JP2014014610A - 内視鏡装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】挿入部や操作部を大型化することなく湾曲性能の高い内視鏡装置を提供すること。
【解決手段】可撓管部10と、可撓管部10の一端に設けられた湾曲部6と、湾曲部6に取り付けられた撮像機構と、可撓管部10の他端に設けられた本体部と、湾曲部6に一端が固定され本体部に他端が配されたアングルワイヤ7と、撮像機構に一端が接続され本体部に他端が配された信号線と、を備え、可撓管部10は、アングルワイヤ7が進退自在に挿通されるアングルコイル13と、アングルコイル13が固定され信号線と一体成形され可撓性を有する長尺の内側樹脂部材12と、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、内視鏡装置に関する。
従来、観察対象物の内部など、観察者が直接目視することが困難な場所を観察するための内視鏡装置が知られている。内視鏡装置は、長尺な挿入部と、挿入部の先端に設けられた撮像機構とを備えている。
内視鏡装置は、人体の内部を観察する医療用内視鏡と、機械の内部を観察する工業用内視鏡とに大別される。
例えば、特許文献1には、ボイラー、化学プラント等において使用される内視鏡が開示されている。特許文献1に記載の内視鏡は、観察対象物内に挿入される可撓管部に、湾曲動作可能な湾曲部を有している。さらに、特許文献1に記載の内視鏡の可撓管部には、湾曲部を湾曲動作させるための複数のアングルワイヤが設けられている。特許文献1に記載の内視鏡において、アングルワイヤは、アングルワイヤに対して適度なクリアランスを有する案内管や螺旋管に挿通され、案内管内で滑らかに移動可能とされている。これにより、アングルワイヤに牽引力をかけることによって、湾曲部を湾曲動作させることができる。
特開2000−296106号公報
特許文献1に記載の内視鏡では、湾曲部を湾曲動作させるための牽引力がアングルワイヤにかけられたときに、アングルワイヤが挿通される案内管や螺旋管が弾性変形されたり、軸ズレを起こしながら圧縮されたりする場合が考えられる。すると、案内管や螺旋管が圧縮される分の長さが損失となって湾曲部の湾曲量が不足し、湾曲性能が低くなってしまう可能性がある。
湾曲部における湾曲量の不足を補おうとする場合、たとえば、特許文献1に記載の内視鏡に対して、案内管や螺旋管を、圧縮に対する剛性が高い管とすることが考えられる。しかしながら、剛性を高めようとすると案内管や螺旋管が大径となるので、可撓管部が太くなってしまう。また、湾曲部における湾曲量の不足を補うことができる分だけアングルワイヤの牽引量を予め大きくしておくことも考えられるが、この場合、アングルワイヤを牽引するための操作部が大型化してしまう可能性がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、挿入部や操作部を大型化することなく湾曲性能の高い内視鏡装置を提供することである。
本発明の一態様は、長尺の可撓管部と、前記可撓管部の一端に設けられた湾曲部と、前記湾曲部に取り付けられた撮像機構と、前記可撓管部の他端に設けられた本体部と、前記湾曲部に一端が固定され前記本体部に他端が配されたアングルワイヤと、前記撮像機構に一端が接続され前記本体部に他端が配された信号線と、を備え、前記可撓管部は、前記アングルワイヤが進退自在に挿通されるコイルと、前記コイルが固定され前記信号線と一体成形され可撓性を有する長尺の樹脂部材と、を備えることを特徴とする内視鏡装置である。
また、前記コイルは、素線が螺旋状に巻かれて形成されており、前記素線の隙間には前記樹脂部材が入り込んでいてもよい。
また、前記素線の隙間に入り込んだ前記樹脂部材は、前記素線の中心線よりも前記コイルの径方向内側へ入り込んでおり、前記樹脂部材が入り込んだ状態のコイルは、前記アングルワイヤの外径より大きな内径の孔を有していてもよい。
また、前記可撓管部は、前記樹脂部材の外側を覆い前記樹脂部材よりも硬質な外側樹脂を有していてもよい。
また、前記樹脂部材は、前記挿入部側から前記本体部側へ向かって漸次硬くなるように形成されていてもよい。
また、前記外側樹脂と前記樹脂部材との間には、金属製の平板が螺旋状に巻かれてなるフレックスチューブが設けられており、前記外側樹脂は、前記平板の隙間に入り込んで前記樹脂部材に接していてもよい。
また、前記樹脂部材は導電性を有していてもよい。
また、前記アングルワイヤは、前記可撓管部の中心軸線を対称軸としたときに非対称となるように配置され、前記樹脂部材は、前記可撓管部と前記湾曲部との境界よりも前記本体部側に隙間を開けて配されていてもよい。
また、前記信号線は、前記隙間において弛みを有して配されていてもよい。
また、上記態様において、前記可撓管部、前記湾曲部、及び前記撮像機構を少なくとも有し観察対象物に挿入される挿入部をさらに備え、前記樹脂部材は、流体を流通させるチャンネルを有し、前記チャンネルの内部と前記コイルの内部とは連通されて前記挿入部を冷却するための冷却用流体が流通する一続きの流路となっていてもよい。
本発明によれば、挿入部や操作部を大型化することなく湾曲性能の高い内視鏡装置を提供することができる。
本発明の一実施形態の内視鏡装置を示す全体図である。 同内視鏡装置における先端構成部及び湾曲部を示す断面図である。 同内視鏡装置における湾曲部及び可撓管部の一部を示す断面図である。 図3の拡大図である。 図3のA−A線における断面図である。 同内視鏡装置の作用を説明するための模式図である。 同実施形態の変形例の構成を示す断面図である。 同実施形態の変形例における他の構成を示す断面図である。 同実施形態の別の変形例の構成を示す断面図である。 図9のB−B線における断面図である。 同実施形態の別の変形例の構成を示す図で、図3のA−A線における断面図である。
本発明の一実施形態の内視鏡装置について説明する。図1は、本実施形態の内視鏡装置を示す全体図である。図2は、内視鏡装置における先端構成部を示す断面図である。図3は、内視鏡装置における湾曲部を示す断面図である。
図1に示すように、内視鏡装置1は、観察対象物内に挿入される挿入部2と、挿入部2に接続された本体部20とを備える。
挿入部2は、先端構成部3、湾曲部6、及び可撓管部10を有し、長尺に構成されている。
図2に示すように、先端構成部3は、撮像機構4と、観察対象物に対して照明光を照射する照明機構5とを備える。また、先端構成部3は、交換可能なキャップ状の光学アダプタを有していてもよい。
撮像機構4は、観察対象物の像を撮像するために設けられており、図示しないが、外光を導くための光学系と、CCDやCMOS等のイメージセンサとを有している。撮像機構4は、信号線11Aを介して、本体部20内に設けられた制御部に電気的に接続されている。
照明機構5は、例えばLED等を有し、本体部20内に設けられた後述する制御部に、電力線11Bを介して接続されている。本実施形態では、電力線11Bは、信号線11Aとは離間して挿入部2内に配されている。なお、照明機構5の電力線11Bは、撮像機構4の信号線11Aとともに撚られて挿入部2内に配されていてもよい。
図2に示すように、湾曲部6は、筒状の節輪又は湾曲コマ(以下、「節輪等6a」と称する。)が軸線方向に整列されて連結された管状部である。湾曲部6は、各節輪等6aがそれぞれの連結部分において屈曲することにより、全体として湾曲されるようになっている。本実施形態では、湾曲部6は、挿入部2の軸線から離間する方向、例えば4方向に湾曲動作可能である。湾曲部6において挿入部2の遠位端側(先端構成部3が設けられている側)に位置する節輪等6aには、湾曲部6を湾曲させるためのアングルワイヤ7の一端が取り付けられている。本実施形態の内視鏡装置1において、湾曲部6は、挿入部2の軸線から離間する4方向に湾曲させるために各方向に対応した4本のアングルワイヤ7(図1参照)が配された構成となっている。各アングルワイヤ7は、挿入部2内を通って本体部20まで延びている。
図3は、内視鏡装置1における湾曲部6及び可撓管部10の一部を示す断面図である。図4は、図3の拡大図である。図5は、図3のA−A線における断面図である。
図1に示すように、可撓管部10は、先端構成部3を観察対象物まで案内するために必要な長さを有する長尺の筒状部材であり、湾曲部6に連結されている。図3、図4、および図5に示すように、可撓管部10は、信号線11A、内側樹脂部材12、アングルコイル13、フレックスチューブ14、内側ブレード16、外側樹脂部材17、及び外側ブレード18を有している。
信号線11Aは、一端が撮像機構4に接続され、他端が本体部20内の制御部に接続されている。また、信号線11Aは、内側樹脂部材12となる樹脂材料の内部に埋め込まれた状態で押し出し成型されることにより、内側樹脂部材12と一体となっている。また、本実施形態では、信号線11Aは、金属の編み線からなるシールドによって被覆されている。信号線11Aのシールドは、内側樹脂部材12と接しており、後述する本体部20におけるグランドに電気的に接続されている。また、信号線11Aは、異なる信号あるいは電力が流れる複数の線が撚られている。また、照明機構5用の電力線11Bは、内側樹脂部材12において信号線11Aとは別の位置に配置されている。また、照明機構5の電力線11Bも信号線11Aと一体に撚られていても良い。
内側樹脂部材12は、可撓性を有する樹脂によって形成された長尺部材である。内側樹脂部材12は、信号線11Aが中央に配された状態で押し出し成型によって形成されており、信号線11Aと一体となっている。内側樹脂部材12は、例えば熱可塑性樹脂によって構成される。内側樹脂部材12の材質はとくに限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリウレタン、フッ素系樹脂などを採用することができる。
また、本実施形態では、内側樹脂部材12は、導電性を有する。これにより、信号線11Aのシールドとともに内側樹脂部材12が外乱ノイズに対するシールドとして機能する。
また、図5に示すように、内側樹脂部材12には、アングルコイル13が挿通される貫通孔12aが形成されている。内側樹脂部材12には、アングルコイル13の数に対応する数の貫通孔12aが形成されており、各貫通孔12aの内面には、アングルコイル13が固定されている。具体的には、内側樹脂部材12は、所定の処理により硬化する樹脂が採用されており、樹脂が軟化状態にあるときにアングルコイル13が貫通孔12aの内面に押し付けられ、この状態で樹脂を硬化させることによってアングルコイル13が内側樹脂部材12の貫通孔12a内に固定されている。なお、内側樹脂部材12が熱可塑性樹脂である場合、各貫通孔12aの内面を加熱することにより軟化させてアングルコイル13を取り付けることができる。
図3及び図4に示すように、アングルコイル13は、アングルワイヤ7に対する摩擦抵抗が小さな線材がコイル形状に巻かれて形成されている。アングルコイル13のコイル形状は、密着巻きとされている。なお、アングルコイル13を構成する素線の間には、内側樹脂部材12が挟みこまれた僅かな隙間があってもよい。本実施形態では、アングルコイル13は、湾曲部6における湾曲方向に対応して、4本設けられている。本実施形態では、アングルコイル13は、1つのアングルコイル13に1つのアングルワイヤ7が挿通されている。
図4に示すように、アングルコイル13を構成する線材の間には、内側樹脂部材12の一部が入り込んでいる。本実施形態では、内側樹脂部材12は、アングルコイル13を構成する線材の中心線よりも、アングルコイル13の径方向内側に入り込んでいる。内側樹脂部材12がアングルコイル13の素線の間に入り込む量は、アングルコイル13の中心軸線に沿ってみたときのアングルコイル13の内周よりもはみ出していない状態となっている。が、アングルコイル13を構成する素線によって形成される程度となっている。これにより、アングルコイル13の内部に挿通されるアングルワイヤ7は、アングルコイル13を構成する素線に接し、内側樹脂部材12からは離間した状態となっている。
アングルコイル13の材質は、湾曲部6を湾曲させる場合の牽引力に耐える剛性を有し、且つ可撓管部10の柔軟性を損なわないようにする点を考慮して、適宜選択される。例えば、アングルコイル13は、金属の細線材によってコイル状に形成される。
フレックスチューブ14は、例えば平板状の金属(図3参照)が螺旋状に巻かれて形成されたコイル形状の管状部材である。フレックスチューブ14は、可撓管部10が可撓性を有し、且つ潰れ難くなるように設けられている。フレックスチューブ14の内部には内側樹脂部材12が配されている。本実施形態では、フレックスチューブ14の内面は内側樹脂部材12に接している。フレックスチューブ14の内部空間は、信号線11Aおよび照明機構5用の電力線11B、並びにアングルコイル13およびアングルワイヤ7の通り道となっている。
内側ブレード16は、フレックスチューブ14を覆うように編まれた金属の細線材を有する管状部材である。本実施形態では、内側ブレード16は、可撓管部10において先端構成部3側から本体部20側まで一続きに配置されており、電磁波ノイズに対するシールドとして機能している。
外側樹脂部材17は、内側ブレード16を覆うように成型された樹脂製の管状部材である。本実施形態では、外側樹脂部材17は、フレックスチューブ14を構成する平板の間に入り込んでおり、内側樹脂部材12と接している。また、外側樹脂部材17は、内側樹脂部材12よりも硬く構成されている。これにより、外側樹脂部材17によって、可撓管部10に外力がかかった場合に内側樹脂部材12が変形しにくいように保護することができる。その結果、外力が可撓管部10にかかった場合に信号線11Aが断線しにくい。
本実施形態では、外側樹脂部材17は、導電性を有する樹脂材料によって形成されている。なお、外側樹脂部材17が絶縁性であってもよい。
外側ブレード18は、外側樹脂部材17を覆うように編まれた金属の細線材を有する管状部材である。外側ブレード18は、可撓管部10において先端構成部3側から本体部20側まで一続きに配置されており、電磁波ノイズに対するシールドとして機能している。
内側ブレード16、外側樹脂部材17、及び外側ブレード18が設けられていることにより、可撓管部10は、挿入部2を観察対象物内に挿入したときのこすれ等によって可撓管部10が切れるのを防止し、可撓管部10の内部に配された信号線11A等に水等が入り込むのを防止することができる。
また、内側ブレード16及び外側ブレード18が設けられていることにより、可撓管部10の中心軸線回りのねじれに対する剛性を高めることができる。たとえば、可撓管部10における本体部20側の端において可撓管部10の中心軸線回りに可撓管部10を回転させると、先端構成部3及び湾曲部6は、本体部20側における回転動作に追従して、可撓管部10の中心軸線回りに回転する。
なお、外側ブレード18を覆うように図示しない被覆材が設けられていてもよい。被覆材としては、加硫前のゴム材料を外側ブレード18に付着、成形させて加硫させることにより形成された薄膜状の部材を採用することができる。被覆材の材料は、硬化後において可撓性を有する材料を適宜選択して採用することができる。具体的には、被覆材の材料として、バイトン(登録商標)を採用することができる。
被覆材としては、樹脂材でもよい。
図1に示すように、本体部20は、湾曲部6を湾曲動作させるための操作をする操作部21と、撮像機構4において撮像された画像を表示する表示部27と、操作者が把持する把持部28と、撮像機構4、照明機構5、及び表示部27とを制御するための制御部(不図示)とを備えている。また、本実施形態では、本体部20の筐体24内には、制御部に電気的に接続された図示しないバッテリーが設けられている。
操作部21は、中空構造を有する筐体24の一部に配されており、スイッチ部22と、湾曲操作入力部23とを有している。
スイッチ部22は、制御部の動作を操作者が指定したり、各種パラメータを入力あるいは選択したりするために設けられている。
湾曲操作入力部23は、4本のアングルワイヤ7を個別に牽引する構造を有している。一例を挙げると、湾曲操作入力部23は、筐体24に取り付けられた揺動体25と、揺動体25に取り付けられたジョイスティック26とを備える。
揺動体25には、上述のアングルワイヤ7が接続されており、ジョイスティック26が傾倒されることによりアングルワイヤ7を牽引することができるようになっている。
制御部は、撮像機構4及び照明機構5の動作を制御したり、表示部27を介して操作者に提示する各種情報を生成したりする。
次に、本実施形態の内視鏡装置1の製造方法について、可撓管部10の製造方法を中心に説明する。
可撓管部10を製造する場合には、まず、撮像機構4及び照明機構5に接続される信号線11A及び電力線11Bを所望の位置関係に保持し、溶融状態の樹脂を流し入れて押し出し成型する。このとき、アングルコイル13を挿通するための貫通孔を押し出し成形時に形成しておく。これにより、信号線11Aおよび電力線11Bが内側樹脂部材12に固定された状態のマルチルーメンチューブが形成される。その後、当該マルチルーメンチューブを、フレックスチューブ14内に挿通する。
マルチルーメンチューブがフレックスチューブ14に挿通されたら、フレックスチューブ14の外周に、金属の細線を編んだ内側ブレード16を形成する。その後、内側ブレード16が形成されたマルチルーメンチューブの外面に、押し出し成型によって外側樹脂部材17を形成する。その後、外側樹脂部材17の外周に、金属の細線を編んだ外側ブレード18を形成する。
続いて、マルチルーメンチューブに形成された貫通孔にアングルコイル13を挿通して固定する。これで可撓管部10が形成される。その後、可撓管部10には、アングルワイヤ7が取り付けられ、さらに、湾曲部6及び本体部20が固定される。
次に、本実施形態の内視鏡装置1の作用について説明する。図6は、内視鏡装置1の作用を説明するための模式図である。
内視鏡装置1の使用時には、観察対象物内に、先端構成部3側から挿入部2が挿入される。内視鏡装置1の操作者は、先端構成部3に設けられた撮像機構4の向きを調整するために、湾曲操作入力部23のジョイスティック26を所望の方向へと傾倒させる。
ジョイスティック26が傾倒されると、少なくとも1のアングルワイヤ7が牽引され、湾曲部6において対応する部位が本体部20側へと牽引される。これにより、湾曲部6の節輪等6aが屈曲し、湾曲部6が湾曲状態となる(図1参照)。ここで、アングルワイヤ7が牽引されると、アングルワイヤ7によって、湾曲部6自身を本体部20側へと移動させるような力が可撓管部10にかかる。これにより、可撓管部10は中心軸線方向への圧縮力を受ける。本実施形態では、アングルワイヤ7が挿通されたアングルコイル13は内側樹脂部材12に固定されているので、アングルコイル13は、軸ズレを起こさずに、素線同士が密着した状態、あるいは素線間に内側樹脂部材12が挟みこまれた状態で維持される。このため、可撓管部10の圧縮による変形量は小さい。
また、例えば内側樹脂部材12が設けられていない場合、図6に破線L1で示すように、アングルコイル13はフレックスチューブ14内で自由に移動できる。このような構成であると、可撓管部10を巻いたときに、巻かれた可撓管部10の中心寄りにアングルコイル13及びアングルワイヤ7が移動する。すると、可撓管部10の中心軸線の長さよりもアングルコイル13及びアングルワイヤ7の中心軸線が通る経路の方が短くなる。このとき、先端構成部3における先端側の節輪等6aに固定されたアングルコイル13は、可撓管部10が直線状態であるときよりも本体部20側へと飛び出した位置関係となる。しかしながら、アングルコイル13の後端は、操作部内に配置された突き当て部(図示なし)に突き当てられているため、圧縮の力が加わり、軸ズレを起こしながら、圧縮される。アングルコイル13が圧縮されると、その分の湾曲量が不足する。このアングルコイル13が軸ズレを起こした状態では、アングルコイル13とアングルワイヤ7の摩擦抵抗が増加し、アングルワイヤ7の牽引力が正しく湾曲部6に伝達されにくくなってしまう場合がある。
これに対して、本実施形態の内視鏡装置1では、内側樹脂部材12に対してアングルコイル13が固定されているので、図6に実線L2で示すように、可撓管部10におけるアングルワイヤ7の経路が可撓管部10の曲げ状態によって変化する量は少なく、本体部20内でアングルコイル13が蛇行しにくい。これにより、アングルワイヤ7の牽引力が正しく湾曲部6に伝達される。
また、本実施形態では、内側樹脂部材12がフレックスチューブ14内に配されており、信号線11A、アングルコイル13およびアングルワイヤ7は、内側樹脂部材12によって防水状態とされている。これにより、外力等によって外側樹脂部材17に亀裂等が生じた場合であっても防水性能が維持される。
また、内側樹脂部材12が設けられていることにより、可撓管部10における樹脂の割合が、内側樹脂部材12が設けられていない場合よりも大きい。これにより、可撓管部10の可撓性の調整が容易であり、例えば直管挿入性を高めたり、挿入部2の柔軟性を高めたりなど、細かな調整をすることができる。また、内側樹脂部材12が設けられていることにより、可撓管部10が潰れにくく、例えば、可撓管部10が検査者に踏まれたり、可撓管部10が被検体に挟まれたりした場合に、潰れの力が可撓管部10に加わっても可撓管部10が破損しにくくなる。
また、内側樹脂部材12がある場合には、内側樹脂部材12がない場合と比較して、可撓管部10の中心軸線回りのねじり動作に対する追従性が高い。これにより、本体部20側において可撓管部10を中心軸線回りに回転させたときに、先端構成部3が可撓管部10の中心軸線回りに容易に回転する。
また、内側樹脂部材12は信号線11Aと一体に形成されているので、可撓管部10に外力がかかったときの衝撃や振動を内側樹脂部材12が吸収し、信号線11Aにかかる外力を緩和することができる。これにより、信号線11Aが切れにくい。
また、本実施形態では、外側樹脂部材17はフレックスチューブ14を構成する平板の隙間に入り込み、内側樹脂部材12に接している。これにより、フレックスチューブ14の中心軸線方向へのフレックスチューブ14の収縮を少なくすることができ、湾曲量の低下を低減することができる。可撓管部10の中心軸線回りに可撓管部10を回転させたときに、外側樹脂部材17と内側樹脂部材12とが一体的に回転し、ねじりに対する追従性が高い。
(変形例1)
次に、上述の実施形態の変形例について説明する。図7は、本実施形態の構成を示す断面図である。図8は、本変形例における他の構成を示す断面図である。
本変形例では、アングルコイル13を構成する素線間への内側樹脂部材12の入り込み量が異なっている。
例えば、図7に示すように、アングルコイル13を構成する素線のうち、アングルコイル13の中心軸線方向に見たときの、素線の中心線よりも径方向外側の範囲に内側樹脂部材12が入り込んでいてもよい。
また、図8に示すように、アングルコイル13の中心軸線方向に見たときに、アングルコイル13の内部に位置する貫通孔の内径が内側樹脂部材12によって規定される程度に内側樹脂部材12が入り込んでいてもよい。
(変形例2)
次に、上述の実施形態の他の変形例について説明する。
本変形例では、可撓管部10の製造方法が異なっている。
すなわち、本変形例では、マルチルーメンチューブの成型後にアングルコイル13を取り付けることに代えて、信号線11A、電力線11B、及びアングルコイル13が配された状態でマルチルーメンチューブを押し出し成型する。
このような製造方法であっても、上述の実施形態と同様の可撓管部10を製造することができ、同様の効果を奏する。
(変形例3)
次に、上述の実施形態のさらに他の変形例について説明する。
本変形例では、内側樹脂部材12が、先端構成部3側から本体部20側へ向かって漸次硬くなるように構成されている。このような構成であると、内側樹脂部材12において先端構成部3側が相対的に柔軟であるので、曲率の高い管内に可撓管部10が挿入された場合に可撓管部10を曲げやすい。さらに、内側樹脂部材12において本体部20側が相対的に硬いので、可撓管部10における本体部20側を可撓管部10の中心軸線回りに回転させたときの回転力を伝達しやすい。
(変形例4)
次に、上述の実施形態のさらに他の変形例について説明する。
本変形例では、内側樹脂部材12が、外側樹脂部材17よりも硬くなっている。内側樹脂部材12を硬く構成することにより、内側樹脂部材12が変形しにくくなり、アングルコイル13の軸ズレが生じにくくなる。また、内側樹脂部材12に対して相対的に柔軟な外側樹脂部材17とすることにより、可撓管部10に外力がかかったときに、外側樹脂部材17が弾性変形して衝撃を吸収することができる。
(変形例5)
次に、上述の実施形態のさらに他の変形例について説明する。図9は、本変形例の構成を示す断面図である。図10は、図9のB−B線における断面図である。
図9及び図10に示すように、本変形例では、内側樹脂部材12に、ワーキングツールを挿通するためのツール用貫通孔12cが形成されている。さらに、内側樹脂部材12における先端構成部3側の端部12aは、可撓管部10と湾曲部6とを連結し可撓管部10と湾曲部6との境界をなす口金8(図3参照)よりも本体部20側に隙間を開けて離れた位置に配されている。
また、撮像機構4用の信号線11Aおよび照明機構5用の電力線11Bは、湾曲部6と内側樹脂部材12との間において弛みを有している。信号線11A及び電力線11Bの弛みは、湾曲部6が湾曲動作されたときに信号線11A及び電力線11Bに過大な張力がかからないように設定される。すなわち、信号線11A及び電力線11Bの弛みは、湾曲部6が最大の曲率で湾曲された状態における湾曲部の中心軸線に沿って測った長さと外周に沿って測った長さとの差分以上の余長を生じさせるようになっている。
さらに、本変形例では、電力線11Bは、内側樹脂部材12を絶縁被覆として利用する構成となっている。
また、各アングルコイル13は、内側樹脂部材12の中心軸線を対称軸として見たときに非対称となる位置関係となっている。
本変形例では、ツール用貫通孔12cを通じて、各種ツールを適宜出し入れすることができる。
また、本変形例では、信号線11A及び電力線11Bに弛みがあるので、湾曲部6を湾曲動作させたときに信号線11Aや電力線11Bが切れる可能性をさらに低くすることができる。
また、本変形例では、電力線11Bを絶縁するための被覆として内側樹脂部材12が利用されているので、電力線11Bのための絶縁被覆を別途設ける必要がなく、可撓管部10を細径とすることができる。
また、アングルコイル13が内側樹脂部材12内において非対称に配置されているので、可撓管部10内に配する各構成要素の位置関係の自由度が高い。
(変形例6)
次に、上述の実施形態のさらに他の変形例について説明する。
本変形例では、ツール用貫通孔12c(図9及び図10参照)が送気用の流路として使用され、アングルコイル13とアングルワイヤ7との間の隙間が排気用の流路として使用される。
このような構成では、例えば、可撓管部10における本体部20側の端において、ツール用貫通孔に送気装置を取り付け、アングルコイル13が挿通された貫通孔を可撓管部10における本体部20側の端において大気開放状態としておく。この状態でツール用貫通孔に気体を供給すると、気体は湾曲部6内の空洞部分に供給され、アングルコイル13とアングルワイヤ7との隙間を通じて本体部20側へと戻り、外部に排気される。
本変形例の構成によれば、送気装置によって送気された気体により、先端構成部3、湾曲部6、可撓管部10内を冷却することができる。
このような構成の内視鏡装置1では、先端構成部3の撮像機構4や照明機構5が使用時に発熱したり、撮像機構4や照明機構5を構成する部品の耐熱温度を超える環境下で内視鏡装置1が使用されたりする場合に、撮像機構4や照明機構5が好適に動作できる温度となるように撮像機構4や照明機構5を冷却することができる。
(変形例7)
次に、上述の実施形態のさらに他の変形例について説明する。図11は、本実施形態の構成を示す図で、図3のA−A線における断面図である。
図11に示すように、本変形例では、内側樹脂部材12において、貫通孔12aに代えて、溝12bが形成されている点が異なっている。溝12bは、内側樹脂部材12の外周面に開口されている。本変形例では、アングルコイル13は、フレックスチューブ14の内面に接している。また、本変形例では、アングルコイル13は、フレックスチューブ14を構成する平板の隙間に入り込んだ外側樹脂部材17がアングルコイル13の外面に接した状態となっている。
このような構成であっても、上述の実施形態及びその変形例と同様の効果を奏する。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述の実施形態では、照明機構5として、電力を先端構成部3まで電力線11Bにて供給する構成を説明したが、これに限らず、本体部20内に光源を有し、ライトガイドを使用して光を先端構成部3まで伝送する構成を有していてもよい。
また、可撓管部10には、先端構成部3にて発生した熱を本体部20側へ拡散させる熱輸送手段が設けられていてもよい。具体的には、金属製の撚り線からなる放熱線が可撓管部10の中心軸線方向に延びて配されていてもよい。
また、アングルコイル13を構成する素線は、断面円形の素線、断面楕円形の素線、断面多角形状の素線など、公知の素線を適宜選択して採用することができる。また、アングルコイル13を構成する素線として、断面長方形のフープ材が採用される場合、フープ材の角部が面取りあるいはラウンド形状になっていてもよい。このような形状であると、内側樹脂部材12を好適に含浸させることができる。
なお、上記具体的な構成に対する設計変更等は上記事項には限定されない。
1 内視鏡装置
2 挿入部
3 先端構成部
4 撮像機構
5 照明機構
6 湾曲部
7 アングルワイヤ
10 可撓管部
11A 信号線
11B 電力線
12 内側樹脂部材(樹脂部材)
12a 貫通孔
12b 溝
12c ツール用貫通孔
13 アングルコイル
14 フレックスチューブ
16 内側ブレード
17 外側樹脂部材
18 外側ブレード
20 本体部
21 操作部
22 スイッチ部
23 湾曲操作入力部
24 筐体
25 揺動体
26 ジョイスティック
27 表示部
28 把持部

Claims (10)

  1. 長尺の可撓管部と、
    前記可撓管部の一端に設けられた湾曲部と、
    前記湾曲部に取り付けられた撮像機構と、
    前記可撓管部の他端に設けられた本体部と、
    前記湾曲部に一端が固定され前記本体部に他端が配されたアングルワイヤと、
    前記撮像機構に一端が接続され前記本体部に他端が配された信号線と、
    を備え、
    前記可撓管部は、
    前記アングルワイヤが進退自在に挿通されるコイルと、
    前記コイルが固定され前記信号線と一体成形され可撓性を有する長尺の樹脂部材と、
    を備えることを特徴とする内視鏡装置。
  2. 請求項1に記載の内視鏡装置であって、
    前記コイルは、素線が螺旋状に巻かれて形成されており、
    前記素線の隙間には前記樹脂部材が入り込んでいる
    ことを特徴とする内視鏡装置。
  3. 請求項2に記載の内視鏡装置であって、
    前記素線の隙間に入り込んだ前記樹脂部材は、前記素線の中心線よりも前記コイルの径方向内側へ入り込んでおり、
    前記樹脂部材が入り込んだ状態のコイルは、前記アングルワイヤの外径より大きな内径の孔を有する
    ことを特徴とする内視鏡装置。
  4. 請求項1に記載の内視鏡装置であって、
    前記可撓管部は、
    前記樹脂部材の外側を覆い前記樹脂部材よりも硬質な外側樹脂を有していることを特徴とする内視鏡装置。
  5. 請求項1に記載の内視鏡装置であって、
    前記樹脂部材は、前記挿入部側から前記本体部側へ向かって漸次硬くなるように形成されていることを特徴とする内視鏡装置。
  6. 請求項4に記載の内視鏡装置であって、
    前記外側樹脂と前記樹脂部材との間には、
    金属製の平板が螺旋状に巻かれてなるフレックスチューブが設けられており、
    前記外側樹脂は、前記平板の隙間に入り込んで前記樹脂部材に接している
    ことを特徴とする内視鏡装置。
  7. 請求項1に記載の内視鏡装置であって、
    前記樹脂部材は導電性を有することを特徴とする内視鏡装置。
  8. 請求項1に記載の内視鏡装置であって、
    前記アングルワイヤは、前記可撓管部の中心軸線を対称軸としたときに非対称となるように配置され、
    前記樹脂部材は、前記可撓管部と前記湾曲部との境界よりも前記本体部側に隙間を開けて配されている
    ことを特徴とする内視鏡装置。
  9. 請求項8に記載の内視鏡装置であって、
    前記信号線は、前記隙間において弛みを有して配されていることを特徴とする内視鏡装置。
  10. 請求項1に記載の内視鏡装置であって、
    前記可撓管部、前記湾曲部、及び前記撮像機構を少なくとも有し観察対象物に挿入される挿入部をさらに備え、
    前記樹脂部材は、流体を流通させるチャンネルを有し、
    前記チャンネルの内部と前記コイルの内部とは連通されて前記挿入部を冷却するための冷却用流体が流通する一続きの流路となっている
    ことを特徴とする内視鏡装置。
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