JP2014025264A - シール構造及びシール構造の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】屋内側と屋外側とにわたって貫通孔2が形成された壁部1と、貫通孔を挿通する配設部材3と、貫通孔2の内周面と配設部材3との間の空間をシールするシール部4と、を備えるシール構造に関する。シール部4は、貫通孔2の内周面と配設部材3との間に充填された充填シール材5と、貫通孔2の内周面と配設部材3とにわたるように、充填シール材5の屋外側を向く面および屋内側を向く面のうちの少なくとも一方に積層された伸縮性部材6と、を備え、伸縮性部材6は、貫通孔2の径方向における外側に向かうにしたがって充填シール材側に向かって延びる第一傾斜部6aと、第一傾斜部6aの径方向における一方側に接続されて、径方向における外側に向かうにしたがって充填シール材5と反対側に向かって延びる第二傾斜部6bと、を有する。
【選択図】図9
Description
即ち、本発明のシール構造は、屋内側と屋外側とにわたって貫通孔が形成された壁部と、前記貫通孔を挿通する配設部材と、前記貫通孔の内周面と前記配設部材との間の空間をシールするシール部とを備え、前記シール部は、前記貫通孔の内周面と前記配設部材との間に充填された充填シール材と、前記貫通孔の内周面と前記配設部材とにわたるように、前記充填シール材の前記屋外側を向く面および屋内側を向く面のうちの少なくとも一方に積層された伸縮性部材と、を備え、該伸縮性部材は、前記貫通孔の径方向における外側に向かうにしたがって前記充填シール材側に向かって延びる第一傾斜部と、該第一傾斜部の前記径方向における一方側に接続されて、前記径方向における外側に向かうにしたがって前記充填シール材と反対側に向かって延びる第二傾斜部と、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、伸縮性部材および充填シール材を、充填シール材側から見て伸縮性部材のある方向に突出した凸形状とすることで、圧縮された伸縮性部材が曲げ変形しながら充填シール材と反対方向に逃げることができる。したがって、伸縮性部材の座屈を回避し易くなる。また、引張り側の伸縮性部材が充填シール材との接着による拘束が弱まり易いため、支点間距離が長くなることで引っ張りによる亀裂や切断の発生を低減し易くなる。
上記構成によれば、伸縮性部材および充填シール材を、伸縮性部材側から見て充填シール材のある方向に窪んだ凹形状とすることで、圧縮された伸縮性部材が窪んだ凹部に逃げることができる。これによって、伸縮性部材の座屈を回避しやすくなる。
上記構成によれば、伸縮性部材が径方向において交互に接続される第一傾斜部および第二傾斜部の少なくとも一方を複数有することで、伸縮性部材の曲げ変形、および、それによる相対変位の吸収を径方向における複数箇所に分散させることができるので、伸縮性部材の座屈をより回避し易くなる。
上記構成によれば、第一傾斜部および第二傾斜部が同心円状をなすことで、圧縮や引張りによって伸縮性部材に加えられる力を周方向において均一に分散させ易くなり、局所的な応力集中による伸縮性部材の座屈を回避し易くなる。また、加工性および施工性を向上させることができる。
上記方法によれば、上述したシール構造を容易に施工することができる。
上記方法によれば、壁部に対して新たに配設部材をシール性高く挿通させることができる。
以下、本発明の第一実施形態のシール構造について図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のシール構造は、壁部1と、配管(配設部材)3と、シール部4と、を備えている。即ち、建屋等の外壁を構成する壁部1には貫通孔2が形成されている。貫通孔2は壁部1の屋内側である第一の面1aと屋外側である第二の面1bとにわたって貫通している。また、配管3は、この貫通孔2に屋内及び屋外に跨って挿通されている。
第一傾斜面5aは、縦断面(配管3の軸線を含む断面)視において、径方向外側に向かうにしたがって屋外側から屋内側に向かって直線状に延びており、換言すれば、壁部1の屋外側である第二の面1bから壁部1の厚さ方向(配管3の軸方向)における中央部を向く方向(壁部1の厚さ方向の一方側、ここでは図1における右側から左側を向く方向)に直線状に延びる環状の円錐台面状をなしている。
また、伸縮性部材6と配管3の外周面3aとの間、および伸縮性部材6と貫通孔2の内周面2aとの間には、プライマー7が介在している。換言すれば、伸縮性部材6は、貫通孔2の内周面2aおよび配管3の外周面3aに下地としてのプライマー7が塗布された状態で積層されている。
第一傾斜部6aは、充填シール材5の第一傾斜面5aと同様に、縦断面視において、径方向外側に向かうにしたがって屋外側から屋内側に向かって直線状に延びており、換言すれば、充填シール材5側に向かって直線状に延びる環状の円錐台状をなしている。
また、第二傾斜部6bは、充填シール材5の第二傾斜面5bと同様に、縦断面視において、径方向外側に向かうにしたがって屋内側から屋外側に向かって直線状に延びており、換言すれば、充填シール材5とは反対側に向かって直線状に延びる環状の円錐台状をなしている。
即ち、第一傾斜部6aと第二傾斜部6bとでは、径方向外側に向かうにしたがって延びる方向が互いに反対となっている。したがって、第一傾斜部6aの径方向の内側の部分に第二傾斜部6bの径方向の外側の部分が接続されることにより、伸縮性部材6の径方向中間部(第一傾斜部6aと第二傾斜部6bの接続部)が屋内側から屋外側に向けて突出する凸形状となっている。
また、伸縮性部材6と貫通孔2の内周面2aとの接着性、および、伸縮性部材6と配管3の外周面3aとの接着性のうちの一方、又は両方が十分であれば、プライマー7を省略することができる。
まず、図3に示すように、壁部1に屋内側の第一の面1aおよび屋外側の第二の面1bにわたって貫通する断面円形状の貫通孔2を形成する(工程1)。
そして、貫通孔2の略中心位置に断面円形状の配管3を挿通させる(工程2)。
一方、第二傾斜板部11bは、径方向外側に向かうにしたがって屋内側から屋外側に向かって断面が直線状に延びており、換言すれば、壁部1の厚さ方向(配管3の軸方向)における中央部から壁部1の屋外側である第二の面1bを向く方向(壁部1の厚さ方向他方側)に直線状に延びる環状の円錐台部材とする。
湯口13は、後述の工程で充填シール材5を注入する際に鉛直方向上方側になるように屋内側型枠12の径方向外側に設置する。なお、湯口13は屋内側型枠12に限らず、屋外側型枠11に設置してもよいし、あるいは、型枠10ではなく別の部材、例えば壁部1などに設置してもよい。
また、型枠10は、後述の工程で注入する充填シール材5が流出しないように貫通孔2の内周面2aおよび配管3の外周面3aの寸法形状に対応した寸法形状とし当接させる(工程3)。
次いで、図6に示すように、所定時間が経過し、注入した充填シール材5が硬化して固体状となった後、型枠10を全て除去する。これにより、配管3と貫通孔2の内周面2aとの間であって貫通孔2の屋内側の空間には硬化した充填シール材5のみが残る(工程5)。
次いで、硬化した充填シール材5のうち湯口13や空気抜き孔の周りに残存しているバリ5d(図6参照)などの余計な部分を除去する。これにより、図7に示すように、第一傾斜板部11aの屋内側面により形成された第一傾斜面5a、第二傾斜板部11bの屋内側面により形成された第二傾斜面5b、および、屋内側型枠12の屋外側面により形成された側面5cを有する充填シール材5の状態となる(工程6)。
図9に示すように、例えば、地震の発生などによって壁部1の貫通孔2と配管3との相対的位置関係が変動した場合、即ち、図9の配管3の下方に見られるように、壁部1の貫通孔2と配管3との相対変位により、貫通孔2の内周面2aと配管3の外周面3aとが接近して充填シール材5および伸縮性部材6が圧縮された場合、充填シール材5は押しつぶされて樽状に丸く膨らむように変形する。したがって、第一傾斜面5aおよび第二傾斜面5bからなる充填シール材5の屋外側を向く面も、側面5cからなる充填シール材5の屋内側を向く面も同様に丸く変形する。
即ち、配管3が貫通孔2の内周面2aから接近する方向に動いた場合、および離間する方向に動いた場合に、配管3の全周にわたって伸縮性部材6に座屈や亀裂の生じることがないため、シール構造の気密性および水密性を確保することができる。
また、第一傾斜部6aおよび第二傾斜部6bが、貫通孔2または配管3の軸を中心とした同心円状に設けられているため、圧縮や引張りによって伸縮性部材6に加えられる力を周方向において均一に分散させ易くなる。したがって、局所的な応力集中による伸縮性部材6の座屈や亀裂の発生を回避し易くなる。また、充填シール材5や伸縮性部材6の加工性および施工性を向上させることができる。
例えば、伸縮性部材6として、ポリブタジエン系の液状ゴム14を採用することができる。液状ゴム14を施工する場合は、まず、プライマー7処理をした上で液状ゴム14を充填シール材5の屋外側に施工する。次いで、図10に示すように、液状ゴム14が流出しないように、貫通孔2の形状に対応した硬質板15を屋外側から当接させて、液状ゴム14の形状を整える。ただし、液状ゴム14の流動性が高い場合には、硬質板15を事前に配置して液状ゴム14の流出を防ぐようにする。そして、液状ゴム14が硬化した後に硬質板15を除去することによってシール構造が完成する。
次に、第二実施形態に係るシール構造について説明する。
図11に示すように、本実施形態における充填シール材5Aの屋外側を向く面は、径方向内側に第一傾斜面5Aaと、その外側に接続される第二傾斜面5Abとを備えている。第一傾斜面5Aaは、縦断面視において、径方向外側に向かうにしたがって屋外側から屋内側に向かって断面が直線状に延びており、換言すれば、壁部1の屋外側である第二の面1bから壁部1の厚さ方向(配管3の軸方向)における中央部を向く方向(厚さ方向の一方側)に直線状に延びる環状の円錐台状をなしている。
一方、第二傾斜面5Abは、縦断面視において、径方向外側に向かうにしたがって屋内側から屋外側に向かって断面が直線状に延びており、換言すれば、壁部1の厚さ方向(配管3の軸方向)における中央部から壁部1の屋外側である第二の面1bを向く方向(厚さ方向の他方側)に直線状に延びる環状の円錐台面である。即ち、第一傾斜面5Aaと第二傾斜面5Abとでは、径方向外側に向かうにしたがって延びる方向が互いに反対となっている。したがって、第一傾斜面5Aaの外側に第二傾斜面5bの内側が接続されることにより、充填シール材5Aの屋外側を向く面の径方向中間部(第一傾斜面5Aaと第二傾斜面5Abの接続部)が屋外側から屋内側に向けて窪んだ凹面状となっている。
また、第二傾斜部6Abは、充填シール材5Aの第二傾斜面5Abと同様に、縦断面視において、径方向外側に向かうにしたがって屋内側から屋外側に向かって直線状に延びており、換言すれば、充填シール材5Aとは反対側に向かって直線状に延びる環状の円錐台状をなしている。即ち、第一傾斜部6Aaと第二傾斜部6Abとでは、径方向外側に向かうにしたがって延びる方向が互いに反対となっている。したがって、第一傾斜部6Aaの外側に第二傾斜部6Abの内側が接続されることにより、伸縮性部材6Aの径方向中間部(第一傾斜部6Aaと第二傾斜部6Abの接続部)が屋外側から屋内側に向けて窪んだ凹形状となっている。
次に、第三実施形態に係るシール構造について説明する。
なお、本実施形態では、伸縮性部材、および、充填シール材の伸縮性部材を積層する面の形状が、上述した第一実施形態と相違するのみであるため、その他の同様の部分についてはその説明を省略する。
1a 第一の面
1b 第二の面
2 貫通孔
2a 内周面
3 配管(配設部材)
3a 外周面
4 シール部
5,5A,5B 充填シール材
5a,5Aa,5Ba 第一傾斜面
5b,5Ab,5Bb 第二傾斜面
5c 側面
6,6A,6B 伸縮性部材
6a,6Aa,6Ba 第一傾斜部
6b,6Ab,6Bb 第二傾斜部
7 プライマー
10 型枠
11 屋外側型枠
11a 第一傾斜板部
11b 第二傾斜板部
12 屋内側型枠
13 湯口
14 液状ゴム
15 硬質板
Claims (7)
- 屋内側と屋外側とにわたって貫通孔が形成された壁部と、
前記貫通孔を挿通する配設部材と、
前記貫通孔の内周面と前記配設部材との間の空間をシールするシール部と、
を備え、
前記シール部は、
前記貫通孔の内周面と前記配設部材との間に充填された充填シール材と、
前記貫通孔の内周面と前記配設部材とにわたるように、前記充填シール材の前記屋外側を向く面および屋内側を向く面のうちの少なくとも一方に積層された伸縮性部材と、
を備え、
該伸縮性部材は、
前記貫通孔の径方向における外側に向かうにしたがって前記充填シール材側に向かって延びる第一傾斜部と、
該第一傾斜部の前記径方向における一方側に接続されて、前記径方向における外側に向かうにしたがって前記充填シール材と反対側に向かって延びる第二傾斜部と、
を有することを特徴とするシール構造。 - 前記径方向における一方側は、前記径方向における内側であることを特徴とする請求項1に記載のシール構造。
- 前記径方向における一方側は、前記径方向における外側であることを特徴とする請求項1に記載のシール構造。
- 前記伸縮性部材は、前記第一傾斜部および前記第二傾斜部の少なくとも一方を複数有し、
、これら第一傾斜部および第二傾斜部は、前記径方向において交互に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のシール構造。 - 前記第一傾斜部および前記第二傾斜部は、前記配設部材の軸を中心とした同心円状をなしていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のシール構造。
- 壁部の屋内側および屋外側にわたる貫通孔の内周面と該貫通孔を挿通する配設部材との間の空間に、前記貫通孔の径方向における外側に向かうにしたがって前記壁部の厚さ方向の一方側に延びる第一傾斜板部と、該第一傾斜板部の前記径方向における一方側に接続されて、前記径方向における外側に向かうにしたがって前記壁部の厚さ方向の他方側に延びる第二傾斜板部と、を有する型枠を設置する工程と、
前記型枠内に充填シール材を注入する工程と、
前記型枠内で前記充填シール材が硬化した後に前記型枠を除去する工程と、
硬化した前記充填シール材の余剰部分を除去する工程と、
前記充填シール材における前記第一傾斜板部により形成された第一傾斜面および前記第二傾斜板部により形成された第二傾斜面を含む前記充填シール材の面に、前記貫通孔の内周面と前記配設部材とにわたるように伸縮性部材を積層する工程と、
を備えることを特徴とするシール構造の施工方法。 - 前記型枠を設置する工程の前に、
前記貫通孔を前記壁部に形成する工程と、
前記配設部材を前記貫通孔に挿通する工程と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載のシール構造の施工方法。
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