JP2014019032A - 積層合板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に回転させながらロータリーレースで所定の厚みに剥いて形成し、それを圧密加工したとき、1枚の厚みが1mm以上からなる1枚以上のオイルパーム薄板Wと、所定長のラワン幹LDまたはシナ幹または針葉樹幹をその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いて形成したラワン薄板L、またはシナ薄板、または針葉樹薄板の何れかの1枚以上をオイルパーム薄板Wに面して配置し、それらを圧縮、固定化し、一体に接合したものである。
【選択図】図1
Description
なお、一般に「板」とは、広辞苑によれば「材木を薄く平たくひきわったもの」、「金属や石などを薄く平たくしたもの」等として説明されるが、ここでは、オイルパームが木材の性状を有するものではなく、竹材に近い性状もつものであるが、オイルパームにおいても「薄く平たくしたもの」を「薄板」と呼ぶこととする。また、オイルパームの材料を仔細に呼称する用語がないので、木材と同様に扱うこととする。
即ち、オイルパームは、果肉と種子から油脂が取れ、単位面積当たり得られる油脂の量は他の植物を群を抜いていることから、商業作物としてマレーシア等の東南アジア諸国を中心に大規模なプランテーション農業が行われているので、油脂の方を「オイルパーム」と呼ぶ方が著名になりつつあるかもしれない。
しかし、本発明においては、果肉と種子から取れる油脂のオイルパームを意味するものではなく、油椰子の幹自体または植物の個体全体をオイルパームと呼ぶこととする。
したがって、オイルパームの空果房を解繊して得た油ヤシ繊維は、例えば、ココヤシ繊維等の他のヤシ繊維に比して、繊維表面にパームオイルが付着しているために繊維の撥水性が優れていると共に、繊維中に含まれるセルロース及びリグニンの量が相対的に多いので、耐水性に優れる。加えて、油ヤシ繊維は、ココヤシ繊維等の他のヤシ繊維に比して、繊維強度が大であると共に、繊維径が大きく、かつ、繊維長が長いので、寸法安定性が優れている。また、油ヤシ繊維は、その表面の凹凸が大きいと共に屈曲の強度が大きくて繊維同士のからみあいが大きいから、このことによっても寸法安定性が高められる。そのため、この板状体または成形体は、吸水、吸湿時における寸法安定性が優れている。
そして、油ヤシ繊維表面の凹凸が大きいので、ゴム状弾性を示す樹脂が油ヤシ繊維の表面の空隙に侵入して固化又は硬化し、これが釘または楔のように作用して、所謂、アンカー効果を発揮するから、油ヤシ繊維はゴム状弾性を示す樹脂により強く結合する。このことも吸水、吸湿時における寸法安定性の向上に寄与していると考えられる。
この板状体または成形体では、油ヤシ繊維を使用するから、他の種類のヤシ繊維に比して解繊等に要する労力が少なく、そのため、製造コスト及びエネルギーが節減でき、製品が安価となる。例えば、ココヤシ繊維では、ヤシ殻を軟化させるために長期間水中に浸漬し、その後に機械的に繊維状に解繊するために長期間多大のエネルギーを必要とする。これに対してオイルパームは、もともと繊維状のままで集合体となっている空果房を解繊するから、水中浸漬の必要はなく、解繊のために要するエネルギーも非常に少なくて済む。また、油ヤシ繊維はココヤシ繊維に比して発塵性が少なく、その取り扱いにおいて作業環境の悪化が避けられる。
更に、油ヤシ繊維の繊維間に大きな隙間が形成されるので、噴霧または浸漬によりゴム状弾性を示す樹脂を供給したときには、樹脂が上記隙間を介して全繊維に均等に付着し、強度分布が均一になるという板状態が得られる。
特許文献3に係るパーム合板は、樹脂接着剤で貼り合わされた複数の単板を備え、複数の単板のうちの最も外側の少なくとも1枚の単板は、パーム単板であり、パーム単板の表面に露出しているパーム繊維に樹脂接着剤が浸透させたものである。これにより、品質が比較的良好な樹木の単板をフェイスとバックとして使用せずに、安価な廃棄材のヤシの幹から製造可能なパーム単板を使用して表面を樹脂接着剤で処理することで、低コストで合板を製造する。
また、特許文献3のパーム合板は、複数の単板を全てパーム単板とし、安価な廃棄材のヤシの幹から製造可能なパーム単板のみを使用し、互いを樹脂接着剤で接着してもよい。このときのパーム繊維に浸透させてある樹脂接着剤は、複数の単板を貼り合わせる樹脂接着剤と同系のものである。樹脂接着剤が同系であるため、安価に合板を製造することができる。なお、ここで、同系とは、同一の樹脂接着剤、配合(例えば、配合比率)を変えたものを含む。
このように、特許文献3によれば、品質が比較的良好な樹木の単板をフェイスとバックとして使用せずに、低いコストで製造が可能な合板およびパーム合板、合板製造方法が開示されている。
特に、マレーシア等の東南アジア等では、パームオイルの生産のためにオイルパームが栽培されているが、パームオイル採取後の空果房には繊維等が多く含まれていることから、その空果房は繊維ボード等種々の用途に活用されている。しかし、毎年伐採されているヤシの幹は有効に活用されておらず、廃棄処分されているのが現状である。
また、特許文献3には、最も外側の少なくとも1枚の単板がパーム単板を複数樹脂接着剤で貼り合わせる工程と、パーム単板の表面であり、露出しているパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させる面を研磨する工程と、研磨した面に樹脂接着剤を塗布してパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させる工程と、樹脂接着剤を乾燥させる工程とを備えた合板製造方法を開示している。しかし、オイルパームの単板に如何に樹脂接着剤を塗布するか、露出しているパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させるかについては説明されておらず不明であり、具体的な合板の製造方法が不明である。少なくとも、オイルパームの単板を複数樹脂接着剤で貼り合わせるという樹脂接着剤の使用を前提としている。
したがって、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑えた多層合板の存在が望まれている。また、接着剤でシックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤とは異なる接着剤を使用すると、コストが高くなるという問題点がある。
ここで、上記薄板工程は、所定長のオイルパーム幹をその周方向に回転させながらロータリーレースの刃物で外周から所定の厚みに剥いて複数枚のオイルパーム薄板に形成する工程及び所定長のオイルパーム以外の幹をその周方向に回転させながらロータリーレースの刃物で外周から所定の厚みに剥いて1枚の薄板に形成する工程からなり、同時進行するものに限られるものではなく、また、別の位置で形成されるものであってもよい。
上記乾燥工程は、前記薄板工程で形成したオイルパーム薄板及び他の剥いた薄板を乾燥するものであり、オイルパーム薄板及び他の剥いた薄板を別々に乾燥してもよいし、同時に乾燥してもよい。
また、上記積層工程は、前記乾燥工程で乾燥させたオイルパーム薄板及び他の剥いた薄板を所定の状態に複数枚積層するものであり、その積層順序位置は格別限定されるものでない。
そして、上記加熱工程は、前記積層工程以降で前記積層されたオイルパーム薄板及び他の剥いた薄板の温度を上昇させるべく加熱するものである。
更に、上記圧縮工程は、前記加熱工程によって加熱された前記積層された前記オイルパーム薄板及び他の剥いた薄板に、前記オイルパーム薄板及び他の剥いた薄板の面に対して平行方向に延びるのを規制しながら、前記オイルパーム薄板及び他の剥いた薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加えて所定時間圧縮するものである。
更にまた、上記固定化工程は、前記圧縮工程で所定時間圧縮した前記オイルパーム薄板及び他の剥いた薄板を、前記加熱工程で供給していた温度を降下させて冷却し、圧縮された形態を固定化するものである。
ここで、上記薄板工程は、所定長の前記オイルパーム幹をその周方向に回転させながらロータリーレースで所定の厚みに刃物で剥いて複数枚の前記オイルパーム薄板に形成する工程からなるものである。
上記乾燥工程は、前記薄板工程で形成した前記オイルパーム薄板を乾燥する工程である。
また、上記積層工程は、前記乾燥工程で乾燥させた前記オイルパーム薄板を所定の状態に複数枚積層するものであり、その積層順序位置は格別限定されるものでない。
そして、上記加熱工程は、前記積層工程以降で前記積層された前記オイルパーム薄板の温度を上昇させるべく加熱するものである。
更に、上記圧縮工程は、前記加熱工程によって加熱された前記積層された前記オイルパーム薄板に、前記オイルパーム薄板の面に対して平行方向に延びるのを規制しながら、前記オイルパーム薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加えて所定時間圧縮するものである。
更にまた、上記固定化工程は、前記圧縮工程で所定時間圧縮した前記オイルパーム薄板を、前記加熱工程で供給していた温度を降下させて、圧縮された形態を固定化するものである。
また、オイルパーム薄板として得た薄板の乾燥は、その乾燥方法が特に問われるものではなく、天然乾燥させてもよいし、人工的に乾燥させてもよいが、人工乾燥の方が高コストである。
ここで、建築材料等に一般的に使用されているラワン等の木材が水や養分の移動が停止した細胞(死細胞)組織から成る二次木部を形成しているのに対し、オイルパームの樹幹は維管束及び柔細胞の一次組織のみで構成され、柔細胞を中心とする殆どの細胞が水や養分の移動が盛んに行われている生活細胞であるため、含水率が極めて高い。その上、オイルパーム幹には、糖類(例えば、フラクト−ス、グルコ−ス、フラクトオリゴ糖、イノシト−ル等)が多く含まれている。このため、オイルパーム幹からオイルパーム薄板の厚みが厚い場合、天然乾燥ではカビ等の細菌が繁殖して腐食しやすく生産性や商品価値が損なわれる。一方で、人工的に乾燥させる場合には、コスト高となる。そこで、本発明者らの実験研究によれば、オイルパーム幹から得るオイルパーム薄板の厚みを3mm〜35mmの範囲内とすることで、天然乾燥でもカビ等の細菌による商品価値や生産性の低下を招くことなく、低コストにできることが確認されている。
また、上記加熱状態で繊維方向に対して垂直方向に外力を加えることによって、前記乾燥させたオイルパーム薄板の全体の厚みを加熱圧縮するとは、オイルパーム薄板の積載方向に圧縮して少なくとも木口面に相当する面積を小さくしたこと、所謂、圧縮の方向性を特定して圧密加工したことを意味する。この圧密加工は、例えば、オイルパーム薄板の含水率を略均一となるように設定し、所定の条件で加熱圧縮し、固定化することによって形成することができ、このときの所定の条件となる温度、圧力、時間、圧縮スピード等については、目的とする圧縮率等をパラメータとして予め実験等によって決定される。
ここで、気乾比重とは、木材を大気中で乾燥した時の比重で、通常、含水率15%の時の比重で表すものであり、木材を乾燥させた時の重さと同じ体積の水の重さを比べた値である。数値が大きいほど重く、小さいほど軽いことを表す。
また、圧密加工により全体の圧密加工した気乾比重を0.8以上とは、本発明者らが、実験を重ねた結果、オイルパーム薄板を高圧縮して気乾比重を0.8以上とすることによって、オイルパームの性質が変化して硬度が顕著に高くなると共に、強度・硬度や、寸法変化率等の物性値や特性値のばらつきが少なく物理的安定性が増すことを見出し、この知見に基づいて設定されたものである。即ち、圧縮により、強度や硬度等を増大させ、かつ、物理的性質のバラつきを少なくした特性領域であり、圧密加工された木材としての特性であることを示すもので、圧密加工により気乾比重を0.8以上にできないもの、気乾比重が0.8以上にならないものは含まれない。より好ましくは、気乾比重が0.9以上とすることによって、硬度が顕著に高くなり、硬度及び寸法変化率等の物性値や特性値のばらつきが少なくなって物理的安定性がさらに増すことになる。
なお、上記気乾比重は、最終的には、コストや、必要とされる強度・硬度等を考慮して設定されるが、気乾比重を大きくするために圧縮率を余りに高くすると木材を構成する繊維が破壊されてクラックが生じ商品性が失われることになるから、高圧縮によりクラックが発生する直前に測定される気乾比重の値が最大値となる。即ち、本発明における気乾比重の上限は圧密加工の圧縮限界で、最大値は有限値となる。また、上記気乾比重の数値は、厳格であることを要求するものではなくて概ねであり、当然、測定等により誤差を含む概略値であり、数割の誤差を否定するものではない。
ここで、前記オイルパーム薄板の枚数が、前記オイルパーム以外の薄板の枚数よりも多いことは、前記オイルパーム薄板が含有している樹脂成分及び糖成分の量を従来に比較して1/2以下とするものである。
ここで、上記繊維方向を互いに同一にした積層とは、繊維同士の対向面において互いの繊維の長さ方向が同一であるように積層することを意味する。
ここで、上記繊維方向を互いに直交させた積層とは、対向面において互いの繊維方向が直交するよう積層されることを意味する。
ここで、本発明者らは鋭意実験研究を重ねた結果、一般に、含水率が5%未満の場合は、圧密加工によって十分な化学変化を起こさせることができず、また、表面が乾燥し過ぎて、圧密加工後において水に濡れた場合に圧縮した部分が元の厚さ形状に戻る現象、所謂、固定化不良が起こり易くなる。一方、含水率が30%を超えると、内部まで均一に乾燥され難く、圧密加工の固定化処理において木材中に含まれる高温・高圧の水蒸気の作用によってプレス圧に抗する内圧が発生し、プレス圧を除いた後に、割れ・破壊(パンク)等の損傷や変形・膨らみ等が生じ易くなることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。より好ましくは、前記オイルパーム薄板、ラワン薄板、シナ薄板、針葉樹薄板の含水率は10%〜20%の範囲内である。
ここで、本発明者らは実験を重ねた結果、加熱温度が低過ぎると十分な圧密加工がなされず、固定化不良や層間の接合不良が生じることがあり、一方、加熱温度が高過ぎると表面が炭化して黒色に変化し、色調や植物本来の特有の香りが損なわれたり、材質が劣化して強度が低化し脆くなったりすることがあるので、好ましくは、加熱温度が110℃〜170℃の範囲内で圧密加工する必要がある。
ここで、本発明者らは実験を重ねた結果、加圧力が低過ぎると十分な圧密加工がなされず、固定化不良や木材間の接合不良が生じる。一方、加圧力が高過ぎると表面にクラックが生じることがある。したがって、1〜100kg/cm2の範囲内の加圧条件が適切であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。なお、より好ましくは、10〜50kg/cm2の範囲内である。
ここで、本発明者らは、十分な加熱圧縮がなされて固定化不良や木材間の接合不良を防止できる一方で、処理時間が長過ぎることによる表面の炭化を防止できる加熱圧縮の処理時間について鋭意実験研究を重ねた結果、薄板の材料によって時間の違いがあるものの、適切な温度を加える所定時間が10分間〜120分間の範囲内の時間条件が適切であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。なお、好ましくは、所定時間が20分間〜30分間の範囲内である。
よって、前記オイルパーム薄板が含有する樹脂成分及び糖成分の使用割合を多くし、自然物で接合した多層合板が得られ、使用する材料のロスが少なくコストを抑え、また、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用した積層合板が得られる。
また、積層工程以降で積層されたオイルパーム薄板の温度を加熱工程で上昇させるべく加熱し、圧縮工程で加熱された前記積層されたオイルパーム薄板に、オイルパーム薄板の面に対して平行方向に延びるのを規制しながら、前記オイルパーム薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加えて所定時間圧縮するものであるから、圧縮工程で付与される圧縮力がオイルパーム薄板の面に対して平行方向に逃げるという延びが制限され、全ての積層されたオイルパーム薄板の圧縮力が有効的に使用され、かつ、オイルパーム薄板の外形寸法を均一にすることができ、また、全オイルパーム薄板の圧縮率を均一にすることができ、製造中に複数のオイルパーム薄板から無駄を出すことがない。
よって、前記オイルパーム薄板が含有する樹脂成分及び糖成分を使用し、自然物で接合した多層合板が得られ、使用する材料のロスが少なくコストを抑え、また、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用した積層合板が得られる。
まず、この発明の実施の形態で使用するオイルパーム幹WDは、木材の板目と柾目を製材するように板取りを行うと、何れも柾目状に繊維(維管束)が並ぶ面になる。即ち、国産材の桧や杉のように年輪がなく、畳表の藺草のように0.4〜1.2mmの維管束繊維がオイルパーム幹WDの長さ方向に延びている。
オイルパーム幹WDの成分は産地によって若干違いがあるが、その差は僅かであり、一般にセルロース30.6重量%、ヘミセルロース33.2重量%、リグニン(総リグニン28.5重量%=クラーソンリグニン24.7重量%+酸可溶性リグニン3.8重量%)、抽出成分3.6重量%、灰分4.1重量%といわれており、Characterization in Chemical Composition of the Oil Palm (Elaeis guineensis) (Journal of the Japan Institute of Energy,87,383-388(2008))にも記載がある。
視認できる0.4〜1.2mmの繊維、即ち、維管束と維管束の間は、リグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類、少ない空孔によって一体なっている。
オイルパーム薄板Wは、20年以上成長した単一の幹を所定長のオイルパーム幹WDとして切断し、それを大根のかつら剥きと同様の周方向の剥きを行うロータリーレースと呼ばれる装置にセットする。そして、オイルパーム幹WDを回転させ刃物CTによって周方向の剥きを行う。これは、所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いて複数枚のオイルパーム薄板Wに形成する薄板工程となる。
なお、オイルパームの葉、空果房、根等は、チップ状に裁断され、好気性細菌処理によってコンポスト化(堆肥化)する有機廃棄物発酵処理方法によって処理される。特に、空果房は他の実用性のある処理を行ってもよい。また、細かく破砕し、セルロース、ヘミセルロース、リグニン等の成分抽出を行って、接合補助にそれを利用してもよい。
また、図2(a)に示すように、ラワン幹LDの中心を軸芯となるように回転させ、その外周側に所定幅の刃物CTを当て、所謂、かつら剥き同様の剥きにより連続薄板ULDが形成される。即ち、ラワン幹LDは大根のかつら剥きのように所定の厚みで連続した薄板、即ち、連続薄板ULDが削り出される。この連続薄板ULDを所定の長さにカットされ、乾燥させることで所定の面積、所定の厚みのラワン薄板Lが作られる。ラワン薄板Lは加圧前多層材NWを形成するため該当する位置にラワン薄板L1を配置している。
特に、シナ薄板は意匠面に使用するのが好適である。また、針葉樹薄板については、1枚乃至3枚を他の接着剤、例えば、ユリア樹脂、エポキシ樹脂または非ホルムアルデヒド系接着剤等で接合しておき、その両面にオイルパーム薄板Wを接合すると機械的強度を上げることができる。ラワン薄板L、シナ薄板、針葉樹薄板を用いた場合であっても、その繊維の長さ方向は互いに直行する薄板の配列とするのが基本的であり、曲げを行う多層合板PWとして用途が決まっているものは、全体の繊維(維管束)方向を同一にしたり、多層の薄板の1枚または2枚を異なった繊維方向とすることもできる。
加圧前多層材NWは、図3に示すように、図2(a)を用いて説明したラワン幹LDをかつら剥きされた連続薄板ULDの供給方向に短い辺のラワン薄板L1と、同様に、図2(b)を用いて説明したオイルパーム幹WDをかつら剥きされた連続薄板UWDの供給方向に短い辺のオイルパーム薄板W3,W5と、図2(c)に示す連続薄板UWDの供給方向に長い辺の薄板W2,W4が積層配置される。
この5枚の所定面積、所定厚さのラワン薄板L1及びオイルパーム薄板W2,・・・,W5は、裁断によって形成してもよいし、歯の細かな鋸の切断によって形成してもよい。オイルパームの性質上何れでもよいが、裁断の方が作業性からみると効率的である。
勿論、図3に示す連続薄板UWDの供給方向に短い辺のラワン薄板L1,オイルパーム薄板W3,W5と、連続薄板UWDの供給方向に長い辺のオイルパーム薄板W2,W4を繊維の長さ方向が直角になるように積載すれば、連続薄板UWDの供給方向に短い辺のラワン薄板L1及びオイルパーム薄板W3,W5を2枚、連続薄板UWDの供給方向に長い辺のオイルパーム薄板WW2,W4を3枚の組み合わせとすることもできる。
このように、前記乾燥工程で乾燥させたラワン薄板L及びオイルパーム薄板Wを所定の状態に複数枚積層する工程を、ここでは積層工程と呼ぶ。
即ち、加熱工程によって加熱した積層されたラワン薄板L1及びオイルパーム薄板W2,・・・,W5に、そのラワン薄板L及びオイルパーム薄板Wの面に対して直角方向の圧縮力を加える圧縮工程を行い、その圧縮工程で所定の温度で所定時間押圧した後、加熱工程で供給していた温度を降下させ、その圧縮状態を維持させる固定化工程を経て、圧密化した積層合板PWを得るものである。
ここで、前記積層工程以降で前記積層されたラワン薄板L及びオイルパーム薄板Wの温度を上昇させるべく加熱する工程を加熱工程と呼び、また、加熱工程によって加熱され、積層されたラワン薄板L及びオイルパーム薄板Wに、ラワン薄板L及びオイルパーム薄板Wの面に対して直角方向の圧縮力を加える工程を、圧縮工程と呼ぶ。そして、前記圧縮工程で所定時間押圧した後、前記加熱工程で供給していた温度を降下させ、常温またはそれよりも若干温度を下げて冷却して固定化する工程を、圧密化した状態を固定化する意味で固定化工程と呼ぶこととする。
図8のフローチャートに示されるように、最初に、所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に回転させながらロータリーレースの刃物CTで所定の厚みに剥いて複数枚のオイルパーム薄板Wに形成するステップS10の薄板工程において、オイルパーム幹WDから3mm〜35mmの範囲内の材厚のオイルパーム薄板Wが剥かれ、次いで、ステップS20の乾燥工程において、含水率10%〜30%の範囲内に乾燥され、乾燥されたオイルパーム薄板Wとなる。
そこで、本発明者らの実験によれば、オイルパーム幹WDから得たオイルパーム薄板Wの厚みを20mm以下の範囲とすることで、天然乾燥でもカビ等の細菌による商品価値や生産性の低下を招くことなく、低コストにできることが確認されている。なお、この厚みは、圧縮率65%とすると圧密加工後の3.5mm〜7.0mmの厚みに相当する。また、圧縮率70%とすると圧密加工後の3.0mm〜6.0mmに相当する厚みとなる。
このため、オイルパーム幹WDから厚み3mm以上、20mm以下の範囲内のオイルパーム薄板Wを剥き、天然乾燥でもカビ等の細菌による商品価値や生産性の低下を招くことなく、低コストで乾燥でき、更に、切り出し作業が容易で、後述する圧密加工後の寸法形状安定性も高いものとなる。
なお、好ましくは、オイルパーム幹WDからオイルパーム薄板Wの厚みが、6mm以上、15mm以下の範囲内である。この厚みは、圧縮率65%とすると圧密加工後の2.1mm以上、5.3mm以下の厚みに相当する。また、圧縮率70%とすると圧密加工後の1.8mm〜4.5mmに相当する厚みとなる。
ここで、オイルパーム薄板W、ラワン薄板Lを積層してなる加圧前多層材NWの圧密加工を行う圧密加工木材製造装置MCについて図5を参照して説明する。
本実施の形態1では、プレス盤10の上プレス盤10A及び下プレス盤10Bで形成される内部空間IS及び位置決め孔18内を加熱するためにバルブV4に接続された配管12を用いて高温の水蒸気を導入しているが、この他、高周波加熱、マイクロ波加熱等を用いることも可能である。特に、木材に対する高周波加熱は、マイクロ波による誘電過熱よりも、マイクロ波よりも若干周波数の低い高周波で、木材の中心から加熱する方法が好適である。
勿論、本発明を実施する場合には、プレス盤10にてプレス圧縮される方向は、加圧前多層材NWの5枚のオイルパーム薄板W、ラワン薄板Lの面に対して直角方向に圧縮力が加えられる。
ここで、本実施の形態においては、積層合板PWの原材料となる加圧前多層材NWは、所定の寸法(厚み・幅・長さ)に形成されたものであり、計5枚のオイルパーム薄板W、ラワン薄板Lの面側をプレス盤10の上プレス盤10A及び下プレス盤10Bに対向させ、下プレス盤10Bの位置決め孔18に載置した。
加熱タイミングのとき、ステップS43で上プレス盤10Aの配管路15及び下プレス盤10Bの配管路16に所定温度(例えば、110〜180〔℃〕)の水蒸気が通され、内部空間IS及び位置決め孔18内が所定温度(例えば、110〜180〔℃〕)に保持される。ステップS41で加熱タイミングでないと判断したとき、ステップS42で圧縮タイミングであるかを判断し、圧縮タイミングのとき、ステップS44で圧縮工程に入る。
ステップS44の圧縮力は、割れを防止するために、加圧前多層材NWの温度上昇、即ち、ステップS45のタイマIの経過時間に応じて加圧前多層材NWの内部の温度状態、加熱時間の経過に応じて徐々に大きくするのが望ましく、加熱圧縮の時間も加熱時間を考慮して設定するのが好ましい。
なお、このように、本実施の形態においては、加圧前多層材NWの表裏面に上プレス盤10A及び下プレス盤10Bが面接触し、密閉状態の内部空間IS及び位置決め孔18に保持されるため、加圧前多層材NWは、厚み全体が十分に加熱され、効率よく圧縮変形されることになる。
更に、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bによる加熱圧縮から冷却圧縮へと移行する直前に、蒸気圧制御処理としてバルブV5が開状態とされることで配管口13a、配管13を通って内部空間IS及び位置決め孔18からドレン配管14側に高温高圧の水蒸気が排出される。
そして、最後に、図6(f)に示すように、ステップS70で解圧工程に入り、固定側の下プレス盤10Bに対して上プレス盤10Aを上昇させ、内部空間IS及び位置決め孔18から仕上がり品である積層合板PWが取出されることで一連の処理工程が終了する。
繊維方向を同一にして積層した場合には、圧密加工において軟化した木材表面層の木繊維が、積層方向(縦方向)に隣接する繊維方向が同一の他の木材表層の木繊維と絡み易く、その絡み合った状態で固定化された木材同士は強固に接合される。しかも、接合面における膨張率及び収縮率を完全に等しくできることから周囲環境条件が変化しても接合面に全くストレスが掛かることがない。したがって、接合強度が高くて機械的強度も高く、圧密化後の安定した寸法形状性が確保される。
特に、全枚数が奇数枚の場合には、繊維方向を互いに直交させて積層したとき表裏で単板の繊維方向が平行で断面が対称となるため、周囲環境条件の変化による歪み等が防止される。また、全枚数を4枚以上の偶数枚とする場合には、内部の一部にて繊維方向を同一にして積層しその他は繊維方向を互いに直交させて積層することによって、表裏の繊維方向を合わせ周囲環境条件の変化による歪み等を防止することが可能となる。
そして、圧密加工の最初は、まず、加熱工程(ステップ43)における加熱を開始し、バルブV1,バルブV2,バルブV3(図2)が開かれ図示しないボイラ装置から上プレス盤10Aの配管路15及び下プレス盤10Bの配管路16に加熱用の水蒸気が通されて内部空間IS及び位置決め孔18内が所定の加熱温度に保持され、積層した加圧前多層材NWが加熱される。
このように、プレス盤の面接触によって加熱圧縮することで、特には、加熱温度に加熱した後に加圧することによって、加圧前多層材NWにおいて乾燥時の反り変形が生じている場合でも破壊、割れ、クラック等を生じさせることなく平坦にすることができ、効率良く加熱圧縮を行うことができる。更には、加圧前多層材NWが加熱圧縮され、内部空間IS及び位置決め孔18が密閉状態に保持されている間に、加圧前多層材NWに元々含まれている水蒸気が蒸気圧となって内部空間IS及び位置決め孔18を介して乾燥木材DWに侵入拡散、排出自在となることから、厚み全体において効率よくかつ均一に加熱圧縮が行われる。
なお、このときの圧縮速度が速い場合には、加圧前多層材NW内の水蒸気や空気が抜けにくく、加圧前多層材NWに作用する圧力も高くなるため、クラックが生じたり、また、木材軟化が不十分で内部割れが生じたりする恐れがある。一方で、圧縮速度が遅い場合には、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bに接触している面への負担が大きくなりクラック等が生じる可能性がある。そこで、このときの圧縮圧力は、加圧前多層材NWの内部の温度の伝達状態に応じて徐々に大きくするのが望ましい。
そして、この内部空間IS及び位置決め孔18の密閉状態で加熱圧縮処理が行われているときに、蒸気圧制御処理として圧力計P2で内部空間IS及び位置決め孔18の蒸気圧が検出され、図6(d)に示されるように、バルブV4に接続された配管12、配管口12aを介して内部空間ISに第2の加熱温度の蒸気圧が供給されることによって、または、バルブV5が適宜開閉されて配管口13a、配管13を通って内部空間ISからドレン配管14側に高温高圧の水蒸気が排出されることによって、内部空間IS及び位置決め孔18の蒸気圧が所定値に制御される。
なお、後述の冷却開始前にその蒸気圧制御を終了させるのが好ましい。後述の冷却開始前にその蒸気圧制御を終了しない場合には、冷却処理効率が低下する。
そして、最後に、ステップS60の固定化工程において解圧し、図6(f)に示すように、固定側の下プレス盤10Bに対して上プレス盤10Aを徐々に上昇させて離間させることによってプレス圧力および密閉状態を開放し、内部空間IS及び位置決め孔18から仕上がり品である積層合板PWが取出されることで一連の処理工程が終了する。
しかも、接着剤の使用によってオイルパーム薄板Wとラワン薄板Lとを接合する場合には、接着剤を塗布等した後、圧締して接着剤を硬化するのが一般的であり、接着剤塗布等の工程及び圧締工程が必要であるのに対し、本実施の形態に係る積層合板PWによれば、圧密加工によって接着剤を使用することなく木材同士が接合されるため、上記別個の接合工程が不要であり、製造工程の簡略化を図ることができる。
一方、加圧前多層材NWの繊維方向を互いに直交させて積層した場合には、圧密加工後の周囲環境条件の変化によって膨張収縮力が生じでも互いの木材同士が相互に作用し合って特定方向の反り変形が防止される。殊に、全枚数が奇数枚の場合には、繊維方向を互いに直交させて積層したとき表裏で単板の繊維方向が平行で断面が対称となるため、周囲環境条件の変化による歪み等が防止される。
また、全枚数を偶数枚とする場合には、内部の一部にて繊維方向を同一にして積層しその他は繊維方向を互いに直交させて積層することによって、表裏の繊維方向を合わせ周囲環境条件の変化による歪み等を防止することが可能となる。
更に、厚み全体が塑性加工されたものであることから、厚み側面の稜線に対して大きな面取り加工や曲面加工を施したとしてもその端面では、高い硬度による材強度が確保される。
特に、乾燥させたオイルパーム薄板W、ラワン薄板Lのうち、乾燥後の気乾比重が小さい表裏に配置して積層した場合には、上述したように、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bに接触する表裏層に乾燥後の気乾比重が小さい材料が配設され、圧密加工がなされることになるから、乾燥後の気乾比重が小さい材料において上プレス盤10A及び下プレス盤10Bによって十分な加熱圧縮がされて木材相互間の比重の差が小さくなり、製品化後における寸法変化率の差も小さくなる。よって、製品化後における寸法形状の安定性が増す。
下プレス盤10Bのベース板25に同一高さの外側下プレス盤10Ba及び内側下プレス盤10Bbを配設し、その間に枠体溝21を形成する。枠体溝21のベース板25側には複数のコイルスプリング22が配設され、その上部に四角の可動枠23が配設されている。可動枠23の内面には、切欠きが形成されていて加圧前多層材NWの側面からの水蒸気等の流体を導く流体路24となっている。四角の可動枠23の内周は加圧前多層材NWの外周に略等しくなっており、四角の可動枠23に加圧前多層材NWが入るとラワン薄板L1及び薄板W2,・・・,W5に位置ずれが生じないようになっている。したがって、上プレス盤10Aが下降した時、それが下プレス盤10Bの寸法以上の広さを有していても、可動枠23と当接すると、可動枠23が複数のコイルスプリング22の弾性に抗して下降し、加圧前多層材NWの圧縮に応答する。そして、複数のコイルスプリング22の移動限界で加圧前多層材NWの圧縮が終了する。勿論、下プレス盤10Bの可動枠23に対して上プレス盤10Aが挿入される構造である場合には、下プレス盤10Bに可動枠23を固定配置とすることができる。即ち、下プレス盤10Bの可動枠23を固定し、可動枠23の内部に挿入される上プレス盤10Aによって圧縮することもできる。
基本的に圧縮前の加圧前多層材NWの厚み7.5〜30mmに対して、3〜10mmの圧密加工を行った積層合板PWを得た。供給する水蒸気の温度は、110〜210度に上昇させ、その間に加えた圧縮力は20〜50kg/cm2である。ここで、1.5mmの薄板Wは5枚積層することにより、7.5mmの加圧前多層材NWとなるが、実験室レベルでの所定の圧縮率で圧縮した場合の圧縮誤差及び解圧後の膨張によって0.5割以下であるが誤差が介在している。
前者と同様に、基本的に圧縮前の加圧前多層材NWの厚み7.5〜30mmに対して、3〜10mmの圧密加工を行った積層合板PWを得た。供給する水蒸気の温度は、110℃から210度に上昇させ、その間に加えた圧縮力は20〜50kg/cm2である。
「交差接合状態」の1.5mmと2.0mmの積層合板PWでは、0.4〜1.2mm
の維管束が交差すると、その独自性の強い維管束の交差位置では、ヘミセルロースがリグニンとセルロースとの結び付きを行っても、所定の温度及び圧縮力で得られる絶対的ヘミセルロース及びリグニン、セルロースの総量が少なく、接合が完全に行われていないと推定される。
積層合板Aは3.0mmのオイルパーム薄板W2,・・・,W5及び3.0mmのラワン薄板L1の5枚のオイルパーム薄板Wからなり、そのオイルパーム薄板Wの厚みを3.0mmとしたものである。また、積層合板Bは4枚のオイルパーム薄板W及び3.0mmのラワン薄板L1からなり、そのオイルパーム薄板Wの厚みを2.5mm+3.0mm+2.5mm+3.0mmとしたものである。積層合板Cは3.0mmのラワン薄板L1と3枚のオイルパーム薄板Wからなり、そのオイルパーム薄板Wの厚みを2.5mm+3.0mm+2.5mmとしたものである。積層合板Dは3.0mmのラワン薄板L1及び3枚のオイルパーム薄板Wからなり、そのオイルパーム薄板Wの厚みを3.0mm+3.0mm+3.0mmとしたものである。何れも、最上位置が3.0mmのラワン薄板L1としたものである。
加圧前多層材NWと積層合板PWの全体の圧縮率は、式
{(加圧前多層材NWの厚み)−(積層合板PWの厚み)}/加圧前多層材NWの厚み
で算出した。
また、積層合板Cでは、30℃の湯につけても45分で積層面が軟化した。即ち、これはヘミセルロースの反応開始温度の60℃以上の問題ではなく、圧縮力の影響が出ていると推定できる。圧縮力を大きくすると積層合板Cの内部の空気がなくなり、緻密な接合が行われるものの、圧縮力が弱いと繊維を潰すことなく形式的な接合が行われているに過ぎないので、そこに湯が入り全体が軟化したものと推定される。当然、60℃の湯につけても30分で積層面が軟化した。
そして、積層合板Dは、オイルパーム薄板Wの厚みを増加させ、圧縮力を増加させることにより、30℃の湯に60分以下では問題なく着けられており、また、60℃の湯でも45分以下では耐えている。したがって、圧縮力を大きくすることが必要要件であり、圧縮率からいえば60%以上、より好ましくは65%以上の圧縮率が望ましい。特に、70%以上の圧縮率であると安全性が高くなる。また、圧縮率が低い場合には、表面に撥水性のコーティング剤の塗布が望ましい。
これに対して、オイルパーム薄板Wのみの試験データを掲載すると表4及び表5のようになる。
積層合板Eは4枚のオイルパーム薄板Wからなり、そのオイルパーム薄板Wの厚みを3.0mmとしたものである。また、積層合板Fは4枚のオイルパーム薄板Wからなり、そのオイルパーム薄板Wの厚みを2.5mm+3.0mm+2.5mm+3.0mmとしたものである。積層合板Gは3枚のオイルパーム薄板Wからなり、そのオイルパーム薄板Wの厚みを2.5mm+3.0mm+2.5mmとしたものである。積層合板Hは3枚のオイルパーム薄板Wからなり、そのオイルパーム薄板Wの厚みを3.0mm+3.0mm+3.0mmとしたものである。
また、積層合板Gでは、30℃の湯につけても30分で積層面が軟化した。即ち、これはヘミセルロースの反応開始温度の60℃以上の問題ではなく、圧縮力の影響が出ていると推定できる。圧縮力を大きくすると積層合板Gの内部の空気がなくなり、緻密な接合が行われるものの、圧縮力が弱いと繊維を潰すことなく形式的な接合が行われているに過ぎないので、そこに湯が入り全体が軟化したものと推定される。当然、60℃の湯につけても15分で積層面が軟化した。
そして、積層合板Hは、オイルパーム薄板Wの厚みを増加させ、圧縮力を増加させることにより、30℃の湯に45分間は問題なく着けられており、また、60℃の湯でも15分間は耐えている。したがって、圧縮力を大きくすることが必要要件であり、圧縮率からいえば65%以上の圧縮率が望ましい。特に、70%以上の圧縮率が安全性が高くなる。また、圧縮率が低い場合には、表面に撥水性のコーティング剤の塗布が望ましい。
特に、自然界で30℃の湯中に積層合板PWが浸漬される条件は皆無であるが、それでも、オイルパーム薄板Wの厚みは2.5mm、圧縮率が65%以上であれば、使用できることを示している。
また、60℃の湯中に積層合板PWが浸漬される条件は、ヘミセルロースがリグニンとセルロースとの結付きを阻害する可能性を確認するものであるが、圧縮率が65%以上であれば、それも現れ難いことを示している。
しかし、圧縮率の境界線が65%程度にあることを意味するものであるから、大量生産する場合には、望ましくは65%以上であり、また、オイルパーム薄板Wの厚みも3.0mm以上が望ましい。
試験は、約3mm厚のラワン薄板L1及び、約3mm厚のオイルパーム薄板W2,・・・,W5を圧密加工し、約11mmの厚みとし、20cmの正方形に切断し、その両面に接着剤で30mmのケヤキ板J,Kを貼り付け、両面のケヤキ板Jとケヤキ板K間に引張り力を付与すると、オイルパーム薄板Wが含有する樹脂成分及び糖成分がのみで接合したものでは、ラワン薄板L1とオイルパーム薄板W2との間で剥離した。そこで、5枚の積層合板PWを用いて実験したが、何れもラワン薄板L1とオイルパーム薄板W2との間で剥離した。
よって、予めラワン薄板L1のオイルパーム薄板W2との対向面に熱硬化性樹脂を塗布したとしても、1/4の接着剤の使用料となり、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用した積層合板PWが得られる。
特に、ヘミセルロースはリグニンとセルロースとの結び付ける機能を有しており、オイルパーム幹WDの自然栽培されている状態では、互いにどれだけ干渉し合っているかは不明である。しかし、所定の温度、例えば、リグニンの反応開始温度の80度以上に温度を上げることにより、ヘミセルロースの反応開始温度の60度以上となり、互いに反応し、堅固な特性となることが確認された。
したがって、少なくとも圧密加工した2枚以上のオイルパーム薄板Wと、ラワン薄板L、シナ薄板、針葉樹薄板の何れかの1枚以上をオイルパーム薄板Wに面して配置し、それらを一体に接合したものであるから、オイルパーム薄板Wが含有する樹脂成分及び糖成分が不足した場合には、ラワン薄板L、シナ薄板、針葉樹薄板の何れかの1枚以上の接合対象に接着剤を追加して貼り合せることにより、所望の積層合板PWを製造するものである。よって、オイルパーム薄板Wが含有する樹脂成分及び糖成分が不足した場合に接着剤を使用するものであるから、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用した積層合板PWが得られる。
したがって、2枚以上のオイルパーム薄板Wと、ラワン薄板Lまたはシナ薄板または針葉樹薄板の何れかの1枚以上を積層合板PWとして、オイルパーム薄板Wが含有する樹脂成分及び糖成分を用いて一体に接合できるから、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパーム幹WDが本来的に有している成分を利用した積層合板PWが得られる。
そして、乾燥させたラワン薄板L及びオイルパーム薄板Wを所定の状態に複数枚加圧前多層材NWとして積層する工程は、通常、2枚乃至5枚の単位で積層して使用されるが、原理的には、2枚以上の積層であればよく、これを積層工程とすることができる。
特に、ラワン薄板Lの枚数をオイルパーム薄板Wの枚数よりも少なくすることにより、少なくとも従来の積層合板に比較して、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を1/2以下に抑えることができる。
加えて、前記圧縮工程で所定時間圧縮した後、前記加熱工程で供給していた温度を降下させ、積層合板PWの圧縮状態を固定化し、所定の圧縮率で圧縮していた圧縮力を解圧するものであり、これを積層合板PWから捉えて固定化工程とすることができる。
所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに刃物CTで剥いて複数枚のオイルパーム薄板Wに形成するステップS10からなる薄板工程及び所定長のオイルパーム以外の幹、例えば、ラワン幹LDをその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに刃物CTで剥いて1枚のラワン薄板L等の薄板に形成するステップS11からなる薄板工程からなる薄板工程と、前記薄板工程で形成したオイルパーム薄板W及びラワン薄板L等の他の剥いた薄板を乾燥するステップS20及びステップS21からなる乾燥工程と、前記乾燥工程で乾燥させたオイルパーム薄板W及びラワン薄板L等の他の剥いた薄板を所定の状態に複数枚積層するステップS30からなる積層工程と、前記積層工程以降で前記積層されたオイルパーム薄板W及びラワン薄板L等の他の剥いた薄板の温度を上昇させるべく加熱するステップS43からなる加熱工程と、前記加熱工程によって加熱された前記積層されたオイルパーム薄板及びラワン薄板L等の他の剥いた薄板に、オイルパーム薄板及びラワン薄板L等の他の剥いた薄板の面に対して平行方向に延びるのを位置決め孔18または枠体20で規制しながら、前記オイルパーム薄板及びラワン薄板L等の他の剥いた薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加えて所定時間圧縮するステップS44からなる圧縮工程と、前記圧縮工程で所定時間圧縮したオイルパーム薄板W及びラワン薄板L等の他の剥いた薄板を、前記加熱工程で供給していた温度を降下させて固定化させるステップS60からなる固定化工程を具備する積層合板の製造方法とすることができる。
勿論、オイルパーム薄板W1,・・・,W5以外の木材等は、ラワン薄板Lとすることも、ラワン薄板Lに代わってシナ薄板または針葉樹薄板とすることもできる。或いはそれらの中から1枚または2枚の組み合わせとすることもできる。
[実施の形態2]
具体的には、図10及び図11に示すように、オイルパーム薄板W1,・・・,W5のみで積層合板PWを形成し、それを図11に示すように、積層した加圧前多層材NWとすることができる。
上記実施の形態のオイルパーム薄板Wを、所定の状態に複数枚積層する積層工程では、前記複数枚積層したオイルパーム薄板W1,・・・,W5を含めて積層合板PWとして一体に接合したものである。ここでは、オイルパーム薄板Wを1枚以上とすることができる。
よって、オイルパーム薄板Wが含有する樹脂成分及び糖成分を使用し、自然物で接合した積層合板PWが得られ、使用する材料のロスが少なくコストを抑え、また、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用した積層合板PWが得られる。
なお、本実施の形態のオイルパーム基材Wの圧密化に寄与する組成物は、所定長のオイルパーム幹WDから製材したオイルパーム基材Wが有するリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類成分としたものである。発明者らの分析ではリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類成分が主となる組成物と認識しているが、分析能力が向上すると他の成分の関与も否定できない。少なくても、圧密化に寄与する成分が他にも存在する可能性は否定できない。
CT 刃物
W、W1,・・・,W5 オイルパーム薄板
UWD 連続薄板
LD ラワン幹
L ラワン薄板
PW 積層合板
NW 加圧前多層材
MC 圧密加工材製造装置
IS 内部空間
10 プレス盤
18 位置決め孔
20 枠体
Claims (9)
- 所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに剥いて複数枚のオイルパーム薄板に形成する工程、及び所定長のオイルパーム以外の幹をその周方向に所定の厚みに剥いて1枚以上の薄板に形成する工程からなる薄板工程と、
前記薄板工程で形成したオイルパーム薄板及び他の剥いた薄板を乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程で乾燥させたオイルパーム薄板及び他の剥いた薄板を所定の状態に複数枚積層する積層工程と、
前記積層工程以降で前記積層されたオイルパーム薄板及び他の剥いた薄板の温度を上昇させるべく加熱する加熱工程と、
前記加熱工程によって加熱された前記積層されたオイルパーム薄板及び他の剥いた薄板に、オイルパーム薄板及び他の剥いた薄板の面に対して平行方向に延びるのを規制しながら、前記オイルパーム薄板及び他の剥いた薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加えて所定時間圧縮する圧縮工程と、
前記圧縮工程で所定時間圧縮したオイルパーム薄板及び他の剥いた薄板を、前記加熱工程で供給していた温度を降下させて固定化させる固定化工程と
を具備することを特徴とする積層合板の製造方法。 - 所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに刃物で剥いて複数枚のオイルパーム薄板に形成する薄板工程と、
前記薄板工程で形成したオイルパーム薄板を乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程で乾燥させたオイルパーム薄板を所定の状態に複数枚積層する積層工程と、
前記積層工程以降で前記積層されたオイルパーム薄板の温度を上昇させるべく加熱する加熱工程と、
前記加熱工程によって加熱された前記積層されたオイルパーム薄板に、オイルパーム薄板の面に対して平行方向に延びるのを規制しながら、前記オイルパーム薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加えて所定時間圧縮する圧縮工程と、
前記圧縮工程で所定時間圧縮したオイルパーム薄板を、前記加熱工程で供給していた温度を降下させて固定化させる固定化工程と
を具備することを特徴とする積層合板の製造方法。 - 前記薄板工程は、オイルパーム薄板の枚数をオイルパーム以外の他の剥いた薄板の枚数よりも多くしたことを特徴とする請求項2に記載の積層合板の製造方法。
- 前記薄板を複数枚積層する積層工程は、その繊維方向を互いに同一方向としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の積層合板の製造方法。
- 前記薄板を複数枚積層する積層工程は、その繊維方向を互いに直交する方向としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の積層合板の製造方法。
- 前記乾燥工程によるオイルパーム薄板の含水率を5%〜30%の範囲内に乾燥させたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の積層合板の製造方法。
- 前記加熱工程における加熱温度は110℃〜170℃の範囲内としたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の積層合板の製造方法。
- 前記圧縮工程による所定の圧縮圧力は、1〜100kg/cm2の範囲内としたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の積層合板の製造方法。
- 前記加熱工程及び圧縮工程に要する時間は、10分間〜120分間の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の積層合板の製造方法。
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