JP2014017321A - 光電変換素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】光電変換層中に孤立した輸送材料(再結合部)の存在確率を低減させること。
【解決手段】正孔集電電極及び電子集電電極の間に少なくとも1種類以上の正孔輸送材料及び電子輸送材料からなる光電変換層を有する光電変換素子であって、前記光電変換層は、その膜厚方向に対して前記正孔輸送及び電子輸送材料の組成比が勾配を有してなることを特徴とする光電変換素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子に関し、特に、改良されたバルクへテロ接合型有機光電変換素子に関する。
有機光電変換素子は、基本的には正孔輸送材料(電子供与体)、及び電子輸送材料(電子受容体)からなる光電変換層がそれぞれの電極間に挟まれた構造をとっている。これまでにヘテロ接合やバルクへテロ接合などの光電変換層の構造が提案されているが、現在は光電変換効率の観点からバルクへテロ接合構造が一般的となっている(非特許文献1)。
これはヘテロ接合と比較してバルクヘテロ接合構造では、分子レベルで正孔輸送材料及び電子輸送材料が一様に分散していることから、正孔輸送材料及び電子輸送材料の接合界面が大きく、光吸収により発生した励起子の電荷分離できる場が拡大していることが要因と考えられている。
このようなバルクヘテロ接合型光電変換素子の光電変換効率をさらに向上させる手段として、熱処理が知られている。
バルクへテロ接合構造をとっている光電変換層は、熱処理によって、正孔輸送材料及び電子輸送材料のそれぞれが、もしくは一方が微視的にその一部分において、自己凝集した相分離構造を形成する。
この相分離構造の形成により、光電変換層から電極への直接的な電荷輸送経路であるパーコレーションパスが確立され、再結合が抑制される状態となり、光電変換効率が向上すると考えられている。
バルクへテロ接合型光電変換素子は、その作製方法にウェットプロセスとドライプロセスの2種類がある。前者は正孔輸送体及び電子輸送体材料を溶媒に溶解させた状態で混合して塗布法により光電変換層を形成する手法であり、後者は真空蒸着装置等を使用して、正孔輸送体及び電子輸送体材料を同時に蒸着させる共蒸着法により光電変換層を形成する手法である。これまでの検討の結果、バルクへテロ接合型光電変換素子では、光電変換効率が5〜6%に達していることが知られている。
今までのバルクへテロ接合型光電変換素子では、熱処理により相分離構造を形成するため、熱処理前と比較して再結合が抑制される状態になっていると考えられる。しかしながら、基本的に光電変換層は正孔輸送及び電子輸送材料の分布が均一な混合膜として存在している。そのため電荷分離した正孔と電子がそれぞれ正孔輸送及び電子輸送材料中を移動して電極から取り出されるまでの間に、正孔または電子輸送材料中に極性の異なる輸送材料が孤立する(再結合部)存在確率は層内で一様であり、この孤立して存在する輸送材料の確率を低減させることは困難であった。
例えば、特許文献1の特開2009−158734号公報には、バルクへテロ接合を有する有機光電変換素子において再結合とリーク電流を抑制する目的で、バルクへテロ接合型光電変換層と電極との間に電子輸送層を設けることにより光電変換層からの正孔の注入を防止し、電荷の再結合またはリーク電流を抑制した構成が開示されている。
本発明とは確かにバルクへテロ接合型光電変換素子の電荷の再結合を抑制している点では似ている点がある。しかし、光電変換層と電子集電電極及び正孔集電電極との接合界面近傍での再結合の抑制には効果があるが、光電変換層内自体では太陽エネルギーの吸収率を高めキャリア発生確率を高めるため光電変換層内で3次元方向(層厚方向)にできるだけ均一にpn接合点を分布させることを推奨していて、光電変換層の膜厚方向に対して正孔輸送材料及び電子輸送材料との間での組成比に勾配を設けることを意図するものではなく、したがって、上記のような光電変換層であるバルクへテロ接合膜内での電荷の再結合を抑制するという根本的な課題は解消できていない。
本発明は、光電変換層中に孤立した輸送材料(再結合部)の存在確率を低減させることを目的とする。
上記課題は、本発明の下記(1)〜(11)によって解決される。
(1)「正孔集電電極及び電子集電電極の間に少なくとも1種類以上の正孔輸送材料及び電子輸送材料からなる光電変換層を有する光電変換素子であって、前記光電変換層は、その膜厚方向に対して前記正孔輸送及び電子輸送材料の組成比が勾配を有してなることを特徴とする光電変換素子」、
(2)「前記電子集電電極、または前記正孔集電電極近傍のどちらか一方には前記光電変換層中の電子輸送材料、または正孔輸送材料の組成比がより多いことを特徴とする前記第(1)項に記載の光電変換素子」、
(3)「前記電子集電電極近傍には前記光電変換層中の電子輸送材料の組成比がより多く、前記正孔集電電極近傍には前記光電変換層中の正孔輸送材料の組成比がより多いことを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の光電変換素子」、
(4)「前記光電変換層に有機材料を用いた前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の光電変換素子」、
(5)「前記光電変換層と、前記正孔集電電極及び電子集電電極との間の少なくとも一方に、電荷ブロッキング層を有してなる前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の光電変換素子」、
(6)「前記正孔集電電極と前記光電変換層との間に電子ブロッキング層を有し、かつ前記電子集電電極と前記光電変換層との間に正孔ブロッキング層を有してなる前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の光電変換素子」、
(7)「前記光電変換層が異なる分子量形態を有する有機材料からなる前記第(1)項乃至第(6)項のいずれかに記載の光電変換素子」、
(8)「前記光電変換層が同様の分子量形態を有する有機材料からなる前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載の光電変換素子」、
(9)「電子輸送材料がフラーレン誘導体からなる前記第(1)項乃至第(8)項のいずれかに記載の光電変換素子」、
(10)「正孔輸送材料がポリチオフェン誘導体からなる前記第(1)項乃至第(9)項のいずれかに記載の光電変換素子」、
(11)「前記光電変換層がウェットプロセスにより形成されたものである前記第(1)項乃至第(10)項のいずれかに記載の光電変換素子」。
以下の詳細かつ具体的な説明から理解されるように、本発明においては、光電変換層の膜厚方向に対して、正孔輸送及び電子輸送材料との間での組成比が勾配を有するため、孤立した正孔及び電子輸送材料の存在確率が低減できるので、従来のバルクへテロ接合型有機光電変換素子と比較して、電荷の再結合確率をより低減することができるという極めて優れた効果が発揮される。
本発明の基本的な有機光電変換素子の断面図である。 電荷ブロッキング層を有する本発明の有機光電変換素子の断面図である。 光電変換層の膜厚方向に対して、正孔輸送材料と電子輸送材料との間で組成比の勾配の有無による層構造の違いの1例を説明するための層断面図である。
本発明の実施の形態を説明する。
本発明の有機光電変換素子は、上記のように、以下の特徴を有する。要するに、本発明は、基板と、基板上に形成された正孔集電電極及び電子集電電極の間に少なくとも1種類以上の正孔輸送及び電子輸送材料からなる光電変換層を有する有機光電変換素子であって、光電変換層は、その膜厚方向に対して正孔輸送及び電子輸送材料との間での組成比が勾配を有していることが特徴になっている。
前記特徴について、以下の図面を用いて具体的に解説する。
図1に示した本実施形態の有機光電変換素子は、正孔集電電極、正孔輸送及び電子輸送材料を少なくとも1種類以上有する光電変換層、電子集電電極で構成される。
また図2に示したように、光電変換層と、それぞれの集電電極との間の両方、またはどちらか一方に電荷ブロッキング層を有していても構わない。
ここで、図3には光電変換層の膜厚方向に双方の電荷輸送材料の組成比に勾配がある場合と、勾配がない場合の光電変換層の断面を示した。図3(a)は、光電変換層の膜厚方向に対して、正孔輸送材料及び電子輸送材料との間での組成比が勾配を有していない場合の光電変換層の断面図である。
図3(b)は、光電変換層の膜厚方向に対して、正孔及び電子輸送材料との間での組成比が勾配を有している場合の本発明の光電変換層例の断面図である。
熱処理によりパーコレーションパスを確立して、熱処理前と比較して電荷の再結合を抑制しようとも、再結合部となる孤立した輸送材料は光電変換層内に均一に存在する図3(a)。これに対して本発明においては、光電変換層の膜厚方向に対する正孔輸送及び電子輸送材料との間での組成比に勾配をつけることにより、組成比の多い輸送材料同士が隣接する確率が高くなるため、再結合部となる孤立した輸送材料の存在確率を低減させ、その結果、再結合をより抑制することができる(図3(b))。
さらに本発明におけるこの例の形態では、光電変換層全体の電荷の再結合を抑制することができる。つまり、光電変換層と、電子集電電極及び正孔集電電極との接合界面近傍での再結合を低減することができるだけでなく、光電変換層内での孤立する(再結合部)存在確率をも低減させることができ、かつ仮に、万一逆方向からの少数キャリア注入があったとしてもブロックすることができる。
この図の光電変換素子例においては、層全体に存在する正孔輸送材料の海の中に電子輸送材料粒子が網の目状に連なりながらも分散された海島構造になっているがしかし、電子輸送材料の分散状態は、電子集電電極側に近づくにつれて存在率が高くなるように勾配を有し、したがって、これに対する正孔輸送材料の存在率も正孔集電電極側に近づくにつれて逆に高くなっている。
正孔輸送材料は、低分子有機正孔輸送材料の粒子であっても、ポリマー鎖に沿った励起子の伝達を可能にするポリマーであってもよく、また両者の併用物であってもよい。ほとんどの有機半導体は10nmまでの励起子、正孔の拡散長を有するが、電荷注入型(モータ型)の光電素子(LEDや、有機半導体レーザー、EL発光素子等)であっても、電荷放出型(発電機型)の光電素子(太陽電池、フォトダイオードやフォトトランジスタ等)であっても、光電素子中の電荷輸送性は主に励起子、正孔の易動性に律則される。よく知られているように、光子が正孔輸送材料中に進入して、材料分子中の電子が価電子帯から励起されて生じる正孔−電子対としての励起子は、正孔と電子がクーロン力により対を形成しており、この励起子のバンドギャップにおけるエネルギーレベルは該クーロン力の分だけ、伝導帯レベルに励起された電子のエネルギーレベルより僅かに低い。そして、この励起子は、材料分子中をドリフトすることができ、また、凝集体粒子又は結晶体粒子中の隣接する材料分子に、共鳴によって、そのエネルギーを伝播することができる。
このように、太陽電池中で太陽エネルギーを電気エネルギーに直接変換することは、素子材料の内部光効果に基く。すなわち、光子の吸収による電子−正孔対の生成と、pn接合での負電荷担体と正電荷担体との分離に基く。生成した正孔と電子がアノード(電池型における陽極、モータ型においては陰極)とカソード(電池型における陰極、モータ型においては陽極)に流れるためには、pn接合に到らなければならない。生じた光電位は、外部回路において光電流をもたらし、それによって、太陽電池はその出力を出す。その際、光電変換材料はそのバンドギャップより大きいエネルギーを有する光子のみ吸収できる。
したがって、光電変換材料のバンドギャップの大きさは、電気エネルギーに変換できる太陽光の割合を決める。電子が伝導帯の底と価電子帯の頂上を一気に遷移する際に吸収、放出する光の波長との関係に関し、光子のエネルギー(E)と波長(λ)の間には、プランクの定数をh(=6,626×10−34),光速をc(=3×10)、振動数をν、禁制帯幅をEg、換算電荷素量をe(=1.602×10−19)とすると、「E=hν=h(c/λ)=Eg」の式で表される関係があるので、この式から計算すると、例えば1eVの狭いエネルギーギャップ幅では光の波長は1241nmと長波長であってよく、2.2 eVのエネルギーギャップ幅では564nmと短い(高振動数の)波長となる。
このように、太陽電池は、幅広いスペクトルを有する太陽エネルギーをできるかぎり効率的に利用するために、異なる禁制帯を有する複数種類の光吸収材料からなることができるが、しかし、必ずしも必須ではない。光電変換素子中の光吸収材料としての存在態様の違いにも依存するからである。例えば上記のように、光電変換材料分子は、隣接する材料分子に、共鳴によって、吸収エネルギーを伝播することができるが、共鳴は構造的に同系統の分子間では生じ易く、また、隣接する分子間が凝集体からなる電荷キャリアの易動性は、その粒子の凝集状態にもよるからである。よく知られているようにすべての凝集は、例外なく発熱(表面エネルギーの放出又はエンタルピーの減少)を伴う安定化課程であるので、活性状態からどの程度の少ないエネルギー状態低下で留まったものであるかも問題となる。しかし、光電変換層の塗工液調製時における溶剤の所謂「溶解度パラメータ」が、凝集エネルギーの平方根値であるとしても、これに分散される光電変換材料分子の溶解熱(又は分散熱)と凝集熱は可逆的関係にないので、塗工液調製の過程から正確に類推することはできない。
(光電変換層)
光電変換層を形成する正孔輸送、電子輸送材料としては、一般的に、バルクへテロ接合型有機光電変換素子において用いられているものであれば特に限定されなく、2種類以上の材料を用いても構わない。
光電変換層中の正孔輸送及び電子輸送材料との間の組成比は、光電変換層と、正孔集電電極及び電子集電電極との接合界面近傍で逆転していることが好ましい。つまり、正孔集電電極近傍には光電変換層中に正孔輸送材料の組成比がより多く、電子集電電極近傍には光電変換層中に電子輸送材料の組成比がより多いことが望ましい。また光電変換層の膜厚方向に対する正孔輸送及び電子輸送材料との間での組成比の勾配は、緩やかなほうが好ましい。
バルクへテロ接合型光電変換素子における光電変換層の光電変換効率は、知られているように、発生した電荷移送キャリアの個数とそれらの層内での移動可能距離との双方に依存するが、キャリアのうち特に正孔の易動性及び発生個数に律則され勝ちであり、これを高めるためにも集電電極側にドリフトされたキャリアが、再結合相手であるキャリアと出会う機会を少なくすることが好ましい。
このような両電荷輸送材料の層の厚み方向に勾配ある組成比の光電変換素子を作製するには、本発明がこれに限定される訳ではないが例えば、光電変換材料の含有率が異なる塗工液を順次積層塗工することにより容易に達成することができ、その際、必要であれば、先の塗工層が指感乾燥程度に乾燥された状態で、先の塗工液の溶媒と同じ溶媒を用いた次の塗工液を塗工、積層することによって、両塗工層の接合面における組成比の著しい差異をなくすることができる。
前記正孔輸送材料としては、電子供与性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、ポリフェニレン及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、ポリアルキルチオフェン及びその誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、有機金属ポリマーなどを挙げることができる。中でも正孔の輸送能力が高く、光の吸収波長領域が広い材料であることが望ましい。
前記電子輸送材料としては、電子受容性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、CN−ポリ(フェニレン−ビニレン)、MEH−CN−PPV、−CN基または−CF3基含有ポリマー、それらの−CF3置換ポリマー、ポリ(フルオレン)誘導体、C60誘導体、カーボンナノチューブ、ペリレン誘導体、多環キノン、キナクドリンなどの材料を挙げることができる。中でも電子の輸送能力が高く、光の吸収波長領域が広い材料であることが望ましい。
光電変換層の厚さは、0.1nm〜10000nmの範囲内、その中でも5nm〜500nmの範囲内が好ましい。
膜厚が前記範囲よりも厚い場合には、光電変換層の膜抵抗が高くなる可能性があり、一方、膜厚が前記範囲より薄い場合には、充分な光吸収ができなく、また正孔集電電極と電子集電電極の間で短絡が生じる可能性が高くなるためである。
(正孔集電電極)
本発明に用いられる正孔集電電極としては、可視光に対して正孔集電な導電性物質であれば特に限定されるものではなく、通常の光電変換素子、あるいは液晶パネルなどに用いられる公知のものを使用できる。例えばインジウム・スズ酸化物(以下、ITOと称す)、フッ素ドープ酸化スズ(以下、FTOと称す)、アンチモンドープ酸化スズ(以下、ATOと称す)等が挙げられ、これらが単独あるいは複数積層されていてもよい。
正孔集電電極の厚さは5nm〜100μmが好ましく50nm〜10μmが更に好ましい。また正孔集電電極は一定の硬性を維持するため、可視光に透明な材質からなる基板上に設けることが好ましく、例えば、ガラス、透明プラスチック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体などが挙げられる。
正孔集電電極と基板が一体となっている公知のものを用いることもでき、例えば、FTOコートガラス、ITOコートガラス、酸化亜鉛:アルミニウムコートガラス、FTOコート透明プラスチック膜、ITOコート透明プラスチック膜などが挙げられる。また、酸化スズや酸化インジウムに原子価の異なる陽イオンもしくは陰イオンをドープした透明電極、メッシュ状、ストライプ状など光が透過できる構造にした金属電極をガラス基板などに設けてもよい。これら単独あるいは2種類以上の混合、または積層しても構わない。
(電子集電電極)
本発明に用いられる電子集電電極としては、前記正孔集電電極と同様の材料を用いることができ、強度や密封性が充分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要ではない。
電子集電電極の具体例としては、白金、金、銀、銅、アルミニウムなどの金属、グラファイト、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブなどの炭素系化合物、ITO、FTOなどの導電性金属酸化物、ポリチオフェン、ポリアニリンなどの導電性高分子などが挙げられる。電子集電電極の膜厚には特に制限はなく、また単独あるいは2種類以上の材料を混合して用いても構わない。
(電子ブロッキング層)
本発明においては、例えば図2に示すように、前記光電変換層と前記正孔集電電極との間に電子ブロッキング層が形成されていてもよい。本発明において、電子ブロッキング層とは、前記光電変換層から前記正孔集電電極への正孔の取出しが容易に行われるように設けられる層である。これにより、光電変換層から第1電極層への正孔の取出し効率が高められるため、光電変換効率を向上させることが可能となる。このような電子ブロッキング層に用いられる材料としては、光電変換層から正孔集電電極電極への正孔の取出しを安定化させることが可能な材料であれば特に限定されない。
具体的には、ドープされたポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアセチレン、トリフェニルジアミン(TPD)等の導電性有機材料、またはテトラチオフルバレン、テトラメチルフェニレンジアミン等の正孔輸送性材料と、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン等の電子輸送性材料とからなる電荷移動錯体を形成する有機材料等を挙げることができる。
また、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化バナジウム(V2O5)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニッケル(NiO)などの金属酸化物や、Au、In、Ag、Pd等の金属等の薄膜も使用することができる。
さらに、金属等の薄膜は、単独で形成してもよく、前記の有機材料と組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、前記の中でも、ウェットプロセスが用いられる材料であるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等が好ましい。前記電子ブロッキング層の膜厚としては、前記有機材料を用いた場合は、10〜200nmの範囲内であることが好ましく、前記金属薄膜である場合は、0.1〜5nmの範囲内であることが好ましい。
(正孔ブロッキング層)
本発明においては、例えば図2に示すように、前記光電変換層と前記電子集電電極との間に正孔ブロッキング層が形成されていてもよい。本発明において、正孔ブロッキング層とは、前記光電変換層から前記電子集電電極への電子の取出しが容易に行われるように設けられる層である。これにより、光電変換層から電子集電電極への電子取出し効率が高められるため、光電変換効率を向上させることが可能となる。このような正孔ブロッキング層に用いられる材料としては、光電変換層から電子集電電極への電子の取出しを安定化させる材料であれば特に限定されない。
具体的には、ドープされたポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアセチレン、トリフェニルジアミン(TPD)等の導電性有機化合物、またはテトラチオフルバレン、テトラメチルフェニレンジアミン等の正孔輸送性化合物と、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン等の電子輸送性材料とからなる電荷移動錯体を形成する有機材料等を挙げることができる。また、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属との金属ドープ層が挙げられる。
好適な材料としては、BCP(バソクプロイン)または、Bphen(バソフェナントロン)と、Li、Cs、Ba、Srなどの金属ドープ層が挙げられる。
次に実施例を示すが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
有機光電変換素子は、電子集電電極及び正孔集電電極電極を有するそれぞれの基板(上基板及び下基板)を用い、下基板上には、電子ブロッキング層、その上にある組成比の正孔輸送及び電子輸送材料の光電変換層を順次形成した。上基板上には、下基板とは異なる組成比の正孔輸送及び電子輸送材料の光電変換層を形成し、最後に上基板と下基板とを加熱した状態で圧着し、正孔輸送及び電子輸送材料との間で組成比が勾配を有している有機光電変換素子を作製した。以下に詳細を示す。
(下基板及び正孔集電電極電極)
下基板には正孔集電電極電極としてITOが既にパターニングされているガラス基板を用いた(本実施例では、膜厚220nmのITO(面抵抗10Ω/cm)がパターニングされている基板を使用した)。次いで、前記基板を基板洗浄液、超純水、IPAをそれぞれ用いて超音波洗浄した。
(電子ブロッキング層の形成)
前記下基板を5分UVオゾン処理した後、ITO電極層の上に電子ブロッキング層形成用塗工液PEDOT:PSSの水分散体をIPAに重量比1:3で調整した溶液をスピンコート法にて塗布し、140℃で10分間乾燥させて電子ブロッキング層(膜厚:20nm)を形成した。
(下基板用光電変換層の形成)
ポリアルキルチオフェン(P3HT:ポリ3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル(レジオレギュラー))と、フラーレン誘導体(PCBM:1−(3−メトキシカルボニル)プロピル−1−フェニル(6、6)−C60)のモノクロロベンゼン(脱水)溶液(P3HTとPCBMの配合比は質量比で1:1)を下基板用光電変換層形成塗工液として調製した。前記下基板用光電変換層形成塗工液を前記電子ブロッキング層上にスピンコート法にて塗布し、100℃で5分間乾燥させて光電変換層(膜厚:100nm)を形成した。
(上基板及び電子集電電極)
上基板にはガラス基板を用いた次いで、前記上基板を基板洗浄液、超純水、IPAをそれぞれ用いて超音波洗浄した。その後前記上基板上に、電子集電電極としてAlを真空蒸着法により50nm成膜した。成膜は1×10−3Pa以下の圧力下で行った。
(上基板用光電変換層の形成)
ポリアルキルチオフェン(P3HT:ポリ3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル(レジオレギュラー))と、フラーレン誘導体(PCBM:1−(3−メトキシカルボニル)プロピル−1−フェニル(6、6)−C60)の1.5重量%のモノクロロベンゼン(脱水)溶液(P3HTとPCBMの配合比は質量比で2:1)を上基板用光電変換層形成塗工液として調製した。
前記上基板用光電変換層形成塗工液を前記上基板上にスピンコート法にて塗布し、100℃で5分間乾燥させて光電変換層(膜厚:100nm)を形成した。
(上基板と下基板との加熱圧着方法)
前記の方法で作製した上基板と下基板を重ね、熱プレス機を用いて温度150℃、加重量2MPaの状態を1分間保つことでバルクヘテロ接合型の有機光電変換素子を作製した。
(電流−電圧特性)
前記有機薄膜太陽電池素子のITO電極層側からAM1.5、100mW/cmの擬似太陽光を照射してリニアスイープボルタンメトリー(LSV)測定を行い、有機薄膜太陽電池素子の光電流−電圧プロフィールを得た。
[実施例2]
P3HTとPCBMのクロロベンゼン溶液について、上基板用光電変換層塗工液はP3HTとPCBMの配合比を質量比で1:2とし、下基板用光電変換層塗工液はP3HTとPCBMの配合比を質量比で1:1とした以外は実施例1と同様の手順で有機光電変換素子を作製した。
[実施例3]
P3HTとPCBMのクロロベンゼン溶液について、上基板用光電変換層塗工液はP3HTとPCBMの配合比を質量比で1:2とし、下基板用光電変換層塗工液はP3HTとPCBMの配合比を質量比で2:1とした以外は実施例1と同様の手順で有機光電変換素子を作製した。
[実施例4]
P3HTとPCBMのクロロベンゼン溶液について、上基板用光電変換層塗工液はP3HTとPCBMの配合比を質量比で1:2とし、下基板用光電変換層塗工液はP3HTとPCBMの配合比を質量比で4:1とした以外は実施例1と同様の手順で有機光電変換素子を作製した。
[実施例5]
P3HTとPCBMのクロロベンゼン溶液について、上基板用光電変換層塗工液はP3HTとPCBMの配合比を質量比で1:4とし、下基板用光電変換層塗工液はP3HTとPCBMの配合比を質量比で2:1とした以外は実施例1と同様の手順で有機光電変換素子を作製した。
[比較例1]
P3HTとPCBMのクロロベンゼン溶液について、上基板用光電変換層塗工液はP3HTとPCBMの配合比を質量比で1:1とし、下基板用光電変換層塗工液はP3HTとPCBMの配合比を質量比で1:1とした以外は実施例1と同様の手順で有機光電変換素子を作製した。
Figure 2014017321
表1の結果のように、勾配を設けた実施例1から5と勾配を設けていない比較例1の有機光電変換素子では、形状因子に差が見られた。これは勾配を設けることで、光電変換層内での電荷の再結合が抑制されていると考えられる。以上の理由から結果として光電変換効率が増大した有機光電変換素子を作製することができた。
特開2009−158734号公報
N. S. Saricifitci, L. Smilowitz, A. J. Heeger and F. Wudle, Science, 258, 1474-1476 (1992)

Claims (11)

  1. 正孔集電電極及び電子集電電極の間に少なくとも1種類以上の正孔輸送材料及び電子輸送材料からなる光電変換層を有する光電変換素子であって、前記光電変換層は、その膜厚方向に対して前記正孔輸送及び電子輸送材料の組成比が勾配を有してなることを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記電子集電電極、または前記正孔集電電極近傍のどちらか一方には前記光電変換層中の電子輸送材料、または正孔輸送材料の組成比がより多いことを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記電子集電電極近傍には前記光電変換層中の電子輸送材料の組成比がより多く、前記正孔集電電極近傍には前記光電変換層中の正孔輸送材料の組成比がより多いことを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. 前記光電変換層に有機材料を用いた請求項1乃至3のいずれかに記載の光電変換素子。
  5. 前記光電変換層と、前記正孔集電電極及び電子集電電極との間の少なくとも一方に、電荷ブロッキング層を有してなる請求項1乃至4のいずれかに記載の光電変換素子。
  6. 前記正孔集電電極と前記光電変換層との間に電子ブロッキング層を有し、かつ前記電子集電電極と前記光電変換層との間に正孔ブロッキング層を有してなる請求項1乃至5のいずれかに記載の光電変換素子。
  7. 前記光電変換層が異なる分子量形態を有する有機材料からなる請求項1乃至6のいずれかに記載の光電変換素子。
  8. 前記光電変換層が同様の分子量形態を有する有機材料からなる請求項1乃至7のいずれかに記載の光電変換素子。
  9. 電子輸送材料がフラーレン誘導体からなる請求項1乃至8のいずれかに記載の光電変換素子。
  10. 正孔輸送材料がポリチオフェン誘導体からなる請求項1乃至9のいずれかに記載の光電変換素子。
  11. 前記光電変換層がウェットプロセスにより形成されたものである請求項1乃至10のいずれかに記載の光電変換素子。
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