JP2014022957A - 増幅回路、及び増幅素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】GHz帯において発振することなく低雑音、且つ高利得の増幅回路を提供する。
【解決手段】増幅回路は、ソース接地の第1のトランジスタと、1つ以上のインダクタンス素子と1つ以上の容量素子とで構成される整合回路と、ゲート接地の第2のトランジスタと、を含む。ここで、第2のトランジスタのソースは、上記整合回路を介して第1のトランジスタのドレインに接続されている。該増幅回路は、さらに、第1のトランジスタのゲートにバイアス電位を供給する第1のバイアス回路と、第2のトランジスタのドレインにバイアス電位を供給する第2のバイアス回路と、を含む。該増幅回路は、第1のトランジスタのゲートに入力信号を入力して、第2のトランジスタのドレインから出力信号を出力する増幅回路として動作する。
【選択図】図15

Description

本発明は、増幅回路、及び増幅素子に関する。特に、本発明は、高周波用で小信号低雑音の増幅回路、及び増幅素子に関する。
近時、GHz帯の衛星放送受信用アンテナの初段増幅回路には、低雑音の特性が重視されるため、GaAsFET(ガリウム砒素電界効果トランジスタ)単体の増幅素子が用いられる。アンテナセットの受信性能を高めるためには、この増幅素子の雑音指数を同じままに利得を高めることが求められる。
特開平9−270645号公報(特許文献1)には、次のような内容が開示されている。
利得を高める方法として、ソース接地FET(Field Effect Transistor;電界効果トランジスタ)にゲート接地FETを接続するカスコード接続が用いられる。ここで、GHz帯以上の高周波においては入力反射係数が大きいため、寄生発振を起こす問題があり、対策として抵抗による負帰還回路を追加することで広帯域に安定化することを行っている。
また、特開平6−224647号公報(特許文献2)には、次のような内容が開示されている。
利得を高める方法として、特許文献1と同様に、ソース接地FETにゲート接地FETを接続するカスコード接続が用いられる。但し、特許文献2では、安定度を高めるために別の方法として、ソース接地FETのソースと、ゲート接地FETのゲートにそれぞれ適切なバイアス電位を与えて各々のFETを安定な領域で動作させることにより、カスコード回路としての動作の安定化を図っている。
尚、本明細書において、「カスコード接続」とは、図1、図10、図18に示すように、ソース接地の第1のトランジスタとゲート接地の第2のトランジスタとが互いに接続され、3つの端子(ゲート電極G、ソース電極S、ドレイン電極D)を有する接続形態のことを言う。
また、バイポーラトランジスタの「カスコード接続」とは、図6、図14に示すように、エミッタ接地の第1のバイポーラトランジスタとベース接地の第2のバイポーラトランジスタが互いに接続され、3つの端子(ベース電極B、エミッタ電極E、コレクタ電極C)を有する接続形態のことを言う。
特開平9−270645号公報 特開平6−224647号公報
市川古都美、市川裕一著「高周波回路設計のためのSパラメータ詳解」CQ出版、P120〜126 「ノイズ指数を最適化するLNAマッチング技法」、[online]、[平成24年6月29日検索]、インターネットURL http://pdfserv.maxim-ic.com/jp/an/AN3169J.pdf
特許文献1に記載の増幅回路では、カスコード回路の出力端子と入力端子を抵抗により結合し、負帰還回路を追加している。抵抗のみを用いるので、広い周波数帯域において安定化することができる。
しかし、利得と安定性はトレードオフの関係にあり、十分に安定性を高めるために抵抗値を低く設定すると、単体FETの場合と変わらない程度まで利得が下がってしまうという問題がある。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
第1の視点による増幅回路は、以下の構成要素を含む。即ち、該増幅回路は、ソース接地の第1のトランジスタと、1つ以上のインダクタンス素子と1つ以上の容量素子とで構成される整合回路と、ゲート接地の第2のトランジスタと、を含む。ここで、第2のトランジスタのソースは、上記整合回路を介して第1のトランジスタのドレインに接続されている。該増幅回路は、さらに、第1のトランジスタのゲートにバイアス電位を供給する第1のバイアス回路と、第2のトランジスタのドレインにバイアス電位を供給する第2のバイアス回路と、を含む。該増幅回路は、第1のトランジスタのゲートに入力信号を入力して、第2のトランジスタのドレインから出力信号を出力する増幅回路として動作する。
第2の視点による増幅素子は、以下の構成要素を含む。即ち、該増幅素子は、入力端子となるゲート電極と、出力端子となるドレイン電極と、接地端子となるソース電極と、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、整合回路と、を含む。前記第1のトランジスタにおいて、ゲートが前記ゲート電極と接続され、ソースが前記ソース電極と接続される。前記整合回路は、1つ以上のインダクタンス素子と1つ以上の容量素子とで構成される。また、前記第2のトランジスタにおいて、ゲートが前記ソース電極と接続され、ドレインが前記ドレイン電極と接続される。また、前記第2のトランジスタのソースが前記整合回路を介して前記第1のトランジスタのドレインに接続される。
第3の視点による増幅回路は、以下の構成要素を含む。即ち、該増幅回路は、エミッタ接地の第1のバイポーラトランジスタと、1つ以上のインダクタンス素子と1つ以上の容量素子とで構成される整合回路と、ベース接地の第2のバイポーラトランジスタと、を含む。ここで、第2のバイポーラトランジスタのエミッタは、上記整合回路を介して第1のバイポーラトランジスタのコレクタに接続されている。該増幅回路は、さらに、第1のバイポーラトランジスタのベースにバイアス電位を供給する第1のバイアス回路と、第2のバイポーラトランジスタのコレクタにバイアス電位を供給する第2のバイアス回路と、を含む。該増幅回路は、第1のバイポーラトランジスタのベースに入力信号を入力して、第2のバイポーラトランジスタのコレクタから出力信号を出力する増幅回路として動作する。
上記各視点によれば、使用する周波数において発振することなく低雑音、且つ高利得の増幅回路を提供することが可能になる。
第1の実施形態に係る増幅素子の等価回路図である。 第1の実施形態に係る増幅素子の上面図である。 第1の実施形態に係る増幅素子の側面図である。 第1の実施形態に係る増幅素子におけるFETペレットの上面図である。 第1の実施形態の変形例1に係る増幅素子における整合回路である。 第1の実施形態の変形例2に係る増幅素子の等価回路図である。 第2の実施形態に係る増幅素子の上面図である。 第2の実施形態に係る増幅素子の側面図である。 第2の実施形態に係る増幅素子におけるFETペレットの上面図である。 第3の実施形態に係る増幅素子の等価回路図である。 第3の実施形態に係る増幅素子の上面図である。 第3の実施形態に係る増幅素子の側面図である。 第3の実施形態の変形例1に係る増幅素子における整合回路である。 第3の実施形態の変形例2に係る増幅素子の等価回路図である。 一実施形態による増幅回路の構成を示すブロック図である。 各実施形態における増幅回路の構成を示す回路図である。 第4の実施形態に係る受信システムの構成を示すブロック図である。 比較例による増幅素子の回路図である。 従来技術1による増幅回路を示す回路図である。 従来技術2による増幅回路を示す回路図である。
まず、実施形態の概要について説明する。なお、実施形態の概要の説明において付記した図面参照符号は専ら理解を助けるための例示であり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
一実施形態における増幅回路100は、図15に示すように、ソース接地の第1のトランジスタ4と、1つ以上のインダクタンス素子と1つ以上の容量素子とで構成される整合回路24と、ゲート接地の第2のトランジスタ6と、を含む。ここで、第2のトランジスタ6のソースは、上記整合回路24を介して第1のトランジスタ4のドレインに接続されている。該増幅回路は、さらに、第1のトランジスタ4のゲートにバイアス電位を供給する第1のバイアス回路45と、第2のトランジスタ6のドレインにバイアス電位を供給する第2のバイアス回路46と、を含む。該増幅回路は、第1のトランジスタ4のゲートに入力信号を入力して、第2のトランジスタ6のドレインから出力信号を出力する増幅回路として動作する。
上記したように整合回路(図1の24、図10の34等)を設けて、第1のトランジスタ4の出力インピーダンスと第2のトランジスタ6の入力インピーダンスの整合を取ることにより、増幅回路の安定定数を確保して発振しないようにすることができる。特許文献1による増幅回路(図19)では、十分に安定性を高めるために抵抗値(図19の74)を低く設定すると、単体FETの場合と変わらない程度まで利得が下がってしまうという問題があったが、本実施形態によれば、特許文献1のような負帰還を行っていないので利得が下がってしまう問題は発生せず、使用するGHz帯の周波数において高利得の増幅回路を実現することができる。
上記増幅回路において、上記整合回路24は、図1に示すように、第1の容量素子5と、第1及び第2のインダクタンス素子7、8とにより構成され、第1の容量素子5の一端に、第1及び第2のインダクタンス素子7、8の一端がそれぞれ接続されたT型回路であってもよい。ここで、第1及び第2のインダクタンス素子7、8の他端が、それぞれ第1のトランジスタ4のドレインと第2のトランジスタ6のソースに接続されている。
上記増幅回路において、上記整合回路34は、図10に示すように、第1のインダクタンス素子37と第1及び第2の容量素子35、36で構成され、第1のインダクタンス素子37の一端及び他端に、それぞれ第1及び第2の容量素子35、36の一端が接続されたπ型回路であってもよい。ここで、第1及び第2の容量素子35、36の一端が、それぞれ第1のトランジスタ4のドレインと第2のトランジスタ6のソースに接続されている。
上記整合回路は、図5に示すように、T型回路が多段接続されたものであってもよい。
上記整合回路は、図13に示すように、π型回路が多段接続されたものであってもよい。
上記整合回路(図1の24、図10の34等)における容量素子及びインダクタンス素子(図1の5、7、8;図10の35、36、37等)は、第1のトランジスタ4の出力インピーダンスと第2のトランジスタ6の入力インピーダンスが整合するように設定されていることが好ましい。
一実施形態における増幅素子は、図1〜3又は図10〜12に示すように、入力端子となるゲート電極1と、出力端子となるドレイン電極3と、接地端子となるソース電極2と、第1のトランジスタ4と、第2のトランジスタ6と、整合回路(図1の24、図10の34等)とを備える。第1のトランジスタ4において、ゲートがゲート電極1と接続され、ソースがソース電極2と接続される。上記整合回路(図1の24、図10の34等)は、1つ以上のインダクタンス素子と1つ以上の容量素子とで構成される。また、第2のトランジスタ6において、ゲートがソース電極2と接続され、ドレインがドレイン電極3と接続される。また、第2のトランジスタ6のソースが上記整合回路(図1の24、図10の34等)を介して第1のトランジスタ4のドレインに接続される。
上記増幅素子は、図2〜3又は図11〜12に示すように、パッケージ内に形成された増幅素子であって、ソース電極2がパッケージのリードフレームとなり、第1及び第2のトランジスタ4、6と容量素子(図2の5;図11の35、36)は、ソース電極2上に配置されるようにしてもよい。また、インダクタンス素子(図2〜3の7、8;図11〜12の37)は、第1及び第2のトランジスタ4、6と容量素子(図2の5;図11の35、36)のうちのいずかを接続するボンディングワイヤで形成されているものであってもよい。
上記増幅素子は、図7〜9に示すように、パッケージ内に形成された増幅素子であって、ソース電極2がパッケージのリードフレームとなり、第1及び第2のトランジスタ224、226と容量素子225は、1つの半導体素子221内に形成されて、該半導体素子221はソース電極2上に配置されるようにしてもよい。また、インダクタンス素子7、8は、第1及び第2のトランジスタ224、226と容量素子225のうちのいずかを接続するボンディングワイヤで形成されているものであってもよい。
上記整合回路24は、図1〜3に示すように、第1の容量素子5と、ボンディングワイヤで形成された第1及び第2のインダクタンス素子7、8とにより構成され、第1の容量素子5の一端に、第1及び第2のインダクタンス素子7、8の一端がそれぞれ接続されたT型回路であってもよい。ここで、第1及び第2のインダクタンス素子7、8の他端が、それぞれ第1のトランジスタ4のドレインと第2のトランジスタ6のソースに接続されている。
上記整合回路34は、図10〜12に示すように、ボンディングワイヤで形成された第1のインダクタンス素子37と、第1及び第2の容量素子35、36で構成され、第1のインダクタンス素子37の一端及び他端に、それぞれ第1及び第2の容量素子35、36の一端が接続されたπ型回路であってもよい。ここで、第1及び第2の容量素子35、36の一端が、それぞれ第1のトランジスタ4のドレインと第2のトランジスタ6のソースに接続されている。
上記整合回路は、図5に示すように、T型回路が多段接続されたものであってもよい。
上記整合回路は、図13に示すように、π型回路が多段接続されたものであってもよい。
上記整合回路(図1の24、図10の34等)における容量素子及びインダクタンス素子(図1の5、7、8;図10の35、36、37等)は、第1のトランジスタ(4、224)の出力インピーダンスと第2のトランジスタ(6、226)の入力インピーダンスが整合するように設定されていることが好ましい。
他の一実施形態における増幅回路は、図6又は図14のいずれかに示すように、エミッタ接地の第1のバイポーラトランジスタ304と、1つ以上のインダクタンス素子と1つ以上の容量素子とで構成される整合回路(図6の24、図14の34等)と、ベース接地の第2のバイポーラトランジスタ306と、を含む。ここで、第2のバイポーラトランジスタ306のエミッタは、上記整合回路(図6の24、図14の34等)を介して第1のバイポーラトランジスタ304のコレクタに接続されている。該増幅回路は、図15において、増幅素子20の部分を図6又は図14に示す回路で置き換えて構成され、第1のバイポーラトランジスタ304のベースにバイアス電位を供給する第1のバイアス回路(図15の45)と、第2のバイポーラトランジスタ306のコレクタにバイアス電位を供給する第2のバイアス回路(図15の46)と、を含む。該増幅回路は、第1のバイポーラトランジスタ304のベースに入力信号を入力して、第2のバイポーラトランジスタ303のコレクタから出力信号を出力する増幅回路として動作する。
以下、各実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。
[第1の実施形態]
(第1の実施形態の構成)
第1の実施形態について、図1〜4、図16を参照しながら、詳細に説明する。図16は、第1の実施形態に係る増幅回路101を示す回路図である。増幅回路101は、図15に示す増幅回路100をより具体的に構成したものであり、増幅素子20と、第1のバイアス回路45と、第2のバイアス回路46と、入力整合回路47と、出力整合回路48と、キャパシタ42、43とを備えている。
図16に示すように、入力整合回路47はインダクタンス素子471とキャパシタ472で構成され、出力整合回路48はインダクタンス素子481とキャパシタ482で構成される。入力整合回路47、出力整合回路48は、それぞれ入力側の整合、出力側の整合が所望の条件になるように設定される(詳細は後述する)。
第1のバイアス回路45は、インダクタンス素子451とキャパシタ452が、ゲート電極1と接地との間に直列に接続され、インダクタンス素子451とキャパシタ452が接続されるノードにゲート電位入力端子Vgが接続される。第2のバイアス回路46は、インダクタンス素子461とキャパシタ462が、ドレイン電極3と接地との間に直列に接続され、インダクタンス素子461とキャパシタ462が接続されるノードにドレイン電位入力端子Vdが接続される。そして、ゲート電位入力端子Vg、ドレイン電位入力端子Vdにそれぞれ電源が供給される。
図1は、図16の増幅素子20の具体的な回路構成の一例であり、等価回路として示したものである。図1において、増幅素子20は、入力端子となるゲート電極1、接地端子となるソース電極2及び出力端子となるドレイン電極3と、第1のトランジスタ4と、第2のトランジスタ6と、整合回路24とを含んで構成される。第2のトランジスタのソースは、整合回路24を介して第1のトランジスタのドレインに接続される。
第1のトランジスタ4のゲートはゲート電極1に接続され、第1のトランジスタ4のソース及び第2のトランジスタ6のゲートはソース電極2に接続され、第2のトランジスタ6のドレインはドレイン電極3に接続される。
また、増幅素子20のソース電極2は、図16に示すように接地される。それにより第1のトランジスタ4はソース接地され、第2のトランジスタ6はゲート接地される。
図1において整合回路24をなくして、第2のトランジスタ6のソースを第1のトランジスタ4のドレインに直接接続すると、図18(比較例)に示す増幅素子400の構成になる。図18の増幅素子400は、ソース接地の第1のトランジスタ4とゲート接地の第2のトランジスタ6を「カスコード接続」した回路であり、高周波用の増幅回路として広く知られた構成の回路である。
すなわち、図1の増幅素子20は、図18に示すカスコード接続された段間に、整合回路24を設けた構成となっている。ここで、整合回路24は、第1のトランジスタ4の出力インピーダンスと第2のトランジスタ6の入力インピーダンスの整合を取るために設けたものである。そのため、整合回路24は、カスコード接続された段間位置の反射係数を、スミスチャート上で任意の位置に調整できる構成の回路であることが望ましい。
第1の実施形態では、整合回路24として、図1に示すT型回路を用いている。T型回路は、該回路に含まれるインダクタンス素子と容量素子の値を選択することで、スミスチャート上の点を任意の位置に調整することが可能な回路である。
T型回路24は、図1に示すように、第1の容量素子5と、第1及び第2のインダクタンス素子7、8とにより構成され、第1の容量素子5の一端に、第1及び第2のインダクタンス素子7、8の一端がそれぞれ接続された構成になっている。そして、第1及び第2のインダクタンス素子7、8の他端が、それぞれ第1のトランジスタ4のドレインと第2のトランジスタ6のソースに接続される。また、第1の容量素子5の他端は、ソース電極2に接続される。
図1では、等価回路を用いて増幅素子20の構成を説明したが、増幅素子20は、図2〜3に示すように、パッケージ内に形成される。以下に図2〜4を参照しながら、増幅素子20の構造について詳細に説明する。
図2、図3は、それぞれ、パッケージ内に形成された増幅素子20の上面図、側面図である。
第1及び第2のトランジスタ4、6は、GaAsHEMT(ガリウム砒素 High Electron Mobility Transistor)で形成されたFETペレットが使用される。GaAsHEMTは衛星放送の前置増幅器などに使用されるデバイスであり、Siで形成されたトランジスタに比べて非常に低ノイズである。FETペレット4、6はいずれもディプレッション型のFETであり、第1のバイアス回路45によりゲート電極に供給される電位は負電位で、例えば、−0.5Vである。また、第2のバイアス回路46によりドレイン電極に供給される電位は例えば、2.0Vである。出力端子となるドレイン電極3に流れる電流は、例えば10mA程度である。
図4(A)は、FETペレット(第1のトランジスタ)4の上面図、図4(B)は、FETペレット(第2のトランジスタ)6の上面図である。FETペレット4上面には、図4(A)に示すように、FETペレットのゲート電極10、FETペレットのソース電極11、及びFETペレットのドレイン電極12が形成されている。また、FETペレット6上面には、図4(B)に示すように、FETペレットのゲート電極13、FETペレットのソース電極14、及びFETペレットのドレイン電極15が形成されている。
また、キャパシタ(第1の容量素子)5は、誘電体を上面、裏面の2つの電極で挟んで形成されている。
またパッケージ内では、図2、図3に示すように、樹脂18上にパッケージのリードフレームとしてソース電極2が形成され、その上にFETペレット4、キャパシタ5、及びFETペレット6が並んで配置される。即ち、キャパシタ5は、FETペレット4、6で挟まれる位置に配置される。そして、樹脂28で形成されたパッケージのキャップによりパッケージは封止される。また、上記のパッケージのキャップはセラミックで形成してもよい。
また、パッケージ内には、ソース電極2の他、ゲート電極1、ドレイン電極3が電極パッドとして設けられ、ゲート電極1は入力信号が供給される入力端子、ソース電極2は接地端子、ドレイン電極3は増幅された出力信号が出力される出力端子として、それぞれパッケージの外部端子となる。
T型回路24を構成する第1のインダクタンス素子7は、FETペレット4のドレイン電極12と、キャパシタ5の上面電極を繋ぐボンディングワイヤ7で形成される。また、T型回路24を構成するもう1つの第2のインダクタンス素子8は、FETペレット6のソース電極14と、キャパシタ5の上面電極を繋ぐボンディングワイヤ8で形成される。
ボンディングワイヤ7、8には、φ20μmのAuワイヤが使用される。このAuワイヤは、長さ100μmで100pHのインダクタンスを有する。インダクタンス値は、Auワイヤの長さに比例するので、ボンディングするAuワイヤの長さに設定することによって、所望のインダクタンス値が得られるようにする。例えば、図3に示すように、ボンディングワイヤ7、8を200μm程度の高さに持ち上げることで全長は400μm程度となり、ボンディングワイヤ7、8は、それぞれ約400pHのインダクタンスを有することになる。
キャパシタ5は、セラミックやGaAsにより形成される。キャパシタ5をGaAsで形成する場合、具体的にはGaAsペレットをメタル電極で挟むことにより形成することができる。使用するGaAsペレットの厚み、メタル電極のサイズを設定することにより、所望の容量値が得られるようにする。例えば、50μm厚のGaAsペレットの表面と裏面にそれぞれ300μm角のメタル電極を形成した場合、容量は約200fFとなる。
キャパシタ5の下側の電極は、導電性のペーストにより、リードフレームであるソース電極2と導通している。また、FETペレット4のゲート電極10はゲート電極1に、FETペレット4のソース電極11はソース電極2に、それぞれボンディングワイヤで接続される。
また、FETペレット6のドレイン電極15はドレイン電極3に、FETペレット6のゲート電極13はソース電極2に、それぞれボンディングワイヤで接続される。
(第1の実施形態の動作)
第1の実施形態に係る増幅回路101(図16)の動作説明を行う前に、一般的な高周波低雑音回路における整合条件と、安定係数について事前に説明しておく。低雑音回路では、雑音を最小に抑えることが重視されるので、入力整合条件は雑音が最小になるように設定する(「雑音整合」ともいう)。一方、出力整合条件は利得が最大になるように設定する(「共役整合」ともいう)。本実施形態の増幅回路101(図16)の場合には、入力整合回路47における入力整合条件は雑音整合にし、出力整合回路48における出力整合条件は共役整合に設定する。
一般に、入力整合条件が雑音整合を満たすときの電力利得Gは、付随利得Ga(Associated Gain)と呼ばれる。入力整合において、雑音整合条件と共役整合条件は、一般に一致せず、スミスチャート上で異なる点にプロットされる。すなわち、雑音整合を満たす場合には、入力整合回路側から見たときのインピーダンスは、基準インピーダンスとは異なる値になる。本実施形態では、入力整合条件を雑音整合とするため、以降、増幅回路の利得を付随利得Gaで表している。
増幅回路における雑音指数の解析は、例えば、非特許文献2に記載されており、雑音指数NFは式(1)によって表される。ここで、NFminは最小雑音指数、rは正規化された雑音抵抗、Гは反射係数、Гoptは最適雑音整合反射係数である。
Figure 2014022957
式(1)を参照すると、雑音整合となるのは、ГがГoptに等しいときであり、そのとき雑音指数NFは最小雑音指数NFminに一致することが分かる。
次に、高周波における増幅回路の安定係数Kは、例えば、非特許文献1に記載されている。安定係数は、増幅回路が発振せずに安定して動作するための条件を示すものであり、非特許文献1では、Sパラメータ(S11、S12、S21、S22)で表現された2ポート回路の安定係数Kが、式(2)〜(3)で表されることを示している。
Figure 2014022957

Figure 2014022957
一般に、増幅回路が発振条件に対して十分にマージンがあるようにするためには、安定係数Kが1に近いことが必要とされる。安定係数Kが1以上の場合には、いかなる入力側整合条件に対しても発振しないようにすることができる。
次に、本実施形態の比較例として、図16の増幅回路101における増幅素子20を、図18の増幅素子400に置き換えた場合を想定する。増幅素子400は、図18に示すように、ソース接地の第1のトランジスタ4とゲート接地の第2のトランジスタ6を整合回路なしに直接カスコード接続したものである。使用周波数12GHzにおいて、この比較例の増幅回路の安定係数Kを算出すると−1以下となり、入力整合回路47、出力整合回路48において、どのような整合条件にしても、本比較例の増幅回路は発振する。
次に、増幅素子20を有する増幅回路101(図16)である本実施形態の場合には、以下に示すように、使用周波数12GHzにおいて安定係数Kを1以上に確保し、発振しないようにすることで、上述した比較例の問題を解消している。
増幅回路101では、前述のように、入力側が雑音整合条件を満たすように設定している。入力側を雑音整合条件にしたときに、発振条件に対して十分にマージンがあるようにするためには安定係数Kがなるべく1に近いことが必要である。
そこで、増幅回路101の増幅素子20では、図1に示すように、T型回路24により第1のトランジスタ4の出力インピーダンスと第2のトランジスタ6の入力インピーダンスのインピーダンス整合を取ることで、安定係数Kを改善している。表1にT型回路24の回路パラメータ(第1、第2のインダクタンス素子7、8のインダクタンス値L1、L2と、第1の容量素子5のキャパシタンス値C1)と、そのときに得られた安定係数K、雑音指数NF、及び付随利得Gaを示す。尚、使用周波数は12GHzである。
Figure 2014022957
表1の算出は、第1及び第2のトランジスタ4、6のSパラメータを与えて、回路パラメータL1、L2、C1が第1のトランジスタ4の出力インピーダンスと第2のトランジスタ6の入力インピーダンスのインピーダンス整合を取れるようにし、その上で安定係数Kが1以上で、且つ付随利得Gaがなるべく大きくなるような条件をコンピュータで算出している。但し、一般に、安定係数Kと付随利得Gaはトレードオフの関係になるため、安定係数Kは発振しない下限値1.0とし、付随利得Gaがなるべく大きくなる値を選択している。
表1を参照すると、4通りのT型回路24のパラメータが算出されている。どの場合も、安定係数Kは1.0で、雑音指数NFはほぼ最小雑音指数が得られている。また、付随利得Gaもほぼ同程度の値が得られている。一般に、増幅素子を単体トランジスタで構成した場合の付随利得Gaは12dB程度であり、表1の17.4〜18.3dBは、単体トランジスタによる増幅素子に対して、+5.4dB〜+6.3dBの利得向上を実現できている。以上のように、本実施形態の増幅回路101によれば、使用するGHz帯の高周波において安定係数Kと付随利得Gaの両方を高くすることができる。
次に、本実施形態と特許文献1に記載された従来技術1とを比較する。図19は、従来技術1による増幅回路を示す回路図である。図19に示すように、ソース接地FET72(第1のトランジスタに相当)にゲート接地FET73(第2のトランジスタに相当)がカスコード接続されている。さらに、図19の増幅回路では、広帯域に動作を安定化するため、抵抗74による負帰還を行うことにより、寄生発振を防止している。また、特許文献1には、抵抗74による負帰還で、入力側の雑音整合と共役整合を一致させることが可能になると記載されている。
しかしながら、利得と安定性はトレードオフの関係にあり、十分に安定性を高めるために抵抗74を低く設定すると、単体FETの場合と変わらない程度まで利得が下がってしまうという問題がある。一方、本実施形態の増幅回路101によれば、負帰還により安定性を向上するのではなく、カスコード接続される段間に、整合回路(T型回路)24を設けて第1のトランジスタ4の出力インピーダンスと第2のトランジスタ6の入力インピーダンスを整合させることで、安定性を向上させている。そのため、従来技術1のように、利得が低下してしまう問題を解消することができ、表1に示すように、高い付随利得Gaが得られている。
さらに、本実施形態では、特許文献1に記載されているように、入力側の雑音整合と共役整合を一致させなくても、十分な付随利得Gaを得ることができる。
次に、本実施形態と特許文献2に記載された従来技術2とを比較する。図20は、従来技術2による増幅回路を示す回路図である。図20に示すように、従来技術2の増幅回路では、従来技術1と同様に、ソース接地FET82(第1のトランジスタに相当)にゲート接地FET83(第2のトランジスタに相当)をカスコード接続することで利得を高めている。但し、従来技術2では、ソース接地FET82のソース、ゲート接地FET83のゲートに、それぞれバイアス電源84、バイアス電源85を供給して、各々のトランジスタを安定な領域で動作させることで、カスコード回路としての動作の安定化を図っている。
本願発明者は、本願発明に先立って、従来技術2の増幅回路においてカスコード接続された部分(図20中の破線枠内)を増幅素子としてパッケージ化することを検討した。該増幅回路では、ソース接地FET82のソースとゲート接地FET83のゲートが直接接続されておらず、それぞれキャパシタ86、87を介して高周波信号に対して接地されている。そして、ソース接地FET82のソースとゲート接地FET83のゲートには、それぞれ異なるバイアス電圧を供給する必要があるため、パッケージ化した場合には外部端子を3つで構成することができず、新たに端子を設ける必要があることが分かった。図20の構成の回路では、5つの端子(図20中のG端子、D端子、S1端子、S2端子、S3端子)を外部端子として設けなければならない。そのため、パッケージを搭載する回路基板はそのままにして、パッケージのみを、トランジスタ単体のパッケージから、従来技術2によるカスコード接続されたトランジスタのパッケージに入れ替えて使うことができないという問題がある。
一方、本実施形態の増幅素子20では、図1に示すように、単体トランジスタで構成された場合と同様に、外部端子を3つの端子(ゲート電極1、ソース電極2、ドレイン電極3)にすることができる。従って、パッケージを搭載する回路基板はそのままにして、パッケージのみを、トランジスタ単体のパッケージから、増幅素子20のパッケージに入れ替えて使うことができるという利点がある。
以上説明したように、本実施形態の増幅回路101によれば、使用するGHz帯において発振することなく低雑音、且つ高利得の増幅回路を提供することが可能になる。また、本実施形態の増幅素子20は、単体トランジスタによる増幅素子と同様に3つの外部端子で構成されるので、同じ回路基板で、単体トランジスタによる増幅素子のパッケージと、増幅素子20のパッケージとを入れ替えて使用することができる。
また、本実施形態の増幅素子20における整合回路(T型回路)24の追加は、インダクタンス素子7、8はワイヤボンディングで形成することができるため、キャパシタ5による面積増加のみで済み、増幅素子20のサイズが大きくなりすぎないようにすることができる。
(第1の実施形態の変形例1)
次に、第1の実施形態の変形例1について、図5を参照しながら説明する。第1の実施形態の変形例1は、第1の実施形態のT型回路24(図1)を、図5(A)、(B)に示す多段接続されたT型回路(105、107等)に置き換えたものである。それ以外の点は第1の実施形態と同じであり、重複する説明は省略する。
図5(A)は5次の特性を有するT型回路、図5(B)は7次の特性を有するT型回路である(ちなみに、図1の24は、3次の特性を有するT型回路である)。さらに、多段に接続することも可能であり、一般に(2n+1)次の特性を有するT型回路を構成することができる。但し、nは自然数。
パッケージ内で、5次以上のT型回路を形成した図は図示していないが、図2〜3と同様に、複数のキャパシタ(114〜116等)が、FETペレット4とFETペレット6で挟まれるように、リードフレームとなるソース電極2上に配置される。また、インダクタンス素子(110〜113等)は、3次のT型回路24と同様にワイヤボンディングで形成され、追加されたキャパシタの分だけ、キャパシタの上側電極間を繋ぐワイヤボンディングがインダクタンス素子として追加される。また、各キャパシタの下側電極は、導電性のペーストにより、リードフレームであるソース電極2と導通している。
T型回路はローパスフィルタの周波数特性を持つが、回路の次数を増やすことによって、カットオフ周波数より高周波側を急峻にカットすることができる。そのため、第1の実施形態の変形例1による増幅回路によれば、回路の次数を増やすことにより、寄生容量による寄生発振を抑制する効果が得られる。
(第1の実施形態の変形例2)
次に、第1の実施形態の変形例2について、図6を参照しながら説明する。第1の実施形態の変形例2は、第1の実施形態の増幅素子20の第1及び第2のトランジスタ(図1の4、6)を、図6に示すように、第1及び第2のバイポーラトランジスタ304、306で置き換えたものである。図6に示すように、エミッタ接地の第1のバイポーラトランジスタ304と、ベース接地の第2のバイポーラトランジスタ306とがカスコード接続される段間にT型整合回路24が挿入されている。図6のバイポーラトランジスタによる増幅素子320は、3つの外部端子(ベース電極301、エミッタ電極302、コレクタ電極303)を有している。また、ベース電極301、コレクタ電極303には第1のバイアス回路45、第2のバイアス回路46により、それぞれバイアス電位が供給される。
このように、第1の実施形態の変形例2では、増幅素子320をバイポーラトランジスタで構成することができ、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、図7〜9を参照しながら詳細に説明する。第2の実施形態による増幅素子220は、FETペレットと整合回路24におけるキャパシタを1つの半導体ペレット(半導体素子)221内に形成した点が、第1の実施形態による増幅素子20と異なっている。以下では、その相違点を中心に説明する。
整合回路24におけるキャパシタ(容量素子)をGaAsで形成する場合には、FETペレットと整合回路24のキャパシタをGaAsによる同一材料で形成することになるため、それらを1つの半導体ペレットで形成することが可能になる。図9はGaAsで形成された半導体ペレット221を示す上面図である。図9に示すように、半導体ペレット221内にFETペレット(第1のトランジスタ)224、キャパシタ(容量素子)225、及びFETペレット(第2のトランジスタ)226が形成されている。そして、FETペレット224の上面には、FETペレットのゲート電極231、FETペレットのソース電極232、FETペレットのドレイン電極233が形成されている。また、キャパシタ225の上面には、キャパシタ電極241、242が形成されている。また、FETペレット226の上面には、FETペレットのゲート電極251、FETペレットのソース電極252、FETペレットのドレイン電極253が形成されている。
図8に示すように、半導体ペレット221は、パッケージのリードフレームとなるソース電極2の上にマウントされる。半導体ペレット221内のFETペレット224、226、キャパシタ225、ゲート電極1、ソース電極2、及びドレイン電極3の間のボンディングワイヤによる接続は、図7に示すように第1の実施形態(図2)と同様であるため、説明は省略する。但し、第1の実施形態では、キャパシタ5の下側の電極は、導電性のペーストにより、リードフレームであるソース電極2と導通していたが、第2の実施形態では、キャパシタ225の2つのキャパシタ電極241、242はいずれも上面に形成されているため、図7に示すようにキャパシタ電極242がワイヤボンディングでソース電極と接続されている。
以上説明したように、第2の実施形態による増幅素子220によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。第2の実施形態では、さらに、FETペレット224、226と整合回路24のキャパシタ225を1つの半導体ペレットとして形成することができるため、部品点数が削減され低コスト化を図ることができる。また、第1の実施形態では、2つのFETペレット4、6とキャパシタ5をソース電極2にマウントする工程が必要であるが、一方、第2の実施形態では、半導体ペレット221をソース電極2にマウントするだけでよいので、製造工程が短縮されるという利点が得られる。
尚、第1の実施形態の変形例1で示したような多段接続したT型回路(図5(A)(B))を、1つの半導体ペレット内に形成することも可能である。その場合、複数のキャパシタが1つの半導体ペレット内に形成されることになる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について、図10〜12、図16を参照しながら、詳細に説明する。第3の実施形態に係る増幅回路102は、図16に示した回路図において、増幅素子20(図1)を増幅素子30(図10)で置き換えたものである。増幅素子30を増幅素子20と比較すると分かるように、増幅素子30では整合回路としてπ型回路34を使用している。
π型回路34は、T型回路24(図1)と同様に、該回路に含まれるインダクタンス素子と容量素子の値を設定することで、スミスチャート上の点を任意の位置に調整することが可能な回路である。また、π型回路は、T型回路から変換可能な回路である。すなわち、ある回路パラメータ(図1のL1、C1、L2)のT型回路を、それと同じ特性を有するπ型回路で実現することが可能であり、そのπ型回路の回路パラメータ(図10のC1、L1、C2)は、対応するT型回路の回路パラメータ(図1のL1、C1、L2)から変換することができる。
π型回路34は、図10に示すように、第1及び第2の容量素子35、36と、第1のインダクタンス素子37により構成され、第1のインダクタンス素子37の一端及び他端に、それぞれ第1及び第2の容量素子35、36の一端が接続されている。そして、第1及び第2の容量素子35、36の一端が、それぞれ第1のトランジスタ4のドレインと第2のトランジスタ6のソースに接続されている。また、第1及び第2の容量素子35、36の他端は、ソース電極2に接続される。
図10では、等価回路を用いて増幅素子30の構成を説明したが、増幅素子30は、図11〜12に示すように、パッケージ内に形成される。以下に図11〜12を参照しながら、増幅素子30の構造について詳細に説明する。但し、増幅素子30の構造において、増幅素子20(第1の実施形態)と同様な箇所については重複する説明を省略する。
図11、図12は、それぞれ、パッケージ内に形成された増幅素子30の上面図、及び側面図である。
またパッケージ内では、図11、図12に示すように、パッケージのリードフレームとしてソース電極2が形成され、その上にFETペレット4、キャパシタ35、キャパシタ36、及びFETペレット6が並んで配置される。即ち、キャパシタ35、36は、FETペレット4、6で挟まれる位置に配置される。
π型回路34を構成する第1のインダクタンス素子37は、キャパシタ35の上面電極とキャパシタ36の上面電極を繋ぐボンディングワイヤ37で形成される。このボンディングワイヤ37は、図12に示すように、中間部を高く持ち上げて、目的のインダクタンス値となるような全長に設定する。
キャパシタ35、36はキャパシタ5(第1の実施形態)と同様に、セラミック又はGaAsペレットを、メタル電極で挟むことにより形成することができる。
キャパシタ35、36の下側の電極は、導電性のペーストにより、リードフレームであるソース電極2と導通している。
また、FETペレット4のドレイン電極12はキャパシタ35の上面電極に、FETペレット6のソース電極14はキャパシタ36の上面電極に、それぞれボンディングワイヤで接続される。これらのボンディングワイヤは最短距離で接続する。
表2にπ型回路34の回路パラメータ(第1のインダクタンス素子37のインダクタンス値L1と、第1及び第2の容量素子35、36のキャパシタンス値C1、C2)と、そのときに得られた安定係数K、雑音指数NF、及び付随利得Gaを示す。尚、使用周波数は12GHzである。
Figure 2014022957
表2を参照すると、2通りのπ型回路24のパラメータが算出されている。どちらの場合も、安定係数Kは1.0で、雑音指数NFはほぼ最小雑音指数が得られている。また、付随利得Gaは、表1(第1の実施形態)と同等の値が得られている。
以上説明したように、第3の実施形態の増幅回路によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。第1の実施形態では、配置するキャパシタは1つ(図2〜3の5)であったのに対し、第3の実施形態では、2つキャパシタ35、36を配置することになり、一般にはコスト高となる。但し、第1の実施形態のT型回路24において算出されるインダクタンス値や容量値を実現するのに形状が大きくなりすぎる場合があり、第3の実施形態のπ型回路34を選択したほうが小型化できる回路パラメータとなることがある。そのような場合には第3の実施形態のπ型回路34のほうが有利である。このように、回路の設計者はT型回路24とπ型回路34の回路パラメータを見比べて、小型化、低コスト化に有利なほうを選択することができる。
尚、第3の実施形態における増幅素子30において、第2の実施形態で説明した1つの半導体ペレットを使用することも可能である。その場合、図12で示した4つの素子である、FETペレット4、キャパシタ35、キャパシタ36、FETペレット6が、1つの半導体ペレット内に形成されることになる。
(第3の実施形態の変形例1)
次に、第3の実施形態の変形例1について、図13を参照しながら説明する。第1の実施形態の変形例1は、第3の実施形態のπ型回路34(図10)を、図13(A)、(B)に示す多段接続されたπ型回路(205、207等)に置き換えたものである。それ以外の点は第3の実施形態と同じであり、重複する説明は省略する。
図13(A)は5次の特性を有するπ型回路、図13(B)は7次の特性を有するπ型回路である(ちなみに、図10の34は、3次の特性を有するπ型回路である)。さらに、多段に接続することも可能であり、一般に(2n+1)次の特性を有するπ型回路を構成することができる。但し、nは自然数。
パッケージ内で、5次以上のπ型回路を形成した図は図示していないが、図11〜12と同様に、複数のキャパシタ(213〜216等)が、FETペレット4とFETペレット6で挟まれるように、リードフレームとなるソース電極2上に配置される。また、インダクタンス素子(210〜212等)は、3次のπ型回路34と同様にワイヤボンディングで形成され、追加されたキャパシタの分だけ、キャパシタの上側電極間を繋ぐワイヤボンディングがインダクタンス素子として追加される。また、各キャパシタの下側電極は、導電性のペーストにより、リードフレームであるソース電極2と導通している。
π型回路はローパスフィルタの周波数特性を持つが、回路の次数を増やすことによって、カットオフ周波数より高周波側を急峻にカットすることができる。そのため、第3の実施形態の変形例1による増幅回路によれば、回路の次数を増やすことにより、寄生容量による寄生発振を抑制する効果が得られる。
(第3の実施形態の変形例2)
次に、第3の実施形態の変形例2について、図14を参照しながら説明する。第3の実施形態の変形例2は、図14に示すように第1の実施形態の変形例1のT型回路24(図6)をπ型回路34に置き換えたものである。
第3の実施形態の変形例2によれば、第1の実施形態の変形例1と同様の効果が得られる。
尚、各実施形態における整合回路は、T型回路、π型回路、多段接続されたT型回路、多段接続されたπ型回路の場合について説明したが、それらに限定されない。1つの容量素子と1つのインダクタンス素子を有し、スミスチャート上の点を所望の範囲で移動させることができる整合回路であれば、任意の整合回路を適用することができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について、図17を参照しながら詳細に説明する。図17は、第4の実施形態に係る受信システムの構成を示すブロック図である。
図17に示すように、パラボラアンテナ50により集められた12GHz帯の衛星放送の電波は、LNB(ローノイズ・ブロック・コンバータ)51において、導波管(不図示)を経て、初段増幅回路61、2段増幅回路62、3段増幅回路63の順に増幅される。増幅回路(61〜63)は低雑音であることが要求されるので、第1、第3の実施形態で説明したGaAsHEMTを用いたFETペレット(図4の4、6)、或いは第2の実施形態で説明したGaAsHEMTを用いた半導体ペレット(図9の221)が内蔵された増幅素子(20、30、220)のいずれかが使用される。
また、増幅素子(20、30、220)のいずれかを用いた増幅回路により、使用するGHz帯において発振することなく低雑音、且つ高利得の増幅を行うことができる。
次に、図17の周波数変換器53において、3段増幅回路63の出力は、10GHz帯の局所発振出力(局所発振器54の出力を緩衝増幅回路65で増幅した信号)と混合され、2GHz帯の周波数に変換される。そして、中間増幅回路64を経た後、LNB51外部のケーブル59に出力される。
ケーブル59は、TVセットのチューナー部52に接続されており、TVセットのチューナー部52に入力された信号から、映像信号、音声信号がデコードされ、映像および音声が再生される。
以上説明したように、第4の実施形態による受信システムによれば、第1〜3の実施形態による増幅素子、及び増幅回路を適用することにより、使用するGHz帯において発振することなく低雑音、且つ高利得の増幅を行うことができるから、受信性能の高い受信システムを提供することができる。
なお、本発明の全開示(請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
1、421:ゲート電極
2、422:ソース電極
3、423:ドレイン電極
4、6、224、226:FETペレット(トランジスタ)
5、35、36、114〜116、213〜216、225:キャパシタ(容量素子)
7、8、37、110〜113、210〜212:ボンディングワイヤ(インダクタンス素子)
9、19:ボンディングワイヤ
10、13、231、251:FETペレットのゲート電極
11、14、232、252:FETペレットのソース電極
12、15、233、253:FETペレットのドレイン電極
18、28:樹脂
20、30、220、320、330、400:増幅素子
24、105、107:T型回路(整合回路)
34:205、207:π型回路(整合回路)
40、70、80:入力端子
41、71、81:出力端子
42、43、86、87、88、90、91、452、462、472、482:キャパシタ
45:第1のバイアス回路
46:第2のバイアス回路
47:入力整合回路
48:出力整合回路
50:パラボラアンテナ
51:LNB(ローノイズ・ブロック・コンバータ)
52:TVセットのチューナー部
53:周波数変換器
54:局所発振器
59:ケーブル
61:初段増幅回路
62:2段増幅回路
63:3段増幅回路
64:中間増幅回路
65:緩衝増幅回路
72、82:ソース接地FET
73、83:ゲート接地FET
74:抵抗
84、85:バイアス電源
89、92、451、461、471、481:インダクタンス素子
93:電源
100、101:増幅回路
221:半導体ペレット(半導体素子)
241、242:キャパシタ電極
301、321:ベース電極
302、322:エミッタ電極
303、323:コレクタ電極
304、306:バイポーラトランジスタ
Vg:ゲート電位入力端子
Vd:ドレイン電位入力端子

Claims (15)

  1. ソース接地の第1のトランジスタと、
    1つ以上のインダクタンス素子と1つ以上の容量素子とで構成される整合回路と、
    ソースが前記整合回路を介して前記第1のトランジスタのドレインに接続された、ゲート接地の第2のトランジスタと、
    前記第1のトランジスタのゲートにバイアス電位を供給する第1のバイアス回路と、
    前記第2のトランジスタのドレインにバイアス電位を供給する第2のバイアス回路と、
    を備え、
    前記第1のトランジスタのゲートに入力信号を入力して、前記第2のトランジスタのドレインから出力信号を出力する、増幅回路。
  2. 前記整合回路は、第1の容量素子と、第1及び第2のインダクタンス素子とにより構成され、前記第1の容量素子の一端に、前記第1及び第2のインダクタンス素子の一端がそれぞれ接続されたT型回路であり、
    前記第1及び第2のインダクタンス素子の他端が、それぞれ前記第1のトランジスタのドレインと前記第2のトランジスタのソースに接続された、請求項1に記載の増幅回路。
  3. 前記整合回路は、第1のインダクタンス素子と第1及び第2の容量素子で構成され、前記第1のインダクタンス素子の一端及び他端に、それぞれ前記第1及び第2の容量素子の一端が接続されたπ型回路であり、
    前記第1及び第2の容量素子の一端が、それぞれ前記第1のトランジスタのドレインと前記第2のトランジスタのソースに接続された、請求項1に記載の増幅回路。
  4. 前記整合回路は、前記T型回路を多段接続したものである請求項2に記載の増幅回路。
  5. 前記整合回路は、前記π型回路を多段接続したものである請求項3に記載の増幅回路。
  6. 前記整合回路における前記容量素子及び前記インダクタンス素子は、前記第1のトランジスタの出力インピーダンスと前記第2のトランジスタの入力インピーダンスが整合するように設定された、請求項1乃至5のいずれか一に記載の増幅回路。
  7. 入力端子となるゲート電極と、出力端子となるドレイン電極と、接地端子となるソース電極と、
    ゲートが前記ゲート電極と接続され、ソースが前記ソース電極と接続された第1のトランジスタと、
    1つ以上のインダクタンス素子と1つ以上の容量素子とで構成された整合回路と、
    ゲートが前記ソース電極と接続され、ドレインが前記ドレイン電極と接続され、ソースが前記整合回路を介して前記第1のトランジスタのドレインに接続された、第2のトランジスタと、
    を備えた増幅素子。
  8. パッケージ内に形成された増幅素子であって、
    前記ソース電極が前記パッケージのリードフレームとなり、
    前記第1及び第2のトランジスタと前記容量素子は、前記ソース電極上に配置され、
    前記インダクタンス素子は、前記第1及び第2のトランジスタと前記容量素子のうちのいずかを接続するボンディングワイヤで形成されている請求項7に記載の増幅素子。
  9. パッケージ内に形成された増幅素子であって、
    前記ソース電極が前記パッケージのリードフレームとなり、
    前記第1及び第2のトランジスタと前記容量素子は、1つの半導体素子内に形成されて、前記半導体素子が前記ソース電極上に配置され、
    前記インダクタンス素子は、前記第1及び第2のトランジスタと前記容量素子のうちのいずかを接続するボンディングワイヤで形成されている請求項7に記載の増幅素子。
  10. 前記整合回路は、第1の容量素子と、ボンディングワイヤで形成された第1及び第2のインダクタンス素子とにより構成され、前記第1の容量素子の一端に、前記第1及び第2のインダクタンス素子の一端がそれぞれ接続されたT型回路であり、
    前記第1及び第2のインダクタンス素子の他端が、それぞれ前記第1のトランジスタのドレインと前記第2のトランジスタのソースに接続された、請求項8または9に記載の増幅素子。
  11. 前記整合回路は、ボンディングワイヤで形成された第1のインダクタンス素子と、第1及び第2の容量素子で構成され、前記第1のインダクタンス素子の一端及び他端に、それぞれ前記第1及び第2の容量素子の一端が接続されたπ型回路であり、
    前記第1及び第2の容量素子の一端が、それぞれ前記第1のトランジスタのドレインと前記第2のトランジスタのソースに接続された、請求項8または9に記載の増幅素子。
  12. 前記整合回路は、前記T型回路が多段接続されたものである請求項10に記載の増幅素子。
  13. 前記整合回路は、前記π型回路が多段接続されたものである請求項11に記載の増幅素子。
  14. 前記整合回路における前記容量素子及び前記インダクタンス素子は、前記第1のトランジスタの出力インピーダンスと前記第2のトランジスタの入力インピーダンスが整合するように設定された、請求項7乃至13のいずれか一に記載の増幅素子。
  15. エミッタ接地の第1のバイポーラトランジスタと、
    1つ以上のインダクタンス素子と1つ以上の容量素子とで構成される整合回路と、
    エミッタが前記整合回路を介して前記第1のトランジスタのコレクタに接続された、ベース接地の第2のバイポーラトランジスタと、
    前記第1のバイポーラトランジスタのベースにバイアス電位を供給する第1のバイアス回路と、
    前記第2のバイポーラトランジスタのコレクタにバイアス電位を供給する第2のバイアス回路と、
    を備え、
    前記第1のバイポーラトランジスタのベースに入力信号を入力して、前記第2のバイポーラトランジスタのコレクタから出力信号を出力する、増幅回路。
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