのいずれか2種以上の混合物等が挙げられる。
透明多層シートと樹脂成形体とを一体化させる方法としては、透明多層シートを予備成形することなく射出成形金型内に挿入し、そこに溶融樹脂を射出して射出成形体を形成すると同時にその成形体に透明多層シートを貼り合わせる方法、透明多層シートを熱成形(真空成形、圧空成形、真空圧空成形等)により予備成形した後、これを射出成形金型内にセットし、そこに溶融樹脂を射出して、射出成形体を形成すると同時に予備成形された透明多層シートと一体化させる方法等、樹脂成形体表面を透明多層シートで被覆し、一体化させる三次元表面加飾成形法等が挙げられ、いずれの方法を用いてもよい。また、本発明の透明多層シートの片側の面に印刷層を形成して熱成形する一方、該印刷層側に溶融樹脂を射出成形して裏打ち層を形成してもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
実施例ならびに比較例で得られた透明多層シートの評価は以下のように行った。
<重量平均分子量>
あらかじめ標準ポリスチレンをクロロホルムに溶かしてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した検量線を基準にして、アクリル樹脂とポリカーボネート樹脂を同様にGPCで測定した。GPCの装置構成は以下の通り。
装置:Wates 2690
カラム:Shodex GPC KF−805L 8φ×300mm 2連結
展開溶媒:クロロホルム
流速:1ml/min
温度:30℃
検出器:UV・・・486nm ポリカーボネート
RI・・・アクリル
<鉛筆硬度試験>
JIS K 5600−5−4に準拠し、表面に対して角度45度、荷重750gでシートの表面に次第に硬度を増して鉛筆を押し付け、キズ跡を生じなかった最も硬い鉛筆の硬度を鉛筆硬度として評価した。本発明では、2H以上の硬度を合格として判定した。
<ガラス転移温度測定>
パーキンエルマー社製示差走査熱量計Pyris1型を用いて、窒素雰囲気下、25℃で1分間保持後、10℃/分の昇温速度下で測定し、接線法を用いて得られたDSC曲線における2つの接線の交点をガラス転移温度として求めた。
<成形性>
実施例及び比較例で得られた透明多層シートを、200mm×300mm×各厚さに裁断し、得られたサンプルシートを赤外線ヒーターにより、170℃に予熱し、5MPaの高圧空気により、金型(キューブ型)へ圧空成形を実施した。なお、絞り高さは、金型5mmの高さのものを用意して、評価を実施した。
各温度で得られた成形体の表面状態(クラック、シワ、ムラ、形状)を観察し、形状を賦型し、クラック、シワ、ムラのいずれも観察されない場合、「○」と評価した。一方、クラック、シワ、ムラのいずれかが観察された場合、「×」と評価した。
合成例1
9.0w/w%の水酸化ナトリウム水溶液48.0Lに、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(本州化学工業株式会社製)9262g(36.18mol)とトリエチルベンジルアンモニウムクロライド4.7g、及びハイドロサルファイト61.0gを溶解した。
これにメチレンクロライド46.0Lを加えて撹拌しつつ、15℃に保ちながら、引き続き、ホスゲン5000gを40分間で吹き込んだ。
ホスゲンの吹き込み終了後、p−t−ブチルフェノール203gを加え、激しく撹拌して、反応液を乳化させ、乳化後、110mlのトリエチルアミンを加え、温度20〜25℃にて約1時間撹拌し、重合させた。
重合終了後、反応液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和した。洗浄水の導電率が10μS/cm以下になるまで有機相の水洗を繰り返した。得られた有機相を、54℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去して白色粉末状沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、温度110℃、24時間乾燥して、目的のポリカーボネート重合体粉末を得た。得られたポリカーボネート樹脂(B1)の重量平均分子量は33,000であった。
合成例2
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン/2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン=6/4共重合ポリカーボネートの合成。
9.0w/w%の水酸化ナトリウム水溶液54.5Lに、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(本州化学工業株式会社製)6174.7g(24.12mol)と2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(新日鐵化学株式会社製)4086g(17.98mol)、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド3.8g、及びハイドロサルファイト50.0gを溶解した。
これにメチレンクロライド24Lを加えて撹拌しつつ、15℃に保ちながら、引き続き、ホスゲン5390gを40分間で吹き込んだ。
ホスゲンの吹き込み終了後、p−t−ブチルフェノール210gを加え、激しく撹拌して、反応液を乳化させ、乳化後、110mlのトリエチルアミンを加え、温度20〜25℃にて約1時間撹拌し、重合させた。
重合終了後、反応液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和した。洗浄水の導電率が10μS/cm以下になるまで有機相の水洗を繰り返した。得られた有機相を、62℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去して白色粉末状沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、温度120℃、24時間乾燥して、目的のポリカーボネート重合体粉末を得た。得られたポリカーボネート樹脂(B2)の重量平均分子量は31,000であった。
実施例1
軸径40mmの単軸押出機と、軸径75mmの単軸押出機と、各押出機と連結したマルチマニホールドダイとを有する多層押出装置を用いて透明多層シートを成形した。軸径40mmの単軸押出機にポリメチルメタクリレート樹脂(ARKEMA社製、商品名:ALTUGLAS V020、ガラス転移温度105℃)(A1)を連続的に導入し、シリンダー温度240℃の条件で押し出した。また、軸径75mmの単軸押出機に合成例1で合成したポリカーボネート樹脂(B1)(重量平均分子量:33,000、ガラス転移温度123℃)を連続的に導入し、シリンダー温度270℃で押し出した。各押出機で押し出された樹脂をマルチマニホールド内部で積層し、シート状にしてTダイから押し、上流側から温度130℃、130℃、185℃とした3本の鏡面仕上げロールで鏡面を転写させながら冷却し、(A1)と(B1)の積層体を得た。得られた積層体の全体厚みは0.5mm、アクリル系樹脂(A)を含む樹脂層の厚みは中央付近で40μmであった。得られた透明多層シートの評価結果を表1に示した。
実施例2
実施例1におけるポリカーボネート樹脂を合成例2で合成したポリカーボネート樹脂(B2)(重量平均分子量:31,000、ガラス転移温度132℃)に代えた以外は、実施例1と同じ製造条件で(A1)と(B2)の積層体を得た。得られた積層体の全体厚みは0.5mm、アクリル系樹脂(A)を含む樹脂層の厚みは中央付近で40μmであった。得られた透明多層シートの評価結果を表1に示した。
実施例3
実施例1で得られた透明多層シートの片面に溶剤で希釈したUV硬化アクリル系ハードコート液をバーコーターで塗布し、乾燥させ、UV照射し、硬化させてハードコート層を形成した。得られたハードコート層の厚みは7μmであった。得られた透明多層シートの評価結果を表1に示した。
実施例4
実施例2で得られた透明多層シートの片面に溶剤で希釈したUV硬化アクリル系ハードコート液をバーコーターで塗布し、乾燥させ、UV照射し、硬化させてハードコート層を形成した。得られたハードコート層の厚みは7μmであった。得られた透明多層シートの評価結果を表1に示した。
実施例5
実施例1で得られた透明多層シートの全体厚みを0.3mmにした以外は、実施例1と同様に実施した。得られた透明多層シートの評価結果を表1に示した。
実施例6
実施例5で得られた透明多層シートの片面に溶剤で希釈したUV硬化アクリル系ハードコート液をバーコーターで塗布し、乾燥させ、UV照射し、硬化させてハードコート層を形成した。得られたハードコート層の厚みは7μmであった。得られた透明多層シートの評価結果を表1に示した。
実施例7
実施例1で得られた透明多層シートの全体厚みを0.18mmにした以外は、実施例1と同様に実施した。得られた透明多層シートの評価結果を表1に示した。
実施例8
実施例7で得られた透明多層シートの片面に溶剤で希釈したUV硬化アクリル系ハードコート液をバーコーターで塗布し、乾燥させ、UV照射し、硬化させてハードコート層を形成した。得られたハードコート層の厚みは7μmであった。得られた透明多層シートの評価結果を表1に示した。
比較例1
実施例1におけるポリカーボネート樹脂(B1)をユーピロンS−1000(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、重量平均分子量:33,000、ガラス転移温度150℃)(B3)に変更した以外は実施例1と同様の条件で成形し、(A1)と(B3)の積層シートを得た。得られた積層体の全体厚みは0.5mm、アクリル系樹脂(A)を含む樹脂層の厚みは中央付近で40μmであった。得られた透明多層シートの評価結果を表1に示した。なお、上記ユーピロンS−1000は、以下で表される構成単位を含むポリカーボネート樹脂であり、本発明における式[1]で表される構成単位を含まない。
比較例2
比較例1で得られた透明多層シートの片面に溶剤で希釈したUV硬化アクリル系ハードコート液をバーコーターで塗布し、乾燥させ、UV照射し、硬化させてハードコート層を形成した。得られたハードコート層の厚みは7μmであった。得られた透明多層シートの評価結果を表1に示した。
比較例3
合成例1で得られたポリカーボネート樹脂(B1)(重量平均分子量:33,000、ガラス転移温度123℃)のみを材料とした以外は、実施例1と同様の条件でしてシート成形を行い、厚み500μmの単層シートを得た。得られた単層シートの片面に溶剤で希釈したUV硬化アクリル系ハードコート液をバーコーターで塗布し、乾燥させ、UV照射し、硬化させてハードコート層を形成した。得られたシートの評価結果を表1に示した。
比較例4
比較例1で得られた透明多層シートの全体厚みを0.18mmにした以外は、比較例1と同様に実施した。得られた透明多層シートの評価結果を表1に示した。
比較例5
比較例1で得られた透明多層シートの全体厚みを0.3mmにした以外は、比較例1と同様に実施した。得られた透明多層シートの評価結果を表1に示した。
表1より、本発明の透明多層シートは、高い表面硬度(2H以上)と優れた成形性および靱性、可撓性を有し、加飾フィルム用途に好適に用いられる。
本発明の透明多層シートは、高い可撓性をもち、且つ表面硬度と熱成形性に優れるという特徴を有し、加飾フィルム用途に好適に用いられる。本発明の透明多層シートを使用した加飾成形体は、自動車内装、家電、小型携帯機等の筐体等に好適に用いられる。

Claims (6)

  1. アクリル系樹脂を含む樹脂層を、ポリカーボネート樹脂を含む基材層の片面もしくは両面に積層させて成る透明多層シートであって、前記ポリカーボネート樹脂が下記式[1]
    (式[1]中、Rは単結合、炭素原子数1〜6のアルキレン基、炭素原子数6〜10のアリーレン基、または炭素原子数3〜8の環状アルキレン基を表し、X及びYはそれぞれ独立に炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。)で表される構成単位を含むことを特徴とする、前記透明多層シート。
  2. 前記ポリカーボネート樹脂が下記式[2]
    で表される構成単位20〜100質量%と、下記式[3]
    で表される構成単位80〜0質量%を含むポリカーボネート単一重合体もしくは共重合体である、請求項1に記載の透明多層シート。
  3. 前記透明多層シートの片面もしくは両面にハードコート層を有し、前記樹脂層側の鉛筆硬度が2H以上である、請求項1または2に記載の透明多層シート。
  4. 前記透明多層シートの片側の面に印刷層を形成した後に加熱加圧下にて成形されてなり、前記樹脂層側の鉛筆硬度が2H以上である、請求項1から3のいずれかに記載の透明多層シート。
  5. 前記透明多層シートの片側の面に印刷層を形成した後に加熱加圧下にて圧空成形されてなり、前記樹脂層側の鉛筆硬度が2H以上である、請求項1から3のいずれかに記載の透明多層シート。
  6. 請求項1から3のいずれかに記載の透明多層シートの片側の面に印刷層を形成して熱成形する一方、該印刷層側に溶融樹脂を射出成形して裏打ち層を形成してなるインモールド成形体であって、前記樹脂層側の鉛筆硬度が2H以上であることを特徴とする、前記インモールド成形体。
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