本明細書では、太陽エネルギーを処理する方法が提供される。1つの例示的な実施形態において、本方法は、太陽光線の経路上の太陽電池セルで、太陽エネルギーを電気および熱に変換することを含む。この例示的な方法はさらに、電気を負荷に向かわせることと、太陽電池セルから地熱井に熱を伝達することとを含む。随意に、本方法はさらに、建造物を暖房するために、地熱井から建造物に熱を伝達することを含む。一実施例において、熱が地熱井に伝達されるときの周囲温度は、地熱井から建造物に熱が伝達されるときの周囲温度を超える。地熱井が加熱地熱井である実施例において、本方法はさらに、建造物から冷却地熱井に熱を伝達して、建造物を冷房することを含み得る。別の実施形態において、セルで発生させた電気は、建造物に給電するために使用される。地熱井からの熱が建造物に伝達される場合の実施例において、建造物に伝達される太陽光線内のエネルギー量は、約30%〜約80%増加する。1つの例示的な実施形態において、太陽光集光器は、太陽電池セル上へ太陽光線を反射し、集光する。別の実施形態において、流体の流れは、太陽電池セルと熱的に連通し、地熱井の中へ流れ、それによって、太陽電池セルから地熱井に熱を伝達する。
また、一実施例において、太陽光線の経路上に選択的に配置され、電気負荷と選択的に電気的に連通している太陽電池セルを有する、太陽光受光器を含む、太陽エネルギーシステムも開示されている。太陽エネルギーシステムの実施形態はまた、蓄熱分岐路および消費分岐路を有する、熱伝達回路も含む。この実施形態の蓄熱分岐路は、太陽電池セルと熱的に連通している部分と、地熱井と熱的に連通している部分とを有し、選択的な伝熱経路は、蓄熱分岐路を通して太陽電池セルと地熱井との間に画定される。この実施形態の消費分岐路は、地熱井と熱的に連通している部分と、建造物と熱的に連通している部分とを有し、選択的な伝熱経路は、消費分岐路を通して地熱井と建造物との間に画定される。別の実施形態において、太陽電池セルは、集光させた太陽光線を受光する、集光型太陽光発電セルを含む。随意に、熱伝達回路は、熱伝達流体を輸送する、流体フローラインを含み、熱伝達回路の中の弁が選択的に開閉して、指定された熱伝達経路に沿って熱伝達流体の進路を変える。別の実施形態において、電気負荷は、建造物の中に配置される。例示的な実施形態において、太陽光線中のエネルギーは、熱に変換され、太陽光受光器の中の電気は、約80%の効率で建造物に伝達される。熱伝達回路は、太陽光受光器の中に形成される導管を通して選択的に流れる、熱伝達流体を含み得る。
さらに、太陽光線を反射し、像へ集光するように成形される反射凸面を有する太陽光集光器から成る、太陽エネルギーシステムがさらに開示されている。この太陽エネルギーシステムの実施形態はまた、像をその上で受容するように計画的に配置される太陽電池セルを有する、太陽光受光器と、建造物の中に配置された電気負荷に太陽電池セルを接続する、導電性導線とを含む。太陽電池セルおよび地熱井と熱的に連通している通電分岐路を含む、熱伝達回路が含まれる。通電分岐路および地熱井は、太陽電池セルと地熱井との間に熱伝達経路を画定する。この実施形態の熱伝達回路はまた、地熱井および建造物と熱的に連通している、放散分岐路も含む。地熱井と建造物との間の熱的連通は、地熱井と建造物との間に熱伝達経路を画定する。1つの随意の実施形態において、通電分岐路および放散分岐路は、それぞれ、熱容量を有する流体を輸送するための導管を有する。随意に、熱伝達回路の中には、流体が通電分岐路または放散分岐路を通して流れるように選択的に開閉する、弁が含まれる。随意の実施形態において、地熱井は、実質的に垂直なボーリング孔であり、熱伝達回路の一部分は、ボーリング孔の中に吊設される導管を有し、熱伝達媒体は、導管とボーリング孔の壁との間に提供される。
本発明の特徴および利点のいくつかが提示されているが、他の特徴および利点は、添付図面を参照しながら説明が進むにつれて明らかになるであろう。
本発明を、好ましい実施形態と関連して説明するが、それらは、本発明をそれらの実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されるであろう。それに対して、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲の範囲内に含まれるような、全ての代替物、変形物、均等物を対象とすることを意図している。
ここで、本開示の方法およびシステムを、実施形態が示されている添付図面を参照して、以下でより完全に説明する。本開示の方法およびシステムは、数多くの異なる形態であってもよく、本明細書に記載される例示的な実施形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が完璧かつ完全であるように、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提示されている。全体を通して、同じ数字は、同じ要素を指す。
本開示の範囲は、修正物および均等物が当業者に明らかになるように、図示および説明される構造、動作、厳密な材料、または実施形態に限定されないことをさらに理解されたい。図面および明細書には、例示的な実施形態が開示されており、特定の用語を用いているが、それらは、一般的および説明的な意味合いで使用されているに過ぎず、限定を目的としない。故に、本明細書で説明される改善点は、したがって、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定される。
図1は、湾曲した集光器12と、集光器12の凹面側上の反射面14とを有する、太陽エネルギー収集システム10の例示的な実施形態を概略図で提供する。1つの例示的な実施形態において、集光器12は、パラボラ形状を有する。図1の実施例において、集光器12は、反射面14に当たって反射光線17として方向転換される太陽光線16の経路上に配置される。反射光線17は、反射面14から後方へ離間配置されて示されている太陽光受光器18に向かう経路上を移動するように示されている。集光器12は、反射光線17が、太陽光線16の流束密度よりも集束された流束密度を伴う画定された像19を形成するように、成形され、輪郭形成される。図1の実施例では、像19の形成と一致する受光器18上に、太陽光発電セル20が示されている。太陽光発電セル20は、像19の集束されたエネルギーを太陽光発電セル20が接続された回路22の中へ流れる電流に変換する。さらに、図1の実施例では、回路22内で図式的に表される、電気負荷24が示されている。電気ライン26、27は、太陽光発電セル20と負荷24との間に電気的な連通を提供し、それによって、回路22が完成する。
既知のように、実質的な発熱は、太陽光発電セル20上に投射されている高流束密度の像19から、受光器18内で起こり得る。熱伝達回路28は、受光器18からの熱を放散させ、それによって、太陽光発電セル20および他の付随する電子部品(図示せず)を過熱から保護するように示されている。さらに、太陽光発電セル20の効率は、温度の上昇とともに低下するので、太陽光発電セル20内の温度を制御することで、太陽光発電セル20内の最適な効率を提供する。図1の実施例において、熱伝達回路28は、受光器18に接続された端部と、熱交換器32の入口に取り付けられた対向端部とを有する、流体フローライン30を含む。図1の実施例において、流体は、受光器18から流体フローライン30を通して熱交換器32の中へ流れ、そこでは、符号Qで表される熱が流体から除去される。流体は、熱交換器32に進入した後に、熱交換器32内の管を通して熱交換器32の出口に方向付けられる。流体フローライン34、35は、冷却された流体を受光器18に戻すための経路を提供し、それにより、さらなる熱を受光器18から除去し、次いで、熱交換器32内に放散させ得る。ライン34と35との間には、熱伝達回路28を通して流体を循環させるためのポンプ36が挿入されていることが示されている。
ここで、図2を参照すると、長方形状の筐体38内に配置された、多数の集光器12が示され、集光器12は、筐体38内のアレイ40の中へ配設される。筐体38は、下部底面と、アレイ40を覆って置かれるその上端部上の透明カバー42とを有する。図2の集光器12は、該集光器の凹面が上方に面し、かつカバー42に向かって面した状態で配向され、筐体38の長さLと実質的に平行に整列させた複数対の列43で配設される。各列内で、図2の集光器12は、各集光器12のそれぞれの長さに平行に延びるラインが、筐体38の長さLに対して略垂直であるように配設される。集光器12の長さは、その幅よりも長くすること、その幅と実質的に同じ幅にすること、またはその幅よりも短くすることができる。図2で示されているように、集光器12は、複数対の列43の中間区間が筐体38の底部に近接し、したがって、複数対の列43の外側の側部側がカバー42に近接するように傾けられる。実質的に縦方向の梁44は、筐体38内で長さ方向に延在し、集光器12の上側に配置されて示されている。梁44は、実質的に複数対の列43の中間部分と整列させられる。受光器18は、梁44の傾斜縁部上に提供されて示されている。梁43を複数対の列43の中間部分と計画的に配設すること、および受光器18の傾斜した位置付けは、発電のために、セル20を像19(図1)と整列させる。
略平面のブラケット46は、筐体38の側部側上、および筐体38の幅Wに対応する側上に載置されて示されている。ブラケット46は、筐体38の下部分から上方へ突出する、平面端部分48を有し、筐体38の側部に固定されて示されている。端部分48の上側には、受光器18を冷却するために冷却液が梁44に戻される流体フローライン341と342との間の接続部を提供する、嵌合部50が位置付けられる。フローライン301、302は、フローライン341、342の接続部から遠位の筐体38の側部に連結されて示されている。ブラケット46の中間部の上方部分は、切り取られており、切り取られた部分には、接続部52がライン26、27の接続のために、筐体34の側壁の中へ載置されて示されている。
図3は、図2のアレイ40の一部分の、線3−3に沿った側断面図である。この実施例において、太陽光線16は、集光器の反射面に向かって方向付けられ、該反射面からの反射光線17が、梁44上に載置された受光器18に向かって方向付けられるように示されている。図3の実施例において、梁44は、受光器18が梁44の略長方形断面に対してある角度で傾斜して設定されるように、筐体38の底面と略平行である。流路54は、嵌合部50を介してライン301、302および341、342と流体連通している梁44を通して縦方向に形成されて示されている。図3の実施例において、熱Qは、受光器18から梁44の中へ進み、そこで、熱交換器32(図1)に輸送するための流路54内の流体に伝達される。したがって、アレイ40を通しての熱伝達流体の強制対流によって、受光器18内の温度が望ましいレベルに維持され得る。
建造物56と併せて使用される太陽エネルギー収集システム10の1つの例示的な実施形態を、図4に側斜視図で示す。図4の実施例において、建造物56は、電気を消費し、その中に何らかの形態の調整空気を必要とし得る、住居、事務所、または任意の他の施設であってもよい。建造物56の外部、および太陽光線16の経路上には、一実施例において、一群の太陽電池アレイ40(図2)から成る、太陽電池ユニット58が示されている。また、建造物56の下の地下層61の中へ垂直に形成される、一連の掘削孔60も示されている。加熱フローライン62は、太陽電池ユニット58の中の1つ以上の受光器18(図1)との熱的接触を介して加熱された流体をユニット58から搬送するように、太陽電池ユニット58に接続する。加熱フローライン62は、加熱流体を太陽電池ユニット58から掘削孔60に分配するように設計される、供給ヘッダ64に接続する。フローループ66は、掘削孔60のそれぞれの中に吊設され、供給ヘッダ64と流体連通している入口と、戻りヘッダ68と流体連通している出口とを有して示されている。流体が、供給ヘッダ64からフローループ66を通って戻りヘッダ68に流れると、流体内の熱Qは、地層の中へ伝達され、掘削孔60のそれぞれの外側に雲形線で表される加熱ゾーン70を形成する。フローループ66から地層61への熱伝達を高めるために、随意の充填材72が、フローループ66を伴う掘削孔60の中に提供されてもよい。充填材72の例としては、破砕石灰石、金属粒子、半金属粒子、他の鉱物種の物質、またはこれらの組み合わせが挙げられる。例示的な実施形態において、充填材72は、熱伝達だけでなく、フローループ66の支持も可能にする。戻りライン74は、ユニット58からのさらなる熱の吸収のために、冷却熱伝達流体を戻りヘッダ68からアレイユニット58の中へ戻す。1つの例示的な実施形態において、掘削孔60は、最高で約500フィート(約152.4メートル)の深さを有することができ、加熱ゾーン70は、それらの標準温度を約10°F〜約20°F(5.6℃〜11.2℃)超える温度に加熱することができる。したがって、地層61の標準地下温度に応じて、加熱ゾーン70は、加熱流体で加熱された後に、約60°F〜約70°F(15.6℃〜21.1℃)の温度に到達し得る。
図4の実施形態では、ユニット58で発生する電気を伝送するための電気出力ライン76が示され、出力ライン76は、アレイユニット58に接続される一方の端部と、随意の制御ユニット78に接続されるもう一方の端部とを有する。制御ユニット78は、建造物56内で使用するために、アレイユニット58内で発生する電気を処理することができる。したがって、制御ユニット78は、電力を調節するために、インバータ、整流器、波形整形機能、または他のデバイスを含み得る。電流フローの制御はまた、制御ユニット78内でも達成され得る。供給ライン80は、建造物56の中で使用する電力を該建造物に送達するために、制御ユニット78と建造物56との間に接続されて示されている。
1つの限定的でない使用例において、より暖かい月または季節の間、熱Qは、アレイユニット58から熱伝達システムを通して加熱ゾーン70の中へ連続的に伝達される。地下層は、その貯蔵された熱のほぼ全てを保持することができ、建造物56の周囲温度による影響を殆ど受けず、熱Qは、より暖かい月の間に蓄積し、次いで、周囲温度が建造物56内の暖房の必要性を決定付けたときに取り入れることができる。例えば、熱Qは、大まかに5月から9月の期間にアレイユニット58から取り入れ、次いで、例えば11月から4月等の、建造物56内の暖房が必要とされるような時期まで、加熱ゾーン70内の地層61内に貯蔵してもよい。掘削孔60の数および貯蔵される熱Qの量に応じて、建造物56の中の環境を、より涼しい周囲温度の期間中に加熱ゾーン70内に貯蔵された熱Qで調節することができる。
さらに、図4の例示的な実施形態では、建造物56に隣接して提供され、供給ヘッダ64および戻りヘッダ68のそれぞれに接続されて提供される、熱交換器82が示されている。このように、熱が収集されて加熱ゾーン70に貯蔵されている期間中に、熱交換器82は、熱交換器82をヘッダ64、68に接続する導線84、86内の弁(図示せず)等によって分離することができる。より涼しい月の間で、暖房が必要とされるときに、ライン62、74の中に提供される弁(図示せず)を閉じてフローループ66からアレイユニット58を分離し、導線84、86の中の弁を開いてもよく、それによって、加熱ゾーン70から熱交換器82の中への流体の流れを可能にする。加熱ゾーン70からの熱は、建造物56内を暖房するために、熱交換器82から建造物56の中へ伝達することができる。1つの例示的な実施形態において、本明細書で説明される太陽電池システムの効率は、太陽電池セル20(図1)からの廃熱を除去することによって、約32%から約80%高められ、よって、効率的な運転を可能にする温度にし、廃熱で建造物56を暖房する。したがって、図1の熱交換器32の機能は、熱交換器32Aとして動作する、フローループ66および掘削孔60によって引き継がれる。全部で8本の掘削孔60が図4で示されているが、付随するフローループ66を伴う任意の数の掘削孔60が、本明細書で説明されるシステムとともに使用されてもよい。例示的な実施形態では、それぞれ約500フィート(約152.4メートル)の2本の掘削孔60が、約2000ft2(約185.8m2)の居住空間を有する住宅に使用できるものと推定している。2本の掘削孔60の加熱ゾーン70に貯蔵された熱Qは、寒い天候の季節全体にわたって住居を暖房するための、十分に低い質の熱を提供することができる。さらに、例示的な実施形態において、太陽エネルギー収集システム10の実施例の一部としての2本の掘削孔60は、2000ft2(約185.8m2)の住居の標準的なエネルギー使用量の少なくとも約75%を供給することができる。
図5は、建造物56を暖房するために、同じく冷却するために掘削孔60を使用する、太陽エネルギー収集システム10Aの随意の実施形態を示す。図5の実施例において、熱Qは、必要なときに建造物56から掘削孔60Cに伝達され、また、熱Qは、必要なときに掘削孔60Hから引き出される。掘削孔60Cは、ライン92、94を介して掘削孔60Cから建造物56に熱を伝達する、冷却ヘッダ88、90に接続されるフローループ66を含む。しかしながら、ヘッダ88、90は、アレイユニット58に接続されていない、熱伝達回路の一部であり、したがって、その中の受光器18(図1)によって提供される熱を受けない。これに対して、より暖かい月、および周囲温度が建造物56内での冷気の使用を決定付け得るときに、建造物56内からの熱Qは、ライン92、ヘッダ88を通して、熱伝達流体を伴う地下層61の中へ伝達され得る。しかしながら、図5の実施例において、掘削孔60Hは、アレイユニット58に接続される熱伝達回路の一部であり、よって、地熱井は、より暖かい月に建造物56に冷房を提供することができ、さらに、より涼しい月に建造物56に暖房を提供することができる。さらに、随意に、建造物56から掘削孔60Cを通して地層61の中へ伝達される熱Qは、次いで、後に、より涼しい温度の期間中に、建造物56の中へ逆に伝達される。
図1を再度参照すると、掘削孔60(図4)から建造物56への熱の伝達を表す熱伝達回路は、消費分岐路96として示されている。同様に、熱交換器32および付随する配管は、本明細書において、蓄熱分岐路と称される。蓄熱分岐路96は、フローライン30に接続し、熱交換器100の入口で終了するライン98から成るように示されている。熱Qは、建造物56を暖房するために使用され得る熱交換器100から抽出される。ライン102は、熱交換器100の出口に接続し、熱交換器32の下流のライン34で終了する。弁104は、ライン98の分岐路の上流のフローライン30の中に提供され、弁106は、熱交換器100の上流のライン98に組み込まれて示されている。同様に、弁108は、熱交換器100の下流のライン102に組み込まれる。最後に、弁110は、ライン102との分岐路の下流、かつポンプ36の上流の部分でライン34の中に組み込まれる。例示的な実施形態において、弁104、106、108、110のそれぞれは、モータで動作させ、それによって、選択的に遠隔で(完全に、または部分的に)開口、閉口させてもよい。弁104、106、108、110のそれぞれは、テレメトリを介してコントローラ112に接続されて示され、該コントローラは、開口および閉口制御信号を送信する機能を果たし得る。さらに、随意に、コントローラ112は、テレメトリによってポンプ36に接続されてもよい。一例において、熱伝達流体のシステムを通しての流れの選択的な制御は、弁104、106、108、110の選択的な開口および閉口を通して達成され得、それによって、熱交換器32および/または熱交換器100を通しての流れを選択的に方向付ける。さらに、コントローラ112は、建造物56が事前設定された温度に維持されるように、それに応じて流れを方向付けるようにプログラムすることができる。温度センサ(図示せず)は、コントローラ112との使用に依存してもよく、該センサは、熱交換器回路(複数可)の中ならびに建造物56の中のラインの1つ以上の中に配置することができる。建造物56の中のサーモスタット(図示せず)等からの温度オーバーライドは、コントローラ112の動作を制御し得る。
図6は、建造物56で使用するライン96中の流体流からどのように熱Qが抽出され得るのかという、例示的な実施形態を概略的に表す。この実施例において、熱伝達回路114の中の流体は、熱交換器100Aの中に提供される管を通って流れる。熱交換器100Aの下流の熱伝達回路114の中の流体は、熱交換器100Aから圧縮器118へのライン116を介して輸送される、ガスである。ライン116の中のガスは、ライン96A、102Aおよび熱交換器100Aのシェル側を通って流れる流体によって加熱される。ライン96A、102Aの中の流体は、熱交換器32(図1)、すなわち、掘削孔60(図4)から流れ得る。加圧ガスは、圧縮器118を出て、ライン120を通って熱交換器122に流れる。図6の実施例において、熱交換器122は、ファン冷却器であり、熱Qは、加圧され、加熱されたガスから、ガスを搬送する管上を流れる空気に伝達される。加熱空気は、建造物56を暖房するために直接的に使用することができる。
本明細書での考察の目的で、熱の質は、特定の媒体内の熱エネルギーに関連する、相対的な用語であり、より高い質の熱とは、異なる時間もしくは異なる場所において媒体で加熱する、または異なる媒体で加熱する、より高い熱エネルギーを有する媒体中の熱を表す。一実施例において、受光器18から熱伝達回路28(図1)に伝達される熱Qは、より高い質の熱と称されてもよく、一方で、掘削孔60(図4)に貯蔵される熱Qは、より低い質の熱と称されてもよい。本明細書では、より高い質の熱がどのようにより低い質の熱に変換され得るのか、およびある期間にわたって貯蔵される、変換されたより低い質の熱について説明する。例えば、受光器18(図1)からのより高い質の熱Qは、熱交換器32(または図4の掘削孔60)に伝達され、そこで、熱Qは、より低い質の熱として地層の中に貯蔵される。さらに、本明細書では、貯蔵されたより低い質の熱がどのようにより高い質の熱の形態に逆に変換され、そして利用され得るのかを示す。より具体的には、1つの例示的な実施形態において、熱伝達回路114は、地層61に貯蔵されたより低い質の熱Qを、建造物を暖房するために使用するより高い質の熱に変換することを可能にする。本明細書で説明される例示的な方法の利点は、より高い質の熱は、より低い質の熱よりも早く放散する傾向があるので、より高い質の熱を取り入れて、その熱を貯蔵するためにより低い質の熱に変換することである。よって、その場合、熱がそのより高い質の形態で貯蔵された場合よりも多い熱量を貯蔵部から利用可能であり得る。
したがって、本明細書で説明される本発明は、目的を実行し、言及される結果および利点、ならびに、その中に内在する他のものを達成するのに十分に適合される。本発明の現時点で好ましい一実施形態を例示する目的で提供したが、所望の結果を達成するための手順の詳細には、数多くの変更点が存在する。これらの、および他の同様の修正自体は、当業者によって容易に提案されるものであり、本明細書に開示されている本発明の趣旨および添付の特許請求の範囲の範囲内に包含されることが意図される。