JP2014018876A - 研削状態判別方法及び歯車研削システム - Google Patents

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Abstract

【課題】研削工具により研削されたワーク歯車の研削状態を効率的且つ精度よく判別する。
【解決手段】研削状態判別方法は、研削工具Tにより研削されたワーク歯車Wを第1機構14により移動して、ワーク歯車Wの右歯面102R、左歯面102Lと第1及び第2基準面62、64を当接させる移動工程と、移動工程により当接した際の座標情報を座標取得部82により取得する取得工程と、座標取得部82が取得した座標情報を用いて、ワーク歯車Wの右歯面102R、左歯面102Lの研削状態を判別する判別工程とを有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、研削工具により歯車に研削されたワーク歯車について、その研削状態の判別するための研削状態判別方法及び歯車研削システムに関する。
従来、歯車の加工においては、歯車研削システムを用いて、熱処理後の歯車の歯面を研削工具で研削することにより、歯車を効率良く仕上げ加工している(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示されている歯車研削システム(歯車加工機)は、ワーク歯車を研削するねじ状砥石と、ワーク歯車とねじ状砥石の位相を検出するAEフルイッドセンサを備える。仕上げ加工においては、AEフルイッドセンサによりねじ状砥石の刃とワーク歯車の歯の噛み合わせを検出して、ねじ状砥石とワーク歯車を同期回転させる。これにより、ねじ状砥石の刃にてワーク歯車が研削される。
特開2011−20180号公報
ところで、歯車研削システムは、ワーク歯車の加工にともない、研削工具の摩耗や装置の熱変形が生じる。このように研削工具の摩耗や装置の熱変形が生じると、研削されるワーク歯車の寸法が変化してしまう。このため、従来は、研削したワーク歯車を歯車研削システムから取り外し、人手によってその寸法を測定して、検査結果に基づきワーク歯車と研削工具の当接位置を補正していた。しかしながら、このような従来の手法は、工数の増加を招くとともに、人為的なミス等が生じ易くなり、研削作業の効率性やワーク歯車の加工精度が低下するという不都合が生じる。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、研削工具により研削されたワーク歯車の研削状態を効率的且つ精度よく判別することができ、これにより研削工具の状態を把握するとともに、研削工具によるワーク歯車の加工を一層良好に行うことが可能となる研削状態判別方法及び歯車研削システムを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明に係る研削状態判別方法は、研削工具により研削されたワーク歯車、又は基準面を有する基準工具の少なくとも一方を移動機構により移動して、前記ワーク歯車の歯面と前記基準面を当接させる移動工程と、前記移動工程により前記歯面と前記基準面が当接した際の当接位置に基づく情報を取得手段により取得する取得工程と、前記取得手段が取得した当接位置に基づく情報を用いて、前記歯面の研削状態を判別する判別工程とを有することを特徴とする。
上記によれば、取得工程において、歯面と基準面が当接した際の当接位置に基づく情報を取得手段により取得することで、判別工程の実施時にワーク歯車の研削状態を良好に判別することができる。すなわち、ワーク歯車の研削状態が不良である場合(成形基準寸法の範囲外である場合)は、ワーク歯車を移動して歯面を基準面に当接させると、研削状態が良好である場合と比較して、その当接位置にずれが生じる。このため、当接位置に基づく情報を判別工程により判別することで、ワーク歯車の研削状態を効率的且つ精度よく判別することができる。これにより、研削工具の研削能力を把握することができるので、ワーク歯車と研削工具の当接位置を容易に補正することができ、ワークの加工を一層良好に行うことができる。
この場合、前記当接位置に基づく情報は、前記歯面と前記基準面の当接位置の座標情報であり、前記判別工程は、予め用意された基準座標と前記座標情報を判別手段により比較することで、前記ワーク歯車の研削状態を判別するとよい。
このように、歯面と基準面の当接位置の座標情報を取得して、判別手段がこの座標情報を基準座標と比較することにより、ワーク歯車の研削状態を簡単に判別することができる。
また、前記基準座標は、正常な寸法に成形された基準歯車に対して、前記移動工程、前記取得工程を行うことにより取得されることが好ましい。
このように、正常な寸法に成形された基準歯車に対し、ワーク歯車の研削状態を判別するための移動工程及び取得工程を行って基準座標を取得することで、実際に研削を行った歯車研削システム固有の基準座標を設定することができ、ワーク歯車の研削状態をより精度よく判別することができる。
ここで、前記判別手段により算出された前記座標情報と前記基準座標の公差に基づき、研削時における前記ワーク歯車又は前記研削工具の移動量の補正値を、補正手段により取得する補正値取得工程をさらに有していてもよい。
このように、座標情報と基準座標の公差に基づき補正値を補正手段により取得することで、ワーク歯車の研削時に、取得した補正値によりワーク歯車又は研削工具の移動を自動的に補正することができ、ワーク歯車と研削工具を良好に当接させることが可能となる。これにより、ワーク歯車を所定の寸法に精度よく成形することができる。
また、前記移動工程では、前記歯面と前記基準面の当接時に生じる音を検出部により検出し、当接判別手段によりその検出値を判定するとよい。
このように、歯面と基準面の当接時に生じる音を検出部により検出することで、歯面と基準面の当接タイミングを一層確実に検出することができる。
さらに、前記基準工具は、前記ワーク歯車の隣り合う歯の間に噛み合い可能に進入され該隣り合う歯に前記基準面が対向配置された突出部を含んで構成され、前記移動工程中において、前記隣り合う歯の間の中心位置を測定手段により測定する中心位置測定工程をさらに有することが好ましい。
このように、中心位置測定工程を有することで、移動工程によりワーク歯車又は基準工具を移動する際に、ワーク歯車の隣り合う歯の間の中心位置と突出部の中間部とを一致させることができる。その結果、ワーク歯車の右歯面及び左歯面を基準工具の基準面に略同時に当接させることができ、ワーク歯車と基準工具の当接をより精度よく判別することができる。
またさらに、前記基準工具は、前記研削工具の回転軸の軸方向に連設され、前記ワーク歯車が前記研削工具により研削された後、前記研削工具を前記軸方向に移動して前記基準工具を前記ワーク歯車に対向させる基準工具移動工程をさらに有していてもよい。
このように、基準工具が研削工具の回転軸の軸方向に連設されることで、研削工具を軸方向に移動させる基準工具移動工程を実施すれば、基準工具をワーク歯車に簡単に対向させることができ、以降に移動工程、取得工程及び判別工程をスムーズに行うことができる。
また、前記の目的を達成するために、本発明に係る歯車研削システムは、研削工具により研削されたワーク歯車の歯面に当接可能な基準面を有する基準工具と、前記ワーク歯車又は前記基準工具の少なくとも一方を移動して、前記歯面と前記基準面を当接させる移動機構と、前記歯面と前記基準面が当接した際の当接位置に基づく情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した当接位置に基づく情報を用いて、前記歯面の研削状態を判別する判別手段とを備えることを特徴とする。
上記によれば、判別手段が当接位置に基づく情報を判別することで、研削されたワーク歯車の研削状態を効率的且つ精度よく判別することができ、これによりワーク歯車の加工を一層良好に行うことが可能となる。
この場合、前記当接位置に基づく情報は、前記歯面と前記基準面の当接位置の座標情報であり、前記判別手段は、予め用意された基準座標と前記座標情報を比較することで、前記ワーク歯車の研削状態を判別することが好ましい。
また、前記判別手段は、前記座標情報と前記基準座標の公差を算出し、前記ワーク歯車の研削時における前記ワーク歯車又は前記研削工具の移動量の補正値を、前記公差に基づき取得する補正手段を有することが好ましい。
さらに、前記歯面と前記基準面の当接時に生じる音を検出する検出部と、前記検出部の検出値に基づき当接を判定する当接判別手段とを有することが好ましい。
またさらに、前記基準工具は、前記研削工具の回転軸の軸方向に連設され、前記研削工具を前記軸方向に移動して、前記基準工具を前記ワーク歯車に対向させる研削工具駆動機構を有するとよい。
本発明によれば、研削工具により研削されたワーク歯車の研削状態を効率的且つ精度よく判別することができ、これにより研削工具の状態を把握するとともに、研削工具によるワーク歯車の加工を一層良好に行うことが可能となる。
本実施形態に係る歯車研削システムの全体構成を示す斜視図である。 図1の歯車研削システムによる工具とワーク歯車の接触状態を示す説明図である。 図1の歯車研削システムの制御部の内部構成を示すブロック図である。 図3の研削状態判別部の内部機能を示すブロック図である。 図1の歯車研削システムによる研削状態判別方法を示す第1のフローチャートである。 図5に続く研削状態判別方法を示す第2のフローチャートである。 図7Aは、中心位置測定工程のワーク歯車の動作を示す第1説明図であり、図7Bは、中心位置測定工程のワーク歯車の動作を示す第2説明図であり、図7Cは、中心位置測定工程のワーク歯車の動作を示す第3説明図である。 ワーク歯車と基準部が当接した状態を示す説明図である。
以下、本発明に係る研削状態判別方法について、それを実施する歯車研削システムとの関係で好適な実施形態を例示し、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る歯車研削システムは、研削工具にてワーク歯車を研削するシステムであり、さらにその機上で、研削したワーク歯車の研削状態を判別するように構成されている。研削状態の判別においては、基準工具を用いて、この基準工具とワーク歯車の当接位置を確認する。すなわち、成形されたワーク歯車の当接位置が、正常な寸法(基準寸法)に成形されたワーク歯車の当接位置よりも所定以上ずれていれば、研削不良と判別することができる。換言すれば、この判別結果により、研削工具の状態(研削能力)を把握することが可能となる。また、歯車研削システムは、判別結果に基づき、ワーク歯車と研削工具の当接位置を補正する機能も有している。以下、この歯車研削システムの構成について具体的に説明していく。
なお、以下の説明では、ワーク歯車としてはすば歯車(ヘリカルギヤ)を研削し、このはすば歯車の研削状態を判別する実施形態について説明する。勿論、本発明は、はすば歯車の研削のみに適用されるものではなく、種々の歯車の研削状態を判別することが可能である。
図1は、本実施形態に係る歯車研削システム10の全体構成を示す斜視図である。歯車研削システム10は、研削を行う各種構成が上面に搭載されたベッド12と、ベッド12の上面の中央部分から一端側にわたって設けられた第1機構14(ワーク歯車移動機構)と、ベッド12の上面の他端側に設けられた第2機構16(工具移動機構)と、第2機構16側の近傍位置に設けられた制御部18とを備える。この歯車研削システム10では、加工品であるワーク歯車Wが第1機構14に取り付けられ、ワーク歯車Wを研削する螺旋状の工具Tが第2機構16に取り付けられる。
第1機構14は、ワーク歯車Wを回転自在に軸支するとともに、このワーク歯車Wを変位させる機能を有する。第1機構14は、ワーク歯車Wの回転軸線と直交する方向(矢印A方向)に進退可能な状態でベッド12上に設けられた切込テーブル20と、切込テーブル20を矢印A方向に進退させる切込モータ22と、ワーク歯車Wの回転軸線方向(矢印B方向)に移動可能な状態で切込テーブル20上に設けられたトラバーステーブル24と、トラバーステーブル24を矢印B方向に移動させるトラバースモータ26とを有する。
トラバーステーブル24の上面には、ワーク歯車Wを着脱可能なテールストック28が設けられ、ワーク歯車Wを挟んだテールストック28の反対側には、減速機構29を介してワーク歯車Wを正逆両方向に回転駆動する第1回転モータ30が設けられている。また、第1回転モータ30には、ワーク歯車Wの回転角度に対応した信号(パルス信号)を出力する第1エンコーダ32が取り付けられている。
テールストック28には、工具Tとワーク歯車Wとの当接を検出する検出部34が設けられている。検出部34としては、ワーク歯車Wと工具Tの当接時に生じる弾性波(音)を検出するAE(Acoustic Emission)センサが用いられる。AEセンサは、接触方式又は非接触方式のいずれの方式であっても構わない。
第2機構16は、工具Tを回転自在に軸支するとともに、この工具Tを変位させる機能を有する。第2機構16は、ベッド12の上面に立設されたコラム36と、コラム36のうち第1機構14を臨む一側面に設けられ矢印C方向に旋回可能な旋回テーブル38と、旋回テーブル38を旋回させる旋回モータ40と、工具Tの回転軸線方向(矢印D方向)に移動可能な状態で旋回テーブル38に設けられたシフトテーブル42と、シフトテーブル42を矢印D方向に移動させるシフトモータ44とを有する。
また、シフトテーブル42の第1機構14を臨む側面には、工具Tを回転自在に支持する工具支持部46が設けられている。工具Tは、工具支持部46の下方側において傾斜した状態で軸支される。工具支持部46を挟んだ工具Tの反対側には、この工具Tを回転駆動する第2回転モータ48が設けられている。さらに、第2回転モータ48には、工具Tの回転角度に対応した信号(パルス信号)を出力する第2エンコーダ50が取り付けられている。
図2は、図1の歯車研削システム10による工具Tとワーク歯車Wの接触状態を示す説明図である。工具Tは、回転軸線方向に所定長さ延在する円柱状の部材であり、その外周面に螺旋状の突出部52が設けられている。本実施形態に係る工具Tは、回転軸線方向の高さ位置に応じて異なる機能を有している。具体的には、工具Tの中央部分から上側は、ワーク歯車Wを実際に研削する研削工具Tとして構成され、工具Tの下側は、ワーク歯車Wの研削状態を判別するための基準工具Tとして構成される。すなわち、工具Tは、研削工具Tと基準工具Tを一体化した工具となっている。
研削工具Tは、螺回する突出部52が、ワーク歯車Wを構成する歯100の研削を実際に行う砥石部54として構成されている。砥石部54の表面には、歯100の右歯面102Rを研削するための研削歯面56と、ワーク歯車Wを構成する歯100の左歯面102Lを研削するための研削歯面58とが形成されている。研削歯面56、58には、例えば、単層のCBN(立方晶窒化硼素)砥粒等がニッケルメッキ層を介して電着されている。
砥石部54による研削では、研削前のワーク歯車Wを砥石部54に向けて移動(以下、この移動を切込移動という)して、軸方向に並ぶ砥石部54の間にワーク歯車Wの歯100を進入させ、設定された進入位置(切込量)で当接させる。そして、例えば、ワーク歯車Wの右歯面102Rを研削歯面56により先に研削し、その後左歯面102Lを研削歯面58により研削する。
一方、基準工具Tは、螺回する突出部52が、ワーク歯車Wに当接する基準部60として構成されている。基準部60の表面には、成形されたワーク歯車Wの右歯面102Rに当接する第1基準面62と、左歯面102Lに当接する第2基準面64が形成されている。研削状態の判別においては、第1及び第2基準面62、64が研削後のワーク歯車Wに当接し、その当接状態(当接位置)に基づき判別を行う。このため、第1及び第2基準面62、64は、右歯面102R及び左歯面102Lに同時に当接するように、基準部60の頂部の中間を基点に対称をなす傾斜角に形成されている。
なお、基準部60は、砥石部54と同じ形状に形成されている、すなわち、突出部52の突出量が一致するとともに、第1及び第2基準面62、64と研削歯面56、58の傾斜角が一致する形状であることが好ましい。これにより、工具T全体の成形が容易となる。また、従来の工具をそのまま転用し研削に使われていない部分を基準部60に用いることもできる。なお、基準部60は、右歯面102R及び左歯面102Lに当接可能な形状であれば、種々の形状を取り得ることは勿論である。
工具Tによるワーク歯車Wの研削は、上記の各モータ(駆動源)が制御部18により駆動制御されることで実施される。制御部18は、演算処理部、記憶部、表示部(共に図示せず)、及び操作部18a等を有する制御コンピュータとして構築され、ワーク歯車W及び工具Tの動作を総合的に制御する機能を有している。特に、本実施形態に係る制御部18は、ユーザの指示に基づき、研削モードと研削状態の判別モードを実施するように構成されている。
図3は、図1の歯車研削システム10の制御部18の内部構成を示すブロック図である。制御部18は、ワーク歯車Wの変位を制御するワーク歯車移動制御部66と、工具Tの変位を制御する工具移動制御部68と、ワーク歯車W及び工具Tの回転を制御するコントローラ70と、ワーク歯車Wと工具Tの当接を判別する当接判別部72(当接判別手段)と、ワーク歯車Wの隣り合う歯100、100の間の中心位置を測定する中心位置測定部74(測定手段)と、研削されたワーク歯車Wの研削状態を判別する研削状態判別部76とを有する。
ワーク歯車移動制御部66は、切込モータ制御部66a及びトラバースモータ制御部66bを内部に有する。切込モータ制御部66aは、サーボアンプ80aを介して切込モータ22を制御し、切込テーブル20を矢印A方向に進退させる。トラバースモータ制御部66bは、サーボアンプ80bを介してトラバースモータ26を制御し、トラバーステーブル24を矢印B方向に移動させる。これにより、トラバーステーブル24上でテールストック28に取り付けられたワーク歯車Wは、ベッド12の上面に沿って2次元的に変位する。
工具移動制御部68は、旋回モータ制御部68a及びシフトモータ制御部68bを内部に有する。旋回モータ制御部68aは、サーボアンプ80cを介して旋回モータ40を制御し、旋回テーブル38を矢印C方向に回転させる。シフトモータ制御部68bは、サーボアンプ80dを介してシフトモータ44を制御し、シフトテーブル42を矢印D方向に移動させる。これにより、シフトテーブル42上で工具支持部46に取り付けられた工具Tは、コラム36の一側面に沿って2次元的に変位する。
コントローラ70は、サーボアンプ80eを介して第1回転モータ30の回転を制御し、制御部18により設定された回転速度でワーク歯車Wを回転させる。また、コントローラ70は、サーボアンプ80fを介して第2回転モータ48の回転を制御し、制御部18により設定された回転速度で工具Tを回転させる。さらに、コントローラ70は、第1及び第2エンコーダ50の各々の出力信号に基づいて、第1及び第2回転モータ30、48のフィードバック制御を実施する。これにより、ワーク歯車W及び工具Tの回転制御を高精度に行うことができる。コントローラ70は、第1回転モータ30と第2回転モータ48を個別に回転させる他に、ワーク歯車Wと工具Tとを同期回転させることができる。
当接判別部72は、ワーク歯車Wが切込移動して工具Tに当接したタイミングを判別する機能を有している。具体的には、当接判別部72は、検出部34の検出信号を受信して、検出部34にて検出された弾性波の大きさ(検出値)が所定の閾値よりも大きいか否かを判定する。当接判別部72内には、ワーク歯車Wと工具Tが当接する種々の状況下に応じた複数の閾値が記憶されており、ワーク歯車Wや工具Tの動作に応じて適切な閾値が読み出される。この当接判別部72が判別した判別結果は、ワーク歯車W又は工具Tの動作(変位や回転等)の様々な場面に用いられる。
中心位置測定部74は、ワーク歯車Wの隣り合う歯100、100の間の中心位置を測定する機能を有している。中心位置の測定は、研削状態の判別時等にワーク歯車Wと工具Tの当接の精度を高めるために行われる。中心位置測定部74は、第1エンコーダ32の出力信号を受けて、第1回転モータ30によりワーク歯車Wが回転したときの回転量に基づき、歯100、100の間の中心位置を測定する。この中心位置測定部74による中心位置の測定については後述する。
研削状態判別部76は、基準部60の第1及び第2基準面62、64とワーク歯車Wの右歯面102R及び左歯面102Lの当接位置(座標情報X)を取得し、この座標情報Xに基づきワーク歯車Wの研削状態を判別する機能を有している。また、この研削状態の判別は、制御部18の制御に基づきワーク歯車Wと工具Tが所定の駆動を行い、この動作と同時に研削状態判別部76が動作することで実施される。
図4は、図3の研削状態判別部76の内部機能を示すブロック図である。研削状態判別部76は、上記の機能を実施する構成として、座標取得部82(取得手段)、判別処理部84(判別手段)、基準座標記憶部86、補正値取得部88(補正手段)を備える。
座標取得部82は、ワーク歯車移動制御部66に接続されており、当接判別部72の判別タイミング、すなわちワーク歯車Wと基準工具Tの当接タイミングに基づき、当接位置である座標情報Xを取得する。座標情報Xは、例えばワーク歯車Wの回転軸線を基準にするとよい。
判別処理部84は、座標取得部82が取得した座標情報Xと、基準座標記憶部86に記憶されている基準座標Xとを用いて、その公差ΔXを算出するとともに、公差ΔXに基づきワーク歯車Wの研削状態を判別する。この基準座標Xは、ワーク歯車の完成品(基準寸法に成形された基準歯車Ws:図8参照)を用い、ワーク歯車Wと同様の測定を行って取得したものが好ましい。すなわち、基準歯車Wsを切込移動させ、基準歯車Wsの歯100sと基準部60との当接位置(座標情報)を取得し、その取得結果を基準座標Xとして基準座標記憶部86に予め記憶しておく。これにより、実際に研削を行った歯車研削システム10固有の基準座標Xを設定することができ、ワーク歯車Wの研削状態を一層精度よく判別することができる。判別処理部84の判別結果は、制御部18に送られて表示部に表示されることで、ユーザに認識させることができる。また、判別処理部84が算出した公差ΔXは補正値取得部88に送られる。
補正値取得部88は、判別処理部84により算出された公差ΔXに基づき、研削工具Tに対するワーク歯車Wの切込量の補正値γを算出(取得)する。この補正値γはワーク歯車移動制御部66に送られる。ワーク歯車移動制御部66は、ワーク歯車Wの研削時に、補正値γに基づきワーク歯車Wの切込移動を補正し、ワーク歯車Wと研削工具T(砥石部54)の当接状態を調整する。
本実施形態に係る歯車研削システム10は、以上のように構成されており、次にこの歯車研削システム10を用いた研削状態判別方法について説明する。なお、歯車研削システム10では、研削状態判別方法を実施する前提として、ワーク歯車Wの研削(研削工程)が行われる。
研削工程では、操作部18aを用いてワーク歯車Wの研削条件を設定し、設定された研削条件に基づいてワーク歯車Wを研削する。具体的には、第2機構16を駆動制御し研削工具Tを研削位置に変位させるとともに、第1機構14を駆動制御しワーク歯車Wを研削位置に対応する位置に変位させる。すなわち、研削工具Tに対しワーク歯車Wの切込移動が実施される。この切込移動時に、ワーク歯車Wと研削工具Tの位相合わせも行われ、複数の砥石部54、54間にワーク歯車Wの歯100が噛み合うように調整される。
ワーク歯車Wの研削においては、先ず研削工具Tの研削歯面56をワーク歯車Wの右歯面102Rに接触させる。接触後、コントローラ70により第1及び第2回転モータ30、48を共に回転駆動することで、工具Tとワーク歯車Wを同期回転させる。これにより、研削歯面56にて右歯面102Rが研削される。
次に、研削工具Tの研削歯面58をワーク歯車Wの左歯面102Lに接触させる。接触後、研削歯面58にてワーク歯車Wの左歯面102Lを研削する。これにより、ワーク歯車Wの右歯面102R及び左歯面102Lの研削がなされて研削工程が終了する。なお、研削工程時にワーク歯車Wと研削工具Tが適切に当接するように、後述する中心位置測定工程を実施して、その測定結果に基づきワーク歯車Wの切込移動を補正してもよい。
図5は、図1の歯車研削システム10による研削状態判別方法を示す第1のフローチャートであり、図6は、図5に続く研削状態判別方法を示す第2のフローチャートである。
研削状態判別方法は、研削工程の終了後に、ユーザの指示により開始される。制御部18は、先ず第1機構14を駆動制御して研削したワーク歯車Wを後退移動させる(ステップS1)。すなわち、ワーク歯車移動制御部66により切込モータ22を動作させ、研削位置に進入しているワーク歯車Wを矢印A2方向に後退移動し、ワーク歯車Wと工具Tを離間する。
次に、制御部18は、第2機構16を駆動制御して基準工具Tをワーク歯車Wに対向する位置に配置する(ステップS2:基準工具移動工程)。上述したように、基準工具Tは工具Tの軸線方向の下側に設けられていることから、工具移動制御部68によりシフトモータ44を動作させ、工具Tを上方にシフト移動する。これにより、判別が実施可能な位置に基準工具Tを簡単に配置することができる。
また、制御部18は、工具Tのシフト移動にともない、第1回転モータ30を回転してワーク歯車Wの回転方向位置を補正する(ステップS3)。すなわち、工具Tをシフト移動しただけでは、基準工具Tの基準部60とワーク歯車Wの歯100を噛み合わせることが難しいため、工具Tのシフト量に基づき、コントローラ70が第1回転モータ30を動作させワーク歯車Wを適宜回転させる。これにより、隣り合う基準部60、60の間に歯100が進入可能となる。
次に、制御部18は、第1機構14を駆動制御してワーク歯車Wを矢印A1方向、すなわち基準部60に向けて移動する(ステップS4:移動工程)。ワーク歯車Wの移動(切込移動)は、隣り合う基準部60、60の間にワーク歯車Wの歯100が一定量入り込むまで行われ、所定位置(中心測定位置)においてこの切込移動は一時停止される。
その後、中心位置測定部74によって、ワーク歯車Wの回転方向(矢印E方向)に沿った隣り合う歯100、100の間の中心位置を測定する(ステップS5:中心位置測定工程)。以下、この中心位置測定工程について、図7A〜図7Cを参照して具体的に説明する。
中心位置測定工程では、図7Aに示すように、ワーク歯車Wが停止した中心測定位置において、先ずコントローラ70が第1回転モータ30を駆動制御し、ワーク歯車Wを正方向(図7Aの矢印E1方向)に回転させ、基準部60の第1基準面62とワーク歯車Wの右歯面102Rを当接させる。この当接は、検出部34が検出した弾性波の大きさを、当接判別部72において中心位置測定用の閾値と比較することにより判別される。
閾値以下の場合には、ワーク歯車Wの右歯面102Rと基準部60の第1基準面62とが接触していないことになり、ワーク歯車Wの回転が継続される。一方、弾性波の大きさが閾値を超えた場合には、その判別結果を中心位置測定部74及びコントローラ70に伝達する。中心位置測定部74は、第1エンコーダ32からの出力信号(角度位置)に基づいて得られる右歯面接触位置データを記憶する。またこの時、コントローラ70は第1回転モータ30を制御してワーク歯車Wの回転を停止する。
次いで、コントローラ70が第1回転モータ30を駆動制御し、ワーク歯車Wを逆方向(図7Bの矢印E2方向)に回転させ、基準部60の第2基準面64とワーク歯車Wの左歯面102Lを当接させる。当接判別部72は、上記と同様に、検出部34が検出した弾性波の大きさと閾値を比較して当接を判別し、その判別結果を中心位置測定部74及びコントローラ70に伝達する。中心位置測定部74は、第1エンコーダ32からの出力信号(角度位置)に基づいて得られるワーク歯車Wの左歯面接触位置データを記憶する。またコントローラ70はワーク歯車Wの回転を停止する。
最後に、中心位置測定部74は、右歯面接触位置データと左歯面接触位置データに基づいてワーク歯車Wの隣り合う歯100、100の間の中心位置を算出する。このように、隣り合う歯100、100の間の中心位置を測定することで、後述するワーク歯車Wと基準工具Tの当接を一層精度よく行うことができる。
この中心位置測定工程の後、コントローラ70は、算出した中心位置のデータに基づき第1回転モータ30を回転させ、ワーク歯車Wと基準工具Tの位相合わせを行う(ステップS6)。すなわち、図7Cに示すように、隣り合う歯100、100の間の中心位置に対し基準部60(突出部52)の端面の中間が一致するように、ワーク歯車Wの回転方向の位置を位置決めする。
次に、制御部18は、第1機構14を駆動制御してワーク歯車Wを基準部60に向けて再び移動する(ステップS7:移動工程)。そして、このワーク歯車Wの移動(切込移動)により、歯100を基準部60、60に対し当接させる。
ステップS8では、当接判別部72において、検出部34からの検出信号に基づきワーク歯車Wと基準工具Tの当接を検出する。ここで、ステップS5及びS6を実施したことにより、ワーク歯車Wの隣り合う歯100、100の間の中心位置に基準部60が位置しているので、当接状態では、図8に示すように、第1基準面62と第2基準面64に対し右歯面102R及び左歯面102Lが略同時に当接する。このため、当接判別部72は、右歯面102R及び左歯面102Lが第1及び第2基準面62、64に同時に当接した場合の閾値を用いて当接を判別する。これにより、ワーク歯車Wと基準工具Tの当接を精度よく判別することができる。
ステップS8において、当接判別部72によりワーク歯車Wと基準工具Tの当接が判別されると、ワーク歯車移動制御部66はワーク歯車Wの切込移動を停止する(ステップS9)。
そして、座標取得部82は、ワーク歯車移動制御部66から停止位置(当接位置)の座標情報Xを取得する(ステップS10:移動量取得工程)。
続いて、判別処理部84においてワーク歯車Wの研削状態の判別を実施する(ステップS11:判別工程)。具体的には、判別処理部84は、座標取得部82により取得された座標情報Xを受けるとともに、基準座標記憶部86に記憶されている基準座標Xを読み出す。そして、基準座標Xと座標情報Xの差(公差ΔX)を算出する。
ここで、基準座標Xは、上述したように、基準寸法に成形された基準歯車Wsを用いて、予めステップS1〜S10を実施することにより取得したものである。なお、基準歯車Wsを用いた切込移動を複数回行い、複数の当接位置の平均を基準座標Xとして用いてもよい。
従って、図8に示すように、基準座標Xと座標情報Xの公差ΔX(=X−X)は、正常な寸法の基準歯車Wsに対するワーク歯車Wのずれ量として検出される。
ステップS12において、判別処理部84は、算出した公差ΔXの絶対値が管理公差Yよりも大きいか否かを判別する(判別工程)。管理公差Yは、例えば、ワーク歯車Wの許容寸法誤差に基づきその値が設定される。公差ΔXが管理公差Yよりも小さい場合は、ステップS13に進み、公差ΔXが管理公差Yよりも大きい場合は、ステップS15に進む。
ステップS13では、ワーク歯車Wの研削が研削工具T(砥石部54)により良好に行われたと判別し、判別処理部84の判別結果(ワーク歯車Wの研削が正常である旨)が制御部18の表示部に表示される。
最後に、研削状態判別方法の終了処理を実施する(ステップS14)。この処理では、第1機構14を駆動制御してワーク歯車Wを矢印A2方向に後退移動させ、さらに、第2機構16を駆動制御して研削工具Tをワーク歯車Wに対向する位置に配置する。これにより研削状態判別方法が終了する。終了後、ユーザによりワーク歯車Wが第1機構14から取り外され、例えば、新たに研削するワーク歯車Wが取り付けられる。
一方、ステップS15では、研削工具T(砥石部54)によるワーク歯車Wの研削不良と判別し、補正値取得部88において補正値γが算出される(補正値取得工程)。また、制御部18は、判別処理部84の判別結果(ワーク歯車Wが研削不良である旨)を表示部に表示する。
ここで、ワーク歯車Wの研削不良は、砥石部54の研削歯面56、58が摩耗等により変化して、ワーク歯車Wの右歯面102R、左歯面102Lに対し充分に当接していないことにより生じる。つまり、研削工程において、砥石部54に対するワーク歯車Wの切込量が大きくなるように適宜補正すれば、再度、ワーク歯車Wを正常な寸法に成形することができる。補正値取得部88は、この研削時におけるワーク歯車Wの切込量の補正値γを、判別処理部84で算出された公差ΔXを用いて算出する。そして、算出された補正値γは、ワーク歯車移動制御部66に送られる。
なお、公差ΔXがマイナスの値になる場合は、研削工程において、ワーク歯車Wを研削し過ぎたことになるため、ワーク歯車Wの切込量を少なくするように補正を行うとよい。要するに、ワーク歯車Wの切込量と研削されるワーク歯車Wの寸法は連動して(リニアに)変化するため、公差ΔXに応じて補正を行えば、ワーク歯車Wを所望の寸法に安定的に成形することができる。
ワーク歯車移動制御部66は、この補正値γに基づき、次に研削工程を行う際のワーク歯車Wの切込量を補正する(ステップS16)。
その後、研削状態判別方法の終了処理が行われる(ステップS17)。この処理では、ステップS14と同様に、ワーク歯車Wを後退移動させ、研削工具Tをワーク歯車Wに対向する位置に配置して、研削状態判別方法を終了する。
終了後、研削状態の判別を行ったワーク歯車Wを再び研削する場合、又は新たなワーク歯車Wを研削する場合は、制御部18は、ステップS16により補正した切込量に基づきワーク歯車Wの切込移動を実施する。これにより、ワーク歯車Wは、所定の寸法に精度よく研削される。
また、本発明に係る研削状態判別方法及び歯車研削システム10は、以上の実施形態に限定されるものではなく種々の変形例や応用例を取り得る。以下、他の構成例について、いくつか説明していく。
〔構成例1〕
実施形態に係る歯車研削システム10では、研削工具Tと基準工具Tを一体成形した螺旋状の工具Tを使用した構成としているが、これに限定されず、研削工具Tと基準工具Tを別体で構成してもよい。例えば、基準工具Tは、工具支持部46による研削工具Tの支持方向と異なる方向に延出され、旋回モータ40による旋回テーブル38の回転により基準工具Tをワーク歯車Wに対向させてもよい。また例えば、基準工具Tは、研削工具Tに対しワーク歯車Wを挟んだ反対位置に配設されてもよい。さらに、基準工具Tが別体に構成されている場合は、ワーク歯車Wが基準工具Tに向かって移動(切込移動)するだけでなく、基準工具Tがワーク歯車Wに向かって移動し当接する構成でもよい。
〔構成例2〕
また、実施形態では、研削状態の判別時に、ワーク歯車W(及び基準歯車Ws)と基準工具Tの当接位置に基づく情報として座標情報Xを取得しているが、これに限定されないことは勿論である。例えば、当接位置に基づく情報として矢印A方向にワーク歯車Wが移動する際の移動量(切込量)を取得してもよい。このように切込量を取得した場合は、ユーザが当接状態を認識しやすくなり、ユーザの手動によってワーク歯車Wの切込量を簡単に設定することもできる。
〔構成例3〕
さらに、検出部34及び当接判別部72を用いてワーク歯車Wと基準工具Tの当接を判別する場合に、研削したワーク歯車Wの右歯面102Rと左歯面102Lの歪みを検出することもできる。すなわち、図5のステップS5及びS6を実施して、隣り合う歯100、100の間の中心位置に対し基準部60の中間を一致させてワーク歯車Wの切込移動を行う場合、ワーク歯車Wの右歯面102R及び左歯面102Lに歪みがなければ、右歯面102R及び左歯面102Lが第1及び第2基準面62、64に略同時に当接する。一方、例えば、右歯面102Rの研削が充分になされておらずワーク歯車Wが歪んでいると、右歯面102Rと第1基準面62が先に当接した後、左歯面102Lと第2基準面64が当接し、検出部34による弾性波の検出タイミングにずれが生じる。このため、制御部18は、検出タイミングが所定以上ずれた場合にワーク歯車Wの形状に歪みが生じていると判別し、ワーク歯車W又は工具Tの動作を行う際に、適宜補正を行うように構成することができる。
以上のように、本実施形態によれば、ワーク歯車Wと基準部60が当接した際の当接位置に基づく情報(座標情報X)を座標取得部82により取得することで、ワーク歯車Wの研削状態を判別処理部84において良好に判別することができる。すなわち、ワーク歯車Wの研削状態が不良である場合(基準寸法の範囲外にある場合)は、ワーク歯車Wを移動して右歯面102R及び左歯面102Lを第1及び第2基準面62、64に当接させると、研削状態が良好である場合と比較してその当接位置にずれが生じる。このため、座標情報Xを用いることで、ワーク歯車Wの研削状態を効率的且つ精度よく判別することができる。そして、ワーク歯車Wの研削状態が判別されることにより、ワーク歯車Wを研削した研削工具T(砥石部54)の状態(摩耗等)を把握することが可能となるため、ワーク歯車Wと研削工具Tの当接状態を調整することで、ワーク歯車Wの加工を一層良好に行うことができる。
また、判別処理部84による判別実施時には、ワーク歯車Wの座標情報Xを基準座標Xと比較することにより、ワーク歯車Wの研削状態を簡単に判別することができる。さらに、公差ΔXに基づき補正値γを補正値取得部88により取得することで、ワーク歯車Wの研削時に、取得した補正値γによりワーク歯車Wの切込移動を補正することができる。よって、ワーク歯車Wと研削工具Tを補正位置で当接させ、ワーク歯車Wを所定の寸法に精度よく成形することができる。
右歯面102R及び左歯面102Lと第1及び第2基準面62、64の当接時に生じる振動を検出部34により検出することで、この当接タイミングを一層確実に検出することができる。さらに、中心位置測定部74により中心位置測定工程を行うことで、ワーク歯車W又は基準工具Tを移動する際に、ワーク歯車Wの隣り合う歯100、100の間の中心位置に突出部52が一致するように動作を調整することができる。その結果、ワーク歯車Wの右歯面102R及び左歯面102Lを第1及び第2基準面62、64に略同時に当接させることができ、ワーク歯車Wと基準工具Tの当接をより精度よく判別することができる。
さらにまた、基準工具Tが研削工具Tの回転軸の軸方向に連設されることで、工具Tを軸方向に移動させれば、基準工具Tをワーク歯車Wに簡単に対向させることができ、以降の移動工程、取得工程及び判別工程をスムーズに行うことができる。
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
10…歯車研削システム 14…第1機構
16…第2機構 18…制御部
34…検出部 52…突出部
60…基準部 62…第1基準面
64…第2基準面 66…ワーク歯車移動制御部
68…工具移動制御部 70…コントローラ
72…当接判別部 74…中心位置測定部
76…研削状態判別部 82…座標取得部
84…判別処理部 88…補正値取得部
W…ワーク歯車 T…工具

Claims (12)

  1. 研削工具により研削されたワーク歯車、又は基準面を有する基準工具の少なくとも一方を移動機構により移動して、前記ワーク歯車の歯面と前記基準面を当接させる移動工程と、
    前記移動工程により前記歯面と前記基準面が当接した際の当接位置に基づく情報を取得手段により取得する取得工程と、
    前記取得手段が取得した当接位置に基づく情報を用いて、前記歯面の研削状態を判別する判別工程とを有する
    ことを特徴とする研削状態判別方法。
  2. 請求項1記載の研削状態判別方法において、
    前記当接位置に基づく情報は、前記歯面と前記基準面の当接位置の座標情報であり、
    前記判別工程は、予め用意された基準座標と前記座標情報を判別手段により比較することで、前記ワーク歯車の研削状態を判別する
    ことを特徴とする研削状態判別方法。
  3. 請求項2記載の研削状態判別方法において、
    前記基準座標は、正常な寸法に成形された基準歯車に対して、前記移動工程、前記取得工程を行うことにより取得される
    ことを特徴とする研削状態判別方法。
  4. 請求項2又は3記載の研削状態判別方法において、
    前記判別手段により算出された前記座標情報と前記基準座標の公差に基づき、研削時における前記ワーク歯車又は前記研削工具の移動量の補正値を、補正手段により取得する補正値取得工程をさらに有する
    ことを特徴とする研削状態判別方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の研削状態判別方法において、
    前記移動工程では、前記歯面と前記基準面の当接時に生じる音を検出部により検出し、当接判別手段によりその検出値を判定する
    ことを特徴とする研削状態判別方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の研削状態判別方法において、
    前記基準工具は、前記ワーク歯車の隣り合う歯の間に噛み合い可能に進入され該隣り合う歯に前記基準面が対向配置された突出部を含んで構成され、
    前記移動工程中において、前記隣り合う歯の間の中心位置を測定手段により測定する中心位置測定工程をさらに有する
    ことを特徴とする研削状態判別方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の研削状態判別方法において、
    前記基準工具は、前記研削工具の回転軸の軸方向に連設され、
    前記ワーク歯車が前記研削工具により研削された後、前記研削工具を前記軸方向に移動して前記基準工具を前記ワーク歯車に対向させる基準工具移動工程をさらに有する
    ことを特徴とする研削状態判別方法。
  8. 研削工具により研削されたワーク歯車の歯面に当接可能な基準面を有する基準工具と、
    前記ワーク歯車又は前記基準工具の少なくとも一方を移動して、前記歯面と前記基準面を当接させる移動機構と、
    前記歯面と前記基準面が当接した際の当接位置に基づく情報を取得する取得手段と、
    前記取得手段が取得した当接位置に基づく情報を用いて、前記歯面の研削状態を判別する判別手段とを備える
    ことを特徴とする歯車研削システム。
  9. 請求項8記載の歯車研削システムにおいて、
    前記当接位置に基づく情報は、前記歯面と前記基準面の当接位置の座標情報であり、
    前記判別手段は、予め用意された基準座標と前記座標情報を比較することで、前記ワーク歯車の研削状態を判別する
    ことを特徴とする歯車研削システム。
  10. 請求項9記載の歯車研削システムにおいて、
    前記判別手段は、前記座標情報と前記基準座標の公差を算出し、
    前記ワーク歯車の研削時における前記ワーク歯車又は前記研削工具の移動量の補正値を、前記公差に基づき取得する補正手段を有する
    ことを特徴とする歯車研削システム。
  11. 請求項8〜10のいずれか一項に記載の歯車研削システムにおいて、
    前記歯面と前記基準面の当接時に生じる音を検出する検出部と、
    前記検出部の検出値に基づき当接を判定する当接判別手段とを有する
    ことを特徴とする歯車研削システム。
  12. 請求項8〜11のいずれか一項に記載の歯車研削システムにおいて、
    前記基準工具は、前記研削工具の回転軸の軸方向に連設され、
    前記研削工具を前記軸方向に移動して、前記基準工具を前記ワーク歯車に対向させる研削工具移動機構を有する
    ことを特徴とする歯車研削システム。
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