JP2014016115A - ランキンサイクル装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】膨張機やポンプの信頼性を確保することができるとともに、膨張機において出力される機械的エネルギーを極力大きくすることができるランキンサイクル装置を提供すること。
【解決手段】ランキンサイクル装置10は、膨張機20の出口からポンプ40の入口までの作動流体の圧力である低圧側圧力を検出する第1圧力センサ72を備える。また、作動流体回路11において、一端が第1通路21に接続されるとともに、他端が第3通路23に接続されるバイパス通路71を配設し、バイパス通路71に、バイパス通路71と熱交換器50とへ流れる作動流体の流量を変更する流量調整バルブ71aを設けた。そして、制御部75は、第1通路21の作動流体の第3通路23へのバイパス流量を変化させることによって高圧側圧力を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ランキンサイクル装置に関する。
ランキンサイクル装置は、作動流体を圧送するポンプと、ポンプにより圧送された作動流体を排熱源からの流体と熱交換させる熱交換器と、熱交換器で熱交換された作動流体を膨張させて機械的エネルギーを出力する膨張機と、膨張機で膨張された作動流体を凝縮させる凝縮器と、を有している。そして、ポンプ、熱交換器、膨張機、及び凝縮器が順次接続されて作動流体が循環する作動流体回路が形成されている。
ところで、作動流体回路において、ポンプの出口から膨張機の入口までの作動流体の高圧側の圧力(蒸発圧力)と、膨張機の出口からポンプの入口までの作動流体の低圧側の圧力(凝縮圧力)との差が小さければ小さいほど、膨張機において、作動流体の有する熱エネルギーを回転エネルギー等の機械的エネルギーに有効に変換できなくなってしまう。その結果として、膨張機において、大きな機械的エネルギーを出力することができなくなってしまう。
そこで、特許文献1には、作動流体回路において高圧側となる作動流体の圧力と、作動流体回路において低圧側となる作動流体の圧力との差を検出する圧力差検出手段と、圧力差検出手段によって検出された圧力差が予め定められた所定圧力差を下回った時に、所定圧力差となるように圧力差を増加させる圧力差増加手段とを備えたものが開示されている。また、特許文献2には、作動流体回路において高圧側となる作動流体の圧力と、作動流体回路において低圧側となる作動流体の圧力との差を一定に保つように制御するものが開示されている。これらによれば、作動流体回路において高圧側となる作動流体の圧力と、作動流体回路において低圧側となる作動流体の圧力との差が小さくなり過ぎてしまうことが防止され、膨張機において、安定した機械的エネルギーを出力することが可能となる。
特開2007−255327号公報 特開2008−297961号公報
しかし、特許文献1において、例えば、膨張機で膨張された作動流体を凝縮器において外気で冷却(凝縮)する場合、外気の温度が低ければ低いほど、作動流体は冷却され易いため、作動流体の凝縮圧力が低くなる。すると、蒸発圧力と凝縮圧力との差が大きくなり過ぎて、膨張機やポンプの信頼性が低下してしまう虞がある。
また、特許文献2では、蒸発圧力と凝縮圧力との差が一定に保たれるように制御されている。このため、例えば、凝縮圧力が低くなると、膨張機やポンプの信頼性が保たれる範囲にあるにもかかわらず蒸発圧力が低くなってしまい、蒸発圧力と凝縮圧力との差を一定値よりも大きくすることができず、その結果、膨張機において出力される機械的エネルギーを極力大きくすることができなくなってしまう。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、膨張機やポンプの信頼性を確保することができるとともに、膨張機において出力される機械的エネルギーを極力大きくすることができるランキンサイクル装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、作動流体を圧送するポンプと、前記ポンプにより圧送された作動流体を排熱源からの流体と熱交換させる熱交換器と、前記熱交換器で熱交換された作動流体を膨張させて機械的エネルギーを出力する膨張機と、前記膨張機で膨張された作動流体を凝縮させる凝縮器と、を有し、前記ポンプ、前記熱交換器、前記膨張機、及び前記凝縮器が順次接続されて作動流体が循環する作動流体回路が形成されるランキンサイクル装置であって、前記膨張機の出口から前記ポンプの入口までの作動流体の圧力である低圧側圧力を検出する低圧側圧力検出手段と、前記ポンプの出口から前記膨張機の入口までの作動流体の圧力である高圧側圧力を制御する高圧側圧力制御手段と、を備え、前記高圧側圧力制御手段は、予め設定された前記高圧側圧力と前記低圧側圧力との差の差圧制御上限値を越えない範囲では、前記低圧側圧力検出手段により検出される低圧側圧力が低下しても前記高圧側圧力を保つように制御することを要旨とする。
ここで、「差圧制御上限値」とは、膨張機やポンプが差圧によって受ける荷重により機器の信頼性を損なわない高圧側圧力と低圧側圧力との差の上限値のことを言う。この発明によれば、例えば、低圧側圧力検出手段により検出される低圧側圧力が徐々に低くなっていったとしても、高圧側圧力と低圧側圧力との差が予め設定された差圧制御上限値を越えない範囲では、高圧側圧力制御手段によって、高圧側圧力が低圧側圧力に追従して徐々に低くなることなく一定値に保たれるように高圧側圧力を制御することができる。よって、高圧側圧力と低圧側圧力との差を、差圧制御上限値を越えない範囲内で極力大きくすることができる。そして、低圧側圧力検出手段により検出される低圧側圧力が過度に低くなったとしても、高圧側圧力制御手段は、高圧側圧力と低圧側圧力との差が予め設定された差圧制御上限値を越えないように高圧側圧力を制御するため、高圧側圧力と低圧側圧力との差が大きくなり過ぎてしまうことを防止することができる。その結果、膨張機やポンプの信頼性を確保することができるとともに、膨張機において出力される機械的エネルギーを極力大きくすることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記高圧側圧力制御手段は、前記高圧側圧力が予め設定された高圧制御上限値を越えないように高圧側圧力を制御することを要旨とする。
この発明によれば、例えば、低圧側圧力検出手段により検出される低圧側圧力が徐々に上がっていった場合に、高圧側圧力と低圧側圧力との差を、差圧制御上限値を越えない範囲内で極力大きくしようとして、高圧側圧力が過度に高くなってしまうことを防止することができる。その結果、膨張機やポンプの信頼性をさらに確保することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記高圧側圧力制御手段は、前記ポンプの出口から前記膨張機の入口までの作動流体の前記膨張機の出口から前記ポンプの入口までの間へのバイパス流量を変化させることで前記高圧側圧力を制御することを要旨とする。
この発明によれば、高圧側圧力制御手段は、例えば、低圧側圧力検出手段により検出される低圧側圧力が徐々に低くなっていったとしても、高圧側圧力と低圧側圧力との差が予め設定された差圧制御上限値を越えない範囲では、ポンプの出口から膨張機の入口までの作動流体の膨張機の出口からポンプの入口までの間へのバイパス流量を減少させる。よって、高圧側圧力が低圧側圧力に追従して徐々に低くなることなく一定値に保たれるように高圧側圧力を制御することができる。その結果、高圧側圧力と低圧側圧力との差を、差圧制御上限値を越えない範囲内で極力大きくすることができる。また、例えば、低圧側圧力検出手段により検出される低圧側圧力が過度に低くなった場合に、ポンプの出口から膨張機の入口までの作動流体の膨張機の出口からポンプの入口までの間へのバイパス流量を増大させることで、ポンプの出口から膨張機の入口までの作動流体の流量を少なくすることができる。その結果、高圧側圧力と低圧側圧力との差が予め設定された差圧制御上限値を越えないように高圧側圧力を低くすることができるため、高圧側圧力と低圧側圧力との差が大きくなり過ぎてしまうことを防止することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記高圧側圧力制御手段は、前記ポンプを駆動するモータの回転数を制御することで、前記高圧側圧力を制御することを要旨とする。
この発明によれば、高圧側圧力制御手段は、例えば、低圧側圧力検出手段により検出される低圧側圧力が徐々に低くなっていったとしても、高圧側圧力と低圧側圧力との差が予め設定された差圧制御上限値を越えない範囲で高圧側圧力が保たれるように、作動流体の流量をモータで制御する。よって、高圧側圧力が低圧側圧力に追従して徐々に低くなることなく一定値に保たれるように高圧側圧力を制御することができ、高圧側圧力と低圧側圧力との差を、差圧制御上限値を越えない範囲内で極力大きくすることができる。また、例えば、低圧側圧力検出手段により検出される低圧側圧力が過度に低くなった場合に、高圧側圧力制御手段は、ポンプを駆動させるモータの回転数が減少するようにモータを制御する。これによれば、ポンプにより熱交換器へ圧送される作動流体の流量を少なくすることができ、その結果として、高圧側圧力と低圧側圧力との差が予め設定された差圧制御上限値を越えないように高圧側圧力を低くすることができる。よって、高圧側圧力と低圧側圧力との差が大きくなり過ぎてしまうことを防止することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記高圧側圧力制御手段は、前記膨張機の回転数を制御することで、前記高圧側圧力を制御することを要旨とする。
この発明によれば、高圧側圧力制御手段は、例えば、低圧側圧力検出手段により検出される低圧側圧力が徐々に低くなっていったとしても、高圧側圧力と低圧側圧力との差が予め設定された差圧制御上限値を越えない範囲では、高圧側圧力が保たれるように膨張機の回転数を制御する。これにより、高圧側圧力が低圧側圧力に追従して徐々に低くなることなく一定値に保たれ、高圧側圧力と低圧側圧力との差を、差圧制御上限値を越えない範囲内で極力大きくすることができる。また、例えば、低圧側圧力検出手段により検出される低圧側圧力が過度に低くなった場合に、制御部が膨張機の回転数が上昇するように膨張機を制御する。これによれば、高圧側圧力を低くすることができ、高圧側圧力と低圧側圧力との差が予め設定された差圧制御上限値を越えないようにすることができる。よって、高圧側圧力と低圧側圧力との差が大きくなり過ぎてしまうことを防止することができる。
この発明によれば、膨張機やポンプの信頼性を確保することができるとともに、膨張機において出力される機械的エネルギーを極力大きくすることができる。
実施形態におけるランキンサイクル装置を示す模式図。 高圧側圧力及び低圧側圧力の変化を示すグラフ。 別の実施形態における高圧側圧力及び低圧側圧力の変化を示すグラフ。 別の実施形態におけるランキンサイクル装置を示す模式図。 別の実施形態におけるランキンサイクル装置を示す模式図。
以下、本発明を車両に搭載されるランキンサイクル装置に具体化した一実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。
図1に示すように、ランキンサイクル装置10は、膨張機20、凝縮器30、ポンプ40、熱交換器50を順次接続してなる作動流体回路11を備える。この作動流体回路11では、作動流体が循環するようになっている。そして、作動流体回路11では、作動流体は、膨張機20、凝縮器30、ポンプ40、熱交換器50の並び順に沿って流れて作動流体回路11を循環するようになっている。
ポンプ40の出口と熱交換器50の吸熱器50aとは第1通路21を介して接続されている。また、熱交換器50は放熱器50bを有するとともに、放熱器50bは、排熱源としてのエンジンEに接続された排気通路E1上に設けられている。エンジンEの排気は、放熱器50bで放熱された後にマフラE2から排気される。
熱交換器50の吸熱器50aと膨張機20の入口とは第2通路22を介して接続されている。膨張機20の出口と凝縮器30の入口とは第3通路23を介して接続されている。凝縮器30の出口とポンプ40の入口とは第4通路24を介して接続されている。熱交換器50は、ポンプ40により圧送された低温高圧の液状態の作動流体を、エンジンEの排気通路E1を流れる排気と熱交換させることで高温高圧のガス状態にする。凝縮器30は、膨張機20で膨張し高温低圧のガス状態となった作動流体を、外気と熱交換させることで低温低圧の液状態にする。
ポンプ40のポンプ軸及び膨張機20の出力軸は駆動軸60aにより兼用されている。駆動軸60aの突出端部にはプーリ60bが止着されている。プーリ60bにはベルト60cが巻き掛けられている。ベルト60cは、エンジンEの回転出力軸であるクランク軸E3に止着されたプーリE4に巻き掛けられている。エンジンEのクランク軸E3は、プーリE4、ベルト60c及びプーリ60bを介して駆動軸60aと連結している。
作動流体回路11には、一端が第1通路21(ポンプ40の出口と熱交換器50との間)に接続されるとともに、他端が第3通路23(膨張機20の出口と凝縮器30の入口との間)に接続されるバイパス通路71が配設されている。バイパス通路71には、バイパス通路71と熱交換器50とへ流れる作動流体の流量を変更する流量調整バルブ71aが設けられている。流量調整バルブ71aは制御部75に信号接続されている。流量調整バルブ71aは、制御部75からの信号により開度が調整されるようになっている。
第4通路24(凝縮器30の出口とポンプ40の入口との間)には、凝縮器30を通過した作動流体の圧力である低圧側圧力(凝縮圧力)を検出する低圧側圧力検出手段としての第1圧力センサ72が設けられている。第1圧力センサ72は制御部75に信号接続されている。そして、第1圧力センサ72により検出された検出結果は制御部75に送られる。
第2通路22(熱交換器50と膨張機20の入口との間)には、熱交換器50を通過した作動流体の圧力である高圧側圧力(蒸発圧力)を検出する第2圧力センサ73が設けられている。第2圧力センサ73は制御部75に信号接続されている。そして、第2圧力センサ73により検出された検出結果は制御部75に送られる。
次に、本実施形態の作用について説明する。
ポンプ40が駆動されると、ポンプ40により作動流体が圧送されて作動流体回路11を作動流体が循環する。ポンプ40から第1通路21を介して熱交換器50を流れる作動流体は、熱交換器50を通過する際に排気と熱交換されて高温高圧のガス状態となる。そして、熱交換器50を通過して高温高圧のガス状態となった作動流体は、第2通路22を介して膨張機20の入口から膨張機20に吸入される。さらに、膨張機20に吸入された作動流体は膨張機20で膨張するとともに、膨張機20において作動流体が膨張したことにより、作動流体の持つ熱エネルギーの一部が機械的エネルギーとして取り出されて、エンジンEの回転出力を補助する。膨張機20において降温及び降圧した作動流体は、膨張機20の出口から第3通路23を介して凝縮器30へ吸入される。凝縮器30に吸入された作動流体は、凝縮器30で凝縮されて液化し、第4通路24を介してポンプ40に還流される。
ここで、第1圧力センサ72により検出される圧力は、凝縮器30において熱交換される外気の温度に大きく影響を受ける。例えば、外気の温度が高ければ高いほど、作動流体は凝縮器30において冷却(凝縮)され難く、作動流体の圧力は低くなり難い。また、例えば、外気の温度が低ければ低いほど、作動流体は凝縮器30において冷却(凝縮)され易く、作動流体の圧力は低くなり易い。
図2には、第1圧力センサ72及び第2圧力センサ73により検出される圧力の変化(低圧側圧力及び高圧側圧力の変化)を表している。時間T1から時間T2までの間では、第1圧力センサ72により検出された圧力P11と、第2圧力センサ73により検出された圧力P21との圧力差Z1は一定であるとともに、予め設定された高圧側圧力と低圧側圧力との差の差圧制御上限値よりも小さくなっている。ここで、「差圧制御上限値Z」とは、膨張機20やポンプ40が、高圧側圧力と低圧側圧力との差によって受ける荷重により機器の信頼性を損なわない高圧側圧力と低圧側圧力との差の上限値のことを言う。
そして、時間T2から時間T3の間に、外気の温度が時間T1から時間T2のときよりも徐々に低下していったとする。すると、作動流体は、時間T2から時間T3の間に、凝縮器30において時間T1から時間T2のときよりも低い温度に冷却されていき、作動流体の圧力は徐々に低くなっていく。そして、時間T3のときに第1圧力センサ72により検出された圧力P12は、時間T2のときに第1圧力センサ72により検出された圧力P11よりも低くなっている。
ここで、第1圧力センサ72により検出された圧力P12と、第2圧力センサ73により検出された圧力P21との圧力差Z2が、予め設定された高圧側圧力と低圧側圧力との差の差圧制御上限値に達したとする。このとき、制御部75は、高圧側圧力と低圧側圧力との差が差圧制御上限値を越えない範囲では、第1通路21の作動流体の第3通路23へのバイパス流量が減少するように、流量調整バルブ71aの開度を制御している。その結果、高圧側圧力が低圧側圧力に追従して徐々に低くなることなく一定値に保たれ、高圧側圧力と低圧側圧力との差が、差圧制御上限値を越えない範囲内で極力大きくなっている。よって、本実施形態では、制御部75は、高圧側圧力制御手段として機能している。
時間T3から時間T4までの間では、第1圧力センサ72により検出された圧力P12と、第2圧力センサ73により検出された圧力P21との圧力差Z2は一定である。そして、時間T4から時間T5までの間に、外気の温度が時間T3から時間T4のときよりもさらに徐々に低下していったとする。すると、作動流体は、時間T4から時間T5までの間に、凝縮器30において時間T3から時間T4のときよりもさらに低い温度に冷却されていき、作動流体の圧力は徐々に低くなっていく。そして、時間T5のときに第1圧力センサ72により検出された圧力P13は、時間T4のときに第1圧力センサ72により検出された圧力P12よりも低くなっている。
このとき、制御部75は、第1通路21の作動流体の第3通路23へのバイパス流量が増大するように、流量調整バルブ71aの開度を制御する。これにより、ポンプ40の出口から膨張機20の入口までの作動流体の流量が少なくなり、時間T5のときに第2圧力センサ73により検出された圧力P22が、時間T4のときに第2圧力センサ73により検出された圧力P21よりも低くなる。
ここで、第1圧力センサ72により検出された圧力P13と、第2圧力センサ73により検出された圧力P22との圧力差Z3は、予め設定された高圧側圧力と低圧側圧力との差の差圧制御上限値になっている。すなわち、第1通路21を流れる作動流体のバイパス通路71を介した第3通路23へのバイパス流量を変化させることで、圧力P13と圧力P22との圧力差Z3が差圧制御上限値になるように、流量調整バルブ71aの開度が制御部75によって調整されている。その結果、高圧側圧力と低圧側圧力との差が予め設定された差圧制御上限値を越えないように、時間T4から時間T5までの間で高圧側圧力が低くなっているため、高圧側圧力と低圧側圧力との差が大きくなり過ぎてしまうことが防止されている。
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)ランキンサイクル装置10は、膨張機20の出口からポンプ40の入口までの作動流体の圧力である低圧側圧力を検出する第1圧力センサ72を備える。また、作動流体回路11において、一端が第1通路21に接続されるとともに、他端が第3通路23に接続されるバイパス通路71を配設し、バイパス通路71に、バイパス通路71と熱交換器50とへ流れる作動流体の流量を変更する流量調整バルブ71aを設けた。そして、制御部75は、第1通路21の作動流体の第3通路23へのバイパス流量を変化させることによって高圧側圧力を制御する。
制御部75は、例えば、第1圧力センサ72により検出される低圧側圧力が徐々に低くなっていったとしても、高圧側圧力と低圧側圧力との差が予め設定された差圧制御上限値を越えない範囲では、第1通路21を流れる作動流体の第3通路23へのバイパス流量を減少させる。よって、高圧側圧力が低圧側圧力に追従して徐々に低くなることなく一定値に保たれるように高圧側圧力を制御することができる。その結果、高圧側圧力と低圧側圧力との差を、差圧制御上限値を越えない範囲内で極力大きくすることができる。また、例えば、第1圧力センサ72により検出される低圧側圧力が過度に低くなった場合に、第1通路21の作動流体の第3通路23へのバイパス流量を増大させることで、ポンプ40の出口から膨張機20の入口までの作動流体の流量を少なくすることができる。その結果として、高圧側圧力と低圧側圧力との差が予め設定された差圧制御上限値を越えないように高圧側圧力を低くすることができるため、高圧側圧力と低圧側圧力との差が大きくなり過ぎてしまうことを防止することができる。その結果、膨張機20やポンプ40の信頼性を確保することができるとともに、膨張機20において出力される機械的エネルギーを極力大きくすることができる。
(2)本実施形態では、第1通路21の作動流体の第3通路23へのバイパス流量を変化させることで高圧側圧力を制御するようにした。よって、例えば、ポンプ40を駆動させるモータの回転数を制御したり、膨張機20の回転数を制御したりすることで、高圧側圧力を制御する必要が無く、ポンプ40のポンプ軸及び膨張機20の出力軸を同じ駆動軸で兼用することが可能となり、ランキンサイクル装置10の構成を簡素化することが可能となる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態において、高圧側圧力の高圧制御上限値を予め設定してもよい。例えば、図3に示すように、時間T6から時間T7までの間では、第1圧力センサ72により検出された圧力P14と、第2圧力センサ73により検出された圧力P23との圧力差Z4は一定である。また、このとき、第2圧力センサ73により検出された圧力P23は、既に高圧側圧力の高圧制御上限値に達しているとする。そして、時間T7から時間T8までの間に、外気の温度が時間T6から時間T7のときよりも徐々に上昇していったとする。すると、作動流体は、時間T7から時間T8までの間に、凝縮器30において時間T6から時間T7のときよりも高い温度に凝縮されていき、作動流体の圧力は徐々に高くなっていく。そして、時間T8のときに第1圧力センサ72により検出された圧力P15は、時間T7のときに第1圧力センサ72により検出された圧力P14よりも高くなっており、高圧側圧力と低圧側圧力との差が小さくなる。ここで、制御部75は、高圧側圧力が高圧制御上限値を越えないように高圧側圧力を制御する。具体的には、制御部75がポンプ40を駆動させるモータの回転数を制御することで、ポンプ40から熱交換器50に圧送される作動流体の流量を変化させ、高圧側圧力が高圧制御上限値を越えないようにする。これによれば、高圧側圧力と低圧側圧力との差を、差圧制御上限値を越えない範囲内で極力大きくしようとして、高圧側圧力が過度に高くなってしまうことを防止することができる。その結果、膨張機20やポンプ40の信頼性をさらに確保することができる。
○ 実施形態において、駆動軸60aが、ポンプ40のポンプ軸及び膨張機20の出力軸を兼用していなくてもよい。そして、例えば、図4に示すように、ランキンサイクル装置10は、ポンプ40を駆動させるモータ40a(電動機)を備えている。また、膨張機20の出力軸20bにはプーリ201bが止着されている。プーリ201bにはベルト60cが巻き掛けられている。ベルト60cは、エンジンEのクランク軸E3に止着されたプーリE4に巻き掛けられている。エンジンEのクランク軸E3は、プーリE4、ベルト60c及びプーリ201bを介して出力軸20bと連結している。膨張機20で出力された機械的エネルギーはエンジンEの回転出力を補助する。
ポンプ40はモータ40aの回転によって駆動して、作動流体を熱交換器50に圧送するようになっている。そして、制御部75は、例えば、第1圧力センサ72により検出される圧力が徐々に低くなっていったとしても、高圧側圧力と低圧側圧力との差が予め設定された差圧制御上限値を越えない範囲では、高圧側圧力が一定値に保たれるように、作動流体の流量をモータ40aの回転数で制御することができる。その結果、高圧側圧力と低圧側圧力との差を、差圧制御上限値を越えない範囲内で極力大きくすることができる。また、例えば、第1圧力センサ72により検出される圧力が過度に低くなった場合に、制御部75がモータ40aの回転数が減少するようにモータ40aを制御する。これによれば、ポンプ40により熱交換器50へ圧送される作動流体の流量を少なくすることができ、その結果として、高圧側圧力と低圧側圧力との差が予め設定された差圧制御上限値を越えないように高圧側圧力を低くすることができる。よって、高圧側圧力と低圧側圧力との差が大きくなり過ぎてしまうことを防止することができる。
○ 実施形態において、駆動軸60aが、ポンプ40のポンプ軸及び膨張機20の出力軸を兼用していなくてもよい。図5に示すように、膨張機20には発電機20aが接続されている。そして、制御部75は、例えば、第1圧力センサ72により検出される圧力が徐々に低くなっていったとしても、高圧側圧力と低圧側圧力との差が予め設定された差圧制御上限値を越えない範囲では、発電機20aの回転数を制御し、高圧側圧力を一定値に保つ。これにより、高圧側圧力と低圧側圧力との差を、差圧制御上限値を越えない範囲内で極力大きくすることができる。また、例えば、第1圧力センサ72により検出される圧力が過度に低くなった場合に、制御部75が発電機20aの回転数が上昇するように発電機20aを制御する。これによれば、発電機20aと共に駆動する膨張機20の回転数が上昇するように制御され、高圧側圧力を低くすることができる。その結果として、高圧側圧力と低圧側圧力との差が予め設定された差圧制御上限値を越えないようにすることができ、高圧側圧力と低圧側圧力との差が大きくなり過ぎてしまうことを防止することができる。
○ 実施形態において、バイパス通路71の一端は第2通路22に接続されていてもよい。また、バイパス通路71の他端は第4通路24に接続されていてもよい。要は、バイパス通路71によって、ポンプ40の出口から膨張機20の入口までの作動流体の一部が、膨張機20の出口からポンプ40の入口までの間へバイパス可能であればよい。
○ 実施形態において、第1圧力センサ72が第3通路23に設けられていてもよい。
○ 実施形態において、凝縮器30において凝縮されて液化した作動流体の温度(詳細には、凝縮器30の出口から過冷却器までの間の作動流体の温度)を検出する温度センサを設けてもよい。そして、制御部75は、温度センサにより検出された作動流体の温度に基づいて作動流体の圧力を算出するようにしてもよい。この場合、温度センサ及び制御部75により、低圧側圧力を検出する低圧側圧力検出手段が構成されている。
○ 実施形態において、排熱源からの流体としては、例えば、エンジンEに接続された冷却水循環経路を流れるエンジン冷却水や過給空気、EGRガス等を利用してもよい。
10…ランキンサイクル装置、11…作動流体回路、20…膨張機、30…凝縮器、40…ポンプ、40a…モータ、50…熱交換器、72…低圧側圧力検出手段として機能する第1圧力センサ、75…高圧側圧力制御手段として機能する制御部、E…排熱源としてのエンジン。

Claims (5)

  1. 作動流体を圧送するポンプと、
    前記ポンプにより圧送された作動流体を排熱源からの流体と熱交換させる熱交換器と、
    前記熱交換器で熱交換された作動流体を膨張させて機械的エネルギーを出力する膨張機と、
    前記膨張機で膨張された作動流体を凝縮させる凝縮器と、を有し、
    前記ポンプ、前記熱交換器、前記膨張機、及び前記凝縮器が順次接続されて作動流体が循環する作動流体回路が形成されるランキンサイクル装置であって、
    前記膨張機の出口から前記ポンプの入口までの作動流体の圧力である低圧側圧力を検出する低圧側圧力検出手段と、
    前記ポンプの出口から前記膨張機の入口までの作動流体の圧力である高圧側圧力を制御する高圧側圧力制御手段と、を備え、
    前記高圧側圧力制御手段は、予め設定された前記高圧側圧力と前記低圧側圧力との差の差圧制御上限値を越えない範囲では、前記低圧側圧力検出手段により検出される低圧側圧力が低下しても前記高圧側圧力を保つように制御することを特徴とするランキンサイクル装置。
  2. 前記高圧側圧力制御手段は、前記高圧側圧力が予め設定された高圧制御上限値を越えないように高圧側圧力を制御することを特徴とする請求項1に記載のランキンサイクル装置。
  3. 前記高圧側圧力制御手段は、前記ポンプの出口から前記膨張機の入口までの作動流体の前記膨張機の出口から前記ポンプの入口までの間へのバイパス流量を変化させることで前記高圧側圧力を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のランキンサイクル装置。
  4. 前記高圧側圧力制御手段は、前記ポンプを駆動するモータの回転数を制御することで、前記高圧側圧力を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のランキンサイクル装置。
  5. 前記高圧側圧力制御手段は、前記膨張機の回転数を制御することで、前記高圧側圧力を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のランキンサイクル装置。
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