JP2014028934A - 樹脂微粒子水分散液 - Google Patents

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Abstract

【課題】沈降した樹脂微粒子によるハードケーキ層形成が抑制された、再分散性の良好な樹脂微粒子水分散液の提供を課題とする。
【解決手段】(A)融点が120℃以上のポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子、(B)アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤の少なくとも一つから選ばれる界面活性剤、(C)水からなり、(A)100質量部に対し(B)が1質量部以上である樹脂微粒子水分散液。ポリエーテルエステルブロック共重合体が1〜100μmの場合特に有効であり、(B)界面活性剤がアニオン性界面活性剤であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、沈降した樹脂微粒子によるハードケーキ層形成が抑制された、再分散性の良好な樹脂微粒子水分散液に関する。
ポリエーテルエステルブロック共重合体等の熱可塑性エラストマーからなる樹脂粒子の水分散液は、高い耐熱性などの特徴を有することから高機能分散液として、塗料、接着剤、バインダーあるいはコーティング剤分野に使用されている(特許文献1、2、3)。
ポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の水分散液を使用する場合、粒子径がマイクロメートルサイズ以上となると、ポリエーテルエステルブロック共重合体の比重が水より高いため、シェアのかからない部分では微粒子が径時的に沈降してしまうことが知られている。さらには沈降したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子が、再分散させることが困難なハードケーキ層となるため、実用上の品質や生産において様々な問題を生じさせるという課題があった。
特開平11−12452号公報 特開2001−310944号公報 国際公開2012/043509号
本発明は、沈降した樹脂微粒子によるハードケーキ層形成が抑制された、再分散性の良好な樹脂微粒子水分散液の提供を課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の水分散液に特定の界面活性剤を特定量加えることによって、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記の構成を有する。
[1](A)融点が120℃以上のポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子、(B)アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種の界面活性剤、(C)水を含み、(A)100質量部に対し(B)が1質量部以上であることを特徴とする樹脂微粒子水分散液、
[2]前記(A)ポリエーテルエステルブロック共重合体/(C)水の割合が1〜70質量%であることを特徴とする[1]記載の樹脂微粒子水分散液、
[3]前記(A)ポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の数平均粒子径が1〜100μmであることを特徴とする[1]または[2]記載の樹脂微粒子水分散液、
[4]前記(A)ポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の粒子径分布指数が1〜5であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項記載の樹脂微粒子水分散液、
[5](B)界面活性剤がアニオン性界面活性剤であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項記載の樹脂微粒子水分散液、
[6](B)アニオン性界面活性剤が、その構造中にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、およびそれらの金属塩から選ばれる少なくとも1種を有することを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項記載の樹脂微粒子水分散液、である。
本発明により、沈降したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子によるハードケーキ層形成が抑制され、再分散性の良好な極めて実用的なポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子水分散液を得ることが可能となる。本発明により得られたポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子水分散液は、塗料、接着剤、バインダーあるいはコーティング剤分野、化粧品用途へ活用した際、粒子沈降による品質低下を防ぐことが可能となり、さらにはこれらを製造する工程においても、品質を安定させ生産性を向上させることが可能となる。
以下本発明をさらに詳しく説明する。
本発明における融点が120℃以上のポリエーテルエステルブロック共重合体とは、ポリエステル単位とポリエーテル単位を含むブロック共重合体である。
ポリエステル単位とは、主鎖あるいは側鎖にエステル結合を有するものであればよく、特に限定されないが、酸成分とグリコール成分から重縮合して得ることができる。
ポリエステル単位を構成する酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびそれらのエステル形成性誘導体など、また、スルホン酸基およびその塩基を含む酸成分として、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸などの金属塩などを用いることができ1種もしくは2種以上を用いて共重合される。ポリエーテルエステルブロック共重合体の耐熱性を向上できることから、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸が特に好ましい。
ポリエステル単位を構成するグリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3− プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チオジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、スルホ−p−キシリレングリコールおよび2−スルホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどを用いることができ、これらは1種もしくは2種以上を用いて共重合される。ポリエーテルエステルブロック共重合体の耐熱性を向上できることから、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが好ましく、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールが特に好ましい。
本発明においては上記のうち、芳香族ジカルボン酸のグリコール重縮合物がポリエーテルエステルブロック共重合体の耐熱性を向上できることから好ましい。なかでも強度の点からポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が好ましい。
ポリエステル単位の重量平均分子量としては、特に制限はないが、通常3000以上である。耐熱性を向上させる点から好ましくは、5000以上、より好ましくは、10000以上である。上限値は特に制限ないが、100,000以下、より好ましくは50,000以下である。尚、重量平均分子量とは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンで換算した重量平均分子量を指す。
本発明のポリエーテル単位は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2014028934
Rは、2価の脂肪族の基を示し、具体的には直鎖飽和炭化水素基、分岐飽和炭化水素基、直鎖不飽和炭化水素基、分岐不飽和炭化水素基が挙げられる。nは、繰り返し単位数であり、正数を示す。上記直鎖飽和炭化水素基、分岐飽和炭化水素基、直鎖不飽和炭化水素基、分岐不飽和炭化水素基としては炭素数1〜20であることが耐熱性に優れる観点から好ましく、特に炭素数1〜10であることが好ましい。
ポリエーテル単位の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリプロピレングリコールのエチレンオキシド付加物、およびエチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体などが挙げられる。ポリエーテルエステルブロック共重合体の耐熱性を向上させる点から、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどRの炭素数が1〜10であることが特に好ましい。
ポリエーテル単位の含有量としては、ポリエーテルエステルブロック共重合体中90質量%以内であり、ポリエーテルエステルブロック共重合体の耐熱性を向上させる点から好ましくは80質量%以内、より好ましくは70質量%以内、さらに好ましくは50質量%以内、最も好ましくは30質量%以内である。下限値は、水への分散性を向上させる点から3質量%以上であり、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、特に好ましくは20質量%以上である。
ポリエーテル単位の重量平均分子量としては、特に制限はないが、通常500以上である。耐熱性を向上させる点から好ましくは、800以上、より好ましくは、1000以上である。上限値は特に制限ないが、100,000以下、より好ましくは50,000以下である。尚、重量平均分子量とは、溶媒としてジメチルホルムアミドを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンで換算した重量平均分子量を指す。
本発明におけるポリエーテルエステルブロック共重合体の融点は、120℃以上、好ましくは140℃以上、より好ましくは160℃以上、特に好ましくは180℃以上、最も好ましくは200℃以上である。融点が120℃未満であると、塗膜等の耐熱性が低下するため好ましくない。上限としては特に制限はないが、300℃以下であることが好ましく、280℃以下であることがより好ましい。尚、融点とは、示差走査熱量測定器(セイコーインスツル株式会社製ロボットDSC RDC220)を用いて、昇温速度10℃/分で測定した融点である。
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の重量平均分子量としては、特に制限はないが、通常1,000以上である。耐熱性を向上させる点から好ましくは、2,000以上、より好ましくは3,000以上、特に好ましくは5,000以上、最も好ましくは10,000以上である。上限値は特に制限ないが、100,000以下、より好ましくは、60,000以下、最も好ましくは、40,000以下である。尚、重量平均分子量とは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンで換算した重量平均分子量を指す。
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、公知の方法で製造することができる。具体例としては、例えば、酸成分とグリコール成分を触媒の存在下、重縮合させ得られるポリエステル単位とポリエーテル単位を触媒の存在下、重縮合させる方法、酸成分と過剰量のグリコール成分およびポリエーテル単位を触媒の存在下、エステル交換反応させ、得られる反応生成物を重縮合する方法、および酸成分とグリコール成分およびポリエーテル単位を触媒の存在下、エステル化反応させ、得られる反応生成物を重縮合する方法などのいずれの方法をとってもよい。通常、エステル交換反応は180℃〜220℃の温度で行い、重縮合反応は220℃〜280℃の温度で500Pa以下、より好ましくは150Pa以下の減圧下で、ポリエーテルエステルブロック共重合体が所望の分子量に到達するまで行う。エステル化反応および重縮合反応の際に用いられる触媒としては、公知のものが使用でき、たとえばテトラブチルチタネ−トなどのチタン化合物、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛などの金属の酢酸塩、三酸化アンチモン、ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズなどの有機スズ化合物が挙げられる。触媒量は、酸成分1モルに対し、0.1〜0.0001モル用いるのが好ましい。
次に本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子水分散液に含まれるポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子について説明する。
ポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の数平均粒子径は、通常1μm以上である。粒子径が小さいほど、沈降した粒子の充填率が高くなるため、再分散性が悪化することから、1μm超が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましく、5μm超が特に好ましく、7μm以上が最も好ましい。上限値は100μm以下であり、粒子沈降速度が緩やかになり、塗料や化粧品などに使用した際の塗工スジ、ムラ発生などを抑制できることから、50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、25μm以下がさらに好ましく、20μm以下が最も好ましい。尚、樹脂微粒子の数平均粒子径とは、走査型電子顕微鏡写真にて、無作為に粒子100個を観測、直径を測定し、以下の式(1)より算出する。尚、粒子が真円でない場合は、長径を測定するものとする。
ポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の粒子径分布指数は、5.0以下が好ましい。粒子径分布指数が高いほど、沈降した粒子の充填率が高くなり、再分散性が悪化するため、3.0以下が好ましく、より好ましくは2.0以下、最も好ましくは1.5以下である。粒子分布指数が低いほど、再分散性が向上し、生産での歩留まりが低減され、各種用途に有用である。尚、粒子径分布指数とは、以下の式(3)に従い、数平均粒子径に対する体積平均粒子径の比により算出する。体積平均粒子径は、走査型電子顕微鏡写真にて、無作為に粒子100個を観測、直径を測定し、以下の式(2)より算出する。粒子が真円でない場合は、長径を測定するものとする。下限値としては、理論上1.0である。
Figure 2014028934
尚、Ri:粒子個々の粒子径、n:測定数100、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒子径分布指数とする。
ポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の形状は、真球状、中空状、多孔質状、扁平状、楕円状などのいずれの形状であってもよいが、沈降した粒子の流動性が向上することから、真球状であることが好ましい。
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子は、公知の方法で製造することが可能である。具体的には、有機溶媒にポリエーテルエステルブロック共重合体を溶解し、水中に加えO/Wのエマルションを形成後、有機溶媒を減圧乾燥し除去することで、微粒子を製造する液中乾燥法、国際公開2012/043509号に記載された、有機溶媒のN−メチルー2−ピロリドンにポリエーテルエステルブロック共重合体とポリビニルアルコールを溶解させ、エマルションを形成後、ポリエーテルエステルブロック共重合体の貧溶媒である水を接触させ、微粒子を製造する方法が挙げられる。特に耐熱性の高いポリエーテルエステルブロック共重合体は、有機溶媒への溶解性が悪化するため、そのようなポリエーテルエステルブロック共重合体を微粒子にでき、さらに本願発明の粒子径や粒子径分布の狭い微粒子を作製でき、本願発明の樹脂微粒子分散液を製造できる点から、有機溶媒のN−メチルー2−ピロリドンにポリエーテルエステルブロック共重合体とポリビニルアルコールを溶解させ、エマルションを形成後、ポリエーテルエステルブロック共重合体の貧溶媒である水を接触させ、微粒子を製造する方法が特に好ましい。
ポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子から、有機溶媒のN−メチルー2−ピロリドンと水とポリビニルアルコールを除去し、ポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子を回収する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、ろ過、デカンテーション、減圧濾過、加圧ろ過、遠心分離、遠心ろ過、スプレードライ、酸析法、塩析法、凍結凝固法等などが挙げられる。
固液分離したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子は、必要に応じて、溶媒等で洗浄を行うことにより、付着または含有している不純物等の除去を行い、精製を行う。この際、洗浄溶媒としては、ポリエーテルエステルブロック共重合体の良溶媒でなければ特に限定されることはなく、好ましくは、水、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられ、より好ましくは水である。
得られたポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子は、乾燥を行い、残留溶媒を取り除くことができる。この際、乾燥の方法としては、風乾、加熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥などが挙げられる。加熱する場合の温度は、ポリエーテルエステルブロック共重合体の融点より低い温度が好ましく、具体的には、50〜120℃が好ましい。
次に本発明におけるポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子水分散液について説明する。
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子を水に分散させる方法は、慣用の混合分散機(例えばプラネタリーミキサー、3本ロール、メカニカルスターラー、自公転式ミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ホモジナイザー、アトライター、デゾルバー、ペイントシェーカー等)のいずれでも可能であり、いくつかの方法を組み合わせて調整しても良い。また、必要に応じて、加温や減圧を行ってもよい。
ポリエーテルエステルブロック共重合体としては、乾燥したポリエーテルエステルブロック共重合体や、乾燥前の溶媒を含んだポリエーテルエステルブロック共重合体などを使用することが可能である。水に容易に分散しやすいことから、乾燥前の溶媒を含んだポリエーテルエステルブロック共重合体を用いることが好ましい。
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子水分散液中の水に対する、ポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の添加量は、ポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子水分散液が使用される用途にあわせて調整されるのが望ましいが、70質量%以下が好ましく、より好ましくは50質量%以下であり、さら好ましくは、30質量%以下であり、特に好ましくは20質量%以下である。70質量%を越えると、ポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子が分散し難くなる傾向にあり好ましくない。下限は特に制限はなく、1質量%以上であれば目的に応じて設定すればよい。
本発明で用いるポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子は、水への分散性に優れるため、界面活性剤の添加など公知の方法を用いることなく、水へ分散させることが可能である。
しかしながら、1μm以上のポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子は、時間が経過すると沈降し、再分散が困難なハードケーク層を形成する。本ハードケーク層が一旦形成されると、再分散させるには、機械的せん断などの強力なエネルギーが必要となり、塗料や化粧品などでは品質不良の原因となり、コーティング剤として使用した際は沈降した粒子の回収が困難となり生産性悪化の原因となる。
本発明はポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子分散液に特定の界面活性剤を特定量加えることで、このハードケーク層の形成が抑制され、沈降したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の再分散性が良好な分散液を製造できるところに著しく優れた特徴がある。尚、ハードケーク層の形成度合いについては、再分散性指標(RDI)によって評価する。再分散性指標は、沈降した微粒子(質量W)を、特定の条件で流動させた後に、再分散した微粒子(質量W)を測定し、以下の式(4)から算出する。RDIの値が高いほど、ハードケーク層の形成が抑制されることを示している。
Figure 2014028934
尚、RDI:再分散性指標、W1:ポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の質量、W2:再流動したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の質量とする。
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子水分散液のRDIは、20以上である。RDIが高いほど、沈降したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の再分散が容易になり、化粧品用途などにおいて品質向上につながることから、40以上がより好ましく、50以上が特に好ましく、60以上が最も好ましい。
本発明における界面活性剤とは、イオン性官能基を有する界面活性剤であって、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれかである。ポリエーテルエステルブロック共重合体との親和性が良好であり、より少量の界面活性剤量で、沈降したポリエーテルエステル共重合体微粒子の再分散性が向上することから、アニオン性界面活性剤が好ましく、中でもスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基およびそれらの金属塩から選ばれるいずれかを有するアニオン性界面活性剤が特に好ましく、スルホン酸基およびその金属塩を有するアニオン性界面活性剤が最も好ましい。
本発明の界面活性剤の分子量は、3000以下である。低分子量ほどポリエーテルエステルブロック共重合体との親和性が良好であり、沈降したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の再分散性が向上することから、2000以下が好ましく、1500以下がより好ましく、1000以下が最も好ましい。なお、分子量が1000以上の場合、本発明でいう界面活性剤の分子量は、重量平均分子量を指す。重量平均分子量の測定には、溶媒として水を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で、標準ポリエチレングリコールで換算し算出する。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、リノレン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ステアリン酸カリウムなどの脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、モノアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルナトリウム、脂肪酸エステルスルホン酸ナトリウム、脂肪酸エステル硫酸エステルナトリウム、脂肪酸アルキロースアミド硫酸エステルナトリウム、脂肪酸アミドスルホン酸ナトリウムなどが挙げられ、水に良く溶け、少量の添加量でポリエーテルエステル共重合体微粒子の再流動性向上に効果的であることから、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、リノレン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ステアリン酸カリウムなどの脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウムがより好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウムが最も好ましい。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、塩化アルキルメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化アルキルピリジニウムなどが挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルアミノカルボン酸塩、カルボキシベタイン、アルキルベタイン、スルホベタイン、ホスホベタインなどが挙げられる。
なお、ここでいうアルキル基とは、炭素数1から30までの直鎖型飽和炭化水素基、分岐型飽和炭化水素基、直鎖型不飽和炭化水素基、分岐型不飽和炭化水素基が挙げられる。界面活性剤への水への溶解性が向上し、少量の添加量でポリエーテルエステル共重合体微粒子の再流動性が向上することから、炭素数1から20がより好ましく、1から12がさらに好ましく、8から12が最も好ましい。
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体には、1種もしくは2種以上の界面活性剤を用いてもよい。
本発明における界面活性剤の添加量は、ポリエーテルエステルブロック共重合体を100質量部とした場合、1質量部以上である必要がある。界面活性剤の添加量が少ないと、ハードケーク層を形成し微粒子の再分散が困難になる。界面活性剤の添加量は用途に併せ適宜調整できるが、ポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の再分散性が向上することから、2質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましく、10質量部以上が最も好ましい。界面活性剤が多量になると、水に完全に溶解しなくなるため、上限は50質量部以下が好ましく、さらに好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。
本発明の樹脂微粒子水分散液には、目的を損なわない範囲で必要に応じて、水以外の有機溶媒を加えることが可能である。このような有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンなどのケトン系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、スルホランなどの非プロトン性極性溶媒、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸などのカルボン酸系溶媒、プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、アニソールなどのエーテル系溶媒が挙げられる。
本発明の樹脂微粒子水分散液には、目的を損なわない範囲で必要に応じて、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤等の各種薬剤や酸化チタン、亜鉛、カーボンブラック等の顔料あるいは染料を添加してもよい。
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子水分散液は、沈降したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子によるハードケーキ層形成が抑制され、微粒子の再分散性が良好であることから、自動車内装用・外装用塗料、家電・建築材料等の塗料用途、接着剤用途、インキ用途、バインダーあるいはコーティング剤用途、水系化粧品用途において、品質向上や生産効率を大幅に改善することが可能である。さらにはポリエーテルエステルブロック共重合体の融点が高いため、これら用途に使用した際に、高い耐熱性を付与することが可能である。
次に、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例中、用いる測定は下記の通りである。
(1)ポリエーテルエステルブロック共重合体の重量平均分子量の測定
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、ポリスチレンによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。
装置:株式会社島津製作所製 LC−10Aシリーズ
カラム:昭和電工株式会社製 HFIP−806M×2
移動相:ヘキサフルオロイソプロパノール
流速:0.5ml/min
検出:示差屈折率計
カラム温度:25℃
(2)数平均粒子径、体積平均粒子径、粒子径分布指数の算出法−1
走査型電子顕微鏡(日本電子社製走査型電子顕微鏡JSM−6301NF)にて、粒子を観察、数平均粒子径を測定した。尚、粒子が真円でない場合は、長径をその粒子径として測定した。
数平均粒子径(Dn)、体積平均粒子径(Dv)は、無作為に選んだ粒子100個の直径を測定し、数式(1)および(2)に従い、算出した。
粒子径分布指数(PDI)は、数式(3)に従い、算出した。
Figure 2014028934
尚、Ri:粒子個々の粒子径、n:測定数100、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒子径分布指数とした。
(3)数平均粒子径、体積平均粒子径、粒子径分布指数の算出法−2
微粒子をイオン交換水中0.1%にてのスラリーに調整後、超音波処理したものを測定用試料とし、レーザー回折式粒度分布計(SALD―2100:株式会社島津製作所製)を用いて測定し、体積平均粒子径、数平均粒子径を算出した。
(4)融点の測定
セイコーインスツル株式会社製ロボットDSC RDC220を使用し、窒素ガス雰囲気下、10℃/分の昇温速度で加熱した時の融解ピークの頂上温度を測定した。
(5)分子量1000以上の界面活性剤の重量平均分子量の測定
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、ポリエチレングリコールによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。
装置:株式会社島津製作所製 LC−10Aシリーズ
カラム:昭和電工株式会社製 GF−7MHQ × 2本
移動相:10mmol/L 臭化リチウム水溶液
流速:1.0ml/min
検出:示差屈折率計
カラム温度:40℃。
(6)ポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子水分散液のRDI
ポリエーテルエステルブロック共重合体をWg含んだポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子水分散液20gをサンプル瓶で24時間静置する。サンプル瓶を反転し、10分間静置した後に、内溶液のうち流動性のある部分を減圧濾過にて濾別し、得られたポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子を乾燥後、質量を測定した(Wg)。下記式(4)から再流動したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の割合を再分散指標(RDI)とした。RDI≧20の場合、ハードケーキ層形成が抑制されており、評価を○とした。RDI<20の場合、ハードケーキ層が形成されており、評価を×とした。
Figure 2014028934
尚、RDI:再分散性指標、W1:ポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の質量、W2:再流動したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の質量とした。
[製造例1] ポリエーテルエステルブロック共重合体−I
テレフタル酸16.0部、1,4−ブタンジオール14.0部および重量平均分子量約3000のポリテトラメチレングリコール70.0部を、チタンテトラブトキシド0.01部とモノ−n−ブチル−モノヒドロキシスズオキサイド0.005部をヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、190〜225℃で3時間加熱して反応水を系外に留出しながらエステル化反応を行った。反応混合物にテトラ−n−ブチルチタネート0.06部を追添加し、“イルガノックス”1098(チバ・ジャパン(株)製ヒンダードフェノール系酸化防止剤)0.02部を添加した後、245℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を100Paの減圧とし、その条件下で2時間50分重合を行わせて、ポリエーテルエステルブロック共重合体を得た。融点は、160℃であり、重量平均分子量は、23,000であった。
[製造例2] ポリエーテルエステルブロック共重合体−II
テレフタル酸37.3部、1,4−ブタンジオール32.7部および重量平均分子量約3000のポリテトラメチレングリコール30.0部を、チタンテトラブトキシド0.01部とモノ−n−ブチル−モノヒドロキシスズオキサイド0.005部をヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、190〜225℃で3時間加熱して反応水を系外に留出しながらエステル化反応を行った。反応混合物にテトラ−n−ブチルチタネート0.06部を追添加し、“イルガノックス”1098(チバ・ジャパン(株)製ヒンダードフェノール系酸化防止剤)0.02部を添加した後、245℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を100Paの減圧とし、その条件下で2時間50分重合を行わせて、ポリエーテルエステルブロック共重合体を得た。融点は、218℃であり、重量平均分子量は、29,000であった。
[製造例3] ポリエーテルエステルブロック共重合体−III
テレフタル酸42.7部、1,4−ブタンジオール37.3部および重量平均分子量約3000のポリテトラメチレングリコール20.0部を、チタンテトラブトキシド0.01部とモノ−n−ブチル−モノヒドロキシスズオキサイド0.005部をヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、190〜225℃で3時間加熱して反応水を系外に留出しながらエステル化反応を行った。反応混合物にテトラ−n−ブチルチタネート0.06部を追添加し、“イルガノックス”1098(チバ・ジャパン(株)製ヒンダードフェノール系酸化防止剤)0.02部を添加した後、245℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を100Paの減圧とし、その条件下で2時間50分重合を行わせて、ポリエーテルエステルブロック共重合体を得た。融点は、224℃であり、重量平均分子量は、27,000であった。
[製造例4]
100mlの4口フラスコの中に、製造例1で作成したポリエーテルエステルブロック共重合体(重量平均分子量 23,000)3.5g、有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン43g、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社‘ゴーセノール(登録商標)’GL−05)3.5gを加え、90℃に加熱し、ポリマーが溶解するまで攪拌を行った。系の温度を80℃に戻した後に、450rpmで攪拌しながら、貧溶媒として50gのイオン交換水を、送液ポンプを経由し、0.41g/分のスピードで滴下を行った。全量の水を入れ終わった後に、30分間攪拌し、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水100gで洗浄し、80℃、10時間真空乾燥を行い、白色固体3.1gを得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ真球状の微粒子であり、数平均粒子径13.2μm、体積平均粒子径15.4μm、粒子径分布指数1.17のポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子であった。
[製造例5]
1000mlの耐圧ガラスオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)ハイパーグラスターTEM−V1000N)の中に、製造例2で作成したポリエーテルエステルブロック共重合体(重量平均分子量29,000)28g、N−メチル−2−ピロリドン304.5g、ポリビニルアルコール(和光純薬工業株式会社製 PVA−1500、重量平均分子量29,000:メタノールでの洗浄により、酢酸ナトリウム含量を0.05質量%に低減したもの)17.5gを加え、窒素置換を行った後、180℃に加熱し、ポリマーが溶解するまで4時間攪拌を行った。その後、貧溶媒として350gのイオン交換水を、送液ポンプを経由して、2.92g/分のスピードで滴下した。全量の水を入れ終わった後、攪拌したまま降温させ、得られた懸濁液をろ過し、イオン交換水700gを加えてリスラリー洗浄し、濾別したものを、80℃で10時間真空乾燥させ、白色固体26.5gを得た。この白色固体をレーザー粒度分布計(島津製作所製 SALD−2100)にて分析した結果、数平均粒子径4.9μm、体積平均粒子径が5.5μm、粒子径分布指数が1.12のポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子であった。
[製造例6]
1000mlの耐圧ガラスオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)ハイパーグラスターTEM−V1000N)の中に、製造例2で作成したポリエーテルエステルブロック共重合体(重量平均分子量29,000)28g、N−メチル−2−ピロリドン308g、ポリビニルアルコール(和光純薬工業株式会社製 PVA−1500、重量平均分子量29,000:メタノールでの洗浄により、酢酸ナトリウム含量を0.05質量%に低減したもの)14gを加え、窒素置換を行った後、180℃に加熱し、ポリマーが溶解するまで4時間攪拌を行った。その後、貧溶媒として350gのイオン交換水を、送液ポンプを経由して、2.92g/分のスピードで滴下した。全量の水を入れ終わった後、攪拌したまま降温させ、得られた懸濁液をろ過し、イオン交換水700gを加えてリスラリー洗浄し、濾別したものを、80℃で10時間真空乾燥させ、白色固体25.5gを得た。レーザー粒度分布計(島津製作所製 SALD−2100)にて分析した結果、数平均粒子径7.0μm、体積平均粒子径が8.6μm、粒子径分布指数が1.22のポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子であった。
[製造例7]
1000mlの耐圧ガラスオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)ハイパーグラスターTEM−V1000N)の中に、製造例2で作成したポリエーテルエステルブロック共重合体(重量平均分子量29,000)28g、N−メチル−2−ピロリドン301g、ポリビニルアルコール(和光純薬工業株式会社製 PVA−1500、重量平均分子量29,000:メタノールでの洗浄により、酢酸ナトリウム含量を0.05質量%に低減したもの)10.5gを加え、窒素置換を行った後、180℃に加熱し、ポリマーが溶解するまで4時間攪拌を行った。その後、貧溶媒として350gのイオン交換水を、送液ポンプを経由して、2.92g/分のスピードで滴下した。全量の水を入れ終わった後、攪拌したまま降温させ、得られた懸濁液をろ過し、イオン交換水700gを加えてリスラリー洗浄し、濾別したものを、80℃で10時間真空乾燥させ、白色固体26.0gを得た。レーザー粒度分布計(島津製作所製 SALD−2100)にて分析した結果、数平均粒子径9.8μm、体積平均粒子径が12.6μm、粒子径分布指数が1.28のポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子であった。
[製造例8]
1000mlの耐圧ガラスオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)ハイパーグラスターTEM−V1000N)の中に、製造例3で作成したポリエーテルエステルブロック共重合体(重量平均分子量27,000)17.5g、N−メチル−2−ピロリドン315g、ポリビニルアルコール(和光純薬工業株式会社製 PVA−1500、重量平均分子量29,000:メタノールでの洗浄により、酢酸ナトリウム含量を0.05質量%に低減したもの)17.5gを加え、窒素置換を行った後、180℃に加熱し、ポリマーが溶解するまで4時間攪拌を行った。その後、貧溶媒として350gのイオン交換水を、送液ポンプを経由して、2.92g/分のスピードで滴下した。全量の水を入れ終わった後、攪拌したまま降温させ、得られた懸濁液をろ過し、イオン交換水700gを加えてリスラリー洗浄し、濾別したものを、80℃で10時間真空乾燥させ、白色固体14.9gを得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ真球状の微粒子であり、数平均粒子径4.3μm、体積平均粒子径5.4μm、粒子径分布指数1.25のポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子であった。
[製造例9]
1000mlの耐圧ガラスオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)ハイパーグラスターTEM−V1000N)の中に、製造例3で作成したポリエーテルエステルブロック共重合体(重量平均分子量27,000)33.25g、N−メチル−2−ピロリドン299.25g、ポリビニルアルコール(和光純薬工業株式会社製 PVA−1500、重量平均分子量29,000:メタノールでの洗浄により、酢酸ナトリウム含量を0.05質量%に低減したもの)17.5gを加え、窒素置換を行った後、180℃に加熱し、ポリマーが溶解するまで4時間攪拌を行った。その後、貧溶媒として350gのイオン交換水を、送液ポンプを経由して、2.92g/分のスピードで滴下した。全量の水を入れ終わった後、攪拌したまま降温させ、得られた懸濁液をろ過し、イオン交換水700gを加えてリスラリー洗浄し、濾別したものを、80℃で10時間真空乾燥させ、白色固体28.3gを得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ真球状の微粒子であり、数平均粒子径12.0μm、体積平均粒子径14.7μm、粒子径分布指数1.23のポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子であった。
<ポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子水分散液の再分散性評価>
[実施例1]
(A)製造例4で製造したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子6.0質量部、(B)界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(分子量288)0.5質量部、水93.5質量部を加え撹拌し分散液を調整した。分散液の再分散性を評価したところ、RDI=72であり、ハードケーキ層形成は抑制されていた。
[実施例2]
(A)製造例5で製造したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子6.0質量部、(B)界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(分子量288)0.5質量部、水93.5質量部を加え撹拌し分散液を調整した。分散液の再分散性を評価したところ、RDI=73であり、ハードケーキ層形成は抑制されていた。
[実施例3]
(A)製造例6で製造したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子6.0質量部、(B)界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(分子量288)0.5質量部、水93.5質量部を加え撹拌し分散液を調整した。分散液の再分散性を評価したところ、RDI=53であり、ハードケーキ層形成は抑制されていた。
[実施例4]
(A)製造例7で製造したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子6.0質量部、(B)界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(分子量288)0.12質量部、水93.88質量部を加え撹拌し分散液を調整した。分散液の再分散性を評価したところ、RDI=53であり、ハードケーキ層形成は抑制されていた。
[実施例5]
(A)製造例7で製造したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子6.0質量部、(B)界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(分子量288)0.5質量部、水93.5質量部を加え撹拌し分散液を調整した。分散液の再分散性を評価したところ、RDI=78であり、ハードケーキ層形成は抑制されていた。
[実施例6]
(A)製造例7で製造したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子6.0質量部、(B)界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(分子量288)1.0質量部、水93.0質量部を加え撹拌し分散液を調整した。分散液の再分散性を評価したところ、RDI=63であり、ハードケーキ層形成は抑制されていた。
[実施例7]
(A)製造例8で製造したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子6.0質量部、(B)界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(分子量288)0.5質量部、水93.5質量部を加え撹拌し分散液を調整した。分散液の再分散性を評価したところ、RDI=65であり、ハードケーキ層形成は抑制されていた。
[実施例8]
(A)製造例9で製造したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子6.0質量部、(B)界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(分子量288)0.5質量部、水93.5質量部を加え撹拌し分散液を調整した。分散液の再分散性を評価したところ、RDI=61であり、ハードケーキ層形成は抑制されていた。
[実施例9]
(A)製造例4で製造したポリエーテルエステルブロック共重合体6.0微粒子質量部、(B)界面活性剤としてラウリン酸ナトリウム(分子量222)0.5質量部、水93.5質量部を加え撹拌し分散液を調整した。分散液の再分散性を評価したところ、RDI=70であり、ハードケーキ層形成は抑制されていた。
[実施例10]
(A)製造例7で製造したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子6.0質量部、(B)界面活性剤としてラウリン酸ナトリウム(分子量222)0.5質量部、水93.5質量部を加え撹拌し分散液を調整した。分散液の再分散性を評価したところ、RDI=74であり、ハードケーキ層形成は抑制されていた。
[実施例11]
(A)製造例7で製造したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子6.0質量部、(B)界面活性剤として塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(分子量264)0.12質量部、水93.88質量部を加え撹拌し分散液を調整した。分散液の再分散性を評価したところ、RDI=26であり、ハードケーキ層形成は抑制されていた。
[実施例12]
(A)製造例7で製造したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子6.0質量部、(B)界面活性剤として塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(分子量264)1.2質量部、水92.8質量部を加え撹拌し分散液を調整した。分散液の再分散性を評価したところ、RDI=66であり、ハードケーキ層形成は抑制されていた。
[比較例1]
(A)製造例7で製造したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子6.0質量部、水94.0質量部を加え撹拌し分散液を調整した。分散液の再分散性を評価したところ、RDI=0であり、ハードケーキ層が形成され微粒子が再分散しなかった。
[比較例2]
(A)製造例7で製造したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子6.0質量部、(B)界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(分子量288)0.05質量部、水93.95質量部を加え撹拌し分散液を調整した。分散液の再分散性を評価したところ、RDI=0であり、ハードケーキ層が形成され微粒子が再分散しなかった。
[比較例3]
(A)製造例7で製造したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子20質量部、(B)非イオン性の界面活性剤としてオクチルフェノキシポリエトキシエタノール(分子量646)0.15質量部、水80.0質量部を加え撹拌し分散液を調整した。分散液の再分散性を評価したところ、RDI=0であり、ハードケーキ層が形成され微粒子が再分散しなかった。
[比較例4]
(A)製造例7で製造したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子6.0質量部、(B)非イオン性の界面活性剤としてオクチルフェノキシポリエトキシエタノール(分子量646)1.0質量部、水93.0質量部を加え撹拌し分散液を調整した。分散液の再分散性を評価したところ、RDI=0であり、ハードケーキ層が形成され微粒子が再分散しなかった。
[比較例5]
(A)製造例7で製造したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子6.0質量部、(B)高分子界面活性剤としてポリビニルアルコール(日本合成化学株式会社製 GL−05 重量平均分子量24,000)1.2質量部、水92.8質量部を加え撹拌し分散液を調整した。RDI=0であり、ハードケーキ層が形成され微粒子が再分散しなかった。
[比較例6]
(A)製造例7で製造したポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子6.0質量部、(B)高分子界面活性剤としてポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量23,000)0.5質量部、水93.5質量部を加え撹拌し分散液を調整した。RDI=0であり、ハードケーキ層が形成され微粒子が再分散しなかった。
以上の結果をまとめて表1に示す。
Figure 2014028934
実施例1〜12、比較例1、2から水分散液中に界面活性剤をポリエーテルブロックエステル共重合体に対し1質量%以上加えることで、再流動性が向上し、ハードケーキ層形成が抑制されたことがわかる。さらに、実施例4、11、12から、アニオン性界面活性剤がカチオン性界面活性剤に比べ、再流動性の向上効果が顕著であることがわかる。一方、比較例3〜6に示すように、非イオン性界面活性剤を使用した場合、ハードケーキ層が形成され、再分散が困難であることがわかる。
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子水分散液は、沈降したポリエーテルエステル共重合体微粒子によるハードケーキ層形成が抑制され、ポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の再分散性が良好であることから、自動車内装用・外装用塗料、家電・建築材料等の塗料用途、接着剤用途、インキ用途、バインダーあるいはコーティング剤用途、水系化粧品用途において、品質向上や生産効率を大幅に改善することが可能である。さらにはポリエーテルエステルブロック共重合体の融点が高いため、これら用途に使用した際に、高い耐熱性を付与することが可能である。

Claims (6)

  1. (A)融点が120℃以上のポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子、(B)アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種の界面活性剤、(C)水を含み、(A)100質量部に対し(B)が1質量部以上であることを特徴とする樹脂微粒子水分散液。
  2. 前記(A)ポリエーテルエステルブロック共重合体/(C)水の割合が1〜70質量%であることを特徴とする請求項1記載の樹脂微粒子水分散液。
  3. 前記(A)ポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の数平均粒子径が1〜100μmであることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂微粒子水分散液。
  4. 前記(A)ポリエーテルエステルブロック共重合体微粒子の粒子径分布指数が1〜5であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の樹脂微粒子水分散液。
  5. (B)界面活性剤がアニオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の樹脂微粒子水分散液。
  6. (B)アニオン性界面活性剤が、その構造中にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、およびそれらの金属塩から選ばれる少なくとも1種を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の樹脂微粒子水分散液。
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