JP2014002310A - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた低温定着性および耐熱保管性が両立して得られ、かつ、帯電の環境安定性に優れた静電荷像現像用トナーの製造方法の提供。
【解決手段】 シェル樹脂を親水性の有機溶媒に溶解させてなるシェル樹脂溶液に対して水系媒体を添加することにより、当該水系媒体中にシェル樹脂溶液からなる油滴が分散されてなる乳化液を得、当該油滴から前記有機溶媒を除去してシェル樹脂微粒子を得る転相乳化工程と、コア粒子が分散されてなる水系媒体中に前記シェル樹脂微粒子を添加し、前記コア粒子の表面に前記シェル樹脂微粒子を凝集、融着させるシェル層形成工程とを有し、前記シェル樹脂の酸価が15〜30mgKOH/gであり、前記有機溶媒の除去が、前記シェル樹脂のガラス転移点以上、前記シェル樹脂のガラス転移点+30℃以下で行われ、前記シェル樹脂微粒子の粒度分布(CV値)が10〜35%であることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に使用される静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
電子写真方式の画像形成に用いる静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)としては、低温定着性および耐熱保管性が両立して得られるものとして、これを構成するトナー粒子をコア−シェル構造とすることや、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有させることなどが通常の技術となりつつある。
コア−シェル構造のトナー粒子を作製する場合には、乳化凝集法などの水系媒体中で作製する方法を用いることが利便性が高い。然るに、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有させる場合は、ポリエステル樹脂による微粒子が、通常、水系媒体中における安定に分散しないために、凝集させる際のバランスの制御が難しい、という問題がある。このため、ポリエステル樹脂によるシェル層を形成させる場合には、均一なシェル層を形成することが難しく、得られるトナーが低温定着性に優れる一方、耐熱保管性に劣り、これらの両立を図ることが困難であるという問題があった。
このような問題を解決するために、ポリエステル樹脂による微粒子の安定化を図るために、ポリエステル樹脂を親水性の高いものとすること、具体的にはポリエステル樹脂として酸価の高いものを用いることが提案されている(特許文献1参照)。
また、ポリエステル樹脂による微粒子の作製方法として、剪断力を用いずに形成することによって微粉の発生を抑制して微粒子の安定化を図る目的で、転相乳化法を用いる方法が提案されている(特許文献2、3参照)。
しかしながら、特許文献1に開示された方法においては、ポリエステル樹脂の親水性が高くなることによって、得られるトナーの吸湿性が大きくなって帯電の環境安定性の低下が引き起こされる、という問題がある。
また、特許文献2および3に開示された方法においては、ある程度のポリエステル樹脂の微粒子の安定化は得られるが、十分とは言えない。
特開2010−210845号公報 特開2007−57764号公報 特開2008−107375号公報
本発明は、以上の事情に基づいてなされたものであって、その目的は、優れた低温定着性および耐熱保管性が両立して得られ、かつ、帯電の環境安定性に優れた静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することにある。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、樹脂を含有するコア粒子の表面にポリエステル樹脂を含有するシェル樹脂によるシェル層が形成されてなるコア−シェル構造のトナー粒子よりなる静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
シェル樹脂を親水性の有機溶媒に溶解させてなるシェル樹脂溶液に対して水系媒体を添加することにより、当該水系媒体中にシェル樹脂溶液からなる油滴が分散されてなる乳化液を得、当該油滴から前記有機溶媒を除去してシェル樹脂微粒子を得る転相乳化工程と、
コア粒子が分散されてなる水系媒体中に、前記転相乳化工程において得られたシェル樹脂微粒子を添加し、前記コア粒子の表面に前記シェル樹脂微粒子を凝集、融着させるシェル層形成工程とを有し、
前記シェル樹脂の酸価が15〜30mgKOH/gであり、
前記転相乳化工程における前記有機溶媒の除去が、前記シェル樹脂のガラス転移点以上、前記シェル樹脂のガラス転移点+30℃以下で行われ、
前記シェル樹脂微粒子の粒度分布(CV値)が10〜35%であることを特徴とする。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法においては、前記シェル樹脂のガラス転移点が45〜65℃であることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法によれば、特定の酸価を有するシェル樹脂を用いると共に、特定の粒度分布(CV値)を有するシェル樹脂微粒子を用いることにより、ポリエステル樹脂による均一なシェル層が得られ、その結果、優れた低温定着性および耐熱保管性が両立して得られ、かつ、帯電の環境安定性に優れた静電荷像現像用トナーを製造することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
〔トナーの製造方法〕
本発明のトナーの製造方法は、少なくとも樹脂を含有するコア粒子の表面にポリエステル樹脂を含有するシェル樹脂によるシェル層が形成されてなるコア−シェル構造のトナー粒子よりなるトナーを製造する方法であって、シェル樹脂を親水性の有機溶媒に溶解させてなるシェル樹脂溶液に対して水系媒体を添加することにより、当該水系媒体中にシェル樹脂溶液からなる油滴が分散されてなる乳化液を得、当該油滴から前記有機溶媒を除去してシェル樹脂微粒子を得る転相乳化工程と、コア粒子が分散されてなる水系媒体中に、前記転相乳化工程において得られたシェル層を形成するためのシェル樹脂を含有するシェル樹脂微粒子を添加し、コア粒子の表面にこのシェル樹脂微粒子を凝集、融着させるシェル層形成工程とを有する方法である。
そして、本発明に係るトナー粒子を構成するシェル樹脂は、酸価が15〜30mgKOH/gであり、転相乳化工程における有機溶媒の除去が、シェル樹脂のガラス転移点以上、シェル樹脂のガラス転移点+30℃以下で行われ、さらに、シェル樹脂微粒子の粒度分布(CV値)が10〜35%とされる。
本発明においては、特定の酸価を有するシェル樹脂を用いると共に、転相乳化工程における有機溶媒の除去の温度(脱溶媒温度T1)が特定の範囲とされ、特定の粒度分布(CV値)を有するシェル樹脂微粒子を用いることにより、ポリエステル樹脂による均一なシェル層が得られ、その結果、優れた耐熱保管性が確保される。
この理由としては、シェル樹脂の酸価が上記の範囲に規定されていることによってシェル樹脂に親水性が得られ、従って、シェル樹脂微粒子の表面の親水基(カルボキシ基)の表面側への配向性が助長されるために、当該シェル樹脂微粒子の水系媒体中における乳化安定性が図られること、および、脱溶媒温度T1が上記のような温度範囲内にあることによって有機溶媒の除去時に油滴内において親水基の表面側(水系媒体側)への偏在が促進されることによってシェル樹脂微粒子同士の凝集が抑制され水系媒体中におけるシェル樹脂微粒子について一層の乳化安定性が図られること、さらに、シェル樹脂微粒子の粒度分布がシャープであることにより、水系媒体中においてシェル樹脂微粒子同士の凝集が抑制されて各々が互いに距離を介した状態でコア粒子の表面に付着する環境が形成され、その結果、シェル樹脂微粒子がコア粒子の表面に均等に付着するために、均一なシェル層が得られるためと考えられる。
〔シェル樹脂微粒子の形成方法〕
シェル層形成工程に供されるシェル樹脂微粒子は、シェル樹脂を親水性の有機溶媒に溶解させてなるシェル樹脂溶液に対して水系媒体を添加することにより、当該水系媒体中にシェル樹脂溶液からなる油滴が分散されてなる乳化液を得、当該油滴から有機溶媒を除去する転相乳化工程を経て得られるものである。
上記のような転相乳化工程を経て得られたシェル樹脂微粒子は、シャープな粒度分布のものとなる傾向がある。なお、水系媒体中においてシェル樹脂溶液に剪断力を与えて油滴化する方法によっては、シェル樹脂微粒子が多大なストレスを与えられたものとなり、微粉が発生して粒度分布がブロードなものとなる傾向がある。
転相乳化工程は、具体的には、
(1)シェル樹脂を親水性の有機溶媒に溶解させてシェル樹脂溶液を調製するシェル樹脂溶液調製工程
(2)シェル樹脂溶液に水系媒体を徐々に添加していき、当該水系媒体中にシェル樹脂溶液による油滴が分散されてなる乳化液を得る油滴形成工程
(3)油滴から有機溶媒を除去する有機溶媒除去工程
を経て行われる。
以下、各工程について説明する。
(1)シェル樹脂溶液調製工程
〔シェル樹脂〕
本発明に係るシェル樹脂は、ポリエステル樹脂を含有するものであり、その他の樹脂を含有していてもよい。
シェル樹脂において、ポリエステル樹脂と共に含有させることのできる樹脂としては、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
シェル樹脂に含有されるポリエステル樹脂としては、未変性のものを用いてもよいが、特に、ポリエステルセグメントの末端にスチレン−アクリル系重合体セグメントが結合されたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。また、未変性のポリエステル樹脂およびスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を共に用いてもよい。
シェル樹脂にスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂が含有されることにより、水系媒体中におけるシェル樹脂微粒子について、一層の乳化安定性が得られ、確実に均一なシェル層を形成することができる。これは、スチレン−アクリル系重合体セグメントの存在によってポリエステルセグメント間の親和性が低減されてシェル樹脂微粒子同士の凝集が一層抑制されるためであると考えられる。
また、後記に詳述するようにコア粒子を構成するコア樹脂にスチレン−アクリル系樹脂が含有されている場合は、シェル樹脂のスチレン−アクリル系重合体セグメントとコア粒子を構成するスチレン−アクリル系樹脂との間に親和性が得られることにより、コア粒子およびシェル層間に接着力を確保することができるために、コア粒子の表面にシェル樹脂微粒子を緻密に付着させることができて、一層確実に均一なシェル層を形成することができる。
シェル樹脂におけるスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂の含有割合は、シェル樹脂100質量%中において70〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることがさらに好ましい。
シェル樹脂におけるスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂の含有割合が上記の範囲であることにより、コア粒子とシェル層との間に十分な親和性が得られて所望のシェル層を確実に形成することができる。その結果、十分な耐熱保管性、帯電性または耐破砕性を有するコア−シェル構造のトナーを得られるようになる。
スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂におけるスチレン−アクリル系重合体セグメントの含有割合(以下、「スチレン−アクリル変性量」ともいう。)が5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
スチレン−アクリル変性量は、具体的には、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を合成するために用いられる樹脂材料の全質量、すなわち、ポリエステルセグメントとなる未変性のポリエステル樹脂と、スチレン−アクリル系重合体セグメントとなる芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、これらを結合させるための両反応性モノマーを合計した全質量に対する、芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の質量の割合をいう。
スチレン−アクリル変性量が上記の範囲にあることにより、水系媒体中におけるシェル樹脂微粒子について一層の乳化安定性が得られる効果を、確実に得ることができるものと考えられる。
未変性のポリエステル樹脂は、多価カルボン酸モノマー(誘導体)および多価アルコールモノマー(誘導体)を原料として適宜の触媒の存在下で重縮合反応によって製造することができる。
多価カルボン酸モノマー誘導体としては、多価カルボン酸モノマーのアルキルエステル、酸無水物および酸塩化物を用いることができ、多価アルコールモノマー誘導体としては、多価アルコールモノマーのエステル化合物およびヒドロキシカルボン酸を用いることができる。
多価カルボン酸モノマーとしては、例えばシュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸などの二価のカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸などの三価のカルボン酸などを挙げることができる。
多価カルボン酸モノマーとしては、フマル酸、マレイン酸、メサコン酸などの脂肪族不飽和ジカルボン酸を用いることが好ましく、特に、下記一般式(A)で表される脂肪族不飽和ジカルボン酸を用いることが好ましい。
脂肪族不飽和ジカルボン酸とは、分子内にビニレン基を有する鎖状のジカルボン酸をいう。
一般式(A):HOOC−(CR1 =CR2 −COOH
〔式中、R1 、R2 は水素原子、メチル基またはエチル基であって、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1または2の整数である。〕
ポリエステル樹脂に脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位を有する、すなわちシェル樹脂中に不飽和結合が存在することによって、水系媒体中におけるシェル樹脂微粒子について、一層の乳化安定性が得られ、確実に均一なシェル層を形成することができる。これは、不飽和結合の存在によってシェル樹脂が極性の高いものとされるために親水性が得られてシェル樹脂微粒子同士の凝集が一層抑制されるためであると考えられる。
ポリエステル樹脂を構成する多価カルボン酸モノマーにおける脂肪族不飽和ジカルボン酸の使用量は25モル%以上75モル%以下とされることが好ましく、特に30モル%以上60モル%以下であることがより好ましい。
多価アルコールモノマーとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの二価のアルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミンなどの三価以上のポリオールなどを挙げることができる。
上記の多価カルボン酸モノマーと多価アルコールモノマーの比率は、多価アルコールモノマーの水酸基[OH]と多価カルボン酸モノマーのカルボキシ基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]が、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
ポリエステル樹脂を合成するための触媒としては、従来公知の種々の触媒を使用することができる。
ポリエステル樹脂は、用いる多価カルボン酸モノマーおよび/または多価アルコールモノマーとして、カルボン酸価数またはアルコール価数を選択することなどによって、一部枝分かれ構造や架橋構造などが形成されていてもよい。
ポリエステル樹脂としてスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を使用する場合のスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂は、既存の一般的な方法によって得ることができる。
例えば、上記のように重合したポリエステル樹脂をポリエステルセグメントとして用い、当該ポリエステルセグメントに両反応性モノマーを反応させ、さらに、スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合反応させることにより、スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成する方法によって得ることができる。
〔両反応性モノマー〕
スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための両反応性モノマーとしては、ポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマーおよび/または多価アルコールモノマーと反応し得る基と重合性不飽和基とを有するモノマーであればよく、具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸および無水マレイン酸などを用いることができる。
両反応性モノマーの使用割合は、用いられる樹脂材料の全質量、すなわち未変性のポリエステル樹脂、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体および両反応性モノマーの4者の全質量を100質量%としたときの両反応性モノマーの割合が0.1質量%以上5.0質量%以下とされ、特に、0.5質量%以上3.0質量%以下とされることが好ましい。
〔芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体〕
スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、ラジカル重合を行うことができるエチレン性不飽和結合を有するものである。
芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどおよびその誘導体が挙げられる。
これらの芳香族系ビニル単量体は1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどが挙げられる。
これらの(メタ)アクリル酸エステル系単量体は1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、優れた帯電性、画質特性などを得る観点から、スチレンまたはその誘導体を多く用いることが好ましい。具体的には、スチレンまたはその誘導体の使用量が、スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するために用いられる全単量体(芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体)中の50質量%以上であることが好ましい。
〔重合開始剤〕
芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の重合反応においては、ラジカル重合開始剤の存在下で重合を行うことが好ましい。
重合開始剤としては、公知の種々の油溶性ラジカル重合開始剤および水溶性ラジカル重合開始剤が好適に用いられる。具体的には、例えば油溶性ラジカル重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物類;水溶性ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素などが挙げられる。
〔連鎖移動剤〕
また、当該重合反応においては、スチレン−アクリル系重合体セグメントの分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素、α−メチルスチレンダイマーなどを挙げることができる。
連鎖移動剤の添加量は、所望するスチレン−アクリル系重合体セグメントの分子量や分子量分布によって異なるが、具体的には芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体、並びに両反応性モノマーの合計量に対して、0.1〜5質量%の範囲で添加することが好ましい。
〔シェル樹脂の酸価〕
本発明に係るシェル樹脂の酸価は、15〜30mgKOH/gであり、特に20〜25mgKOH/gであることが好ましい。
シェル樹脂の酸価が15mgKOH/g以上であることにより、水系媒体中におけるシェル樹脂微粒子の乳化安定性を図るために十分な親水性が得られる。また、シェル樹脂の酸価が30mgKOH/g以下であることにより、得られるトナーの吸湿性が低く抑制されて帯電の環境安定性が得られる。
一方、シェル樹脂の酸価が過小である場合は、シェル樹脂微粒子の水系媒体中における乳化安定性が低いことに起因して十分に均一なシェル層を形成することができず、得られるトナーに十分な耐熱保管性が得られない。また、シェル樹脂の酸価が過大である場合は、得られるトナーが吸湿性の高いものとなるために帯電の環境安定性に劣るものとなる。
ここに、シェル樹脂の酸価は、シェル樹脂1g中に含有されるカルボキシ基などの遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに必要とされる水酸化カリウム(KOH)のmg数で示されるものであり、当該シェル樹脂の酸価は、試料(シェル樹脂)をベンゼン/エタノール混合溶媒などに溶解させ、濃度既知の水酸化カリウム溶液で滴定し、その中和量から算出される。具体的には、JIS K 0070−1992に準拠して測定される。
シェル樹脂の酸価は、例えば、シェル樹脂に含有されるポリエステル樹脂を形成するための多価カルボン酸モノマーとしてトリメリット酸などの多官能モノマーを用いることにより架橋反応を進行させることや、ポリエステル樹脂の合成時における重合反応に供される多価カルボン酸モノマーと多価アルコールモノマーの構成比を調整すること、あるいは重合反応の条件を変化させることなどによって制御することができる。
〔シェル樹脂の分子量〕
シェル樹脂の分子量は、重量平均分子量(Mw)が7,000〜25,000、数平均分子量(Mn)が1,500〜4,000、分子量分布(Mw/Mn)が2〜15であることが好ましい。シェル樹脂の分子量が上記の範囲にあることにより、耐熱保管性および低温定着性を両立して得られる。
シェル樹脂の分子量は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるものであり、具体的には、以下のように行われる。
すなわち、装置「HLC−8220」(東ソー社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2ml/minで流し、測定試料(シェル樹脂)を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の分子量が6×102 、2.1×103 、4×103 、1.75×104 、5.1×104 、1.1×105 、3.9×105 、8.6×105 、2×106 、4.48×106 のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成する。また、検出器には屈折率検出器を用いる。
〔シェル樹脂のガラス転移点〕
シェル樹脂のガラス転移点は、45〜65℃であることが好ましく、より好ましくは50〜60℃である。
シェル樹脂のガラス転移点が45℃以上であることにより、当該シェル樹脂について高温領域における凝集力が適切なものとなり、定着時にホットオフセット現象を生じることが抑制される。また、シェル樹脂のガラス転移点が65℃以下であることにより、定着時に十分な溶融を得ることができて十分な低温定着性を得ることができる。
一方、シェル樹脂のガラス転移点が過小である場合は、得られるトナーに十分な耐熱保管性および耐ホットオフセット性が得られず、また、シェル樹脂のガラス転移点が過大である場合は、得られるトナーに十分な低温定着性が得られない。
シェル樹脂のガラス転移点は、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418−82に規定された方法(DSC法)によって測定された値である。
〔シェル樹脂の軟化点〕
シェル樹脂の軟化点は、80〜110℃であることが好ましい。
シェル樹脂の軟化点は、以下のように測定されるものである。まず、20℃±1℃、50%±5%RHの環境下において、シェル樹脂1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所社製)によって3820kg/cm2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成し、次いで、この成型サンプルを、24℃±5℃、50%±20%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所社製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetが、シェル樹脂の軟化点とされる。
〔有機溶媒〕
シェル樹脂溶液を調製するための有機溶媒は、シェル樹脂を溶解し、親水性のものであり、かつ、水系媒体中において油滴を形成することができる非水溶性のものである必要があり、さらに、有機溶媒除去工程において有機溶媒を蒸留によって除去し易い低沸点のものを用いることが好ましい。
有機溶媒の具体例としては、例えば酢酸エチル、メチルエチルケトン、ジエチルエーテルなどが挙げられ、この中でも酢酸エチルを用いることが好ましい。
シェル樹脂溶液は、有機溶媒に加えて強アルカリが添加されたものであることが好ましい。
強アルカリが添加されることにより、油滴形成工程においてシェル樹脂溶液による油滴を水系媒体中に分散させる際に、ポリエステル樹脂におけるカルボキシ基が解離して親水基として作用し、コロイド安定機能が発揮されて油滴のより一層の安定化を図ることができる。
強アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム水溶液などが挙げられる。
強アルカリの添加量は、例えば、ポリエステル樹脂のカルボキシ基100モル%に対して、60〜130モル%の範囲であることが好ましい。
シェル樹脂溶液中のシェル樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、15〜60質量%とされることが好ましい。シェル樹脂の含有量が上記の範囲とされることにより、シェル樹脂溶液に適度な粘度が付与され、油滴形成工程において安定したシェル樹脂溶液のコロイド粒子を形成することができる。また、シェル樹脂溶液が適度な粘度を有しているために、水系媒体中において細かく分散させることができ、従って、粒径の小さなシェル樹脂微粒子を形成することができる。
(2)油滴形成工程
シェル樹脂溶液による油滴は、まず、シェル樹脂溶液を撹拌手段を有する容器内へ投入し、次いで、当該シェル樹脂溶液を撹拌した状態の下で水系媒体を滴下混合していくことにより、形成される。具体的には、水系媒体の滴下途中においては容器内の液は白濁化し、水系媒体を全量滴下後、シェル樹脂溶液による粒子(油滴)が分散されてなる乳化液が形成される。
本発明において、「水系媒体」とは、水85〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜15質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを例示することができ、シェル樹脂微粒子を溶解しない有機溶媒が好ましい。
水系媒体は、媒体中に分散安定剤が溶解されたものとして構成されていてもよい。
分散安定剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナなどが挙げられる。また、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、ラウリル硫酸ナトリウムなどの高級アルコール硫酸ナトリウムなど、一般に界面活性剤として使用されるものも分散安定剤として用いることができる。
以上の分散安定剤は、所望に応じて、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
シェル樹脂溶液に対して添加する水系媒体の量は、シェル樹脂溶液100体積%に対して例えば水系媒体30〜300体積%とされることが好ましい。
シェル樹脂溶液に対する滴下混合時間は、例えば10分間〜2時間とすることができる。
乳化液中の油滴の粒径は、有機溶媒を除去した後に得られるシェル樹脂微粒子が所期の粒径となる大きさであればよく、例えば体積基準のメジアン径で50〜250nmとされることが好ましい。
また、乳化液中の油滴の粒度分布(CV値)は、10〜40%であることが好ましい。
乳化液中の油滴の粒度分布(CV値)が上記の範囲であることにより、得られるシェル樹脂微粒子の粒度分布(CV値)を10〜35%の範囲とすることができる。
乳化液中の油滴の体積基準のメジアン径および粒度分布(CV値)は、レーザ回折式粒度分布測定装置「LA−750」(堀場製作所社製)にて測定されるものである。
油滴の体積基準のメジアン径は、公知の種々の方法によって制御することができる。具体的には、シェル樹脂溶液に対する水系媒体の添加量や滴下混合時間、反応系の撹拌速度、水系媒体中の分散安定剤の量、シェル樹脂溶液中のシェル樹脂の含有量、シェル樹脂溶液における強アルカリの添加によるカルボキシ基の解離度などの調整することにより、油滴の体積基準のメジアン径を制御することができる。
(3)有機溶媒除去工程
有機溶媒の具体的な除去方法としては、例えば、水系媒体中に油滴が分散されてなる乳化液を加温すると共に大気圧よりも低い圧力状態とすることにより、有機溶媒の蒸発を促進させる減圧蒸留法などを用いることができる。
有機溶媒除去工程における脱溶媒温度T1は、シェル樹脂のガラス転移点以上、シェル樹脂のガラス転移点+30℃以下であり、特に、シェル樹脂のガラス転移点+5℃以上、シェル樹脂のガラス転移点+20℃以下であることが好ましい。
脱溶媒温度T1が上記のような温度範囲内にあることにより、水系媒体中におけるシェル樹脂微粒子について、一層の乳化安定性が得られ、確実に均一なシェル層を形成することができ、従って、極めて優れた耐熱保管性が得られる。これは、有機溶媒の除去時に油滴内において親水基の表面側(水系媒体側)への偏在が促進されることによってシェル樹脂微粒子同士の凝集が一層抑制されるためであると考えられる。
一方、脱溶媒温度T1がシェル樹脂のガラス転移点未満である場合は、有機溶媒の除去時に油滴内において親水基の表面側への偏在が促進されないために、シェル樹脂微粒子の十分な乳化安定性が得られず、従って均一なシェル層を形成することができずに十分な耐熱保管性が得られない。また、脱溶媒温度T1がシェル樹脂のガラス転移点よりも30℃を超えて高い場合は、水の沸点近傍に加温された状態となるため、水の急激な蒸発に伴うシェル樹脂微粒子間距離の減少によりシェル樹脂微粒子同士の凝集が発生し、従って均一なシェル層を形成することができずに十分な耐熱保管性が得られない。
水系媒体におけるシェル樹脂微粒子の粒径は、体積基準のメジアン径で40〜300nmとされることが好ましく、好ましくは70〜150nmである。
シェル樹脂微粒子の粒径が上記の範囲にあることにより、シェル樹脂微粒子をコア粒子の表面にムラなく付着させ易い。
本発明においては、水系媒体中におけるシェル樹脂微粒子の粒度分布(CV値)は、10〜35%とされており、より好ましくは10〜25%である。
水系媒体中におけるシェル樹脂微粒子の粒度分布(CV値)が上記の範囲であることにより、シェル樹脂微粒子同士の凝集を抑制することができる。また、シェル樹脂微粒子の粒度分布(CV値)が35%を超えてブロードである場合は、水系媒体中においてシェル樹脂微粒子同士の凝集が多く生じてしまうために均一なシェル層を形成させることができない。なお、粒度分布(CV値)が10%未満のシェル樹脂微粒子は作製が困難である。
水系媒体中におけるシェル樹脂微粒子の体積基準のメジアン径および粒度分布(CV値)は、レーザ回折式粒度分布測定装置「LA−750」(堀場製作所社製)にて測定されるものである。
シェル樹脂微粒子の体積基準のメジアン径は、油滴の体積基準のメジアン径を制御することによって制御することができる。
有機溶媒除去工程を経ることにより、水系媒体中にシェル樹脂微粒子が分散されてなるシェル層形成用ラテックスが得られる。
〔トナーの製造方法〕
本発明のトナーの製造方法は、コア粒子が分散されてなる水系媒体中にシェル樹脂微粒子を添加し、コア粒子の表面にシェル樹脂微粒子を凝集、融着させる工程(シェル層形成工程)を有する乳化凝集法を用いればよい。具体的には、水系媒体に分散されたコア粒子の構成材料による微粒子を凝集、融着させてコア粒子を形成し、当該コア粒子の表面にシェル樹脂微粒子を凝集、融着させることによりトナー粒子を作製する方法を用いることができ、特に、コア樹脂としてスチレン−アクリル系樹脂を用いる場合は乳化重合凝集法を用いることが好ましい。
〔コア粒子〕
本発明に係るトナーを構成するコア粒子は、少なくとも樹脂を含有し、着色剤を含有したものであっても、着色剤を含有しないものであってもよい。
コア粒子に含有される樹脂(以下、「コア樹脂」ともいう。)は、シェル樹脂と共にトナーの結着樹脂を構成する。
コア樹脂としては、スチレン−アクリル系樹脂や、その他の公知の種々の樹脂が挙げられるが、特にスチレン−アクリル系樹脂を用いることが好ましい。
コア樹脂としてスチレン−アクリル系樹脂を用いることによって、シェル樹脂にスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を用いた場合にこれらの間に高い親和性が得られて、コア粒子およびシェル層間に接着力を確保することができるために、コア粒子の表面にシェル樹脂微粒子を緻密に付着させることができて、一層確実に均一なシェル層を形成することができる。
トナーを構成する結着樹脂におけるシェル樹脂の含有割合は、結着樹脂全量の5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
結着樹脂におけるシェル樹脂の含有割合が上記の範囲であることにより、耐熱保管性と低温定着性とを十分に両立させたコア−シェル構造のトナーが確実に得られる。
スチレン−アクリル系樹脂を形成するための重合性単量体としては、上記に挙げた芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を挙げることができる。上記の芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体は、それぞれ1種単独で、またはそれぞれ2種以上を組み合わせて用いることができる。
スチレン−アクリル系樹脂を形成するための重合性単量体としては、上記の芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体と共に、以下の重合性単量体を用いることもできる。
(1)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレンなど
(2)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなど
(3)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなど
(4)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなど
(5)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなど
(6)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体など
また、スチレン−アクリル系樹脂を形成するための重合性単量体として、さらに、多官能性ビニル類を用いることにより、架橋構造を有するものを作製することもできる。
多官能性ビニル類としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
さらに、スチレン−アクリル系樹脂を形成するための重合性単量体として、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などのイオン性解離基を有するビニル系単量体を用いることもできる。
カルボキシ基を有するビニル系単量体の具体例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなどが挙げられる。
スルホン酸基を有するビニル系単量体の具体例としては、例えばスチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。
リン酸基を有するビニル系単量体の具体例としては、例えばアシドホスホオキシエチルメタクリレートや3−クロロ−2−アシドホスホオキシプロピルメタクリレートなどが挙げられる。
〔着色剤〕
コア粒子が着色剤を含有したものとして構成される場合の着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などを任意に使用することができる。
カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどを用いることができる。
磁性体としては鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物などを用いることができる。
また、顔料としてはC.I.ピグメントレッド2、同3、同5、同7、同15、同16、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同123、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同208、同209、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー3、同9、同14、同17、同35、同36、同65、同74、同83、同93、同94、同98、同110、同111、同138、同139、同153、同155、同180、同181、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同15:4、同60、中心金属が亜鉛、チタン、マグネシウムなどであるフタロシアニン顔料などを用いることができ、これらの混合物も用いることができる。染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同3、同14、同17、同18、同22、同23、同49、同51、同52、同58、同63、同87、同111、同122、同127、同128、同131、同145、同146、同149、同150、同151、同152、同153、同154、同155、同156、同157、同158、同176、同179、ピラゾロトリアゾールアゾ染料、ピラゾロトリアゾールアゾメチン染料、ピラゾロンアゾ染料、ピラゾロンアゾメチン染料、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95などを用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。
着色剤の数平均一次粒子径は種類により異なるが、概ね10〜200nm程度であることが好ましい。
コア粒子が着色剤を含有したものとして構成される場合のトナーにおける着色剤の含有割合は、結着樹脂に対して1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%である。
本発明に係るトナーを構成するコア樹脂の分子量は、重量平均分子量(Mw)が2,000〜1,000,000、数平均分子量(Mn)が1,000〜100,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜100であることが好ましく、分子量分布(Mw/Mn)は1.8〜70であることがより好ましい。コア樹脂の分子量が上記の範囲にあることにより、トナーに優れた耐ホットオフセット性が得られる。
本発明に係るトナーを構成するコア樹脂のガラス転移点は、30〜70℃であることが好ましく、より好ましくは30〜50℃である。また、軟化点は80〜170℃であることが好ましく、より好ましくは80〜110℃である。
コア樹脂の分子量、ガラス転移点および軟化点は、測定試料としてコア樹脂を用いて上述と同様に測定されるものである。
本発明のトナーの製造方法として乳化重合凝集法を用いる場合の、着色剤を含有するトナーの製造例を具体的に示すと、
(1−1)水系媒体中にシェル樹脂微粒子を分散してなるシェル層形成用ラテックスを調製する転相乳化工程、
(1−2)水系媒体中において、コア樹脂によるコア樹脂微粒子を重合により形成して当該コア樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製するコア樹脂重合工程、
(1−3)水系媒体中に、着色剤による着色剤微粒子が分散されてなる分散液を調製する着色剤微粒子分散液調製工程、
(2)水系媒体中でコア樹脂微粒子および着色剤微粒子を凝集させてコア粒子を形成するコア粒子形成工程、
(3)コア粒子が分散されてなる水系媒体中に、シェル樹脂微粒子を添加してコア粒子の表面にシェル樹脂微粒子を凝集、融着させてシェル層を形成して、コア−シェル構造を有するトナー粒子を形成するシェル層形成工程、
(4)熱エネルギーにより熟成させて、トナー粒子の形状を調整する熟成工程、
(5)トナー粒子の分散系(水系媒体)からトナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する洗浄工程、
(6)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程、
から構成され、必要に応じて、
(7)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程
を加えることができる。
(1−1)転相乳化工程
上述の転相乳化工程によって得られたこのシェル層形成用ラテックスは、そのままの状態でシェル層形成工程に供することができる。
(1−2)コア樹脂重合工程
このコア樹脂重合工程においては、コア樹脂によるコア樹脂微粒子が形成されて、これがコア粒子形成工程に供される。
具体的には、コア樹脂によるコア樹脂微粒子は、臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体中に、コア樹脂を形成するための重合性単量体に必要に応じて離型剤や荷電制御剤などのトナー構成成分を溶解あるいは分散させた単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで、水溶性のラジカル重合開始剤を添加して、液滴中において重合反応を進行させる。なお、前記液滴中に油溶性の重合開始剤が含有されていてもよい。このようなコア樹脂重合工程においては、機械的エネルギーを付与して強制的に乳化(液滴の形成)処理が必須となる。かかる機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリンなどの強い撹拌または超音波振動エネルギーの付与手段を挙げることができる。
このコア樹脂重合工程において形成させるコア樹脂微粒子は、組成の異なる樹脂よりなる2層以上の構成のものとすることもでき、この場合、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)により調製した第1樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する方法を採用することができる。
コア樹脂重合工程において界面活性剤を使用する場合は、例えば上記に挙げた分散安定剤と同様のものを使用することができる。
本発明に係るトナー粒子中には、コア樹脂および着色剤の他に、必要に応じて離型剤や荷電制御剤、磁性粉などの内添剤が含有されていてもよく、このような内添剤は、例えば、このコア樹脂重合工程において、予め、コア樹脂を形成するための単量体溶液に溶解または分散させておくことによってトナー粒子中に導入することができる。
また、このような内添剤は、別途内添剤のみよりなる内添剤微粒子の分散液を調製し、コア粒子形成工程においてコア樹脂微粒子および着色剤微粒子と共に当該内添剤微粒子を凝集させることにより、トナー粒子中に導入することもできるが、コア樹脂重合工程において予め導入しておく方法を採用することが好ましい。
〔離型剤〕
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスのような炭化水素系ワックス類、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル、クエン酸ベヘニルなどのエステルワックス類などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
離型剤としては、トナーの低温定着性および離型性を確実に得る観点から、その融点が50〜95℃であるものを用いることが好ましい。
離型剤の含有割合は、結着樹脂全量に対して2〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜18質量%、さらに好ましくは4〜15質量%である。
〔荷電制御剤〕
また、本発明に係るトナー粒子中に、荷電制御剤を含有させる場合は、荷電制御剤としては、公知の種々のものを使用することができる。
荷電制御剤としては、水系媒体中に分散することができる公知の種々の化合物を用いることができ、具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体などが挙げられる。
トナー粒子中に荷電制御剤を含有させる方法としては、上記に示した離型剤を含有させる方法と同様の方法を挙げることができる。
荷電制御剤の含有割合は、結着樹脂全量に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%とされる。
〔重合開始剤〕
コア樹脂重合工程において使用される重合開始剤としては、上記と同様のものを使用することができる。
〔連鎖移動剤〕
コア樹脂重合工程においては、コア樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては上記と同様のものを使用することができる。
このコア樹脂重合工程において得られるコア樹脂微粒子の平均粒子径は、体積基準のメジアン径で例えば50〜500nmの範囲にあることが好ましい。
なお、体積基準のメジアン径は、「UPA−150」(マイクロトラック社製)を用いて測定したものである。
(1−3)着色剤微粒子分散液調製工程
着色剤微粒子分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中において界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機としては、公知の種々の分散機を用いることができる。
使用される界面活性剤としては、例えば上述の界面活性剤と同様のものを挙げることができる。
この着色剤微粒子分散液調製工程において調製される着色剤微粒子分散液中の着色剤微粒子の分散径は、体積基準のメジアン径で10〜300nmとされることが好ましい。
この着色剤微粒子分散液中の着色剤微粒子の体積基準のメジアン径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」で測定されるものである。
この着色剤微粒子分散液調製工程において界面活性剤を使用する場合は、例えば上記に挙げた分散安定剤と同様のものを使用することができる。
(2)コア粒子形成工程
このコア粒子形成工程においては、必要に応じて、コア樹脂微粒子および着色剤微粒子と共に、離型剤や荷電制御剤などのその他のトナー構成成分の微粒子を凝集させることもできる。
コア樹脂微粒子および着色剤微粒子を凝集、融着させる具体的な方法としては、水系媒体中に凝集剤を臨界凝集濃度以上となるよう添加し、次いで、コア樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、かつ、これら混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することによって、コア樹脂微粒子および着色剤微粒子などの微粒子の塩析を進行させると同時に融着を並行して進め、所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、さらに、必要に応じて粒子形状を制御するために加熱を継続して行う方法である。
このコア粒子形成工程においては、次工程のシェル層形成工程においてより一層均一なシェル層を形成させる目的で、加熱温度を高めに設定し、融着時間を長めに設定して、コア粒子を丸みを帯び、表面が平滑な状態に形状制御することが好ましい。
〔凝集剤〕
このコア粒子形成工程において使用する凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。金属塩としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩などの一価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属塩;鉄、アルミニウムなどの三価の金属塩などが挙げられる。具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、二価の金属塩を用いることが特に好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
コア粒子形成工程において界面活性剤を使用する場合は、界面活性剤として、例えば上記と同様のものを使用することができる。
このコア粒子形成工程において得られるコア粒子の粒径は、例えば体積基準のメジアン径(D50)が2〜9μmであることが好ましく、より好ましくは4〜7μmである。
コア粒子の体積基準のメジアン径は、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)によって測定されるものである。
(3)シェル層形成工程
このシェル層形成工程においては、コア粒子の分散液中にシェル樹脂微粒子を添加してコア粒子の表面にシェル樹脂微粒子を凝集、融着させ、コア粒子の表面にシェル層を被覆させてトナー粒子を形成する。
具体的には、コア粒子の分散液はコア粒子形成工程における温度を維持した状態で上述の転相乳化工程において調製されたシェル層形成用ラテックスを添加し、加熱撹拌を継続しながら数時間かけてゆっくりとシェル樹脂微粒子をコア粒子の表面に凝集、融着させることによってコア粒子の表面に厚さ100〜300nmのシェル層を被覆させてトナー粒子を形成する。加熱撹拌時間は、1〜7時間が好ましく、3〜5時間が特に好ましい。
(4)熟成工程
上記のコア粒子形成工程およびシェル層形成工程における加熱温度の制御によりある程度トナーにおけるトナー粒子の形状の均一化を図ることができるが、さらなる形状の均一化を図るために、熟成工程を経る。
この熟成工程は、加熱温度と時間の制御を行うことにより、トナー粒子の表面を平滑にすると共に均一な形状を有するものとなるよう制御する。具体的には、シェル層形成工程において加熱温度を低めにして樹脂微粒子同士の融着の進行を抑制させて均―化を促進させ、この熟成工程においても加熱温度を低めに、かつ、時間を長くしてトナー粒子を所望の平均円形度となる、すなわち表面が均一な形状のものとなるよう制御する。
(5)洗浄工程〜(6)乾燥工程
洗浄工程および乾燥工程は、公知の種々の方法を採用して行うことができる。
(7)外添剤添加工程
上記のトナー粒子は、そのままトナーとして用いることができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、当該トナー粒子に、いわゆる流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加した状態で使用してもよい。
流動化剤としては、例えば、数平均一次粒子径が10〜1000nm程度の、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化銅、酸化鉛、酸化アンチモン、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸亜鉛、フェライト、ベンガラ、フッ化マグネシウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ジルコニウム、マグネタイト、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム微粒子、ステアリン酸亜鉛などよりなる無機微粒子などが挙げられる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、トナー粒子の表面への分散性向上、環境安定性向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
クリーニング助剤としては、例えば、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の、ポリスチレン微粒子、ポリメチルメタクリレート微粒子、スチレン−メチルメタクリレート共重合体微粒子などの有機微粒子が挙げられる。
外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
これらの外添剤の添加量は、その合計の添加量がトナー粒子100質量部に対して好ましくは0.05〜5質量部、より好ましくは0.1〜3質量部とされる。
外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミルなどの機械式の混合装置を使用することができる。
〔トナー粒子の粒径〕
本発明に係るトナーの平均粒径は、例えば体積基準のメジアン径で3〜8μmであることが好ましく、より好ましくは5〜8μmである。この平均粒径は、製造時において使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、結着樹脂の組成などによって制御することができる。
体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、1200dpiレベルの非常に微小なドット画像を忠実に再現することなどができる。
トナー粒子の体積基準のメジアン径は「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定・算出されるものである。具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を100μmにし、測定範囲である2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメジアン径とされる。
以上のようなトナーの製造方法によれば、特定の酸価を有するシェル樹脂を用いると共に、特定の粒度分布(CV)値を有するシェル樹脂微粒子を用いることにより、ポリエステル樹脂による均一なシェル層が得られ、その結果、優れた低温定着性および耐熱保管性が両立して得られ、かつ、帯電の環境安定性に優れた静電荷像現像用トナーを製造することができる。
〔現像剤〕
本発明に係るトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。本発明に係るトナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる分散型キャリアなど用いてもよい。
キャリアの体積基準のメジアン径としては20〜100μmであることが好ましく、さらに好ましくは25〜80μmとされる。キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
好ましいキャリアとしては、磁性粒子の表面が樹脂により被覆されている樹脂被覆キャリア、樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアを挙げることができる。樹脂被覆キャリアを構成する樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂、フッ素含有重合体系樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばアクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(1)シェル層形成用ラテックスの調製
(1−1)シェル樹脂(スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂)の合成
窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を取り付けた反応容器に、
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 500質量部
テレフタル酸 154質量部
フマル酸 45質量部
オクチル酸スズ 2質量部
を投入し、温度230℃で8時間の重縮合反応を行い、さらに、8kPaで1時間にわたって重縮合反応を継続した後、160℃に冷却することにより、ポリエステル樹脂を形成し、次いで、温度160℃の状態でアクリル酸10質量部を投入し、混合させて15分間保持した後、
スチレン 142質量部
n−ブチルアクリレート 35質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルペルオキサイド) 10質量部
の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下した後、温度160℃を維持した状態で1時間にわたって付加重合反応を行った後、200℃に昇温させ、10kPaで1時間保持することにより、ポリエステルセグメントにスチレン−アクリル系重合体セグメントが結合されたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂(以下、「シェル樹脂〔1〕」という。)を作製した。
このシェル樹脂〔1〕のガラス転移点は58℃、軟化点は98℃であった。また、酸価は22mgKOH/gであった。また、重量平均分子量(Mw)は10,000であった。
(1−2)シェル樹脂微粒子の形成(転相乳化法)
上記のシェル樹脂〔1〕100質量部を、酢酸エチル400質量部に溶解させ、次いで、5.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液25質量部を添加して、シェル樹脂溶液を調製した。このシェル樹脂溶液を撹拌装置を有する反応容器へ投入し、撹拌しながら、0.26質量%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液638質量部を30分間かけて滴下し、混合した。上記ラウリル硫酸ナトリウム水溶液の滴下途中においては反応容器内の液が白濁し、さらに、上記ラウリル硫酸ナトリウム水溶液の全量滴下後においてはシェル樹脂溶液による微粒子(油滴)が均一に分散された乳化液が形成された。当該乳化液中の油滴の体積基準のメジアン径は135nmであった。
次に、上記乳化液を脱溶媒温度T1:70℃に加熱し、ダイヤフラム式真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を使用して、30kPaの減圧下で60分間かけて酢酸エチルを蒸留除去することにより、水系媒体中にシェル樹脂微粒子が分散されたシェル層形成用ラテックス〔1〕を調製した。
シェル層形成用ラテックス〔1〕におけるシェル樹脂微粒子の体積基準のメジアン径(D50)は102nmであり、粒度分布(CV値)は26%であった。
(2)コア粒子形成用ラテックスの調製
(2−1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、温度制御装置、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、予めアニオン性界面活性剤:ラウリル硫酸ナトリウム2.0質量部をイオン交換水2900質量部に溶解させたアニオン性界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
この界面活性剤溶液に重合開始剤:過硫酸カリウム(KPS)9.0質量部を添加し、内温を78℃とした後、
スチレン 540質量部
n−ブチルアクリレート 270質量部
メタクリル酸 65質量部
n−オクチルメルカプタン 17質量部
からなる単量体溶液(1)を3時間かけて滴下し、滴下終了後、溶液を78℃において1時間にわたって加熱・撹拌して重合(第1段重合)を行うことにより、樹脂微粒子〔a1〕の分散液を調製した。
(2−2)第2段重合:中間層の形成
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、
スチレン 94質量部
n−ブチルアクリレート 60質量部
メタクリル酸 11質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
からなる混合液に、離型剤としてパラフィンワックス(融点:73℃)51質量部を添加し、85℃に加温して溶解させて単量体溶液(2)を調製した。
一方、アニオン性界面活性剤:ラウリル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水1100質量部に溶解させた界面活性剤溶液を90℃に加温し、この界面活性剤溶液に上記の樹脂微粒子〔a1〕の分散液を固形分換算で28質量部添加した後、単量体溶液(2)を添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、4時間にわたって混合・分散させることにより、分散粒子径350nmの乳化粒子を含有する分散液を調製した。この分散液に重合開始剤:KPS2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、90℃において2時間にわたって加熱・撹拌して重合(第2段重合)を行うことにより、樹脂微粒子〔a11〕の分散液を調製した。
(2−3)第3段重合:外層の形成
上記の樹脂微粒子〔a11〕の分散液に、重合開始剤:KPS2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、80℃の温度条件下において、
スチレン 230質量部
n−ブチルアクリレート 100質量部
n−オクチルメルカプタン 5.2質量部
からなる単量体溶液(3)を1時間かけて滴下し、滴下終了後、3時間にわたって加熱・撹拌して重合(第3段重合)を行った。その後、28℃まで冷却することにより、水系媒体中にコア樹脂微粒子〔1〕が分散されたコア粒子形成用ラテックス〔1〕を調製した。コア樹脂微粒子〔1〕のガラス転移点は40℃、軟化点は90℃、重量平均分子量は18,000であった。
(3)着色剤微粒子分散液の調製
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌して溶解させ、この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「モーガルL」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子が分散されてなる着色剤微粒子分散液〔1〕を調製した。この着色剤微粒子分散液〔1〕における着色剤微粒子の粒子径を、マイクロトラック粒度分布測定装置「UPA−150」(日機装社製)を用いて測定したところ、117nmであった。
(4)トナーの作製
(4−1)コア粒子形成−シェル層形成−熟成工程
撹拌装置、温度センサー、冷却管を取り付けた反応容器に、コア粒子形成用ラテックス〔1〕を固形分換算で288質量部、イオン交換水2000質量部を投入し、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
その後、着色剤微粒子分散液〔1〕を固形分換算で40質量部投入し、次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。その後、3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて凝集粒子(コア粒子)の粒径を測定し、体積基準のメジアン径(D50)が6.0μmになった時点で、シェル層形成用ラテックス〔1〕72質量部(固形分換算)を、30分間かけて投入した。次いで、反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、昇温を行い、90℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、測定装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定した(HPF検出数:4000個)平均円形度が0.945になった時点で30℃に冷却することにより、トナー粒子〔1〕の分散液を作製した。
(4−2)濾過−洗浄−乾燥工程
上記のトナー粒子〔1〕の分散液を、遠心分離機で固液分離し、トナー粒子のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥した。
(4−3)外添剤添加工程
乾燥されたトナー粒子〔1〕に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量%および疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合することにより、トナー〔1〕を作製した。
<実施例2〜3>
実施例1の(1−2)シェル樹脂微粒子の形成工程において、脱溶媒温度T1をそれぞれ88℃、59℃に変更してシェル層形成用ラテックス〔2〕、〔3〕を得、これを用いたことの他は実施例1と同様にして、トナー〔2〕、〔3〕を作製した。
<実施例4〜5>
実施例1の(1−1)シェル樹脂の合成工程において、用いる多価カルボン酸モノマーと多価アルコールモノマーとの比率を調整することで、シェル樹脂の酸価がそれぞれ15mgKOH/g、28mgKOH/gとなるよう制御してシェル層形成用ラテックス〔4〕、〔5〕を得、これを用いたことの他は実施例1と同様にして、トナー〔4〕、〔5〕を作製した。
<実施例6〜7>
実施例1の(1−1)シェル樹脂の合成工程において、用いる多価カルボン酸モノマーと多価アルコールモノマーとの比率および重縮合反応の時間を調整することで、シェル樹脂のガラス転移点がそれぞれ47℃、65℃となるよう制御してシェル層形成用ラテックス〔6〕、〔7〕を得、これを用いたことの他は実施例1と同様にして、トナー〔6〕、〔7〕を作製した。
<実施例8>
実施例1の(4)トナーの作製工程において、コア粒子形成用ラテックス〔1〕の代わりにコア粒子形成用ラテックス〔2〕を用いたことの他は実施例1と同様にして、トナー〔8〕を作製した。
コア粒子形成用ラテックス〔2〕は、水系媒体中にポリエステル樹脂によるコア樹脂微粒子〔2〕が分散されたものである。コア樹脂微粒子〔2〕のガラス転移点は40℃、軟化点は85℃、重量平均分子量は16,000である。
<比較例1>
実施例1の(1−2)シェル樹脂微粒子の形成工程において、転相乳化法ではなく、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いた機械乳化法を用いてシェル層形成用ラテックス〔8〕を得、これを用いたことの他は実施例1と同様にして、比較用のトナー〔9〕を作製した。
<比較例2〜3>
実施例1の(1−2)シェル樹脂微粒子の形成工程において、脱溶媒温度T1をそれぞれ50℃、96℃に変更してシェル層形成用ラテックス〔9〕、〔10〕を得、これを用いたことの他は実施例1と同様にして、比較用のトナー〔10〕、〔11〕を作製した。
<比較例4〜5>
実施例1の(1−1)シェル樹脂の合成工程において、用いる多価カルボン酸モノマーと多価アルコールモノマーとの比率を調整することで、シェル樹脂の酸価がそれぞれ9mgKOH/g、35mgKOH/gとなるよう制御してシェル層形成用ラテックス〔11〕、〔12〕を得、これを用いたことの他は実施例1と同様にして、比較用のトナー〔12〕、〔13〕を作製した。
<比較例6>
実施例1の(1−2)シェル樹脂微粒子の形成工程において、シェル樹脂〔1〕の代わりに下記のスチレン−アクリル系樹脂を用いてシェル層形成用ラテックス〔13〕を得、これを用いたことの他は実施例1と同様にして、比較用のトナー〔14〕を作製した。
スチレン−アクリル系樹脂は、ガラス転移点が56℃、軟化点が115℃、重量平均分子量が14,000のものである。
<比較例7>
実施例1において、シェル層形成用ラテックス〔1〕の代わりにコア粒子形成用ラテックス〔1〕を用いたことの他は同様にして、比較用のトナー〔15〕を作製した。
以上のトナー〔1〕〜〔15〕の形成に用いたシェル層形成用ラテックスにおけるシェル樹脂微粒子の体積基準のメジアン径(D50)および粒度分布(CV値)を表1に示す。
Figure 2014002310
<現像剤の作製>
フェライト粒子100質量部とシクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂微粒子を5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライト粒子の表面に樹脂コート層を形成し、体積基準のメジアン径が50μmのキャリアを得た。
上記のキャリアに、トナー〔1〕〜〔15〕をトナー濃度が6質量%になるように添加し、ミクロ型V型混合機(筒井理化学器社製)に投入し、回転速度45rpmで30分間混合することにより、現像剤〔1〕〜〔15〕を作製した。
<評価>
上記のトナー〔1〕〜〔15〕および現像剤〔1〕〜〔15〕について、耐熱保管性、低温定着性および帯電の環境安定性を評価した。結果を表2に示す。
(1)耐熱保管性
上記のトナー〔1〕〜〔15〕について、それぞれ、トナー0.5gを内径21mmの10mLガラス瓶に取り、蓋を閉めて、タップデンサー「KYT−2000」(セイシン企業社製)を用いて室温で600回振とうした後、蓋を取った状態で温度55℃、湿度35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物が解砕しないように注意しながらのせて、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調節し、10秒間振動を加えた後、篩上に残存した残存トナー量を測定し、下記式(1)により残存トナー量の比率であるトナー凝集率を算出し、下記の評価基準に従って評価した。なお、トナー凝集率が20質量%以下であれば実使用上問題なく、合格と判断される。
式(1):トナー凝集率(質量%)={残存トナー量(g)/0.5(g)}×100
(2)低温定着性
市販のカラー複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)において、定着装置を、定着上ベルトの表面温度を140〜170℃の範囲で、定着下ローラの表面温度を120〜150℃の範囲で変更することができるように改造したものを用い、評価紙「NPi上質紙128g/m2 」(日本製紙社製)上に、定着速度300mm/secで、トナー付着量11.3g/m2 のベタ画像を定着させる定着試験を、コールドオフセットによる定着不良が観察されるまで、設定される定着温度(定着上ベルトの表面温度)を170℃、165℃、…と5℃刻みで減少させるように変更しながら繰り返し行った。なお、定着下ローラは、常に定着上ベルトの表面温度より20℃低い表面温度に設定した。そして、コールドオフセットによる定着不良が観察されない定着試験の最低の定着温度を定着下限温度として評価した。なお、この定着下限温度が低ければ低い程、低温定着性に優れることを意味し、165℃以下であれば実使用上問題なく、合格と判断される。
(3)帯電の環境安定性
低温低湿環境(温度10℃、湿度15%RH)および高温高湿環境(温度30℃、湿度85%RH)において、「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)にて、C/W比が20%の画像を1000枚連続して形成した後、感光体上のカブリを目視観察すると共に、初期の画像および1000枚目の画像について画像濃度を目視観察して比較した。
−評価基準−
◎:画像濃度の低下およびカブリはいずれも発生していなかった(合格)。
○:画像濃度の低下および/またはカブリが若干発生していたが、実用上問題のないレベルであった(合格)。
×:画像濃度の低下およびカブリが発生し、実用上問題があった(不合格)。
Figure 2014002310
表2から明らかなように、本発明に係る実施例1〜8のトナーは、優れた耐熱保管性および低温定着性が両立して得られ、かつ、帯電の環境安定性に優れることが確認された。一方、比較例1のトナーは耐熱保管性が低いことが確認された。これは、機械乳化法によってシェル層形成用ラテックスを調製したためにシェル樹脂微粒子の粒度分布(CV値)が低く、その結果、均一なシェル層を形成することができないことによると思われる。また、比較例4のトナーも耐熱保管性が低いことが確認された。これは、シェル樹脂の酸価が低すぎるので、シェル樹脂微粒子に高い乳化安定性が得られず、その結果、均一なシェル層を形成することができないことによると思われる。比較例5のトナーは帯電の環境安定性が低いことが確認された。これは、シェル樹脂の酸価が高すぎるので、トナーの吸湿性が高いためであると思われる。

Claims (2)

  1. 樹脂を含有するコア粒子の表面にポリエステル樹脂を含有するシェル樹脂によるシェル層が形成されてなるコア−シェル構造のトナー粒子よりなる静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
    シェル樹脂を親水性の有機溶媒に溶解させてなるシェル樹脂溶液に対して水系媒体を添加することにより、当該水系媒体中にシェル樹脂溶液からなる油滴が分散されてなる乳化液を得、当該油滴から前記有機溶媒を除去してシェル樹脂微粒子を得る転相乳化工程と、
    コア粒子が分散されてなる水系媒体中に、前記転相乳化工程において得られたシェル樹脂微粒子を添加し、前記コア粒子の表面に前記シェル樹脂微粒子を凝集、融着させるシェル層形成工程とを有し、
    前記シェル樹脂の酸価が15〜30mgKOH/gであり、
    前記転相乳化工程における前記有機溶媒の除去が、前記シェル樹脂のガラス転移点以上、前記シェル樹脂のガラス転移点+30℃以下で行われ、
    前記シェル樹脂微粒子の粒度分布(CV値)が10〜35%であることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 前記シェル樹脂のガラス転移点が45〜65℃であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。

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