JP2014008646A - 表皮材を有する樹脂成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂製基材を表皮材と一体成形する樹脂成形品の製造方法において、製品全体のコストアップを抑制しつつ簡便な手法で表皮材の潰れや毛倒れ等のゲートダメージを抑制する。
【解決手段】第2射出工程でゲート42から溶融樹脂を射出して樹脂製基材12を表皮材14と一体成形する際には、ゲート42に対面する部分に第1射出工程で予め溶融樹脂が付着させられてバリア層50が形成されているため、ゲートダメージを抑制しつつ高い生産効率で樹脂製基材12を表皮材14と一体成形することができる。また、スライド駒48をゲート42に接近させてバリア層50を形成し、その後スライド駒48を本来の成形位置まで戻して再度溶融樹脂を射出することにより、ゲートダメージを抑制しつつ樹脂製基材12を一体成形するため、目付量が大きい高価な積層不織布を表皮材14に裏打ちしてゲートダメージを防止する場合に比較してコストアップを抑制できる。
【選択図】図4
【解決手段】第2射出工程でゲート42から溶融樹脂を射出して樹脂製基材12を表皮材14と一体成形する際には、ゲート42に対面する部分に第1射出工程で予め溶融樹脂が付着させられてバリア層50が形成されているため、ゲートダメージを抑制しつつ高い生産効率で樹脂製基材12を表皮材14と一体成形することができる。また、スライド駒48をゲート42に接近させてバリア層50を形成し、その後スライド駒48を本来の成形位置まで戻して再度溶融樹脂を射出することにより、ゲートダメージを抑制しつつ樹脂製基材12を一体成形するため、目付量が大きい高価な積層不織布を表皮材14に裏打ちしてゲートダメージを防止する場合に比較してコストアップを抑制できる。
【選択図】図4
Description
本発明は表皮材を有する樹脂成形品の製造方法に係り、特に、製品全体のコストアップを抑制しつつ簡便な手法で表皮材のゲートダメージを抑制する技術に関するものである。
表面形状に対応する第1成形面を有する第1成形型と、裏面形状に対応する第2成形面を有する第2成形型との間に表皮材を配置し、その第2成形型に設けられたゲートから溶融樹脂を射出して、その表皮材を前記第1成形面に押圧して成形すると同時に樹脂製基材をその表皮材と一体成形する樹脂成形品の製造方法が知られている。特許文献1に記載の製造方法はその一例で、車両用の内装部品(ドアトリムなど)に関するものであり、樹脂製基材を射出して表皮材と一体成形する際に、ゲートの近傍で射出樹脂の熱や圧力、含浸等により表皮材のクッション層が潰れたり、表皮材の表面に設けられた起毛が倒れたりするゲートダメージを生じることがあるため、表皮材の裏面に目付量が大きい積層不織布をバリア層として設けることが提案されている。
しかしながら、このように目付量が大きい積層不織布は高価であるため、製品全体の製造コストが高くなる。また、このような高価な積層不織布を設けることなく、倒れた起毛を後工程で起こす場合には、工程数が増えて製造コストが高くなる。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、樹脂製基材を表皮材と一体成形する樹脂成形品の製造方法において、製品全体のコストアップを抑制しつつ簡便な手法で表皮材の潰れや毛倒れ等のゲートダメージを抑制することにある。
かかる目的を達成するために、第1発明は、表面形状に対応する第1成形面を有する第1成形型と、裏面形状に対応する第2成形面を有する第2成形型との間に表皮材を配置し、その第2成形型に設けられたゲートから溶融樹脂を射出して、その表皮材を前記第1成形面に押圧して成形すると同時に樹脂製基材をその表皮材と一体成形する樹脂成形品の製造方法であって、(a) 前記第1成形型と前記第2成形型との間に前記表皮材を配置する表皮セット工程と、(b) 前記第2成形型に設けられた前記ゲートと、前記第1成形型のうちそのゲートに対面する対面部位とを、本来の成形位置よりも相対的に接近させる第1変位工程と、(c) 前記ゲートから溶融樹脂を射出し、前記表皮材のうち前記対面部位によって支持されている部分に局部的にその溶融樹脂を付着させて前記樹脂製基材の一部として用いられるバリア層を形成する第1射出工程と、(d) 前記ゲートと前記対面部位とを相対的に前記本来の成形位置へ戻す第2変位工程と、(e) 前記ゲートから溶融樹脂を射出し、前記表皮材を前記第1成形面に押圧して成形すると同時に前記樹脂製基材の前記バリア層を除いた残りの部分をその表皮材と一体成形する第2射出工程と、を有することを特徴とする。
第2発明は、第1発明の表皮材を有する樹脂成形品の製造方法において、前記第1射出工程で射出する溶融樹脂のメルトフローレート(MFR)は、前記第2射出工程で射出する溶融樹脂のメルトフローレートよりも小さいことを特徴とする。
第3発明は、第1発明または第2発明の表皮材を有する樹脂成形品の製造方法において、(a) 前記第1成形型の前記対面部位には、前記第2成形型の前記ゲートに対して接近離間可能なスライド駒が設けられており、(b) 前記第1変位工程では前記スライド駒が前記第1成形面から突出させられる一方、前記第2変位工程ではそのスライド駒がその第1成形面と一致する位置まで戻されることを特徴とする。
このような表皮材を有する樹脂成形品の製造方法によれば、第2成形型のゲートと、第1成形型のうちゲートに対面する対面部位とを、本来の成形位置よりも相対的に接近させて、その状態でゲートから溶融樹脂を射出することにより、表皮材のうち対面部位によって支持されている部分に局部的に溶融樹脂を付着させてバリア層を形成する(第1射出工程)。その後、上記ゲートと対面部位とを相対的に本来の成形位置へ戻し(第2変位工程)、その状態でゲートから再び溶融樹脂を射出することにより、表皮材を成形すると同時に樹脂製基材をその表皮材と一体成形する(第2射出工程)。その場合に、表皮材のうちゲートに対面する部分には、第1射出工程で予め局部的に溶融樹脂が付着させられてバリア層が形成されているため、その溶融樹脂の射出に起因する表皮材のゲートダメージを抑制しつつ高い生産効率で樹脂製基材を表皮材と一体成形することができる。すなわち、第1射出工程では少量の溶融樹脂を射出するだけで良いため、ゲートダメージを抑制できる射出条件で射出する一方、第2射出工程ではゲートダメージを考慮することなく高能率で溶融樹脂を射出することにより、全体として高い生産効率を維持することができるのである。
また、第1成形型の対面部位とゲートとを相対的に接近させて溶融樹脂を射出することによりバリア層を形成し、その後本来の成形位置まで戻して再度溶融樹脂を射出することにより、ゲートダメージを抑制しつつ樹脂製基材を表皮材と一体成形できるため、目付量が大きい高価な積層不織布を表皮材の裏面に裏打ちしてゲートダメージを防止したり、ゲートダメージで倒れた起毛を後工程で起こしたりする場合に比較して、製品全体のコストアップを抑制できる。
第2発明では、第1射出工程で射出する溶融樹脂のメルトフローレートが比較的小さいため、射出された溶融樹脂が必要以上に広がることなくゲートの対面部分に局部的に、すなわち表皮材のうち第1成形型の対面部位によって支持されている部分に局部的に、溶融樹脂を付着させてバリア層を形成することができる。これにより、少ない溶融樹脂で確実にバリア層を形成でき、第2射出工程の際のゲートダメージを適切に抑制することができる。また、第2射出工程で射出する溶融樹脂のメルトフローレートは比較的大きいため、高能率で射出することにより高い生産効率を維持することができる。
第3発明では、第1成形型の対面部位にスライド駒が設けられ、第1変位工程ではそのスライド駒が第1成形面から突出させられてゲートに接近させられる一方、第2変位工程ではスライド駒が第1成形面と一致する位置まで戻されるため、例えば第2成形型のゲート部分を局部的に変位させる場合に比較して成形型の設計変更等が簡単であり、コストアップが抑制される。
本発明は自動車のドアトリムやインストルメントパネルなどの内装部品の製造に好適に適用されるが、家電製品等の樹脂製パネルの製造などにも適用され得る。樹脂製基材や表皮材としては、一般に使用される種々の材料を用いることが可能で、表皮材としては例えば織布、編布、不織布、塩化ビニル・TPO等のレザー、軟質系フィルムなどが用いられる。また、単層体であっても積層体であっても良く、ウレタンやPPフォーム等のクッション層を有する積層構造とすることもできる。更に、裏打ちとしてPET、PA、PP等の織布、編布、不織布等を設けることもできる。表皮材は、例えば樹脂製基材の表面の全面を被覆するように設けられるが、樹脂製基材の表面の一部を被覆するように島状或いは半島状に設けるだけでも良い。
表皮セット工程では、表皮材にたるみやシワなどが発生しないように所定部位を押圧部材などで第1成形面に押圧したり、所定の張力で外周側へ引っ張って配置したり、或いは第1成形面に小さな吸引孔を設けて第1成形面に密着するように吸引したりすることもできるが、単に略水平な成形面上に載置するだけでも良いなど、種々の態様が可能である。
第2成形型には、1または複数のゲートが設けられ、第1成形型との間の製品キャビティー内に溶融樹脂が射出されるが、複数のゲートを備えている場合に各ゲートでゲートダメージを生じる可能性がある場合には、それぞれのゲートにおいて本発明方法を適用してバリア層を形成することが望ましい。複数のゲートの一部に本発明方法を適用するだけでも良い。
第1変位工程では、第2成形型に設けられたゲートと第1成形型の対面部位とを、本来の成形位置よりも相対的に接近させるが、本来の成形位置は、第1成形型と第2成形型とが型締めされて目的形状の樹脂製基材を一体成形できる位置である。第1変位工程では、ゲートが設けられた部分および対面部位の少なくとも一方を、上記本来の成形位置から他方に対して接近させれば良く、両方を接近させても良い。この接近距離は、次の第1射出工程で、ゲートダメージを抑制できるバリア層を表皮材に付着するように設けることが可能で、且つ、第2射出工程でバリア層に邪魔されることなくゲートから溶融樹脂を高能率で射出して樹脂製基材を一体成形できるように適宜定められる。
上記第1変位工程では、例えば第3発明のように第1成形型にスライド駒を設け、対面部位を局部的にゲートに対して接近させるようにしても良いが、逆に第2成形型にスライド駒を設けて、ゲート部分を局部的に対面部位に対して接近させるようにしても良い。第1成形型および第2成形型にそれぞれスライド駒を設けて、両者を接近させるようにしても良い。また、そのようなスライド駒を設けることなく、第1成形型および第2成形型を、本来の成形位置よりも接近可能に構成し、第1成形面および第2成形面を全体的に接近離間させるようにしても良い。
上記第1変位工程は、表皮セット工程の後で行っても良いが、表皮セット工程と同時或いは表皮セット工程の前に行うことも可能である。要するに、第1射出工程に先立って、第1成形型と第2成形型との間に表皮材を配置するとともに、ゲートと対面部位とを相対的に接近させておけば良く、それ等の何れを先に行っても差し支えない。
第1射出工程および第2射出工程でゲートから射出する溶融樹脂は、第2発明のようにメルトフローレートが異なる別の樹脂材料であっても良いが、メルトフローレートが等しい同一の樹脂材料を用いることもできる。すなわち、ゲートダメージはメルトフローレートだけでなく射出圧力や溶融樹脂温度などでも変化するため、例えば同じ樹脂材料でも、第1射出工程では低い射出圧力で溶融樹脂を射出することによりゲートダメージを抑制しつつバリア層を形成することができる。そして、第2射出工程では、第1射出工程よりも高い射出圧力で溶融樹脂を射出することにより、高能率で樹脂製基材を一体成形することができる。なお、バリア層が樹脂製基材に一体的に固着されるように、両者を同一乃至は同系統の樹脂材料で構成することが望ましいが、樹脂製基材に要求される強度等の性能を満たす範囲で、必ずしも両者が強固に固着される必要はなく、異なる種類の樹脂材料を用いることも可能である。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明方法に従って製造されたドアトリム等の車両用内装部品10を模式的に示す断面図である。この車両用内装部品10は、樹脂製基材12の表面に表皮材14を一体的に固着したもので、表皮材14は、図2に示すように3層構造で構成されている。すなわち、不織布等の裏打ち16、発泡ウレタン等のクッション層18、および起毛ファブリック等の表層20が互いに一体的に固着されており、裏打ち16側において樹脂製基材12の表面に一体的に固着されている。この車両用内装部品10は樹脂成形品に相当する。
図1は、本発明方法に従って製造されたドアトリム等の車両用内装部品10を模式的に示す断面図である。この車両用内装部品10は、樹脂製基材12の表面に表皮材14を一体的に固着したもので、表皮材14は、図2に示すように3層構造で構成されている。すなわち、不織布等の裏打ち16、発泡ウレタン等のクッション層18、および起毛ファブリック等の表層20が互いに一体的に固着されており、裏打ち16側において樹脂製基材12の表面に一体的に固着されている。この車両用内装部品10は樹脂成形品に相当する。
上記車両用内装部品10の樹脂製基材12は、図3に示す射出成形機30を用いて表皮材14の成形と同時にその表皮材14と一体成形される。射出成形機30は、一対の上型32および下型34を備えており、上型32が駆動装置33により下型34に対して接近離間させられるようになっている。上型32には、車両用内装部品10の表面形状に対応する第1成形面36が設けられている一方、下型34には車両用内装部品10の裏面形状に対応する第2成形面38が設けられており、図3に示すように上型32が下降させられて型締めされることにより、それ等の第1成形面36および第2成形面38により車両用内装部品10に対応する製品キャビティ40が形成される。上型32は第1成形型に相当し、下型34は第2成形型に相当する。
上記下型34には、例えば第2成形面38の中央部分に開口するようにゲート42が設けられており、前記樹脂製基材12を構成する熱可塑性の溶融樹脂が射出機構44からホットランナー46を介して供給され、ゲート42から製品キャビティ40内に所定の射出圧力で射出されるようになっている。その場合に、製品キャビティ40内に前記表皮材14を配置し、ゲート42から溶融樹脂を射出して樹脂製基材12を一体成形しようとすると、そのゲート42の近傍で射出樹脂の熱や圧力、含浸等により表皮材14のクッション層18が局部的に潰れたり、表皮材14の表層20に設けられた起毛が局部的に倒れたりするゲートダメージを生じることがある。これを防止するために、上記射出成形機30の上型32には、ゲート42に対面する対面部位にスライド駒48が設けられ、そのスライド駒48が上型32とは独立に前記駆動装置33によって上下動させられるようになっており、図4に示すように樹脂製基材12が(c) の第1射出工程および(e) の第2射出工程の2回に分けて成形される。駆動装置33は、スライド駒48を含めて上型32を全体的に上下動させる駆動機構、およびスライド駒48のみを上下動させる駆動機構の2種類の駆動機構を備えている。
図4は、上記射出成形機30を用いて樹脂製基材12を表皮材14と一体成形する際の手順を説明する図で、(a) の表皮セット工程では、図示しない搬送ロボット等により表皮材14を下型34上に配置するとともに、上型32を下降させて型締めする。表皮材14は、たるみやシワなどが発生しないように、必要に応じて例えば下型34に設けられた図示しない押圧部材などで所定部位が第1成形面36に押圧されて位置決めされる。図4の(a) では、表皮材14が上型32の第1成形面36に密着させられているが、下型34の第2成形面38に接するように配置されても良い。
(b) の第1変位工程では、下型34に設けられたゲート42と、上型32のうちゲート42に対面する対面部位とを、本来の成形位置((a) に示す型締め状態の位置)よりも相対的に接近させる。具体的には、上型32に設けられたスライド駒48を第1成形面36から下方へ突出させ、ゲート42に接近させる。この接近距離は、次の(c) の第1射出工程で、ゲートダメージを抑制できるバリア層50を表皮材14に付着するように設けることが可能で、且つ、(e) の第2射出工程でバリア層50に邪魔されることなくゲート42から溶融樹脂を高能率で射出して樹脂製基材12を一体成形できるように適宜定められる。
(c) の第1射出工程では、ゲート42から溶融樹脂を射出し、表皮材14のうちスライド駒48によって支持されている部分に局部的に溶融樹脂を付着させて、樹脂製基材12の一部として用いられるバリア層50を形成する。このバリア層50は、(e) の第2射出工程に先立って溶融樹脂が硬化させられることにより、その第2射出工程で樹脂製基材12の残りの部分が一体成形される際に、ゲート42から射出される溶融樹脂によって表皮材14にゲートダメージが生じることを防止するためのものである。第1射出工程で射出される溶融樹脂、すなわちバリア層50を構成する溶融樹脂は、メルトフローレートが3〜5(g/10min)の範囲内で比較的小さく、必要以上に広がることなくゲート42の対面部分に局部的に、すなわちスライド駒48によって支持されている部分に局部的に、溶融樹脂を付着させてバリア層50を形成することができる。これにより、少ない溶融樹脂で確実にバリア層50を形成でき、(e) の第2射出工程の際のゲートダメージを適切に抑制することができる。第1射出工程ではまた、ゲート42から射出される溶融樹脂によって表皮材14がゲートダメージを生じることがないように、その射出圧力や溶融樹脂温度などが定められる。上記メルトフローレートは、JIS−K7210の規定に従って、温度230℃、荷重2.16kgで測定した値である。
(d) の第2変位工程では、下型34に設けられたゲート42と、上型32のうちゲート42に対面する対面部位とを、相対的に本来の成形位置へ戻す。具体的には、上型32に設けられたスライド駒48を、第1成形面36と一致する位置まで上昇させる。
(e) の第2射出工程では、再びゲート42から溶融樹脂を射出し、その射出圧力により表皮材14を第1成形面36に押圧して成形すると同時に、樹脂製基材12の前記バリア層50を除いた残りの部分を表皮材14と一体成形する。これにより、目的とする車両用内装部品10が得られる。この時の溶融樹脂は、メルトフローレートが30〜32(g/10min)の範囲内で(c) の第1射出工程時に比較して大きく、高能率で射出することにより高い生産効率で樹脂製基材12を射出成形することができる。また、バリア層50の存在で表皮材14のゲートダメージが抑制されることから、溶融樹脂の射出圧力や溶融樹脂温度などもゲートダメージを考慮することなく適宜定めることが可能で、例えば第1射出工程よりも高い射出圧力で溶融樹脂を射出することにより、樹脂製基材12を高い生産能率で射出成形できる。この時の溶融樹脂は、樹脂製基材12として要求される強度等の性能を満たすように、バリア層50とは関係無く適宜定めることができるが、本実施例ではバリア層50に対して強固に固着されるようにバリア層50と同系統の樹脂材料が用いられる。上記メルトフローレートも、第1射出工程の溶融樹脂と同様にJIS−K7210の規定に従って、温度230℃、荷重2.16kgで測定した値である。
このような本実施例の車両用内装部品10の製造方法によれば、先ず、下型34のゲート42と、上型32のうちそのゲート42に対面する対面部位に設けられたスライド駒48とを、本来の成形位置よりも相対的に接近させて、その状態でゲート42から溶融樹脂を射出することにより、表皮材14のうちスライド駒48によって支持されている部分に局部的に溶融樹脂を付着させてバリア層50を形成する(第1射出工程)。その後、上記ゲート42とスライド駒48とを相対的に本来の成形位置へ戻し(第2変位工程)、その状態で再びゲート42から溶融樹脂を射出することにより、表皮材14を成形すると同時に樹脂製基材12をその表皮材14と一体成形する(第2射出工程)。その場合に、表皮材14のうちゲート42に対面する部分には、第1射出工程で予め局部的に溶融樹脂が付着させられてバリア層50が形成されているため、その溶融樹脂の射出に起因する表皮材14のゲートダメージを抑制しつつ高い生産効率で樹脂製基材12を表皮材14と一体成形することができる。すなわち、第1射出工程では少量の溶融樹脂を射出するだけで良いため、ゲートダメージを抑制できる射出条件で射出する一方、第2射出工程ではゲートダメージを考慮することなく高能率で溶融樹脂を射出することにより、全体として高い生産効率を維持することができるのである。
また、スライド駒48をゲート42に接近させて溶融樹脂を射出することによりバリア層50を形成し、その後スライド駒48を本来の成形位置まで戻して再度溶融樹脂を射出することにより、ゲートダメージを抑制しつつ樹脂製基材12を表皮材14と一体成形できるため、目付量が大きい高価な積層不織布を表皮材14の裏面に裏打ちしてゲートダメージを防止したり、ゲートダメージで倒れた起毛を後工程で起こしたりする場合に比較して、製品全体のコストアップを抑制できる。
また、第1射出工程で射出する溶融樹脂のメルトフローレートが比較的小さいため、射出された溶融樹脂が必要以上に広がることなくゲート42の対面部分に局部的に、すなわち表皮材14のうちスライド駒48によって支持されている部分に局部的に、溶融樹脂を付着させてバリア層50を形成することができる。これにより、少ない溶融樹脂で確実にバリア層50を形成でき、第2射出工程の際のゲートダメージを適切に抑制することができる。また、第2射出工程で射出する溶融樹脂のメルトフローレートは比較的大きいため、高能率で射出することにより高い生産効率を維持することができる。
また、ゲート42に対面する上型32の対面部位にスライド駒48が設けられ、第1変位工程ではそのスライド駒48が第1成形面36から下方へ突出させられてゲート42に接近させられる一方、第2変位工程ではスライド駒48が第1成形面36と一致する位置まで上昇させられるため、例えば下型34のゲート42やホットランナー46が設けられた部分にスライド駒を設けて局部的に変位させる場合に比較して、成形型の設計変更等が簡単であり、コストアップが抑制される。
なお、上記実施例では上型32にスライド駒48が設けられ、ゲート42に対面する対面部位が局部的にゲート42に対して接近離間させられるようになっていたが、図5に示す射出成形機60の上型62、下型64のように、製品キャビティ40を形成する本来の成形位置(図示の状態)よりも上型62を更に下降可能に構成し、上記スライド駒48を設けることなく、上型62を全体的に本来の成形位置よりも下降させて前記バリア層50を形成するようにしても良い。すなわち、図6に示すように、(b) の第1変位工程で上型62を全体として下降させて下型64のゲート42に接近させ、その状態で(c) の第1射出工程を行い、ゲート42から溶融樹脂を射出してバリア層50を形成する。その後、(d) の第2変位工程で上型62を本来の成形位置まで上昇させ、その状態で(e) の第2射出工程を実施して樹脂製基材12を表皮材14と一体成形すれば、バリア層50により表皮材14のゲートダメージが抑制されて前記実施例と同様の作用効果が得られる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両用内装部品(樹脂成形品) 12:樹脂製基材 14:表皮材 30、60:射出成形機 32、62:上型(第1成形型) 34、64:下型(第2成形型) 36:第1成形面 38:第2成形面 42:ゲート 48:スライド駒(対面部位) 50:バリア層
Claims (3)
- 表面形状に対応する第1成形面を有する第1成形型と、裏面形状に対応する第2成形面を有する第2成形型との間に表皮材を配置し、該第2成形型に設けられたゲートから溶融樹脂を射出して、該表皮材を前記第1成形面に押圧して成形すると同時に樹脂製基材を該表皮材と一体成形する樹脂成形品の製造方法であって、
前記第1成形型と前記第2成形型との間に前記表皮材を配置する表皮セット工程と、
前記第2成形型に設けられた前記ゲートと、前記第1成形型のうち該ゲートに対面する対面部位とを、本来の成形位置よりも相対的に接近させる第1変位工程と、
前記ゲートから溶融樹脂を射出し、前記表皮材のうち前記対面部位によって支持されている部分に局部的に該溶融樹脂を付着させて、前記樹脂製基材の一部ととして用いられるバリア層を形成する第1射出工程と、
前記ゲートと前記対面部位とを相対的に前記本来の成形位置へ戻す第2変位工程と、
前記ゲートから溶融樹脂を射出し、前記表皮材を前記第1成形面に押圧して成形すると同時に前記樹脂製基材の前記バリア層を除いた残りの部分を該表皮材と一体成形する第2射出工程と、
を有することを特徴とする表皮材を有する樹脂成形品の製造方法。 - 前記第1射出工程で射出する溶融樹脂のメルトフローレートは、前記第2射出工程で射出する溶融樹脂のメルトフローレートよりも小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の表皮材を有する樹脂成形品の製造方法。 - 前記第1成形型の前記対面部位には、前記第2成形型の前記ゲートに対して接近離間可能なスライド駒が設けられており、
前記第1変位工程では前記スライド駒が前記第1成形面から突出させられる一方、前記第2変位工程では該スライド駒が該第1成形面と一致する位置まで戻される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の表皮材を有する樹脂成形品の製造方法。
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JP (1) | JP2014008646A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113226694A (zh) * | 2018-12-26 | 2021-08-06 | 株式会社电装 | 树脂部件以及其制造方法 |
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2012
- 2012-06-28 JP JP2012145793A patent/JP2014008646A/ja active Pending
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CN113226694A (zh) * | 2018-12-26 | 2021-08-06 | 株式会社电装 | 树脂部件以及其制造方法 |
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