JP2014009218A - 細胞融合阻害剤及びその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】破骨細胞形成時の細胞融合過程を標的とした細胞融合阻害剤を提供することを課題とする。
【解決手段】ブファリン、ブホタリン、シノブホタリン、シノブファギン、レシブホゲニン、サンギナリン、スルフォラファン、ゼアキサンチン及びこれらの薬理学的に許容可能な塩からなる群より選択される一以上の化合物を有効成分とした細胞融合阻害剤が提供される。
【選択図】なし
【解決手段】ブファリン、ブホタリン、シノブホタリン、シノブファギン、レシブホゲニン、サンギナリン、スルフォラファン、ゼアキサンチン及びこれらの薬理学的に許容可能な塩からなる群より選択される一以上の化合物を有効成分とした細胞融合阻害剤が提供される。
【選択図】なし
Description
本発明は細胞融合阻害剤及びその用途に関する。詳しくは、破骨細胞形成時の細胞融合過程を阻害し得る細胞融合剤及びその医用用途等に関する。
哺乳類における膜融合は生命活動に必要不可欠な現象である。受精をはじめ、胎盤の形成、筋繊維形成等、発生過程における様々な組織の形成が細胞融合によって達成される。また、癌細胞の転移にも、癌細胞とマクロファージ等の骨髄由来細胞との融合が関与することが示唆されている。細胞融合に関しては数多くの報告がある(例えば非特許文献1〜3)。また、これまでに細胞融合に関する非常に多くの特許が出願されているが(例えば特許文献1〜6)、それらのほとんどは同種または異種の細胞の融合を促進する技術に関するものであり、細胞融合の阻害物質に関するものは抗ウイルス薬等、極めて限られている。
Kao, W. J., A. K. McNally, A. Hiltner, and J. M. Anderson. 1995. Role for interleukin-4 in foreign-body giant cell formation on a poly(etherurethane urea) in vivo. J. Biomed. Mater. Res. 29: 1267-1275.
Vignery, A. 2008. Macrophage fusion: molecular mechanisms. Methods Mol. Biol. 475: 149-161.
Lundberg, P., C. Koskinen, P. A. Baldock, H. Lothgren, A. Stenberg, U. H. Lerner, and P. A. Oldenborg. 2007. Osteoclast formation is strongly reduced both in vivo and in vitro in the absence of CD47/SIRPa-interaction. Biochem. Biophys. Res. Commun. 352: 444-448.
本発明は破骨細胞形成時の細胞融合過程を標的とした細胞融合阻害剤を提供することを課題とする。また、当該細胞融合阻害剤の用途を提供することも課題とする。
上記課題に鑑みて検討を進める中、本発明者らは細胞融合関連分子であるCD98に着目した。CD98は軽鎖と重鎖から成るヘテロ二量体の膜タンパク質であり、白血球活性化抗原として見出され、細胞融合の制御因子として知られている。このCD98重鎖に対する抗体でヒト末梢血単球を刺激すると、骨吸収を担う破骨細胞に分化する。このCD98抗体依存性の細胞融合を阻害する化合物を探索することによって、破骨細胞分化における細胞融合過程を制御できるのではないかと考え、各種実験を行うことにした。ヒト免疫不全ウイルスの膜融合に必要なgp160を発現誘導し得るヒト単球由来U2ME-7細胞は、抗CD98抗体存在下で培養すると、24時間以内に細胞融合する。この実験系を用いて、食品および生薬由来の天然低分子化合物から細胞融合を阻害する物質を探索した。その結果、特に有効な化合物8種類を同定することに成功した。これらは破骨細胞の細胞融合過程をも阻害することがわかった。これまでに、当該化合物の細胞融合阻害効果は報告が無い。
本願は、主として上記成果に基づき、以下の発明を提供する。
[1]ブファリン、ブホタリン、シノブホタリン、シノブファギン、レシブホゲニン、サンギナリン、スルフォラファン、ゼアキサンチン及びこれらの薬理学的に許容可能な塩からなる群より選択される一以上の化合物を有効成分とする、細胞融合阻害剤。
[2][1]に記載の細胞融合阻害剤を含む骨代謝改善用組成物。
[3]医薬又は食品である、[2]に記載の組成物。
[4][1]に記載の細胞融合阻害剤を含む骨粗鬆症治療薬。
[5]ブファリン、ブホタリン、シノブホタリン、シノブファギン、レシブホゲニン、サンギナリン、スルフォラファン、ゼアキサンチン及びこれらの薬理学的に許容可能な塩からなる群より選択される一以上の化合物を、治療上有効量、患者に投与するステップを含む、骨粗鬆症の治療法。
[1]ブファリン、ブホタリン、シノブホタリン、シノブファギン、レシブホゲニン、サンギナリン、スルフォラファン、ゼアキサンチン及びこれらの薬理学的に許容可能な塩からなる群より選択される一以上の化合物を有効成分とする、細胞融合阻害剤。
[2][1]に記載の細胞融合阻害剤を含む骨代謝改善用組成物。
[3]医薬又は食品である、[2]に記載の組成物。
[4][1]に記載の細胞融合阻害剤を含む骨粗鬆症治療薬。
[5]ブファリン、ブホタリン、シノブホタリン、シノブファギン、レシブホゲニン、サンギナリン、スルフォラファン、ゼアキサンチン及びこれらの薬理学的に許容可能な塩からなる群より選択される一以上の化合物を、治療上有効量、患者に投与するステップを含む、骨粗鬆症の治療法。
本発明の第1の局面は細胞融合阻害剤に関する。後述の実施例に示す通り、本発明者らの検討によって、ブファリン(bufalin)、ブホタリン(bufotalin)、シノブホタリン(cinobufotalin)、シノブファギン(cinobufagin)、レシブホゲニン(resibufogenin)、サンギナリン(sanguinarine)、スルフォラファン(sulforaphane)及びゼアキサンチン(zeaxanthin)が、破骨細胞形成時の細胞融合過程を阻害することが判明した。当該知見に基づき本発明の細胞融合阻害剤では、これらの化合物のいずれかを有効成分とする。一態様ではこれらの中の二以上の化合物を有効成分に用いる。
以下、各化合物のCAS番号及び分子式を示す。また、各化合物の構造式を図1に示す。
ブファリン;CAS番号465-21-4;分子式C24H34O4
ブホタリン;CAS番号471-95-4;分子式C26H36O6
シノブホタリン;CAS番号1108-68-5;分子式 C26H34O7
シノブファギン;CAS番号470-37-1;分子式C26H34O6
レシブホゲニン;CAS番号465-39-4;分子式C24H32O4
サンギナリン;CAS番号2447-54-3;分子式C20H14NO4
スルフォラファン;CAS番号4478-93-7;分子式C6H11NOS2
ゼアキサンチン;CAS番号144-68-3;化学式C40H56O2
ブファリン;CAS番号465-21-4;分子式C24H34O4
ブホタリン;CAS番号471-95-4;分子式C26H36O6
シノブホタリン;CAS番号1108-68-5;分子式 C26H34O7
シノブファギン;CAS番号470-37-1;分子式C26H34O6
レシブホゲニン;CAS番号465-39-4;分子式C24H32O4
サンギナリン;CAS番号2447-54-3;分子式C20H14NO4
スルフォラファン;CAS番号4478-93-7;分子式C6H11NOS2
ゼアキサンチン;CAS番号144-68-3;化学式C40H56O2
ブファリン、ブホタリン、シノブホタリン、シノブファギン及びレシブホゲニンはセンソ(ヒキガエルの毒腺の分泌液)に含有される強心ステロイドである。サンギナリンはアルカロイドの一つであり、クサノオウ(Chelidonium majus subsp. asiaticum)の成分として知られている。スルフォラファンは、ブロッコリーに微量含まれるフィトケミカルの一種である。スルフォラファンには解毒作用、抗酸化作用、新陳代謝の亢進作用などがある。ゼアキサンチンは目の網膜に含まれるカロテノイドの一種である。トウモロコシの種子、卵黄にも含有される。
本発明の細胞融合阻害剤の有効成分として、上記化合物(ブファリン、ブホタリン、シノブホタリン、シノブファギン、レシブホゲニン、サンギナリン、スルフォラファン、ゼアキサンチン)の薬理学的に許容される塩を用いても良い。「薬理学的に許容される塩」は、広義に解釈されるべきであり、酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等、各種の塩を含む用語である。酸付加塩の例としてはトリフルオロ酢酸塩塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩などの有機酸塩が挙げられる。金属塩の例としてはナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩が挙げられる。アンモニウム塩の例としてはアンモニウム、テトラメチルアンモニウムなどの塩が挙げられる。有機アミン付加塩の例としてはモルホリン付加塩、ピペリジン付加塩が挙げられる。アミノ酸付加塩の例としてはグリシン付加塩、フェニルアラニン付加塩、リジン付加塩、アスパラギン酸付加塩、グルタミン酸付加塩が挙げられる。
本発明の細胞融合阻害剤は、骨芽細胞とともに骨代謝において重要な役割を担う破骨細胞の形成過程を阻害できる。従って、破骨細胞の異常な亢進・活性化が原因となる骨代謝異常ないし骨代謝障害の治療及び予防に有用である。そこで、本発明の第2の局面は、本発明の細胞融合阻害剤を含有する骨代謝改善用組成物を提供する。本発明の組成物が適用される疾病の代表は骨粗鬆症であるが、例えば、関節リウマチ、がんの骨転移、骨ページェット病、副甲状腺機能亢進症又は歯周病に伴う骨破壊、骨組織の減少、骨密度の低下及び/又は骨組織の脆弱化にも本発明の組成物を適用可能である。尚、「骨粗鬆症」とは、骨量・骨密度の減少によって骨が脆くなる疾患であり、骨変形や骨折の原因となる。骨粗しょう症はその原因によって原発性骨粗鬆症(退行期骨粗鬆症、特発性骨粗鬆症)及び続発性骨粗鬆症(特定の病気(関節リウマチ、糖尿病、甲状腺機能亢進症、性機能異常など)や薬剤によっておこる骨粗鬆症)に分類される。
本発明の組成物の形態は特に限定されないが、好ましくは医薬又は食品である。即ち、本発明は好ましい態様として、骨代謝の改善を目的とした医薬組成物及び食品組成物を提供する。前者は典型的には「治療薬」として提供されることになる。「治療薬」とは、標的の疾病ないし病態に対する治療的又は予防的効果を示す医薬のことをいう。治療的効果には、症状を緩和すること(軽症化)、症状の悪化を阻止ないし遅延すること等が含まれる。症状の悪化を阻止ないし遅延については、重症化を予防するという点において予防的効果の一つと捉えることができる。このように、治療的効果と予防的効果は一部において重複する概念であることから、明確に区別して捉えることは困難であり、またそうすることの実益は少ない。
本発明の医薬組成物の製剤化は常法に従って行うことができる。製剤化する場合には、製剤上許容される他の成分(例えば、担体、賦形剤、崩壊剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤、無痛化剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩水など)を含有させることができる。賦形剤としては乳糖、デンプン、ソルビトール、D-マンニトール、白糖等を用いることができる。崩壊剤としてはデンプン、カルボキシメチルセルロース、炭酸カルシウム等を用いることができる。緩衝剤としてはリン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等を用いることができる。乳化剤としてはアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、トラガント等を用いることができる。懸濁剤としてはモノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸アルミニウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム等を用いることができる。無痛化剤としてはベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビトール等を用いることができる。安定剤としてはプロピレングリコール、アスコルビン酸等を用いることができる。保存剤としてはフェノール、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン等を用いることができる。防腐剤としては塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等と用いることができる。
製剤化する場合の剤形も特に限定されない。剤形の例は錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、注射剤、外用剤、及び座剤である。本発明の医薬組成物には、期待される治療効果(又は予防効果)を得るために必要な量(即ち治療上有効量)の有効成分が含有される。本発明の医薬組成物中の有効成分量は一般に剤形によって異なるが、所望の投与量を達成できるように有効成分量を例えば約0.1重量%〜約95重量%の範囲内で設定する。
本発明の医薬組成物はその剤形に応じて経口投与又は非経口投与(静脈内、動脈内、皮下、皮内、筋肉内、又は腹腔内注射、経皮、経鼻、経粘膜など)によって治療対象に適用される。これらの投与経路は互いに排他的なものではなく、任意に選択される二つ以上を併用することもできる(例えば、経口投与と同時に又は所定時間経過後に静脈注射等を行う等)。全身投与によらず、局所投与することにしてもよい。局所投与として、目的の組織への直接注入又は塗布を例示することができる。ここでの「治療対象」は特に限定されず、ヒト及びヒト以外の哺乳動物(ペット動物、家畜、実験動物を含む。具体的には例えばマウス、ラット、モルモット、ハムスター、サル、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ニワトリ、ウズラ等である)を含む。好ましい一態様では本発明の医薬組成物はヒト(患者)に対して適用される。
本発明の医薬組成物の投与量及び投与スケジュールは、期待される治療効果が得られるように設定される。治療上有効な投与量の設定においては一般に治療対象の症状、年齢、性別、及び体重などが考慮される。尚、当業者であればこれらの事項を考慮して適当な投与量を設定することが可能である。
例えば、骨粗鬆症などの慢性疾患の治療を目的とする場合の好ましい投与スケジュールの一つは、長期間に亘って連続的な投与を行う投与スケジュールである。「長期間に亘る連続的な投与」とは、長期間に亘る投薬期間内に複数回の投薬を行うことを意味する。ここでの「長期間」とは1週間以上の期間を意味し、具体的には例えば1月〜数年の間で投与期間を設定することができる。一日当たりの投与回数は例えば1〜5回とする。骨粗鬆症が慢性的病態であり、その治療のためには薬剤が常に作用していることが好ましいことや有効成分の血中半減期を考慮すれば、投与スケジュールとして連日投与を採用することが好ましい。但し、患者の状態や経過によっては、投与しない日を設けることにしてもよい(即ち、隔日投与などの投与スケジュールを採用してもよい)。
以上の記述から明らかな通り本出願は、骨代謝異常ないし骨代謝障害(代表例は骨粗鬆症)を罹患する患者に対して本発明の医薬組成物を治療上有効量投与することを特徴とする治療法も提供する。
上記の通り本発明の一態様は、本発明の細胞融合阻害剤を含有する食品組成物である。本発明での「食品組成物」の例として一般食品(穀類、野菜、食肉、各種加工食品、菓子類、牛乳、清涼飲料水、アルコール飲料等)、栄養補助食品(サプリメント、栄養ドリンク等)、食品添加物、愛玩動物用食品、愛玩動物用栄養補助食品を挙げることができる。栄養補助食品又は食品添加物の場合、粉末、顆粒末、タブレット、ペースト、液体等の形状で提供することができる。食品組成物の形態で提供することによって、本発明の有効成分を日常的に摂取したり、継続的に摂取したりすることが容易となる。
本発明の食品組成物には、治療的又は予防的効果が期待できる量の有効成分が含有されることが好ましい。添加量は、それが使用される対象となる者の病状、健康状態、年齢、性別、体重などを考慮して定めることができる。
1.U2ME-7細胞における融合細胞形成阻害化合物の探索
U2ME-7細胞は、pSMTといわれる担体に、HTLV-IIIB(ヒトTリンパ球好球IIIB)系統のヒト免疫不全症ウィルス(HIV)のenv遺伝子を導入したプラスミドpSMTE7を導入した細胞である。このU2ME-7細胞に塩化カドミウムの刺激を加えると、導入した遺伝子プロモーターhMTIIA(ヒトメタロチオネンIIA)の働きによりenv遺伝子からgp160(糖タンパク質)が発現する。
U2ME-7細胞は、pSMTといわれる担体に、HTLV-IIIB(ヒトTリンパ球好球IIIB)系統のヒト免疫不全症ウィルス(HIV)のenv遺伝子を導入したプラスミドpSMTE7を導入した細胞である。このU2ME-7細胞に塩化カドミウムの刺激を加えると、導入した遺伝子プロモーターhMTIIA(ヒトメタロチオネンIIA)の働きによりenv遺伝子からgp160(糖タンパク質)が発現する。
外来遺伝子gp160を発現するU2ME-7細胞では、塩化カドミウムと抗CD98抗体の刺激によって融合細胞の形成が誘導されることが知られている。一方、抗CD98抗体の刺激によりヒト末梢血単球が破骨細胞様の多核巨細胞を形成した報告がある。このことから、破骨細胞の細胞融合と抗CD98抗体によって誘導される細胞融合には共通の分子基盤が存在すると予想される。そこで、食品および生薬由来の天然低分子化合物156種類について、抗CD98抗体依存性細胞融合への影響を検討した。
(1)方法
2回以上継代をしたU2ME-7細胞を実験に使用した。U2ME-7細胞を100mmディッシュ(BD Falcon:353003)に1×106細胞/プレートとなるよう播種した。37℃ 5%CO2下で48時間〜72時間培養した細胞を50mlチューブ(greiner Bio-one:227261)に回収し、2,000rpm 20℃ 5分間遠心処理した後、上清をガラスピペットを用い除去した。その後、1×106細胞/800μlとなるようイーグルMEM培地5%FBS(Invitrogen:lot,3762792S)を用いて細胞を懸濁し、予め調整した各種化合物(DMSOに溶解後、さらに上記のイーグルMEM培地で最終濃度の10倍濃度となるよう懸濁したもの)を10μl/ウェル添加した96ウェルプレートに80μlずつ播種した。その際、10μMになるよう1mM塩化カドミウム溶液を細胞懸濁溶液中に添加しておいた。このプレートを37℃ 5%CO2下で1時間培養後、1ウェル中2.5μg/mlとなるようイーグルMEM培地で調整した抗CD98抗体4-5-1を10μl/ウェル添加し、さらに37℃ 5%CO2下で24時間培養した。その後、形成された凝集塊の数および融合細胞を1つ以上含む凝集塊の数を40倍視野で測定し、各化合物の阻害活性を評価した。
2回以上継代をしたU2ME-7細胞を実験に使用した。U2ME-7細胞を100mmディッシュ(BD Falcon:353003)に1×106細胞/プレートとなるよう播種した。37℃ 5%CO2下で48時間〜72時間培養した細胞を50mlチューブ(greiner Bio-one:227261)に回収し、2,000rpm 20℃ 5分間遠心処理した後、上清をガラスピペットを用い除去した。その後、1×106細胞/800μlとなるようイーグルMEM培地5%FBS(Invitrogen:lot,3762792S)を用いて細胞を懸濁し、予め調整した各種化合物(DMSOに溶解後、さらに上記のイーグルMEM培地で最終濃度の10倍濃度となるよう懸濁したもの)を10μl/ウェル添加した96ウェルプレートに80μlずつ播種した。その際、10μMになるよう1mM塩化カドミウム溶液を細胞懸濁溶液中に添加しておいた。このプレートを37℃ 5%CO2下で1時間培養後、1ウェル中2.5μg/mlとなるようイーグルMEM培地で調整した抗CD98抗体4-5-1を10μl/ウェル添加し、さらに37℃ 5%CO2下で24時間培養した。その後、形成された凝集塊の数および融合細胞を1つ以上含む凝集塊の数を40倍視野で測定し、各化合物の阻害活性を評価した。
一方、以下の方法で阻害効果を再検討した。上記スクリーニングと同条件の細胞を用い、阻害作用のあった化合物の効果を確認した。上記スクリーニングで阻害効果の見られた化合物を上記と同様の条件で培養した後、形成された凝集塊の数を40倍視野で、融合細胞を1つ以上含む凝集塊の数を100倍視野でそれぞれ測定した。高倍率で評価を行うことで、凝集塊と被って形成された融合細胞や、50μm以下の融合細胞の形成を確認できる。
(2)結果
試験に供した化合物の内、十数種の化合物が融合細胞の形成を抑制した。中でも8種類(ブファリン、ブホタリン、シノブホタリン、シノブファギン、レシブホゲニン、サンギナリン、スルフォラファン、ゼアキサンチン)の化合物に強い抑制効果を認めた(図2)。これらの化合物の中の5種類(ブファリン、ブホタリン、シノブホタリン、シノブファギン、レシブホゲニン)は強心ステロイドであった(図1)。阻害効果のあった化合物について濃度と効果との関係を調べ、IC50を算出した結果、ブファリンIC50=0.39nM、ブホタリンIC50<0.5nM、シノブファギンIC50=2.1nM、シノブホタリンIC50=2.2nM、レシブホゲニン IC50=16.2nM、サンギナリンIC50=0.19μM、スルフォラファンIC50=1.09μM、ゼアキサンチンIC50=4.6μMであった。
試験に供した化合物の内、十数種の化合物が融合細胞の形成を抑制した。中でも8種類(ブファリン、ブホタリン、シノブホタリン、シノブファギン、レシブホゲニン、サンギナリン、スルフォラファン、ゼアキサンチン)の化合物に強い抑制効果を認めた(図2)。これらの化合物の中の5種類(ブファリン、ブホタリン、シノブホタリン、シノブファギン、レシブホゲニン)は強心ステロイドであった(図1)。阻害効果のあった化合物について濃度と効果との関係を調べ、IC50を算出した結果、ブファリンIC50=0.39nM、ブホタリンIC50<0.5nM、シノブファギンIC50=2.1nM、シノブホタリンIC50=2.2nM、レシブホゲニン IC50=16.2nM、サンギナリンIC50=0.19μM、スルフォラファンIC50=1.09μM、ゼアキサンチンIC50=4.6μMであった。
2.RAW264細胞分化に対する、融合細胞形成阻害物質の作用の検討
U2ME-7細胞における細胞融合を阻害した化合物の破骨細胞分化に対する効果を検討するため、RAW264細胞分化系を実験に使用した。RAW264細胞はマウス単球由来の細胞であり、可溶性RANKLの刺激を加えることで、破骨細胞様の多核巨細胞を形成する。この実験系を利用し、融合細胞の形成を抑制した化合物の破骨細胞分化に対する効果を検討した。
U2ME-7細胞における細胞融合を阻害した化合物の破骨細胞分化に対する効果を検討するため、RAW264細胞分化系を実験に使用した。RAW264細胞はマウス単球由来の細胞であり、可溶性RANKLの刺激を加えることで、破骨細胞様の多核巨細胞を形成する。この実験系を利用し、融合細胞の形成を抑制した化合物の破骨細胞分化に対する効果を検討した。
(1)方法
継代数5回未満のRAW264細胞を用いた。RAW264細胞を100mmディッシュ(BD Falcon:353003)に3×106細胞/プレートとなるよう播種し、37℃ 5%CO2下で48時間培養した。プレート中の培地のみを除去し、そこに1.5mM EDTA溶液を1ml/プレート加え、さらに37℃ 5%CO2 条件下で10分間インキュベートした。続いて、10分間、攪拌した後、α-MEM培地9mlを加え、ピペッティングで細胞を剥離させ、50mlチューブ(greiner Bio-one:227261)に細胞を回収した。次に、1,000rpm 20℃ 5分間遠心処理した後、ガラスピペットを用いて上清を除去した。α-MEM培地10%FBS(MBL:lot.SFB-1850)で細胞を懸濁した後、96ウェルプレートに4×103細胞/ウェルとなるよう播種し、37℃ 5%CO2下で20時間培養した。その後、予め調整しておいた化合物を10μl/ウェルの濃度で添加し、さらに4時間培養した。その後、可溶性RANKL(sRANKL)を50ng/mlとなるように添加し、72時間培養した。培養後、酒石酸耐性酸性ホスファターゼの活性を測定した。一方、形成された多核巨細胞の数をTRAP染色により測定した。
継代数5回未満のRAW264細胞を用いた。RAW264細胞を100mmディッシュ(BD Falcon:353003)に3×106細胞/プレートとなるよう播種し、37℃ 5%CO2下で48時間培養した。プレート中の培地のみを除去し、そこに1.5mM EDTA溶液を1ml/プレート加え、さらに37℃ 5%CO2 条件下で10分間インキュベートした。続いて、10分間、攪拌した後、α-MEM培地9mlを加え、ピペッティングで細胞を剥離させ、50mlチューブ(greiner Bio-one:227261)に細胞を回収した。次に、1,000rpm 20℃ 5分間遠心処理した後、ガラスピペットを用いて上清を除去した。α-MEM培地10%FBS(MBL:lot.SFB-1850)で細胞を懸濁した後、96ウェルプレートに4×103細胞/ウェルとなるよう播種し、37℃ 5%CO2下で20時間培養した。その後、予め調整しておいた化合物を10μl/ウェルの濃度で添加し、さらに4時間培養した。その後、可溶性RANKL(sRANKL)を50ng/mlとなるように添加し、72時間培養した。培養後、酒石酸耐性酸性ホスファターゼの活性を測定した。一方、形成された多核巨細胞の数をTRAP染色により測定した。
以下の手順で酒石酸耐性酸性ホスファターゼアッセイ(TRAPアッセイ)及びTRAP染色を行った。sRANKL添加後72時間培養したプレートから培地をデカントで除去し、1ウェルあたり200μlのPBS(-)で細胞を洗浄した。10%ホルマリン液を100μl/ウェル加え、室温で15分間静置し、細胞の固定を行った。続いて、ホルマリン固定したプレートにTRAP染色液(0.27mM Naphthol As-mix Phosphate、0.21mM N,N-Dimethyl formamide、1.6mM Fast Red violet LB Salt、0.34mM acetic acid、1.0mM sodium acetate trihydrate、1.0mM sodium(+)-tartrate dihydrate)を50μl/ウェル加えて30分間、室温で静置することにより、TRAP陽性の破骨細胞を赤く染色した。
(2)結果
図3に示す通り、ブファリン、ブホタリン、シノブファギン、レシブホゲニン、ゼアキサンチン、スルフォラファン、サンギナリン、シノブホタリンは有意に融合細胞の形成を阻害した。尚、これらの化合物が、細胞の生存にほとんど影響を与えないことをMTTアッセイにより確認した。各化合物の融合阻害濃度のIC50を算出したところ、ブファリンIC50=47.0μM、ブホタリンIC50=74.9μM、シノブファギンIC50>100μM、レシブホゲニンIC50<25μM、サンギナリンIC50=1.7μM、スルフォラファン、IC50<2.5μM、ゼアキサンチンIC50=6.5μM、シノブホタリンIC50>100μMであった。
図3に示す通り、ブファリン、ブホタリン、シノブファギン、レシブホゲニン、ゼアキサンチン、スルフォラファン、サンギナリン、シノブホタリンは有意に融合細胞の形成を阻害した。尚、これらの化合物が、細胞の生存にほとんど影響を与えないことをMTTアッセイにより確認した。各化合物の融合阻害濃度のIC50を算出したところ、ブファリンIC50=47.0μM、ブホタリンIC50=74.9μM、シノブファギンIC50>100μM、レシブホゲニンIC50<25μM、サンギナリンIC50=1.7μM、スルフォラファン、IC50<2.5μM、ゼアキサンチンIC50=6.5μM、シノブホタリンIC50>100μMであった。
3.マウス骨髄細胞を用いた効果の検証
U2ME-7細胞における細胞融合を阻害した化合物の破骨細胞分化の特に細胞融合過程に対する効果の検討を行う為、破骨細胞の由来である造血幹細胞を含むマウス骨髄細胞を実験に使用した。
U2ME-7細胞における細胞融合を阻害した化合物の破骨細胞分化の特に細胞融合過程に対する効果の検討を行う為、破骨細胞の由来である造血幹細胞を含むマウス骨髄細胞を実験に使用した。
(1)方法
6週齢から7週齢の雄のddy/Slcの大腿骨および頸骨から採取したマウス骨髄細胞を用いた。骨髄細胞は採取後、シリンジ2.5mlおよび注射針22G(テルモ社)を用いて懸濁し、フィルター70μm(BD Falcon)にて濾過し、骨膜や死細胞などの除去を行った。細胞懸濁液を50ml チューブに集め、1,000rpm 室温 15分間遠心処理した。ガラスピペットを用いて上清を除去し、α-MEM培地10%FBS(MBL:lot.SFB-1850)5ml/匹で懸濁した。1.2×107細胞/6mlとなるよう調整した溶液中に、200ng/ml可溶性RANKL、10μg/ml TGF-β、400U/ml ロイコプロールとなるよう各サイトカインを添加した。その後、静かに上下攪拌し、100mm コラーゲンコートディッシュ(IWAKI:4020-010)に1.2×107cell/プレートで播種し、37℃ 5%CO2下で72時間培養した。72時間後、培地を除去し、37℃に温めたPBS(-)3ml/プレートで2回静かに洗浄した。洗浄後、ガラスピペットでPBS(-)を可能な限り除去し、0.25%-トリプシン/1mM-EDTA溶液を2.5ml/プレート加え、37℃ 5%CO2 10分間インキュベートした。その後5分間、攪拌し、α-MEM培地2.5mlを加え、ピペッティングで細胞を剥離させた。50mlチューブ(greiner Bio-one:227261)に細胞を回収し、1,000rpm 20℃で5分間遠心処理した後、ガラスピペットを用いて上清を除去した。α-MEM培地10%FBS(MBL:lot.SFB-1850)で細胞を懸濁し、200ng/ml可溶性RANKL、400U/ml ロイコプロールとなるよう添加した。その後、予め評価を行う化合物を添加した96ウェル・ハーフエリア・プレート(COSTAR:3696)に、1.5×104細胞/ウェルとなるよう播種し、37℃ 5%CO2下で24時間培養した。培養後、RAW264細胞分化の際と同様に、酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)染色を行い、4核以上のTRAP陽性融合細胞数を計測した。
6週齢から7週齢の雄のddy/Slcの大腿骨および頸骨から採取したマウス骨髄細胞を用いた。骨髄細胞は採取後、シリンジ2.5mlおよび注射針22G(テルモ社)を用いて懸濁し、フィルター70μm(BD Falcon)にて濾過し、骨膜や死細胞などの除去を行った。細胞懸濁液を50ml チューブに集め、1,000rpm 室温 15分間遠心処理した。ガラスピペットを用いて上清を除去し、α-MEM培地10%FBS(MBL:lot.SFB-1850)5ml/匹で懸濁した。1.2×107細胞/6mlとなるよう調整した溶液中に、200ng/ml可溶性RANKL、10μg/ml TGF-β、400U/ml ロイコプロールとなるよう各サイトカインを添加した。その後、静かに上下攪拌し、100mm コラーゲンコートディッシュ(IWAKI:4020-010)に1.2×107cell/プレートで播種し、37℃ 5%CO2下で72時間培養した。72時間後、培地を除去し、37℃に温めたPBS(-)3ml/プレートで2回静かに洗浄した。洗浄後、ガラスピペットでPBS(-)を可能な限り除去し、0.25%-トリプシン/1mM-EDTA溶液を2.5ml/プレート加え、37℃ 5%CO2 10分間インキュベートした。その後5分間、攪拌し、α-MEM培地2.5mlを加え、ピペッティングで細胞を剥離させた。50mlチューブ(greiner Bio-one:227261)に細胞を回収し、1,000rpm 20℃で5分間遠心処理した後、ガラスピペットを用いて上清を除去した。α-MEM培地10%FBS(MBL:lot.SFB-1850)で細胞を懸濁し、200ng/ml可溶性RANKL、400U/ml ロイコプロールとなるよう添加した。その後、予め評価を行う化合物を添加した96ウェル・ハーフエリア・プレート(COSTAR:3696)に、1.5×104細胞/ウェルとなるよう播種し、37℃ 5%CO2下で24時間培養した。培養後、RAW264細胞分化の際と同様に、酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)染色を行い、4核以上のTRAP陽性融合細胞数を計測した。
(2)結果
ここまでの実験によって、U2ME-7細胞における融合細胞形成を20nM以下で阻害した強心ステロイド類はRAW264細胞の分化も阻害することが明らかとなった。破骨細胞の特に細胞融合過程へのこれらの化合物の影響をマウス骨髄細胞を用いて検討した結果、ブファリン、ブホタリン、シノブファギン、レシブホゲニン、シノブホタリン、スルフォラファン、サンギナリン、ゼアキサンチンは優位に破骨細胞分化の融合細胞形成過程を阻害した(図4)。その際、これらの化合物が、細胞の生存にほとんど影響を与えないことをMTTアッセイで確認した。阻害効果のあった化合物の一部について濃度と効果との関係を調べ、阻害濃度のIC50を算出したところ、ブファリンIC50=32.5μM、ブホタリン IC50=17.2μM、シノブファギンIC50=36.3μM、レシブホゲニン IC50<10μM、シノブホタリンIC50>100μM、スルフォラファンIC50=2.6μM、サンギナリンIC50=0.21μM、ゼアキサンチンIC50>10μMであった。
ここまでの実験によって、U2ME-7細胞における融合細胞形成を20nM以下で阻害した強心ステロイド類はRAW264細胞の分化も阻害することが明らかとなった。破骨細胞の特に細胞融合過程へのこれらの化合物の影響をマウス骨髄細胞を用いて検討した結果、ブファリン、ブホタリン、シノブファギン、レシブホゲニン、シノブホタリン、スルフォラファン、サンギナリン、ゼアキサンチンは優位に破骨細胞分化の融合細胞形成過程を阻害した(図4)。その際、これらの化合物が、細胞の生存にほとんど影響を与えないことをMTTアッセイで確認した。阻害効果のあった化合物の一部について濃度と効果との関係を調べ、阻害濃度のIC50を算出したところ、ブファリンIC50=32.5μM、ブホタリン IC50=17.2μM、シノブファギンIC50=36.3μM、レシブホゲニン IC50<10μM、シノブホタリンIC50>100μM、スルフォラファンIC50=2.6μM、サンギナリンIC50=0.21μM、ゼアキサンチンIC50>10μMであった。
4.まとめ
以上の検討の結果、破骨細胞分化の融合過程を阻害する化合物として、ブファリン、ブホタリン、シノブホタリン、シノブファギン、レシブホゲニン、サンギナリン、スルフォラファン及びゼアキサンチンの8種の化合物を見出した。これらの化合物は、破骨細胞形成時の細胞融合過程を特異的に阻害し得る。従って、これまでの治療薬とは異なる新しい作用機序を持つ骨粗鬆症の治療薬の有効成分として有望である。
以上の検討の結果、破骨細胞分化の融合過程を阻害する化合物として、ブファリン、ブホタリン、シノブホタリン、シノブファギン、レシブホゲニン、サンギナリン、スルフォラファン及びゼアキサンチンの8種の化合物を見出した。これらの化合物は、破骨細胞形成時の細胞融合過程を特異的に阻害し得る。従って、これまでの治療薬とは異なる新しい作用機序を持つ骨粗鬆症の治療薬の有効成分として有望である。
本発明の細胞融合阻害剤は破骨細胞形成時(分化時)の細胞融合過程を特異的に阻害しうる。本発明の細胞融合阻害剤は、骨代謝の異常又はそれに伴う各種疾病や病態の予防や治療用の医薬(例えば骨粗鬆症治療薬)又は食品の有効成分として有用である。例えば、本発明の細胞融合阻害剤によれば、破骨細胞形成時の細胞融合過程を標的とした、これまでの治療薬とは異なる新しい作用機序を持つ骨粗鬆症の治療薬を提供できる。現在、臨床現場で使用されている骨粗鬆症治療薬としては、活性型ビタミンD3製剤、カノレシウム製剤、エストロゲン製剤、ピスホスホネート製剤などが知られているが、ビタミンD3製剤やカルシウムなどは長期服用により腎障害を招く危険性があり、エストロゲン製剤では乳癌や子宮体癌の他、心筋梗塞や脳卒中の発症の危険性の増加が指摘されている。またこれらは破骨細胞に対して間接的な作用しか持たないため、骨量の増加効果は期待できない。ピスホスホネート製剤は、直接破骨細胞に作用して骨吸収を強力に抑制するため、骨量を増加する一方、消化管からの吸収が悪く、服用方法が煩雑であるとともに、副作用として食道潰瘍や腎障害、顎骨の壊死が知られている。本発明の細胞融合阻害剤は、破骨細胞分化の細胞融合過程を特異的に阻害できることから、副作用の低減を可能とし得る。また、破骨細胞に直接作用するため、効果的に骨量を増加し得る。CD98がウイルスによる膜融合にも関与することを考慮すると、本発明の細胞融合阻害剤には抗ウイルス薬としての可能性も期待できる。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
Claims (5)
- ブファリン、ブホタリン、シノブホタリン、シノブファギン、レシブホゲニン、サンギナリン、スルフォラファン、ゼアキサンチン及びこれらの薬理学的に許容可能な塩からなる群より選択される一以上の化合物を有効成分とする、細胞融合阻害剤。
- 請求項1に記載の細胞融合阻害剤を含む骨代謝改善用組成物。
- 医薬又は食品である、請求項2に記載の組成物。
- 請求項1に記載の細胞融合阻害剤を含む骨粗鬆症治療薬。
- ブファリン、ブホタリン、シノブホタリン、シノブファギン、レシブホゲニン、サンギナリン、スルフォラファン、ゼアキサンチン及びこれらの薬理学的に許容可能な塩からなる群より選択される一以上の化合物を、治療上有効量、患者に投与するステップを含む、骨粗鬆症の治療法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012148913A JP2014009218A (ja) | 2012-07-02 | 2012-07-02 | 細胞融合阻害剤及びその用途 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=50106217
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016204280A (ja) * | 2015-04-17 | 2016-12-08 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 概日リズム改善剤 |
CN109331046A (zh) * | 2018-12-17 | 2019-02-15 | 南京中医药大学 | 一种蟾酥的加工处理方法 |
-
2012
- 2012-07-02 JP JP2012148913A patent/JP2014009218A/ja active Pending
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JP2016204280A (ja) * | 2015-04-17 | 2016-12-08 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 概日リズム改善剤 |
CN109331046A (zh) * | 2018-12-17 | 2019-02-15 | 南京中医药大学 | 一种蟾酥的加工处理方法 |
CN109331046B (zh) * | 2018-12-17 | 2021-06-18 | 南京中医药大学 | 一种蟾酥的加工处理方法 |
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