JP2014013170A - 薄膜試料の膜厚測定方法及び薄膜試料の製造方法 - Google Patents

薄膜試料の膜厚測定方法及び薄膜試料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】試料に電子ビームを照射して二次電子線量の検出により薄膜試料の膜厚を測定する方法であって、時間や手間を要せずに精度のよい測定を行うことができる測定方法、及び、この薄膜試料の膜厚測定方法を使用した制御を行うFIBによる薄膜試料の作製方法を提供する。
【解決手段】試料の厚さ方向に電子ビームを照射した場合における二次電子強度比と加速電圧との関係の変化点と試料の膜厚との関係を、標準試料及び被測定試料について求め、両者の対比により被測定試料の膜厚を測定する方法であって、被測定試料について電子ビームを照射するときに該試料を透過した電子の経路を制御できる電子経路制御手段を設けることを特徴とする薄膜試料の膜厚測定方法、及びその膜厚測定方法の測定値に基づきイオンビームの照射を制御しFIBを行う薄膜試料の作製方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄く加工された試料(薄膜試料)の膜厚を、電子ビームの照射により測定する膜厚測定方法、及び集束イオンビーム加工(以下「FIB」と言う)を、前記膜厚測定方法の測定結果に基づき制御しながら行うことを特徴とする薄膜試料の製造方法に関する。
原子レベルの構造観察や元素分析を行う分析手法として透過電子顕微鏡(TEM)や走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いた薄膜試料の観察が行われている。TEMやSTEMにより薄膜試料の鮮明な観察像を得るためには、100nm程度又はそれよりも薄く精度良く加工された試料が求められるが、その試料を薄く精度良く加工する方法としてFIBが広く行われている。FIBにおいて精度良い加工を行うために、加工中の試料の膜厚を迅速にかつ精度良く測定しその測定結果に基づき加工を制御することが望まれており、その測定方法が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、試料の膜厚を測定する膜厚測定領域と膜厚測定領域外の参照領域に、電子ビームをそれぞれ照射して、発生する二次電子の強度を検出し、膜厚測定領域の強度を参照領域の強度で除した計算値に基づいて膜厚測定領域の膜厚を測定する方法が提案されている。しかしながら、この方法で試料の膜厚を精度良く評価するためには、膜厚と前記計算値との関係を、精度良く求めておく必要が有り、標準試料によるデータを膜厚が異なるものについて多数用意しておく必要あった。このため、多数のデータを採取しなければならない問題があった。
特許文献2には、膜厚が異なる多数の標準試料のそれぞれに対して、加速電圧を変化させながら電子ビームを照射し、加速電圧と放出される二次信号の強度比との関係(標準データ)及びその変化点を測定して、膜厚と標準データの変化点との関係Rを得るとともに、測定対象試料に対しても、加速電圧を変化させながら電子ビームを照射し、加速電圧と放出される二次信号の強度比の関係の変化点を測定し、その変化点及び前記の変化点Rとの対比により測定対象試料の膜厚を評価する薄膜試料の膜厚測定方法が開示されている。
この膜厚測定方法における二次信号の強度比とは、試料の厚さ方向に走査型電子顕微鏡により電子ビームを照射したときに発生する二次電子線量(強度)の、照射した電子線量(強度)に対する比である。試料の厚さに対して電子ビームの加速電圧が小さい場合は表面側で発生する二次電子のみが検出されその強度比は一定であるが、加速電圧が、試料の厚さに対応する一定の値より大きくなると、試料裏面からの透過電子が検出されるので、加速電圧と二次信号の強度比の関係に変化が生じる。前記の膜厚測定方法は、この変化点(変化が生じる加速電圧)を検出し、その変化点に基づき試料の膜厚を評価する方法である。
WO06/073063号公報 特開2008−267895号公報
しかし、FIBによる薄膜試料の作製において、試料の膜厚測定のために厚さ方向に照射される電子ビームは、通常非常に弱いビームである。従って、検出器(二次電子検出器)で補足される二次電子線量も弱く、加速電圧の増加に応じて透過電子が発生し始めるときの加速電圧と二次信号の強度比の関係の変化も緩やかである。
このように、緩やかな変化しか確認する事ができないので、二次電子検出器で、その変化点を精度よく捕捉することは困難である。その結果、特許文献2等に記載されているような電子ビーム照射による膜厚の測定を、精度よく行うことが困難になり、さらには、FIBによる薄膜試料の製造における精度良い加工も困難となる。
本発明は、薄膜試料の膜厚を、試料に電子ビームを照射して発生する二次電子線量の検出により測定する方法であって、時間や手間を要せずに精度のよい測定を行うことができる薄膜試料の膜厚の測定方法を提供することを課題とする。本発明は、又、FIBによる薄膜試料の作製方法であって、前記の薄膜試料の膜厚測定方法を使用した制御により精度のよい加工を行うことができる薄膜試料の作製方法を提供することを課題とする。
本発明者は、検討の結果、試料裏面に抜けた透過電子は必ずしも二次電子検出器に補足されるとは限らず、加工装置内部で乱反射を繰り返して検出器に補足されない電子も多いと考えられること、この乱反射を繰り返している透過電子の経路を制御し検出器に誘導する手段を設けることにより、二次電子検出器で補足される電子線量を増加させることができ、その結果電子検出の感度を向上できることを見出し、本発明を完成した。
請求項1に記載の発明は、
試料の厚さ方向に電子ビームを照射した場合における二次電子強度比と加速電圧との関係の変化点と、試料の膜厚との関係Xを、被測定試料と同じ材質の標準試料について得るとともに、被測定試料について、試料の厚さ方向に電子ビームを照射し、二次電子強度比と加速電圧との関係の変化点Yを求め、該変化点Yと前記関係Xとの対比により被測定試料の膜厚を測定する薄膜試料の膜厚測定方法であって、
被測定試料について電子ビームを照射したときに該試料を透過した電子の経路を制御できる電子経路制御手段を設けることを特徴とする薄膜試料の膜厚測定方法である。
本発明の膜厚測定方法での被測定試料としては、走査型電子顕微鏡より照射される電子ビームが透過できる厚さである薄い試料であれば、特に限定されない。この膜厚測定方法は、透過電子顕微鏡(TEM)や走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いた薄膜試料の観察対象である薄膜試料を、FIBにより作製する際の膜厚の制御に好適に用いられる。その場合は、100nm程度又はそれよりも薄い膜の試料が、本発明の膜厚測定方法における被測定試料となる。
試料の厚さ方向に電子ビームを照射した場合における二次電子強度比と加速電圧との関係の変化点とは、前記で説明したように、加速電圧を上げて行き透過電子が発生し始めるときの加速電圧である。すなわち、電子の加速電圧が低い場合は、電子は薄膜を透過せず表面側で発生する二次電子のみが検出されるので、二次電子強度比は一定であるが、加速電圧が大きくなると、試料裏面からの透過電子が検出されるので、加速電圧と二次信号の強度比の関係に変化が生じる。本発明ではこの変化点の測定が行われる。
この変化点は、試料の膜厚により変動する。すなわち、試料が厚い程、変化点は高電圧側にシフトするが、本発明では膜厚と変化点との関係Xを測定前に予め決定する。
この関係Xの決定の方法としては、
1)特許文献2の方法のように、膜厚が既知の標準試料についての前記変化点の検出を、異なった膜厚の複数の標準試料について行い、膜厚と変化点との関係を求める方法、
2)加速電圧V及び透過電子線率Tとの予測関係D=F(V,T)をモンテカルロシミュレーションにより作成することにより前記変化点を算出し、この算出を、異なった複数の膜厚について行い、膜厚と変化点との関係を求める方法、等を挙げることができる。
本発明の膜厚測定方法では、被測定試料について、試料の厚さ方向に電子ビームを照射し、二次電子強度比と加速電圧との関係の変化点Yを求める。変化点Yは、被測定試料に照射する電子ビームの加速電圧を変化させながら二次電子強度比を測定することにより行うこともできる。すなわち、試料の厚さを一定とした場合は、加速電圧が低い場合、透過電子がないので、二次電子強度比は加速電圧の変化に対して一定であるが、加速電圧が一定値以上では透過電子が生じ、加速電圧の増大により二次電子強度比も増大する。この加速電圧と二次電子強度比の関係が変化する点が変化点Yである。一方、FIBによる加工の制御に本発明の膜厚測定方法を使用する場合等のように変化する膜厚を測定する場合は、加速電圧を一定にして膜厚の変化により変化点Yの検出が行われる。すなわち、加速電圧が一定の場合、膜厚が厚い場合は透過電子がなく二次電子強度比は一定であるが、膜厚が所定値より薄くなると透過電子が発生し、膜厚と二次電子強度比の関係に変化が生じる。この変化が生じた点が変化点Yである。
変化点Yは、前記の関係Xと対比され、この対比により被測定試料の膜厚が得られる。すなわち、関係Xにおいて、変化点Yの値に対応する膜厚を、被測定試料の膜厚とする。
本発明の膜厚測定方法は、被測定試料について電子ビームを照射するときに該試料を透過した電子の経路を制御できる電子経路制御手段を設けることを特徴とする。試料裏面に抜けた透過電子は必ずしも二次電子検出器に補足されるとは限らず、加工装置内部で乱反射を繰り返して検出器に補足されない電子も多い。その結果、従来の膜厚測定方法では、二次電子検出器で補足される二次電子線量も弱くなり、加速電圧の増加に応じて透過電子が発生し始めるときの加速電圧と二次信号の強度比の関係の変化も緩やかであるので、前記変化点も精度よく検出しにくくなる。
しかし、本発明の膜厚測定方法では、透過電子の経路を制御し検出器に誘導する手段が設けられているので、乱反射を繰り返していた透過電子を二次電子検出器に誘導し、補足される電子線量を増加させることができる。その結果二次電子の検出感度が向上し、薄膜試料の膜厚を、時間や手間を要せずに精度よく測定することができる。
請求項2に記載の発明は、前記電子経路制御手段が、被測定試料に電圧を印加する手段であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜試料の膜厚測定方法である。
被測定試料に印加する電圧を調整することにより、透過電子の流れを変えることができる。そして、印加する電圧を適当な範囲とすることにより、透過電子が二次電子検出器に誘導されるようにその流れを調整することができる。ここで、印加する電圧を適当な範囲とするとは、最大量の二次電子が検出器で補足されるように電圧を調整することを意味する。この適当な範囲は、照射電子線量や二次電子検出器や加工装置の大きさや形状等により変動するので、具体的な範囲を規定することはできないが、透過電子の流れの変化を、電圧を変動させて測定する簡単な予備実験を照射電子線量や二次電子検出器の大きさや形状等毎に行うことにより容易に求めることができる。
被測定試料に電圧を印加する手段としては、例えば、プローブ金属針を挙げることができる。プローブ金属針の先端を被測定試料に接触させプローブ金属針に電圧を印加することにより、被測定試料に電圧を印加することができ、印加する電圧の調整も容易に行うことができる。
請求項3に記載の発明は、前記電子経路制御手段が、被測定試料に接して又は近接して設けられている部材に電圧を印加する手段であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜試料の膜厚測定方法である。被測定試料を装置内で支持する試料台等、装置内で被測定試料と接する部材に電圧を印加することによっても被測定試料に電圧を印加することができ、電子経路を制御することができる。さらに、被測定試料に近接して設けられている部材に電圧を印加する方法等によっても、電子経路を制御することができる。例えば、被測定試料の後方に設けられたプローブ金属針や、反射板、凹凸鏡もしくはそれらに準じる壁に電圧を印加し、装置内に磁場や電場を発生させ、試料裏面に抜ける透過電子の飛行経路を二次電子検出器に誘導し、補足される電子線量を増加し、電子検出の感度を向上することができる。
請求項4に記載の発明は、集束イオンビーム加工(FIB)により薄膜試料を作製する方法であって、イオンビームを被加工試料に照射するとともに、前記イオンビームの方向とは異なる方向より、電子ビームを被加工試料に照射して、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の薄膜試料の膜厚測定方法により被加工試料の膜厚を測定し、その膜厚の測定値に基づきイオンビームの照射を制御することを特徴とする薄膜試料の作製方法である。
この薄膜試料の作製方法は、所謂FIB−SEM複合装置による薄膜加工技術を使用する方法である。すなわち、加工対象に対しFIBのイオンビーム及び膜厚を測定するための電子ビームからなる2つのビームを、異なった方向から照射し、FIBを行いながら膜厚測定を行い、その測定結果に基づきFIBの制御を行う薄膜試料の作製方法である。
FIBは、集束イオンビームを加工対象に照射し、イオンビームによるエッチングにより加工対象の表面を削り取る加工方法であるので、照射するイオンビームの方向は、形成される薄膜試料の表面方向と同じである。一方、膜厚測定を行うための電子ビームは、照射するイオンビームの方向とは異なった方向から照射され、二次電子線量の測定により前記のようにして膜厚が算出される。
このようにして得られた膜厚は、直ちにFIBの制御に適用され、その結果所望の膜厚を有する薄膜を精度良く作製することができる。例えば、膜厚が所望の厚みより充分大きいときはFIBのイオンビームの照射量を大きくして加工速度を上げ、所望の厚みに近づいたときは、FIBのイオンビームの照射量を小さくして精密な加工を行うとの方法を採用できる。
本発明の薄膜試料の作製方法では、制御に使用する膜厚の測定を本発明の薄膜試料の膜厚測定方法により行うので、より精度よく膜厚を測定することができ、その結果より精度のよい制御を行うことができ、100nm以下の厚みの薄膜試料を精度良く作製することができる。
本発明の薄膜試料の膜厚測定方法は、100nm以下の厚みの薄膜試料の膜厚を、時間や手間を要せずに精度よく測定することができる方法である。又、本発明の薄膜試料作製方法によれば、100nm以下の厚みの薄膜試料を、FIBにより、時間や手間を要せずに精度よく制御して作製することができる。
本発明の薄膜試料の作製方法を行うための装置の一例の構造を示す模式断面図である。 膜厚と二次電子検出量との関係を模式的に示すグラフである。 本発明の薄膜試料の作製方法を行うための装置の他の一例の構造を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を損ねない範囲内において種々の変更を加えることが可能である。
図1は、本発明の薄膜試料の作製方法を行うための、FIB−SEM複合装置の一例の構造を示す模式断面図である。図中の1は、FIBを行うためのイオンビーム照射装置を、2は、膜厚測定用の電子ビームを照射するSEMを表す。3は、イオンビーム照射装置1より照射されるイオンビームであり、4は、SEM2より照射される電子ビームである。又、図中の5は、FIBの被加工試料であり、51は、FIBにより作製中の薄膜試料である。
図1は、イオンビーム照射装置1より照射されるイオンビーム3により加工対象5がエッチングされて薄膜試料51が形成されている様子を示している。図より明らかなように薄膜試料51の表面の方向は、イオンビーム3の方向である。
FIBにより形成されている薄膜試料51の表面には、該表面(=イオンビーム3の方向)に対してαの角度で、SEM2より、所定の加速電圧で加速された電子ビーム4が照射されている。照射された電子ビーム4の電子(入射電子)の一部は薄膜試料51の表面より(二次電子として)放出され、一部は薄膜試料51内に吸収され、薄膜試料51の膜厚が薄い場合は、一部は薄膜試料51を透過し裏面より放出される。図1中の81は、薄膜試料51の表面より放出された二次電子を表し、82は、薄膜試料の裏面から放出される二次電子、透過電子を表す。透過電子は、図1に模式的に示すように、FIB−SEM複合装置内で乱反射している。
透過電子線量は、加速電圧が一定の場合は、薄膜試料の膜厚に依存する。膜厚が増大すると透過電子線量は減少し、膜厚がある厚さ以上となると薄膜試料を透過する電子はなくなり、透過電子線量はゼロとなる。一方、薄膜試料の表面より二次電子として放出される電子線量(以下「表面からの電子線量」と言う。なお、本明細書で言う「電子線量」とは、「計算する軌道の数」を意味にする。)は、実用範囲では、他の条件(加速電圧等)が一定であれば、膜厚が変動してもほぼ一定である。
図2は、加速電圧を一定(Vとする)としたときの、膜厚と二次電子検出量(透過電子線量及び表面からの電子線量の和)との関係を模式的に示すグラフである。グラフの縦軸は、二次電子検出量を表わし、(a)の領域が透過電子線量を表わし、(b)の領域が表面より放出された二次電子線量を表わす。図2に示されているように、透過電子線量は、膜厚の増加とともに減少するが、膜厚が一定の値t以上となるとゼロとなる。従って、膜厚が当該一定の値t以上となると、二次電子検出量は表面より放出された二次電子線量のみとなり図に示されるように膜厚の変動に対してほぼ一定となる。図2における膜厚の変動に対してほぼ一定となった二次電子検出量が、表面より放出された二次電子線量である。
図1において、6は、二次電子検出器(二次電子線量測定手段)を表わす。二次電子検出器6としては二次電子画像測定手段等を挙げることができる。二次電子画像測定手段を使用する場合は、当該手段により二次電子の画像輝度を測定しその測定値から二次電子検出量、すなわち、透過電子線量と表面より放出された電子線量の和が計算される。
透過電子線量は、又電子ビームの加速電圧にも依存する。加速電圧が増す程、透過電子線量は増大し、透過電子線量がゼロとなる膜厚も増大する。透過電子線量は、さらに、試料の種類や入射角(試料の表面と照射される電子ビームのなす角α)等により変動する。
図1中の7はプローブ金属針であり、その先端は被加工試料5に接触している。プローブ金属針7には電圧を印加することができ、プローブ金属針7に電圧を印加することにより被加工試料5に電圧を印加することができる。前記のように、透過電子はFIB−SEM複合装置内で乱反射を繰り返していると考えられ、必ずしも二次電子検出器6に捕捉されるとは限らないが、被加工試料5に電圧を印加することにより、透過電子の流れを変えることができる。従って、印加する電圧を適当な範囲とすることにより、透過電子の流れを二次電子検出器に捕捉されやすいようにして、二次電子検出の感度を向上させることができる。
図3は、本発明の薄膜試料の作製方法を行うための、FIB−SEM複合装置の、他の一例の構造を示す模式断面図である。図中の1、2、3、4、5、51、6、7、81及び82は図1の場合と同じであり、それぞれイオンビーム照射装置、電子ビームを照射するSEM、イオンビーム、電子ビーム、被加工試料、作製中の薄膜試料、二次電子検出器、プローブ金属針、表面より放出された二次電子及び透過電子を表す。
図3中の9は、被測定試料5を装置内で支持する試料台である。試料台9に電圧を印加することによっても、装置内で乱反射している透過電子の流れを変え、二次電子検出器に補足できるようにして、二次電子検出(変化点の検出)の感度を向上させることができる。又、被測定試料5に近接している部材(図3中では図示されていない)、例えば、被測定試料5の後方に設けられたプローブ金属針、反射板、凹面鏡もしくはそれらに準じる壁等に電圧を印加し、装置内に磁場や電場を発生させることによっても、同様に、二次電子検出(変化点の検出)の感度を向上させることができる。
さらに、被測定試料5の後方にプローブ金属針、反射板、凹面鏡もしくはそれらに準じる壁等の透過電子反射手段を設けることによっても、透過電子の流れが変えられる。そして、その位置や配置方向(被測定試料5に対する傾き)、その形状や大きさ等を適当な範囲に調整することにより、装置内で乱反射している透過電子の流れを変えて二次電子検出器に誘導し、二次電子検出(変化点の検出)の感度を向上させることができる。
実験1
FIB−SEM複合装置である日本エフイー・アイ社製Quanta3D FEGを使用し、GaAsの単結晶の薄膜加工(薄膜試料の作製)を、集束イオンビーム加工(FIB)により行い、その加工の様子を、装置付随の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてモニタした。本設備では、FIBのイオンビーム照射方向に対するSEMの電子ビームの角度αは52度に設定されている。又、被加工試料(GaAsの単結晶)は試料固定メッシュ(試料台)に固定されており、その試料固定メッシュにタングステン金属針(プローブ金属針)を接触させた。
タングステン金属針(プローブ)に印加する電圧を−10〜10Vの範囲で変化させて、SEMより加速電圧5kVで電子ビームを被加工試料に照射し二次電子画像を得た。得られた二次電子画像における薄膜域A及び未薄膜域Bの輝度を測定した。その結果を表1に示す。さらに、電圧を印加しない以外は前記と同様に行った場合(表中の「0V」の欄が該当する)、タングステン金属針(プローブ金属針)の接触を行わなかった以外は前記と同様に行った場合(表中の「プローブなし」の欄が該当する)についても、同様にして薄膜域A及び未薄膜域Bの輝度を測定し、その結果を表1に示す。
Figure 2014013170
表1に示されているように、タングステン金属針(プローブ金属針)に電圧を−10V印加したとき、薄膜域と未薄膜域との輝度の差が増大し、検出の感度が向上している。この結果より、被加工試料に接する試料台に電圧を印加することにより、二次電子検出器での検出効率を変化させることができる、より精度の高い検出を行える可能性があることが確認された。
1 イオンビーム照射装置
2 電子ビームを照射するSEM
3 イオンビーム
4 電子ビーム
5 被加工試料
51 作製中の薄膜試料
6 二次電子検出器
7 プローブ金属針
81 表面より放出された二次電子
82 透過電子
9 試料台

Claims (4)

  1. 試料の厚さ方向に電子ビームを照射した場合における二次電子強度比と加速電圧との関係の変化点と、試料の膜厚との関係Xを、被測定試料と同じ材質の標準試料について得るとともに、被測定試料について、試料の厚さ方向に電子ビームを照射し、二次電子強度比と加速電圧との関係の変化点Yを求め、該変化点Yと前記関係Xとの対比により被測定試料の膜厚を測定する薄膜試料の膜厚測定方法であって、
    被測定試料について電子ビームを照射したときに該試料を透過した電子の経路を制御できる電子経路制御手段を設けることを特徴とする薄膜試料の膜厚測定方法。
  2. 前記電子経路制御手段が、被測定試料に電圧を印加する手段であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜試料の膜厚測定方法。
  3. 前記電子経路制御手段が、被測定試料に接して又は近接して設けられている部材に電圧を印加する手段であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜試料の膜厚測定方法。
  4. 集束イオンビーム加工により薄膜試料を作製する方法であって、イオンビームを被加工試料に照射するとともに、前記イオンビームの方向とは異なる方向より、電子ビームを被加工試料に照射して、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の薄膜試料の膜厚測定方法により被加工試料の膜厚を測定し、その膜厚の測定値に基づきイオンビームの照射を制御することを特徴とする薄膜試料の作製方法。
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