JP2014024058A - 排ガス浄化用触媒担体、それを用いた排ガス浄化用触媒、及び排ガス浄化用触媒担体の製造方法 - Google Patents

排ガス浄化用触媒担体、それを用いた排ガス浄化用触媒、及び排ガス浄化用触媒担体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温に曝された場合でも優れた酸素吸蔵能(OSC能)を示す触媒を得ることが可能な排ガス浄化用触媒担体を提供すること。
【解決手段】アルミナを5〜30質量%、セリアを25〜39質量%、ジルコニアを33〜51質量%含有する複合金属酸化物多孔体からなり、
空気中、1100℃で5時間焼成した後の複合金属酸化物多孔体が、球面収差補正装置付き走査透過型電子顕微鏡を用いて行なったエネルギー分散型X線分析により求めた、100個の微小領域(1個の微小領域は縦300nm×横330nm)についてのアルミニウム元素、セリウム元素及びジルコニウム元素の含有率(単位:at%)の標準偏差が全て18.5以下であるという条件を満たすものであることを特徴とする排ガス浄化用触媒担体。
【選択図】なし

Description

本発明は、排ガス浄化用触媒担体、それを用いた排ガス浄化用触媒、及び排ガス浄化用触媒担体の製造方法に関する。
排ガス浄化用触媒としては、白金、ロジウム及びパラジウム等の貴金属をアルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリア等からなる金属酸化物担体に担持した三元触媒が広く知られている。また、触媒活性の向上を目的として、複数種の金属酸化物担体を混合又は積層してそれぞれの金属酸化物担体の特性を利用することも行われている。例えば、セリアは、排ガス中の酸素濃度が高い時には酸素を吸蔵し、排ガス中の酸素濃度が低い時には酸素を放出する酸素吸蔵能(OSC能)を有するものであるが、耐熱性が比較的低いものである。従って、セリアとジルコニア又はアルミナとを固溶体化又は混合して用いて、触媒の耐熱性を改良することが行われている。
特開2001−170500号公報(特許文献1)には、アルミナ系メソ多孔体の粉末とセリア−ジルコニア固溶体とを混合して調製した担体、及びこの担体に貴金属を担持せしめた排ガス浄化用触媒が開示されている。また、特開2010−29844号公報(特許文献2)には、ベーマイトやアルミナ粉末とYやCeなどで安定化されたジルコニア粉末とを混合して調製した無機酸化物からなる担体、及びこの担体に貴金属などの活性金属を担持せしめた炭化水素の接触部分酸化用触媒が開示されている。さらに、特開2006−298759号公報(特許文献3)には、硝酸アルミニウムや活性アルミナ粉末などのアルミナ化合物と、硝酸セリウムと、硝酸ジルコニウムとを混合して調製した、アルミナ、セリア及びジルコニアを含有する複合酸化物、並びにこの複合酸化物に貴金属を含浸させた排ガス浄化用触媒が開示されている。また、特開2002−160922号公報(特許文献4)には、アルミニウム化合物とセリウム化合物とジルコニウム化合物を用いて共沈法により調製した、アルミナとセリア−ジルコニア固溶体とを含有する複合酸化物、及びこの複合酸化物に貴金属を担持せしめた排ガス浄化用触媒が開示されている。
しかしながら、粉末混合法(特許文献1〜3)や共沈法(特許文献3〜4)により調製した担体を備える触媒は、必ずしも耐熱性に優れているとは言えず、高温に曝されると、OSC能が低下する場合があった。
特開2001−170500号公報 特開2010−29844号公報 特開2006−298759号公報 特開2002−160922号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高温に曝された場合でも優れた酸素吸蔵能(OSC能)を示す触媒を得ることが可能な排ガス浄化用触媒担体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、所定量のアルミナとセリアとジルコニアとを含有し、高温(例えば、1100℃)での熱処理後においてアルミナ、セリア及びジルコニアが相互に微細且つ均一に分散した状態で配置されている複合金属酸化物多孔体を担体として用いることによって、この担体に貴金属を担持せしめた触媒が、高温に長時間曝された後(例えば、1100℃で5時間の耐久試験後)においても優れたOSC能を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の排ガス浄化用触媒担体は、アルミナを5〜30質量%、セリアを25〜39質量%、ジルコニアを33〜51質量%含有する複合金属酸化物多孔体からなり、
空気中、1100℃で5時間焼成した後の複合金属酸化物多孔体が、球面収差補正装置付き走査透過型電子顕微鏡を用いて行なったエネルギー分散型X線分析により求めた、100個の微小領域(1個の微小領域は縦300nm×横330nm)についてのアルミニウム元素、セリウム元素及びジルコニウム元素の含有率(単位:at%)の標準偏差が全て18.5以下であるという条件を満たすものであることを特徴とするものである。
本発明の排ガス浄化用触媒担体において、空気中、1100℃で5時間焼成した後の複合金属酸化物多孔体は、窒素吸着法により測定した1nm〜0.1μmの範囲内の細孔直径を有する細孔の合計細孔容量が0.1cm/g以上であり、水銀圧入法により測定した0.1μm〜10μmの範囲内の細孔直径を有する細孔の合計細孔容量が0.1cm/g以上であるという条件を満たすものであることが好ましい。
また、本発明の排ガス浄化用触媒担体において、空気中、1100℃で5時間焼成した後の複合金属酸化物多孔体は、窒素吸着法により測定したBET比表面積が2m/g以上であるという条件を満たすものであることが好ましい。
さらに、本発明の排ガス浄化用触媒は、このような本発明の排ガス浄化用触媒担体と該触媒担体に担持されている貴金属とを備えるものであることを特徴とするものであり、前記貴金属としてはパラジウムが好ましい。
また、本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法は、アルミナ、セリア及びジルコニアを含有する複合金属酸化物多孔体からなる排ガス浄化用触媒担体の製造方法であって、
複合金属酸化物多孔体中のアルミナの含有率が5〜30質量%、セリアの含有率が25〜39質量%、ジルコニアの含有率が33〜51質量%となるように、アルミニウムイオンとセリウムイオンとジルコニウムイオンとを含有する第一の原料溶液を調製する工程と、
重量平均分子量3000〜15000の高分子分散剤を含有する第二の原料溶液を調製する工程と、
第一の原料溶液と第二の原料溶液とを1000〜200000sec−1の剪断速度となっている領域に独立に直接導入して均質混合して金属化合物のコロイド溶液を得る工程と、
前記コロイド溶液のpHを3〜5に調整する工程と、
必要に応じて、前記コロイド溶液に有機アミンを添加してゲル化処理を施し、金属化合物の懸濁液を得る工程と、
pH調整後のコロイド溶液又は前記金属化合物の懸濁液を脱脂し、酸化雰囲気下、700〜1050℃で熱処理して前記複合金属酸化物多孔体を得る工程と
を含むことを特徴とする方法である。
本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法においては、第一及び第二の原料溶液のうちの少なくとも一方が、分子量40〜200の低分子分散剤をさらに含有するものであることが好ましく、前記低分子分散剤は第一の原料溶液に含まれていることが特に好ましい。
なお、本発明の製造方法によって、高温での熱処理(空気中、1100℃、5時間)後においてもアルミナ、セリア及びジルコニアが高い相互微分散度(すなわち、相互に微細且つ均一に分散した状態)で配置された複合金属酸化物多孔体が得られる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、金属化合物結晶子等のナノ粒子は水等の水性溶液中では凝集しやすく、通常、高分子分散剤を添加してナノ粒子に吸着させて凝集を抑制している。本発明に用いられる高分子分散剤(ポリアルキレンイミン、ポリエチレングリコール及びポリアクリル酸等)もナノ粒子に吸着して凝集を抑制するものと推察されるが、高分子分散剤を添加して通常の攪拌を行なっただけでは粒子径の大きな凝集体が形成する傾向にある。これは、通常、高分子分散剤が一次粒子よりも大きく、架橋構造を形成し易いため、高分子分散剤の架橋反応に伴って高分子分散剤が吸着したナノ粒子が凝集するため、また、高分子分散剤が複数の金属化合物結晶子に同時に吸着するためであると推察される。
一方、本発明の製造方法においては、前記高分子分散剤の添加に加えて反応場に所定の剪断力を付与しているため、金属化合物結晶子の凝集構造が破壊されるのと同時に高分子分散剤がナノ粒子に吸着するとともに、コロイド溶液のpHを所定の条件に調整しているため、ナノ粒子は、粒子径が比較的小さい凝集体の状態でコロイド溶液中に存在するものと推察される。また、高分子分散剤はコロイド溶液中で安定に存在するため、粒子径が大きな凝集体が形成されにくく、さらに、本発明の製造方法においては、このようなコロイド溶液が液中における分散状態を維持し得るpH条件にあるため、ナノ粒子は、粒子径が比較的小さい凝集体の状態でコロイド溶液中で安定に分散しているものと推察される。そして、本発明の製造方法においては、このようなナノ粒子が均一に分散したコロイド溶液を脱脂し、特定の温度条件で熱処理しているため、アルミナ、セリア及びジルコニアが高い相互微分散度で配置された複合金属酸化物多孔体が得られると推察される。
また、前記コロイド溶液に有機アミンを添加してゲル化処理を行なった場合に、高温での熱処理後においてもアルミナ、セリア及びジルコニアが高い相互微分散度で配置された複合金属酸化物多孔体が得られる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、コロイド溶液にアンモニア水等の塩基性溶液を添加してpHを7以上に調整すると、ポリアルキレンイミン等の高分子分散剤はコロイド粒子から外れて凝集すると推察される。このとき、高分子分散剤を失ったコロイド粒子も凝集するため、コロイド溶液は懸濁液になると推察される。特に、セリア・ジルコニアコロイド前駆体に比べて結晶性が低いと考えられるアルミナは凝集が顕著であると推察される。そして、このような懸濁液を用いて得られる複合金属酸化物多孔体において、アルミナ粒子は凝集していると推察される。このような複合金属酸化物多孔体に高温での熱処理を施した場合、アルミナの粒成長が促進され、また、アルミナによる拡散障壁機能が十分に作用せず、セリア及びジルコニアも粒成長し、アルミナ、セリア及びジルコニアの相互微分散度が低下すると推察される。これに対して、本発明の製造方法においては、コロイド溶液に有機アミンを添加するため、ポリアルキレンイミン等の高分子分散剤がコロイド粒子から外れた場合でも、有機アミンが高分子分散剤と類似の役割を果たし、アルミナ、セリア及びジルコニアコロイドの過剰な凝集が抑制されると推察される。その結果、得られる複合金属酸化物多孔体において、アルミナ、セリア及びジルコニアは高い相互微分散度で配置されていると推察される。このような複合金属酸化物多孔体は、高温での熱処理を施しても、高度に微分散されたアルミナの拡散障壁機能によりセリア・ジルコニアの粒成長が十分に抑制されるため、耐熱性が高く、高温での熱処理後においてもアルミナ、セリア及びジルコニアの高い相互微分散度が維持されると推察される。
さらに、本発明の製造方法によって、細孔直径が1nm〜0.1μmの細孔(メソ細孔)と細孔直径が0.1μm〜10μmの細孔(マクロ細孔)とを有し、高温での熱処理後においても、これらの細孔がそれぞれ比較的大きな合計細孔容量を有し、さらに比較的大きな比表面積を有する複合金属酸化物多孔体が得られる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の製造方法においては、ナノ粒子が、粒子径が比較的小さい凝集体の状態で均一に分散したコロイド溶液を脱脂し、特定の温度条件で熱処理することによって、ナノ粒子が凝集した複合金属酸化物多孔体が形成され、ナノ粒子の間の空隙が前記メソ細孔を形成していると推察される。また、コロイド溶液を脱脂する際に高分子分散剤が除去されることによって、複合金属酸化物多孔体にマクロ細孔が形成されると推察される。そして、この複合金属酸化物多孔体には、耐熱性に優れたアルミナが所定量含まれており、このアルミナの結晶性が高く、二次凝集構造が安定しているため、高温での熱処理を施しても、前記マクロ細孔が破壊されにくく、また、高度に微分散されたアルミナの拡散障壁機能によりセリア及びジルコニアの粒成長が抑制されるため、比較的大きな合計細孔容量や比表面積が得られると推察される。
また、このような複合金属酸化物多孔体を担体として備える排ガス浄化用触媒が、高温に曝された後においても優れたOSC能を示す理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明にかかる複合金属酸化物多孔体においては、高温での熱処理後においてもアルミナ、セリア及びジルコニアの高い相互微分散度が確保されている。これは、高温での熱処理時において、高い相互微分散度で配置された粒子の一方が他方の拡散障壁として有効に機能していることを意味しており、互いの粒子の粒成長が効果的に抑制されるためと推察される。このため、本発明にかかる複合金属酸化物多孔体においては、高温での熱処理後であっても、セリア及びジルコニアの表面積が十分に確保されていると推察される。通常、OSC能を有効に発現させるために、セリア・ジルコニア等のOSC能を有する複合金属酸化物にPd、Pt等の貴金属を担持させる。そして、OSC能は、OSC能を有する複合金属酸化物と貴金属との接触界面、すなわち、OSC活性点が多いほど、より有効に発される。本発明の排ガス浄化用触媒においては、上述したような高温での熱処理後もセリア及びジルコニアの表面積が十分に確保される担体に貴金属が担持されているため、高温に曝された場合でもセリア及びジルコニアと貴金属との接触面積が十分に確保されており、また、高温での熱処理時において互いの粒子の粒成長が効果的に抑制される担体に貴金属が担持されているため、高温に曝されても貴金属自体の粒成長も抑制されると推察される。このため、本発明の排ガス浄化用触媒においては、高温に曝された場合であっても、熱劣化が起こりにくく、十分な量のOSC活性点が存在し、優れたOSC能を示すと推察される。また、本発明にかかる複合金属酸化物多孔体においては、高温での熱処理後の合計細孔容量(特に、マクロ細孔の合計細孔容量)が比較的大きいため、高温に曝された後の前記排ガス浄化用触媒においては、担体内部へのガスの拡散性が十分に確保され、担体内部の活性点に多くの反応ガスが容易に到達し、優れたOSC能が得られたと推察される。さらに、本発明にかかる複合金属酸化物多孔体が、高温での熱処理後の比表面積が比較的大きいものであることも、高温に曝された後の前記排ガス浄化用触媒が優れたOSC能を示す要因であると推察される。
本発明によれば、高温に曝された場合でも優れた酸素吸蔵能(OSC能)を示す触媒を得ることが可能な排ガス浄化用触媒担体及びその製造方法を提供することが可能となる。
本発明に用いられるコロイド溶液の製造装置の好適な一実施形態を示す模式縦断面図である。 図1に示すホモジナイザー10の先端部(攪拌部)を示す拡大縦断面図である。 図1に示す内側ステータ13の側面図である。 図1に示す内側ステータ13の横断面図である。 実施例3で得られた複合金属酸化物多孔体の高温での熱処理後の状態を示す走査透過型電子顕微鏡写真である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の排ガス浄化用触媒担体について説明する。本発明の排ガス浄化用触媒担体は、アルミナを5〜30質量%、セリアを25〜39質量%、ジルコニアを33〜51質量%含有する複合金属酸化物多孔体からなるものである。アルミナの含有率が前記下限未満になると、アルミナの拡散障壁としての機能が小さくなるため、高温に曝された排ガス浄化用触媒は、細孔容量や比表面積が減少してOSC能が低下する。他方、アルミナの含有率が前記上限を超えると、セリアの含有率が減少するため、触媒のOSC能が低下するとともに、ジルコニアの含有率も減少するため、触媒の耐熱性も低下し、高温に曝された触媒のOSC能が更に低下する。また、セリアの含有率が前記下限未満になると、触媒のOSC能が低下する。他方、セリアの含有率が前記上限を超えると、ジルコニアの含有率が減少するため、触媒の耐熱性が低下し、高温に曝された触媒のOSC能が低下する。また、アルミナの含有率も減少するため、アルミナの拡散障壁としての機能が小さくなり、高温に曝された排ガス浄化用触媒は、細孔容量や比表面積が減少してOSC能が更に低下する。さらに、ジルコニアの含有率が前記下限未満になると、触媒の耐熱性が低下し、高温に曝された触媒のOSC能が低下する。他方、前記上限を超えると、セリアの含有率が減少するため、触媒のOSC能が低下するとともに、アルミナの含有率が減少するため、アルミナの拡散障壁としての機能が小さくなり、高温に曝された排ガス浄化用触媒は、細孔容量や比表面積が減少してOSC能が低下する。
また、このような複合金属酸化物多孔体においては、セリアとジルコニアが固溶体を形成していることが好ましい。すなわち、本発明にかかる複合金属酸化物多孔体としては、アルミナ粒子とジルコニア固溶セリア粒子(CZ粒子)とを含有するものが好ましい。これにより、触媒の耐熱性が向上する傾向にある。
さらに、前記複合金属酸化物多孔体には、触媒の耐熱性が向上するという観点から、セリウム以外の希土類元素(La、Pr、Y、Sc等)の酸化物及びアルカリ土類金属(Sr、Ca、Ba等)の酸化物からなる群から選択される少なくとも一種の金属酸化物を更に含有していることが好ましく、触媒の酸素ストレージ能と耐熱性が更に向上するという観点から、イットリア(Y)及びランタナ(La)のうちの少なくとも一種を更に含有することがより好ましく、イットリア(Y)を更に含有することが特に好ましい。このような金属酸化物の含有率は、その効果が得られるように適宜設定される。
本発明の排ガス浄化用触媒担体は、空気中、1100℃で5時間焼成した後においてもアルミナ、セリア及びジルコニアが高い相互分散度(すなわち、相互に微細且つ均一に分散した状態)で配置されている複合金属酸化物多孔体からなるものである。具体的には、前記条件で高温での熱処理を施した複合金属酸化物多孔体は、球面収差補正装置付き走査透過型電子顕微鏡を用いて行なったエネルギー分散型X線分析により求めた、100個の微小領域(1個の微小領域は縦300nm×横330nm)についてのアルミニウム元素、セリウム元素及びジルコニウム元素の含有率(単位:at%)の標準偏差が全て18.5以下(好ましくは、15以下)であるという条件を満たすものである。このように、高温での熱処理後においてもアルミナ、セリア及びジルコニアが高い相互分散度で配置されている複合金属酸化物多孔体を担体として用いることによって、排ガス浄化用触媒は、高温に長時間曝された場合(例えば、1100℃で5時間の耐久試験後)でも優れたOSC能を示す。このような触媒のOSC能がより向上するという観点から、前記条件で高温での熱処理を施した複合金属酸化物多孔体は、セリウム元素及びジルコニウム元素の含有率(単位:at%)の標準偏差が全て10以下であるという条件を満たすものであることが好ましい。
なお、このような標準偏差は、具体的には以下の方法により求められる。すなわち、先ず、球面収差補正装置付き走査透過型電子顕微鏡(例えば、(株)日立ハイテクノロジーズ製Cs−STEM、商品名「HD2700」)に装着したエネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて、高温での熱処理後の複合金属酸化物多孔体粉末の元素分析を行い、所定の倍率の分析視野(縦100ピクセル×横128ピクセル)においてEDXマッピングを行う。なお、前記倍率は、分析視野を100個の微小領域に分割(縦10分割×横10分割)した場合に、1個の微小領域の大きさが縦300nm×横330nmとなるように設定する。また、EDXの分析スポット領域が前記分析視野の1ピクセルより小さい場合には、得られるEDXマッピングデータを1ピクセルごとに平均化する。次に、1微小領域ごとにEDXマッピングデータを平均化して各金属元素の含有率を算出し、100個の微小領域についての各金属元素の含有率の標準偏差を算出する。この金属元素の含有率の標準偏差が小さいほど、各金属酸化物が相互により微細且つ均一に分散した状態で配置されていることを示している。
また、前記条件で高温での熱処理を施した複合金属酸化物多孔体においては、窒素吸着法により測定した1nm〜0.1μmの範囲内の細孔直径を有する細孔(メソ細孔)の合計細孔容量が0.1cm/g以上(より好ましくは、0.2cm/g以上)であることが好ましく、水銀圧入法により測定した0.1μm〜10μmの範囲内の細孔直径を有する細孔(マクロ細孔)の合計細孔容量が0.1cm/g以上(より好ましくは、0.3cm/g以上)であることが好ましい。前記合計細孔容量(特に、マクロ細孔の合計細孔容量)が前記下限未満になると、高温に曝された触媒においては、担体内部へのガスの拡散性が低下し、OSC能が低下する傾向にある。また、前記合計細孔容量の上限については特に制限はないが、合計細孔量が大きい複合金属酸化物多孔体は、嵩高く、フルサイズハニカム基材にコートしにくいという観点から、メソ細孔の合計細孔容量としては2cm/g以下が好ましく、マクロ細孔の合計細孔容量としては3cm/g以下が好ましい。
さらに、前記条件で高温での熱処理を施した複合金属酸化物多孔体においては、窒素吸着法により測定したBET比表面積が2m/g以上であることが好ましい。BET比表面積が前記下限未満になると、高温に曝された触媒のOSC能が低下する傾向にある。また、BET比表面積は大きい方が好ましく、上限については特に制限はないが、通常、200m/g以下である。
なお、BET比表面積及びメソ細孔の合計細孔容量は以下の方法により求められる。すなわち、先ず、複合金属酸化物多孔体を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを所定の圧力で導入し、定容量式ガス吸着法又は重量法によりその平衡圧における窒素吸着量を求める。次に、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧における窒素吸着量を求める。得られた窒素吸着量を平衡圧に対してプロットすることにより窒素吸着等温線が得られる。次いで、得られた窒素吸着等温線からBET等温吸着式により複合金属酸化物多孔体の比表面積を求める。また、窒素吸着等温線からBJH法により細孔径分布曲線を求め、この細孔径分布曲線からメソ細孔の合計細孔容量を求める。
また、マクロ細孔の合計細孔容量は水銀圧入法により求められる。すなわち、複合金属酸化物多孔体に水銀を高圧で注入し、加えた圧力と水銀の注入量との関係を求める。加えた圧力から細孔直径を算出し、水銀の注入量から細孔容積を算出し、これらをプロットして細孔径分布曲線を求め、この細孔径分布曲線からマクロ細孔の合計細孔容量を求める。
次に、本発明の排ガス浄化用触媒について説明する。本発明の排ガス浄化用触媒は、前記本発明の排ガス浄化用触媒担体と、前記担体の表面に担持されている貴金属とを備えるものである。本発明の排ガス浄化用触媒は、担体が、高温での熱処理後においてもアルミナ、セリア及びジルコニアが高い相互微分散度で配置されており、好ましくは高温での熱処理後の合計細孔容量(特に、メソ細孔の合計細孔容量)及びBET比表面積が比較的大きい複合金属酸化物からなるものであるため、高温に曝された場合においても優れたOSC能を示す。
前記貴金属としては、白金、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、金等が挙げられる。これらの貴金属は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。中でも、得られる触媒が排ガス浄化用の触媒等として有用なものとなるという観点から白金、ロジウム、パラジウムが好ましく、パラジウムがより好ましい。貴金属の担持量としては特に制限はなく、得られる触媒の用途等に応じて適宜調整されるが、排ガス浄化用触媒担体100質量部に対して0.1〜10質量部程度であることが好ましい。
本発明の排ガス浄化用触媒において、その形態は特に制限されず、例えば、前記触媒を粒子の形態のまま用いてもよく、或いは、前記触媒を基材に担持したハニカム形状のモノリス触媒や、前記触媒をペレット形状に成形したペレット触媒の形態等として用いてもよい。ここで用いられる基材も特に制限されず、パティキュレートフィルタ基材(DPF基材)、モノリス状基材、ペレット状基材、プレート状基材等を好適に採用することができる。また、このような基材の材質も特に制限されないが、コーディエライト、炭化ケイ素、チタン酸アルミ、ムライト等のセラミックスからなる基材や、クロム及びアルミニウムを含むステンレススチール等の金属からなる基材を好適に採用することができる。さらに、本発明の排ガス浄化用触媒においては、その効果を損なわない範囲で各種触媒に用いることが可能な他の成分(例えば、NOx吸蔵材等)が適宜担持されていてもよい。
次に、本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法について説明する。本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法は、アルミナ、セリア及びジルコニアを含有する複合金属酸化物多孔体からなる排ガス浄化用触媒担体の製造方法であって、
複合金属酸化物多孔体中のアルミナの含有率が5〜30質量%、セリアの含有率が25〜39質量%、ジルコニアの含有率が33〜51質量%となるように、アルミニウムイオンとセリウムイオンとジルコニウムイオンとを含有する第一の原料溶液を調製する工程と、
重量平均分子量3000〜15000の高分子分散剤を含有する第二の原料溶液を調製する工程と、
第一の原料溶液と第二の原料溶液とを1000〜200000sec−1の剪断速度となっている領域に独立に直接導入して均質混合して金属化合物のコロイド溶液を得る工程と、
前記コロイド溶液のpHを3〜5に調整する工程と、
必要に応じて、前記コロイド溶液に有機アミンを添加してゲル化処理を施し、金属化合物の懸濁液を得る工程と、
pH調整後のコロイド溶液又は前記金属化合物の懸濁液を脱脂し、酸化雰囲気下、700〜1050℃で熱処理して前記複合金属酸化物多孔体を得る工程と
を含むことを特徴とする方法である。この方法によれば、高温での熱処理後においてもアルミナ、セリア及びジルコニアが高い相互微分散度で配置されている複合金属酸化物多孔体からなる前記本発明の排ガス浄化用触媒担体を得ることができる。
また、本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法においては、第一及び第二の原料溶液のうちの少なくとも一方が、分子量40〜200の低分子分散剤をさらに含有するものであることが好ましく、より耐熱性に優れた排ガス浄化用触媒担体が得られるという観点から、前記低分子分散剤は第一の原料溶液に含まれていることがより好ましい。この低分子分散剤は原料溶液のpHを著しく変化させないものであることが必要であり、このような低分子分散剤としては、アミノカルボン酸(例えば、6−アミノカプロン酸や10−アミノデカン酸など)、そのカルボキシル基とアミノ基との分子内脱水縮合物(例えば、アミノカプロン酸ラクタム(ε−カプロラクタム)やアミノデカン酸ラクタムなどのラクタム類)が好ましく、6−アミノカプロン酸、ε−カプロラクタムがより好ましい。
(第一の原料溶液調製工程)
前記アルミニウムイオンとセリウムイオンとジルコニウムイオンとを含有する第一の原料溶液は、アルミニウム化合物と、セリウム化合物と、ジルコニウム化合物と、必要に応じて他の金属化合物と、さらに必要に応じて前記低分子分散剤とを、溶媒に溶解させることにより得られる。
このようなアルミニウム化合物、セリウム化合物、ジルコニウム化合物、他の金属化合物としては、それらの金属の塩(酢酸塩、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、亜硫酸塩、無機錯塩等)が好適に用いられ、中でも、副生成物としてHCl等の腐食性溶液を生成しない、また排ガス浄化用触媒担体として使用した場合に性能劣化成分となる硫黄を含まない、という観点から酢酸塩又は硝酸塩が特に好ましい。
また、第一の原料溶液に用いられる溶媒としては、水、水溶性有機溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、アセトニトリル等)、水と前記水溶性有機溶媒との混合溶媒等が挙げられる。
第一の原料溶液中のアルミニウム化合物、セリウム化合物、ジルコニウム化合物、他の金属化合物の各濃度は、得られる複合金属酸化物多孔体中のアルミナ、セリア、ジルコニア、他の金属酸化物の含有率が所定の値となるように適宜調整する。
また、第一の原料溶液の陽イオン濃度としては0.005〜1.0mol/Lが好ましく、0.005〜0.5mol/Lがより好ましく、0.01〜0.3mol/Lがさらに好ましい。陽イオン濃度が前記範囲にあると金属化合物結晶子は径が小さく均一な凝集体の状態で液中で分散し、保存安定性に優れたコロイド溶液を得ることができる。一方、陽イオン濃度が前記下限未満になると金属化合物の結晶子の収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えるとコロイド溶液中の金属化合物の結晶子及び/又はその凝集体(以下、場合により金属化合物微粒子という)間の距離が高分子分散剤の会合サイズよりも短くなるため、高分子分散剤の吸着による立体障害斥力が効果的に作用せず、結晶子や凝集体同士がさらに凝集する傾向にある。
さらに、第一の原料溶液が前記低分子分散剤を含むものである場合、前記低分子分散剤の濃度としては、第一の原料溶液の陽イオン濃度の0.1〜0.5倍のモル濃度が好ましい。低分子分散剤の濃度が前記下限未満になると、低分子分散剤がコロイド粒子表面を覆いきれず、保護剤としての働きが不十分となり、コロイド粒子同士が凝集しやすい傾向にあり、他方、前記上限を超えると、脱脂処理時に粘稠なタール状物質が多く生成し、得られる複合金属酸化物多孔体の比表面積が低下する傾向にある。
(第二の原料溶液調製工程)
前記高分子分散剤を含有する第二の原料溶液は、高分子分散剤と、必要に応じてpH調整剤と、さらに必要に応じて前記低分子分散剤とを、溶媒に溶解させることにより得られる。前記高分子分散剤としては、ポリアルキレンイミン、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールが好ましく、液中で高い分散性能を発揮できるという観点から、ポリアルキレンイミン、ポリエチレングリコール及びポリアクリル酸がより好ましく、所定のpH条件で得られるコロイド溶液が保存安定性に特に優れているという観点から、ポリアルキレンイミン及びポリエチレングリコールが特に好ましい。
高分子分散剤の重量平均分子量は3000〜15000であることが好ましく、8000〜12000であることがより好ましい。高分子分散剤の重量平均分子量が前記範囲にあると金属化合物結晶子は径が小さく均一な凝集体の状態で分散し、保存安定性に優れたコロイド溶液を得ることができる。一方、高分子分散剤の重量平均分子量が前記下限未満になると高分子分散剤が金属化合物微粒子に吸着しても立体障害による斥力が十分に発現せず、金属化合物微粒子が凝集する傾向にあり、他方、前記上限を超えると高分子分散剤が架橋構造を形成し、大きな凝集体が形成する傾向にある。なお、前記重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)(装置名:分子量分布測定システム(島津製作所社製)、溶媒:THF、カラム:GPC−80M、温度:40℃、速度:1ml/min)により測定され、標準物質(商品名:shodex STANDARD、昭和電工社製)で換算した値である。
第二の原料溶液中の高分子分散剤の濃度は、得られるコロイド溶液における高分子分散剤の含有量が前記金属化合物の結晶子の単位表面積に対して5〜35mg/m(より好ましくは、5〜15mg/m)となるように調整することが好ましい。コロイド溶液中の高分子分散剤の含有量が前記範囲になると、金属化合物結晶子は径が小さく均一な凝集体の状態で分散し、保存安定性に優れたコロイド溶液を得ることができる。一方、コロイド溶液中の高分子分散剤の含有量が前記下限未満になると、金属化合物微粒子の表面を高分子分散剤が十分に被覆することができず、金属化合物微粒子が凝集してより大きな凝集体が形成される傾向にあり、他方、前記上限を超えると、コロイド溶液中に遊離の高分子分散剤が多く存在するため、高分子分散剤の架橋反応が著しく進行し、粒子径の大きな凝集体が形成する傾向にある。
また、第二の原料溶液に用いられるpH調整剤としては、アニモニア水、有機アミン(例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン)などの塩基、酢酸、硝酸などの酸、アンモニウム塩(例えば、酢酸アンモニウム、硝酸アンモニウム)、過酸化水素水などが挙げられる。この第二の原料溶液中のpH調整剤の濃度は、得られるコロイド溶液のpHが3〜5となるように、適宜調整する。
さらに、第二の原料溶液が前記低分子分散剤を含むものである場合、前記低分子分散剤の含有量としては、第一の原料溶液中の陽イオンの含有量の0.1〜0.5倍のモル量が好ましい。低分子分散剤の含有量が前記下限未満になると、低分子分散剤がコロイド粒子表面を覆いきれず、保護剤としての働きが不十分となり、コロイド粒子同士が凝集しやすい傾向にあり、他方、前記上限を超えると、脱脂処理時に粘稠なタール状物質が多く生成し、得られる複合金属酸化物多孔体の比表面積が低下する傾向にある。
第二の原料溶液に用いられる溶媒としては、水、水溶性有機溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、アセトニトリル等)、水と前記水溶性有機溶媒との混合溶媒等が挙げられる。
(コロイド溶液調製工程)
コロイド溶液を得る工程においては、1000〜200000sec−1の剪断速度となっている領域に、第一の原料溶液及び第二の原料溶液が独立に直接導入され、均質に混合される。このように均質混合することにより、水等の金属化合物結晶子が凝集し易い溶媒においても、金属化合物結晶子を径がより小さく均一な凝集体の状態で液中で分散させることが可能となる。
このような混合方法に用いられる装置としては、例えば、図1に示すものが挙げられる。以下、図面を参照しながら、本発明に好適な装置ついて詳細に説明する。なお、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1に示す製造装置は、攪拌装置としてホモジナイザー10を備えており、ホモジナイザー10の先端部(攪拌部)が反応容器20内に配置されている。ホモジナイザー10の先端部は、図2に示すように、凹型のローター11と、ローター11の外周との間に所定のギャップの領域が形成されるように配置された凹型の外側ステータ12と、ローター11の内周との間に所定のギャップの領域が形成されるように配置された凸型の内側ステータ13とを備えている。さらに、ローター11は、回転シャフト14を介してモーター15に接続されており、回転することが可能な構造となっている。
そして、図1に示す製造装置においては、複数のノズル、すなわち、原料溶液Aを導入するためのノズル16Aと原料溶液Bを導入するためのノズル16Bとが、それぞれ内側ステータ13におけるローター11に対向する面にそれぞれ設けられている。また、ノズル16Aには流路17Aを介して原料溶液Aの供給装置(図示せず)が、ノズル16Bには流路17Bを介して原料溶液Bの供給装置(図示せず)がそれぞれ接続されており、ローター11と内側ステータ13との間の領域に原料溶液Aと原料溶液Bとをそれぞれ独立して直接的に導入することが可能な構造となっている。
さらに、図1に示す製造装置においては、図3及び図4に示すように、ノズル16A及びノズル16Bが、内側ステータ13におけるローター11に対向する面において、ローター11の回転軸Xに対して直交する所定の面Yの外周方向に交互に設けられている。
なお、図3及び図4においては、ノズル16A及びノズル16Bがそれぞれ12個ずつ設けられているが(24孔タイプ)、ノズル16A及びノズル16Bの数は特に限定されるものではない。従って、ノズル16A及びノズル16Bがそれぞれ1個ずつ設けられていればよいが(2孔タイプ)、原料溶液A及び原料溶液Bが前記領域に導入されてから均質混合されるまでの時間をより短縮できるという観点から、ノズル16A及びノズル16Bの数はそれぞれ10個以上であることが好ましく、20個以上であることがより好ましい。一方、ノズル16A及びノズル16Bのそれぞれの数の上限は特に制限されず、装置の大きさによっても変わってくるが、ノズルの詰まりをより確実に防止するという観点から、交互に配置されたノズル16A及びノズル16Bの開口部の直径が0.1mm程度以上の寸法を取り得るようにすることが好ましい。このようにノズルの開口部の直径は特に制限されず、装置の大きさによっても変わってくるが、ノズルの詰まりをより確実に防止するという観点から、0.1〜1mm程度であることが好ましい。
また、図3及び図4においては、ノズル16A及びノズル16Bが、ローター11の回転軸Xに対して直交する一つの面Yの外周方向に一列に交互に設けられているが、複数の面の外周方向に複数の列において交互に設けられていてもよい。
以上説明した図1に示す製造装置においては、ノズル16Aとノズル16Bとから原料溶液A及び原料溶液Bがそれぞれ導入される領域、すなわち図1及び図2においてはローター11の内周と内側ステータ13の外周との間の領域において、剪断速度が1000〜200000sec−1となるように設定され、2000〜100000sec−1となるように設定されることがより好ましい。この領域の剪断速度が前記下限未満になると、金属化合物結晶子の凝集と複数の結晶子に高分子分散剤が吸着した構造が破壊されず、より大きな凝集体が残存するようになる。他方、この領域の剪断速度が前記上限を超えると、高分子分散剤が破壊されて、前記金属化合物微粒子に十分な斥力を付与することができず、より大きな凝集体が形成され、安定したコロイド溶液が得られない。特に、高分子分散剤としてポリアルキレンイミンを用いる場合には、原料溶液A及び原料溶液Bがそれぞれ導入される領域において、剪断速度が20000sec−1以下となるように設定されることが更に好ましく、15000sec−1以下となるように設定されることが特に好ましい。
このような剪断速度を達成するための条件としては、ローターの回転速度及びローターとステータとの間のギャップの大きさが影響するため、前記領域の剪断速度が前記条件を満たすようにそれらを設定する必要がある。具体的なローター11の回転速度は特に制限されず、装置の大きさによっても変わってくるが、例えば、内側ステータ13の外径12.0mm、ローター11と外側ステータ12との間のギャップ0.2mm、及びローター11と内側ステータ13との間のギャップ0.5mm、外側ステータ12の内径18.8mmの場合には、ローター11の回転速度を好ましくは2000〜20000rpm、より好ましくは3000〜15000rpmに設定することによって前記剪断速度を達成することが可能となる。また、内側ステータ13とローター11との間のギャップを0.2mmにすれば、ローター11の最大回転速度を好ましくは8387rpm、より好ましくは6291rpmまで下げることができる。
また、ローター11と内側ステータ13との間のギャップの大きさも特に制限されず、装置の大きさによっても変わってくるが、0.2〜1.0mmであることが好ましく、0.5〜1.0mmであることがより好ましい。さらに、ローター11と外側ステータ12との間のギャップの大きさも特に制限されず、装置の大きさによっても変わってくるが、0.2〜1.0mmであることが好ましく、0.5〜1.0mmであることがより好ましい。このギャップの大きさの変化に対応してローター11の回転速度を調整することにより前記範囲の剪断速度を達成することが可能となる。これらのギャップが前記下限未満になるとノズルの詰まりが発生し易くなる傾向にあり、前記上限を超えると効果的な剪断力を付与できない傾向にある。
また、図1に示す製造装置においては、ノズル16Aとノズル16Bとからそれぞれ供給された原料溶液A及び原料溶液Bが、前記領域に導入されてから1msec以内(特に好ましくは0.5msec以内)に均質混合されるようにノズル16A及びノズル16Bが配置されていることが好ましい。なお、ここでいう原料溶液が前記領域に導入されてから均質混合されるまでの時間とは、ノズル16A(又はノズル16B)から導入された原料溶液A(又は原料溶液B)が隣接するノズル16B(又はノズル16A)の位置に到達し、ノズル16B(又はノズル16A)から導入された原料溶液B(又は原料溶液A)と混合されるまでの時間をいう。
以上、本発明に好適に用いられる装置について説明したが、本発明においては前記原料溶液Aとして第一の原料溶液を用い、前記原料溶液Bとして第二の原料溶液を用いても、その逆であってもよい。また、本発明は、図1に示す製造装置を用いる方法に限定されるものではない。例えば、図1に示す製造装置においては、ノズル16Aとノズル16Bとがそれぞれ内側ステータ13におけるローター11に対向する面にそれぞれ設けられているが、ノズル16Aとノズル16Bとがそれぞれ外側ステータ12におけるローター11に対向する面にそれぞれ設けられていてもよい。そのように構成すれば、ローター11と外側ステータ12との間の領域に原料溶液Aと原料溶液Bとをそれぞれ独立して直接的に導入することが可能となる。なお、その領域における剪断速度は前記条件を満たすように設定する必要がある。
第一の原料溶液及び第二の原料溶液における各原料溶液の送液速度は特に制限されないが、1.0〜30ml/minが好ましい。原料溶液の送液速度が前記下限未満になると金属化合物結晶子の凝集体の製造効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると金属化合物結晶子の凝集体の粒子径が大きくなる傾向にある。
(pH調整工程)
本発明の製造方法においては、前記コロイド溶液調製工程で得られたコロイド溶液をpH3〜5に調整する。コロイド溶液のpHが前記範囲にあると、高分子分散剤が金属化合物結晶子に吸着して、金属化合物結晶子は径が小さく均一な凝集体の状態で分散し、保存安定性に優れたコロイド溶液を得ることができる。特に、高分子分散剤としてポリアルキレンイミンを用いた場合には、ポリアルキレンイミンが解離してNH 基が形成されるため、金属化合物結晶子の負に帯電したサイト又はニュートラルなサイトに吸着しやすく、容易に分散効果が付与される。一方、pHが1以上3未満になると、アルミニウムの中和点に到達していないため、アルミナ(又は水酸化アルミニウム)の粒子が十分に核生成しない傾向にある。このようなコロイド溶液に後述する熱処理を施して得られる複合金属酸化物多孔体においては、アルミナの耐熱性が不十分となり、且つアルミナ、セリア及びジルコニアの相互微分散度が低くなる傾向にある。また、pHが1未満になると、セリア(又は水酸化セリウム)の粒子も十分に核生成しない傾向にある。このようなコロイド溶液に後述する熱処理を施して得られる複合金属酸化物多孔体においては、セリアとジルコニアが十分に固溶していない傾向にある。他方、前記上限を超えると、高分子分散剤が金属化合物結晶子に吸着しにくく、金属化合物結晶子間に十分な斥力が発現せず、金属化合物結晶子が凝集する傾向にある。特に、高分子分散剤としてポリアルキレンイミンを用いた場合には、ポリアルキレンイミンの解離度が小さく、金属化合物微粒子へのポリアルキレンイミンの吸着量が減少する傾向にある。
このpH調整は、前記コロイド溶液調製工程で得られたコロイド溶液に前記pH調整剤を添加して行なってもよいが、前記コロイド溶液調製工程で得られるコロイド溶液のpHが3〜5となるように、予め、前記第一及び第二の原料溶液のうちの少なくとも一方(より好ましくは、第二の原料溶液)に前記pH調整剤を添加しておくことが好ましい。
また、本発明の製造方法においては、必要に応じて、pHを3〜5に調整した前記コロイド溶液に、ポリアルキレンイミン、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどの高分子化合物を添加することが好ましい。このような高分子化合物はマクロ細孔を形成する際の鋳型として作用し、後述する熱処理工程で除去することによって、複合金属酸化物多孔体に多くのマクロ細孔を形成することが可能となる。
前記鋳型用高分子化合物の重量平均分子量としては、3000〜15000であることが好ましく、8000〜12000であることがより好ましい。鋳型用高分子化合物の重量平均分子量が前記下限未満になると、十分な量のマクロ細孔が形成されない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、難分解性のタール状物質が形成され、凝集が進行し、十分な量の細孔が形成されない傾向にある。なお、前記重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)(装置名:分子量分布測定システム(島津製作所社製)、溶媒:THF、カラム:GPC−80M、温度:40℃、速度:1ml/min)により測定され、標準物質(商品名:shodex STANDARD、昭和電工社製)で換算した値である。
また、前記鋳型用高分子化合物の添加量としては、前記コロイド溶液1Lに対して50〜250gが好ましく、100〜200gがより好ましい。鋳型用高分子化合物の添加量が前記下限未満になると、十分な量のマクロ細孔が形成されない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、鋳型用高分子化合物が十分に分解されず、タール状物質が形成され、凝集が進行し、十分な量の細孔が形成されない傾向にある。
(水熱処理工程)
本発明の製造方法においては、必要に応じて、pHを3〜5に調整した前記コロイド溶液に水熱処理を施してもよい。これにより、アルミニウム化合物を十分に結晶化させることができる。この水熱処理工程における水熱処理温度は、70〜90℃の範囲であることが必要である。温度が前記下限未満では、アルミニウム化合物の結晶化が不十分となり、また、セリア/ジルコニア固溶体を形成せしめる場合に、原子の再配列が起こりにくくなる。他方、温度が前記上限を超えると、触媒担体の比表面積が小さくなり、さらに、セリアのみが単独で分離析出されてしまうため触媒の耐熱性が低下しやすくなる。また、このような水熱処理温度としては、アルミニウム化合物を析出させ、比表面積を大きくし、且つ、セリアとジルコニアとの固溶体を形成せしめる場合には、原子の再配列を促し、空孔が形成されることを抑制できるという観点から、80〜90℃であることが特に好ましい。
さらに、このような水熱処理工程における水熱処理時間は、水熱処理温度に応じて適宜調整することができるが、360〜1800分の範囲であることが好ましく、1200〜1440分の範囲であることがより好ましい。水熱処理時間が前記下限未満では、複合金属酸化物多孔体前駆体の溶解や再析出の促進効果が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、水熱処理による効果が飽和状態となり、生産性が低下することになる傾向にある。
(ゲル化処理工程)
本発明の製造方法においては、pHを3〜5に調整した前記コロイド溶液又は水熱処理を施した前記コロイド溶液に、必要に応じて、有機アミンを添加してpHを6〜9.5に再調整し、ゲル化処理を行なってもよい。これにより、コロイド溶液中において、高分子分散剤が金属化合物結晶子の凝集体から脱離し、金属化合物結晶子の凝集体が瞬時に凝集するが、有機アミンが高分子分散剤と類似の役割を果たすため、過剰な凝集は抑制され、適度な大きさの金属化合物結晶子の凝集体を含む懸濁液を得ることができる。その際の温度や時間は特に制限されず、例えば、10〜40℃の温度で5〜60秒間程度撹拌して均一分散状態を固定化することが好ましい。また、前記有機アミンとしては、エチレンジアミン及びトリエタノールアミンなどが好ましい。
(熱処理工程)
本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法においては、pHを3〜5に調整した前記コロイド溶液又は前記ゲル化処理工程で得られた金属化合物の懸濁液に脱脂処理を施し、熱処理して前記本発明の排ガス浄化用触媒担体を得る。
この工程における脱脂条件としては、特に制限されないが、酸化雰囲気(例えば、空気)中において、80〜100℃で1〜10時間の条件で乾燥し、その後、200〜400℃で1〜5時間の条件で脱脂することが好ましい。このような脱脂処理を施すことによって、高分子分散剤及び鋳型用高分子化合物が除去され、前記マクロ細孔が形成される。
前記熱処理条件としては、酸化雰囲気(例えば、空気)中において、700〜1050℃の温度であることが必要である。温度が前記下限未満では、焼結が完結しないため、触媒使用時に焼結が進行してOSC能が著しく低下する。他方、温度が前記上限を超えると、比表面積が小さくなり、合計細孔容量が小さくなり、その結果、OSC能が低下する。また、このような熱処理温度としては、より優れたOSC能が得られる傾向にあるという観点から、800〜1050℃であることが特に好ましい。
さらに、このような熱処理時間としては、特に制限されないが、前記温度を1〜10時間程度保持することが好ましい。この時間が前記下限未満では、脱脂処理後の金属化合物が十分に金属酸化物にならない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、高温・酸化雰囲気によりシンタリング等の性能低下を伴い易くなる傾向にある。
次に、本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法について説明する。本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法は、前記本発明の製造方法により得られた排ガス浄化用触媒担体の表面に貴金属を担持させる工程を含む方法である。このような貴金属を担持させる具体的な方法は特に制限されないが、例えば、貴金属の塩(硝酸塩、塩化物、酢酸塩等)又は貴金属の錯体を水、アルコール等の溶媒に溶解した溶液に前記排ガス浄化用触媒担体を浸漬し、溶媒を除去した後に焼成及び粉砕するといった方法が好適に用いられる。なお、前記貴金属を担持させる工程において、溶媒を除去する際における乾燥条件としては30〜150℃で10分以内程度が好ましく、また、焼成条件としては、酸化雰囲気(例えば、空気)中において250〜600℃で30〜180分程度が好ましい。また、所望の担持量になるまでこのような貴金属の担持工程を繰り返してもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
先ず、硝酸アンモニウムセリウム13.75g、オキシ硝酸ジルコニル12.43g、硝酸イットリウム0.82g、硝酸アルミニウム8.78g、硝酸ランタン1.24gをイオン交換水500gに溶解して複合金属酸化物の原料となる陽イオンを含む第一の原料溶液を調製した。これらの添加量は陽イオン濃度0.1mol/L、Al:CeO:ZrO:Y:La=10.0:36.2:47.9:2.0:3.9(質量比)に相当する。次いで、下記式(1)に示す重量平均分子量10000のポリエチレンイミン62.5g、硝酸78gをイオン交換水360gに溶解して第二の原料溶液を調製した。
次に、図1に示す製造装置(スーパーアジテーションリアクター)を用いて金属化合物のナノコロイド溶液を作製した。なお、ステータ13としてはノズル16A及びノズル16Bがそれぞれ24個ずつ設けられている48孔タイプのものを使用した。そして、図1に示すように、ホモジナイザー10の先端を100mlビーカー20の中に浸るようにセットし、ホモジナイザー10におけるローター11を3400rpmの回転速度で回転させながら、上記第一の原料溶液と第二の原料溶液とをそれぞれ12.5ml/minの供給速度でチューブポンプ(図示せず)を用いてノズル16A及びノズル16Bからローター11と内側ステータ13との間の領域に送液して混合し、金属化合物の透明なナノコロイド溶液(pH4)を調製した。
なお、ローター11の外径は18.0mm、外側ステータ12の内径は18.8mm、ローター11と外側ステータ12との間のギャップは0.4mmであり、それらの間の領域における剪断速度は8000sec−1であった。また、内側ステータ13の外径は11.8mm、ローター11の内径は12.2mm、ローター11と内側ステータ13との間のギャップは0.2mmであり、それらの間の領域における剪断速度は4600sec−1であった。また、第一の原料溶液と第二の原料溶液とが前記領域に導入されてから均質混合されるまでの時間は0.37msecであった。ここで、均質混合されるまでの時間とは、ノズル16A又はノズル16Bから吐出された原料溶液A又は原料溶液Bがローター11の回転によって隣接するノズル16B又はノズル16Aに到達するまでの時間と定義されるものである。
得られたナノコロイド溶液に空気中、350℃で5時間の脱脂処理を施し、得られた金属化合物粉末を空気中、900℃で5時間焼成して複合金属酸化物多孔体粉末を得た。
(実施例2)
硝酸アンモニウムセリウム10.58g、オキシ硝酸ジルコニル9.51g、硝酸イットリウム0.71g、硝酸ランタン1.07g、硝酸アルミニウム15.27gをイオン交換水500gに溶解して複合金属酸化物の原料となる陽イオンを含む水溶液を調製した。これらの添加量は陽イオン濃度0.1mol/L、Al:CeO:ZrO:Y:La=20.0:31.9:42.2:2.0:3.9(質量比)に相当する。この水溶液を第一の原料溶液として用いたこと以外は実施例1と同様にして、金属化合物の透明なナノコロイド溶液(pH4)を調製した後、複合金属酸化物多孔体粉末を調製した。
(実施例3)
硝酸アンモニウムセリウム8.22g、オキシ硝酸ジルコニル7.38g、硝酸イットリウム0.65g、硝酸ランタン1.00g、硝酸アルミニウム20.03gをイオン交換水500gに溶解して複合金属酸化物の原料となる陽イオンを含む水溶液を調製した。これらの添加量は陽イオン濃度0.1mol/L、Al:CeO:ZrO:Y:La=29.5:27.9:36.9:2.0:3.9(質量比)に相当する。この水溶液を第一の原料溶液として用いたこと以外は実施例1と同様にして、金属化合物の透明なナノコロイド溶液(pH4)を調製した後、複合金属酸化物多孔体粉末を調製した。
(実施例4)
実施例3と同様にして金属化合物の透明なナノコロイド溶液(pH4)を調製した。このナノコロイド溶液にプロペラ撹拌(300rpm)しながらエチレンジアミンを素早く添加してpH7の懸濁液を調製した。この懸濁液に実施例1と同様に脱脂処理を施した後、得られた金属化合物粉末を実施例1と同様に焼成して複合金属酸化物多孔体粉末を得た。
(比較例1)
硝酸アンモニウムセリウム18.63g、オキシ硝酸ジルコニル16.84g、硝酸イットリウム0.50g、硝酸ランタン0.75gをイオン交換水500gに溶解して複合金属酸化物の原料となる陽イオンを含む水溶液を調製した。これらの添加量は陽イオン濃度0.1mol/L、Al:CeO:ZrO:Y:La=0.0:40.5:53.6:2.0:3.9(質量比)に相当する。この水溶液を第一の原料溶液として用い、硝酸の量を85gに変更した第二の原料溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、金属化合物の透明なナノコロイド溶液(pH2)を調製した後、複合金属酸化物多孔体粉末を調製した。
(比較例2)
硝酸アンモニウムセリウム5.01g、オキシ硝酸ジルコニル4.30g、硝酸イットリウム0.53g、硝酸ランタン0.80g、硝酸アルミニウム26.86gをイオン交換水500gに溶解して複合金属酸化物の原料となる陽イオンを含む水溶液を調製した。これらの添加量は陽イオン濃度0.1mol/L、Al:CeO:ZrO:Y:La=47.6:20.4:25.8:2.0:3.9(質量比)に相当する。この水溶液を第一の原料溶液として用いたこと以外は実施例1と同様にして、金属化合物の透明なナノコロイド溶液(pH4)を調製した後、複合金属酸化物多孔体粉末を調製した。
(比較例3)
硝酸の量を115gに変更した第二の原料溶液を用いたこと以外は実施例3と同様にして金属化合物の透明なナノコロイド溶液(pH1)を調製した。得られたナノコロイド溶液にプロペラ撹拌(300rpm)しながらアンモニア水を素早く添加してpH9に調整して懸濁液を得た。この懸濁液に実施例1と同様に脱脂処理を施した後、得られた金属化合物粉末を実施例1と同様に焼成して複合金属酸化物多孔体粉末を得た。
(比較例4)
硝酸の量を115gに変更した第二の原料溶液を用いたこと以外は実施例3と同様にして金属化合物の透明なナノコロイド溶液(pH1)を調製した。得られたナノコロイド溶液をテフロン(登録商標)製の圧力容器に入れて密封し、80℃で24時間加熱して水熱処理を施した。水熱処理後のナノコロイド溶液にプロペラ撹拌(300rpm)しながらアンモニア水を素早く添加してpH9に調整して懸濁液を得た。この懸濁液に実施例1と同様に脱脂処理を施した後、得られた金属化合物粉末を実施例1と同様に焼成して複合金属酸化物多孔体粉末を得た。
(比較例5)
実施例3と同様にして複合金属酸化物の原料となる陽イオンを含む第一の原料溶液を調製した。次いで、アンモニア水40gをイオン交換水460gに溶解して第二の原料溶液を調製した。第一の原料溶液に第二の原料溶液を素早く添加し、24時間のプロペラ撹拌(300rpm)を行い、白濁した懸濁液(pH10)を得た。この懸濁液に実施例1と同様に脱脂処理を施した後、得られた金属化合物粉末を実施例1と同様に焼成して複合金属酸化物多孔体粉末を得た。
<比表面積、細孔容量>
自動比表面積/細孔分布測定装置(カンタクローム(株)製、商品名「Autosorb−1」)を用い、液体窒素温度(−196℃)で定容量式ガス吸着法により、実施例1〜4及び比較例1〜5で得られた複合金属酸化物多孔体粉末の窒素吸着等温線を求めた。なお、複合金属酸化物多孔体粉末には測定前に120℃で2時間の真空脱気処理を施した。得られた窒素吸着等温線からBET法により複合金属酸化物多孔体粉末(高温での熱処理前)の比表面積及びBJH法により細孔径分布曲線を求め、更に、得られた細孔径分布曲線から1nm〜0.1μmの範囲内の細孔直径を有する細孔の合計細孔容量を求めた。これらの結果を表1〜2に示す。
また、水銀ポロシメーター(カンタクローム(株)製、商品名「ポアマスター60GT」)を用いて複合金属酸化物多孔体粉末(高温での熱処理前)の細孔径分布曲線を求め、得られた細孔径分布曲線から0.1μm〜10μmの範囲内の細孔直径を有する細孔の合計細孔容量を求めた。その結果を表1〜2に示す。
<平均結晶子径>
実施例1〜4及び比較例1〜5で得られた複合金属酸化物多孔体粉末(高温での熱処理前)のX線回折(XRD)パターンを、粉末X線回折装置(リガク社製、商品名「RINT−2200」を用いて、スキャンステップ0.01°、発散及び散乱スリット1deg、受光スリット0.15mm、CuKα線、40kV、20mA、スキャン速度1°/minの条件で測定し、ジルコニア固溶セリア粒子(CZ粒子)の(111)面に由来するピークの半値幅から、シェラーの式:
D=0.9λ/βcosθ
(式中、Dは結晶子径を示し、λは使用X線波長を示し、βはXRDの測定試料の半値幅を示し、θは回折角を示す)
を用いて、CZ粒子の平均結晶子径を算出した。その結果を表1〜2に示す。
(複合金属酸化物多孔体の高温での熱処理)
実施例1〜4及び比較例1〜5で得られた複合金属酸化物多孔体粉末に空気中、1100℃で5時間の熱処理を施した。
<比表面積、細孔容量、平均結晶子径>
高温での熱処理後の複合金属酸化物多孔体粉末のBET比表面積、窒素吸着法及び水銀圧入法により測定した合計細孔容量、CZ粒子の平均結晶子径を前記方法に従って算出した。これらの結果を表1〜2に示す。
<電子顕微鏡観察>
高温での熱処理後の複合金属酸化物多孔体粉末を球面収差補正装置付き走査透過型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製Cs−STEM、商品名「HD2700」)を用いて観察した。実施例3の複合金属酸化物多孔体粉末(高温での熱処理後)のSTEM写真を図5に示す。
<金属元素含有率の標準偏差>
先ず、高温での熱処理後の複合金属酸化物多孔体粉末について、前記Cs−STEMに装着したエネルギー分散型X線分析装置(EDX、分析スポット径:0.5nm)を用いて元素分析を行い、倍率3万倍の分析視野(縦100ピクセル×横128ピクセル)においてEDXマッピングを行なった。得られたEDXマッピングデータを1ピクセルごとに平均化した。なお、分析視野は、3万倍の倍率で100個程度の粒子が含まれるように抽出した。次に、前記分析視野を100個の微小領域に分割(縦10分割×横10分割)し、1微小領域(1個の微小領域は縦300nm×横330nm)ごとにEDXマッピングデータを平均化して各金属元素の含有率を算出した。100個の微小領域についての各金属元素の含有率の標準偏差を算出した。その結果を表1〜2に示す。なお、金属元素の含有率の標準偏差が小さいほど、各金属酸化物が相互により微細且つ均一に分散した状態で配置されていることを示している。
(触媒調製)
ジニトロジアミンパラジウム(Pd(NH(NO)酸水溶液(Pd濃度:50g/L)を用い、実施例1〜4及び比較例1〜5で得られた複合金属酸化物多孔体粉末100gに対して0.42gとなるようにパラジウムを担持させ、大気中、300℃で3時間焼成してPd担持複合金属酸化物多孔体粉末を得た。この粉末を、冷間静水等方圧プレス機を用いて1000kgf/cmで成型した後、粉砕して直径0.5〜1mmのペレット状のPd担持触媒を得た。
<耐久試験>
得られたPd担持触媒2gを石英反応管に充填し、固定床流通反応装置((株)ベスト測器製)を用いて、リッチガス(H(2%)、CO(10%)、HO(3%)及びN(残部))とリーンガス(CO(10%)、O(1%)、HO(3%)及びN(残部))とを、温度1100℃、空間速度(SV)10000h−1の条件で5分間ずつ交互に5時間供給して耐久試験を行なった。
<酸素吸蔵能の測定>
耐久試験後のPd担持触媒0.5gを石英反応管に充填し、固定床流通反応装置((株)ベスト測器製)を用いて、リッチガス(CO(2%)及びN(残部))とリーンガス(O(1%)及びN(残部))とを、温度500℃又は600℃、ガス流量10L/minの条件で3分間ずつ交互に供給し、リッチ雰囲気で生成するCOの量を自動車排気ガス分析計((株)ベスト測器製、商品名「Bex5900Csp」)を用いて測定し、酸素吸蔵放出量(OSC−c)及び酸素吸蔵放出速度(OSC−r)を算出した。これらの結果を表1〜2に示す。
<比表面積、平均結晶子径>
耐久試験後のPd担持触媒のBET比表面積、CZ粒子の平均結晶子径を前記方法に従って算出した。これらの結果を表1〜2に示す。
表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜4で得られた複合金属酸化物多孔体は、高温での熱処理(空気中、1100℃、5時間)後においても、アルミナ粒子とCZ粒子とが高い相互微分散度(すなわち、相互に微細且つ均一に分散した状態)で配置されているものであることが確認された。また、高温での熱処理後の前記複合金属酸化物多孔体は、比較的大きなBET比表面積を有するものであり、さらに、図5に示したように、一次粒子間に形成された細孔直径が1nm〜0.1μmのメソ細孔(一次細孔)と二次粒子間に形成された細孔直径が0.1μm〜10μmのマクロ細孔(二次細孔)とを有し、前記メソ細孔及び前記マクロ細孔の各合計細孔容量が比較的大きなものであることが確認された。なお、前記マクロ細孔は、脱脂処理時に高分子分散剤が除去されたことによって形成されたものであると推察される。また、このような複合金属酸化物多孔体を担体として用いることによって、耐久処理(1100℃、5時間)後においても酸素吸蔵放出能(OSC能)に優れた貴金属担持触媒(排ガス浄化用触媒)が得られることが確認された。
これに対して、表2に示した結果から明らかなように、アルミナを含有していない複合金属酸化物多孔体を担体として備える貴金属担持触媒(比較例1)においては、実施例1〜4に比べて、耐久試験後の酸素貯蔵放出量は多かったが、酸素貯蔵放出速度は遅いことがわかった。この理由は以下のように推察される。すなわち、比較例1で得られた複合金属酸化物多孔体は、実施例1〜4で得られた複合金属酸化物多孔体に比べて、OSC能を有するCZ粒子の含有率が高いため、耐久試験後の貴金属担持触媒の酸素貯蔵放出量が多くなったと推察される。一方、比較例1で得られた複合金属酸化物多孔体は、アルミナを含んでいないため、拡散障壁機能がなく、高温での熱処理によって粒成長が起こり、複合金属酸化物多孔体の合計細孔容量やBET比表面積が小さくなったと推察される。その結果、貴金属担持触媒においても、耐久試験によって、BET比表面積が小さくなったため、担体に活性点が十分に確保されず、また、合計細孔容量が減少したため、担体内部へのガスの拡散性も低下して、酸素貯蔵放出速度が遅くなったと推察される。他方、実施例1〜4においては、アルミナによる拡散障壁機能が作用して耐久試験時の粒成長が抑制されたため、貴金属担持触媒は、耐久試験後においても、BET比表面積が比較的大きく、担体内部にも活性点が十分に確保されており、また、合計細孔容量も比較的大きく、担体内部へのガスの拡散性が十分に確保されたと推察される。その結果、担体内部の活性点にも多くの反応ガスが容易に到達するため、貴金属担持触媒は、耐久試験後においても、優れたOSC能を示したと推察される。
また、セリア及びジルコニアの含有率が低い複合金属酸化物多孔体を担体として備える貴金属担持触媒(比較例2)は、実施例1〜4に比べて、OSC能に劣るものであった。これは、比較例2で得られた複合金属酸化物多孔体が、OSC能を有するCZ粒子の含有率が低いものであり、担体に活性点が十分に確保されなかったためと推察される。他方、実施例1〜4においては、所定量のセリア及びジルコニアを含んでいるため、担体に活性点が十分に確保され、貴金属担持触媒は、耐久試験後においても、優れたOSC能を示したと推察される。
さらに、アンモニア水を用いてナノコロイド溶液をpH9に調整した場合(比較例3〜4)も、エチレンジアミンを用いてpH7に調整した場合(実施例4)に比べて、耐久試験後の貴金属担持触媒のOSC能は劣るものであった。この理由は以下のように推察される。すなわち、比較例3で得られた複合金属酸化物多孔体においては、高温での熱処理によって、アルミナ粒子とCZ粒子との相互微分散度が低下し、マクロ細孔の合計細孔容量が減少したことから、アルミナがCZ粒子の拡散障壁として十分に機能しなかったと推察される。これは、アンモニア水を用いてナノコロイド溶液をpH9に調整したことによって、得られた複合金属酸化物多孔体においては、アルミナ粒子が凝集しており、アルミナ、セリア及びジルコニアの相互微分散度が低下したためと推察される。そして、貴金属担持触媒においても、凝集したアルミナ粒子がCZ粒子の拡散障壁として十分に機能しなかったため、耐久試験によって、CZ粒子の表面積が小さくなったことによりCZ粒子と貴金属との接触面積、すなわち、OSC活性点が十分に確保されず、また、CZ粒子が粒成長したことによりCZ粒子に担持された貴金属も粒成長し、さらに、マクロ細孔の合計細孔容量が減少したことにより担体内部へのガスの拡散性も低下して、OSC能が低下したと推察される。また、アンモニア水によるpH調整の前に水熱処理を施した場合(比較例4)でも、耐久試験後の貴金属担持触媒のOSC能は、実施例4に比べて劣るものであった。これは、比較例4で得られた複合金属酸化物多孔体においては、比較例3に比べて、マクロ細孔の合計細孔容量が増加したため、水熱処理によりアルミナの結晶性が高まり、アルミナ粒子の凝集がある程度改善されたと推察されるが、アルミナ粒子とCZ粒子との相互微分散度の低下を抑制できるほど十分には改善されず、CZ粒子の表面積の減少が十分に抑制できなかったためと推察される。
また、高分子分散剤を使用せず、第二の原料溶液にアンモニア水を用いてpH10のナノコロイド溶液を調製した場合(比較例5)も、実施例4に比べて、耐久試験後の貴金属担持触媒のOSC能は劣るものであった。この理由は以下のように推察される。すなわち、比較例5で得られた複合金属酸化物多孔体においては、高分子分散剤を使用しなかったため、高温での熱処理前においても合計細孔容量が小さくなり、さらに、アンモニア水を用いてpH10のナノコロイド溶液を調製したため、アルミナ粒子が凝集し、比較例3と同様に、アルミナがCZ粒子の拡散障壁として十分に機能しなかったと推察される。その結果、比較例5においても、比較例3と同様に、耐久試験により、OSC活性点が十分に確保されず、また、CZ粒子に担持された貴金属が粒成長し、さらに、担体内部へのガスの拡散性も低下して、貴金属担持触媒のOSC能が低下したと推察される。
一方、実施例4で得られた複合金属酸化物多孔体においては、エチレンジアミンを用いてナノコロイド溶液をpH7に調整したため、アルミナ粒子及びCZ粒子が高い相互微分散度で配置された複合金属酸化物多孔体が得られたと推察される。そして、この複合金属酸化物多孔体に高温での熱処理を施しても、高度に微分散されたアルミナの拡散障壁が十分に機能してCZ粒子の粒成長が抑制され、アルミナ粒子及びCZ粒子の高い相互微分散度が維持されたと推察される。その結果、耐久試験後の貴金属担持触媒においても、高度に微分散されたアルミナの拡散障壁が十分に機能してCZ粒子の粒成長が抑制されたため、CZ粒子の表面積が十分に確保されたことにより担体には活性点が十分に確保され、また、マクロ細孔の合計細孔容量が十分に確保されたことにより担体内部へのガスの拡散性も十分に確保され、担体内部の活性点にも多くの反応ガスが容易に到達し、さらに、高度に微分散されたアルミナ粒子及びCZ粒子に担持されたことにより貴金属の粒成長も抑制され、優れたOSC能が得られたと推察される。
(実施例5)
先ず、イオン交換水に、硝酸アンモニウムセリウム、オキシ硝酸ジルコニル、硝酸イットリウム、硝酸アルミニウム、硝酸ランタンを、陽イオン濃度が1.0mol/L、金属塩の添加量がAl:CeO:ZrO:Y:La=29.5:27.9:36.9:2.0:3.9に相当する質量比となるように溶解し、さらに6−アミノカプロン酸を0.4mol/Lとなるように溶解して複合金属酸化物の原料となる陽イオンと低分子分散剤とを含む第一の原料溶液を調製した。次いで、同量のイオン交換水に、重量平均分子量8000のポリエチレングリコールを20g/Lとなるように、エチレンジアミンを45g/Lとなるように溶解して第二の原料溶液を調製した。
次に、これらの第一及び第二の原料溶液を用い、ローター11の回転速度を10000rpmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、金属化合物の透明なナノコロイド溶液(pH3.6)を調製した。なお、ローター11と外側ステータ12との間の領域における剪断速度は23500sec−1であり、ローター11と内側ステータ13との間の領域における剪断速度は13500sec−1であった。
得られたナノコロイド溶液にポリエチレングリコールを175g/Lとなるように添加して十分に撹拌した後、撹拌しながらエチレンジアミンを滴下してpH7の懸濁液を調製した。その後、攪拌を30分間継続した。得られた懸濁液に実施例1と同様に脱脂処理を施した後、得られた金属化合物粉末を実施例1と同様に焼成して複合金属酸化物多孔体粉末を得た。
この複合金属酸化物多孔体粉末について、高温での熱処理(空気中、1100℃、5時間)前後の比表面積、細孔容量、平均結晶子径を前記方法に従って測定した。なお、水銀ポロシメーターとしてはマイクロメリティックス社製「AutoPore iv9500」を用いた。また、高温での熱処理(空気中、1100℃、5時間)後の複合金属酸化物多孔体粉末の各金属元素の含有率の標準偏差を前記方法に従って算出した。これらの結果を表3に示す。
また、得られた複合金属酸化物多孔体粉末を用いた以外は前記方法に従ってペレット状のPd担持触媒を調製した。このPd担持触媒の酸素吸蔵能(600℃)を前記方法に従って測定した。また、前記Pd担持触媒に対して前記方法に従って耐久試験(1100℃、5時間)を行なった後、前記方法に従って耐久試験後の酸素吸蔵能(600℃)を測定した。これらの結果を表3に示す。
表3に示した結果から明らかなように、低分子分散剤が複合金属酸化物の原料となる陽イオンを含む第一の原料溶液に含まれている場合(実施例5)には、より耐熱性に優れた複合金属酸化物多孔体が得られることがわかった。さらに、この複合金属酸化物多孔体を担体として用いた貴金属担持触媒も、より耐熱性に優れたものであることがわかった。
以上説明したように、本発明によれば、高温に曝された場合でも優れた酸素吸蔵能(OSC能)を示す触媒(特に、少ない貴金属担持量でも優れたOSC能を示す触媒)を得ることが可能な排ガス浄化用触媒担体及びその製造方法を提供することが可能となる。
10…ホモジナイザー、11…ローター、12…外側ステータ、13…内側ステータ、14…回転シャフト、15…モーター、16A,16B…ノズル、17A,17B…流路(供給管)、20…反応容器、A,B…反応溶液、X…回転軸、Y…回転軸Xに対して直交する面。

Claims (10)

  1. アルミナを5〜30質量%、セリアを25〜39質量%、ジルコニアを33〜51質量%含有する複合金属酸化物多孔体からなり、
    空気中、1100℃で5時間焼成した後の複合金属酸化物多孔体が、球面収差補正装置付き走査透過型電子顕微鏡を用いて行なったエネルギー分散型X線分析により求めた、100個の微小領域(1個の微小領域は縦300nm×横330nm)についてのアルミニウム元素、セリウム元素及びジルコニウム元素の含有率(単位:at%)の標準偏差が全て18.5以下であるという条件を満たすものであることを特徴とする排ガス浄化用触媒担体。
  2. 空気中、1100℃で5時間焼成した後の複合金属酸化物多孔体が、窒素吸着法により測定した1nm〜0.1μmの範囲内の細孔直径を有する細孔の合計細孔容量が0.1cm/g以上であり、水銀圧入法により測定した0.1μm〜10μmの範囲内の細孔直径を有する細孔の合計細孔容量が0.1cm/g以上であるという条件を満たすものであることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化用触媒担体。
  3. 空気中、1100℃で5時間焼成した後の複合金属酸化物多孔体が、窒素吸着法により測定したBET比表面積が2m/g以上であるという条件を満たすものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス浄化用触媒担体。
  4. 空気中、1100℃で5時間焼成した後の複合金属酸化物多孔体が、前記エネルギー分散型X線分析により求めた、100個の微小領域についてのセリウム元素及びジルコニウム元素の含有率(単位:at%)の標準偏差が全て10以下であるという条件を満たすものであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体。
  5. 請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体と該触媒担体に担持されている貴金属とを備えるものであることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
  6. 前記貴金属がパラジウムであることを特徴とする請求項5に記載の排ガス浄化用触媒。
  7. アルミナ、セリア及びジルコニアを含有する複合金属酸化物多孔体からなる排ガス浄化用触媒担体の製造方法であって、
    複合金属酸化物多孔体中のアルミナの含有率が5〜30質量%、セリアの含有率が25〜39質量%、ジルコニアの含有率が33〜51質量%となるように、アルミニウムイオンとセリウムイオンとジルコニウムイオンとを含有する第一の原料溶液を調製する工程と、
    重量平均分子量3000〜15000の高分子分散剤を含有する第二の原料溶液を調製する工程と、
    第一の原料溶液と第二の原料溶液とを1000〜200000sec−1の剪断速度となっている領域に独立に直接導入して均質混合して金属化合物のコロイド溶液を得る工程と、
    前記コロイド溶液のpHを3〜5に調整する工程と、
    pH調整後のコロイド溶液を脱脂し、酸化雰囲気下、700〜1050℃で熱処理して前記複合金属酸化物多孔体を得る工程と
    を含むことを特徴とする排ガス浄化用触媒担体の製造方法。
  8. アルミナ、セリア及びジルコニアを含有する複合金属酸化物多孔体からなる排ガス浄化用触媒担体の製造方法であって、
    複合金属酸化物多孔体中のアルミナの含有率が5〜30質量%、セリアの含有率が25〜39質量%、ジルコニアの含有率が33〜51質量%となるように、アルミニウムイオンとセリウムイオンとジルコニウムイオンとを含有する第一の原料溶液を調製する工程と、
    重量平均分子量3000〜15000の高分子分散剤を含有する第二の原料溶液を調製する工程と、
    第一の原料溶液と第二の原料溶液とを1000〜200000sec−1の剪断速度となっている領域に独立に直接導入して均質混合して金属化合物のコロイド溶液を得る工程と、
    前記コロイド溶液のpHを3〜5に調整する工程と、
    前記コロイド溶液に有機アミンを添加してゲル化処理を施し、金属化合物の懸濁液を得る工程と、
    前記懸濁液を脱脂し、酸化雰囲気下、700〜1050℃で熱処理して前記複合金属酸化物多孔体を得る工程と
    を含むことを特徴とする排ガス浄化用触媒担体の製造方法。
  9. 第一及び第二の原料溶液のうちの少なくとも一方が、分子量40〜200の低分子分散剤をさらに含有するものであることを特徴とする請求項7または8に記載の排ガス浄化用触媒担体の製造方法。
  10. 前記低分子分散剤が第一の原料溶液に含まれていることを特徴とする請求項9に記載の排ガス浄化用触媒担体の製造方法。
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