JP2014023798A - ミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】、円縫い装置を用いた円縫いが可能であって、実際の縫製で縫製対象物に縫い縮みが生じても、縫い始めの模様と縫い終わりの模様のずれを抑えることができるミシンを提供する。
【解決手段】イメージセンサから出力される最新の画像データが取得され(S41)、画像中で識別されたマークの位置が特定される(S43)。特定されたマークの位置と、前回特定されたマークの位置に基づき、縫製対象物の実際の移動量が特定される(S44)。搬送量データが示す予定搬送量と実際の移動量との間に誤差がある場合(S45:YES)、誤差が記憶された後(S46)、縫目が1つ形成される(S47)。模様が1個縫製されると(S48:YES)、その模様の縫製中に累積された誤差に基づいて、次の模様の縫目に対応する搬送量データが補正される(S50)。次の模様の縫目は、補正後の搬送量データに基づいて形成される(S47)。
【選択図】図7

Description

本発明は、円縫い装置を用いて同じ模様を連続して円形に縫製することが可能なミシンに関する。
選択された模様を円周に沿って繰り返し縫うための円縫い装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の円縫い装置を用いる場合、ユーザは、ジグザグミシンの針板に設けられた複数の穴の何れか1つに布の上からピンを差し込み、布の1点を針板に対して係止する。ミシンのCPUは、係止点と針の中心との距離、すなわち円の半径を認識し、半径に基づいて円周を算出する。CPUは、選択された模様の長さと円周に基づき、長さが補正される模様の数と補正データを算出して記憶する。CPUは、算出された数の模様の長さを補正データに基づいて補正して縫製を行うことで、縫い始めの点と縫い終わりの点を一致させる。
特開平4−89087号公報
実際の縫製においては、加工布等の縫製対象物に縫い縮みが生じる場合がある。また、縫い縮みの度合いは縫製対象物の種類によって異なる。よって、特許文献1に記載のミシンで作成された補正データに基づいて縫製が行われた場合であっても、縫い始めの点と縫い終わりの点が一致せず、模様がずれる場合が生じうる。
本発明は、円縫い装置を用いて同じ模様を複数個連続して円形に縫製することが可能であって、実際の縫製において縫製対象物に縫い縮みが生じても、縫い始めの模様と縫い終わりの模様のずれを抑えることができるミシンを提供することを目的とする。
本発明の第一態様に係るミシンは、縫針が縫製対象物に刺さる位置である針落ち点から離間した係止位置で前記縫製対象物を回転可能に係止する円縫い装置を装着可能なミシンであって、搬送手段と、縫製手段と、距離特定手段と、搬送量設定手段と、移動量特定手段と、補正手段とを備えている。前記搬送手段は、縫製対象物を所定の搬送方向に沿って搬送する。前記縫製手段は、前記搬送手段によって搬送される前記縫製対象物に縫目を形成する。前記距離特定手段は、前記係止位置と前記針落ち点との距離を特定する。前記搬送量設定手段は、選択された模様の前記搬送方向における長さと前記距離とに基づき、前記模様の縫目を形成するために前記搬送手段によって搬送される前記縫製対象物の予定搬送量を示す第一搬送量データを、前記距離を半径とする円の円周の長さと複数個分の前記模様の前記搬送方向における長さとが一致するように変更して、第二搬送量データとして設定する。前記移動量特定手段は、前記第二搬送量データに基づいて前記搬送手段によって搬送された前記縫製対象物の実際の移動量を特定する。前記補正手段は、搬送時に用いられた前記第二搬送量データが示す搬送量と、特定された前記移動量との差異に基づき、前記複数個の前記模様の縫目のうち、未形成の少なくとも1つの縫目に対応する前記第二搬送データを補正する。
本発明の第二態様に係るミシンは、縫針が縫製対象物に刺さる位置である針落ち点から離間した係止位置で前記縫製対象物を回転可能に係止するよう構成された円縫い装置を装着可能なミシンであって、搬送機器と、縫製機器と、プロセッサとを備えている。前記搬送機器は、縫製対象物を所定の搬送方向に沿って搬送するよう構成されている。前記縫製機器は、前記搬送機器によって搬送される前記縫製対象物に縫目を形成するよう構成されている。前記プロセッサは、前記係止位置と前記針落ち点との距離を特定し、選択された模様の前記搬送方向における長さと前記距離とに基づき、前記模様の縫目を形成するために前記搬送機器によって搬送される前記縫製対象物の予定搬送量を示す第一搬送量データを、前記距離を半径とする円の円周の長さと複数個分の前記模様の前記搬送方向における長さとが一致するように変更して、第二搬送量データとして設定し、前記第二搬送量データに基づいて前記搬送機器によって搬送された前記縫製対象物の実際の移動量を特定し、搬送時に用いられた前記第二搬送量データが示す搬送量と、特定された前記移動量との差異に基づき、前記複数個の前記模様の縫目のうち、未形成の少なくとも1つの縫目に対応する前記第二搬送データを補正するよう構成されている。
第一態様または第二態様のミシンに円縫い装置が装着されている場合、円縫い装置に回転可能に係止された縫製対象物を回転させながら、回転中心と針落ち点との距離を半径とする円周に沿って、選択された模様を連続して縫製することが可能となる。この場合、ミシンでは、まず、第一搬送量データが円周の長さに応じて第二搬送量データに変更される。その後、第二搬送量データに基づいて縫製対象物が搬送されると、この時の第二搬送量データが示す搬送量と、特定された縫製対象物の実際の移動量との差異に基づき、未形成の少なくとも1つの縫目に対応する第二搬送データが補正される。実際の縫製において縫製対象物に縫い縮みが生じた場合、第二搬送量データが示す搬送量と縫製対象物の実際の移動量には差異が生じる。この差異に応じて補正が行われるので、縫い始めの模様と縫い終わりの模様のずれを抑えることができる。
円縫い装置100が取り付けられた状態のミシン1の斜視図である。 ピボットピン150が取り外された状態の円縫い装置100の平面図である。 頭部5の下端部と内部の構成を示す説明図である。 ピボットピン150の斜視図である。 ミシン1の電気的構成を示すブロック図である。 円縫い処理のフローチャートである。 円縫い処理で行われる縫製処理のフローチャートである。 模様選択用の画面30の説明図である。 イメージセンサ50の撮影範囲51、52の説明図である。 マーク110の説明図である。 変形例に係る縫製処理のフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1〜図3を参照して、ミシン1の物理的構成について、説明する。図1の上下方向、右前方、左後方、左前方、右後方が、夫々、ミシン1の上下方向、前方、後方、左方、右方である。つまり、スタート/ストップスイッチ13が配置された面がミシン1の前面である。ベッド部2およびアーム部4の長手方向がミシン1の左右方向であり、脚柱部3が配置されている側が右側である。脚柱部3の伸長方向がミシン1の上下方向である。
図1に示すように、ミシン1は、ベッド部2、脚柱部3、アーム部4、及び頭部5を備える。ベッド部2は、左右方向に延びるミシン1の土台である。脚柱部3は、ベッド部2の右端部から上方へ立設されている。アーム部4は、ベッド部2に対向して脚柱部3の上端から左方へ延びる。頭部5は、アーム部4の左先端部に連結する部位である。
ベッド部2の上面には、針板20が配設されている。図2に示すように、針板20は、針穴21と、針穴21の周囲に設けられた複数の角穴22を有する。縫針7が貫通可能な針穴21は、左右方向に長い長孔であり、僅かに湾曲している。複数の角穴22は、送り歯25に形成された複数の歯部251が出没可能に構成されている。
針板20の下側のベッド部2内には、送り歯25、搬送機構87(図5参照)、釜機構等(図示せず)が設けられている。送り歯25は、搬送機構87により駆動され、縫製対象物を所定の搬送方向(ミシン1の前方向又は後ろ方向)に搬送するよう構成されている。搬送機構87は、送り歯25を上下方向および前後方向に移動させる機構である。釜機構には、下糸が巻回されたボビンが収容可能である。釜機構は、後述する針棒6下端に装着された縫針7と協働して縫製対象物に縫目を形成するよう構成された機構である。
図1に示すように、脚柱部3の前面には、縦長長方形状の液晶ディスプレイ(以下、LCDという)11が設けられている。LCD11には、コマンド、イラスト、設定値、メッセージ等の様々な項目を含む画像が表示される。LCD15の前面側には、押圧された位置を検知可能なタッチパネル12が設けられている。ユーザが、指や専用のタッチペンを用いてタッチパネル12の押圧操作を行うと(以下、この操作を「パネル操作」と言う。)、タッチパネル12によって、押圧された位置が検知される。そして、検知された押圧位置に基づき、画像中で選択された項目が認識される。ユーザは、このようなパネル操作によって、縫製したい模様や実行すべきコマンドを選択できる。
アーム部4の上部には、開閉可能なカバー43が設けられている。なお、図1では、カバー43は開けられた状態である。カバー43の下方、つまりアーム部4の内部には、糸収容部41が設けられている。糸収容部41には、上糸を供給する糸駒45が収容される。また、アーム部4内部には、左右方向に延びる主軸(図示せず)が設けられている。主軸は、ミシンモータ81(図5参照)により回転駆動される。アーム部4の前面下部には、スタート/ストップスイッチ13を含む各種スイッチが設けられている。スタート/ストップスイッチ13は、ミシン1の運転を開始又は停止させる、即ち、縫製開始又は停止の指示を入力するのに使用される。
図1及び図3に示すように、頭部5の下部には、針棒6が設けられている。針棒6の下端部には縫針7が着脱可能である。針棒6の後側に設けられた押え棒の下端部には、縫製対象物を上方から押える押え足8が固定される。押え足8は押え棒とともに上下動可能である。また、図3に示すように、頭部5の内部には、イメージセンサ50が設けられている。イメージセンサ50は、例えば、周知のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。イメージセンサ50は、ベッド部2上の所定範囲を撮影し、画像データを出力する。出力された画像データはRAM63の所定の記憶エリアに記憶される。
頭部5の内部には、このほか、主軸の回転に伴って針棒6を上下動させる針棒上下動機構86(図5参照)、送り歯25による縫製対象物の搬送方向(前後方向)と直交する方向(左右方向)に針棒6を揺動させる針棒揺動機構88(図5参照)等が設けられている。
次に、図1、図2及び図4を参照して、円縫い装置100について説明する。円縫い装置100は、ミシン1に装着され、針落ち点から離間した係止位置で縫製対象物を回転可能に係止して、係止位置を中心として縫製対象物を回転させながら円形に縫目を形成すること(以下、円縫いという)を可能とする器具である。本実施形態で例示する円縫い装置100は、特開2010−178837公報に開示されている円縫い装置と同じ構成を有する。図1に示すように、円縫い装置100は、本体120と、本体120に移動可能に保持された可動部130と、可動部130に対して着脱可能なピボットピン150とを備える。
本体120は、針板20の上面に着脱可能に構成された平面視略矩形状の薄板部材である。図2に示すように、本体120は、右端部近傍に、前端から後方へ凹む凹部123を有する。凹部123から右側の部分を取付け部121、取付け部121の左端に接続して左方へ延びる部分をガイド部122という。
取付け部121は、右端部においてネジ129で針板20に固定される部分である。本体120は、凹部123の内側に針穴21および角穴22が位置するように配置され、針板20に固定される。押え足8(図1参照)は、下方に移動されて縫製対象物を押さえる場合、凹部123の内側に配置される。ガイド部122は、可動部130を移動可能に保持する部分である。
ガイド部122の前端部に沿って、所定間隔(例えば5ミリ間隔)で目盛り124が設けられている。目盛り124は、縫針7が縫製対象物に刺さる位置である左針落ち点(本実施形態では、図2に示す縫針7の位置)に対する可動部130の位置合わせの目安として使用される。ガイド部122の後部には、左右方向に真っ直ぐ延びる開口部であるレール溝125がされている。レール溝125には、前端部に沿って複数のV字溝が所定間隔(例えば5ミリ間隔)で形成されている。
可動部130は、平面視L字状の部材であり、ガイド部122の四分の一程度の左右方向長さを有し、後述するピボットピン150の針153(図4参照)の長さよりも大きい高さを有する。可動部130の後部には、下方へ突出する係合部135(図2では右端のみ図示)が設けられている。係合部135は、ガイド部122のレール溝125に沿って移動可能、且つV字溝に係合に構成されている。係合部135がレール溝125に沿って左右方向に移動され、何れかのV字溝に係合することで、可動部130は何れかの目盛りに対応する位置で保持される。また、可動部130の左右方向中央部には、前方へ突出する三角形状のマーカ133が設けられている。マーカ133が指す目盛り124の値は、円縫いの円の半径を示す。
可動部130の右前部には、平面視略矩形状の針ホルダ131が設けられている。針ホルダ131の上面には、後述するピボットピン150の針153(図4参照)が挿通される貫通孔141と、インジケータ140とが形成されている。インジケータ140は、貫通孔141を中心として、Y字状に120度間隔で3方向へ放射状に延びる溝部を有する。インジケータ140の3つの溝部は、夫々、浅い直線状の溝である。インジケータ140は、ピボットピン150の針153を貫通孔141に挿入案内する機能と、貫通孔141の位置をわかりやすく示す機能を有する。なお、本実施形態では、インジケータ140は後述する円縫い処理で画像中の識別対象とされるので、識別を容易にするために、3つの溝部が周囲とは異なる色で着色されていると好ましい。
また、図示はしないが、針ホルダ131下方の可動部130の内部には、係合爪が設けられている。係合爪は、コイルばねの付勢力で貫通孔141に挿通された針153を左右方向から挟んで保持するよう構成されている。針ホルダ131の前側には、操作部132が設けられている。操作部132は、後方へ押圧された時に係合爪による保持を解除するよう構成されている。
図4を参照して、ピボットピン150について説明する。ピボットピン150は、円筒状の保持体151と、保持体151下部に一部が挿入されたカバー部材152と、尖った先端がカバー部材152から下方に突出する針153とを備える。保持体151は、その中心軸に沿って針53の基端側を固定保持する。カバー部材152は、保持体151に対して上下方向に移動可能に構成されている。カバー部材152の下端は、保持体151の径方向外側に突出するフランジ状に形成されている。保持体151とカバー部材152の間には、カバー部材152を保持体151に対して下方へ付勢するコイルばねが配置されている。
ピボットピン150の針153が先端側から前述の針ホルダ131の貫通孔141に挿通されると、針ホルダ131内部の係合爪によって、ピボットピン150が可動部130に保持される(図1参照)。なお、本実施形態では、ピボットピン150は後述する円縫い処理で画像中の識別対象とされるので、識別を容易にするために、少なくとも保持体151が針ホルダ131とは異なる色で着色されていると好ましい。
図1、図2及び図4を参照して、円縫い装置100の使用方法について説明する。ユーザは、まず、図1に示すように、本体120の取付け部121をネジ129で針板20に固定する。そして、図2に示すように、ピボットピン150は外した状態で、目盛り124を確認しながら、マーカ133が所望の円縫いの円の半径に対応する値を指す位置まで、可動部130をレール溝125に沿って左右方向に移動させる。なお、円縫いの円の半径は、左針落ち点(本実施形態では、図2に示す縫針7の位置)とピボットピン150の針153が刺される貫通孔141、つまり縫製対象物の係止位置との距離である。
その後ユーザは、ピボットピン150が外された円縫い装置100が装着されたベッド部2上に、縫製対象物を配置する。ユーザは、縫製対象物上の円縫いの中心位置にピボットピン150の針153を刺し、更に、針153を針ホルダ131の貫通孔141に刺す。針ホルダ131内部の係合爪が針153を挟んで保持することで、縫製対象物は、貫通孔141の位置(言い換えると、平面視でピボットピン150の中心にある針153の位置)で係止された状態となる。
なお、ピボットピン150のカバー部材152は下方に付勢されているので、縫製対象物はカバー部材152によって押圧されるが、送り歯25が駆動すると針153を中心に回転可能な状態である。このような状態で、ユーザが所望の模様を選択し、ミシン1に縫製動作を開始させることで、円縫いが行われる。
図5を参照して、ミシン1の電気的構成について説明する。図5に示すように、ミシン1は、CPU61と、バス65によって夫々CPU61に接続されたROM62と、RAM63と、フラッシュROM64と、入出力インターフェイス(I/O)66とを備えている。
CPU61は、ミシン1の主制御を司り、ROM62に記憶された各種プログラムに従って、縫製に関わる各種演算及び処理を実行する。ROM62は、図示しないが、プログラム記憶エリアと、模様記憶エリアとを含む複数の記憶エリアを備える。プログラム記憶エリアには、ミシン1を動作させるための各種プログラムが記憶されている。記憶されたプログラムには、例えば、後述する円縫い処理をミシン1に実行させるためのプログラムがある。模様記憶エリアには、各種の模様を縫製するための縫製データが記憶されている。
本実施形態では、各模様の縫製データは、送り歯25による縫製対象物の予定搬送量を示す搬送量データを少なくとも含む。より詳細には、予定搬送量は、模様の縫目の夫々を形成する時に必要な、縫製対象物の搬送方向における移動距離の目標値である。本実施形態では、搬送量データとして、縫製対象物を予定搬送量搬送するために搬送モータ82に与えられる駆動パルス数(モータ回転方向を含む)を示すデータが使用されている。模様が、ジグザグ縫い等、縫製時に針棒6の揺動を伴う模様の場合は、縫製データは、搬送量データに加え、針棒揺動機構88による針棒6の予定揺動量を示す揺動量データを含む。例えば、揺動量データは、1つの縫目を形成するために揺動モータ83に与えられる駆動パルス数(モータ回転方向を含む)を示すデータである。
また、模様記憶エリアには、各模様の縫製データに対応付けて、模様の搬送方向における長さや、搬送方向と直交する方向における幅(揺動量データがある場合のみ)が記憶されていてもよい。模様の搬送方向における長さは、模様の縫目の各々の予定搬送量の総計に相当する。
RAM63には、CPU61が演算処理した演算結果等を収容する記憶エリアが必要に応じて設けられる。フラッシュROM64には、ミシン1が各種処理を実行するための各種パラメータが記憶されている。I/O66には、駆動回路71〜74と、タッチパネル12と、スタート/ストップスイッチ13と、イメージセンサ50とが接続されている。
駆動回路71には、ミシンモータ81が接続されている。駆動回路71は、CPU61からの制御信号に従って、ミシンモータ81を駆動する。ミシンモータ81の駆動に伴い、ミシン1の主軸(図示せず)を介して針棒上下動機構86が駆動され、針棒6が上下動される。駆動回路72には、搬送モータ82が接続されている。搬送モータ82は、搬送機構87を駆動するパルスモータである。駆動回路72は、CPU61からの制御信号に従って、搬送モータ82を駆動する。搬送モータ82の駆動に伴い、搬送機構87が送り歯25を上下及び前後方向に移動させることで、制御信号に応じた搬送量だけ縫製対象物を搬送させる。
駆動回路73には、揺動モータ83が接続されている。揺動モータ83は、針棒揺動機構88を駆動するパルスモータである。駆動回路73は、CPU61からの制御信号に従って、揺動モータ83を駆動する。揺動モータ83の駆動に伴い、針棒揺動機構88が針棒6を左右方向に移動させることで、制御信号に応じた揺動量だけ針棒6を揺動させる。駆動回路74は、CPU61からの制御信号に従ってLCD11を駆動することで、LCD11に画像を表示させる。
以下、図6〜図10を参照して、本実施形態における円縫い処理について説明する。円縫い処理は、ユーザが、例えばパネル操作によって円縫い処理を開始する指示を入力した場合に開始される。円縫い処理を実行するためのプログラムは、ROM62(図5参照)に記憶されており、CPU61によって実行される。以下の説明において、イメージセンサ50が出力した画像データによって表される画像を、撮影画像という。
図6に示すように、円縫い処理では、CPU61はまず、縫製される模様の選択を受け付ける(S1)。具体的には、例えば、ROM62に縫製データが記憶されている、ミシン1で縫製可能な複数の模様を示す画面が、LCD11に表示される。ユーザが表示された模様のうち1つをパネル操作で選択すると、その模様に応じて、実際に縫製される模様として選択された模様(以下、選択模様という)が特定され、その縫製データがROM62から読み出され、RAM63に記憶される。
また、ユーザは、画面に表示された数値変更キーのパネル操作により、選択模様の搬送方向における長さL1や、搬送方向に直交する方向における幅W1を変更することができる。この場合、RAM63に記憶された選択模様の縫製データは、長さL1や幅W1の変更に応じて補正される。なお、長さL1、幅W1は、前述のように、縫製データと対応付けてROM62に記憶されていてもよいし、縫製データに含まれる搬送量データ及び揺動量データから算出されてもよい。ユーザがS1で長さL1も幅W1も変更しなければ、縫製データはROM62から読み出されたままの状態で、処理はS2に進む。
例えば、S1で、ユーザは、図8に示す画面30に表示された複数の模様のうち、模様35を選択する。模様35は、左針落ち点の位置は変化せず、複数の右針落ち点の位置が徐々に円弧状に変化するように縫製されるジグザグ模様である。模様35が選択されると、模様35の縫製データが読み出される。模様35の搬送方向における長さL1は20ミリ(mm)、搬送方向に直交する方向における幅W1は最大7mmである。
ここで、図9を参照して、本実施形態におけるイメージセンサ50の撮影範囲51について説明する。図9に示すように、本実施形態の撮影範囲51は、針穴21を含み、円55を包含する矩形範囲に設定されている。円55は、円縫い装置100の目盛りのうち最も大きい値R1に等しい距離だけ左針落ち点Pから左へ離れた点を円の中心C1とする、半径R1の円である。
図6に示すように、CPU61は、イメージセンサ50を制御して、撮影を行わせ、イメージセンサ50から出力された最新の画像データを、RAM63の演算用の記憶エリアに取得する(S2)。CPU61は、撮影画像中でインジケータ140を識別できたか否かを判断する(S3)。インジケータ140の識別には、いかなる周知の画像認識方法が用いられてもよい。例えば、エッジ抽出により、撮影画像中の線が検出される。その後、予めフラッシュROM64に記憶された、インジケータ140の3つの溝部の形状を示すテンプレートと、検出された線とを比較するパターンマッチングが行われる。その結果、テンプレートとほぼ同じ形状の線を含む部分があれば、その部分がインジケータ140として識別される。
ミシン1に円縫い装置100が装着されていない場合、CPU61がインジケータ140を識別することはない(S3:NO)。この場合、CPU61は、更に、撮影画像中でピボットピン150を識別したか否かを判断する(S4)。ピボットピン150の識別も、インジケータ140と同様、いかなる周知の画像認識方法で行われてもよい。例えば、エッジ抽出と、保持体151の円形の輪郭線を示すテンプレートを用いたパターンマッチングが行われればよい。ミシン1に円縫い装置100が装着されていない場合、CPU61はピボットピン150を識別することもない(S4:NO)。この場合、CPU61は、S2の処理に戻り、最新の画像データを取得する。インジケータ140またはピボットピン150を識別するまで、CPU61は最新の画像データを取得する処理を繰り返す。
ユーザが円縫い装置100をミシン1に装着し、可動部130を移動させて、所望の円の半径を設定した場合、CPU61は、インジケータ140を識別する(S3:YES)。インジケータ140の3つの溝部が交わる点は、貫通孔141、つまり、縫製対象物がピボットピン150の針153で係止される係止位置に相当する。図9に示すように、この係止位置を縫製対象物の回転中心C2として、円縫いが行われる。よって、CPU61は、撮影画像中のインジケータ140の3つの溝部が交わる点(貫通孔141)と左針落ち点Pとの距離に基づいて、円縫い時の円の半径R2を特定できる。特定された係止位置を示すデータと円の半径R2を示すデータは、RAM63の所定の記憶エリアに記憶される。
なお、撮影範囲51は固定なので、撮影画像中の左針落ち点Pの位置は既知であるから、この位置が予めフラッシュROM64に記憶され、使用されてもよい。あるいは、周知の画像認識方法を用いて、インジケータ140と同様に、左針落ち点Pが撮影画像から識別され、識別された左針落ち点Pの位置が使用されてもよい。
CPU61は、S1で受け付けられた選択模様の長さL1と、S11で特定された半径R2に基づき、半径R2の円の円周に沿って選択模様を縫製する場合の選択模様の個数(以下、模様数という)Nと、選択模様の搬送方向における長さL2とを設定する(S12)。模様数Nと長さL2は、例えば、特開平4−89087に記載の方法によって算出できる。以下に、具体的な方法について簡単に説明する。まず、半径R2の円の円周の長さLは、以下の式で求められる。なお、以下の式では簡単化のため、円周率πとして3.1415を用いる。
L=2×3.1415×R2
また、以下の式で求められる値N1が整数の場合、長さL1の模様N1個を長さLの円周に沿って隙間なく配置できる。よって、この場合は、模様数NとしてN1、長さL2として長さL1がそのまま設定される(N=N1、L2=L1)。
N1=L/L1
一方、上記式で求められた値N1が整数でない場合、模様の長さL1を変更しない限り、半径R2の円の円周に沿って複数の模様を隙間なく配置することはできない。よって、模様数NとしてN1の小数点以下を四捨五入した値が設定される。更に、以下の式に基づき、長さL2が算出される。つまり、長さL2の模様N個分の長さは、半径R2の円の円周の長さLと等しくなるように、長さL2が求められる。
L2=L1+{L−(N×L1)}/N
例えば、選択模様が図8に示す模様35の場合、模様35の元々の長さL1は20mmである。円縫いの半径R2が例えば50mmである場合、円周の長さLは、314.15mmであるから、値N1は15.7で整数にならない。よって、模様数Nは、16に設定される。この場合、模様35の16個分の長さは320mmであるから、円周の長さLとの差である5.85mmが16個の模様に配分される。つまり、模様35の長さL2は、19.63mm(=20−5.85/16)に設定される。
CPU61は、S11で特定された半径R2、S12で設定された模様数N及び長さL2を示す画像をLCD11に表示させる(S14)。これにより、ユーザは、半径R2の円の円周に沿って、選択模様が縫製される場合、選択模様がどの程度の長さで何個配置されるかを確認することができる。なお、S14では、選択模様の長さの初期値である長さL1と補正された長さL2とが表示されてもよい。この場合、ユーザは、選択模様が本来の形状からどの程度伸縮されるのかを容易に認識することができる。
CPU61は、模様数N及び長さL2の表示後、S2の処理に戻り、最新の画像データを取得して、インジケータ140を識別したか否かを判断する(S3)。CPU61は、インジケータ140を識別している間は(S3:YES)、前述のS11〜S14の処理を行っては、最新の画像データを取得する処理(S2)を繰り返す。この間、円縫い装置100において本体120に対する可動部130の位置が変更されなければ、LCD11には同じ画像が表示され続ける。一方、選択模様の模様数Nや長さL2が意図したのとは異なる場合、ユーザは、可動部130を本体120に対して移動させ、半径R2を変更することができる。この場合、可動部130の移動後に最新の画像データが取得されると、変更後の半径R2に基づいて模様数Nや長さL2が新たに設定され、表示されることになる。
ユーザは、選択模様の模様数Nや長さL2を確認した後、続けて縫製を行おうとする場合、縫製対象物を、円縫い装置100が装着されたベッド部2上に配置する。そして、前述したように、ピボットピン150を縫製対象物の上から針ホルダ131の貫通孔141に突き刺すことで、縫製対象物をこの位置で回転可能に係止する。インジケータ140が縫製対象物に覆われた状態で、最新の画像データが取得されると(S2)、撮影画像中でインジケータ140が識別されることはない(S3:NO)。また、縫製対象物が配置された後、ピボットピン150が刺されるまでの間は、ピボットピン150も識別されない(S4:NO)。
ピボットピン150が縫製対象物の上から刺された後、最新の画像データが取得されると(S2)、ピボットピン150が撮影画像中に含まれるので、ピボットピン150が識別される(S3:NO、S4:YES)。この場合、CPU61は、撮影画像中のピボットピン150の位置に基づき、設定された円の半径R2を特定する(S21)。
前述の通り、縫製対象物の上から貫通孔141に挿通されることで、縫製対象物が係止される係止位置を規定する針153は、円筒状の保持体151の中心軸に沿って固定されている。図9に示すように、この係止位置を縫製対象物の回転中心C2として、円縫いが行われる。よって、CPU61は、撮影画像中で識別されたピボットピン150の保持体151の円形の輪郭線の中心と、左針落ち点との距離を、円縫い時の円の半径R2として特定すればよい。なお、左針落ち点の位置については、S11の処理に関して説明した通りである。CPU61は、S1で受け付けられた選択模様の長さL1と、S21で特定された半径R2に基づいて模様数Nと長さL2を設定する(S22)。S22の処理は、前述のS12の処理と同じであるため、ここでの説明は省略する。
その後、CPU61は、S22で設定された選択模様の長さL2に基づいて、S1で読み出された選択模様の縫製データに含まれる搬送量データを補正し、補正後の搬送量データをRAM63の所定の記憶エリアに記憶する(S23)。前述の模様35の場合、長さL2は19.63mmであり、模様35を構成する複数のジグザグの各縫目長さ(各縫目の予定搬送量)が均等に縮小されることで、搬送量データが補正される。なお、S22で、模様NとしてN1、長さL2として長さL1がそのまま設定された場合は、S1で取得され、適宜変更された搬送量データが、補正後の搬送量データとされればよい。
CPU61は、LCD11に、半径R2、模様数N、及び長さL2を表示させる(S24)S24の処理は、前述のS14の処理と同じであるため、ここでの説明は省略する。
続いて、CPU61は、S2で取得された撮影画像中でマーク110(図9及び図10参照)を識別できたか否かを判断する(S31)。本実施形態のマーク110は、縫製対象物の実際の移動量を検出するために縫製対象物上に配置される印の一例である。
図10を参照して、マーク110について説明する。マーク110は、白色の薄板状のシート108と、その上面に黒色で描かれた線画を含む。シート108は、例えば、縦が約2.5cm、横が約2.5cmの正方形状である。シート108の上面に描かれた線画は、第一円101と、第一円101の中心である第一中心点111と、第二円102と、第二円102の中心である第二中心点112と、線分103、104、105、106とを含む。
第一円101は、正方形のシート108の中心点を第一中心点111として描かれている。第二円102は、第一円101に接し、且つ、第一中心点111と第二中心点112とを通る仮想的な直線(図示せず)がシート108の一辺に平行となる位置に描かれている。第二円102の直径は、第一円101の直径よりも小さい。線分103と線分104は、第一中心点111と第二中心点112とを通る仮想的な直線(図示せず)と重なり、且つ、第一円101と第二円102の夫々からシート108の外縁まで延びる線分である。線分105と線分106は、第一円101の第一中心点111を通り、線分103に直交する仮想的な直線(図示せず)と重なり、且つ、夫々が第一円101の外縁からシート108の外縁まで延びる線分である。
シート108の裏面には透明の粘着剤が塗着されている。従って、シート108を縫製対象物上に貼付することが可能である。通常、シート108は剥離紙(図示せず)に貼着された状態になっている。例えば、図9に示すように、半径R2の円56の円周に沿って模様35を縫製する場合、ユーザは、剥離紙からシート108を剥がして、円56内に貼り付ける。円56はイメージセンサ50の撮影範囲51内にあるので、縫製対象物が回転されても、マーク110は常に撮影範囲51内にある状態となる。
S31におけるマーク110の識別は、前述のインジケータ140及びピボットピン150の識別と同様、いかなる周知の画像認識方法で行われてもよい。例えば、エッジ抽出と、第一円101及び第二円102の輪郭線、線分103〜106を示すテンプレートを用いたパターンマッチングが行われればよい。
CPU61は、マーク110を識別できない場合(S31:NO)、S2の処理に戻る。なお、CPU61は、S2の処理に戻る前に、LCD11にマーク110を貼り付けるよう促すメッセージ画面を表示させてもよい。CPU61は、マーク110が識別できた場合(S31:YES)、縫製開始の指示があったか否か、具体的には、スタート/ストップスイッチ13(図1参照)が押されたか否かを判断する(S32)。縫製開始の指示が入力されない場合(S32:NO)、CPU61は、S2の処理に戻る。縫製開始の指示があった場合(S32:YES)、CPU61は、縫製処理を実行する(S40)。
図7を参照して、縫製処理について説明する。なお、以下では、図9に示すように、半径R2が50mmの円56の円周に沿って、前述の例のように、長さL2が19.63mmに補正された模様35が16個縫製される場合を例示する。図9の針穴21右側の矢印は、送り歯25による縫製対象物の搬送方向を示す。
CPU61はまず、カウンタの値nを1に設定し、RAM63に記憶する(S41)。nは円56の円周に沿って縫製される16個の模様35を、順に処理対象として設定するための変数である。
CPU61は、最新の画像データを取得し(S42)、撮影画像中のマーク110の位置を特定する(S43)。具体的には、前述のS31の処理で説明したように、撮影画像中でマーク110が識別される。そして、例えば、撮影画像中のマーク110の第一円101の中心である第一中心点111の位置が、マーク110の位置として特定される。特定されたマーク110の位置を示すデータは、RAM63の所定の記憶エリアに記憶される。なお、本実施形態では、マーク110の位置は、縫製対象物の移動量の特定に使用されるので、RAM63には、少なくとも現在の処理と前回の処理で特定されたマーク110の位置を示すデータが記憶される。
CPU61は、直前のS43の処理で特定されたマーク110の位置と、RAM63に記憶されている、前回S43の処理が行われた時点で特定されたマーク110の位置を示すデータに基づいて、マーク110の実際の移動量(以下、実移動量という)を特定する(S44)。なお、実移動量は、直前のS43の処理で特定された第一中心点111の位置と、前回のS43の処理で特定された第一中心点111の位置とに基づいて求められる両者間の距離である。後述するように、本実施形態では、縫目が1つ形成される度、つまり、縫製対象物が、搬送量データに基づいて縫目1つ分、送り歯25によって搬送される度に、最新の画像データが取得され、マーク110の位置が特定される。よって、マーク110の実移動量は、1つの縫目が形成された時の縫製対象物の実際の移動量に相当する。
S44の処理が初めて行われる場合、RAM63には、前回の処理で特定されたマーク110の位置を示すデータは記憶されていないので、実移動量はゼロと特定される。続いてCPU61は、S44で特定された実移動量と、S23で補正され、RAM63に記憶されている模様35の搬送量データが示す予定搬送量とを比較し、誤差が生じているか否かを判断する(S45)。S45の処理が初めて行われる場合、CPU61は、実移動量がゼロなので、誤差は生じていないと判断し(S45:NO)、S47の処理に進む。
S47では、CPU61は、縫製データに基づいてミシン1を動作させ、模様35の縫目を1つ形成させる。具体的には、CPU61は、駆動回路71を介してミシンモータ81(図5参照)を駆動し、主軸(図示せず)を回転駆動させる。主軸の回転によって針棒上下動機構86(図5参照)が駆動され、縫針7が装着された針棒6を上下動させる。また、ミシンモータ81の駆動によって針棒6の上下動と同期して釜駆動機構(図示せず)が駆動され、釜が回転駆動される。
更に、CPU61は、搬送量データ及び揺動量データに従って駆動回路72及び73を介して搬送モータ82(図5参照)及び揺動モータ83(図5参照)を駆動する。これにより、針棒6の上下動と同期して送り歯25が移動されると共に、針棒6が揺動される。なお、搬送量データとしては、S23で補正された補正後の搬送量データが使用され、揺動量データとしては、S1で取得され、適宜変更された揺動量データが使用される。このようなミシン1の動作によって、まず、模様35の1つ目の縫目が形成される。
CPU61は、模様35を1個縫製済みか否か判断する(S48)。模様35が縫製済みではない場合(S48:NO)、CPU61は、次の縫目を形成するために、S42の処理に戻る。なお、模様35を1個縫製済みか否かを判断するには、RAM63に各模様について形成済みの縫目の数をカウントすればよい。
前述のように、最新の画像データが取得され(S42)、マーク110の位置が特定されて(S43)、実移動量が算出される(S44)。2巡目の処理では、前の縫目の形成時に縫製対象物が搬送されるのとあわせてマーク110も移動しているので、ゼロではない実移動量が算出される。実移動量と予定搬送量に誤差が生じていなければ(S45:NO)、前述のミシン1の動作により、縫目が形成される(S47)。
一方、縫製対象物の縫い縮み等に起因して、誤差が生じた場合(S45:YES)、CPU61は、誤差を示す値をRAM63の所定の記憶エリアに記憶する(S46)。本実施形態では、n番目の模様35の縫製中に累積した誤差は、次の(n+1)番目の模様35で相殺される。よって、S46では、既にRAM63に記憶されている誤差がある場合、新たに生じた誤差が、記憶されている誤差に加算される。誤差が記憶された後、縫目が形成される(S47)。
1個の模様35を形成する全ての縫目が形成されると、CPU61は、模様35を1個縫製済みと判断する(S48:YES)。CPU61は、カウンタの値nが模様数Nと等しいか否か判断する(S49)。1番目の模様35の処理時には、値nは模様数Nより小さい(S49:NO)。よって、次の模様35の搬送量データが、RAM63に記憶されている縫製済みの模様35の累積誤差に基づいて補正される(S50)。
S50では、例えば、次の模様35の縫目に対応する搬送量データが、累積誤差を相殺するように補正される。例えば、累積誤差がマイナス0.2mmある場合、次の模様35で累積誤差を解消するために、搬送量は、19.63+0.2=19.83mmとされる。これに伴い、搬送量データである搬送モータ82に与えられる駆動パルス数のデータが補正される。補正後の次の模様35の搬送量データは、RAM63の所定の記憶エリアに記憶され、次の模様35の縫目形成時に使用される。
カウンタの値nに1が加算され、次の模様35が処理対象とされる(S51)。この時、RAM63に記憶されていた処理済みの(n−1)番目の模様35の累積誤差はクリアされる。CPU61は、S42の処理に戻り、最新の画像データを取得して、次の模様35についても同様の処理を行う(S42〜48)。
同様にして、16番目の模様35まで、1個の模様35を縫製する間に生じた誤差を次の模様35で相殺しながら縫製が行われる。16番目の模様35の縫製が終わると(S48:YES)、CPU61は、カウンタの値nが模様数の16と等しいと判断し(S49:YES)、縫製処理を終了する。
以上に説明したように、本実施形態のミシン1で円縫い装置100を用いて円縫いが行われる場合、CPU61は、イメージセンサ50が出力する画像データに基づいて、係止位置(針ホルダ131の貫通孔141またはピボットピン150の針153の位置)と左針落ち点との間の距離を、円縫いの円の半径として特定する。CPU61は、模様の搬送方向における長さと円の半径とに基づき、模様を複数個円周に沿って配置した場合、その全体の長さが円周の長さと等しくなるように、模様の搬送量データを補正する。CPU61は、この搬送量データに従って送り歯25によって搬送された縫製対象物の移動前と後の画像データに基づき、縫製対象物上に配置されたマーク110の実移動量、つまり縫製対象物の実際の移動量を算出する。CPU61は搬送時に使用された搬送量データが示す予定搬送量と、縫製対象物の実際の移動量との差異に基づき、次に縫製される模様の縫目に対応する搬送量データを補正する。
実際の縫製において、押え圧、糸調子の状態、縫製対象物の素材等に起因して縫製対象物に縫い縮みが生じた場合、搬送量データが示す予定搬送量と縫製対象物の実際の移動量には差異が生じる。ミシン1では、上述のようにこの差異に応じて搬送量データが補正されながら円縫いが行われるので、縫い始めの模様と縫い終わりの模様のずれを抑えることができる。
本実施形態において、搬送モータ82、搬送機構87、及び送り歯25は、本発明の「搬送手段」及び「搬送機器」の一例である。ミシンモータ81、針棒上下動機構86、及び針棒6は、「縫製手段」及び「縫製機器」の一例である。イメージセンサ50は、「撮影手段」の一例である。円縫い処理(図6参照)のS11で半径R2を特定するCPU61は、「距離特定手段」の一例である。S23で搬送量データを補正するCPU61は、「搬送量設定手段」の一例である。フラッシュROM64に記憶されている縫製データに含まれる搬送量データは、「第一搬送量データ」の一例である。S23で補正された後の搬送量データは、「第二搬送量データ」の一例である。縫製処理(図7参照)のS44で実移動量を特定するCPU61は、「移動量特定手段」の一例である。S50で、次の模様の搬送量データを補正するCPU61は、「補正手段」の一例である。LCD11は、「報知手段」の一例である。
上記実施形態では、図9に示すように、円縫い装置100を用いて設定可能な最大半径R1の円55が、イメージセンサ50の撮影範囲51に収まる例を説明した。しかしながら、イメージセンサ50の種類によって、撮影可能な範囲は変動する。特に、円縫い装置100で設定可能な最大半径R1が大きくなるほど、最大半径R1の円55を包含する撮影範囲を確保することは難しくなる。例えば、イメージセンサ50が、図9に示す撮影範囲52を有する場合、半径R2の円56は、一部が撮影範囲52からはみ出している。従って、円56内にマーク110が配置されたとしても、縫製処理中に撮影画像中にマーク110が含まれないために、マーク110が識別できない時がある。
以下に、図11を参照して、マーク110が識別できない時がある場合にも適用可能な縫製処理の変形例について説明する。なお、ミシン1の構成及び縫製処理以外の処理の内容は、前述の実施形態と同じであるため、ここでの説明は省略し、縫製処理中の異なる処理の内容について主に説明する。また、以下では、前述の実施形態と同様、半径50mmの円56の円周に沿って、搬送方向の長さが19.63mmの模様35が16個縫製される場合を例示する。
図11に示すように、変形例に係る縫製処理では、CPU61はまず、カウンタの値mを1に設定し、RAM63に記憶する(S56)。mは円56の円周に沿って縫製される16個の模様35の縫目をカウントするための変数である。CPU61は、最新の画像データを取得し(S57)、撮影画像中でマーク110が識別できたか否かを判断する(S60)。例えば、図9に示すように、マーク110が撮影範囲52の外に配置されている場合、マーク110は識別できない(S60:NO)。このような場合、マーク110を用いた実移動量の特定はできないので、CPU61は、S67の処理に進み、ミシン1を動作させ、1つの縫目を形成させる。この時使用される搬送量データは、模様の長さ19.63mmにあわせてS23で補正された駆動パルス数のデータである。
CPU61は、その後、カウンタの値mが、16個の模様35の縫目の総数Mと等しいか否か判断する(S69)。処理中のm番目の縫目が最後の縫目ではなく、mがMより小さい場合(S69:NO)、CPU61は、直前のS67で形成された縫目が円縫いの始点に重なっているか否かを判断する(S70)。円縫いの始点とは、1番目の模様35の最初の縫目の端点である。CPU61は、縫目が始点に重なっていなければ(S70:NO)、CPU61は、カウンタmの値に1を加算し、S61の処理に戻る。
図9に示す状態で縫製処理が開始された場合、縫製対象物がある程度搬送方向に搬送されない限り、マーク110は撮影範囲52に入らない。よって、この間は、搬送量データが補正されることなく、縫目が形成される処理が繰り返される。そして、マーク110が撮影範囲52内に進入し、識別されると(S60:YES)、CPU61は、撮影画像中でマーク110の位置を特定し(S63)、実移動量を算出して(S64)、予定搬送量と実移動量との間に誤差が生じているか否か判断する(S65)。S63〜S65の処理は、図7のS43〜S45の処理と同じである。
CPU61は、誤差は生じていないと判断した場合(S65:NO)、前述のS67の処理に進む。一方、誤差が生じていると判断した場合(S65:YES)、CPU61は、搬送量データを補正する(S66)。本実施形態では、誤差を未形成の残りの模様35の全ての縫目に分配する補正が行われる。具体的には、残りの(M−m)個の縫目の夫々に誤差が分配されるように、搬送量データが補正される。
CPU61は、補正後の搬送量データに従ってミシン1を動作させ、1つの縫目を形成させる(S67)。カウンタの値mが縫目の総数Mより小さく(S69:NO)、縫目が始点に重なっていなければ(S70)、CPU61は、カウンタの値mを1つ増加して(S71)、S61の処理に戻る。
同様にして、CPU61は、縫目を1つ形成する度に、最新の画像データを取得し、マーク110が識別できれば、その時算出される誤差を残りの未形成の縫目の搬送量データに分配するように補正した後、補正後の搬送量データに従って縫目を形成し、マーク110を識別できなければ、前の縫目形成時に使用されたのと同じ搬送量データに従って縫目を形成する処理を繰り返す。
本実施形態では、マーク110が識別されない状態が継続すると、搬送量データが補正されないまま縫目が形成され続ける。よって、カウンタの値mが縫目の総数Mになる前に(S69:NO)、誤差が累積して、直前のS67で形成された縫目が始点に重なってしまう場合がありうる(S70:YES)。この場合、それ以上縫目を形成する必要がないので、CPU61は縫製処理を終了する。
カウンタの値mが縫目の総数Mに等しくなった場合(S69:YES)、CPU61は、円縫いの始点と終点の間に隙間があるか否かを判断する(S72)。円縫いの終点とは、最後(16番目)の模様35における最後の縫目の端点である。例えば、CPU61は、最新の画像データを取得して、撮影画像中で縫製された28個の模様35の縫目を識別し、縫目で囲まれる領域が閉じていない場合、隙間があると判断すればよい。または、ユーザが縫製結果を見て隙間があることを確認し、パネル操作で隙間があることを示す情報を入力した場合、CPU61は、隙間があると判断すればよい。
CPU61は、始点と終点の間に隙間がないと判断した場合(S72:NO)、縫製処理を終了する。CPU61は、始点と終点の間に隙間があると判断した場合(S72:YES)、模様35の一部(模様35を構成する複数のジグザグ縫目の一部)を始点まで形成するようミシン1を動作させて(S73)、縫製処理を終了する。この場合、CPU61は、始点の位置を、例えば、撮影画像中で識別された縫目に基づいて特定すればよい。
以上に説明したように、図11に示す変形例の縫製処理によれば、常に撮影範囲52内にマーク110が存在するわけではない場合でも、マーク110が撮影範囲52内に進入し、識別された時に、誤差に応じて搬送量データを補正することができる。また、縫目が未形成の全ての模様35の搬送量データに誤差が分配されるので、一部の縫目の搬送量データのみに誤差が分配される場合に比べ、個々の搬送量データの補正量を小さくできる。よって、縫い始めの模様と縫い終わりの模様のずれを抑えながら、補正された縫目が目立ちすぎず、全体として自然な円形の模様を形成することができる。
上記変形例では、未形成の模様35の全ての縫目の搬送量データに誤差が分配されるが、未形成の模様35の一部の縫目に対応する搬送量データのみに、誤差が分配されてもよい。具体的には、未形成の模様35の全ての縫目のうち、最後に縫製される縫目から順に所定数の縫目に対応する搬送量データに誤差が分配されるようにすればよい。この場合、CPU61は、例えば、図11のS57の前に、カウンタの値mが、縫目の総数Mから予め定められた所定数を差し引いた値であるBよりも大きいか否かを判断すればよい。CPU61は、mがB以下の場合、搬送量データを補正する必要はないので、S57〜S66の処理を行わずに縫目を1つ形成する(S67)。CPU61は、mがBより大きくなったら、各縫目について、搬送量データを適宜補正した上で、縫目を1つ形成する(S57〜S67)。この場合でも、縫い始めの模様と縫い終わりの模様のずれを抑えることができる。
上記変形例において、S64で実移動量を特定するCPU61は、「移動量特定手段」の一例である。S66で、残りの模様の全ての縫目に対応する搬送量データを補正するCPU61は、「補正手段」の一例である。
本発明は上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その他にも種々の変更が可能である。例えば、上記の円縫い処理時に使用される円縫い装置は、ミシン1に装着され、針落ち点から離間した係止位置で縫製対象物を回転可能に係止して、係止位置を中心として縫製対象物を回転させながら円形に縫目を形成することを可能とする器具である限り、円縫い装置100以外の器具であってもよい。
円縫い装置100で設定された半径R2の値は、必ずしもイメージセンサ50によって出力された画像データを用いて特定される必要はない。例えば、ユーザは、円縫い装置100で半径R2を設定した後、パネル操作によって半径R2の値を入力してもよい。この場合、図6の円縫い処理のS3、S11〜S14、S4、S21〜S24の処理が省略され、CPU61が入力された値を半径R2、つまり縫製対象物の係止位置と左針落ち点との距離として特定する処理が行われればよい。
縫製対象物の係止位置と左針落ち点との距離(円縫いの円の半径R2)は、インジケータ140ではなく、可動部130に付されたその他の印を撮影画像中から識別し、予め記憶された、その印と係止位置と左針落ち点との位置関係に基づいて特定されてもよい。
縫製対象物がベッド部2上に配置される前に円縫いに関して設定された情報は、必ずしも報知される必要はない。つまり、インジケータ140を識別して半径R2、模様数N、長さL2を表示する処理(図6の3、S11〜S14)は省略されてもよい。また、円縫いに関して設定された情報のうち表示対象とされる情報は変更されてもよい。例えば、図6のS14及びS24では、半径R2、模様数N、長さL2のうち少なくとも1種類に関する情報が表示されてもよい。S14及びS24では、LCD11での表示に代えて、ミシン1にスピーカを設け、音声による報知が行われてもよい。これらの情報に関する報知は、必ずしも行われる必要はない。
縫製対象物の実際の移動量は、必ずしもイメージセンサ50によって出力された画像データを用いて特定される必要はなく、その他の方法で特定されてもよい。例えば、ミシン1が超音波センサを備え、縫製対象物に発信器が装着されてもよい。この場合、超音波センサによる検出結果に基づき、発信器の移動量、つまり縫製対象物の実際の移動量を特定することができる。
また、画像データを用いる場合、縫製対象物の実際の移動量は、撮影画像中のマーク110の位置ではなく、縫製対象物上の特徴点の位置に基づいて特定されてもよい。例えば、ユーザは、予め、縫製対象物上にチャコペン等で識別が容易な形状の印(例えば、十字)を描く。この場合、縫製処理では、CPU61は、縫製対象物の移動前と移動後の画像データを取得し、マーク110の位置に代えて、縫製対象物に描かれた十字の交点を特徴点として、撮影画像中でその位置を特定し、縫製対象物の実際の移動量を特定することができる。CPU61は、縫製対象物の移動前に取得された画像データに基づく撮影画像中から何らかの特徴点を識別し、縫製対象物の移動後に取得された画像データに基づく撮影画像中で同じ特徴点を識別することで、縫製対象物の実際の移動量を算出してもよい。
誤差の相殺のために補正される搬送量データは、未形成の少なくとも1つの縫目に対応する搬送量データであればよい。よって、上記実施形態や変形例で例示した以外に、例えば、残りの模様が複数ある場合、それらの模様の各々を形成する複数の縫目のうち一部に対応する搬送量データのみを補正してもよい。
図7に示す縫製処理は、円縫い装置100を用いて設定可能な最大半径R1の円が、イメージセンサ50の撮影範囲に収まる場合に適用される処理として説明した。しかしながら、例えば、最大半径R1の円が撮影範囲内に収まらない場合でも、ユーザによって設定された半径R2の円が撮影範囲内に収まる場合には、図7の実施形態の縫製処理が行われ、設定された半径R2の円が撮影範囲内に収まらない場合には、図11の縫製処理が行われてもよい。処理の切り替えは、ユーザがパネル操作により入力した指示に応じて行われてもよいし、図6のS11の処理で特定された半径R2と予め記憶された閾値との比較結果に基づいて行われてもよい。
1 ミシン
6 針棒
11 液晶ディスプレイ
25 送り歯
50 イメージセンサ
61 CPU
64 フラッシュROM
81 ミシンモータ
82 搬送モータ
86 針棒上下動機構
87 搬送機構

Claims (9)

  1. 縫針が縫製対象物に刺さる位置である針落ち点から離間した係止位置で前記縫製対象物を回転可能に係止する円縫い装置を装着可能なミシンであって、
    縫製対象物を所定の搬送方向に沿って搬送する搬送手段と、
    前記搬送手段によって搬送される前記縫製対象物に縫目を形成する縫製手段と、
    前記係止位置と前記針落ち点との距離を特定する距離特定手段と、
    選択された模様の前記搬送方向における長さと前記距離とに基づき、前記模様の縫目を形成するために前記搬送手段によって搬送される前記縫製対象物の予定搬送量を示す第一搬送量データを、前記距離を半径とする円の円周の長さと複数個分の前記模様の前記搬送方向における長さとが一致するように変更して、第二搬送量データとして設定する搬送量設定手段と、
    前記第二搬送量データに基づいて前記搬送手段によって搬送された前記縫製対象物の実際の移動量を特定する移動量特定手段と、
    搬送時に用いられた前記第二搬送量データが示す搬送量と、特定された前記移動量との差異に基づき、前記複数個の前記模様の縫目のうち、未形成の少なくとも1つの縫目に対応する前記第二搬送データを補正する補正手段とを備えたミシン。
  2. 前記係止位置を含む範囲を撮影可能な撮影手段を更に備え、
    前記距離特定手段は、前記撮影手段によって撮影された前記範囲の画像のデータに基づき、前記係止位置と前記針落ち点との前記距離を特定することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  3. 前記移動量特定手段は、前記第二搬送量データに基づいて前記搬送手段によって前記縫製対象物が搬送される前に撮影された第一画像のデータと、前記第二搬送量データに基づいて前記搬送手段によって前記縫製対象物が搬送された後に撮影された第二画像のデータとに基づき、前記移動量を特定することを特徴とする請求項2に記載のミシン。
  4. 前記係止位置で回転可能に係止された前記縫製対象物の少なくとも一部を撮影可能な撮影手段を更に備え、
    前記移動量特定手段は、前記第二搬送量データに基づいて前記搬送手段によって前記縫製対象物が搬送される前に撮影された第一画像のデータと、前記第二搬送量データに基づいて前記搬送手段によって前記縫製対象物が搬送された後に撮影された第二画像のデータとに基づき、前記移動量を特定することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  5. 前記移動量特定手段は、前記第一画像中の前記縫製対象物上の特徴点または前記縫製対象物上に剥離可能に貼付された標識の位置と、前記第二画像中の前記特徴点または前記標識の位置とに基づき、前記移動量を特定することを特徴とする請求項3又は4に記載のミシン。
  6. 前記補正手段は、前記複数個の前記模様のうち、縫目が未形成の全ての模様の全ての縫目に対応する前記第二搬送データを補正することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のミシン。
  7. 前記補正手段は、前記複数個の前記模様の縫目のうち、最後に縫製される縫目から順に所定数の未形成の縫目に対応する前記第二搬送データを補正することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のミシン。
  8. 前記距離特定手段によって特定された距離に関する情報、および前記搬送量設定手段によって設定された前記第二搬送データに基づく前記模様に関する情報のうち少なくとも一方を報知する報知手段を更に備えた請求項1〜7の何れかに記載のミシン。
  9. 縫針が縫製対象物に刺さる位置である針落ち点から離間した係止位置で前記縫製対象物を回転可能に係止するよう構成された円縫い装置を装着可能なミシンであって、
    縫製対象物を所定の搬送方向に沿って搬送するよう構成された搬送機器と、
    前記搬送機器によって搬送される前記縫製対象物に縫目を形成するよう構成された縫製機器と、
    前記係止位置と前記針落ち点との距離を特定し、
    選択された模様の前記搬送方向における長さと前記距離とに基づき、前記模様の縫目を形成するために前記搬送機器によって搬送される前記縫製対象物の予定搬送量を示す第一搬送量データを、前記距離を半径とする円の円周の長さと複数個分の前記模様の前記搬送方向における長さとが一致するように変更して、第二搬送量データとして設定し、
    前記第二搬送量データに基づいて前記搬送機器によって搬送された前記縫製対象物の実際の移動量を特定し、
    搬送時に用いられた前記第二搬送量データが示す搬送量と、特定された前記移動量との差異に基づき、前記複数個の前記模様の縫目のうち、未形成の少なくとも1つの縫目に対応する前記第二搬送データを補正するよう構成されたプロセッサとを備えたミシン。
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