本発明を実施するための実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下では、気導音と振動音とを利用者に伝える電子機器の例として、携帯電話について説明する。
(実施形態)
図1から図4を参照しながら、実施形態に係る携帯電話1Aの全体的な構成について説明する。図1は、携帯電話1Aの正面図である。図2は、携帯電話1Aの背面図である。図3は、携帯電話1Aのa−a断面を模式的に示す断面図である。図4は、携帯電話1Aの使用形態の例を示す図である。図1から図3に示すように、携帯電話1Aは、ディスプレイ2と、ボタン3と、照度センサ4と、近接センサ5と、圧電素子7と、マイク8と、スピーカ11と、カメラ12と、パネル(音発生部)20と、タッチスクリーン21と、筐体40とを備える。
ディスプレイ2は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro−Luminescence Display)、又は無機ELディスプレイ(IELD:Inorganic Electro−Luminescence Display)等の表示デバイスを備える。ディスプレイ2は、文字、画像、記号、及び図形等を表示する。
ボタン3は、利用者からの操作入力を受け付ける。ボタン3の数は、図1に示す例に限定されない。
照度センサ4は、携帯電話1Aの周囲光の照度を検出する。照度は、光の強さ、明るさ、又は輝度を示す。照度センサ4は、例えば、ディスプレイ2の輝度の調整に用いられる。近接センサ5は、近隣の物体の存在を非接触で検出する。近接センサ5は、赤外線あるいは磁界等の物理量の変化又は超音波の反射波の帰還時間の変化等に基づいて物体の存在を検出する。近接センサ5は、例えば、ディスプレイ2が顔に近づけられたことを検出する。照度センサ4及び近接センサ5は、一つのセンサとして構成されていてもよい。照度センサ4は、近接センサとして用いられてもよい。
圧電素子7は、電気信号(音信号に応じた電圧)が印加されると、構成材料の電気機械結合係数に従い伸縮又は屈曲する。すなわち、圧電素子7は、電気信号が印加されると変形する。圧電素子7は、パネル20に取り付けられ、パネル20を振動させるための振動源として用いられる。圧電素子7は、例えば、セラミック又は水晶を用いて形成される。圧電素子7は、ユニモルフ、バイモルフ、又は積層型圧電素子であってよい。積層型圧電素子には、バイモルフを積層した(例えば16層又は24層積層した)積層型バイモルフ素子が含まれる。積層型の圧電素子は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる複数の誘電体層と、該複数の誘電体層間に配設された電極層との積層構造体から構成される。ユニモルフは、電気信号(電圧)が印加されると伸縮する。バイモルフは、電気信号(電圧)が印加されると屈曲する。
マイク8は、音入力部である。マイク8は、入力される音を電気信号へ変換する。スピーカ11は、気導方式で音を出力する音出力部である。スピーカ11は、例えば、ダイナミックスピーカであり、電気信号を変換した音を、耳を携帯電話1Aに接触させていない人へも伝えることができる。スピーカ11は、例えば、音楽を出力するために用いられる。
カメラ12は、ディスプレイ2に面している物体を撮影するインカメラである。カメラ12は、撮影した画像を電気信号へ変換する。携帯電話1Aは、カメラ12に加えて、ディスプレイ2の反対側の面に面している物体を撮影するアウトカメラを備えてもよい。
パネル20は、圧電素子7の変形(伸縮又は屈曲)にともなって振動し、利用者がパネル20に接触させる耳の軟骨(耳介軟骨)等にその振動を伝える。パネル20は、例えば、ガラス、又はアクリル等の合成樹脂により形成される。パネル20の形状は、例えば、板状である。パネル20は、平板であってよい。パネル20は、表面が滑らかに湾曲する曲面パネルであってもよい。パネル20は、バッテリリッドであってもよい。バッテリリッドは、筐体40に取り付けられ、バッテリを覆う部材である。圧電素子7が筺体40の角部(例えば四隅の少なくとも一か所)を振動させる構成であっても良い。この場合、圧電素子7は、筺体40の角部の内面に取り付けられる構成でもよいし、中間部材をさらに備え、圧電素子7の振動が中間部材を介して筺体40の角部に伝達される構成でもよい。この構成によれば、振動する範囲を比較的狭くできるため、振動により発生する気導音が周囲に漏れにくい。また、この構成によれば、例えば利用者が筺体の角部を外耳道に挿入した状態で気導音と振動音とが利用者に伝わるため、周囲のノイズが利用者の外耳道に入りにくい。そのため、利用者に伝わる音の品質を向上することができる。
パネル20は、ディスプレイ2が配設される面とは反対側の面に配設される。以下の説明では、筐体40が有する面のうち、ディスプレイ2が配設される面を「正面」と呼び、パネル20が配設される面を「背面」と呼ぶことがある。筺体40において圧電素子7が配置される位置は、筺体40の背面側に限られない。圧電素子7は、例えば筺体40の側面に設けられてもよい。圧電素子7は、例えば筺体40の角部に設けられてもよい。
パネル20の内側の面には、接合部材30により、圧電素子7が取り付けられる。圧電素子7は、パネル20の内側の面に配置された状態で、パネル20の内側の面に対向する部材と所定の距離だけ離間している。圧電素子7は、伸縮または屈曲した状態でも、パネル20の内側の面に対向する部材と離間しているとよい。すなわち、圧電素子7とパネル20の内側の面に対向する部材との間の距離は、圧電素子7の最大変形量よりも大きいとよい。圧電素子7は、補強部材(例えば、板金又はガラス繊維強化樹脂)を介してパネル20に取り付けられてもよい。接合部材30は、例えば、両面テープ、又は熱硬化性あるいは紫外線硬化性等を有する接着剤である。接合部材30は、無色透明のアクリル系紫外線硬化型接着剤である光学弾性樹脂でもよい。
圧電素子7は、パネル20の長手方向の端部から所定の距離だけ離間した近傍に、圧電素子7の長手方向がパネル20の短手方向と平行になるように配設される。
タッチスクリーン(タッチセンサ)21は、ディスプレイ2に重ねて配設される。タッチスクリーン21は、接触を検出する。タッチスクリーン21の検出結果は、指、ペン、又はスタイラスペン等による利用者の接触操作を検出するために用いられる。タッチスクリーン21を用いて検出される接触に基づいて判定される操作(ジェスチャ)は、例えば、タッチ、ロングタッチ、リリース、スワイプ、タップ、ダブルタップ、ロングタップ、ドラッグ、フリック、ピンチイン、ピンチ(ピンチイン及びピンチアウト)、及びローテートを含むがこれらに限定されない。タッチスクリーン21の検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式(又は超音波方式)、赤外線方式、電磁誘導方式、及び荷重検出方式等の任意の方式でよい。以下の説明では、説明を簡単にするために、「タッチスクリーンが接触を検出し、その接触に基づいて、ジェスチャの種別をスマートフォン1がXと判別すること」を、「スマートフォン1がXを検出する」、「コントローラがXを検出する」、又は「タッチスクリーンがXを検出する」と記載することがある。コントローラについては後述する。
「タッチ」は、タッチスクリーン21に指が触れるジェスチャである。携帯電話1Aは、タッチスクリーン21に指が接触するジェスチャをタッチとして判別する。「ロングタッチ」は、タッチスクリーン21に指が一定時間より長く触れるジェスチャである。携帯電話1Aは、タッチスクリーン21に指が一定時間より長く接触するジェスチャをロングタッチとして判別する。
「リリース」は、指がタッチスクリーン21から離れるジェスチャである。携帯電話1Aは、指がタッチスクリーン21から離れるジェスチャをリリースとして判別する。「スワイプ」は、指がタッチスクリーン21に接触したままで移動するジェスチャである。携帯電話1Aは、指がタッチスクリーン21に接触したままで移動するジェスチャをスワイプとして判別する。
「タップ」は、タッチに続いてリリースをするジェスチャである。携帯電話1Aは、タッチに続いてリリースをするジェスチャをタップとして判別する。「ダブルタップ」は、タッチに続いてリリースをするジェスチャが2回連続するジェスチャである。携帯電話1Aは、タッチに続いてリリースをするジェスチャが2回連続するジェスチャをダブルタップとして判別する。
「ロングタップ」は、ロングタッチに続いてリリースをするジェスチャである。携帯電話1Aは、ロングタッチに続いてリリースをするジェスチャをロングタップとして判別する。「ドラッグ」は、移動可能なオブジェクトが表示されている領域を始点としてスワイプをするジェスチャである。携帯電話1Aは、移動可能なオブジェクトが表示されている領域を始点としてスワイプをするジェスチャをドラッグとして判別する。
「フリック」は、指が、タッチスクリーン21に触れた後移動しながらタッチスクリーン21から離れるジェスチャである。すなわち、「フリック」は、タッチに続いて指が移動しながらリリースが行われるジェスチャである。携帯電話1Aは、指が、タッチスクリーン21に触れた後移動しながらタッチスクリーン21から離れるジェスチャをフリックとして判別する。フリックは、指が一方方向へ移動しながら行われることが多い。フリックは、指が画面の上方向へ移動する「上フリック」、指が画面の下方向へ移動する「下フリック」、指が画面の右方向へ移動する「右フリック」、指が画面の左方向へ移動する「左フリック」等を含む。フリックにおける指の移動は、スワイプにおける指の移動よりも素早いことが多い。
「ピンチイン」は、複数の指が互いに近付く方向にスワイプするジェスチャである。携帯電話1Aは、タッチスクリーン21により検出されるある指の位置と他の指の位置との間の距離が短くなるジェスチャをピンチインとして判別する。「ピンチアウト」は、複数の指が互いに遠ざかる方向にスワイプするジェスチャである。携帯電話1Aは、タッチスクリーン21により検出されるある指の位置と他の指の位置との間の距離が長くなるジェスチャをピンチアウトとして判別する。
「ローテート」は、複数の指がそれらの指の中間付近を軸として回転するようにスワイプするジェスチャである。携帯電話1Aは、いずれかの点を軸として複数の指が回転するように移動するジェスチャをスワイプとして判別する。
筐体40は、樹脂又は金属を用いて形成される。筐体40は、ディスプレイ2、ボタン3、照度センサ4、近接センサ5、マイク8、スピーカ11、カメラ12、及びパネル20等を支持する。
図4に示すように、利用者が耳E1をパネル20に接触させると、パネル20の振動によって発生する振動音が利用者に伝わる。このとき、タッチスクリーン21は、耳E1とは反対側に露出する。このため、利用者は、気導音及び振動音の出力に関して何らかの制御を行うための操作をタッチスクリーン21に対して行うことができる。携帯電話1Aを持つ手H1の指F1を用いてタッチスクリーン21を操作することができる。利用者は、もう一方の手の指を用いてタッチスクリーン21を操作することもできる。
タッチスクリーン21は、パネル20により気導音と振動音とが発生していない場合には、利用者がディスプレイ2に表示される画面を参照しながら行う操作を検出するために用いられる。このように、携帯電話1Aは、利用者が振動音を聞きながら行う操作と、利用者がディスプレイ2に表示される画面を参照しながら行う操作との両方を、タッチスクリーン21を用いて検出するように構成される。このような構成は、携帯電話1Aの小型化、信頼性の向上、コストの低減等に寄与する。
さらに、携帯電話1Aは、利用者が、気導音及び振動音の出力に関して何らかの制御を行うための操作を、タッチスクリーン21に対して、直感的なジェスチャを用いて行うことを可能にする。このため、気導音及び振動音を出力する場合の使い勝手が向上される。
パネル20を振動させて振動音を発生させているとき、すなわち、利用者が図4に示したような形態で携帯電話1Aを利用している場合、携帯電話1Aは、ディスプレイ2を消灯してもよい。このように、利用者がディスプレイ2に表示されている情報を参照するのが困難な状況においてディスプレイ2を消灯することにより、利用者の利便性を低下させること無く、電力消費を抑制することができる。
パネル20を振動させて振動音を発生させているとき、携帯電話1Aは、振動音が発生していることを示す情報、又は筐体40と同じ色で塗りつぶされた画面をディスプレイ2に表示してもよい。振動音が発生していることを示す情報は、例えば、メッセージ、画像、又はアニメーションである。このような表示により、利用者が携帯電話1Aを誤った方法で利用していると周囲の人が誤解する可能性を低くすることができる。
図1から図6を参照しながら、実施形態に係る携帯電話1Aによる音の出力についてより詳細に説明する。図5は、パネル20の形状の例を示す図である。図6は、パネル20の振動の例を示す図である。
圧電素子7には、出力する音に応じた電気信号が印加される。圧電素子7には、例えば、外耳道を介する気導音によって音を伝える所謂パネルスピーカの印加電圧である±5Vよりも高い、±15Vが印加されてもよい。これにより、利用者が、例えば、3N以上の力(5N〜10Nの力)でパネル20に自身の体の一部を押し付けた場合であっても、パネル20に十分な振動を発生させ、利用者の体の一部を介して伝わる振動音を発生させることができる。圧電素子7に印加される電圧は、パネル20の筐体40に対する固定強度、又は圧電素子7の性能等に応じて適宜調整可能である。
電気信号が印加されると、圧電素子7は長手方向に伸縮又は屈曲する。圧電素子7が取り付けられたパネル20は、圧電素子7の伸縮又は屈曲に合わせて変形する。これにより、パネル20は、振動し、気導音を発生させる。さらに、利用者が体の一部(例えば、耳介軟骨)をパネル20に接触させた場合、パネル20は、体の一部を介して利用者に伝導する振動音を発生させる。すなわち、パネル20は、圧電素子7の変形にともなって、パネル20に接触する物体に対して振動音として知覚される周波数で振動する。
例えば、圧電素子7に、通話の相手の音声、又は着信音、音楽等の音データに応じた電気信号が印加されると、パネル20は、電気信号に対応する気導音及び振動音を発生させる。圧電素子7及びパネル20を介して出力される音信号は、後述するストレージ9に記憶されている音データに基づくものであってよい。圧電素子7及びパネル20を介して出力される音信号は、外部のサーバ等に記憶され、後述する通信ユニット6によりネットワークを介して取得される音データに基づくものであってもよい。
本実施形態において、パネル20は、利用者の耳と略同じ大きさであってよい。また、パネル20は、図5に示すように、利用者の耳よりも大きなサイズであってもよい。この場合、利用者は、音を聞くときに耳の外周部の略全体をパネル20に接触させることができる。このようにして音を聞くことにより、周囲音(ノイズ)が外耳道に入り難くなる。本実施形態では、少なくとも、パネル20は、人間の対耳輪下脚(下対輪脚)から対耳珠までの間の距離に相当する長手方向(又は短手方向)の長さと、耳珠から対耳輪までの間の距離に相当する短手方向(又は長手方向)の長さとを有する領域よりも広い領域が振動する。パネル20は、耳輪における対耳輪上脚(上対輪脚)近傍の部位から耳垂までの間の距離に相当する長手方向(又は短手方向)の長さと、耳珠から耳輪における対耳輪近傍の部位までの間の距離に相当する短手方向(又は長手方向)の長さを有する領域が振動してもよい。上記の長さ及び幅を有する領域は、長方形状の領域であってもよいし、上記の長手方向の長さを長径、上記の短手方向の長さを短径とする楕円形状であってもよい。人間の耳の平均的な大きさは、例えば、社団法人 人間生活工学研究センター(HQL)作成の日本人の人体寸法データベース(1992−1994)等を参照すれば知ることができる。
図6に示すように、パネル20は、圧電素子7が取り付けられた取付領域20aだけでなく、取付領域20aから離れた領域も振動する。パネル20は、振動する領域において、当該パネル20の主面と交差する方向に振動する箇所を複数有し、当該複数の箇所の各々において、振動の振幅の値が、時間とともにプラスからマイナスに、あるいはその逆に変化する。パネル20は、それぞれの瞬間において、振動の振幅が相対的に大きい部分と振動の振幅が相対的に小さい部分とがパネル20の略全体に一見ランダム又は規則的に分布した振動をする。すなわち、パネル20全域にわたって、複数の波の振動が検出される。上記のように圧電素子7に対して印加される電圧が±15Vであれば、利用者が例えば5N〜10Nの力で自身の体にパネル20を押し付けた場合であっても、パネル20の上述した振動は減衰しにくい。このため、利用者は、パネル20上の取付領域20aから離れた領域に耳を接触させても、振動音を聞くことができる。
携帯電話1Aは、パネル20の振動により、気導音と、利用者の体の一部(例えば耳介軟骨)を介する振動音とを利用者に伝えることができる。そのため、携帯電話1Aは、ダイナミックレシーバと同等の音量の音を出力する場合、空気の振動により携帯電話1Aの周囲へ伝わる音を、ダイナミックスピーカのみを有する電子機器と比較して、少なくすることができる。このような特徴は、例えば、録音されたメッセージを電車内のような近くに他人がいる場所で聞く場合等に好適である。
さらに、携帯電話1Aは、パネル20の振動により利用者に振動音を伝える。そのため、利用者は、イヤホン又はヘッドホンを身につけていても、それらに携帯電話1Aを接触させることで、イヤホン又はヘッドホン及び体の一部を介して、パネル20の振動による振動音を聞くことができる。
さらに、携帯電話1Aは、パネル20の振動により音を伝える。そのため、携帯電話1Aが別途ダイナミックレシーバを備えない場合、パネル20が発する音を外部に伝えるための開口部(放音口)を筐体40に形成する必要がない。このため、防水構造を実現する場合に、構造を簡略化することができる。携帯電話1Aは、ダイナミックスピーカの放音口等の開口部を筐体40に形成する必要がある場合、防水構造を実現するために、気体は通すが液体は通さない部材によって開口部を閉塞する構造を採用してもよい。気体は通すが液体は通さない部材は、例えば、ゴアテックス(登録商標)である。
以下の説明では、圧電素子7及びパネル20の組み合わせを振動レシーバと呼ぶことがある。
図7を参照しながら、携帯電話1Aの機能的な構成について説明する。図7は、携帯電話1Aのブロック図である。図7に示すように、携帯電話1Aは、ディスプレイ2と、ボタン3と、照度センサ4と、近接センサ5と、通信ユニット6と、マイク8と、ストレージ9と、コントローラ10と、スピーカ11と、カメラ12と、圧電素子7及びパネル20を含む振動レシーバ13と、姿勢検出ユニット15と、バイブレータ18と、タッチスクリーン21とを備える。
通信ユニット6は、無線により通信する。通信ユニット6によってサポートされる通信方式は、無線通信規格である。無線通信規格として、例えば、2G、3G、4G等のセルラーフォンの通信規格がある。セルラーフォンの通信規格として、例えば、LTE(Long Term Evolution)、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、CDMA2000、PDC(Personal Digital Cellular)、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)、PHS(Personal Handy−phone System)等がある。無線通信規格として、さらに、例えば、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、IEEE802.11、Bluetooth(登録商標)、IrDA(Infrared Data Association)、NFC(Near Field Communication)等がある。通信ユニット6は、上述した通信規格の1つ又は複数をサポートしていてもよい。本実施形態において、通信ユニット6は、ラジオ放送及びテレビ放送の電波を受信するためにも用いられる。
ストレージ9は、プログラム及びデータを記憶する。ストレージ9は、コントローラ10の処理結果を一時的に記憶する作業領域としても利用される。ストレージ9は、半導体記憶媒体、及び磁気記憶媒体等の任意の非一過的(non−transitory)な記憶媒体を含んでよい。ストレージ9は、複数の種類の記憶媒体を含んでよい。ストレージ9は、メモリカード、光ディスク、又は光磁気ディスク等の可搬の記憶媒体と、記憶媒体の読み取り装置との組み合わせを含んでよい。ストレージ9は、RAM(Random Access Memory)等の一時的な記憶領域として利用される記憶デバイスを含んでよい。
ストレージ9に記憶されるプログラムには、フォアグランド又はバックグランドで実行されるアプリケーションと、アプリケーションの動作を支援する制御プログラムとが含まれる。アプリケーションは、例えば、ディスプレイ2に画面を表示させ、タッチスクリーン21によって検出されるジェスチャに応じた処理をコントローラ10に実行させる。制御プログラムは、例えば、OSである。アプリケーション及び制御プログラムは、通信ユニット6による無線通信又は非一過的な記憶媒体を介してストレージ9にインストールされてもよい。
ストレージ9は、例えば、制御プログラム9A、読み上げアプリケーション9B、ラジオプレイヤアプリケーション9C、テレビプレイヤアプリケーション9D、音楽再生アプリケーション9E、ビデオ再生アプリケーション9F、及び設定データ9Zを記憶する。読み上げアプリケーション9Bは、テキストデータを、あたかも人が読み上げたような音声データへ変換する読み上げ機能を提供する。読み上げアプリケーション9Bによる読み上げ機能は、他の機能と組み合わせて利用されることがある。ラジオプレイヤアプリケーション9Cは、ラジオ放送を聴くための機能を提供する。テレビプレイヤアプリケーション9Dは、テレビ放送を視聴するための機能を提供する。音楽再生アプリケーション9Eは、音楽データから音を再生するための音楽再生機能を提供する。ビデオ再生アプリケーション9Fは、ビデオデータから映像及び音を再生するためのビデオ再生機能を提供する。設定データ9Zは、携帯電話1Aの動作に関連する各種の設定に関する情報を含む。
読み上げアプリケーション9B、ラジオプレイヤアプリケーション9C、テレビプレイヤアプリケーション9D、音楽再生アプリケーション9E、及びビデオ再生アプリケーション9Fが提供する機能による音は、スピーカ11及び振動レシーバ13のいずれか一方、又はそれら両方から出力される。音がどこから出力されるかは、例えば、利用者の操作、又は利用者が予め行った設定によって決定される。
制御プログラム9Aは、携帯電話1Aを稼働させるための各種制御に関する機能を提供する。制御プログラム9Aは、例えば、通信ユニット6、圧電素子7、及びマイク8等を制御することによって、通話を実現させる。制御プログラム9Aが提供する機能には、気導音及び振動音の出力中に、タッチスクリーン21によって検出される操作に応じて、気導音及び振動音に関する制御を行う機能が含まれる。気導音及び振動音に関する制御は、例えば、音量、音質、再生方向、再生速度、および再生順序に関する制御を含む。気導音及び振動音に関する制御は、音を出力する機能を有するプログラムと、制御プログラム9Aとの協業によって実現されてもよい。
コントローラ10は、演算処理装置である。演算処理装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、SoC(System−on−a−chip)、MCU(Micro Control Unit)、及びFPGA(Field−Programmable Gate Array)を含むが、これらに限定されない。コントローラ10は、携帯電話1Aの動作を統括的に制御して各種の機能を実現する。
具体的には、コントローラ10は、ストレージ9に記憶されているデータを必要に応じて参照しつつ、ストレージ9に記憶されているプログラムに含まれる命令を実行する。そして、コントローラ10は、データ及び命令に応じて機能部を制御し、それによって各種機能を実現する。機能部は、例えば、ディスプレイ2、通信ユニット6、圧電素子7、マイク8、スピーカ11、及びバイブレータ18を含むが、これらに限定されない。コントローラ10は、検出部の検出結果に応じて、制御を変更することがある。検出部は、例えば、ボタン3、照度センサ4、近接センサ5、カメラ12、姿勢検出ユニット15、及びタッチスクリーン21を含むが、これらに限定されない。
コントローラ10は、例えば、制御プログラム9Aを実行することにより、気導音及び振動音の出力中に、タッチスクリーン21によって検出される操作に応じて、気導音及び振動音に関する制御を行う。
姿勢検出ユニット15は、携帯電話1Aの姿勢を検出する。姿勢検出ユニット15は、姿勢を検出するために、加速度センサ、方位センサ、及びジャイロスコープの少なくとも1つを備える。バイブレータ18は、携帯電話1Aの一部又は全体を振動させる。バイブレータ18は、振動を発生させるために、例えば、圧電素子、又は偏心モータを有する。バイブレータ18による振動は、音を伝えるためではなく、着信等の各種のイベントを利用者に報知するために用いられる。
図7においてストレージ9が記憶するプログラム及びデータの一部又は全部は、通信ユニット6による無線通信で他の装置からダウンロードされてもよい。図7においてストレージ9が記憶するプログラム及びデータの一部又は全部は、ストレージ9に含まれる読み取り装置が読み取り可能な非一過的な記憶媒体に記憶されていてもよい。非一過的な記憶媒体は、例えば、CD(登録商標)、DVD(登録商標)、Blu−ray(登録商標)等の光ディスク、光磁気ディスク、磁気記憶媒体、メモリカード、及びソリッドステート記憶媒体を含むが、これらに限定されない。
図7に示した携帯電話1Aの構成は例であり、本発明の要旨を損なわない範囲において適宜変更してよい。例えば、携帯電話1Aは、操作のためのボタンとして、テンキー配列又はQWERTY配列等のボタンを備えていてもよい。
図8Aから図8E及び図9を参照しながら、気導音及び振動音の出力中に、タッチスクリーン21によって検出される操作に応じて行われる制御の例について説明する。図8Aから図8Eは、タッチスクリーン21によって検出される操作と、操作に応じて行われる制御の対応の例を示す図である。図9は、チャンネルを指定するための操作の例を示す図である。以下の説明では、説明を簡単にするため、パネル20の振動によって生じる気導音についての記載を省略することがある。
振動音の出力中に、タッチスクリーン21によって検出される操作に応じて行われる制御は、振動音を出力するために実行されているプログラムによって異なる。
図8Aは、読み上げアプリケーション9Bが提供する機能に基づいて振動音が出力されている場合における操作と制御の対応の例を示している。図8Aに示す例では、フリックが検出された場合には、検出されたフリックの方向に応じて、読み上げられる画面又はページが切り替えられる。ロングタッチが検出される度に、読み上げが開始された状態と終了した状態との切り替えが行われる。タップが検出された場合には、文、段落等の所定の単位で読み飛ばしが行われる。横方向へのスワイプが検出された場合には、検出されたスワイプの方向及び距離に応じて、読み上げの速度が変更される。縦方向へのスワイプが検出された場合には、検出されたスワイプの方向及び距離に応じて、読み上げられる箇所が前進又は逆戻りする。ピンチ又はローテートが検出された場合には、検出されたピンチの方向及び距離又は検出されたローテートの方向及び角度に応じて、音量が増減する。
図8Bは、ラジオプレイヤアプリケーション9Cが提供する機能に基づいて振動音が出力されている場合における操作と制御の対応の例を示している。図8Bに示す例では、フリックが検出された場合には、検出されたフリックの方向に応じて、チャンネルが切り替えられる。ロングタッチが検出される度に、録音が開始された状態と終了した状態との切り替えが行われる。タップが検出される度に、AMとFMの切り替えが行われる。スワイプが検出された場合には、検出されたスワイプの方向及び距離に応じて、チャンネルがスキャンされる。ピンチ又はローテートが検出された場合には、検出されたピンチの方向及び距離又は検出されたローテートの方向及び角度に応じて、音量が増減する。
図8Cは、テレビプレイヤアプリケーション9Dが提供する機能に基づいて振動音が出力されている場合における操作と制御の対応の例を示している。図8Cに示す例では、フリックが検出された場合には、検出されたフリックの方向に応じて、チャンネルが切り替えられる。ロングタッチが検出される度に、録画が開始された状態と終了した状態との切り替えが行われる。タップが検出される度に、主音声と副音声の切り替えが行われる。スワイプが検出された場合には、検出されたスワイプの方向及び距離に応じて、チャンネルがスキャンされる。ピンチ又はローテートが検出された場合には、検出されたピンチの方向及び距離又は検出されたローテートの方向及び角度に応じて、音量が増減する。数字の手書き入力が検出された場合には、手書きされた数字に対応するチャンネルがダイレクトに選局される。例えば、図9に示すように、指F1が数字の3に似た軌跡T1を描きながらタッチスクリーン21上を移動した場合、3チャンネルが選局される。
図8Dは、音楽再生アプリケーション9Eが提供する機能に基づいて振動音が出力されている場合における操作と制御の対応の例を示している。図8Dに示す例では、フリックが検出された場合には、検出されたフリックの方向に応じて、再生される曲が次又は前の曲へ切り替えられる。ロングタッチが検出される度に、シャッフルが有効な状態と無効な状態との切り替えが行われる。タップが検出される度に、複数の音質設定のうちの1つが予め決められた順に従って選択される。音質設定は、例えば、サラウンド効果の設定、イコライザの設定である。スワイプが検出された場合には、検出されたスワイプの方向及び距離に応じて、早送り又は巻き戻しが行われる。ピンチ又はローテートが検出された場合には、検出されたピンチの方向及び距離又は検出されたローテートの方向及び角度に応じて、音量が増減する。
図8Eは、ビデオ再生アプリケーション9Fが提供する機能に基づいて振動音が出力されている場合における操作と制御の対応の例を示している。図8Eに示す例では、フリックが検出された場合には、検出されたフリックの方向に応じて、再生されるビデオが次又は前のビデオへ切り替えられる。ロングタッチが検出される度に、ビデオが倍速再生のように高速で再生される状態と通常の速度で再生される状態との切り替えが行われる。タップが検出される度に、主音声と副音声の切り替えが行われる。スワイプが検出された場合には、検出されたスワイプの方向及び距離に応じて、早送り又は巻き戻しが行われる。ピンチ又はローテートが検出された場合には、検出されたピンチの方向及び距離又は検出されたローテートの方向及び角度に応じて、音量が増減する。
このように、振動音の出力に関する制御には、その制御によって実現される機能を利用者が想起しやすい操作が対応付けられる。
振動音の出力中にタッチスクリーン21によって検出される操作に応じた制御が行われるのは、上記のプログラムが実行されている場合に限定されない。例えば、通話中に相手の声を振動音として出力しているときにタッチスクリーン21に対する操作が行われた場合に、操作に応じた制御が行われてもよい。この場合、タッチスクリーン21で検出された操作に応じて、音量の変更、聞き取り易さを改善する機能の切り替え等が行われてもよい。聞き取り易さを改善する機能には、例えば、周波数領域毎の音量の調整、ピッチの変更、周囲の音の付加等が含まれる。
操作と制御の対応は、上記の例に限定されない。携帯電話1Aは、振動音の出力中にタッチスクリーン21によって検出されるジェスチャの種類、方向、距離、時間、速度、加速度、および回数の少なくとも1つに応じて、振動音に関する制御を行ってよい。
操作と制御の対応は、音を出力する機能を有するプログラムに埋め込まれていてもよい。この場合、制御プログラム9Aは、例えば、操作が検出された場合に、音を出力する機能を有するプログラムが有する機能のうち、操作に対応する制御を実行するための機能をコントローラ10が呼び出すように構成される。操作と制御の対応は、プログラムとは別のデータとして保存されてもよい。この場合、制御プログラム9Aは、例えば、操作が検出された場合に、必要に応じて、操作に対応する制御を実行するために制御プログラム9A自身の機能をコントローラ10が呼び出すように構成される。
図10を参照しながら、検出される操作に応じて、気導音及び振動音に関する制御を行うための処理手順の例について説明する。図10は、検出される操作に応じて、気導音及び振動音に関する制御を行うための処理手順の例を示すフローチャートである。図10に示す処理手順は、コントローラ10が制御プログラム9Aを実行することによって実現される。図10に示す処理手順は、音を出力するためのプログラムが実行されている間、繰り返して実行される。
コントローラ10は、ステップS101として、タッチスクリーン21によって操作が検出されたかを判定する。操作が検出されていない場合(ステップS101,No)、コントローラ10は、ステップS101の判定を再び実行する。操作が検出された場合(ステップS101,Yes)、コントローラ10は、ステップS102として、振動レシーバ13から振動音を出力中であるかを判定する。
気導音及び振動音を出力中である場合(ステップS102,Yes)、コントローラ10は、ステップS103として、第1の制御を実行する。第1の制御は、図8Aから8Eに示したような操作と制御の対応に基づいて行われる、気導音及び振動音に関する制御である。
気導音及び振動音を出力中でない場合(ステップS102,No)、コントローラ10は、ステップS104として、第2の制御を実行する。第2の制御は、タッチスクリーン21によって検出される操作と、ディスプレイ2に表示されている画面に割り当てられている制御との対応に基づいて行われる。例えば、ディスプレイ2に表示されている画面上に出力音量を予め設定するためのボタンが配置され、タッチスクリーン21によってそのボタンに対するタップが検出された場合、第2の制御として、出力音量が設定される。そして、その後に例えばパネル20により気導音と振動音とを発生させる場合、これらの音は設定に基づく音量で出力される。第2の制御は、今後発生するであろう気導音及び振動音に関する制御であるとよい。第2の制御は、所定の音をパネル20により気導音及び振動音として発生させるかスピーカ11から発生させるかを切り替える制御であってもよい。第2の制御は、パネル20により気導音及び振動音を発生させるアプリケーションを切り替える制御であってもよい。第2の制御は、例えば、ラジオプレイヤアプリケーション9Cと音楽再生アプリケーション9Eとを切り替える制御であってよい。第2の制御は、パネル20により発生する気導音及び振動音に関する制御とは異なる制御であってもよい。第2の制御は、例えば、ディスプレイ2を消灯させる制御であってもよい。
本出願の開示する実施形態は、当業者に明らかな事項を含むことができ、発明の要旨及び範囲を逸脱しない範囲で変形することができる。さらに、本出願の開示する実施形態及びその変形例は、適宜組み合わせることができる。例えば、上記の実施形態は、以下のように変形してもよい。
例えば、図7に示した各プログラムは、複数のモジュールに分割されていてもよいし、他のプログラムと結合されていてもよい。
パネル20への人体の一部の接触又は接近を検出するためのセンサを携帯電話1Aの背面に設け、スピーカ11から音を出力するか振動レシーバ13から音を出力するかを、そのセンサの検出結果に基づいて決定してもよい。さらに、図10のフローチャートのステップS102の判定を、検出結果に基づいて行ってもよい。具体的には、パネル20への人体の一部の接触がセンサによって検出された場合には、振動レシーバ13から音を出力し、検出された操作に応じて第1の制御を実行するように携帯電話1Aを構成してもよい。パネル20への人体の一部の接触又は接近を検出するためのセンサは、例えば、タッチスクリーン、近接センサ、照度センサ、又はカメラである。
携帯電話1Aは、気導音及び振動音を振動レシーバ13から出力しているときに、タッチスクリーン21において操作を受け付ける範囲を限定してもよい。例えば、利用者が、振動音を聞くときに、図4に示したように携帯電話1Aの下側を持つと仮定する。この場合、携帯電話1Aは、気導音及び振動音の出力中は、図11に示すように、タッチスクリーン21の検出領域のうち上側の領域R1でのみ操作を受け付けるように構成されてよい。このように操作を受け付ける範囲を限定することにより、利用者の意図しない接触によって誤作動が生じる可能性を低くすることができる。気導音及び振動音の出力中に操作を受け付ける範囲は、携帯電話1Aを持つ手の指で操作しやすい範囲であってもよい。気導音及び振動音の出力中に操作を受け付ける範囲は、利用者の選択に基づいて決定されてもよい。
上記の実施形態では、操作を受け付ける操作部としてのタッチスクリーン21が正面に配設され、気導音及び振動音を出力するパネル20が背面に配設される。しかしながら、上述した制御方法を実行する電子機器の構成は、これに限定されない。上述した制御方法を実行する電子機器は、気導音及び振動音を出力するパネルを1つの面に有し、気導音及び振動音に関する制御を行うための操作を受け付ける操作部を他の面に有していればよい。操作部は、タッチスクリーン21に限定されず、他のセンサ、又はボタンであってもよい。例えば、気導音及び振動音を出力中に操作を受け付ける操作部は、ボタン3、照度センサ4、又は近接センサ5であってもよい。ボタン3は、短押下、長押下、複数回の押下等の操作を受け付ける。照度センサ4及び近接センサ5は、覆う操作や、直前を横切る操作等の操作を受け付ける。
図12から図15を参照しながら、上述した制御方法を実行する電子機器の構成の変形例について説明する。図12は、第1の変形例に係る携帯電話1Bの正面図である。図13は、第1の変形例に係る携帯電話1Bの断面図である。図12及び図13に示すように、携帯電話1Bは、正面にパネル22及び圧電素子27を含む第2の振動レシーバを有する。圧電素子27は、圧電素子7と同様の素子である。
パネル22は、圧電素子27の変形(伸縮又は屈曲)にともなって振動し、利用者がパネル22に接触させる耳の軟骨(耳介軟骨)等にその振動を伝える。パネル22は、ディスプレイ2及び圧電素子27等を外力から保護する機能も有する。パネル22は、例えば、ガラス、又はアクリル等の合成樹脂により形成される。パネル22の形状は、例えば、板状である。パネル22は、平板であってよい。パネル22は、表面が滑らかに湾曲する曲面パネルであってもよい。
パネル22の背面には、接合部材30により、ディスプレイ2と、圧電素子27とが取り付けられる。圧電素子27は、パネル22の背面に配置された状態で、パネル22の内側の面に対向する部材と所定の距離だけ離間している。圧電素子27は、伸縮または屈曲した状態でも、パネル22内側の面に対向する部材と離間しているとよい。すなわち、圧電素子27とパネル22内側の面に対向する部材との間の距離は、圧電素子27の最大変形量よりも大きいとよい。圧電素子27は、補強部材(例えば、板金又はガラス繊維強化樹脂)を介してパネル22に取り付けられてもよい。
ディスプレイ2は、パネル22の短手方向における略中央に配設される。圧電素子27は、パネル22の長手方向の端部から所定の距離だけ離間した近傍に、圧電素子27の長手方向がパネル22の短手方向と平行になるように配設される。ディスプレイ2及び圧電素子27は、パネル22の内側の面に、平行に並べて配設される。
パネル22の外側の面の略全面には、タッチスクリーン(タッチセンサ)21が配設される。
気導音及び振動音が正面の振動レシーバと背面の振動レシーバのいずれから出力されるかは、例えば、利用者の操作、又は利用者が予め行った設定によって決定される。上述した制御方法は、気導音及び振動音が背面の振動レシーバから出力される場合に実行される。
図13では、ディスプレイ2が接合部材30を用いてパネル22の内側の面に取り付けられる例を示したが、電子機器は、パネル22とディスプレイ2の間に空間ができるように構成されてもよい。パネル22とディスプレイ2の間に空間を設けることにより、パネル22が振動しやすくなり、パネル22上において振動音を聞きやすい範囲が広くなる。
図14は、第2の変形例に係る携帯電話1Cの断面図である。図15は、パネル20の共振周波数の例を示す図である。図14に示すように、パネル20の内側の面の略中央には、接合部材30により、圧電素子7が取り付けられる。パネル20と圧電素子7との間には、補強部材31が配設される。すなわち、携帯電話1Cにおいては、圧電素子7と補強部材31とが接合部材30により接着され、さらに補強部材31とパネル20とが接合部材30で接着される。
補強部材31は、例えばゴムまたはシリコン等の弾性部材である。補強部材31は、例えばある程度の弾性を有するアルミニウム等から成る金属板であってもよい。補強部材31は、例えばSUS304等のステンレス板であってもよい。ステンレス板等の金属板の厚さは、圧電素子7に印加される電圧値等に応じて、例えば0.2mm〜0.8mmのものが適宜用いられる。補強部材31は、例えば樹脂製の板であってもよい。ここでいう樹脂製の板を形成する樹脂としては、例えばポリアミド系樹脂が挙げられる。ポリアミド系樹脂には、例えば、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とから得られる結晶性の熱可塑性樹脂から成り、強度及び弾性に富むレニー(登録商標)がある。このようなポリアミド系樹脂は、それ自体をベースポリマーとして、ガラス繊維、金属繊維または炭素繊維等により強化された強化樹脂であってもよい。強化樹脂は、ポリアミド系樹脂に対するガラス繊維、金属繊維または炭素繊維等の付加量に応じて、強度及び弾性が適宜調整される。強化樹脂は、例えば、ガラス繊維、金属繊維または炭素繊維等を編みこんで形成された基材に樹脂を含浸させ、硬化させて形成される。強化樹脂は、液状の樹脂に細かく切断された繊維片を混入させたのちに硬化させて形成されるものであってもよい。強化樹脂は、繊維を編みこんだ基材と樹脂層とを積層したものであってもよい。
圧電素子7とパネル20との間に補強部材31を配設することにより、以下の効果が得られる。パネル20に外力が加わった場合に、その外力が圧電素子7に伝わって圧電素子7が破損する可能性を低減することができる。例えば携帯電話1Cが地面に落下することでパネル20に対して外力が加わると、当該外力はまず補強部材31に伝わる。補強部材31は、所定の弾性を有しているため、パネル20から伝わる外力により弾性変形する。そのため、パネル20に対して加わった外力は補強部材31により少なくとも一部が吸収され、圧電素子7に伝達される外力が低減される。結果、圧電素子7の破損を低減することができる。補強部材31が圧電素子7と筐体40との間に配置される場合、例えば携帯電話1Cが地面に落下することで筐体40が変形し、変形した筐体40が圧電素子7に衝突して圧電素子7が破損する可能性を低減できる。
圧電素子7の伸縮または屈曲による振動は、まず補強部材31に伝達され、さらにパネル20に伝達される。すなわち、圧電素子7は、まず圧電素子7よりも大きな弾性係数を有する補強部材31を振動させ、さらにパネル20を振動させることになる。したがって、携帯電話1Cは、補強部材31を備えず、圧電素子7が接合部材30によりパネル20に接合される構造と比較して、圧電素子7の変形が過剰になりにくくすることができる。これにより、パネル20の変形量(変形の程度)を調節することができる。この構造は、圧電素子7の変形を阻害しにくいパネル20の場合に特に有効である。
さらに、圧電素子7とパネル20との間に補強部材31を配設することにより、図15に示すように、パネル20の共振周波数が下がり、低周波帯域の音響特性が向上する。補強部材31に換えて、板状の錘を接合部材30により圧電素子7に取り付けてもよい。
このように圧電素子7をパネル20の内側の面に取り付ける構造は、携帯電話1A及び1Bにも適用することができる。
上記の実施形態では、補強部材31は板状部材であるが、補強部材31の形状はこれに限られない。補強部材31は、例えば、圧電素子7より大きく、かつその端部が圧電素子7側に湾曲し圧電素子7の側部を覆う形状を有していてもよい。また、補強部材31は、例えば、板状部と、当該板状部から延設されて圧電素子7の側部を覆う延設部とを有する形状であってもよい。この場合、延設部と圧電素子7の側部とが、所定の距離だけ離間しているとよい。これにより、延設部が圧電素子7の変形を阻害しにくくなる。
上記の実施形態では、パネル20と圧電素子7とを接着する接合部材及びパネル20と筐体40とを接着する接合部材等を同一の符号を有する接合部材30として説明した。しかしながら、接合部材は、接合する対象である部材に応じて適宜異なるものが用いられてよい。
上記の実施形態では、添付の請求項に係る装置の例として、携帯電話について説明したが、添付の請求項に係る装置は、携帯電話に限定されない。添付の請求項に係る装置は、携帯電話以外の電子機器であってもよい。電子機器は、例えば、タブレット、携帯型パソコン、デジタルカメラ、メディアプレイヤ、電子書籍リーダ、ナビゲータ、及びゲーム機を含むが、これらに限定されない。
添付の請求項に係る技術を完全かつ明瞭に開示するために特徴的な実施形態に関し記載してきた。しかし、添付の請求項は、上記実施形態に限定されるべきものでなく、本明細書に示した基礎的事項の範囲内で当該技術分野の当業者が創作しうるすべての変形例及び代替可能な構成を具現化するように構成されるべきである。