JP2014015451A - 水性眼科組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】消泡時間が短縮され、白濁が抑制された水性眼科組成物を提供する。
【解決手段】(A) ポリオキシエチレンヒマシ油と、(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を含む、水性眼科組成物においては、消泡時間が短縮され、白濁が抑制される。
【選択図】なし

Description

本発明は水性眼科組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、消泡時間が短縮され、白濁の抑制された水性眼科組成物に関する。
眼科分野において、溶解補助剤は、多くの処方に配合されている。特に水性眼科組成物においては、水溶性の比較的低い生理活性成分、添加物等の溶解補助を目的に、様々な溶解補助剤の配合が工夫されている。眼科分野において用いられる溶解補助剤の一つとして、界面活性剤が挙げられる。ポリオキシエチレンヒマシ油は非イオン界面活性剤の一種であり、他の配合成分の溶解補助等を目的として、水性眼科組成物に配合されることが知られている(特許文献1)。
界面活性剤を配合した水性組成物は泡立ちやすいことが知られており、製造時又は流通時において、振動又は衝撃を与えることにより泡が発生する。一般に、水性眼科組成物は、眼に対して安全に適用するために、製造時の溶解確認が重視される。また、水性眼科組成物の中でも点眼剤、洗眼剤などの医薬品においては、製造工程での異物検査が必須である。しかしながら、製造中の水性眼科組成物において泡が発生し、泡の消える速度が遅い場合、配合成分又は異物と泡との見分けがつき難いために、溶解確認、異物検査の工程などで長時間を要し、製造が効率的に行えないのが現状であった。
また、水性組成物においては、製造工程、市場流通工程での安定性、開封後の長期安定性を担保することが重要である。このため、澄明な溶液の白濁が、品質へ及ぼす影響は無視できない。従って、白濁を形成せずに溶液を長期間安定に保存する方法が望まれている。
一方で、イミダゾリン系血管収縮剤は、眼の充血の除去や鼻づまり軽減等を目的として点眼剤や点鼻剤に配合されている。ネオスチグミンは、瞳のピント調節機能を改善する効果を付与すること等を目的として眼科組成物に配合されている。ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマーは、界面活性作用を示し、薬効成分の溶解補助等を目的として従来から眼科組成物において使用されており、クロロブタノールは、防腐剤等として、眼科組成物において使用されている。
しかしながら、これらの成分を水性眼科組成物に配合した場合に、消泡時間や白濁の発生に及ぼす影響については、これまで明らかにされていない。特に、水性眼科組成物にこれらの成分と特定の界面活性剤とを含有させた場合に、該水性眼科組成物に対して如何なる影響が及ぼされるかについては、容易には推認できないのが現状である。
特開2005−298448号公報
上記したような水性眼科組成物における溶解確認、異物検査の工程の重要性により、水性眼科組成物において、消泡時間を短縮させることは重要な課題である。本発明は、このような従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、水性眼科組成物、特に、界面活性剤などの溶解補助剤が配合された泡立ちし易い水性眼科組成物について、振動又は衝撃により泡が発生しても、消泡時間が短縮された水性眼科組成物、及び該水性眼科組成物における消泡時間を短縮させる方法を提供することである。
また、本発明者等は、界面活性剤のうちで、非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンヒマシ油を含有する水性眼科組成物について種々の検討を重ねた結果、ポリオキシエチレンヒマシ油を含有する水性眼科組成物は、加熱した状態で保存すると白濁が生じることがあり、特に、酸化エチレンの平均付加モル数が2〜30であるポリオキシエチレンヒマシ油を含む水性眼科組成物は、白濁が生じ易いことを見出した。水性眼科組成物における白濁の発生は、安全性を含む品質の低下や商品価値の低下を招来するので、これを抑制することは極めて重要な課題である。
従って、本発明の別の目的は、 白濁が抑制された水性眼科組成物を提供すること、及び水性眼科組成物における白濁を抑制できる方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ってきた。その結果、非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンヒマシ油(以下、(A)成分ということがある)を含有する水性眼科組成物に、イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種(以下、(B)成分ということがある)を配合することによって、振動又は衝撃により泡が発生した場合に、消泡時間を顕著に短縮でき、溶解確認、異物確認等を短時間で行うことが可能となることを見出した。また、泡が発生した状態の点眼剤等の水性眼科組成物は、使用時に1回ごとの滴下量のバラツキが大きくなり、特に1回の使用量が比較的少ない点眼剤、コンタクトレンズ装着液において、1回毎の使用量を使用者自身がコントロールし難く、扱いづらいなどの不都合が生じ、特に水性眼科組成物が医薬品の場合などはコンプライアンスの低下等に繋がる可能性もある。本発明によれば、消泡時間が短縮される結果、該水性眼科組成物における滴下量のバラツキをも抑制することができる。
本発明者等は、更に検討を重ねた結果、ポリオキシエチレンヒマシ油を含有する水性眼科組成物に(B)成分を配合することによって、ポリオキシエチレンヒマシ油を含有する水性眼科組成物、特に白濁の生じ易い酸化エチレンの平均付加モル数が2〜30であるポリオキシエチレンヒマシ油を含有する水性眼科組成物の、白濁の発生をも抑制できることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて更に研究を重ねた結果完成されたものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の水性眼科組成物を提供するものである。
項1-1.(A) ポリオキシエチレンヒマシ油と、(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を含む、水性眼科組成物。
項1-2.(A)成分が、酸化エチレンの平均付加モル数が2〜70モルであるポリオキシエチレンヒマシ油である、項1-1に記載の水性眼科組成物。
項1-3. (A)成分が、酸化エチレンの平均付加モル数が2〜35モルであるポリオキシエチレンヒマシ油である、項1-1又は項1-2に記載の水性眼科組成物。
項1-4. (A)成分が、酸化エチレンの平均付加モル数が2〜30モルであるポリオキシエチレンヒマシ油である、項1-1乃至1-3のいずれかに記載の水性眼科組成物。
項1-5. イミダゾリン系血管収縮剤が、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、オキシメタゾリン及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも一種である、項1-1乃至1-4のいずれかに記載の水性眼科組成物。
項1-6.水性眼科組成物の総量を基準として、(A)成分の総含有量が0.0005〜5w/v%である、項1-1乃至1-5のいずれかに記載の水性眼科組成物。
項1-7.水性眼科組成物の総量を基準として、(B)成分の総含有量が0.0001〜10w/v%である、項1-1乃至1-6のいずれかに記載の水性眼科組成物。
項1-8.(A)成分の総含有量1重量部に対して、(B)成分の総含有量が0.00002〜20000重量部である、項1-1乃至1-7のいずれかに記載の水性眼科組成物。
項1-9.(A)成分の総含有量1重量部に対して、(B)成分の総含有量が0.002〜100
重量部である、項1-1乃至1-8のいずれかに記載の水性眼科組成物。
項1-10.更に緩衝剤を含有する、項1-1乃至1-9のいずれかに記載の水性眼科組成物。
項1-11.緩衝剤がホウ酸緩衝剤である、項1-10に記載の水性眼科組成物。
項1-12.水性眼科組成物の総量を基準として、緩衝剤の総含有量が0.01〜15w/v%である、項1-10又は1-11に記載の水性眼科組成物。
項1-13.更に、(A)成分以外の界面活性剤及び/又は等張化剤を含有する、項1-1乃至1-12のいずれかに記載の水性眼科組成物。
項1-14.(A)成分以外の界面活性剤が、非イオン性界面活性剤であり、等張化剤が多価アルコール及び無機塩からなる群から選択される少なくとも一種である、項1-13に記載の水性眼科組成物。
項1-15.水性眼科組成物の総量を基準として、(A)成分以外の非イオン性界面活性剤の総含有量が0.001〜3w/v%である、項1-13又は1-14に記載の水性眼科組成物。
項1-16.ポリエチレンテレフタレート製容器に充填されてなる、項1-1乃至1-15のいずれかに記載の水性眼科組成物。
項1-17.ポリエチレン製ノズルが装着された容器に充填されてなる、項1-1乃至1-16のいずれかに記載の水性眼科組成物。
項1-18.点眼剤である項1-1乃至1-17のいずれかに記載の水性眼科組成物。
項1-19.洗眼剤である項1-1乃至1-17のいずれかに記載の水性眼科組成物。
項1-20.コンタクトレンズ装着液である項1-1乃至1-17のいずれかに記載の水性眼科組成物。
項1-21.コンタクトレンズケア用剤である項1-1乃至1-17のいずれかに記載の水性眼科組成物。
また、本発明は、下記に掲げる態様の、水性眼科組成物における消泡時間の短縮方法、及び使用時の滴下量のバラツキ抑制方法を提供するものである。
項2.(A)ポリオキシエチレンヒマシ油と、(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を、水性眼科組成物に配合することを含む、該水性眼科組成物における消泡時間を短縮させる方法。
項3.(A)ポリオキシエチレンヒマシ油を含有する水性眼科組成物に、(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を配合することを含む、該水性眼科組成物における消泡時間を短縮させる方法。
項4. (A) ポリオキシエチレンヒマシ油と、(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を、水性眼科組成物に配合することを含む、該水性眼科組成物における使用時の滴下量のバラツキを抑制する方法。
また、本発明は、下記に掲げる態様の、水性眼科組成物における白濁を抑制する方法を提供するものである。
項5.(A)ポリオキシエチレンヒマシ油を含有する水性眼科組成物に、(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を配合することを含む、該水性眼科組成物における白濁を抑制する方法。
項6.(A)ポリオキシエチレンヒマシ油、並びに、(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を水性眼科組成物に配合することを含む、該水性眼科組成物における白濁を抑制する方法。
項7.(A)成分が、酸化エチレンの平均付加モル数が2〜30モルであるポリオキシエチレンヒマシ油である、項4乃至6のいずれかに記載の水性眼科組成物における白濁を抑制する方法。
更に、本発明は、下記の掲げる態様の使用も提供する。
項8. 水性眼科組成物の製造のための、(A)ポリオキシエチレンヒマシ油、並びに(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種の使用。
項9. 水性眼科組成物が、上記項1-1乃至1-21のいずれかに記載の組成物である、項8に記載の使用。
更に、本発明は、下記に掲げる態様の使用も提供する。
項10. 水性眼科組成物としての、(A) ポリオキシエチレンヒマシ油、並びに(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を含む組成物の使用。
項11. 組成物が、上記項1-1乃至1-21のいずれかに記載の組成物である、項10に記載の使用。
更に、本発明は、下記に掲げる態様の組成物も提供する。
項12. 水性眼科組成物としての使用のための、(A)ポリオキシエチレンヒマシ油、並びに(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を含む組成物。
項13. 上記項1-1乃至1-21のいずれかに記載されたものである、項12に記載の組成物。
更に、本発明は、下記に掲げる態様の水性眼科組成物の製造方法も提供する。
項14. 水を含む担体に、(A) ポリオキシエチレンヒマシ油、並びに(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を添加することを含む、水性眼科組成物の製造方法。
項15. 水性眼科組成物が、上記項1-1乃至1-21のいずれかに記載の組成物である、項14に記載の製造方法。
本発明によれば、以下に示す各種の効果が奏される。
(1)本発明によれば、ポリオキシエチレンヒマシ油を含有する水性眼科組成物における消泡時間を短縮させることができる。その結果、水性眼科組成物の製造時の溶解確認又は異物確認を短時間で行うことが可能となり、製造効率を改善することができる。更に、消泡時間が短縮されることにより、滴下量のバラツキをも抑制することができる。
(2)本発明の水性眼科組成物によれば、ポリオキシエチレンヒマシ油を含有する水性眼科組成物の保存時に生じ易い白濁を抑制することができる。よって、本発明の水性眼科組成物は、安全性や品質を低下させることなく、含有成分の有する優れた性能を長期間安定して発揮することができる。
本発明の水性眼科組成物は、上述した各種の優れた効果を有するものであり、より安全且つ快適に、長期に亘って有効に使用することができる。
本明細書において含有量の単位「%」は「w/v%」を意味し、「g/100mL」と同義である。
本明細書中、特に記載の無い限り、略号「POE」はポリオキシエチレンを意味する。
本明細書中、特に記載の無い限り、略号「POP」はポリオキシプロピレンを意味する。
本明細書中、特に記載の無い限り、コンタクトレンズとは、ハード、酸素透過性ハード、ソフト(シリコーンハイドロゲルレンズを含む)、カラー等のあらゆるタイプのコンタクトレンズを包含する意味とする。
以下、本発明について、具体的に説明する。
[1.水性眼科組成物]
本発明の水性眼科組成物は、ポリオキシエチレンヒマシ油((A)成分)を含有するものである。これを後述する、イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種((B)成分)と併用することによって、上記した本発明の優れた効果が発揮される。
ポリオキシエチレンヒマシ油は、ヒマシ油に酸化エチレンを付加重合することによって得られる公知の化合物であり、酸化エチレンの平均付加モル数が異なるいくつかの種類が知られている。本発明では、(A)成分として用いられるポリオキシエチレンヒマシ油における酸化エチレンの平均付加モル数は特に定めないが、例えば、2〜70モル程度である。具体的には、酸化エチレンの平均付加モル数が3であるポリオキシエチレンヒマシ油3、酸化エチレンの平均付加モル数が4であるポリオキシエチレンヒマシ油4、酸化エチレンの平均付加モル数が6であるポリオキシエチレンヒマシ油6、酸化エチレンの平均付加モル数が7であるポリオキシエチレンヒマシ油7、酸化エチレンの平均付加モル数が10であるポリオキシエチレンヒマシ油10、酸化エチレンの平均付加モル数が13.5であるポリオキシエチレンヒマシ油13.5、酸化エチレンの平均付加モル数が17であるポリオキシエチレンヒマシ油17、酸化エチレンの平均付加モル数が20であるポリオキシエチレンヒマシ油20、酸化エチレンの平均付加モル数が25であるポリオキシエチレンヒマシ油25、酸化エチレンの平均付加モル数が30であるポリオキシエチレンヒマシ油30、酸化エチレンの平均付加モル数が35であるポリオキシエチレンヒマシ油35、酸化エチレンの平均付加モル数が40であるポリオキシエチレンヒマシ油40、酸化エチレンの平均付加モル数が50であるポリオキシエチレンヒマシ油50、酸化エチレンの平均付加モル数が60であるポリオキシエチレンヒマシ油60、酸化エチレンの平均付加モル数が70であるポリオキシエチレンヒマシ油70などが挙げられる。
これらの内で、本発明の効果を好適に発揮できるポリオキシエチレンヒマシ油の一例として、酸化エチレンの平均付加モル数が2〜35、好ましくは2〜30、更に好ましくは2〜20、特に好ましくは2〜12モルのポリオキシエチレンヒマシ油を挙げることができる。
また、酸化エチレンの平均付加モル数が2〜30のポリオキシエチレンヒマシ油を含有する水性眼科組成物は、保存時に白濁する傾向が大きいが、該水性眼科組成物において、これを(B)成分と併用することによって、酸化エチレンの平均付加モル数が2〜30のポリオキシエチレンヒマシ油を含有する水性眼科組成物の白濁をも抑制することができる。
本発明において、これらのポリオキシエチレンヒマシ油は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。尚、本発明で用いるポリオキシエチレンヒマシ油は、硬化ヒマシ油に酸化エチレンを付加重合することにより得られるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とは異なる化合物であり、これとは区別される。
本発明の水性眼科組成物における、(A)成分の含有量は特に限定はなく、(A)成分の種類、併用する(B)成分の種類及び含有量、該水性眼科組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定される。例えば、水性眼科組成物の総量を基準として、(A)成分の総含有量として、0.0005〜5w/v%、好ましくは0.001〜3w/v%、より好ましくは0.002〜2w/v%、更に好ましくは0.005〜1w/v%、特に好ましくは0.01〜0.5w/v%である。
上記(A)成分の含有量は、水性眼科組成物において消泡時間を短縮させる作用、白濁を抑制する作用を一層高めるという観点から好適である。
本発明の水性眼科組成物は、上記(A)成分に加えて、イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種((B)成分)を含有することが必要である。このように、(A)成分と(B)成分を併用することによって、上記した効果、即ち、消泡時間の短縮、白濁の抑制等の効果が発揮される。
イミダゾリン系血管収縮剤は、イミダゾリン骨格を有する薬物であって、血管収縮剤とは、拡張した抹消血管を収縮させ、眼科領域では結膜の充血症状を緩和し、また耳鼻科領域では鼻粘膜の充血に伴う鼻詰まりを緩和するために用いられる薬物である。
本発明で用いられるイミダゾリン系血管収縮剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されないが、具体的には、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、オキシメタゾリン及びこれらの塩等が挙げられる。上記化合物の塩としては、塩酸塩、硝酸塩等の無機酸塩が例示される。これらの塩の中でも、好ましくは塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリンである。また、上記化合物及びその塩は、水和物の形態であってもよい。更に、上記化合物は、d体、l体、dl体のいずれであってもよい。本発明において、イミダゾリン系血管収縮剤は、これらの中から1種を選択し単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
ネオスチグミンは、N-(-3-ジメチルカルバモイルオキシフェニル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムとも称される化合物である。ネオスチグミン及びネオスチグミンの塩は、目のピント調節機能改善剤として公知の化合物であり、公知の方法により合成してもよく市販品として入手することもできる。
本発明で用いられるネオスチグミンの塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されないが、具体的には、メチル硫酸塩(メチル硫酸ネオスチグミン)、臭化物塩(臭化ネオスチグミン)等が例示される。これらの塩の中でも、好ましくはメチル硫酸ネオスチグミンが挙げられる。本発明において、ネオスチグミン及びネオスチグミンの塩は、これらの中から1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマーは、ポリオキシエチレン基とポリオキシプロピレン基とのブロック共重合体であり、エチレンジアミンのPOE-POPブロックコポリマー付加物であってもよい。これらは非イオン性界面活性剤として公知の化合物である。
本発明に用いられるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの、ポリオキシエチレン基とポリオキシプロピレン基の比率は、特に制限されないが、例えば、モル比で、ポリオキシエチレン基100に対して、ポリオキシプロピレン基が1〜1000、好ましくは1〜300、更に好ましくは1〜100、特に好ましくは1〜50が挙げられる。また、本発明に用いられるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの分子量についても、特に制限されるものではないが、例えば1000〜30000、好ましくは4000〜20000、更に好ましくは8000〜15000が挙げ られる。当該分子量は、サイズ排除クロマトグラフィ法によって測定される値である。
本発明で用いられるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、具体的には、POE(3)POP(17)グリコール(プルロニックL31)、POE(20)POP(20)グリコール(プルロニックL44)、POE(24)POP(20)グリコール(ポロクサマー124、プルロニックL44)、POE(25)POP(30)グリコール(プルロニックL64)、POE(35)POP(40)グリコール(プルロニックP84)、POE(42)POP(67)グリコール(ポロクサマー403、プルロニックP123)、POE(54)POP(39)グリコール(ポロクサマー235、プルロニックP85)、POE(105)POP(5)グリコール、POE(120)POP(40)グリコール(ポロクサマー237、プルロニックF87)、POE(160)POP(30)グリコール(ポロクサマー188、プルロニックF68)、POE(196)POP(67)グリコール(ポロクサマー407、プルロニックF127)、POE(200)POP(70)グリコール等のポロクサマー類;テトロニック(登録商標)707、テトロニック(登録商標)908、テトロニック(登録商標)909、テトロニック(登録商標)1107、テトロニック(登録商標)1508(BASF社)、等のポロキサミン類等が例示される。これらの中でも、好ましくはポロクサマー類、更に好ましくは、POE(42)POP(67)グリコール(ポロクサマー403、プルロニックP123)、POE(54)POP(39)グリコール(ポロクサマー235、プルロニックP85)、POE(160)POP(30)グリコール(ポロクサマー188、プルロニックF68)、POE(196)POP(67)グリコール(ポロクサマー407、プルロニックF127)、特に好ましくはPOE(196)POP(67)グリコール(ポロクサマー407、プルロニックF127)が挙げられる。本発明において、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマーは、これらの中から1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。なお、上記で例示する化合物において、括弧内の数字は付加モル数を示す。
クロロブタノールは、1,1,1,-トリクロロ-2-メチル-2-プロパノールとも称される公知の化合物であり、公知の方法により合成してもよく市販品として入手することもできる。
本発明の水性眼科用組成物における、(B)成分の含有量は特に限定はなく、(B)成分の種類、併用する(A)成分の種類及び含有量、該水性眼科組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定される。例えば、本発明の水性眼科組成物の総量を基準として、(B)成分の総含有量として、0.0001〜10w/v%、好ましくは0.0005〜5w/v%、更に好ましくは0.001〜2w/v%、特に好ましくは0.005〜0.5w/v%である。
イミダゾリン系血管収縮剤の含有量は、例えば、本発明の水性眼科組成物の総量を基準として、イミダゾリン系血管収縮剤の総含有量として、0.0005〜0.5w/v%、好ましくは0.001〜0.1w/v%、更に好ましくは0.002〜0.05w/v%である。
ネオスチグミン及びネオスチグミンの塩の含有量は、例えば、本発明の水性眼科組成物の総量を基準として、ネオスチグミン及びネオスチグミンの塩の総含有量として、0.0001〜0.02w/v%、好ましくは0.0005〜0.01w/v%、更に好ましくは0.001〜0.005w/v%である。
ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの含有量は、例えば、本発明の水性眼科組成物の総量を基準として、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの総含有量として、0.001〜5w/v%、好ましくは0.005〜1w/v%、更に好ましくは0.01〜0.5w/v%である。
クロロブタノールの含有量は、例えば、本発明の水性眼科組成物の総量を基準として、クロロブタノールの総含有量として、0.001〜2w/v%、好ましくは0.005〜0.5w/v%、更に好ましくは0.02〜0.2w/v%である。
上記(B)成分の含有量は、本発明の効果をより一層高めるという観点から好適である。
また、該水性眼科組成物における、(A)成分に対する(B)成分の含有比率は特に限定はなく、(A)成分及び(B)成分の種類、該水性眼科組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定される。例えば、本発明の水性眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1重量部に対して、(B)成分の総含有量として、0.00002〜20000重量部、好ましくは0.0001〜2000重量部、更に好ましくは0.0005〜500重量部、特に好ましくは0.002〜100重量部である。
イミダゾリン系血管収縮剤の(A)成分に対する含有比率は、例えば、本発明の水性眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1重量部に対して、イミダゾリン系血管収縮剤の総含有量として、0.0001〜1000重量部、好ましくは0.0005〜100重量部、更に好ましくは0.001〜20重量部、特に好ましくは0.005〜5重量部である。
ネオスチグミン及びネオスチグミンの塩 の(A)成分に対する含有比率は、例えば、本発明の水性眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1重量部に対して、ネオスチグミン及びネオスチグミンの塩の総含有量として、0.00002〜50重量部、好ましくは0.0001〜10重量部、更に好ましくは0.0005〜2重量部、特に好ましくは0.002〜0.5重量部である。
ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー の(A)成分に対する含有比率は、例えば、本発明の水性眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1重量部に対して、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの総含有量として、0.0002〜10000重量部、更に好ましくは0.001〜1000重量部、更に好ましくは0.005〜200重量部、特に好ましくは0.02〜50重量部である。クロロブタノールの(A)成分に対する含有比率は、例えば、本発明の水性眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1重量部に対して、クロロブタノールの総含有量として、0.
0002〜5000重量部、好ましくは0.002〜500重量部、更に好ましくは0.01〜100重量部、特に好ましくは0.05〜20重量部である。
上記 (A)成分に対する(B)成分の含有比率は、本発明の効果をより一層高めるという観点から好適である。
本発明の水性眼科組成物には、後述する通り、その使用目的に応じて、種々の薬理活性成分、生理活性成分等を配合することができ、更に、各種の添加剤も配合することができる。この場合、生理活性成分、添加物等の溶解性を向上させるために、溶解補助剤として、(A)成分以外に、更に、その他の界面活性剤を配合することができる。このような界面活性剤を配合すると通常泡立ちが多くなるが、本発明によれば、(A)成分以外の界面活性剤を配合することによって泡立ちし易くなった水性眼科組成物についても、 (A)成分と(B)成分を含有させることによって、消泡時間を短縮させることができ、製造効率を改善
し、滴下量のバラツキを抑制することができる。
本発明の水性眼科組成物に配合することができる、(A)成分以外の界面活性剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば特に制限されず、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤のいずれであってもよい。
本発明の水性眼科組成物に配合可能な(A)成分以外の非イオン性界面活性剤としては、具体的には、モノラウリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート40)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート65)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)等のPOEソルビタン脂肪酸エステル;POE(40)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40)、POE(60)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60)等のPOE硬化ヒマシ油;POE(9)ラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル;POE(20)POP(4)セチルエーテル等のPOE-POPアルキルエーテル等が挙げられる。なお、上記で例示する化合物において、括弧内の数字は付加モル数を示す。
また、本発明の水性眼科組成物に配合可能な両性界面活性剤としては、具体的には、アルキルジアミノエチルグリシン又はその塩(例えば、塩酸塩等)等が例示される。
また、本発明の水性眼科組成物に配合可能な陽イオン性界面活性剤としては、具体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が例示される。
また、本発明の水性眼科組成物に配合可能な陰イオン性界面活性剤としては、具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、脂肪族α−スルホメチルエステル、α−オレフィンスルホン酸等が例示される。
本発明の水性眼科組成物に配合可能な(A)成分以外の界面活性剤として、好ましくは、非イオン性界面活性剤であり、更に好ましくは、POEソルビタン脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油であり、特に好ましくは、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60である。
本発明の水性眼科組成物において、上記(A)成分以外の界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の水性眼科組成物に上記(A)成分以外の界面活性剤を配合する場合、その含有量は、該界面活性剤の種類、他の配合成分の種類及び含有量、該水性眼科組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定される。例えば、本発明の水性眼科組成物の総量を基準として、(A)成分以外の界面活性剤の総含有量として、0.001〜3w/v%、好ましくは0.01〜2w/v%、更に好ましくは0.05〜1w/v%、特に好ましくは0.1〜1w/v%である。
本発明の水性眼科組成物は、更に緩衝剤を含有することができる。これにより、本発明の水性眼科組成物のpHを調整できる。本発明の水性眼科組成物に配合できる緩衝剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。このような緩衝剤の一例として、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、トリス緩衝剤、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩等が挙げられる。これらの緩衝剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。ホウ酸緩衝剤としては、ホウ酸、又はホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸アルカリ土類金属塩等のホウ酸塩が挙げられる。リン酸緩衝剤としては、リン酸、又はリン酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ土類金属塩等のリン酸塩が挙げられる。炭酸緩衝剤としては、炭酸、又は炭酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ土類金属塩等の炭酸塩が挙げられる。クエン酸緩衝剤としては、クエン酸、又はクエン酸アルカリ金属塩、クエン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。また、ホウ酸緩衝剤又はリン酸緩衝剤として、ホウ酸塩又はリン酸塩の水和物を用いてもよい。より具体的な例として、ホウ酸緩衝剤として、ホウ酸又はその塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂等);リン酸緩衝剤として、リン酸又はその塩(リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム等);炭酸緩衝剤として、炭酸又はその塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム等);クエン酸緩衝剤として、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウム等);酢酸緩衝剤として、酢酸又はその塩(酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム等);アスパラギン酸又はその塩(アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カリウム等)等が例示できる。これらの緩衝剤の中でも、ホウ酸緩衝剤(特に、ホウ酸とホウ砂の組合せ)、リン酸緩衝剤(特に、リン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムの組合せ)が好ましい。
本発明の水性眼科組成物に緩衝剤を配合する場合、その含有量は、該緩衝剤の種類、他の配合成分の種類及び含有量、該水性眼科組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定される。例えば、本発明の水性眼科組成物の総量を基準として、該緩衝剤の総含有量として、0.01〜15w/v%、好ましくは0.05〜10w/v%、更に好ましくは0.1〜7.5w/v%、特に好ましくは0.5〜5w/v%である。
また、本発明の水性眼科組成物は、更に等張化剤を含有していてもよい。本発明の水性眼科組成物に配合できる等張化剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。このような等張化剤の具体例として、例えば、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール等が挙げられる。これらの等張化剤の中でも、好ましくは、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、及び塩化マグネシウム等の無機塩が挙げられ、更に好ましくは塩化ナトリウム、塩化カリウム、プロピレングリコール又はグリセリンが挙げられ、特に好ましくはグリセリンが挙げられる。これらの等張化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明の水性眼科組成物に等張化剤を配合する場合、その含有量は、該等張化剤の種類、他の配合成分の種類及び含有量、該水性眼科組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定される。例えば、本発明の水性眼科組成物の総量を基準として、該等張化剤の総含有量として、0.01〜10w/v%、好ましくは0.05〜5w/v%、更に好ましくは0.1〜3w/v%である。
本発明の水性眼科組成物のpHについては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば特に限定されるものではない。本発明の水性眼科組成物のpHの一例として、4.0〜9.5、好ましくは5.0〜9.0となる範囲が挙げられ、更に好ましくは、5.5〜8.5である。
また、本発明の水性眼科組成物の浸透圧については、生体に許容される範囲内であれば、特に制限されない。本発明の水性眼科組成物の浸透圧比の一例として、0.5〜5.0、好ましくは0.6〜3.0、更に好ましくは0.7〜2.0、特に好ましくは0.9〜1.55である。浸透圧の調整は、無機塩、多価アルコール、糖アルコール、糖等を用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。浸透圧比は、第十六改正日本薬局方に基づき、286mOsm(0.9 w/v%塩化ナトリウム水溶液の浸透圧)に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(氷点降下法)を参考にして測定する。なお、浸透圧比測定用標準液(0.9 w/v%塩化ナトリウム水溶液)については、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500〜650℃で40〜50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いればよい。
本発明の水性眼科組成物の粘度については、生体に許容される範囲内であれば、特に制限されない。例えば、回転粘度計(RE550型粘度計、東機産業社製、ローター:1°34‘x24)で測定した25℃における粘度が、0.01〜1000mPa・s、好ましくは0.05〜100mPa・s、更に好ましくは0.1〜10mPa・sである。
本発明の水性眼科組成物は、本発明の効果が奏される限り、上記成分の他に、種々の薬理活性成分及び/又は生理活性成分を単独又は適宜組み合わせて適当量含有してもよい。このような成分は特に制限されず、具体的には、眼科用薬において用いられる成分としては、次のような成分が挙げられる。
抗ヒスタミン剤又は抗アレルギー剤:例えば、イプロヘプチン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、フマル酸ケトチフェン、ペミロラストカリウム等。
充血除去剤:例えば、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸メチルエフェドリン等。
ビタミン:例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、酢酸トコフェロール等。
アミノ酸:例えば、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アミノエチルスルホン酸、イプシロン-アミノカプロン酸等。
消炎剤:例えば、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、ブロムフェナクナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、プラノプロフェン、アラントイン、アズレン、アズレンスルホン酸ナトリウム、グアイアズレン、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、塩化リゾチーム、甘草等。
その他:例えば、クロモグリク酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム等。
また、本発明の水性眼科組成物には、発明の効果が奏される範囲であれば、その用途、製剤形態等に応じて、常法に従い、様々な添加物を適宜選択し、1種又はそれ以上を併用して適当量含有させてもよい。代表的な成分として次の添加物が挙げられる。
担体:例えば、水、含水エタノール等の水性担体。
糖:例えば、シクロデキストリン等。
糖アルコール:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなど。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:例えば、セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸ポリヘキサニド、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、グローキル(商品名、ローディア社)、塩酸ポリヘキサニド等。
粘稠化剤又は増粘剤:アラビアゴム末、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ソルビトール、デキストラン70、トラガント末、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、マクロゴール4000等。
香料又は清涼化剤:メントール、アネトール、オイゲノール、カンフル、ゲラニオール、シネオール、ボルネオール、リモネン、リュウノウ等。これらは、d体、l体又はdl体のいずれでもよく、また精油(ハッカ油、クールミント油、スペアミント油、ペパーミント油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油等 )として配合してもよい。
その他:エタノール、ジブチルヒドロキシトルエン、エデト酸ナトリウム等。
油類:ゴマ油、ヒマシ油等。
本発明の水性眼科組成物は、所望量の上記(A)成分及び(B)成分、及び必要に応じて他の配合成分を所望の濃度となるように担体に添加することにより調製される。例えば、点眼剤、コンタクトレンズ装着液、洗眼剤又はコンタクトレンズケア用剤の場合、精製水で前記成分を溶解又は懸濁させ、所定のpH及び浸透圧に調整し、濾過滅菌等により滅菌処理することで調製できる。上記(A)成分及び(B)成分の溶解及びその他疎水性の高い成分の溶解に関しては、予め界面活性剤などの溶解補助作用のある成分とあわせて攪拌を行なってから、さらに精製水を加えて溶解又は懸濁させてもよい。
従って、本発明は、別の観点から、水を含む担体に、(A)ポリオキシエチレンヒマシ油、並びに(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を添加することを含む、水性眼科組成物の製造方法を提供するものである。
本発明において水性眼科組成物とは、水の含有量が、該水性眼科組成物の総量に対して、85w/v%以上の眼科組成物を意味する。該水性眼科組成物における水の含有量は、好ましくは90w/v%以上、より好ましくは92w/v%以上、更に好ましくは94w/v%以上、特に好ましくは96w/v%以上である。本発明の水性眼科組成物に用いられる水としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される水を使用すればよく、このような水として、具体的には、蒸留水、常水、精製水、滅菌精製水、注射用水、注射用蒸留水等が例示される。また本発明における水性眼科組成物の剤型については、眼科分野で使用可能である限り特に制限されないが、液状が好ましい。これらの定義は第十六改正日本薬局方に基づく。
本発明の水性眼科組成物の具体例として、点眼剤(点眼液又は点眼薬ともいう)[但し、点眼剤にはコンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む]、洗眼剤(洗眼液又は洗眼薬ともいう)[但し、洗眼剤にはコンタクトレンズ装用中に洗眼可能な洗眼剤を含む]、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用品(コンタクトレンズ消毒剤、コンタクトレンズ用保存剤、コンタクトレンズ用洗浄剤、コンタクトレンズ用洗浄保存剤、コンタクトレンズ用消毒・保存・洗浄剤(コンタクトレンズ用マルチパーパスソリューション))等が挙げられる。本発明の水性眼科組成物は、消泡時間が短縮され、使用時の滴下量のバラツキが少ないため、他の剤型と比較して特に一回の使用量が少ない、点眼剤、コンタクトレンズ装着液に好適に用いられる。特に点眼剤が好ましい。
本発明の水性眼科組成物を収容する容器としては、水性眼科組成物を収容する容器として通常用いられる容器を用いることができ、ガラス製であってもよく、またプラスチック製であってもよい。本発明の水性眼科組成物を収容する容器として、プラスチック製を使用する場合、該プラスチック容器の構成材質については、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミドのいずれか1種、これらの共重合体、または2種以上の混合体が挙げられる。また、上記共重合体としては、エチレン−2,6−ナフタレート単位、アリレート単位、エチレンテレフタレート単位、プロピレン単位、エチレン単位、イミド単位のいずれか1種を主体として、他のポリエステル単位、イミド単位を含む共重合体が挙げられる。尚、本発明において例えばポリエチレンテレフタレート製容器と記載する場合は、容器の構成材質全体の重量に対し、ポリエチレンテレフタレートが50w/w%以上であるものを意味する。
また、本発明の水性眼科組成物を収容する容器に備えられているノズルなどの容器注口周辺部についても、その構造、構成素材等については特に制限されるものではない。ノズルなどの容器注口周辺部の構造については、眼科組成物用容器(例えば点眼剤容器)の注出口(例えばノズル)として一般的に採用されている構造であればよく、容器本体と一体に成形されていてもよく、容器本体とは別に成形されていても良い。注口周辺部また注出口(例えばノズル)の構成素材については、例えば、上記プラスチック容器の構成素材と同様のものが例示される。
特に、柔軟性、コスト面、及び/又は滴下量のバラツキ抑制効果を一層良好にさせるという観点からは、ポリエチレン又はポリプロピレンを構成素材として含む注出口が好適である。ポリエチレンの種類としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等が挙げられるが、中でも低密度ポリエチレンを構成素材として含む注出口が好適である。また、注出口としては、点眼剤容器に用いられるノズルが好適である。
本発明の水性眼科組成物を収容する容器及び容器注口周辺部の好ましい組み合わせとしては、ポリエチレンテレフタレート製容器とポリエチレン製容器注口周辺部の組み合わせ、より好ましくはポリエチレンテレフタレート製点眼容器とポリエチレン製ノズルの組み合わせ、特に好ましくはポリエチレンテレフタレート製点眼容器と低密度ポリエチレン製ノズルの組み合わせであり、このような組み合わせとすることで、本発明における滴下量のバラツキ抑制効果を良好に発揮することができる。
本発明の水性眼科組成物は、消泡時間が短縮されており、使用時の滴下量のバラツキを抑制し、毎回の使用で一定量を点眼することができるので、特に薬理活性成分及び/又は生理活性成分を含有する点眼剤として適するものである。このような点眼剤の用途として、ドライアイ用点眼剤、充血除去用点眼剤、抗菌用点眼剤、抗炎症用点眼剤、痒み抑制用点眼剤、疲れ目抑制用点眼剤などが挙げられる。
また、本発明は、別の観点から、水性眼科組成物の製造のための、(A)ポリオキシエチレンヒマシ油と 、(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種の使用も提供する。
更に、本発明は、別の観点から、水性眼科組成物としての、(A)ポリオキシエチレンヒマシ油、並びに(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を含む組成物の使用も提供する。
更に、本発明は、別の観点から、水性眼科組成物としての使用のための、(A)ポリオキシエチレンヒマシ油、並びに(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を含む組成物を提供する。
[2.消泡時間の短縮方法]
前述したように、本発明の水性眼科組成物では、(A)成分及び(B)成分を含有させることによって、水性眼科組成物において消泡時間を短縮させることができ、更に、その結果、使用時の滴下量のバラツキを抑制することができる。
従って、本発明は、更に別の観点から、 (A)ポリオキシエチレンヒマシ油と、(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を、水性眼科組成物に配合することを含む、該水性眼科組成物における消泡時間を短縮させる方法を提供する。
また、本発明は、(A)ポリオキシエチレンヒマシ油を含有する水性眼科組成物に、(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を配合することを含む、該水性眼科組成物における消泡時間を短縮させる方法をも提供する。
また、本発明は、(A) ポリオキシエチレンヒマシ油と、(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を、水性眼科組成物に配合することを含む、該水性眼科組成物における使用時の滴下量のバラツキを抑制する方法を提供する。
これらの方法において、(A)成分及び(B)成分が共存するのであれば、それらの添加は同時であっても、別々であってもよく、その順序も特に限定されない。使用する(A)成分及び(B)成分の種類、それらの含有量(または配合量)、それらの比率、その他に含有させる成分の種類、含有量(または配合量)、水性眼科組成物の製剤形態、容器の種類、組み合わせ、実施方法等については、前記「1.水性眼科組成物」と同様である。
なかでも、これらの方法は、水性眼科組成物が、点眼剤、コンタクトレンズ装着液の場合に好適に適用される。
なお、本明細書において、水性眼科組成物における消泡時間が短縮されているか否かは、後述の実施例に記載の方法によって判定することが可能である。
[3.白濁を抑制する方法]
前述した通り、水性眼科組成物中に、(A)ポリオキシエチレンヒマシ油と共に、(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を配合することによって、(A)成分を含有する水性眼科組成物の保存時に生じることのある白濁を抑制することができる。
従って、本発明は、(A)ポリオキシエチレンヒマシ油を含有する水性眼科組成物に、(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を配合することを含む、該水性眼科組成物における白濁を抑制する方法を提供するものである。
また、本発明は、(A)ポリオキシエチレンヒマシ油、並びに(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を、水性眼科組成物に配合することを含む、該水性眼科組成物における白濁を抑制する方法を提供するものである。
上記した方法は、特に、保存時に白濁が生じ易い、酸化エチレンの平均付加モル数が2〜30であるポリオキシエチレンヒマシ油を含有する水性眼科組成物において、白濁を抑制する方法として有用性の高い方法である。
上記した方法では、水性眼科組成物中に(A)成分と(B)成分が共存するのであれば、それらの添加順序は特に限定されない。また、(A)成分及び(B)成分については、各成分の種類や含有量、その他に配合される成分の種類や含有量、該組成物の製剤形態などは、本発明の「1.水性眼科組成物」と同様である。
なお、本明細書において、水性眼科組成物における白濁が抑制されているか否かは、後述の実施例に記載の方法によって判定することが可能である。
以下に、実施例及び試験例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等によって限定されるものではない。
試験例1 消泡時間に関する試験(1)
下記表1及び表2に示す組成の水性眼科組成物を常法により調製し、これらを用いて消泡時間を評価した。ポリオキシエチレンヒマシ油35としては、医薬品添加物規格2003のポリオキシエチレンヒマシ油の規格に適合する酸化エチレンの平均付加モル数が35のものを用いた。塩酸テトラヒドロゾリン及びメチル硫酸ネオスチグミンとしては、WAKO製のもの、ポロクサマー407としては、医薬品添加物規格2003の規格に適合するもの、クロロブタノールとしては、第十六改正日本薬局方の規格に適合するものを用いた。
次いで、50mL容量のガラス製遠沈管に各水性眼科組成物を30mLずつ充填し、それらをRECIPAD SHAKER SR−2w(TAITEC)を用いて、1500回振とうした。振とう終了直後、目視により、泡部分と水溶液部分を確認し、泡部分の容積を測定した。次いで、当初の泡の容積が半減するまでの所要時間を泡半減期として測定し、各コントロール及び実施例の泡半減期の測定結果に基づいて、泡半減期の短縮率を下記式から算出した。短縮率が大きいほど、泡の消える速度が速いことを意味する。
泡半減期短縮率(%)=(対応するコントロールの泡半減期−各実施例の泡半減期)/(対応するコントロールの泡半減期)×100
なお、対応するコントロールとは、具体的には、実施例1〜3についてはコントロール1、実施例4〜6についてはコントロール2である。結果を表1及び表2に併せて示す。
Figure 2014015451
Figure 2014015451
表1及び表2に示す通り、ポリオキシエチレンヒマシ油35を含有し、塩酸テトラヒドロゾリン、メチル硫酸ネオスチグミン、ポロクサマー407及びクロロブタノールをいずれも含有しない水性眼科組成物(コントロール1、2)と比較して、ポリオキシエチレンヒマシ油35と共に、塩酸テトラヒドロゾリン、メチル硫酸ネオスチグミン、ポロクサマー407、又はクロロブタノールを含有する水性眼科組成物(実施例1〜6)では、いずれも大幅に泡半減期が短縮されることが確認できた。
試験例2 消泡時間に関する試験(2)
下記表3に示す組成の水性眼科組成物を常法により調製し、試験例1と同様の方法で、泡半減期の短縮率を求めた。
ポリオキシエチレンヒマシ油10としては、医薬品添加物規格2003のポリオキシエチレンヒマシ油の規格に適合する酸化エチレンの平均付加モル数が10のものを用い、塩酸テトラヒドロゾリン、メチル硫酸ネオスチグミン及びクロロブタノールとしては、試験例1と同じものを用いた。
なお、実施例7及び8について、対応するコントロールとはコントロール3である。結果を表3に併せて示す。
Figure 2014015451
表3に示す通り、ポリオキシエチレンヒマシ油10を含有し、ポロクサマー407及びクロロブタノールをいずれも含有しない水性眼科組成物(コントロール3)と比較して、ポリオキシエチレンヒマシ油10と共に、ポロクサマー407又はクロロブタノールを含有する水性眼科組成物(実施例7、8)では、いずれも大幅に泡半減期が短縮されることが確認できた。
試験例3 白濁に関する試験
下記表4に示される水性眼科組成物を常法により調製し、保存時の白濁の発生状態を評価した。ポリオキシエチレンヒマシ油10としては、試験例2と同じものを用い、塩酸テトラヒドロゾリン及びメチル硫酸ネオスチグミンとしては、試験例1と同じものを用いた。
次いで、調製した水性眼科組成物を10mL容量のガラスヘッドスペースバイアルに5mLずつ充填し、70℃の恒温器内に遮光下にて保存した。14日間保存した後に、各水性眼科組成物中の白濁度を観察し、下記の指標にて評価した。評価の結果を表4に併せて示す。
白濁度 −:澄明である
+:よく見ると白濁している
++:ひとめで白濁が認識できる程度
+++:背景がさえぎられるほどの白濁
Figure 2014015451
表4に示す通り、ポリオキシエチレンヒマシ油10を含有する水性眼科組成物では、保存14日後に白濁が認められた(比較例1)。これに対して、ポリオキシエチレンヒマシ油10と共に、塩酸テトラヒドロゾリン又はメチル硫酸ネオスチグミンを含有する水性眼科組成物では、70℃で14日保存した後にも白濁が認められず、澄明性を保持できることが確認できた(実施例9、10)。
製剤例
表5及び表6に記載の処方で、常法により、点眼剤(製剤例1〜8)を調製する。
Figure 2014015451
Figure 2014015451
Figure 2014015451
Figure 2014015451

Claims (5)

  1. (A) ポリオキシエチレンヒマシ油と、(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を含む、水性眼科組成物。
  2. イミダゾリン系血管収縮剤が、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、オキシメタゾリン及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の組成物。
  3. 更に、(A)成分以外の界面活性剤及び/又は等張化剤を含有する、請求項1又は2に記載の水性眼科組成物。
  4. 更に、ホウ酸緩衝剤を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の水性眼科組成物。
  5. (A)ポリオキシエチレンヒマシ油と、(B)イミダゾリン系血管収縮剤、ネオスチグミン、ネオスチグミンの塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びクロロブタノールからなる群より選択される少なくとも一種を、水性眼科組成物に配合することを含む、該水性眼科組成物における消泡時間を短縮させる方法。
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