[実施形態1]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
1.システム
2.ハードウェア構成例
3.機能
4.動作シーケンス
(1.システム)
図1Aは、本発明の一実施形態における位置情報管理システム1を表す。図1Aは、通信装置100、102、104、106、無線端末120、122、124、管理装置140、管理サーバ160、通信装置と無線端末と管理装置とから構成されるネットワーク180及びネットワーク190を有する。ここで、ネットワーク180は、管理装置140によって管理される無線ネットワークである。図1Bは、図1Aにおいて無線ネットワークを構成する通信装置100、102、104、106、無線端末120、122、124、管理装置140を抜き出して示したものである。
通信装置100、102、104、106は、例えば部屋の天井等に固定され、固定された位置に係る、経緯情報、建物の階数及び棟番号のような位置情報(以下「位置情報」とする)そのものを連続的又は断続的に無線送信する。通信装置は、それぞれ独立した筐体を有し、予め設置された電源から給電されて動作するか、あるいはLED蛍光管のような照明器具に組み込まれ、該照明器具から給電されて動作する。通信装置100、102、104、106は、それぞれが保持する位置情報を、無線信号により所定の範囲に送信する。所定の範囲は、用いられる無線信号の信号強度によって定められる。通信装置は、位置の管理対象となる領域をカバーするように配置され、それぞれの領域が重複しないように構成される。あるいは、重複する場合であっても、位置情報を受信する側において、受信電波の強度に基づいて、何れか一つの通信装置が決定できるよう構成される。図1Aの例では、それぞれの通信装置の下方に示される円錐型の点線が、所定の範囲を表している。位置情報を送信する通信方式として、例えば地上補完信号(Indoor Messaging System;IMES)を用いることができる。
無線端末120、122、124は、通信装置100、102、104、106のうち、最寄の通信装置が送信する無線信号を受信することができる。図1Aの例では、それぞれの無線端末は、位置を管理する対象である直方体の管理対象物に付されている。無線端末120、122、124は、自らも電波を送信可能な、例えばアクティブタグのような端末である。以下、無線端末120について説明する。
無線端末120は、通信装置100からの無線信号を受信できる範囲にあり、通信装置100の位置情報を受信する。通信装置100の位置情報の受信は、例えばIMESを用いて行われる。無線端末120は、受信した位置情報と共に、例えばネットワークアドレスのような自らの識別情報を含む情報を通信装置100へ送信する。該送信は、例えばIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)のような近距離無線通信によるネットワーク180を通じて行われる。この場合には、無線端末120の識別情報として、IEEE802.15.4の短縮アドレスまたはIEEE拡張(MAC)アドレスを用いることができる。通信装置100へ送信された識別情報と位置情報は、次に、隣接する通信装置102を経由して、管理装置140に送信される。なお、無線端末120における送受信の動作は、当該無線端末120において予め定められたタイミングか、あるいは、当該無線端末120の備える加速度センサによる加速度の変化が検出されたタイミングで行われる。
管理装置140は、ネットワーク180とネットワーク190とを相互に接続し、ネットワーク180側から送信されたデータをネットワーク190にブリッジする。管理装置140は、例えば建物のフロア毎、または壁などで仕切られた部屋毎に設置される。ネットワーク180がIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)によるPAN(Personal Area Network)であり、ネットワーク190がIEEE802.3規格に基づくLANである場合には、それらの間での通信方式の変換を行う。また、無線端末120の識別情報がIEEE802.15.4の短縮アドレスで表されている場合には、PAN構成時の情報に基づきIEEE拡張アドレスに変換し、管理サーバ160に送信する。
管理サーバ160は、管理装置140を経由して受信された識別情報と位置情報とを、受信日時と共に記録し、通信装置の位置を管理する。管理サーバ160では、無線端末に係る管理対象物が予め記録されている。よって、これらの情報を用いて、管理対象物の所在を探索することができる。
ネットワーク180は、それぞれの通信装置100、102、104、106と、無線端末120、122、124と、管理装置140とを接続する、例えばIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格によって構成されるPANである。PANがIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格で構成される場合は、無線端末、通信装置、管理装置は、それぞれZigBee(登録商標)規格で定められるエンドデバイス機能、ルータ機能及びコーディネータ機能を有する。そして、それぞれの通信装置及び無線端末は、起動時に管理装置の管理下に入り、PANを構成し、管理装置への最小経路が決定される。
ネットワーク190は、管理装置140と管理サーバ160とを接続するネットワークであり、例えばIEEE802.3規格で定められるLANである。
上記の通り、本発明の一実施形態における位置情報管理システム1において、無線端末は、最寄の通信装置と通信できるだけの電力を用いて、識別情報と位置情報とを管理サーバへ送信することができる。また、通信装置を設置するための新たなインフラの敷設が不要であり、導入コストを低減することができる。
なお、通信装置の位置情報は、ネットワーク180を通じて提供されてもよい。これにより、IMESのような位置情報を送信するための送信手段が不要となる。
また、無線端末は、位置情報を送信した通信装置よりさらに近傍に管理装置が存在する場合には、識別情報と位置情報とを管理装置140に送信してもよい。これにより、最短経路で識別情報と位置情報が管理サーバに送信できる。
また、管理サーバに、管理装置の機能を統合してもよい。これにより、個別の管理装置が不要となる。
また、無線端末は、スマートフォン、PDA、PC又はスマートメータのような、アクティブタグと同等の機能を有する無線端末であってもよい。これにより、タグを付することなく、既存の無線端末の位置情報の管理が可能となる。
また、上述の位置情報に加えて、例えば部屋の中の区画を表す情報のような、より細かな位置を特定する情報を含んでもよい。これにより、より細かな位置管理が可能となる。
また、位置管理対象が人であってもよい。これにより、当該システム1によって人の所在を管理することができる。
また、ネットワーク180は、例えばBluetooth LE、ANT、Z-Wave等の近距離無線通信を用いて構成されてもよい。これにより、多様な無線端末の位置情報を管理することが可能となる。
また、ネットワーク190は、例えばインターネットのような、複数の種類のネットワークを含んでもよい。これにより、ネットワーク180と管理サーバ160との間の物理的な位置に関係なく、無線端末の位置情報を管理することが可能となる。
(2.ハードウェア構成例)
次に、図2A、2B、2C、2Dを用いて、位置情報管理システム1に含まれる通信装置100、無線端末120、管理装置140、管理サーバ160のハードウェア構成について説明する。
図2Aは、本発明の一実施形態における通信装置100のハードウェア構成を表す。通信装置100は、CPU200、RAM202、ROM204、位置信号送信制御部206、位置信号送信部208、無線通信制御部210、無線通信部212及びバス214を有する。
CPU200は、当該通信装置100の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM202は、CPU200のワークエリア等を構成する。ROM204は、CPU200が実行するプログラムに加えて、当該通信装置100の位置情報を記憶する。位置信号送信制御部206は、位置信号送信部208を介して当該通信装置100の位置情報を表す測位信号を送信するための処理を実行する。位置信号送信部208は、例えばIMESのような測位信号を送出するアンテナを含む装置である。無線通信制御部210は、無線通信部212を介して無線通信処理を実行する。無線通信部212は、例えばIEEE802.15.4規格に適合する電波を送受信可能なアンテナを含む装置である。バス214は、上記装置を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における通信装置100は、無線端末120に対して位置情報を送信し、無線端末120から識別情報と位置情報を受信し、これらの情報を管理装置を介して管理サーバへ送信することができる。
なお、上述したように、位置情報を無線通信によって送信する場合には、位置信号送信制御部206と位置信号送信部208は不要となる。
図2Bは、本発明の一実施形態における無線端末120のハードウェア構成を表す。通信端末120は、CPU220、RAM222、ROM224、位置信号受信制御部226、位置信号受信部228、無線通信制御部230、無線通信部232、加速度検出制御部234、加速度検出部236及びバス238を有する。
CPU220は、当該無線端末120の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM222は、CPU220のワークエリア等を構成する。ROM224は、CPU220が実行するプログラムに加えて、当該無線端末120の識別情報や、通信装置100から受信した位置情報を記憶する。位置信号受信制御部226は、位置信号受信部228を介して、位置情報を表す測位信号を受信するための処理を実行する。位置信号受信部228は、例えばIMESのような測位信号を受信するアンテナを含む装置である。無線通信制御部230は、無線通信部232を介して無線通信処理を実行する。無線通信部232は、例えばIEEE802.15.4規格に適合する電波を送受信可能なアンテナを含む装置である。加速度検出制御部234は、加速度検出部236を介して加速度の変化を検出する。加速度検出部236は、例えば加速度センサ又は慣性力や磁気を用いたモーションセンサである。バス238は、上記装置を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における無線端末120は、通信装置100から位置情報を受信し、前記位置情報と共に自らの識別情報を通信装置100へ送信することができる。特に、無線端末が動かされたタイミングで送信又は受信の動作を行うことにより、効率的に識別情報及び位置情報を送信することができる。
なお、無線端末120がスマートフォンやPCのような情報端末である場合には、ユーザからの入力を受け付ける、例えばタッチパネル、ダイヤルキー、キーボード、マウスのような入力装置及び対応する入力制御部を備えてもよい。さらに、スクリーンのような表示装置及び対応する表示制御部を備えてもよい。
また、無線端末120がGPSアンテナ及び対応する制御部を備える場合には、前記アンテナを用いてIMESによる測位信号を受信でき、ソフトウェアの改修のみによって当該位置情報管理システム1に対応させることができる。
また、加速度検出制御部234及び加速度検出部236は任意の構成要素である。加速度検出制御部234及び加速度検出部236を備えない場合には、当該無線端末120の送信又は受信の動作は、予め定められた間隔又は時刻においてなされる。
また、上述したように、位置情報が無線通信によって受信される場合には、位置信号受信制御部226と位置信号受信部228は不要となる。
図2Cは、本発明の一実施形態における管理装置140のハードウェア構成を表す。管理装置140は、CPU240、RAM242、ROM244、無線通信制御部246、無線通信装置248、有線通信制御部250、有線通信装置252及びバス254を有する。
CPU240は、当該管理装置140の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM242は、CPU240のワークエリア等を構成する。ROM244は、CPU240が実行するプログラムや該プログラムが使用するデータを記憶する。無線通信制御部246は、無線通信装置248を介して無線通信処理を実行する。無線通信装置248は、例えばIEEE802.15.4規格に適合する電波を送受信可能なアンテナを含む装置である。有線通信制御部250は、有線通信装置252を介して有線による通信処理を実行する。有線通信装置252は、例えばIEEE802.3規格に適合するネットワークインターフェースを有する装置である。バス254は、上記装置を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における管理装置140は、通信装置100及び無線端末120を含むネットワーク180からの信号を、管理サーバ160を含むネットワーク190へと変換することができる。また、PANを構成するネットワーク180がZigBee(登録商標)である場合には、PANに参加するデバイスを管理するコーディネータの機能を有することができる。
図2Dは、本発明の一実施形態における管理サーバ160のハードウェア構成を表す。管理サーバ160は、CPU260、RAM262、ROM264、HDD266、通信制御部268、通信部270、表示制御部272、表示部274、入力制御部276、入力部278及びバス280を有する。
CPU260は、当該管理サーバ160の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM262は、CPU260のワークエリア等を構成する。ROM264は、CPU260が実行するプログラムや該プログラムが使用するデータを記憶する。HDD266は、当該位置情報管理システム1で用いられる無線端末120の位置を管理するための情報を記憶する。通信制御部268は、通信部270を介して通信処理を実行する。通信部270は、例えばIEEE802.3規格に適合するネットワークインターフェースを有する装置である。表示制御部272は、当該管理サーバ160上で実行される、位置管理に係るプログラムの処理内容に合わせて、表示部274に表示される内容を制御する。表示部274は、例えば液晶ディスプレイやCRTディスプレイのようなディスプレイが含まれる。入力制御部276は、ユーザからの入力を受け付ける、キーボード、マウス等の入力部278からの信号を処理する。バス280は、上記装置を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における管理サーバ160は、無線端末120の位置を管理し、該無線端末120の所在を探索することができる。
なお、HDD266は、テープドライブを含むあらゆる記憶装置であってもよく、あるいは、ネットワークを介してアクセス可能なストレージ領域であってもよい。
また、管理サーバ160は、上述した管理装置140が備える無線通信制御部及び無線通信装置を備え、管理装置140に代えて、その処理を行ってもよい。これにより、管理装置140を別途設ける必要がなくなる。
(3.機能)
図3Aは、本発明の一実施形態における通信装置100の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における通信装置100は、記憶手段300、通信手段304及び制御手段312を有する。
記憶手段300は、当該通信装置100の位置情報302を記憶する。位置情報302を記憶するためのテーブルの例を図4に示す。図4は、階数、緯度、経度、棟番号の項目を含む。階数は、当該通信装置100が設置される建物の階数を表す。緯度及び経度は、当該通信装置100の所在する位置の緯度及び経度を表す。棟番号は、当該通信装置100が設置される建物の棟番号を表す。図4の例では、通信装置100は、ある建物のC棟の16階に所在し、緯度が35.459555、経度が139.387110の地点に所在する。
通信手段304は、位置情報送信手段306、端末情報受信手段308及び端末情報送信手段310を有する。
位置情報送信手段306は、経緯情報、建物の階数、棟番号のような情報を含む位置情報302を、所定の範囲にある無線端末120に対して連続的又は断続的に無線送信する。位置情報302は、例えばIMESに規定されるフォーマットを用いて送信される。
端末情報受信手段308は、無線端末120から送信された識別情報と位置情報とを受信する。
端末情報送信手段310は、無線端末120から送信された識別情報と位置情報とを、管理装置140を介して管理サーバ160へ送信する。ネットワーク180がZigBee(登録商標)規格を用いてなされる場合には、前記送信は、当該通信装置100が保持するルーティング情報を用いて行われる。
制御手段312は、当該通信装置100の動作を制御する。当該通信装置100が無線端末120及び管理装置140とZigBee(登録商標)を用いてPANを構成する場合には、当該通信装置100がルータ機能を提供するよう制御する。
上記構成により、本発明の一実施形態における通信装置100は、位置情報302を保持し、位置情報302を無線端末120に送信し、該無線端末120の識別情報と位置情報を受信して、該識別情報を管理装置140を通じて管理サーバへ送信することができる。
なお、位置情報302は、通信装置100が設置される建物名や、部屋の中の区画を表す情報のような追加の情報を含んでもよい。これにより、より細かな位置管理が可能となる。
図3Bは、本発明の一実施形態における無線端末120の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における無線端末120は、記憶手段320、通信手段326、加速度検出手段332及び制御手段334を有する。
記憶手段320は、識別情報322と位置情報324を有する。識別情報322は、当該無線端末120のネットワークアドレスのような、当該位置情報管理システム1上で無線端末120を特定可能な情報を含む。例えば、ネットワーク180がIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格に基づく場合には、IEEE802.15.4の短縮アドレス又はIEEE拡張(MAC)アドレスを用いることができる。位置情報324は、通信装置100から送信された位置情報302である。位置情報324を記憶するためのテーブルの例を図5に示す。構成は図4と同様である。
通信手段326は、位置情報受信手段328と識別情報送信手段330を有する。
位置情報受信手段328は、通信装置100から送信された位置情報302を受信する。受信された位置情報302は、当該無線端末120の記憶手段320に保持される。
識別情報送信手段330は、当該無線端末120の識別情報322と共に位置情報324を通信装置100に送信する。位置情報322は、例えば図6のようなフォーマットにより無線端末120に送信される。図5のフォーマットでは、階数、緯度、経度、棟番号の各フィールドが、それぞれ9ビット、21ビット、21ビット、8ビットで表現され、IMES規格によって受信したメッセージの該当フィールドを繋げた形とする。各フィールドの表現形式はIMES規格に準ずる。実際には、このフォーマットに加えて、通信方式によって規定されるヘッダやチェックサム情報が付加されて送信される。通信方式として、例えばIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格が用いられる。
加速度検出手段332は、当該無線端末120の加速度の変化を検出する。加速度の変化は、例えば当該無線端末120が移動を開始した時、該移動が停止した時、又は傾きを検出した時等に検出される。検出された加速度の変化は、当該無線端末120の送信又は受信の動作のタイミングを決定するために用いられる。なお、当該加速度検出手段332は任意の構成要素である。
制御手段334は、位置情報受信手段238による位置情報の受信のタイミングと、識別情報送信手段330による識別情報322と位置情報324との送信のタイミングを制御する。送受信のタイミングは、加速度検出手段332による加速度の変化の検出に基づいて決定される。あるいは、当該無線端末120に予め設定された間隔あるいは時刻に基づいて決定されてもよい。また、送信と受信のタイミングは、それぞれ独立して決定されてもよい。さらに、制御手段334は、当該無線端末120が通信装置100及び管理装置140と共にZigBee(登録商標)によりPANを構成する場合には、当該無線端末120がエンドポイント機能を提供するよう制御する。
上記構成により、本発明の一実施形態における無線端末120は、通信装置から位置情報を効率的に受信し、該位置情報と共に識別情報通信装置へ効率的に送信することができる。
なお、無線端末120がスマートフォンやPCのような情報端末である場合には、ユーザからの入力を受け付ける入力手段や、ユーザに情報を提示する表示手段を備えてもよい。これにより、ユーザへの識別情報又は位置情報の提示や、ユーザからの識別情報又は位置情報の入力又は修正が可能となる。
図3Cは、本発明の一実施形態における管理装置140の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における管理装置140は、通信手段340、変換手段346及び制御手段348を有する。
通信手段340は、受信手段342と送信手段344を有する。受信手段342は、ネットワーク180に属する通信装置又は無線端末から送信されたデータを受信する。送信手段344は、当該管理装置140で変換された前記データを、ネットワーク190に属する管理サーバ160へ送信する。ネットワーク180は、例えばIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格に基づくPANである。また、ネットワーク190は、例えばIEEE802.3規格に基づくLANである。
変換手段346は、受信手段342がネットワーク180から受信したデータを、ネットワーク190に適合する形式に変換する。変換されたデータは、送信手段344によって、ネットワーク190を介して管理サーバ160へ送信される。ここで、前記データに含まれる、無線端末120の識別情報が、IEEE802.15.4の短縮アドレスで表されている場合には、PAN構成時の情報に基づき、IEEE拡張アドレスに変換される。
制御手段348は、当該管理装置140の動作を制御する。当該管理装置140が通信装置100と無線端末120と共にZigBee(登録商標)規格によりPANを構成する場合には、当該管理装置140がコーディネータ機能を提供するよう制御する。
上記構成により、本発明の一実施形態における管理装置140は、通信装置100及び無線端末120が属するネットワーク180と、管理サーバが属するネットワーク190との間の通信をブリッジすることができる。
図3Dは、本発明の一実施形態における管理サーバ160の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における管理サーバ160は、通信手段360、記憶手段366、入力手段370、表示手段372及び制御手段374を有する。
通信手段360は、受信手段362と送信手段364を有する。受信手段362は、管理装置140を通じて無線端末から送信された識別情報と位置情報とを受信する。受信された識別情報と位置情報は、記憶手段366に記憶される。送信手段364は、外部サーバ等に対して位置情報の提供を求められた場合に、該位置情報を前記外部サーバ等に送信する。
記憶手段366は、位置管理情報368を有する。位置管理情報368は、無線端末120から受信した識別情報と位置情報に、受信時刻等の管理情報を付加した情報である。該情報を記憶するテーブルの例を図7に示す。図7は、識別情報、機器名、所有部署、緯度、経度、階数、棟、受信日時の項目を有する。識別情報は、当該識別情報を送信した無線端末120の、例えばIEEE拡張アドレスのような情報である。緯度、経度、階数、棟は、識別情報と共に受信された位置情報に対応する。受信日時は、管理サーバ160が当該情報を受信した日時である。機器名は、当該情報を送信した無線端末120が付される管理対象の名前又は無線端末120の機器名である。所有部署は、当該情報を送信した無線端末120を所有する部署名である。機器名及び所有部署の情報は、予め当該管理サーバ160によって、識別情報と関連付けられている。
入力手段370は、ユーザが位置情報を探索するために、ユーザからの入力を受け付ける。
表示手段372は、ユーザが位置情報を探索するための検索画面に係るGUIを画面上に表示する。検索画面の例を図9Aに示す。図9Aに示された「所在検索システム」では、記憶手段366に記憶された情報を元に、無線端末に係る所有部署と機器名を画面に一覧表示する。ユーザが、検索したい機器のチェックボックスを入力手段370を通じて選択すると、チェックマークが付される。検索したい機器に全てチェックマークを付けた後に「検索実行」ボタンを選択すると、検索が実行され、結果を表示する画面に切り替わる。図9Aの例では、ユーザが「営業1課」が所有する「UCS P3000」という機器を対象として検索を実行する例を示している。図9Bは、その検索結果の画面の例である。「検索実行」ボタンが選択されると、表示手段372は、記憶手段366に記憶されたデータを元に、「UCS P3000」が所在する「A棟4階」のフロア図と、その機器名及び受信日時を表示する。
制御手段374は、当該管理サーバの動作を制御する。
上記構成により、本発明の一実施形態における管理サーバ160は、無線端末の位置を管理し、その所在を検索することができる。特に、無線端末の位置そのものを表す情報そのものを直接受信して管理することができ、位置の探索にかかる計算量を低減することができる。
なお、管理サーバ160は、管理装置160の有する変換手段346、制御手段348及び受信手段342と同様の機能を有し、管理装置160と同様の機能を有してもよい。これにより、管理装置160を個別に設ける必要がなくなる。
また、管理サーバ160によって記憶される位置管理情報368は、図7に示された情報と共に、あるいは該情報に代えて、無線端末が情報を送信した日時、経由した通信装置又は管理装置の識別子、情報の到着までにかかった時間又は電界強度を含む情報を記憶してもよい。これにより、より詳細な条件で位置情報を管理することができる。
また、管理サーバ160は、無線端末の過去の位置情報を記録してもよい。これにより、無線端末の移動を追跡することができる。
(4.動作シーケンス)
図8は、図1の構成における本発明の一実施形態における位置情報管理システム1の動作シーケンスを表す図である。図8では、加速度の変化を検知すると位置情報を受信し、識別情報を送信する通信装置100と、該通信装置100の属する領域に位置情報を送信する無線端末120と、PAN(IEEE802.15.4及びZigBee(登録商標))とLAN(IEEE802.3)とをブリッジする管理装置140と、管理サーバ160とで構成される例について説明する。通信装置100と、無線端末120と、管理装置140との間のPANは既に確立されているものとする。
ステップS800において、通信装置100は、IMES等を用いて位置情報を連続的又は断続的に送信する。
ステップS802において、無線端末120は、加速度の変化を検知する。
ステップS804において、無線端末120は、通信装置100から送信される位置情報を受信する。
ステップS806において、無線端末120は、受信された位置情報を記憶する。
ステップS808において、無線端末120は、識別情報と位置情報を通信装置100へ送信する。
ステップS810において、通信装置100は、無線端末120から受信した識別情報と位置情報とを最小経路を通じて管理装置へ送信する。
ステップS812において、管理装置140は、通信装置100から受信した識別情報と位置情報を含む、ネットワーク180から送信されたデータをネットワーク190で適合する形式へと変換する。
ステップS814において、管理装置140は、ネットワーク190に適合する形式に変換された識別情報と位置情報を管理サーバ160へ送信する。
ステップS816において、管理サーバ160は、管理装置から受信した識別情報と位置情報を、識別情報に対応する無線端末の情報と共に登録する。
以上の手順により、本発明の一実施形態における位置情報管理システム1は、無線端末が最寄の通信装置に対して効率よく識別情報と位置情報とを送信することにより、無線端末の消費電力を抑えることができる。
なお、既に述べたように、管理サーバ160が管理装置140の機能を統合して実行してもよい。この場合には、別個の管理装置140を設置する必要がなくなる。
また、無線端末が加速度検出手段332を備えていない場合には、ステップS802は実行されず、ステップS804における位置情報の受信は、所定の時刻又は所定の間隔で行われ得る。その後の処理は、ステップS806〜S816と同様である。
[実施形態2]
次に、実施形態2について説明する。
これまで説明してきたように、上述の実施形態に係る位置情報管理システム1によれば、管理サーバ160は、例えば、画面上(例えば、図9B)において、無線端末の位置(所在)を管理することが可能である。
ここで、無線端末120であるアクティブタグを、例えば社員証など、人が常時携帯する携帯物等に対し付しておくことを考える。又は、上述したように、無線端末120(上述の無線端末122、124を含む)は、アクティブタグそのものではなく、スマートフォン、PDA、PC又はスマートメータのような、アクティブタグと同等の機能を有する無線端末であってもよい。そして、無線端末120が例えばスマートフォンである場合、通常、スマートフォンは、ユーザ(人)により所持されるものである。
この点に着眼し、マップ上、人が所持する無線端末120(例えば、アクティブタグやスマートフォン)から取得した一連の位置情報の点を、時系列に線としてつなぎ合わせることで、無線端末120を所持する人の行動を動線として表示することが可能である。即ち、上述の実施形態に係る位置情報管理システム1を、いわば人に対する行動を管理するシステムへと応用しうる。
図10は、本発明の一実施形態におけるユーザ動線の表示画面例(その1)を示す。図に示されるように、位置情報管理システム1において、マップ上、人が所持する無線端末120の位置点を、例えば所定間隔毎(例えば、数秒毎)に取得し、取得した位置点を取得時間とともに表示したものがユーザ動線である。
このように、位置情報管理システム1を、人に対する行動を管理するシステムへと応用すると、例えば、入場が厳しく制限されている制限スペース、制限フロアなどにおいて、管理室等の管理サーバ160のモニタ等から、入場者の行動を逐一管理することができる。また他には、例えば、デパート等において、来店客の行動を逐一追跡することにより、店舗レイアウトの最適化やマーケティングのデータとして利用できる。
このような制限スペースや制限フロアでは、IMES等を用いて位置情報を連続的又は断続的に送信する通信装置100が、一定の間隔毎に、天井等に取り付けられている。人が所持する無線端末120は、天井等の通信装置100から位置情報を受信し、受信した位置情報を記憶するとともに、自身の識別情報と、受信した位置情報を通信装置100へ送信する。そして、最終的に、管理サーバ160が、識別情報と位置情報を受信することで、無線端末120の位置(所在)、ひいてはその動線を管理することが可能である。
図11は、本発明の一実施形態におけるユーザ動線の表示画面例(その2)を示す。図10は、一フロア上のマップ表示形態であるのに対し、図11は、複数階層上のマップ表示形態である。位置情報管理システム1においては、いうまでもなく、各階の例えば天井等には、位置情報を送信する通信装置100が天井等に取り付けられている。このため、管理対象の制限スペースや制限フロアが、エスカレータ、階段、エレベータ等を使用し、ユーザが各階に移動可能な構造になっている場合、複数階層フロアを跨いで動線を管理することも可能である。管理サーバ160は、図10及び図11のマップ表示形態を、任意に切り替えて表示することもできる。
(ユーザ動線の表示処理)
図12は、本発明の一実施形態におけるユーザ動線の表示処理を説明するフローチャートである。なお、前提として、上述したように、管理サーバ160の記憶手段366は、位置管理情報368を有し、位置管理情報368には、ユーザの所持する無線端末120から受信した識別情報と位置情報が、受信時刻とともに記憶されているものとする(例えば、図13)。但し、「機器名」に代え、「所持者」等の項目が設けられ、無線端末120を所持するユーザ名等が管理される。また、いうまでもなく、管理サーバ160は、フロアのマップを有する。
S1200において、管理サーバ160の表示手段327は、ユーザ動線表示要求の有無を判定する。具体的に、管理サーバ160の入力手段370を通じて、ユーザからユーザ動線表示するための操作が行われた際、ユーザ動線表示要求有りと判断できる。
図14は、本発明の一実施形態におけるユーザ動線表示のための操作画面例を示す。図に示されるように、ユーザは、ユーザ動線を表示したいユーザ、時刻を指定する。なお、ユーザ動線表示要求は、動線を表示したいユーザ(ユーザが所持する無線端末120)、対象となる指定時刻などのパラメータを含むものとする。
S1210において、管理サーバ160の表示手段327は、指定時刻内の、動線を表示したいユーザ(ユーザが所持する無線端末120)の位置情報を、時刻とともに取得する。
具体的に、例えば図13を参照し、指定時刻内を満たす「受信日時」を有するレコードを抽出し取得する。そしてさらに、このうち、ユーザ動線を表示したいユーザで特定される「ユーザ名」を有するレコードを抽出し取得する。
S1220おいて、管理サーバ160の表示手段327は、時系列に、位置情報をソートする。
図15は、本発明の一実施形態における位置情報のソート表例を示す。図の場合、位置管理情報368(図13)から、ユーザ「user001」について、「2012/3/29 15:00:00-15:00:30」の時刻内のレコードが抽出され、時系列に、その位置情報がソートされる。
S1230おいて、管理サーバ160の表示手段327は、ソート結果に従って、マップ上、位置情報を描画する(例えば、図10、11)。より具体的に、マップ上、ソート結果の時系列順に、位置情報をプロットしてゆき、プロット点を線等で接続することにより、ユーザ動線を描画する。なお、ユーザ動線の描画方法として、位置情報のプロット点を線等で接続するほか、障害物等の存在を考慮して、物理的に人が通過可能な動線か否かを判定することにより、より精度の高いユーザ動線を描画することもできる。
以上により、管理サーバ160において、マップ上、指定されたユーザ(人が)所持する無線端末120の位置点を取得時間とともに表示したユーザ動線が表示される。これにより、位置情報管理システム1において、人に対する行動を逐一管理可能なシステムとして応用することができる。
(ユーザ動線の補正)
次に、管理サーバ160の動線の補正について説明する。
図16は、動線の補正が必要となるケース1を示す。(a)は、実際にユーザ(人)の移動した様子を示したものである。ユーザは、実際、C棟16階からエスカレータを通過して、直進移動したものとする。
これに対し、(b)は、管理サーバ160が、ユーザの所持する無線端末120に基づく位置情報から作成し表示したユーザ動線を示す。このユーザ動線によれば、ユーザは、C棟16階からエスカレータを使用して、17階に移動し、その後、突如、16階を直進移動したものとして表示されている。
上述したように、ユーザの所持する無線端末120は、天井等に設置されている通信装置100から位置情報302を受信する。そして、管理サーバ160は、無線端末の識別情報322と、無線端末120が通信装置100から受信した位置情報324とを受信することにより、無線端末120の位置情報を管理し、またユーザ動線を表示する。
しかしながら、(a)のように、各フロア間に吹き抜け構造が存在する場合には、上階と下階の天井等に設置されている通信装置100から送信される位置情報が、例えば、反射等の不測の出来事により、無線端末120が実際に位置する通信装置100から位置情報を受信できず、代わりに、意図しない位置情報を受信してしまう場合がある。
再び図16を参照し、例えば、17階に設置される通信装置100−6及び通信装置100−7の送信する位置情報は、吹き抜けを通じて、意図せず、16階でも受信される可能性がある。(b)の場合、無線端末がエレベータ横の16階において、通信装置100−6の送信する位置情報を受信した場合、管理サーバ160は、無線端末120の位置は17階であると把握した結果、(b)のようなユーザ動線が表示されることになる。なお、この場合、本来的に正しくは、無線端末は、エレベータ横の16階において、通信装置100−3の送信する位置情報を受信すべきである。
ここで、仮に、無線端末120が複数の位置情報を受信した場合には、位置情報の受信強度(電波強度)が最も強い位置情報を採用することも考えられるが、建物内では、送信された位置情報は反射などにより、単純に受信強度のみで通信装置の距離を把握することは困難である(物理的に近い通信装置が常に強度が強いとは限らない)。
なお、言うまでもなく、原則的には、無線端末は、エレベータ横の16階においては、通信装置100−2及び通信装置100−3の送信する位置情報を受信可能なように、通信装置100−2及び通信装置100−3は設置され、本来の正しい位置情報が受信される。しかしながら、ときに、無線端末120が意図しない通信装置100−5や通信装置100−6などから位置情報を受信した場合、上述のようなユーザ動線が表示されてしまうことになる。
図17は、動線の補正が必要となるケー2を示す。(a)は、実際にユーザ(人)の移動した様子を示したものである。ユーザは、実際、C棟16階を通過して、直進移動したものとする。なお、本例では、エスカレータや階段は存在せず、16階と17階の間は吹き抜け構造となっている。
これに対し、(b)は、管理サーバ160が、ユーザの所持する無線端末120に基づく位置情報から作成し表示したユーザ動線を示す。このユーザ動線によれば、ユーザは、C棟16階から、空間を通って17階に移動し、その後、突如、16階に移動したものとして表示されている。
例えば、17階に設置される通信装置100−5や通信装置100−6の送信する位置情報は、吹き抜けを通じて、16階でも受信される可能性がある。(b)の場合、無線端末が16階において、吹き抜けを通過して送信されてきた通信装置100−6の送信する位置情報を受信した場合、管理サーバ160は、無線端末120の位置は16階であると把握した結果、(b)のようなユーザ動線が表示されることになる。なお、この場合、本来的に正しくは、無線端末は、16階において、通信装置100−3の送信する位置情報を受信すべきである。
(ユーザ動線の表示処理:動線補正あり)
図18は、本発明の一実施形態におけるユーザ動線の表示処理(動線補正あり)を説明するフローチャートである。なお、動線補正ありの場合には、図12を比べ、S1221が追加される。また、前提として、管理サーバ160の記憶手段366は、位置管理情報368を有し、位置管理情報368には、ユーザの所持する無線端末120から受信した識別情報と位置情報が、受信時刻とともに記憶されているものとする(例えば、図13)。
S1200において、管理サーバ160の表示手段327は、ユーザ動線表示要求の有無を判定する。
S1210において、管理サーバ160の表示手段327は、指定時刻内の、動線を表示したいユーザ(ユーザが所持する無線端末120)の位置情報を、時刻とともに取得する。
S1220おいて、管理サーバ160の表示手段327は、時系列に、位置情報をソートする。
図19は、本発明の一実施形態における位置情報のソート表例を示す。図の場合、位置管理情報368(図13)から、ユーザ「user001」について、「2012/3/29 15:00:00-15:00:20」の時刻内のレコードが抽出され、時系列に、その位置情報がソートされているものとする。
S1221おいて、管理サーバ160の表示手段327は、レコードの矛盾チェックを実施する。この点、以下詳しく説明する。
図20は、本発明の一実施形態におけるレコードの矛盾チェックを説明するフローチャートである。S1221のレコードの矛盾チェックについて説明する。
S1221−1おいて、まず、変数のセットを行う。Nには、ソート表の最大ソートNOをセットする。ここでは、図19を参照し、N=5とする。また、ソートNO変数aには、1をセットし、ソートNO変数bには、2をセットする。
S1221−2おいて、ソートNOが、a及びbのレコードを抽出する。即ち、ソート表のレコードを上から順番に2つ抽出する。ここでは、a=1、b=2であるので、図19を参照し、ソートNO1及び2のレコードを抽出する。
S1221−3おいて、抽出した連続する2つのレコードにおいて、レコード内の「階数」は同一であるか否かを判定する。レコード内の「階数」が同一でない場合、このレコードは、階数(フロア階)が変わった、即ちユーザが階数移動したことを示していることになる。この場合、S1221−4へ進む。
例えば、図19のソートNO1及び2のレコードの「階数」を参照すると、いずれも「階数」は16である。よって、レコード内の「階数」は同一であると判定される。なお、この場合、このレコード間では、階数(フロア階)が変わったことはなく(ユーザが階数移動したことはなく)、同一階内での移動を意味する。
一方、例えば、図19のソートNO2及び3のレコードの「階数」を参照すると、「階数」が16、17となっている。よって、レコード内の「階数」は同一でないと判定される。なお、この場合、このレコード間では、階数(フロア階)が変わったこと(ユーザが階数移動したこと)を意味する。
S1221−4おいて、補正条件テーブルを参照する。図21は、本発明の一実施形態における補正条件テーブルの一例を示す。補正条件テーブルは、ユーザ動線の補正の際に用いられるもので、予め管理者等によって作成されている。
ここで、補正条件テーブルは、大きく、「NO」、「位置情報」(「緯度」、「経度」、「階数」、「棟」を含む)、「移動可能最低時間」を含む。
管理者等は、例えば、吹き抜け等の存在を考慮して、予め位置情報の誤取得が発生する可能性のある「位置情報」を登録しておく。例えば、図16、17の場合、16階に設置される通信装置100−2及び通信装置100−2が送信する位置情報到達地点範囲では、上階(17階)からの位置情報の誤取得の可能性があるため、予め、この地点を登録する。また、17階に設置される通信装置100−5及び通信装置100−6が送信する位置情報到達地点範囲では、下階(16階)からの位置情報の誤取得の可能性があるため、予め、この地点を登録する。
また、「移動可能最低時間」には、その「位置情報」で特定される位置から、別の階へ階数移動する場合に、実際に移動可能な最低時間を登録しておく。例えば、ユーザが16階のその位置から17階へ移動するためには、たとえどのような移動手段を使用しようとも、どんなに早くとも、「移動可能最低時間」として、10秒は必要であるものとする。この場合、「移動可能最低時間」として、10を登録する。
S1221−5おいて、ソートNOaのレコードの「位置情報」(「緯度」、「経度」、「階数」、「棟」)は、補正条件に該当するか否かを判定する。
例えば、a=2、b=3とし、図19のソートNO2及び3のレコードの「階数」が16、17となっている場合を取り上げて説明する。この場合、ソートNO2のレコードの「位置情報」(「緯度」、「経度」、「階数」、「棟」)は、補正条件に該当するか否かを判定する。
まず、ソートNO2のレコードの「位置情報」(「緯度」、「経度」、「階数」、「棟」)は、補正条件テーブル内のNo1と完全に一致する。
次に、階移動の時間が、「移動可能最低時間」内であるか否かを確認する。「移動可能最低時間」は、ユーザが「位置情報」で特定される位置から、別の階へ階数移動する場合、移動可能な最低時間を示す。例えば、ユーザが16階のその位置から17階へ移動するためには、例えどのような移動手段を使用しようとも、どんなに早くとも、「移動可能最低時間」として、10秒は必要である。よって、逆に、10秒以内に、別の階へ階数移動した場合、そのデータは正しくないものとして取り扱える。
具体的に、図19のソートNO2及びソートNO3のレコードを確認すると、両レコードの「受信日時」からすると、5秒間内に16階から17階への移動がなされていることになる(これは現実的にはあり得ない)。つまり、階移動の時間(5秒)が、「移動可能最低時間」内(10秒)である。
以上より、ソートNO2のレコードの「位置情報」(「緯度」、「経度」、「階数」、「棟」)は、補正条件に該当すると判定される。
S1221−6おいて、ソートNOが、bのレコードの「階数」を、aのレコードの「階数」に置換することにより補正する。具体的に、例えば、a=2、b=3の場合、ソートNO3のレコードの「階数」17を、ソートNO2のレコードの「階数」16に置換する。この場合、ソートNO2及びソートNO3のレコードを確認すると、5秒間内に16階から17階への移動がなされていることになるが、これは現実的にはあり得ないため、実際には階移動はなかったものと補正したことになる。
S1221−7おいて、変数の再セットを行う。ソートNOa及びbに対し、それぞれ1加算する。これにより、ソート表の全レコード間について、上述ステップの処理を実行する。
S1221−8おいて、b>Nの判定を行う。ソート表の全レコード間について、上述ステップの処理を実行するためである。b>Nを満たす場合、「END」へ進む(図18のS1230へ進む)。
最後に、再び図18に戻り、S1230おいて、管理サーバ160の表示手段327は、ソート結果に従って、マップ上、位置情報を描画する。
図22は、本発明の一実施形態における位置情報のソート表例(補正後)を示す。図19を比べ、図22の場合、補正によって、ソートNo3及び4のレコードの「階数」が16に補正されている。そして、マップ上、このソート結果の時系列順に、位置情報をプロットしてゆき、プロット点を線等で接続することにより、ユーザ動線を描画することができる。
以上、本実施形態2において、位置情報管理システム1を、人に対する行動を管理するシステムへと応用することができる。これにより、例えば、入場が厳しく制限されている制限スペース、制限フロアなどにおいて、管理室等の管理サーバ160のモニタ等から、入場者の行動を逐一管理することができる。また他には、例えば、デパート等において、来店客の行動を逐一追跡することにより、店舗レイアウトの最適化やマーケティングのデータとして利用できる。
また、建物の各フロア間に吹き抜け構造が存在する場合には、上階と下階の天井等に設置されている通信装置100から送信される位置情報が、例えば、反射等の不測の出来事により、無線端末120が実際に位置する通信装置100から位置情報を受信できず、代わりに、意図しない位置情報を受信してしまう場合がある。このような場合であっても、位置情報管理システム1(管理サーバ160)は、位置情報を補正することにより、受信する位置情報の精度をより向上することが可能である。また、これに伴い、ユーザ動線の表示精度をより向上することが可能である。
[総括]
以上、本実施形態によれば、精度よく、効率的に位置情報を管理する位置情報管理システムを提供することが可能である。なお、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。