JP2014008742A - インクジェット記録装置及びインク残量有無検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクタンクのインク残量をより高精度に検出する。
【解決手段】インクタンクの底部に備えられた1対の電極に、予め定められた時間、パルス信号を印加し、その間の第1のタイミングで検出された初期電圧を測定する。その初期電圧が上限値である第1の閾値と下限値である第2の閾値により定められた範囲にあるかどうかを判断する。初期電圧がその範囲にないと判断された場合、初期電圧を第1の閾値と第2の閾値とぞれぞれ比較し、その比較結果に従って、インクタンクのインク残量の有無を判定する。初期電圧が前記範囲にあると判断された場合、第1のタイミングの後の第2のタイミングとさらに後の第3のタイミングでもそれぞれ、電極間電圧を測定する。そして、これら2つタイミングでそれぞれ測定された電圧から勾配電圧を算出し、第3の閾値と比較する。その比較結果に従って、インクタンクのインクに泡が発生しているかどうかを判定する。
【選択図】図10
【解決手段】インクタンクの底部に備えられた1対の電極に、予め定められた時間、パルス信号を印加し、その間の第1のタイミングで検出された初期電圧を測定する。その初期電圧が上限値である第1の閾値と下限値である第2の閾値により定められた範囲にあるかどうかを判断する。初期電圧がその範囲にないと判断された場合、初期電圧を第1の閾値と第2の閾値とぞれぞれ比較し、その比較結果に従って、インクタンクのインク残量の有無を判定する。初期電圧が前記範囲にあると判断された場合、第1のタイミングの後の第2のタイミングとさらに後の第3のタイミングでもそれぞれ、電極間電圧を測定する。そして、これら2つタイミングでそれぞれ測定された電圧から勾配電圧を算出し、第3の閾値と比較する。その比較結果に従って、インクタンクのインクに泡が発生しているかどうかを判定する。
【選択図】図10
Description
本発明はインクジェット記録装置及びその装置で用いるインク残量有無検出方法に関し、特に、例えば、複数の電極を用いてインクタンク内のインク残量を検出するインクジェット記録装置及びその装置で用いるインク残量有無検出方法に関する。
インクジェット記録装置(以下、記録装置)は、インク液滴を吐出するノズルが並んだノズル列を複数、配設した構成の記録ヘッドを搭載して記録に用いる。また、その記録装置は、記録ヘッドにインクを供給するためのインクを貯留するインクタンクやインクタンクから供給されたインクを一時的に装置本体内部に貯留することが可能なサブタンク等を有している。記録ヘッドに配設された複数のノズル各々にはインクを吐出するためのエネルギー発生素子が備えられ、制御信号によって吐出エネルギー発生素子を駆動することでインクを吐出する。これにより、記録媒体上に画像が記録形成される。
さて、インクタンクにインクが無くなると、記録ヘッドへのインク供給が行われず、記録ヘッドに配設されたノズルからインク吐出を行うことが出来なくなる。また、インクが記録ヘッドに供給されない状態でインク吐出動作がなされると、吐出エネルギーがノズルに対して直接作用する。例えば、吐出エネルギー発生素子が電気熱変換素子である場合、これによりノズル内部が高温になり、ノズルを破壊してしまう等などの重大な事態が生じてしまう。
このような事態の発生を防止するためにも、従来からインクタンクやサブタンク等の各タンク内に貯留されたインク残量有無検出方法が提案されている。中でも、タンク内に配設された2本の電極間に定電圧を印加してインク残量や残量の有無を検出する方法が実用化されている。
これは定電圧を印加した際、各タンクにインクが有る場合、電極間とインクが導通することによって電極間電圧は低くなり、また各タンク内のインクが無い場合、インクを介して電極間に電流を流れることは無く、限りなく電極間電圧が高くなる。これにより電極間と接するインクの状態により、各タンク内のインク残量を検出することが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
また、各タンク内に配設された電極間において、インク状態を判定する閾値を2種類設けるとともに検出時間も異ならせ、複数回の検出を行うことで、インク状態が不安定な場合においても正確に検出することが可能な方法も提案されている。例えば、繰り返し記録動作を続けると、タンク内のインクは記録ヘッドに供給され続けるので、電極に接したインクが泡状態に変化してしまうことがある。この泡が電極に付着すると電極に接した泡を通して電極間が通電してしまう。このように実際にはインクがなくなっているにも係らず電極間電圧が不安定になってインク有状態として誤って検出することを低減させる方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、電極間それぞれに接したインクの電気伝導度がインク残量とインクの組成等の影響により常に一定ではないことがこれまでの研究や実験より判明している。さらには泡の状態についてもインクの組成やタンク構造、電極ピンおよびピン周辺の撥水性、記録動作の継続度合いにより異なり、また、時間経過とともにその状態が連続的に変化していくことが判明している。
例えば、調整可能な閾値を所定時間ごとに可変して設定し、インク残量有無を検出する構成ではインクが持つ電気伝導度の影響で、インクが泡状態にある場合の検出レベルと、インクの有り状態で検出レベルが同じになってしまうことがある。これは、インク状態を誤って検知してしまうという問題を生じさせる可能性がある。
図13は電気伝導度が高いインクがインク泡状態にある場合と電気伝導度が低いインクがインク泡状態にある場合における電極間検出電圧の時間変化を示す図である。
図13において、801は電気抵抗度の高いインクの泡状態を示し、802は電気抵抗度の低いインクの泡状態を示している。このような場合、調整可能な2つの閾値803、804を異なる時間で用いると、電気伝導度が高いインク(第1の種類のインク)のインク泡状態801と電気伝導度が低いインク(第2の種類のインク)のインク有り状態802とが同じ検出電圧となる。従って、異なる2つの状態を同じ状態等と判定する可能性がある。そのため、全てのインクの種類に同じ条件を適用してインク残量有無の判定を行うと誤った判定を行う可能性がある。
本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、どのような場合でも、より高精度にインク残量とインク状態を検出可能なインクジェット記録装置及びそのインク残量有無検出方法を提供すること目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のインクジェット記録装置は次のような構成からなる。
即ち、インクタンクから供給されるインクを吐出する記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、前記インクタンクの底部に備えられた少なくとも1つの電極と電気伝導体からなる電圧を検出する検出手段と、前記検出手段に、予め定められた時間、パルス信号を印加する電流供給手段と、前記電流供給手段によりパルス信号を印加する間の第1のタイミングで、前記検出手段により検出された初期電圧を測定する第1の測定手段と、前記第1の測定手段により測定された初期電圧が上限値である第1の閾値と下限値である第2の閾値により定められた範囲にあるかどうかを判断する判断手段と、前記判断手段により前記初期電圧が前記範囲にないと判断された場合、前記初期電圧を前記第1の閾値と前記第2の閾値とぞれぞれ比較する第1の比較手段と、前記第1の比較手段による比較結果に従って、前記インクタンクのインク残量の有無を判定する第1の判定手段と、前記判断手段により前記初期電圧が前記範囲にあると判断された場合、前記第1のタイミングの後の第2のタイミングと該第2のタイミングの後の第3のタイミングでもそれぞれ、前記検出手段により検出された電圧を測定する第2の測定手段と、前記第2のタイミングと前記第3のタイミングでそれぞれ測定された電圧から単位時間当たりの電圧差として定義される勾配電圧を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された勾配電圧を第3の閾値と比較する第2の比較手段と、前記第2の比較手段による比較結果に従って、前記インクタンクのインクに泡が発生しているかどうかを判定する第2の判定手段とを有することを特徴とする。
また本発明を別の側面から見れば、インクタンクから供給されるインクを吐出する記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置におけるインクタンクのインク残量有無検出方法であって、前記インクタンクの底部に備えられた少なくとも1つの電極と電気伝導体からなる電圧を検出する検出手段に、予め定められた時間、パルス信号を印加する間の第1のタイミングで、前記検出手段により検出された初期電圧を測定する第1の測定工程と、前記第1の測定工程において測定された初期電圧が上限値である第1の閾値と下限値である第2の閾値により定められた範囲にあるかどうかを判断する判断工程と、前記判断工程において前記初期電圧が前記範囲にないと判断された場合、前記初期電圧を前記第1の閾値と前記第2の閾値とぞれぞれ比較する第1の比較工程と、前記第1の比較工程における比較結果に従って、前記インクタンクのインク残量の有無を判定する第1の判定工程と、前記判断工程において前記初期電圧が前記範囲にあると判断された場合、前記第1のタイミングの後の第2のタイミングと該第2のタイミングの後の第3のタイミングでもそれぞれ、前記検出手段により検出された電圧を測定する第2の測定工程と、前記第2のタイミングと前記第3のタイミングでそれぞれ測定された電圧から単位時間当たりの電圧差として定義される勾配電圧を算出する算出工程と、前記算出工程において算出された勾配電圧を第3の閾値と比較する第2の比較工程と、前記第2の比較工程における比較結果に従って、前記インクタンクのインクに泡が発生しているかどうかを判定する第2の判定工程とを有することを特徴とする。
従って本発明によれば、パルス信号をインクタンク内の電圧を検出する手段に印加して測定された初期電圧のみならず、その後のタイミングで測定された複数の電圧から得られる勾配電圧も考慮してインクの有無とインクの状態とを判断することができる。これにより、例えば、インク泡の発生している状態も検出されるので、より高精度にインク有無を検出することが可能となる。
また、例えば、異なるインク種によるインク特性の差なども考慮してパルス信号の電流値や閾値を変化させることで、異なるインク種類に対応して高精度に、インクの有無やインクの状態を検出することが可能となる。
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施例について、さらに具体的かつ詳細に説明する。
なお、この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。さらに人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かも問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきものである。従って、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
またさらに、「記録要素」とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
<記録装置の全体概要(図1)>
図1は本発明の代表的な実施例であるA0やB0サイズなどの大きなサイズの記録媒体を用いるインクジェット記録装置の外観斜視図である。
図1は本発明の代表的な実施例であるA0やB0サイズなどの大きなサイズの記録媒体を用いるインクジェット記録装置の外観斜視図である。
図1に示すインクジェット記録装置(以下、記録装置)100は、10インチ〜44インチサイズのロール紙に記録が可能である。記録装置100は、本体部を乗せるスタンド101、排紙された記録紙を積載するスタッカ102を備える。また、記録装置100には、種々の記録情報や設定結果などを表示するための表示パネル103と、記録モードや記録紙などの設定をするための操作パネル104がその上面に配設されている。また、開閉可能なアッパーカバー106も備えられている。
さらに、記録装置100の両脇には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロなどのインクタンクを収容して記録ヘッドにインクを供給するためのインクタンク収容部105が配置されている。
図2は図1に示す記録装置のインクタンク収容部の近傍の内部を模式的に示した図である。
図2に示すように、記録ヘッド201はホスト装置(不図示)から送られてきた記録データに基づき、記録ヘッド201内部にある電気熱変換素子に電気エネルギーを供給することで熱エネルギーを発生させる。発生した熱エネルギーが供給されているインクに気泡を発生させ、気泡の発生した際に生じる圧力によって記録ヘッド201内部にある各ノズルからインク滴を吐出する。
記録ヘッド201を搭載したキャリッジ202は、メインレール203とキャリッジベルト204に案内されて記録用紙207の搬送方向とは垂直方向に往復走査され、その際に記録ヘッド201からインク液滴を吐出して記録を行う。記録ヘッド201には複数のノズルが設けられており、各ノズル列からブラック、シアン、マゼンタ、イエロなどのインクが吐出され、記録媒体上に画像を形成する。その際、キャリッジ202はリニアスケール205に設けられたスケールを読取り、その結果をエンコーダセンサ206がパルス信号として出力する。そのパルス信号をカウントすることで、キャリッジ202の相対的な移動距離と位置とが検出される。
インクタンク(メインタンク)208を保持するインクタンク設置台209からインクバッファタンク211にインクを供給する。インクバッファタンク211とインクタンク設置台209の底部にはそれぞれインクの残量を検出するための電極210が設けられている。そして、インクバッファタンク211からインクチューブ212を介して記録ヘッド201内部に備えたヘッド内サブタンク(不図示)までインクが供給される。各インクバッファタンク211には、その内部に各ユニット毎に1本ないしは2本の電極を備えている。
なお、キャリッジの移動方向に関し、インクタンク収容部の反対側には回復ユニット213が設けられており、定期的に記録ヘッドの状態をメンテナンスする。
図3は記録装置100の制御構成を示すブロック図である。
記録装置100はCPU302によりすべて制御される。通信I/F303はLANやUSB等のホスト装置(PC)301との通信制御を行う。モータ/センサ制御ユニット304はキャリッジ202を走査したり記録用紙207を搬送・検出を行うモータやセンサの制御を行う。キャリッジ/紙搬送ユニット305は、モータ/センサ制御ユニット304からの指令を基にキャリッジ202を走査しつつ、記録用紙207を搬送する。メモリ306はROMやRAMなどで構成される。メモリ306はCPU302の制御のためのプログラムを格納したり、ホスト装置301から転送される画像データを一時的に蓄える画像処理バッファや作業領域として使用される。また、クリーニングやインクの充填動作などの確実に各タンク内にインクが供給された状態で、定電流を供給した際に発生する電極間の基準電圧値等もメモリ306に保存される。
画像/タイミング処理部307は、画像データから記録データへの変換処理を行い、その記録データを記録装置100の記録動作に合わせて出力する際のタイミング調整を行う。ヘッド制御部308は、画像/タイミング処理部307からの制御情報を基に記録ヘッド201を駆動制御する。
定電流供給回路309は、CPU302の制御により随時、インクバッファタンク211に設けられた電極210の電極間に一定の電流を供給する回路である。定電流/検出制御部310は、定電流供給回路309から供給される定電流を必要に応じて調整し、また電極間電圧を検出するタイミングを調整する。インク供給制御部311は、定電流/検出制御部310により検出された結果に応じて、インクタンク設置台209やインクバッファタンク211にインクへの充填制御や、記録ヘッド201へのインク供給を行う。
ADポート312は、インクバッファタンク211内部に設けられた2つの電極間の電圧を検出する。ADポート312の検出結果は、メモリ306に格納する情報に反映されインクタンク設置台209やインクバッファタンク211の残量管理にも使用される。また、インクの充填動作後等に確実にインクが有る時のADポート312の検出結果を定電流/検出制御部310に反映させることも可能である。
次に、以上の構成の記録装置においてインクバッファタンク211のインク残量を検出する構成について説明する。
図4〜図6はインクバッファタンク211とインクタンク208の内部構成を示す断面図である。図4はインクタンク208とインクバッファタンク211に十分にインクが残存している状態を示し、図5はインクタンク208とインクバッファタンク211にインクが残存していない状態を示している。一方、図6はインクタンク208にはある程度インクが残存しているもののインクバッファタンク211にインクが残存しておらず電極にインク泡が付着している状態を示している。
図4〜図6に示されているように、インクタンク208と連通したインクバッファタンク211内部には1対の電極210が設けられている。電極210には定電流供給回路309から一定の電流を所定のタイミングにて電流が印加され、1対の電極210の間に発生した電位差をモニタする検出電圧モニタ部320が設けられている。
図4は、インク充填動作後などインクがインクバッファタンク211の内部に満たされた状態を示しており、定電流供給回路309から一定の電流を所定のタイミングで供給すると、1対の電極210の間にインク401が電極210とが導通して電流が流れる。その際、電極210とインク401の接触部分にはインクの電気伝導度に応じた接触抵抗が発生する。即ち、1対の電極210の間に流れる定電流の値(この場合数μA程度)×「インクの抵抗値+接触抵抗値」が電極ピン間で検出される電極間検出電圧となる。
図7は図4に対応した場合の電極間検出電圧の時間変化を示す図である。
図7に示すように、インク残量を検出するためのパルス信号を予め定められた時間、印加した場合、これに対応して電極間に電圧が検出され、この状態がインク有りの状態を表している。
図5は、記録ヘッド201から繰り返し記録を行った後など、インクバッファタンク211内部からインクが減少した状態を示している。インク有り状態ではインク401を通じて1対の電極210の間は導通し、定電流が流れるが、図5に示すように、この状態では、電極210とインク401と間は遮断された状態となる。そのため、1対の電極210とインク401との間は抵抗が無限大と等しくなるため、定電流供給回路309からは電流が流れなくなる。そのため、検出される電極間電圧は定電流供給回路309からの出力電圧の最大値(この場合は約3V)となる。
図8は図5に対応した場合の電極間検出電圧の時間変化を示す図である。
図8に示すように、インク残量を検出するためのパルス信号を印加した場合、これに対応した電極間電圧は、定電流供給回路309からの出力電圧の最大値(約3V)となり、この状態が、インク無しの状態を表している。
図6は、記録ヘッド201から繰り返し記録による記録ヘッドの連続記録に伴って発生した気泡がインクバッファタンク211の電極210に付着した状態を示している。前述したインク有りとインク無しの状態とは異なり、インクタンク208もインクは若干量残存してはいるが、発生した気泡により1対の電極間が導通状態となり電極間に電圧が検出されてしまう。この際、インク泡の状態は時間により変化するので、これに伴いインク泡と電極210との接触面積も変化する。従って、図7〜図8に図示したのと同じ条件でパルス信号を印加しても、検知される電極間電圧は初期電圧値から変化する。また、その時間変化の割合(勾配電圧:単位時間あたりの電圧差)も変化する。
図9は図6に対応した場合の電極間検出電圧の時間変化を示す図である。
図9に示すように、電極間検出電圧は初期電圧(Vs)から変化するが、その電圧変化率(勾配電圧)も一定ではなく、T=T1における勾配電圧とT=T2における勾配電圧は異なる。この状態が、インク泡状態を表している。
次に、フローチャートを用いて、インク残量有無検出処理について説明する。
図10はインク残量有無検出処理を示すフローチャートである。
この処理が始まると、ステップS601に進み、前回実行時から所定量のインクを消費したかどうか、或いは、所定時間、時間が経過したか否かを調べる。これは、いずれかの条件が満たされるまで所定時間毎に調べられ、いずれかの条件が満たされると、処理はステップS602に進む。
ステップS602ではインクの残量とインクの状態を検出するために、定電流供給回路309から所定タイミング毎に検知パルス信号を電極に印加する。ステップS603では図7〜図9に示されているように、パルス信号印加時から時間T0が経過後のタイミング(第1のタイミング)で初期電極間電圧Vsを検出する(第1の測定)。その後、ステップS604では、前述した初期電極間電圧Vsの値が所定範囲内になっているかどうかを調べる。具体的には、Vsの値が0.5V(≒インク有り:下限値)以上かつ2.5V(≒インク無し:上限値)以下であるかどうか(0.5V<Vs<2.5V)を調べる。
Vsの値が上限値と下限値で定められた範囲内という条件を満たさないと判断された場合、処理はインク状態を判定するため、ステップS605に進み、Vsが下限値である第2の閾値以下(Vs≦TH2)かどうかを調べる。
具体的には、閾値(TH2)としてインク有りと判定することが可能な0.5〜1V程度を閾値電圧に設定しておくことが望ましい。例えば、Vs≦0.5Vであればインク有り状態と判定し、処理はステップS601に戻る。これに対し、Vs>0.5Vであった場合、処理はステップS606に進み、Vsが上限値である第1の閾値以上(Vs≧TH1)かどうかを調べる。具体的には、インク無しと判定することが可能な2.5V程度を閾値電圧に設定しておくことが望ましい。例えば、Vs≧2.5Vであれば、インク無し状態と判定し、処理はステップS607に進み、インクバッファタンク211へのインク充填動作を開始し、その後、処理はステップS601に戻る。VsをTH1とTH2それぞれを比較することを第1の比較といい、その比較結果によりインク残量の有無を判定することを第1の判定という。
これに対して、ステップS604においてVsが所定範囲(0.5V≦Vs≦2.5V)の条件を満たすと判断された場合、処理はステップS608へ進む。
ステップS608では、初期電極間電圧Vsの立ち上がりによる電圧値上昇から、インク状態の変動を推定し、時間T0の後の、所定の第2のタイミング(T=T1)において電極間電圧Vgaを測定する。さらに、ステップS609では、その後の所定の第3のタイミング(T=T2)において、電極間電圧Vgbを測定する。これら2つの測定を第2の測定という。そして、ステップS610では勾配電圧Vg(単位時間当たりの電圧差)を算出する。これは以下の式に従って算出する。即ち、
Vg=ΔV/ΔT=(Vgb−Vga)/(T2−T1)
を用いて算出する。
Vg=ΔV/ΔT=(Vgb−Vga)/(T2−T1)
を用いて算出する。
具体的には、図9に示すように、インク泡状態においては、時間がT=T1とT=T2との間での電極間電圧の上昇はほとんど無い為、第3の閾値(TH3)は約0〜0.2Vのような極小の範囲を持つ電圧値に設定する。ただし、インク特性に応じて泡状態中の電極間電圧特性も変動するため、インク毎に最適な閾値電圧を設定することが望ましい。
さらに、ステップS611では、勾配電圧Vgと第3の閾値(TH3)とを比較する。これを第2の比較という。その結果、Vg<TH3であれば、インク泡状態と判定する。これを第2の判定という。この際、インク泡状態はインク無しの状態に等しいので、ステップS604における処理のようにVsの値を高精度に判別し、処理はステップS612において発生した泡の泡抜き処理を実行する。その後、処理はステップS607に進み、インクバッファタンクへのインク充填動作へと移行する。
これに対して、ステップS611において、Vg≧TH3であれば、異なる電気伝導度のインク、或いは、特性が変化したインクでのインク有りの状態である可能性やパルス電流を長時間にわたり供給したことによる誤検知の可能性があると判定する。従って、処理はステップS613に進み、インク状態検出回路の初期化を実行し、処理はスタートに戻る。
その際、所定量のインクを必要とする記録動作等がホスト装置から指示された場合であれば、泡抜きシーケンスに伴うインクバッファタンク内へのインク充填動作を併用してスタートに戻るように処理してもよい。また、記録装置が所定量未満のインクしか必要としない記録動作や予備吐出動作等が指示された場合には、動作を継続して、処理のスタートに戻る。
ここで、インクの種類が異なりインク特性に差がある場合の電極間検出電圧の時間変化について、図11〜図13を参照して説明する。
図11はインクの組成が異なり電気伝導度が低い場合の電極間検出電圧の時間変化を示す図である。この場合、インクの電気抵抗は高くなり、図7に示したのと同じパルス信号を供給すると、電極間電圧は短時間でより上昇(飽和)する。
このため、初期電極間電圧Vsが所定範囲(0.5V<Vs<2.5V)内であっても、本当はインク有りの状態であるにも関わらず、インク無し状態またはインク泡状態と誤って検出する可能性がある。
そのため、第2のタイミング(T=T1)と第3のタイミング(T=T2)との間での勾配電圧Vgと第3の閾値(TH3)とを比較する場合に、Vgが第3の閾値より所定量高ければ(Vg>TH3+ΔTH)、インク有りの状態と判定する。さらに、その検出精度を高めるために、インクバッファタンク211へインク充填動作の直後など、インク有りの状態と判定された時のVsの値を保存しておき、この値を第2の閾値の代わりに用いてVgと比較して判定しても良い。この保存のためにEEPROMなどの不揮発性メモリを用いると良い。
また、インク特性差を考慮して、インク残量有無の検出に用いるパルス信号の電流値を可変できる構成としてもよい。また、電極間電圧特性の振舞いを高精度に検出するために所定の第4のタイミング(T=T4)において電極間電圧Vgcを検出する構成を、インク種等に応じてそのタイミングが可変する構成にすると良い。
図12は図11に示すようにインクの組成が異なり電気伝導度が低い場合の電極間検出電圧の時間変化を示す図である。図12は、図11に示すのと同じ条件でインク残量有無を検出する場合、インクバッファタンクがインク泡状態にある場合を示している。この場合、インクの電気抵抗は高く、かつ、インク泡状態であるため、その泡の電極210との接触面積は時間的に変化する。このため、図12に示すように、ある時間以降(この図ではT=T2以降)、電極間検出電圧は約3V程度の値で飽和してしまう。
この場合、T=T1における測定電圧Vgaに比べ、T=T2における測定電圧VgbとT=T3における測定電圧Vgcの値の比較からすでに飽和しているとみなせる。そのため、勾配電圧Vgは大きくなることが予測されるが、この場合には、インク泡状態≒インク無し状態と判定し、インクバッファタンク211への充填動作へ処理を進める。また、インク特性に差がある場合でのインク泡状態の検出についても、インク有りの状態と判定された時のVsの値を保存しておき、この値をVgと比較して判定してもよい。
1対の電極を設けたタンクのインクに連続記録動作により泡が発生し電極間が発生した泡で短絡状態となっても、検知電流印加時の初期電圧値と、その後の異なる検出タイミングでの勾配電圧(時間あたりの電圧差)とを比較してインク残量有無を判定する。
従って以上説明した実施例によれば、インクタンク内にインク泡状態が発生しても高精度にインク残量有無を検出することが可能となる。また、異なる種類のインクによる特性の差やタンク構成に違いがあっても、印加するパルス信号の電圧値を変化させたり、検出タイミングを動的に変更することにより、インク泡状態を高精度に検出することが可能となる。
なお、以上説明した実施例では、インク残量有無を検出する対象をインクバッファタンク211としているが、これはインクタンク設置台209の下に必ずしも備えられていなければいけない訳ではない。もちろん、記録ヘッド201内のインク貯留サブタンクに配設されている構成でも、インクタンク208自身に備えた構成でもよい。さらには、インクチューブ212経路中にタンクがあるような構成にも本発明は適用可能である。
また、以上説明した実施例では、インクバッファタンク211内に電極210を2本備えた例について説明したが、本発明はこれによって限定されるものではない。例えば、その内の1つのみを電極とし、他方は電気伝導性のある金属板など電気伝導体の構成であっても、インクを通じて電流を供給し、その際の電圧値を取得できる構成であれば本発明は適用可能である。
Claims (8)
- インクタンクから供給されるインクを吐出する記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、
前記インクタンクの底部に備えられた少なくとも1つの電極と電気伝導体からなる電圧を検出する検出手段と、
前記検出手段に、予め定められた時間、パルス信号を印加する電流供給手段と、
前記電流供給手段によりパルス信号を印加する間の第1のタイミングで、前記検出手段により検出された初期電圧を測定する第1の測定手段と、
前記第1の測定手段により測定された初期電圧が上限値である第1の閾値と下限値である第2の閾値により定められた範囲にあるかどうかを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記初期電圧が前記範囲にないと判断された場合、前記初期電圧を前記第1の閾値と前記第2の閾値とぞれぞれ比較する第1の比較手段と、
前記第1の比較手段による比較結果に従って、前記インクタンクのインク残量の有無を判定する第1の判定手段と、
前記判断手段により前記初期電圧が前記範囲にあると判断された場合、前記第1のタイミングの後の第2のタイミングと該第2のタイミングの後の第3のタイミングでもそれぞれ、前記検出手段により検出された電圧を測定する第2の測定手段と、
前記第2のタイミングと前記第3のタイミングでそれぞれ測定された電圧から単位時間当たりの電圧差として定義される勾配電圧を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された勾配電圧を第3の閾値と比較する第2の比較手段と、
前記第2の比較手段による比較結果に従って、前記インクタンクのインクに泡が発生しているかどうかを判定する第2の判定手段とを有することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記第2の判定手段により泡が発生していると判定された場合、該発生した泡の泡抜き処理を行う泡抜き手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記インクタンクは、メインタンクと前記記録ヘッドに備えられたサブタンクと前記メインタンクと前記サブタンクとの間に位置するバッファタンクとを含み、
前記検出手段は前記バッファタンクに設けられることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。 - 前記泡抜き手段による泡抜き処理の後、前記バッファタンクに前記メインタンクよりインクを充填する充填手段をさらに有することを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
- 前記第1の判定手段は、前記初期電圧が前記第1の閾値以上であればインク無しと判定し、前記初期電圧が前記第2の閾値以下であればインク有りと判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記充填手段によるインクの充填の直後において前記検出手段により検出される電圧を測定し、該測定された電圧を保存する保存手段をさらに有し、
前記保存手段に保存された電圧を前記第2の閾値の代わりに用いることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。 - インクの種類に従って、前記第3の閾値を変更するか、或いは、前記パルス信号の電流値を変化させることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
- インクタンクから供給されるインクを吐出する記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置におけるインクタンクのインク残量有無検出方法であって、
前記インクタンクの底部に備えられた少なくとも1つの電極と電気伝導体からなる電圧を検出する検出手段に、予め定められた時間、パルス信号を印加する間の第1のタイミングで、前記検出手段により検出された初期電圧を測定する第1の測定工程と、
前記第1の測定工程において測定された初期電圧が上限値である第1の閾値と下限値である第2の閾値により定められた範囲にあるかどうかを判断する判断工程と、
前記判断工程において前記初期電圧が前記範囲にないと判断された場合、前記初期電圧を前記第1の閾値と前記第2の閾値とぞれぞれ比較する第1の比較工程と、
前記第1の比較工程における比較結果に従って、前記インクタンクのインク残量の有無を判定する第1の判定工程と、
前記判断工程において前記初期電圧が前記範囲にあると判断された場合、前記第1のタイミングの後の第2のタイミングと該第2のタイミングの後の第3のタイミングでもそれぞれ、前記検出手段により検出された電圧を測定する第2の測定工程と、
前記第2のタイミングと前記第3のタイミングでそれぞれ測定された電圧から単位時間当たりの電圧差として定義される勾配電圧を算出する算出工程と、
前記算出工程において算出された勾配電圧を第3の閾値と比較する第2の比較工程と、
前記第2の比較工程における比較結果に従って、前記インクタンクのインクに泡が発生しているかどうかを判定する第2の判定工程とを有することを特徴とするインク残量有無検出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012148711A JP2014008742A (ja) | 2012-07-02 | 2012-07-02 | インクジェット記録装置及びインク残量有無検出方法 |
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JP2012148711A JP2014008742A (ja) | 2012-07-02 | 2012-07-02 | インクジェット記録装置及びインク残量有無検出方法 |
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ID=50105831
Family Applications (1)
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JP2012148711A Pending JP2014008742A (ja) | 2012-07-02 | 2012-07-02 | インクジェット記録装置及びインク残量有無検出方法 |
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JP (1) | JP2014008742A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015163849A1 (en) * | 2014-04-22 | 2015-10-29 | Hewlett-Packard Development Company, L.P. | Detecting ink characteristics |
JP2016043624A (ja) * | 2014-08-25 | 2016-04-04 | キヤノン株式会社 | 記録装置、インク残量検出方法、プログラム及び記憶媒体 |
JP2016221847A (ja) * | 2015-05-29 | 2016-12-28 | キヤノン株式会社 | 液体吐出記録装置及び液体残量検出方法 |
-
2012
- 2012-07-02 JP JP2012148711A patent/JP2014008742A/ja active Pending
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