発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1と図2に示すように、実施形態例に係る可動役物装置が適用された遊技機(パチンコ機)は、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた機器本体2と、機器本体2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられた前面扉3等を備えており、前面扉3にはガラスやプラスチック等からなる透明板4が取り付けられている。
機枠1の左下隅部には大型のスピーカ5が配設されており、このスピーカ5は前面扉3の切り欠き内に位置して前方に露出している。機器本体2の上部内側には後述する遊技盤6が収納されており、この遊技盤6の盤面(前面)は透明板4を透して外部から目視可能となっている。また、機器本体2の右側枠部にはシリンダ錠7aを有する施錠装置7が設置されており、図示省略されているが、この施錠装置7は機器本体2の裏面に配置された後部施錠杆と機器本体2の前面に配置された前部施錠杆とを備えている。常態では、施錠装置7の後部施錠杆によって機枠1に対して機器本体2が施錠されると共に、前部施錠杆によって機器本体2に対して前面扉3が施錠されている。そして、シリンダ錠7aの鍵穴に図示せぬ鍵を差し込み、この鍵を一方向(例えば時計回り)へ回動すると、後部施錠杆が下動して機器本体2が開錠されるようになっている。また、シリンダ錠7aの鍵穴に差し込んだ鍵を他方向(反時計回り)へ回動すると、前部施錠杆が上動して前面扉3が開錠されるようになっている。
前面扉3には遊技盤6の盤面に対向する大きな開口3aが開設されており、この開口3aは透明板4によって塞がれている。前面扉3の前面上部には比較的小型のスピーカ8が左右に1個ずつ配設されており、これらスピーカ8と前述した大型のスピーカ5とによって遊技に関する様々な効果音を発するようになっている。さらに、前面扉3の前面下部には、遊技盤6の裏面に配設された賞球払出装置(後述する)から払い出された遊技球を収容する上段受皿9と、上段受皿9から排出された遊技球を収容する下段受皿10と、遊技者による押下操作が可能なプッシュ釦11等が設けられており、上段受皿9の右側方には操作ハンドル12が配設されている。
機枠1の左側枠部には上側軸受け体13と下側軸受け体14が固着されており、これら両軸受け体13,14に本体枠2の左側枠部の上下両端に設けた第1ピン(図示省略)を軸支することによって、本体枠2を機枠1に対して開閉自在に支持する第1ヒンジ機構が構成されている。一方、前面扉3の左側枠部の上下両端には第2ピン(図示省略)が設けられており、これら両第2ピンを本体枠2の左側枠部に突設した上下の支持板2aに軸支することによって、前面扉3を本体枠2に対して開閉自在に支持する第2ヒンジ機構が構成されている。また、本体枠2の上部内側は遊技盤6の収納スペースとなっており、この収納スペースの下方は前面扉3によって覆い隠される設置部2bとなっている。設置部2b内の下部中央には遊技球を遊技領域9に向けて発射する発射装置15が配設されており、前述した操作ハンドル12の回動操作量に応じて発射装置15の発射強度が調整されるようになっている。
図3に示すように、遊技盤6の裏面側には、遊技に関する主要な処理を行う主制御処理部16と、主制御処理部16からの指令を受けて前述したスピーカ5,8や後述する可変表示装置や可動役物装置等の各種装置を制御する副制御処理部17と、前述した賞球払出装置18と、主制御処理部16からの指令を受けて賞球払出装置18を制御する払出制御処理部19と、操作ハンドル12の回動操作量に応じて前記発射装置15の作動を制御する発射制御処理部20と、賞球数や大当たり回数等の各種情報を遊技場のホールコンピュータに出力する外部端子基板21等が設けられている。主制御処理部16は、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、生成された処理情報の一時記憶および記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等が実装された制御基板(メイン基板)とを備えており、このCPUがROMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、遊技に関する主要な処理が行われる。
図4に示すように、遊技盤6の前面はガイドレール22等によって略円形状に区画された遊技領域23となっており、遊技者が操作ハンドル12を任意角度まで回動操作すると、前記発射装置15が上段受皿9に保留された遊技球を遊技領域23に向けて連続的に打ち出すようになっている。遊技領域23の上部中央付近にはセンター役物24が配置されており、このセンター役物24は、中央部に矩形状の開口部25aを有する装飾枠25と、装飾枠25の上壁部に配設された可動物ユニット26と、装飾枠25の両側壁部に配設された左右一対の可動役物装置38と、装飾枠25の裏面側に配置された可変表示装置27等を具備している。可変表示装置27は液晶パネル(LCD)からなり、その表示画面27aは装飾枠25の開口部25aから露出している。
装飾枠25の下壁部には左右方向へV字形状に延びるステージ28が設けられており、このステージ28の中央部には前方側へ傾斜する誘導溝28aが形成されている。また、装飾枠25の左側壁には中空構造のワープ通路29が形成されており、このワープ通路29の両端は遊技領域23とステージ28に向けてそれぞれ開口している。したがって、センター役物24の左側の遊技領域23を流下する遊技球がワープ通路29に入球すると、その遊技球はワープ通路29の内部を通ってステージ28に排出された後、ステージ28上を転動して誘導溝28aへと導かれる。
ステージ28の誘導溝28aの真下位置には上面を開口した単純構造の第1始動入賞口30が配設されており、ステージ28上を転動して誘導溝28aから落下した遊技球が高い確率で第1始動入賞口30に入賞するようになっている。第1始動入賞口30の真下には第2始動入賞口31が配設されており、この第2始動入賞口31は一対の可動片を有する電動チューリップ構造の始動入賞口となっている。そして、これら第1および第2始動入賞口30,31のいずれか一方に遊技球が入賞すると、それを契機として特別図柄に係る電子抽選が行われ、その抽選結果に基づいて可変表示装置27の表示画面27a上で演出用図柄の変動表示および停止表示が行われる。また、装飾枠25の右下隅部にスルーチャッカー32が配設されており、センター役物24の右側に打ち出された遊技球がこのスルーチャッカー32を通過すると、それを契機として普通図柄に係る電子抽選が行われ、その抽選結果が当たりの場合に第2始動入賞口31の両可動片を一時的に開放して遊技球の入賞を許可するようになっている。
さらに、ステージ28の右斜め下方位置にはアタッカ装置33が配設されており、このアタッカ装置33は内部の大入賞口を開閉可能な横長形状の開閉扉を有している。アタッカ装置33は、第1および第2始動入賞口30,31のいずれか一方に遊技球が入賞することを契機に行われる特別図柄に係る電子抽選の結果、当たりとなって大当たり遊技状態(特別遊技モード)へ移行した場合に作動される装置である。具体的には、特別図柄の抽選結果が当たりの場合、アタッカ装置33の開閉扉が複数回繰り返して開放動作することにより、大入賞口を露呈させて遊技球の入賞を許可するようになっている。開閉扉は1回の開放動作(1ラウンド)について例えば30秒経過するまで、あるいは遊技球が大入賞口に例えば10個入るまで開放状態を維持し、かかる開放動作を例えば15回繰り返した後に大当たり遊技が終了する。
その他、遊技領域23には、遊技球の払い出しのみを行う複数の一般入賞口34や、遊技球の流下経路を担う風車35と複数本の遊技釘36等が配設されており、いずれの始動入賞口30,31や一般入賞口34にも入賞しなかった遊技球は、遊技領域23の最下端部に設けられたアウト口37から遊技盤6の裏面側に排出されるようになっている。
可動物ユニット26と一対の可動役物装置38は前述した特別図柄に係る電子抽選の結果を可動物の可動態様や光源の照光態様によって遊技者に示唆することができる装置であり、これら可動物ユニット26と可動役物装置38による演出は主制御処理部16が動作を決定し、決定した動作に基づいて副制御処理部17に制御信号を送ることにより実行される。副制御処理部17は、主制御処理部16から送られた制御信号に基づいて、可動物の駆動源であるモータと光源であるLEDにそれぞれ駆動信号を送る。これによりモータを回転させて各可動物が所定の動作を行ったり、LEDを点灯させて各可動物が照光するようになっている。
可動物ユニット26は上下方向に並んだ2つの可動体26a,26bを有しており、これら可動体26a,26bはモータを駆動源とする図示せぬ駆動機構によって動作されるようになっている。可動物ユニット26の動作について簡単に説明すると、図4に示すように、常態(非動作状態)では、両可動体26a,26bは可変表示装置27の表示画面27a上方の初期位置で停止している。この状態でモータを始動して駆動機構を動作させると、図22に示すように、両可動体26a,26bを保持する支持体26cが初期位置から表示画面27aの中央部に向かって落下すると共に、両可動体26a,26bが互いに離反するように上下動する。なお、可動物ユニット26は単独で動作されるだけでなく、後述する可動役物装置38と同時に動作されることもある。
一対の可動役物装置38は可変表示装置27の表示画面27aを介して左右対称の形状に構成されており、両者は形状が対称である点を除くと基本的な構成や動作は同じであるため、以下、左側の可動役物装置38について詳細に説明し、右側の可動役物装置38についての説明は省略する。
図5〜図22に示すように、この可動役物装置38は、ベース部材としての固定ベース39および支持ベース40と、固定ベース39の裏面下部に搭載されたモータ41と、モータ41を駆動源として左右方向へ往復移動する移動ベース42と、移動ベース42に回転可能に保持された複数(本実施形態例では4つ)の可動片43と、固定ベース39の前方に固定された前面ベース44と、前面ベース44に取り付けられた配線基板45と、移動ベース42の移動に伴って左右方向へ往復移動する従動ベース46等によって主に構成されている。
固定ベース39は可変表示装置27を包囲する遊技盤6にネジ止め等の固定手段を用いて取り付けられており、この固定ベース39には可動片43に対応して4つの長孔39aが形成されている。また、固定ベース39の上端部と下端部近傍にはガイド孔39bが形成されており、これらガイド孔39bと各長孔39aはいずれも移動ベース42の移動方向(直線X1−X2方向)と平行に延びている。
支持ベース40は固定ベース39の背面にネジ止め固定されており、この支持ベース40には可動片43に対応して4つのガイド溝40aが形成されている。これらガイド溝40aは放射状に延びる複数の直線状ガイド溝であり、移動ベース42の移動方向に対して各ガイド溝40aの交差角度は互いに異なっている。具体的には、図9において、最上段のガイド溝40aは直線X1−X2に対して所定角度(+θ1)で交差するように右下がりに延びており、最下段のガイド溝40aは直線X1−X2に対して−θ1の角度で交差するように右上がりに延びている。また、上から2段目のガイド溝40aは直線X1−X2に対してθ1より小さな角度(+θ2)で交差するように右下がりに延びており、上から3段目のガイド溝40aは直線X1−X2に対して−θ2の角度で交差するように右上がりに延びている。すなわち、2段目と3段目のガイド溝40aの中間を通って直線X1−X2と平行に延びる直線をQとすると、4つのガイド溝40aは、この直線Q上で右方向へ大きく離れた任意点を中心に放射状に延びる形状となっている。また、支持ベース40には上下方向(図22の直線Y1−Y2方向)に延びるシャフト47が回転可能に支持されており、このシャフト47には1つのアイドルギア48と2つのピニオン49が固着されている。アイドルギア48はモータ41の出力軸E(図22参照)に固着された別のアイドルギア50に噛合しており、モータ41の回転は両アイドルギア50,48を介してシャフト47に伝達される。
移動ベース42は上下に2分割された樹脂成形品からなり、これら分割成形品を金属製の補強板51で連結することで背面視コ字状の一体品となっている。ただし、機械的強度を十分に確保することが可能であれば、移動ベース42を一体成形品として補強板51を省略しても良い。移動ベース42は固定ベース39と支持ベース40との間に移動可能に配置されており、この移動ベース42には可動片43に対応して4つの軸孔42aが形成されている。また、移動ベース42の上下両端部の前面にはガイド突起52aを有する伝達部材52がネジ止め固定されており、これらガイド突起52aはガイド孔39bを挿通して固定ベース39の前方へ突出している。ガイド突起52aは平面視コ字状に形成されており、その前端面に凹部52bを有している。さらに、移動ベース42の上下両端部にはラック42bが設けられており、これらラック42bは移動ベース42の移動方向と平行に延びている。前述した一対のピニオン49はそれぞれラック42bと噛合しており、シャフト47の回転がピニオン49とラック42bの噛合箇所を介して移動ベース42に伝達されることにより、移動ベース42は固定ベース39の左右方向(直線X1−X2方向)へ往復移動するようになっている。すなわち、モータ41からシャフト47を介して両ラック42bに至る各部材により、移動ベース42を左右方向へ往復移動する駆動機構が構成されている。なお、移動ベース42の下端には遮光壁42cが突出形成されており、固定ベース39の下部に取り付けられたフォトインタラプタ53の光路を遮光壁42cが遮断することにより、移動ベース42の原点位置を検出することができるようになっている。
可動片43は椀状の第1照光体54と平板状のリフレクタ55とで構成されており、リフレクタ55は第1照光体54の背面を覆うようにネジ止め固定されている。これにより、可動片43の内部に中空の閉鎖空間βが形成される(図22参照)。第1照光体54はポリカーボネイト等の光透過性樹脂を用いて成形されており、図15に示すように、第1照光体54の外表面と内表面はレンズカット形状やリフレクタ形状と呼ばれる凹凸形状の光拡散面54bとなっている。4つの第1照光体54は個々に異なる全体形状をしているが、いずれも先端側(図9のX1方向)を尖らせた尖鋭形状となっており、先端部から離れた第1照光体54の内表面には、支軸54aが前後方向(図22の直線F1−F2方向)へ延びるように設けられている。リフレクタ55は樹脂板の表面にクロム等の金属メッキを施したものからなり、第1照光体54の内表面と対向するリフレクタ55の前面は凹凸形状の反射面55bとなっている。4つのリフレクタ55は対応する第1照光体54の平面形状と同一形状となっており、各第1照光体54の支軸54aは対応するリフレクタ55の貫通孔55aを挿通して後方の長孔39a側へ突出している。
4つの可動片43は固定ベース39の前面側に上下方向(図22の直線Y1−Y2方向)へ所定間隔を存して一列に配置されており、各可動片43から突出する支軸54aには鍔付きのスペーサ56がそれぞれ挿入されている。これら支軸54aは固定ベース39の対応する長孔39aを挿通して移動ベース42の軸孔42a内に挿入されており、その挿入量がスペーサ56によって規定されるようになっている。一方、移動ベース42の後方から軸孔42a内に中継片57の円筒軸57aが挿入されており、これら支軸54aと中継片57をネジ止め固定することにより、各可動片43は移動ベース42の軸孔42aに回転可能に保持されている。各中継片57には円筒軸57aの軸心から所定距離(図10に示す長さL)だけ離反した偏心位置にガイドピン57bが設けられており、これらガイドピン57bは支持ベース40の対応するガイド溝40a内に摺動可能に挿入されている。なお、図22に示すように、中継片57には鍔状のスライダー57cが設けられており、このスライダー57cによりガイドピン57bのガイド溝40a内の摺動をアシストさせるようにしている。すなわち、可動片43は移動ベース42の軸孔42aを中心に回転可能であるが、その回転中心(円筒軸57aの軸心)から長さLだけ離れた偏心位置でガイドピン57bがガイド溝40aと係合することによって回転規制されている。そして、ガイド溝40aの延出方向が移動ベース42の移動方向に対して交差しているため、移動ベース42が左右方向へ移動してガイドピン57bがガイド溝40a内を摺動することにより、可動片43は軸孔42aを中心に回転しながら自身の姿勢を変化させる。
前面ベース44は、前後方向に積層一体化された第1装飾板58および第2装飾板59と、配線基板45を介して第2装飾板59の裏側に重ねられた透明板60とで構成されており、これら第1および第2装飾板58,59と透明板60はネジ止めにより一体化されている。第1装飾板58と第2装飾板59は無色透明または有色透明な樹脂で成形されており、両者の前面には弾丸を模した装飾や凹凸形状の模様等が施されている。前面ベース44は上ガイド体61と下ガイド体62を介して固定ベース39に固定されており、透明板60と上ガイド体61および下ガイド体62にはガイド孔60a,61a,62aがそれぞれ形成されている。
配線基板45の表裏両面には光源として複数のLEDが実装されており、そのうち、配線基板45の表面(前面)側に実装されたLED63の光が第1装飾板58と第2装飾板59に向けて照射され、配線基板45の裏面側に実装されたLED64の光が透明板60に向けて照射されるようになっている。これらLED63とLED64の大部分は正面発光タイプのチップLEDであるが、図16に示すように、配線基板45の裏面側における外縁部に実装されたLED64の幾つかは側面発光タイプのチップLED(符号64aを付す)である。その他、配線基板45の裏面側には複数のコネクタ65が実装されており、各コネクタ65に接続された図示せぬワイヤーハーネスを介して各LED63,64(64a)に電力が供給されるようになっている。
従動ベース46は固定ベース39と前面ベース44との間に配置され、透明板60と上下ガイド体61,62の各ガイド孔60a,61a,62aによって左右方向へ移動可能にガイドされている。なお、従動ベース46には複数のローラ46bが回転自在に軸支されており、これらローラ46bを対応するガイド孔60a,61a,62aに挿入することにより、従動ベース46が直線X1−X2方向へスムーズに移動するようになっている。この従動ベース46はポリカーボネイト等の光透過性樹脂を用いて成形されており、複数の第2照光体66が上下方向(図22の直線Y1−Y2方向)へ所定間隔を存して一体成形されている。第2照光体66と可動片43の個数は同じであり、本実施形態例の場合、4つの第2照光体66が対応する可動片43の前方(図22のF1方向)に重なるように配置されている。第2照光体66は前述した第1照光体54と同様に椀状に形成されており、その外表面と内表面は凹凸形状の光拡散面66aとなっている。また、4つの第2照光体66は個々に異なる全体形状をしているが、いずれも第1照光体54と同様に先端側(図9のX1方向)を尖らせた尖鋭形状となっている。ただし、各第2照光体66の左右方向(直線X1−X2方向)の長さは対応する可動片43(第1照光体54)よりも短く設定されている。従動ベース46の上下方向の両端面には伝達ピン46aが設けられており、これら伝達ピン46aは移動ベース42に固定された伝達部材52の凹部52b内に挿入されている。したがって、移動ベース42の移動に伴って凹部52bの水平方向の左右端面(図22の参考側面にて示す前端面W1、後端面W2)が伝達ピン46aに当接すると、従動ベース46が移動ベース42と一緒に左右方向へ移動する。ただし、凹部52bの水平方向における左右の長さ(不感帯領域S)は伝達ピン46aの直径に比べて十分に長く設9定されているため、伝達ピン46aが凹部52bの前端面W1と後端面W2から離れた非当接位置にあるとき、移動ベース42だけが移動して従動ベース46は移動しない。
このように構成された遊技機(パチンコ機)において、通常、左右一対の可動役物装置38はモータ41に通電されない非動作状態となっており、図4に示すように、第1照光体54(可動片43)や第2照光体66等を含む可動物の大部分は前面ベース44によって覆い隠されている。なお、可動物ユニット26もモータ(図示せず)に通電されない非動作状態となっており、両可動体26a,26bは可変表示装置27の表示画面27a上方の初期位置で停止している。
図5〜図11は可動役物装置38の非動作状態を示し、この非動作状態で移動ベース42と従動ベース46は図10の矢印X2方向の末端位置である初期位置で停止しており、当該位置を退避位置と呼ぶと、シャフト47の両ピニオン49は退避位置で上下のラック42bの前端部と噛合している。この場合、図9に示すように、4つの可動片43のそれぞれに一体化された各ガイドピン57bは対応するガイド溝40aの後端部(X2方向の端部)と係合しており、各可動片43は自身の回転中心とガイドピン57bによって規定される所定の姿勢で停止している。また、従動ベース46の伝達ピン46aは伝達部材52の凹部52bの前端面W1と当接しており、従動ベース46に設けられた4つの第2照光体66は対応する4つの可動片43と前後方向に重なった状態で停止している。したがって、前方から遊技者が可動役物装置38を見たとき、可動片43(第1照光体54)と第2照光体66の先端部は視認できるが、それ以外のほとんどの表面部分は前面ベース44で覆われて視認されないようになっている。
この状態でモータ41に通電して一方向へ始動させると、モータ41の回転が両アイドルギア50,48を介してシャフト47に伝達された後、シャフト47の回転がピニオン49とラック42bの噛合箇所を介して移動ベース42へと伝達されるため、移動ベース42が退避位置から表示画面27aの中央部に向かって矢印X1方向へ移動し始める。その結果、移動ベース42に回転可能に保持された可動片43も矢印X1方向へ移動し、ガイドピン57bがガイド溝40aの後端部から前端部に向かって移動する。その際、可動片43の回転中心(支軸54aの中心)は矢印X1方向へ移動するが、ガイド溝40aは移動ベース42の移動方向(直線X1−X2)に対して交差しているため、移動ベース42が矢印X1方向へ移動すると、可動片43はガイドピン57bのガイド溝40に沿った移動に応じて軸孔42aを中心に回転しながら姿勢を変えていく。
そして、ピニオン49がラック42bの後端部まで移行した時点でモータ41の回転を停止すると、図17〜図21に示すように、移動ベース42は矢印X1方向の末端位置まで移動して停止する。当該位置を突出位置と呼ぶと、この突出位置でガイドピン57bはガイド溝40aの前端部(X1方向の端部)と係合しており、各可動片43は互いの先端部を近接させた姿勢で前面ベース44から突出する。これにより、前面ベース44の裏側に隠れていた4つの可動片43を表示画面27a内に突出させるという直線的な動きに、突出量が大きくなるにつれて各可動片43の先端側を次第に近付けるという回転動作が付加されるため、インパクトが高く斬新な可動演出を行うことができる。
また、このようにして移動ベース42が退避位置から突出位置に向かって移動し始めると、まず、伝達部材52の凹部52bの前端面W1が伝達ピン46aから離れ、移動ベース42が矢印X1方向へ所定量だけ移動した後、凹部52bの後端面W2が伝達ピン46aに当接する。すなわち、この間は移動ベース42から従動ベース46へ動力伝達が行われない不感帯領域S(遊び領域)であるため、従動ベース46は退避位置に停止したまま移動せず、各第2照光体66は先端側の一部を除くほとんどが前面ベース44に覆い隠された状態を維持する。そして、伝達ピン46aが凹部52bの後端面W2に当接した後、さらに移動ベース42が矢印X1方向へ移動すると、移動ベース42の動きが伝達部材52と伝達ピン46aを介して従動ベース46へ伝達されるため、従動ベース46が移動ベース42と一緒に突出位置へと移動し、各第2照光体66が先に前面ベース44から突出するように移動している可動片43の前方を覆うように遅れたタイミングで重なる。その際、図19と図21から明らかなように、第2照光体66の先端位置よりも可動片43の先端位置がX1方向(表示画面27aの中央部寄り)へ突出しており、可動片43(第1照光体54)の先端部を含む大部分は第2照光体66に覆われることなく露出した状態となっている。これにより、前面ベース44から段階的に前後方向の位相差を持って配置された第1照光体54と第2照光体66とにおける先端部の突出量(左右位置)を異ならせて左右突出方向の位相差を持たせると共に、第1照光体54から出射したリフレクタ55の反射光γ4を第2照光体66の光拡散面66aを透過して前方へ出射させて、第1照光体54の表面に比べて第2照光体66の表面に反射光付加の煌めき変化を与えることにより、LED63の光が第1照光体54に向けて照射される前面ベース44から表示画面27aに至る前後方向の奥行き感を、役物配置関係および発光態様に基づき効果的に高めて表現できるようにしている。
本実施形態例の場合、一対の可動役物装置38が可変表示装置27の表示画面27aの左右両側に配設されているため、複数の可動片43と第2照光体66を表示画面27aの側方から中央部に向けて突出させるという可動演出を行うことができる。また、図23に示すように、これら一対の可動役物装置38と可動物ユニット26とを同時に動作させることにより、表示画面27aの中央部に落下した可動物ユニット26を挟むように可動片43と第2照光体66が両側から近付いていく、というダイナミックな可動演出を行うことができる。
一方、移動ベース42が突出位置にあるときにモータ41を上記と反対方向へ回転すると、まず、移動ベース42だけが突出位置から矢印X2方向に向かって移動し、伝達ピン46aが凹部52bの後端面W2から離れて前端面W1に当接すると、その後は移動ベース42と従動ベース46が一緒に退避位置まで移動する。その結果、各可動片43が元の姿勢に戻って停止すると共に、各第2照光体66が対応する可動片43の前方に重なった状態で停止し、これら可動片43と第2照光体66は再び前面ベース44の裏側に隠れて見えなくなる。
また、移動ベース42が退避位置と突出位置との間を移動しているとき、あるいは移動ベース42が突出位置で停止しているときに、配線基板45の各LED63,64に電力を供給すると、配線基板45の表面側に実装されたLED63の光によって前面ベース44の第1装飾板58と第2装飾板59を照光することができると共に、配線基板45の裏面側に実装されたLED64(64a)の光によって可動片43の第1照光体54と第2照光体66を照光することができる。
ここで、可動片43は第1照光体54とその背面を覆うリフレクタ55とで構成されており、椀状の第1照光体54と第2照光体66の表面がそれぞれ凹凸形状の光拡散面54b,66aとなっているので、配線基板45の裏面側に実装されたLED64の光は、透明板60と第2照光体66を透過して第1照光体54に入射した後、リフレクタ55の反射面55bで拡散反射して第1照光体54から出射することになる。
これを図22を参照して詳細に説明すると、配線基板45の裏面側に実装された各LED63に電力が供給されると、各LED63から所定の指向角を有する照射光γ1が透明板60に向けて出射され、これら照射光γ1が透明板60を透過して第2照光体66の外表面に照射される。第2照光体66の外表面に照射された照射光γ1は、第2照光体66を透過する際に表裏両面の光拡散面66aで光拡散された後、符号γ2で示すように第1照光体54(可動片43)の外表面に照射される。この照射光γ2は、第1照光体54を透過する際に表裏両面の光拡散面54bで光拡散された後、符号γ3で示すように可動片43内の閉鎖空間βを通ってリフレクタ55の反射面55bに照射される。リフレクタ55の反射面55bに照射された照射光γ3は、反射面55bで乱反射して閉鎖空間βに戻って第1照光体54の裏面に照射され、第1照光体54を透過する際に再び光拡散面54bで光拡散された後、符号γ4で示すように第1照光体54の外表面から前方へ照射される。その際、第2照光体66と第1照光体54(可動片43)が前後方向(F1−F2方向)に重なっている箇所においては、第1照光体54から出射した反射光γ4が第2照光体66の裏面に向けて照射されるため、この反射光γ4が第2照光体66を透過する際に再び光拡散面66aで光拡散された後、第2照光体66の外表面から前方へ照射されることになる。
したがって、図19に示すように、可動片43(第1照光体54)と第2照光体66の両方が前面ベース44から突出しているとき、第2照光体66と重ならずに露出している可動片43の先端部分については、第1照光体54から出射したリフレクタ55の反射光γ4がそのまま遊技者に向けて照射されるため、可動片43の先端部分を恰もガラスの破片のようにギラギラと照光させることができる。一方、可動片43の後端部に重なっている第2照光体66については、第1照光体54から出射したリフレクタ55の反射光γ4が第2照光体66の光拡散面66aを透過して前方へ出射することにより、この第2照光体66もガラスの破片のようにギラギラと照光させることができる。このとき、配線基板45の外縁部に実装された側面発光タイプのLED64aを同時に点灯すると、このLED64aの光が第1照光体54と第2照光体66に対して斜め前方から照射されることで、第1照光体54と第2照光体66の先端側のギラギラ感を増すことができる。
なお、かかる第1照光体54と第2照光体66の照光動作は移動ベース42の移動途中や停止時に行われ、例えば、伝達ピン46aが凹部52bの前後両端面W1,W2と当接しない不感帯領域Sで移動ベース42を往復移動させると、第2照光体66を隠したまま可動片43だけを前面ベース44から出入させることができるが、このときにLED64を点灯すると、ギラギラと照光する可動片43が前面ベース44から出たり入ったりする、という斬新な照光演出と可動演出を実現することができる。あるいは、移動ベース42が突出位置の近傍を移動中や突出位置で停止したときにLED64を点灯すると、前述したように、第1照光体54と第2照光体66の両方をギラギラと照光させることができる。したがって、第1照光体54(可動片43)が前面ベース44に覆われた退避位置(初期位置)から表示画面27aの中高部に向かって突出する突出位置に移動する際に、前面ベース44側の配線基板45に実装されて移動しない各LED63からの照射光によって、スライド動作と回転動作を伴って複雑に移動する第1照光体54の外表面全体を明暗差を感じさせずに均一に発光させることができる。
以上説明したように、本実施形態例に係る可動役物装置38は、移動ベース42に回転可能に保持された複数の可動片43が自身の回転中心(支軸54aの中心)から離間する偏心位置にガイドピン57bを有しており、支持ベース(ベース部材)40に設けられた複数のガイド溝40aに各可動片43のガイドピン57bが摺動可能に挿入されていると共に、これらガイド溝40aが移動ベース42の移動方向(直線X1−X2方向)に対して交差しているため、移動ベース42が退避位置から突出位置に向かって移動するとき、可動片43の回転中心は移動ベース42の移動方向と平行に移動するが、可動片43のガイドピン57bはガイド溝40aに沿って斜めに移動することになり、複数の可動片43を退避位置と突出位置との間で姿勢を変化させながら往復移動させるという、インパクトの高い可動態様を実現することができる。
また、移動ベース42の前方に従動ベース46が配置され、この従動ベース46に各可動片43と重なるように複数の第2照光体(突出片)66が設けられていると共に、移動ベース42に連動して従動ベース46が退避位置と突出位置との間を移動可能となっているため、移動ベース42に保持された各可動片43と従動ベース46に設けられた各第2照光体66との動きによって、インパクトの高い可動演出を行うことができる。しかも、移動ベース42と従動ベース46は常に一体的に移動するわけではなく、移動ベース42の凹部52bと従動ベース46の伝達ピン46aとが非接触状態にある間だけ、移動ベース42から従動ベース46へ動力伝達が行われないため、従動ベース46を停止させたまま移動ベース42だけを移動させることができる。したがって、移動ベース42を退避位置から突出位置に向かって所定量だけ移動した後、突出位置よりも手前側で左右方向へ小刻みに往復移動させると、従動ベース46に設けた第2照光体66を前面ベース44の裏面側に隠したまま、移動ベース42に保持した可動片43だけが前面ベース44から小刻みに出入りする、という斬新な照光演出と可動演出を実現することができる。
また、移動ベース42の上下端部に平行に対向する一対のラック42bが設けられており、支持ベース(ベース部材)40にモータ41に連動して回転するシャフト47が支持されていると共に、このシャフト47の両端部に固着されたピニオン49がラック42bに噛合しており、シャフト47の回転に基づいてラック42bを介して移動ベース42が往復移動するようになっているため、移動ベース42が上下方向に比較的長いものであるのにも拘わらず、この移動ベース42を捻れを生じることなくスムーズに移動することができる。
また、各ガイド溝40aが移動ベース42の移動方向に対して異なる角度で交差する直線状ガイド溝であり、そのうち、中央側のガイド溝40aよりも上下両端側のガイド溝40aの方が大きな交差角度に設定されているので、各可動片43が回転しながら放射状の姿勢になるという動きを実現できる。かかる動きを別の表現で説明すると、4つの可動片43が表示画面27aの中央部に向かう方向へ移動するのに連れて、片手の4本指を開いた形状から各指の間隔を閉じ合わせた手刀形状に変化するという可動態様である。ただし、各ガイド溝40aの延出方向は可動片43の動きを考慮して任意に設定可能であり、例えば、上記した可動態様と反対の動きを実現する場合は、図9において最上段と2段目のガイド溝40aを右上がりにすると共に、3段目と最下段のガイド溝40aを右下がりにすれば良い。また、中央側のガイド溝40aだけを移動ベース42の移動方向と平行に設定したり、幾つかのガイド溝40aの交差角度を同じに設定しても良く、あるいは、ガイド溝40aを直線状ガイド溝とする代わりに、緩やかなカーブを描く円弧状ガイド溝とすることも可能である。
また、本実施形態例では、一対の可動役物装置38を可変表示装置27の表示画面27aの左右両側に配設し、これら可動役物装置38に備えられるそれぞれの移動ベース42が退避位置から突出位置に向かって移動するとき、左右の各可動片43がそれぞれの先端部を近付けるように回転するようになっているので、左右両側から複数の可動片43が表示画面27aの中心に向かって突出する、という斬新でインパクトの高い可動態様を実現することができる。ただし、可動役物装置38の配設場所は適宜に設定可能であり、例えば、表示画面27aの左右いずれか一方にのみ廃止したり、表示画面27aの上方位置や下方位置等に配置することも可能である。
なお、上記実施形態例では、可動片43の回転軸である支軸54aに中継片57をネジ止め固定し、この中継片57にガイド溝40aと係合するガイドピン57bを設けた場合について説明したが、可動片43にガイドピン57bを一体的に設けることも可能であり、要は、可動片43の回転中心から離間する位置にガイドピンが設けられていれば良い。
また、上記実施形態例では、本発明による可動役物装置38をパチンコ機に適用した場合について説明したが、スロットマシン等の他の遊技機に適用することも可能である。