JP2014028761A - マクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制 - Google Patents

マクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制 Download PDF

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Abstract

【課題】マクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制物質を内包したリポソームを含有する、マクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤の調製において、(1)高いマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制効果を示し、(2)安定性に優れ、且つ(3)調製が簡便である抑制物質内包リポソームを提供すること、及びこのリポソームを含有するマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤を提供すること。
【解決手段】食品成分由来の化合物である、ポリフェノール化合物、フラバン誘導体化合物、環状ケトン化合物及びトリテルペノイド誘導体化合物からなる群から選択される1種以上を内包したリポソームを含有することを特徴とするマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤。
【選択図】図1

Description

本発明は、マクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制物質を内包したリポソームを含有する、マクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤に関する。
マクロファージは貪食作用による異物、老廃物の除去、又は自然免疫に中心的な役割を果たしているのに加えて、抗原処理機能により、獲得免疫の調節にも重要な役割を果たしていると考えられている。一方で、マクロファージの活性もしくは機能の亢進が、生体にとって病的な状態をもたらすことがあることも知られている。
マクロファージの活性もしくは機能の亢進に起因した疾患としては、アテローム性動脈硬化症、鬱血性心不全、虚血性疾患、再狭窄、高血圧、線維性血管障害(糖尿病、全身性エリテマトーデス等)、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症等)、脳損傷、脳血管事象(例えば、卒中、発作、神経傷害及び中枢神経系内部での再生等)、造血障害、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、癌(特に成人T細胞白血病を含む白血病)及び固形癌、自己免疫疾患、感染(例えば、HIV感染及びAIDS等)、線維増殖障害(例えば、乾癬等)、慢性及び急性の炎症疾患(例えば、関節リウマチ、クローン病、炎症性腸症候群等)、糸球体疾患、敗血症、移植片拒絶反応、移植片対宿主疾患、骨疾患、(変形性線維増殖/炎症応答によって特徴づけられる)心臓血管及び心臓血管以外の血管の病態、(酸素又はグルコース欠乏組織等の病気により損傷された部位への)白血球の浸潤により特徴づけられる疾患(例えば、脳卒中及び心筋梗塞等)等が挙げられる。
生体は複雑な細胞間の相互作用によって成り立っており、それぞれの細胞が果たす役割が、最終的に生体にどのような効果・影響をもたらすかを調べることは容易ではない。例えば、マクロファージは、活性酸素を産生して周囲の組織を障害する等、それ自身が炎症性細胞であると同時に、サイトカイン/モノカイン等を産生・放出して周囲の細胞に影響を及ぼし、例えば、それらの活性化を通して局所炎症応答を起こす可能性が考えられている。そのため、複雑な細胞間の相互作用の中における、マクロファージの役割を解明するためには、選択的にマクロファージの機能を抑制することが、ひとつの有効な手段となる。さらに、上記のように、マクロファージの活性もしくは機能の亢進が、様々な疾患をもたらす場合もあり、マクロファージの機能抑制は、様々な疾患の治療又は予防に役立つと期待できる。
リポソームは両親媒性脂質を利用した小粒子であり、様々な物質を取り込ませて、目的とする物質を運搬する手段として有用であることが知られている(特許文献1)。例えば、一般にインビトロにおいて有効性を示す薬物の中には、生体に投与した後速やかに代謝を受け標的部位に十分に作用を発揮しないうちに消失してしまうものが多くあり、そのような薬物をより効果的に標的部位で作用させる手段として、リポソームに薬物を内包させる薬物送達システム(Drug Delivery System、DDS)が知られている。リポソームを用いたDDSは、生体適合性及び生分解性に優れ、毒性が低く、水溶性薬物又は脂溶性薬物のいずれも内包可能であるという利点を有しており、有用である。
一方、マクロファージはファゴサイトーシス能及びエンドサイトーシス能(貪食作用及び飲食作用)を有しており、貪食作用等を通じてリポソームを取り込むことができるため、リポソームにマクロファージ機能抑制物質を内包させることにより、マクロファージを選択的に抑制することができると考えられる。
実際にこのような目的で、マクロファージ機能抑制物質を内包したリポソームを動物に投与することにより、マクロファージの機能を選択的に抑制できることが知られている(例えば、特許文献2)。しかし既知のリポソームには(1)マクロファージ機能抑制効果の強度、(2)安定性、(3)調製の簡便性等において課題があった。そのため、特に上記(1)〜(3)においてより優れている、マクロファージ機能抑制作用を有するリポソームの確立が求められていた。また、癌細胞の増殖が、マクロファージ機能の亢進により助長されることが知られており、特に固形癌においては、癌細胞の増殖抑制と同時にマクロファージ機能の抑制が重要である。このことから、癌細胞増殖抑制効果及びマクロファージ機能抑制効果を併せ持つ剤の開発が求められていた。
特許第3199728号明細書 特開2011−20923
好ましくは食品成分由来のマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制物質を内包したリポソーム(以降、「抑制物質内包リポソーム」ともいう)を含有する、マクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤の調製において、(1)高いマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制効果を示し、(2)安定性に優れ、且つ(3)調製が簡便である抑制物質内包リポソームを提供すること、及び該リポソームを含有するマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤を提供することが、本発明の課題である。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、食品成分として知られている物質に強力なマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制作用を有する物質があることを見出し、さらに研究を進め、これらの物質をリポソームに取り込ませることにより、マクロファージの機能抑制及び/又は癌細胞増殖を強力に抑制するリポソームを作製する方法を確立し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に関する。
〔1〕食品成分由来の化合物である、ポリフェノール化合物、フラバン誘導体化合物、環状ケトン化合物及びトリテルペノイド誘導体化合物からなる群から選択される1種以上を内包したリポソームを含有することを特徴とするマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤。
〔2〕前記食品成分由来の化合物が、クルクミン、ゲニステイン、カルノソール、エピガロカテキン、カテキン、ガロカテキン、エピカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、アピゲニン、クリシン、レスベラトロール、ダイドゼイン、ケルセチン、イソフラボン、フラボン、フラバノン、カルコン、ゼルンボン、コロソリック酸及びウルソール酸からなる群から選択される1種以上である前記〔1〕記載のマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤。
〔3〕前記食品成分由来の化合物が、ポリフェノール化合物である前記〔1〕記載のマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤。
〔4〕マクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤の製造のための、食品成分由来の化合物である、ポリフェノール化合物、フラバン誘導体化合物、環状ケトン化合物及びトリテルペノイド誘導体化合物からなる群から選択される1種以上を内包したリポソームの使用。
〔5〕前記食品成分由来の化合物が、クルクミン、ゲニステイン、カルノソール、エピガロカテキン、カテキン、ガロカテキン、エピカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、アピゲニン、クリシン、レスベラトロール、ダイドゼイン、ケルセチン、イソフラボン、フラボン、フラバノン、カルコン、ゼルンボン、コロソリック酸及びウルソール酸からなる群から選択される1種以上である前記〔4〕記載の使用。
〔6〕前記食品成分由来の化合物が、ポリフェノール化合物である前記〔4〕記載の使用。
〔7〕食品成分由来のマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制物質を内包したリポソームを含有することを特徴とするマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤。
本発明により、マクロファージ機能抑制効果及び/又は癌細胞増殖効果を示し、安定性、及び調製の簡便性に優れたリポソームを含有するマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤を提供することができる。本発明には、マクロファージ機能抑制効果又は癌細胞増殖抑制効果のいずれか一方、又は両方の効果を示す剤がいずれも含有されるが、マクロファージ機能抑制効果及び癌細胞増殖抑制効果を両方示す剤が好ましい。
図1は、クルクミン内包リポソームによる、ヒト単球白血病細胞株(THP−1)の増殖抑制作用を試験した結果を示す。
本発明において、「マクロファージ」とは、好ましくは単球の内、血管外の組織に到達した貪食作用を有する単球を意味する。また、本発明において、「マクロファージ機能」とは、通常、マクロファージが有している機能を意味し、既知のものでは例えば、貪食能、走化性(遊走能)、カーボンクリアランス、サイトカイン(モノカイン、例えばTFN−α)産生能、活性酸素産生能、酸化窒素産生能等が挙げられる。
本発明において「リポソーム」とは、通常、膜状に集合した脂質層及び内部の水層から構成される閉鎖小胞(多重層のカプセル構造)を意味する。また、本発明において、「内包」とは、溶液としてリポソームの内部水層に保持されている場合、並びにリポソームの膜構成成分として存在する場合を包含する。
本発明において、「ポリフェノール」とは、ベンゼン環に2以上の水酸基が置換している構造を分子内に有する化合物群を意味する;「フラバン誘導体」とは、フラバンの誘導体化合物群のうち、前記ポリフェノールに分類できるものを除いた化合物群を意味する;「環状ケトン」とは、カルボニル基が環の一部をなす構造を分子内に有する化合物群のうち、前記ポリフェノール及び前記フラバン誘導体に分類できるものを除いた化合物群を意味する;「トリテルペノイド誘導体」とは、6つのイソプレンユニットから構成される化合物群のうち、前記ポリフェノール、前記フラバン誘導体及び前記環状ケトンに分類できるものを除く化合物群を意味する。本発明の食品成分由来の化合物は、天然の生理活性物質であってよい。
本発明に用いるリポソームにおいて、リポソーム膜を構成する成分としては、特に限定されず、リポソームの製造に通常用いられている脂質化合物をいずれも用いることができる。前記脂質化合物としては、特に限定されないが、例えば、リン脂質類、ステロール類、ホスファチジルエタノールアミン類、ホスファチジン酸類、糖脂質類、ホスファチジルグリセロール類、長鎖アルキルリン酸塩類、スフィンゴミエリン、モノシアルガングリオシドGM1誘導体(FEBS Lett. 223, 42 (1987); Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 85, 6949 (1988))、グルクロン酸誘導体(Chem. Lett., 2145 (1989); Biochim. Biophys. Acta, 1148, 77 (1992))、ポリエチレングリコール誘導体(Biochim. Biophys. Acta, 1029, 91 (1990); FEBS Lett., 268, 235(1990))等を含むことができる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明に用いるリポソーム膜の構成成分は、好ましくはリン脂質を含む。本発明においては、天然由来、半合成又は全合成のリン脂質のいずれも用いることができる。天然由来リン脂質としては、例えば、大豆、菜種等の植物原材料由来;卵黄、魚等の動物原材料由来;菌類又は細菌類由来等のリン脂質が挙げられる。
前記リン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン類及びホスファチジルセリン類が挙げられる。前記ホスファチジルコリン類としては、特に限定されないが、例えば、卵黄ホスファチジルコリン(EPC)、ジミリストリルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)等が挙げられる。前記ホスファチジルセリン類としては、特に限定されないが、例えば、卵黄ホスファチジルセリン(EPS)、ジミリストリルホスファチジルセリン(DMPS)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ジオレイルホスファチジルセリン(DOPS)等が挙げられる。これらを単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明のリポソーム膜の構成成分には、上記リン脂質に加えて、例えば、ステロール類、ホスファチジルエタノールアミン類、ホスファチジン酸類、糖脂質類、ホスファチジルグリセロール類、長鎖アルキルリン酸塩類、スフィンゴミエリン、モノシアルガングリオシドGM1誘導体(FEBS Lett. 223, 42 (1987); Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 85, 6949 (1988))、グルクロン酸誘導体(Chem. Lett., 2145 (1989); Biochim. Biophys. Acta, 1148, 77 (1992))、又はポリエチレングリコール誘導体(Biochim. Biophys. Acta, 1029, 91 (1990); FEBS Lett., 268, 235(1990))等を、単独で又は2種以上を混合して含有させることができる。これらの内、ステロール類、ホスファチジン酸類、長鎖アルキルリン酸塩類及び糖脂質類は、リポソームの安定性を向上させる効果を有することが知られている。
ステロール類としては、特に限定されないが、例えば、コレステロール、ジヒドロコレステロール、コレステロールエステル、フィトステロール、シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、コレスタノール、又はラノステロール等が挙げられる。
ホスファチジルエタノールアミン類としては、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン等が挙げられる。
ホスファチジン酸類としては、ジミリストイルホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジン酸、ジステアロイルホスファチジン酸が挙げられる。長鎖アルキルリン酸塩類としてはジセチルホスフェート等が挙げられる。
糖脂質類としては、ガラクトシルセラミド、グルコシルセラミド、ラクトシルセラミド、ホスフナチド、グロボシド、ガングリオシド類等が挙げられる。ガングリオシド類としては、ガングリオシドGM1(Galβ1,3GalNAcβ1,4(NeuAα2,3)Galβ1,4Glcβ1,1’Cer)、ガングリオシドGDla、ガングリオシドGTlb等が挙げられる。
ホスファチジルグリセロール類としては、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロ−ル、ジステアロイルホスファチジルグリセロール等が挙げられる。
本発明の好ましい態様において、マクロファージ標的能を保持させることを目的として、リポソーム膜に、ホスファチジルセリン類を含有させる。本発明においても、リポソーム膜にホスファチジルセリン類を含有させることによって、本発明のマクロファージ機能抑制剤を、効率よくマクロファージに貪食させることができる。リポソーム膜を構成する脂質中、ホスファチジルセリン類の含有比率は、特に限定されないが、通常約1〜約20モル%、マクロファージ標的能とリポソーム膜の安定性とのバランスの観点から、好ましくは約3〜約18モル%、より好ましくは約5〜約15モル%である。又は、ホスファチジルセリン類の含有比率は、リポソーム膜を構成する脂質中、通常約1〜約20重量%、マクロファージ標的能とリポソーム膜の安定性とのバランスの観点から、好ましくは約3〜約18重量%、より好ましくは約5〜約15重量%である。ホスファチジルセリン類としては、上記に挙げたものを用いることができる。
本発明の好ましい別の態様において、リポソーム膜の安定性を向上させることを目的として、リポソーム膜にステロール類を含有させることができる。本発明において、リポソーム膜にステロール類を含有させることによって、安定したリポソーム膜を製造することができる。リポソーム膜を構成する脂質中、ステロール類の含有比率は、特に限定されないが、通常約10〜約70モル%、リポソーム膜の安定性の観点から、好ましくは約20〜約60モル%、より好ましくは約30〜約50モル%である。又は、ステロール類の含有比率は、リポソーム膜を構成する脂質中、通常約10〜約70重量%、リポソーム膜の安定性の観点から、好ましくは約20〜約60重量%、より好ましくは約30〜約50重量%である。ステロール類としては、上記に挙げたものを用いることができる。
本発明の好ましい別の態様において、リポソーム膜は、ホスファチジルセリン類、ホスファチジルコリン類及びステロール類を含む。ホスファチジルセリン類、ホスファチジルコリン類及びステロール類としては、上記に挙げたものを用いることができる。また、各成分の含有比率は特に限定されず、任意の値とすることができるが、リポソーム膜の安定性を向上させる観点から、好ましくは、モル比で、ホスファチジルセリン類を1として、ホスファチジルコリン類は約2〜約8、ステロール類は約1〜約7、より好ましくはホスファチジルセリン類1、ホスファチジルセリン類約3〜約7及びステロール類約2〜約6である。又は、各成分の含有比率は、リポソーム膜の安定性を向上させる観点から、好ましくは、ホスファチジルセリン類は約5〜約25重量%、ホスファチジルコリン類は約30〜約70重量%、ステロール類は約20〜約60重量%、より好ましくは、ホスファチジルセリン類は約5〜約15重量%、ホスファチジルコリン類は約40〜約60重量%、ステロール類は約30〜約50重量%である。ただし、上記3成分の合計は100重量%以下である。ホスファチジルセリン類、ホスファチジルコリン類及びステロール類としては、上記に挙げたものを用いることができる。リポソーム膜の各構成脂質の含有量は、例えば、高速液体クロマトグラフィー等の分析機器を用いて測定することができる。
本発明のさらに好ましい態様において、リポソーム膜は、ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)及びコレステロールを含有する。各成分の比率は特に限定されず、任意の値とすることができるが、リポソーム膜の安定性を向上させる観点から、好ましくは、モル比で、DPPSを1として、DPPCは約2〜約8、コレステロールは約1〜約7、より好ましくはDPPS1、DPPC約3〜約7及びコレステロール約2〜約6である。又は、各成分の含有比率は、リポソーム膜の安定性を向上させる観点から、好ましくは、DPPSは約5〜約25重量%、DPPCは約30〜約70重量%、コレステロールは約20〜約60重量%、より好ましくは、DPPSは約5〜約15重量%、DPPCは約40〜約60重量%、コレステロールは約30〜約50重量%である。ただし、上記3成分の合計は100重量%以下である。コレステロールの含有量は、例えば、コレステロールE−テストワコー(和光純薬)等のコレステロール測定キット等で測定することができる。
本発明の好ましい態様は、マクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制物質として、食品成分由来の化合物を内包したリポソームを含有するマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤に関する。前記食品成分由来の化合物としては、特に限定されず、例えば、ポリフェノール化合物、フラバン誘導体化合物、環状ケトン化合物、トリテルペノイド誘導体化合物等が挙げられ、これら以外の天然の生理活性物質であってよい。本発明の食品成分由来の化合物は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明に用いるポリフェノール化合物としては、特に限定されないが、例えば、フラボノイド類、カテキン類、クルクミン類、スチルベノイド類、ジテルペン類、タンニン類、アントシアニン類、カカオマスポリフェノール類、クロロゲン酸、リグナン、サポニン類、ショウガオール、セサミノール類、テアフラビン類、ルチン類及びイソフムロン類等が挙げられる。これらの中でも、特にクルクミン類、フラボノイド類、カテキン類、スチルベノイド類及びジテルペノイド類が好ましい。より具体的には特に限定されないが、例えば、クルクミン、ゲニステイン、カルノソール、エピガロカテキン、カテキン、ガロカテキン、エピカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、アピゲニン、クリシン、レスベラトロール、ダイドゼイン、ケルセチン、クェルシトリン、イソクェルシトリン、クロロゲン酸、リグナン、α−グルコシルルチン、ナリンギン及びヒペロシド等が挙げられる。これらの中で、クルクミン、ゲニステイン、カルノソール、エピガロカテキン、カテキン、ガロカテキン、エピカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、アピゲニン、クリシン、レスベラトロール、ダイドゼイン及びケルセチン等が好ましい。これらを単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明に用いるフラバン誘導体化合物としては、フラバノン、フラボン、イソフラボン、カルコン、ロイコアントシアニン及びトロキセルチン等が挙げられる。これらの内、フラバノン、フラボン、イソフラボン及びカルコンが好ましい。環状ケトン化合物としては、ゼルンボン、クマリン及びリモニン等が挙げられる。トリテルペノイド誘導体化合物としては、コロソリック酸及びウルソール酸等が挙げられる。その他の食品成分由来の化合物としては、特に限定されないが、セサミノール、6−ジンゲロール、カプサイシン、ピペリン、α−サンショオール、及びジアリルジスルフィド等の天然の生理活性物質も好適に用いることができる。
リポソームに内包させるマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制物質の量は、有効にマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制効果を示すことができれば、特に限定されないが、リポソーム膜の脂質100重量部に対し、通常、約0.1〜約20重量部、マクロファージ機能抑制効果の観点から、好ましくは約0.1〜約18重量部、より好ましくは約0.3〜約15重量部である。
本発明において、リポソームの調製方法は、特に限定されず、当分野において公知の方法を任意で採用することができる。例えば、必要な原料化合物を混合することによって、本発明のマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤が調製され得る。そのための手段として、例えば、超音波処理法、エタノール注入法、フレンチプレス法、エーテル注入法、コール酸法、凍結乾燥法、逆相蒸発法等が挙げられる(例えば、「リポソーム応用の新展開〜人工細胞の開発に向けて〜監修 秋吉一成/辻井薫 NTS p33〜45(2005)」、「リポソーム 野島庄七 p21−40 南江堂(1988)」を参照のこと)。
前記凍結乾燥法は、当分野で通常用いられている方法で行うことができる(例えば、H.Kikuchi,N.Suzuki et al,Biopharm.Drug Dispos.,17,589-605(1999)等により報告されている)。例えば、以下の方法により、本発明の抑制物質内包リポソームを調製することができる:リポソーム溶液を約−40〜約−50℃で凍結させ、凍結乾燥させる。得られた凍結乾燥粉末に内包物質溶液を添加して再水和する。その後、透析法、ゲル濾過法又は遠心分離法で、内包されなかった物質を除去することにより、抑制物質内包リポソームを得ることができる。さらに、所望により、最初のリポソーム溶液に糖等を添加することもできる。また、所望により、フレンチプレス法、メンブレンフィルター法により粒子サイズを調整することもできる。
前記凍結乾燥法に用いるリポソーム溶液の調製法は、特に限定されず、例えば、以下の方法により調製することができる。リポソーム膜を構成する所望の脂質を、有機溶媒に溶解させ、約34〜約39℃で一定時間(例えば、約10分〜約120分)撹拌させる。その後、この脂質溶液から有機溶媒を除去し、脂質膜を得る。該脂質膜に緩衝液を加えて懸濁させ、約34〜約39℃で一定時間(例えば、約10分〜約150分)撹拌させる。次いで、約0.5〜約5時間の超音波処理を行うことで、前記リポソーム溶液を調製することができる。
前記リポソーム溶液の調製において、脂質を溶解させる有機溶媒は、脂質が溶解するものであれば特に限定されず、例えば、クロロホルム、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル等)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,Nジメチルアセトアミド及び1−メチル−ピロリドン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記リポソーム溶液の調製において、脂質溶液から有機溶媒を除去して脂質膜が作製されるがこの方法は、特に限定されず、例えば、ナスフラスコに脂質溶液を入れ、窒素ガスを封入しながらロータリーエバポレーターで有機溶媒を減圧留去することにより作製することができる。
前記リポソーム溶液の調製において、前記脂質膜に緩衝液を加えてよく、該緩衝液は、特に限定されず、例えば、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、生理食塩水、トリス緩衝液、炭酸緩衝液(CBS)、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノプロパンスルホン酸緩衝液(TAPS)、2−[4−(2−ヒドロキシルエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)、又はグッド緩衝液(例えば、2−モルホリノエタンスルホン酸、モノヒドレート(MES)、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−tris)、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、1,3−ビス[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパン(Bis−trisプロパン)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、コラミンクロリド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−3−プロパンスルホン酸(HEPPS)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(Tricine)、アミノアセトアミド(グリシンアミド)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸(CHES)及びN−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸(CAPS)等)等の生体適合性緩衝液であってもよい。
前記内包物質溶液の調製において、リポソーム膜に内包させる物質(内包物質)を溶解させる有機溶媒を用いてもよく、これは、内包物質が溶解するものであれば特に限定されず、例えば、クロロホルム、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル等)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルスルホキシド、N,Nジメチルアセトアミド、1−メチル−ピロリドン、及びジメチルホルムアミド等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記凍結乾燥法における未内包物質の除去に関して、透析法を採用してもよく、これは、例えば、調製した抑制物質内包リポソーム液を透析膜内に入れ、緩衝液を添加し、透析除去する操作を繰り返すことにより行ってもよい。また、ゲル濾過法を採用してもよく、これは、例えば、溶離液として緩衝液を用いて、抑制物質内包リポソーム液を濾過に付し、未内包物質を含有している画分と、リポソームを含有している画分とに分別することにより行ってもよい。また、遠心分離法を採用してもよく、これは、例えば、調製した抑制物質内包リポソーム液を遠心分離し、得られる沈殿部分を緩衝液に再分散することが好ましく、必要に応じて遠心分離と再分散を数回繰り返して行うこともできる。
本発明において使用されるリポソームは、例えば、糖鎖、糖鎖基、抗体、抗体フラグメント、抗体改変体を含み得る。糖鎖、抗体等をリポソームに結合させたリポソームも本発明において好適に用いることができる。この場合、結合子としてタンパク質を使用することが好ましい。例えば、タンパク質に糖鎖が結合した糖タンパク質のリポソームへのカップリングは、以下の2段階反応によって行うことができる。a)リポソーム膜上のガングリオシド部分の過ヨウ素酸酸化、及びb)還元的アミノ化反応による酸化リポソームへの糖タンパク質のカップリングである。このような手法によって望ましい糖鎖を含む糖タンパク質をリポソームに結合することができ、所望の糖鎖を有する多種多様な糖タンパク質・リポソーム結合体を得ることができる。
本発明の、マクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制物質内包リポソームのサイズは、特に限定されないが、通常は平均粒径約10μm以下であり、生体内で効果的に機能する点から、約3μm以下が好ましい。また、リポソームの構造は特に限定されず、ユニラメラ、オリゴラメラ又はマルチラメラのいずれであってもよい。
本発明の抑制物質内包リポソームは、負に荷電していることが望ましい。負に荷電していることにより、生体中の負に荷電している細胞との非特異的な相互作用を防ぐことができる。本発明の抑制物質内包リポソームは表面のゼータ電位は、リポソーム間の凝集が生じなければよく、特に限定されないが、約−120〜約−30mVが好ましく、生体中の細胞との相互作用防止の観点から、より好ましくは約−100〜約−30mVである。
リポソームの粒子径及びゼータ電位は、抑制物質内包リポソーム溶液を純水で50倍に希釈し、25℃で、粒子径・ゼータ電位測定装置(例えば、ゼータサイザーナノNano−Zs(マルバーン社製))を用いることにより測定することができる。
1つの実施形態において、本発明の抑制物質内包リポソームは、本発明の効果を失しない限り、前記マクロファージ機能抑制物質に加えて、所望により他の物質を内包させることができ、特に限定されないが、例えば、蛍光物質(例えば、cy5.5、cy5、cy7、cy3B、cy3.5、アレクサフルオロ350、アレクサフルオロ488、アレクサフルオロ532、アレクサフルオロ546、アレクサフルオロ555、アレクサフルオロ568、アレクサフルオロ594、アレクサフルオロ633、アレクサフルオロ647、アレクサフルオロ680、アレクサフルオロ700、アレクサフルオロ750、フルオレセイン−4−イソチオシアネート(FITC)、ユウロピウム含有標識);蛍光タンパク質(GFP,CFP,YFP);発光酵素(ルシフェラーゼ等);タンパク質(抗体、tPA、β−ガラクトシダーゼ、アルブミン、ボツリヌス毒素、ジフテリアトキシン等);核酸(プラスミドDNA、RNAi等);メチルプレゾニゾロン、リン酸プレゾニゾロン、ペプチド、金コロイド、Gd錯体、Fe錯体、シスプラチン、プラバスタチン、ヘパリン、塩酸ファスジル、クロドロン酸、水溶性ヨード、キチン、又はキトサン等が挙げられる。
本発明の一つの実施形態において、本発明の抑制物質内包リポソームは、さらに、生体適合性緩衝液を含んでいてもよい。前記生体適合性緩衝液としては、特に限定されないが、例えば、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、生理食塩水、トリス緩衝液、炭酸緩衝液(CBS)、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノプロパンスルホン酸緩衝液(TAPS)、2−[4−(2−ヒドロキシルエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)、グッド緩衝液(例えば、2−モルホリノエタンスルホン酸、モノヒドレート(MES)、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−tris)、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、1,3−ビス[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパン(Bis−trisプロパン)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、コラミンクロリド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−3−プロパンスルホン酸(HEPPS)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(Tricine)、アミノアセトアミド(グリシンアミド)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸(CHES)及びN−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸(CAPS)等)等が挙げられる。
本発明のマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤において、剤中のマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制物質の含有量は、有効にマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制効果を示すことができれば、特に限定されないが、マクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤中、通常約0.01ppm以上、マクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制効果を高める観点から、好ましくは約0.5ppm以上であり、また、マクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤の安定性の観点から、好ましくは約16重量%以下である。
本発明のマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤は、抑制物質内包リポソームに加えて、所望により、薬学的に許容可能な担体を配合してもよく、例えば、注射剤、懸濁剤、溶液剤、又はスプレー剤等の液状製剤として非経口的に投与することができる。前記担体としては、特に限定されないが、例えば、賦形剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤、崩壊阻害剤、吸収促進剤、吸収剤、湿潤剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等が挙げられる。また、さらに、必要に応じて防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の製剤添加物を用いることができる。非経口の投与経路としては、特に限定されないが、例えば、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、粘膜投与、直腸内投与、膣内投与、局所投与、皮膚投与等が挙げられる。なお、薬学的に許容可能なマクロファージ機能抑制抑制及び/又は癌細胞増殖剤の調製において、pH、等張性、安定性等を考慮することは、当業者の技術範囲内である。
前記液状製剤に配合する溶剤としては、特に限定されないが、例えば、注射溶液、アルコール(エタノール、イソプロパノール等)、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油及びトウモロコシ油等が挙げられる。
前記液状製剤に溶解補助剤を配合してもよく、そのような溶解補助剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム及びクエン酸ナトリウム等が挙げられる。
前記液状製剤に懸濁化剤を配合してもよく、そのような懸濁化剤としては、特に限定されないが、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
前記液状製剤に等張化剤を配合してもよく、そのような等張化剤としては、特に限定されないが、例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、及びD−マンニトール等が挙げられる。
前記液状製剤に配合してもよい緩衝剤としては、特に限定されないが、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、生理食塩水、トリス緩衝液、炭酸緩衝液(CBS)、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノプロパンスルホン酸緩衝液(TAPS)、2−[4−(2−ヒドロキシルエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)、グッド緩衝液(例えば、2−モルホリノエタンスルホン酸、モノヒドレート(MES)、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−tris)、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、1,3−ビス[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパン(Bis−trisプロパン)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、コラミンクロリド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−3−プロパンスルホン酸(HEPPS)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(Tricine)、アミノアセトアミド(グリシンアミド)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸(CHES)及びN−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸(CAPS)等)等が挙げられる。
前記液状製剤に配合してもよい前記無痛化剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム及び塩酸プロカイン等が挙げられる。
前記液状製剤に配合してもよい防腐剤としては、特に限定されないが、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、デヒドロ酢酸、及びソルビン酸等が挙げられる。
前記液状製剤に配合してもよい抗酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール及びシステイン等が挙げられる。
本発明の一形態として、マクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤を注射剤として調製するとき、前記液状製剤及び懸濁化剤を、細菌保留フィルター等を用いたろ過、殺菌剤の配合、又は紫外線照射等によって無菌化してもよい。さらにこれらの処理後、凍結乾燥等により固形物とし、使用直前に無菌水又は無菌の注射用希釈剤(塩酸リドカイン水溶液、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、エタノール又はこれらの混合溶液等)を添加することもできる。
さらに、本発明のマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤は、本発明の効果を失しない限り、着色料、保存剤、香料、又は矯臭剤等を含んでいてもよい。
本発明の別の好ましい態様は、マクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤の製造のための、食品成分由来の化合物を内包させたリポソームの使用に関する。マクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制物質である食品成分由来の化合物、リポソーム膜の構成成分、抑制物質内包リポソームの調製方法、マクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤の形態は上記と同じであってもよい。
本発明において、マクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖の抑制活性は、常法に従って、例えば、マクロファージ細胞及び/又は癌細胞増殖抑制試験、酸化窒素(NO)の生産量の測定、活性酸素種(特に過酸化水素等の過酸化物)の生産量の測定、腫瘍ネクロシス因子−アルファ(TNF)の生産量の測定、マクロファージ食作用試験等によって確認することができる。これらのいずれかの方法により、マクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制活性が認められた場合は、本発明において抑制活性を奏すると解する。
前記マクロファージ細胞及び/又は癌細胞増殖抑制試験は、例えば、下記の方法により行うことができる。液体培地に浮遊させたマクロファージ細胞及び/又は癌細胞に、有機溶媒に溶解させた検体を添加し、37℃、5%二酸化炭素の条件で3日間培養する。その後、細胞数測定用キット(例えば、WST−8(キシダ化学))を用いて細胞数を測定し、細胞増殖抑制を評価する。測定の具体的な条件は、例えば、実施例に示した条件を用いることができる。
次に、試験例、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
〔実施例1〕
抑制物質(クルクミン)内包リポソームの調製
凍結乾燥リポソームは次のように作製した。ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS、シグマアルドリッチ社、製品コードP1185)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC、日本油脂、MC-6060)、コレステロール(シグマアルドリッチ社、製品コードC8667)がそれぞれモル比で1:5:4になるようにナスフラスコ(三商、製品コード82-0205)に入れた。すなわち、76.2mgのDPPS、36.78mgのDPPC、及び156mgのコレステロールを秤量し、ナスフラスコに入れた。10mLのメタノール/クロロホルム(1/1=v/v)溶液に溶解し、37℃で30分間攪拌を行った。37℃に設定したウォーターバスに、調製した脂質溶液を入れたナスフラスコを浸し、窒素ガスを封入しながらロータリーエバポレーターにより、メタノールとクロロホルムを除去し、脂質フィルムを作製した。さらに1時間の真空乾燥を行い、メタノールとクロロホルムを除去した。得られた脂質膜に60mLのN−トリスメチル−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(TAPS、pH 8.4)を加え、ボルテックスにより懸濁を行い、37℃で1時間攪拌を行った。次いで、このナスフラスコに窒素を封入し、2時間の超音波処理を行い、リポソーム溶液を調製し凍結乾燥した。
クルクミン内包リポソームは次のように作製した。5mgのクルクミン(和光純薬、製品コード038-04921)を、500μLのジメチルホルムアミド(DMF、キシダ化学工業株式会社、00-24935)に溶解した。500μLの蒸留水を加え、クルクミン溶液を調製した。調製したクルクミン溶液を、1.1mL分の凍結乾燥リポソームに加え、よく攪拌してから室温で30分間静置した。ボルテックスにより攪拌した後、煮沸処理した透析用チューブ(三光純薬株式会社、分画分子量14,000、UC8-32-25)に入れ、室温で攪拌しながら透析を行った。外液を新しく調製した10mMのヘペス(HEPES)溶液に交換し、室温で攪拌しながら透析を行った。24時間後、透析チューブからクルクミン内包リポソーム溶液を回収し、0.45μmの無菌フィルターでろ過し、0.45μmの無菌フィルターでろ過した10mMのヘペス(HEPES)溶液で1mLに調整した。
〔実施例2〕
抑制物質(エピガロカテキン)内包リポソームの調製
エピガロカテキン内包リポソームは次のように作製した。15.4mgのエピガロカテキン(シグマアルドリッチ、製品コードE4268)を、500μLのジメチルホルムアミド(DMF、キシダ化学工業株式会社、製品コード000-24935)に溶解した。さらに500μLの蒸留水を加えエピガロカテキン溶液を調整した。調製したエピガロカテキン溶液を、実施例1と同様の方法で調製した凍結乾燥リポソーム1.1mL分に加え、よく攪拌してから室温で30分間静置した。ボルテックスにより攪拌した後、遠心限外ろ過チューブ(VIVASPIN 20、sartorius、VS2052)に入れ、4mLの50%ジメチルホルムアミド溶液(DMF:10mMヘペス=1:1(v/v))を加えて、1mL程度になるまで遠心(3500rpm)を行った。再度、4mLの50%ジメチルホルムアミド溶液を加え、1mL程度になるまで遠心(3500rpm)を行い、さらにもう一度同様の操作を繰り返し行った。続けて、10mMヘペス溶液を4mL加え、1mL程度になるまで遠心(3500rpm)を行った。最後に、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(PBS(-))を4mL加え、1mL程度になるまで遠心(3500rpm)を行った。リポソーム溶液を回収し、PBS(-)で1mLに調整し、0.45μmのフィルターでろ過を行った。
〔試験例1〕
実施例1で作製したクルクミン内包リポソーム溶液のクルクミンの内包量の定量を次のように行った。スタンダードとして、ジメチルホルムアミドに溶解したクルクミン溶液(10mg/mL)を使用した。クルクミンが10,25,50,75,100,150,200μg/mLになるように、10μLのジメチルホルムアミド溶液に希釈した。調整したクルクミン溶液に、未内包リポソームを10μL添加した。さらに、それぞれに90μLのブタノ−ル(和光純薬、製品コード026-03326)/メタノール(和光純薬、製品コード132-06471)(1/1=v/v)溶液を加え、攪拌し、96穴平底マイクロプレート(コーニング・コースター製、3596)に全量を入れた。検体であるクルクミン内包リポソームは、10μLを分取し、10μLのジメチルホルムアミドを添加し、90μLのブタノ−ル/メタノール (1/1=v/v)溶液を加え、攪拌し、96穴平底マイクロプレート(コーニング・コースター製、3596)に全量を入れた。マイクロプレートの各穴の450nmの吸収をマイクロプレートリーダー(マルチスキャン・アセット・ラボシステムズ)を使って測定し、スタンダードから、クルクミン内包リポソームのクルクミンの内包量を算出した。
その結果、クルクミン内包量は、209μg/mL(568μM)であった。
リポソームの脂質濃度は、コレステロールE-テストワコー(和光純薬、製品コード439-17501)により、コレステロール量の定量を行い、そのコレステロール濃度から、リポソーム脂質濃度の算出(重量比)を行った。クルクミン内包リポソーム溶液の脂質濃度は2.34mg/mLであった。クルクミン内包リポソームの粒子サイズとゼータ電位に関しては、クルクミン内包リポソーム溶液を、純水で50倍に希釈し、ゼータサイザーナノNano-ZS(マルバーン社製)を用いて測定した。クルクミン内包リポソームの平均粒子径は128nm、ゼータ電位は−64.6mVであった。
〔試験例2〕
実施例2で作製したエピガロカテキン内包リポソーム溶液のエピガロカテキンの内包量の定量は次のように行った。スタンダードとして、ジメチルホルムアミドに溶解したエピガロカテキン溶液(10mg/mL)を使用した。エピガロカテキンが1、2.5、5、10、20、40μg/mLになるように、30μLのジメチルホルムアミド溶液に希釈した。調製したエピガロカテキン溶液に、空リポソーム溶液を30μL添加した。さらに、それぞれに270μLのメタノール/クロロホルム(1/1=v/v)溶液を加え、攪拌し、276nmの吸収を分光光度計(HITACHI、型番U−5100)を使って測定し、スタンダードから、エピガロカテキン内包リポソーム溶液のエピガロカテキンの内包量を算出した。その結果、エピガロカテキン内包量は、15.8μg/mL(51.6μM)であった。
〔試験例3〕
クルクミン内包リポソームによる、ヒト単球白血病細胞(THP-1)の増殖の抑制
インビトロでの細胞培養によるクルクミン内包リポソームによる抑制実験には、THP-1を使用した。THP-1は培養フラスコから回収し、1,500rpm、5分遠心した後、RPMI+10%FCS培地に浮遊させた。THP-1の増殖抑制活性を調べるための検体としては、クルクミン、クルクミン内包リポソーム、未内包リポソーム、ジメチルホルムアミドを使用した。クルクミンは10mg/mLになるようにジメチルホルムアミドに溶解した。検体のTHP-1に対する抑制活性については、次のように検討した。クルクミン及びクルクミン内包リポソームは、目的の終濃度になるようにRPMI+10%FCS培地で希釈し、細胞に添加した。検体の希釈は2倍希釈系列で100μMから3.125μMまで6段階作製した。検体のジメチルホルムアミドは、検体のクルクミンに使用したジメチルホルムアミド量と揃えて添加した。検体の未内包リポソームは、検体のクルクミンリポソームに使用した脂質量と揃えて添加した。THP−1は終濃度が1×10/mlになるように調製し、検体と細胞を含む培養液100μlを96穴平底マイクロプレート(コーニング・コースター製、製品コード3596)に入れて、37℃、5%COで3日間培養した。検体を添加して3日間培養した後、ミトコンドリア脱水素酵素の基質(WST-8)を含むキット(キシダ化学株式会社製、製品コード280-96162)を加えて(10μl/穴)、さらに3時間培養し、WST-8が酵素反応により450nmの波長の光に対して吸収を示す物質を生成する反応を行った。反応後、マイクロプレートの各穴の450nmの吸収をマイクロプレートリーダー(マルチスキャンアセット、ラボシステムズ)を使って測定した。測定は各試料につき2回ずつ実施した。
検体を加えなかった場合の細胞の吸光度を100%として、検体を加えた場合の吸光度から検体による細胞の酵素活性の増殖抑制効果を示した(図1)。その結果、クルクミン内包リポソームはクルクミンと同程度のTHP-1細胞に対する抑制活性を示すことが確認できた。
〔試験例4〕
クルクミン内包リポソームの安定性
調製したクルクミン内包リポソーム(クルクミン含有量:121μg/mL,)を37℃に保管し、直後、1時間後、1日後、2日後にリポソーム溶液を200μL採取し、遠心限外ろ過チューブ(VIVASPIN 6、sartorius、VS0652)に入れ、1時間遠心(3500rpm)を行った。濾液を回収し、クルクミンの含有量の定量を行った。定量は次のように行った。スタンダードとして、ジメチルホルムアミドに溶解したクルクミン溶液(10mg/mL)を使用した。クルクミンが1、2.5、5、10、20、40、80μg/mLになるように、30μLのジメチルホルムアミド溶液に希釈した。調製したクルクミン溶液に、10mMヘペス(HEPES)溶液を30μL添加した。さらに、それぞれに270μLのメタノール/クロロホルム(1/1=v/v)溶液を加えて攪拌し、分光光度計(HITACHI、型番U-5100)を用いて450nmの波長吸収を測定し、スタンダードから、濾液におけるクルクミンの含有量(μg/mL)を算出した。その後、調製直後のリポソーム溶液におけるクルクミン含有量を100%として、37℃で各時間経過したリポソーム溶液からの漏出量(%)を算出した。クルクミン内包リポソームからのクルクミンの漏出量の測定結果を表1に示す。
クルクミン内包リポソームからのクルクミン漏出量は、マクロファージ機能抑制の効果の観点から、充分に少なく、本発明のクルクミン内包リポソームが安定であることが示された。
〔参考例〕
食品成分による、マクロファージ細胞の増殖抑制を確認した。
インビトロでの細胞実験には、ヒト単球白血病細胞株のTHP-1、及びマウス骨髄由来マクロファージを使用した。なお、試験データはIC50の平均値±標準偏差(SD)で示した。
〔参考例1〕
ヒト単球白血病細胞株(THP-1)はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションから購入し、10%ウシ胎児血清(FCS)(バイオウエスト社)と抗生物質(ペニシリン及びストレプトマイシン)(ギブコ社、製品コード15140-122)を添加した液体培地(RPMI1640培地(ギブコ社、製品コード22400-089))(以降、「RPMI+10%FCS培地」という)で使用時まで25cmプラスチック製培養フラスコ(コーニングインコーポレイテッド社)で、37℃、5%CO培養器で培養した。THP−1は培養フラスコから回収し、1,500rpm、5分間遠心した後、RPMI+10%FCS培地に浮遊した。
検体のTHP-1に対する抑制活性については、次のように検討した。ジメチルホルムアミドに溶解した検体は目的の終濃度になるようにRPMI+10%FCS培地で希釈し、細胞に添加した。検体の希釈は2倍希釈系列で400μMから6.3μMまで7段階作製した。THP−1は終濃度が1×10/mlになるように調製し、検体と細胞を含む培養液100μlを96穴平底マイクロプレート(コーニング・コースター製、型式3596)に入れて、37℃、5%COで3日間培養した。
検体を添加して3日間培養した後、ミトコンドリア脱水素酵素の基質(WST-8)を含むキット(キシダ化学株式会社、製品コード260-96162)を10μl/穴、加えてさらに3時間培養し、WST-8が酵素反応により450nmの波長の光に対して吸収を示す物質を生成する反応を行った。反応後、マイクロプレートの各穴の450nmの吸収をマイクロプレートリーダー(マルチスキャンアセット、ラボシステムズ)を使って測定した。測定は各試料につき2回ずつ実施した。検体を加えなかった場合の細胞の吸光度を100%として、検体を加えた場合の吸光度から検体による細胞の酵素活性の阻害率を求めた。さらに次の計算式により50%阻害の検体濃度(IC50)を得た。
式中、Aは50%をはさむ検体の高い側の濃度、B:50%をはさむ検体の低い側の濃度、C:Bでの阻害率、D:Aでの阻害率。
対象細胞の増殖抑制活性を調べるための検体としては、クルクミン(和光純薬、製品コード038-04921)、ゼルンボン(和光純薬、製品コード261-01931)、ゲニステイン(シグマアルドリッチ、製品コードG6649-5MG)、カルコン(和光純薬、製品コード029-00572)、コロソリック酸(和光純薬、製品コード516-82711)、カルノソール(和光純薬、製品コード036-22161)、ウルソール酸(和光純薬、製品コード321-32831)、エピガロカテキン(シグマアルドリッチ、製品コードE4268)、イソフラボン(和光純薬、製品コード093-04771)、アピゲニン(和光純薬、製品コード010-18914)、クリシン(和光純薬、製品コード594-35021)、レスベラトロール(和光純薬、製品コード185-01721)、フラバノン(和光純薬、製品コード062-02222)、フラボン(和光純薬 製品コード061-02231)、ケルセチン二水和物(和光純薬、製品コード171-00404)、ダイドゼイン(Wako、製品コード045-31081)を使用した。検体は基本的に100mMになるようにジメチルホルムアミド(和光純薬、製品コード041-29351)に溶解した。コントロールとして、検体を入れないジメチルスルホキシド(DMSO)のみについても、同様の方法で試験を実施した。
結果を表1に示した。食品成分由来の化合物であるクルクミン、ゼルンボン、ゲニステイン、カルコン、コロソリック酸、カルノソール、ウルソール酸、エピガロカテキン、イソフラボン、アピゲニン、クリシン、フラバノン、レスベラトロール、フラボン及びケルセチンはTHP-1の細胞増殖を有意に抑制し、マクロファージの機能抑制に有効であることが示された。
〔参考例2〕
マウス骨髄由来マクロファージは次のように調製した。4〜8週齢のBalb/cマウスの大腿骨を無菌的に採取し、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(シグマアルドリッチ、製品コードD8662)に分散して単一骨髄細胞浮遊液を調製した。1,500rpm、5分の遠心洗浄操作を2回繰り返した後、チュルク液(和光純薬、製品コード277-09491)を使って顕微鏡下で白血球数を算定し、5×10/mLになるように30%のL929-コンディション培養液(ビスコビン(Biskobing DM,)他、内分泌学(Endocrinology.) 1997年11月;138(11):4852-7.「破骨細胞前駆体中の炭酸脱水酵素IIの発現の誘導は、ストロマ細胞との物理的接触を必要とする(Induction of carbonic anhydrase II expression in osteoclast progenitors requires physical contact with stromal cells.)」)を含むRPMI1640完全合成培地(日沼(Hinuma S)他、イムノロジー(Immunology.)1986年10月;59(2):251-9.「組み換えヒト−インターロイキン−2によってインビボで誘導された、ネズミ科の非特異的キラー細胞の特徴(Characteristics of murine non-specific killer cells induced in vivo by recombinant human interleukin-2.)」)に浮遊した。96穴平底マイクロプレートに100μL/穴を分注し37℃、5%COで5日間培養した。培養後、非接着細胞を2回PBSで洗浄除去し、残った接着細胞をマウス骨髄マクロファージとして使用した。このようにして得られたマクロファージに適当量にL929−コンディション培養液含有RPMI1640完全合成培地で段階希釈した検体を添加した。検体添加後、37℃、5%COで3日間培養した。
調製したマウス骨髄由来マクロファージを用いる以外は、参考例1と同様の方法で、細胞増殖の抑制活性を確認した。
結果を表2に示した。食品成分由来の化合物であるクルクミン、ゼルンボン、ゲニステイン、カルコン、コロソリック酸、カルノソール、ウルソール酸、エピガロカテキン、イソフラボン、アピゲニン、クリシン、フラバノン、レスベラトロール、フラボン、ケルセチン及びダイドゼインは、マウス骨髄由来マクロファージの細胞増殖を有意に抑制し、マクロファージの機能抑制に有効であることが示された。
〔参考例3〕
調製したL929細胞(癌細胞)を用いる以外は、参考例1と同様の方法で、細胞増殖の抑制活性を確認した。
結果を表4に示した。食品成分由来の化合物であるクルクミン、ゼルンボン、ゲニステイン、カルコン、コロソリック酸、カルノソール、ウルソール酸、エピガロカテキン、イソフラボン、アピゲニン、クリシン、フラバノン、レスベラトロール、フラボン、ケルセチン及びダイドゼインは、L929の細胞増殖を有意に抑制し、癌細胞の増殖抑制に有効であることが示された。
本発明により、マクロファージ機能抑制効果、安定性、及び調製の簡便性に優れたマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤を提供することができる。

Claims (7)

  1. 食品成分由来の化合物である、ポリフェノール化合物、フラバン誘導体化合物、環状ケトン化合物及びトリテルペノイド誘導体化合物からなる群から選択される1種以上を内包させたリポソームを含有することを特徴とするマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤。
  2. 前記食品成分由来の化合物が、クルクミン、ゲニステイン、カルノソール、エピガロカテキン、カテキン、ガロカテキン、エピカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、アピゲニン、クリシン、レスベラトロール、ダイドゼイン、ケルセチン、イソフラボン、フラボン、フラバノン、カルコン、ゼルンボン、コロソリック酸及びウルソール酸からなる群から選択される1種以上である請求項1記載のマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤。
  3. 前記食品成分由来の化合物が、ポリフェノール化合物である請求項1記載のマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤。
  4. マクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤の製造のための、食品成分由来の化合物である、ポリフェノール化合物、フラバン誘導体化合物、環状ケトン化合物及びトリテルペノイド誘導体化合物からなる群から選択される1種以上を内包させたリポソームの使用。
  5. 前記食品成分由来の化合物が、クルクミン、ゲニステイン、カルノソール、エピガロカテキン、カテキン、ガロカテキン、エピカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、アピゲニン、クリシン、レスベラトロール、ダイドゼイン、ケルセチン、イソフラボン、フラボン、フラバノン、カルコン、ゼルンボン、コロソリック酸及びウルソール酸からなる群から選択される1種以上である請求項4記載の使用。
  6. 前記食品成分由来の化合物が、ポリフェノール化合物である請求項4記載の使用。
  7. 食品成分由来のマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制物質を内包したリポソームを含有することを特徴とするマクロファージ機能抑制及び/又は癌細胞増殖抑制剤。
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CN110548006A (zh) * 2018-05-30 2019-12-10 复旦大学 一种科罗索酸脂质体及其制备方法和用途

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