JP2014019018A - インクジェット記録装置の回復装置、およびインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置の回復装置、およびインクジェット記録装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2014019018A
JP2014019018A JP2012158586A JP2012158586A JP2014019018A JP 2014019018 A JP2014019018 A JP 2014019018A JP 2012158586 A JP2012158586 A JP 2012158586A JP 2012158586 A JP2012158586 A JP 2012158586A JP 2014019018 A JP2014019018 A JP 2014019018A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
atmosphere
liquid
ink
cap member
discharge port
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012158586A
Other languages
English (en)
Inventor
Munetaka Ota
宗孝 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Finetech Nisca Inc
Original Assignee
Canon Finetech Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Finetech Inc filed Critical Canon Finetech Inc
Priority to JP2012158586A priority Critical patent/JP2014019018A/ja
Publication of JP2014019018A publication Critical patent/JP2014019018A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、記録ヘッドの吐出口面とキャップ部材とで形成される空間内の圧力を負圧から大気圧へと瞬時に復帰させることができると共に、大気圧への復帰に際しキャップ部材内に溜まったインクが吐出口面へと飛散することのない回復装置の提供を目的とする。
【解決手段】吐出口面103に接触したキャップ部材104との間に形成された空間Sに負圧を発生させることにより、記録ヘッド102内のインクを吐出口からキャップ部材へと吸引、排出させる吸引回復処理を行う。空間Sを大気に連通させるための大気連通口410が形成され、大気連通口による空間Sと大気との連通、遮断を切換える切換手段が413設けられている。大気連通口410は、キャップ部材104に貯留される廃インクの液面位置より重力方向において高い位置に形成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、インクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置のインク吐出性能を回復、維持させるための回復装置およびそれを備えたインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録装置は、インクを吐出可能な複数のノズルを高密度に配置した記録ヘッドを用いて高精細な画像を形成することができる。このインクジェット記録装置(以下、プリンタとも言う)で用いられる記録ヘッドの吐出口面には、ノズル内のインク滴を吐出するための吐出口が複数個形成されている。この吐出口の大きさは数十μ程度である。このように微小な吐出口からインクを吐出するインクジェット記録装置では、インク吐出が行われない状態が継続すると、ノズル内のインクが増粘あるいは固化することがある。インクの増粘や固化がノズル内に生じた場合、ノズルからの正常なインク吐出が阻害される可能性がある。
このような現象を防ぐため、インクが吐出されていない状態が一定時間以上継続した場合に、ノズル内の増粘あるいは固化したインクを吸引・排出させることによって、ノズル内のインクをリフレッシュさせることが行われている。このような処理は、一般的に吸引回復処理と呼ばれ、この処理を実施する装置を一般的に吸引回復装置と称している。
従来、吸引回復装置を有するプリンタでは、記録ヘッドのノズルの開口端である吐出口が形成された吐出口面にインクを受けるキャップ部材を密着させ、キャップ部材と吐出口面とにより吐出口を囲む密閉空間を形成し得るようになっている。吸引回復処理時には、キャップ部材と吐出口面とによって密閉空間を形成した後、キャップ部材に接続された吸引ポンプによって密閉空間内に負圧を発生させる。これにより、ノズル内の増粘あるいは固化したインクが密閉空間内に吸い出される一方、ノズルには吐出に適した新たなインクが充填され、ノズルの吐出性能は良好な状態に回復する。この吸引回復処理では、キャップ内が負圧状態にある限りノズルからインクが排出され続けるため、所定量のインクを排出させた後は速やかにキャップ内を大気圧に戻す必要がある。
キャップ内を大気圧に戻す手段として、強制的に記録ヘッドの吐出口面からキャップを離間させて大気開放する方法がある。他の方法、すなわち強制的に離間させない方法としては、例えば、特許文献1に開示の装置がある。この装置は、キャップの底部に形成した開口部を開閉する開閉部材を有し、吸引回復処理の後、所定のタイミングで開閉部材により開口部を開放させることにより、キャップ内を大気開放させる構成を採る。
特許第4314841号公報
上記のように、強制的に記録ヘッドとキャップ間を離間させ大気開放する方法にあっては、記録ヘッドとキャップを密着させた状態から記録ヘッドあるいはキャップの一方を他方から引き剥がすように移動させる必要がある。このため、一方を移動させるためには、その移動機構の駆動部に大きな負荷がかかり、移動機構や駆動機構の複雑化およびコスト増大を招くという問題がある。
一方、特許文献1記載の吸引回復装置では、キャップの底部に形成された開口部から空気がキャップ内に導入されて大気圧となるため、記録ヘッドとキャップとを離間させる際に、駆動部への負荷は発生しない。
しかしながら、吸引回復動作によりキャップ内の圧力が大気圧より低い圧力(負圧)となっている状態において、キャップの底部に形成されている開口部が開かれると、瞬間的に大気がキャップ内に向けて噴入する。その際、キャップの底部に排出されていたインクが記録ヘッドの吐出口面に向けて飛散し、吐出口面に付着することがある。このため、キャップを吐出口面から離間させた場合には、所定量のインクを予備吐出という形で排出させる必要がある。従って、特許文献1に開示の技術によれば、瞬間的にキャップ内を大気圧に戻すことで吸引回復時の無駄なインクの排出を抑制できる反面、その後の処理として予備吐出が必要となり、回復処理全体でのインク消費量を十分に抑えるには至っていない。
本発明は、記録ヘッドの吐出口面とキャップ部材とで形成される空間内の圧力を負圧から大気圧へと瞬時に復帰させることができると共に、大気圧への復帰に際しキャップ部材内に溜まったインクが吐出口面へと飛散することのない回復装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため本発明は以下の構成を有する。
すなわち、本願発明の第1の形態は、インクを吐出する吐出口が形成されている記録ヘッドの吐出口面に対して相対的に接触、離間可能に設けられたキャップ部材を備え、前記吐出口面と該吐出口面に接触したキャップ部材との間に形成された空間に負圧を発生させることにより、前記記録ヘッド内のインクを前記吐出口から前記キャップ部材へと吸引、排出させるインクジェット記録装置の回復装置であって、前記空間を大気に連通させるための大気連通口と、前記大気連通口による前記空間と大気との連通、遮断を切換える切換手段と、を備え、前記大気連通口は、キャップ部材内に貯留される廃インクの液面位置より重力方向において高い位置に形成されていることを特徴とする。
また、本願発明の第2の形態は、インクを吐出する吐出口が形成された吐出口面を有する記録ヘッドを用いて記録を行うと共に、前記吐出口面に対して相対的に接触、離間可能に設けられたキャップ部材を備え、前記吐出口面と該吐出口面に接触したキャップ部材との間に形成された空間に負圧を発生させることにより、前記記録ヘッド内のインクを前記吐出口から前記キャップ部材へと吸引、排出させる回復手段を備えたインクジェット記録装置であって、前記回復手段は、前記空間を大気に連通させるための大気連通口と、前記大気連通口による前記空間と気との連通、遮断を切換える切換手段と、を備え、前記大気連通口は、キャップ部材内に貯留される廃インクの液面位置より重力方向において高い位置に形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、吸引回復処理を行った後、記録ヘッドの吐出口面とキャップとにより形成された空間内の圧力を負圧から大気圧へと瞬時に復帰させることができる。しかも、キャップ内に溜まったインクが吐出口面へと吹き付けられることがないため、吸引回復処理後に予備吐出を行う必要もなくなり、吸引回復処理によって消費されるインク量を削減することが可能になると共に、回復処理の所要時間を短縮することが可能になる。
本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置(プリンタ)の全体構成を模式的に示す正面図である。 記録動作開始時の記録ヘッドと吸引回復装置との位置関係を示す図である。 ワイプ回復時の記録ヘッドと吸引回復装置との位置関係を示す図である。 本発明の第1の実施形態における吸引回復装置などを示す模式図である。 本発明の実施形態における記録ヘッドを示す斜視図である。 本実施形態におけるプリンタの制御系の概略構成を示すブロック図である。 第1の実施形態における吸引回復処理の手順を示すフローチャートである。 第1の実施形態におけるワイプ促進回復処理の手順を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態における吸引回復装置などを示す模式図である。 第2の実施形態における吸引回復処理の手順を示すフローチャートである。 第2の実施形態におけるワイプ回復処理の手順を示すフローチャートである。
以下に、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態におけるインクジェット記録装置の全体構成を模式的に示す正面図である。
本実施形態におけるインクジェット記録装置(以下、プリンタと称す)100は、このプリンタ100に画像情報を送るホストPC(パソコン)101に接続されている。プリンタ100には、4つの記録ヘッド102K、102C、102M、102Yが記録媒体(ここではロ−ル紙)Pの搬送方向(矢印A方向)に沿って互いに平行となるように配置されている。4つの記録ヘッド102K、102C、102M、102Yからはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの各色のインクが吐出される。これら4つの記録ヘッド102K、102C、102M、102Yは、所謂ラインヘッドであり、図1の紙面と直交する方向B(矢印A方向との直交方向)に延びている。各ラインヘッドには、インクを吐出するための複数のノズルの吐出口が矢印B方向において一定の密度で配置されている。4つの記録ヘッド102K、102C、102M、102Yにおける吐出口の配列範囲の距離(長さ)は、プリンタ100で記録できる記録媒体の中の最大の幅(図1の紙面と直交する方向における長さ)よりもやや長い。また、これら4つの記録ヘッド102K、102C、102M、102Yは、画像形成中はプリンタ100の所定の位置に保持されて移動しない。
4つの記録ヘッド102K、102C、102M、102Yの吐出性能を維持するために、プリンタ100には、吸引回復装置105が組み込まれている。吸引回復装置105は、各記録ヘッドの各ノズルのインク吐出状態を、初期の良好な吐出状態へと回復させる。この吸引回復装置105は、装置からワンタッチで着脱可能な構成となっており、サービスマンあるいはユーザが所定のタイミングで交換できるようになっている。
吸引回復装置105は、各記録ヘッドの吐出口面103に密着可能なキャップ部材104と、キャップ部材104と吐出口面とで形成される空間S(密閉空間)に負圧を付与する後述の負圧発生手段とを備える。各キャップ部材は、図2に示すように、ゴム部材などからなる密着部104gと、容器状のモールド部材からなるインク受け部104mとにより構成される。密着部104gは吐出口面103に既定の押圧力をもって押圧されることで、吐出口面103に形成されている吐出口列202の周囲に隙間なく密着するよう構成されている。密着部104gを吐出口面に密着させることで、吐出口面103とキャップ部材104との間には、外気から遮断された密閉空間Sが形成され、ノズル内のインクの乾燥や吐出口の損傷などが軽減される。
なお、キャップ部材104は各記録ヘッド102K、102C、102M、102Yに対して独立して設けられている。図1では、各記録ヘッド102K、102C、102M、102Yに対応するキャップ部材104を、104K、104C、104M、104Yと記載している。しかし、以下の説明において、インク色に対応させて各記録ヘッド、各吐出口面、各キャップ部材を区別する必要がない場合には、記録ヘッド102、吐出口面103、キャップ部材104の符号を付すこととする。
本実施形態における吸引回復装置105には、キャップ部材104の他に、吐出口面103に付着したインクを払拭(ワイピング)する後述のブレード301を有するワイプ回復機構を備える。上記のように吐出口から強制的にインクを吸引・排出させる吸引回復動作と、この吸引回復動作の後などに吐出口面に付着したインクを払拭するワイピング動作とを含めて、以下の説明ではクリーニング動作という。このクリーニング動作は、経過時間や吐出状況等の条件を満たした場合、または画像品位に異常が見られる場合等に自動的にもしくは任意で実施される。なお、吸引回復装置105およびキャップ部材104の構成、作用については、後に詳述する。
画像が記録される記録媒体として、本実施形態では帯状の記録媒体を捲装したロ−ル紙Pが用いられている。このロール紙Pはロール紙供給ユニット106から供給され、プリンタ100に組み込まれた搬送機構107によって矢印A方向に搬送される。搬送機構107は、ロ−ル紙Pを載置して搬送する搬送ベルト108、この搬送ベルト108を回転させる搬送モータ109、搬送ベルト108に張力を与えるローラ110などから構成されている。
上記構成において、搬送中のロ−ル紙Pの記録開始位置がブラックの記録ヘッド102Kの下に到達すると、記録データ(画像情報)に基づいて記録ヘッド102Kからブラックインクを選択的に吐出する。同様に記録ヘッド102C、記録ヘッド102M、記録ヘッド102Yの順に、各色のインクを吐出してカラー画像がロ−ル紙Pに形成される。
また、プリンタ100には、上記の部品・部材の他、各記録ヘッド102K、102C、102M、102Yに供給されるインクを貯留しておくメインタンク111K、111C、1110M、111Yが備えられている。さらに、プリンタ100には、記録ヘッド102K、102C、102M、102Yにインクを供給したり、クリ−ニング動作を行ったりするための各種ポンプ(図4等参照)なども備えられている。
次に図2を参照して、待機状態から記録動作を経て再び待機位置に戻るまでの動作における、吸引回復装置105と記録ヘッド102(102K、102C、102M、102Y)との位置関係を説明する。
図2(a)は、待機状態の記録ヘッド102とキャップ部材104との位置関係を示したものであり、キャップ部材104は記録ヘッドの吐出口面103(103K、103C、103M、103Y)に密着している。このため、吐出口面103に配列された複数の吐出口(吐出口列)202はキャップ部材104で覆われ、外気(大気)から遮断される。ここで、ホストPC101より記録開始の指示が入力されると、図6に示すCPU10がモータ駆動部18を介してヘッド移動モータ19を制御し、不図示のヘッド移動機構を動作させ、図2(b)に示すように、記録ヘッド102をC方向に移動させる。その後、不図示のキャップ移動手段がキャップ部材104を図2(c)に示すE方向に移動させ、記録ヘッド102の直下から退避させる。ここでヘッド移動機構が記録ヘッド102をD方向(記録媒体へ近づく方向)に移動させ、その状態で記録媒体に対し記録が行われる。なお、キャップ部材104の移動位置は、位置検出センサ203の検出結果に基づいて決定される。
記録動作が終了すると、ヘッド移動機構により記録ヘッド102がC方向に移動する。次いで、キャップ移動機構によりキャップ部材104がF方向に移動して、図2(b)の位置で停止する。その後、ヘッド移動機構により記録ヘッド105がD方向に移動し、図2(a)に示す待機状態へと復帰する。なお、キャップ部材104を移動させるキャップ移動機構の動作は、図6に示すCPU10(制御手段)によって制御される。
次に、図3を参照して、記録ヘッド102の吐出口面103に付着したインクや塵埃を除去するために行われるワイプ回復処理について説明する。
ワイプ回復処理とは、画像不良の原因となる記録ヘッド102の吐出口面103に付着したインクや紙粉等の塵埃を除去する処理であって、弾性体からなるブレート301を吐出口面103に所定の進入量で押し当てながら移動させることにより行う。なお、ブレード301はキャップ部材104の一端部上面に突設されている。
図3(a)の待機状態において、ホストPC101よりワイプ回復処理の実施の指示が入力されると、図6に示すCPU10がモータ駆動部18を介して各モータの制御を行い、以下の動作を実行する。まず、記録ヘッド102は、ブレード301の上端部より上方に定められた退避位置(図3(b)に示す位置)へとG方向に沿って移動する。次に、キャップ部材104はI方向へと移動し、その後、記録ヘッド102の吐出口面103に対してブレード301が所定の進入量となる位置まで、記録ヘッド102をH方向へと移動させる。次に、キャップ部材104がJ方向に移動することによってブレード301が吐出口面103を払拭する(図3(c)参照)。吐出口面103の払拭が終了すると、記録ヘッド102およびキャップ部材104は図3(a)の位置に復帰し、ワイプ回復処理は終了となる。
なお、本実施形態における吸引回復装置105では、ブレード301が2枚並設された構成となっているが、吐出口面103に付着したインクおよび紙粉等を十分に除去できれば、枚数は特に2枚に限定されない。
次に、本実施形態における吸引回復装置を、図4を参照して、より詳細に説明する。図4は、本実施形態における吸引回復装置における流路構成を示す図である。記録ヘッド102には、インクを貯蔵しているインクタンク401が接続され、記録ヘッド102にインクを供給している。記録ヘッド102の直下には、クリーニングポンプ402で発生した圧力(負圧)を記録ヘッド102に付与するためのキャップ部材104が配置されている。
前記クリーニングポンプ402とキャップ201とは吸引流路404で接続されており、吸引流路404の途中には、流路を連通、遮断可能な回復弁405が設けられている。回復弁405の詳細な作動方法については、後に詳述する。クリーニングポンプ402の一方のポートには廃インク流路406が接続され、他方のポートには吸引流路404が接続されている。廃インク流路406は、廃インクタンク407に接続されており、吸引回復処理によりキャップ201内に排出された廃インクは、クリーニングポンプ402の送液動作によって廃インクタンク407へと排出される。
キャップ部材104には、ブレード301が備えられており、図3を用いて説明した動作にて記録ヘッド102の吐出口面103が払拭される。この吐出口面103には、記録媒体の搬送方向との交差方向(図では、直交方向)であるB方向に沿って、複数の吐出口が配列されている。さらに、記録ヘッド102の吐出口面103には、キャップ201が密着する部分に囲まれた領域内に大気連通口410が形成されている。つまり、吐出口面103にキャップ201が密着するとき、大気連通口410は、吐出口列202と共に吐出口面103とキャップ部材104とにより形成される空間内(密閉空間S内)に存在する。これにより、後述の大気導入流路412および流体導入流路411を介して、連通記録ヘッドの吐出口面103に形成された大気連通口410から密閉空間S内に大気を導入することが可能となっている。
なお、キャップ部材104のインク受け部の容積は、記録ヘッド内から排出された廃インクを十分に収容し得るように余裕を持たせた値に設定されている。つまり、記録ヘッド102から最大排出量の廃インクが排出されたとしても、記録装置の使用状態において、インク受け部104mに貯留されている廃インクの液面は、インク受け部104の開口部よりも十分に下方にあるような容積に設定されている。従って、インク受け部104mより上方に設けられている密接部104gと接触状態にある吐出口面103の位置は、重力方向において、インク受け部104mよりも常に上方に位置することとなる。このため、吐出口面103に形成されている大気連通口410が、インク受け部104mに貯留されている廃インクに接することはない。
また、大気連通口410は、吐出口面103の中でキャップ部材104が密着する位置と、吐出口列202の一方の端部との間に設けられており、インク受け部104mの底部のうち、吐出口配列方向(B方向)における一方の端部(左端部)の近傍と対向している。これに対し、吸引流路404の流入口404aは、インク受け部104mの底部に形成されており、その形成位置は、吐出口配列方向(B方向)において、インク受け部104mの他方の端部(右端部)の近傍に位置している。このためインク受け部104mの一端部(図中、左端部)の近傍との対向位置に設けられた大気連通口410から導入された空気は、吐出口列202の下を通過してキャップ105を構成するインク受け部105aの吸引流路404の流入口404aに向けて流動する。この空気流によって、キャップ201内に排出された廃インクも吸引流路404の流入口404aへ向けて流されて行き、吸引流路404に流入して行く。吸引流路404に流入した廃インクは廃インク流路406を経て廃インクタンク407へと排出される。このように、インク受け部104mに排出されたインクは、大気連通口410から導入される空気によって一方の端部(図中、左端部)から他方の端部(図中、右端部)に向けて流れ、その逆方向へと流動することはない。従って、廃インクはスムーズに吸引流路404へと導かれ、排出される。
なお、前述のクリーニングポンプ402としては、非駆動時において流路を遮断した状態にすることが可能なポンプを用いることが望ましい。例えば、チューブポンプをクリーニングポンプ402として使用することが望ましい。但し、クリーニングポンプの種類はチューブポンプに限定されるものではなく、非駆動時に流路を密閉しないポンプを使用することも可能である。例えば、非駆動時に流路を密閉しないポンプを使用する場合、キャップ201とクリーニングポンプ402間に流路開閉手段を追加すれば、チューブポンプを用いた場合と同様の機能を得ることができる。
図5は、記録ヘッド102の構造を示す模式図である。吐出口面103には、吐出口列202が設けられており、この吐出口列202の配列方向(B方向)における端部の近傍には大気連通口410が設けられている。大気連通口410は大気連通流路502を介して大気連通ジョイント501に連結されている。本実施形態では、大気連通口410および大気連通流路502の横断面形状を円形としたが、大気開放時の圧力損失に大きな影響がなければ特に横断面形状を円形に限定する必要はない。また、大気連通口410の形成位置は、前述のように、吐出口の配列方向(B方向)においては、吐出口列202の一方の端部とキャップ103との間が望ましい。より好ましくは、大気開放時の吐出口202へ影響がない範囲で、キャップ部材104の密接部104gが密接する位置の近傍とする。また、吐出口の配列方向と直交する方向における大気連通口410の形成位置は、ノズル列の延長線上とすることが望ましい。但し、ノズル列202の延長線上から外れた位置に大気連通口410を配置した場合であっても、大気連通口410から導入した大気圧の空気がノズル202の下を流れるような位置であれば良い。
次に、図4に基づき、記録ヘッド102の大気連通ジョイント501に接続される流路について説明する。大気連通ジョイント501には、流体導入流路411が接続されている。流体導入流路411は大気導入流路412と、下流側の液体導入流路414の二つの流路に分岐されている。大気導入流路412には大気開放弁413が接続され、下流側の液体導入流路414には送液ポンプ415が接続されている。大気開放弁413は、回復弁405と同様に流路を開閉する開閉手段であり、電磁弁などによって構成され、その開閉はCPU10によって制御されている。送液ポンプ415は上流側の液体導入流路416の一端部に接続され、液体供給路416の他端部はワイプ促進液が貯蔵された促進液タンク417(液体供給源)内に挿入され、その開口部が底部近傍に位置している。ここで、ワイプ促進液とは、増粘した残インクに付着することで粘度を低下させ、ブレードによるワイプ動作(払拭動作)による残インクの払拭性能を促進するものである。主成分はインクと同様であり、色材が添加されていない透明なインクである。
本実施形態では、送液ポンプ415によって、ワイプ促進液を、大気連通口410からノズル列202の近傍に供給することが可能である。送液ポンプ415は、非駆動時には流路を密閉した状態にすることが可能な構成のポンプ、例えばチューブポンプなどを用いることが望ましい。但し、送液ポンプ415は必ずしもチューブポンプに限定されるものではなく、非駆動時に流路を密閉しないポンプを使用した場合にも、液体導入流路413を開閉する開閉手段を追加すれば、チューブポンプを用いた場合と同様の機能を得ることができる。
図6は、本実施形態におけるプリンタ100に備わる制御系の概略構成を示すブロック図である。ホストPC11から送信された記録データやコマンドはインターフェイスコントローラ11を介してCPU10に受信される。CPU10は、プリンタ100の記録データの受信、記録動作、ロ−ル紙Pのハンドリング等、記録動作に関する演算、比較、判断および制御などの処理を司る演算処理装置である。CPU10は、受信したコマンドを解析した後、記録データの各色成分のイメージデータをイメージメモリ13にビットマップ展開する。そして、記録開始指令に応じてイメージメモリ13からビットマップデータ(2値データ)を読み出して記録ヘッド制御回路16へと転送する。記録ヘッド制御回路6は、各記録ヘッドのノズルの液体吐出エネルギー発生手段を駆動して記録媒体へのインクの吐出、非吐出を制御し、画像を記録する。また、記録前の動作処理としては、出力ポート17、モータ駆動部18を介して回復装置移動モータ21と、記録ヘッドの昇降を行うヘッド移動機構の駆動源であるヘッド移動モータ19とを駆動する。これによって各記録ヘッド102K、102C、102M、102Yをキャップ部材104から離間させて記録位置に移動させる。
また、圧力センサによる発生負圧力の補正等も適時行う(不図示)。続いて、出力ポート17、モータ駆動部18を介してロ−ル紙Pを繰り出すロールモータ(図示せず)、及び低速度でロ−ル紙Pを搬送する搬送モータ20等を駆動してロ−ル紙Pを記録位置に搬送する。一定速度で搬送されるロ−ル紙Pにインクを吐出し始めるタイミング(記録タイミング)を決定するための先端検知センサ(図示せず)によりロ−ル紙Pの先端位置を検出する。その後、ロ−ル紙Pの搬送に同期して、CPU10はイメージメモリ13から対応する色の記録データ(2値データ)を順次に読み出し、この読み出したデータに従って、記録ヘッド制御回路が各記録ヘッド102K、102C、102M、102Yの駆動制御を行う。
なお、CPU10の動作はプログラムROM12に記憶された処理プログラムに基づいて実行される。プログラムROM12には、制御フローに対応する処理プログラム及びテーブルなどが記憶されている。また、CPU10は、作業用のメモリとしてワークRAM14を使用する。各記録ヘッド102K、102C、102M、102Yのクリーニング動作や吸引回復処理において、CPU10は出力ポート17およびモータ駆動部18を介してクリーニングポンプモータ22を駆動する。これにより、インクの加圧、吸引等の動作が行われる。
図7は、クリーニングポンプ402により負圧を発生させ、その負圧を記録ヘッド103に付与して吸引回復処理を行った後、キャップ201内を大気開放させるまでの一連の動作を示すフローチャートである。
待機中は、外気の変化によりキャップ201内の圧力が変動し、圧力が下がった場合にはノズル202からインクが引き出されることがあり、逆に圧力が上がった場合にはノズル202内に空気が導入される可能性がある。そのため待機状態において大気開放弁413は開放状態になっており、外部空間(大気)とキャップ201内の空間Sとの間で空気を流通させることが可能になっている。
吸引回復処理を開始する(S2001)と同時に、前記大気開放弁413を含む全ての弁が密閉される(S2002)。その後、クリーニングポンプ402の駆動が開始され(S2003)、回復弁405とクリーニングポンプ402の間が減圧される。
本実施形態では、回復弁405とクリーニングポンプ402の間の流路に一時的に負圧を蓄積し、その後回復弁405を開放して吸引回復処理を行う構成となっている。但し、回復弁405を開けた状態でキャップ部材104と吐出口面103とで形成される空間Sに圧力を付与して吸引する方法を採ることも可能であり、この場合にも吸引回復動作を実施することは可能である。
クリーニングポンプ402が駆動されてから所定時間が経過した後(S2004)、クリーニングポンプ402を停止させ(S2005)、回復弁405を開放する(S2006)。これにより、キャップ部材104と吐出口面103とで形成された空間S内の圧力は、ノズル202からインクを吸引するのに必要な負圧へと瞬時に変化する。これにより、記録ヘッドから、その吐出性能を回復させるに必要な量のインクがノズル202から排出される(S2007)。次いで、大気開放弁413を開放する(S2008)。これにより、キャップ内は瞬時に大気圧となり、ノズル202からのインクの排出は終了する。この時点でキャップ201のインク受け部104mにはノズル202から排出された廃インクが存在することとなる。また、大気連通口410から導入された空気は、吸引流路404の流入口404aへと流動し、その流動過程においてキャップ部材104のインク受け部104mに排出された廃インクを流入口404aへ向けて移動させる。つまり、吐出口面103とキャップ部材104とで形成された空間S内には、吐出口面103に設けた大気連通口410からインク受け部104mの底部に設けた流入口404aに至る気流が発生し、その気流によって廃インクが流動する。このため、従来のように、キャップ部材104内に溜まったインクが記録ヘッドのノズルへ向けて飛散し、吐出口面にインクが付着する、という問題が生じることはない。この廃インク飛散防止効果は、キャップ部材104のインク受け部104mが各記録ヘッドに共通の構成となっている場合に、より有効なものとなる。すなわち、全ての記録ヘッド内から排出されたインクが共通するインク受け部104mに貯留される構成を採る場合には、インク受け部104mには混色した状態でインクが貯留されることとなる。このため、この混色インクが大気開放時に記録ヘッドに向けて飛散した場合、混色インクが吐出口に付着し、その混色インクが記録媒体に吐出されることとなるため、画質が大幅に低下する。しかし、本実施形態では、前述のようにインク受け部104mに溜まったインクが記録ヘッド102の吐出口面103へ飛散することはないため、共通のインク受け部を用いる場合にも上記のような混色が生じることはなく、良好な画像形成が可能となる。
大気開放弁413を開放してから所定時間が経過すると(S2009)、前述のワイプ回復処理が行われ(S2010)、吸引回復処理は終了となる(S2011)。
ところで本実施形態では、吸引回復処理の中で記録ヘッド102の吐出口周辺や吐出口面103に付着したインクを除去する目的でワイプ回復処理を実行した。しかし、稀に記録ヘッド吐出口面に付着したインクをワイプ回復処理によって完全に除去できない場合がある。この場合、吐出口面103に残留したインクが長時間放置されると、粘度が増加しその後のワイプ回復処理において残留インクがノズル内に押し込まれる可能性があり、記録ヘッドが正常に吐出できない状態に陥る可能性がある。
そこで、本実施形態では、前述した促進液タンク417内に貯留されているワイプ促進液を用いて所定のタイミングでワイプ回復処理を行うことにより、ノズル周辺に付着し粘度が増加したインクを再溶解させ、ワイプ回復処理の性能を向上させることが可能となる。
次に、上記制御系によって実行されるワイプ回復処理を図8に示すフローチャートに沿って説明する。
ワイプ促進回復が開始されると(S2101)、まず全ての弁を密閉され(S2102)、記録ヘッド102がキャップ部材104から離間する位置へと移動される(S2103)。これは、以下に説明するワイプ促進液送液動作中にキャップ201内の圧力変動をなくすためである。次に、送液ポンプ415の駆動を開始する(S2104)。これにより、促進液タンク417に貯留されたワイプ促進液は、上流側の液体導入流路416、下流側の液体導入流路414、流体導入流路411および大気連通流路502を経て大気連通口410からノズル202近傍に送出される。この送液動作を所定時間行った後(S2105)、送液ポンプ415の駆動を停止させ(S2106)、ワイプ回復処理を行う(S2107)。この際、大気連通口401から供給されたワイプ促進液は、吐出口面103に供給されており、ワイプ回復処理時にブレード301によって塗り広げられる。その結果、吐出口面に付着している残留インクはワイプ促進液によって溶解し除去され易い状態となり、記録ヘッド103の吐出口面103および吐出口から容易に除去される。このように、本実施形態では、大気連通口401がワイプ促進液の供給口としても機能することとなる。
なお、記録ヘッドフェイス面408やノズル202に増粘した残留インクなどが存在しない状態で、ワイプ促進液を供給しながらワイプ回復処理を行っても何ら問題はなく、通常のワイプ回復を更に良化させる効果がある。そのため、ワイプ促進液を供給しつつ行うワイプ回復処理(ワイプ促進回復処理)は、電源オフ状態が所定時間経過した際に自動的に実施することも有効である。また、図6で説明した吸引回復処理に伴って実行されるワイプ回復処理を一定回数毎にワイプ促進回復処理とすることが望ましい。
以上説明したように、本実施形態によれば、吸引回復処理の後、記録ヘッドの吐出口面とキャップ部材とで形成された空間S内の圧力(負圧)を、吐出口面の一端部付近に設けた大気連通口から大気を導入することで、瞬時に大気圧に復帰させることが可能となる。このため、キャップ部材104を吐出口面103から容易に離間させることが可能となり、吐出口面の損傷を抑えることができると共に、無駄なインク消費を抑えることが可能となる。また、キャップ部材104から排出されたインクが吐出口面に向けて飛散するのを抑制することも可能となる。さらに、大気連通口は、ワイプ性能を促進させる液体を有する促進液タンク417に接続されており、所定のタイミングで大気連通口を介してノズル近傍にワイプ促進液を送液することができる。このため、ノズル近傍に残った残留インクの除去性能(払拭性能)を向上させることが可能となり、記録ヘッドの吐出不良の発生をより適正に抑制することができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明に係る吸引回復装置の第2の実施形態を図9ないし図11を参照しつつ説明する。なお、この第2の実施形態も第1の実施形態と同様に図1ないし図6に示す構成を備える。このため、以下の説明では第2の実施形態の特徴的な部分のみを説明する。
この第2の実施形態は、第1の実施形態で説明したワイプ促進液を、送液ポンプによる送液動作とは別に、吸引回復後において吐出口面2103とキャップ部材104とで形成された空間S内の負圧を利用してワイプ促進液を供給するようにしたものである。
図9は、本発明による流路構成を有するインクジェット記録装置の1つを模式的に示したものである。
記録ヘッド102の吐出口面103には、上記の第1の実施形態と同様に大気連通口410が形成されている。さらに、この大気連通口410には大気連通流路502が連結され、さらに大気連通流路には、大気連通ジョイント501が連結されている。また、大気連通ジョイント501には、流体導入流路411、下流側の液体導入流路414、大気導入流路412、上流側の液体導入流路416などが上記第1の実施形態と同様に連結されている。但し、この第2の実施形態では、両液体導入流路414,416に送液ポンプ415をバイパスするバイパス流路418が連結されている。すなわち、バイパス流路418は、その一端部が上流側の液体導入流路416に、バイパス流路418の他端部は、液体導入流路に接続されている。また、バイパス流路418には液体導入弁801が挿入されており、この液体導入弁801の開閉動作によってバイパス流路418の連通、遮断が切換えられるようになっている。
以上の構成によれば、吸引回復後に、第1の実施形態と同様に、大気開放弁413を介してキャップ403内に大気を導入することでキャップ403内の圧力を大気圧に戻すことが可能である。但し、本実施形態においては、液体導入弁801を開放することでキャップ部材104内を大気圧に戻しつつノズル近傍にワイプ促進液を送液することも可能であり、これによって吸引回復処理の後のワイプ回復処理の性能を促進させるようにすることも可能である。
図10は、クリーニングポンプ402により負圧を発生させ、記録ヘッド102に負圧を付与して吸引回復を行った後、キャップ部材104内の負圧を用いてノズル近傍にワイプ促進液を供給する動作を示すフローチャートである。
まず、吸引回復処理を開始する(S2201)と同時に、全ての弁を密閉させる(S2202)。その後、クリーニングポンプ402の駆動が開始され(S2203)、回復弁405とクリーニングポンプ402の間が減圧されて負圧が発生する。この後、所定時間が経過すると(S2204)、クリーニングポンプ402が停止され(S2205)、回復弁405が開放され(S2206)る。その結果、負圧が記録ヘッド102の吐出口からインクが吸引される。この後、所定時間が経過すると(S2207)、ワイプ促進液を記録ヘッド102の吐出口面103へ供給する必要があるか否かを判断する(S2208)。ここで促進液の供給が必要であると判断された場合には、液体導入弁801を開放させ(S2213)、所定時間が経過した後(S2214)、ワイプ回復処理を行い(S2215)、吸引回復処理を終了する(S2216)。また、ステップS2208でワイプ促進液の供給を行う必要がないと判断された場合には、大気開放弁413を開放し(S2209)、所定時間が経過した後(S2210)、ワイプ回復処理を行う(S2211)。以上により吸引回復処理は終了となる(S2212)。
次に、図9および図11のフローチャートを参照しつつ、吸引回復処理とは別にワイプ促進液を供給しつつワイピングを行うワイプ促進回復処理を実行する手順を説明する。
ワイプ促進液の供給開始(S2301)と同時に、全弁は密閉状態とされる(S2302)。この後、記録ヘッド102は上方へと移動されてキャップ403から離間する(S2303)。その後、送液ポンプ415が駆動され(S2304)、促進液タンク417から上流側の液体導入流路416、下流側の液体導入流路414、流体導入流路411、大気連通流路502を経て、大気連通口410から吐出口面103に促進液が供給される。送液ポンプ415の駆動開始から所定時間が経過すると(S2305)、送液ポンプ415の動作が停止し(S2306)、ワイプ回復処理(S2307)が開始される。この際、吐出口面103にはワイプ促進液が供給されているため、吐出口面103に付着した残留インクなどが溶解されながらプレード301にてワイプ回復処理が行われる(S2308)。このため、吐出口面103および吐出口に付着した残留インクなどは適正に払拭される。
以上述べたように、この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができることに加え、吸引回復処理後に記録ヘッドとキャップ部材との間の空間Sに生じている負圧を用いて、ワイプ促進液を吐出口面に供給することも可能になる。このため、送液ポンプ415を駆動させずにワイプ促進液の供給を行ないつつ、キャップ部材の圧力を大気圧に戻すことが可能となり、ワイプ促進回復処理をより効率的に実施することが可能になる。
(他の実施形態)
上記実施形態では、記録ヘッドの吐出口列の一端の近傍に大気連通口を設け、吐出口列の他端の近傍に廃インクを吸引する吸引流路の流入口を設け、大気連通口から吐出口列の下方を通過して流入口に至る気流を発生させるようにした。しかし、大気連通口を吐出口の配列方向において、吐出口列の中央位置に吐出口列と干渉しないように形成することも可能である。この場合にも、吸引回復処理後のキャップ部材内の圧力を大気圧に戻す際に、廃インクが記録ヘッド側に飛散するのを抑えるという効果は十分に達成される。
また、上記実施形態では記録ヘッドの吐出口面に大気連通口を形成した場合を例に採り説明したが、大気連通口を他の部材や位置に設けることも可能である。すなわち、記録装置使用状態において、大気連通口の形成位置が、キャップ部材内に廃インクが最も多く貯留された場合の廃インクの液面位置よりも重力方向において高くなる位置であれば、大気連通口は、記録ヘッドの吐出口面以外の部分に設けても良い。例えば、キャップ部材のインク受け部104mや、密着部104gの側部に設けても良い。この場合にも、記録ヘッドの吐出口面に向けた廃インクの飛散抑制効果は十分に達成される。
さらに、吸引回復処理の後にキャップ部材内の圧力を大気圧に戻すための大気連通口を、吐出口面に対してワイピング促進液を供給するための開口部として共用する例を上記実施形態において示した。しかし、ワイピング促進液を吐出口面に供給するワイプ促進液供給流路に連通する開口部と、大気連通口とを別個に吐出口面に形成することも可能である。
上記各実施形態では、キャップ部材と記録ヘッドとの相対的移動として、キャップ部材に対して記録ヘッドを昇降させ、記録ヘッドの下降時の押圧によってキャップ部材を記録ヘッドの吐出口面に密接させるようにした。しかし、キャップ部材を昇降させて記録ヘッドの吐出口面に密接可能および離間可能にしても良く、さらには、キャップ部材と記録ヘッドの双方を移動させるようにしても良い。
上記各実施形態では、ラインヘッドを用いて記録を行う所謂フルライン型のインクジェット記録装置を例に採り説明したが、本発明の適用はフルライン型のインクジェット記録装置に限定されない。例えば、記録媒体と記録ヘッドとを互いに交差する方向(一般には、直交する方向)に移動させつつ記録を行う、所謂シリアル型のインクジェット記録装置にも本願発明は適用可能である。一般に、シリアル型のインクジェット記録装置で吸引回復を行う場合には、記録媒体の搬送経路から側方に外れた位置に設けられたキャップ部材を用いる。すなわち、記録ヘッドの吐出口面にキャップ部材を密着させ、キャップ部材に連結した負圧発生手段によって記録ヘッドとキャップ部材との間の空間Sに負圧を発生させて記録ヘッドの吐出口から、記録に適さないインクを吸引、排出させる。従って、この場合にも上記実施形態と同様に大気開放手段を設けることが可能になり、吐出口面とキャップ部材との間に形成される空間Sを負圧から大気圧へと瞬時に戻すことが可能になると共に、キャップ内のインクが吐出口面に飛散するのを防止することができる。
さらに、インクを吐出するためのエネルギーとして電気熱変換素子から発生される熱エネルギーを用いた場合を例に採り説明したが、本発明は、電気機械変換素子(例えばピエゾ、等)の他の素子を用いてインクを吐出させる記録ヘッドにも適用可能である。
100 インクジェット記録装置
102 (102K、102C、102M、102Y) 記録ヘッド
103 (103K、103C、103M、103Y) 吐出口面
104 キャップ部材
105 吸引回復装置
202 吐出口列
301 ブレード
401 インクタンク
402 クリーニングポンプ
405 回復弁
410 大気連通口
411 流体導入流路
412 大気導入流路
413 大気開放弁
414 下流側の液体導入流路
415 送液ポンプ
416 上流側の液体導入流路
417 促進液タンク
418 バイパス流路
801 液体導入弁
S 空間

Claims (11)

  1. インクを吐出する吐出口が形成されている記録ヘッドの吐出口面に対して相対的に接触、離間可能に設けられたキャップ部材を備え、前記吐出口面と該吐出口面に接触したキャップ部材との間に形成された空間に負圧を発生させることにより、前記記録ヘッド内のインクを前記吐出口から前記キャップ部材へと吸引、排出させるインクジェット記録装置の回復装置であって、
    前記空間を大気に連通させるための大気連通口と、
    前記大気連通口による前記空間と大気との連通、遮断を切換える切換手段と、を備え、
    前記大気連通口は、キャップ部材内に貯留される廃インクの液面位置より重力方向において高い位置に形成されていることを特徴とするインクジェット記録装置の回復装置。
  2. 前記大気連通口は、前記吐出口面のうち、前記キャップ部材が接触する部分に囲まれた領域内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置の回復装置。
  3. 前記大気連通口は、前記キャップ部材の側部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置の回復装置。
  4. 前記キャップ部材は、負圧発生手段と連通する開口部を有し、
    前記吐出口の配列方向において前記大気連通口は前記空間の一方の端部の近傍に位置し、前記開口部は前記空間の他方の端部の近傍に位置し、前記吸引回復処理の後、前記大気連通口を大気に連通させることによって、前記空間内に前記大気連通口から前記開口部に向けた気流を発生させるようにしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置の回復装置。
  5. 前記大気連通口は、一端が大気に開放している流体導入流路に連結され、
    前記流路には、前記大気連通口を通じた前記空間と大気との連通、遮断を切換える切換手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置の回復装置。
  6. 前記吐出口面を、ブレードによって払拭するワイプ回復機構をさらに備え、
    前記ワイプ回復処理において前記ブレードによる払拭性能を向上させるための促進液を前記吐出口面に供給するための供給口が前記吐出口面に形成され、
    前記供給口は、前記促進液を供給するための液体導入流路に連結されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置の回復装置。
  7. 前記大気連通口は、前記供給口として共用され、
    前記大気連通口に連結されている流体導入流路の上流側の端部には、大気に連通する大気連通流路と、前記液体導入流路が連結され、
    前記大気連通流路には、前記切換手段としての大気開放弁が接続され、
    前記液体導入流路には、所定の液体供給源の液体を前記大気連通口へ向けて送る送液ポンプが接続されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置の回復装置。
  8. 前記大気開放弁を閉じた状態で、液体供給源に接続された送液ポンプを駆動することにより、前記液体供給源の液体を、前記液体導入流路から前記流体導入流路を経て大気連通口へと送ることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置の回復装置。
  9. 前記液体供給源からの液体を前記送液ポンプを通過させずに前記流体導入流路へ送るためのバイパス流路を前記液体導入流路に、連結すると共に、
    前記バイパス流路の連通、遮断を切換える液体導入弁を設けたことを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置の回復装置。
  10. 前記吸引回復処理の後、前記液体導入弁のみを開放させることにより、前記液体供給源の液体を前記バイパス流路から液体導入流路および流体導入流路を経て大気連通口へと前記液体を送ることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置の回復装置。
  11. インクを吐出する吐出口が形成された吐出口面を有する記録ヘッドを用いて記録を行うと共に、前記吐出口面に対して相対的に接触、離間可能に設けられたキャップ部材を備え、前記吐出口面と該吐出口面に接触したキャップ部材との間に形成された空間に負圧を発生させることにより、前記記録ヘッド内のインクを前記吐出口から前記キャップ部材へと吸引、排出させる回復手段を備えたインクジェット記録装置であって、
    前記回復手段は、
    前記空間を大気に連通させるための大気連通口と、
    前記大気連通口による前記空間と大気との連通、遮断を切換える切換手段と、を備え、
    前記大気連通口は、キャップ部材内に貯留される廃インクの液面位置より重力方向において高い位置に形成されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
JP2012158586A 2012-07-17 2012-07-17 インクジェット記録装置の回復装置、およびインクジェット記録装置 Pending JP2014019018A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012158586A JP2014019018A (ja) 2012-07-17 2012-07-17 インクジェット記録装置の回復装置、およびインクジェット記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012158586A JP2014019018A (ja) 2012-07-17 2012-07-17 インクジェット記録装置の回復装置、およびインクジェット記録装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014019018A true JP2014019018A (ja) 2014-02-03

Family

ID=50194465

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012158586A Pending JP2014019018A (ja) 2012-07-17 2012-07-17 インクジェット記録装置の回復装置、およびインクジェット記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014019018A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018122501A (ja) * 2017-01-31 2018-08-09 キヤノン株式会社 インクジェット記録装置
KR20190132202A (ko) 2018-05-17 2019-11-27 스미도모쥬기가이고교 가부시키가이샤 잉크제거장치, 잉크토출장치, 및 잉크제거방법

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018122501A (ja) * 2017-01-31 2018-08-09 キヤノン株式会社 インクジェット記録装置
KR20190132202A (ko) 2018-05-17 2019-11-27 스미도모쥬기가이고교 가부시키가이샤 잉크제거장치, 잉크토출장치, 및 잉크제거방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9096065B2 (en) Printing apparatus and method for controlling printing apparatus
JP2008155623A (ja) 液体吐出装置及び画像形成装置
JP5935338B2 (ja) 画像形成装置
JP2011005672A (ja) インクジェット記録装置
JP2007223185A (ja) インクジェットプリンタ
JP2014195880A (ja) 液体吐出装置、及び、ヘッドのクリーニング方法
JP2019014227A (ja) インクジェット記録装置および回収装置
JP5732914B2 (ja) 画像形成装置
JP7250467B2 (ja) インクジェット記録装置および制御方法
JP2005131969A (ja) インクジェットプリンタ用ヘッド清掃装置及び該清掃装置を備えたプリンタ
JP5031630B2 (ja) 塗布液供給装置及びインクジェット記録装置
US8100517B2 (en) Printer with foaming system for cleaning ejecting face
JP2014019018A (ja) インクジェット記録装置の回復装置、およびインクジェット記録装置
JP2004050472A (ja) インクジェット記録装置
JP4947009B2 (ja) 液体吐出装置
JP2015101073A (ja) プリンター及びプリンターの制御方法
US7922285B2 (en) Method of cleaning a printhead using liquid foam
US8382234B2 (en) Printhead maintenance system for applying foam to printhead
JP2008238692A (ja) 廃インクの再利用方法、記録装置
JP6081975B2 (ja) インクジェット記録装置
JP2014024258A (ja) インクジェット記録装置
JP2014184621A (ja) 液体吐出装置及び不要液体回収装置
JP2006264205A (ja) 画像形成装置
JP5034928B2 (ja) 液体吐出装置
JP2006062127A (ja) クリーニング方法