(第1実施形態)
図1から図4を参照して、第1実施形態に係るX線CT装置1の構成について説明する。なお、本実施形態においては、「画像」と「画像データ」を同一視する場合がある。
<装置構成>
図1に示すように、X線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを含んで構成されている。また、X線CT装置1とは別に心電計50が設けられている。
[架台装置]
架台装置10は、被検体Eに対してX線を曝射し、被検体Eを透過した当該X線の検出データを収集する装置である。架台装置10は、X線発生部11と、X線検出部12と、回転体13と、高電圧発生部14と、架台駆動部15と、X線絞り部16と、絞り駆動部17と、データ収集部18とを有する。
X線発生部11は、X線を発生させるX線管球(たとえば、円錐状や角錐状のビームを発生する真空管。図示なし)を含んで構成されている。発生したX線は被検体Eに対して曝射される。すなわち、X線発生部11は、被検体Eに対してX線を曝射する。
X線検出部12は、複数のX線検出素子(図示なし)を含んで構成されている。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線の強度分布を示すX線強度分布データ(以下、「検出データ」という場合がある)をX線検出素子で検出し、その検出データを電流信号として出力する。すなわち、X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出し、検出データを出力する。X線検出部12は、たとえば、検出素子が互いに直交する2方向(スライス方向とチャンネル方向)にそれぞれ複数配置された2次元のX線検出器(面検出器)が用いられる。複数のX線検出素子は、たとえば、スライス方向に沿って320列設けられている。このように多列のX線検出器を用いることにより、1回転のスキャンでスライス方向に幅を有する3次元の撮影領域を撮影することができる(ボリュームスキャン)。なお、スライス方向は被検体Eの体軸方向に相当し、チャンネル方向はX線発生部11の回転方向に相当する。
回転体13は、X線発生部11とX線検出部12とを被検体Eを挟んで対向するよう支持する部材である。回転体13は、スライス方向に貫通した開口部13aを有する。架台装置10内において、回転体13は、被検体Eを中心とした円軌道で回転するよう配置されている。
高電圧発生部14は、X線発生部11に対して高電圧を印加する。X線発生部11は、当該高電圧に基づいてX線を発生させる。架台駆動部15は、回転体13を回転駆動させる。X線絞り部16は、所定幅のスリット(開口)を有し、スリットの幅を変えることで、X線発生部11から曝射されたX線のファン角(チャンネル方向の広がり角)とX線のコーン角(スライス方向の広がり角)とを調整する。絞り駆動部17は、X線発生部11で発生したX線が所定の形状となるようX線絞り部16を駆動させる。
データ収集部18(DAS:Data Acquisition System)は、X線検出部12(各X線検出素子)からの検出データを収集する。また、データ収集部18は、収集した検出データ(電流信号)を電圧信号に変換し、この電圧信号を周期的に積分して増幅し、デジタル信号に変換する。そして、データ収集部18は、デジタル信号に変換された検出データをコンソール装置40(画像処理部41(後述))に送信する。
[寝台装置]
寝台装置30は、撮影対象の被検体Eを載置・移動させる装置である。寝台装置30は、寝台31と寝台駆動部32とを備えている。寝台31は、被検体Eを載置するための寝台天板33と、寝台天板33を支持する基台34とを備えている。寝台天板33は、寝台駆動部32によって被検体Eの体軸方向及び体軸方向に直交する方向に移動することが可能となっている。すなわち、寝台駆動部32は、被検体Eが載置された寝台天板33を、回転体13の開口部13aに対して挿抜させることができる。基台34は、寝台駆動部32によって寝台天板33を上下方向(被検体Eの体軸方向と直交する方向)に移動させることが可能となっている。
[コンソール装置]
コンソール装置40は、X線CT装置1に対する操作入力に用いられる。また、コンソール装置40は、架台装置10によって収集された検出データから被検体Eの内部形態を表すCT画像データ(断層画像データやボリュームデータ)を再構成する機能等を有している。コンソール装置40は、画像処理部41と、設定部42と、監視部43と、処理部44と、スキャン制御部45と、入力部46と、記憶部47と、表示部48と、制御部49とを含んで構成されている。
画像処理部41、設定部42、監視部43、処理部44、スキャン制御部45及び制御部49は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの図示しない処理装置と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)や、又はHDD(Hard Disc Drive)などの図示しない記憶装置とによって構成されている。記憶装置には、各部の機能を実行するための制御プログラムが記憶されている。CPUなどの処理装置が、記憶装置に記憶されている各プログラムを実行することで各部の機能を実行する。
画像処理部41は、架台装置10(データ収集部18)から送信された検出データに対して各種処理を実行する。画像処理部41は、前処理部41aと、再構成処理部41bと、レンダリング処理部41cとを含んで構成されている。
前処理部41aは、架台装置10(X線検出部12)で検出された検出データに対して対数変換処理、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正等の前処理を行い、投影データを作成する。
再構成処理部41bは、前処理部41aで作成された投影データに基づいて、CT画像データ(2次元の断層画像データや3次元のボリュームデータ)を作成する。断層画像データの再構成には、たとえば、2次元フーリエ変換法、コンボリューション・バックプロジェクション法等、任意の方法を採用することができる。ボリュームデータは、再構成された複数の断層画像データを補間処理することにより作成される。ボリュームデータの再構成には、たとえば、コーンビーム再構成法、マルチスライス再構成法、拡大再構成法等、任意の方法を採用することができる。上述のように多列のX線検出器を用いたボリュームスキャンにより、広範囲のボリュームデータを再構成することができる。
レンダリング処理部41cは、再構成処理部41bで作成されたボリュームデータに対するレンダリング処理を行う。たとえば、レンダリング処理部41cは、再構成処理部41bで作成されたボリュームデータを任意の方向にレンダリングすることによりMPR表示する。
設定部42は、検出データに基づくCT画像に対して、関心領域を設定する。「関心領域」とは、CT画像において注目すべき部分である。たとえば、造影検査を行う場合には、造影の対象となる部位を含むCT画像の領域を関心領域とする。
関心領域の設定の具体例について述べる。たとえば、表示部48に表示されたCT画像に対し、操作者は入力部46により注目する領域を指定する。設定部42は、指定されたCT画像の領域(画素)を関心領域として設定する。なお、本実施形態において、関心領域を設定するCT画像は2次元画像であるとする。また、設定される関心領域は、一つでも複数でもよい。
監視部43は、被検体Eに造影剤を注入した後に行われるプレップスキャンにより得られる時系列のCT画像に基づいて、設定部42により設定された関心領域のCT値の変化を監視する。プレップスキャンにより得られる時系列のCT画像、及び関心領域を設定するために用いたCT画像は、被検体Eの同じ位置をスキャンして得られたものである。
具体的には、監視部43は、プレップスキャンにより得られるCT画像から設定部42により設定された関心領域に対応する画素のCT値を抽出し、その平均値(或いは合計値でも可)を算出する。平均値(合計値)は、関心領域における造影剤の濃度を反映した値である。監視部43は、予め設定された閾値と算出されたCT値の平均値とを比較する。「閾値」は、関心領域内に造影剤が浸透しているかどうかを判断するための値である。関心領域のCT値の平均値が閾値を超える場合、関心領域には、造影検査が可能な程度に造影剤が浸透している。この場合、監視部43は、プレップスキャンを停止させる信号をスキャン制御部45に送る。逆に、関心領域のCT値の平均値が閾値を超えていない場合、関心領域には、造影検査が可能な程度に造影剤が浸透していない。この場合、監視部43は、プレップスキャンにより得られる新たなCT画像に対して上記と同様の処理を行う。本実施形態において、プレップスキャンにより得られる時系列のCT画像は、2次元画像である。2次元画像を監視することにより、造影剤の浸透度合いを2次元的に確認することができる。
なお、関心領域を設定するために用いるCT画像は、関心領域が識別可能な画像であればよい。つまり、関心領域を設定するために用いるCT画像は、プレップスキャンで得られるCT画像でもよいし、プレップスキャンとは別のタイミングで行われたスキャン(たとえば、過去に被検体Eの同じ位置をスキャンして得られたCT画像や、寝台の位置決めのための予備スキャン等)により得られるCT画像でもよい。
処理部44は、プレップスキャンの結果と心電計50で取得される心電図に基づいて処理を行う。処理部44は、算出部44aと、決定部44bとを含んで構成されている。
算出部44aは、プレップスキャンにより得られる時系列のCT画像に基づいて、関心領域の動きを示す変位量を算出する。たとえば、心臓に対してプレップスキャンを行う場合、得られるCT画像には心拍の影響が生じる。つまり、CT画像における関心領域の位置はCT画像を取得する時刻により変動する。そこで、算出部44aは、プレップスキャンによる1枚目のCT画像における関心領域の位置を基準とし、それ以降のプレップスキャンによるCT画像における関心領域の位置の変動を変位量として算出する。算出部44aは、算出された変位量とプレップスキャンが行われた時間(CT画像が取得された時間)とを関連付けたデータを記憶部47に送る。記憶部47は、当該データを記憶する。上述の通り、本実施形態において、プレップスキャンにより得られる時系列のCT画像は、2次元画像である。よって、算出部44aは、関心領域の2次元的な動き(たとえば、心臓の拡張・収縮)を示す変位量を算出することができる。なお、本実施形態において、「関心領域の動き」と「被検体Eの動き」とは同一であるものとする。
ここで、心臓は心拍に応じて周期的な動きを繰り返す。従って、関心領域として心臓(或いは心拍の影響がある部位)が設定された場合、算出部44aは、少なくとも一心拍分のCT画像に基づいて変位量を算出することが望ましい。通常、被検体Eに造影剤を注入してから対象臓器に造影剤が浸透するまで約4〜5秒かかる。すなわち、プレップスキャンも約4〜5秒間行われる。一方、一心拍は、それよりも短い(約0.8〜1.0秒)。よって、算出部44aは、プレップスキャンにより得られるCT画像に基づいて、一心拍の間における変位量を算出することができる。
また、関心領域の動きを示す変位量の算出方法としては上述の方法に限られない。たとえば、超音波診断装置における壁運動解析の手法(たとえば、特開2007−319190号公報)等、公知の手法を応用することができる。
決定部44bは、変位量及びプレップスキャンと並行して記録される被検体Eの心電図に基づいて、X線の曝射の切り換えタイミングを決定する。「切り換えタイミング」は、X線の曝射を切り換える時刻である。心電図は、プレップスキャンと並行して記録される。つまり、プレップスキャンの時間軸と心電図の時間軸は同期されている。また、心電図の取得は、プレップスキャンの終了後も本スキャンの終了まで継続して行われる。
決定部44bは、特定部441bと、検出部442bとを含んで構成されている。
特定部441bは、算出された変位量に基づいて、関心領域の動きが小さい期間を特定する。「関心領域の動きが小さい期間」とは、変位量の変動が小さい期間である。つまり、この期間に取得される検出データは、動きの影響が少ないデータであるため、CT画像の再構成に適している。また、この期間にX線を曝射することにより、無駄な被曝を低減することができる。なお、期間は、時間に基づいて決定してもよいし、位相に基づいて決定してもよい。
具体例として、特定部441bは、算出部44aで算出された変位量とプレップスキャンが行われた時間とが関連付けられたデータを所定の閾値と比較し、閾値以下の範囲を関心領域の動きが小さい期間であると特定する。ここでの「閾値」は、関心領域の動きの程度(動きが大きいか、小さいか)を判断するための値である。
検出部442bは、心電図に基づいて所定位相を検出する。具体的には、検出部442bは、心電図に示される心電波形における所定位相を検出する。なお、心電図においては、R波が最も特徴的に表れる。よって、検出部442bは、R波が検出される位相を所定位相として検出することができる。
更に、本実施形態において、決定部44bは、検出された所定位相を基準とした関心領域の動きが小さい期間の始期を切り換えタイミングとして求める。
決定部44bの具体的な処理について図3Aを参照して説明する。図3Aの上段は、関心領域の変位量とプレップスキャンが行われた時間とを関連付けたデータ(グラフG1)である。図3Aの下段は、心電図のデータ(グラフG2)である。それぞれのグラフの横軸は時間を示す。グラフG1の縦軸は、関心領域の変位量を示す。グラフG2の縦軸は、電圧を示す。以下、所定位相としてR波を基準とする場合について述べる。
まず、特定部441bは、グラフG1に基づいて、動きの小さい期間Tsを特定する(図3AのグラフG1参照)。また、検出部442bは、プレップスキャンと並行して記録された心電図のグラフG2から所定位相(R波R1)の時刻t0を検出する。
決定部44bは、時刻t0を基準とし、動きの小さい期間Tsのうち時刻t0に最も近い時刻t1を動きの小さい期間の始期IT、すなわち、切り換えタイミングであるとする。また、決定部44bは、時刻t0から時刻t1までの時間T1を、R波発生から動きの小さい期間の始期ITに至るまでの時間(R波発生から切り換えタイミングまでの時間)として求める。時間T1は、記憶部47に記憶される。
なお、プレップスキャンにより得られるCT画像間の変位量の変動のばらつきは大きくなる場合が多い。よって、グラフG1は、変動のばらつきを抑えるために移動平均を取った値を示している。移動平均は、たとえば、ある時刻でのCT画像を基準として前後2枚ずつのCT画像との平均を取ることにより算出する。
スキャン制御部45は、X線スキャンに関する各種動作を制御する。たとえば、スキャン制御部45は、回転体13を回転駆動させるよう架台駆動部15を制御する。スキャン制御部45は、X線絞り部16を動作させるよう絞り駆動部17を制御する。スキャン制御部45は、寝台31を移動させるよう寝台駆動部32を制御する。
また、スキャン制御部45は、監視部43により関心領域のCT値が所定の閾値を超えたと判断された後、決定された切り換えタイミングと被検体Eの心電図とに基づいてX線発生部11を制御する。
更に、本実施形態におけるスキャン制御部45は、心電図に基づいて始期の到来を検知してX線発生部11にX線を曝射させる制御を行う。
スキャン制御部45の具体的な処理について図3Bを参照して説明する。図3Bは、心電図のグラフG2である。図3Aと同様、横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示す。
スキャン制御部45は、監視部43からプレップスキャン停止の信号Oを受ける。その後、スキャン制御部45は、継続して記録されている心電図における所定位相(R波Rn)を検出する。そして、スキャン制御部45は、R波Rnの発生(時刻tn)からの経過時間を測定する。スキャン制御部45は、R波Rnの発生(時刻tn)からの経過時間が時間T1になった場合、始期ITが到来したとしてX線発生部11にX線を曝射させる制御を行う(スキャン制御部45は、本スキャンを開始させる)。
なお、スキャン制御部45は、始期ITの到来と同時にX線の曝射を開始しなくともよい。すなわち、動きの小さい期間Ts中に本スキャンが完了すれば、被検体Eの動きの影響が低減されたCT画像を得ることができる。
上記例では、スキャン制御部45が始期ITの到来に応じてX線の曝射を行う構成について述べたが、スキャン制御部45の構成は、これに限られない。たとえば、X線発生部11(X線管球)は、電圧を印加してから安定するまでに一定の時間が必要となる。よって、X線発生部11の動作を完全に停止している場合には、切り換えタイミングが到来した場合であってもすぐに本スキャンを行うことができない(X線を曝射できない)可能性もある。そこで、スキャン制御部45は、プレップスキャンの終了後も、プレップスキャンと同様の低線量のままX線を曝射し続けるようX線発生部11を制御する。そして、始期ITの到来を検知した場合、スキャン制御部45は、X線発生部11におけるX線発生強度を本スキャンに必要な強度まで増大させる制御を行うことも可能である。
入力部46は、コンソール装置40に対する各種操作を行う入力デバイスとして用いられる。入力部46は、たとえばキーボード、マウス、トラックボール、ジョイスティック等により構成される。また、入力部46として、表示部48に表示されたGUI(Graphical User Interface)を用いることも可能である。
記憶部47は、RAMやROM等の半導体記憶装置によって構成される。記憶部47は、検出データや投影データ、或いは再構成処理後のCT画像データ等を記憶する。
表示部48は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等の任意の表示デバイスによって構成される。たとえば、表示部48には、再構成処理されたCT画像が表示される。
制御部49は、架台装置10、寝台装置30およびコンソール装置40の動作を制御することによって、X線CT装置1の全体制御を行う。たとえば、制御部49は、画像処理部41を制御することで、検出データに対する各種処理(前処理、再構成処理、MPR処理等)を行わせる。或いは、制御部49は、画像表示に関する各種制御を行う。たとえば、制御部49は、記憶部47に記憶された画像データ等に基づき、CT画像を表示部48に表示させる。
[心電計]
心電計50は、被検体Eに接続され、被検体Eの心拍により生じる微弱な電気信号を検出する。心電計50は、検出された電気信号の時間変化を心電図として出力する。
<動作>
次に、図4を参照して、本実施形態に係るX線CT装置1の動作について説明する。ここでは、被検体Eに対して造影剤を注入し、心臓に対してプレップスキャン及び本スキャンを行う場合について述べる。
まず、設定部42は、予め取得されたCT画像に対して、関心領域を設定する(S10)。その後、被検体Eに対して造影剤を注入し、プレップスキャンが開始される。
具体的に、X線発生部11は、関心領域を設定したCT画像が取得された被検体Eの位置と同じ位置においてプレップスキャンを行う(X線発生部11は、X線を曝射する)。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出し、その検出データを取得する(S11)。X線検出部12で検出された検出データは、データ収集部18で収集され、画像処理部41(前処理部41a)に送られる。
前処理部41aは、S11で取得された検出データに対して、対数変換処理、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正等の前処理を行い、投影データを作成する。そして、再構成処理部41bは、作成された投影データに基づいて、一枚のCT画像データ(2次元の断層画像データ)を作成する(S12)。
監視部43は、S12で作成されたCT画像データ中の関心領域のCT値の変化を監視する(S13)。
関心領域のCT値が閾値を超えたと判断された場合(S14でYの場合)、監視部43は、プレップスキャンを停止させる信号をスキャン制御部45に送る(S15)。スキャン制御部45は、S15における信号に基づいてプレップスキャンを停止させる。
逆に、関心領域のCT値が閾値を超えていないと判断された場合(S14でNの場合)には、X線検出部12は、検出データの取得等を継続して行う(X線CT装置1は、S11〜S13までの処理を繰り返す)。
一方、算出部44aは、S12で得られた時系列のCT画像データに基づいて、関心領域の動きを示す変位量を算出する(S16)。
特定部441bは、S16で算出された変位量に基づいて、関心領域の動きが小さい期間Tsを特定する(S17)。
決定部44bは、検出部442bで検出された所定位相(R波R1)を基準とした期間の始期ITを切り換えタイミングとして決定する(S18)。また、決定部44bは、R波R1から始期ITまでの時間T1を、R波発生から切り換えタイミングまでの時間として求める。
スキャン制御部45は、S15において監視部43から送信された信号を受けた後、心電図における所定位相(R波Rn)を検出する。スキャン制御部45は、R波Rnの発生からの経過時間を測定する。スキャン制御部45は、R波Rnの発生からの経過時間が時間T1になった場合、始期ITが到来したとしてX線発生部11にX線を曝射させる(S19。本スキャンの開始)。
なお、上記動作では、心拍の一周期における本スキャンの例を述べたが、本スキャンを連続して行う場合も同様である。すなわち、スキャン制御部45は、R波Rnの次の位相(R波Rn+1)を検知し、その位相を基準として経過時間を計測する。そして、スキャン制御部45は、R波Rn+1の発生からの経過時間が時間T1になった場合、本スキャンを行う。このように、連続して本スキャンを行う場合であっても、本実施形態のX線CT装置1を用いることが可能である。
<作用・効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態のX線CT装置1は、X線発生部11と、X線検出部12と、設定部42と、監視部43と、算出部44aと、決定部44bと、スキャン制御部45とを有する。X線発生部11は、被検体Eに対してX線を曝射する。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出し、検出データを出力する。設定部42は、検出データに基づくCT画像に対して、関心領域を設定する。監視部43は、被検体Eに造影剤を注入した後に行われるプレップスキャンにより得られる時系列のCT画像に基づいて、設定部42により設定された関心領域のCT値の変化を監視する。算出部44aは、プレップスキャンにより得られる時系列のCT画像に基づいて、関心領域の動きを示す変位量を算出する。決定部44bは、変位量及びプレップスキャンと並行して記録される被検体Eの心電図に基づいて、X線の曝射の切り換えタイミングを決定する。スキャン制御部45は、監視部43により関心領域のCT値が所定の閾値を超えたと判断された後、決定された切り換えタイミングと被検体Eの心電図とに基づいてX線発生部11を制御する。
このように、本実施形態のX線CT装置1は、プレップスキャンにより得られる時系列のCT画像を、関心領域のCT値の変化の監視だけでなく、関心領域の動きを示す変位量の算出にも用いる。すなわち、本実施形態のX線CT装置1は、プレップスキャンにより得られる検出データ(CT画像)を有効に活用することができる。また、本実施形態のX線CT装置1は、関心領域の動きを示す変位量及び心電図に基づいてX線の曝射の切り換えタイミングを決定することができる。従って、本実施形態のX線CT装置1は、被検体Eの動きの影響を低減したスキャンが可能となる。すなわち、本実施形態のX線CT装置1は、被検体Eの動きの影響が低減されたCT画像を得ることができる。更に、本実施形態のX線CT装置1は、曝射の切り換えタイミングを決定することで、不要な曝射(たとえば、関心領域の動きが大きい場合の曝射)を抑えることができる。すなわち、本実施形態のX線CT装置1は、被曝を低減させることができる。
具体的に、本実施形態のX線CT装置1における決定部44bは、切り換えタイミングとして、心電図における所定位相からの時間を求める。また、決定部44bは、特定部441bと、検出部442bとを有する。特定部441bは、算出された変位量に基づいて、関心領域の動きが小さい期間を特定する。検出部442bは、心電図に基づいて所定位相を検出する。決定部44bは、検出された所定位相を基準とした期間の始期ITを切り換えタイミングとして求める。スキャン制御部45は、心電図に基づいて始期ITの到来を検知してX線発生部11にX線を曝射させる制御を行う。
このように、本実施形態のX線CT装置1は、関心領域の動きが小さい期間を特定し、所定位相を基準としたその期間の始期ITからX線の曝射を行う。よって、本実施形態のX線CT装置1は、関心領域の動きが小さい期間にX線を曝射するため、得られる検出データは被検体Eの動きの影響が低減されたものとなる。すなわち、本実施形態のX線CT装置1は、被検体Eの動きの影響が低減されたCT画像を得ることができる。更に、本実施形態のX線CT装置1は、関心領域の動きが小さい期間の始期ITを基準としてX線の曝射を行うことで不要な曝射(関心領域の動きが大きい場合の曝射)を抑えることができる。すなわち、本実施形態のX線CT装置1は、被曝を低減させることができる。
或いは、本実施形態のX線CT装置1における決定部44bは、特定部441bと、検出部442bとを有する。特定部441bは、算出された変位量に基づいて、関心領域の動きが小さい期間を特定する。検出部442bは、心電図に基づいて所定位相を検出する。決定部44bは、検出された所定位相を基準とした期間の始期ITを切り換えタイミングとして求める。スキャン制御部45は、心電図に基づいて始期ITの到来を検知してX線発生部11によるX線発生強度を増大させる制御を行う。
このように、関心領域の動きが小さい期間を特定し、関心領域の動きが小さい期間の始期ITを基準としてX線の発生強度を増大させる。よって、動きの小さい場合に強い強度のX線を曝射するため、得られる検出データは被検体Eの動きの影響が低減されたものとなる。すなわち、本実施形態のX線CT装置1は、被検体Eの動きの影響が低減されたCT画像を得ることができる。更に、本実施形態のX線CT装置1は、プレップスキャンの終了後もX線発生部11を完全に停止せない。従って、X線発生部11に電圧を印加してから安定するまでの時間を考慮する必要がない。また、常に一定線量のX線を曝射し続ける場合に比べ、被曝を低減することも可能である。
また、本実施形態のX線CT装置1における決定部44bは、心電図においてR波が検出される位相を所定位相として、切り換えタイミングを決定する。
R波は心電図において最も特徴的な波である。よって、R波の位相を所定位相とすることにより、切り換えタイミングを容易に決定することが可能となる。
また、本実施形態のX線CT装置1における算出部44aは、少なくとも被検体Eの心臓の一心拍における変位量を算出する。
心臓は心拍に伴い周期的な動きを繰り返す。よって、一周期分の変位量を算出することにより、心臓の周期的な動き(動きの小さい期間及び動きの大きい期間)を特定することができる。
(第2実施形態)
次に、図5A〜図6を参照して、第2実施形態に係るX線CT装置1の構成について説明する。本実施形態は、関心領域の動きが小さい期間の終期を切り換えタイミングとする構成について述べる。なお、第1実施形態と同様の構成等については、詳細な説明を省略する場合がある。
本実施形態における決定部44bは、検出された所定位相を基準とした関心領域の動きが小さい期間の終期を切り換えタイミングとして求める。
決定部44bの具体的な処理について図5Aを参照して説明する。図5Aに示すグラフG1及びグラフG2は、第1実施形態の図3Aと同様である。以下、所定位相としてR波を基準とする場合について述べる。
まず、特定部441bは、グラフG1に基づいて、動きの小さい期間Tsを特定する。また、検出部442bは、プレップスキャンと並行して記録された心電図のグラフG2から所定位相(R波R1)の時刻t0を検出する。
決定部44bは、時刻t0を基準とし、動きの小さい期間Tsのうち時刻t0から最も遠い時刻t2を動きの小さい期間の終期ET、すなわち、切り換えタイミングであるとする。また、決定部44bは、時刻t0から時刻t2までの時間T2を、R波発生から動きの小さい期間の終期ETに至るまでの時間(R波発生から切り換えタイミングまでの時間)として求める。時間T2は、記憶部47に記憶される。
本実施形態におけるスキャン制御部45は、心電図に基づいて終期の到来を検知してX線発生部11にX線の曝射を停止させる制御を行う。
スキャン制御部45の具体的な処理について図5Bを参照して説明する。図5Bに示すグラフG2は、第1実施形態の図3Bと同様である。ここでは、本スキャンのためのX線の曝射は、監視部43からプレップスキャン停止の信号Oを受けた後、終期ETまでの任意のタイミングで開始されているものとする。
スキャン制御部45は、監視部43からプレップスキャン停止の信号Oを受ける。その後、スキャン制御部45は、継続して記録されている心電図における所定位相(R波Rn)を検出する。そして、スキャン制御部45は、R波Rnの発生(時刻tn)からの経過時間を測定する。スキャン制御部45は、R波Rnの発生(時刻tn)からの経過時間が時間T2になった場合、終期ETが到来したとしてX線発生部11にX線の曝射を停止させる制御を行う(スキャン制御部45は、本スキャンを終了させる)。
なお、終期ETの到来と同時にX線の曝射の停止を行う必要はない。たとえば、終期ETの到来までに本スキャンが完了している場合、スキャン制御部45は、X線発生部11にX線の曝射を停止させてもよい。
また、上記例では、スキャン制御部45が終期ETの到来に応じてX線の曝射を停止させる構成について述べたが、スキャン制御部45の構成は、これに限られない。たとえば、被検体Eに対して連続でスキャンを行う場合、スキャンが一旦終了しても次の所定位相に基づく所定のタイミングで本スキャンを行う必要がある。一方、第1実施形態で述べたように、X線発生部11(X線管球)は、電圧を印加してから安定するまでに一定の時間が必要となる。よって、連続でスキャンを行う場合等は、スキャンが一旦終了してもX線発生部11を完全に停止しない方がよい場合がある。そこで、スキャン制御部45は、終期ETの到来を検知した場合に、X線発生部11におけるX線発生強度を、たとえばプレップスキャンと同程度の強度まで低減させる制御を行うことも可能である。
<動作>
次に、図6を参照して、本実施形態に係るX線CT装置1の動作について説明する。ここでは、被検体Eに対して造影剤を注入し、心臓に対してプレップスキャン及び本スキャンを行う場合について述べる。また、本実施形態における本スキャンは、監視部43からプレップスキャン停止の信号を受けた後、終期ETまでの任意のタイミングで開始されているものとする。
まず、設定部42は、予め取得されたCT画像に対して、関心領域を設定する(S20)。その後、被検体Eに対して造影剤を注入し、プレップスキャンが開始される。
具体的に、X線発生部11は、関心領域を設定したCT画像が取得された被検体Eの位置と同じ位置においてプレップスキャンを行う(X線発生部11は、X線を曝射する)。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出し、その検出データを取得する(S21)。
前処理部41aは、S21で取得された検出データに対して前処理を行い、投影データを作成する。そして、再構成処理部41bは、作成された投影データに基づいて、一枚のCT画像データを作成する(S22)。
監視部43は、S22で作成されたCT画像データ中の関心領域のCT値の変化を監視する(S23)。
関心領域のCT値が閾値を超えたと判断された場合(S24でYの場合)、監視部43は、プレップスキャンを停止させる信号をスキャン制御部45に送る(S25)。スキャン制御部45は、S25における信号に基づいてプレップスキャンを停止させる。
逆に、関心領域のCT値が閾値を超えていないと判断された場合(S24でNの場合)には、X線検出部12は、検出データの取得を継続して行う。
一方、算出部44aは、S22で得られた時系列のCT画像データに基づいて、関心領域の動きを示す変位量を算出する(S26)。
特定部441bは、S26で算出された変位量に基づいて、関心領域の動きが小さい期間Tsを特定する(S27)。
決定部44bは、検出部442bで検出された所定位相(R波R1)を基準とした期間の終期ETを切り換えタイミングとして決定する(S28)。また、決定部44bは、R波R1から終期ETまでの時間T2を、R波発生から切り換えタイミングまでの時間として求める。
スキャン制御部45は、S25において監視部43から送信された信号を受けた後、心電図における所定位相(R波Rn)を検出する。スキャン制御部45は、R波Rnの発生からの経過時間を測定する。スキャン制御部45は、R波Rnの発生からの経過時間が時間T2になった場合、終期ETが到来したとしてX線発生部11にX線の曝射を停止させる(S29。本スキャンの終了)。
<作用・効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態のX線CT装置1における決定部44bは、特定部441bと、検出部442bとを有する。特定部441bは、算出された変位量に基づいて、関心領域の動きが小さい期間を特定する。検出部442bは、心電図に基づいて所定位相を検出する。決定部44bは、検出された所定位相を基準とした期間の終期ETを切り換えタイミングとして求める。スキャン制御部45は、心電図に基づいて終期ETの到来を検知してX線発生部11にX線の曝射を停止させる制御を行う。
このように、本実施形態のX線CT装置1は、関心領域の動きが小さい期間を特定し、所定位相を基準としたその期間の終期ETの到来によりX線の曝射を停止させる。よって、本実施形態のX線CT装置1は、関心領域の動きが小さい期間が終わるときにX線の曝射を停止するため、被検体Eの動きの影響が大きい期間に検出データを取得することがない。よって、得られる検出データは、被検体Eの動きの影響が低減されたものとなる。すなわち、本実施形態のX線CT装置1は、被検体Eの動きの影響が低減されたCT画像を得ることができる。更に、本実施形態のX線CT装置1は、関心領域の動きが小さい期間の終期ETを基準としてX線の曝射を停止させることで不要な曝射(関心領域の動きが大きい場合の曝射)を抑えることができる。すなわち、本実施形態のX線CT装置1は、被曝を低減させることができる。
或いは、本実施形態のX線CT装置1における決定部44bは、特定部441bと、検出部442bとを有する。特定部441bは、算出された変位量に基づいて、関心領域の動きが小さい期間を特定する。検出部442bは、心電図に基づいて所定位相を検出する。決定部44bは、検出された所定位相を基準とした期間の終期ETを切り換えタイミングとして求める。スキャン制御部45は、心電図に基づいて終期ETの到来を検知してX線発生部11によるX線発生強度を低減させる制御を行う。
このように、本実施形態のX線CT装置1は、関心領域の動きが小さい期間を特定し、関心領域の動きが小さい期間の終期ETを基準としてX線の発生強度を低減させる。よって、動きの影響が大きい場合に強度の強いX線を曝射することがない。よって、本実施形態のX線CT装置1は、不要な被曝を低減することができる。また、常に一定線量のX線を曝射し続ける場合に比べ、被曝を低減することも可能である。更に、本実施形態のX線CT装置1は、本スキャンの終了後もX線発生部11を完全に停止せない。従って、連続でスキャンを行う際にもX線発生部11に電圧を印加してから安定するまでの時間を考慮する必要がない。
(第1実施形態及び第2実施形態の変形例)
第1実施形態及び第2実施形態の構成を組み合わせて利用することも可能である。
すなわち、本変形例における決定部44bは、検出された所定位相を基準とした関心領域の動きが小さい期間の始期IT及び終期ETを切り換えタイミングとして求める。
決定部44bの具体的な処理について図7Aを参照して説明する。図7Aに示すグラフG1及びグラフG2は、第1実施形態の図3Aと同様である。以下、所定位相としてR波を基準とする場合について述べる。
まず、特定部441bは、グラフG1に基づいて、動きの小さい期間Tsを特定する。また、検出部442bは、プレップスキャンと並行して記録された心電図のグラフG2から所定位相(R波R1)の時刻t0を検出する。
決定部44bは、時刻t0を基準とし、動きの小さい期間Tsのうち時刻t0から最も近い時刻t1を動きの小さい期間の始期ITであるとし、最も遠い時刻t2を動きの小さい期間の終期ETであるとする。また、決定部44bは、時刻t0から時刻t1までの時間T1を、R波発生から動きの小さい期間の始期ITに至るまでの時間として求める。更に、決定部44bは、時刻t0から時刻t2までの時間T2を、R波発生から動きの小さい期間の終期ETに至るまでの時間として求める。時間T1及び時間T2は、記憶部47に記憶される。
本変形例におけるスキャン制御部45は、心電図に基づいて始期ITの到来を検知してX線発生部11にX線を曝射させる制御を行い、終期ETの到来を検知してX線発生部11にX線の曝射を停止させる制御を行う。
スキャン制御部45の具体的な処理について図7Bを参照して説明する。図7Bに示すグラフG2は、第1実施形態の図3Bと同様である。
スキャン制御部45は、監視部43からプレップスキャン停止の信号Oを受ける。その後、スキャン制御部45は、継続して記録されている心電図における所定位相(R波Rn)を検出する。そして、スキャン制御部45は、R波Rnの発生(時刻tn)からの経過時間を測定する。スキャン制御部45は、R波Rnの発生(時刻tn)からの経過時間が時間T1になった場合、始期ITが到来したとしてX線発生部11にX線を曝射させる制御を行う(スキャン制御部45は、本スキャンを開始する)。そして、スキャン制御部45は、R波Rnの発生(時刻tn)からの経過時間が時間T2になった場合、終期ETが到来したとしてX線発生部11にX線の曝射を停止させる制御を行う(スキャン制御部45は、本スキャンを終了する)。
なお、始期ITの到来または終期の到来と同時にX線の曝射を切り換え(曝射の開始・停止)を行う必要はない。たとえば、関心領域の動きが小さい期間(たとえば500msec)に対して、1回のスキャンが350msecかかるとする。この場合、スキャン制御部45は、始期ITの到来から500msec経過するまで(すなわち終期ETの到来まで)のいずれかのタイミングで350msecだけスキャンを行うようX線発生部11にX線を曝射させることも可能である。
また、上記実施形態と同様に、X線発生強度の制御を行うことも可能である。すなわち、スキャン制御部45は、始期ITの到来を検知した場合に、X線発生部11におけるX線発生強度を増大させる制御を行う。一方、スキャン制御部45は、終期ETの到来を検知した場合に、X線発生部11におけるX線発生強度を、たとえばプレップスキャンと同程度の強度まで低減させる制御を行うことも可能である。
(第3実施形態)
次に、図8A〜図9を参照して、第3実施形態に係るX線CT装置1の構成について説明する。本実施形態は、関心領域の動きが大きい期間の始期を切り換えタイミングとする構成について述べる。なお、第1実施形態、第2実施形態と同様の構成等については、詳細な説明を省略する場合がある。
本実施形態における特定部441bは、算出された変位量に基づいて、関心領域の動きが大きい期間を特定する。「関心領域の動きが大きい期間」とは、変位量の変動が大きい期間である。つまり、この期間に取得される検出データは、動きの影響が大きいデータであるため、CT画像の再構成には適さない。よって、この期間にX線を曝射することは、無駄な被曝を招くことになる。
具体例として、特定部441bは、算出部44aで算出された変位量とプレップスキャンが行われた時間とが関連付けられたデータを所定の閾値と比較し、閾値以上の範囲を関心領域の動きが大きい期間であると特定する。
また、本実施形態における決定部44bは、検出された所定位相を基準とした関心領域の動きが大きい期間の始期を切り換えタイミングとして求める。
決定部44bの具体的な処理について図8Aを参照して説明する。図8Aに示すグラフG1及びグラフG2は、第1実施形態の図3Aと同様である。以下、所定位相としてR波を基準とする場合について述べる。
まず、特定部441bは、グラフG1に基づいて、動きの大きい期間TLを特定する。また、検出部442bは、プレップスキャンと並行して記録された心電図のグラフG2から所定位相(R波R1)の時刻t0を検出する。
決定部44bは、時刻t0を基準とし、動きの大きい期間TLのうち時刻t0から最も近い時刻t3を動きの大きい期間の始期IT´、すなわち、切り換えタイミングであるとする。また、決定部44bは、時刻t0から時刻t3までの時間T3を、R波発生から動きの大きい期間の始期IT´に至るまでの時間(R波発生から切り換えタイミングまでの時間)として求める。時間T3は、記憶部47に記憶される。
本実施形態におけるスキャン制御部45は、心電図に基づいて始期の到来を検知してX線発生部11にX線の曝射を停止させる制御を行う。
スキャン制御部45の具体的な処理について図8Bを参照して説明する。図8Bに示すグラフG2は、第1実施形態の図3Bと同様である。ここでは、本スキャンのためのX線の曝射は、監視部43からプレップスキャン停止の信号Oを受けた後、始期IT´までの任意のタイミングで開始されているものとする。
スキャン制御部45は、監視部43からプレップスキャン停止の信号Oを受ける。その後、スキャン制御部45は、継続して記録されている心電図における所定位相(R波Rn)を検出する。そして、スキャン制御部45は、R波Rnの発生(時刻tn)からの経過時間を測定する。スキャン制御部45は、R波Rnの発生(時刻tn)からの経過時間が時間T3になった場合、始期IT´が到来したとしてX線発生部11にX線の曝射を停止させる制御を行う(スキャン制御部45は、本スキャンを終了させる)。
また、上記例では、スキャン制御部45が始期IT´の到来に応じてX線の曝射を停止させる構成について述べたが、スキャン制御部45の構成は、これに限られない。たとえば、被検体Eに対して連続でスキャンを行う場合、スキャンを一旦終了させた後、次の所定位相に基づく所定のタイミングで本スキャンを行う必要がある。一方、上記実施形態で述べたように、X線発生部11(X線管球)は、電圧を印加してから安定するまでに一定の時間が必要となる。よって、連続でスキャンを行う場合等は、スキャンが一旦終了してもX線発生部11を完全に停止しない方がよい場合がある。そこで、スキャン制御部45は、始期IT´の到来を検知した場合に、X線発生部11におけるX線発生強度を、たとえばプレップスキャンと同程度の強度まで低減させる制御を行うことも可能である。
<動作>
次に、図9を参照して、本実施形態に係るX線CT装置1の動作について説明する。ここでは、被検体Eに対して造影剤を注入し、心臓に対してプレップスキャン及び本スキャンを行う場合について述べる。また、本実施形態における本スキャンは、監視部43からプレップスキャン停止の信号を受けた後、始期IT´までの任意のタイミングで開始されているものとする。
まず、設定部42は、予め取得されたCT画像に対して、関心領域を設定する(S30)。その後、被検体Eに対して造影剤を注入し、プレップスキャンが開始される。
具体的に、X線発生部11は、関心領域を設定したCT画像が取得された被検体Eの位置と同じ位置においてプレップスキャンを行う(X線発生部11は、X線を曝射する)。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出し、その検出データを取得する(S31)。
前処理部41aは、S31で取得された検出データに対して前処理を行い、投影データを作成する。そして、再構成処理部41bは、作成された投影データに基づいて、一枚のCT画像データを作成する(S32)。
監視部43は、S32で作成されたCT画像データ中の関心領域のCT値の変化を監視する(S33)。
関心領域のCT値が閾値を超えたと判断された場合(S34でYの場合)、監視部43は、プレップスキャンを停止させる信号をスキャン制御部45に送る(S35)。スキャン制御部45は、S35における信号に基づいてプレップスキャンを停止させる。
逆に、関心領域のCT値が閾値を超えていないと判断された場合(S34でNの場合)には、X線検出部12は、検出データの取得を継続して行う。
一方、算出部44aは、S32で得られた時系列のCT画像データに基づいて、関心領域の動きを示す変位量を算出する(S36)。
特定部441bは、S36で算出された変位量に基づいて、関心領域の動きが大きい期間TLを特定する(S37)。
決定部44bは、検出部442bで検出された所定位相(R波R1)を基準とした期間の始期IT´を切り換えタイミングとして決定する(S38)。また、決定部44bは、R波R1から始期IT´までの時間T3を、R波発生から切り換えタイミングまでの時間として求める。
スキャン制御部45は、S35において監視部43から送信された信号を受けた後、心電図における所定位相(R波Rn)を検出する。スキャン制御部45は、R波Rnの発生からの経過時間を測定する。スキャン制御部45は、R波Rnの発生からの経過時間が時間T3になった場合、始期IT´が到来したとしてX線発生部11にX線の曝射を停止させる(S39。本スキャンの終了)。
<作用・効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態のX線CT装置1における決定部44bは、特定部441bと、検出部442bとを有する。特定部441bは、算出された変位量に基づいて、関心領域の動きが大きい期間を特定する。検出部442bは、心電図に基づいて所定位相を検出する。決定部44bは、検出された所定位相を基準とした期間の始期IT´を切り換えタイミングとして求める。スキャン制御部45は、心電図に基づいて始期IT´の到来を検知してX線発生部11にX線の曝射を停止させる制御を行う。
このように、本実施形態のX線CT装置1は、関心領域の動きが大きい期間を特定し、所定位相を基準としたその期間の始期IT´の到来によりX線の曝射を停止させる。よって、本実施形態のX線CT装置1は、関心領域の動きが大きい期間が開始する場合にX線の曝射を停止するため、動きの影響が大きい検出データを取得することがない。逆に、それまでに得られる検出データは、被検体Eの動きの影響が低減されたものとなる。すなわち、本実施形態のX線CT装置1は、被検体Eの動きの影響が低減されたCT画像を得ることができる。更に、本実施形態のX線CT装置1は、関心領域の動きが大きい期間の始期IT´を基準としてX線の曝射を停止させることで不要な曝射(関心領域の動きが大きい場合の曝射)を抑えることができる。すなわち、本実施形態のX線CT装置1は、被曝を低減させることができる。
或いは、本実施形態のX線CT装置1における決定部44bは、特定部441bと、検出部442bとを有する。特定部441bは、算出された変位量に基づいて、関心領域の動きが大きい期間を特定する。検出部442bは、心電図に基づいて所定位相を検出する。決定部44bは、検出された所定位相を基準とした期間の始期IT´を切り換えタイミングとして求める。スキャン制御部45は、心電図に基づいて始期IT´の到来を検知してX線発生部11によるX線発生強度を低減させる制御を行う。
このように、本実施形態のX線CT装置1は、関心領域の動きが大きい期間を特定し、関心領域の動きが大きい期間の始期IT´を基準としてX線の発生強度を低減させる。よって、動きの影響が大きい場合に強度の強いX線を曝射することがない。よって、本実施形態のX線CT装置1は、不要な被曝を低減することができる。また、常に一定線量のX線を曝射し続ける場合に比べ、被曝を低減することも可能である。更に、本実施形態のX線CT装置1は、本スキャンの終了後もX線発生部11を完全に停止せない。従って、X線発生部11に電圧を印加してから安定するまでの時間を考慮する必要がない。
(第4実施形態)
次に、図10A〜図11を参照して、第4実施形態に係るX線CT装置1の構成について説明する。本実施形態は、関心領域の動きが大きい期間の終期を切り換えタイミングとする構成について述べる。なお、第1実施形態〜第3実施形態と同様の構成等については、詳細な説明を省略する場合がある。
本実施形態における決定部44bは、検出された所定位相を基準とした関心領域の動きが大きい期間の終期を切り換えタイミングとして求める。
決定部44bの具体的な処理について図10Aを参照して説明する。図10Aに示すグラフG1及びグラフG2は、第1実施形態の図3Aと同様である。以下、所定位相としてR波を基準とする場合について述べる。
まず、特定部441bは、グラフG1に基づいて、動きの大きい期間TLを特定する。また、検出部442bは、プレップスキャンと並行して記録された心電図のグラフG2から所定位相(R波R1)の時刻t0を検出する。
決定部44bは、時刻t0を基準とし、動きの大きい期間TLのうち時刻t0から最も遠い時刻t4を動きの大きい期間の終期ET´、すなわち、切り換えタイミングであるとする。また、決定部44bは、時刻t0から時刻t4までの時間T4を、R波発生から動きの大きい期間の終期ET´に至るまでの時間(R波発生から切り換えタイミングまでの時間)として求める。時間T4は、記憶部47に記憶される。
本実施形態におけるスキャン制御部45は、心電図に基づいて終期の到来を検知してX線発生部11にX線を曝射させる制御を行う。
スキャン制御部45の具体的な処理について図10Bを参照して説明する。図10Bに示すグラフG2は、第1実施形態の図3Bと同様である。
スキャン制御部45は、監視部43からプレップスキャン停止の信号Oを受ける。その後、スキャン制御部45は、継続して記録されている心電図における所定位相(R波Rn)を検出する。そして、スキャン制御部45は、R波Rnの発生(時刻tn)からの経過時間を測定する。スキャン制御部45は、R波Rnの発生(時刻tn)からの経過時間が時間T4になった場合、終期ET´が到来したとしてX線発生部11にX線を曝射させる制御を行う(スキャン制御部45は、本スキャンを開始させる)。
また、上記例では、スキャン制御部45が終期ET´の到来に応じてX線を曝射させる構成について述べたが、スキャン制御部45の構成は、これに限られない。たとえば、上記実施形態で述べたように、X線発生部11の動作を完全に停止している場合には、切り換えタイミングが到来した場合であってもすぐに本スキャンを行うことができない(X線を曝射できない)可能性もある。そこで、スキャン制御部45は、プレップスキャンの終了後、動きの大きい期間であっても、プレップスキャンと同様の低線量のままX線を曝射し続けるようX線発生部11を制御する。そして、終期ET´の到来を検知した場合、スキャン制御部45は、X線発生部11におけるX線発生強度を本スキャンに必要な強度まで増大させる制御を行うことも可能である。
<動作>
次に、図11を参照して、本実施形態に係るX線CT装置1の動作について説明する。ここでは、被検体Eに対して造影剤を注入し、心臓に対してプレップスキャン及び本スキャンを行う場合について述べる。
まず、設定部42は、予め取得されたCT画像に対して、関心領域を設定する(S40)。その後、被検体Eに対して造影剤を注入し、プレップスキャンが開始される。
具体的に、X線発生部11は、関心領域を設定したCT画像が取得された被検体Eの位置と同じ位置においてプレップスキャンを行う(X線発生部11は、X線を曝射する)。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出し、その検出データを取得する(S41)。
前処理部41aは、S41で取得された検出データに対して前処理を行い、投影データを作成する。そして、再構成処理部41bは、作成された投影データに基づいて、一枚のCT画像データを作成する(S42)。
監視部43は、S42で作成されたCT画像データ中の関心領域のCT値の変化を監視する(S43)。
関心領域のCT値が閾値を超えたと判断された場合(S44でYの場合)、監視部43は、プレップスキャンを停止させる信号をスキャン制御部45に送る(S45)。スキャン制御部45は、S45における信号に基づいてプレップスキャンを停止させる。
逆に、関心領域のCT値が閾値を超えていないと判断された場合(S45でNの場合)には、X線検出部12は、検出データの取得を継続して行う。
一方、算出部44aは、S42で得られた時系列のCT画像データに基づいて、関心領域の動きを示す変位量を算出する(S46)。
特定部441bは、S46で算出された変位量に基づいて、関心領域の動きが大きい期間TLを特定する(S47)。
決定部44bは、検出部442bで検出された所定位相(R波R1)を基準とした期間の終期ET´を切り換えタイミングとして決定する(S48)。また、決定部44bは、R波R1から終期ET´までの時間T4を、R波発生から切り換えタイミングまでの時間として求める。
スキャン制御部45は、S45において監視部43から送信された信号を受けた後、心電図における所定位相(R波Rn)を検出する。スキャン制御部45は、R波Rnの発生からの経過時間を測定する。スキャン制御部45は、R波Rnの発生からの経過時間が時間T4になった場合、終期ET´が到来したとしてX線発生部11にX線を曝射させる(S49。本スキャンの開始)。
<作用・効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
具体的に、本実施形態のX線CT装置1における決定部44bは、特定部441bと、検出部442bとを有する。特定部441bは、算出された変位量に基づいて、関心領域の動きが大きい期間を特定する。検出部442bは、心電図に基づいて所定位相を検出する。決定部44bは、検出された所定位相を基準とした期間の終期ET´を切り換えタイミングとして求める。スキャン制御部45は、心電図に基づいて終期ET´の到来を検知してX線発生部11にX線を曝射させる制御を行う。
このように、本実施形態のX線CT装置1は、関心領域の動きが大きい期間を特定し、所定位相を基準としたその期間の終期ET´からX線の曝射を行う。つまり、本実施形態のX線CT装置1は、関心領域の動きが大きい期間にX線の曝射を停止するため、被検体Eの動きの影響が大きい期間の検出データを取得することが無い。よって、本実施形態のX線CT装置1は、被検体Eの動きの影響が低減されたCT画像を得ることができる。更に、本実施形態のX線CT装置1は、関心領域の動きが大きい期間の終期ET´を基準としてX線の曝射を行うことで不要な曝射(関心領域の動きが大きい場合の曝射)を抑えることができる。すなわち、本実施形態のX線CT装置1は、被曝を低減させることができる。
或いは、本実施形態のX線CT装置1における決定部44bは、特定部441bと、検出部442bとを有する。特定部441bは、算出された変位量に基づいて、関心領域の動きが大きい期間を特定する。検出部442bは、心電図に基づいて所定位相を検出する。決定部44bは、検出された所定位相を基準とした期間の終期ET´を切り換えタイミングとして求める。スキャン制御部45は、心電図に基づいて終期ET´の到来を検知してX線発生部11によるX線発生強度を増大させる制御を行う。
このように、関心領域の動きが大きい期間を特定し、関心領域の動きが大きい期間の終期ET´を基準としてX線の発生強度を増大させる。よって、動きの大きい場合に強い強度のX線を曝射することが無いため、被曝を低減することができる。また、常に一定線量のX線を曝射し続ける場合に比べ、被曝を低減することも可能である。更に、本実施形態のX線CT装置1は、動きの大きい期間中もX線発生部11を完全に停止せない。従って、本スキャンを開始する際、X線発生部11に電圧を印加してから安定するまでの時間を考慮する必要がない。
(第3実施形態及び第4実施形態の変形例)
第3実施形態及び第4実施形態の構成を組み合わせて利用することも可能である。
すなわち、本変形例における決定部44bは、検出された所定位相を基準とした関心領域の動きが大きい期間の始期IT´及び終期ET´を切り換えタイミングとして求める。
決定部44bの具体的な処理について図12Aを参照して説明する。図12Aに示すグラフG1及びグラフG2は、第1実施形態の図3Aと同様である。以下、所定位相としてR波を基準とする場合について述べる。
まず、特定部441bは、グラフG1に基づいて、動きの大きい期間TLを特定する。また、検出部442bは、プレップスキャンと並行して記録された心電図のグラフG2から所定位相(R波R1)の時刻t0を検出する。
決定部44bは、時刻t0を基準とし、動きの大きい期間TLのうち時刻t0から最も近い時刻t3を動きの大きい期間の始期IT´であるとし、最も遠い時刻t4を動きの大きい期間の終期ET´であるとする。また、決定部44bは、時刻t0から時刻t3までの時間T3を、R波発生から動きの大きい期間の始期IT´に至るまでの時間として求める。更に、決定部44bは、時刻t0から時刻t4までの時間T4を、R波発生から動きの大きい期間の終期ET´に至るまでの時間として求める。時間T3及び時間T4は、記憶部47に記憶される。
本変形例におけるスキャン制御部45は、心電図に基づいて始期IT´の到来を検知してX線発生部11にX線の曝射を停止させる制御を行い、終期ET´の到来を検知してX線発生部11にX線を曝射させる制御を行う。
スキャン制御部45の具体的な処理について図12Bを参照して説明する。図12Bに示すグラフG2は、第1実施形態の図3Bと同様である。
スキャン制御部45は、監視部43からプレップスキャン停止の信号Oを受ける。その後、スキャン制御部45は、継続して記録されている心電図における所定位相(R波Rn)を検出する。そして、スキャン制御部45は、R波Rnの発生(時刻tn)からの経過時間を測定する。スキャン制御部45は、R波Rnの発生(時刻tn)からの経過時間が時間T3になった場合、始期IT´が到来したとしてX線発生部11にX線の曝射を停止させる制御を行う(スキャン制御部45は、本スキャンを終了する)。そして、スキャン制御部45は、R波Rnの発生(時刻tn)からの経過時間が時間T4になった場合、終期ET´が到来したとしてX線発生部11にX線を曝射させる制御を行う(スキャン制御部45は、本スキャンを開始する)。
なお、始期IT´の到来または終期ET´の到来と同時にX線の曝射を切り換え(曝射の開始・停止)を行う必要はない。スキャン制御部45は、始期IT´の到来前にX線発生部11にX線の曝射を停止させてもよい。また、スキャン制御部45は、終期ET´から次の動きの大きい期間の始期IT´までの間にスキャンを行うようX線発生部11にX線を曝射させることも可能である。
また、上記実施形態と同様に、X線発生強度の制御を行うことも可能である。すなわち、スキャン制御部45は、始期IT´の到来を検知した場合に、X線発生部11におけるX線発生強度を、たとえばプレップスキャンと同程度の強度まで低減させる制御を行う。一方、スキャン制御部45は、終期ET´の到来を検知した場合に、X線発生部11におけるX線発生強度を増大させる制御を行うことも可能である。
(第1実施形態〜第4実施形態共通の変形例1)
上記実施形態によるX線CT装置1は、多列のX線検出器を用いることにより、1回転のスキャンでスライス方向に幅を有する3次元のボリュームデータを取得することができる。X線CT装置1は、この3次元のボリュームデータ(3次元画像)を用いて関心領域の設定、関心領域のCT値の監視、及び変位量の算出が可能である。
監視部43は、時系列に得られる3次元のCT画像に基づいて、関心領域のCT値の変化を監視する。これにより、造影剤の浸透度合いを3次元的に確認することができるため、造影剤の浸透度合いをより判断し易くなる。
また、算出部44aは、たとえば、心臓の拡張・収縮を三次元的な動きの変位量として算出できるだけでなく、2次元画像では特定できない動き(たとえば、心臓の拡張・収縮に伴うねじれ)も含めて変位量を算出することができる。
(第1実施形態〜第4実施形態共通の変形例2)
上記実施形態では、変位量を心電図と関連付ける例について説明したが、これに限られない。すなわち、被検体Eの周期的な動きをプレップスキャンと同期して計測できる方法と組み合わせることも可能である。たとえば、呼吸同期スキャンと組み合わせて用いることが可能である。
<実施形態に共通の効果>
以上述べた少なくともひとつの実施形態のX線CT装置によれば、プレップスキャンにより得られる時系列のCT画像を、関心領域のCT値の変化の監視だけでなく、関心領域の動きを示す変位量の算出にも用いる。すなわち、プレップスキャンにより得られる検出データ(CT画像)を有効に活用することができる。また、実施形態のX線CT装置は、関心領域の動きを示す変位量及び心電図に基づいてX線の曝射の切り換えタイミングを決定することができる。従って、被検体Eの動きの影響を低減したスキャンが可能となる。すなわち、被検体Eの動きの影響が低減されたCT画像を得ることができる。更に、実施形態のX線CT装置は、曝射の切り換えタイミングを決定することで、不要な曝射を抑えることができる。すなわち、被曝を低減させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。