JP2014018192A - サキシママドボタルに由来するルシフェラーゼ - Google Patents

サキシママドボタルに由来するルシフェラーゼ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、温度の変化に対する最大発光波長のシフトが小さいルシフェラーゼを提供することにある。
【解決手段】本発明に係るルシフェラーゼは、5〜42℃の任意の温度において発光反応を触媒したときに、生じる発光の最大発光波長が555〜580nmの範囲に含まれる値である、サキシママドボタルに由来するルシフェラーゼである。
【選択図】図3

Description

本発明は、サキシママドボタルに由来するルシフェラーゼに関する。
種々の生物から、種々の特徴を有したルシフェラーゼが取得されている(特許文献1および2)。一般に、ルシフェラーゼは、使用する温度に応じて最大発光波長がシフトすることが知られている。このようなルシフェラーゼを発光イメージングに用いる場合、温度条件の変化が観察結果に影響を及ぼす場合がある。
また、ルミノメーター等の発光量を測定する装置は、光の波長によって感度が異なる場合がある。そのため、ルシフェラーゼを用いて定量的な観察を行う場合、測定ごとに温度条件を厳密に管理し、最大発光波長のシフトの発生を抑制する必要がある。
また、複数のルシフェラーゼを使用して多色の発光を検出したい場合、互いに異なる最大発光波長を示すルシフェラーゼを選択する必要があるが、その際、温度に応じて最大発光波長がシフトすることを考慮する必要がある。
さらに、多くのルシフェラーゼは、発光強度が低く、十分なシグナルを得るために長時間露光する必要がある。
特開2011−083289号公報 特開2011−050257号公報
本発明の目的は、温度の変化に対する最大発光波長のシフトが小さいルシフェラーゼを提供することにある。
本発明に係るルシフェラーゼは、5〜42℃の任意の温度において発光反応を触媒したときに、生じる発光の最大発光波長が555〜580nmの範囲に含まれる値である、サキシママドボタルに由来するルシフェラーゼである。
本発明によれば、温度の変化に対する最大発光波長のシフトが小さいルシフェラーゼが提供される。
図1は、従来のルシフェラーゼ(左:Luc2、Promega社製)およびサキシママドボタル由来の変異型ルシフェラーゼ(右)を用いた場合の、それぞれの発光強度を示す図である。 図2は、Luc2(左)およびサキシママドボタル由来の変異型ルシフェラーゼ(右)を用いた場合の、光強度を示す図である。 図3は、サキシママドボタル由来の変異型ルシフェラーゼを種々の温度において使用した場合に得られる発光スペクトルを示す。 図4は、Luc2を種々の温度において使用した場合に得られる発光スペクトルを示す。
本発明の第1実施形態はルシフェラーゼに関する。第1実施形態に係るルシフェラーゼは、サキシママドボタルに由来する。
ルシフェラーゼとは、一般に、発光が生じる化学反応を触媒する酵素を指す。当該酵素の基質となる物質はルシフェリンと呼ばれる。ATPの存在下、ルシフェラーゼの触媒作用により、ルシフェリンが酸化する際に発光する。現在、ルシフェラーゼは、ホタルに由来するもの、バクテリアに由来するもの等が取得されている。
サキシママドボタルとは、Pyrocoelia abdominalisという学名を有する、節足動物門昆虫綱コウチュウ目ホタル科マドボタル属に属すホタルである。このホタルは、主に石垣島および西表島に生息することが確認されている。
「由来する」という表現は、サキシママドボタルから取得される野生型ルシフェラーゼだけでなく、この野生型ルシフェラーゼのアミノ酸配列に変異が生じてできる変異型ルシフェラーゼが含まれることを意味する。
このような変異は、例えば、1つ以上のアミノ酸の置換、欠失または付加である。この変異とは、例えば、ルシフェラーゼの酵素活性には影響がない変異、またはほとんど影響がない変異である。あるいは、この変異とは、タンパク質の分解に対する耐性の向上といった酵素活性には直接影響しないものの、実験的な操作性を向上させる変異である。この変異型ルシフェラーゼのアミノ酸配列は、野生型ルシフェラーゼのアミノ酸配列との間で、例えば、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上の相同性を有する。
第1実施形態に係るルシフェラーゼは、5〜42℃の任意の温度において発光反応を触媒したときに、生じる発光の最大発光波長が555〜580nmの範囲に含まれる値となる。
すなわち、このルシフェラーゼは、温度変化に応じた最大発光波長のシフトが小さい。このルシフェラーゼは、少なくとも5〜42℃の範囲のあらゆる温度の環境下において、ルシフェリンの酸化反応を触媒し、その際に生じる発光は、555〜580nmの範囲に含まれる最大発光波長を有する。
また、このルシフェラーゼは、従来のルシフェラーゼと比較して高い発光強度を示す発光反応を触媒してよい。例えば、配列番号6の塩基配列を有する既知のルシフェラーゼ(Luc2、Promega社)と比較して、1.6倍以上の発光強度を示す。なお、このLuc2は、Promega社製レポーターベクターGL4に含まれ、Photinus pyralisに由来する。
第1実施形態に係るルシフェラーゼの一例は、サキシママドボタルに由来する変異型ルシフェラーゼである。すなわち、サキシママドボタルから取得される野生型ルシフェラーゼのアミノ酸配列の一部を改変することによってできた変異型ルシフェラーゼである。例えば、そのような野生型ルシフェラーゼのアミノ酸配列に対して、5〜42℃の任意の温度において発光反応を触媒したときに、生じる発光の最大発光波長が555〜580nmの範囲に含まれる値となるような変異を導入して得られる変異型ルシフェラーゼである。
そのような変異型ルシフェラーゼは、例えば、野生型ルシフェラーゼのアミノ酸配列(配列番号2)と比較した場合に、配列番号2に記載のアミノ酸配列のN末端側から367番目のバリンに対応するアミノ酸がアラニンであり(この変異を「V367A」と称する)、配列番号2に記載のアミノ酸配列のN末端側から446番目のリジンに対応するアミノ酸がグルタミンであり(この変異を「K446Q」と称する)、配列番号2に記載のアミノ酸配列のN末端側から531番目のイソロイシンに対応するアミノ酸がアルギニンである(この変異を「I531R」と称する)アミノ酸配列を有する。
この例に係る変異型ルシフェラーゼでは、これら3つの変異以外にも、野生型と比較してアミノ酸の置換、欠失、挿入等が生じていてよい。なお、欠失が生じている場合、そのことを考慮して、野生型の配列と変異型の配列とが比較される。例えば、欠失や挿入が生じている場合、配列番号2に記載のアミノ酸配列のN末端側から367番目のバリンに対応するアミノ酸は、この変異型ルシフェラーゼのアミノ酸配列のN末端側から367番目の位置からずれている可能性がある。このような場合、367番目のアミノ酸およびその前後の複数のアミノ酸の対応関係も考慮される。このような比較は、例えば、BLASTやFASTAといった相同性検索のためのアルゴリズムを用いて行うことができる。
第1実施形態に係るルシフェラーゼの具体的な例は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するルシフェラーゼである。このルシフェラーゼは、サキシママドボタルから取得される野生型ルシフェラーゼに、上述したV367A、K446QおよびI531Rの変異が導入されたものであり、配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するルシフェラーゼと比較して、1.6倍以上の発光強度を示す。以下に、配列番号5に記載されるアミノ酸配列を記載する:
MEDDHKNIVHGPAPFYPLEDGTAGEQLHKAMKRYAQVPGTIAFTDAHVEVNITYAEYFEMACRLAETMKRYGLGLQHHIAVCSENSLQFFMPVCGALFIGVGVAPTNDIYNERELYNSLSISQPTIVFCSKRALQKILGVQKKLPIIQKIVILDSREDYMGKQSMYSFIESHLPVGFNEYDYIPDTFDRETATALIMNSSGSTGLPKGVELSHKNVCVRFSHCRDPVFGNQIIPDTAILTVIPFHHGFGMFTTLGYLTCGFRIVLMYRFEEELFLRSLQDYKIQSALLVPTLFSFFAKSTLVDKYDLSNLHEIASGGAPLAKEVGEAVAKRFKLPGIRQGYGLTETTSAIIITPEGDDKPGACGKVAPFFSAKIVDLDTSKTLGVNQRGELCVKGPMIMKGYVNNPEATSALIDKDGWLHSGDIAYYDKDGHFFIVDRLKSLIKYQGYQVPPAELESILLQHPFIFDAGVAGIPDADAGELPAAVVVLEEGKTMTEQEVMDYVAGQVTASKRLRGGVKFVDEVPKGLTGKRDSRKIREILTMGQKSKL*(配列番号5)
本発明の第2実施形態は核酸に関する。
第2実施形態に係る核酸は、第1実施形態に係るルシフェラーゼをコードする。第2実施形態に係る核酸は、第1実施形態に係るルシフェラーゼをコードする遺伝子のみを含んでよい。あるいは、第2実施形態に係る核酸は、そのような遺伝子に加えて、プロモーターといった転写因子結合領域をさらに含んでよい。
核酸は、特定の生物種に対してコドンが最適化された配列を有していてよい。ここにいう「最適化」とは、核酸に含まれる遺伝子のコドンを、特定の生物種においてコドン出現頻度が高いコドンに代えることを意味する。最適化を行った場合、特定の生物種における遺伝子の発現は、最適化をしない場合に比べて高まる。コドンは、例えば哺乳細胞に最適化され、具体的にはマウス、ヒト等に最適化できる。
核酸は、ベクターの形態であってよい。このベクターは、第1実施形態に係るルシフェラーゼをコードする遺伝子およびプロモーター等の転写因子結合領域に加えて、抗生物質耐性遺伝子および複製起点といった一般的なベクターに含まれる要素を含んでよい。
第2実施形態に係る核酸の具体的な例は、配列番号4に記載の塩基配列を有する核酸である。この核酸は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するルシフェラーゼをコードする遺伝子のみを含む。以下に、配列番号4に記載される塩基配列を記載する:
ATGGAAGATGACCATAAGAACATCGTGCACGGGCCAGCCCCTTTCTACCCGCTGGAGGACGGCACCGCCGGAGAACAACTTCACAAGGCCATGAAGCGCTATGCCCAAGTCCCTGGCACCATTGCCTTCACAGATGCTCATGTGGAAGTAAATATCACTTATGCCGAATATTTCGAAATGGCATGCAGGCTGGCCGAGACAATGAAAAGATATGGCTTGGGACTTCAGCACCACATCGCAGTCTGCTCCGAAAACTCTCTGCAGTTCTTCATGCCAGTGTGCGGGGCTTTGTTCATTGGGGTCGGTGTGGCACCAACTAACGACATCTACAATGAGAGGGAGCTCTATAATAGTCTGAGTATTAGCCAACCGACCATTGTTTTCTGCAGCAAAAGAGCATTGCAAAAAATTCTGGGGGTCCAGAAGAAGTTGCCTATCATACAGAAAATCGTTATTCTCGACAGTAGAGAAGACTACATGGGGAAGCAAAGCATGTATAGTTTTATTGAATCCCATCTCCCGGTGGGCTTCAATGAGTATGATTACATCCCGGACACATTTGATCGCGAAACAGCCACCGCCCTTATCATGAATAGCTCCGGTTCCACAGGCTTGCCAAAGGGGGTCGAGCTCTCCCATAAGAACGTGTGTGTAAGATTCAGCCATTGTCGGGACCCCGTGTTTGGCAATCAGATAATCCCAGACACTGCTATCCTCACAGTCATCCCATTTCACCATGGCTTTGGAATGTTCACTACCCTTGGTTACTTGACCTGTGGCTTCAGAATTGTCCTGATGTACAGATTCGAGGAGGAGCTGTTTCTGCGATCTTTGCAGGATTATAAGATTCAGTCCGCATTGCTCGTGCCTACACTGTTTTCCTTTTTTGCTAAATCAACCTTGGTGGATAAATATGATCTGTCTAATTTGCATGAGATAGCTTCTGGCGGCGCTCCATTGGCAAAAGAGGTAGGAGAAGCTGTAGCAAAAAGATTTAAGCTGCCAGGAATTAGACAGGGGTATGGTCTTACCGAGACTACCAGTGCAATCATCATTACTCCAGAGGGCGACGACAAACCAGGAGCCTGCGGCAAGGTCGCCCCCTTCTTTTCCGCCAAAATTGTGGACCTGGATACTAGTAAAACTCTGGGTGTTAACCAGCGCGGGGAGCTGTGTGTGAAAGGACCGATGATCATGAAAGGCTATGTGAATAACCCTGAAGCCACATCCGCTCTCATAGACAAAGACGGCTGGCTGCATTCAGGCGATATTGCCTACTACGATAAGGACGGCCATTTCTTCATTGTGGACCGACTGAAAAGTCTGATCAAGTACCAGGGCTACCAGGTGCCACCTGCAGAGCTCGAATCAATCCTTTTGCAGCACCCCTTTATATTTGACGCCGGGGTGGCTGGAATCCCAGACGCCGATGCTGGAGAGTTGCCTGCAGCCGTGGTGGTGCTGGAGGAAGGCAAGACGATGACCGAACAGGAGGTTATGGATTATGTCGCCGGACAAGTGACTGCCTCAAAGAGACTTCGAGGGGGGGTGAAATTCGTTGACGAAGTGCCCAAAGGTCTCACAGGCAAGAGAGACTCTCGAAAAATTCGAGAAATCCTTACTATGGGGCAGAAGAGCAAGCTGTGA(配列番号4)
本発明の第1実施形態に係るルシフェラーゼによれば、温度の変化に対する最大発光波長のシフトが小さいルシフェラーゼが提供される。
従来のルシフェラーゼでは、例えば25℃の環境下と37℃の環境下とで、生じる発光の最大発光波長が大きく異なる。そのため、例えば、ルシフェラーゼを発現する細胞を37℃に設定されたインキュベーターから出した直後と、その後時間が経過し、培養液が室温まで下がったときとで、観察される発光の色が変わってしまう。したがって、経時的に観察したい場合、時間が経過しても温度が一定となるように観察条件を設定する必要がある。
一方、第1実施形態に係るルシフェラーゼは、そのように温度が変化しても、生じる発光の最大発光波長はほぼ一定であるため、厳密な温度の設定を行う必要がなくなる。また、経時的な観察において、温度が変化したとしても、観察結果を直接比較することが可能となる。
また、ルミノメーター等のように、測定する発光の波長によって感度が異なる測定装置を使用する場合に、測定時の設定温度からのズレの許容範囲が広がり、また、温度の違いによる測定結果の誤差が縮小し、結果として精度の高い測定が可能となる。
さらに、第1実施形態に係るルシフェラーゼは、Luc2と比較して発光強度の高い発光を生じさせることが可能となり、シグナル/ノイズ比の高い観察および測定が可能となる。
本発明の第2実施形態に係る核酸によれば、第1実施形態に係るルシフェラーゼを遺伝子の形で安定的に保存できる。また、この核酸を用いて、種々の細胞に第1実施形態に係るルシフェラーゼ遺伝子を導入することができる。
また、核酸に含まれる塩基配列のコドンが最適化されている場合、ルシフェラーゼ遺伝子を導入しようとする生物種における発現の効率を向上させることができる。
(1)サキシママドボタルの野生型ルシフェラーゼ遺伝子のクローニング
特開2011−167079号に開示される方法に倣って、サキシママドボタルから、野生型ルシフェラーゼ遺伝子をクローニングした。すなわちサキシママドボタルから作製した完全長cDNAライブラリーを鋳型として、適宜設定したプライマーセットを用いてPCR法により野生型ルシフェラーゼ遺伝子をクローニングした。
完全長cDNAライブラリーは次のようにして取得した。石垣島で採取したサキシママドボタルの幼虫から発光器を採取し、Lysing Matrix Dチューブ(MP−Biomedicals社)に1mLのトータルRNA抽出試薬TRIzol Reagent(インビトロジェン社)とともに入れた。このチューブを組織細胞破砕装置FastPrep 24(MP−Biomedicals社)またはFastPrep FP100A(MP−Biomedicals社)に装着して、ホタルの発光器を試薬中にて破砕した。破砕した溶液からトータルRNAの分離精製した後、完全長cDNA合成試薬GeneRacer(インビトロジェン社)を使用して、沈殿濃縮したトータルRNAから完全長cDNAを合成した。
クローニングのためのプライマーセットは、種々のホタルのルシフェラーゼにおいてよく保存されているアミノ酸配列に基づいて、候補となるプライマーを複数作製した。最終的に、クローニングに成功したプライマーは以下の2つであった。なお、リバースプライマーは、完全長cDNA合成試薬GeneRacer(インビトロジェン社)のキットに含まれているプライマーを使用した。
フォワードプライマー(JP-Sakishima-Full-F2):5’−GACAATTCCAGAATACTGGTTCCTGAGACA−3’:配列番号7
リバースプライマー(GeneRacer3’ Nested Primer):5’−CGCTACGTAACGGCATGACAGTG−3’:配列番号8
上記完全長cDNAライブラリーを鋳型として、上記プライマーセットを用いて、PCR法により、サキシママドボタルの野生型ルシフェラーゼの遺伝子(配列番号1)を取得した。その塩基配列を以下に示す。
ATGGAAGATGATCATAAAAATATTGTGCACGGTCCGGCACCATTCTATCCTTTGGAGGATGGAACTGCTGGAGAACAATTGCACAAAGCCATGAAGAGGTACGCACAGGTTCCAGGGACAATTGCTTTTACTGATGCACACGTAGAGGTAAATATTACATATGCCGAATATTTTGAAATGGCTTGCCGATTGGCCGAAACTATGAAGAGGTACGGACTTGGTTTGCAACACCACATTGCTGTTTGTAGTGAAAATTCTCTTCAGTTTTTTATGCCTGTATGCGGTGCTCTATTTATTGGGGTTGGAGTTGCACCAACAAATGATATTTACAATGAACGTGAATTGTACAACAGTTTGTCCATATCACAACCTACAATAGTATTCTGTTCCAAAAGAGCGCTGCAAAAAATCCTAGGAGTACAAAAGAAATTACCTATAATTCAGAAAATTGTTATTCTGGATTCTCGAGAGGATTATATGGGGAAACAATCTATGTACTCGTTCATTGAATCTCATTTACCTGTAGGTTTTAATGAATATGATTACATACCGGATACTTTTGATCGCGAAACAGCAACAGCACTTATAATGAATTCATCGGGATCTACTGGATTACCCAAGGGAGTTGAGCTCAGTCACAAGAATGTTTGTGTTAGATTTTCTCACTGCAGAGATCCTGTGTTTGGGAATCAAATTATTCCCGATACTGCGATTTTAACAGTTATACCATTTCATCATGGTTTTGGAATGTTTACAACACTAGGATACTTAACGTGTGGATTTCGTATTGTGCTTATGTATAGATTTGAAGAGGAATTATTTTTACGATCACTTCAAGATTATAAAATTCAAAGTGCGTTGCTGGTACCAACTCTATTTTCATTCTTTGCCAAAAGCACCTTAGTGGACAAATACGATTTATCCAACTTACACGAAATTGCTTCTGGTGGAGCTCCCCTCGCGAAAGAAGTTGGAGAAGCCGTAGCAAAACGTTTTAAGCTGCCGGGTATACGACAAGGGTACGGACTTACCGAAACTACCTCAGCTATTATAATTACACCAGAAGGGGACGATAAACCAGGAGCATGTGGTAAAGTGGTTCCATTCTTTAGTGCCAAAATTGTTGATCTGGATACGAGCAAAACTTTGGGTGTTAATCAGCGAGGGGAATTATGTGTGAAAGGTCCAATGATAATGAAGGGTTACGTAAACAACCCAGAAGCAACGAGTGCATTGATAGACAAAGATGGATGGTTACACTCTGGTGACATAGCTTACTATGACAAAGATGGTCATTTCTTCATAGTGGATCGTTTGAAATCGTTAATTAAATACAAAGGTTATCAGGTACCGCCTGCCGAATTAGAATCGATATTGCTGCAACATCCCTTCATATTTGATGCAGGTGTTGCAGGAATTCCCGACGCAGATGCCGGTGAACTTCCTGCAGCCGTTGTTGTCTTAGAGGAAGGTAAAACGATGACTGAACAAGAAGTGATGGATTATGTTGCGGGACAAGTAACTGCTTCTAAGCGTTTACGTGGAGGAGTTAAGTTTGTGGACGAAGTACCTAAAGGTCTAACTGGAAAGATTGATTCAAGAAAAATCAGGGAAATCCTTACGATGGGACAAAAATCCAAATTGTAA(配列番号1)
この塩基配列から推定される野生型ルシフェラーゼタンパク質のアミノ酸配列(配列番号2)を以下に示す。
MEDDHKNIVHGPAPFYPLEDGTAGEQLHKAMKRYAQVPGTIAFTDAHVEVNITYAEYFEMACRLAETMKRYGLGLQHHIAVCSENSLQFFMPVCGALFIGVGVAPTNDIYNERELYNSLSISQPTIVFCSKRALQKILGVQKKLPIIQKIVILDSREDYMGKQSMYSFIESHLPVGFNEYDYIPDTFDRETATALIMNSSGSTGLPKGVELSHKNVCVRFSHCRDPVFGNQIIPDTAILTVIPFHHGFGMFTTLGYLTCGFRIVLMYRFEEELFLRSLQDYKIQSALLVPTLFSFFAKSTLVDKYDLSNLHEIASGGAPLAKEVGEAVAKRFKLPGIRQGYGLTETTSAIIITPEGDDKPGACGKVVPFFSAKIVDLDTSKTLGVNQRGELCVKGPMIMKGYVNNPEATSALIDKDGWLHSGDIAYYDKDGHFFIVDRLKSLIKYKGYQVPPAELESILLQHPFIFDAGVAGIPDADAGELPAAVVVLEEGKTMTEQEVMDYVAGQVTASKRLRGGVKFVDEVPKGLTGKIDSRKIREILTMGQKSKL*(配列番号2)
(2)野生型ルシフェラーゼ遺伝子のヒトコドンへの最適化
取得した野生型ルシフェラーゼ遺伝子に対し、ヒトの細胞内における発現に最適化させる変異を導入した。具体的には、既知の手法に基づいて、コードされるアミノ酸配列に変化を生じさせることなく、遺伝子中のコドンをヒトの細胞内で使用頻度の高いコドンへと変換した。その結果、配列番号3に記載される塩基配列を有する核酸が得られた。配列番号3の具体的配列を以下に記す。
ATGGAAGATGACCATAAGAACATCGTGCACGGGCCAGCCCCTTTCTACCCGCTGGAGGACGGCACCGCCGGAGAACAACTTCACAAGGCCATGAAGCGCTATGCCCAAGTCCCTGGCACCATTGCCTTCACAGATGCTCATGTGGAAGTAAATATCACTTATGCCGAATATTTCGAAATGGCATGCAGGCTGGCCGAGACAATGAAAAGATATGGCTTGGGACTTCAGCACCACATCGCAGTCTGCTCCGAAAACTCTCTGCAGTTCTTCATGCCAGTGTGCGGGGCTTTGTTCATTGGGGTCGGTGTGGCACCAACTAACGACATCTACAATGAGAGGGAGCTCTATAATAGTCTGAGTATTAGCCAACCGACCATTGTTTTCTGCAGCAAAAGAGCATTGCAAAAAATTCTGGGGGTCCAGAAGAAGTTGCCTATCATACAGAAAATCGTTATTCTCGACAGTAGAGAAGACTACATGGGGAAGCAAAGCATGTATAGTTTTATTGAATCCCATCTCCCGGTGGGCTTCAATGAGTATGATTACATCCCGGACACATTTGATCGCGAAACAGCCACCGCCCTTATCATGAATAGCTCCGGTTCCACAGGCTTGCCAAAGGGGGTCGAGCTCTCCCATAAGAACGTGTGTGTAAGATTCAGCCATTGTCGGGACCCCGTGTTTGGCAATCAGATAATCCCAGACACTGCTATCCTCACAGTCATCCCATTTCACCATGGCTTTGGAATGTTCACTACCCTTGGTTACTTGACCTGTGGCTTCAGAATTGTCCTGATGTACAGATTCGAGGAGGAGCTGTTTCTGCGATCTTTGCAGGATTATAAGATTCAGTCCGCATTGCTCGTGCCTACACTGTTTTCCTTTTTTGCTAAATCAACCTTGGTGGATAAATATGATCTGTCTAATTTGCATGAGATAGCTTCTGGCGGCGCTCCATTGGCAAAAGAGGTAGGAGAAGCTGTAGCAAAAAGATTTAAGCTGCCAGGAATTAGACAGGGGTATGGTCTTACCGAGACTACCAGTGCAATCATCATTACTCCAGAGGGCGACGACAAACCAGGAGCCTGCGGCAAGGTCGTCCCCTTCTTTTCCGCCAAAATTGTGGACCTGGATACTAGTAAAACTCTGGGTGTTAACCAGCGCGGGGAGCTGTGTGTGAAAGGACCGATGATCATGAAAGGCTATGTGAATAACCCTGAAGCCACATCCGCTCTCATAGACAAAGACGGCTGGCTGCATTCAGGCGATATTGCCTACTACGATAAGGACGGCCATTTCTTCATTGTGGACCGACTGAAAAGTCTGATCAAGTACAAGGGCTACCAGGTGCCACCTGCAGAGCTCGAATCAATCCTTTTGCAGCACCCCTTTATATTTGACGCCGGGGTGGCTGGAATCCCAGACGCCGATGCTGGAGAGTTGCCTGCAGCCGTGGTGGTGCTGGAGGAAGGCAAGACGATGACCGAACAGGAGGTTATGGATTATGTCGCCGGACAAGTGACTGCCTCAAAGAGACTTCGAGGGGGGGTGAAATTCGTTGACGAAGTGCCCAAAGGTCTCACAGGCAAGATCGACTCTCGAAAAATTCGAGAAATCCTTACTATGGGGCAGAAGAGCAAGCTGTGA(配列番号3)
(3)変異型ルシフェラーゼ遺伝子の作製
コドンの最適化を行ったルシフェラーゼ遺伝子(配列番号3)に対して、V367A、K446QおよびI531Rの変異を導入した。変異の導入は、一般的な部位特異的突然変異導入法により行った。
具体的には、上記3つの変異を導入するための変異導入用オリゴヌクレオチドをそれぞれ作製し、多比良和誠編「遺伝子の機能阻害実験法―簡単で確実な遺伝子機能解析から遺伝子治療への応用まで」(羊土社、2001年発行、p.17−25)に記載される方法に倣って変異を導入した。その結果、配列番号4に記載の塩基配列を有した変異型ルシフェラーゼ遺伝子が取得された。この遺伝子によってコードされる変異型ルシフェラーゼタンパク質は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有する。
(4)ルシフェラーゼのインビボでの発光強度比較
作製した変異型ルシフェラーゼ遺伝子を哺乳細胞(HeLa)で発現させ、従来のルシフェラーゼとの発光強度比較を行った。
最初に、変異型ルシフェラーゼ遺伝子の発現ベクター、および、比較対象として配列番号6に記載の塩基配列を有する既知のルシフェラーゼ遺伝子の発現ベクターを作製した。具体的には、上述のように取得した変異型ルシフェラーゼ遺伝子および市販されるpGL4ベクター(Promega社)に含まれるルシフェラーゼ遺伝子(Luc2)をそれぞれ発現用ベクターpF9A(Promega社)に挿入した。
精製したルシフェラーゼの各々ついて、インビボで発光強度を測定した。
上記のようにしてHeLa細胞に導入した各ルシフェラーゼについて、発光強度の比較を行った。その際Dual-Glo Luciferase Assay System (Promega社)を使用し、マニュアルに従って測定を行った。
測定した結果を、図1に示す。図1は、Luc2(左)およびサキシママドボタル由来の変異型ルシフェラーゼ(右)による発光の発光強度を示す。これらの発光強度は、同時に測定されたウミシイタケ(Renilla)由来のルシフェラーゼの測定結果で除算された数値として表されている。Luc2に比べて、サキシママドボタル由来の変異型ルシフェラーゼを用いた場合の方が高い発光強度を示していることがわかる。
さらに、これら2つの測定結果を、Luc2による発光強度で除算した結果を図2に示す。この図から、サキシママドボタル由来の変異型ルシフェラーゼによる発光は、Luc2による発光の1.6倍以上の発光強度を示すことがわかる。
(5)発光スペクトルの測定
さらに、HeLa細胞に導入したルシフェラーゼについて、種々の温度における発光スペクトルをインビボで測定した。1mMのD−ルシフェリンを含むCO independent medium(Gibco)に各ルシフェラーゼを導入したHeLa細胞を混濁し、LumiFlSpectroCapture(ATTO)を用いて測定を行った。測定時の反応溶液の温度を、5℃、15℃、25℃、37℃および42℃の何れかに設定し、それぞれの温度において測定を行った。
測定結果を図3および4に示す。図3は、サキシママドボタル由来の変異型ルシフェラーゼを種々の温度において使用した場合に得られる発光スペクトルを示す。図4は、Luc2を種々の温度において使用した場合に得られる発光スペクトルを示す。
また、測定された各発光スペクトルの最大発光波長を以下の表1にまとめる。
Figure 2014018192
さらに、5℃での最大発光波長と37℃での最大発光波長との差、および5℃での最大発光波長と42℃での最大発光波長との差を以下の表2にまとめる。
Figure 2014018192
図3および上記表から、サキシママドボタル由来の変異型ルシフェラーゼによる発光は、測定した5〜42℃の温度範囲において、最大発光波長が555〜580nmの範囲内におさまることがわかる。一方、図4および上記表から、Luc2では、最大発光波長が590nmから616nmまでの間に広がっていることがわかる。

Claims (6)

  1. 5〜42℃の任意の温度において発光反応を触媒したときに、生じる発光の最大発光波長が555〜580nmの範囲に含まれる値である、サキシママドボタルに由来するルシフェラーゼ。
  2. 配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するルシフェラーゼと比較して、1.6倍以上の発光強度を示す発光反応を触媒する請求項1に記載のルシフェラーゼ。
  3. 配列番号2に記載される、サキシママドボタル由来の野生型ルシフェラーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、
    配列番号2に記載のアミノ酸配列のN末端側から367番目のバリンに対応するアミノ酸がアラニンであり、
    配列番号2に記載のアミノ酸配列のN末端側から446番目のリジンに対応するアミノ酸がグルタミンであり、
    配列番号2に記載のアミノ酸配列のN末端側から531番目のイソロイシンに対応するアミノ酸がアルギニンである
    アミノ酸配列を有する請求項1または2に記載のルシフェラーゼ。
  4. 配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するルシフェラーゼ。
  5. 請求項1から4の何れか1項に記載のルシフェラーゼをコードする核酸。
  6. 配列番号4に記載の塩基配列を有する核酸。
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