JP2014018899A - 超砥粒工具およびこれを用いたワークに穿孔する方法ならびに円柱体を切り出す方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】工作物にスクラッチ傷が発生することを抑制し、かつ、確実に穿孔加工が可能な超砥粒工具を提供することを目的とする。
【解決手段】超砥粒工具10は、穿孔側に開口を有する円筒状の台金30と、円筒状の台金30の先端部31に切れ刃として超砥粒を結合材で結合した超砥粒層20を備え、円筒状の台金30の少なくとも外周面38には軟質材からなる突条部40が設けられている。台金30の一端側に開口が設けられ、他方端側に底部50が設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】超砥粒工具10は、穿孔側に開口を有する円筒状の台金30と、円筒状の台金30の先端部31に切れ刃として超砥粒を結合材で結合した超砥粒層20を備え、円筒状の台金30の少なくとも外周面38には軟質材からなる突条部40が設けられている。台金30の一端側に開口が設けられ、他方端側に底部50が設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、超砥粒工具およびこれを用いた穿孔加工法(ワークに穿孔する方法)ならびに円柱加工法(円柱体を切り出す方法)に関する。
従来のこの種の工具としては、円筒状台金の内周面および外周面にダイヤモンド砥粒を螺旋状に電着したダイヤモンド砥粒層を設けた超砥粒工具が知られている。
ダイヤモンド砥粒層により、穿孔加工中に発生する切り屑の粒子径を小さくして、円筒状台金と工作物との隙間からスムーズに排出することによって、研削液の供給量と排出量を十分に確保して、効率の良い穿孔加工を可能とする機能を設けたものである(例えば、特許文献1)。
別の従来のこの種の工具としては、円筒状台金の外周面に角ネジの螺旋状突条部を設けた超砥粒工具が知られている。
角ネジの螺旋状突条を設けることにより、穿孔加工中に発生する切り屑を円筒状台金と工作物との隙間からスムーズに排出して、効率の良い穿孔加工を可能とする機能を設けたものである(例えば、特許文献2)。
さらに別の従来のこの種の工具としては、円筒状台金の外周面に螺旋状溝を設けた超砥粒工具が知られている。
螺旋状溝を設けることにより、穿孔加工中に発生する切り屑を円筒状台金と工作物との隙間からスムーズに排出して、効率の良い穿孔加工を可能とする機能を設けたものである(例えば、特許文献3)。
しかしながら、従来の超砥粒工具で穿孔加工を行うと、ビビリ振動を発生して穿孔加工が実施できない問題が発生することがあった。さらに、工作物に切り屑との擦れ合いにより、スクラッチ傷が発生する問題も発生した。
そこで、この発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、工作物にスクラッチ傷が発生することを抑制し、かつ、確実に穿孔加工が可能な超砥粒工具を提供することを目的とする。
この発明に従った超砥粒工具は、先端部が開口した円筒状の台金と、台金の先端部に設けられた超砥粒層とを備え、台金の外周面には、台金よりも軟らかい軟質材からなる突条部が設けられている。
このように構成された超砥粒工具では、台金よりも軟らかい軟質材からなる突条部が設けられているため、これにより工作物を保護できるため、工作物へのスクラッチ傷の発生を抑制することができる。さらに、この突条部により振動を吸収することができる。
好ましくは、軟質材は、ゴム、樹脂および軟質金属からなる群より選択された少なくとも一種を含む。
好ましくは、突条部は固体潤滑材を含む。
好ましくは、突条部は硬質粒子を含む。
好ましくは、突条部は硬質粒子を含む。
好ましくは、突条部は螺旋状に設けられる。
好ましくは、突条部は、1条以上設けられている。
好ましくは、突条部は、1条以上設けられている。
好ましくは、突条部は、ねじれ角が5度以上85度以下となるように設けられている。
好ましくは、突条部の幅は0.3mm以上高さが0.3mm以上である。
好ましくは、突条部の幅は0.3mm以上高さが0.3mm以上である。
好ましくは、超砥粒層は複数の超砥粒チップを有し、超砥粒チップがワークに接触した状態で台金を回転させることによりワークが加工され、突条部は超砥粒チップの回転方向上流側を起点として設けられている。
好ましくは、超砥粒チップの先端面は円弧状である。
好ましくは、超砥粒層は内周面を含み、少なくとも工作物に接触するその内周面の振れ精度は、20μm以内である。
好ましくは、超砥粒層は内周面を含み、少なくとも工作物に接触するその内周面の振れ精度は、20μm以内である。
好ましくは、超砥粒層は内周面、外周面および先端面を含み、少なくとも工作物に接触する外周面、および少なくとも工作物に接触する先端面の振れ精度は、それぞれ20μm以内である。
好ましくは、外周面、内周面および先端面の少なくとも工作物に接触する表面はそれぞれがドレッシングされている。
好ましくは、外周面と先端面のコーナー部および内周面と先端面とのコーナー部には、それぞれ面取りまたは丸みが設けられている。
この発明に従ったワークに穿孔する方法は、上記のいずれかに記載の超砥粒工具を用いて、ガラス、光学ガラス、石英ガラス、セラミックス、シリコン、サファイヤ、単結晶炭化ケイ素および窒化ガリウムからなる群より選択された少なくとも一種のワークに穿孔する方法である。
好ましくは、穿孔深さが50mm以上である。
この発明に従った円柱体を切り出す方法は、上記のいずれかの超砥粒工具を用いて、ガラス、光学ガラス、石英ガラス、セラミックス、シリコン、サファイヤ、単結晶炭化ケイ素および窒化ガリウムからなる群より選択された少なくとも一種のワークから台金内に円柱体を切り出す方法である。
この発明に従った円柱体を切り出す方法は、上記のいずれかの超砥粒工具を用いて、ガラス、光学ガラス、石英ガラス、セラミックス、シリコン、サファイヤ、単結晶炭化ケイ素および窒化ガリウムからなる群より選択された少なくとも一種のワークから台金内に円柱体を切り出す方法である。
好ましくは、円柱体の高さが50mm以上である。
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。以下の実施の形態では同一または相当する部分については同一の参照符号を付す。また、各実施の形態を組み合わせることも可能である。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に従った超砥粒工具の正面図である。図2は、この発明の実施の形態1に従った超砥粒工具の平面図である。図3は、この発明の実施の形態1に従った超砥粒工具の底面図である。図4は、図2中のIV−IV線に沿った断面図である。図5は、図4中のV−V線で囲んだ部分の拡大図である。図6は、この発明の実施の形態1に従った超砥粒工具の斜視図である。
図1は、この発明の実施の形態1に従った超砥粒工具の正面図である。図2は、この発明の実施の形態1に従った超砥粒工具の平面図である。図3は、この発明の実施の形態1に従った超砥粒工具の底面図である。図4は、図2中のIV−IV線に沿った断面図である。図5は、図4中のV−V線で囲んだ部分の拡大図である。図6は、この発明の実施の形態1に従った超砥粒工具の斜視図である。
これらの図を参照して、超砥粒工具10は、穿孔側に開口32を有する円筒状の台金30と、円筒状の台金30の先端部31に切れ刃として超砥粒を結合材で結合した超砥粒層20を備え、円筒状の台金30の少なくとも外周面38には軟質材からなる突条部40が設けられている。台金30の一端側に開口32が設けられ、他方端側に底部50が設けられている。
突条部40は、円筒状の台金30の少なくとも外周面38に設けられる。円筒状の台金30の外周面38と内周面39の両方に設けることもできる。
超砥粒工具10の突条部40を構成する軟質材は、ゴム、樹脂、軟質金属等から選択された1つ以上である。ゴムとしては天然ゴム、合成ゴム(アクリルゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム等)を用いることができ、特に材質に限定されない。樹脂としては、熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリスチレン等)、熱硬化性樹脂(熱硬化性ポリイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等)、エンジニアリング・プラスチック(ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート等)を用いることができ、特に材質に限定されない。軟質金属としては、アルミおよびアルミ合金、銅および銅合金などを用いることができ、特に材質に限定されない。軟質材料は、上記の材料から1つ、または2つ以上を組み合わせて用いることもできる。
突条部40は台金30の材質よりも軟らかい軟質材を用いる。軟質材の硬さを測定するには、ロックウエル硬さ試験機を用いる。台金30は、通常鋼材が用いられるので、測定スケールはCスケールである。例えば、樹脂等の軟質材の硬さを測定するためにはRスケール、LスケールまたはMスケールを使用する。
軟質材からなる突条部40を設けることにより、加工時に発生する振動を吸収するので、振動抑制効果により良好な工作物の表面粗さが得られる。
超砥粒工具10では、突条部40は、好ましくは、固体潤滑剤粒子を含む。固体潤滑剤としては、グラファイト(黒鉛)、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、四フッ化エチレン(PTFE)、六方晶窒化ホウ素等の材料から1つ、または2つ以上を組み合わせて用いることもできる。
突条部40は、硬質粒子を含んでもよい。硬質粒子としては、CBN(立方晶窒化ホウ素)、酸化アルミニウム、炭化ケイ素等の材料から1つ、または2つ以上を組み合わせて用いることもできる。
突条部40は、好ましくは、螺旋状に設けられている。突条部40は、台金30の開口32を起点として切れ目が無く成形され、台金30後方の端まで連なって形成することが好ましい。突条部40の長さは、工作物への切り込み深さより長いことがより好ましい。
突条部40は、1条以上設けることができる。超砥粒工具10が回転したときにアンバランスを生じて、振動しないように設けることが好ましい。さらに、研削液を供給しながら本発明の超砥粒工具で加工をする際には、研削液と切り屑をスムーズに超砥粒工具の外部に排出して、切り屑が加工中の工作物の底部に滞留しないよう突条部を適宜に設ける。
好ましくは、突条部40のねじれ角θが5度〜85度に設けられている。突条部40のねじれ角θは、研削液を供給しながら超砥粒工具10で加工をする際には、研削液と切り屑をスムーズに外部に排出して、切り屑が加工中の工作物の底部に滞留しないようにするために最適な角度を設定する。
5度未満では排出効果が著しく低下する。また85度を超えるときは排出効果が著しく低下する。
より詳しくは、ねじれ角θは、5度〜80度がより好ましく、5度〜70度であることが最も好ましい。
ここで、ねじれ角θとは、突条部40と、この上の一点を通る超砥粒工具10の回転軸に平行な直線とがなす角度のことである。ねじれ角θは、JIS B0171の番号3004における「ねじれ角」およびJIS B0172の番号6023における「ねじれ角」と同義である。
突条部40の寸法は、幅Wが0.3mm以上、高さHが0.3mm以上に設けられていることが好ましい。
突条部40の寸法で、幅Wおよび高さHは、研削液を供給しながら本発明の超砥粒工具10で加工をする際には、研削液と切り屑をスムーズに外部に排出して、切り屑が加工中の工作物の底部に滞留しないようにするために最適な寸法を設定する。
突条部40の寸法は、幅Wが0.5mm以上50mm以下、高さHが0.3mm以上で工作物との隙間が0.01mm以上あることがより好ましく、幅が1mm以上50mm以下、高さが0.5mm以上で工作物との隙間が0.03mm以上あることが最も好ましい。
ここで、幅Wとは突条部40の長さ方向に対して直角方向の幅のことである。高さHとは台金30からの突出高さで最も高い箇所の高さのことである。
突条部40は、超砥粒層20のチップの回転方向上流側を起点として設けられていることが好ましい。
超砥粒層20のチップの回転方向上流側の側面25を起点として突条部40を設けることにより、回転方向に対して先行する超砥粒層20が加工に際して発生した切り屑を、工作物の外部にスムーズに排出することができる。このような効果により、先行する超砥粒層20が発生した切り屑が工作物の底に滞留することがなく、後方の超砥粒層20は咬み込むこともないので、超砥粒工具の良好な切れ味が長時間に渡って持続する。さらに、切り屑を咬み込むことがない効果により、工作物にスクラッチ(引っ掻き傷)を発生することがない。従って、極めて良好な工作物の表面粗さを得ることができる。
超砥粒層20のチップの先端面22は円弧状である。超砥粒層20は内周面21を含み、少なくとも工作物に接触するその内周面21の振れ精度は、20μm以内であることが好ましい。振れ精度は、JIS B−4131の表27「ホイール作用面の振れの測定」に従って測定する。測定器具として、JIS B−7503のダイヤルゲージを用いることができる。
超砥粒層20は内周面21、外周面23および先端面22を含み、少なくとも工作物に接触する外周面23、および少なくとも工作物に接触する先端面22の振れ精度は、それぞれ20μm以内であることが好ましい。
外周面23、内周面21および先端面22の少なくとも工作物に接触する表面はそれぞれがドレッシングされていることが好ましい。
外周面23と先端面22のコーナー部および内周面21と先端面22とのコーナー部には、それぞれ丸みが設けられていることが好ましい。
超砥粒工具10は、ガラス、光学ガラス、石英ガラス、各種セラミックス、シリコン、サファイヤ等の穿孔加工および円柱加工する方法を提供する。言うまでもなく、工作物の材質は、上記記載の材質に限定されない。
超砥粒工具10は、穿孔深さまたは円柱長さが50mm以上である穿孔加工法および円柱加工法を提供する。突条部40の幅、高さ、長さ、条数および、ねじれ角を工作物の材質、加工条件(超砥粒工具の回転数、研削液の種類等)に対して最適に設定すれば、穿孔深さまたは円柱長さが300mm以上でも可能である。
超砥粒工具10によれば、ガラス、各種セラミックス、シリコン、サファイヤ、単結晶炭化ケイ素および窒化ガリウム等の切り込み深さが50mmを超える場合であってもスムーズな穿孔加工および円柱加工が可能である。
(実施の形態2)
図7は、この発明の実施の形態2に従った超砥粒工具の正面図である。図8は、この発明の実施の形態2に従った超砥粒工具の平面図である。図9は、この発明の実施の形態2に従った超砥粒工具の底面図である。図10は、図8中のX−X線に沿った断面図である。図11は、図10中のXI−XI線で囲んだ部分の拡大図である。図12は、この発明の実施の形態2に従った超砥粒工具の斜視図である。
図7は、この発明の実施の形態2に従った超砥粒工具の正面図である。図8は、この発明の実施の形態2に従った超砥粒工具の平面図である。図9は、この発明の実施の形態2に従った超砥粒工具の底面図である。図10は、図8中のX−X線に沿った断面図である。図11は、図10中のXI−XI線で囲んだ部分の拡大図である。図12は、この発明の実施の形態2に従った超砥粒工具の斜視図である。
これらの図を参照して、実施の形態2に従った超砥粒工具10は、超砥粒層20、台金30、および突条部40の寸法および超砥粒層20の個数が実施の形態1と異なる。さらに、実施の形態1では側面25が曲面状であったのに対して、実施の形態2では側面は平面状である。
(実施の形態3)
図13は、この発明の実施の形態3に従った超砥粒工具の正面図である。図14は、この発明の実施の形態3に従った超砥粒工具の平面図である。図15は、この発明の実施の形態3に従った超砥粒工具の底面図である。図16は、図14中のXVI−XVI線に沿った断面図である。図17は、図16中のXVII−XVII線で囲んだ部分の拡大図である。図18は、この発明の実施の形態3に従った超砥粒工具の斜視図である。
図13は、この発明の実施の形態3に従った超砥粒工具の正面図である。図14は、この発明の実施の形態3に従った超砥粒工具の平面図である。図15は、この発明の実施の形態3に従った超砥粒工具の底面図である。図16は、図14中のXVI−XVI線に沿った断面図である。図17は、図16中のXVII−XVII線で囲んだ部分の拡大図である。図18は、この発明の実施の形態3に従った超砥粒工具の斜視図である。
これらの図を参照して、実施の形態3に従った超砥粒工具10では、実施の形態1の超砥粒工具10と比較して、突条部40のねじれ方向が反転して設けられている。すなわち、超砥粒工具10の先端部31側から右方向にねじれるように突条部40が配置されている。
(実施の形態4)
図19は、この発明の実施の形態4に従った超砥粒工具の正面図である。図20は、この発明の実施の形態4に従った超砥粒工具の平面図である。図21は、この発明の実施の形態4に従った超砥粒工具の底面図である。図22は、図20中のXXII−XXII線に沿った断面図である。図23は、図22中のXXIII−XXIII線で囲んだ部分の拡大図である。図24は、この発明の実施の形態4に従った超砥粒工具の斜視図である。
図19は、この発明の実施の形態4に従った超砥粒工具の正面図である。図20は、この発明の実施の形態4に従った超砥粒工具の平面図である。図21は、この発明の実施の形態4に従った超砥粒工具の底面図である。図22は、図20中のXXII−XXII線に沿った断面図である。図23は、図22中のXXIII−XXIII線で囲んだ部分の拡大図である。図24は、この発明の実施の形態4に従った超砥粒工具の斜視図である。
これらの図を参照して、実施の形態4に従った超砥粒工具10では、実施の形態2の超砥粒工具10と比較して、突条部40のねじれ方向が反転して設けられている。すなわち、超砥粒工具10の先端部31側から右方向にねじれるように突条部40が配置されている。
(実施例1)
以下のような本発明の実施例1の超砥粒工具を製作して、本発明の効果を実験により確認した。
以下のような本発明の実施例1の超砥粒工具を製作して、本発明の効果を実験により確認した。
穿孔側が開口した円柱状の鋼製の台金30で、サイズは、内径が142mm、外径が146mm、開口部長さ350mmを準備した。この台金30の先端部31にメタルボンドでダイヤモンド砥粒を結合した超砥粒層20からなるチップを8個、ロウ付けで接合した。チップのダイヤモンド粒度は#100、とした。
それから、このチップをGC砥石により、ツルーイング・ドレッシングして、複数の外周面23で形成される円の直径(外径)を148mm、複数の内周面21で形成される円の直径(内径)を140mmに仕上げた。超砥粒層20の外周面23、内周面21および先端面22の少なくとも工作物に接触する部分の振れを20μmとした。
次に、幅12mm、厚み0.6mm、のフェノール樹脂製のテープを台金30の外周面38に接着して、幅Wが12mm、高さHが0.6mm、ねじれ角θが20°の螺旋状の8条の樹脂の突条部40を形成した。突条部40の長さは350mmであり、チップ先端部から底部50へ延在する。これにより、本発明の実施例1の超砥粒工具10(図1参照)を完成させた。
次に、本発明の実施例1の超砥粒工具10を立型ロータリーテーブル方式の加工機に搭載し、工作物として、厚みが300mmのセラミックスを用い、これに穿孔加工実験を行った。超砥粒工具10の回転数は毎分3000回転とした。
実験の結果、300mm深さまで切り込んでも工作物が破損すること無く、連続研削を実施することができた。加工によりくり抜かれた円柱状工作物の加工精度を測定したところ、円筒度10μm以下であった。表面粗さは1μmRa以下であり、目視で工作物にはスクラッチ(引っ掻き傷)は観察されなかった。
(比較例1)
比較例1では、螺旋状の突条部は形成していない。超砥粒層20の外周面23、内周面21および先端面22の少なくとも工作物に接触する部分の振れを200μmとした。これら以外は実施例1と同じ仕様とした。
比較例1では、螺旋状の突条部は形成していない。超砥粒層20の外周面23、内周面21および先端面22の少なくとも工作物に接触する部分の振れを200μmとした。これら以外は実施例1と同じ仕様とした。
この比較例1の超砥粒工具を実施例1と同じ条件で実験した結果、約80mm深さまで切り込んだ時点で研削液の排出が著しく悪化し、ビビリ振動を発生し始めた。そして、約150mm深さまで切り込んだ時点でセラミックスにクラックが発生し、加工を中断した。
(実施例2)
以下のような本発明の実施例2の超砥粒工具を製作して、本発明の効果を実験により確認した。
以下のような本発明の実施例2の超砥粒工具を製作して、本発明の効果を実験により確認した。
穿孔側が開口した円柱状の鋼製の台金30で、サイズは、内径が100mm、外径が106mm、開口部長さ300mmを準備した。この台金30の先端部31にメタルボンドでダイヤモンド砥粒を結合した超砥粒層20からなるチップを8個、ロウ付けで接合した。チップのダイヤモンド粒度は#80、とした。
次に、このチップをGC砥石により、ツルーイング・ドレッシングして、複数の外周面23で形成される円の直径(外径)を108mm、複数の内周面21で形成される円の直径(内径)を98mmに仕上げた。超砥粒層20の外周面23、内周面21および先端面22の少なくとも工作物に接触する部分の振れを20μmとした。
次に、幅Wが6mm、高さHが0.6mm、ねじれ角θが15°の螺旋状の8条の突条部40をエポキシ樹脂で形成した。突条部40の長さは300mmであり、チップ先端部から底部50へ延在する。これにより、本発明の実施例2の超砥粒工具10(図1参照)を完成させた。
次に、本発明の実施例2の超砥粒工具を立型ロータリーテーブル方式の加工機に搭載し、工作物として、厚みが250mmの石英ガラスを用い、これに穿孔加工実験を行った。超砥粒工具の回転数は毎分3000回転とした。
実験の結果、250mm深さまで切り込んでも工作物が破損すること無く、連続研削を実施することができた。加工によりくり抜かれた円柱状工作物の加工精度を測定したところ、円筒度10μm以下であった。表面粗さは1.5μmRa以下であり、目視で工作物にはスクラッチ(引っ掻き傷)は観察されなかった。
(比較例2)
比較例2では、螺旋状の突条部は形成していない。超砥粒層20の外周面23、内周面21および先端面22の少なくとも工作物に接触する部分の振れを200μmとした。これら以外は実施例2と同じ仕様とした。
比較例2では、螺旋状の突条部は形成していない。超砥粒層20の外周面23、内周面21および先端面22の少なくとも工作物に接触する部分の振れを200μmとした。これら以外は実施例2と同じ仕様とした。
この比較例2の超砥粒工具を実施例2と同じ条件で実験した結果、約100mm深さまで切り込んだ時点で研削液の排出が著しく悪化し、ビビリ振動を発生し始めた。そして、約150mm深さまで切り込んだ時点で切り込みが不可能となり、加工を中断した。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、ガラス、各種セラミックス、シリコン、サファイヤ等の穿孔加工に用いられることが考えられる。
10 超砥粒工具、20 超砥粒層、21,39 内周面、22 先端面、23,38 外周面、25 側面、30 台金、31 先端部、32 開口、40 突条部、50 底部。
Claims (18)
- 先端部が開口した円筒状の台金と、
前記台金の先端部に設けられた超砥粒層とを備え、
前記台金の外周面には、前記台金よりも軟らかい軟質材からなる突条部が設けられている、超砥粒工具。 - 前記軟質材は、ゴム、樹脂および軟質金属からなる群より選択された少なくとも一種を含む、請求項1に記載の超砥粒工具。
- 前記突条部は固体潤滑材を含む、請求項1または2に記載の超砥粒工具。
- 前記突条部は硬質粒子を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の超砥粒工具。
- 前記突条部は螺旋状に設けられる、請求項1から4のいずれか1項に記載の超砥粒工具。
- 前記突条部は、1条以上設けられている、請求項5に記載の超砥粒工具。
- 前記突条部は、ねじれ角が5度以上85度以下となるように設けられている、請求項1から6のいずれか1項に記載の超砥粒工具。
- 前記突条部の幅は0.3mm以上高さが0.3mm以上である、請求項1から7のいずれか1項に記載の超砥粒工具。
- 前記超砥粒層は複数の超砥粒チップを有し、前記超砥粒チップがワークに接触した状態で前記台金を回転させることによりワークが加工され、前記突条部は前記超砥粒チップの回転方向上流側を起点として設けられている、請求項1から8のいずれか1項に記載の超砥粒工具。
- 前記チップの先端面は円弧状である、請求項9に記載の超砥粒工具。
- 前記超砥粒層は内周面を含み、少なくとも工作物に接触するその内周面の振れ精度は、20μm以内である、請求項1から10のいずれか1項に記載の超砥粒工具。
- 前記超砥粒層は内周面、外周面および先端面を含み、少なくとも工作物に接触する前記外周面、および少なくとも工作物に接触する前記先端面の振れ精度は、それぞれ20μm以内である、請求項1から11のいずれか1項に記載の超砥粒工具。
- 前記外周面、前記内周面および前記先端面の少なくとも工作物に接触する表面はそれぞれがドレッシングされている、請求項12に記載の超砥粒工具。
- 前記外周面と前記先端面のコーナー部および前記内周面と前記先端面とのコーナー部には、それぞれ面取りまたは丸みが設けられている、請求項1から13のいずれか1項に記載の超砥粒工具。
- 請求項1から14のいずれか1項に記載の超砥粒工具を用いて、ガラス、光学ガラス、石英ガラス、セラミックス、シリコン、サファイヤ、単結晶炭化ケイ素および窒化ガリウムからなる群より選択された少なくとも一種のワークに穿孔する方法。
- 穿孔深さが50mm以上である、請求項15に記載のワークに穿孔する方法。
- 請求項1から14のいずれか1項に記載の超砥粒工具を用いて、ガラス、光学ガラス、石英ガラス、セラミックス、シリコン、サファイヤ、単結晶炭化ケイ素および窒化ガリウムからなる群より選択された少なくとも一種のワークから台金内に円柱体を切り出す方法。
- 円柱体の高さが50mm以上である、請求項17に記載の円柱体を切り出す方法。
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