JP2014008841A - 車両用シート - Google Patents

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慎二 杉山
Akimitsu Kurihara
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Abstract

【課題】後面衝突時に乗員の重量が掛かったときのシート後方への撓み量が十分確保された車両用シートを提供する。
【解決手段】左右一対のサイドフレームを備えたシートバックフレームと、サイドフレームの間に設けられ、乗員の荷重を受ける支持部材と、を備えた車両用シートである。支持部材の少なくとも一部は、サイドフレームの後端部23の後側に、後端部23に対向して配置される。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両用シートに係り、特に、シートバックフレームに囲まれた領域に、乗員の荷重を受ける支持部材を備えた車両用シートに関する。
従来、車両用シートのシートバックに、乗員の背面を支持する部材を備えたものが提案されている(例えば特許文献1)。
特許文献1では、シートバックフレームに囲まれた開口を埋めるように、シートバックフレームに略板状のシートバックボードが固定され、このシートバックボードの上方及び下方に、上側バックバネ部と下側バックバネ部とが一体に形成されている。上側バックバネ部、下側バックバネ部は、平断面形状が波状の部材から形成され、シート幅方向の両端部が、シートバックボードを介してサイドフレームに固定されることにより、乗員の背部の上方及び下方を、背後からそれぞれ支持可能に構成されている。
特許文献1の発明によれば、下側バックバネ部のシート幅方向の両端部は、サイドフレームの前部に、上側バックバネ部のシート幅方向の両端部は、サイドフレームの後部に固定されており、上側バックバネ部のサイドフレームへの固定位置がシートバック後方側にずれているため、乗員胸部に掛かる加速度の立ち上がりを遅らせて、乗員頭部の加速度の立ち上がりに近づけることができる。
特開2012−71627号公報
しかし、特許文献1の発明では、上側バックバネ部及び下側バックバネ部の取付部は、それぞれ、サイドフレームのシート後方の壁部及びシート前方の壁部の前面に設けられているため、後面衝突時に乗員をシートバックに押し付ける方向の力が掛かったときに、上側バックバネ部及び下側バックバネ部のシート後方への移動が、サイドフレームの後方の壁部及び前方の壁部に規制され、シート後方への撓み量が制限されていた。
また、車両用シートの左右方向又は前後方向に大型化することがなく、組み付け性がよく、シート幅方向の端部に設けられた取付部に掛かる荷重を抑制でき、安定した支持が可能な支持部材の開発が望まれていた。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、シートバックフレームに囲まれた領域に、乗員の荷重を受ける支持部材を備えた車両用シートであって、後面衝突時に乗員の重量が掛かったときの支持部材のシート後方への撓み量が十分確保された車両用シートを提供することにある。
本発明の他の目的は、車両用シートの左右方向又は前後方向に大型化することがなく、組み付け性がよく、シート幅方向の端部に設けられた取付部に掛かる荷重を抑制でき、安定した支持が可能な支持部材を備えた車両用シートを提供することにある。
前記課題は、請求項1の車両用シートによれば、左右一対のサイドフレームを備えたシートバックフレームと、前記サイドフレームの間に設けられ、乗員の荷重を受ける支持部材と、を備えた車両用シートであって、前記支持部材の少なくとも一部は、前記サイドフレームの後端部の後側に、前記後端部に対向して配置されること、により解決される。
このように構成しているため、後面衝突時など、シートバックにシート後方向の大きな荷重が入力されるときに、サイドフレームにより支持部材の後方への撓み量が規制されることがなく、乗員の後方への移動量を確保できる。
このとき、請求項2のように、前記サイドフレームは、前記支持部材が挿通される孔部を備え、前記支持部材の端部側は、前記サイドフレームのシート内側の面に取付けられると好適である。
サイドフレームが孔部を備えない場合には、支持部材の撓み時にサイドフレームの後端部によって規制されることを防ぐために、支持部材の両端部側をサイドフレームのシート外側に設ける必要が生じるが、請求項2では、支持部材が挿通される孔部を備え、支持部材の端部側が、サイドフレームのシート内側の面に取付けられるため、支持部材が車両用シートの左右方向又は前後方向に大型化することを抑制できる。
このとき、請求項3のように、前記支持部材は、前記サイドフレームのシート内側の面に形成されたサイドフレーム屈曲部に当接する屈曲部を備え、該屈曲部は、前記サイドフレームへの取付け時に、前記孔部を避けた位置に配置されるように設けられると好適である。
このように構成しているため、屈曲部が孔部と干渉することがなく、組み付け性を向上できる。
このとき、請求項4のように、前記サイドフレームは、シート前後方向に延出する板状の側部と、該側部のシート後端がシート内側に向かって曲げられた後側フランジ部と、を備え、前記孔部は、前記後側フランジ部に設けられていると好適である。
このように構成しているため、サイドフレームの外側に孔部を設けた場合と比較して、支持部材の全長を短くすることが可能となり、支持部材の大型化を抑制できる。
このとき、請求項5のように、前記サイドフレームは、前記後側フランジ部のシート内側端部に、シート内側前方に向かって曲げられた内端フランジ部を備え、前記孔部は、前記内端フランジ部よりもシート外側に設けられると好適である。
このように、シート内側に形成された内端フランジ部を避けて、内端フランジ部よりもシート外側に孔部を設けているため、支持部材の撓み量を十分確保できる。
このとき、請求項6のように、前記孔部は、前記後側フランジ部のシート外側の端部よりも内側に設けられると好適である。
このように構成しているため、通常着座時など、入力される荷重が小さいときに、支持部材の端部側の取付部にかかる荷重を、サイドフレームの後側フランジ部の孔部の周辺で支持できるため、取付部に係る荷重を抑制できる。
このとき、請求項7のように、前記支持部材のうち、前記後側フランジ部を含む平面よりもシート前側に配置される前側配置部は、前記平面よりもシート後側に配置される後側配置部よりも、肉厚に形成されていると好適である。
このように構成しているため、支持部材の撓み量を、肉薄の後側配置部により確保しつつ、肉厚の前側配置部により、安定した支持が可能となる。
このとき、請求項8のように、前記支持部材の端部側は、前記サイドフレームの前記側部に沿って前方に延出していると好適である。
このように構成しているため、サイドフレームの側部で、支持部材を支持可能となる。
請求項1の発明によれば、後面衝突時など、シートバックに大きな荷重が入力されたときに、サイドフレームにより支持部材の撓み量が規制されることがなく、乗員の後方への移動量を確保できる。
孔部を備えない場合には、支持部材の後方への撓みがサイドフレームの後端部によって規制されることを防ぐために、支持部材の両端部側をサイドフレームのシート外側に設ける必要が生じ、支持部材が、サイドフレームのシート外側において、前後方向に張り出すことになるが、請求項2では、このように構成しているため、支持部材の端部側が車両用シートの左右方向又は前後方向に大型化することを抑制できる。
請求項3の発明によれば、屈曲部が孔部と干渉することがなく、組み付け性を向上できる。
請求項4の発明によれば、サイドフレームの外側に孔部を設けた場合と比較して、支持部材の全長が短くなり、支持部材の大型化を抑制できる。
請求項5の発明によれば、シート内側に形成された内端フランジ部を避けて、内端フランジ部よりもシート外側に孔部を設けているため、支持部材の撓み量を十分確保できる。
請求項6の発明によれば、通常着座時など、入力される荷重が小さいときに、支持部材の端部側の取付部にかかる荷重を、サイドフレームの後側フランジ部の孔部の周辺で支持できるため、取付部に係る荷重を抑制できる。
請求項7の発明によれば、支持部材の撓み量を、肉薄の後側配置部により確保しつつ、肉厚の前側配置部により、安定した支持が可能となる。
請求項8の発明によれば、サイドフレームの側部で、支持部材を支持可能となる。
本発明の一実施形態に係る車両用シートの外観図である。 本発明の一実施形態に係る車両用シートのシートバックフレームに胸部樹脂バネ及び腰部樹脂バネを取付けた状態を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る胸部樹脂バネをサイドフレームに取付けた状態を示す説明図である。 図3のA−A断面図である。 本発明の一実施形態に係る胸部樹脂バネを、変形例に係るサイドフレームに取付けた状態を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る腰部樹脂バネをサイドフレームに取付けた状態を示す説明図である。 図6のB−B断面図である。 乗員の着座時に、胸部樹脂バネ及び腰部樹脂バネのバネ部が乗員の胸部及び腰部を背部から支持する位置を示す説明図である。 胸部樹脂バネ及び腰部樹脂バネのバネ部の説明図である。 胸部樹脂バネの変形例を示す説明図である。 胸部樹脂バネの他の変形例を示す説明図である。 胸部樹脂バネの更に他の変形例を示す説明図である。 乗員の腰方形筋及び仙骨の位置を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る胸部樹脂バネの撓み量を、従来例に係る支持部材と対比した例を示す説明図である。
以下、本発明の一実施形態に係る車両用シートSについて、図1〜図14を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用シートの外観図である。図2は、本発明の一実施形態に係る車両用シートのシートバックフレームに胸部樹脂バネ及び腰部樹脂バネを取付けた状態を示す斜視図である。図3は、本発明の一実施形態に係る胸部樹脂バネをサイドフレームに取付けた状態を示す説明図である。図4は、図3のA−A断面図である。図5は、本発明の一実施形態に係る胸部樹脂バネを、変形例に係るサイドフレームに取付けた状態を示す断面図である。図6は、本発明の一実施形態に係る腰部樹脂バネをサイドフレームに取付けた状態を示す説明図である。図7は、図6のB−B断面図である。図8は、乗員の着座時に、胸部樹脂バネ及び腰部樹脂バネのバネ部が乗員の胸部及び腰部を背部から支持する位置を示す説明図である。図9は、胸部樹脂バネ及び腰部樹脂バネのバネ部の説明図である。図10は、胸部樹脂バネの変形例を示す説明図である。図11は、胸部樹脂バネの他の変形例を示す説明図である。図12は、胸部樹脂バネの更に他の変形例を示す説明図である。図13は、乗員の腰方形筋及び仙骨の位置を示す説明図である。図14は、本発明の一実施形態に係る胸部樹脂バネの撓み量を、従来例に係る支持部材と対比した例を示す説明図である。
本実施の形態に係る車両用シートSは、図1で示すように、シートバックS1、着座部S2、ヘッドレストS3より構成されており、シートバックS1及び着座部S2は不図示のシートフレームにクッションパッド1a,2aを載置して、表皮材1b,2bで被覆されている。なお、ヘッドレストS3は、不図示の芯材にパッド材3aを配して、表皮材3bで被覆して形成され、ヘッドレストピラー14により支持される。
シートバックS1は、シートバックフレーム1に、クッションパッド1aを載置して、クッションパッド1aの上から表皮材1bにより覆われており、乗員の背中を後方から支持するものである。シートバックフレーム1は、図2に示すように、左右に離間して配置され上下方向に延在する一対のサイドフレーム20と、一対のサイドフレーム20の上端部を連結する上部フレーム11と、下端部を連結する下部フレーム12とにより枠状に構成されている。
上部フレーム11には、ヘッドレストピラー14を支持するためのピラー支持部13が設けられている。
サイドフレーム20は、板金をプレス加工して成形され、前端の辺が湾曲して前端の下側部分が前方に張り出した略D字状の略板体からなる。図2乃至図4に示すように、ほぼ平板状の側部21と、この側部21の前端部を内側にU字状に折り返してなる前側フランジ部22と、後端部をL字型にシート内側に屈曲させた特許請求の範囲の後端部としての後側フランジ部23と、後側フランジ部23のシート内側の端部を更にシート内側前方に向かって屈曲させた内端フランジ部24と、を有し、一対のサイドフレーム20に、支持部材としての胸部樹脂バネ30と腰部樹脂バネ40の両端が取付けられている。
シートバックS1内部には、後側フランジ部23の後側であって、後側フランジ部23に対向する位置に、空間が形成されており、胸部樹脂バネ30と腰部樹脂バネ40が、この空間内で、シート後方へ移動可能になっている。
図2乃至図4に示すように、一対のサイドフレーム20には、上端に近い位置に、胸部樹脂バネ30を挿通させるための孔部25と、胸部樹脂バネ30の端部を係止するための係止部26が設けられ、図2,図6,図7に示すように、中央よりも下方の位置に、腰部樹脂バネ40を係止するための係止部27が設けられている。
孔部25は、図3,図4に示すように、後側フランジ部23のシート幅方向中央よりもシート外側の位置に、後側フランジ部23のシート幅方向の両端辺に沿って上下方向にスリット状に延びている。
孔部25は、後側フランジ部23のシート外側の外端部に形成してもよい。このように構成すると、胸部樹脂バネ30のバネ部31の全長が長くなるため、撓み量が確保されると同時に、剛性の高い端部に孔部25を形成するため、孔部25近傍の剛性が低下することを防止できる。
また、孔部25は、側部21に設けてもよい。側部21に孔部25を設けた場合には、胸部樹脂バネ30のバネ部31の全長が長くなるため、撓み量が確保される。また、図5に示すように、後側フランジ部23のシート幅方向の中央付近に設けられていてもよい。
図3,図4に示すように、係止部26は、サイドフレーム20の側部21に設けられ、絞り加工により車両用シートS内側に向かって突設するように形成された湾曲部26aと、湾曲部26aの上下に開口し、上下方向に伸びるように設けられた孔26bから構成されている。係止部27は、図6,図7に示すように、係止部26と同様に構成されている。
胸部樹脂バネ30は、樹脂製で、平断面がシート前後方向に変位する波状に形成された波板体からなり、図2,図8に示すように、乗員の一対の肩甲骨53に相当する位置の上端が高く、一対の肩甲骨53に挟まれた位置より若干下方にある第9胸椎52に相当する位置の下端が低くなるように形成されたバネ部31と、バネ部31の両側に、バネ部31の最も高い位置と最も低い位置の中央付近の高さの位置で、両側へ向かって延出する取付部34と、を備えている。
乗員の着座時に、胸部樹脂バネ30のバネ部31及び腰部樹脂バネ40のバネ部41が乗員の胸部及び腰部を背部から支持する位置を、図8に示す。
バネ部31は、図8に示すように、バネ部31のシート幅方向中心に設けられ、乗員の第9胸椎52を支持する第9胸椎支持部32と、第9胸椎支持部32の左右に設けられ、乗員の左右の肩甲骨53を支持する一対の肩甲骨支持部33と、を備えている。
図9に示すように、第9胸椎支持部32は、胸部樹脂バネ30のシート幅方向の中心に設けられ、シート下方に突出する台形の板状部分からなる。
第9胸椎支持部32は、上端32uが、取付部34の上端34uよりも下方にあり、下端32lが、取付部34の下端34lよりもシート下方にあって、第9胸椎支持部32の下端32lの左右端と取付部34の下端34lとの間は、下端32lからシート上方に向かって外側に傾斜した傾斜辺で連結されている。なお、下端34lは、胸部樹脂バネ30の下端を形成している。
第9胸椎支持部32の左右シート外側には、シート上方に突出する台形の板状部分からなる一対の肩甲骨支持部33が設けられている。
肩甲骨支持部33は、下端33lが、取付部34の下端34lよりもシート上方にあり、上端33uが、取付部34の上端34uよりもシート上方にあって、肩甲骨支持部33の上端33uの左右端と取付部34の上端34u及び第9胸椎支持部32の上端32uとの間は、上端33uからシート下方に向かって肩甲骨支持部33の外側に傾斜した傾斜辺で連結されている。
一対の肩甲骨支持部33間のシート幅方向の距離L1は、第9胸椎支持部32のシート幅方向の長さL2よりも大きくなっている。このように構成しているため、肩甲骨支持部33間に存在する部分を小さくすることができるため、軽量化が可能となる。肩甲骨支持部33から第9胸椎支持部32に至る部分の、シート上下方向の幅も小さくなるため、撓みやすくなる。
なお、例えば、肩甲骨支持部33の上端33uのシート内側の端部と胸部樹脂バネ30の上端30uとの間を、上端33uからシート下方に向かって肩甲骨支持部33の内側に傾斜した傾斜辺で連結するなどにより、逆に、第9胸椎支持部32のシート幅方向の長さL2を、一対の肩甲骨支持部33間のシート幅方向の距離L1よりも大きく形成してもよい。このように構成すると、肩甲骨支持部33の剛性を確保することができる。
取付部34の上端34uは、肩甲骨支持部33の上端33uよりもシート下方に位置し、取付部34の下端34lは、第9胸椎支持部32の下端32lよりもシート上方に位置する。
取付部34は、肩甲骨支持部33の中心33cよりもシート下方で、第9胸椎支持部32の中心32cよりもシート上方の範囲に収まるように設けられている。ここで、肩甲骨支持部33の中心33cは、肩甲骨支持部33のシート上下方向及び幅方向における中心であり、第9胸椎支持部32の中心32cは、第9胸椎支持部32のシート上下方向及び幅方向における中心である。
取付部34は、一対の肩甲骨支持部33の中心33cと、第9胸椎支持部32の中心32cとを結んだ際にできる逆三角形の重心Gをシート幅方向に延長した直線GLが、取付部34の上端34uと下端34lの間を通るように設けられている。
第9胸椎支持部32の上端32uは、肩甲骨支持部33の中心33cよりもシート下方に位置している。
肩甲骨支持部33の下端33lは、第9胸椎支持部32の中心32cよりもシート上方に位置している。
バネ部31は、取付部34よりも薄く形成されており、バネ部31は撓み易く、取付部34では、取付剛性が確保されている。
バネ部31は、取付時に、一対の孔部25に挟まれる部分であり、特許請求の範囲の後側配置部に該当する。
胸部樹脂バネ30は、後面衝突時以外の平常時に、シートバックフレーム1により構成される面に沿うように配置され、乗員の肩甲骨53と第9胸椎52を支持可能である。
取付部34は、図3に示すように、取付時に孔部25を通る部分よりも端部側の部分であり、特許請求の範囲の前側配置部に該当する。取付部34は、孔部25に挿通される挿通部34aと、サイドフレーム20の後側フランジ部23と側部21の間の屈曲部23cの内面に沿って屈曲する屈曲部34bとを備え、先端に、係止部26に係止される一対の係止片34cが形成されている。
取付部34に屈曲部34bが設けられていることにより、取付剛性が向上する。また、屈曲部34bがサイドフレームの屈曲部23cの内面と当接して支持され、支持剛性が向上される。
係止片34cは、一対の細い棒状体が、取付部34の上端及び下端から水平にシート前方に延設し、相互の端部が対向するように垂直に屈曲して形成されており、取付部34の端部と係止片34cとが、略C字形状をなしている。係止片34cは、一対の細い棒状体の先端部分が、係止部26に挿入されることにより、取付部34の先端をサイドフレーム20内面に固定する。
胸部樹脂バネ30をサイドフレーム20に取り付ける場合には、まず、取付部34を、孔部25に挿入する。一対の係止片34cは、樹脂の弾性により、口を開くように、相互に離れる方向に変形するため、係止片34cを、サイドフレーム20に沿ってシート後方側から係止部26に押し当て、係止部26に押し込むことにより、係止させる。
本実施形態では、胸部樹脂バネ30を、樹脂製の波板体から構成しているが、胸部樹脂バネ30の代わりに、Sバネと呼ばれる公知の金属製のジグザグバネを用いてもよい。ジグザグバネを用いた場合であっても、ジグザグバネの両端部側を、サイドフレーム20の後側から孔部25を挿通させて、サイドフレーム20の側部21のシート内側の面に設けられた係止部26に取付ける。
また、本実施形態では、サイドフレーム20に、胸部樹脂バネ30を取付けるための孔部25と係止部26を設けているが、孔部25と係止部26を設ける代わりに、サイドフレーム20の後側フランジ部23の背面に、胸部樹脂バネ30の端部を取付けるためのリテーナを設けてもよい。
なお、胸部樹脂バネ30の代わりに、図10に示すバネ部71を備えた胸部樹脂バネ70を用いてもよい。
バネ部71は、乗員の一対の肩甲骨53に相当する位置と第9胸椎52に相当する位置を含む略帯状の波板体からなり、シート幅方向の中央でバネ部71のシート上方端部よりも若干下がった位置に、孔部75が形成されている。孔部75は、第9胸椎52に相当する位置よりもシート上方で、バネ部71で支持する必要のない位置に設けられており、孔部75を設けることにより、バネ部71の軽量化が図られている。
バネ部71のシート幅方向中央は、シート下方に向かって突出しており、孔部75のシート下方の部分が、第9胸椎支持部72を形成している。第9胸椎支持部72のシート幅方向両側の部分は、一対の肩甲骨支持部73を形成している。
孔部75のシート上端と、バネ部71のシート上端との間は、一対の肩甲骨支持部73を相互に連結する連結部を構成している。
また、胸部樹脂バネ30の代わりに、図11に示すバネ部81を備えた胸部樹脂バネ80を用いてもよい。
バネ部81は、乗員の一対の肩甲骨53に相当する位置と第9胸椎52に相当する位置を含む略帯状の波板体からなり、シート幅方向の中央の上端が、コの字型に切欠かれた形状となっている。このように、第9胸椎52に相当する位置よりもシート上方で、バネ部81で支持する必要のない位置が切欠かれた形状になっているため、バネ部81の軽量化が図られている。
バネ部81のシート幅方向中央で、シート上方が切欠かれた形状になっている部分のシート下側の部分は、第9胸椎支持部82を形成しており、第9胸椎支持部82のシート幅方向両側の部分は、一対の肩甲骨支持部83を形成している。
胸部樹脂バネ30の代わりに、図12に示すバネ部91を備えた胸部樹脂バネ90を用いてもよい。
バネ部91は、乗員の一対の肩甲骨53に相当する位置と第9胸椎52に相当する位置を含む略楕円状の波板体からなる。
シート幅方向の中央でバネ部91のシート上方端部よりも若干下がった位置に、孔部95が形成されている。バネ部91のシート幅方向中央は、シート下方に向かって突出しており、孔部95のシート下方の部分が、第9胸椎支持部92を形成している。
また、第9胸椎支持部92のシート幅方向両側のシート下方端部よりも若干上がった位置には、一対の孔部96が形成されている。第9胸椎支持部92のシート幅方向両側で、孔部96よりも上方の部分は、一対の肩甲骨支持部93を形成している。
孔部95,96は、バネ部91で支持する必要のない位置に設けられており、孔部95,96を設けることにより、バネ部91の軽量化が図られている。
孔部95のシート上端と、バネ部91のシート上端との間は、一対の肩甲骨支持部93を相互に連結する連結部を構成している。また、孔部96のシート下端とバネ部91のシート下端との間は、バネ部91の胸部を支持する胸部支持部のシート下端の左右端と、第9胸椎支持部92とを連結する連結部を構成している。
腰部樹脂バネ40は、樹脂製板体からなり、図13に示す乗員の一対の腰方形筋63に相当する位置の上端が高く、一対の腰方形筋63に挟まれた位置より若干下方にある仙骨62に相当する位置の下端が低くなるように形成されたバネ部41と、バネ部41の両側に、バネ部41の最も高い位置と最も低い位置の中央付近の高さの位置で、両側へ向かって延出する取付部44と、を備えている。
バネ部41は、図8に示すように、バネ部41のシート幅方向中心に設けられ、乗員の仙骨62を支持する仙骨支持部42と、仙骨支持部42の左右に設けられ、乗員の左右の腰方形筋63を支持する一対の腰方形筋支持部43と、を備えている。
腰方形筋支持部43シート下方のシート幅方向内側近くには、腰方形筋支持部43の上端43uと腰部樹脂バネ40の上端40uとを結ぶ傾斜辺に沿って、一対のスリット45が設けられている。また、腰方形筋支持部43シート下方のシート幅方向外側近くには、腰方形筋支持部43の上端43uと取付部44の上端44uとを結ぶ傾斜辺に沿って、一対のスリット46が設けられている。スリット45,46が設けられているため、バネ部41の軽量化ができる。
これらのスリット45,46は、シート上下方向の長さが、取付部44のシート上下方向の幅よりも大きく形成されており、一層の軽量化ができる。
バネ部41の構成は、波板状でなく板状からなる点と、スリット45,46を備える点を除いては、図8に示すように、バネ部31の構成と同様であるため、説明を省略する。なお、バネ部41は、波板状の板体から構成してもよい。
取付部44は、図6,図7に示すように、板状の帯状の部分からなり、サイドフレーム20の内端フランジ部24の内面に沿うように折れ曲がった内端フランジ部当接部44aと、後側フランジ部23の内面に当接する後側フランジ部当接部44bと、後側フランジ部23と側部21の間の屈曲部23cの内面に沿って屈曲する屈曲部44cと、側部21の内面に当接する側部当接部44dとを備え、先端に、係止部27に挿入される係止片44eが形成されている。
係止片44eは、細い棒状体が、取付部44の上端から垂直下方に屈曲するように形成されている。係止片44eは、細い棒状体の先端部分が、係止部27に挿入されることにより、取付部44の先端をサイドフレーム20内面に固定する。
取付部44の内端フランジ部当接部44aから側部当接部44dに至る領域は、サイドフレーム20の内端フランジ部24から側部21に至る領域の内面に当接しているので、取付剛性が向上する。
バネ部41は、取付部44よりも薄く形成されて十分な撓み量を有するように構成されており、取付部44は、バネ部41よりも厚く形成されることにより、取付剛性が確保されている。
腰部樹脂バネ40は、後面衝突時以外の平常時に、シートバックフレーム1により構成される面に沿うように配置され、乗員の腰方形筋63から腸骨を経て仙骨62に至るまでの部分を支持可能である。
腰部樹脂バネ40は、板状体から形成されることにより、胸部樹脂バネ30よりも撓み量が小さくなっている。
本実施形態では、後面衝突時、図4,図7のF方向に、乗員をシートバックS1に押しつける力が掛かった場合に、胸部樹脂バネ30のバネ部31及び腰部樹脂バネ40のバネ部41は、図4,図7の31´及び41´まで撓むことができ、乗員が31´及び41´の位置まで進入することができる。
従来の車両用シートでは、図14のように、受圧部材130の両端部が、サイドフレーム20の後側フランジ部23の前面側に取付けられている。
後面衝突時には、乗員を、車両用シートSに押し付ける方向の力が掛かり、受圧部材130が撓んで乗員は、車両用シートSの後方に向かって進入する。受圧部材130は、後方に向かって撓むときに、図14に示すように、サイドフレーム20の内端フランジ部24に当接するため、後側フランジ部23及び内端フランジ部24が障害となって、十分な撓み量が確保されない。
それに対し、本実施形態の胸部樹脂バネ30は、サイドフレーム20の孔部25を通って、バネ部31側の全長がサイドフレーム20の後側フランジ部23が設けられる面よりも後方に位置する。そのため、胸部樹脂バネ30が、内端フランジ部24に当接することがなく、後側フランジ部23及び内端フランジ部24が障害とならないため、後面衝突時に、乗員が車両用シートSの後方に向かって進入したときでも、図14のように、十分な撓み量が確保される。結果として、本実施形態の胸部樹脂バネ30では、図14の増加幅Δ分だけ、乗員の進入量が増加する。
G 重心
GL 直線
L1 距離
L2 長さ
S 車両用シート
S1 シートバック
S2 着座部
S3 ヘッドレスト
1 シートバックフレーム
1a,2a クッションパッド
1b,2b 表皮材
3a パッド材
3b 表皮材
11 上部フレーム
12 下部フレーム
13 ピラー支持部
14 ヘッドレストピラー
20 サイドフレーム
21 側部
22 前側フランジ部
23 後側フランジ部
23c 屈曲部
24 内端フランジ部
25,75,95,96 孔部
26,27 係止部
26a 湾曲部
26b 孔
30,70,80,90 胸部樹脂バネ
31,41,71,81,91 バネ部
31´,41´ 位置
32,72,82,92 第9胸椎支持部
32c,33c 中心
30u,32u,33u,34u,40u,42u,43u,44u 上端
32l,33l,34l,42l,43l,44l 下端
33,73,83,93 肩甲骨支持部
34,44 取付部
34a 挿通部
34b,44c 屈曲部
34c,44e 係止片
40 腰部樹脂バネ
42 仙骨支持部
43 腰方形筋支持部
44a 内端フランジ部当接部
44b 後側フランジ部当接部
44d 側部当接部
45,46 スリット
52 第9胸椎
53 肩甲骨
62 仙骨
63 腰方形筋
130 受圧部材

Claims (8)

  1. 左右一対のサイドフレームを備えたシートバックフレームと、前記サイドフレームの間に設けられ、乗員の荷重を受ける支持部材と、を備えた車両用シートであって、
    前記支持部材の少なくとも一部は、前記サイドフレームの後端部の後側に、前記後端部に対向して配置されることを特徴とする車両用シート。
  2. 前記サイドフレームは、前記支持部材が挿通される孔部を備え、
    前記支持部材の端部側は、前記サイドフレームのシート内側の面に取付けられることを特徴とする請求項1記載の車両用シート。
  3. 前記支持部材は、前記サイドフレームのシート内側の面に形成されたサイドフレーム屈曲部に当接する屈曲部を備え、該屈曲部は、前記サイドフレームへの取付け時に、前記孔部を避けた位置に配置されるように設けられることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用シート。
  4. 前記サイドフレームは、シート前後方向に延出する板状の側部と、該側部のシート後端がシート内側に向かって曲げられた後側フランジ部と、を備え、
    前記孔部は、前記後側フランジ部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の車両用シート。
  5. 前記サイドフレームは、前記後側フランジ部のシート内側端部に、シート内側前方に向かって曲げられた内端フランジ部を備え、
    前記孔部は、前記内端フランジ部よりもシート外側に設けられることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の車両用シート。
  6. 前記孔部は、前記後側フランジ部のシート外側の端部よりも内側に設けられることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の車両用シート。
  7. 前記支持部材のうち、前記後側フランジ部を含む平面よりもシート前側に配置される前側配置部は、前記平面よりもシート後側に配置される後側配置部よりも、肉厚に形成されていることを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の車両用シート。
  8. 前記支持部材の端部側は、前記サイドフレームの前記側部に沿って前方に延出していることを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載の車両用シート。
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