JP2012089617A - 有機薄膜太陽電池素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】短絡電流密度を今まで以上に高めた有機薄膜太陽電池素子を提供する。
【解決手段】基板1上に、受光面電極2と、光電変換層3と、裏面電極4と、を備え、光電変換層3は、アニオン種をドーピングしたp型有機半導体材料、及びn型有機半導体材料を主要構成材料とし、前記アニオン種は対イオン(カチオン種及びアニオン種)からなる塩から提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機半導体材料からなる光電変換層を有する有機薄膜太陽電池素子に関するものである。
有機薄膜太陽電池素子は、p,n型有機半導体材料から成る光電変換層が受光面電極と裏面電極に挟み込まれた多層構造を基本的な構成としており、従来のシリコンや化合物半導体太陽電池素子と比較して、簡便な製法と低い設備コストで製造することができることから低コストで大面積化が可能であるという利点を持つ。これまでに高いエネルギー変換効率の実現に向けて、ショットキー接合構造、ヘテロ接合構造、バルクへテロ接合構造、超階層ナノ構造などが検討されている。
しかし、今までの有機薄膜太陽電池素子では、式(A)から算出されるエネルギー変換効率ηが低いことから実用に供することは困難であった。
Figure 2012089617

(式中、ηはエネルギー変換効率、VOCは開放端電圧、JSCは短絡電流密度、FFは形状因子、Pは光エネルギーであり通常100mW/cmで規格化される。)
すなわち、エネルギー変換効率を決定するパラメータである開放端電圧VOC、形状因子FFは、従来のシリコンや化合物半導体太陽電池素子と同等またはそれに準ずる値を達成しているにも関わらず、短絡電流密度JSCが非常に低いため、結果としてエネルギー変換効率ηも低い値に止まっているという問題があった。
この短絡電流密度を向上させるための手法として、一般的に、光電変換層に用いられるp,n型有機半導体材料自体の励起子拡散長を伸ばすこと、光吸収波長領域を拡大することなどが提案されている。
非特許文献1には、前記励起子拡散長の延伸と光吸収波長領域の拡大ために、種々のp,n型有機半導体材料を比較検討し、エネルギー変換効率を向上させた報告例を総括している。しかしながら太陽電池素子に使うことができる既存の材料の組合せを変えただけでは短絡電流密度は大きく変わっていない。
また特許文献1には、光電変換層に、重合基を有する特定のイオン液体を固体化してなる導電性化合物と、p、n有機半導体とを含有してなる有機薄膜太陽電池素子について示されている。前記特許文献中では、イオン液体がp,n型有機半導体材料の分散性と、成膜後の光電変換層の膜平滑性を良好にする構成が開示されている。
しかしながら、特許文献1記載の発明では、光電変換層に、重合基を有する特定のイオン液体を固体化してなる導電性化合物と、p、n有機半導体とを含有させているため、発生した電荷は主に導電性化合物である固体化したイオン液体中を輸送されると考えられる。この場合、一般的なバルクへテロ接合構造を有する太陽電池素子と比較して、電荷分離した正孔及び電子が、導電性化合物である固体化したイオン液体中で再結合し、電極に到達するまでに失活してしまい、短絡電流密度が低いという根本的な問題は依然として解消されない。また重合基をもつ特定のイオン液体を重合させるために光照射または加熱プロセスが余計に必要となり、有機薄膜太陽電池素子の利点である低コスト化を実現は難しい。
本発明は、以上の従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、電荷分離した正孔及び電子が、失活することなく電極に到達し、短絡電流密度を今まで以上に高めた有機薄膜太陽電池素子を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する本発明は、以下の通りである。なお、カッコ内に本発明を実施するための形態において対応する部位及び符号等を示す。
〔1〕 基板(基板1)上に、受光面電極(受光面電極2)と、光電変換層(光電変換層3)と、裏面電極(裏面電極4)と、を備え、前記光電変換層は、アニオン種によってドーピングされたp型有機半導体材料、及びn型有機半導体材料を主要構成材料とし、前記アニオン種は対イオン(カチオン種及びアニオン種)からなる塩から提供されることを特徴とする有機薄膜太陽電池素子(図1,図2,図5)。
〔2〕 前記光電変換層は、アニオン種によってドーピングされたp型有機半導体材料及びn型有機半導体材料からなる単層であることを特徴とする前記〔1〕に記載の有機薄膜太陽電池素子。
〔3〕 前記光電変換層は、アニオン種によってドーピングされたp型有機半導体材料からなる層と、n型有機半導体材料からなる層とが積層されてなることを特徴とする前記〔1〕に記載の有機薄膜太陽電池素子。
〔4〕 前記アニオン種が前記p型有機半導体材料に対して電子アクセプタとして機能することを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の有機薄膜太陽電池素子(図4)。
〔5〕 前記アニオン種は、下記の一般式(1)で表される塩であることを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の有機薄膜太陽電池素子。
・B ・・・(1)
(ここで、Bは、Cl-、Br-、I-、PF -、BF -、CFSO -、(SOCF)-のいずれかのアニオン種を表す。)
本発明によれば、p型有機半導体のアクセプタドーパントとして機能するアニオン種をドーピングしたp型有機半導体材料と、n型有機半導体からなる光電変換層の膜抵抗が低減されるためにp,n型有機半導体の接合界面で電荷分離した正孔が電極へ移動する間の失活が抑制できる。また発生した電荷は主にp及びn型有機半導体中を輸送されるため、一般的なバルクへテロ接合構造を有する太陽電池素子と比較して、電荷の分離場であるp,n接合界面は変わらず、有機薄膜太陽電池素子の短絡電流密度を高めることができる。
本発明に係る有機薄膜太陽電池素子の構成例1を示す断面図である。 本発明に係る有機薄膜太陽電池素子の構成例2を示す断面図である。 実施例1で用いた横型2端子素子の構成を示す断面図である。 実施例1の電流−電圧特性測定結果を示す図である。 本発明に係る有機薄膜太陽電池素子の構成例3を示す断面図である。
以下に、本発明に係る有機薄膜太陽電池素子の構成について説明する。
図1は、本発明に係る有機薄膜太陽電池素子の構成例を示す断面図である。
図1に示す態様においては、本発明の有機薄膜太陽電池素子は、基板(1)上に受光面電極(2)が設けられ、正孔及び電子輸送能を持つp型及びn型有機半導体材料を主要構成要素とし、p型有機半導体に対して電子アクセプタとして機能するアニオン種を構成イオンとして有する対イオン(カチオン種及びアニオン種)からなる塩を含有する光電変換層(3)、裏面電極(4)が順次積層された構成をとっている。
ここで、各層の構成は次のとおりである。
[光電変換層]
光電変換層(3)を形成するp,n型有機半導体材料としては、一般的に、バルクへテロ接合型有機薄膜太陽電池において用いられているものであれば特に限定されないが、p,n型の有機半導体材料の両方を均一に分散させたものが挙げられ、2種類以上の材料を混合しても構わない。また、p,n型有機半導体材料の混合比は、用いる材料により最適な混合比に適宜調整する。
前記p型有機半導体材料としては、電子供与性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、ポリフェニレン及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、ポリアルキルチオフェン及びその誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、有機金属ポリマーなどを挙げることができる。中でも正孔の移動度が高く、光の吸収波長領域が広い材料であることが望ましい。
また、前記n型有機半導体材料としては、電子受容性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、CN−ポリ(フェニレン−ビニレン)、MEH−CN−PPV、−CN基または−CF基含有ポリマー、それらの−CF置換ポリマー、ポリ(フルオレン)誘導体、C60フラーレン誘導体、カーボンナノチューブ、ペリレン誘導体、多環キノン、キナクドリンなどの材料を挙げることができる。中でも電子の移動度が高く、光の吸収波長領域が広い材料であることが望ましい。
光電変換層(3)の厚さは、0.1nm〜10000nmの範囲内、その中でも5nm〜500nmの範囲内が好ましい。光電変換層(3)の膜厚が上記範囲よりも厚い場合には、光電変換層(3)の膜抵抗が高くなる可能性があり、一方、膜厚が上記範囲より薄い場合には、受光面電極(2)と裏面電極(4)の間で短絡が生じる可能性が高くなるためである。
(塩)
上記光電変換層(3)に含有させる塩としては、下記一般式(1)で示されるようなカチオン種とアニオン種とに解離でき、かつアニオン種がp型有機半導体材料に対してアクセプタドーパントとして機能する材料であれば特に限定されない。また2種類以上の塩を混合しても構わない。また、上記有機半導体材料を溶解できる溶媒に対して相溶性が高い材料がより好ましい。
・B ・・・(1)
(ここで、Aはカチオン種、Bはアニオン種を表す。)
アニオン種としては、Cl-、Br-、I-、PF -、BF -、CFSO -、(SOCF)-を有する材料などが挙げられる。
またカチオン種としてはアンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオン、イミダゾールカチオンなどが挙げられる。
[受光面電極]
本発明に用いられる受光面電極(2)としては、可視光に対して透明な導電性物質であれば特に限定されるものではなく、通常の太陽電池、あるいは液晶パネルなどに用いられる公知のものを使用できる。例えば、インジウム・スズ酸化物(以下、ITOと称す)、フッ素ドープ酸化スズ(以下、FTOと称す)、アンチモンドープ酸化スズ(以下、ATOと称す)等が挙げられ、これらが単独あるいは複数積層されていてもよい。
受光面電極(2)の厚さは、5nm〜100μmが好ましく、50nm〜10μmが更に好ましい。
また、受光面電極(2)は一定の硬性を維持するため、可視光に透明な材質からなる基板(1)上に設けることが好ましく、このような基板(1)としては例えば、ガラス、透明プラスチック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体などが挙げられる。
また、受光面電極(2)と基板(1)が一体となっている公知のものを用いることもでき、例えば、FTOコートガラス、ITOコートガラス、酸化亜鉛:アルミニウムコートガラス、FTOコート透明プラスチック膜、ITOコート透明プラスチック膜などが挙げられる。
また、受光面電極(2)として、酸化スズや酸化インジウムに原子価の異なる陽イオンもしくは陰イオンをドープした透明電極、メッシュ状、ストライプ状など光が透過できる構造にした金属電極をガラス基板などに設けてもよい。さらにこれら単独あるいは2種類以上の混合、または積層しても構わない。
[裏面電極]
本発明に用いられる裏面電極(4)としては、前述の受光面電極(2)と同様の材料を用いることができ、強度や密封性が充分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要ではない。裏面電極(4)の具体例としては、白金、金、銀、銅、アルミニウムなどの金属、グラファイト、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブなどの炭素系化合物、ITO、FTOなどの導電性金属酸化物、ポリチオフェン、ポリアニリンなどの導電性高分子などが挙げられる。裏面電極(4)の膜厚には特に制限はなく、また単独あるいは2種類以上の材料を混合して用いても構わない。
[有機正孔輸送層]
本発明においては、例えば図2に示すように、光電変換層(3)と受光面電極(2)との間に有機正孔輸送層(正孔取出し層ともいう)(5)が形成されていてもよい。
本発明において、有機正孔輸送層(5)とは、光電変換層(3)から受光面電極(2)への正孔の取出しが容易に行われるように設けられる層である。これにより、光電変換層(3)から受光面電極(2)への正孔の取出し効率が高められるため、エネルギー変換効率を向上させることが可能となる。
このような有機正孔輸送層(5)に用いられる材料としては、光電変換層(3)から受光面電極(2)への正孔の取出しを安定化させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、ドープされたポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアセチレン、トリフェニルジアミン(TPD)等の導電性有機化合物、またはテトラチオフルバレン、テトラメチルフェニレンジアミン等の電子供与性化合物と、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン等の電子受容性化合物とからなる電荷移動錯体を形成する有機材料等を挙げることができる。また、Au、In、Ag、Pd等の金属等の薄膜も使用することができる。さらに、金属等の薄膜は、単独で形成してもよく、上記の有機材料と組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、上記の中でも、特にポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、トリフェニルジアミン(TPD)等が好ましい。
有機正孔輸送層(5)の膜厚としては、前述した有機材料を用いた場合は、10〜200nmの範囲内であることが好ましく、前述した金属薄膜である場合は、0.1〜5nmの範囲内であることが好ましい。
[有機電子輸送層]
本発明においては、例えば図2に示すように、光電変換層(3)と裏面電極(4)との間に有機電子輸送層(電子取出し層ともいう)(6)が形成されていてもよい。
本発明において、有機電子輸送層(6)とは、光電変換層(3)から裏面電極(4)への電子の取出しが容易に行われるように設けられる層である。これにより、光電変換層(3)から裏面電極(4)への電子取出し効率が高められるため、エネルギー変換効率を向上させることが可能となる。
このような有機電子輸送層(6)に用いられる材料としては、光電変換層(3)から裏面電極(4)への電子の取出しを安定化させる材料であれば特に限定されない。具体的には、ドープされたポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアセチレン、トリフェニルジアミン(TPD)等の導電性有機化合物、またはテトラチオフルバレン、テトラメチルフェニレンジアミン等の電子供与性化合物と、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン等の電子受容性化合物とからなる電荷移動錯体を形成する有機材料等を挙げることができる。また、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属との金属ドープ層が挙げられる。好適な材料としては、BCP(バソクプロイン)または、Bphen(バソフェナントロン)と、Li、Cs、Ba、Srなどの金属ドープ層が挙げられる。
本発明の有機薄膜太陽電池素子は、以上のように、有機半導体材料に塩を含む塩を含有させることにより、塩を構成するアニオン種がp型有機半導体材料のアクセプタドーパントとして機能し、p,n型有機半導体材料からなる光電変換層(3)の膜抵抗が低減され、p,n型有機半導体の接合界面で電荷分離した正孔が電極へ移動する間の失活が抑制されることから、有機薄膜太陽電池素子の短絡電流密度を高めることが可能となる。
[有機薄膜太陽電池素子の製造方法]
本発明の有機薄膜太陽電池素子の製造方法としては、基板(1)の上に受光面電極(2)を形成する受光面電極形成工程と、該受光面電極(2)の上に光電変換層(3)を形成する光電変換層形成工程と、該光電変換層(3)の上に受光面電極(2)と対向する電極である裏面電極(4)を形成する裏面電極形成工程と、を有する。
(受光面電極形成工程)
基板(1)上の全面にまたは所定のパターン形状に、受光面電極(2)を形成する。その形成方法としては、一般的な電極の形成方法を利用することができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などのPVD法やCVD法などの乾式プロセスや、例えばITO微粒子を含有する塗工液を塗布する湿式プロセスを用いればよい。
(光電変換層形成工程)
光電変換層形成工程としては、p型有機半導体材料及びn型有機半導体材料が所定の溶媒に溶解または分散されている溶液に、所定の塩をドーパント剤として添加して光電変換層形成用塗工液を調製し、ついで該光電変換層形成用塗工液を受光面電極(2)上に塗布し、乾燥することにより光電変換層(3)を形成することを行う。これにより、光照射や過度の加熱などの特別なプロセスが必要とはならないので、短絡電流密度を高めつつ低コスト化を図ることが可能となる。
なお、本発明で用いられる光電変換層形成用塗工液において、p型有機半導体材料と塩の混合比としては、用いる材料の組み合わせにより最適な混合比に調整することが好ましい。例えば、p型有機半導体材料に含まれる単量体1個に対して、塩を0.01〜50%添加することが好ましい。さらに好ましくは0.1〜25%添加することが好ましい。またここでは、塩をドーパント剤として添加するため、該塩の重合させるための重合剤は添加しない。
また、光電変換層形成用塗工液の塗布方法としては、所定の膜厚に均一に形成する方法であればとくに限定されない。例えば、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、ビードコート法、スプレーコート法などを用いるとよく、スピンコート法やダイコート法が目標膜厚に精度よく光電変換層を形成することができるためより好ましい。
また、本工程における乾燥とは、光電変換層形成用塗工液に含まれる溶媒を揮散させて除去することにより光電変換層(3)とするためのものであり、従来の光電変換層を形成するために行われている処理でよい。すなわち、自然乾燥、あるいは必要に応じて加熱乾燥を行う。
(裏面電極形成工程)
光電変換層(3)上の全面にまたは所定のパターン形状に、裏面電極(4)を形成する。その形成方法としては、一般的な電極の形成方法を利用することができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などのPVD法やCVD法などの乾式プロセスや、例えばAgコロイドを含有する金属ペースト等を塗布する湿式プロセスを用いればよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施の形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図3に示す横型2端子素子で検証実験を行った。
(実施例1−1)
(1)基板(1)
基板(1)には、無アルカリガラス基板を用いた(本実施例では、日本電気硝子(株)製のガラス基板OA−10(0.7t×15×25mm))。次いで、上記基板(1)を基板洗浄液、超純水、イソプロピルアルコール(IPA)をそれぞれ用いて超音波洗浄した。
(2)p型有機半導体層(3p)の形成
下記構造式(a)に示す、p型特性を示すPPV誘導体(トリアリールアミン構造を含むアリーレンビニレン系π共役ポリマー(PTAPV))を1.0重量%含有させたモノクロロベンゼン(脱水)溶液に塩(HMIm−TFSI:1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド)をPTAPVに含まれる単量体1個に対して、2,7.5,15%それぞれ含有させ、p型有機半導体層形成用塗工液として調製した。
Figure 2012089617

(ここで、R1,R2は、ケトン基又はエーテル基を有する有機基である。)
上記p型有機半導体層形成用塗工液を上記ガラス基板上にそれぞれスピンコート法にて塗布し、100℃で5分間乾燥させてp型有機半導体層(膜厚:50nm)を形成した。
(3)トップ電極(4’)の形成
上記含有塩濃度の異なる3種類の基板に対して、真空蒸着装置に電極用シャドウマスクを設置し、真空チャンバ内をロータリーポンプ並びにターボ分子ポンプを用いて真空引きした後、タングステンボートを抵抗加熱し、トップ電極(4’)として金を100nm成膜した。成膜速度は1〜2Å/sとし、成膜は4×10−4Pa以下の圧力下で行った。
以上の工程を経て、図3に示すようなチャネル長50μm、チャネル幅2mmの横型2端子素子のサンプルを作製した。
(電流−電圧特性評価)
上記横型2端子素子のサンプルについて、N雰囲気で満たされたグローブボックス(O濃度1ppm以下、HO濃度1ppm以下)中において室温(ca.25℃)、遮光条件下で、半導体パラメータアナライザ4145B(HP社製)を用い測定を行い、電流−電圧プロフィールを得た。
(実施例1−2)
実施例1−1で調整したp型有機半導体層形成用塗工液において、塩(HMIm−TFSI)に替えて塩(HMIm−SOCF:1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホン酸)をPTAPVに含まれる単量体1個に対して、2,7.5,15%それぞれ含有させた以外は、実施例1−1と同様にして横型2端子素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。
(実施例1−3)
実施例1−1で調整したp型有機半導体層形成用塗工液において、塩(HMIm−TFSI)に替えて塩(HMIm−PF:1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム六フッ化リン酸)をPTAPVに含まれる単量体1個に対して、2,7.5,15%それぞれ含有させた以外は、実施例1−1と同様にして横型2端子素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。
(比較例1−1)
実施例1−1で調整したp型有機半導体層形成用塗工液において、塩が含有されていないものとし、それ以外は実施例1−1と同様にして横型2端子素子を作製し電流−電圧特性を測定した。
図4に、実施例1の電流−電圧特性測定結果を示す。ここでは、横軸にp型有機半導体であるPTAPVに対する3種類の塩HMIm−TFSI、HMIm−SOCF、HMIm−PFの含有量(%)、縦軸にそのときの電界強度10(V/cm)での電流密度(A/cm)としている。その結果、塩の添加により、電流密度の増加が認められた。また、塩のアニオン種により差はあるが、塩含有量の増加とともに電流密度が増大しており、p型有機半導体層の抵抗が低減されていることが分かった。
[実施例2]
実施例1より、p型有機半導体に塩を含有させることで有機半導体層を低抵抗化できることが確認できた。そこで次に有機薄膜太陽電池素子の光電変換層に塩を含有させた検証実験を行った。
(実施例2−1)
(1)基板(1)及び受光面電極(2)
基板(1)には受光面電極(2)であるITO層(陽極)が既にパターニングされているガラス基板を用いた(本実施例では、テクノプリント(株)製のITOパターン付ガラス基板OA−10(0.7t×40×40mm)、膜厚220nmのITO(面抵抗10Ω/cm)がパターニングされている基板を使用した)。次いで、上記基板を基板洗浄液、超純水、IPAをそれぞれ用いて超音波洗浄した。
(2)有機正孔輸送層(5)の形成
上記基板を5分間のUVオゾン処理した後、ITO電極層(受光面電極(2))の上に有機正孔輸送層形成用塗工液PEDOT:PSSの水分散体(H.C.Starck社製CleviosP VP.Al4083)をIPAに重量比1:3で調整した溶液をスピンコート法(3000rpm,30s)にて塗布し、140℃で10分間乾燥させて有機正孔輸送層(5)(膜厚:20nm)を形成した。
(3)光電変換層(3)の形成
ポリアルキルチオフェン(P3HT:ポリ3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル(レジオレギュラー))と、フラーレン誘導体(PCBM:1−(3−メトキシカルボニル)プロピル−1−フェニル(6、6)−C60)を1.5重量%含有させたモノクロロベンゼン(脱水)溶液(P3HTとPCBMの配合比は質量比で3:2)に、塩(HMIm−TFSI:1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド)をP3HT含まれる単量体1個に対して、1.1%含有させた光電変換層形成用塗工液として調製した。
上記光電変換層形成用塗工液を上記有機正孔輸送層(5)上にスピンコート法にて塗布し、100℃で5分間乾燥させて光電変換層(3)(膜厚:100nm)を形成した。
(4)裏面電極(4)の形成
真空蒸着装置に負極用シャドウマスクを設置し、真空チャンバ内をロータリーポンプ並びにターボ分子ポンプを用いて真空引きした後、タングステンボートを抵抗加熱し、裏面電極(陰極)(4)としてアルミニウムを50nm成膜した。成膜速度は1〜2Å/sとし、成膜は4×10−4Pa以下の圧力下で行った。
以上の工程を経て、図5に示す、3mm×3mm(0.09cm)の光電変換面積をもつバルクヘテロ接合型の有機薄膜太陽電池素子を作製した。
(電流−電圧特性評価)
上記有機薄膜太陽電池素子のITO電極層側からAM1.5、100mW/cmの擬似太陽光(山下電装、YSS−E40)を照射してリニアスイープボルタンメトリー(LSV)測定(Hokuto Denko、HZ−5000)を行い、有機薄膜太陽電池素子の光電流−電圧プロフィールを得た。
前記プロフィールから、作製した有機薄膜太陽電池素子は、6素子の平均値でJsc=7.99mA/cmという特性を示した。
(比較例2−1)
実施例2−1で調整した光電変換層形成用塗工液において、塩(HMIm−TFSI:1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド)が含有されないものとし、それ以外は実施例1と同様にして有機薄膜太陽電池素子を作製し光電変換特性を測定した。その結果、6素子の平均値でJSC=7.70mA/cmという特性を示した。
実施例2−1、比較例2−1より、光電変換層(3)に塩を含有させることで光電変換層(3)の抵抗が低減され、その結果として短絡電流密度が向上することがわかった。
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
例えば、本発明における光電変換層(3)は、p型有機半導体材料を含み電子供与体として機能する層と、n型有機半導体材料を含み電子受容体として機能する層とが積層され、2つの層の界面でpn接合が形成されてなるものでもよい。この場合、少なくともp型有機半導体材料からなる層に前述した塩をドーパント剤として含むようにする。なお、n型有機半導体材料からなる層にも塩をドーパント剤として含むようにしてもよい。
1 基板
2 受光面電極
3 光電変換層
3p p型有機半導体層
4 裏面電極
4’ トップ電極
5 有機正孔輸送層
6 有機電子輸送層
特開2006−245074号公報 T. Kietzke, Advance in OptoElectronics, 2007,40285, (2007).

Claims (5)

  1. 基板上に、受光面電極と、光電変換層と、裏面電極と、を備え、
    前記光電変換層は、アニオン種によってドーピングされたp型有機半導体材料と、n型有機半導体材料を主要構成材料とし、
    前記アニオン種は対イオンからなる塩から提供されることを特徴とする有機薄膜太陽電池素子。
  2. 前記光電変換層は、アニオン種によってドーピングされたp型有機半導体材料及びn型有機半導体材料からなる単層であることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜太陽電池素子。
  3. 前記光電変換層は、アニオン種によってドーピングされたp型有機半導体材料からなる層と、n型有機半導体材料からなる層とが積層されてなることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜太陽電池素子。
  4. 前記アニオン種が前記p型有機半導体材料に対して電子アクセプタとして機能することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機薄膜太陽電池素子。
  5. 前記アニオン種は、下記の一般式(1)で表される塩であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機薄膜太陽電池素子。
    ・B ・・・(1)
    (ここで、Bは、Cl-、Br-、I-、PF -、BF -、CFSO -、(SOCF)-のいずれかのアニオン種を表す。)
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JP2014017411A (ja) * 2012-07-10 2014-01-30 U-Tec Corp 光起電力素子、及びその製造方法
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