JP2014005214A - アリールジクロロホスフィンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工業的に有利であり、短い工程で収率よくアリールジクロロホスフィンを得ることができる製造方法を提供すること。
【解決手段】 下記一般式(1)で表されるアリールジクロロホスフィンの製造方法であって、
下記一般式(2)で表されるアリール基含有リチウム化合物と、下記一般式(3)で表される金属塩化物との金属置換反応を行い、次いで、得られる金属置換されたアリール基含有金属化合物と三塩化リンとを反応させることを特徴とするアリールジクロロホスフィンの製造方法である。
【化1】
Figure 2014005214

(式中、Rはアリール基を示し、前記アリール基は置換基を有していてもよい。Mはマグネシウム又は亜鉛から選ばれる金属原子を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、アリールジクロロホスフィンの製造方法に関する。
アリールジクロロホスフィンはホスフィンリガンドの前駆体、難燃剤、或いは医薬品、農薬、化学品の原料等、その使用は多岐にわたる。アリールジクロロホスフィンの合成反応は古くから知られている。
特許文献1には、フェニルホスホン酸ジクロリド及びジフェニルクロロホスフィンとを300〜600℃で反応させてフェニルジクロロホスフィンを製造する方法が提案されているが、反応が高温であり、副生物も多く工業的に有利でない。
特許文献2には、ベンゼンと三塩化リンとを直接反応させるフェニルジクロロホスフィンの製造方法が提案されているが反応を550〜850℃以上の高温で行う必要があり、工業的に有利でない。置換芳香族化合物を使用した場合、副生物が多くなり、工業的には適用できない。
特許文献3には、ベンゼンと三塩化リンとの反応を触媒の存在下に100〜145℃で反応を行うフェニルジクロロホスフィンの製造方法が提案されているが、収率に問題がある。
他方、アリール基含有リチウム化合物と三塩化リンを直接反応させる方法も考えられるが、本発明者らによれば、この製造方法は、三塩化リンを大過剰に用いた場合でさえ、ジアリールクロロホスフィンの副生が顕著であり、アリールジクロロホスフィンを選択的に得るという当初の目的を達成できない。
さて、ひとくちにアリールジクロロホスフィンといっても、いろいろな種類のアリールジクロロホスフィンが考えられるが、その中でも、近年、触媒化学の進展により、アリール基が2,6−ジアルコキシフェニル基である化合物の需要が高まっている。さらに重要な点として、2,6−ジアルコキシフェニルジクロロホスフィンが、従来の製造技術では当該ジクロロホスフィンを収率よく得る有効な手段が見出されていなかった点がある。
2,6−ジアルコキシフェニルジクロロホスフィンの製造方法としては、非特許文献1に記載の製造方法が挙げられる。この製造方法は、2,6−ジメトキシフェニルジクロロホスフィンの製造方法であり、まず、クロロビス(ジイソプロピルアミノ)ホスフィンと2,6−ジメトキシフェニルリチウムを反応させ、ビス(ジイソプロピルアミノ)−2,6−ジメトキシフェニルホスフィンを得、ついで、無水塩化水素にてジイソプロピルアミノ基をクロロ基に変換することにより当該目的物を得る方法である。しかしながら、この種の製造方法は、腐食性の塩化水素を多量に使用するので、作業性が悪く、また、工程が長いため経済的に不利である。
ジアルコキシフェニルジクロロホスフィンの製造方法としては、非特許文献2に記載の製造方法が挙げられる。この製造方法は、1,3−ジメトキシベンゼンを塩化亜鉛の介在下に三塩化リンと反応させる製造方法であるが、この方法では、2,4−ジメトキシフェニルジクロロホスフィンという異性体が生成するため、2,6−ジメトキシジクロロホスフィンを製造するという本来の目的を達成できない。
特開昭61−18794号公報 特公昭44−3354号公報 米国特許第4737317号公報
J.O.C.47(1982)3595−6. PROGRESS IN INORGANIC CHEMISTRY Vol.5.(1963) p88.
よって、アリールジクロロホスフィンの製造方法として、短い工程で収率よく得る工業的に有利な製造方法が求められていた。
本発明の目的は、アリールジクロロホスフィンの製造方法として、短い工程で収率よく得る工業的に有利な製造方法を提供することにある。
本発明は、アリール基含有リチウム化合物と三塩化リンからアリールジクロロホスフィンを製造する方法において、三塩化リンとの反応を行う前に、先に金属塩化物を介在させて反応を行う。このことにより、上記の目的を達成したものである。
即ち、本発明が提供しようとする発明は、下記一般式(1)で表されるアリールジクロロホスフィンの製造方法であって、
下記一般式(2)で表されるアリール基含有リチウム化合物と、下記一般式(3)で表される金属塩化物との金属置換反応を行い、次いで、得られる金属置換されたアリール基含有金属化合物と三塩化リンとを反応させることを特徴とするアリールジクロロホスフィンの製造方法である。
Figure 2014005214
(式中、Rはアリール基を示し、前記アリール基は置換基を有していてもよい。Mはマグネシウム又は亜鉛から選ばれる金属原子を示す。)
本発明の製造方法により、アリールジクロロホスフィンを短い工程で収率よく、また工業的に有利に製造することができる。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。
前記一般式(1)で表される化合物について説明する。前記一般式(1)で表される化合物は本発明によって製造される化合物である。
前記一般式(1)の式中のRは、アリール基を示す。アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。無置換であっても一置換であっても多置換であってもよい。
置換基を有するアリール基としては、アリール基の少なくとも1個の水素原子がアルコキシ基、アルキル基、アリール基、ハロゲン基等の置換基で置換されたアリール基が挙げられる。これらの置換基のうち炭素原子を含むものは、該置換基の炭素原子数は1〜20が好ましい。ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
前記一般式(1)の式中のRが、特に、下記一般式
Figure 2014005214
(式中、R及びRはアルキル基もしくはアリール基を示す。)で表される2,6−ジアルコキシフェニル基である場合が重要なのは前述の背景技術で述べたとおりである。前記一般式(4)の式中のR及びRは、アルキル基もしくはアリール基を示す。RとRは同一のものであっても異なるものであっても良い。
R、R及びRのアルキル基としては、直鎖状であっても分岐状であっても環状であってもよい。直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えば炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状アルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、5−メチルペンチル基等が挙げられる。環状アルキル基としては、例えば炭素数3〜16のシクロアルキル基が挙げられ、具体的にはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−メチルシクロペンチル基、3−メチルシクロペンチル基、シクロヘプチル基、2−メチルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基が挙げられる。環状アルキル基には多環アルキル基も含まれ、多環アルキル基としては、メンチル基、ボルニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。これらのうち、好ましいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基が好ましく、特にR及びRはメチル基が好ましい。
R、R及びRのアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。無置換であっても一置換であっても多置換であってもよい。
置換基を有するアリール基としては、アリール基の少なくとも1個の水素原子がアルコキシ基、アルキル基、アリール基、ハロゲン基等の置換基で置換されたアリール基が挙げられる。これらの置換基のうち炭素原子を含むものは、該置換基の炭素原子数は1〜20が好ましい。ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
本発明に係る製造工程を、便宜上第一工程と第二工程に区分して説明する。
本発明に係る第一工程は、前記一般式(2)で表されるアリール基含有リチウム化合物を前記一般式(3)で表される金属塩化物で処理して、下記反応式(1)
Figure 2014005214
(式中、R及びMは前記と同義。)
で示すようにリチウム原子とM原子との金属交換反応を行って対応するアリール基含有マグネシウム−塩化物或いはアリール基含有亜鉛−塩化物等すなわち一般式(5)
Figure 2014005214
(式中、R及びMは前記と同義。)で表されるアリール基含有金属化合物を得る工程である。
原料のアリール基含有リチウム化合物は公知の方法で製造することができ、例えば、芳香族化合物(アレーン)に、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等のリチオ化剤を作用させて脱プロトン化する方法、アリール臭化物にn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等のリチオ化剤を作用させてハロゲン−金属交換する方法等が挙げられる。このときの反応条件(溶媒、仕込比、温度等)は、反応形態や態様によって異なり、最適な反応条件を適宜設定することが望ましい。
原料の金属塩化物は、前記一般式(3)で表される。前記一般式(3)の式中のMはマグネシウム又は亜鉛から選ばれる金属原子である。
第一工程に係る反応は、前記一般式(1)で表されるアリール基含有リチウム化合物を溶媒にて溶解または懸濁させた混合物に、前記一般式(3)で表される金属塩化物を添加することにより行うことができる。
第一工程に係る反応で使用する溶媒は、反応混合物を円滑に撹拌させることができ、反応原料及び生成物に対して不活性な溶媒であれば特に制限なく用いることができる。本製造方法では、第一工程及び後述する第二工程を連続反応で行うことができるので、特に次工程で用いる三塩化リンと顕著に反応しない溶媒を用いることが好ましい。このような溶媒としては、例えば、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等の無極性溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等の塩素含有溶媒、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類が挙げられ、好ましくは、有機金属を溶解し、反応を促進する観点からTHFが挙げられる。
上記一般式(3)で表される金属塩化物の添加方法は、作業性に応じて分割添加、一斉添加、定量ポンプによる一定速度での添加のいずれでもよい。
添加時の温度は、特に限定はないが、通常−80〜65℃であり、好ましくは反応が促進され且つ副反応が抑制される−20〜30℃である。上記一般式(3)で表される金属塩化物の添加量は、上記一般式(2)で表されるアリール基含有リチウム化合物に対して0.4〜2当量であり、好ましくは0.5〜1当量である。
上記一般式(3)で表される金属塩化物を添加したのち、金属交換反応を促進するため、撹拌下に熟成を行なう。熟成時の温度としては、特に限定はないが、通常−80〜65℃であり、好ましくは反応が促進され且つ副反応が抑制される−20〜30℃である。熟成時間は5分〜24時間であり、最適の熟成時間は反応形態や態様によって異なり、分析等によって最適の熟成時間を適宜設定することが望ましい。
第一工程終了後の反応液には、原料の上記一般式(2)で表されるアリール基含有リチウム化合物に対応したリチウム原子とM原子が金属交換されたアリール基含有マグネシウム一塩化物もしくはアリール基含有亜鉛一塩化物等のアリール基含有金属化合物が含有されている。この反応液は、通常は沈殿部と上澄み部に分かれる。アリール基含有金属化合物は、通常は上澄み部にその大半が存在する。
本発明では、第一工程終了後の反応液は、そのまま第二工程で用いてもよく、また、所望により溶媒を除去してアリール基含有金属化合物を単離してもよい。
第二工程は、第一工程で得られたアリール基含有金属化合物(化合物(5))と、三塩化リンとの反応を溶媒中で、下記反応式(2)
Figure 2014005214
(式中、R及びMは前記と同義。)
で示すように行って目的とする前記一般式(1)で表されるアリールジクロロホスフィンを得る工程である。
第一工程終了後のアリール基含有金属化合物を含有する反応液は、そのまま後述するA液としてそのまま用いることができるが、上澄み部だけを分取してそれをA液として用いてもよい。また、第一工程終了後に得られるアリール基含有金属化合物を単離した場合は、再度溶媒を添加してA液として用いることが望ましい。
三塩化リンは、無溶媒でも使用することができるが、反応を円滑に行うため、好ましくは溶媒を添加して後述するB液として用いることが望ましい。
アリール基含有金属化合物及び三塩化リンに添加する溶媒としては、三塩化リンと顕著に反応しないことを必須条件とする他は特に限定はなく、例えば、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等の無極性溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等の塩素含有溶媒、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類が挙げられ、好ましくは、有機金属を溶解し、反応を促進する観点からTHFが挙げられる。
A液及びB液の濃度は、反応の際の反応混合物の流動性及び溶媒の反応に与える効果を考慮して、適宜設定することが望ましい。
第二工程に係る反応操作は、アリール基含有金属化合物を含有する溶液をA液とし、三塩化リンを含有する溶液をB液として各溶液を調製する。
A液とB液の添加混合は、好ましくはA液をB液中に添加するが、作業性を考慮してB液をA液中に添加することもできる。なお、第一工程終了後の反応液をA液として用いる場合は、反応液は上澄み部と沈殿部に分かれている。通常は成分の大半を含む上澄み部のみを使用するが、沈殿部が混ざっても特に問題はない。A液及びB液の添加の方法は、作業性に応じて分割添加、一斉添加、同時添加、定量ポンプによる一定速度での添加のいずれでもよい。
三塩化リンの仕込比は、第一工程の上記一般式(2)で表されるアリール基含有リチウム化合物を基準にして、該アリール基含有リチウム化合物に対して三塩化リンを好ましくは0.5〜10当量、好ましくは0.8〜1.5当量である。
A液及びB液の添加温度としては、特に限定はないが、通常−80〜65℃であり、好ましくは反応が促進され且つ副反応が抑制される−20〜30℃である。
A液及びB液の添加終了後、反応を促進するため、攪拌下に熟成を行なう。熟成時の温度としては、特に限定はないが、通常−80〜65℃であり、好ましくは反応が促進され且つ副反応が抑制される−20〜30℃である。熟成時間は5分〜24時間であり、最適の熟成時間は反応形態や態様によって異なり、分析等によって最適の熟成時間を適宜設定することが望ましい。
反応後、溶媒を除き、次いで、必要に応じて精製操作を行なう。この際行なわれる精製の方法としては、特に限定はないが、抽出、分液洗浄、晶析、蒸留、昇華、カラムクロマトグラフィー等が挙げられ、これらは適宜組み合わせて行うことができる。また、本製造方法において、精製手段として好ましくは工業的に有利な晶析である。
なお、目的とする前記一般式(1)で表されるアリールジクロロホスフィンとしては、特に好ましいものとして次のような化合物((1a)〜(1e))が挙げられるが、あくまで例示であって、本発明の適用範囲はこれらに限定されない。
Figure 2014005214
本製造方法で得られるアリールジクロロホスフィンは、例えばホスフィンリガンドの前駆体、難燃剤等、或いは医薬、農薬、化学品の製造原料等として好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、あくまで例示であって、本発明の適用範囲はこれらに限定されない。
すべての合成操作は、よく乾燥させたガラス容器を使って行なった。反応は窒素雰囲気下で行なった。原料試薬及び溶媒は、一般の試薬を使用した。
NMRスペクトル測定は、JEOL製(H;300MHz、13C;75.4MHz、31P;121.4MHz)NMR装置で行なった。内部標準としてテトラメチルシラン(H)を使用した。
〔実施例1〕
(2,6−ジメトキシフェニルジクロロホスフィンの合成)
<第一工程>;
Figure 2014005214
200mL四つ口フラスコに機械撹拌棒、温度計、仕込み口、排気口を設置した。1,3−ジメトキシベンゼン7.60g(55.0mmol)、THF60mLを入れ、内温0℃とした。
内温を0〜5℃に保持し、1.59mol/L n−ブチルリチウム−ヘキサン溶液31.5mL(50.1mmol)を15分かけて滴下した。0〜5℃で17分撹拌熟成後、20℃まで加温し、20〜25℃で20分撹拌熟成した。
内温0℃とし、塩化マグネシウム4.78g(50.2mmol)を添加した。氷水浴を上げ、室温としたが、ここで発熱が観察され、29℃まで発熱した。20℃程度で1時間撹拌熟成した。液はわずかににごった上澄みと未反応の塩化マグネシウム沈殿が観察された。上澄みをA液とした。
なお、塩化マグネシウムはSigma−Aldrich社−325mesh品を使用し、三塩化リンは使用直前に蒸留精製した新鮮なものを使用した。
<第二工程>;
Figure 2014005214
300mL四つ口フラスコにマグネチック撹拌子、温度計、仕込み口、排気口を設置した。THF 50mL、三塩化リン8.21g(59.8mmol)入れ、−15℃に冷却した。ここに先ほどのA液(約300mL)を滴下漏斗にとり、−13〜−17℃で32分で滴下した。滴下中、明瞭な発熱がみられた。−15℃で9分撹拌熟成後、27分かけて0℃まで加温した。
室温に戻し、室温で1時間40分撹拌熟成した。反応液を300mLナスフラスコに移し、一晩静置した。
静置後の反応液を31P−NMRで分析したところ、ピーク面積比から求めた生成比はPCl:ArPCl:ArPCl=39:100:0であり、アリール基含有リチウム化合物基準の2,6−ジメトキシフェニルジクロロホスフィンの反応収率(転換率)は、86%であった。
反応液をロータリーエバポレータにて減圧濃縮し、濃縮物にトルエン50mL、ヘプタン50mLを入れ、塩を析出させた。スターラで30分ほど室温撹拌し、塩をろ過により除去した。更に、ヘプタンにより晶析し、溶媒を減圧下に除去して2,6−ジメトキシフェニルジクロロホスフィンを白色粉末として得た。
(2,6−ジメトキシフェニルジクロロホスフィンの同定データ)
H−NMR(CDCl);3.90(s 6H),6.57(dd 2H, 3.2Hz, 8.6Hz),7.42(t 1H, 8.6Hz).
13C−NMR(CDCl);56.2,104,4,114.8(d 72Hz),135.6,162.9(d 15.6H).
31P−NMR(CDCl);156.9(s).
GC−MS (EI);M=238,240,242.(CClP=238,240,242).
31P−NMR測定により、収穫物が実質的に純品(ほぼ純度100%)であることを確認した。
〔実施例2〕
(2,6−ジメトキシフェニルジクロロホスフィンの合成)
塩化マグネシウムの代わりに塩化亜鉛(関東化学(株)製)を使用した以外は実施例1と同様にして反応を行い2,6−ジメトキシフェニルジクロロホスフィンを得た。
静置後の反応液を31P−NMRで分析したところ、ピーク面積比から求めた生成比はPCl:ArPCl:ArPCl=52:100:0であり、アリール基含有リチウム化合物基準の2,6−ジメトキシフェニルジクロロホスフィンの反応収率(転換率)は、79%であった。
選択性は塩化マグネシウムを使用したときと同様に非常に良好であった。
〔比較例1〕
(2,6−ジメトキシフェニルジクロロホスフィンの合成)
塩化マグネシウム、塩化亜鉛のいずれも使用せず、三塩化リンの仕込量をアリール基含有リチウム化合物に対して3.75当量とし、混合時の温度を−35℃とした以外は実施例1と同様にして製造を行なった。
静置後の反応液を31P−NMRで分析したところ、生成比はArPCl:ArPCl=73:27であり、所望でないビス(2,6−ジメトキシフェニル)クロロホスフィンが大量に副生する結果となった。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表されるアリールジクロロホスフィンの製造方法であって、下記一般式(2)で表されるアリール基含有リチウム化合物と、下記一般式(3)で表される金属塩化物との金属置換反応を行い、次いで、得られる金属置換されたアリール基含有金属化合物と三塩化リンとを反応させることを特徴とするアリールジクロロホスフィンの製造方法
    Figure 2014005214
    (式中、Rはアリール基を示し、前記アリール基は置換基を有していてもよい。Mはマグネシウム又は亜鉛から選ばれる金属原子を示す。)
  2. 前記一般式(1)のRが、下記一般式(4)
    Figure 2014005214
    (式中、R及びRはアルキル基もしくはアリール基を示し、前記アリール基は置換基を有していてもよい。)で表される2,6−ジアルコキシフェニル基である請求項1記載のアリールジクロロホスフィンの製造方法。
  3. 前記一般式(4)の式中のR及びRがいずれもメチル基である請求項2記載のアリールジクロロホスフィンの製造方法。
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