JP2014028873A - 無機化合物微粒子分散組成物および無機化合物微粒子分散硬化物 - Google Patents

無機化合物微粒子分散組成物および無機化合物微粒子分散硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】 無機金属化合物微粒子の分散性および分散状態の保存安定性を優れたものにできるとともに、かつ、フィルム状に硬化させた後の表面平滑性も優れたものにできる、無機化合物微粒子分散組成物および硬化物を提供する。
【解決手段】 本発明に係る無機化合物微粒子分散組成物は、(A)無機化合物微粒子および(B)重合性化合物、必要に応じて(C)溶媒を含有し、(A)無機化合物微粒子が分散状態にあって、(A)無機化合物微粒子として、(A−1)金属酸化物の微粒子ゾルまたは(A−2)金属または半金属窒化物の微粒子ゾルを用いる。この分散組成物を硬化させることで、本発明に係る硬化物が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、無機化合物微粒子が分散した状態にある組成物およびその硬化物に関し、特に、無機化合物微粒子が金属酸化物、もしくは、金属または半金属窒化物の微粒子である組成物およびその硬化物に関する。
近年、各種の無機系材料の利用形態の一つとして、水性分散媒あるいは非水性分散媒中で微粒子として分散させた分散体が挙げられる。この分散体は、無機系材料が微粒子という「微小サイズの固体」であって、この微粒子が液体である分散媒中に分散している状態にある。そのため、無機系材料を利用した各種製品の製造において、加工特性、製品特性および素材物性等を効率的に向上させることが可能であり、また、品質安定化あるいは製造時の歩留向上等に寄与することが可能となっている。
その一方で、分散質である微粒子について、その素材を変更したり、粒子サイズをさらに微小化したり、粒子形状を制御したりすること等によって、分散媒中で微粒子が安定して分散できなくなることがある。この場合、微粒子は分散媒中にて短時間で凝集するおそれがあり、この凝集によって、分散体の生産性の低下、加工特性の低下、ハンドリング性の低下、歩留低下等が生じることに加え、当該分散体を用いて生産される最終製品の特性の低下、品質の低下、分散質(無機系材料)の素材特性の低下等を引き起こすおそれがある。
そこで、従来から、無機系材料の微粒子を含有する分散体の分野においては、分散質である微粒子の凝集を抑制し、分散状態の安定化を向上させる技術が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、無機系材料の微粒子として金属酸化物を用い、この金属酸化物粒子を表面処理することによって分散性の向上を図る、金属酸化物粒子用表面処理剤と、これを用いて得られるハードコート層形成用コーティング剤と、これを用いて得られるハードコートフィルムとが開示されている。このハードコートフィルムは、特に、画像表示装置用として好ましいものである。
特許文献1に用いられている金属酸化物微粒子としては、例えば、チタニア粒子、ジルコニア粒子、またはアルミナ粒子が例示されている。これら粒子は、光学材料に添加することで屈折率を向上させることが知られており、これら微粒子と樹脂材料等(電離放射線硬化型化合物)とを複合化した材料は、画像表示装置の表示画面のコーティング剤としたり各種光学レンズ材料に採用したりすることで、光学性能を向上させることができ、さらには、使用分野によっては放熱性の向上等も図ることができる。
そこで、特許文献1では、これら粒子の分散性を向上させるとともに、形成されるハードコートフィルムの透明性および耐擦傷性を向上させるべく、分子中にカルボン酸基と、1分子当たり4個以上のエチレン性不飽和基とを有する重合性化合物からなる表面処理剤、並びに、この表面処理剤で表面処理された金属酸化物粒子と、電離放射線硬化型化合物とを含むコーティング剤を開示している。
また、分散質である微粒子の分散性を向上させる技術としては、前記のように微粒子を表面処理する技術だけでなく、分散剤を用いる技術も提案されている。例えば、本願出願人は、特許文献2において、ナノサイズの酸化ジルコニウム粒子の分散性を向上させるために、特定構造の分散剤を用いた分散体組成物を開示している。
特開2010−275483号公報 特開2012−007144号公報
ここで、前記従来の技術は、いずれも、実質的に特定の用途、あるいは、特定の無機化合物微粒子を用いた場合に限定されている。具体的には、特許文献1に開示の技術は、画像表示装置のハードコートフィルム分野に実質的に限定され、無機化合物微粒子も、実質的に、チタニア粒子、ジルコニア粒子、またはアルミナ粒子に限定されている。また、特許文献2に開示の技術は、用途は特に限定されないものの、無機金属化合物微粒子が、酸化ジルコニウム粒子(ジルコニア粒子)に限定されている。
また、特許文献1に開示されるコーティング剤でフィルムを形成した場合、条件にもよるが、当該フィルムの表面平滑性、保存安定性等が十分でないことがある。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、分散質である無機金属化合物微粒子の分散性および分散状態の保存安定性を優れたものにできるとともに、かつ、膜状に硬化させた後の表面平滑性も優れたものにできる、無機化合物微粒子分散組成物と、これを硬化させた硬化物を提供することを目的とする。
本発明に係る無機化合物微粒子分散組成物は、前記の課題を解決するために、(A)無機化合物微粒子と、(B)重合性化合物と、と、を含有し、前記(A)無機化合物微粒子が分散状態にある無機化合物微粒子分散組成物であって、前記(A)無機化合物微粒子として、(A−1)金属酸化物の微粒子ゾルまたは(A−2)金属または半金属窒化物の微粒子ゾルを用いる構成である。
前記構成によれば、(A)無機化合物微粒子として、金属または半金属酸化物等の粉末を用いるのではなく微粒子ゾルを用いることによって、分散質である(A)無機化合物微粒子の分散性および保存安定性が優れたものとなり、さらに、例えば膜状に硬化させた後の表面平滑性も優れたものとすることができる。加えて、分散質を分散させるために専用の器具または機器等を用いる必要がないため、無機化合物微粒子分散組成物を簡便に製造することができる。
前記構成の無機化合物微粒子分散組成物においては、前記(A−1)金属酸化物の微粒子ゾルは、1種類の金属酸化物からなる単酸化物微粒子ゾル、および、複合酸化物からなる複合酸化物微粒子ゾルの少なくとも一方である構成であってもよい。
また、前記構成の無機化合物微粒子分散組成物においては、前記(A−1)金属酸化物の微粒子ゾルまたは(A−2)金属または半金属窒化物の微粒子ゾルは、周期表第4族、第13族、および第14族の少なくともいずれかに属する金属元素または半金属元素を含有する微粒子ゾルである構成であってもよい。
また、前記構成の無機化合物微粒子分散組成物においては、前記(B)重合性化合物が、分子中にカルボキシル基とエチレン性不飽和基とを有する化合物である構成であってもよい。
また、前記構成の無機化合物微粒子分散組成物においては、さらに、(A)無機化合物微粒子および(B)重合性化合物の合計重量に対して、0.001〜4.0倍の範囲内で(C)溶媒を含有する構成であってもよい。
さらに、本発明には、前記構成の無機化合物微粒子分散組成物を硬化させて得られる無機化合物微粒子分散硬化物も含まれる。
本発明では、以上の構成により、分散質である無機金属化合物微粒子の分散性および分散状態の保存安定性を優れたものにできるとともに、かつ、膜状に硬化させた後の表面平滑性も優れたものにできる、無機化合物微粒子分散組成物と、これを硬化させた硬化物を提供することができる、という効果を奏する。
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明に係る無機化合物微粒子分散組成物は、少なくとも(A)無機化合物微粒子と(B)重合性化合物とを含有し、当該(A)無機化合物微粒子が分散状態にある無機化合物微粒子分散組成物であって、(A)無機化合物微粒子として、(A−1)金属酸化物の微粒子ゾルまたは(A−2)金属または半金属窒化物の微粒子ゾルを用いている構成である。また、本発明に係る無機化合物微粒子分散硬化物は、前記構成の無機化合物微粒子分散組成物を硬化させてなるものである。
なお、以下の説明では、説明の便宜上、無機化合物微粒子分散組成物を単に「分散組成物」と略し、無機化合物微粒子分散硬化物も単に「硬化物」と略す場合がある。
[(A)無機化合物微粒子]
本発明において「A成分」として用いられる(A)無機化合物微粒子は、(A−1)金属酸化物の微粒子ゾルまたは(A−2)金属または半金属窒化物の微粒子ゾル、もしくはその両方である。
(A)無機化合物微粒子のうち(A−1)金属酸化物の微粒子ゾルの具体的な種類は限定されず、1種類の金属酸化物からなる単酸化物微粒子ゾルであってもよいし、複合酸化物からなる複合酸化物微粒子ゾルであってもよいし、その両方であってもよい。同様に、(A−2)金属または半金属窒化物の微粒子ゾルの具体的な種類も特に限定されず、1種類以上の金属または半金属の窒化物の微粒子ゾルであればよい。ここで、本発明における半金属とは、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)の6元素を指すものとする。
ここで、本発明において、微粒子ゾルを形成する金属または半金属の具体的な種類は、前記の通り特に限定されないが、好ましい一例として、周期表第4族、第13族、および第14族の少なくともいずれかに属する金属元素または半金属元素を挙げることができる。周期表第4族の金属元素としては、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、およびハフニウム(Hf)が挙げられ、周期表第13族の金属または半金属元素としては、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、およびインジウム(In)が挙げられ、周期表第14族の金属または半金属元素としては、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、および鉛(Pb)を挙げることができる。
さらに、本発明において微粒子ゾルを形成する金属には、周期表第4族、第13族および第14族以外の金属または半金属元素が含まれてもよい。代表的には、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)等の第2族の金属元素、あるいは、カリウム(K)、リチウム(Li)等の第1族の金属元素等が挙げられるが、特に限定されない。
本発明において微粒子ゾルとして具体的に用いられる無機化合物は、ゾル化することが可能な金属または半金属の酸化物または窒化物であれば、その具体的な種類等は特に限定されない。代表的な化合物の例としては、酸化チタン(チタニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化マグネシウム(マグネシア)、酸化ケイ素(シリカ)等の単酸化物;チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸鉛、チタン酸アルミニウム、チタン酸リチウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化インジウムスズ(ITO)等の複合酸化物;窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ガリウム、窒化チタン、窒化リチウム等の窒化物;等を挙げることができる。これら無機化合物は、酸化物または窒化物に限らず、微粒子ゾルとして1種類のみが用いられてもよいし2種類以上を適宜組み合わせて用いられてもよい。
本実施の形態では、前記無機化合物の群の中でも、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸亜鉛、酸化インジウムスズ、および窒化ホウ素からなる群の少なくとも1種の金属または半金属酸化物からなる微粒子ゾルを好適に用いることができる。もちろん、本発明に係る分散組成物または硬化物の用途、使用条件、製造条件等に応じて、様々な種類の無機化合物を微粒子ゾルとして用いることが可能であることはいうまでもない。
ここで(A)無機化合物微粒子としての微粒子ゾルの粒径は特に限定されない。代表的には、1μm未満の微粒子であればよく、より具体的には、例えば、平均粒径が1〜500nmの範囲内であれば好ましく、2〜100nmの範囲内であればより好ましく、さらに4〜50nmの範囲内がより好ましい。また、本発明における平均粒径とは、マイクロトラック式粒度分布測定法により測定された粒径において、小径側から累積50%の粒径を指すものとする。
また、(A)無機化合物微粒子としての微粒子ゾルの製造方法も特に限定されず、公知の湿式合成法(あるいは乾式合成法)で製造した金属または半金属の微粒子を、公知の溶媒(便宜上「ゾル用溶媒」と称する)等を用いて懸濁液を調製してゾル化する等の公知の方法を用いて製造することができる。さらに、本発明では、後述するように、市販の微粒子ゾルを(A)無機化合物微粒子として用いることもできる。
[(B)重合性化合物]
本発明において「B成分」として用いられる(B)重合性化合物は、重合性を有し、所定の条件によって重合して硬化する公知の化合物であれば、その具体的な種類は特に限定されない。
(B)重合性化合物として使用可能な代表的な化合物としては、分子中にエチレン性不飽和基を有する化合物(エチレン系化合物)、末端にエポキシ基を有する化合物(エポキシ系化合物)、アミノ基を有する化合物、カルボキシル基またはその誘導基を有する化合物、水酸基を有する化合物等を挙げることができる。これら化合物は、分子中に含まれる、重合性に寄与する官能基を基準として分類しているが、一つの化合物の構造中に複数種類の官能基が含まれてもよい。例えば、エチレン系化合物が、エチレン性不飽和基以外にアミノ基またはカルボキシル基等を含んでいてもよい。また、一つの化合物中に同一種類の官能基が1つのみ(単官能)であってもよいし、2つ以上(多官能)であってもよい。さらに、これら化合物は、1種類のみを用いてもよいし、複数種類を組み合わせて用いてもよい。
(B)重合性化合物が重合することによって得られる重合体(樹脂)の種類も特に限定されず、本発明に係る分散組成物または硬化物の用途、使用条件、製造条件等に応じて適宜選択することができる。また、(B)重合性化合物の重合条件も特に限定されず、(B)重合性化合物として用いられる化合物の種類に応じて、加熱による重合、放射線等の照射による重合、硬化剤を用いた重合(硬化)等を挙げることができる。同様に、重合体の分子量も特に限定されず、前記と同様の種々の条件に応じて適宜設定することができる。
本実施の形態において例示される代表的な(B)重合性化合物としては、分子中にカルボキシル基とエチレン性不飽和基とを有する化合物を挙げることができる。より具体的な一例としては、エチレン性不飽和基として(メタ)アクリル基を有するとともに、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系化合物を挙げることができる。
後述する実施例では、カルボン酸含有単官能アクリレートまたはカルボン酸含有多官能アクリレートを用いている。(メタ)アクリル系化合物を重合させることによって得られる樹脂は、光学性能に優れる(メタ)アクリル系樹脂である。この場合、本発明に係る分散組成物および硬化物は、光学系用途に好適に用いることができる。
また、分子中にカルボキシル基とエチレン性不飽和基とを有する化合物の他の例としては、ポリカルボン酸またはその酸無水物と、水酸基およびエチレン性不飽和基を有する化合物とを、エステル化することにより得られる化合物を挙げることができる。使用できるポリカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、シュウ酸、トリメリット酸、クエン酸等が挙げられる。また、使用できる酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸等が挙げられる。また、使用できる水酸基およびエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ジペンタエリスリトールアクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、並びにこれらにアルキレンオキサイドを付加した化合物(例えば、商品名:KAYARAD DPEA-12または商品名:KAYARAD RP-1040(いずれも日本化薬株式会社製、KAYARADは登録商標))等を挙げることができる。
なお、前述したように、(B)重合性化合物としては、1種類のみを用いてもよいし2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよいので、例えば、前記のような分子中にカルボキシル基とエチレン性不飽和基とを有する化合物だけを(B)重合性化合物として用いてもよいし、分子中にカルボキシル基とエチレン性不飽和基とを有する化合物と、分子中にカルボキシル基を有さずエチレン性不飽和基を有する化合物とを(B)重合性化合物として併用することもできる。
本発明に係る分散組成物において、(A)無機化合物微粒子および(B)重合性化合物の含有量は特に限定されないが、特に(B)重合性化合物として、少なくとも分子中にカルボキシル基とエチレン性不飽和基とを有する化合物を用いる場合には、(A)無機化合物微粒子および(B)重合性化合物の合計重量を100重量%としたときに、少なくとも、分子中にカルボキシル基とエチレン性不飽和基とを有する化合物が1〜90重量%の範囲内であればよく、3〜80重量%の範囲内であると好ましく、4〜80重量%の範囲内であるとより好ましい。
[(C)溶媒および(D)その他の成分]
本発明においては、前述した(A)無機化合物微粒子としての微粒子ゾル、並びに、(B)重合性化合物に加えて、さらに「C成分」として(C)溶媒を用いることができる。この(C)溶媒としては、(A)無機化合物微粒子または(B)重合性化合物の種類、物性、使用条件等に応じて、公知の溶媒を適宜選択して用いることができる。
本発明において(C)溶媒として使用可能なものとしては、特に限定されないが、代表的には、炭化水素、エステル、ケトン、およびアルコールからなる群から選択される、少なくとも1種の有機溶媒を挙げることができる。これら有機溶媒は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。後述する実施例では、例えば、アルコキシ化アルコール(アルコキシドアルコール)の1種である3−メトキシブタノール、または、グリコールエステルの1種であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)を(C)溶媒として用いている。
なお、(B)重合性化合物の種類によっては、(C)溶媒として水が使用可能であることは言うまでもない。また、(C)溶媒として水を用いる場合には、水と混和可能な極性有機溶媒を併用することもできる。
また、本発明においては、前述した(A)〜(C)の成分以外に、(D)その他の成分を含んでいてもよい。(D)その他の成分としては、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、レベリング剤、消泡剤等、分散組成物の分野で公知の様々な添加剤を挙げることができるが、代表的なものとして界面活性剤を挙げることができる。界面活性剤を添加することにより、分散組成物中における微粒子ゾルの分散性および分散状態の安定性をより一層向上することができる。
なお、本発明で使用可能な界面活性剤の具体的な種類は特に限定されず、用いられる微粒子ゾル((A)無機化合物微粒子)、(B)重合性化合物、および(C)溶媒の種類、物性等の条件に応じて、公知の界面活性剤を選択して好適に用いることができる。
[分散組成物および硬化物]
本発明に係る分散組成物は、前述した(A)無機化合物微粒子としての微粒子ゾル、(B)重合性化合物、および(C)溶媒、並びに、必要に応じて界面活性剤等の(D)その他の成分を含有する組成物であり、(A)〜(D)の各成分の含有量については、各成分の種類、物性、分散組成物の用途等の諸条件に応じて、適宜好適な範囲を設定することができる。
分散組成物の代表的な組成としては、(A)無機化合物微粒子および(B)重合性化合物の合計重量を100重量%としたときに、(A)無機化合物微粒子としての微粒子ゾルが、固形分換算で10〜90重量%の範囲内であればよく、30〜80重量%の範囲内であると好ましく、40〜80重量%の範囲内であることがより好ましい。したがって、(B)重合性化合物は、10〜90重量%の範囲内であればよく、20〜70重量%の範囲内であると好ましく、20〜60重量%の範囲内であればより好ましい。
また、(C)溶媒は、(A)無機化合物微粒子および(B)重合性化合物の合計重量(100重量%)に対して、0.001〜4.0倍(0.1〜400重量%)の範囲内で配合すればよく、0.1〜3.0倍(10〜300重量%)の範囲内が好ましい。なお、(D)その他の成分は、当該成分の添加により所望の機能を発揮できる範囲内で添加すればよい(例えば、界面活性剤の場合、微粒子ゾルの分散性、分散安定性を発揮できる程度の量を添加すればよい)。
また、本発明に係る分散組成物の製造方法(調製方法)は特に限定されず、(A)〜(C)の各成分、並びに、必要に応じて(D)その他の成分を前記範囲内の組成となるように配合し、(C)溶媒中に(A)無機化合物微粒子および(B)重合性化合物が十分分散するまで攪拌すればよい。
ここで、(A)無機化合物微粒子としての微粒子ゾルに「ゾル用溶媒」((C)溶媒ではない)が残存している場合には、必要に応じて、このゾル用溶媒を除去してもよい。例えば、分散組成物の必須成分である(C)溶媒の沸点(あるいは蒸発点)と、ゾル用溶媒の沸点(あるいは蒸発点)とを比較して、ゾル用溶媒のみが蒸発するような温度条件を設定し、各成分を混合しながら加熱すればよい。
このように、本発明に係る分散組成物は、(A)〜(C)成分を所定重量で配合して攪拌するだけで、(A)無機化合物微粒子としての微粒子ゾルを良好に分散することができる。特に後述する実施例および比較例に示すように、(A)無機化合物微粒子として、一般的な金属または半金属の酸化物微粒子を用いた場合と比較して、微粒子ゾルを用いた場合には、分散組成物を非常に簡便に製造することができるだけでなく、1ヶ月間保存した場合であっても、分散質である微粒子ゾルの沈殿または凝集が確認されず、優れた保存安定性を得ることができる。
また、本発明に係る分散組成物は、その分散性が優れたものとなっていることから、様々な用途に適用した場合に、適用物の性能、特性、機能等の向上が期待できる。例えば、(B)重合性化合物の種類等に応じて公知の条件で硬化させることにより、本発明に係る硬化物とすることができるが、この硬化物は、所望の基材上に膜状物(層)として形成した場合に、優れた表面平滑性を実現することができる。したがって、本発明に係る硬化物は、フィルムまたはコーティング層等として好適に用いることができる。
もちろん、本発明に係る分散組成物および硬化物の用途は、フィルムまたはコーティング層等の膜状物に限定されず、(A)無機化合物微粒子としての微粒子ゾルの種類等に応じて、各種の成形物あるいは産業用薬剤等にも好適に用いることができる。
また、例えば、前述したように、(A)無機化合物微粒子が、前述した周期表第4族、第13族、および第14族の少なくともいずれかに属する金属元素または半金属元素の微粒子ゾルであり、(B)重合性化合物が前述した(メタ)アクリル系化合物であれば、本発明に係る分散組成物および硬化物は、(A)無機化合物微粒子の分散性が優れているため、光学性能の向上が期待できる。それゆえ、前記構成の分散組成物および硬化物は、レンズ材料、封止材料、反射防止膜等の光学系材料の分野に好適に用いることができる。後述する実施例および比較例に例示するように、前記構成の分散組成物から得られる硬化物は、膜状物としたときに表面平滑性に優れるだけでなく、その形状を問わず、屈折率、透明性または外観等の光学性能も優れたものとなっている。
本発明について、実施例および比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下の実施例および比較例における分散組成物および硬化物の評価は次に示すようにして行った。
(分散組成物の評価方法)
[ヘイズ]
スガ試験機株式会社製ヘーズコンピューター(型式:HGM−2DP)を用いて、JIS K7136に準拠して、得られた分散組成物のヘイズを測定して評価した。
[平均粒径]
マイクロトラック社(Microtrac Incorporated)製ナノトラック(登録商標)を用いて、得られた分散組成物中に分散する微粒子の平均粒径を測定して評価した。このとき、小径側から累積50%の粒径を平均粒径とした。
[分散安定性]
得られた分散組成物を25℃で1ヶ月静置した。その後、分散組成物に何らかの沈降がを見られるか否かを目視で確認し、沈降が見られないときを「○」として、沈降が見られるときを「×」として評価した。
(硬化物の評価方法)
[屈折率]
得られた膜状の硬化物(硬化膜)について、メトリコン社(Metricon Corporation)製プリズムカプラ(製品名)を使用して波長633nmにおける屈折率を測定して評価した。
[ヘイズ]
スガ試験機株式会社製ヘーズコンピューター(型式:HGM−2DP)を用いて、JIS K7136に準拠して、得られた硬化膜のヘイズを測定して評価した。
[外観]
得られた硬化膜の外観を目視で確認し、濁り、曇り、ムラ等が観察されないときを「○」として、濁り、曇り、ムラ等が観察されるときを「×」として評価した。
[表面平滑性]
株式会社ミツトヨ製サーフテスト(登録商標、型式SJ−400)を用いて、得られた硬化膜の表面粗さRa,表面平滑性Pa,および最大高さRyを測定することで、表面平滑性を評価した。
(実施例1)
(A)無機化合物微粒子の微粒子ゾルとして、日産化学工業株式会社製の酸化ジルコニウムゾル(商品名:OZ−S30M,平均粒径10〜30nm、固形分30%のメタノール溶液)を、(B)重合性化合物として、東亞合成株式会社製のカルボン酸含有多官能アクリレート(商品名:M−520)を、(C)溶媒として、3−メトキシブタノールを用いた。
前記酸化ジルコニウムゾルを固形分換算で70重量部、前記カルボン酸含有多官能アクリレートを30重量部、並びに、前記3−メトキシブタノールを100重量部、をそれぞれ配合して混合し、エバポレータにてゾル用溶媒(メタノール)を留去して、本発明に係る分散組成物を調製した。
得られた分散組成物に、光重合開始剤(商品名(登録商標):イルガキュア184、BASFジャパン(株)製)を全固形分に対して3重量%となるように添加して、バーコーターを用いて、基材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にコーティングし、加熱乾燥炉にて80℃×10分の条件で溶媒を揮発させ、高圧水銀灯にて積算500mJ/cm2 (酸素濃度0.3%以下)照射して硬化させた。これによって、本発明に係る硬化物である、膜厚20μmの被膜を形成した。
得られた分散組成物および硬化物について前述したように評価を行った。分散組成物の結果を表1に、硬化物の結果を表2に示す。
(実施例2)
(A)無機化合物微粒子の微粒子ゾルとして、住友大阪セメント株式会社製の酸化ジルコニウムゾル(商品名:WZ220,平均粒径30nm、固形分22%水溶液)を用い、(B)重合性化合物として、東亞合成株式会社製のカルボン酸含有多官能アクリレート(商品名:M−510)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る分散組成物および硬化物を得た。この分散組成物および硬化物について、前述したように評価を行った。分散組成物の結果を表1に、硬化物の結果を表2に示す。
(実施例3)
(A)無機化合物微粒子の微粒子ゾルとして、堺化学工業株式会社製の酸化ジルコニウムゾル(商品名:SZR−M,平均粒径5nm、固形分30%のメタノール溶液)を用い、(B)重合性化合物として、新中村化学工業株式会社製のカルボン酸含有単官能アクリレート(商品名:CB−01)を用い、(C)溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る分散組成物および硬化物を得た。この分散組成物および硬化物について、前述したように評価を行った。分散組成物の結果を表1に、硬化物の結果を表2に示す。
(実施例4)
(A)無機化合物微粒子の微粒子ゾルとして、堺化学工業株式会社製の酸化チタンゾル(商品名:SRD−02M,平均粒径15nm、固形分15%のメタノール溶液)を、(B)重合性化合物として、東亞合成株式会社製のカルボン酸含有多官能アクリレート(商品名:M−520)を、(C)溶媒として、3−メトキシブタノールを用いた。
前記酸化チタンゾルを固形分換算で50重量部、前記カルボン酸含有多官能アクリレートを50重量部、並びに、前記3−メトキシブタノールを100重量部、をそれぞれ配合して混合し、エバポレータにてゾル用溶媒(メタノール)を留去して、本発明に係る分散組成物を調製した。
得られた分散組成物を用いて前記実施例1と同様にして本発明に係る硬化物を得た。この分散組成物および硬化物について、前述したように評価を行った。分散組成物の結果を表1に、硬化物の結果を表2に示す。
(実施例5)
(A)無機化合物微粒子の微粒子ゾルとして、実施例3と同じく堺化学工業株式会社製の酸化ジルコニウムゾル(商品名:SZR−M)を用い、(B)重合性化合物として、新中村化学工業株式会社製のカルボン酸含有単官能アクリレート(商品名:A−SA)を用い、(C)溶媒は用いなかった。
前記酸化ジルコニウムゾルを固形分換算で50重量部、並びに、前記カルボン酸含有単官能アクリレートを50重量部、をそれぞれ配合して混合し、エバポレータにてゾル溶媒(メタノール)を留去して、本発明に係る分散組成物を調製した。
得られた分散組成物を、前記実施例1と同様の条件により、PETフィルムにコーティングして硬化させ、本発明に係る硬化物である、膜厚20μmの被膜を形成した。この分散組成物および硬化物について、前述したように評価を行った。分散組成物の結果を表1に、硬化物の結果を表2に示す。
(比較例1)
(A)無機化合物微粒子として、微粒子ゾルではなく、日本電工株式会社製の酸化ジルコニウム粉末(商品名:PCS60)を用い、(C)溶媒である3−メトキシブタノールの配合量を200重量部とした以外は、前記実施例1と同じ成分で同じ配合量とした。そして、これら成分を混合してペイントシェーカーを用いて分散処理することにより、比較の分散組成物を調製した。
得られた分散組成物を前記実施例1と同様にしてコーティングし、比較の硬化物である被膜を形成した。得られた比較の分散組成物および比較の硬化物について、前述したように評価を行った。分散組成物の結果を表1に、硬化物の結果を表2に示す。
(比較例2)
(A)無機化合物微粒子として、日本電工株式会社製の酸化ジルコニウム粉末(商品名:PCS150)を用いた以外は、前記比較例1と同様にして比較の分散組成物および比較の硬化物を得た。この分散組成物および硬化物について、前述したように評価を行った。分散組成物の結果を表1に、硬化物の結果を表2に示す。
(比較例3)
(A)無機化合物微粒子として、アルドリッチ(登録商標)試薬の酸化ジルコニウム粉末(試薬品名:Zirconium(IV) oxide-8% yittria stabilized, nanopawder)を用いた以外は、前記比較例1と同様にして比較の分散組成物および比較の硬化物を得た。この分散組成物および硬化物について、前述したように評価を行った。分散組成物の結果を表1に、硬化物の結果を表2に示す。
(比較例4)
(A)無機化合物微粒子として、微粒子ゾルではなく、日本電工株式会社製の酸化ジルコニウム粉末(商品名:PCS60)を用い、(C)溶媒として、メチルイソブチルケトンを用いて、特許文献1の実施例1と同様にして比較の分散組成物を得た。
得られた比較の分散組成物を前記実施例1と同様にしてコーティングし、比較の硬化物である被膜を形成した。得られた比較の分散組成物および比較の硬化物について、前述したように評価を行った。分散組成物の結果を表1に、硬化物の結果を表2に示す。
(比較例5)
(A)無機化合物微粒子として、微粒子ゾルではなく、日本電工株式会社製の酸化ジルコニウム粉末(商品名:PCS60)を用い、(B)重合性化合物として、新中村化学工業株式会社製のカルボン酸含有単官能アクリレート(商品名:A−SA)を用いた。
前記酸化ジルコニウムゾルを固形分換算で50重量部、並びに、前記カルボン酸含有単官能アクリレートを50重量部、をそれぞれ配合してペイントシェーカーを用いて分散処理を行ったが、流動性のないゲル状物質となったため、評価不可能であった。
表1に示すように、本発明に係る分散組成物は、微粒子ゾルではなく粉末を用いた比較の分散組成物に比べていずれもヘイズが低く、また、分散安定性に優れていた。また、分散質((A)無機化合物微粒子)の平均粒径については、本発明に係る分散組成物では、調製前の微粒子ゾルの平均粒径と比較して同等かそれ以下となっており、比較の分散組成物と比べても、同等かそれ以下の平均粒径となっていた。
また、表2に示すように、本発明に係る硬化物は、比較の硬化物に比べて、ほぼ同等かそれ以上の屈折率を有しており、また、ヘイズも低く、外観も優れたものとなっていた。特にヘイズについては、本発明に係る分散組成物は、比較の分散組成物と比べて全て数値が低いものの、実施例2および4では、比較例2に近いレベルであった。これに対して、硬化物では、実施例1〜5全てにおいて、ヘイズは比較例2よりも明らかに小さいレベルとなっていることがわかる。
また、表面平滑性については、表面粗さRa,表面平滑性Pa,および最大高さRyのいずれにおいても、本発明に係る硬化物の方が比較の硬化物よりも十分小さい値となっていた。
また、(C)溶媒を含まない実施例5および比較例5の比較から明らかなように、微粒子ゾルではなく粉末を用いて分散組成物を製造した場合、(C)溶媒を用いなければ流動性のある分散組成物を得られないおそれがある。これに対して本発明では、実施例5の結果から明らかなように、(C)溶媒が無くても良好な流動性を有する分散組成物を得ることができる。
さらに、(C)溶媒を含む実施例1〜4と(C)溶媒を含まない実施例5との比較から明らかなように、(C)溶媒を前述した範囲内で添加することにより、分散組成物または硬化物の物性を損なうことなく、良好な流動性を有する分散組成物を得ることができる。また、組成によっては、分散組成物の物性または硬化物の物性の向上を図ることもできる(例えば、同種の酸化ジルコニウムゾルを用いた実施例3および5の硬化物の結果を参照)。
以上の結果から、本発明に係る分散組成物は、優れた保存安定性を有するだけでなく、(B)重合性化合物として(メタ)アクリル系化合物を用いた場合には、特に硬化物としたときに優れた光学性能を発揮できることがわかる。また、硬化物が膜状物であれば、その表面平滑性も優れたものになっていることがわかる。
加えて、硬化物の優れた光学性能は、(A)無機化合物微粒子の優れた分散性を示す指標ともなり得る。すなわち、酸化ジルコニウムゾルまたは酸化チタンゾルが粉末の場合と比較して良好に分散したことにより、優れた光学性能を発揮できたと考えられるので、本発明に係る分散組成物および硬化物は、光学分野以外の分野に適用した場合であっても、適用物の性能、特性、機能等の向上が期待できる。
さらに、比較の分散組成物と比べて、ペイントシェーカー等の分散用器具(機器)を用いなくても容易に分散組成物を得ることができる。それゆえ、本発明によれば、分散組成物を簡便に製造することができる。
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施例や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例等についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、分散媒中に分散質として金属または半金属の微粒子を分散させる分野(分散体の分野)に広く好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. (A)無機化合物微粒子と、(B)重合性化合物と、を含有し、前記(A)無機化合物微粒子が分散状態にある無機化合物微粒子分散組成物であって、
    前記(A)無機化合物微粒子として、(A−1)金属酸化物の微粒子ゾルまたは(A−2)金属または半金属窒化物の微粒子ゾルを用いることを特徴とする、
    無機化合物微粒子分散組成物。
  2. 前記(A−1)金属酸化物の微粒子ゾルは、1種類の金属酸化物からなる単酸化物微粒子ゾル、および、複合酸化物からなる複合酸化物微粒子ゾルの少なくとも一方であることを特徴とする、請求項1に記載の無機化合物微粒子分散組成物。
  3. 前記(A−1)金属酸化物の微粒子ゾルまたは(A−2)金属または半金属窒化物の微粒子ゾルは、周期表第4族、第13族、および第14族の少なくともいずれかに属する金属元素または半金属元素を含有する微粒子ゾルであることを特徴とする、
    請求項2に記載の無機化合物微粒子分散組成物。
  4. 前記(B)重合性化合物が、分子中にカルボキシル基とエチレン性不飽和基とを有する化合物であることを特徴とする、
    請求項1ないし3のいずれか1項に記載の無機化合物微粒子分散組成物。
  5. さらに、(A)無機化合物微粒子および(B)重合性化合物の合計重量に対して、0.001〜4.0倍の範囲内で(C)溶媒を含有することを特徴とする、
    請求項1ないし4のいずれか1項に記載の無機化合物微粒子分散組成物。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の無機化合物微粒子分散組成物を硬化させて得られることを特徴とする、無機化合物微粒子分散硬化物。

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