JP2014026252A - 偏光板およびその製造方法ならびに液晶表示装置 - Google Patents

偏光板およびその製造方法ならびに液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】液晶表示装置に組み込んだときの表示ムラの少ない偏光板を、低い製造コストで製造できる偏光板の製造方法の提供。
【解決手段】全アシル基置換度2.7〜3.0であるセルロースアシレートを含む第一のセルロースアシレートフィルムをケン化処理する工程と、糖エステル化合物とアシル基置換度が1.5〜2.6であるセルロースアシレートを含む第二のセルロースアシレートフィルムをTg−20℃以上の温度で加熱する工程と、前記第二のセルロースアシレートフィルムを前記第一のセルロースアシレートフィルムのケン化条件と同じ条件でケン化処理する工程と、前記第一のセルロースアシレートフィルムの前記ケン化処理面と前記第二のセルロースアシレートフィルムの前記ケン化処理面とで偏光子を挟持する工程を含む偏光板の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光板およびその製造方法ならびに液晶表示装置に関する。
近年、液晶表示装置のTV用途が進行し、画面サイズの大型化に伴い高画質化と低価格化が益々求められている。また、液晶表示装置の視野角や色味変化改良のために、特定のレターデーション値を有する位相差フィルムおよびその組み合わせが用いられている。
このような位相差フィルムの主原料としては、セルロースアシレートが有利であることや、フィルムの光学特性がセルロースアシレートのアシル置換度に依存することが知られている。特に、低置換度のセルロースアシレートはその固有複屈折が高いことから、アシル置換度を低減することにより、例えばVA用位相差フィルムとして適切な高い光学発現性を実現することが可能であると考えられている。また、低置換度セルロースアシレートフィルムの可塑剤として糖エステル使用することで、延伸後に高Rthと低内部ヘイズを両立するフィルムを得ることができる。
一方で、偏光板の偏光子を2枚のセルロースアシレートフィルムで挟持する場合、高い光学発現性を実現することが可能である上記の糖エステルを含む低アシル置換度のセルロースアシレートフィルムを偏光子の一方の表面に配置するとともに、高い光学特性を必要としない偏光子のもう一方の表面には製造適性上有利な高アシル置換度のセルロースアシレートフィルムフィルムを配置することが生産性の観点から求められている。
このような構成の偏光板を製造するときの問題として、通常の方法で製造した糖エステルを含む低アシル置換度のセルロースアシレートフィルムは、偏光子との密着性を付与するための最適なケン化条件が高置換度セルロースアシレートフィルムと異なるため、製造設備の複雑化や大型化または新たに製造設備を設置する必要が生じて製造コストや製造設備維持コストが高まってしまうといった問題があった。
これに対し、特許文献1には、低アシル置換度の層の両面に高アシル置換度の層を設けることにより、高置換度セルロースアシレートフィルムとケン化条件を共通にしても、良好な表示性能を有する偏光板を作成できることが記載されている。
また、特許文献2および3には、高置換度セルロースアシレートフィルムのケン化条件から低置換度セルロースアセテートのケン化条件を変更し良好な表示性能を有する偏光板を作成している。
特開2010−58331号公報 WO2010/125997A1 特開2010−215733号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、フィルムの製造に共流延設備を用いる必要があり、これらを用いない工程簡素化の要求がある。
また、特許文献2および3に記載の方法では、フィルムによってケン化条件を変更することになり、装置の複雑化や大型化などによりコストが上昇することがわかった。
本発明者が上記の問題を解決すべく検討した結果、置換度の高い第一のセルロースアシレートフィルムを偏光板保護フィルムとして偏光板の一方の面に貼合し、他方の面に置換度の低い第二のセルロースアシレートフィルムを貼合した偏光板の製造において、偏光板の製造コストを低減しつつそれぞれのセルロースアシレートフィルムの密着性を得るために置換度の高い第一のセルロースアシレートフィルムに必要なケン化条件に合わせてケン化したところ、それによりフィルムにシワが発生し、偏光子との貼り合わせ時にムラとなり、偏光板として液晶表示装置に組み込んだ際に表示ムラとなることがわかった。
本発明が解決しようとする課題は、低アシル置換度のセルロースアシレートフィルムを高アシル置換度フィルムと同一ケン化条件でケン化を実施でき、液晶表示装置に組み込んだ時の表示ムラの少ない偏光板を低い製造コストで製造できる偏光板の製造方法を提供することである。また、本発明は該偏光板の製造方法を用いて製造した偏光板および該偏光板を有する液晶表示装置の提供を目的とするものである。
本発明者が上記の課題を解決すべく検討した結果、通常はセルロースアシレートフィルムを加熱すると光学特性(Re、Rth)が低下してしまうのでVA用光学フィルムを製造する際には高温で熱処理することを避ける方向にあったが、驚くべきことに第二のセルロースアシレートフィルムをTg−20℃以上で加熱すると、第一のセルロースアシレートフィルムと第二のセルロースアシレートフィルムのケン化条件を同じにしても、面状が良好なフィルムが得られ、偏光板の加工に必要な密着性も維持できることを見出し、以下に記載する本発明の完成に至った。
[1] 全アシル基置換度2.7〜3.0であるセルロースアシレートを含む第一のセルロースアシレートフィルムをケン化処理する工程と、糖エステル化合物と全アシル基置換度が1.5〜2.6であるセルロースアシレートを含む第二のセルロースアシレートフィルムをTg−20℃以上の温度で加熱する工程と(但し、Tgは第二のセルロースアシレートフィルムのガラス転移温度(単位:℃)を表す)、前記第二のセルロースアシレートフィルムを前記第一のセルロースアシレートフィルムのケン化条件と同じ条件でケン化処理する工程と、前記第一のセルロースアシレートフィルムの前記ケン化処理面と前記第二のセルロースアシレートフィルムの前記ケン化処理面とで偏光子を挟持する工程を含むことを特徴とする偏光板の製造方法。
[2] [1]に記載の偏光板の製造方法は、糖エステル化合物と全アシル基置換度が1.5〜2.6であるセルロースアシレートと溶媒を含む溶液を支持体上に流延する工程と、前記流延した溶液を支持体上で乾燥させて、支持体から剥離して前記第二のセルロースアシレートフィルムを形成する工程を含むことが好ましい。
[3] [2]に記載の偏光板の製造方法は、前記溶媒がアルコールを含み、前記アルコールの平均炭素数が2〜4であることが好ましい。
[4] [2]または[3]に記載の偏光板の製造方法は、前記溶媒の15質量%以上がアルコールであることが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法は、前記第二のセルロースアシレートフィルムの前記加熱工程を、残留溶媒量を10質量%以下に制御した後で開始することが好ましい。
[6] [1]〜[5]のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法は、前記第二のセルロースアシレートフィルムの加熱工程が、Tg−20℃以上の温度で0.5〜10分の加熱であることが好ましい。
[7] [1]〜[6]のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法は、前記第二のセルロースアシレートフィルムを延伸する工程を含むことが好ましい。
[8] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法は、前記第二のセルロースアシレートフィルムを延伸した後、一貫して加熱する工程を含むことが好ましい。
[9] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法は、前記第二のセルロースアシレートフィルムを延伸した後、一度巻き取ってから、別設備で加熱する工程を含むことが好ましい。
[10] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法は、前記加熱工程を、前記第二のセルロースアシレートフィルムを延伸しながら行うことが好ましい。
[11] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法は、前記第二のセルロースアシレートフィルムの波長590nmで測定した面内方向のレターデーション値Reが30nm〜200nmであり、波長590nmで測定した厚み方向のレターデーション値Rthが70nm〜300nmであるとことが好ましい。
[12] [1]〜[11]のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法は、前記第二のセルロースアシレートフィルムが、総アシル置換度2.0〜2.5のセルロースアシレートを含むことが好ましい。
[13] [1]〜[12]のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法は、前記糖エステル化合物がピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基の一部がエステル化されたエステル化合物を含有することが好ましい。
[14] [1]〜[13]のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法は、前記第二のセルロースアシレートフィルムが、下記一般式(1)で表わされるエステル系化合物を含有することが好ましい。
一般式(1) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはヒドロキシ基またはカルボン酸残基、Gは炭素数2から12のアルキレングリコール残基又は炭素数6〜12のアリールグリコール残基又は炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
[15] [1]〜[14]のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法は、前記ケン化処理の条件が下記式(A−1)〜(A−3)を満たす条件であることが好ましい。
式(A−1):18℃≦T≦90℃
(式(A−1)中、Tはケン化処理温度(単位:℃)を表す。)
式(A−2):0.5分≦S≦5分
(式(A−2)中、Sはケン化処理時間(単位:分)を表す。)
式(A−3):0.5N≦D≦5.0N
(式(A−3)中、Dはケン化溶液のアルカリ規定度(単位:N)を表す。)
[16] [1]〜[15]のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法で製造されたことを特徴とする偏光板。
[17] [16]に記載の偏光板を少なくとも1枚含むことを特徴とする液晶表示装置。
本発明の偏光板の製造方法によれば、液晶表示装置に組み込んだ時の表示ムラの少ない偏光板の製造方法を提供することができる。また、本発明の偏光板を液晶表示装置に組み込むことで、表示性能が良好な液晶表示装置を提供することができる。
本発明の液晶表示装置の一例の概略断面図である。
以下において、本発明の偏光板やその製造方法、それに用いる添加剤などについて詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[偏光板およびその製造方法]
本発明の偏光板の製造方法は、全アシル基置換度2.7〜3.0であるセルロースアシレートを含む第一のセルロースアシレートフィルムをケン化処理する工程と、糖エステル化合物とアシル基置換度が1.5〜2.6であるセルロースアシレートを含む第二のセルロースアシレートフィルムをTg−20℃以上の温度で加熱する工程と、前記第二のセルロースアシレートフィルムを前記第一のセルロースアシレートフィルムのケン化条件と同じ条件でケン化処理する工程と、前記第一のセルロースアシレートフィルムの前記ケン化処理面と前記第二のセルロースアシレートフィルムの前記ケン化処理面とで偏光子を挟持する工程を含むことを特徴とする。
本発明の偏光板は、本発明の偏光板の製造方法で製造されたことを特徴とする。また、本発明の偏光板は、全アシル基置換度2.7〜3.0であるセルロースアシレートを含む第一のセルロースアシレートフィルムと、糖エステル化合物と全アシル基置換度が1.5〜2.6であるセルロースアシレートを含み、かつ、Tg−20℃以上の温度で加熱されてなる第二のセルロースアシレートフィルムを含み(但し、Tgは第二のセルロースアシレートフィルムのガラス転移温度(単位:℃)を表す)、前記第一のセルロースアシレートフィルム、および前記第二のセルロースアシレートフィルムの表面がケン化されてなり、前記第一のセルロースアシレートフィルムのケン化条件と第二のセルロースアシレートフィルムのケン化条件が同じであり、前記第一のセルロースアシレートフィルムのケン化処理面と前記第二のセルロースアシレートフィルムの前記ケン化処理面とで偏光子が挟持されたことを特徴とする。
以下、本発明の用いることができるセルロースアシレートフィルムとその製造方法およびそれに用いられる添加剤などについて説明する。
<第一のセルロースアシレートフィルム>
前記第一のセルロースアシレートフィルムは、全アシル基置換度2.7〜3.0であるセルロースアシレートを含む。前記セルロースアシレートとしては、全アシル基置換度が2.7〜3.0であること以外は後述する第二のセルロースアシレートフィルムに用いられるセルロースアシレートを好ましく用いることができる。また、前記第一のセルロースアシレートフィルムに用いることができる添加剤としては特に制限はなく、公知の偏光板保護フィルムとして用いられているセルロースアシレートフィルムの添加剤を用いることができる。
前記第一のセルロースアシレートフィルムの構成としては特に制限はないが、単層フィルムであることが好ましい。
前記第一のセルロースアシレートフィルムの製造方法としては特に制限はなく、後述する第二のセルロースアシレートフィルムを溶液流延製膜する方法と同様の方法を好ましく用いることができる。前記第一のセルロースアシレートフィルムのケン化処理方法についても制限はなく、従来公知の全アシル基置換度2.7〜3.0であるセルロースアシレートを含むフィルムのケン化処理方法用いることができる。
このような第一のセルロースアシレートフィルムの入手方法としては特に制限はなく、公知の偏光板保護フィルムとして用いられているセルロースアシレートフィルムを適宜製造または商業的に入手して用いることができる。商業的に入手する場合、例えば、フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製などを前記第一のセルロースアシレートフィルムとして好ましく用いることができる。
<第二のセルロースアシレートフィルム>
本発明に用いられる前記第二のセルロースアシレートフィルムは、糖エステル化合物とアシル基置換度が1.5〜2.6であるセルロースアシレートを含み、かつ、Tg−20℃以上の温度で加熱されてなる第二のセルロースアシレートフィルムを含むことを特徴とする。
但し、Tgは第二のセルロースアシレートフィルムのガラス転移温度(単位:℃)を表し、残留揮発分0%のときの第二のセルロースアシレートフィルムの動的粘弾性tanδを測定した際にtanδがピークを示す温度を意味する。
以下、第二のセルロースアシレートフィルムの好ましい態様を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。
−セルロースアシレート−
アシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
前記第二のセルロースアシレートフィルムのセルロースアシレートのアシル化に用いられるアシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていてもよい。本発明のフィルムは、炭素数2〜4のアシル基を置換基として有することが好ましい。2種類以上のアシル基を用いるときは、そのひとつがアセチル基であることが好ましく、炭素数2〜4のアシル基としてはプロピオニル基またはブチリル基が好ましい。これらのフィルムにより溶解性の好ましい溶液が作製でき、特に非塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能となる。さらに粘度が低くろ過性のよい溶液の作成が可能となる。
まず、本発明において前記第二のセルロースアシレートフィルムに好ましく用いられるセルロースアシレートについて詳細に記載する。セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部をアシル基によりアシル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位および6位に位置するセルロースの水酸基がアシル化している割合(各位における100%のアシル化は置換度1)の合計を意味する。
本発明において、第二のセルロースアシレートフィルムでは、前記セルロースアシレートの総アシル置換度が1.5〜2.6であり、1.6〜2.6であることが好ましく、2.0〜2.5であることがより好ましい。低置換度のセルロースアシレートは、安価な割に光学的特性に優れている。低置換度のセルロースアシレートフィルムを用いて偏光板を加工するとき、ケン化条件を高置換度のセルロースアシレートフィルムとは変更する必要があるため、従来は偏光板の加工にあまり用いられていなかった。本発明では、特定の温度範囲で得られた第二にセルロースアシレートフィルムを加熱して製膜することにより、このような安価なセルロースアシレートを高置換度のセルロースアシレートフィルムとケン化条件を同一として偏光板の製造に用いることができる。
前記セルロースアシレートの90質量%以上が上記総アシル置換度の範囲を満たすことがより好ましく、95質量%以上が上記総アシル置換度の範囲を満たすことが特に好ましく、96質量%以上が上記総アシル置換度の範囲を満たすことがさらに好ましく、全てのセルロースアシレートが上記層アシル置換度の範囲を満たすことがより特に好ましい。
本発明におけるセルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましい例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イソブタノイル基、tert−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、tert−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、特に好ましくはアセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基(アシル基が炭素原子数2〜4である場合)であり、より特に好ましくはアセチル基(セルロースアシレートが、セルロースアセテートである場合)である。
セルロ−スのアシル化において、アシル化剤としては、酸無水物や酸クロライドを用いた場合、反応溶媒である有機溶媒としては、有機酸、例えば、酢酸、メチレンクロライド等が使用される。
触媒としては、アシル化剤が酸無水物である場合には、硫酸のようなプロトン性触媒が好ましく用いられ、アシル化剤が酸クロライド(例えば、CH3CH2COCl)である場合には、塩基性化合物が用いられる。
最も一般的なセルロ−スの混合脂肪酸エステルの工業的合成方法は、セルロ−スをアセチル基および他のアシル基に対応する脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、吉草酸等)またはそれらの酸無水物を含む混合有機酸成分でアシル化する方法である。
本発明に用いるセルロースアシレートは、例えば、特開平10−45804号公報に記載されている方法により合成できる。
−糖エステル−
前記第二のセルロースアシレートフィルムには糖エステル化合物が含まれる。前記糖エステル化合物としては、ピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも一種を1〜12個有しその構造のOH基の一部がエステル化されたエステル化合物およびまたはその混合物を好ましく用いることができる。
ピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも一種を1〜12個有しその構造のOH基のすべてもしくは一部をエステル化したエステル化合物のエステル化の割合としては、ピラノース構造又はフラノース構造内に存在するOH基の50%以上であることが好ましい。
本発明においては、上記エステル化合物を総称して、糖エステルまたは糖エステル化合物とも称す。
本発明に用いられるエステル化合物の例としては、例えば、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、あるいはアラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースあるいはケストース挙げられる。
この他、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられる。
これらの化合物の中で、特にピラノース構造とフラノース構造を両方有する化合物が好ましい。
例としては、スクロース、ケストース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、更に好ましくは、スクロースである。
ピラノース構造又はフラノース構造中のOH基のすべてもしくは一部をエステル化するのに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、酢酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができ、より、具体的には、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸を挙げることができるが、特に安息香酸、ナフチル酸が好ましい。
オリゴ糖のエステル化合物を、前記ピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも一種を1〜12個を有する化合物として適用できる。
オリゴ糖は、澱粉、ショ糖等にアミラーゼ等の酵素を作用させて製造されるもので、本発明に適用できるオリゴ糖としては、例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖が挙げられる。
また、前記エステル化合物は、下記一般式(A)で表されるピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも一種を1個以上12個以下縮合した化合物である。ただし、R11〜R15、R21〜R25は、炭素数2〜22のアシル基又は水素原子を、m、nはそれぞれ0〜12の整数、m+nは1〜12の整数を表す。
Figure 2014026252
11〜R15、R21〜R25は、ベンゾイル基、水素原子であることが好ましい。ベンゾイル基は更に置換基R26を有していてもよく、例えばアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、フェニル基が挙げられ、更にこれらのアルキル基、アルケニル基、フェニル基は置換基を有していてもよい。オリゴ糖も前記糖エステル化合物と同様な方法で製造することができる。
以下に、前記糖エステル化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2014026252
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前記第二のセルロースアシレートフィルムには前記糖エステル化合物をセルロースエステルフィルムの0.5〜30質量%含むことが好ましく、特には、2〜15質量%含むことが好ましい。
−エステルオリゴマ−
前記第二のセルロースアシレートフィルムには下記一般式(1)で表されるエステル系化合物を好ましく用いることができる。
一般式(1):B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはヒドロキシル基又はカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基又は炭素数6〜12のアリールグリコール残基又は炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
一般式(1)中、Bで示されるヒドロキシル基又はカルボン酸残基と、Gで示されるアルキレングリコール残基又はオキシアルキレングリコール残基又はアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基又はアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のエステル系化合物と同様の反応により得られる。
一般式(1)で表されるエステル系化合物のカルボン酸成分としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸、脂肪族酸等があり、これらはそれぞれ1種又は2種以上の混合物として使用することができる。
一般式(1)で表されるエステル系化合物の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種又は2種以上の混合物として使用される。
特に炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロースエステルとの相溶性に優れているため、特に好ましい。
また、上記一般式(1)で表されるエステル系化合物の炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、一種又は二種以上の混合物として使用できる。
一般式(1)で表されるエステル系化合物の炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種又は2種以上の混合物として使用される。炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、1,4ナフタレンジカルボン酸等がある。
一般式(1)で表されるエステル系化合物は、数平均分子量が、好ましくは300〜1500、より好ましくは400〜1000の範囲が好適である。また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、ヒドロキシル基(水酸基)価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、ヒドロキシル基(水酸基)価は15mgKOH/g以下のものである。
以下に、本発明に用いることのできる一般式(1)で表されるエステル系化合物の具体的化合物を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2014026252
Figure 2014026252
Figure 2014026252
前記第二のセルロースアシレートフィルムには前記エステル系化合物を、前記第二のセルロースエステルフィルムの0.1〜30質量%含むことが好ましく、特には、0.5〜10質量%含むことが好ましい。
−偏光板耐久性改良剤−
前記第二のセルロースアシレートフィルムは、下記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸をセルロースアシレート樹脂に対して0.01質量%〜20質量%含有することが好ましい。
(1)多価アルコールと多価カルボン酸がエステル結合を形成して結合した構造を含む。(2)該化合物を形成する多価アルコールと多価カルボン酸の分子数の合計が3以上である。
(3)多価カルボン酸由来の無置換のカルボキシル基を少なくとも1つ有する。
前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸において、無置換のカルボキシル基により偏光板の湿熱による劣化を抑制することができ、本発明では前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸を偏光板耐久性改良剤として用いることができる。
さらに、無置換のカルボキシル基が支持体の金属表面に付着し、多価アルコール部分あるいはこれに置換した疎水性基部分が支持体の金属表面を酸素等の酸化剤からブロックすることにより、前記多価アルコール部分あるいはこれに置換した疎水性基部分を含まない有機酸に比べて、金属の腐食を防止することができる。
以下、前記第二のセルロースアシレートフィルムに偏光板耐久性改良剤として用いることができる前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸と、その他に併用してもよいその他の偏光板耐久性改良剤について説明する。
前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸に用いられる多価カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸が好ましい。
前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸中、多価カルボン酸の分子数は1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10であることが特に好ましい。
また、前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸に用いられる多価アルコールとしては、アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール、グリセリン等を挙げることができる。その中でも、グリセリンが好ましい。
前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸中、多価アルコールの分子数は1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10であることが特に好ましい。
前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸は、該有機酸を構成する多価アルコールと多価カルボン酸に加えて、さらに炭素数が4以上の置換基を有する一価の酸が該多価アルコールの一部のヒドロキシル基とエステル結合を形成した構造を有してもよい。前記炭素数が4以上の置換基を有する一価の酸の具体例を以下に挙げる。なお、前記炭素数が4以上の置換基を有する一価の酸における置換基とは、前記炭素数が4以上の置換基を有する一価の酸をRCOOHと表したときにおけるRを意味する。
《脂肪酸》
カプロン酸、ヘプチル酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレン酸、ウンデカン酸。
《アルキル硫酸》
ミリスチル硫酸、セチル硫酸、オレイル硫酸。
《アルキルベンゼンスルフォン酸》
ドデシルベンゼンスルフォン酸、ペンタデシルベンゼンスルフォン酸。
《アルキルナフタレンスルフォン酸》
セスキブチルナフタレンスルフォン酸、ジイソブチルナフタレンスルフォン酸。
これらの中でも、脂肪酸である炭素数が4以上の置換基を有する一価の酸が好ましく、カプリル酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸がより好ましく、オレイン酸が特に好ましい。
前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸中、炭素数が4以上の置換基を有する一価の酸の分子数は0〜4であることが好ましく、0〜3であることがより好ましく、0〜2であることが特に好ましい。
前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸は、該化合物を形成する多価アルコールと多価カルボン酸の分子数の合計が3以上であり、3〜30であることが好ましく、3〜20であることがより好ましい。
前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸中、多価カルボン酸、多価アルコールおよび炭素数が4以上の置換基を有する一価の酸の割合は特に制限はなく、有機酸中に2以上の無置換のヒドロキシル基が残っていてもよく、無置換のヒドロキシル基が残っていてもよい。
前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸は、多価カルボン酸由来の無置換のカルボキシル基を少なくとも1つ有し、多価カルボン酸由来の無置換のカルボキシル基を1〜40有することが好ましく、1〜30有することがより好ましい。
前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸は、単独で用いてもよく、複数の混合物として用いてもよい。なお、前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸は場合により電離していてもよく、場合により任意の金属イオンなどと塩を形成していてもよい。
以下に本発明に用いられる前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸の好ましい化合物例を示す。
以下のような組成からなる有機酸(有機酸の部分縮合体)が好ましい。なお、以下のような組成からなる有機酸は、例えば、縮合体A−2は理研ビタミン社製ポエムK−37Vなどを用いて調製することができる。
Figure 2014026252
Figure 2014026252
Figure 2014026252
Figure 2014026252
前記第二のセルロースアシレートフィルムに含まれる前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸の添加量は、前記樹脂に対して0.01質量%〜20質量%の割合であり、0.05質量%〜10質量%であることが特に好ましく、0.1質量%〜5質量%であることがより特に好ましい。なお、前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸の添加量は、前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸が混合物である場合は、全ての前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸の合計量を意味する。
添加量が0.01%以上であれば偏光子耐久性改良効果が十分となる。
また、20質量%以下の添加量であれば、高温高湿経時において有機酸がブリードアウトし難く、偏光板の直交透過率が上昇しにくく、好ましい。
前記第二のセルロースアシレートフィルム内における、前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸の分布については特に制限はない。
前記第二のセルロースアシレートフィルムは、一方のフィルム表面から深さ5μmの領域における前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸の濃度と、反対側のフィルム表面から深さ5μmまでの領域における前記(1)〜(3)の要件を満たす有機酸の濃度が、下記式(4)の関係を満たすことが、前記樹脂の分子量の低下を改善する観点から、好ましい。
式(4)
1.2≦(有機酸の濃度が高い側のフィルム表面における表面から深さ5μmまでの領域の有機酸の平均濃度)/(有機酸の濃度が低い側のフィルム表面における表面から深さ5μmまでの領域の有機酸の平均濃度)≦5.0
前記不等式(4)の下限値は、1.5であることがより好ましく、2.0であることが特に好ましい。前記不等式(4)の上限値は、4.5であることがより好ましく、4.0であることが特に好ましい。
−その他の添加剤−
前記第二のセルロースアシレートフィルム中には、前記偏光板耐久性改良剤以外の添加剤として、重縮合ポリマー、レターデーション調整剤(レターデーション発現剤およびレターデーション低減剤);フタル酸エステル、リン酸エステルなどの可塑剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;マット剤などの添加剤を加えることもできる。
(レターデーション発現剤)
前記第二のセルロースアシレートフィルムは、レターデーション値を発現するために、レターデーション発現剤を含有してもよい。前記レターデーション発現剤としては、特に制限はないが、棒状または円盤状化合物、あるいは、後述する一般式(II−1)で表される構造に特徴を有する化合物からなるものを挙げることができる。上記棒状または円盤状化合物としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物をレターデーション発現剤として好ましく用いることができる。
棒状化合物からなるレターデーション発現剤の添加量は、セルロースアシレート成分100質量部に対して0.1質量部以上3質量部未満であることが好ましく、0.5質量部以上2質量部未満であることがさらに好ましい。一方、前記円盤状化合物は、前記セルロースアシレートに対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましく、1〜4質量%であることが特に好ましい。後述する一般式(II−1)で表される構造に特徴を有する化合物の前記セルロースアシレートに対する好ましい添加量は、前記円盤状化合物の好ましい添加量の範囲と同様である。
円盤状化合と後述する一般式(II−1)で表される構造に特徴を有する化合物はRthレターデーション発現性において棒状化合物よりも優れているため、特に大きなRthレターデーションを必要とする場合には好ましく使用される。2種類以上のレターデーション発現剤を併用してもよい。
レターデーション発現剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
円盤状化合物について説明する。円盤状化合物としては少なくとも二つの芳香族環を有する化合物を用いることができる。
本明細書において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族環としては、ベンゼン環、縮合ベンゼン環、ビフェニール類が好ましい。特に1,3,5−トリアジン環が好ましく用いられる。具体的には例えば特開2001−166144号公報に開示の化合物が好ましく用いられる。
レターデーション発現剤が有する芳香族環の炭素数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。
二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環およびチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環およびキノリン環が好ましい。
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
芳香族環および連結基は、置換基を有していてもよい。
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素環基が含まれる。
アルキル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、さらに置換基(例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、4−カルボキシブチル基、2−メトキシエチル基および2−ジエチルアミノエチル基の各基が含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基および1−ヘキセニル基が含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル基、1−ブチニル基および1−ヘキシニル基が含まれる。
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル基、プロパノイル基およびブタノイル基が含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシ基が含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例えば、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基およびメトキシエトキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ基およびエトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキルチオ基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ基、エチルチオ基およびオクチルチオ基が含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル基およびエタンスルホニル基が含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基およびn−オクタンスルホンアミド基が含まれる。
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基および2−カルボキシエチルアミノ基が含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジエチルカルバモイル基が含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイル基およびジエチルスルファモイル基が含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイド基が含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノ基およびモルホリノ基が含まれる。
レターデーション発現剤の分子量は、300〜800であることが好ましい。
本発明では、前記円盤状化合物として下記一般式(I)で表されるトリアジン化合物を用いることが好ましい。
Figure 2014026252
上記一般式(I)中:
201は、各々独立に、オルト位、メタ位およびパラ位の少なくともいずれかに置換基を有する芳香族環または複素環を表す。X201は、各々独立に、単結合または−NR202−を表す。ここで、R202は、各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。
201が表す芳香族環は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルであることが特に好ましい。R201が表す芳香族環はいずれかの置換位置に少なくとも一つの置換基を有してもよい。前記置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルオンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基およびアシル基が含まれる。
201が表す複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。芳香族性を有する複素環は、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。複素環のヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子または酸素原子であることが好ましく、窒素原子であることが特に好ましい。芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、2−ピリジルまたは4−ピリジル)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。
201が単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。また、複素環基は、窒素原子以外のヘテロ原子(例えば、O、S)を有していてもよい。以下に、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基の例を示す。ここで、−C49 nは、n−C49を示す。
Figure 2014026252
202が表すアルキル基は、環状アルキル基であっても鎖状アルキル基であってもよい
が、鎖状アルキル基が好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基がより好ましい。アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、1〜8がさらにまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)およびアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基)が含まれる。
202が表すアルケニル基は、環状アルケニル基であっても鎖状アルケニル基であってもよいが、鎖状アルケニル基を表すのが好ましく、分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基を表すのがより好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることがさらにまた好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基の例には、前述のアルキル基の置換基と同様である。
202が表す芳香族環基および複素環基は、R201が表す芳香族環および複素環と同様であり、好ましい範囲も同様である。芳香族環基および複素環基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例にはR201の芳香族環および複素環の置換基と同様である。
一般式(I)で表される化合物は、例えば特開2003−344655号公報に記載の方法等、公知の方法により合成することができる。レターデーション発現剤の詳細は公開技報2001−1745の49頁に記載されている。
前記レターデーション発現剤としては、前記低分子化合物と同様に、高分子系添加剤を使用することもできる。ここで、本発明において前記重縮合エステルとして用いられているポリマーがレターデーション発現剤としての機能を兼ねていてもよい。前記重縮合エステルでもある高分子系のレターデーション発現剤としては、前記芳香族ポリエステル系ポリマーおよび前記芳香族ポリエステル系ポリマーとその他の樹脂の共重合体が好ましい。
(レターデーション低減剤)
本発明ではレターデーション低減剤として、リン酸系であるエステル系の化合物や、セルロースアシレートフィルムの添加剤として公知の非リン酸エステル系の化合物以外の化合物を広く採用することができる。
高分子系レターデーション低減剤としては、リン酸系であるポリエステル系ポリマー、スチレン系ポリマーおよびアクリル系ポリマーおよびこれら等の共重合体から選択され、アクリル系ポリマーおよびスチレン系ポリマーが好ましい。また、スチレン系ポリマー、アクリル系ポリマーといった、負の固有複屈折を有するポリマーを少なくとも一種含まれることが好ましい。
非リン酸エステル系の化合物以外の化合物である低分子量レターデーション低減剤としては、以下を挙げることができる。これらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に劣化防止剤の混合などである。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開平2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期はセルロースアシレート溶液(ドープ)作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。さらにまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。
非リン酸エステル系の化合物以外の化合物である低分子量レターデーション低減剤としては、特に限定されないが、詳細は特開2007−272177号公報の[0066]〜[0085]に記載されている。
特開2007−272177号公報の[0066]〜[0085]に一般式(1)として記載される化合物は、以下の方法にて作成することができる。
該公報一般式(1)の化合物は、スルホニルクロリド誘導体とアミン誘導体との縮合反応により得ることができる。
特開2007−272177号公報一般式(2)に記載の化合物は、縮合剤(例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)など)を用いた、カルボン酸類とアミン類との脱水縮合反応、またはカルボン酸クロリド誘導体とアミン誘導体との置換反応などにより得ることができる。
前記レターデーション低減剤は、Rth低減剤であることが好適なNzファクターを実現する観点からより好ましい。前記レターデーション低減剤のうち、Rth低減剤としては、アクリル系ポリマーおよびスチレン系ポリマー、特開2007−272177号公報一般式(3)〜(7)の低分子化合物などを挙げることができ、その中でもアクリル系ポリマーおよびスチレン系ポリマーが好ましく、アクリル系ポリマーがより好ましい。
レターデーション低減剤は、セルロース系樹脂に対し、0.01〜30質量%の割合で添加することが好ましく、0.1〜20質量%の割合で添加することがより好ましく、0.1〜10質量%の割合で添加することが特に好ましい。
上記添加量を30質量%以下とすることにより、セルロース系樹脂との相溶性を向上させることができ、白化を抑制させることができる。2種類以上のレターデーション低減剤を用いる場合、その合計量が、上記範囲内であることが好ましい。
(可塑剤)
前記第二のセルロースアシレートフィルムは可塑剤を含んでいてもよい。前記可塑剤としては、セルロースアシレートの可塑剤として知られる多くの化合物も有用に使用することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
(劣化防止剤)
前記第二のセルロースアシレートフィルムは、公知の劣化(酸化)防止剤、例えば、2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4、4’−チオビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1、1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2、2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2、5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノール系あるいはヒドロキノン系酸化防止剤を添加することができる。さらに、トリス(4−メトキシ−3、5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2、4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2、4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系酸化防止剤をすることが好ましい。劣化防止剤の添加量は、セルロース系樹脂100質量部に対して、0.05〜5.0質量部を添加する。
(紫外線吸収剤)
前記第二のセルロースアシレートフィルムは、偏光板または液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物の例としては、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N’−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2、2−メチレンビス(4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、(2、4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3、5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1、3、5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N’−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。これらの紫外線防止剤の添加量は、光学フィルム全体中に質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmがさらに好ましい。
(マット剤)
前記第二のセルロースアシレートフィルムは、フィルムすべり性、および安定製造の観点からマット剤を含んでいてもよい。前記マット剤は、無機化合物のマット剤であっても、有機化合物のマット剤であってもよい。
前記無機化合物のマット剤の好ましい具体例としては、ケイ素を含む無機化合物(例えば、二酸化ケイ素、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなど)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロングチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくはケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、セルロースアシレートフィルムの濁度を低減できるので、二酸化ケイ素が特に好ましく用いられる。前記二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。前記酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名で市販されているものが使用できる。
前記有機化合物のマット剤の好ましい具体例としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。シリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、トスパール105、トスパール108、トスパール120、トスパール145、トスパール3120及びトスパール240(以上東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
これらのマット剤をセルロースアシレート溶液へ添加する場合は、特にその方法に限定されずいずれの方法でも所望のセルロースアシレート溶液を得ることができれば問題ない。例えば、セルロースアシレートと溶媒を混合する段階で添加物を含有させてもよいし、セルロースアシレートと溶媒で混合溶液を作製した後に、添加物を添加してもよい。更にはドープを流延する直前に添加混合してもよく、所謂直前添加方法でありその混合はスクリュー式混練をオンラインで設置して用いられる。具体的には、インラインミキサーのような静的混合機が好ましく、また、インラインミキサーとしては、例えば、スタチックミキサーSWJ(東レ静止型管内混合器HI−MIxer)(東レエンジニアリング製)のようなものが好ましい。なお、インライン添加に関しては、濃度ムラ、粒子の凝集等をなくすために、特開2003−053752号公報には、セルロースアシレートフィルムの製造方法において、主原料ドープに異なる組成の添加液を混合する添加ノズル先端とインラインミキサーの始端部の距離Lが、主原料配管内径dの5倍以下とする事で、濃度ムラ、マット粒子等の凝集をなくす発明が記載されている。さらに好ましい態様として、主原料ドープと異なる組成の添加液供給ノズルの先端開口部とインラインミキサーの始端部との間の距離(L)が、供給ノズル先端開口部の内径(d)の10倍以下とし、インラインミキサーが、静的無攪拌型管内混合器または動的攪拌型管内混合器であることが記載されている。さらに具体的には、セルロースアシレートフィルム主原料ドープ/インライン添加液の流量比は、10/1〜500/1、好ましくは50/1〜200/1であることが開示されている。さらに、添加剤ブリードアウトが少なく、かつ層間の剥離現象もなく、しかも滑り性が良好で透明性に優れた位相差フィルムを目的とした発明の特開2003−014933号にも、添加剤を添加する方法として、溶解釜中に添加してもよいし、溶解釜〜共流延ダイまでの間で添加剤や添加剤を溶解または分散した溶液を、送液中のドープに添加してもよいが、後者の場合は混合性を高めるため、スタチックミキサー等の混合手段を設けることが好ましいことが記載されている。
(レターデーション)
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。本願明細書においては、特に記載がないときは、波長λは、590nmとする。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定するができる。測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(3)及び式(4)よりRthを算出することもできる。
式(3)
Figure 2014026252
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。
式(3)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは膜厚である。
式(4)
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
前記第二のセルロースアシレートフィルムは偏光板の保護フィルムとして用いられ、特に、様々な液晶モードに対応した位相差フィルムとしても好ましく用いることができる。
前記第二のセルロースアシレートフィルムに位相差フィルムとしての機能を持たせる場合、前記第二のセルロースアシレートフィルムは、下記式(1)および式(2)を満たすことが好ましい。
式(1):30nm≦|Re(590)|≦200nm
式(2):70nm≦|Rth(590)|≦300nm
(式(1)および(2)中、Re(590)およびRth(590)は、それぞれ25℃、相対湿度60%の環境下において波長590nmの光で測定した面内方向のレターデーション値および厚み方向のレターデーション値を表す。)
下記式(1’)及び式(2’)を満たすことがより好ましい。
式(1’): 40nm≦|Re(590)|≦100nm
式(2’): 100nm≦|Rth(590)|≦250nm
Re(590)及びRth(590)が前記式(1)および式(2)を満たすことで位相差フィルムとしてより好ましく用いることができる。
セルロースアシレートフィルムのより好ましい光学特性は液晶モードによって異なる。
VAモード用としては590nmで測定したReは30〜200nmのものが好ましく、30〜150nmのものがより好ましく、40〜100nmのものがさらに好ましい。Rthは70〜400nmのものが好ましく、100〜300nmのものがより好ましく、100〜250nmのものがさらに好ましい。
TNモード用としては590nmで測定したReは0〜100nmのものが好ましく、20〜90nmのものがより好ましく、50〜80nmのものがさらに好ましい。Rthは20〜200nmのものが好ましく、30〜150nmのものがより好ましく、40〜120nmのものがさらに好ましい。
TNモード用では前記レターデーション値を有するセルロースアシレートフィルム上に光学異方性層を塗布して光学補償フィルムとして使用できる。
前記第二のセルロースアシレートフィルムは、光学発現性が高いことを特徴とする。具体的には、膜厚当たりの|Re(590)|の値が大きいことが好ましく、下記式(5)を満たすことがより好ましい。
式(5):1.8×10-3 ≦ |Rth(590)|/d
(式(5)中、Rth(590)は、25℃、相対湿度60%の環境下において波長590nmの光で測定した厚み方向のレターデーション値を表し、dはフィルムの膜厚を表す。)
前記第二のセルロースアシレートフィルムは、Rth(単位:nm)/d(nm)の値は2.5×10-3以上であることがより好ましく、2.6×10-3以上であることが特に好ましい。
(ヘイズ)
前記第二のセルロースアシレートフィルムは、ケン化処理後の全へイズが1%以下であることが好ましい。
前記第二のセルロースアシレートフィルムの全ヘイズは、0.5%以下であることがより好ましく、0.3%以下であることが特に好ましく、0.2%以下であることがさらに好ましい。光学フィルムとしてフィルムの透明性は重要である。ヘイズの測定は、ヘイズメーター"HGM−2DP"{スガ試験機(株)製}を用いJIS K−6714に従って測定することができる。
(膜厚)
前記第二のセルロースアシレートフィルムは膜厚が80μm以下であることが好ましく、10〜60μmであることがより好ましく、20〜50μmであることがさらに好ましい。光学特性を維持しやすい。
(フィルム幅)
前記第二のセルロースアシレートフィルムは、フィルム幅が700〜3000mmであることが好ましく、1000〜2800mmであることがより好ましく、1500〜2500mmであることが特に好ましい。
<第二のセルロースアシレートフィルムの製造方法>
第二のセルロースアシレートフィルムの製造方法は、糖エステル化合物とアシル基置換度が1.5〜2.6であるアシレートを含む第二のセルロースアシレートフィルムをTg−20℃以上の温度で加熱する工程を(但し、Tgは第二のセルロースアシレートフィルムのガラス転移温度(単位:℃)を表す)含む。
前記糖エステル化合物とアシル基置換度が1.5〜2.6であるアシレートを含む第二のセルロースアシレートフィルムの製造方法としては特に制限はないが、ソルベントキャスト法(溶液流延製膜法)で製造されることが好ましい。
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
前記第二のセルロースアシレートフィルムは溶液流延法で製造されたフィルムであっても溶融流延法で製造されたフィルムであっても好ましく用いることができる。
溶液流延法において、前記第二のセルロースアシレートフィルムの製造は、セルロースエステル及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープを無限に移行する無端の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸又は幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻取る工程により行われる。
ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロースエステルの濃度は、濃い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースエステルの濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
ドープで用いられる溶剤は、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して2種類以上の溶剤を併用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。
良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するか又は溶解しないものを貧溶剤と定義している。
そのため、セルロースエステルの平均酢化度(アセチル基置換度)によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いる時には、セルロースエステルの酢酸エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置換度2.8)では貧溶剤となる。
本発明に用いられる良溶剤は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライド又は酢酸メチルが挙げられる。
また、本発明に用いられる前記第二のアシレートフィルムを溶液製膜するときのドープ(以下、第二のセルロースエステル溶液とも言う)に用いる貧溶剤は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。
第二のセルロースエステル溶液に用いる貧溶剤としては、溶解性の観点から平均炭素数4以下のアルコールを使用することが好ましく、剥離荷重の観点から平均炭素数2〜4のアルコールを使用することが好ましい。
第二のセルロースエステル溶液に用いる良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、セルロースエステルの溶解性の観点からアルコールは30質量%以下にすることが好ましく、剥離荷重を軽くする観点から貧溶剤としてアルコールを15質量%以上含むことが好ましい。前記第二のアシレートフィルムを溶液製膜するときのドープの溶媒は、アルコールを15〜30質量%含むことがより好ましい。
また、セルロースエステルの溶解に用いられる溶媒は、フィルム製膜工程で乾燥によりフィルムから除去された溶媒を回収し、これを再利用して用いられる。
回収溶剤中に、セルロースエステルに添加されている添加剤、例えば可塑剤、紫外線吸収剤、ポリマー、モノマー成分などが微量含有されていることもあるが、これらが含まれていても好ましく再利用することができるし、必要であれば精製して再利用することもできる。
上記記載のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱できる。
溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。
また、セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤あるいは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。
好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
もしくは冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースエステルを溶解させることができる。
次に、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生し易いという問題がある。
このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
濾過により、原料のセルロースエステルに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間に光学フィルム等を置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm2以下であることが好ましい。
より好ましくは100個/cm2以下であり、更に好ましくは50個/m2以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm2以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことができるが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。
好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
ここで、ドープの流延について説明する。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルトもしくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤の沸点未満の温度で、温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。
好ましい支持体温度は0〜55℃であり、25〜50℃が更に好ましい。あるいは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。
金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%又は60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%又は70〜120質量%である。
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
尚、Mはウェブ又はフィルムを製造中又は製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
前記第二のセルロースエステルフィルムを作製するためには、ウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で幅方向(横方向)に延伸を行うことが特に好ましい。剥離張力は300N/m以下で剥離することが好ましい。
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点で熱風で行うことが好ましい。
ウェブの乾燥工程における乾燥温度は40〜200℃で段階的に高くしていくことが好ましい。
前記第二のセルロースエステルフィルムに下記所望のリターデーションReおよびRthを付与するには、前記第二のセルロースエステルフィルムが本発明に係る構成をとり、更に搬送張力の制御、延伸操作により屈折率異方性の制御を行うことが好ましい。
例えば、長手方向の張力を低く又は高くすることでリターデーション値を変動させることが可能となる。
また、フィルムの長手方向(搬送方向)及びそれとフィルム面内で直交する方向に対して、逐次又は同時に2軸延伸もしくは1軸延伸することが好ましい。
延伸工程における互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ搬送方向に−20%〜50%、搬送方向に直交の方向に0%〜150%の範囲とすることが好ましく、搬送方向に−10%〜10%、搬送方向に直交の方向に0〜50%に範囲で行うことが好ましい。
延伸温度は120℃〜200℃が好ましく、さらに好ましくは150℃〜200℃であり、さらに好ましくは160℃を超えて200℃以下で延伸するのが好ましい。
延伸開始時のフィルム中の残留溶媒は30〜0%が好ましく、さらに好ましくは15〜0%で延伸するのが好ましい。
ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。
また、所謂テンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
製膜工程のこれらの幅保持あるいは横方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
前記第二のセルロースエステルフィルムの遅相軸又は進相軸がフィルム面内に存在し、製膜方向とのなす角をθ1とするとθ1は−1°以上+1°以下であることが好ましく、−0.5°以上+0.5°以下であることがより好ましく、−0.1°以上+0.1°以下であることがさらに好ましい。
このθ1は配向角として定義でき、θ1の測定は、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器)を用いて行うことができる。θ1が各々上記関係を満たすことは、表示画像において高い輝度を得ること、光漏れを抑制又は防止することに寄与でき、カラー液晶表示装置においては忠実な色再現を得ることに寄与できる。
(加熱工程)
本発明の偏光板の製造方法は前記第二のセルロースアシレートフィルムをTg−20℃以上の温度で加熱する工程を含む。
前記加熱工程は、乾燥工程終了後に加熱工程を設けることが好ましく、前記加熱工程を、残留溶媒量を25質量%以下に制御した後で開始することが好ましく、10質量%以下に制御した後で開始することがより好ましく、5質量%以下に制御した後で開始することが特に好ましい。
なお、当該加熱工程における加熱は乾燥工程終了後に行われればよく、延伸/乾燥工程後直ちに行ってよいし、あるいは乾燥工程終了後に後述する方法で一旦巻き取った後に、加熱工程だけを別途設けてもよい。
加熱工程は、搬送中のフィルムを恒温のゾーンを通過させる方法や、所定の温度の風を当てる方法やマイクロウエーブなどの加熱手段などを用いる方法により行われ、恒温のゾーンを通過させる方法が、フィルムの両表面を共に前記加熱温度に加熱できる観点から好ましい。
加熱工程は前記第二のセルロースアシレートフィルムをTg−20℃以上の温度で加熱し、Tg−15℃〜Tg+15℃の温度で行うことが好ましく、Tg−10℃〜Tg+15℃の温度で行うことがさらに好ましく、Tg−5℃〜Tg+15℃の温度で行うことが特に好ましい。加熱工程は0.5〜10分間行うことが好ましく、0.5〜5分間行うことがさらに好ましい。
なお前記加熱工程において、フィルムは長手方向あるいは幅方向に収縮しようとする。この収縮を可能な限り抑制しながら加熱することが、でき上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましく、長手方向にテンションをかけながら行うか、もしくは幅方向にクリップあるいはピンでウェブの幅両端を幅保持しつつ行う方法(テンター方式)が好ましい。
本発明の偏光板の製造方法は、前記加熱工程を、前記第二のセルロースアシレートフィルムをフィルム搬送方向に直交する方向に延伸しながら行うことができる。すなわち、前記加熱工程において、前記延伸工程とは別に延伸を行うことが出来る。前記延伸工程での延伸倍率を含めた総延伸倍率は、搬送方向に直交の方向に10%〜150%の範囲とすることが好ましく、搬送方向に直交の方向に20〜100%に範囲で行うことがより好ましく、20〜50%であることが特に好ましい。
延伸倍率を10%以上とすることにより、より適切にReを発現させることができる。また、延伸倍率を50%以下とすることにより、ヘイズを低下させることができる。
前記加熱工程における延伸温度は、上記加熱温度範囲と同様である。
また、互いに直交する2軸方向に延伸することは、フィルムの光学発現性を高める観点、特にフィルムのRthの値を高める観点から、有効な方法である。前記第二のセルロースアシレートフィルムは搬送方向に対して平行な方向と直交する方向への同時または逐次延伸されて得られたものであり、2軸方向に延伸する場合の前記延伸工程での延伸倍率を含めた総延伸倍率は搬送方向に対して平行な方向への総延伸倍率は−20%〜50%であることが好ましく、−20%〜20%であることがより好ましく、−10%〜10%であることが特に好ましく、3〜10%であることがさらに好ましい。一方、搬送方向に対して直交する方向への前記延伸工程での延伸倍率を含めた総延伸倍率は10%〜150%であることが好ましく、20〜100%がより好ましく、20〜50%が特に好ましい。
本発明では、加熱工程において同時に2軸方向に延伸してもよいし、逐次に2軸方向に延伸してもよい。逐次に2軸方向に延伸する場合は、それぞれの方向における延伸ごとに延伸温度を変更してもよい。
同時2軸延伸する場合、好ましい延伸温度範囲は、上記加熱工程温度範囲と同様である。また、同時2軸延伸することで、ヘイズを低下させることができる。
一方、逐次2軸延伸する場合、先にフィルム搬送方向に平行な方向に延伸し、その次にフィルム搬送方向に直交する方向に延伸することが好ましい。前記逐次延伸を行う延伸温度のより好ましい範囲は上記加熱工程温度範囲と同様である。
得られたフィルムを巻き取る巻き取り機には、一般的に使用されている巻き取り機が使用でき、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。以上の様にして得られた光学フィルムロールは、フィルムの遅相軸方向が、巻き取り方向(フィルムの長手方向)に対して、±2度であることが好ましく、さらに±1度の範囲であることが好ましい。又は、巻き取り方向に対して直角方向(フィルムの幅方向)に対して、±2度であることが好ましく、さらに±1度の範囲にあることが好ましい。特にフィルムの遅相軸方向が、巻き取り方向(フィルムの長手方向)に対して、±0.1度以内であることが好ましい。あるいはフィルムの幅手方向に対して±0.1度以内であることが好ましい。
[加熱水蒸気処理]
また、延伸処理されたフィルムは、その後、100℃以上に加熱された水蒸気を吹き付けられる工程を経て製造されてもよい。この水蒸気の吹付け工程を経ることにより、製造されるセルロースアシレートフィルムの残留応力が緩和されて、寸度変化が小さくなるので好ましい。水蒸気の温度は100℃以上であれば特に制限はないが、フィルムの耐熱性などを考慮すると、水蒸気の温度は、200℃以下となる。
これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。前記第二のセルロースアシレートフィルムの製造に用いる巻き取り機は一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
以上のようにして得られた、前記第二のセルロースアシレートフィルムの長さは、1ロール当たり100〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500〜7000mであり、さらに好ましくは1000〜6000mである。巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するのが好ましく、ナーリングの幅は3mm〜50mmが好ましく、より好ましくは5mm〜30mm、高さは0.5〜500μmが好ましく、より好ましくは1〜200μmである。これは片押しであっても両押しであってもよい。
一般的に、大画面表示装置において、斜め方向のコントラストの低下及び色味付きが顕著となるので、前記第二のセルロースアシレートフィルムを用いて製造される本発明の偏光板は、特に大画面液晶表示装置に用いるのに適している。大画面用液晶表示装置用として用いる場合は、例えば、前記第二のセルロースアシレートフィルム幅を1470mm以上として成形するのが好ましい。また、前記第二のセルロースアシレートフィルムには、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様のフィルムのみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様のフィルムも含まれる。後者の態様のセルロースアシレートフィルムは、その状態で保管・搬送等され、実際に液晶表示装置に組み込む際や偏光子等と貼り合わされる際に、所望の大きさに切断されて用いられる。また、同様に長尺状に作製されたポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光子等と、長尺状のまま貼り合わされた後に、実際に液晶表示装置に組み込む際に、所望の大きさに切断されて用いられる。ロール状に巻き上げられたセルロースアシレートフィルムの一態様としては、ロール長が2500m以上のロール状に巻き上げられた態様が挙げられる。
(ケン化処理)
本発明の偏光板の製造方法は、前記第二のセルロースアシレートフィルムの全アシル基置換度が1.5〜2.6であるセルロースアシレートを含む層を前記第一のセルロースアシレートフィルムのケン化条件と同じ条件でケン化処理する工程を含む。
本発明の偏光板の製造方法は、前記ケン化処理の条件が下記式(A−1)〜(A−3)を満たす条件であることが好ましい。
式(A−1):18℃≦T≦90℃
(式(A−1)中、Tはケン化処理温度(単位:℃)を表す。)
式(A−2):0.5分≦S≦5分
(式(A−2)中、Sはケン化処理時間(単位:分)を表す。)
式(A−3):0.5N≦D≦5.0N
(式(A−3)中、Dはケン化溶液のアルカリ規定度(単位:N)を表す。)
前記ケン化処理温度を従来のTAC用のケン化条件と同様にすることが本発明の特徴の1つであり、これにより、偏光板の製造コストを大幅に低減することができる。前記第二のセルロースアシレートフィルムをTg−20℃以上の温度で加熱する工程を含むことにより、このようなケン化処理を施しても偏光板として液晶表示装置に組み込んだ時の表示ムラ抑制することができる。さらに、ケン化処理温度が低すぎるとケン化反応が進行せず、生産性を落としてしまう。一方、高すぎるとフィルム面状悪化を起こしてしまう可能性がある。
前記ケン化処理温度は、30℃≦T≦90℃であることがより好ましく、30℃≦T≦60℃であることが特に好ましい。
前記ケン化処理時間を0.5分以上とすることで水の接触角を好ましい範囲とすることができる。前記ケン化処理時間を5分以下とすることでフィルム表面面状を顕著に改良し、さらにヘイズを小さくすることができる上、偏光板に本発明のフィルムを組み込んだ際に偏光板耐久性も改善される。
前記ケン化処理時間は0.5〜5分であることが好ましく、0.5〜4分であることがより好ましく、0.5〜3分であることが特に好ましく、0.5〜2分であることがさらに好ましい。
ケン化処理は、アルカリ溶液をケン化液として用いてケン化処理する。ケン化液はアルカリ剤と水からなり、場合により界面活性剤および相溶化剤が含有されていてもよい。従来、アルカリ溶液の濃度(アルカリ溶液中のアルカリ剤の含有量)は、セルロースアシレートのアシル置換度に応じて決定する必要があった。すなわち、セルロースアシレートにおいては、アシル基の炭素数増大に伴って、ケン化効率が著しく低下するため、アシル基の炭素数が大きくなるほどアルカリ濃度は高くする必要があることが知られており、アルカリ濃度が高すぎるとアルカリ溶液の安定性が損なわれ、長時間塗布において析出する場合もあるため、セルロースアシレートの一次構造に応じて適切にアルカリ溶液を選定することがポイントとなる。そのため、本発明で用いられるアルカリ溶液は規定度が0.5〜5Nであることが好ましく、1〜3Nであることがより好ましく、1.5〜3Nであることが特に好ましい。また、アルカリ溶液の濃度は、この範囲内で、使用するアルカリ剤の種類、反応温度および反応時間に応じて調整することもできる。
また、違うフィルムでケン化条件が共通化できるとケン化浴が一つですみ、設備面や維持管理の手間の観点から有利である。
その他、ケン化工程の詳細については、特開2010−215733号公報などに記載の方法を採用することができる。
<偏光板のその他の構成>
本発明の偏光板は、前記第一のセルロースアシレートフィルムのケン化処理面と前記第二のセルロースアシレートフィルムの前記ケン化処理面とで偏光子が挟持される。前記偏光子は従来から公知のものを用いることができ、例えば、ポリビニルアルコールフィルムのような親水性ポリマーフィルムを、沃素のような二色性染料で処理して延伸したものである。セルロ−スエステルフィルムと偏光子との貼り合わせは、特に限定はないが、水溶性ポリマーの水溶液からなる接着剤により行うことができる。この水溶性ポリマー接着剤は完全ケン化型のポリビニルアルコ−ル水溶液が好ましく用いられる。
本発明の偏光板の態様は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上や3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用とするためには、上記した通り、偏光板の幅は1470mm以上とすることが好ましい。
本発明の偏光板の具体的な構成については、特に制限はなく公知の構成を採用できるが、例えば、特開2008−262161号公報の図6に記載の構成を採用することができる。
[液晶表示装置]
本発明は本発明の偏光板を有する液晶表示装置にも関する。
本発明の液晶表示装置は液晶セルと該液晶セルの両側に配置された一対の偏光板を有する液晶表示装置であって、前記偏光板の少なくとも一方が本発明の偏光板であることを特徴とするIPS、OCBまたはVAモードの液晶表示装置であることが好ましい。
本発明の液晶表示装置の具体的な構成としては特に制限はなく公知の構成を採用できるが、例えば図1に記載の構成とした例を採用することができる。また、特開2008−262161号公報の図2に記載の構成も好ましく採用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
<第二のセルロースエステルフィルム101〜118の作製>
(セルロースエステルフィルム103の作製)
〈微粒子分散液〉
・微粒子(アエロジル R812 日本アエロジル(株)製) 11質量部
・エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクにセルロースエステルA(表5参照)を添加し、加熱して完全に溶解させた後、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。濾過後のセルロースエステル溶液を充分に攪拌しながら、ここに微粒子分散液をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を調製した。
・メチレンクロライド 99質量部
・セルロースエステルA 4質量部
・微粒子分散液 11質量部
セルロースエステルAを用い、下記組成の主ドープ液(下記表6における溶液構成1のドープ)を調製した。
まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースエステルAを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、更に糖エステル化合物A−5をセルロースエステルAに対して8質量%、可塑剤としてエステルオリゴマB−15を3質量%添加、溶解させた。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
主ドープ液100質量部に微粒子添加液を2質量部加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分に混合し、次いでベルト流延装置を用い、幅2mのステンレスバンド支持体に均一に流延した。
得られたウェブ(フィルム)で、残留溶剤量が110%になるまで溶剤を蒸発させ、ステンレスバンド支持体から剥離した。剥離後に張力をかけて縦延伸倍率が2%となるように延伸した。
次いで、フィルムの溶媒残留量が1質量%未満となるまで乾燥させた後、更にテンターを用いてフィルム搬送方向に直交する方向へ170℃で、30%延伸しながら加熱を行った。このとき、フィルムが170℃に加熱された時間は0.7分であった。
なお、残留溶媒量は下記の式にしたがって求めた。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを測定したウェブを120℃で2時間乾燥させた時の質量である。
また、得られたセルロースアシレートフィルムのTgは、残留揮発分0%のときのフィルムの動的粘弾性tanδを測定した際にtanδがピークを示す温度を測定し、その温度をTgとした。
以上により、幅1.5m、かつ端部に幅1cm、高さ8μmのナーリングを有する膜厚50μmの第二のセルロースエステルフィルム103を作製した。
〈主ドープ液の組成(下記表6における溶液構成1のドープ)〉
・メチレンクロライド: 390質量部
・エタノール: 80質量部
・セルロースエステルA: 100質量部
・糖エステル化合物A−5: 8質量部
・エステルオリゴマB−15: 3質量部
表5に、上記で用いたセルロースエステルAと下記の実施例において用いたセルロースエステルの内容を示す。
Figure 2014026252
(セルロースエステルフィルム101、102および104〜118の作製)
ドープ溶液構成及び製造条件を表5、表6および表7に示されるように変更した以外は、上記と同様にしてセルロースエステルフィルム101、102および104〜111を作製した。さらに、得られたセルロースエステルフィルム101、102および108を用いて、wet延伸後、一貫してさらに下記表7に記載の条件で熱処理を行い、第二のセルロースエステルフィルム112、118および114〜116をそれぞれ作製した。一方、得られたセルロースエステルフィルム101および108を用いて、wet延伸後、一度巻き取って、さらに下記表7に記載の条件で熱処理を行い、第二のセルロースエステルフィルム113および117をそれぞれ作製した。
Figure 2014026252
《評価項目、評価方法》
得られたセルロースエステルフィルムを用い、以下の評価を行った。
(リターデーション)
リターデーション値ReおよびRthは自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、相対湿度55%の環境下で、波長546nmで求めた。垂直方向から測定した値とフィルム面を傾けながら同様に測定したレターデーション値の外挿値より算出した。
表7にセルロースエステルフィルム101〜118の内容と上記評価結果を示す。
Figure 2014026252
表7に示した結果からTg+15℃以下の温度で加熱処理した第二のセルロースエステルフィルム101〜117は、十分な位相差値を有するのに対し、Tg+15℃より高い温度で加熱処理した第二のセルロースエステルフィルム118は、十分な位相差値を有さないことが分かる。
《第1のセルロースエステルフィルムの作製》
(第1のセルロースエステルフィルム201の作製)
(二酸化珪素分散液)
アエロジル972V(日本アエロジル(株)製) 12質量部
(一次粒子の平均径16nm、見掛け比重90g/リットル)
エタノール 88質量部
以上をディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。二酸化珪素分散液に88質量部のメチレンクロライドを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合し、二酸化珪素分散希釈液を作製した。
(インライン添加液の作製)
チヌビン109(チバ・ジャパン(株)製) 11質量部
チヌビン171(チバ・ジャパン(株)製) 5質量部
メチレンクロライド 100質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、濾過した。
これに二酸化珪素分散希釈液を36質量部、撹拌しながら加えて、さらに30分間撹拌した後、下記セルローストリアセテート6質量部を撹拌しながら加えて、さらに60分間撹拌した後、アドバンテック東洋(株)のポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1Nで濾過し、インライン添加液を調製した。
(ドープ液の調製)
セルローストリアセテート 100質量部
(Mn=150000、Mw=300000、アセチル基置換度2.91)
トリメチロールプロパントリベンゾエート 5.0質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 5.5質量部
メチレンクロライド 440質量部
エタノール 40質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ液を調製した。
製膜ライン中で日本精線(株)製のファインメットNFでドープ液を濾過した。インライン添加液ライン中で、日本精線(株)製のファインメットNFでインライン添加液を濾過した。濾過したドープ液を100質量部に対し、濾過したインライン添加液を2質量部加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分混合し、次いで、ベルト流延装置を用い、温度35℃、1.8m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。
ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が120%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルのウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1.65m幅にスリットし、その後、テンターでTD方向(フィルムの搬送方向と直交する方向)に1.05倍に延伸しながら、135℃の乾燥温度で、乾燥させた。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は30%であった。
その後、110℃、120℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅15mm、平均高さ10μmのナーリング加工を施し、平均膜厚が60μmの第1のセルロースエステルフィルム201を作製した。
リターデーション値の測定をしたところ、ReおよびRthが各々3nm、50nmであった。
(第1のセルロースエステルフィルム202の作製)
セルロースエステルの膜厚を40μmに変更した以外は第1のセルロースエステルフィルム201の作製と同様にして、1.5m幅、平均膜厚40μmの第1のセルロースエステルフィルム202を作製した。
リターデーション値は、ReおよびRthが各々2nm、35nmであった。
(ケン化後のフィルム面状)
得られたケン化後の第二のセルロースアシレートフィルムの面状を以下の基準に従って判断した。
◎ シワなどがなく平面性に優れる。
○ ケン化後フィルムの端部にわずかなたわみが残るが、偏光板加工プロセスに問題はない。
△ ケン化後フィルムに少したわみが残留し、偏光板加工プロセスに注意を払う必要がある。
× ケン化後フィルムにたわみが残留し、偏光板加工プロセスに不適である。
得られた結果を表8に記載した。
[偏光板の作製]
〈実施例1の偏光板の作製〉
上記作製した第2のセルロースエステルフィルム101及び第1のセルロースエステルフィルム202を下記工程1〜5に従って実施例1の偏光板を作製した。
工程1:50℃、2mol%の水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合する側を鹸化した第2のセルロースエステルフィルム101及び第1のセルロースエステルフィルム202を得た。
工程2:前記偏光子を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した第2のセルロースエステルフィルム101及び第1のセルロースエステルフィルム202の上にのせて配置した。
工程4:工程3で積層した第2のセルロースエステルフィルムと偏光子と裏面側第1のセルロースエステルフィルムを圧力20〜30N/cm2、搬送スピードは約2m/分で貼
合した。
工程5:工程4で作製した偏光子と第2のセルロースエステルフィルム及び第1のセルロースエステルフィルムとを貼り合わせた試料を80℃の乾燥機中にて5分間乾燥し、実施例1の偏光板を作製した。
上記作製した第2のセルロースエステルフィルム101〜118及び第1のセルロースエステルフィルム201〜202により挟持するように、下記表8に記載の組み合わせで、それぞれのケン化処理条件に従って貼合して比較例1〜8および実施例2〜37の偏光板を作製した。
比較例7〜8および実施例33〜37の偏光板については、上記工程1の水酸化ナトリウムを水酸化カリウムに変更することにより作製した。
(偏光板の軸ズレ)
得られた偏光板を長手10m取り出し、長手方向2mごとに、幅方向等間隔で5点ずつ(本実施例で評価した偏光板は、1.5m幅の偏光板であったため、幅方向25cm間隔で5点サンプリングを実施した)計25枚の偏光板の小片を切り出し、Axoscan(Axometrics社製)を用いて、切り出した小片サンプル全てのフィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸のなす角を計測した。また、式(※)を用いて、各小片サンプルの軸ズレ値を算出し、その軸ズレ値の最大値により以下のように判断した。
式(※)(軸ズレ)=|なす角−90°|
○ 0°≦(軸ズレの最大値)≦0.3°
× 0.3°<(軸ズレの最大値)≦0.5°
×× 0.5°<(軸ズレの最大値)
得られた結果を表8に記載した。
Figure 2014026252
上記表8より、実施例1〜37で得られた偏光板は、全アシル基置換度が2.7〜3.0である第一セルロースアシレートフィルムと全アシル基置換度が1.5〜2.6である第二のセルロースアシレートフィルムを同じケン化処理条件とした場合も、面状が良好となり、貼合後の偏光板軸ズレが良好であることがわかった。
一方、比較例1〜8で得られた偏光板より、第二のセルロースアシレートフィルムを製造するときの加熱温度が本発明で規定する下限値を下回る場合(第二のセルロースアシレートフィルム101、102および118を用いた場合)は、全アシル基置換度が2.7〜3.0である第一セルロースアシレートフィルムと同じケン化処理条件を行うと面状が悪化してしまい、貼合後の偏光板軸ズレが実用上問題あることがわかった。
[液晶表示装置の製造]
得られた各実施例および比較例の偏光板に対して、下記パネルへの貼り合わせを実施した。
評価はシャープ社LC−46LV3の液晶表示ディスプレイからフロント側およびリア側の偏光板を取り除いたもの(以下、パネルとも言う)に対し、上記実施例1の偏光板を液晶パネルのフロント側およびリア側に配置して、実施例1の液晶表示装置を製造した。また、上記その他の実施例および各比較例の偏光板を液晶パネルのフロント側およびリア側に配置して、その他の実施例および各比較例の液晶表示装置を製造した。
(正面コントラストのパネル面内バラツキ)
25℃、相対湿度60%で24時間調湿させた表示装置を測定器(BM5A、TOPCON社製)を用いて、暗室において、装置正面からの極角0度方向、及び方位角0度方向における黒表示および白表示の輝度値を測定し、コントラスト(白輝度/黒輝度)を算出することで、液晶表示装置の正面コントラストを測定した。パネル総面積に対して50%の面積に相当するパネル中央の領域を縦横5cm間隔で測定し、得られた結果を下記の基準により判断した。
◎ (正面コントラスト最小値)/(正面コントラスト最大値)≧0.80
○ 0.80>(正面コントラスト最小値)/(正面コントラスト最大値)≧0.60
△ 0.60>(正面コントラスト最小値)/(正面コントラスト最大値)≧0.50
× (正面コントラスト最小値)/(正面コントラスト最大値)<0.50
得られた結果を上記表8に記載した。
正面コントラストのパネル面内ばらつきは○以上の評価であれば、実用上問題ない。
表8より、実施例1〜37の偏光板を用いた液晶表示装置は表示ムラが小さいことがわかった。
11 偏光子
12 偏光子
13 液晶セル
14 第二のセルロースアシレートフィルム
15 第二のセルロースアシレートフィルム
21 第一のセルロースアシレートフィルム
22 第一のセルロースアシレートフィルム

Claims (17)

  1. 全アシル基置換度2.7〜3.0であるセルロースアシレートを含む第一のセルロースアシレートフィルムをケン化処理する工程と、
    糖エステル化合物と全アシル基置換度が1.5〜2.6であるセルロースアシレートを含む第二のセルロースアシレートフィルムをTg−20℃以上の温度で加熱する工程と(但し、Tgは第二のセルロースアシレートフィルムのガラス転移温度(単位:℃)を表す)、
    前記第二のセルロースアシレートフィルムを前記第一のセルロースアシレートフィルムのケン化条件と同じ条件でケン化処理する工程と、
    前記第一のセルロースアシレートフィルムの前記ケン化処理面と前記第二のセルロースアシレートフィルムの前記ケン化処理面とで偏光子を挟持する工程を含むことを特徴とする偏光板の製造方法。
  2. 糖エステル化合物と全アシル基置換度が1.5〜2.6であるセルロースアシレートと溶媒を含む溶液を支持体上に流延する工程と、
    前記流延した溶液を支持体上で乾燥させて、支持体から剥離して前記第二のセルロースアシレートフィルムを形成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の偏光板の製造方法。
  3. 前記溶媒がアルコールを含み、前記アルコールの平均炭素数が2〜4であることを特徴とする請求項2に記載の偏光板の製造方法。
  4. 前記溶媒の15質量%以上がアルコールであることを特徴とする請求項2または3に記載の偏光板の製造方法。
  5. 前記第二のセルロースアシレートフィルムの前記加熱工程を、残留溶媒量を10質量%以下に制御した後で開始することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
  6. 前記第二のセルロースアシレートフィルムの加熱工程が、Tg−20℃以上の温度で0.5〜10分の加熱であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
  7. 前記第二のセルロースアシレートフィルムを延伸する工程を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
  8. 前記第二のセルロースアシレートフィルムを延伸した後、一貫して加熱する工程を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
  9. 前記第二のセルロースアシレートフィルムを延伸した後、一度巻き取ってから、別設備で加熱する工程を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
  10. 前記加熱工程を、前記第二のセルロースアシレートフィルムを延伸しながら行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
  11. 前記第二のセルロースアシレートフィルムの波長590nmで測定した面内方向のレターデーション値Reが30nm〜200nmであり、波長590nmで測定した厚み方向のレターデーション値Rthが70nm〜300nmであるとことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
  12. 前記第二のセルロースアシレートフィルムが、総アシル置換度2.0〜2.5のセルロースアシレートを含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
  13. 前記糖エステル化合物がピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基の一部がエステル化されたエステル化合物を含有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
  14. 前記第二のセルロースアシレートフィルムが、下記一般式(1)で表わされるエステル系化合物を含有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
    一般式(1) B−(G−A)n−G−B
    (式中、Bはヒドロキシ基またはカルボン酸残基、Gは炭素数2から12のアルキレングリコール残基又は炭素数6〜12のアリールグリコール残基又は炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
  15. 前記ケン化処理の条件が下記式(A−1)〜(A−3)を満たす条件であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
    式(A−1):18℃≦T≦90℃
    (式(A−1)中、Tはケン化処理温度(単位:℃)を表す。)
    式(A−2):0.5分≦S≦5分
    (式(A−2)中、Sはケン化処理時間(単位:分)を表す。)
    式(A−3):0.5N≦D≦5.0N
    (式(A−3)中、Dはケン化溶液のアルカリ規定度(単位:N)を表す。)
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法で製造されたことを特徴とする偏光板。
  17. 請求項16に記載の偏光板を少なくとも1枚含むことを特徴とする液晶表示装置。
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