JP2014024386A - シートバックフレーム - Google Patents

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展弘 山田
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Abstract

【課題】シートバックフレームにヘッドレストステーを支える支持具を簡便かつ強固に一体的に結合できるようにする。
【解決手段】シート幅方向に延びるアッパフレーム12と、アッパフレーム12に結合されてヘッドレストステー4Aを支えるサポート部材13(支持具)と、を一体的に有するシートバックフレーム10である。アッパフレーム12は、互いにシート前後方向に向かい合うように面を向けた第1及び第2の横断面部10A,10Bと、これら横断面部10A,10B間に張り出す繋ぎ面部10Cと、を有する断面形状とされている。サポート部材13は、繋ぎ面部10Cに高さ方向に貫通して空けられた差込孔12A内に高さ方向に差し込まれて、第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとにそれぞれシート前後方向に当接した状態としてアッパフレーム12に一体的に結合されている。
【選択図】図10

Description

本発明は、シートバックフレームに関する。詳しくは、シートバックの骨格を成すシート幅方向に延びる構成フレームと、構成フレームに結合されてヘッドレストステーを支える支持具と、を一体的に有するシートバックフレームに関する。
従来、車両用シートにおいて、ヘッドレストのステーが、シートバックの上部骨格に固定された筒状のサポート部材内に差し込まれて固定された構成が知られている(特許文献1)。上記サポート部材は、詳しくは、シートバックの上部骨格に溶着された角筒状のホルダー内に差し込まれて装着されている。
特開2005−66120号公報
しかし、上記特許文献1に記載の従来技術では、角筒状のホルダーがシートバックのアッパフレームに対して後側の側面のみがあてがえられて溶着された構成となっており、十分な結合強度が得られない場合がある。本発明は、上記問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、シートバックフレームにヘッドレストステーを支える支持具を簡便かつ強固に一体的に結合できるようにすることにある。
上記課題を解決するために、本発明のシートバックフレームは次の手段をとる。
第1の発明は、シートバックの骨格を成すシート幅方向に延びる構成フレームと、構成フレームに結合されてヘッドレストステーを支える支持具と、を一体的に有するシートバックフレームである。構成フレームは、互いにシート前後方向に向かい合うように面を向けた第1及び第2の横断面部と、これらの横断面部間に張り出す第3の横断面部と、を有する断面形状とされている。支持具は、第3の横断面部に高さ方向に貫通して空けられた差込孔内に高さ方向に差し込まれて、第1の横断面部と第2の横断面部とにそれぞれシート前後方向に当接した状態として構成フレームに一体的に結合されている。
この第1の発明によれば、支持具を構成フレームに空けた差込孔内に差し込んで、第1の横断面部と第2の横断面部とに当接させた状態にして構成フレームに結合することで、支持具を構成フレームに対してシート前後方向に強く支持させた状態に組み付けることができる。このように、上記断面形状を備える構成フレームに差込孔を空けて支持具を差し込む簡単な構成により、構成フレームに支持具を簡便かつ強固に一体的に結合することができる。
第2の発明は、上述した第1の発明において、支持具の構成フレームへの結合が、第1の横断面部と第2の横断面部とを支持具に押し挟むように圧着させることによって行われているものである。
この第2の発明によれば、構成フレームの第1の横断面部と第2の横断面部とを支持具に押し挟むように圧着させることにより、支持具を構成フレームに溶接や締結を用いることなく簡便に一体的に結合させることができる。
第3の発明は、上述した第1又は第2の発明において、次の構成となっているものである。第1の横断面部と第2の横断面部との間の隙間寸法が、支持具の前後幅よりも狭くなっている。差込孔は、第3の横断面部に構成フレームの延びるシート幅方向に切り込まれるスリットが形成されて、スリットを第1の横断面部と第2の横断面部と共に支持具を差し込める形に開け広げることにより形成されている。
この第3の発明によれば、第1の横断面部と第2の横断面部との間の隙間寸法が支持具の前後幅よりも狭くなっており、両横断面部の支持具が差し込まれる部分が部分的に支持具を差し込めるように前後幅が開け広げられた構成とされることにより、差し込まれた支持具を第1の横断面部と第2の横断面部とによってシート幅方向にも挟み込んで強固に支持した状態とすることができる。
実施例1のシートバックフレームが適用された車両用シートの外観斜視図である。 シートバックフレーム単体の斜視図である。 シートバックフレームの正面図である。 シートバックフレームの側面図である。 図3のV-V線断面図である。 図4のVI-VI線断面図である。 アッパフレームに差込孔を形成した状態を示した斜視図である。 サイドフレームを曲げ加工した状態を示した斜視図である。 サイドフレームを開け広げた状態を示した斜視図である。 図3のX-X線断面図である。 実施例2のシートバックフレームが適用された車両用シートの外観斜視図である。
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
始めに、実施例1のシートバックフレーム10の構成について、図1〜図10を用いて説明する。本実施例のシートバックフレーム10は、図1に示すように、自動車の助手席シートとして構成された車両用シート1のシートバック2の骨組みを成すものとして構成されている。ここで、車両用シート1は、着座乗員の背凭れとなるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、頭の凭れ部となるヘッドレスト4と、を有して構成されている。
シートバック2は、その左右両サイドの下端部が、それぞれ、シートクッション3の左右両サイドの後端部に対して、回転止め可能な回転軸装置として機能する図示しない円盤状のリクライニング装置を間に介して連結された状態とされている。これにより、シートバック2は、シートクッション3に対して、背凭れ角度の調節が行えるように連結された状態とされている。シートクッション3は、車両のフロア上に、図示しない左右一対のスライド装置を間に介して設けられた状態とされている。これにより、シートクッション3は、フロアに対して、シート前後方向の位置調節が行えるように設けられた状態とされている。なお、上記図示しないリクライニング装置やスライド装置の基本構造は、特開2011−116303号公報や特開2010−221935号公報等の文献に開示されたものと同じ構成となっているため、これらについての具体的な説明は省略することとする。
ヘッドレスト4は、シートバック2の上部に装着されて設けられている。具体的には、ヘッドレスト4は、その下部から突き出る2本の棒状のヘッドレストステー4Aが、それぞれ、シートバックフレーム10のアッパフレーム12上に固定された2本の筒状のサポート部材13内にそれぞれ上方側から差し込まれて装着されることにより、シートバック2の上部に装着されて固定された状態とされている。なお、上記ヘッドレストステー4Aを各サポート部材13内に差し込んで装着する構成については、特開2008−239075号公報等の文献に開示されたものと同じ構成となっているため、具体的な説明は省略することとする。
以下、図2〜図10を参照しながら、シートバックフレーム10の具体的な構成について詳しく説明する。図2〜図4に示すように、シートバックフレーム10は、シートバック2の左右両側部の骨格を成す二股状に開け広げられた形の各サイドフレーム11と、シートバック2の上側部の骨格を成すアッパフレーム12と、アッパフレーム12上の左右2箇所の位置に装着されて結合された2本の筒状のサポート部材13と、各サイドフレーム11の下端部に装着されて結合された高張力鋼板から成る各パネル部材14と、から構成されている。ここで、アッパフレーム12が本発明の「構成フレーム」に相当し、各サポート部材13が本発明の「支持具」に相当する。
上記シートバックフレーム10は、次のように成形されている。先ず、図7に示すように、1本のアルミニウム合金の押出し材をプレス加工により逆U字状の形に折り曲げて、上述した各サイドフレーム11とアッパフレーム12とをひと続きに備える形に形成する。このとき、上記の折り曲げに先立って、もしくは折り曲げの後に、各サイドフレーム11に対して、これらを後に二股状の形に開け広げられるようにするための切込み11Cを入れておく。更に、アッパフレーム12上の上述した各サポート部材13(図9参照)が装着される左右2箇所の位置にも、各サポート部材13を上方側から差し込んで装着できるようにするための差込孔12Aを形成しておく。具体的には、各差込孔12Aは、アッパフレーム12上の左右2箇所の位置に、それぞれ、シート幅方向にスリットSを切り込み、これらスリットSをシート前後方向に空け広げることで各サポート部材13をシート上方側から差し込み可能な丸孔状に空け広げられた形に形成されている。この段階(シートバックフレーム10がシート前後方向に曲げられていない平面形状の段階)で上記の切込み11CやスリットSを入れておくことにより、各切込み11Cを入れる作業が真っ直ぐに入れるだけの簡単な加工で済むと共に、各スリットSを入れる際にシートバックフレーム10を切削加工用の治具にセットしやすくなるため、加工が容易となる。各切込み11Cは、各サイドフレーム11の上端側の近傍箇所から下端側に貫通する位置まで高さ方向に真っ直ぐに入れられている。なお、上述した各切込み11CやスリットSは、シートバックフレーム10の後述する曲げ加工や開き加工が全て終わった後に入れるようにしても構わない。
次に、図8に示すように、各サイドフレーム11の中間部を、それぞれ、プレス加工によりシート後方側に弓状に湾曲させた形に曲げ加工する。具体的には、各サイドフレーム11の上記各切込み11Cによって前後に並ぶように切り分けられた各枝フレーム11A,11Bを、それぞれひとまとめに一緒にシート後方側に押し曲げるようにプレス加工する。これにより、各枝フレーム11A,11Bがこれらの並び方向となるシート前後方向に同じ形となるように湾曲した形に押し曲げられて、これらの中間部に互いの曲げられた形状同士が合致する形の曲げ部11A2,11B2が形成される。
次に、図9に示すように、上記折り曲げられた各サイドフレーム11の前側の各枝フレーム11Bを、後側の各枝フレーム11Aに対して、シート前方側に開け広げるように曲げ加工する。具体的には、前側の各枝フレーム11Bを、後側の各枝フレーム11Aに対して、これらの枝分かれの始点となる上端を支点にシート前方側に開け広げるように曲げ加工する。これにより、各サイドフレーム11が、シート前後方向に二股状に開け広げられた形に形成されて、それらの上端側から下端側に向かってその形状の前後幅が漸次広がっていく形に形成された状態となる。
次に、上記各サイドフレーム11の開け広げられた各端部に、高張力鋼板から成る各パネル部材14をそれぞれシート下方側から差し込んで一体的に組み付ける。更に、先程の工程でアッパフレーム12上に形成された各差込孔12A内に各サポート部材13をそれぞれシート上方側から差し込んで、これら差し込まれたアッパフレーム12の各部分をシート前後側からそれぞれ押し挟むようにかしめ処理して、各部分を各サポート部材13に一体的に圧着させて結合させた状態にする。以上の工程により、図2〜図4に示すように、シートバックフレーム10が、両サイドフレーム11が二股状に開け広げられて軽量化される一方で、各パネル部材14の差し込みにより構造強度が高められた状態として形成されている。
続いて、上述したシートバックフレーム10の各部の構成について、更に詳しく説明する。シートバックフレーム10は、図5に示すように、そのアルミニウム合金の押出し成形によって形成される横断面形状が、互いにシート前後方向に並んで設けられた閉じ断面形状の第1の横断面部10A及び第2の横断面部10Bと、これらを繋ぐ繋ぎ面部10Cと、を有する形に形成されている。ここで、第1の横断面部10Aが本発明の「第1の横断面部」に相当し、第2の横断面部10Bが本発明の「第2の横断面部」に相当し、繋ぎ面部10Cが本発明の「第3の横断面部」に相当する。上記シートバックフレーム10は、図7で前述したように、これが逆U字状の形に曲げられるときには、その全周において、第2の横断面部10Bが前側に位置し、第1の横断面部10Aがその後ろ側に位置する関係が保たれるように、これらの並び方向に対して垂直な方向に曲げられて形成されている。これにより、シートバックフレーム10が逆U字状の形に曲げられた状態において、各サイドフレーム11の横断面形状と、アッパフレーム12の横断面形状とが、それぞれシートバックフレーム10の内周側から外周側に向かって同じ形で延びる形状とされている。
図5に示すように、上述した第1の横断面部10Aは、シート前方側に面を向けた前面部10A1を一辺とする矩形の閉じた断面形状の閉じ断面部10A2を有する形に形成されている。第2の横断面部10Bは、シート後方側に面を向けた後面部10B1を一辺とする矩形の閉じた断面形状の閉じ断面部10B2を有する形に形成されている。繋ぎ面部10Cは、上述した第1の横断面部10Aのシートバックフレーム10の外周側(図5では上側)の縁部と、第2の横断面部10Bのシートバックフレーム10の外周側(図5では上側)の縁部と、を繋ぐ形に形成されている。上述した第1の横断面部10Aの前面部10A1と、第2の横断面部10Bの後面部10B1と、の間には、隙間となる開口部10Dが形成されている。この開口部10Dは、シートバックフレーム10の内周側(図5では下側)に開口する形に形成されている。上記第1の横断面部10Aの前面部10A1と第2の横断面部10Bの後面部10B1とは、互いにシート前後方向に離間して向かい合った状態とされている。
また、上述した第1の横断面部10Aには、その前面部10A1と繋ぎ面部10Cとの繋ぎ部分をシート後方側に凹ませる形でポケット状に空間が空けられたレール溝10A3が形成されている。このレール溝10A3は、前方側に開口を持つ矩形の囲い状の開断面形状に形成されている。また、第2の横断面部10Bにも、その後面部10B1と繋ぎ面部10Cとの繋ぎ部分をシート前方側に凹ませる形でポケット状に空間が空けられたレール溝10B3が形成されている。このレール溝10B3は、上記のレール溝10A3とは前後対称にシート後方側に開口を持つ矩形の囲い状の開断面形状に形成されている。これらレール溝10A3,10B3は、上述した開口部10Dを通じて互いに前後に連通した形状となっており、すなわち、開口部10Dを通じてシートバックフレーム10の内周側(図5では下側)に開口した形状となっており、繋ぎ面部10Cによってシートバックフレーム10の外周側(図5では上側)から覆われた構成となっている。
上述した横断面形状をもつシートバックフレーム10に対し、図7で前述した各サイドフレーム11に入れられる切込み11Cは、上述した第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとの間の繋ぎ面部10C(図5参照)に沿って入れられている(図6参照)。したがって、図6及び図9に示されるように、各サイドフレーム11を上記の各切込み11Cから二股状に開け広げることで、第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとの間の開口部10Dを広げる形で、これらを互いに前後に離間させた形に開け広げることができる。これにより、開け広げられた各枝フレーム11A,11Bが、それぞれに閉じ断面形状を持つ高い構造強度を備えた状態として形成されている。
そして、図9に示すように、上記二股状に開け広げられた各サイドフレーム11の下端側の開口端部には、それぞれ、高張力鋼板から成るパネル部材14が下方側から差し込まれて取り付けられる。ここで、上述した高張力鋼板から成る各パネル部材14は、上述したアルミニウム合金の押出し材より成る各サイドフレーム11よりも比強度が高い構成となっている。これらパネル部材14は、上述した二股状に開け広げられた各サイドフレーム11の下端側の開口端部に差し込まれることにより、各枝フレーム11A,11Bの端部間に楔状に嵌め込まれて、これらの間を繋ぐ橋渡し材となって各サイドフレーム11の開口端部の構造強度を高める補強板として機能するものとなっている。
また、上記各サイドフレーム11に取り付けられた各パネル部材14は、図1に示すように、前述したシートバックフレーム10の左右両サイドの下端部を図示しないリクライニング装置を介してシートクッション3の左右両サイドの後端部に連結する際の、リクライニング装置との結合部として設定されている。具体的には、各パネル部材14は、図2に示すように、各サイドフレーム11の下端部に取り付けられた状態では、シート幅方向に面を向けた状態とされており、その板面上には、上記図示しないリクライニング装置との結合用の複数の嵌合孔14A1と、リクライニング装置のロック解除操作を行うための操作軸(図示省略)を通すための軸孔14A2とが、それぞれ軸方向に貫通して空けられている。
図9に示すように、上記各パネル部材14の前後側の各縁部には、形状をシートバックフレーム10の内周側に向かって内向きに筒状にロールさせた筒状突起14B1,14B2が形成されている。これら筒状突起14B1,14B2は、各パネル部材14を各サイドフレーム11の各枝フレーム11A,11Bの間に差し込む際に、各枝フレーム11A,11Bに形成された前述したレール溝11A1,11B1(10A3,10B3)内にそれぞれ押し込まれて挿通されるようになっている。具体的には、各筒状突起14B1,14B2は、それらのロールされた筒形状が、これらの差し込まれる各レール溝11A1,11B1(10A3,10B3)の内径よりもひとまわり大きな外径となる筒形状に形成されており、各レール溝11A1,11B1(10A3,10B3)内に圧入されることで、これらに対して強嵌合されて、差し込み方向に対して垂直な方向へは抜け外れないように強固に係合されるようになっている(図6参照)。
ここで、図9に示すように、上述した各サイドフレーム11の各枝フレーム11A,11Bは、各パネル部材14の前後幅よりも広くなるように二股状に開け広げられた状態に形成されている。これにより、各パネル部材14の差し込み時に、各パネル部材14の各筒状突起14B1,14B2を各枝フレーム11A,11Bのレール溝11A1,11B1内にそれぞれ入れ込んで係合させた状態にして差し込むことで、これらの係合構造と各パネル部材14の比強度の高い剛性とによって、各枝フレーム11A,11Bが、各パネル部材14の差し込みの進行に伴って、これらの前後幅に合わせた形に弾性的に押し窄められるようにそれらの開き幅が変えられるようになっている。したがって、上記各枝フレーム11A,11Bの弾性変形により、各サイドフレーム11に各パネル部材14が差し込まれて装着された状態では、各枝フレーム11A,11Bがそれぞれ復元方向に戻ろうとする開き方向の弾発力が各パネル部材14に掛けられるため、これらの弾発力が各パネル部材14と各サイドフレーム11との結合力を更に高めるように作用して、両者がより強固に一体的に結合された状態として保持されるようになっている。
ここで、上述した各サイドフレーム11の各枝フレーム11A,11Bは、上述したようにそれらの中間部がそれぞれ曲げ部11A2,11B2としてシート後方側に弓状に曲げられた形に形成されているが、各パネル部材14が差し込まれる各曲げ部11A2,11B2よりも下方側の領域部は、下方側に向かって真っ直ぐストレートに延びる形状に形成されている。これにより、各枝フレーム11A,11Bに形成された各レール溝11A1,11B1も同様に、各曲げ部11A2,11B2よりも下方側の領域部は、それぞれ下方側に向かって真っ直ぐストレートに延びる形状に形成されている。一方、各パネル部材14の両側部に形成された各筒状突起14B1,14B2も、互いにほぼ平行な状態に高さ方向に真っ直ぐに延びるストレートな筒型形状に形成されている。これにより、各パネル部材14の各サイドフレーム11への差し込みがつっかえることなくスムーズに行えるようになっている。
また、図6に良く示されるように、上記各パネル部材14の各筒状突起14B1,14B2が形成された各縁部の脇には、各パネル部材14の中央部を両縁部よりも外側(シートバックフレーム10の外周側:図6における下側)に張り出させる形の段差部14C1,14C2が形成されている。これら段差部14C1,14C2の構成により、各パネル部材14は、それらの両縁側の各筒状突起14B1,14B2が各レール溝11A1,11B1内に挿通されて各サイドフレーム11に取り付けられた状態では、それらの中央の板部が、各サイドフレーム11の各枝フレーム11A,11Bの外側面と面一状の状態を成す段差の少ない形に組み付けられるようになっている。また、図9に示すように、上記各パネル部材14の上縁部には、シートバックフレーム10の内周側に向かって屈曲するフランジ14Dが、プレス加工により折り曲げられて形成されている。これらフランジ14Dにより、各パネル部材14の曲げや捩りに対する構造強度が高められていると共に、各パネル部材14の上縁部が内側に丸められた形となって、外部に角張った形状が露呈しない形状とされている。
ここで、上記各パネル部材14のフランジ14Dが形成された各上縁部は、それぞれ、前斜め上がり方向に真っ直ぐに傾斜した形状に形成されている。これにより、各パネル部材14の装着によって高められる各サイドフレーム11の高さ方向の構造強度(断面係数)の変化の割合が、上記領域において緩やかとなるように調節されている。詳しくは、各パネル部材14の上縁部の傾斜形状は、前上がり形状となっているため、シートバックフレーム10に前方側からかけられる荷重が、各パネル部材14によってより高い位置で受け止められるようになっており、反対側に傾斜した形状(後ろ上がり形状)となっているものと比べて、シートバックフレーム10にかけられる前方側からの荷重をより強く受け止められるようになっている。
したがって、車両の後部衝突が発生するなどして、シートバックフレーム10に、着座乗員の背部が強く圧し掛かる大荷重がかけられた際には、上記前側に高い位置まで張り出す形の各パネル部材14によって上記の大荷重を強く受け止められると共に、各パネル部材14の上縁部の形状が傾斜状となっていることで、シートバックフレーム10の構造強度が急激的に変化することがないように調節されており、シートバックフレーム10に局所的な応力集中が発生することなく、シートバックフレーム10全体で上記の大荷重を高さ方向に広く分散させて受け止められるようになっている。
続いて、図9〜図10を用いて、前述した各サポート部材13をアッパフレーム12に形成された各差込孔12A内に差し込んで装着する構造について説明する。各サポート部材13は、上述したヘッドレストステー4A(図2参照)を上方側から差し込み可能な円筒形状に形成されており、それらの上端部には、台座状に張り出す形の頭部が形成された構成となっている。また、各サポート部材13の外周部には、全周に亘って環状に凹んだ形の窪み13Aが形成されている。
一方、アッパフレーム12に形成された各差込孔12Aは、図7で前述したように、アッパフレーム12の左右2箇所にシート幅方向にスリットSが入れられて、これらスリットSを上記各サポート部材13を上方側から差し込み可能な丸孔状の形に開け広げることにより形成されている。詳しくは、上記各スリットSは、図10に示すように、上述した第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとを繋ぐ繋ぎ面部10Cの中央部に入れられており、第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとの間の開口部10Dの前後幅よりも狭い前後幅で切り込まれて形成されている。そして、上記切り込まれた各スリットSを、第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bと共に各サポート部材13を差込可能な丸孔状の形に開け広げることにより、各差込孔12Aが形成されている。
ここで、上記各差込孔12Aは、上述したように、先に入れられる各スリットSが、開口部10Dの前後幅よりも狭い前後幅で切り込まれているために、その丸孔状の形に開け広げられた状態における前後幅が、第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとの間の開口部10Dの前後幅よりも狭く形成されるようになっている。これにより、各差込孔12Aの周面部には、上記第1の横断面部10A(の前面部10A1)よりも前方側に張り出す張出片12Bと、第2の横断面部10B(の後面部10B1)よりも後方側に張り出す張出片12Bと、がそれぞれ形成された構成となっている。
上記各差込孔12Aは、上述したように丸孔状の形に開け広げられた状態では、各サポート部材13を上方側から差し込むことのできる大きさに形成されている。次に、上記各サポート部材13を各差込孔12A内に差し込んで装着する手順について説明する。先ず、各サポート部材13を上述した各差込孔12A内にシート上方側から差し込んで、各サポート部材13の外周部に形成された各窪み13Aを、各差込孔12Aの張出片12Bとシート高さ方向に位置合わせした状態にする。次に、各差込孔12Aの形状をシート前後方向に押し狭めるように第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとを互いに接近させる方向に押し曲げるように加工する。これにより、各張出片12Bが、各サポート部材13の窪み13A内に押し込まれて圧着されると共に、第1の横断面部10Aの前面部10A1と第2の横断面部10Bの後面部10B1とが、それぞれ、各サポート部材13の前後側の各外周面に面当接するように押し当てられて圧着された状態となる。これにより、各サポート部材13が、アッパフレーム12の第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとにそれぞれシート前後方向に当接した状態として、アッパフレーム12に一体的に結合された状態となる。
また、上記第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとを各サポート部材13の外周面に押し付ける加工の際に、これらを各サポート部材13の外周面の形に沿うように湾曲させた形に押し曲げたり、或いはシート幅方向の斜めの角度から押し付け力をかけたりすることにより、第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとを各サポート部材13の外周面にシート幅方向にも押し当てた状態とすることができ、各サポート部材13をアッパフレーム12に対してシート幅方向にも強く圧着させて一体的に結合させた状態とすることができる。
なお、上記の結合構造に代えて、次のような結合構造を採用してもよい。すなわち、各差込孔12Aを、それらの内周面の前後幅が、第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとの間の開口部10Dの前後幅と同じとなるように形成し、かつ、これらの前後幅が各サポート部材13の外周面の前後幅と同じとなるように形成する。これにより、各サポート部材13を各差込孔12A内に差し込むのみで、各サポート部材13を第1の横断面部10Aの前面部10A1と第2の横断面部10Bの後面部10B1とにそれぞれ前後側の各外周面を面当接させた状態に組み付けることができる。そして、この組み付けの後、各サポート部材13とアッパフレーム12との当接部を溶接することにより、各サポート部材13をアッパフレーム12に対して強固に一体的に結合することができる。
詳しくは、上記各差込孔12Aを形成する時には、アッパフレーム12上の2箇所の位置に、上述した第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとの間の開口部10Dの前後幅と同じ前後幅をもつスリットSを入れて、これらスリットSを第1の横断面部10Aや第2の横断面部10Bと共に各サポート部材13を差し込める丸孔状の形(各サポート部材13の外周面と前後幅が同じとなる形)に開け広げるようにする。これにより、第1の横断面部10Aや第2の横断面部10Bが、各サポート部材13が差し込まれる部分において部分的に前後幅が開け広げられた形となり、差し込まれた各サポート部材13を、第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとによってシート幅方向にも挟み込んで強固に支持した状態とすることができる。
また、この場合において、各サポート部材13とアッパフレーム12との結合を、次のように行うようにしてもよい。すなわち、各サポート部材13の外周部に半径方向に弾性的に収縮変形可能な爪(図示省略)を形成し、各サポート部材13を各差込孔12A内に差し込むことにより、各爪が各差込孔12Aの内周面との干渉により弾性的に押し窄められた後、アッパフレーム12の第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとの間を下方側へ抜けることで復元変形して第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとの各底部に掛着して、アッパフレーム12に対して上下方向に抜けないように保持されて一体的に装着されるようにしてもよい。なお、この場合の各サポート部材13の差込方向の移動規制は、各サポート部材13の頭部の形状によって行うようにしてもよいし、別途、外周部に突起を形成して行うようにしてもよい。
このように、本実施例のシートバックフレーム10の構成によれば、アッパフレーム12は、互いにシート前後方向に向かい合うように面を向けた第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bと、これらを繋ぐ繋ぎ面部10Cと、を有する断面形状とされている。各サポート部材13は、繋ぎ面部10Cに高さ方向に貫通して空けられた各差込孔12A内に高さ方向に差し込まれて、第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとにそれぞれシート前後方向に当接した状態としてアッパフレーム12に一体的に結合されている。このように、各サポート部材13をアッパフレーム12に空けた各差込孔12A内に差し込んで、第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとに当接させた状態にしてアッパフレーム12に結合することにより、各サポート部材13をアッパフレーム12に対してシート前後方向に強く支持させた状態に組み付けることができる。
また、各サポート部材13のアッパフレーム12への結合が、第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとを各サポート部材13に押し挟むように圧着させることによって行われている。このように、アッパフレーム12の第1の横断面部10Aと第2の横断面部10Bとを各サポート部材13に押し挟んで圧着させる構成を採ることにより、各サポート部材13をアッパフレーム12に溶接や締結を用いることなくに簡便に一体的に結合させることができる。
続いて、実施例2のシートバックフレーム10の構成について、図11を用いて説明する。なお、本実施例では、実施例1で説明したシートバックフレーム10と実質的な構成及び作用が同じとなる箇所については同一の符号を付して説明を省略し、構成の異なる箇所について詳しく説明することとする。本実施例では、シートバックフレーム10の各サイドフレーム11が、左右一対の縦長板状の鋼板材により形成されており、これらサイドフレーム11の上端部間に実施例1で示したアッパフレーム12と同じ構成のアッパフレーム12が架け渡されて結合された構成となっている。ここで、アッパフレーム12が本発明の「構成フレーム」に相当する。
上述した各サイドフレーム11は、それぞれ、プレス加工により、一枚の鋼板材を縦長状の形にカットした後、その前側と後側の各縁部をそれぞれシート内側にフランジ状に折り曲げることにより形成されている。これにより、各サイドフレーム11は、それらのプレス曲げされた各縁部の構成により、それ自体の曲げや捩りに対する構造強度が高められていると共に、外部(前後側やシート外側)に対して角張らない形に形成された状態とされている。これらサイドフレーム11は、シートバック2の左右両サイド部の骨格を成すものとして、シートバック2の各サイド位置に、互いの板面がシート幅方向に対向するように配置された状態とされている。
アッパフレーム12は、プレス加工により、一本のストレートな角鋼管材を所定の長さにカットした後、これを逆U字状の形に折り曲げることにより形成されている。上記アッパフレーム12は、その逆U字形状に折り曲げられた各脚部が、上述した各サイドフレーム11の上端部にそれぞれあてがわれて溶接されることにより、これらサイドフレーム11の上端部に強固に一体的に結合された状態とされている。ここで、各サイドフレーム11の上端部は、上記アッパフレーム12の各脚部の外周面と形状が合致するように横断面「コ」字状に折り曲げられた形に形成されている。そして、アッパフレーム12の各脚部が、上記各サイドフレーム11の「コ」字状に折り曲げられた各上端部に対して、広く面当接した状態にあてがわれて、広い範囲に亘って溶接されて強固に一体的に結合された状態とされている。
以上、本発明の実施形態を2つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施することができるものである。例えば、上記各実施例では、本発明の「ヘッドレストステーを支える支持具が結合される構成フレーム」として、シートバック2の上側部の骨格を成すアッパフレーム12を例示したが、この「構成フレーム」は、シートバックのアッパフレームよりも下方側に配されるフレームであってもよい。また、上記「構成フレーム」として、アルミニウム合金の押出し材より成るものを例示したが、「構成フレーム」は、鋼材等の他の金属材料によって形成されたものであってもよい。
また、上記各実施例では、本発明の「支持具」に相当するものとして、円筒形状のサポート部材13を例示したが、「支持具」は、角筒形状に形成されたものであってもよい。また、上記各実施例では、本発明の「支持具」に相当するものとして、「ヘッドレストステー」を差し込みにより装着することのできる構成を備えたサポート部材13を例示したが、「サポート部材」を差し込んで装着できるようにする構成を備えた「ホルダー」を本発明の「支持具」としてもよい。すなわち、上記「ホルダー」を「構成フレーム」に装着して固定し、この固定した「ホルダー」に対して「サポート部材」を差し込んで装着する構成となっていてもよい。
また、本発明の「第1の横断面部」や「第2の横断面部」は、それぞれ、開断面形状となっているものであってもよい。また、中実断面形状となっているものであってもよい。また、「第3の横断面部」は、上記「第1の横断面部」や「第2の横断面部」を繋げる面部となっていなくてもよく、単に「第1の横断面部」と「第2の横断面部」との間に張り出す面部として構成されたものもその対象に含まれる。また、「支持具」の「差込孔」に対する高さ方向の差込位置を規制する構造として、「支持具」の外周面の一部に突起を設けて、「構成フレーム」への高さ方向の差込位置を規制する構成を設けてもよい。
1 車両用シート
2 シートバック
3 シートクッション
4 ヘッドレスト
4A ヘッドレストステー
10 シートバックフレーム
10A 第1の横断面部(第1の横断面部)
10A1 前面部
10A2 閉じ断面部
10A3 レール溝
10B 第2の横断面部(第2の横断面部)
10B1 後面部
10B2 閉じ断面部
10B3 レール溝
10C 繋ぎ面部(第3の横断面部)
10D 開口部
11 サイドフレーム
11A 枝フレーム
11A1 レール溝
11A2 曲げ部
11B 枝フレーム
11B1 レール溝
11B2 曲げ部
11C 切込み
12 アッパフレーム(構成フレーム)
12A 差込孔
12B 張出片
13 サポート部材(支持具)
13A 窪み
14 パネル部材
14A1 嵌合孔
14A2 軸孔
14B1 筒状突起
14B2 筒状突起
14C1 段差部
14C2 段差部
14D フランジ
S スリット

Claims (3)

  1. シートバックの骨格を成すシート幅方向に延びる構成フレームと、該構成フレームに結合されてヘッドレストステーを支える支持具と、を一体的に有するシートバックフレームであって、
    前記構成フレームは、
    互いにシート前後方向に向かい合うように面を向けた第1及び第2の横断面部と、
    前記第1の横断面部と前記第2の横断面部との間に張り出す第3の横断面部と、を有する断面形状とされており、
    前記支持具は、前記第3の横断面部に高さ方向に貫通して空けられた差込孔内に高さ方向に差し込まれて、前記第1の横断面部と前記第2の横断面部とにそれぞれシート前後方向に当接した状態として前記構成フレームに一体的に結合されていることを特徴とするシートバックフレーム。
  2. 請求項1に記載のシートバックフレームであって、
    前記支持具の前記構成フレームへの結合が、前記第1の横断面部と前記第2の横断面部とを前記支持具に押し挟むように圧着させることによって行われていることを特徴とするシートバックフレーム。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のシートバックフレームであって、
    前記第1の横断面部と前記第2の横断面部との間の隙間寸法が、前記支持具の前後幅よりも狭くなっており、前記差込孔は、前記第3の横断面部に前記構成フレームの延びるシート幅方向に切り込まれるスリットが形成されて該スリットを前記第1の横断面部と前記第2の横断面部と共に前記支持具を差し込める形に開け広げることにより形成されていることを特徴とするシートバックフレーム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017210082A (ja) * 2016-05-25 2017-11-30 トヨタ紡織株式会社 乗物用シートのバックフレーム構造

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