JP2014017968A - 回転電機冷却システム - Google Patents
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Abstract
【課題】電気絶縁性の冷媒によって巻線部が冷却される回転電機の冷却システムにおいて、巻線部全体について導線の絶縁皮膜を比較的薄く形成しながら巻線部の特定部位における導線間の部分放電を効果的に抑制する。
【解決手段】電動車両に搭載された回転電機の巻線部に電気絶縁性の冷媒を供給して冷却する回転電機冷却システム10は、巻線部20を冷却する冷媒を供給する第1冷媒通路36と、巻線部20のうち駆動電圧のサージ電圧によるサージストレスが局所的に大きくなる特定部位Rに冷媒を供給して、特定部位Rを構成する絶縁皮膜付き導線の周囲に冷媒を付着させる、第2冷媒通路38と、特定部位Rにおいて絶縁皮膜付き導線の周囲に冷媒が付着した状態を維持するために所定条件下で第2冷媒通路38に冷媒を供給する制御を実行する制御部16とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】電動車両に搭載された回転電機の巻線部に電気絶縁性の冷媒を供給して冷却する回転電機冷却システム10は、巻線部20を冷却する冷媒を供給する第1冷媒通路36と、巻線部20のうち駆動電圧のサージ電圧によるサージストレスが局所的に大きくなる特定部位Rに冷媒を供給して、特定部位Rを構成する絶縁皮膜付き導線の周囲に冷媒を付着させる、第2冷媒通路38と、特定部位Rにおいて絶縁皮膜付き導線の周囲に冷媒が付着した状態を維持するために所定条件下で第2冷媒通路38に冷媒を供給する制御を実行する制御部16とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、回転電機冷却システムに係り、特に、電動車両に搭載された回転電機を冷却するシステムに関する。
車両に搭載される回転電機は、動作に伴い発熱するので、冷却が行われる。回転電機の発熱は、必ずしも一様ではないので、回転電機の温度上昇を適切に抑制するには、冷却の仕方を工夫することが必要である。
例えば、下記の特許文献1には、回転電機の動作状態に応じて、永久磁石が発熱しやすい状態では永久磁石へ多くの冷媒を供給し、コイルが発熱しやすい状態ではコイルへ冷媒を供給することにより、冷却が必要な部位を効率的に冷却することが可能な回転電機の冷却構造が開示されている。この回転電機の冷却構造は、ステータ及びロータの一方に備えられる永久磁石と、ステータ及びロータの他方に備えられるコイルと、永久磁石を冷却する冷媒が流通する第1流路と、コイルを冷却する冷媒が流通する第2流路と、回転電機の回転数及び出力トルクの一方又は双方に基づいて、第1流路及び第2流路のそれぞれへの冷媒の流通状態を切り替える流通切替手段とを備えることが記載されている。
ところで、回転電機のコイルには例えばインバータ等の電力変換器によって直流交流変換された駆動電圧が印加されるので、駆動電圧にはインバータに含まれるスイッチング素子のオンオフに従ってサージ電圧が発生し、それがストレス(以下、サージストレスという。)となる。サージ電圧は駆動電圧に重畳するので、コイルを構成する絶縁皮膜付き導線と導線の間あるいは該導線とそれ以外の要素との間における放電耐圧限界を超えると部分放電を生じる。また、回転電機の温度が高いと、放電耐圧限界が低下する。したがって、コイルにおける部分放電を抑制するうえで、例えば冷却油等の冷媒を用いて回転電機のコイルを冷却することが有効である。
他方、回転電機に環状に巻装されるコイルにおいて、サージストレスは周方向に関して一様ではなく、コイルの巻き方等によって周方向の特定の部位において局所的に大きくなることが知られている。例えば、三相交流回転電機では、中性点で互いに接続されたU相、V相およびW相の各相コイルに駆動電圧としての三相交流電圧が印加される動力線接続端子に近い部位で、サージストレスが大きくなる傾向がある。
その場合、コイルを構成する導線の絶縁皮膜だけで放電耐圧性を確保しようとすると、サージストレスが最大となるときにも部分放電が生じない程度の絶縁抵抗を確保し得る皮膜厚みに形成しておく必要がある。そうすると、コイルにおいてサージストレスが比較的小さい周方向部位については過剰な放電耐圧性が付与されていることになる。
本発明の目的は、電気絶縁性の冷媒によって巻線部が冷却される回転電機の冷却システムにおいて、巻線部全体について導線の絶縁皮膜を比較的薄く形成しながら巻線部の特定部位における導線間の部分放電を効果的に抑制することである。
本発明に係る回転電機冷却システムは、電動車両に搭載された回転電機の巻線部に電気絶縁性の冷媒を供給して冷却する回転電機冷却システムであって、前記巻線部を冷却する冷媒を前記巻線部に供給する第1冷媒通路と、前記巻線部のうち駆動電圧のサージ電圧によるサージストレスが局所的に大きくなる特定部位に冷媒を供給して、前記特定部位を構成する絶縁皮膜付き導線の周囲に冷媒を付着させる、第2冷媒通路と、前記第1冷媒通路および前記第2冷媒通路にそれぞれ供給される冷媒量を調整する制御部と、を備え、前記制御部は、前記特定部位において絶縁皮膜付き導線の周囲に冷媒が付着した状態を維持するために所定条件下で前記第2冷媒通路に冷媒を供給する制御を実行するものである。
本発明に係る回転電機冷却システムにおいて、前記制御部は、車両が回転電機の出力により走行可能な状態であって、かつ車両が停車しているときに、前記第2冷媒通路に冷媒を供給する制御を実行してもよい。
また、本発明に係る回転電機冷却システムにおいて、前記第1冷媒通路には第1電磁弁が設けられるとともに前記第2冷媒通路には第2電磁弁が設けられ、前記第1電磁弁および前記第2電磁弁は前記制御部からの制御信号を受けて開度調整が可能であり、前記制御部は、前記第2冷媒通路に冷媒を供給するときは前記第1電磁弁を全閉する一方で前記第2電磁弁を全開してもよい。
また、本発明に係る回転電機冷却システムにおいて、前記第1冷媒通路または前記第2冷媒通路の少なくとも一方に冷媒を供給する冷媒ポンプをさらに備え、前記冷媒ポンプは前記電動車両に搭載された内燃機関の動力によって駆動され、前記第2冷媒通路への冷媒供給時には、前記内燃機関は前記冷媒ポンプを駆動するために運転されてもよい。
さらに、本発明に係る回転電機冷却システムにおいて、前記第2冷媒通路に冷媒を供給する制御は、所定時間継続したとき又は前記制御途中に車両の発進が検知されたときに、終了してもよい。
本発明に係る回転電機冷却システムによれば、回転電機の巻線部のうちサージストレスが局所的に大きくなる特定部位について、絶縁皮膜付き導線の周囲に電気絶縁性の冷媒が付着した状態を維持するために第2冷媒通路を介して冷媒を供給して、絶縁皮膜付き導線に接触させる。このように前記特定部位における導線の周囲に電気絶縁性の冷媒が付着した状態が維持されることで、前記特定部位における導線間の絶縁性を向上させることができる。したがって、巻線部全体について導線の絶縁皮膜を薄く形成しながら、サージストレスが大きくなる巻線部の特定部位において部分放電を効果的に抑制することができ、その結果、回転電機の耐久性を向上させることができる。
以下に、本発明に係る実施の形態(以下、実施形態という)について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
図1は、本実施形態に係る回転電機冷却システム10の概略構成を示す。この回転電機冷却システム10は、好ましくは回転電機を走行用動力源として備えるハイブリッド車両および電気自動車等の電動車両に搭載される。図1では、回転電機冷却システム10がハイブリッド車両に搭載されている例を示す。
図1に示されるように、ハイブリッド車両には、内燃機関であるエンジン2と、駆動電力の供給を受けて回転駆動する回転電機12とが搭載されている。エンジン2は、ガソリン、天然ガス、水素等を燃料として動力を出力する装置である。エンジン2からの動力は、車両の走行用動力として用いられてもよいし、あるいは、車載の発電機を駆動して発電させ、その発電した電力で回転電機を駆動するか或いはバッテリを充電してもよい。さらに、後述するようにエンジン2の動力は、回転電機冷却システム10に含まれる冷媒ポンプを駆動する動力として用いられるように構成されている。
回転電機冷却システム10は、上記の回転電機12と、回転電機12を電気絶縁性の冷媒によって冷却する冷媒供給装置14と、冷媒供給装置14の作動を制御する制御部16とを備える。
回転電機12は、例えば三相同期型モータなどによって構成され、筒状のステータ17と、ステータ17の内周側に回転可能に配置される図示しないロータとを有する。ステータ17は、例えば円環状に打ち抜き加工された電磁鋼板を軸方向に多数枚積層して構成されるステータコア18と、ステータコア18の内周部において径方向に間隔を置いて突設されたティース部19の周囲に巻装された巻線部20とを含む。
回転電機12は、例えば三相同期型モータによって構成される。その場合、ステータ17に巻装された巻線部20は、U相、V相、W相の各相コイルとして形成される。各相コイルの一端部は、中性点において例えばY字結線されることによって互いに接続される。他方、各相コイルの他端部は、入力端子部24U,24V,24Wにそれぞれ接続されて、ステータ17の径方向外側へ引き出されている。
巻線部20は、絶縁皮膜付きの導線(例えばエナメル被覆された銅線)によって構成されている。ステータコア18に対する巻線部20の巻き方は、複数のティース部19に跨って導線が巻かれてコイルを形成する分布巻であってもよいし、あるいは、各ティース部19の周囲に導線がそれぞれ巻かれてコイルを形成する集中巻であってもよい。
ステータ17から引き出された入力端子部24U,24V,24Wは、3本の動力線26を介して駆動装置28に接続されている。駆動装置28は、アクセル開度や車速等に応じて三相交流電圧を生成して回転電機12の巻線部20に印加する機能を有する。
より詳しくは、駆動装置28は、リチウム二次電池等のバッテリと、バッテリから供給される直流電力を三相交流電力に変換して動力線26に出力するインバータ等の電力変換装置とを含む。バッテリは、充放電可能な二次電池であれば、リチウム二次電池以外のニッケル水素電池、鉛二次電池等であってもよい。また、バッテリから供給される直流電圧を昇圧してインバータに受け渡すための双方向昇降圧コンバータがインバータと併設されてもよい。
また、回転電機12のステータ17には、巻線部20の温度を検出するための例えばサーミスタ等からなる温度センサ30が設けられている。温度センサ30は、本実施形態の回転電機12においては、巻線部20の各相コイルが互いに接続される中性点を構成する中性線22に接触して取り付けられている。このように中性点近傍のコイル温度を検出することで、或る1つの相のコイルが例えば連続通電して高温になったときに中性点を介して温度センサ30が設けられている中性線22へと伝熱されるので、1つの温度センサで各相コイルの温度を略確実に検出することが可能になる利点がある。温度センサ30による検出信号は、制御部16に送信されて、後述する冷却動作の制御等に用いられる。
上述した回転電機12のステータ17は、軸心方向が水平方向に沿う姿勢で車両に搭載されており、図1中においてステータ17の軸心を通る鉛直方向の直線が一点鎖線で示されている。また、巻線部20を構成するU相、V相、W相の各相コイルに接続される入力端子部24U,24V,24Wは、ステータコア18の軸方向端部から外側に突出するコイルエンド部において、周方向の約60度〜90度の角度範囲の特定部位Rに接続されている。このように入力端子部24U,24V,24Wが接続されている巻線部20の特定部位Rは、巻線部20に駆動電圧が印加されたときに、インバータ等のスイッチング動作によって駆動電圧に重畳発生するサージ電圧によるサージストレスが周方向に関して局所的に大きくなる傾向にある。
なお、本実施形態では、サージストレスが局所的に大きくなる特定部分が巻線部の入力端子部の接続部近傍であると説明したが、これに限定されるものではなく、サージストレスが大きくなり易い部位は回転電機の構造等に応じて変化し得るものであるため、実験やシミュレーション等によって予め特定してもよい。
冷媒供給装置14は、冷媒ポンプ32、冷媒供給管34、第1冷媒通路36、および、第2冷媒通路38を備える。冷媒ポンプ32は、電気絶縁性でかつ流動性のある冷媒を供給する冷媒供給源である。冷媒ポンプ32は、矢印33で示すように、エンジン2の動力を受けて駆動するメカ駆動式ポンプである。冷媒には、例えば冷却油(ATF)を用いることができる。ただし、これに限定されるものではなく、冷媒は、冷却水であってもよいし、あるいは、冷却ガスであってもよい。
冷媒供給管34は、冷媒ポンプ32から送り出される冷媒を回転電機12側へ供給するパイプである。冷媒供給管34は、途中で二股に分岐して、第1冷媒通路36および第2冷媒通路38に連通している。
第1冷媒通路36の先端には、第1冷媒吐出口37が設けられている。第1冷媒吐出口37は、環状をなすコイルエンド部の最上部に対向して配置されている。これにより、第1冷媒吐出口37から吐出された冷媒がコイルエンド部に掛けられると、冷媒は円環状をなすコイルエンド部と接触しながら周方向に伝って流れ、その結果、コイルエンド部を介して巻線部20の略全体が冷却されるようになっている。ただし、これに限定されるものではなく、第1冷媒通路36から供給される冷媒によって巻線部20が、周方向の略全体ではなく一部が冷却されるように供給されてもよい。
他方、冷媒供給管34から分岐した第2冷媒通路38の先端部には、第2冷媒吐出口39が設けられている。第2冷媒吐出口39は、巻線部20の特定部位Rに対して上方に配置されている。これにより、第2冷媒吐出口39から吐出された冷媒は、巻線部20の特定部位Rに集中的に掛けられるように構成されている。第2冷媒吐出口39は、第1冷媒吐出口37と比較して、冷媒をより高速で噴出するように構成されてもよい。このようにすれば、コイルエンド部を構成する絶縁皮膜付き導線が交錯して形成される狭い隙間に冷媒が効果的に流れ込んで、導線の周囲に付着させ易くなる利点がある。
また、第1冷媒通路36および第2冷媒通路38には、第1電磁弁40と第2電磁弁42とがそれぞれ配設されている。第1および第2電磁弁40,42は、制御部16からの制御信号を受けて開度調整が可能であり、第1冷媒通路36および第2冷媒通路38に供給される冷媒量をそれぞれ調整することができる。
なお、第1冷媒吐出口37および第2冷媒吐出口39から吐出されて流れ落ちた冷媒は、図示しない冷媒回収管を介して冷媒ポンプ32に戻されて循環供給されることになるが、冷媒回収管を介して戻る過程において適当な熱交換器を通過する際に放熱して降温するように構成されるのが好ましい。
制御部16は、例えば、CPUおよび記憶部を含むマイクロコンピュータによって構成される。制御部16は、温度センサ30で検出された巻線温度が入力される一方、エンジン2、駆動装置28および冷媒ポンプ32に駆動信号をそれぞれ出力する。後述する冷媒供給制御は、制御部16におけるソフトウェア処理によって実行されるが、少なくとも一部がハードウェア要素によって構成されてもよい。
続いて、上記構成からなる回転電機冷却システム10の動作について説明する。図2は、制御部16において実行される冷媒供給制御の処理手順を示すフローチャートである。この制御は、ハイブリッド車両が走行可能状態になったときにROM等の記憶部に予め記憶されているプログラムが読み出されて、所定時間ごとに繰り返し実行される。
図2を参照すると、まずステップS10において、車両状態情報を取得する。車両状態情報には、アクセル開度、車速、エンジン作動状態等が含まれる。これらの情報は、ハイブリッド車両を統括制御する上位ECUから取得可能である。
本実施形態のハイブリッド車両では、通常の冷却動作では、エンジン2の動力を受けて駆動される冷媒ポンプ32によって冷却油が冷媒供給管34に送り出される。このとき、第1電磁弁40が全開とされ、第2電磁弁が全閉とされている。これにより、冷媒供給管34を流れる冷却油は、第1電磁弁40を介して第1冷媒通路36に供給され、第1冷媒吐出口37からコイルエンド部に向けて吐出される。その結果、環状のコイルエンド部を冷媒が周方向に伝って流れることで、巻線部20の略全体が冷却される通常の冷却状態になっている。
なお、ハイブリッド車両では、回転電機12の出力のみで走行するモータ走行時にはエンジン2を停止させて燃費向上を図っているが、モータ走行可能状態にあって且つ回転電機12を冷却する必要があるときには冷媒ポンプ32を駆動する目的でエンジン2を稼働させることができる。
図2に戻ると、制御部16は、続くステップS12において、モータ走行可能状態でかつ車両が停車中であるかを判定する。このステップS12で肯定判定がなされるとステップS14において冷却フラグFcが1に設定される。他方、否定判定がなされるとステップS16において冷却フラグFcが0に設定(または維持)され、そのまま処理を終了する。
ここで、モータ走行可能状態とは、ハイブリッド車両の車内に設けられた起動スイッチがオンされ、アクセルが踏み込まれると回転電機12の出力により走行可能な状態であることを意味する。また、車両が停車中とは、信号待ち等の理由で車両が一時的に止まった状態を意味し、車速が略0になった状態又は時速数km以下になった状態をいう。したがって、図2に示す処理手順が繰り返し実行されるうちに車両が発進したとき、ステップS12において否定判定されて、冷却フラグFcが0に設定される。その結果、後述する特定部位Rへの冷媒供給制御の実行中であっても、その制御を中止して処理を終了することになる。このようにすることで、巻線部20の略全体が冷却油によって冷却される通常の冷却動作に移行することができ、駆動される回転電機12の巻線部20の冷却を優先させることができる。
上記ステップS14において冷却フラグFcが1に設定されると、続くステップS18において、巻線部20の特定部位Rに絶縁性の冷却油が付着した状態にあるか否かが判定される。この判定では、次のような所定条件のいずれかを満たすか否かにより判定される。すなわち、第1条件として、ハイブリッド車両が起動されてから温度センサ30によって検出される巻線温度が180℃以上になることが10回を超えたか否か、又は、第2条件として、前回の第2冷媒通路への冷媒供給制御から3日以上経過しているか、である。
上記第1条件は、冷媒としてATFが用いられる場合、巻線温度が180℃以上になることが10回を超えると、巻線部20の特定部位Rを構成する導線の周囲に付着したATFが蒸発または気化して無くなることで、特定部位Rにおける放電耐圧性能が低下することになるからである。また、上記第2条件は、巻線部20の特定部位Rに定期的にATFを供給して、特定部位Rを構成する導線の周囲にATFが付着した状態を維持して、特定部位Rにおける放電耐圧性能を低下させないようにするためのものである。
ただし、上述した第1条件および第2条件は一例に過ぎず、冷媒の種類、回転電機の駆動履歴等に応じて適宜変更されてもよいことは勿論である。
上記ステップS18において、巻線部20の特定部位Rを構成する導線の周囲に冷却油が付着した状態にあると判定されると、続きステップS26で冷却フラグFcを0に設定して、そのまま処理を終了する。他方、上記の第1条件および第2条件のいずれかを満たしていると判定されると、制御部16は、ステップS20において第1電磁弁40を全閉するとともに第2電磁弁42を全開する。
このときエンジン2が運転停止中である場合には、制御部16は、冷媒ポンプ32を駆動するためだけにエンジン2を始動する。そして、続くステップS22で、エンジン2ができるだけ低い回転数で安定した自律運転状態(例えばアイドリング状態)になってから所定時間だけ冷媒ポンプ32を駆動する。これにより、冷媒ポンプ32から送り出された冷媒の全量が第2電磁弁42を介して第2冷媒通路38に供給されて、第2冷媒吐出口39から巻線部20の特定部位Rに向けて吐出される。その結果、特定部位Rを構成する導線の周囲に冷却油が接触して付着した状態となり、特定部位Rにおける導線間の電気絶縁抵抗が増加する。したがって、回転電機12の駆動電圧に重畳するサージ電圧によるサージストレスが大きくなる巻線部20の特定部位Rにおける放電耐圧性能が向上する。
上記のような特定部位Rに対する冷却油の供給を所定時間行った後、制御部16は、ステップS24において、第1電磁弁40を全開するとともに第2電磁弁42を全閉する。これにより、冷媒ポンプ32から送り出された冷却油の全量が第1電磁弁40および第1冷媒通路36を介して第1冷媒吐出口37から吐出される通常の冷却動作に移行する。そして、続くステップS26において、冷却フラグFcを0に設定して、処理を終了する。
上述したように、本実施形態の回転電機冷却システム10によれば、回転電機12の巻線部20のうちサージストレスが局所的に大きくなる特定部位Rについて、絶縁皮膜付き導線の周囲に電気絶縁性の冷却油が付着した状態を維持するために、第2冷媒通路38を介して冷却油を供給して上記導線に接触させる。これにより、巻線部20の特定部位Rにおける導線の周囲に電気絶縁性の冷媒が付着した状態が維持されるので、特定部位Rにおける導線間の絶縁性を向上させることができる。したがって、巻線部20全体について導線の絶縁皮膜を薄く形成しながら巻線部20の特定部位Rにおける導線間の部分放電を効果的に抑制することができ、その結果、回転電機12の耐久性を向上させることができる。
また、このようにサージストレスが大きくなる特定部位Rについて導線の周囲に冷却油を付着させた状態として電気絶縁抵抗を増加させるようにしたことで、巻線部20を構成する導線の絶縁皮膜を従来よりも薄くすることができる。これにより、冷却油によってコイル導線が冷却され易くなって巻線部20の冷却性能が向上する。加えて、巻線部20が巻装されるステータコア18のティース部19間に形成されるスロット内での導線占積率を高めることができ、その結果、回転電機12の出力向上や小型化に寄与することができる。
次に、図3を参照して、別の実施形態である回転電機冷却システム11について説明する。この回転電機冷却システム11は、回転電機12だけを走行用動力源として備える電気自動車に搭載される点において、上記実施形態とは相違する。したがって、同一又は対応する要素には同一または類似の参照符号を付して、詳細な説明を省略する。
図3に示すように、回転電機冷却システム11の冷媒供給装置14aは、冷媒ポンプ32a、冷媒供給管34、第1冷媒通路36、第2冷媒通路38、第1電磁弁40、および第2電磁弁42を備えている。この場合、車両にはエンジンが搭載されていないことから、冷媒ポンプ32aは、回転電機12の駆動装置28から電力供給を受けて駆動される電動式ポンプで構成されている。このことが図3中の矢印29で示されている。他の構成は、上記実施形態と同様である。
このように電気自動車に搭載された回転電機冷却システム11では、駆動装置からの電力によって電動式の冷媒ポンプ32aを駆動して、冷却油を第1冷媒通路36および第1電磁弁40を介して第1冷媒吐出口37から吐出することにより通常の冷却動作を行う。一方、所定条件下で第2電磁弁42を介して第2冷媒通路38に冷却油を供給し、第2冷媒吐出口39から冷却油を巻線部20の特定部位Rに噴出して、特定部位Rにおける導線の周囲に冷却油を付着させる制御を実行する。これにより、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
なお、本発明に係る回転電機冷却システムは、上記の実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項およびその均等の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、上記においては、第2冷媒通路38を介して第2冷媒吐出口39から冷却油を吐出するとき第1電磁弁40を全閉で第2電磁弁42を全開にするものとして説明したが、これに限定されるものではなく、第1電磁弁40および第2電磁弁42の各開度について種々の組み合わせが可能である。例えば、第1電磁弁40を50%の開度に設定して第1冷媒吐出口37から吐出される冷却油量を絞る一方で、第2電磁弁42を全開(すなわち100%)として、冷媒ポンプ32から供給される冷却油の残量を第2冷媒吐出口39から吐出させるようにしてもよい。
また、上記においては、巻線部20において入力端子部24U,24V,24Wが接続される部分およびその近傍がサージストレスが大きくなる特定部位Rであるとして説明したが、このような特定部位は回転電機の巻線構造等によって異なってくる。したがって、実験やシミュレーション等によってサージストレスが大きくなる巻線部の周方向の部位を特定しておき、その特定された部位に対応して第2冷媒吐出口を対向配置するようにすればよい。
2 エンジン、10、11 回転電機冷却システム、12 回転電機、14,14a,冷媒供給装置、16 制御部、17 ステータ、18 ステータコア、19 ティース部、20 巻線部、22 中性線、24U,24V,24W 入力端子部、26 動力線、28 駆動装置、30 温度センサ、32,32a 冷媒ポンプ、34 冷媒供給管、36 第1冷媒通路、37 第1冷媒吐出口、38 第2冷媒通路、39 第2冷媒吐出口、40 第1電磁弁、42 第2電磁弁、Fc 冷却フラグ、R 特定部位。
Claims (5)
- 電動車両に搭載された回転電機の巻線部に電気絶縁性の冷媒を供給して冷却する回転電機冷却システムであって、
前記巻線部を冷却する冷媒を前記巻線部に供給する第1冷媒通路と、
前記巻線部のうち駆動電圧のサージ電圧によるサージストレスが局所的に大きくなる特定部位に冷媒を供給して、前記特定部位を構成する絶縁皮膜付き導線の周囲に冷媒を付着させる、第2冷媒通路と、
前記第1冷媒通路および前記第2冷媒通路にそれぞれ供給される冷媒量を調整する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記特定部位において絶縁皮膜付き導線の周囲に冷媒が付着した状態を維持するために所定条件下で前記第2冷媒通路に冷媒を供給する制御を実行する、
回転電機冷却システム。 - 請求項1に記載の回転電機冷却システムにおいて、
前記制御部は、車両が回転電機の出力により走行可能な状態であって、かつ車両が停車しているときに、前記第2冷媒通路に冷媒を供給する制御を実行する、回転電機冷却システム。 - 請求項1または2に記載の回転電機冷却システムにおいて、
前記第1冷媒通路には第1電磁弁が設けられるとともに前記第2冷媒通路には第2電磁弁が設けられ、前記第1電磁弁および前記第2電磁弁は前記制御部からの制御信号を受けて開度調整が可能であり、前記制御部は、前記第2冷媒通路に冷媒を供給するときは前記第1電磁弁を全閉する一方で前記第2電磁弁を全開する、回転電機冷却システム。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転電機冷却システムにおいて、
前記第1冷媒通路または前記第2冷媒通路の少なくとも一方に冷媒を供給する冷媒ポンプをさらに備え、前記冷媒ポンプは前記電動車両に搭載された内燃機関の動力によって駆動され、前記第2冷媒通路への冷媒供給時には、前記内燃機関は前記冷媒ポンプを駆動するために運転される、回転電機冷却システム。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転電機冷却システムにおいて、
前記第2冷媒通路に冷媒を供給する制御は、所定時間継続したとき又は前記制御途中に車両の発進が検知されたときに、終了する、回転電機冷却システム。
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