JP2014004653A - ロボット及びロボット制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】関節の柔軟性を損なわずに、リンクの高精度な位置決めを可能とする。
【解決手段】張力最低値計算部181が、各紐状部材の固有振動数をfmin、位置制御部の制御帯域をf、位置制御部のナイキスト周波数をfとしたとき、f>fmin>fを満たす固有振動数fminを求める。そして、張力最低値計算部181が、第1及び第2紐状部材の長さをL、第1及び第2紐状部材の線密度をμ、第1及び第2紐状部材の張力最低値をTminとしたとき、Tmin=4×L×μ×fmin の関係式から張力最低値Tminを算出する。張力補償量演算部173が、第1及び第2紐状部材のうち張力が小さい方の紐状部材の張力が張力最低値Tminとなるように、張力最低値Tmin、関節角度θ及びトルク指令値τrefを用いて、第1及び第2アクチュエータの収縮力指令値を算出する。
【選択図】図6

Description

本発明は、駆動力の伝達機構にワイヤやベルト等の紐状部材を用いるロボット及びロボット制御方法に関する。
近年、人間と共同作業を行うことが可能なロボットの実現が望まれている。このようなロボットに用いられるマニピュレータには、従来のマニピュレータと同様に高精度な位置決めが可能であるだけでなく、人間と衝突した際に柔軟であることが求められる。
柔軟なマニピュレータを実現する方法として、可変剛性機構を備えるアクチュエータを用いて関節の剛性を制御する方法が知られている。また、ワイヤやベルトを用いて関節に駆動力を伝達することでアクチュエータを基台に設置し、可動部の質量を低減する方法が知られている。したがって、可変剛性アクチュエータとワイヤ駆動機構を併用すれば、非常に柔軟性の高いマニュピレータを実現できる。
従来、ワイヤを用いて駆動力を伝達する経路に、張力に比例して弾性係数が変化する非線形ばね要素を挿入することで、可変剛性機構を実現するものが提案されている(非特許文献1参照)。そして、遺伝的アルゴリズムを用いた学習によって、手先の軌道追従制御と関節剛性の制御を同時に実現するためのワイヤ張力目標値を演算している。
また、可変剛性機構として伸縮量に比例して弾性係数が非線形に変化するワイヤを用いているロボットが提案されている(特許文献1参照)。そして、フィードバック制御器を用いて関節角度を目標軌道へ追従させている。しかし、フィードバック制御では、ワイヤの伸縮方向と垂直な振動(以下、「弦振動」と呼ぶ)か、ワイヤの弾性による関節周りの振動の固有振動数が制御帯域以下になると、制御器がワイヤの振動を励起し、制御系が不安定となってしまう。そのため、特許文献1では、制御系を安定化させるために、ワイヤの張力が低下し、ワイヤの固有振動数が低下した場合は、フィードバック制御器の制御帯域を低下させている。また、特許文献1では、剛性の制御を行っていないため、関節剛性が位置フィードバックのための制御入力によって決まってしまう。
特開2006−35325号公報
朴、他1名、「腱駆動ロボットの作業に適した関節剛性のGAによる学習」、日本ロボット学会誌、2006年5月15日、Vol.24、No.4、p.482−488
しかしながら、非特許文献1では、所望の関節剛性を実現するためのワイヤの張力を学習によって演算している。そのため、関節剛性の目標値を変更するためには再度繰り返し計算を行う必要があり、目標値を容易に変更することができない。また、フィードフォワード制御器のみを用いて目標軌道への追従制御を行っているため、モデル誤差やリンクへの外乱により位置決め精度が大きく低下してしまう。
一方、特許文献1では、ワイヤの張力の低下により制御帯域が低下すると、位置決め精度が劣化してしまう。従って、これらの技術では、高精度な位置決め制御を実現することは難しい。さらに、特許文献1は関節剛性を制御していないため、位置決め制御を行う際に大きな張力指令値が出力されるとワイヤの弾性係数が増加し、関節の柔軟性が失われてしまう。
そこで、本発明は、関節の柔軟性が損なわれずにリンクの高精度な位置決めが可能となるロボット及びロボット制御方法を提供することを目的とするものである。
本発明のロボットは、関節で旋回するリンクと、前記リンクに接続され、互いに拮抗して配置された第1紐状部材及び第2紐状部材と、前記第1紐状部材を進退させる駆動力を発生する第1アクチュエータ、及び前記第2紐状部材を進退させる駆動力を発生する第2アクチュエータを有し、駆動力の差で前記関節まわりにトルクを発生し、駆動力の和で前記関節に剛性を与える駆動部と、前記第1及び第2アクチュエータに発生させる駆動力を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、外部から入力を受けた目標関節角度に対する関節角度の角度偏差に基づいて、前記関節まわりのトルク指令値を算出する位置制御部と、前記各紐状部材の固有振動数をfmin、前記位置制御部の制御帯域をf、前記位置制御部のナイキスト周波数をfとしたとき、f>fmin>fを満たす前記固有振動数を求め、前記第1及び第2紐状部材の長さをL、前記第1及び第2紐状部材の線密度をμ、前記第1及び第2紐状部材の張力最低値をTminとしたとき、Tmin=4×L×μ×fmin の関係式から前記張力最低値を算出する張力最低値計算部と、前記第1及び第2紐状部材のうち張力が小さい方の紐状部材の張力が前記張力最低値となるように、前記張力最低値、前記関節角度及び前記トルク指令値を用いて、前記第1及び第2アクチュエータの駆動力指令値を算出する駆動力指令値計算部と、前記駆動力指令値計算部により求めた駆動力指令値に対応する駆動力を、前記第1及び第2アクチュエータに発生させる駆動制御部と、を有することを特徴とする。
また、本発明のロボット制御方法は、関節で旋回するリンクと、前記リンクに接続され、互いに拮抗して配置された第1紐状部材及び第2紐状部材と、前記第1紐状部材を進退させる駆動力を発生する第1アクチュエータ、及び前記第2紐状部材を進退させる駆動力を発生する第2アクチュエータを有し、駆動力の差で前記関節まわりにトルクを発生し、駆動力の和で前記関節に剛性を与える駆動部と、を備えたロボット本体を、制御装置により制御するロボット制御方法において、前記制御装置の位置制御部が、外部から入力を受けた目標関節角度に対する関節角度の角度偏差に基づいて、前記リンクの前記関節まわりのトルク指令値を算出する位置制御工程と、前記制御装置の張力最低値計算部が、前記各紐状部材の固有振動数をfmin、前記位置制御部の制御帯域をf、前記位置制御部のナイキスト周波数をfとしたとき、f>fmin>fを満たす前記固有振動数を求め、前記第1及び第2紐状部材の長さをL、前記第1及び第2紐状部材の線密度をμ、前記第1及び第2紐状部材の張力最低値をTminとしたとき、Tmin=4×L×μ×fmin の関係式から前記張力最低値を算出する張力最低値計算工程と、前記制御装置の駆動力指令値計算部が、前記第1及び第2紐状部材のうち張力が小さい方の紐状部材の張力が前記張力最低値となるように、前記張力最低値、前記関節角度及び前記トルク指令値を用いて、前記第1及び第2アクチュエータの駆動力指令値を算出する駆動力指令値計算工程と、前記制御装置の駆動制御部が、前記駆動力指令値計算工程にて求められた駆動力指令値に対応する駆動力を、前記第1及び第2アクチュエータに発生させる駆動制御工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、各紐状部材の固有振動数が位置制御部の制御帯域を超えるように各紐状部材の張力を制御するので、広い制御帯域の位置制御部を用いた場合においても制御系が安定し、リンクの高精度な位置決め制御を行うことが可能となる。また、位置制御部の制御帯域に基づいて制御系の安定化に必要な最低限の張力に制御するため、関節の剛性が過度に増加することがなく、関節の柔軟性が損なわれることがない。
人工筋肉アクチュエータの粘弾性モデルの模式図である。 本発明の第1実施形態に係るロボットの概略構成を示す説明図である。 本発明の第1実施形態に係るロボット本体を示す模式図である。 本発明の第1実施形態に係るロボットの制御装置を示すブロック線図である。 人工筋肉アクチュエータの収縮力とワイヤの張力との関係を示す図である。 本発明の第1実施形態の張力制御部を示すブロック線図である。 本発明の第1実施形態に係るロボットの制御装置によるロボット制御方法を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態の張力補償量演算部における演算処理を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態におけるシミュレーション結果を示す図である。 本発明の第1実施形態におけるシミュレーション結果を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るロボットの制御装置を示すブロック線図である。 本発明の第2実施形態の収縮力切り替え部における演算処理を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態におけるシミュレーション結果を示す図である。 本発明の第2実施形態におけるシミュレーション結果を示す図である。 本発明の第2実施形態におけるシミュレーション結果を示す図である。 3対6筋構造を備える2リンクアームモデルを示す図である。 本発明の第3実施形態に係るロボットの概略構成を示す説明図である。 本発明の第3実施形態に係るロボットの制御装置を示すブロック線図である。 本発明の第3実施形態におけるシミュレーション結果を示す図である。 本発明の第3実施形態におけるシミュレーション結果を示す図である。 本発明の第3実施形態におけるシミュレーション結果を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
本第1実施形態では、可変剛性機構に人工筋肉アクチュエータを、駆動力の伝達機構にワイヤを用いる1リンクマニピュレータの高精度な位置決めを行う。位置決め精度を向上させるためには広制御帯域なフィードバック制御部を用いる必要があるため、位置制御に加えて、ワイヤの張力を一定値以上に保つための張力制御を行う。
(1.1モデル導出)
本第1実施形態では、可変剛性機構として人工筋肉アクチュエータを用いるマニピュレータの制御を行う。人工筋肉アクチュエータとは、筋の粘弾性と類似する特性を有するアクチュエータであり、図1に示すように、力発生要素20、弾性要素21、粘性要素22を用いてモデル化される。力発生要素20の収縮力をu、収縮方向を正とする筋の収縮量をx、収縮速度を、
Figure 2014004653
とする。また、弾性力定数をk、粘性力定数をcとし、筋収縮力をFとする。このとき、筋の粘弾性特性は、
Figure 2014004653
と表わされる。式(1)に示すように、人工筋肉アクチュエータは、弾性力と粘性力とが力発生要素の収縮力uに比例する非線形性を有する。
図2は、本発明の第1実施形態に係るロボットの概略構成を示す説明図である。図2に示すロボット100は、1リンクマニピュレータであるロボット本体120と、ロボット本体120を制御する制御装置150とを備えている。
ロボット本体120は、基部であるベース部材103及びベース部材103から延びるリンク104と、リンク104の先端を関節107として、関節107に回動可能に連結されたプーリ105とを備えている。また、ロボット本体120は、プーリ105に固定され、関節107で旋回可能にリンク104にプーリ105を介して連結されたリンク106を備えている。
また、ロボット本体120は、一端がベース部材103に固定された第1アクチュエータであるアクチュエータ101を備えている。また、ロボット本体120は、一端がアクチュエータ101の他端に接続され、他端がプーリ105を介してリンク106に接続された第1紐状部材であるワイヤ111を備えている。
また、ロボット本体120は、一端がベース部材103に固定された第2アクチュエータであるアクチュエータ102を備えている。また、ロボット本体120は、一端がアクチュエータ102の他端に接続され、他端がプーリ105を介してリンク106に接続された第2紐状部材であるワイヤ112を備えている。なお、ワイヤ111とワイヤ112とは、別体に構成したが、1つのワイヤで一体に構成してもよい。
これらアクチュエータ101,102により、駆動部108が構成されている。アクチュエータ101,102は、図1に示す空気圧式の人工筋肉アクチュエータである。人工筋肉アクチュエータは収縮方向にのみ力を発生するため、関節107を任意の角度に位置決めするために、アクチュエータ101及びワイヤ111と、アクチュエータ102及びワイヤ112とは、図2に示すように拮抗して配置されている。つまり、各アクチュエータ101,102は、人工筋肉からなる一関節筋アクチュエータであり、収縮することにより、駆動力である収縮力が発生する。制御装置150は、これらアクチュエータ101,102に発生する駆動力である収縮力を制御するものである。
第1人工筋肉アクチュエータであるアクチュエータ101は、収縮によりワイヤ111を進退させ、リンク106を関節107まわりに第1旋回方向R(図2中、反時計回り方向)に旋回させる。第2人工筋肉アクチュエータであるアクチュエータ102は、収縮によりワイヤ112を進退させ、リンク106を関節107まわりに第1旋回方向Rに対して反対の第2旋回方向R(図2中、時計回り方向)に旋回させる。制御装置150は、各アクチュエータ101,102の駆動力指令値である収縮力指令値u,uを演算により求めて、各収縮力指令値u,uに応じて各アクチュエータ101,102を収縮させる。
アクチュエータ101,102(弾性要素)の収縮量xは、モーメントアーム径rと関節角度θを用いて、
Figure 2014004653
と表わせる。このとき、ワイヤ111,112の張力T,Tは、関節角速度ω、アクチュエータ101,102の収縮力指令値u,uを用いて、
Figure 2014004653
と表せる。なお、ワイヤ111,112は収縮方向にのみ力を伝達できるため、張力T,Tは正数となる。リンク106の慣性モーメントをJ、関節角加速度をαとし、式(3)及び式(4)を用いてリンク106の運動方程式を導出すると、
Figure 2014004653
となる。式(5)より、右辺第1項における収縮力の差が関節107まわりの回転トルクを与え、右辺第2項と第三項における収縮力の和が関節107まわりの剛性および粘性を与えることがわかる。
つまり、本第1実施形態では、アクチュエータ101,102からなる駆動部108は、アクチュエータ101,102の駆動力の差で関節107まわりにトルクを発生し、アクチュエータ101,102の駆動力の和で関節107に剛性を与える。
次にワイヤ111,112のモデルを、次の仮定の下で導出する。
仮定(1) ワイヤ111,112を、1つの質点と、質点に接続した2つのバネで近似する。質点は、ワイヤ111,112の伸縮方向と伸縮方向に垂直な方向の並進2自由度を備える。
仮定(2) 弦振動の減衰を、ワイヤ111,112の質点に働くダンパで近似する。
仮定(3) 張力によるワイヤ長の変化を考慮しない。
仮定(4) ワイヤ111,112の伸縮方向の固有振動数は弦振動の固有振動数に比べて十分に大きい。
仮定(5) ワイヤ111,112とプーリ105との間に働く摩擦を考慮しない。
仮定(1)〜仮定(5)を用いて導出したワイヤ駆動1リンクマニピュレータのモデルを図3に示す。図3において、k,c,mはそれぞれ、ワイヤ111,112の伸縮方向の剛性、弦振動の減衰率、ワイヤ111,112の質量を表す。仮定(3)及び仮定(4)より、ワイヤ111,112の剛性kは筋の弾性に比べて十分大きな値を用いる。
(1.2制御系設計)
図4は、本発明の第1実施形態に係るロボットの制御装置を示すブロック線図である。制御装置150は、減算部151と、位置制御部152と、張力制御部153と、駆動制御部154と、を有している。
減算部151は、上位コントローラ等の外部機器から入力を受けた目標関節角度θrefから関節角度θを減算することで、角度偏差Δθを算出する。位置制御部152は、角度偏差Δθを低減するように、関節107まわりのトルク指令値τrefを算出する。張力制御部153は、ワイヤ111,112の張力が予め設計された張力最低値Tmin以上になるという条件で、トルク指令値τrefから収縮力指令値u,uを演算し、駆動制御部154に出力する。
駆動制御部154は、各収縮力指令値u,uに応じた収縮力で各アクチュエータ101,102を収縮させる。また、制御対象は、式(5)でモデル化される1リンクアームにおけるロボット本体120である。
本節では、まず、張力最低値Tminの設計方法を示し、次に、収縮力指令値u,uの導出方法を示す。張力最低値Tminは、制御系を安定化するために必要な弦振動の固有振動数fminにより導出される。そこで、まず、位置制御部152の制御帯域fに基づいて固有振動数fminを導出する方法を示す。
(1.2.1制御帯域の導出方法)
本第1実施形態では制御帯域fを、マニピュレータであるロボット本体120の伝達関数P(s)と位置制御部152の伝達関数K(s)を乗算した一巡伝達関数P(s)K(s)を用いて導出する。ここで、伝達関数P(s)はトルク指令値τrefから関節角度θまでの伝達関数であり、トルク指令値τrefは、
Figure 2014004653
と表される。また、収縮力指令値u,uの和が関節107の剛性となるので、これをUと定義すると、
Figure 2014004653
と表される。式(5)より、伝達関数P(s)は、ラプラス演算子sを用いて、
Figure 2014004653
となる。
本第1実施形態では、位置制御部152としてPID制御器を用いている。このため、位置制御部152の伝達関数K(s)は、微分ゲインK、比例ゲインK、積分ゲインK、時定数Tを用いて、
Figure 2014004653
と表せる。式(8)及び式(9)より、位置制御系の一巡伝達関数P(s)K(s)は、
Figure 2014004653
となる。本第1実施形態では、筋の弾性によって生じるリンク106の固有振動数に比べて制御帯域が高くなるように位置制御部152を設計する。そこで、式(10)において、ラプラス演算子sに関する一次の項のみを考慮すると、
Figure 2014004653
となる。式(11)より、一巡伝達関数P’(s)K’(s)の零クロス周波数、すなわち制御帯域fは、
Figure 2014004653
となる。
(1.2.2 最低張力値の導出方法)
本項では、位置制御部152の制御帯域fに基づいて、位置制御部152を安定化するためのワイヤ111,112の弦振動の固有振動数fminを導出する。次に、ワイヤ111,112の弦振動の固有振動数が振動数fminとなるときのワイヤ111,112の張力を張力最低値Tminとして導出する。
固有振動数fminが制御帯域fよりも低い場合、位置制御部152が弦振動を励起してしまい、制御系が不安定となってしまう。一方、制御帯域fを位置制御部152のナイキスト周波数f以上とすることはできない。これらのことから、固有振動数fminは、
Figure 2014004653
を満たす必要がある。そのため、式(13)より固有振動数fminは、制御帯域fと、以下の条件、
Figure 2014004653
を満たす増幅率aを用いて、
Figure 2014004653
と表せる。制御系が安定となる最小の固有振動数は弦振動の減衰率cに依存するが、減衰率cから固有振動数fminを解析的に求めることは難しい。そこで、本第1実施形態では増幅率aを1から徐々に増加させながら制御系の安定性を調べ、増幅率aを導出する。
次に、張力最低値Tminを演算する。弦振動の1次の固有振動数fは弦の長さL、線密度μ、張力Tを用いて、
Figure 2014004653
と表される。そこで、式(16)を変形し、
Figure 2014004653
とする。これを用いて固有振動数fminからワイヤ111,112の張力最低値Tminを演算する。
(1.2.3収縮力の導出方法)
本第1実施形態では、式(3)及び式(4)に示すワイヤ張力T,Tの一方を張力最低値Tminと一致させ、かつ、式(6)を満たすように収縮力指令値u,uを演算する。なお、本第1実施形態では、簡単のため、人工筋肉アクチュエータの粘性要素を考慮せず、力発生要素と弾性要素のみを考慮して収縮力指令値u,uを導出する。
まず、ワイヤの張力T,Tの大小を判別する。式(3)及び式(4)より張力T,Tは、
Figure 2014004653
と表せる。ここで、1.1節で述べたように、人工筋肉アクチュエータ101,102は収縮力のみを発生し、ワイヤ111,112は収縮方向の力のみを伝達できる。式(18)及び式(19)より、張力T,Tと収縮力指令値u,uが正数となるためには、関節角度θが
Figure 2014004653
を満たす必要がある。そこで、本第1実施形態では、関節角度θが式(20)を満たすと仮定して収縮力指令値u,uを導出する。収縮力指令値u,uが式(6)を満たす場合、張力Tは収縮力指令値uを用いて、
Figure 2014004653
と表わせる。張力T,Tが式(18)と式(21)の2つの式で表される。式(18)と式(21)には3つの未知数、即ち関節角度θ、トルク指令値τref、収縮力指令値uが含まれるため、このままでは収縮力指令値uを一意に決めることができない。
そこで、本第1実施形態では、ワイヤ111,112のうち、張力T,Tの小さい方のワイヤの張力を張力最低値Tminとして、収縮力指令値uを導出する。まず、トルク指令値τrefを正負のどちらか一方に固定する。次に、関節角度θが正の場合、負の場合、それぞれについて、収縮力指令値uと張力T,Tの関係を表すグラフを描画する。そして、グラフ用いて張力T,Tの大小を判別する。
(i) トルク指令値τrefが正の場合
収縮力指令値uと張力T,Tの関係を、関節角度θが正の場合と負の場合において、それぞれ、図5(a)と図5(b)に示す。図5において、実線は収縮力指令値uと張力Tの関係を、破線は収縮力指令値uと張力Tの関係をそれぞれ表す。図5(a)と式(18)及び式(21)より、関節角度θが正の場合、張力Tを表す直線の傾きが張力Tを表す直線の傾きに比べて小さくなることがわかる。さらに、式(20)及び式(21)より、張力Tを表す直線とX軸との切片は正となることがわかる。これより、張力Tと張力Tが等しくなる収縮力指令値uが存在し、uは式(18)と式(21)より、
Figure 2014004653
と表わせる。収縮力指令値uが式(22)で与えられる場合、ワイヤ張力Tは式(18)より、
Figure 2014004653
となる。従って、張力最低値Tminが、
Figure 2014004653
を満たす場合、図5(a)より、張力Tが張力Tより小さくなるため、
Figure 2014004653
とすればよい。張力最低値Tminが、
Figure 2014004653
を満たす場合には、張力Tが張力Tより小さくなるため、
Figure 2014004653
とすればよい。
一方、関節角度θが負の場合、図5(b)と式(18)及び式(21)より、張力Tを表す直線の傾きは張力Tを表す直線の傾きに比べて小さくなることがわかる。さらに、式(20)及び式(21)より張力Tを表す直線とX軸との切片は正となることがわかる。これより、張力Tは張力Tより小さくなるため、張力Tが式(27)を満たすようにすればよい。
(ii) トルク指令値τrefが負の場合
収縮力指令値uと張力T,Tの関係を、関節角度θが正の場合と負の場合において、それぞれ、図5(c)と図5(d)に示す。
図5(c)と式(18)及び式(21)より、関節角度θが正の場合には張力Tを表す直線の傾きが張力Tを表す直線の傾きに比べて小さくなることがわかる。また、式(20)及び式(21)より、張力Tを表す直線とY軸との切片は正となることがわかる。これより、張力Tは張力Tより小さくなるため、張力Tが式(25)を満たすようにすればよい。
一方、図5(d)と式(18)及び式(21)より、関節角度θが負の場合、張力Tを表す直線の傾きは張力Tを表す直線の傾きに比べて小さくなることがわかる。また、式(20)及び式(21)より、張力Tを表す直線とY軸との切片は正となることがわかる。これより、張力Tと張力Tは式(22)で表される収縮力指令値uにおいて等しくなり、このときの張力Tは式(23)で表される。従って、張力最低値Tminが、式(24)を満たす場合、図5(d)に示すように張力Tは張力Tより小さくなるため、張力Tを式(25)とすればよい。また、張力最低値Tminが式(26)を満たす場合、張力Tは張力Tより小さくなるため、張力Tを式(27)とすればよい。
(iii) 収縮力指令値u,uの演算方法
張力Tが張力Tよりも小さくなる場合は、張力Tを張力最低値Tminと一致させればよいため、式(18)及び式(21)より、収縮力指令値u,uは、
Figure 2014004653
と求まる。一方、張力Tが張力Tよりも小さくなる場合は、張力Tを張力最低値Tminと一致させればよいため、式(18)及び式(21)を用いて収縮力指令値u,uは、
Figure 2014004653
と求まる。
(1.2.4張力制御部のブロック線図)
張力制御部153のブロック線図を図6に示す。張力制御部153は、張力最低値計算部181と、駆動力指令値計算部(収縮力指令値計算部)としての張力補償量演算部173と、ローパスフィルタ174,175とを有して構成される。
張力最低値計算部181は、増幅部171,172からなる。増幅部171は、式(14)を用いて、制御帯域fよりも大きく、ナイキスト周波数fよりも小さい値の固有振動数fminを演算する。また、増幅部172は、式(16)を用いて、固有振動数fminから張力最低値Tminを演算する。
張力補償量演算部173は、張力最低値Tmin、トルク指令値τref、及び関節角度θを入力とし、収縮力指令値u,uを演算する。
以下、制御装置150の各部の動作について詳細に説明する。図7は、本発明の第1実施形態に係るロボットの制御装置によるロボット制御方法を示すフローチャートである。
まず、位置制御部152は、外部から入力を受けた目標関節角度θrefに対する関節角度θの角度偏差Δθに基づいて、関節107まわりのトルク指令値τrefを算出する(S1:位置制御工程)。
次に、張力最低値計算部181は、f>fmin>fを満たす固有振動数fminを求め、Tmin=4×L×μ×fmin の関係式から張力最低値Tminを算出する(S2:張力最低値計算工程)。張力補償量演算部173は、ワイヤ111,112のうち張力が小さい方のワイヤの張力が張力最低値Tminとなるように、張力最低値Tmin、関節角度θ及びトルク指令値τrefを用いて収縮力指令値u,uを算出する(S3:収縮力指令値計算工程)。
駆動制御部154は、ステップS3(駆動力指令値計算工程としての収縮力指令値計算工程)にて求められた収縮力指令値u,uに対応する収縮力を、アクチュエータ101,102に発生させる(S4:駆動制御工程)。
図8は、張力補償量演算部における演算処理を示すフローチャートである。以下、ステップS3(図7)における張力補償量演算部173の演算処理について具体的に説明する。まず、張力補償量演算部173は、τref>0であるか否かを判断する(S11)。張力補償量演算部173は、τref>0である場合(S11:Yes)、θ>0であるか否かを判断する(S12)。張力補償量演算部173は、θ>0である場合(S12:Yes)、式(23)により張力Tを算出する(S13)。次に、張力補償量演算部173は、Tmin>Tであるか否かを判断する(S14)。張力補償量演算部173は、Tmin>Tである場合(S14:Yes)、式(28)及び式(29)により収縮力指令値u,uを算出する(S15)。
また、張力補償量演算部173は、θ>0ではない場合(S12:No)、或いはTmin>Tではない場合(S14:No)、式(30)及び式(31)により収縮力指令値u,uを算出する(S16)。
また、張力補償量演算部173は、τref>0ではない場合(S11:No)、θ>0であるか否かを判断する(S17)。張力補償量演算部173は、θ>0ではない場合(S17:No)、式(23)により張力Tを算出する(S18)。次に、張力補償量演算部173は、Tmin<Tであるか否かを判断する(S19)。
張力補償量演算部173は、Tmin<Tである場合(S19:Yes)、或いはθ>0である場合(S17:Yes)、式(28)及び式(29)により収縮力指令値u,uを算出する(S20)。
また、張力補償量演算部173は、Tmin<Tではない場合(S19:No)、式(30)及び式(31)により収縮力指令値u,uを算出する(S21)。
ここで、張力T,Tが張力最低値Tminの近傍となる場合、式(28)及び式(29)に示す収縮力指令値と、式(30)及び式(31)に示す収縮力指令値とが頻繁に切り替わる。これにより、振動的な制御入力を発生するチャタリング現象が生じる可能性がある。
そこで、本第1実施形態では、ローパスフィルタ174,175として一次遅れフィルタを用いて収縮力指令値u,uの高周波成分を低減する。ローパスフィルタ174,175の伝達関数L(s)を、時定数Tl1を用いて、
Figure 2014004653
と表す。
(1.3 シミュレーション)
前節で導出した制御系を用いて位置決めシミュレーションを行う。本第1実施形態では、制御帯域fを25Hz、増幅率aを2とし、固有振動数fminを50Hzとする。そして、線密度μを2.5×10−4kg/m、ワイヤ長Lを0.2mとして張力最低値Tminを4Nとする。また、ローパスフィルタ174,175の時定数Tl1を4.5×10−3secとする。目標関節角度θrefとして、0.2secから0.7secの間に0radから0.85radまで増加するランプ状の信号を与える。また、弦振動が生じる場合にも制御系が安定となることを確かめるために、時刻0.5secから0.51secの間に、1.5Nのパルス外乱をワイヤ111,112に印加する。
図9(a)と図9(b)はそれぞれ、ワイヤ張力Tとワイヤ張力Tの応答を、図10は角度偏差Δθの応答を表す。図9及び図10において、実線は一定ゲインの位置制御部152と張力制御部153を有する制御装置150による応答を、破線はワイヤ111,112の張力と制御帯域が比例する、上記特許文献1のゲイン可変制御器による応答を、それぞれ表す。なお、張力制御を行わずに一定ゲインの位置制御のみを行うシミュレーションでは、張力の低下によって弦振動の固有振動数が低下し、制御系が不安定となるため、応答を図示していない。
図9(a)及び図9(b)より、本第1実施形態の張力制御では、張力T,Tがどちらも張力最低値4N以上となっていることがわかる。これは、張力制御がワイヤ111,112の張力を張力最低値Tmin以上となるように制御しているためである。これにより、弦振動の固有振動数が固有振動数fmin以上に保たれるため、弦振動が生じる0.5sec以降においても位置制御系が安定となる。さらに、制御帯域fが保たれるため、高精度な位置決めが可能となる。一方、ゲイン可変制御はワイヤの張力を考慮して収縮力指令値u,uを制御していないため、0.7sec以降では張力が2N以下に低下している。ゲイン可変制御の制御帯域は張力に比例するため、0.7sec以降でのゲイン可変制御の制御帯域は、制御帯域fに比べて低下する。そのため、図10に示すように、ゲイン可変制御による角度偏差Δθは、張力制御に比べて増加している。これより、本第1実施形態では、張力制御部153は張力の低下を防止し、制御系を安定化することで、広制御帯域な位置制御部152による高精度な位置決めを実現していることがわかる。
以上、本第1実施形態では、弦振動の固有振動数が位置制御部152の制御帯域fを超えるようにワイヤ111,112の張力を制御する。これにより、外乱に強い広制御帯域な位置制御部152を用いた場合においても制御系が安定となるため、高精度な位置決め制御を行うことが可能となる。
また張力制御は、ワイヤ振動の固有振動数を向上させるためにワイヤ111,112の張力を増加させる。そのため、従来のように、関節剛性がワイヤ111,112の張力に比例する可変剛性要素を用いた場合、張力制御によって関節剛性が増加してしまう可能性がある。しかし、本第1実施形態では、位置制御部152の制御帯域に基づいて、制御系の安定化に必要な最低限の張力に制御するため、関節剛性が過度に増加することがなく、関節の柔軟性が損なわれることがない。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るロボットについて説明する。なお、本第2実施形態においてロボット本体の構成は上記第1実施形態と同様であり、以下の説明において、ロボット本体の各部の構成については、上記第1実施形態の図2と同じ符号を用い、詳細な説明を省略する。
上記第1実施形態の張力制御では、張力最低値Tmin、関節角度θ及びトルク指令値τrefに基づいて収縮力指令値u,uを一意に演算している。そのため、収縮力指令値の和U、すなわち関節の剛性と張力T,Tを独立に制御できない。一方、関節角度θやトルク指令値τrefの大きさによって、張力制御を行わなくとも張力T,Tが張力最低値Tminを上回ることがある。
そこで、本第2実施形態では、張力T,Tが張力最低値Tminを上回る場合は所望の関節剛性を実現するように収縮力指令値u,uを制御する剛性制御を行い、張力T,Tが張力最低値Tminを下回るときにのみ張力制御を行う。
(2.1 制御系設計)
上記第1実施形態の式(5)に示すように、関節剛性Uは、収縮力指令値u,uの和に比例する。そこで、剛性制御では、収縮力指令値u’’,u’’の和分が剛性指令値Urefに、差分とモーメントアーム径rの積がトルク指令値τrefになるという条件で収縮力を導出する。このとき、剛性指令値Urefとトルク指令値τrefは、
Figure 2014004653
と表されるため、式(33)と式(34)を収縮力指令値u’’,u’’について解き、
Figure 2014004653
を得る。式(35)及び式(36)より、本第2実施形態の剛性制御では簡便な演算によって所望の関節剛性を実現するための収縮力を導出できることがわかる。
剛性制御と張力制御を切り替えるための切り替え制御では、ワイヤ111の張力Tとワイヤ112の張力Tの少なくとも一方が張力最低値Tminを下回る場合は、張力制御による収縮力指令値u’,u’を出力する。一方、張力Tと張力Tが張力最低値Tminを上回る場合は剛性制御による収縮力指令値u’’,u’’を出力する。なお、本第2実施形態では、切り替え制御に用いるワイヤ張力T,Tを、張力センサを用いて直接計測するが、関節角度θと1サンプル前の収縮力指令値u,uを用いて、式(3)及び式(4)より推定してもよい。
図11は、本発明の第2実施形態に係るロボットの制御装置を示すブロック線図である。本第2実施形態の制御装置250は、上記第1実施形態と同様、減算部151、位置制御部152及び駆動制御部154を備えている。また、制御装置250は、張力・剛性制御部208を備えている。
張力・剛性制御部208は、上記第1実施形態と同様の張力最低値計算部181を備えると共に、駆動力指令値計算部282及びローパスフィルタ211,212を備えている。
駆動力指令値計算部282は、上記第1実施形態と同様の張力補償量演算部173と、剛性制御部209と、収縮力切り替え部210とを有している。なお、張力最低値計算部181と張力補償量演算部173とで張力制御部253が構成されている。
剛性制御部209は、外部機器から剛性指令値Urefの入力を受けると共に位置制御部152からトルク指令値τrefの入力を受ける。そして、剛性制御部209は、関節107(図2)の剛性が、剛性指令値Urefとなるように、剛性指令値Uref及びトルク指令値τrefを用いて仮の収縮力指令値u’’,u’’を計算する。
なお、張力補償量演算部173は、上記第1実施形態と同様の計算処理により、仮の収縮力指令値u’,u’を計算する。
図12は、収縮力切り替え部における演算処理を示すフローチャートである。収縮力切り替え部210は、ワイヤ111の張力Tが張力最低値Tminを上回る(T>Tminである)か否かを判断する(S31)。
収縮力切り替え部210は、ワイヤ111の張力Tが張力最低値Tminを上回ると判断した場合(S31:Yes)、ワイヤ112の張力Tが張力最低値Tminを上回る(T>Tminである)か否かを判断する(S32)。
収縮力切り替え部210は、ワイヤ112の張力Tが張力最低値Tminを上回ると判断した場合(S32:Yes)、u=u’’,u=u’’とする(S33)。
収縮力切り替え部210は、ワイヤ111の張力Tが張力最低値Tminを上回らない(S31:No)、又はワイヤ112の張力Tが張力最低値Tminを上回らないと判断した場合(S32:No)、u=u’,u=u’とする(S34)。
つまり、駆動力指令値計算部282は、ワイヤ111,112のうち少なくとも一方のワイヤの張力が張力最低値Tminを下回る場合には、ワイヤ111,112のうち張力が小さい方のワイヤの張力が張力最低値Tminとなる収縮力指令値を計算する。換言すると、駆動力指令値計算部282は、ワイヤ111,112のうち少なくとも一方のワイヤの張力が張力最低値Tminを下回る場合には、仮の収縮力指令値u’,u’を収縮力指令値u,uとする。
また、駆動力指令値計算部282は、両方のワイヤ111,112の張力が張力最低値Tminを上回る場合には、関節の剛性が剛性指令値Urefとなるように、剛性指令値Uref及びトルク指令値τrefを用いて収縮力指令値を計算する。換言すると、駆動力指令値計算部282は、両方のワイヤ111,112の張力が張力最低値Tminを上回る場合には、仮の収縮力指令値u’’,u’’を収縮力指令値u,uとする。
なお、本第2実施形態では、T=Tmin又はT=Tminである場合には、仮の収縮力指令値u’,u’を収縮力指令値u,uとしているが、仮の収縮力指令値u’’,u’’を収縮力指令値u,uとしてもよい。
この切り替え制御では、張力Tと張力Tが張力最低値Tminの近傍となる場合、張力制御と剛性制御の制御入力が頻繁に切り替わる。これにより、制御入力が振動的となるチャタリング現象が生じるため、ローパスフィルタ211,212として一次遅れフィルタを用いて、制御入力の高周波成分を低減する。ローパスフィルタ211,212の伝達関数L(s)を、時定数Tl2を用いて、
Figure 2014004653
と表す。なお、本第2実施形態の制御装置250では、上記第1実施形態と異なり、ローパスフィルタ174,175を備えていない。これは、収縮力指令値u’,u’の高周波数成分は、ローパスフィルタ211,212によって低減可能なためである。
(2.2 シミュレーション)
前節で導出した制御系を用いて位置決めシミュレーションを行う。ワイヤ111,112の物理パラメータと位置制御部152及び張力制御部253の制御パラメータを上記第1実施形態と同一とする。
また、ローパスフィルタ211,212の時定数Tl2を4.5×10−3secとし、剛性指令値Urefを12.5Nとする。目標関節角度θrefとして0.2secから0.7secの間に0radから0.6radまで増加するランプ状の信号を与える。
図13(a)と図13(b)はそれぞれ、ワイヤ111の張力Tとワイヤ112の張力Tの応答を、図14は収縮力の和Uの応答を表す。図13と図14において、実線は本第2実施形態の張力・剛性制御による応答を、破線は張力制御のみを行う上記第1実施形態の制御系の応答を表す。また、図15は、本第2実施形態の張力・剛性制御による角度偏差Δθの応答を表す。
図13(a)と図13(b)に示すように、時刻0.6secまでの間は張力Tと張力Tが張力最低値4Nを上回っている。張力・剛性制御では、張力Tと張力Tが張力最低値Tminを上回る場合、収縮力の和Uを剛性指令値Urefとする剛性制御を行う。そのため、図14に示すように時刻0.6secまでの間は、関節剛性を剛性指令値Urefと一致させるように制御可能であることがわかる。一方、図13(a)と図13(b)に示すように、張力・剛性制御では、0.6sec以降において張力Tと張力Tが張力最低値4Nと一致していることがわかる。これは、張力・剛性制御は張力Tと張力Tの一方が張力最低値Tminを下回る場合、張力Tと張力Tの低い方を張力最低値Tminとする張力制御を行うためである。図14に示すように、0.6sec以降では関節剛性の制御から張力制御に切り替わるため、収縮力の和Uが剛性指令値Urefに比べて大きくなってしまっている。しかし、図15より、張力制御によって制御系が不安定となるのを防いでいるため、角度偏差が0radに収束していることがわかる。一方、張力制御のみを行う第1実施形態の制御系では、関節剛性を考慮して収縮力を演算していない。そのため、0.6sec以降だけでなく、0secから0.6secの間においても剛性指令値Urefと一致するように収縮力の和Uを制御できない。これより、本第2実施形態の張力・剛性制御によって、張力T,Tが張力最低値Tminより大きい場合には、剛性指令値と一致するように関節の剛性を制御できることがわかる。
即ち、本第2実施形態では、ワイヤ111,112の張力が低下して制御系が不安定となる場合にのみ上記第1実施形態と同様の張力制御を行い、制御系が安定となる場合は所望の関節剛性を実現するように張力を制御する。これらのことから、本第2実施形態の張力制御方法では広制御帯域な位置制御部152を用いた場合においても、関節の柔軟性が大きく損なわれることがない。さらに、所望の関節剛性を実現するための制御入力を簡便な剛性制御部209によって演算するため、関節剛性の目標値を容易に変更できる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るロボットについて説明する。本第3実施形態では、ワイヤと、人工筋肉アクチュエータを有する駆動部とを備えるロボット本体である2リンクマニピュレータにおいて、ワイヤの張力と関節剛性を制御する。
(3.1 モデルの導出)
人間の上肢上腕部や下肢大腿部は、二関節筋と呼ばれる2関節同時駆動マニピュレータを有しており、二関節筋が手先の剛性制御に重要な役割を果たすことが知られている。人間の上肢をモデルとしたロボットは図16に示すように第1関節313を駆動するアクチュエータf,e、第2関節314を駆動するアクチュエータf,e、二関節を同時に駆動するアクチュエータf,eをそれぞれ拮抗配置した3対6筋構造である。これらアクチュエータf,e,f,e,f,eは、人工筋肉アクチュエータである。
(3.1.1 シミュレーションモデルの導出)
図17は、本発明の第3実施形態に係るロボットの概略構成を示す説明図である。本第3実施形態のロボット300は、3対6筋2リンクアームであるロボット本体320と、制御装置350とを備えている。
ロボット本体320は、第1リンク301と、第2リンク302と、基部であるプーリ303とを有している。第1リンク301は、第1関節313でプーリ303に対して旋回可能に連結されている。第2リンク302は、第2関節314で第1リンク301に対して旋回可能に連結されている。また、ロボット本体320は、アクチュエータf,e,f,e,f,eと、これらに駆動される紐状部材としてのワイヤ341〜346とを備えている。ワイヤ341,343,345と、ワイヤ342,344,346とは、リンク301,302を挟んで互いに拮抗して配置されている。
ワイヤ341及びワイヤ342は、第1リンク301を旋回させるようにプーリ303を介して第1リンク301に接続されている。ワイヤ343及びワイヤ344は、第1リンク301に対して第2リンク302を旋回させるようにプーリ303を介して第2リンク302に接続されている。ワイヤ345及びワイヤ346は、第1及び第2リンク301,302を同時に旋回させるように、第1及び第2リンク301,302に接続されている。
本第3実施形態では、上記第1実施形態と同様に仮定(1)〜仮定(5)を用いて、ワイヤの弦振動を1つの質点と2つのバネでモデル化する。
各人工筋肉アクチュエータf,f,f,e,e,eの収縮力をuf1,uf2,uf3,ue1,ue2,ue3、各関節313,314の関節角度をθ,θとする。また、各リンク301,302の慣性モーメントをJ,J、各リンク301,302の長さをL,L、各トルク指令値をτref1,τref2とする。また、本第3実施形態では各アクチュエータのモーメントアーム径、弾性力定数、粘性力定数をそれぞれ等しくr、k、cとする。3対6筋構造を備える2リンクマニピュレータの運動方程式を導出すると、
Figure 2014004653
となる。ただし、式(38)の関節角度θ、トルク指令値τref、慣性行列M(θ)、コリオリ力・遠心力、弾性係数行列K、減衰係数行列Cをそれぞれ、
Figure 2014004653
とする。本第3実施形態では、式(38)のモデルをシミュレーションモデルと呼ぶ。
(3.1.2 近似モデルの導出)
本項では、位置制御部の制御帯域を導出する際に用いる2リンクマニピュレータの近似モデルを導出する。式(38)より、慣性行列M(θ)、弾性係数行列K、減衰係数行列Cには非対角成分が存在するため、2リンクマニピュレータは各関節の運動が干渉する多入出力系となることがわかる。さらに、式(38)より、慣性行列M(θ)、コリオリ力・遠心力に非線形項を有することがわかる。一方、上記第1実施形態の一巡伝達関数による制御帯域の導出方法は、干渉や非線形性を考慮していないため、単入出力系・線形系以外には適用できない。そこで、シミュレーションモデルを非干渉化、線形化し、近似モデルを導出する。そして、近似モデルと制御器を乗算した一巡伝達関数によって制御帯域を導出する。
まず、仮定(6)及び仮定(7)を用いてシミュレーションモデルを非干渉化する。
仮定(6) コリオリ力と遠心力を考慮しない。
仮定(7) 慣性行列M(θ)、弾性係数行列K、減衰係数行列C対角成分のみを考慮する。
また、シミュレーションモデルを、位置決め終端の関節角度θfin1,θfin2近傍で線形化する。
Figure 2014004653
仮定(6)及び仮定(7)と式(45)より、近似モデルの運動方程式は、
Figure 2014004653
となる。ただし、式(46)において、慣性行列M’、弾性係数行列K’、減衰係数行列C’はそれぞれ、
Figure 2014004653
となる。
(3.2 制御系設計)
本節では、人工筋肉アクチュエータf,f,f,e,e,eの収縮力を制御する制御系の構成を示す。また、前節で導出した近似モデルとシミュレーションモデルを用いた、張力最低値の導出方法を示す。
(3.2.1制御系の構成)
本第3実施形態では、第1関節313を駆動するアクチュエータf,eによって、関節角度θとワイヤ張力Tf1,Te1を制御する。同様に、第2関節314を駆動するアクチュエータf,eによって、関節角度θとワイヤ張力Tf2,Te2を制御する。
これら制御系では、上記第2実施形態と同様に張力制御と剛性制御を、ワイヤ張力に応じて切り替える。一方、二関節同時駆動アクチュエータf,eは関節剛性のみを制御し、関節角度の制御に用いない。それは、位置制御部の設計と制御帯域の導出が複雑となるためである。このとき、アクチュエータf,eへのトルク指令値は0となるため、上記第2実施形態の式(35)及び式(36)より、剛性制御による収縮力指令値uf3,ue3は二関節同時駆動アクチュエータf,eの剛性指令値Uref3を用いて、
Figure 2014004653
と表せる。
図18は、本発明の第3実施形態に係るロボットの制御装置を示すブロック線図である。制御装置350は、減算部351,352と、位置制御部361,362と、張力・剛性制御部381,382と、剛性制御部391と、駆動制御部392とを備えている。
これら減算部351,352及び位置制御部361,362は、上記第1実施形態の減算部151及び位置制御部152と同様の構成である。
また、張力・剛性制御部381,382は、上記第2実施形態の張力・剛性制御部208と同様の構成である。
剛性制御部391は式(50)に示す収縮力指令値uf3,ue3を出力するフィードフォワード制御部である。駆動制御部392は、収縮力指令値uf1,uf2,uf3,ue1,ue2,ue3の入力を受けて、収縮力指令値uf1,uf2,uf3,ue1,ue2,ue3に対応する収縮力を、各アクチュエータf,f,f,e,e,eに発生させる。制御対象であるロボット本体320は、式(38)でモデル化される2リンクアームである。
(3.2.2 制御帯域の導出)
位置制御部361の制御帯域fc1を、近似モデルの伝達関数P(s)と、位置制御部361の伝達関数K(s)とを乗算した一巡伝達関数P(s)K(s)を用いて導出する。また、位置制御部362の制御帯域fc2を、近似モデルの伝達関数P(s)と、位置制御部362の伝達関数K(s)とを乗算した一巡伝達関数P(s)K(s)を用いて導出する。
式(38)より、近似モデルにおけるトルク指令値τref1,τref2から関節角度θ,θまでの伝達関数P(s),P(s)は、収縮力指令値uf1,uf2,uf3,ue1,ue2,ue3の和U,U,Uを用いて、それぞれ、
Figure 2014004653
と表される。また、本第3実施形態では、位置制御部361,362をPID制御部とするため、伝達関数K(s),K(s)は、微分ゲインKd1,Kd2、比例ゲインKp1,Kp2、積分ゲインKi1,Ki2、時定数Td1,Td2を用いて、
Figure 2014004653
と表される。本第3実施形態では、筋の弾性によるリンクの固有振動数に比べて制御帯域が高くなるように位置制御部361,362を設計する。そこで、一巡伝達関数P(s)K(s),P(s)K(s)において、ラプラス演算子sに関する一次の項のみを考慮すると、
Figure 2014004653
となる。式(55)及び式(56)より、制御帯域fc1,fc2は、
Figure 2014004653
と表される。
(3.2.3 張力最低値の導出)
近似モデルは線形化と非干渉化によるモデル誤差を含む。そのため、制御帯域fc1,fc2を用いて導出する張力最低値が、実際の制御系の安定化に必要な張力よりも小さくなり、制御系が不安定となる恐れがある。そこで、本第3実施形態では、シミュレーションよって張力最低値Tmin1,Tmin2を修正し、適当な張力最低値Tmin1,Tmin2を導出する。
まず、増幅率a,aを1から徐々に増加させながら近似モデルにおける制御系の安定性を調べ、増幅率a,aの初期値を導出する。次に、増幅率a,aの初期値と式(15)及び式(17)より、張力最低値の初期値Tmin1,Tmin2を演算し、シミュレーションモデルを用いて制御系の安定性を調べる。そして、制御系が安定であれば増幅率a,aを減少させ、不安定であれば増幅率a,aを増加させる。さらに、新たな増幅率a,aを用いて張力最低値Tmin1,Tmin2を演算し、シミュレーションモデルを用いて安定性の確認と増幅率a,aの更新を行う。これを繰り返すことにより、張力最低値Tmin1,Tmin2を導出する。
(3.3 シミュレーション結果)
本節では前節で導出した制御系を用いて2リンクアームの位置決めシミュレーションを行う。各ワイヤの物理パラメータを上記第1実施形態と同一とする。また、制御帯域fc1,fc2を25Hz、増幅率aを2として、張力最低値Tmin1,Tmin2をそれぞれ4Nとする。さらに、剛性指令値Uref1,Uref2,Uref3をそれぞれ、12.5N、12.5N、3Nとする。0.2secから0.7secの間に0radから0.5radまで増加するランプ状の信号を目標関節角度θref1,θref2として与える。そして、弦振動が生じる場合にも制御系が安定となることを確かめるために、0.5secから0.51secの間に0.6Nのパルス外乱を各ワイヤに印加する。
図19(a)と図19(b)は張力Te1と張力Te2の応答を、図20(a)と図20(b)は収縮力の和Uと和Uの応答を、それぞれ表す。また、図21(a)と図21(b)はそれぞれ、角度偏差Δθと角度偏差Δθの応答を表す。図19(a)及び図19(b)より、0secから0.5secの間は、張力Te1と張力Te2が張力最低値4N以上となることがわかる。張力・剛性制御部381,382は、ワイヤの張力が張力最低値を上回る場合は、所望の関節剛性を実現する剛性制御を行う。そのため、図20(a)及び図20(b)に示すように、0secから0.5secまでの間は、関節剛性U,Uが剛性指令値Uref1,Uref2と、それぞれ一致していることがわかる。
一方、図19(a)及び図19(b)より、0.5sec以降では張力Te1と張力Te2が張力最低値4Nと一致することがわかる。これは、張力・剛性制御部381,382が、ワイヤ張力が張力最低値以上となるように制御しているためである。
図20(a)及び図20(b)に示すように、0.5sec以降では関節剛性の制御から張力制御に切り替わるため、剛性指令値Uref1,Uref2と比べて関節剛性U,Uが増加している。しかし、図21(a)及び図21(b)に示すように、張力制御によって制御系が安定となるため、弦振動が生じた場合にも角度偏差Δθと角度偏差Δθが0radに収束していることがわかる。このことから、本第3実施形態の張力・剛性制御部381,382を多関節マニピュレータに適用した場合もワイヤの張力を張力最低値以上に保ち、制御系を安定化できることがわかる。また、張力制御と剛性制御の切り替え制御を行うことにより、ワイヤの張力が張力最低値を上回る場合には所望の関節剛性を実現できることがわかる。
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
上記第1〜第3実施形態では、紐状部材としてワイヤを用いた場合について説明したが、紐状部材はこれに限定するものではなく、例えばベルトであってもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、駆動部を構成するアクチュエータが人工筋肉アクチュエータである場合について説明したが、これに限定するものではない。人工筋肉アクチュエータと同等、即ち図1に示すような粘弾性モデルに近似されるアクチュエータであれば、いかなるアクチュエータであってもよい。例えば、回転モータとバネとを組み合わせたアクチュエータであってもよい。
100…ロボット、101…アクチュエータ(第1アクチュエータ)、102…アクチュエータ(第2アクチュエータ)、106…リンク、107…関節、108…駆動部、111…ワイヤ(第1紐状部材)、112…ワイヤ(第2紐状部材)、120…ロボット本体、150…制御装置、152…位置制御部、154…駆動制御部、173…張力補償量演算部(駆動力指令値計算部)、181…張力最低値計算部、f…制御帯域、fmin…固有振動数、f…ナイキスト周波数、Tmin…張力最低値、u,u…収縮力指令値

Claims (4)

  1. 関節で旋回するリンクと、
    前記リンクに接続され、互いに拮抗して配置された第1紐状部材及び第2紐状部材と、
    前記第1紐状部材を進退させる駆動力を発生する第1アクチュエータ、及び前記第2紐状部材を進退させる駆動力を発生する第2アクチュエータを有し、駆動力の差で前記関節まわりにトルクを発生し、駆動力の和で前記関節に剛性を与える駆動部と、
    前記第1及び第2アクチュエータに発生させる駆動力を制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、
    外部から入力を受けた目標関節角度に対する関節角度の角度偏差に基づいて、前記関節まわりのトルク指令値を算出する位置制御部と、
    前記各紐状部材の固有振動数をfmin、前記位置制御部の制御帯域をf、前記位置制御部のナイキスト周波数をfとしたとき、f>fmin>fを満たす前記固有振動数を求め、前記第1及び第2紐状部材の長さをL、前記第1及び第2紐状部材の線密度をμ、前記第1及び第2紐状部材の張力最低値をTminとしたとき、Tmin=4×L×μ×fmin の関係式から前記張力最低値を算出する張力最低値計算部と、
    前記第1及び第2紐状部材のうち張力が小さい方の紐状部材の張力が前記張力最低値となるように、前記張力最低値、前記関節角度及び前記トルク指令値を用いて、前記第1及び第2アクチュエータの駆動力指令値を算出する駆動力指令値計算部と、
    前記駆動力指令値計算部により求めた駆動力指令値に対応する駆動力を、前記第1及び第2アクチュエータに発生させる駆動制御部と、を有することを特徴とするロボット。
  2. 前記駆動力指令値計算部は、
    前記第1及び第2紐状部材のうち少なくとも一方の紐状部材の張力が、前記張力最低値を下回る場合には、前記第1及び第2紐状部材のうち張力が小さい方の紐状部材の張力が前記張力最低値となるように、前記張力最低値、前記関節角度及び前記トルク指令値を用いて前記第1及び第2アクチュエータの駆動力指令値を計算し、
    前記第1及び第2紐状部材の両方の紐状部材の張力が、前記張力最低値を上回る場合には、前記関節の剛性が外部から入力を受けた剛性指令値となるように、前記剛性指令値及び前記トルク指令値を用いて前記第1及び第2アクチュエータの駆動力指令値を計算することを特徴とする請求項1に記載のロボット。
  3. 関節で旋回するリンクと、前記リンクに接続され、互いに拮抗して配置された第1紐状部材及び第2紐状部材と、前記第1紐状部材を進退させる駆動力を発生する第1アクチュエータ、及び前記第2紐状部材を進退させる駆動力を発生する第2アクチュエータを有し、駆動力の差で前記関節まわりにトルクを発生し、駆動力の和で前記関節に剛性を与える駆動部と、を備えたロボット本体を、制御装置により制御するロボット制御方法において、
    前記制御装置の位置制御部が、外部から入力を受けた目標関節角度に対する関節角度の角度偏差に基づいて、前記リンクの前記関節まわりのトルク指令値を算出する位置制御工程と、
    前記制御装置の張力最低値計算部が、前記各紐状部材の固有振動数をfmin、前記位置制御部の制御帯域をf、前記位置制御部のナイキスト周波数をfとしたとき、f>fmin>fを満たす前記固有振動数を求め、前記第1及び第2紐状部材の長さをL、前記第1及び第2紐状部材の線密度をμ、前記第1及び第2紐状部材の張力最低値をTminとしたとき、Tmin=4×L×μ×fmin の関係式から前記張力最低値を算出する張力最低値計算工程と、
    前記制御装置の駆動力指令値計算部が、前記第1及び第2紐状部材のうち張力が小さい方の紐状部材の張力が前記張力最低値となるように、前記張力最低値、前記関節角度及び前記トルク指令値を用いて、前記第1及び第2アクチュエータの駆動力指令値を算出する駆動力指令値計算工程と、
    前記制御装置の駆動制御部が、前記駆動力指令値計算工程にて求められた駆動力指令値に対応する駆動力を、前記第1及び第2アクチュエータに発生させる駆動制御工程と、を備えたことを特徴とするロボット制御方法。
  4. 前記駆動力指令値計算工程では、
    前記駆動力指令値計算部が、前記第1及び第2紐状部材のうち少なくとも一方の紐状部材の張力が、前記張力最低値を下回る場合には、前記第1及び第2紐状部材のうち張力が小さい方の紐状部材の張力が前記張力最低値となるように、前記張力最低値、前記関節角度及び前記トルク指令値を用いて前記第1及び第2アクチュエータの駆動力指令値を計算し、
    前記第1及び第2紐状部材の両方の紐状部材の張力が、前記張力最低値を上回る場合には、前記関節の剛性が外部から入力を受けた剛性指令値となるように、前記剛性指令値及び前記トルク指令値を用いて前記第1及び第2アクチュエータの駆動力指令値を計算することを特徴とする請求項3に記載のロボット制御方法。
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