JP2014030786A - スロットダイによる塗膜の塗工方法および機能性フィルムの製造方法 - Google Patents

スロットダイによる塗膜の塗工方法および機能性フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低粘度の塗工剤を薄く塗工を行う場合であっても、高速塗工に伴う空気巻き込みによるスジ状ムラの発生を抑え、外観が良好で膜厚均一な塗膜を安定して塗工できる塗工方法を提供する。
【解決手段】スロットダイ先端5から塗工剤を吐出して基材フィルム9との間にビード11を形成させ、該ビード11の前記基材フィルムの上流側を減圧にしながら塗工剤を塗工する塗工方法において、前記塗工剤の粘度をμ、前記塗工剤の静的表面張力をσ、前記基材フィルム9と前記スロットダイ先端5との相対速度をV、上流側ダイリップ1の吐出口端部とコンタクトラインとの距離をL、前記下流側ダイリップ2の厚みをL、塗工ギャップをH、塗工膜厚をh、キャピラリー数をCa(Ca=μ・V/σ)とした際に、式(1)を満たす塗工条件で塗工するスロットダイ8による塗膜の塗工方法。Ca/(L/L)≦0.1309e―0.2212(H/h)(1)
【選択図】図2

Description

本発明は、スロットダイのリップ先端に形成されるビードの基材フィルム上流側を減圧にしながら、低粘度の塗工剤を基材フィルム上へ塗工するスロットダイによる塗膜の塗工方法および機能性フィルムの製造方法に関する。
従来、基材フィルム上へ塗膜を形成する方法として、基材フィルムにスロットダイを近接させ、該スロットダイの先端から塗工剤を吐出して、基材フィルム上へ塗工剤を塗工する塗膜の塗工方法が知られている。
このスロットダイによる塗膜の塗工方法は、高精度塗工に適していることから、基材フィルムへ塗工剤を均一な厚さに連続塗工する用途に広く採用されている。基材フィルム上へ外観良好な塗膜を安定して形成するには、塗工剤の粘度、静的表面張力等の塗工剤の特性および塗工膜厚(ウェット膜厚)に応じて、塗工速度、スロットダイ先端と基材フィルムとの間隔(以下、塗工ギャップと称することがある)、ダイリップ先端の厚さおよび形状等、最適な条件を選択する必要があり、特許文献1には、塗工剤の粘度、静的表面張力および塗工速度から算出されるキャピラリー数Caと、塗工ギャップHを塗工膜厚hで除した値H/hとが特定の関係となる塗工条件で塗工することにより、スジ・ムラの発生が極めて少なく、均一な膜厚の塗膜が得られる塗膜の塗工方法が提案されている。また、非特許文献1には、フィルム形状式モデル(FPEモデル)およびNavier−Stokes式を用いた有限要素法モデル(FEMモデル)のそれぞれの手法を用いてスロットダイによる低流量限界を検討し、キャピラリー数CaとH/hとが特定の関係となる塗工条件で塗工することにより、外観が良好な塗膜が得られることが記載されている。すなわち、キャピラリー数Caを縦軸に、H/hを横軸にとると、ビードの安定領域と不安定領域の境界線は下に凸の曲線となり、この曲線の下側の塗工条件ではビードが安定し、外観の良好な塗膜が得られることが記載されている。ここで、キャピラリー数CaはCa=μ・V/σで表される。なお、μは塗工剤の粘度、σは塗工剤の静的表面張力、Vは塗工速度を示す。
しかしながら、基材フィルムへ薄膜を形成するために低粘度の塗工剤を薄く塗工すると、ビードの容積が小さくなるためビードの安定性が損なわれ易く、安定した塗工が困難となる。これを解決する方法として、ビード上流側(基材フィルムの搬送方向上流側)を減圧にすることにより、ビードを安定に保ち、塗工することが行われている。このようなビード上流側を減圧にする塗工方法での塗工条件は、従来のビード上流側と下流側とで圧力差を設けない従来の塗膜の塗工方法と大きく異なっている。特許文献2には、ビードの上流側を減圧にしつつ、同時にビード下流側を加圧することにより、高速塗工が可能になり、さらに、より薄い塗膜を形成できることが記載されている。また、特許文献3および4には、均一な厚みで且つ外観不良の少ない塗膜を得るために、ビード下流側の圧力からビード上流側の圧力と下限減圧度(理論下限バキューム圧)とを差し引いた値が特定の範囲となる塗工条件で塗工すると外観良好な塗膜が形成できることが記載されている。
一方、特許文献5には、幅方向の膜厚を均一にし、塗工剤の液圧の変動によるスジ状ムラ等の発生を抑え、安定した塗工を維持するために、塗工剤の粘度μ、塗工速度V、塗工膜厚h、スロット長さ、リップギャップより算出される値が特定の範囲となる条件で塗工する方法が提案されている。しかしながら、ビード上流側を減圧にして塗工する塗工方法では、塗工剤の粘度μだけでなく静的表面張力σも安定な塗工を可能にする重要な因子であり、さらに、塗工時には塗工速度V、塗工膜厚h、リップギャップだけでなくビード上流側の減圧度P、塗工ギャップH、ダイリップの厚さも安定塗工を可能にする重要な因子であり、前記特許文献5に記載された塗工条件を満たすだけでは外観が良好で膜厚が均一な薄膜塗工を安定的に実現することは困難であった。
特開2004−66232号公報 特開平10−118560号公報 特開2006−95454号公報 特開2007−225839号公報 特開2006−95491号公報
(株)加工技術研究会編集企画、「新コーティングのすべて」(株)加工技術研究会、2009年10月4日発行、P38〜P44
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、低粘度の塗工剤を薄く(例えば、塗工膜厚で30μm以下)塗工を行う場合であっても、高速塗工に伴う空気巻き込みによるスジ状ムラの発生を抑え、外観が良好で膜厚が均一な薄膜を安定して塗工できる塗膜の塗工方法および機能性フィルムの製造方法を提供することを課題とする。
(1)基材フィルムにスロットダイを近接させ、スロットダイ先端から塗工剤を吐出して前記基材フィルムとの間にビードを形成させると共に、該ビードの基材フィルムの上流側を減圧にしながら前記基材フィルム表面に塗工剤を塗工するスロットダイによる塗膜の塗工方法において、
前記塗工剤の粘度をμ、前記塗工剤の静的表面張力をσ、前記基材フィルムと前記スロットダイ先端との相対速度をV、上流側ダイリップの吐出口端部とコンタクトラインとの距離をL、下流側ダイリップの厚みをL、塗工ギャップをH、塗工膜厚をh、キャピラリー数をCa(Ca=μ・V/σ)とした際に、式(1)を満たす塗工条件で塗工するスロットダイによる塗膜の塗工方法が提供され、

Ca/(L/L) ≦ 0.1309e―0.2212(H/h) (1)

(2)塗工剤の粘度が、20mP・s以下である(1)記載の塗膜の塗工方法が提供され、
(3)塗工膜厚が5μm〜30μmである(1)または(2)記載の塗膜の塗工方法が提供され、
(4)(1)乃至(3)のいずれかに記載のスロットダイによる塗工方法を含む機能性フィルムの製造方法が提供される。
本発明のスロットダイによる塗膜の塗工方法によれば、従来、外観不良が生じやすかった低粘度の塗工剤を薄く塗工を行う場合であっても、高速塗工に伴う空気巻き込みによるスジ状ムラの発生を抑え、膜厚が均一で、外観が良好な塗膜を安定して塗工することが可能になるという効果を奏する。また、前記塗工方法を含む方法で基材フィルム上へ機能性を有する塗工剤を塗工する機能性フィルムの製造方法により、反射防止性能、防眩性能、耐傷付き性能、防汚性能、位相差性能、導電性能等を有する機能性フィルムを得ることができる。
本発明の減圧チャンバーを設けたスロットダイによる塗膜の塗工方法の一例を示す概略断面図である。 スロットダイにおけるビード部分の拡大概略断面図である。 本発明の塗膜の塗工方法におけるパラメーター(H/hおよびCa/(L/L)を用いて塗工条件と塗膜の外観との関係を示したグラフである。 非特許文献1に記載されたパラメーター(H/hおよびキャピラリー数Ca)を用いて塗工条件と塗膜の外観との関係を示したグラフである。
以下、本発明に係るスロットダイによる塗膜の塗工方法およびそれを用いた機能性フィルムの製造方法について説明する。
前述の如く、通常のビード上流側および下流側の気圧を制御せず常圧で塗工するスロットダイによる塗工では、スロットダイ先端部と基材フィルム表面との間に形成されるビードの形状を安定させることにより、高速塗工に伴う空気巻き込みによるスジ状ムラを大幅に低減できることが知られている。
本発明者等は、上記のビードを安定化させれば塗膜表面に発生する高速塗工に伴う空気巻き込みによるスジ状ムラを大幅に低減できることに着目し、減圧チャンバーを備えたスロットダイを用いてビード上流側を減圧にしながら低粘度の塗工剤を基材フィルム上へ塗工するスロットダイを用いた塗膜の塗工方法において、ビードを安定化させる検討を行った。その結果、ダイ先端と基材フィルムとの間隔である塗工ギャップH、塗工膜厚h、基材フィルムとスロットダイ先端との相対速度(以下、塗工速度と称することがある)V、塗工剤の粘度μ、塗工剤の静的表面張力σ、スロットダイ下流側リップ厚みLおよびビード上流側の減圧度Pとから算出されるパラメーターが所定の値以下であればビードが安定し、高速塗工に伴う空気巻き込みによるスジ状ムラが大幅に低減できることを見出し、本発明を完成するに到った。
なお、高速塗工による外観不良は、スロットダイ先端と基材フィルムとの間隔である塗工ギャップH、塗工剤の粘度μ、下流側リップ厚みLおよび/または塗工速度Vが大きすぎ、あるいは塗工膜厚h、塗工剤の静的表面張力σ、上流側ダイリップの吐出口とコンタクトラインまでの距離Lおよび/またはビード上流側の減圧度Pが小さすぎる場合に生じる現象で、空気巻き込みによるスジ状ムラが発生する。
次に、本発明のスロットダイによる塗膜の塗工方法について、図1および図2を用いて詳細に説明する。
図1および図2は、本発明の減圧チャンバー7を設けたスロットダイ8による塗膜の塗工方法の一例を示すものであり、塗工剤を吐出するスリット3を設けたスロットダイ8を用いて、バックアップロール6に張架され走行する基材フィルム9上に塗膜12を形成している状態を示している。これらの図に示すように、塗膜形成時には、リップ先端5と基材フィルム9表面との間に、スリット3から供給される塗工剤からなるビード11が形成される。この状態で基材フィルム9を走行させることにより、基材フィルム9の表面に塗膜12が形成されるのであるが、この塗膜12の形成時に前記ビード11の形状が不安定であると、形成される塗膜12の膜厚が不均一となる。このため、ダイ先端と基材フィルムとの間隔である塗工ギャップHが広すぎたり、塗工速度Vが速すぎたりすると空気巻き込みによるスジ状ムラが発生し、外観が良好な塗膜が得られなくなる。したがって、前記ビード11の形状を安定化させることが重要となる。
本発明に適した塗工剤の粘度は20mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以下であり、1mPa・s以上が好ましい。塗工剤の粘度が高すぎる場合は、ダイ内部での圧力損失が高くなり送液系への負担が大きくなるので好ましくない。また、逆に低すぎる場合はダイ内部での圧力が不足するため幅方向への膜厚精度が不安定となるので好ましくない。また、塗工剤の静的表面張力は10mN/m〜40mN/m以下が好ましく、さらには15mN/m〜35mN/mが好ましい。静的表面張力がこの範囲を外れた塗工剤は、ダイリップ先端と基材フィルムとの間隔Hが広いとビードの形成が難しくなる。
本発明に用いる基材フィルムは、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、環状オレフィン系樹脂、オレフィン系樹脂等からなる光学用フィルムが特に好ましく、その厚さは15μm〜200μmが好ましい。また、塗工適性を高めるために、コロナ放電処理、エキシマレーザー処理等の表面処理を行い、基材フィルムの濡れ性を高めてもよい。
スロットダイ上流側に設けた減圧チャンバー内の圧力は、大気圧より0.05kPa〜2.0kPaの範囲で減圧にするのが好ましい。この減圧度が0.05kPa未満の場合はビード上流側を減圧にした効果がほとんどなく、塗工速度を大きくすると空気巻き込みによるスジ状ムラが起こり易いので好ましくなく、逆に2.0kPaを超える減圧度とした場合は減圧チャンバー内の減圧度が大き過ぎるためにビードが上流側に引っ張られ、安定したビードが形成でき難くなるので好ましくない。
本発明のスロットダイ先端と基材フィルムとの間隔である塗工ギャップHは、50μm〜200μmが好ましく、さらには70μm〜150μmが好ましい。塗工ギャップが50μm未満の場合は、塗工ギャップが狭すぎるためにスロットダイ先端が基材フィルムに当る恐れがあるので好ましくなく、逆に200μmを超えると、塗工ギャップが大きくなるためビードが安定し難くなるので好ましくない。
一方、塗工膜厚(ウェット膜厚)は、5μm〜30μmが好ましく、さらには7μm〜20μmが好ましい。塗工膜厚が5μm未満の場合はビードの厚さが薄くなるためビードに僅かな力が加わってもビードが影響を受け易くなり安定し難く、一方、塗工膜厚が30μmを超えると塗工された塗工剤が流れ落ち易くなるため好ましくない。
塗工速度は、3m/min〜60m/minが好ましく、さらには5m/min〜50m/minが好ましい。3m/min未満の場合は塗工速度が遅くて生産性が悪いので好ましくなく、60m/minを超える塗工速度では高速塗工による空気巻き込みが起こりやすくスジ状ムラが発生し易くなるので好ましくない。
通常、スロットダイのスリットは、塗工剤が水平方向あるいは垂直方向に吐出されるように設置して用いられるが、本発明のスロットダイのスリットを前記設置方向より傾けて設置し塗工することもできる。
本発明においては高速塗工による外観不良について着目し、ビードを安定化させ、空気巻き込みによるスジ状ムラが発生しない塗工条件について検討を行った。
前述のように、空気巻き込みによるスジ状ムラはスロットダイ先端と基材フィルムとの間隔である塗工ギャップH、塗工剤の粘度μ、下流側リップ厚みLおよび/または塗工速度Vが大きすぎる場合、あるいは塗工膜厚h、塗工剤の静的表面張力σ、上流側ダイリップの吐出口端部とコンタクトラインまでの距離Lおよび/またはビード上流側の減圧度Pが小さすぎる場合に生じる現象で、このような条件で塗工を行うと、図1に示すビードの一部が切断し、スジ状のムラが発生し、ついには塗工されない部分が生じる。本発明者等はこれらの塗工条件について検討し、その結果を定量化することにより均一でスジ状ムラのない塗工条件の範囲を明確にし、厚さが均一で外観が良好な塗膜を得ることができるスロットダイによる塗膜の塗工方法を確立した。
<試験1>
表1に示す3種類のスロットダイを用い、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムへ粘度1.9mPa・s、静的表面張力26.8mN/mの塗工剤を、塗工速度V、減圧度Pおよび塗工ギャップHを表1に示す範囲で変化させ、塗工膜厚(ウェット膜厚)10μmに塗工し、塗膜の外観を観察した。
Figure 2014030786
前述の如く、スロットダイによる塗工は、キャピラリー数Caを縦軸に、無次元膜厚H/hを横軸として図に表すと、キャピラリー数が小さく、無次元膜厚が小さい領域がビードの安定領域であることが知られている。本発明においても、前記ビードの安定化のためのパラメーターとして、キャピラリー数Caと無次元膜厚H/hについて着目し、試験結果の解析を行った。
一般的には、ビードの安定化の観点では、キャピラリー数を小さくするために、塗工剤の粘度μは低く、且つ塗工剤の静的表面張力σは高い方が、ビードの形状を安定に維持する上で好ましい。また、塗工速度Vは、遅いほうがビードの安定化の点で好ましい。
一方、ビードを安定させるには無次元膜厚H/hは小さい方が好ましい。無次元膜厚は、塗工ギャップ(スロットダイ先端と基材フィルムとの間隔)Hと塗工膜厚hとの比であり、その比が小さい程、スジ状ムラ等の外観欠陥が少なく、かつビードを安定的に維持する上で好ましい。
前記のことより、試験1で得られた結果について、キャピラリー数Caを縦軸に、無次元膜厚H/hを横軸にとり、得られた結果を示したのが図4である。なお、図4中の○印はスジ状ムラが発生しなかったもの、×印はスジ状ムラが発生したものを示す。なお、スジ状ムラの有無は塗工表面に防爆蛍光ランプを照射し、その反射光を目視にて観察した。
図4から明らかなように、ビード上流側を減圧にして塗工する本発明の方法では、全ての領域で○印と×印とが入り混じっており、キャピラリー数Caと無次元膜厚H/hのみでは、塗工条件の適否を明確に判断できないことが明らかである。
本発明者らは、前記結果に鑑み、ビードの安定には、ビード上流側の減圧度P、塗工ギャップH、上流側ダイリップ吐出口端部とコンタクトラインまでの距離Lおよび下流側のダイリップの厚みLも影響を与えていると考え、これらの条件も考慮したパラメーターCa/(L/L)を縦軸に、無次元膜厚H/hを横軸として試験1の結果をプロットし図3を得た。なお、図3中の○印はスジ状ムラが生じず外観の良好な塗膜が得られたもの、×印はスジ状ムラが発生したものを示す。
なお、本発明に用いられる塗工剤はニュートン流体と考えられるため、上流側リップの吐出口端部とコンタクトラインとの距離Lは、下記式を用いて計算できる。
L=H(P−ΔP)/6μV
ここで、
ΔP=12μLV(h−H/2)/H
図3から明らかなように、ビード上流側を減圧にして塗工する塗膜の塗工方法では、Ca/(L/L)を縦軸に、無次元膜厚H/hを横軸にとることにより、○印(外観の良好な塗膜)がプロットされた領域と×印(スジ状ムラが発生した塗膜)がプロットされた領域とが明らかに分かれ、図3中の実線で示す直線より下側が好適な塗工領域であることが明らかとなった。これを式に表したのが、式(1)であり、この式を満足する条件で塗工することにより、スジ状ムラを大幅に減少させることができる。なお、計算に用いた数値は、下記に示す単位に換算した値を用いた。

Ca/(L/L) ≦ 0.1309e―0.2212(H/h) (1)

但し、Caはキャピラリー数:μV/σ
L=H(P−ΔP)/6μV
ΔP=12μLV(h−H/2)/H
ΔP:ビード下流側圧力損失(kPa)
μ:粘度(Pa・s)
σ:静的表面張力(N/m)
P:減圧度(Pa)
V:基材フィルムとスロットダイ先端との相対速度(m/s)
H:塗工ギャップ(m)
h:塗工膜厚(ウェット厚み)(m)
:下流側ダイリップ厚み(m)
L:上流側ダイリップ吐出口端部とコンタクトラインまでの距離(m)
さらには、図3中の破線で示す直線より下の領域がさらに好適な塗工領域である。これを式に表したのが式(2)であり、この式を満足する塗工条件で塗工することにより、スジ状ムラを完全になくすことができる。

Ca/(L/L) ≦ 0.1149e―0.2857(H/h) (2)
本発明に適用できる塗工剤の粘度、静的表面張力については前述したが、塗工剤の種類としては、反射防止性、防眩性、耐傷付き性、防汚性、位相差性、自己修復性、導電性等を付与することができる塗工剤を用いることができ、それらを基材フィルムへ塗工することにより、反射防止性能、防眩性能、耐傷付き性能、防汚性能、位相差性能、自己修復性能、導電性能等を有する機能性フィルムを得ることができる。
次に、本発明で用いた各種パラメーターについて測定方法を説明する。
<μ:塗工剤の粘度>
塗工剤の粘度は、粘度計TVE-22L(東機産業株式会社製)を用い、23℃、液量0.6mLで測定した。
<σ:塗工剤の静的表面張力>
塗工剤の静的表面張力σは、表面張力計CBVP-A3(協和界面科学株式会社製)を用い、Wilhlmy法により測定した。
<h:塗工厚み>
塗工厚み(ウェット膜厚)hは、基材フィルム上に塗工された塗工剤の吐出量を塗工面積で除して算出した。
<実施例1〜4>
表2に示すスロットダイを用い、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上へ、粘度1.9mPa・s、静的表面張力26.8mN/mの塗工剤を、表2に示す塗工速度、減圧度、塗工ギャップおよび塗工膜厚(ウェット厚み)で塗工し、塗膜の外観を観察した。その結果、表2に示すように、各実施例の塗工条件は本発明の塗工条件を満足しており(Ca/(L/L)の値が式(1)の右辺で算出される値より小さい)、スジ状ムラの発生はなく、外観良好な塗膜が得られた。
Figure 2014030786
<比較例1〜3>
表2に示すリップ厚みを有するスロットダイを用い、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上へ、粘度1.9mPa・s、静的表面張力26.8mN/mの塗工剤を、表2に示す塗工速度、減圧度、塗工ギャップおよび塗工膜厚(ウェット厚み)で塗工し、塗膜の外観を観察した。その結果、表2に示すように、各比較例の塗工条件は本発明の塗工条件を満足しておらず(Ca/(L/L)の値が式(1)の右辺で算出される値より大きい)、いずれも一部にスジ状ムラが発生し、外観が不良であった。
以上の如く、本発明によれば、ビードの基材フィルム上流側を減圧にしながら基材フィルム表面に塗工剤を塗工するスロットダイによる塗膜の製造を、式(1)を満足する塗工条件で塗工することによりスジ状ムラがなく、膜厚が均一で外観が良好な塗膜を得ることができる。さらに、本発明のスロットダイによる塗膜の塗工方法を含む方法で基材フィルム上に機能性を有する塗工剤を塗工する機能性フィルムの製造方法により、反射防止性能、防眩性能、耐傷付き性能、防汚性能、位相差性能、自己修復性能、導電性能等が付与された機能性フィルムを得ることができる。
1.上流側リップ
2.下流側リップ
3.スリット
4.マニホールド
5.リップ先端(スロットダイ先端)
6.バックアップロール
7.減圧チャンバー
8.スロットダイ
9.基材フィルム
11.ビード
12.塗膜
H:塗工ギャップ
h:塗工膜厚
:下流側ダイリップの厚さ
L:上流側ダイリップの吐出口端部とコンタクトラインまでの距離

Claims (4)

  1. 基材フィルムにスロットダイを近接させ、スロットダイ先端から塗工剤を吐出して前記基材フィルムとの間にビードを形成させると共に、該ビードの基材フィルムの上流側を減圧にしながら前記基材フィルム表面に塗工剤を塗工するスロットダイによる塗膜の塗工方法において、
    前記塗工剤の粘度をμ、前記塗工剤の静的表面張力をσ、前記基材フィルムと前記スロットダイ先端との相対速度をV、上流側ダイリップの吐出口端部とコンタクトラインとの距離をL、下流側ダイリップの厚みをL、塗工ギャップをH、塗工膜厚をh、キャピラリー数をCa(Ca=μ・V/σ)とした際に、式(1)を満たす塗工条件で塗工することを特徴とするスロットダイによる塗膜の塗工方法。

    Ca/(L/L) ≦ 0.1309e―0.2212(H/h) (1)
  2. 前記塗工剤の粘度が20mP・s以下であることを特徴とする請求項1記載の塗膜の塗工方法。
  3. 前記塗工膜厚が5μm〜30μmであることを特徴とする請求項1または2記載の塗膜の塗工方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のスロットダイによる塗工方法を含むことを特徴とする機能性フィルムの製造方法。


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