JP2013167505A - 薄膜試料の作製方法及び膜厚測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】時間や手間を要しない薄膜試料の膜厚測定方法、及びこの膜厚測定方法を使用し、膜厚の測定値に基づく加工の制御を行うことにより、100nm以下の厚みの薄膜試料を、集束イオンビーム加工により、時間や手間を要せずに精度よく作製する方法を提供する。
【解決手段】集束イオンビーム加工において、イオンビームの方向とは角度α異なる方向より、電子ビームを加速電圧V1で加工対象に照射し、透過電子線率T1を得るとともに、前記加工対象と同材料からなる膜に、膜の表面に対して角度αの方向より電子ビームを照射したときの膜厚Dと、加速電圧V及び透過電子線率Tとの予測関係D=F(V,T)をモンテカルロシミュレーションにより作成し、加速電圧V1及び透過電子線率T1を前記予測関係のV及びTにそれぞれ適用して膜厚D1を計算し、この計算値に基づき、前記集束イオンビーム加工を制御することを特徴とする薄膜試料作製方法。
【選択図】図1
【解決手段】集束イオンビーム加工において、イオンビームの方向とは角度α異なる方向より、電子ビームを加速電圧V1で加工対象に照射し、透過電子線率T1を得るとともに、前記加工対象と同材料からなる膜に、膜の表面に対して角度αの方向より電子ビームを照射したときの膜厚Dと、加速電圧V及び透過電子線率Tとの予測関係D=F(V,T)をモンテカルロシミュレーションにより作成し、加速電圧V1及び透過電子線率T1を前記予測関係のV及びTにそれぞれ適用して膜厚D1を計算し、この計算値に基づき、前記集束イオンビーム加工を制御することを特徴とする薄膜試料作製方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型透過電子顕微鏡(STEM)による観察等に使用される薄膜試料を、集束イオンビーム加工(以下、「FIB」と言う。)により、膜厚の測定及びその測定値に基づく制御を行いながら作製する薄膜試料の作製方法に関する。本発明は、又、前記薄膜試料の作製方法に使用することができる薄膜試料の膜厚測定方法に関する。
原子レベルの構造観察や元素分析を行う分析手法としてTEMやSTEMを用いた薄膜試料の観察が行われている。TEMやSTEMによる薄膜試料の観察において鮮明な観察像を得るためには、100nm程度又はそれよりも薄く精度良く加工された試料が求められる。TEMやSTEMにより観察される薄膜試料はFIBにより作製することができるが、精度良い加工をするために、加工中の膜厚を精度良く測定し加工を制御することが望まれている。そこで、このような薄膜試料の作製に適用できる膜厚の測定方法が、種々提案されている。
例えば、特許文献1には、試料の膜厚を測定する膜厚測定領域と、膜厚測定領域外の参照領域に電子ビームをそれぞれ照射して、発生する二次電子の強度を検出し、膜厚測定領域の強度を参照領域の強度で除した計算値に基づいて膜厚測定領域の膜厚を測定する方法が提案されている。しかしながら、この方法で試料の膜厚を精度良く評価するためには、膜厚と、前記計算値との関係を精度良く求めておく必要が有り、標準試料によるデータを、膜厚を異なるものについて多数用意しておく必要あった。このため、多数のデータを採取しなければならない問題があった。
特許文献2には、所定の膜厚に形成された少なくとも一つの標準試料に対して、厚さ方向に電子ビームを加速電圧を変化させて照射した場合における、加速電圧と放出される二次信号の強度比との関係である標準データを作成し、該標準データに形成された変化点を検出し、該変化点における加速電圧を基準値として抽出するとともに、測定対象の試料に対して、厚さ方向に電子ビームを加速電圧を変化させて照射し、加速電圧と前記標準試料から放出される二次信号の強度比との関係である測定データを作成し、該測定データに形成された変化点を検出し、該変化点における加速電圧を特性値として抽出し、前記基準値と前記特性値との比較に基づいて測定対象の試料の膜厚を評価する薄膜試料の膜厚測定方法が開示されている。
しかし、特許文献2の方法でも、測定の精度を上げるためには、膜厚を変化させた膜厚既知の標準試料を多数作製し測定をする必要があり、標準試料の作製及び測定に時間と手間を要する問題がある。また、対象とする材料が異なれば、材料ごとに標準試料を作製する必要がありさらに時間と手間を要する。そこで、薄膜試料の作製に適用できる膜厚の測定方法であって、前記の従来技術よりも時間や手間を要しない方法が望まれており、さらに、該薄膜試料の膜厚測定方法を使用し精度良い加工を行うことができる薄膜試料作製方法の開発が望まれていた。
本発明は、時間や手間を要しない薄膜試料の膜厚測定方法を使用し、その方法による測定値に基づく加工の制御を行うことにより、100nm以下の厚みの薄膜試料を、FIBにより、時間や手間を要せずに精度よく作製できる方法を提供することを課題とする。本発明は、又、前記薄膜試料の作製方法に使用することができる、時間や手間を要しない薄膜試料の膜厚測定方法を提供することを課題とする。
本発明者は、検討の結果、試料に対して、所定の加速電圧で電子ビームを照射したときの透過電子線量と膜厚との関係を、電子線軌道のモンテカルロシミュレーションにより求めるとともに、試料に前記所定の加速電圧で電子ビームを照射して透過電子線量を測定し、測定された透過電子線量を前記関係に適用する方法により、薄膜試料の膜厚を、時間や手間を要さずにかつ正確に測定できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、前記の課題は、以下に述べる構成からなる発明により達成される。
請求項1に記載の発明は、集束イオンビーム加工(FIB)により薄膜試料を作製する方法であって、前記集束イオンビーム加工のイオンビームの方向とは角度α異なる方向より、電子ビームを加速電圧V1で加工対象に照射し、透過電子線率T1を得るとともに、前記加工対象と同材料からなる膜に、膜の表面に対して角度αの方向より電子ビームを照射したときの膜厚Dと、加速電圧V及び透過電子線率Tとの予測関係D=F(V,T)をモンテカルロシミュレーションにより作成し、加速電圧V1及び透過電子線率T1を前記予測関係のV及びTにそれぞれ適用して膜厚D1を計算し、この計算値に基づき、前記集束イオンビーム加工を制御することを特徴とする薄膜試料の作製方法である。
請求項1の薄膜試料の作製方法は、所謂FIB−SEM複合装置による薄膜加工技術を使用する方法である。すなわち、加工対象に対しFIBのイオンビーム及び膜厚を測定するための電子ビームからなる2つのビームを、異なった方向から照射し、FIBを行いながら膜厚測定を行い、その測定結果に基づきFIBの制御を行う薄膜試料の作製方法であり、100nm以下の厚みの薄膜試料を精度良く加工して作製することができる。
請求項1の薄膜試料の作製方法は、集束イオンビーム加工(FIB)による薄膜試料の作製方法である。すなわち、集束イオンビームを加工対象に照射し、イオンビームによるエッチングにより加工対象の表面を削り取り、薄膜を形成する方法である。従って、照射するイオンビームの方向は、形成される薄膜試料の表面方向と同じである。
請求項1の薄膜試料の作製方法は、FIBを加工対象の膜厚を測定しながら行う方法であり、この膜厚の測定を次の1)、2)、3)により行うことを特徴とする。
1)予め、加工対象と同材料からなる膜に、膜の表面に対して角度αの方向より電子ビームを照射したときの膜厚Dと、電子ビームの加速電圧V及び透過電子線率Tとの関係を予測する予測関係D=F(V,T)を、電子線軌道のモンテカルロシミュレーションにより作成しておく。ここで透過電子線率Tとは、照射される電子線量に対する膜を透過して裏面から出る電子線量の比である。
モンテカルロシミュレーションとは、数値解析の分野において確率を近似的に求める手法として使われるモンテカルロ法により、乱数を用いてシミュレーションを行う手法である。モンテカルロシミュレーションは電子線の軌道計算に一般的に用いられている。
本発明では、膜の表面に入射した電子が膜内を移動する経路を、このシミュレーションにより予測し、さらに膜の裏面から出る電子の割合(透過電子線率T1)を予測する。そして、膜厚Dのパラメータを任意に変化させてこのシミュレーションを行い、かつ、電子ビームの加速電圧Vのパラメータを任意に変化させてこのシミュレーションを行うことにより、前記の予測関係D=F(V,T)を作成することができる。
さらに、前記の予測関係D=F(V,T)の作成を、複数の角度αや複数種類の材料について作成することにより、角度αが異なった条件での膜厚測定にも対応することができ、又、異なった種類の材料からなる薄膜試料の作製にも本発明を適用することができる。
2)前記FIBのイオンビームの方向とは角度α異なる方向より、電子ビームを加速電圧V1で加工対象に照射し、透過電子線率T1を得る。透過電子線率T1を得る方法としては、後述するように、膜厚測定のための電子ビーム照射をする走査型電子顕微鏡(SEM)により画像輝度を測定し、該画像輝度より計算して得る方法等を挙げることができる。
3)加速電圧V1及び透過電子線率T1を、前記予測関係D=F(V,T)に適用して膜厚D1を求める。すなわち、前記予測関係において、V=V1、T=T1に対応する膜厚Dを求めその値をD1とする。
上記のようにして得られた膜厚D1は、直ちにFIBの制御に適用され、その結果所望の膜厚を有する薄膜を精度良く作製することができる。例えば、膜厚が所望の厚みより充分大きいときは加工速度を速くするためFIBのイオンビームの照射量を大きくし、所望の厚みに近づいたときは、FIBのイオンビームの照射量を小さくして精密な加工を行うことができる。すなわち、本発明は、モンテカルロシミュレーションによる膜厚−透過電子線量(率)の関係を標準データとし、透過電子線の変化(透過電子線率をSEMの輝度から得る方法では、対象領域の輝度変化)により膜厚をモニタリングすることを特徴とする方法であり、透過電子線率が所定値に達した段階で加工を中断することにより、精度の良い加工をする方法である。
請求項2に記載の発明は、膜厚測定のための電子ビーム照射をするSEMにより二次電子の画像輝度を測定し、該画像輝度より計算して、透過電子線率T1を得ることを特徴とする請求項1に記載の薄膜試料作製方法である。
電子ビーム照射をするSEMにより測定される画像輝度は、SEMの検出器に入射する電子線量に依存するが、検出器に入射する二次電子の線量は、入射面(表面)からの二次電子及び透過電子(裏面からの二次電子)の和である。すなわち、表面からの二次電子+裏面に抜けたエネルギーを保持した電子による二次電子が二次電子像の輝度に寄与している。
ここで、表面からの二次電子量は照射される電子線量に比例するが、この比:(表面からの二次電子量)/(照射される電子線量)をRとすると、輝度BとR及びT1との関係は、式B=m×n×(T1+R)で表される。mは、SEMの検出器に入射する電子線量と輝度Bとの関係を示す比例定数であり、nは照射される電子線量を表わす。
このRは、電子ビームの加速電圧V1のみに依存し、膜厚には依存しない。又、膜厚がある厚み以上となると電子は膜を透過することができず、透過電子数(透過電子率T1)はゼロとなり、裏面からの電子(透過電子)が検出されない。従って、試料の膜厚が一定の値を超えると、透過電子の検出量(SEMの輝度等)は一定となる。
すなわち、加速電圧V1における輝度Bを、膜厚を複数点変動させた標準試料について測定したとき、膜厚の変動に対して輝度Bの変化がない場合は、透過電子率T1がゼロの場合に該当し、前記の式で表される関係は、B=m×n×Rで表される関係となる。比例定数mは検出器及び検出器と試料との位置関係により定まる既知の値であり、電子線量nは既知であるから、膜厚の変動にたいして変化がない場合の輝度Bから(加速電圧V1における)Rを計算することができる。
一方、試料の膜厚が前記一定の値以下の場合は、膜厚が薄くなるほど裏面に抜けた電子(透過電子数:透過電子率T1)は増加し、(裏面で発生する二次電子も増加することから)輝度Bも増加する。前記のようにして加工対象と同じ材料からなる標準試料について加速電圧V1におけるRを予め得ておけば、加速電圧V1で輝度Bを、FIB中に測定することにより、前記式B=m×n×(T1+R)に基づいて、T1を計算することができる。請求項2の方法は、このようにしてT1を計算して得ることをその特徴とする。
請求項3に記載の発明は、薄膜試料の膜厚測定方法であって、前記薄膜試料の表面に対し角度αの方向より、電子ビームを加速電圧V1で前記薄膜試料に照射し、透過電子線率T1を得るとともに、前記薄膜試料と同材料からなる膜に、膜の表面に対して角度αの方向より電子ビームを照射したときの膜厚Dと、加速電圧V及び透過電子線率Tとの予測関係D=F(V,T)をモンテカルロシミュレーションにより作成し、加速電圧V1及び透過電子線率T1を前記予測関係のV及びTにそれぞれ適用して膜厚D1を計算することを特徴とする薄膜試料の膜厚測定方法である。
この薄膜試料の膜厚測定方法は、請求項1又は2の薄膜試料作製方法で使用される膜厚測定方法であり、その特徴は前記(例えば前記の1)、2)及び3))のとおりである。又、透過電子線率T1も、SEMによる二次電子の画像輝度から前記のようにして算出することができる。
本発明の薄膜試料作製方法によれば、100nm以下の厚みの薄膜試料を、FIBにより、時間や手間を要せずに精度よく作製することができる。又、本発明の薄膜試料の膜厚測定方法は、100nm以下の厚みの薄膜試料の膜厚を、時間や手間を要せずに精度よく測定することができる方法である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を損ねない範囲内において種々の変更を加えることが可能である。
図1は、本発明の薄膜試料作製方法を行うためのFIB−SEM複合装置の構造を示す模式断面図である。図中の1は、FIBを行うためのイオンビーム照射装置を、2は、膜厚測定用の電子ビームを照射するSEMであり、3はイオンビーム照射装置1より照射されるイオンビームであり、4は、SEM2より照射される電子ビームである。又、図中の5は、FIBの加工対象であり、51は、FIBにより作製中の薄膜試料である。
図1は、イオンビーム照射装置1より照射されるイオンビーム3により加工対象5がエッチングされて薄膜試料51が形成されている様子を示している。図より明らかなように薄膜試料51の表面の方向は、イオンビーム3の方向である。
FIBにより形成されている薄膜試料51の表面には、該表面(=イオンビーム3の方向)に対してαの角度で、SEM2より、加速電圧V1で加速された電子ビーム4が照射されている。照射された電子ビーム4の電子(入射電子)の一部は薄膜試料51の表面より(二次電子として)放出され、一部は薄膜試料51内に吸収され、薄膜試料51の膜厚が薄い場合は一部は薄膜試料51を透過し裏面より放出される。図2は、薄膜試料に照射された入射電子が、試料の表面及び裏面から二次電子として放出される様子を示す模式図である。透過電子とはこの裏面から放出される二次電子を言う。
透過電子数は薄膜試料の膜厚に依存する。膜厚が増大すると透過電子数は減少し、膜厚がある厚さ以上となると薄膜試料を透過する電子はなくなり、透過電子数はゼロとなる。一方、薄膜試料の表面より二次電子として放出される電子量(以下「表面からの電子数」と言う。なお、本明細書で言う「電子数」とは、「計算する軌道の数」を意味にする。)は、実用範囲では、他の条件(加速電圧等)が一定であれば、膜厚が変動してもほぼ一定である。
図3は、膜厚と、透過電子数、表面からの電子数との関係を模式的に示すグラフである。グラフの縦軸は、透過電子数と表面からの電子数の和である二次電子量を表わし、(a)の領域が透過電子数を表わし、(b)の領域が表面からの電子数を表わす。図3に示されているように、透過電子数は、膜厚の増加とともに減少するが、膜厚が一定の値t以上となるとゼロとなる。従って、膜厚が当該一定の値t以上となると、二次電子量は表面からの電子数のみとなり図に示されるように膜厚の変動に対してほぼ一定となる。
図1において、6は、二次電子量測定手段を表わす。二次電子量測定手段6としては二次電子画像の測定手段等を挙げることができる。二次電子画像の測定手段を使用する場合は、画像輝度を測定しその測定値から二次電子量、すなわち、透過電子数と表面からの電子数の和を計算することができる。又、表面からの電子数は、膜厚を変えて(加速電圧等の他の条件を一定にして)測定したときもほぼ一定の二次電子量であるので、膜厚を変えた複数の標準試料について測定を行うことにより予め得ることができる。従って、二次電子量測定手段6により二次電子量を測定することにより、透過電子数も測定することができ、透過電子数の照射した電子数に対する比、透過電子線率T1も計算して得ることができる。
透過電子数(及び表面からの電子数)は、又、電子ビームの加速電圧に依存する。加速電圧が増す程、透過電子数は増大し、又、透過電子数がゼロとなる膜厚tも増大する。透過電子数は、さらに、試料の種類や入射角(試料の表面と照射される電子ビームのなす角α)等により変動する。
本発明の膜厚測定方法は、透過電子線率T、膜厚D及び加速電圧Vの関係をモンテカルロシミュレーションにより予測し、このシミュレーションにより得られた予測関係D=F(V,T)に、前記のようにして実測により得られたT1及び実測に使用した加速電圧V1を適用して、(FIBにより作製中の)薄膜試料の厚みD1を得ることを特徴とする。
[シミュレーション1]
モンテカルロシミュレーションを、フリーソフトの「走査電顕モンテカルロ」を用い、電子ビームの入射角αをイオンビームの照射方向に対し52度(試料表面の法線より38度)とし、GaAs単結晶からなる薄膜に、電子ビームを電子数3000で、加速電圧を1kV〜10kVまで変化させ、試料膜厚を25nm〜150nmまで変化させた場合について行った。なお「走査電顕モンテカルロ」では、Mott cross−section and modified scattering angleモデルに基づきシミュレーションを行う。又、他のパラメータとしては、平均原子番号、平均原子質量、密度を入れて計算した。その結果を図5及び図6に示す。
モンテカルロシミュレーションを、フリーソフトの「走査電顕モンテカルロ」を用い、電子ビームの入射角αをイオンビームの照射方向に対し52度(試料表面の法線より38度)とし、GaAs単結晶からなる薄膜に、電子ビームを電子数3000で、加速電圧を1kV〜10kVまで変化させ、試料膜厚を25nm〜150nmまで変化させた場合について行った。なお「走査電顕モンテカルロ」では、Mott cross−section and modified scattering angleモデルに基づきシミュレーションを行う。又、他のパラメータとしては、平均原子番号、平均原子質量、密度を入れて計算した。その結果を図5及び図6に示す。
図5は、モンテカルロシミュレーションにより予測した膜厚と透過電子数(透過電子線率×3000)との関係を示すグラフである。図5に示されているように、透過電子数は、膜厚が増大すると減少し、加速電圧が3kVのときは約80nmで、加速電圧が5kVのときは約170nmで透過電子線量はほぼゼロとなると、このシミュレーションにより予測される。
図6は、モンテカルロシミュレーションにより予測した加速電圧と透過電子線量(透過電子線率×3000)との関係を示すグラフである。図より明らかなように、加速電圧が上昇するほど透過電子数は増加している。
[シミュレーション2]
電子数を300、3000及び30000とし、加速電圧を5kVとし、試料膜厚を25nm〜200nmまで変化させた以外は、シミュレーション1と同様にしてモンテカルロシミュレーションを行った。その結果を図7に示す。図7に示されているように、電子数を300〜30000に変化させてもほぼ同様な予測関係が得られるが、膜厚150nm付近では、電子数300の場合に少しずれが見られる。従って、この結果より、電子数は(少なくとも)300〜30000の範囲から選択することができるが、好ましくは電子数は1000以上とするべきことが示されている。
電子数を300、3000及び30000とし、加速電圧を5kVとし、試料膜厚を25nm〜200nmまで変化させた以外は、シミュレーション1と同様にしてモンテカルロシミュレーションを行った。その結果を図7に示す。図7に示されているように、電子数を300〜30000に変化させてもほぼ同様な予測関係が得られるが、膜厚150nm付近では、電子数300の場合に少しずれが見られる。従って、この結果より、電子数は(少なくとも)300〜30000の範囲から選択することができるが、好ましくは電子数は1000以上とするべきことが示されている。
[シミュレーション3]
加工対象の試料をGaAs単結晶及びケイ素(Si)単結晶とし、加速電圧を5kVとし、試料膜厚を25nm〜400nmまで変化させた以外は、シミュレーション1と同様にしてモンテカルロシミュレーションを行った。その結果を図8に示す。図8に示されているように、Siは原子量が小さいため、膜厚が厚い段階でも電子が透過し、グラフの傾きや立ち上がり膜厚は、GaAsと異なるが、他の点ではGaAsと同様な関係が得られている。従ってこの結果より、本発明が、GaAs以外の他の材料にも適用可能であることが示されている。
加工対象の試料をGaAs単結晶及びケイ素(Si)単結晶とし、加速電圧を5kVとし、試料膜厚を25nm〜400nmまで変化させた以外は、シミュレーション1と同様にしてモンテカルロシミュレーションを行った。その結果を図8に示す。図8に示されているように、Siは原子量が小さいため、膜厚が厚い段階でも電子が透過し、グラフの傾きや立ち上がり膜厚は、GaAsと異なるが、他の点ではGaAsと同様な関係が得られている。従ってこの結果より、本発明が、GaAs以外の他の材料にも適用可能であることが示されている。
[シミュレーション4]
使用したソフトを「走査電顕モンテカルロ」、及び「Electron Flight Simulator」とし、加速電圧を5kVとし、試料膜厚を25nm〜200nmまで変化させた以外は、シミュレーション1と同様にしてモンテカルロシミュレーションを行った。その結果を図9に示す。図9に示されているように、ソフトウェアにより若干差は見られるものの、概ね傾向は同じであることが解る。
使用したソフトを「走査電顕モンテカルロ」、及び「Electron Flight Simulator」とし、加速電圧を5kVとし、試料膜厚を25nm〜200nmまで変化させた以外は、シミュレーション1と同様にしてモンテカルロシミュレーションを行った。その結果を図9に示す。図9に示されているように、ソフトウェアにより若干差は見られるものの、概ね傾向は同じであることが解る。
GaAsの単結晶の薄膜加工(薄膜試料の作製)を、集束イオンビーム加工(FIB)により行った。使用した装置は、日本エフイー・アイ社製Quanta3D FEGであり、その加工の様子を、装置付随の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてモニタした。本設備では、FIBのイオンビーム照射方向に対するSEMの電子ビームの角度αは52度に設定されている。又、電子ビームの電子数は3000で行った。
図4は、前記加工を行ったときの膜厚と、加速電圧3kV、5kVでのSEMの二次電子画像の輝度との関係を示すグラフである。膜厚は、TEMで電子線損失分光スペクトル(EELS)のゼロロススペクトルを取得し、そのスペクトルプロファイルから算出した。TEMおよびEELS装置としては、日本電子社製JEM−2100F+Gatan社製Tridiemを使用した。
図より、輝度(すなわち、透過電子数及び表面からの電子数の和である二次電子量)は、膜厚の増大とともに減少するが、膜厚が一定値(図中のt1及びt2)より大きくなると一定となること、すなわち透過電子数がゼロとなることが示されている。さらに透過電子数がゼロとなる膜厚(3kVの場合はt1、5kVの場合はt2)は、加速電圧が大きくなるほど増大すること(すなわちt1<t2)が示されている。
又、この実測では、図4に示されているように、加速電圧が3kVのときは約75nm以上で加速電圧が5kVのときは約160nm以上で、膜厚の変動に対して輝度(二次電子量)はほぼ一定となっている。すなわち、透過電子線量がほぼゼロとなる。前記のようにモンテカルロシミュレーションによる予測では、図5に示されているように、加速電圧が3kVのときは約80nmで、加速電圧が5kVのときは約170nmで透過電子線量はほぼゼロとなり、実測での結果とモンテカルロシミュレーションによる予測が、よく一致することが示されている。
1 イオンビーム照射装置
2 SEM
3 イオンビーム
4 電子ビーム
5 加工対象
51 薄膜試料
2 SEM
3 イオンビーム
4 電子ビーム
5 加工対象
51 薄膜試料
Claims (3)
- 集束イオンビーム加工により薄膜試料を作製する方法であって、前記集束イオンビーム加工のイオンビームの方向とは角度α異なる方向より、電子ビームを加速電圧V1で加工対象に照射し、透過電子線率T1を得るとともに、前記加工対象と同材料からなる膜に、膜の表面に対して角度αの方向より電子ビームを照射したときの膜厚Dと、加速電圧V及び透過電子線率Tとの予測関係D=F(V,T)をモンテカルロシミュレーションにより作成し、加速電圧V1及び透過電子線率T1を前記予測関係のV及びTにそれぞれ適用して膜厚D1を計算し、この計算値に基づき、前記集束イオンビーム加工を制御することを特徴とする薄膜試料作製方法。
- 膜厚測定のための電子ビーム照射をする走査型電子顕微鏡により二次電子の画像輝度を測定し、該画像輝度より計算して、透過電子線率T1を得ることを特徴とする請求項1に記載の薄膜試料作製方法。
- 薄膜試料の膜厚測定方法であって、前記薄膜試料の表面に対し角度αの方向より、電子ビームを加速電圧V1で前記薄膜試料に照射し、透過電子線率T1を得るとともに、前記薄膜試料と同材料からなる膜に、膜の表面に対して角度αの方向より電子ビームを照射したときの膜厚Dと、加速電圧V及び透過電子線率Tとの予測関係D=F(V,T)をモンテカルロシミュレーションにより作成し、加速電圧V1及び透過電子線率T1を前記予測関係のV及びTにそれぞれ適用して膜厚D1を計算することを特徴とする薄膜試料の膜厚測定方法。
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