JP2014015411A - タンパク質の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】目的とするタンパク質を菌体内に蓄積させてタンパク質を製造する方法において、目的とするタンパク質を含む培養液中の菌体を、従来よりも効率的に濃縮する方法を提供すること。
【解決手段】目的とするタンパク質を含む菌体を含有する微生物培養液を、内側面及び外側面を有する管壁を有する多孔質中空糸膜に流通させて菌体を濃縮する工程を備える、タンパク質の製造方法。微生物培養液は、菌体を凝集させる凝集剤を更に含有する。管壁は、疎水性高分子とポリビニルピロリドンとのブレンド物から構成される。内側面の平均孔径は、外側面の平均孔径よりも大きく、1〜50μmである。
【選択図】なし

Description

本発明は、タンパク質の製造方法に関する。
微生物を培養して菌体内に有用タンパク質を蓄積させるタンパク質の製造方法は従来からよく知られている。特に、遺伝子組換え大腸菌を用いて有用タンパク質を高発現量で生産させる場合において、菌体内に生産物であるタンパク質が蓄積されることが多い。
培養した微生物の菌体内から有用タンパク質を抽出して製造する場合、一般に、培養液から菌体を分離して濃縮する工程がまず必要とされる。続いて菌体を破砕して菌体内から有用タンパク質を抽出する工程が行われることが多い。
従来、培養液から菌体を分離して濃縮する方法としては、遠心分離法で集菌して緩衝液に再懸濁する方法、あるいはろ過法によって菌体を濃縮する方法がよく用いられている。
遠心分離法は実験室規模の培養では広く用いられており、工業生産規模においても、大型の遠心分離機を導入して用いることが多い。しかしながら、大型の遠心分離機は、初期投資が高いという経済的な問題や、回転機器を扱うことによる安全性の問題、および、使用ごとに分解洗浄が必要であるという作業性の問題を有している。また、大腸菌等の微生物の培養液では、遠心分離機で十分な集菌を行うには非常に大きな重力加速度を必要とし、小スケール規模の遠心分離機から大型の遠心分離機へのスケールアップが難しいということも課題であった。
遠心分離法を使わない集菌方法として、ろ過法によって菌体を濃縮する方法も知られているところである。ろ過方法としては、ろ過面に対して垂直に培養液を流してろ過するダイレクトフロー方式とろ過面に対して水平に培養液を流すタンジェンシャルフロー方式の2方式がある。
ダイレクトフロー方式としては、ドラムフィルターやフィルタープレス等が、除菌を目的とした分離によく用いられている。しかしながら、これらのろ過方法は、一般にろ過助剤として珪藻土等が用いられるため、菌体内の有用物を回収する目的で使用することは一般に困難である。
ろ過法で菌体を濃縮する場合に、多孔質中空糸膜モジュール等によるタンジェンシャルフロー方式が用いられることがある。例えば、この方式が遺伝子組換え大腸菌の回収にも使用された例が示されている(特許文献1参照)。タンジェンシャルフロー方式は、ダイレクトフロー方式と比較して、流体力学的作用により膜表面の堆積物による目詰まりを軽減し、濾過効率が優れているという利点がある。しかしながら、粒子径が1μm前後とされる大腸菌等の微生物の培養液をろ過する場合、膜の目詰まりを起こすためろ過速度が低下することが問題となり、特に、菌体濃度が高濃度となるにしたがって、目詰まりによるろ過速度の低下が顕著となる傾向がある。
近年、よりろ過効率を向上させたタンジェンシャルフローろ過膜として、多孔質中空糸膜の内壁側と外壁側で孔径の異なる構造を持つ傾斜構造のタンジェンシャルフローろ過膜が提示されている(特許文献2参照)。この傾斜構造のタンジェンシャルフローろ過膜は、従来型の均質構造のタンジェンシャルフローろ過膜よりも優れた透過流速を有する。例えば、傾斜構造のタンジェンシャルフローろ過膜を用いてビール醗酵液の清澄ろ過を行った例が示されている(特許文献2参照)。また、動物細胞培養液の清澄ろ過において、従来型の均質構造のタンジェンシャルフローろ過膜よりも単位膜面積当たりのろ過速度が優れていることが示されている(特許文献3参照)。
特開2002−262855公報 国際公開第2010/035754号 国際公開第2010/035793号
大腸菌等の菌体を含む培養液のろ過において、傾斜構造のタンジェンシャルフローろ過膜を用いることにより、従来よりも優れた効率の集菌工程を構築できることが期待される。
しかしながら、大腸菌等の菌体を含む培養液を傾斜構造のタンジェンシャルフローろ過膜でろ過すると、膜の目詰まりが起きるという問題がある。そのため、大腸菌等の菌体を含む培養液の濃縮のために、傾斜構造のタンジェンシャルフローろ過膜を使用することは実際には困難であった。
本発明の目的は、目的とするタンパク質を菌体内に発現させてタンパク質を製造する方法において、目的とするタンパク質を含む培養液中の菌体を、従来よりも効率的に濃縮する方法を提供することにある。
本発明は、均質構造を有する従来型タンジェンシャルフローろ過膜よりも優れた透過流速を有する傾斜構造の多孔質中空糸膜を用いて、菌体を効率的に濃縮することを可能にする、以下のタンパク質の製造方法に関する。
(1)目的とするタンパク質を含む菌体を含有する微生物培養液を、内側面及び外側面を有する管壁を有する多孔質中空糸膜に流通させて前記菌体を濃縮する工程を備え、
前記微生物培養液が、前記菌体を凝集させる凝集剤を更に含有し、
前記管壁が、疎水性高分子とポリビニルピロリドンとのブレンド物から構成されており、
前記内側面の平均孔径が、前記外側面の平均孔径よりも大きく、1〜50μmである、
タンパク質の製造方法。
(2)前記凝集剤が、4級アンモニウム基を有する化合物、及びアミジン系ポリマーから選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、(1)に記載のタンパク質の製造方法。
(3)前記4級アンモニウム基を有する化合物が、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、及び塩化ベンザルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である、(1)又は(2)に記載のタンパク質の製造方法。
(4)前記菌体が細菌である、(1)〜(3)のいずれかに記載のタンパク質の製造方法。
(5)前記目的とするタンパク質が遺伝子組み換えタンパク質であり、前記菌体が大腸菌である、(1)〜(4)のいずれかに記載のタンパク質の製造方法。
(6)濃縮された前記菌体を物理的に破砕して、前記菌体内から前記タンパク質を抽出する工程を更に備える、(1)〜(5)のいずれかに記載のタンパク質の製造方法。
(7)濃縮された前記菌体を高圧ホモジナイザーを用いて物理的に破砕する、(6)に記載のタンパク質の製造方法。
(8)前記多孔質膜中空糸膜におけるポリビニルピロリドンの含有割合が、前記多孔質中空糸膜の総質量を基準として、0.2質量%以上3質量%以下である、(1)〜(7)のいずれかに記載のタンパク質の製造方法。
(9)前記管壁を膜厚方向に3等分して3つの領域に分割したときに、前記外側面を含む外周領域のポリビニルピロリドンの含有割合が、前記内側面を含む内周領域のポリビニルピロリドンの含有割合よりも大きい、(1)〜(8)のいずれかに記載のタンパク質の製造方法。
(10)前記多孔質中空糸膜におけるポリビニルピロリドンの含有割合が、下記式(I)を満たす、(1)〜(9)のいずれかに記載のタンパク質の製造方法。
out/Cin≧2 (I)
[式(I)中、Coutは前記外周領域におけるポリビニルピロリドンの含有割合を示し、Cinは前記内周領域におけるポリビニルピロリドンの含有割合を示す。]
(11)前記外周領域が、0.1μm以上1μm未満の阻止孔径を有する、(1)〜(10)のいずれかに記載のタンパク質の製造方法。
(12)前記管壁の膜厚が、300μm以上1000μm以下である、(1)〜(11)のいずれかに記載のタンパク質の製造方法。
(13)前記多孔質中空膜の内径が、1000μm以上2000μm以下である、(1)〜(12)のいずれか一項に記載のタンパク質の製造方法。
(14)前記疎水性高分子がポリスルホンである、(1)〜(13)のいずれかに記載のタンパク質の製造方法。
本発明によると次の効果が得られた。傾斜構造を有する多孔質中空糸膜に、凝集剤を添加した培養液を流通して菌体を濃縮することにより、従来型の均質構造のタンジェンシャルフローろ過膜を用いた濃縮方法よりも高いろ過速度を得られた。これにより、従来技術よりも菌体濃縮に要する時間および必要とする膜面積を削減することが可能となった。また、凝集した菌体を、高圧ホモジナイザー等を用いて破砕することによって、95%以上の抽出効率で菌体内の有用タンパク質を回収できる。
以上より、遠心分離法よりも安全で低コストで簡便であり、従来型の均質構造のタンジェンシャルフロー濾過膜を用いた菌体濃縮法よりも効率的な方法を確立できた。
実施例および比較例における、単位膜面積あたり累積ろ液量とろ過時間との関係を示すグラフである。 実施例および比較例における、単位膜面積あたりろ過速度と濃縮倍率との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係るタンパク質の製造方法は、凝集剤を添加した微生物培養液を多孔質中空糸膜に流通させて、菌体を濃縮する工程を含む。
多孔質中空糸膜は、内側面及び外側面を有する管壁を有する。多孔質中空糸膜の管壁は、疎水性高分子とポリビニルピロリドンとのブレンド物から構成されている。管壁の内側面の平均孔径は、1〜50μmであって、外側面の平均孔径よりも大きい。
凝集剤は、微生物を凝集させる作用を有する化合物であれば特に制限されないが、生成した凝集体が多孔質中空糸膜を詰まらせ難く、菌体内の有用タンパク質の回収率に実質的に影響することがない凝集剤が好ましい。このような凝集剤としては、アミジン系ポリマー、及び、4級アンモニウム基を有する化合物があげられる。これらの凝集剤によれば、数十〜数百μm程度の粒子径を有する均質な凝集物が形成され、その他の凝集剤よりも中空糸膜内を流通させるために最適な凝集物が形成されるからである。
アミジン系ポリマーとしては、ポリビニルアミジンが好ましい。4級アンモニウム基を有する化合物としては、アルキルアンモニウム塩、アシルピリジニウム塩があげられるが、中でも、塩化ベンザルコニウムおよびセチルピリジニウムクロライドが好ましい。また、凝集作用が強いことから、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドも好ましい。
凝集剤は、微生物菌体内の目的とする有用タンパク質の回収率に実質的に影響を及ばさない範囲で、菌体を凝集させる濃度で培養液に添加される。適切な濃度は、凝集剤の種類、微生物の種類および菌体濃度、培養液の組成やpH等により異なるが、通常、培養液全体の質量を基準として0.001〜0.1質量%の範囲である。
微生物とは、細菌、放線菌、酵母、又はカビに分類されるものをいう。本実施形態に係る方法は、中でも、細菌を用いた菌体内の有用タンパク質の製造に用いることが好ましい。細菌に分類される微生物として、用いる微生物種は特に限定されないが、本実施形態に係る方法は、大腸菌を用いる場合に、特に好適であり、遺伝子組換え大腸菌を用いたタンパク質の製造に本実施形態に係る方法を用いることが好ましい。なお、本明細書において、細菌、大腸菌は一般に用いられている概念を示すものであり、大きさとしては、例えば、細菌は、粒子径が0.3〜10μmのもの、大腸菌は粒子径が0.5〜3μmのものを想定する。本実施形態に係る発明は、微生物培養液に凝集剤を含有させることで、菌体を凝集させ、膜の目詰まりを効率的に防げるものであるが、特に、目詰まりの問題が深刻になる特定の粒子径を有する菌体を用いて濃縮する工程では、本実施形態に係る方法を用いることで、菌体が膜孔に蓄積するのを有効に防ぐことができる。また、多孔質中空糸膜モジュールを用いた菌体濃縮法は、閉鎖系での濃縮が可能であり、遺伝子組換え微生物の拡散防止の点でも特に有効である。
多孔質中空糸膜が、疎水性高分子と親水性高分子であるポリビニルピロリドンとのブレンド物から構成されることで、除去物の吸着を 抑制し、ろ過性能を向上させる効果が得られる。多孔質中空糸膜は、管壁の内側面の平均孔径が、管壁の外側面の平均孔径よりも大きい傾斜構造を有する。また、管壁の内側面の平均孔径は、1〜50μmである。これにより、膜内部に除去物を保持するデプスろ過の効果を得ることができ、高いろ過速度を長時間維持することができる。内側面の平均孔径が1μm未満である場合、除去物を膜内部に保持するデプスろ過の効果が小さくなり、膜面への除去物の堆積による膜孔の閉塞が起こりやすくなる傾向がある。また、内側面の平均孔径が50μmより大きい場合、膜面における孔が占める割合が大きくなるため、多孔質中空糸膜の強度が低下する傾向にある。
多孔質膜中空糸膜におけるポリビニルピロリドンの含有割合は、多孔質中空糸膜の総質量を基準として、0.2質量%以上3質量%以下であることが好ましい。ポリビニルピロリドンの含有割合が0.2質量%未満である場合には除去物が膜面および膜内部に吸着しやすくなり、膜孔内部の閉塞が起こりやすく、洗浄が困難となりやすい傾向がある。ポリビニルピロリドンの含有割合が3質量%より多い場合には、膨潤により膜孔が閉塞し、透過抵抗が大きくなる傾向がある。
多孔質中空糸膜の管壁を膜厚方向に3等分して3つの領域に分割したときに、外側面を含む外周領域のポリビニルピロリドンの含有割合が、内側面を含む内周領域のポリビニルピロリドンの含有割合よりも大きいことが好ましい。より好ましくは、下記式(I)が満たされる。
out/Cin≧2 (I)
上記式(I)中、Coutは多孔質中空糸膜の外周領域におけるポリビニルピロリドンの含有割合を示し、Cinは多孔質中空糸膜の内周領域におけるポリビニルピロリドンの含有割合を示す。ポリビニルピロリドンがこのような分布を示す多孔質中空糸膜は、内周領域における、デプスろ過の効果と、外周領域における、除去物の吸着防止効果に一層優れる。また、洗浄性に優れ、ろ過と洗浄を繰り返した場合でも高いろ過性能を維持することができる。
多孔質中空糸膜の外周領域は、0.05μm以上1μm未満の阻止孔径を有することが好ましく、0.1μm以上1μm未満の阻止孔径を有することがさらに好ましく、0.2μm以上0.8μm以下の阻止孔径を有することがより好ましい。阻止孔径が0.05μm未満であると、透過抵抗が大きくなり、ろ過に要する圧力が高くなり、微生物粒子の破壊、変形による膜面閉塞が生じて、ろ過効率向上の効果が低下する場合がある。また、阻止孔径が1μm以上であると、十分な分画性が得られ難い傾向にある。
多孔質中空膜の管壁の膜厚は、300μm以上1000μm以下であることが好ましい。膜厚が300μm未満の多孔質中空糸膜では、膜内部の除去物を保持可能な範囲が制限されるため、デプスろ過の効果を十分に得られない場合があり、かつ、ろ過速度の低下が起こりやすくなる傾向にある。膜厚が1000μmより大きい多孔質中空糸膜では、膜内部に堆積した除去物を洗浄することが困難となり、洗浄後にろ過性能は十分に回復しない場合がある。
多孔質中空糸膜の内径は、1000μm以上2000μm以下であることが好ましい。内径が1000μm未満であると、凝集した微生物粒子が中空糸の入口を閉塞し、ろ過を継続することが比較的困難となる可能性がある。また、内径が2000μmより大きい場合、多孔質中空糸膜1本が太くなり、モジュールあたりの有効な膜面積が減少してしまい、ろ過性能が低下する傾向にある。
多孔質中空糸膜を構成する疎水性高分子としては、例えば、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。中でも、疎水性高分子がポリスルホンであることが好ましい。ポリスルホンで構成された膜は蒸気滅菌が可能であるため、遺伝子組換え微生物の拡散防止の点で有用である。
本実施形態に係る製造方法は、菌体を濃縮する工程のあと、濃縮された菌体を物理的に破砕して、菌体内から有用タンパク質を抽出する工程を含むことが好ましい。リゾチーム処理等による酵素的な菌体破砕方法は、凝集剤を添加した菌体に対しては効果が必ずしも大きくないため、タンパク質の回収率を低下させる可能性がある。物理的破砕方法としては、超音波破砕、ガラスビーズ破砕、高圧ホモジナイザー破砕等、タンパク質を効率的に抽出できるものであればどの方法でも採用可能であるが、最も菌体破砕効率に優れ、スケールアップが容易であることなどから、高圧ホモジナイザーの使用が好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例および比較例に限定されるものではない。
下記実施例において使用した傾斜構造タンジェンシャルフローろ過膜の膜構造については、内側面平均孔径及び最小孔径層の位置の測定、最小孔径層の孔径の測定、内径、外径及び膜厚の測定、ポリビニルピロリドンの含有割合の測定、ポリビニルピロリドンの分布の測定を以下の方法で行って確認した。
(1)側面の平均孔径及び最小孔径層の位置の測定
凍結乾燥した多孔質中空糸膜の内側面を、電子顕微鏡を用いて1視野において10個以上の孔が観測可能な倍率で観察した。得られた顕微鏡写真における細孔を円形近似処理し、その面積平均値から求めた直径を内側面の平均孔径とした。凍結乾燥した多孔質膜の断面を内側面側から外側面へ向かって連続して観察し、断面孔径が最小になる層の位置を確認した。
(2)最小孔径層の孔径(外側面の平均孔径)決定法
ポリスチレンラテックス粒子を、0.5wt%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液に、粒子濃度が0.01wt%になるように分散させ、ラテックス粒子分散液を調製した。多孔質中空糸膜を用いてラテックス粒子分散液のろ過を行い、ろ過前後のラテックス粒子の濃度変化を測定した。この測定を、0.1μmから約0.1μm刻みでラテックス粒子径を変えながら行いラテックス粒子の阻止曲線を作成した。この阻止曲線から、90%透過阻止可能な粒子径を読み取り、その径を最小孔径層の孔径(阻止孔径)とした。
上記の「(1)最小孔径層の位置の測定」により、外周領域に最小孔径層があること確認できたとき、上記「(2)最小孔径層の孔径決定法」により決定される最小孔径層の孔径(阻止孔径)を外側面の平均孔径とした。
(3)多孔質中空糸膜の内径、外径及び膜厚の測定
多孔質中空糸膜を円筒状に薄く切りそれを測定顕微鏡で観察し、多孔質中空糸膜の内径(μm)、外径(μm)を測定した。得られた内径、外径から下記の式(II)を用いて膜厚を算出した。
膜厚(μm)=(外径−内径)/2 (II)
(4)ポリビニルピロリドンの含有割合の測定(ポリスルホン膜の場合)
多孔質中空糸膜のH−NMR測定を下記の条件で実施し、得られたスペクトルにおいて1.85〜2.5ppm付近に現れるポリビニルピロリドン(4H分)由来のシグナルの積分値(IPVP)と7.3ppm付近に現れるポリスルホン(4H分)由来の積分値(IPSf)から、下記式(III)によって算出した。
[測定条件]
装置:JNM−LA400(日本電子株式会社)
共鳴周波数:400.05MHz
溶媒:重水素化DMF
試料濃度:5重量%
積算回数:256回
[式(III)]
ポリビニルピロリドン含有割合(質量%)=111(IPVP/4)/{442(IPSf/4)+111(IPVP/4)}×100
上記のように算出される「ポリビニルピロリドン含有割合」は、多孔質中空糸膜の総
量を基準としたポリビニルピロリドンの含有量である。
(5)ポリビニルピロリドンの分布の測定
多孔質中空糸膜の管壁を膜厚方向に3等分して3つの領域に分割したときに、外周面を含む外周領域の部分と、内側面を含む内周領域の部分とをサンプリングし、多孔質中空糸膜中に含まれるポリビニルピロリドンの含有割合を上記測定と同様にしてNMR測定より求めた。得られた外周領域におけるポリビニルピロリドンの含有割合(Cout)と、内周領域における含有割合(Cin)から下記式(IV)によりポリビニルピロリドンの分布を求めた。
ポリビニルピロリドンの分布=Cout/Cin (IV)
(実施例1)
(遺伝子組換え大腸菌の培養)
遺伝子組換えタンパク質を菌体中に産生する遺伝子組換え大腸菌を以下の方法で培養した。
50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地プレートに、遺伝子組換え大腸菌のグリセロールストックを接種し、37℃で16時間培養した。出現したコロニーの1つを、LB液体培地に接種し、37℃で7時間培養した。得られた培養液の0.5mLを、加圧通気攪拌培養槽(培地液量3L、培地組成:2% グルコース、0.1% ラクトース1水和物、0.5% 酵母エキス、1.0% ペプトン、0.5% NaCl)に接種して、37℃で16時間、通気攪拌培養を行い、培養液2.8Lを得た。
(遺伝子組換え大腸菌培養液の遺伝子組換えタンパク質の定量)
得られた培養液から1mLをサンプリングし、遠心分離にて菌体を分離した。上澄み液を除いた後、1mg/mLのリゾチームを含む10mMトリス緩衝液(pH8.0)1mLを添加し、15℃にて30分間処理した。その後、凍結解凍法にて菌体を破砕して、遠心分離を行い、上澄み液中に遺伝子組換えタンパク質を回収した。遺伝子組換えタンパク質の濃度を、ODSカラムを用いたHPLC法で分析した。養液中の組換え遺伝子タンパク質濃度は、1.2g/Lであった。
(遺伝子組換え大腸菌培養液の菌体濃縮)
培養液 1Lに、凝集剤として1% セチルピリジニウムクロライド溶液を30mL添加し、攪拌後30分間静置して菌体を凝集させた。その後、傾斜構造タンジェンシャルフローろ過膜(商品名「Biooptimal MF−SL(旭化成メディカル(株)製)、公称孔径 0.4μm、有効膜面積 0.005m、膜材質 ポリビニルピロリドン含有ポリスルホン、膜の傾斜構造あり[内側面平均孔径 30μm、外周領域阻止孔径 0.4μm])を用いて、培養液の菌体濃縮を行った。循環ポンプの流速は235mL/minとし、濾過圧力は成り行きとした。5分ごとに採取したろ液の重量からろ過速度を測定した。
図1は、累積ろ過量とろ過時間との関係を示すグラフであり、図2は、ろ過速度と濃縮倍率との関係を示すグラフである。ろ過時間は40分間で、累積ろ液量は890mLであり、ろ過により培養液中の菌体を8.4倍に濃縮できた。膜ろ過装置配管内に脱イオン水を通液して残った菌体を回収し、濃縮菌体液210mLを得た。
(菌体破砕処理)
得られた濃縮菌体液に、1MTris−HCl緩衝液(pH8.5)を2.1mL添加し、フレンチプレス(大岳製作所製、147MPa加圧)を用いて菌体を破砕した。菌体破砕液205mLを回収し、遺伝子組換えタンパク質3.2gを得た。
(比較例1)
実施例1と同様に遺伝子組換え大腸菌を培養し、培養液2.8Lを得た。遺伝子組換えタンパク質濃度は、1.4g/Lであった。得られた培養液を用いて、凝集剤を添加しないこと以外は実施例1と同様に培養液の菌体濃縮を行った。
ろ液量の経過を図1に示し、ろ過速度の経過を図2に示した。ろ過時間は40分間で、累積ろ液量は89mLであった。菌体濃縮率は1.1倍程度であった。
(実施例2)
実施例1と同様に遺伝子組換え大腸菌を培養し、培養液2.8Lを得た。遺伝子組換えタンパク質濃度は、1.1g/Lであった。得られた培養液1Lに、凝集剤として1% ジメチルジアリルアンモニウムクロライド溶液を10mL添加して攪拌後30分間静置して菌体を凝集させた。その後、実施例1と同様に培養液の菌体濃縮を行い、培養液が200mLになるまで濃縮した。
ろ液量の経過を図1に示し、ろ過速度の経過を図2に示した。ろ過時間は19.5分間で、培養液中の菌体を約5倍に濃縮できた。単位膜面積当たりのろ液量は160L/mであった。実施例1と同様に菌体破砕処理を行い、菌体破砕液185mLを回収し、遺伝子組換えタンパク質3.0gを得た。
(比較例2)
実施例1と同様に遺伝子組換え大腸菌を培養し、培養液2.8Lを得た。遺伝子組換えタンパク質濃度は、1.2g/Lであった。得られた培養液1Lに、1% ジメチルジアリルアンモニウムクロライド溶液を10mL添加して攪拌後30分間静置して菌体を凝集させた。その後、従来型の均質構造のタンジェンシャルフローろ過膜(商品名「Microza ULP−043」(旭化成ケミカルズ(株)製)、公称孔径 0.45μm、有効膜面積 0.012m2、膜材質 ポリフッ化ビニリデン、膜の傾斜構造なし)を用いた以外は、実施例1と同様な方法で培養液の菌体濃縮を行い、培養液が200mLになるまで濃縮した。
ろ液量の経過を図1に示し、ろ過速度の経過を図2に示した。ろ過時間は14.5分間で、培養液中の菌体を約5倍に濃縮できた。単位膜面積当たりのろ液量は66L/mであった。実施例1と同様に菌体破砕処理を行い、菌体破砕液195mLを回収し、遺伝子組換えタンパク質2.9gを得た。

Claims (14)

  1. 目的とするタンパク質を含む菌体を含有する微生物培養液を、内側面及び外側面を有する管壁を有する多孔質中空糸膜に流通させて前記菌体を濃縮する工程を備え、
    前記微生物培養液が、前記菌体を凝集させる凝集剤を更に含有し、
    前記管壁が、疎水性高分子とポリビニルピロリドンとのブレンド物から構成されており、
    前記内側面の平均孔径が、前記外側面の平均孔径よりも大きく、1〜50μmである、
    タンパク質の製造方法。
  2. 前記凝集剤が、4級アンモニウム基を有する化合物、及びアミジン系ポリマーから選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、請求項1に記載のタンパク質の製造方法。
  3. 前記4級アンモニウム基を有する化合物が、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、及び塩化ベンザルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のタンパク質の製造方法。
  4. 前記菌体が細菌である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタンパク質の製造方法。
  5. 前記目的とするタンパク質が遺伝子組み換えタンパク質であり、前記菌体が大腸菌である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のタンパク質の製造方法。
  6. 濃縮された前記菌体を物理的に破砕して、前記菌体内から前記タンパク質を抽出する工程を更に備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載のタンパク質の製造方法。
  7. 濃縮された前記菌体を高圧ホモジナイザーを用いて物理的に破砕する、請求項6に記載のタンパク質の製造方法。
  8. 前記多孔質中空糸膜におけるポリビニルピロリドンの含有割合が、前記多孔質中空糸膜の総質量を基準として、0.2質量%以上3質量%以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のタンパク質の製造方法。
  9. 前記管壁を膜厚方向に3等分して3つの領域に分割したときに、前記外側面を含む外周領域のポリビニルピロリドンの含有割合が、前記内側面を含む内周領域のポリビニルピロリドンの含有割合よりも大きい、請求項1〜8のいずれか一項に記載のタンパク質の製造方法。
  10. 前記多孔質中空糸膜におけるポリビニルピロリドンの含有割合が、下記式(I)を満たす、請求項1〜9のいずれか一項に記載のタンパク質の製造方法。
    out/Cin≧2 (I)
    [式(I)中、Coutは前記外周領域におけるポリビニルピロリドンの含有割合を示し、Cinは前記内周領域におけるポリビニルピロリドンの含有割合を示す。]
  11. 前記外周領域が、0.1μm以上1μm未満の阻止孔径を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のタンパク質の製造方法。
  12. 前記管壁の膜厚が、300μm以上1000μm以下である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のタンパク質の製造方法。
  13. 前記多孔質中空糸膜の内径が、1000μm以上2000μm以下である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のタンパク質の製造方法。
  14. 前記疎水性高分子がポリスルホンである、請求項1〜13のいずれか一項に記載のタンパク質の製造方法。
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