JP2014002892A - 電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】ケーシング外への電解液のリークを防止する。
【解決手段】本発明の電池は、正極(12)と負極(11)との間にセパレータ(13)を介在させてなる電極体(10)と、ケーシング本体(3)と、正極に電気的に接続される正極外部端子(5)と、負極に電気的に接続される負極外部端子(4)とを有し、電極体を電解液とともに収容するケーシングと、を備え、正極外部端子及び負極外部端子は、ケーシング本体の両側に形成された一対の開口部をそれぞれ閉鎖するようにケーシング本体に固定され、ケーシング本体の正極外部端子との接触面、及び、ケーシング本体の負極外部端子との接触面の少なくとも一方の面上には、開口部の外周に沿って閉ループを形成する凸部(3g,3h)が設けられている。
【選択図】図5

Description

本発明は、正極と負極との間にセパレータを介在させてなる電極体を正極外部端子及び負極外部端子を有するケーシング内に電解液とともに収容した密閉式の電池に関し、特に該密閉式の電池を複数積層してその積層方向に締め付け固定されて収容した電池モジュールに好適に使用されうる該密閉式の電池に関する。
従来より、正極と負極との間にセパレータを介在させてなる電極体を正極外部端子及び負極外部端子を有するケーシング内に電解液とともに収容した密閉式の電池が知られている。また、電池の高電圧化を図るために、複数の密閉式の電池を積層して電池積層体を構成し、その電池積層体の膨張を抑制するためにその電池積層体を積層方向に締め付け固定されて収容した電池モジュールが知られている(いずれも例えば特許文献1参照)。
国際公開第2009/125544号
電池モジュール内に収容された電池積層体の各構成要素である密閉式の電池は、該電池積層体の積層方向に締め付け固定されているので、該積層方向に圧縮力がかかった状態で収容されている。ところが、電池モジュールを使用(充電)するときには、各電池の温度が上昇するため、電池のケーシングの圧縮降伏強さが低下することとなる。したがって、複数の密閉式の電池を積層した電池積層体を電池モジュールとして使用する場合には、その長期の使用により電池のケーシングの密閉性が低下して電解液がケーシング外にリークし、電池の寿命が短くなるおそれがあった。
そこで本発明は、電池モジュールに使用され、ケーシング外への電解液のリークを防止する効果を向上させた電池を提供することを目的としている。
前記の課題を解決するために、本発明に係る電池は、正極と負極との間にセパレータを介在させてなる電極体と、ケーシング本体と、前記正極に電気的に接続される正極外部端子と、前記負極に電気的に接続される負極外部端子とを有し、前記電極体を電解液とともに収容するケーシングと、を備え、前記正極外部端子及び前記負極外部端子は、前記ケーシング本体の両側に形成された一対の開口部をそれぞれ閉鎖するように配置され、前記ケーシング本体の前記正極外部端子との接触面、及び、前記ケーシング本体の前記負極外部端子との接触面の少なくとも一方の面上には、前記開口部の外周に沿って閉ループを形成する凸部が設けられているものである。
前記構成によれば、ケーシング本体の接触面に形成された閉ループ状のリブが正極外部端子又は負極外部端子に接触して該ケーシング本体の開口部が封止された状態で、正極外部端子及び負極外部端子がケーシング本体の厚み方向に締め付けられても、該閉ループ状のリブによって、該ケーシング本体の接触面と該正極外部端子又は該負極外部端子との高荷重下における接合強度が増すこととなる。また、その際、外部からの圧縮力が非常に高くても、閉ループ状の凸部の先端が圧潰することで高い密着性が担保されることとなる。したがって、前記構成によれば、ケーシング内の電解液がケーシング外部にリークすることを好適に防止することができる。
前記電池において、前記凸部は、前記正極外部端子又は前記負極外部端子に向かって先細りした形状となっている、としてもよい。
前記構成によれば、凸部の先端における正極外部端子又は負極外部端子との接触圧(密着性)が高まり、リーク防止効果を更に向上させることができる。
前記電池において、前記ケーシング本体は、荷重たわみ温度が100℃以上、体積抵抗が10の10乗Ω・cm以上、かつ絶縁破壊強度が10kV/mm以上である特性を有した熱可塑性樹脂により構成されている、としてもよい。
前記構成によれば、複数の電池を積層して電池モジュールとして使用する場合に、電池温度と電池内圧とが同時に上昇することによってケーシング本体の圧縮降伏強さが維持されなくなり、ケーシング本体内の電解液が外部へリークすることを防止できる。つまり、前述のリーク防止効果を更に向上させることができる。
前記電池において、前記負極外部端子と前記電極体との間、及び、前記正極外部端子と前記電極体との間の少なくともいずれか一方には、導電性の緩衝部材が介在している、としてもよい。
前記構成によれば、電池の厚み方向の圧力を吸収するので、負極外部端子及び正極外部端子の少なくとも一方と電極体との間の導電接触を安定させることができる。
前記電池において、前記セパレータは、プリーツ状であり、前記正極及び前記負極は、帯状であり、前記電極体は、プリーツ状の前記セパレータを介して、複数の前記負極と複数の前記正極とが、電池の厚み方向に直交する方向へ交互に積層されて対向するよう構成されている、としてもよい。
前記構成によれば、プリーツ状の電極体を収容した電池のリーク防止効果を向上させることができる。
前記電池において、前記セパレータ、前記正極及び前記負極は、シート状であり、前記電極体は、前記正極と前記負極とが前記セパレータを挟んで渦巻き状に捲回されたものである、としてもよい。
前記構成によれば、捲回型の電極体を収容した電池のリーク防止効果を向上させることができる。
本発明によれば、電池モジュールに使用され、ケーシング外への電解液のリークを防止する効果を向上させた電池を提供することができる。
図1は本発明の実施の形態1における電池モジュールの構造例を示す部分破断側面図である。 図2は図1に示す電池モジュールの主要部分であるモジュール本体を部分的に破断して示す斜視図である。 図3は図2のIX−IX線に沿った電池モジュールの断面図である。 図4は本発明の実施の形態1における圧力調整機構の構成例を示す平面図である。 図5は本発明の実施の形態1に係るセルの一例を示す分解斜視図である。 図6は図5に示すセルの電極体の断面図である。 図7は図6に示す集電体を取り外した状態のセルの平面図である。 図8は図5に示すセルのケーシングの要部断面図である。 図9Aは2種類の熱可塑性樹脂の温度と圧縮降伏強さとの関係を表すグラフである。 図9Bは水の沸点と大気圧との関係を表すグラフである。 図10は図5に示すセルの要部断面図の一例である。 図11は図5に示すセルの要部断面図のその他の例である。 図12Aは本発明の実施の形態2に係るセルの電極体の断面斜視図である。 図12Bは図12Aに示す電極体の平面図である。 図12Cは本発明の実施の形態2に係るセルの電極体のその他の構成例を示す平面図である。 図13は本発明の実施の形態2に係るセルを示す分解斜視図である。 図14は図13に示す集電体を取り外した状態のセルの平面図である。
以下、本発明に係る実施の形態を図面を参照して説明する。なお、充電式の単電池(single cell)は、充電により再使用可能な二次電池単体のことであり、その充電可能な電圧は一般的に数ボルト以下と低い。このため、高電圧の二次電池が必要となる場合には、複数の単電池を互いに直列に接続してなる組電池(assembled battery)が使用されている。なお、単電池は、素電池(unit cell)、セル(cell)又は電池(battery)と称されることがある。本願では、これらの称呼のうちセル又は電池を用いるとともに、充電式のセル又は電池のことを単にセル又は電池と呼んで説明する。また、組電池は、電池パック(battery pack)、電池システム(battery system)若しくは電池モジュール(battery module)と称されることがある。本願では、これらの称呼のうち電池モジュールを用いるとともに、充電式の電池モジュールのことを単に電池モジュールと呼んで説明する。
(実施の形態1)
[電池モジュールの構造]
図1は、本発明の実施の形態に係る電池モジュールBの構造例を示す部分破断側面図である。なお、以下の説明において、セル積層体1の正極側(図1の左側)を前側と呼び、負極側(図1の右側)を後側と呼ぶ。また、前後方向(後述の積層方向X)と直交する方向(後述の上下方向Z)に沿って、後述のガス排出口23を具備するセル積層体1の面側を上側と呼び、後述のガス排出口23を具備しないセル積層体1の面側を下側と呼ぶ。
図1に示す電池モジュールBは、例えば電車に搭載されるニッケル水素電池やリチウムイオン電池であり、その主要な構成要素として、密閉式の角形電池であるセルCを該セルCの厚み方向に複数個積層して形成されたセル積層体1と、セル積層体1を積層方向Xに締め付け固定するための側面板30、圧縮板35、及び締付けボルト37とを備えている。なお、これら主要な構成要素(1,30,35,37)は絶縁素材からなるケーシング39によって覆われている。なお、図1に示すセル積層体1は、2つのセルCに対して1つの割合で、セル積層体1を構成するセルCを冷却するための放熱板31が介在している。放熱板31を介在させる位置や個数は適宜変更してもよい。
図2は、図1に示す電池モジュールBの主要部分であるモジュール本体47を部分的に破断して示す斜視図である。
セル積層体1の両側面それぞれを覆うように、積層方向Xに沿って延びる一組の板状の部材として形成された側面板30が配置されている。積層方向Xに直交する上下方向Zに沿って互いに対向する側面板30は、その上端部30a及び下端部30bが、セル積層体1側にほぼ直角に折り曲げられることにより、浅いU字形の断面形状を有している。積層方向Xに沿って互いに対向する側面板30の前端部30c及び後端部30dの各近傍には、板状の圧縮部材である圧縮板35が側面ボルト32によって固定されている。つまり、側面板30の前端部30cおよび後端部30dの各近傍に位置する圧縮板35によって、積層方向Xに沿って互いに対向するセル積層体1の前面及び後面が覆われている。
また、上下方向Zに沿って互いに対向するセル積層体1の上方部及び下方部には、積層方向Xに沿って延びる板状部材である上面板33及び下面板34がそれぞれ配置されている。上面板33及び下面板34は、その左右の各端部がほぼ直角に折り曲げられることにより、浅いU字形の断面形状を有している。このように折り曲げられた上面板33及び下面板34の両側部が、側面板30の上端部30a及び下端部30bにそれぞれ重なり合うように配置されている。そして、このように重なり合っている部分の数箇所をボルト連結することにより、上面板33及び下面板34が側面板30に固定されている。
図3は、図2のIX−IX線に沿った電池モジュールBの断面図である。図3に示すように、セル積層体1の積層方向Xの前側最前部に位置するセルCの前側の蓋部材(後述の正極集電体5)には、正極側の集電部材となる第1集電板55がセルCに重ね合わせて配置されている。さらに、第1集電板55の前側には、絶縁板57及び絶縁板保護板59がこの順番で重ね合わせて配置されている。
圧縮板35は、側面板30及び側面板30とセル積層体1との間に介在する側面絶縁板41を挿通する複数の側面ボルト32によって、側面板30の前端部に固定されている。圧縮板35のねじ孔60には、複数の締付部材である締付けボルト37が、前方からセル積層体1の積層方向Xに螺合して、圧縮板35を貫通している。締付けボルト37の先端が、絶縁板保護板59に当接し、絶縁板保護板59、絶縁板57及び第1集電板55を介してセル積層体1を積層方向Xの後側に押し付けている。
セル積層体1の積層方向Xの後側最後部も、図3に示したセル積層体1の積層方向Xの前側最前部と同様の構造を有しており、セル積層体1の後側最後部に位置するセルCの後側の蓋部材が、締付けボルト37によって、絶縁板保護板59、絶縁板57及び第2集電板(図示せず)を介して積層方向Xの前側に押し付けられている。すなわち、前後の各圧縮板35に支持された締付けボルト37によって、セル積層体1が積層方向Xの前後からそれぞれ締め付けられている。
締付ボルト37として、図3に示した頭部を有するボルトの代わりに、頭部を有しない軸部のみからなるねじ部材(例えば、すりわりつき止めねじや、六角穴つき止めねじ)を使用してもよい。このような頭部を有しないねじ部材を用いることにより、各頂面が圧縮板35の表面から突出しないように設定して、電池モジュールBの積層方向寸法を小さくすることができる。また、前後の各圧縮板35に支持されて、セル積層体1を積層方向Xに締め付けるための部材は、締付けボルト37のようなねじ部材に限られない。例えば、圧縮板35と絶縁板保護板59との間にバネのような弾性部材を介在させてもよい。
絶縁板57及び絶縁板保護板59の各中央部には、円形の開口57a,59aが形成されており、この開口57a,59a内で、第1集電板55のほぼ中央部のねじ孔44に、電池モジュールBの正極側端子として機能する正極端子ボルト45が螺合されている。また、圧縮板35の中央部には、正極端子ボルト45に接続する外部からの部材を通すための開口35aが形成されている。
電池モジュールBは、セル積層体1の内圧、すなわち各セルCの内圧の総和が所定の値に達すると、セルC内のガスを外部に排出する圧力調整機構を備えている。図4は、本発明の実施の形態における圧力調整機構の構成例を示す平面図である。図4に示すように、各セルCのケーシング2に設けられた各ガス排出口23の二又の排出部23aのそれぞれが、隣接するセルCのガス排出口23の排出部23aの一方と、連通路を形成する可撓性のチューブ71を介して順次接続されている。また、末端のセルCの一方の排出部23aが、圧力監視用の圧力計Pおよび圧力調整弁73に連通されている。先端のセルCの一方の排出部23aは、盲栓により閉塞する。これらのガス排出口23、可撓性の連通部材であるチューブ71、圧力計P、及び圧力調整弁73が、電池モジュールBの圧力調整機構70を構成している。圧力調整弁73としては、例えば、ポペット弁にスプリングを組み合わせたもののほか、一般に用いられている任意の機構を使用することができる。圧力調整弁73は安全弁として動作する。なお、圧力計Pは省略してもよく、さらに、セル積層体1の内圧が所定の値に達する可能性が低い場合には、圧力調整機構70を省略してもよい。
[セルの構造]
図5は、本発明の実施の形態1に係るセルCを示す分解斜視図である。
セルCは、例えば、水酸化ニッケルを主要な正極活物質とし、水素吸蔵合金を主要な負極活物質とし、アルカリ系水溶液を電解液とするニッケル水素二次電池として構成される。セルCは、負極11、正極12及びセパレータ13で構成された電極体10と、この電極体10を電解液とともに収容する角形のケーシング2とを備えている。
ケーシング2は、絶縁素材からなる矩形枠状の枠部材3(ケーシング本体)と、枠部材3の一方側の開口部3aを覆って閉鎖する略平板状の負極集電体4(負極外部端子)と、枠部材3の他方側の開口部3bを覆って閉鎖する略平板状の正極集電体5(正極外部端子)とを備えている。即ち、負極集電体4と正極集電体5とは、枠部材3を介して互いに絶縁された状態で対向配置されており、これらの集電体4,5によりケーシング2の内部空間Sに収容された電極体10が挟持されている。
枠部材3における負極集電体4との接触面3cは、一方側の開口部3aを囲むように設けられている。そして、その接触面3cの上には開口部3aの外周に沿って閉ループを形成する凸部であるリブ3gが形成されている。枠部材3の正極集電体5との接触面3dは、他方側の開口部3bを囲むように設けられており、その接触面3dの上にも開口部3bの外周に沿って閉ループを形成する凸部であるリブ3hが形成されている。
負極集電体4は、枠部材3の一方側の開口部3aを閉鎖して接触面3cとシール剤を介して密着する集電面部4cと、その集電面部4cの外周を取り囲む側板面部4bと、集電面部4cと対向しており電極体10から集電面部4cを介して集電された電流を外部から取り出すための端子面部4aとを有している。
正極集電体5は、枠部材3の他方側の開口部3bを閉鎖して接触面3dとシール剤を介して密着する集電面部5cと、その集電面部5cの外周を取り囲む側板面部5bと、集電面部5cと対向しており電極体10から集電面部5cを介して集電された電流を外部から取り出すための端子面部5aとを有している。
負極集電体4及び正極集電体5を形成する素材として、本実施の形態ではニッケルめっきを施した鋼板を用いているが、電気化学的特性、機械的強度及び耐食性が十分であれば、他の導電素材を適宜選択することができる。また、シール剤としては、例えば、アスファルトピッチやタールピッチなどのピッチ剤が用いられる。
図6は、図5に示すセルCの電極体10の断面図である。図7は、図6に示す集電体4,5を取り外した状態のセルCの平面図である。図6及び図7に示すように、電極体10は、プリーツ(折りひだ)状に折り畳まれたセパレータ13を介して、四角断面の帯状からなる負極11と正極12とが、セルCの厚み方向に直交する方向に沿って交互に積層されるよう構成されている。つまり、負極集電体4側から見ると、負極11は露出しているが、正極12は露出せずにセパレータ13で覆われている。一方、正極集電体5側から見ると、正極12が露出しているが、負極11は露出せずにセパレータ13で覆われている。
したがって、負極11は負極集電体4に向かう垂直な方向に配置されており、各負極11の端面が負極集電体4の集電面部4cに接触している。これにより、負極集電体4の集電面部4cはセルCの負極側の集電面として機能し、負極集電体4の端子面部4aはセルCの負極側の端子面として機能する。同様に、正極12は正極集電体5に向かう垂直な方向に配置されており、各正極12の端面が正極集電体5の集電面部5cに接触している。これにより、正極集電体5の集電面部5cはセルCの正極側の集電面として機能し、正極集電体5の端子面部5aはセルCの正極側の端子面として機能する。
[セルの枠部材のリブ]
図8は、図5に示すセルCのケーシング2の要部断面図である。図7及び図8に示すように、枠部材3の接触面3c,3dには、開口部3a,3bを囲むように閉ループ状のリブ3g,3hが複数本(本例では3本)突設されている。リブ3g,3hは、負極集電体4の集電面部4c又は正極集電体5の集電面部5cに向かって先細りした断面略三角形状である。
リブ3g,3hの高さは、例えば10〜200μmである。負極集電体4及び正極集電体5が枠部材3の開口部3a,3bを閉鎖した状態では、リブ3g,3hの先端は、負極集電体4の集電面部4c又は正極集電体5の集電面部5cに対して当接する。そして、複数のセルCを積層して電池モジュールBを形成する際に、セルCの厚み方向に外部から圧縮力を加えることで、リブ3g,3hを介した接触圧(密着性)が高まることとなる。言い換えると、枠部材3の接触面3c,3dに形成された閉ループ状のリブ3g,3hが負極集電体4の集電面部4c及び正極集電体5の集電面部5cにそれぞれ接触した上で、枠部材3の開口部3a,3bが封止された状態で、負極集電体4及び正極集電体5をセルCの厚み方向に締め付けられても、閉ループ状のリブ3g,3hによって、枠部材3の接触面3c,3dと負極集電体4の集電面部4c及び正極集電体5の集電面部5cとの高荷重下における接合強度が増す。その際、外部からの圧縮力が非常に高くても、リブ3g,3hの先端が圧潰することで高い密着性が担保されることとなる。しかも、隣り合うリブ3g,3hの間に形成される閉ループ状の谷部に上述したシール剤(例えば、アスファルトピッチやタールピッチなどのピッチ剤)が封入されることにもなり、これによっても密封性が向上することとなる。
以上により、長期使用時にあっても、電池モジュールBとして使用されているセルCのケーシング2の密閉性が維持されやすくなり、ケーシング2内の電解液の外部へのリークを防止することとなる。
なお、前述の説明では、枠部材3の接触面3c,3dの双方に閉ループ状のリブ3g,3hが形成されているが、枠部材3の接触面3c,3dのいずれか一方に閉ループ状のリブ3g,3hが形成されてもよい。
[セルの枠部材の材料]
電池モジュールBは複数のセルCを積層方向Xに沿って圧縮して構成されているので、セルCの材料の特性として圧縮降伏強さが重要である。この圧縮降伏強さが圧縮力を下回れば電池モジュールBの圧縮構造を維持できなくなる。また、セルC内の電極体10はケーシング2による標準大気圧以上の圧力への耐性を有する密閉構造を呈しており、標準大気圧における水の沸点100℃以下で圧縮降伏強さが圧縮力を下回るような事態が発生する場合、セルC内が標準大気圧でなくなり、セルCの密閉構造の意味をなさなくなる。そこで、100℃以上でも圧縮降伏強さを維持しているセルCの枠部材3の材料、言い換えると荷重たわみ温度が100℃以上であるセルCの枠部材3の材料であれば、標準大気圧以上の圧力となってもセルCの密閉構造を維持できることとなる。従って、ケーシング2の枠部材3を形成する絶縁素材としては、荷重たわみ温度が標準大気圧における水の沸点100℃以上であり、体積抵抗(Ω・cm)が10の10乗Ω・cm以上であり、かつ絶縁破壊強度(kV/mm)が10kV/mm以上である条件を満足するような、変性ポリフェニレンエーテル(Polyphenylen Ether)の熱可塑性樹脂を採用することとする。なお、変性ポリフェニレンエーテルの他に、前述の条件を満たすような、ポリフェニレンサルファイド(Polyphenylene Sulfide)、ポリスルホン(Polysulfone)、又はポリエーテルスルホン(Poly Ether Sulphone)の熱可塑性樹脂であってもよい。
以下、今回採用するセルCの枠部材3の材料の具体例を図9A、図9Bを用いて説明する。なお、図9Aは、2種類の熱可塑性樹脂の温度と圧縮降伏強さとの関係を表すグラフであり、図9Bは、水の沸点と大気圧との関係を表すグラフである。
図9Aに示すように、熱可塑性樹脂Aの場合、83℃において圧縮降伏強さがなくなるので、荷重たわみ温度が100℃より低い83℃である。つまり、熱可塑性樹脂Aの場合、セルCの内圧が密閉構造により標準大気圧を維持していても、電池温度の上昇により83℃以上となれば、圧縮降伏強さがなくなるので、セルC内の内圧が標準大気圧を維持できなくなる。
一方、熱可塑性樹脂Bの場合、144℃において圧縮降伏強さがなくなるので、荷重たわみ温度が100℃より高い144℃である。つまり、熱可塑性樹脂Bの場合、電池温度が上昇しても、標準大気圧における水の沸点100℃以下で圧縮降伏強さがなくなるような事態が発生することはない。なお、図9Bに示すように、144℃のときの気圧は0.4MPaなので、熱可塑性樹脂Bを採用したセルCの枠部材3の耐圧は0.4MPaである。これにより、例えば、図4に示した圧力調整機構として、セル積層体1の内圧、すなわち各セルCの内圧の総和が0.4MPaに達すると、セルC内のガスを外部に排出するように設計すればよい。
以上により、セルCの枠部材として熱可塑性樹脂Bのような前述の条件を満足する熱可塑性樹脂を採用すれば、電池温度とセルCの内圧とが同時に上昇することによりケーシング2内の電解液が外部へリークすることを防止することができる。
[緩衝部材]
図10は、図5に示すセルCの要部断面図である。図10に示すように、セルCでは、負極集電体4と電極体10との間、及び、正極集電体5と電極体10との間に、それぞれ導電性の緩衝部材50を介在させている。緩衝部材50は、セルCの厚み方向(負極集電体4と正極集電体5の対向方向)に塑性変形可能なシート状の導電性部材である。緩衝部材50は、緩衝シート部51と接触シート部52とが積層されてなる。緩衝シート部51は、厚み方向に塑性変形可能な導電素材(例えば、発泡ニッケル)で形成されており、負極集電体4と正極集電体5とにそれぞれ接するように配置されている。接触シート部52は、平滑な主面を有する導電素材(例えば、ニッケルめっきを施した鋼板や発泡ニッケルのプレス成形品)で形成されており、電極体10の負極11又は正極12の端子部に接するように配置されている。
緩衝部材50は、緩衝シート部51によりセルCの厚み方向の圧力を吸収する機能を果たし、接触シート部52により内部短絡を防止しつつ電極体10との良好な接触性を確保する機能を果たしている。特に、緩衝シート部51のセルCの厚み方向の圧力を吸収する機能によって、セルCの密閉構造を維持しやすくなり、ひいてはリーク防止効果を更に向上させることができる。
なお、図11に示すように、緩衝部材50は、接触シート部52を廃止して緩衝シート部51のみとする構成としてもよい。そうすれば、緩衝部材の構成を簡素化することができる。
(実施の形態2)
[セルの電極体の構造]
本発明の実施の形態2では、実施の形態1のうちケーシング2内に収容する電極体として、前述した実施の形態1におけるプリーツ状の構造を呈した電極体10ではなく、略円筒状の捲回型の構造を呈した電極体100を採用する。
図12Aは本発明の実施の形態2に係るセルの電極体の断面斜視図であり、図12Bは図12Aに示す電極体の平面図である。
電極体100は、負極活物質を含む負極活物質シートからなる負極11と、正極活物質を含む正極活物質シートからなる正極12と、負極11と正極12との間に介在して負極11と正極12とを電気絶縁すると共にその中に含まれる電解液を介してイオンを伝導させるシート状の第1セパレータ13と、第1セパレータ13との間に正極12を挟み込むシート状の第2セパレータ14とを備えている。負極11、第1セパレータ13、正極12及び第2セパレータ14は、この順に密着するように重ね合わされており、電極体100の最外周層が負極11になるように渦巻き状に捲回されている。即ち、第1セパレータ13と第2セパレータ14とは、電極体100の径方向内方に向かって負極11と正極12との間に交互に介在する。
また、電極体100は、その中心に隙間C1が形成されるように捲回されている。
電極体100の最外周に位置しない一方の電極12(本例では正極)の内周面に接する第2セパレータ14は、その捲回方向における外端部14cが、その電極12の捲回方向における外端部12cに比べて捲回方向の外側に突出している。また、電極体100の最外周に位置する他方の電極(本例では負極11)の内周面に接する第1セパレータ13は、その捲回方向における外端部13cが負極11、正極12及び第2セパレータ14に比べて捲回方向の外側に突出し、その突出した外端部13cが、一方の電極(本例では正極12)の外端部12c及び第2セパレータ14の外端部14cを覆っている。
また、電極体100の最内周に位置する一方の電極12(本例では正極)の内周面に接する第2セパレータ14は、その捲回方向における内端部14dが、その電極12の捲回方向における内端部12dに比べて捲回方向の内側に突出している。また、電極体100の他方の電極11(本例では負極)の内周面に接する第1セパレータ13は、その捲回方向における内端部13dが負極11、正極12及び第2セパレータ14に比べて捲回方向の内側に突出している。
以上により、複数の電極体100を並設してケーシング2に収容したときに負極11と正極12との間の短絡が好適に防止されることになる。特に、本例では、正極12が電極体100の最外周層にならないように配置され、その正極12の外端部12cが、第2セパレータ14の外端部14cよりも長く突出した第1セパレータ13の外端部13cにより覆われているので、正極12の他部品への意図しない導通が十分に防止される。なお、ここでは、電極体100の最外周層を負極11としたが正極12としてもよい。
電極体100の軸方向の一端部(図12A中、上方の端部)には、負極11の端子部となる一端部11aが、正極12の一端部12b及びセパレータ13,14の一端部13a,14aよりも突出している。これにより、負極11の一端部11aが、負極集電体4の集電面部4cに接触して電気的に接続される。電極体100の軸方向の他端部(図12A中、下方の端部)には、正極12の端子部となる他端部12aが、負極11の他端部11b及びセパレータ13,14の他端部13b,14bよりも突出している。これにより、正極12の他端部12aが、正極集電体5の集電面部5cに接触して電気的に接続される。また、負極11の他端部11bは、セパレータ13,14の他端部13b,14bよりも軸方向の内方に埋没しており、正極12の一端部12bは、セパレータ13,14の一端部13a,14aよりも軸方向の内方に埋没している。これにより、負極11と正極12との間の短絡が防止されている。
負極11は、導電性の発泡ニッケルやパンチングメタル(Punching Metal)など板状体に水素吸蔵合金粉末(負極活物質)を塗布して発泡ニッケルの細孔に充填し又はコーティングし、乾燥したあと所定の厚みに圧延して形成されている。正極12は、導電性の発泡ニッケルなどの板状体に水酸化ニッケル(正極活物質)を塗布して発泡ニッケルの細孔に充填し、乾燥したあと所定の厚みに圧延して形成されている。第1セパレータ13及び第2セパレータ14は、電気絶縁物質であるポリプロピレン(polypropylene)、ポリエチレン(polyethylene)又はポリアミド(polyamide)などから構成される。また、両セパレータ13,14としては、耐電解液性(耐アルカリ性)を有して多数の空隙が形成された可撓性部材(例えば、不織布又はメッシュ部材など)を用いることが好ましい。なお、電解質としては水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、又はそれらの混合液が使用される。
図12Cは、本発明の実施の形態2に係るセルの電極体のその他の構成例を示す平面図である。図12Cに示すように、電極体110では、電極体110の最外周に位置しない一方の電極12(本例では正極)の内周面に接する第2セパレータ114は、その捲回方向における外端部114cが、その電極12の捲回方向における外端部12cに比べて捲回方向の外側に突出している。また、電極体110の最外周に位置する電極(本例では負極11)の内周面に接する第1セパレータ113が、負極11及び正極12に比べて捲回方向の外側に1周以上にわたって延長されている。即ち、第1セパレータ113の捲回方向外側の延長部113cが保液材として電極体110の最外周を全周覆うように巻かれており、2つの電極11,12のうち外側に位置する電極(本例では負極11)の捲回方向の外端部11cまで覆っている。また、第1セパレータ113及び第2セパレータ114の捲回方向における内側部分は、連結部150aにより、電極体10の最内周に位置する電極12の内端部12dを覆うように互いに連結されている。即ち、本例の第1セパレータ113及び第2セパレータ114は、1つのセパレータ150を使用して構成されている。以上のような構成により、負極11と正極12との間の短絡が防止されている。なお、本実施形態では、延長部113cは、電極体10の外周を概ね1周巻いているが、1周以上であれば複数周巻いてもよい。
[セルの構造]
図13は本発明の実施の形態2に係るセルを示す分解斜視図である。図14は、図13に示す集電体を取り外した状態のセルの平面図である。
図13に示すように、本発明の実施の形態2に係るセルCは、図5に示す本発明の実施の形態1に係るセルCと比べると、ケーシング2の内部空間Sに、負極11、正極12及びセパレータ13,14で構成された略円筒状の捲回型の複数の電極体100が電解液とともに収容されて、負極集電体4と正極集電体5とによりケーシング2の内部空間Sに収容された複数の電極体100が挟持されている点が相違している。
なお、その他の構成(セルの枠部材のリブ、セルの枠部材の材質、及び緩衝部材など)については実施の形態1に係るセルCと同様である。
具体的には、図13及び図14に示すように、枠部材3の接触面3c,3dには、開口部3a,3bを囲むように閉ループ状のリブ3g,3hが複数本(本例では3本)突設されている。リブ3g,3hは、負極集電体4の集電面部4c又は正極集電体5の集電面部5cに向かって先細りした断面略三角形状である。負極集電体4及び正極集電体5が枠部材3の開口部3a,3bを閉鎖した状態では、リブ3g,3hの先端は、負極集電体4の集電面部4c又は正極集電体5の集電面部5cに対して当接する。そして、複数のセルCを積層して電池モジュールBを形成する際に、セルCの厚み方向に外部から圧縮力を加えることで、リブ3g,3hの接触圧が高まることとなる。これにより、閉ループ状のリブ3g,3hが、ケーシング2内の電解液の外部へのリークを防止することとなる。
また、セルCの枠部材3の材料としては、荷重たわみ温度が標準大気圧における水の沸点100℃以上であり、体積抵抗(Ω・cm)が10の10乗Ω・cm以上であり、かつ絶縁破壊強度(kV/mm)が10kV/mm以上を満足するような、変性ポリフェニレンエーテル(Polyphenylen Ether)の熱可塑性樹脂を採用する。これにより、セルCの枠部材3として熱可塑性樹脂Bを採用すれば、電池温度とセルCの内圧とが同時に上昇することによりケーシング2内の電解液が外部へリークすることを防止することができる。
また、図10や図11に示すように、セルCでは、負極集電体4と電極体10との間、及び、正極集電体5と電極体10との間に、それぞれ導電性の緩衝部材50を介在させている。緩衝部材50は緩衝シート部51と接触シート部52とを積層させてなる部材であってもよいし、接触シート部52を廃止して緩衝シート部51のみからなる部材であってもよい。緩衝部材50の緩衝シート部51によって、セルCの厚み方向の圧力を吸収することができ、緩衝部材50の接触シート部52によって内部短絡を防止しつつ電極体100との良好な接触性を確保することができる。
なお、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲でその構成を変更、追加、又は削除することができる。前記各実施の形態は互いに任意に組み合わせてもよく、例えば1つの実施の形態中の一部の構成又は方法を他の実施の形態に適用してもよい。
以上のように、本発明に係る電池は、電解液のリーク防止効果を備えるものであり、この効果の意義を発揮できる、ニッケル水素電池などに広く適用すると有益である。
1…セル積層体
10,100…電極体
2…ケーシング
3…枠部材
3a,3b…開口部
3c,3d…接触面
3g,3h…リブ
4…負極集電体
5…正極集電体
11…負極
12…正極
13,14…セパレータ
23…ガス排出口
30…側面板
31…放熱板
32…側面ボルト
33…上面板
34…下面板
35…圧縮板
37…締付ボルト
39…ケーシング
41…側面絶縁板
44…孔
45…正極端子ボルト
47…モジュール本体
50…緩衝部材
51…緩衝シート部
52…接触シート部
55…集電板
57…絶縁板
59…絶縁板保護板
60…孔
70…圧力調整機構
71…チューブ
73…圧力調整弁

Claims (6)

  1. 正極と負極との間にセパレータを介在させてなる電極体と、
    ケーシング本体と、前記正極に電気的に接続される正極外部端子と、前記負極に電気的に接続される負極外部端子とを有し、前記電極体を電解液とともに収容するケーシングと、
    を備え、
    前記正極外部端子及び前記負極外部端子は、前記ケーシング本体の両側に形成された一対の開口部をそれぞれ閉鎖するように配置され、
    前記ケーシング本体の前記正極外部端子との接触面、及び、前記ケーシング本体の前記負極外部端子との接触面の少なくとも一方の面上には、前記開口部の外周に沿って閉ループを形成する凸部が設けられている、電池。
  2. 前記凸部は、前記正極外部端子又は前記負極外部端子に向かって先細りした形状となっている、請求項1に記載の電池。
  3. 前記ケーシング本体は、荷重たわみ温度が100℃以上、体積抵抗が10の10乗Ω・cm以上、かつ絶縁破壊強度が10kV/mm以上である特性を有した熱可塑性樹脂により構成されている、請求項1又は2に記載の電池。
  4. 前記負極外部端子と前記電極体との間、及び、前記正極外部端子と前記電極体との間の少なくともいずれか一方には、導電性の緩衝部材が介在している、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電池。
  5. 前記セパレータは、プリーツ状であり、
    前記正極及び前記負極は、帯状であり、
    前記電極体は、プリーツ状の前記セパレータを介して、複数の前記負極と複数の前記正極とが、電池の厚み方向に直交する方向へ交互に積層されて対向するよう構成されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電池。
  6. 前記セパレータ、前記正極及び前記負極は、シート状であり、
    前記電極体は、前記正極と前記負極とが前記セパレータを挟んで渦巻き状に捲回されたものである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電池。
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