JP2014000913A - 駆動力伝達制御装置及び四輪駆動車 - Google Patents

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【課題】伝達トルクの立ち上がり時間を短縮することが可能な駆動力伝達制御装置、及びこの駆動力伝達制御装置を備えた四輪駆動車を提供する。
【解決手段】駆動力伝達制御装置9は、ハウジング6とインナシャフト10との間に配置されたメインクラッチ7と、メインクラッチ7の軸方向の一方に配置された第1のカム機構11と、第1のカム機構11を作動させるトルクを伝達する電磁クラッチ8と、メインクラッチ7の軸方向の他方に配置され、メインクラッチ7のインナクラッチプレート70とアウタクラッチプレート71との間の隙間を詰める第2のカム機構12と、第2のカム機構12を作動させるモータ5と、電磁クラッチ8及びモータ5を制御する制御部92とを備え、制御部92は、第2のカム機構12が作動していない状態で電磁クラッチ8を作動させる第1の動作モードと、第2のカム機構12が作動した状態で電磁クラッチ8を作動させる第2の動作モードとを有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば車両における駆動力の伝達を制御する駆動力伝達制御装置、及び四輪駆動車に関する。
従来の四輪駆動車として、プロペラシャフトとエンジンとの間に噛み合いクラッチを設けると共に、プロペラシャフトと補助駆動輪としての後輪との間に伝達トルクを制御可能なトルクカップリングを設けたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の四輪駆動車は、主駆動輪としての前輪にのみエンジンのトルクを伝達する二輪駆動の走行時において、噛み合いクラッチ及びトルクカップリングによるトルク伝達を遮断することによりプロペラシャフトの回転を停止させ、これによってプロペラシャフトの回転による動力ロスを低減し、もって燃費の改善を図るように構成されている。噛み合いクラッチは、一対の回転部材の噛み合い歯同士を係合させることによりトルクを伝達し、トルクカップリングは、電磁クラッチによって作動するカム機構によって多板クラッチを押圧し、インナクラッチプレートとアウタクラッチプレートとを摩擦係合させることによってトルクを伝達するように構成されている。
また、この特許文献1に記載の四輪駆動車では、噛み合いクラッチ及びトルクカップリングを制御する制御部が、二輪駆動状態から四輪駆動状態への切り替えに要する時間を短縮しながら四輪駆動状態への切り替え時における衝撃や振動を抑制するべく、次のように制御を行う。すなわち、制御部は、二輪駆動状態から四輪駆動状態への切り替え時に、まずトルクカップリングによる伝達トルクを高めてプロペラシャフトの回転速度を上昇させた後、トルクカップリングによる伝達トルクを低減し、この伝達トルクを低減した状態で噛み合いクラッチを係合させる。これにより、噛み合いクラッチを係合させる際にはトルクカップリングによる伝達トルクが低減されているので、プロペラシャフトの回転速度が噛み合いクラッチの係合によって急激に変化しても、その衝撃が車体に伝わることを抑制することができる。
特開2011−255846号公報
ところで、特許文献1に記載の四輪駆動車では、例えば被牽引時におけるインナクラッチプレートとアウタクラッチプレートとの間の引き摺りトルクを低減するため、インナクラッチプレートとアウタクラッチプレートとの間の隙間を広めに確保しておくことが望ましい。しかし、インナクラッチプレートとアウタクラッチプレートとの間の隙間を広くすると、カム機構が作動してからインナクラッチプレートとアウタクラッチプレートとが摩擦係合して伝達トルクが立ち上がるまでに時間がかかるため、プロペラシャフトの回転速度が上昇するのに要する時間が長くなってしまう。このため、二輪駆動状態から四輪駆動状態への切り替えに要する時間の短縮において、さらなる改善の余地があった。
そこで、本発明の目的は、伝達トルクの立ち上がり時間を短縮することが可能な駆動力伝達制御装置、及びこの駆動力伝達制御装置を備えた四輪駆動車を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために、(1)及び(2)の駆動力伝達制御装置及び四輪駆動車を提供する。
(1)相対回転可能な第1及び第2の駆動力伝達部材の間で伝達される駆動力を制御する駆動力伝達制御装置であって、前記第1の駆動力伝達部材に連結される第1の回転部材と、前記第2の駆動力伝達部材に連結され、前記第1の回転部材に対してその回転軸線上で相対回転可能に配置された第2の回転部材と、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間に介在して配置され、前記第1の回転部材に対する相対回転が規制された第1のクラッチプレート及び前記第2の回転部材に対する相対回転が規制された第2のクラッチプレートを有するメインクラッチと、前記メインクラッチの軸方向の一方に配置され、その作動によって前記第1及び第2のクラッチプレートの隙間を詰める隙間詰め機構と、前記メインクラッチの軸方向の他方に配置され、前記第1の回転部材との相対回転が規制された第1のカム部材、及び前記第1のカム部材と所定の角度範囲で相対回転可能な第2のカム部材を有し、前記第1のカム部材と前記第2のカム部材との相対回転によって前記第1のカム部材が前記メインクラッチ側に移動するカム機構と、前記第2のカム部材と前記第2の回転部材との間に配置され、その作動によって前記第2のカム部材に前記第1及び第2のカム部材を相対回転させるトルクを伝達するサブクラッチと、前記隙間詰め機構及び前記サブクラッチを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記隙間詰め機構が作動していない状態で前記サブクラッチを作動させる第1の動作モードと、前記隙間詰め機構が作動した状態で前記サブクラッチを作動させる第2の動作モードとを有する駆動力伝達制御装置。
(2)車両の走行用の駆動力を発生する駆動源と、前記駆動源の駆動力が常時伝達される左右一対の主駆動輪と、走行状態に応じて前記駆動源のトルクが伝達される左右一対の補助駆動輪と、前記駆動源側のトルクを前記補助駆動輪側に伝達するプロペラシャフトと、前記補助駆動輪側の第1の駆動力伝達部材と前記プロペラシャフト側の第2の駆動力伝達部材との間で伝達される駆動力を制御する駆動力伝達制御装置とを備え、前記駆動力伝達制御装置は、前記第1の駆動力伝達部材に連結される第1の回転部材と、前記第2の駆動力伝達部材に連結され、前記第1の回転部材に対してその回転軸線上で相対回転可能に配置された第2の回転部材と、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間に介在して配置され、前記第1の回転部材に対する相対回転が規制された第1のクラッチプレート及び前記第2の回転部材に対する相対回転が規制された第2のクラッチプレートを有するメインクラッチと、前記メインクラッチの軸方向の一方に配置され、その作動によって前記第1及び第2のクラッチプレートの隙間を詰める隙間詰め機構と、前記メインクラッチの軸方向の他方に配置され、前記第1の回転部材との相対回転が規制された第1のカム部材、及び前記第1のカム部材と所定の角度範囲で相対回転可能な第2のカム部材を有し、前記第1のカム部材と前記第2のカム部材との相対回転によって前記第1のカム部材が前記メインクラッチ側に移動するカム機構と、前記第2のカム部材と前記第2の回転部材との間に配置され、その作動によって前記第2のカム部材に前記第1及び第2のカム部材を相対回転させるトルクを伝達するサブクラッチと、前記噛み合いクラッチ、前記隙間詰め機構、及び前記サブクラッチを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記隙間詰め機構が作動していない状態で前記サブクラッチを作動させる第1の動作モードと、前記隙間詰め機構が作動した状態で前記サブクラッチを作動させる第2の動作モードとを有する四輪駆動車。
本発明によると、駆動力伝達制御装置における伝達トルクの立ち上がり時間を短縮することが可能となる。また、四輪駆動車における二輪駆動状態から四輪駆動状態への切り替えに要する時間を短縮することが可能となる。
本実施の形態に係る四輪駆動車の概略の構成を示す構成図。 駆動力伝達装置の構成例を示す分解斜視図。 駆動力伝達装置の断面図。 (a)は、パイロットカム部材におけるメインカム部材との対向面を示す模式図である。(b)は、メインカム部材におけるパイロットカム部材との対向面を示す模式図である。 メインカム部材とパイロットカム部材とが相対回転した状態を示す説明図である。 入力用のカム部材を示し、(a)は斜視図を、(b)は平面図を、(c)は(b)のA−A線断面図をそれぞれ示す。 出力用のカム部材を示し、(a)は斜視図を、(b)は平面図を、(c)は(b)のB−B線断面図をそれぞれ示す。 (a)〜(c)は、第2のカム機構における入力用のカム部材及び出力用のカム部材の動作状態を示す。 制御部が実行する処理の一例を示すフローチャート。
図1は、本実施の形態に係る四輪駆動車の概略の構成を示す構成図である。この四輪駆動車200は、駆動力伝達系201,駆動源としてのエンジン202,トランスミッション203,エンジン202の駆動力が常時伝達される左右一対の主駆動輪としての前輪204L,204R,及び走行状態に応じてエンジン202の駆動力が伝達される左右一対の補助駆動輪としての後輪205L,205Rを備えている。エンジン202は、四輪駆動車200を発進及び加速させる走行用の駆動源の一例であるが、エンジン及び電動モータを駆動源としてもよい。また、エンジンに替えて電動モータを車両の走行用の駆動源としてもよい。
駆動力伝達系201は、四輪駆動車200におけるトランスミッション203側から後輪205L,205R側に至る駆動力伝達経路にフロントディファレンシャル206及びリヤディファレンシャル207と共に配置され、かつ四輪駆動車200の車体(図示せず)に搭載されている。
そして、駆動力伝達系201は、駆動力伝達装置1,プロペラシャフト2,及び噛み合いクラッチ3を有し、四輪駆動車200の四輪駆動状態を二輪駆動状態に、また二輪駆動状態を四輪駆動状態にそれぞれ切り替え可能に構成されている。ここで四輪駆動状態とは、エンジン202の駆動力が前輪204L,204R及び後輪205L,205Rに伝達される状態であり、二輪駆動状態とは、エンジン202の駆動力が前輪204L,204Rのみに伝達される状態である。駆動力伝達装置1の詳細については後述する。
また、四輪駆動車200には、駆動力伝達装置1及び噛み合いクラッチ3を制御する制御装置90が搭載されている。駆動力伝達装置1及び制御装置90は、後輪205L,205Rへのエンジン202の駆動力の伝達を制御する駆動力伝達制御装置9を構成する。
フロントディファレンシャル206は、前輪側のアクスルシャフト208L,208Rに連結されたサイドギヤ209L,209R、サイドギヤ209L,209Rにギヤ軸を直交させて噛合する一対のピニオンギヤ210、一対のピニオンギヤ210を支持するピニオンギヤシャフト211、及びフロントデフケース212を有している。フロントデフケース212は、ピニオンギヤシャフト211,一対のピニオンギヤ210,及びサイドギヤ209L,209Rを収容している。
リヤディファレンシャル207は、後輪側のアクスルシャフト213L,213Rに連結されたサイドギヤ214L,214R、サイドギヤ214L,214Rにギヤ軸を直交させて噛合する一対のピニオンギヤ215、一対のピニオンギヤ215を支持するピニオンギヤシャフト216、及びリヤデフケース217を有している。リヤデフケース217は、ピニオンギヤシャフト216,一対のピニオンギヤ215,サイドギヤ214L,214Rを収容している。
エンジン202は、トランスミッション203及びフロントディファレンシャル206を介して前輪側のアクスルシャフト208L,208Rに駆動力を出力することにより前輪204L,204Rを駆動する。
また、エンジン202は、トランスミッション203,噛み合いクラッチ3,プロペラシャフト2,及びリヤディファレンシャル207を介して一方の後輪側のアクスルシャフト213Lに駆動力を出力することにより一方の後輪205Lを駆動すると共に、トランスミッション203,噛み合いクラッチ3,プロペラシャフト2,リヤディファレンシャル207,及び駆動力伝達装置1を介して他方の後輪側のアクスルシャフト213Rに駆動力を出力することにより他方の後輪205Rを駆動する。
プロペラシャフト2は、噛み合いクラッチ3とリヤディファレンシャル207との間に配置されている。そして、プロペラシャフト2は、エンジン202の駆動力をフロントデフケース212から受けて前輪204L,204R側から後輪205L,205R側に伝達するように構成されている。
プロペラシャフト2の前輪側端部には、互いに噛合するドライブピニオン220及びリングギヤ221からなる前輪側の歯車機構22が配置されている。また、プロペラシャフト2の後輪側端部には、互いに噛合するドライブピニオン230及びリングギヤ231からなる後輪側の歯車機構23が配置されている。
噛み合いクラッチ3は、フロントデフケース212に対して回転不能な第1のスプライン歯部3a、リングギヤ221に対して回転不能な第2のスプライン歯部3b、及び第1のスプライン歯部3aならびに第2のスプライン歯部3bにスプライン嵌合可能なスリーブ3cを有するドグクラッチからなる。スリーブ3cは、制御装置90によって制御される図略のアクチュエータによって、アクスルシャフト208Rに沿って進退移動する。そして、噛み合いクラッチ3は、駆動力伝達経路におけるプロペラシャフト2とエンジン202との間に設けられ、その作動時に第1のスプライン歯部3aと第2のスプライン歯部3bとを相対回転不能に連結し、エンジン202の駆動力をフロントデフケース212を介してプロペラシャフト2に伝達する。
(制御装置90の構成)
制御装置90は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶素子からなる記憶部91と、記憶部91に記憶されたプログラムに従って動作するCPU(Central Processing Unit)等を有する制御部92と、後述する駆動力伝達装置1のモータ5に駆動電流を供給するモータ制御回路93と、同じく後述する駆動力伝達装置1の電磁クラッチ8に励磁電流を供給する電磁クラッチ制御回路94とを有している。制御部92は、モータ制御回路93から出力される駆動電流、及び電磁クラッチ制御回路94から出力される励磁電流を調節することにより、モータ5及び電磁クラッチ8を制御する。また、制御部92は、噛み合いクラッチ3のスリーブ3cを進退移動させるアクチュエータの動作信号を出力し、噛み合いクラッチ3を制御する。
また、制御装置90には、四輪駆動車200の各部の動作状態を検出するセンサ群が接続されている。このセンサ群は、運転者によって操作されるアクセルペダル202aの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ901と、エンジン202の回転数を検出するエンジン回転数センサ902と、トランスミッション203の変速比を検出するギヤセンサ903と、左前輪204L,右前輪204R,左後輪205L,及び右後輪205Rの回転速度を検出する車輪速センサ904〜907と、プロペラシャフト2の回転速度を検出する回転速センサ908とを有して構成されている。
(駆動力伝達装置1の全体構成)
図2は、駆動力伝達装置1の構成例を示す分解斜視図であり、図3は、駆動力伝達装置1の断面図である。図3は、回転軸線Oよりも上側が後述する第2のカム機構12の非作動状態を示し、回転軸線Oよりも下側が第2のカム機構12の作動状態を示す。
駆動力伝達装置1は、車体に固定された装置ケース4内に収容され、電動機であるモータ5,有底円筒状のハウジング6,メインクラッチ7,電磁クラッチ8,筒状のインナシャフト10,第1のカム機構11,及び第2のカム機構12を有して構成されている。
この駆動力伝達装置1及び制御装置90は、リヤディファレンシャル207のサイドギヤ214R(図1に示す)と後輪側のアクスルシャフト213R(図1に示す)との間で伝達される駆動力を制御する。アクスルシャフト213Rとサイドギヤ214Rは、駆動力伝達装置1の非作動時において同軸上で相対回転可能である。アクスルシャフト213Rは、本発明の第1の駆動力伝達部材の一例であり、サイドギヤ214Rは、本発明の第2の駆動力伝達部材の一例である。
インナシャフト10は、アクスルシャフト213Rに相対回転不能に連結されている。ハウジング6は、サイドギヤ214Rに相対回転不能に連結されている。ハウジング6は、インナシャフト10に対して、インナシャフト10の回転軸線O上で相対回転可能である。インナシャフト10は、本発明の第1の回転部材の一例であり、ハウジング6は、本発明の第2の回転部材の一例である。
(装置ケース4の構成)
装置ケース4は、駆動力伝達装置1の収容空間を有するケース本体40、及びケース本体40の開口部を閉塞するケース蓋体41からなる。ケース蓋体41は、複数のボルト42によってケース本体40に取り付けられている。装置ケース4の内部には、図略の潤滑油が封入されている。
ケース本体40には、第2のカム機構12を作動させるモータ5を取り付けるための取付部401を有している。取付部401には、ハウジング6及びインナシャフト10の回転軸線Oと平行な軸線方向に開口する貫通孔401aが設けられている。
(モータ5の構成)
モータ5は、固定子50と、回転軸51と、図略の減速機構とを有している。回転軸51の回転力は、減速機構によって減速され、出力軸52から出力される。モータ5の取付部401に対する取り付けは、位置決めピン531及びボルト532を用いて行われる。出力軸52には、第2のカム機構12にその作動力としての回転力を伝達するための伝達部材54が、連結器55を介して取り付けられている。
伝達部材54は、所定の曲率半径をもつ円弧部541を有し、かつ装置ケース4内に収容されている。円弧部541の外周面には、外歯541aが設けられている。伝達部材54の連結器55への取り付けは、止め輪57を用いて行われる。連結器55の外周面と貫通孔401aの内周面との間には、シール部材58が介在している。
(ハウジング6の構成)
ハウジング6は、円筒部60及び底部61からなる。円筒部60及び底部61は、円筒部60の一端に形成された係合凹部60aに底部61の突起61aが係合して相対回転が規制され、かつ突起61aと円筒部60のフランジ部60bとの間に介在する止め輪62によって底部61が抜け止めされている。
円筒部60の内周面には、回転軸線Oと平行に延びるストレートスプライン嵌合部601が形成されている。底部61は、その中心部に回転軸線Oに沿って延びる軸部611を有し、この軸部611の端部611aにリヤディファレンシャル207のサイドギヤ214R(図1に示す)が連結される。また、底部61には、後述する電磁コイル80と対向する部位に、電磁コイル80による磁束の短絡を防止するステンレス等からなる環状の非磁性リング121a(図3に示す)が設けられている。
(インナシャフト10の構成)
図3に示すように、インナシャフト10は、各外径が互いに異なる第1〜第3の円筒部10a〜10cを一体に有している。第1の円筒部10aは第2の円筒部10bと第3の円筒部10cとの間に形成され、第2の円筒部10bは第1の円筒部10aよりもハウジング6の底部61側に、第3の円筒部10cはその反対側の端部に形成されている。第1の円筒部10aの外径は、第2の円筒部10b及び第3の円筒部10cの外径よりも大きく設定され、第1の円筒部10aと第2の円筒部10bとの間には段差面10dが、第1の円筒部10aと第3の円筒部10cとの間には段差面10eが、それぞれ形成されている。
インナシャフト10には、第1の円筒部10aの外周面に、回転軸線Oと平行に延びるストレートスプライン嵌合部101が形成されている。また、第1の円筒部10aの第2の円筒部10b側の端部には、径方向外側に突出した環状のフランジ部102が形成されている。
また、インナシャフト10は、その内部に潤滑油を封止する栓体30が圧入されると共に、後輪側のアクスルシャフト213R(図1に示す)の先端部を収容するように構成されている。後輪側のアクスルシャフト213Rは、インナシャフト10にスプライン嵌合によって相対回転不能かつ相対移動可能に連結されている。そして、インナシャフト10は、ハウジング6の底部61と第2の円筒部10bとの間に配置された軸受31、及び装置ケース4のケース蓋体41と第3の円筒部10cとの間に配置された軸受32によって回転可能に支持されている。また、第3の円筒部10cと装置ケース4のケース本体40との間には、シール部材33が配置されている。
(メインクラッチ7の構成)
メインクラッチ7は、複数のインナクラッチプレート70及び複数のアウタクラッチプレート71を有する摩擦式の多板クラッチであり、ハウジング6とインナシャフト10との間に介在して配置されている。インナクラッチプレート70及びアウタクラッチプレート71は、回転軸線Oに沿って交互に配置され、それぞれが環状の摩擦板によって形成されている。インナクラッチプレート70は、本発明の第1のクラッチプレートの一例であり、アウタクラッチプレート71は、本発明の第2のクラッチプレートの一例である。
メインクラッチ7は、第1のカム機構11と第2のカム機構12との間に配置されている。すなわち、第2のカム機構12はメインクラッチ7の軸方向の一方に配置され、第1のカム機構11はメインクラッチ7の軸方向の他方に配置されている。
そして、メインクラッチ7は、第1のカム機構11及び第2のカム機構12からの押圧力によりインナクラッチプレート70及びアウタクラッチプレート71のうち互いに隣り合う内外のクラッチプレート同士を摩擦係合させ、またその摩擦係合を解除してハウジング6とインナシャフト10とをトルク伝達可能に連結する。
インナクラッチプレート70は、図2に示すように、その内周部にストレートスプライン嵌合部70aを有し、このストレートスプライン嵌合部70aがインナシャフト10のストレートスプライン嵌合部101に嵌合されている。これにより、インナクラッチプレート70は、インナシャフト10に対する相対回転が規制され、かつインナシャフト10に対して軸方向に相対移動可能に連結されている。また、インナクラッチプレート70には、複数の貫通孔70bが形成されている。
アウタクラッチプレート71は、その外周部にストレートスプライン嵌合部71aを有し、このストレートスプライン嵌合部71aがハウジング6のストレートスプライン嵌合部601に嵌合されている。これにより、アウタクラッチプレート71は、ハウジング6に対する相対回転が規制され、かつハウジング6に対して軸方向に相対移動可能に連結されている。
(電磁クラッチ8の構成)
電磁クラッチ8は、電磁コイル80,アーマチャ81,複数のアウタクラッチプレート82,複数のインナクラッチプレート83,及びヨーク84を有して構成されている。複数のアウタクラッチプレート82と複数のインナクラッチプレート83とは、電磁コイル80とアーマチャ81との間にて、回転軸線Oに沿って交互に配置されている。複数のアウタクラッチプレート82及び複数のインナクラッチプレート83は、磁性体からなる環状の摩擦板によって形成され、それぞれの外周部と内周部との間には、電磁コイル80による磁束の短絡を防止する複数の円弧状の溝が形成されている。電磁クラッチ8は、本発明のサブクラッチの一例である。
電磁コイル80は、磁性体からなるヨーク84に保持され、複数のアウタクラッチプレート82及び複数のインナクラッチプレート83との間にハウジング6の底部61を挟むように配置されている。
アーマチャ81は、その外周部にストレートスプライン嵌合部81aを有し、このストレートスプライン嵌合部81aがハウジング6の円筒部60におけるストレートスプライン嵌合部601に嵌合されている。また、アウタクラッチプレート82は、その外周部にストレートスプライン嵌合部82aを有し、このストレートスプライン嵌合部82aがストレートスプライン嵌合部601に嵌合されている。これにより、アーマチャ81及びアウタクラッチプレート82は、ハウジング6に対する相対回転が規制され、かつハウジング6に対して軸方向に相対移動可能である。
インナクラッチプレート83は、その内周部にストレートスプライン嵌合部83aを有し、このストレートスプライン嵌合部83aが、後述する第1のカム機構11のパイロットカム部材110のストレートスプライン嵌合部110aに嵌合されている。これにより、インナクラッチプレート83は、パイロットカム部材110に対する相対回転が規制され、かつパイロットカム部材110に対して軸方向に相対移動可能である。
ヨーク84は、電磁コイル80を収容する環状の収容空間を有し、ハウジング6の軸部611に軸受34を介して支持され、ピン841によって装置ケース4のケース本体40に回り止めされている。ヨーク84とケース本体40との間にはOリング35が、ヨーク84と軸部611との間にはシール部材36が、それぞれ配置されている。
電磁コイル80は、制御装置90の電磁クラッチ制御回路94(図1に示す)から供給される励磁電流によって作動する。電磁コイル80に励磁電流が供給されると、ヨーク84,ハウジング6の底部61における非磁性リング121aの内周部及び外周部、アウタクラッチプレート82,インナクラッチプレート83,ならびにアーマチャ81を含む磁路Mに磁束が発生し、アーマチャ81が電磁コイル80側に引き寄せられる。これにより、複数のアウタクラッチプレート82と複数のインナクラッチプレート83とが回転軸線O方向に押圧され、摩擦摺動する。これにより、ハウジング6の回転力が複数のアウタクラッチプレート82及び複数のインナクラッチプレート83を介してパイロットカム部材110に伝達される。
(第1のカム機構11の構成)
第1のカム機構11は、パイロットカム部材110、このパイロットカム部材110に回転軸線Oに沿って並列するメインカム部材111、及びこのメインカム部材111とパイロットカム部材110との間に介在する複数の球状の転動部材112を有している。複数の転動部材112は、リテーナ116に保持されている。メインカム部材111は、本発明の第1のカム部材の一例であり、パイロットカム部材110は、本発明の第2のカム部材の一例である。
図4A(a)は、パイロットカム部材110におけるメインカム部材111との対向面を示す模式図である。図4A(b)は、メインカム部材111におけるパイロットカム部材110との対向面を示す模式図である。図4Bは、メインカム部材111とパイロットカム部材110とが相対回転した状態を示す説明図である。なお、図4Bでは、メインカム部材111及びリテーナ116と共に、パイロットカム部材110の後述する突起110cを図示している。
パイロットカム部材110は、その外周部にインナクラッチプレート83のストレートスプライン嵌合部83aに嵌合するストレートスプライン嵌合部110aを有している。また、パイロットカム部材110は、インナシャフト10のフランジ部102との間に配置された針状ころ軸受113によって、回転軸線Oに沿った一方向(底部61側)への移動が規制されている。
パイロットカム部材110には、メインカム部材111との対向面に、複数のカム溝110bが設けられている。この複数のカム溝110bは、その中立位置からパイロットカム部材110の円周方向に沿って軸線方向の深さが漸次浅くなる凹溝によって形成されている。
また、パイロットカム部材110には、周方向に隣り合うカム溝110bの間に複数(本実施の形態では3個)の突起110cが形成されている。この突起110cは、パイロットカム部材110の回転軸と平行に、メインカム部材111側に突出している。
メインカム部材111は、円環板状のクラッチプレート押付部111aを有し、インナシャフト10に回転軸線Oに沿って相対移動可能に配置されている。メインカム部材111には、パイロットカム部材110との対向面に、複数(本実施の形態では6個)のカム溝111bが設けられている。この複数のカム溝111bは、その中立位置からメインカム部材111の円周方向に沿って軸線方向の深さが漸次浅くなる凹溝によって形成されている。
また、メインカム部材111には、回転軸線Oと平行な方向に開口する複数(本実施の形態では6個)の油孔111c、及び複数(本実施の形態では6個)のピン取付孔111dがメインカム部材111の円周方向に等間隔をもって交互に配置されている。
複数のピン取付孔111dのそれぞれには、図2及び図3に示すように、円柱状のガイドピン115が取り付けられている。これらのガイドピン115は、メインカム部材111と、メインカム部材111にメインクラッチ7を挟んで対向する押付部材122との間に介在する復帰用スプリング114のばね力を案内する。復帰用スプリング114は、コイルバネであり、その内周部にガイドピン115を挿通させている。複数のガイドピン115は、その一端がピン取付孔111dに圧入等によって固定され、回転軸線Oに沿って互いに平行となるように配置され、インナクラッチプレート70の貫通孔70bに挿通されている。これにより、復帰用スプリング114のばね力がメインカム部材111及び押付部材122を互いに離間させる方向に作用し、二輪駆動時におけるインナクラッチプレート70及びアウタクラッチプレート71のうち互いに隣り合う2つのクラッチプレート間の隙間を確保する。
また、メインカム部材111には、インナシャフト10を挿通させる内周面に、ストレートスプライン嵌合部101に嵌合するストレートスプライン嵌合部111eが形成されている。これにより、メインカム部材111は、インナシャフト10に対する相対回転が規制され、かつインナシャフト10に対して軸方向に相対移動可能である。
また、メインカム部材111には、周方向に隣り合うカム溝111bの間に複数(本実施の形態では3個)の突起111fが形成されている。この突起111fは、メインカム部材111の回転軸と平行に、パイロットカム部材110側に突出している。
リテーナ116は、リング状の本体部116aと、本体部116aから内方に突出した複数対の第1及び第2の突起116b,116cを有している。本実施の形態では、リテーナ116が6対の第1及び第2の突起116b,116cを有し、第1の突起116bと第2の突起116cとの間に1つの転動部材112が回転可能に保持されている。
パイロットカム部材110がメインカム部材111に対して周方向の一方に相対回転すると、図4Bに示すように、パイロットカム部材110の突起110cがリテーナ116の第1の突起116bに当接すると共に、メインカム部材111の突起111fがリテーナ116の第2の突起116cに当接し、これによりパイロットカム部材110とメインカム部材111との相対回転が規制される。また、パイロットカム部材110がメインカム部材111に対して周方向の他方に相対回転すると、パイロットカム部材110の突起110cがリテーナ116の第2の突起116cに当接すると共に、メインカム部材111の突起111fがリテーナ116の第1の突起116bに当接し、これによりパイロットカム部材110とメインカム部材111との相対回転が規制される。つまり、パイロットカム部材110とメインカム部材111とは、突起110c及び突起111fが第1及び第2の突起116b,116cに当接しない所定の角度範囲で相対回転可能である。
転動部材112は、パイロットカム部材110のカム溝110bとメインカム部材111のカム溝111bとの間に介在して配置され、かつリテーナ116によって転動可能に保持されている。
そして、第1のカム機構11は、パイロットカム部材110とメインカム部材111との相対回転によって、メインカム部材111がメインクラッチ7側に移動する。また、電磁クラッチ8は、その作動によって、パイロットカム部材110とメインカム部材111とを相対回転させるトルクを伝達する。つまり、第1のカム機構11は、パイロットカム部材110とハウジング6との間に配置されたアウタクラッチプレート82とインナクラッチプレート83との摩擦力によって伝達されるハウジング6からの回転力を、カム溝110b,111bにおける転動部材112の転動によるカム作用によって、メインクラッチ7のクラッチ力となる押付力(第1のカム推力)Pに変換する。
この押付力Pは、アウタクラッチプレート82とインナクラッチプレート83との間の摩擦力に応じて、すなわち電磁コイル80に供給される励磁電流に応じて変化する。つまり、制御装置90は、電磁クラッチ制御回路94から電磁コイル80に供給する励磁電流を増減することにより、メインクラッチ7の押付力Pを制御することができる。
(第2のカム機構12の構成)
第2のカム機構12は、回転軸線O上で相対回転可能な一対のカム部材(入力用のカム部材120及び出力用のカム部材121)を有している。入力用のカム部材120と出力用のカム部材121とは、回転軸線Oに沿って並列している。入力用のカム部材120は、第2のカム機構12の作動力となる回転力をモータ5から受け、出力用のカム部材121に対して回転する。第2のカム機構12は、本発明の隙間詰め機構の一例である。
そして、第2のカム機構12は、その作動によって入力用のカム部材120と出力用のカム部材121とが相対回転し、出力用のカム部材121が押付部材122をメインクラッチ7に押し付け、インナクラッチプレート70とアウタクラッチプレート71との間の隙間を詰める第2のカム推力Pを発生させる。これにより、インナクラッチプレート70とアウタクラッチプレート71との間に介在する潤滑油がインナクラッチプレート70の貫通孔70bを介して排出され、インナクラッチプレート70とアウタクラッチプレート71と間の隙間が短縮される。
押付部材122は、インナシャフト10を挿通させる環状であり、その内周部には、インナシャフト10のストレートスプライン嵌合部101に嵌合するストレートスプライン嵌合部122aが形成されている。これにより、押付部材122は、インナシャフト10に対する相対回転が規制され、かつインナシャフト10に対して軸方向に相対移動可能である。押付部材122のメインクラッチ7側における押圧面122bは、アウタクラッチプレート71に面している。
図5は、入力用のカム部材120を示し、(a)は斜視図を、(b)は平面図を、(c)は(b)のA−A線断面図をそれぞれ示す。
入力用のカム部材120は、インナシャフト10を挿通させる環状部123と、環状部123から出力用のカム部材121に向かって突出した複数(本実施の形態では6個)の凸部124と、環状部123の外周面の一部から外方に突出した扇形状のギヤ部125とを一体に有している。
環状部123は、回転軸線Oの周方向に対して平行な側面123aを有し、凸部124は、この側面123aから突出して形成されている。凸部124は、断面台形状であり、その頂部に、側面123aに対して平行な平坦面124aを有している。側面123aと平坦面124aとの間には、側面123aに対して傾斜した傾斜面124bと、側面123aに対して直交する垂直面124cとが介在している。傾斜面124bは、環状部123の周方向における平坦面124aの一端部に、垂直面124cは、環状部123の周方向における平坦面124aの他端部に、それぞれ形成されている。側面123aと傾斜面124bとがなす角θ(図5(c)参照)は、鈍角であり、例えば150°である。
傾斜面124bと平坦面124aとは回転軸線Oの周方向に連続して形成されている。傾斜面124bは回転軸線Oの周方向に対して傾斜し、平坦面124aは回転軸線Oの周方向に対して平行である。
この入力用のカム部材120は、図3に示すように、歯車機構56によって伝達部材54に連結されている。より詳細には、入力用のカム部材120におけるギヤ部125の外周面に形成された外歯125aが、伝達部材54における円弧部541の外歯541aと噛み合い、外歯125aと外歯541aとによって構成される歯車機構56によって、入力用のカム部材120と伝達部材54とが連結されている。
また、入力用のカム部材120は、インナシャフト10の外周側に嵌合された環状の受け部材37に針状ころ軸受38を介して支持され、インナシャフト10に対して回転自在に配置されている。受け部材37は、インナシャフト10の第3の円筒部10cを挿通させて、段差面10eと軸受32との間に配置されている。入力用のカム部材120は、この受け部材37によって、回転軸線Oに沿った方向の移動が規制されている。
図6は、出力用のカム部材121を示し、(a)は斜視図を、(b)は平面図を、(c)は(b)のB−B線断面図をそれぞれ示す。
出力用のカム部材121は、インナシャフト10を挿通させる環状部126と、環状部126から入力用のカム部材120の環状部123に向かって突出した複数(本実施の形態では6個)の凸部127と、複数の凸部127のうちの一部の凸部127の外周側に形成された複数(本実施の形態では3個)の突起128とを一体に有している。図6に示す例では、突起128が形成された凸部127が、環状部126の周方向に1つおきに配置されている。
環状部126は、回転軸線Oの周方向に対して平行な側面126aを有し、凸部127は、この側面126aから突出して形成されている。凸部127は、断面台形状であり、その頂部に、側面126aに対して平行な平坦面127aを有している。平坦面127aと側面126aとの間には、側面126aに対して傾斜した傾斜面127bと、側面126aに対して直交する垂直面127cとが介在している。傾斜面127bは、環状部126の周方向における平坦面127aの一端部に、垂直面127cは、環状部126の周方向における平坦面127aの他端部に、それぞれ形成されている。側面126aと傾斜面127bとがなす角θは、入力用のカム部材120において側面123aと傾斜面124bとがなす角θ(図4(c)参照)と同じ角度である。
傾斜面127bと平坦面127aとは回転軸線Oの周方向に連続して形成されている。傾斜面127bは回転軸線Oの周方向に対して傾斜し、平坦面127aは回転軸線Oの周方向に対して平行である。
出力用のカム部材121は、複数の突起128が装置ケース4のケース本体40に形成された溝部411に係止されることにより、ケース本体40に対する相対回転が規制されている。溝部411は、回転軸線Oに沿って延びるように形成されており、これにより出力用のカム部材121は、回転軸線Oに沿ってケース本体40内で軸方向移動可能である。
出力用のカム部材121と押付部材122との間には、針状ころ軸受129が配置されている。これにより、出力用のカム部材121は、第2のカム推力Pを針状ころ軸受129及び押付部材122を介してメインクラッチ7に出力する。
図7(a)は、出力用のカム部材121がメインクラッチ7から最も後退した位置(以下「第1位置」という)にある状態を示し、図7(c)は、出力用のカム部材121が最もメインクラッチ7側に移動した位置(以下「第2位置」という)にある状態を示す。また、図7(b)は、出力用のカム部材121が第1位置と第2位置との間にある状態を示す。
図7(a)に示すように、出力用のカム部材121が第1位置にあるときは、入力用のカム部材120の凸部124と出力用のカム部材121の凸部127とが回転軸線Oの周方向に沿って交互に配置され、インナクラッチプレート70とアウタクラッチプレート71との間の隙間が最大となり、インナクラッチプレート70とアウタクラッチプレート71との間に介在する潤滑油に起因する引き摺りトルクが最小となる。
図7(a)に示す状態からモータ5が回転すると、そのトルクによって入力用のカム部材120が出力用のカム部材121に対して回転し、図7(b)に示すように、入力用のカム部材120の凸部124における傾斜面124bと出力用のカム部材121の凸部127における傾斜面127bとが摺動する。この傾斜面124bと傾斜面127bとの摺動により、出力用のカム部材121がメインクラッチ7側に移動する。つまり、モータ5の回転に伴う傾斜面同士(傾斜面124b及び傾斜面127b)の摺動によって、出力用のカム部材121が第2位置に移動する。これにより、第2のカム推力Pが発生し、インナクラッチプレート70とアウタクラッチプレート71との間の隙間が短縮される。
出力用のカム部材121が第1位置に移動した後、モータ5がさらに回転すると、図7(c)に示すように、入力用のカム部材120の凸部124における平坦面124aが出力用のカム部材121の凸部127における平坦面127aに接触する。この状態では、出力用のカム部材121がメインクラッチ7から第2のカム推力Pの反力を受けても、その反力が入力用のカム部材120を回転させる力に変換されないので、第2のカム推力Pの反力によって入力用のカム部材120が回転することはない。つまり、出力用のカム部材121が第1位置に移動した後のモータ5の第1の回転方向へのさらなる回転によって平坦面同士(平坦面124a及び平坦面127a)が向かい合いって接触し、出力用のカム部材121の第1位置から第2位置への移動が規制される。
また、モータ5が逆方向に回転すると、入力用のカム部材120が出力用のカム部材121に対して上記とは反対の方向に回転し、出力用のカム部材121が復帰用スプリング114のばね力によって第1位置に移動する。
このモータ5の回転方向及びトルクは、制御装置90の制御部92によって制御される。制御部92は、モータ制御回路93からモータ5に供給される駆動電流の向き及び大きさを調節し、モータ5の回転方向及びトルクを制御する。
(駆動力伝達制御装置9の動作)
次に、駆動力伝達制御装置9の動作につき、図1〜図7を参照して説明する。
制御部92は、第2のカム機構12が作動していない状態で電磁クラッチ8を作動させる第1の動作モードと、第2のカム機構12が作動した状態で電磁クラッチ8を作動させる第2の動作モードとを有する。
第1の動作モードでは、第1のカム機構11が作動してメインカム部材111がメインクラッチ7側に移動しても、インナクラッチプレート70とアウタクラッチプレート71と間の隙間が確保され、メインクラッチ7による駆動力の伝達が実質的に行われない。この第1の動作モードでは、電磁クラッチ8のアウタクラッチプレート82とインナクラッチプレート83との間の摩擦力により、パイロットカム部材110,転動部材112,及びメインカム部材111を介して、ハウジング6とインナシャフト10との間で駆動力の伝達が行われる。つまり、カム溝110b,111bにおける転動部材112の転動によるカム作用によってメインカム部材111がメインクラッチ7側に移動しても、インナクラッチプレート70とアウタクラッチプレート71との摩擦力が発生せず、電磁クラッチ8によって伝達されるトルクにより、ハウジング6とインナシャフト10との相対回転が抑制される。なお、この第1の動作モードでは、パイロットカム部材110とメインカム部材111との相対回転が、突起110c及び突起111f(図4に示す)によって規制される。
第2の動作モードでは、第2のカム機構12が作動し、出力用のカム部材121の平坦面127aと入力用のカム部材120の平坦面124aとが接触した状態で電磁クラッチ8が作動するので、メインカム部材111のメインクラッチ7側への移動により、インナクラッチプレート70とアウタクラッチプレート71とが回転軸線O方向に押圧されて摩擦接触する。この第2の動作モードでは、第1の動作モードよりも大きな駆動力を伝達することができる。
第1の動作モードでは、電磁コイル80の励磁電流に対するハウジング6とインナシャフト10との間で伝達される駆動力の変化が第2の動作モードと比較して緩やかとなる。つまり、第1の動作モード及び第2の動作モードで電磁コイル80に同じ励磁電流を供給した場合、第1の動作モードにおけるハウジング6とインナシャフト10との間で伝達される駆動力は、第2の動作モードにおけるハウジング6とインナシャフト10との間で伝達される駆動力よりも小さい。
制御部92は、四輪駆動車200の駆動状態を二輪駆動状態から四輪駆動状態に移行させる際、第1の動作モード及び第2の動作モードを切り替えて、アクスルシャフト213Rとサイドギヤ214Rとの間で伝達される駆動力を制御する。制御部92は、第1の動作モードから第2の動作モードに移行する際、電磁クラッチ8によって伝達されるトルクを低減し、このトルクを低減した状態で第2のカム機構12を作動させ、第2のカム機構12が図7(c)に示す作動完了状態になった後、電磁クラッチ8によって伝達されるトルクを高める。これは、電磁クラッチ8によって第1のカム機構11が第2のカム機構12よりも先に作動している状態では、第2のカム機構12を作動させるために必要なモータ5のトルクが過大となるためである。
四輪駆動車200の二輪駆動状態では、噛み合いクラッチ3が非作動状態であり、噛み合いクラッチ3を介した駆動力の伝達が遮断される。従って、エンジン202の駆動力は、トランスミッション203,フロントディファレンシャル206,及び前輪側のアクスルシャフト208L,208Rを介して前輪204L,204Rに伝達されるが、プロペラシャフト2には伝達されない。また、この二輪駆動状態では、第1のカム機構11及び第2のカム機構12が非作動状態であり、駆動力伝達装置1を介した駆動力の伝達が遮断される。従って、四輪駆動車200が走行していても、プロペラシャフト2及びリヤディファレンシャル207のリヤデフケース217が回転せず、これらの回転に起因する走行抵抗が抑制される。
一方、四輪駆動状態では、噛み合いクラッチ3,第1のカム機構11,及び第2のカム機構12が作動し、エンジン202の駆動力が前輪204L,204Rに伝達されると共に、噛み合いクラッチ3,プロペラシャフト2,リヤディファレンシャル207,駆動力伝達装置1,及び後輪側のアクスルシャフト213L,213Rを介して後輪205L,205Rに伝達される。
図8は、四輪駆動車200の走行中に二輪駆動状態から四輪駆動状態へ移行する際に、制御部92が実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
制御部92は、二輪駆動状態から四輪駆動状態に移行する際、第1の動作モードにてプロペラシャフト2の回転を増速する第1ステップと、プロペラシャフト2の回転を増速した後に噛み合いクラッチ3を作動させる第2ステップと、第2のカム機構12及び電磁クラッチ8を作動させる第3ステップとを経て、四輪駆動車200を四輪駆動状態に移行させる。この第2ステップでは、プロペラシャフト2の回転を増速した後に駆動力伝達装置1による駆動力の伝達を低減して噛み合いクラッチ3を作動させる。以下、第1〜第3ステップにおける制御内容の詳細について、図8を参照してより具体的に説明する。
(第1ステップ)
第1ステップでは、まず制御部92が電磁コイル80に励磁電流を供給し、電磁クラッチ8を作動させる(ステップS10)。これにより、駆動力伝達装置1の第1の動作モードにおける動作によって、四輪駆動車200の走行に伴う後輪205Rの回転力がアクスルシャフト213Rを介してサイドギヤ214Rに伝達され、プロペラシャフト2の回転が増速される。
次に、制御部92は、電子クラッチ8の作動状態を維持しながら、噛み合いクラッチ3の差動回転(第1のスプライン歯部3aと第2のスプライン歯部3bとの差動回転)が所定値以下であるか否かを判定する(ステップS11)。第1のスプライン歯部3aの回転数は、車輪速センサ904,905によって検出した左右前輪204L,204Rの回転速度に基づいて算出することができる。第2のスプライン歯部3bの回転数は、回転速センサ908によって検出したプロペラシャフト2の回転速度に基づいて算出することができる。
ステップS11における所定値は、例えば第1のスプライン歯部3a及び第2のスプライン歯部3bにスリーブ3cをスプライン嵌合させることが可能な差動回転数として予め定められた値を用いることができる。制御部92は、ステップS11の判定を、噛み合いクラッチ3の差動回転が所定値以下となるまで繰り返し行う。
(第2ステップ)
噛み合いクラッチ3の差動回転が所定値以下である場合(S11:Yes)、制御部92は、電磁コイル80に供給する励磁電流を小さくし、電磁クラッチ8の伝達トルクを低減する(ステップS12)。この際、電磁コイル80への電流供給を遮断し、励磁電流をゼロとしてもよい。次に、制御部92は、噛み合いクラッチ3を作動させ、第1のスプライン歯部3a及び第2のスプライン歯部3bにスリーブ3cをスプライン嵌合させて、フロントデフケース212とプロペラシャフト2とをトルク伝達可能に連結する(ステップS13)。
(第3ステップ)
噛み合いクラッチ3が作動した後、制御部92はモータ5に励磁電流を供給し、モータ5の回転を開始させる(ステップS14)。制御部92は、第2のカム機構12の作動が完了するまでモータ5を回転させ(ステップS15)、第2のカム機構12の作動が完了すると、駆動電流の供給を中止してモータ5の回転を停止させる(ステップS16)。第2のカム機構12の作動完了は、例えばモータ5のエンコーダによって検出した回転軸51の回転量に基づいて判定してもよく、あるいはモータ5に励磁電流を供給した時間によって判定してもよい。
制御部92は、第2のカム機構12の作動が完了した後、電磁コイル80に供給する励磁電流を増加し、電磁クラッチ8の伝達トルクを増大させる(ステップS17)。これにより、四輪駆動車200が四輪駆動状態となる。電磁コイル80に供給される励磁電流は、センサ群(アクセル開度センサ901,エンジン回転数センサ902,ギヤセンサ903,車輪速センサ904〜907)によって検出される車両走行状態に応じて定められる。より具体的には、制御部92は、例えば前輪204L,204Rの回転速度と後輪205L,205Rの回転速度との差(前後輪回転速差)や、アクセルペダル202aの踏み込み量(加速操作量)に基づいて励磁電流を演算する。
前後輪回転速差又は加速操作量が増大した際に電磁コイル80に供給する励磁電流を増加することにより、電磁クラッチ8の伝達トルクが増大して第1のカム機構11のメインカム部材111によってメインクラッチ7が軸方向に押圧され、メインクラッチ7における駆動力伝達量が増大する。これにより、前輪204L,204R及び後輪205L,205Rに配分される駆動力が均等化され、前輪204L,204Rのスリップを抑制して四輪駆動車200を安定的に走行させることが可能となる。
[実施の形態の効果]
以上説明した実施の形態によれば、次に示す作用及び効果が得られる。
(1)第1の動作モードにおいて駆動力伝達装置1によって伝達される駆動力は、メインクラッチ7のインナクラッチプレート70とアウタクラッチプレート71とを接触させなくても発生するので、第2の動作モードにおいて駆動力伝達装置1によって伝達される駆動力よりも急峻に立ち上がる。これにより、プロペラシャフト2をより短時間で増速することができ、二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行に要する時間を短縮することができる。
(2)第1の動作モードでは、第2の動作モードよりも小さな駆動力の伝達を高い精度で行うことができる。これにより、例えばプロペラシャフト2の増速を滑らかにして、二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行時における振動や衝撃を抑制することが可能となる。
(3)図8のフローチャートにおける第2ステップにおいて、噛み合いクラッチ3を作動させる際(ステップS13)、駆動力伝達装置1により伝達される駆動力は低減されているので(ステップS12)、プロペラシャフト2の回転が駆動力伝達装置1によって拘束されず、噛み合いクラッチ3におけるスプライン歯部3a及び第2のスプライン歯部3bとスリーブ3cとの嵌合が円滑に行われる。
(4)第2のカム機構12は、入力用カム部材120の平坦面124a及び出力用のカム部材121の平坦面127aの接触によって出力用のカム部材121の第1位置から第2位置への移動が規制されるので、第2のカム機構12の作動が完了した状態では、モータ5への駆動電流の供給を遮断しても、この第2のカム機構12の作動状態を維持できる。これにより、モータ5における消費電力を低減することが可能となる。
以上、本発明の駆動力伝達装置を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
例えば、上記実施の形態では、モータ5によって作動する第2のカム機構12によってメインクラッチ7におけるインナクラッチプレート70とアウタクラッチプレート71との間の隙間を詰めるように駆動力伝達装置1を構成したが、これに限らず、例えば油圧によって作動するピストンによってメインクラッチ7における隙間を詰めるようにしてもよい。また、四輪駆動車200における駆動力伝達装置1の配置は、図1に例示したものに限定されず、例えばプロペラシャフト2とリヤディファレンシャル207との間に駆動力伝達装置1を配置してもよい。駆動力伝達制御装置9の用途にも特に限定はない。
1…駆動力伝達装置、2…プロペラシャフト、3…噛み合いクラッチ、3a…第1のスプライン歯部、3b…第2のスプライン歯部、3c…スリーブ、4…装置ケース、5…モータ、6…ハウジング、7…メインクラッチ、8…電磁クラッチ、9…駆動力伝達制御装置、10…インナシャフト、10a〜10c…第1〜第3の円筒部、10d,10e…段差面、11…第1のカム機構、12…第2のカム機構、22,23…歯車機構、30…栓体、31,32…軸受、33…シール部材、34…軸受、35…Oリング、36…シール部材、37…受け部材、38…針状ころ軸受、40…ケース本体、41…ケース蓋体、42…ボルト、50…固定子、51…回転軸、52…出力軸、54…伝達部材、55…連結器、56…歯車機構、57…止め輪、58…シール部材、60…円筒部、60a…係合凹部、60b…フランジ部、61…底部、61a…突起、62…止め輪、70…インナクラッチプレート、70a…ストレートスプライン嵌合部、70b…貫通孔、71…アウタクラッチプレート、71a…ストレートスプライン嵌合部、80…電磁コイル、81…アーマチャ、81a…ストレートスプライン嵌合部、82…アウタクラッチプレート、82a…ストレートスプライン嵌合部、83…インナクラッチプレート、83a…ストレートスプライン嵌合部、84…ヨーク、90…制御装置、91…記憶部、92…制御部、93…モータ制御回路、94…電磁クラッチ制御回路、101…ストレートスプライン嵌合部、102…フランジ部、110…パイロットカム部材、110a…ストレートスプライン嵌合部、110b…カム溝、111…メインカム部材、111a…クラッチプレート押付部、111b…カム溝、111c…油孔、111d…ピン取付孔、111e…ストレートスプライン嵌合部、112…転動部材、113…針状ころ軸受、114…復帰用スプリング、115…ガイドピン、116…リテーナ、116a…本体部、116b…第1の突起、116c…第2の突起、120…入力用のカム部材、121…出力用のカム部材、121a…非磁性リング、122…押付部材、122a…ストレートスプライン嵌合部、122b…押圧面、123…環状部、123a…側面、124…凸部、124a…平坦面、124b…傾斜面、124c…垂直面、125…ギヤ部、125a…外歯、126…環状部、126a…側面、127…凸部、127a…平坦面、127b…傾斜面、127c…垂直面、128…突起、129…針状ころ軸受、200…四輪駆動車、201…駆動力伝達系、202…エンジン、202a…アクセルペダル、203…トランスミッション、204L,204R…前輪、205L,205R…後輪、206…フロントディファレンシャル、207…リヤディファレンシャル、208L,208R…アクスルシャフト、209L,209R…サイドギヤ、210…ピニオンギヤ、211…ピニオンギヤシャフト、212…フロントデフケース、213L,213R…アクスルシャフト、214L,214R…サイドギヤ、215…ピニオンギヤ、216…ピニオンギヤシャフト、217…リヤデフケース、220…ドライブピニオン、221…リングギヤ、230…ドライブピニオン、231…リングギヤ、401…取付部、401a…貫通孔、411…溝部、531…位置決めピン、532…ボルト、541…円弧部、541a…外歯、601…ストレートスプライン嵌合部、611…軸部、611a…端部、841…ピン、901…アクセル開度センサ、902…エンジン回転数センサ、903…ギヤセンサ、904〜907…車輪速センサ、908…回転速センサ

Claims (6)

  1. 相対回転可能な第1及び第2の駆動力伝達部材の間で伝達される駆動力を制御する駆動力伝達制御装置であって、
    前記第1の駆動力伝達部材に連結される第1の回転部材と、
    前記第2の駆動力伝達部材に連結され、前記第1の回転部材に対してその回転軸線上で相対回転可能に配置された第2の回転部材と、
    前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間に介在して配置され、前記第1の回転部材に対する相対回転が規制された第1のクラッチプレート及び前記第2の回転部材に対する相対回転が規制された第2のクラッチプレートを有するメインクラッチと、
    前記メインクラッチの軸方向の一方に配置され、その作動によって前記第1及び第2のクラッチプレートの隙間を詰める隙間詰め機構と、
    前記メインクラッチの軸方向の他方に配置され、前記第1の回転部材との相対回転が規制された第1のカム部材、及び前記第1のカム部材と所定の角度範囲で相対回転可能な第2のカム部材を有し、前記第1のカム部材と前記第2のカム部材との相対回転によって前記第1のカム部材が前記メインクラッチ側に移動するカム機構と、
    前記第2のカム部材と前記第2の回転部材との間に配置され、その作動によって前記第2のカム部材に前記第1及び第2のカム部材を相対回転させるトルクを伝達するサブクラッチと、
    前記隙間詰め機構及び前記サブクラッチを制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記隙間詰め機構が作動していない状態で前記サブクラッチを作動させる第1の動作モードと、前記隙間詰め機構が作動した状態で前記サブクラッチを作動させる第2の動作モードとを有する
    駆動力伝達制御装置。
  2. 前記制御部は、前記第1の動作モードから前記第2の動作モードに移行する際、前記サブクラッチによって伝達されるトルクを低減し、当該トルクを低減した状態で前記隙間詰め機構を作動させ、前記隙間詰め機構が作動した後に前記サブクラッチによって伝達されるトルクを高める
    請求項1に記載の駆動力伝達制御装置。
  3. 前記隙間詰め機構は、前記回転軸線上で相対回転可能な一対のカム部材を有し、
    前記一対のカム部材は、前記回転軸線の周方向に対して傾斜した傾斜面と、前記回転軸線の周方向に対して平行な平坦面とを有し、前記回転軸線周りの一方への相対回転に伴う前記傾斜面同士の摺動によって前記一対のカム部材のうち一方のカム部材が前記メインクラッチ側に移動し、前記回転軸線周りの一方へのさらなる相対回転によって前記平坦面同士が接触して前記一方のカム部材の前記メインクラッチ側の位置からの移動が規制される
    請求項1又は2に記載の駆動力伝達制御装置。
  4. 車両の走行用の駆動力を発生する駆動源と、
    前記駆動源の駆動力が常時伝達される左右一対の主駆動輪と、
    走行状態に応じて前記駆動源のトルクが伝達される左右一対の補助駆動輪と、
    前記駆動源側のトルクを前記補助駆動輪側に伝達するプロペラシャフトと、
    前記補助駆動輪側の第1の駆動力伝達部材と前記プロペラシャフト側の第2の駆動力伝達部材との間で伝達される駆動力を制御する駆動力伝達制御装置とを備え、
    前記駆動力伝達制御装置は、
    前記第1の駆動力伝達部材に連結される第1の回転部材と、
    前記第2の駆動力伝達部材に連結され、前記第1の回転部材に対してその回転軸線上で相対回転可能に配置された第2の回転部材と、
    前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間に介在して配置され、前記第1の回転部材に対する相対回転が規制された第1のクラッチプレート及び前記第2の回転部材に対する相対回転が規制された第2のクラッチプレートを有するメインクラッチと、
    前記メインクラッチの軸方向の一方に配置され、その作動によって前記第1及び第2のクラッチプレートの隙間を詰める隙間詰め機構と、
    前記メインクラッチの軸方向の他方に配置され、前記第1の回転部材との相対回転が規制された第1のカム部材、及び前記第1のカム部材と所定の角度範囲で相対回転可能な第2のカム部材を有し、前記第1のカム部材と前記第2のカム部材との相対回転によって前記第1のカム部材が前記メインクラッチ側に移動するカム機構と、
    前記第2のカム部材と前記第2の回転部材との間に配置され、その作動によって前記第2のカム部材に前記第1及び第2のカム部材を相対回転させるトルクを伝達するサブクラッチと、
    前記隙間詰め機構及び前記サブクラッチを制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記隙間詰め機構が作動していない状態で前記サブクラッチを作動させる第1の動作モードと、前記隙間詰め機構が作動した状態で前記サブクラッチを作動させる第2の動作モードとを有する
    四輪駆動車。
  5. 前記プロペラシャフトと前記駆動源との間に設けられ、前記制御部によって制御される噛み合いクラッチをさらに備え、
    前記制御部は、前記噛み合いクラッチ及び前記駆動力伝達制御装置による駆動力の伝達を遮断した二輪駆動状態から四輪駆動状態に移行する際、前記第1の動作モードにて前記プロペラシャフトの回転を増速する第1ステップと、前記プロペラシャフトの回転を増速した後に前記噛み合いクラッチを作動させる第2ステップと、前記隙間詰め機構及び前記サブクラッチを作動させる第3ステップとを経て四輪駆動状態に移行する、
    請求項4に記載の四輪駆動車。
  6. 前記第2ステップは、前記プロペラシャフトの回転を増速した後に前記駆動力伝達制御装置による駆動力の伝達を低減して前記噛み合いクラッチを作動させるステップである、
    請求項5に記載の四輪駆動車。
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