JP2013543925A - 生体適合性の、自立した(free−standing)、導電ポリマーのナノ薄膜を調製する方法 - Google Patents

生体適合性の、自立した(free−standing)、導電ポリマーのナノ薄膜を調製する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、他のポリマー類の支持層の形成を介した、導電性ポリマーのナノ薄膜の調製方法に関する。本方法は、費用効果、実行速度および比較的単純な機器の使用等の有利な特性を有し;また自立したナノ薄膜、すなわち安定しており、何らかの支持を必要とせずにそれら自身を支持することができるナノ薄膜を得ることも可能にする。本ナノ薄膜はまた、強さ、柔軟性、種々の基材に接着できる能力、および高い生体適合性等の、さらなる有利な特徴も有し、そのため、特に生物医学分野における、多くの異なる工学的応用に好適である。

Description

発明の分野
本発明は、柔軟性、強さ、種々の基材への接着能および卓越した生体適合性という特徴を有するため、種々の工学的応用、特に生物医学分野で、たとえば細胞の播種および増殖のための支持体用として有用な、生体適合性の、自立した、導電性ポリマーのナノ薄膜の調製方法に関する。
技術水準
過去数十年、導電性ポリマーは、それらを電気デバイスおよび電子デバイスにおける従来の無機導電材料の潜在的代替物質にさせる、安定性および導電性という興味深い特性のための非常に多くの研究対象であった。そのような用途には、薄膜の形状で得られる材料が特に求められるが、導電性ポリマーは、普通溶剤にほとんど溶解しないため、それらを操作して導電性薄膜を得ることは容易ではなく、またそれらの分散および/または可溶化は、適当な可溶化媒体および簡単で費用効率の高い技術がないため、困難である。この問題を回避するために、こうしたポリマーは、それぞれのモノマーから出発し、化学的または電気化学的方法を用いて、所望の基材上で直接、その場(インサイチュ)で調製されることがしばしばある。しかし、この場合、その後の薄膜の除去、または他の基材上へのその移動は、実際に不可能ではないにしても、特に困難であるが、多くの用途には、支持体のない薄膜、いわゆる「自立した」薄膜を得る必要がある。
良好な導電性および並はずれた化学安定性の結果、最も成功した導電性ポリマー類の1つは、特にポリスチレンスルホン酸塩、すなわちPSSとの錯体の形の、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、すなわちPEDOTであり(S. Kirchmeyer et al., J. of Materials Chemistry 2005,15, 2077)、その水性分散液は、市場でみつけることができ、たとえば欧州特許第1616893号に記述されている通り、種々の基材上に導電性コーティングを作るために一時期使用されていた。そのような材料は、たとえば光電子工学用多層構造物または電解コンデンサにおける導電性コーティングとして、あるいは物理的外部刺激に対する反応特性に基づいた変換器における活性物質としても、使用される。この材料の高い生体適合性も最近証明され、神経インターフェースのための微小電極の開発ならびに表面特性の電気化学的変調により制御される上皮細胞の接着性および増殖用の支持体構築のための応用につながった[M. H. Bolin et al., Sensors and Actuators, B: Chemical 2009, 142, 451;およびK. Svennerstenet al., Biomaterials 2009, 30, 6257]。
しかし、出願人が知る限り、生体適合性の、自立した、PEDOT、ならびに他の導電性ポリマー類のナノ薄膜を製造することができる、簡単でかつ費用効率が高い方法の記述は、今まで、文献になかった。最近、PEDOTまたはPEDOT/PSSの自立した薄膜を得るための技術が記述されているが、5〜10μmと数cmとの間に含まれる、かなりの厚さのものであった[たとえばH. Okuzaki et al., J. Phys. Chem. B 2009, 113, 11378参照]。そのような方法は主として、本質的に、ナノメートルレベルの厚さを有する薄膜を得るための非常に特異的なものではない、溶媒流延法による薄膜の成膜技術に言及している。さらに、そのような方法で得ることができる厚さの調節は難しく、非常に精確というわけではない;また、ナノ薄膜を得るために、好適な改良を加えてこうした方法を使用できるときでさえも、それらの極端な脆性を考慮すると、基材からのあり得るリリースおよび移動は不可能であろう。
K. S. Choi et al., Langmuir 2010, 26 (15), 12902-12908は、グラフェン、PEDOTおよびグラフェンの、交互に重なる3層からなる、水中に放出できるナノ薄膜について記述している;しかしその調製方法は非常に長くて複雑である他に、使用する材料の観点からも、装置の観点からも、非常に不経済である。さらに、確実に生体適合溶媒性であるという訳ではない溶媒および化学反応物をこの方法で使用することは、得られるナノ薄膜の生体適合性に悪影響を及ぼす可能性があるが、問題の論文で調査は行われていない。
T. Fujie et al., Adv. Fund Mater. 2009, 19, 2560-2568は、キトサンおよびアルギン酸ナトリウム等の、多糖類の水溶液を、スピンコーティングによりSiOの支持体上に直接成膜し、続いて「ドロップキャスト法」によりポリビニルアルコール(PVA)層を成膜することからなる、生物医学的用途のための、自立した多糖類ナノ薄膜を調製する方法を記述している。次いで、多糖類およびPVAからなる二層薄膜を、SiO支持体からピンセットではずし、PVA層が溶解する水中に漬け、多糖類ナノ薄膜をリリースする。この論文には、SiOの成長用支持体と多糖類層との間の中間層について何も書かれておらず、また導電性ポリマーについても言及されておらず、一般に、種々のポリマー類のナノ薄膜を製造するための類似した方法を、一例として示されている多糖類層に使用できる可能性について言及している。
類似した方法は、Stroock et al., Langmuir, 2003,19,2466-2472にも記述されているが、そこでは、多くの種々のポリマー類が架橋され、次にはプリントされた支持体上に成膜される、多層薄膜上への成膜のために、水溶性犠牲層としてポリビニルアルコール(PVA)の代わりにポリアクリル酸(PAA)が使用された。この方法で得られる薄膜の表面は非常に小さかった。
したがって、技術的な課題は依然として、支持体上に調製されたナノ薄膜が支持体からリリースされた時でさえも、自立した、すなわち、自身を支えることができる、また安定性および導電性というそれらの特徴を保持することができる、生体適合性の、導電性ポリマーのナノ薄膜を製造するための簡単でかつ費用効率の高い方法を有することにあると思われる。
発明の概要
本出願人は、得られる薄膜がきわめて生体適合性であり、したがって生物医学的用途に、たとえば細胞の播種および増殖のための支持体用に、特に適するように、使用されるポリマーの生体適合性も損なわない、自立した導電性ポリマー類のナノ薄膜の調製に好適な、簡単で費用効率の高い方法を発見した。
本発明の対象は、したがって、以下のステップを含むことを特徴とする、生体適合性の、自立した、導電性ポリマーのナノ薄膜の調製方法である:
a)第1ポリマー層および導電性ポリマー層の、成長用支持体上への逐次成膜であって、前記成長用支持体上に前記第1ポリマー層および前記導電性ポリマー層からなる薄膜を得るために、前記導電性ポリマー層の成膜がスピンコーティングで実行されるステップ;
b)ステップa)に由来する薄膜の熱処理ステップ;
c)水に可溶性であり、前記導電性ポリマー層が第2ポリマー層に接着するような、前記第2ポリマー層の成膜ステップ;
d)前記第2ポリマー層上の前記導電性ポリマー層を、増殖用支持体上の前記第1ポリマー層から剥離するステップ;
e)ステップd)に由来する前記第2ポリマー層上の前記導電性ポリマー層を水中に浸漬すること、および前記第2ポリマー層を溶解させることにより、前記導電性ポリマー層を自立したナノ薄膜としてリリースするステップ。
本発明のさらなる対象は、前述の方法のステップd)に由来する前記第2ポリマー層上の導電性ポリマーの層を含む薄膜;および前記第2ポリマー層を溶解させることにより、本発明の自立したナノ薄膜を調製するための、それらの使用である。
本発明の方法を用いて得られる薄膜は、表面積/厚さ比が高く、支持体を具有しないが、柔軟で強いままであり、高い接着性を有する;それらはまた非常に安定しており、水性環境または生体液中で操作しやすく、そのため生物医学的分野における用途を含む、幅広い用途に好適である。本薄膜は高い均一性も特徴とし、導電性を具備し、そのため、たとえば成長および細胞増殖を電気インパルスで刺激することができる細胞培養用支持体の調製に有用である。同時に、本発明の方法を用いれば、均質ではないが、所定のパターンに従って、導電領域と非導電領域を含む導電層を有するナノ薄膜を得ることも可能である;そのような薄膜は、限局的な様式で、薄膜それ自体に電位差を実現することを可能にし、たとえば、細胞刺激で、またセンサーおよび/またはバイオセンサー製造に際して、有利な用途がある。
本発明による方法のさらなる特徴は、添付の特許請求の範囲に示す。
図面の簡単な説明
本発明による方法のさらなる特徴および利点は、添付の図と関連して非限定的な例として示される、その実施態様の以下の説明から、より明白になるであろう。
酢酸セルロースの犠牲層を溶解させる前の、本発明による中間体薄膜の略図である。 実施例1〜4に記載の通りに得られるPEDOT/PSSナノ薄膜の表面抵抗の漸進を、PEDOT/PSS導電層の成膜ステップで加えられる回転速度の関数として例示する。−○−で示される値は、PEDOT/PSS層の前駆物質として市販品Clevios(商標)P AGを使用して得られたデータを指し、−●−で示される値は、Clevios(商標)PH1000製品を使用して得られたデータを指す。 PEDOT/PSS層の異なる2つの市販の前駆物質から得られ、Si/PDMSで再度支持された、2シリーズの薄膜の両者について、回転速度の関数として検出された表面抵抗の値の漸進を示す。−○−で示される値は、市販品Clevios(商標)P AGを使用して得られたデータを指し、−●−で示される値は、Clevios(商標)PH1000製品を使用して得られたデータを指す。 全てClevios(商標)PH1000から調製された異なる3シリーズのナノ薄膜について検出された表面抵抗の値の漸進を、加えた種々の回転速度の関数として示す。−●−で示される値はSi/PDMSで再度支持されたPEDOT/PSSの薄膜を使用して得られたデータを指し、−■−で示される値はガラス上に移動させた、自立した、PEDOT/PSSの薄膜を指し、−□−で示される値はガラス上に移動させたが、温度170℃で1時間、熱処理も受けた同一薄膜を指す。 異なる4種のPEDOT/PSSナノ薄膜について検出された導電率の値を比較するヒストグラムを示す: ・PAG@PDMS:Si/PDMS(本方法のステップc)で得られる)で再度支持された、Clevios(商標)P AGから調製されたナノ薄膜; ・PH1000@PDMS:Si/PDMS(本方法のステップc)で得られる)で再度支持された、Clevios(商標)PH1000から調製されたナノ薄膜; ・PH1000@Glass:ガラス上に移動させた、Clevios(商標)PH1000から調製された、自立したナノ薄膜(ステップe)で得られ、次いでガラス上に移動させる); ・PH1000@Glass:ガラス上に移動させ、温度170℃で1時間の熱処理にかけた、Clevios(商標)PH1000から調製された、自立したナノ薄膜;(ステップe)で得られ、次いでガラス上に移動させて熱処理にかけた); 実施例8に記載の通りに得られた、ポリ乳酸(PLA)層およびPEDOT:PSS層からなる、水中で浮動する、自立したナノ薄膜の写真画像を示す。
発明の詳細な説明
本発明による方法において、第1ポリマー層は、たとえばシリコン、窒化シリコン、石英、ガラス、スズドープ酸化インジウム(ITO)、およびセラミック材料でできた支持体のような、たとえば裏付き薄膜の調製によく使用される平らな支持体の中から選択される、成長用の支持体上に成層される。
導電性ポリマー層の成層は、当該分野で周知であり、たとえばD. Meyerhofer, Journal of Applied Physics 1978, 49, 3993-3997に記述されている、支持体上へのポリマー薄膜の成膜技術である、「スピンコーティング」によって本方法で実行される。たとえばスプレーコーティング、インクジェット印刷、スクリーン印刷、等々のような、当該分野で周知の他の技術を使用できるとしても、好ましくは、第1ポリマー層の成膜もこの技術を用いて実行される。
成長用の支持体と導電性ポリマー層との間に中間層を調製する場合、たとえばその前駆物質のスピンコーティングにより、完全に平らな薄層を創って支持体上に成層できる任意の疎水性ポリマーを第1ポリマーとして選択することが可能であり、その表面をプラズマ処理によって親水性にすることができる。本方法における第1ポリマーは、たとえばSU8の名で市販されている(Microchem,USA)、紫外線フォトリソグラフィー法で使用される製剤等のエポキシ樹脂、およびケイ素ポリマー、たとえばクロロシラン類、特にメチルクロロシラン類、エチルクロロシラン類、フェニルクロロシラン類、等々を、前駆物質として使用して得ることができるものの中から選択することができる。本方法における使用に特に好ましいケイ素ポリマーは、たとえばプレポリマーおよび架橋剤を含む混合物から調製でき、Sylgard(DowCorp,USA)の商標で市販されている、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)である。
成膜が、PDMSまたは別の高粘度ケイ素ポリマーのスピンコーティングにより実行されるとき、その粘度を下げ、スピンコーティングによる層の薄さを得るために、たとえばn−ヘキサンまたはn−ヘプタンのようなn−アルカン類の中から選択される好適な溶剤を、好ましくはポリマーまたはその前駆物質と、たとえば混合物の重量に関して5〜140重量%の間に含まれる量で混合する。
さらに、第1ポリマーとして選択される材料によって、第1ポリマー層の表面湿潤性を高めるために、導電性ポリマー層の成膜を実行する前に、さらなる処理を実行することができる;たとえば、PDMSを第1ポリマーとして選択するとき、好ましくは導電性ポリマー層の成膜に進む前にOのプラズマ処理を実行する。
本発明の方法は、溶液または水性分散液の形で利用できるのであれば、任意の導電性ポリマーまたは導電性ポリマー類の混合物/錯体を使用して実行することができる。概して、用語「導電性ポリマー」は、一般に、10−3〜10S/cmの間に含まれる導電率σを有するポリマーとして定義される、電荷(イオンおよび電子電荷)を伝導することができる有機ポリマーを意味する;一般に、本発明で使用される導電性ポリマーは、0.1〜1000S/cmの間に含まれる導電率を有し、これは本方法の終わりに得られるナノ薄膜により維持される。好適な導電性ポリマー類は、たとえば、いわゆる「共役ポリマー類」または「本質的に導電性のポリマー類」(ICP)(導電性が特定の構造に起因する、共役結合を有する分子からなるポリマー類、たぶん水性分散液の形で利用できるようにするために好適な分散剤と錯体を形成させた)の中から選択される。こうしたポリマー類の例としては、ポリプロール(polypryyol)、ポリチオフェン、ポリアニリン、およびそれらの誘導体などが挙げられる。高耐久性および高導電性という特性のため、ポリチオフェンおよびその誘導体は、本発明による好ましい導電性ポリマーである。
こうした共役ポリマー類は、たとえばアルキル基、アルキレン基、アルキニル基,アルコキシ基,アルキルチオ基およびアミノ基からなる群から選択される、同一または互いに異なる、1つまたは複数の置換基を有することができる。結合された2つの置換基があるとき、それらはチオフェン環に隣接した環を形成することができる;たとえば、2つのアルコキシ基はジオキサン環を形成することができる。本発明の特に好ましい実施態様によれば、導電性ポリマーは実際に2つの置換基がジオキサン環を形成するポリチオフェンの誘導体である:分散剤、たとえばポリスチレンスルホン酸塩(PSS)との錯体の形である、頭字語PEDOTによって広く知られているポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)。本発明による好ましい導電性ポリマーは、頭字語PEDOT/PSSによって一般に示される錯体であり、2成分の重量比が1/2.5〜1/20の間に含まれることができ、それぞれ商品Clevios(商標)PAGおよびClevios(商標)PH1000(H.C.Starck GmbH,Leverkusen,Germany)のように、たとえば1/2,5に等しい。
第1ポリマー層および成長用の支持体上に成層された導電性ポリマー層からなるステップa)に由来する薄膜を、次にはたとえば90〜200℃の間に含まれる温度で実施される熱処理にかける、好ましくは薄膜を170℃の温度に1時間当てる。
本方法による第2ポリマー層の調製に好適なポリマー類は、たとえばポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、および水溶性セルロースエーテル類からなる群から選択される、水溶性ポリマー類であり、好ましくはたとえば溶液の総重量に関して5〜20重量%の間に含まれるPVA濃度を有するPVAの水溶液のドロップキャスト成膜により調製される、PVA層である。
本発明において、「水溶性ポリマー」により、我々は一般に、たとえばGraham S. et al. in Requirements for biodegradable water-soluble polymers, Polymer Degradation and Stability, 1998, 59, 19-24;で定義された水に溶解させることができるポリマーを意味し;より具体的には、我々は室温で10〜20重量%の値まで水中での溶解度を有することができるポリマー類を意味し;本願明細書に記載されているような一般的な厚さの層で成層されるとき、これらのポリマーは、残渣を残さずかつ撹拌を使用せずに、短時間(たとえば60〜600秒の間に含まれる)および温度25℃で、水に完全に溶解させることができる。
本方法のステップc)において、第2ポリマー層の成膜は、ポリマー薄膜の製造分野で周知でありかつよく使用されるものの中から選択される技術を用いて実行され、その技術を用いれば導電性ポリマー層は、第1ポリマー層に優先的に接着し、その後、次のステップd)において、第2ポリマー層上に接着させた導電性ポリマー層は、成長用の支持体上の第1ポリマー層から剥離する;そのような剥離操作は、薄刃で表面をカットすることおよび/またはピンセットを用いて薄膜を持ち上げることにより、容易に行うことができる。
本発明の方法によって、導電性ポリマーのナノ薄膜の水中でのリリースは、支持体層を水中で溶解させることにより簡単に実行することができる。機械的撹拌および/または温度35〜40℃の水の使用は、ナノ薄膜の水中でのリリースを容易にかつ迅速化することが可能であり、したがって本方法のステップe)の好ましい実施態様を構成する。
他の水溶液または生体液中でのナノ薄膜の移動は、たとえばピペットを用いた吸引および圧出により、薄膜を損傷させることなく、容易に実行できる。したがって、本発明の方法で得られるナノ薄膜は、必要とされる用途に応じて、様々な種類および形状の固体基材上、たとえばガラス、紙、鋼、金属類、プラスチック、エラストマーで作られた基材上にも、ヒト皮膚の試料上にも、再成膜することができ、柔軟性が高く、薄膜の厚さがナノメーターレベルであることが、材料の表面上に存在する微小波形および多孔性に適応することを可能にするため、あらゆる場合に、卓越した接着性を示す。そのような基材上の成膜は、薄膜が基材上に成膜される前に完全に乾燥するのを防ぎながら、直接にまたは金属ワイヤーの有孔メッシュを用いて実行することができる。この時点に限って、表面からあらゆる残留水を除去して最終的に完全になる基材への接着性を向上させるために、たとえば圧縮空気の噴射および/または熱処理を用いて、乾燥まで進めることが可能である。いったん基材上に成膜したら、その薄膜を好適な金属刃を用いてカットすることもできる。
本発明の方法はこのようにして、経時的に限られた分解性、均一性および導電性を具備する、所望の寸法の、一般に40〜200nmの間に含まれる厚さ、好ましくは45〜100nmの間に含まれる厚さ、および広い表面、たとえば1cm超を有する、強いポリマー薄膜を得ることを可能にする。本方法の幾つかのパラメータ、たとえばスピンコーティングステップの速度および回転時間および使用するポリマーのタイプに作用することによって、こうした範囲内で、本ポリマー薄膜の厚さを必要に応じて変えることができる。
本方法を用いて得られるナノ薄膜はまた、自立した薄膜の形態で水中、水溶液中または生体液中でリリースされるとき、優れた化学的および構造的安定性ならびに抵抗性も有する;特に、本方法によって、水中での支持体からのリリースおよび移動は、数cmの表面を有するポリマー薄膜でさえその安定性および完全性を損なわない。
本発明の方法は、詳細に後述する特定の実施態様で、前述の寸法および特性を備え、均質ではないというよりむしろ、所定のパターンに従って導電区域と非導電区域の両方を含む導電層を有するナノ薄膜の調製も可能にし、基材表面上の電位および細胞接着性を限局的な様式で調節できることにより、そのような薄膜を、細胞の成長、刺激および分化のための支持体としての用途に特に適するものにする;そのような薄膜は、センサーおよびバイオセンサーを製造するための基材としての使用にも好適である。
そのような実施態様で、本発明の方法は、上述のステップb)に由来する薄膜における導電性ポリマー層の非可逆的で限局的な酸化ステップb’)も含む。用語「限局的酸化」によって我々は、導電層の非可逆的酸化を実行するのに好適であり、また一種の明確な「デザイン」または「パターン」を創るために特定の区域で選択的であるならば、様々な酸化剤および様々な技術を用いて実行することができる、広範囲ではなく、区域での、酸化を意味する。非可逆的酸化は、導電率をかなり低下させ、電気絶縁体という特性を持つようになる酸化された区域の「失活」が結果として生じる。本方法において、導電性の限局的な「失活」に加えて、非可逆的酸化法のさらなる結果は、青色(または厚さによって、薄青色)から無色になる、薄膜の変色であり、結果として可視光のスペクトル範囲全体にわたり光透過率の変化が生じる。酸化区域は、非酸化区域に関して、ナノメーターレベルで粗さの僅かな低下を示すが、しかし厚さの顕著な変化は示さない。
本発明の実行に好適な酸化処理は、たとえばいわゆるマイクロコンタクトプリント法(μCP)、インクジェット印刷、電気化学的過剰酸化またはフォトリソグラフィー技術のような、区域における印刷に好適な、ナノテクノロジーの分野でよく使用される印刷技術を使用する、酸素プラズマ処理、あるいは次亜塩素酸ナトリウムまたは過酸化水素の水溶液を用いた処理から選択される。後者では、酸化性溶液浴中での区域別酸化に進む前に、所定のパターンを有する保護マスクの機能を用いて導電層上に成層するために、好適なフォトリソグラフ樹脂が使用される。本発明の目的に好適なフォトリソグラフ樹脂の例は、商標名Shipley Microposit S1800 Series Photoresistsで知られる製品であり、酸化処理後にその残分が表面から除去される、ポジティブトーンレジストである。ポジティブあってもネガティブであっても、他の同様なフォトレジストを、本方法の範囲から逸脱せずに、このステップで使用することができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、上述のステップc)における水溶性の第2ポリマーの成膜に進む前に、本方法は、追加的ポリマー層の、区域別に酸化された導電性ポリマー上への成膜があるステップb”)を含み、その後はじめて第2ポリマーが成膜される、したがって、導電性ポリマー層上に直接ではなく、追加的ポリマー層上に水溶性層を創る。本方法で使用するのに好適な追加的ポリマーは、水やクロロホルム等の溶媒に溶解し、下にある導電性ポリマーを劣化させず、スピンコーティングにより均一な層で容易に成膜することができ、成膜後は水に溶けない、ポリマーである;そのようなポリマーは、たとえばポリ乳酸およびSU8という名称で知られる感光性樹脂,エポキシ系フォトレジストから選択される。成長用支持体上の第1ポリマー層の剥離、および上述のステップd)およびステップe)による第2ポリマー層の水中での溶解を経て、マイクロメートルレベルの分割を有するパターンが上に創られる、導電性ポリマー層の限局的酸化に由来する導電区域の追加的ポリマー層を含むナノ薄膜が最終的に得られる。
上述の特徴により、本発明のナノ薄膜には、たとえば新しいセンサーやアクチュエーターの開発分野において、微小規模および中規模の物体の水中または生体液中での運動における「スマート材料」として、多層構造および/または多機能構造の製造において、微細加工した人工産物上、生物学的試料上または非平面の複雑な形状を特徴とする他の物品上への、ナノメーターレベルの導電薄膜の成膜におけるような、多くの用途がある。
本発明の方法を用いて調製されるナノ薄膜は全て生体適合性である。本発明で、用語「生体適合性」は、細胞、微生物、組織等々の、有機体と直接接触して配置されるとき、それらの生活機能に悪影響を引き起こさずかつ/またはそれらによって効果的に代謝される、製品を指す。特に、本ナノ薄膜のインビトロ生体適合性は、接着性テストおよび短期、中期、長期で様々な種類の細胞を用いた細胞培養の生存能力により、細胞生存能力の維持に関して証明されている。本ナノ薄膜の調製に使用される材料はまた、インビボ動物テストで、および神経電極の構築およびコーティングへの応用において、生体適合性であり、長期的であっても、悪影響が皆無であることが確認されている。
こうした特性により、細胞の接着性、成長、分化ならびに電気的刺激および機械的刺激のための基材として、またバイオハイブリッド装置およびアクチュエーターを開発するためにも、本薄膜を使用することができる。たとえばA.W.Feinberg et al., Science 2007, 317,1366に記述されている通り、そのようなマイクロデバイスにおいて、自発的に収縮できる(たとえば心筋細胞)か、またはアクチュエーションのための活性な要素として電気刺激を受けるとき(たとえば筋芽細胞)、細胞系の使用をマイクロエレクトロニクスシステムと組み合わせることができる。
本ナノ薄膜は、水性環境でそれらを操作でき、ナノメートルレベルの厚さ、調節可能な柔軟性および高弾性率を特徴とするため、細胞の接着性用の支持体としておよびこうしたデバイスの調製に、特に適している。電気伝導の可能性はまた、筋細胞の直接的でかつ制御された刺激を確実にし、本発明のナノ薄膜を、インビトロで筋肉を製造するための成分および新しいバイオハイブリッドデバイスの開発のための成分として、好適なものにする。
本ナノ薄膜の他の生物医学的用途は、再生医療分野、組織工学、および薬物の制御放出用デバイスの開発にある。
以下の実施例は本発明を例示するために提供するものであり、その制限の構成要素とならない。
実施例1
寸法30×30mmのケイ素基材上に、ケイ素プレポリマー(成分A)12mgと市販の二成分製品Sylgard(商品登録) 184(Dow Corp.,USA)の架橋剤(成分B)1.2mgを混合することによって調製した生成物1.5mlおよび混合物の総重量に関して10重量%に等しい量のn−ヘキサンを、成膜した。基材上に成膜する前に、混合物を勢いよく数分間撹拌し、次いで真空脱気処理に数分間かけ、成分の混合中に形成する気泡を除去した。
次いで、基材を6000rpmの回転速度で150秒間回転させ、その後、架橋およびPDMS層形成のために温度95℃の炉に1時間入れた。次いで、このようにして得たPDMSの表面を、Harrick Plasma Inc.製のPlasma Cleaner PDC-32G装置を用いて、圧力250 mTorr、出力6.8Wで1分20秒間、空気プラズマ処理にかけた。
次いで、このようにして得たPDMS層上に、重量比PEDOT/PSSが1/2.5であるPEDOT/PSSの水性分散液からなる、市販品Clevios(商標)P AG(H.C.Starck GmbH,Germany)を使用して、やはりスピンコーティングで、PEDOT/PSS層を成層した;基材を、500rpm/sで加速しながら、1000rpmの速度で1分間回転させた。
このようにして得た生成物上に、温度170℃で1時間熱処理にかけておいた後、溶液の総重量に関して10重量%に等しい濃度のPVA水溶液のドロップキャスト法により、成膜を実行した。室温で、約8時間、風乾後、PVA表面を好適な薄刃でカットし、薄膜をピンセットで持ち上げることによって成長用基材から剥離する。PDMSに関して、PVAへの方がPEDOT/PSSの接着性が高いため、PEDOT/PSSの導電層が裏側に置かれたPVA層を剥離した。次いでPVAおよびPEDOT/PSSの薄膜を水中に置き、そこでPVA層が完全に溶解して、所望の自立したPEDOT/PSSの薄膜を水中にリリースする。
そのようにして得た薄膜の厚さを評価するために、それをケイ素基材の表面上に成膜し、そこで窒素流を用いて乾燥させた。得られた薄膜の厚さを原子間力顕微鏡(AFM)で測定したところ、121nmに等しかった。
実施例2
Clevios(商標)P AGの代わりに、やはり、重量比PEDOT/PSSが1/2.5に等しい、PEDOT/PSSの水性分散液からなる市販品Clevios(商標)PH1000を使用したこと以外は、上に示したものと全く類似した方法で、実施例1に記載の調製を繰り返した。
調製の終わりに、実施例1に上述した通りに薄膜の厚さを測定したところ、92nmに等しかった。
実施例3
PEDOT/PSS層の成膜ステップで回転速度を変化させたこと、および以下の速度値:1500rpm、2000rpm、2500rpm、3000rpm、3500rpm、4000rpm、4500rpm、5000rpm、5500rpm、および6000rpmを使用したこと以外は、上述したものに完全に類似した方法で、実施例1および実施例2に上述した調製を繰り返した。実施例1に上述した通り、各実験の終わりに、得られた薄膜の厚さを測定した。下表1は、得られた値を示し、図2は、回転速度の変化に伴う漸進を示す:
Figure 2013543925
実施例4
PVA層の成膜前に、実施例1〜3に記載の通りに得られ、再度Si/PDMSで支持されたPEDOT/PSSの薄膜の表面抵抗を、4-Point Probe Head(Jandel EngineeringLtd.,GB)を使用して、四点法で測定した。ポテンシオスタット(mod.7050,Amel Instruments,IT)を用いて外部ピンを介して1mAに等しい電流を印加する条件で、試料と接触した測定ヘッドの2つの内部ピンの電圧低下をマルチメーターで測定した。図3は、PEDOT/PSS層の異なる2つの市販の前駆物質を使用して得られた2シリーズの薄膜の両者について、回転速度の関数として検出された表面抵抗値の漸進を示す。
実施例5
水中にリリースされた、上述の実施例1〜3に記載の通りに得られた、PEDOT/PSSの薄膜を、ガラス支持体上に移動させ、残留水分が除去されるまで、温度170℃で1時間、熱処理にかけた。
このようにして得られた薄膜の表面抵抗を、実施例4に上述したものと同一方法および同一条件で測定した。図4は、Clevios(商標)PH1000から出発して調製され、ガラス上に移された、2シリーズのPEDOT/PSS薄膜について検出された表面抵抗の値の漸進、および比較として、Clevios(商標)PH1000から調製されたSi/PDMSで支持された薄膜に関して検出され、既に図3に示した、値の漸進を示す。
実施例6
PEDOT/PSS層の成膜ステップで市販品Clevios(商標)PH1000を使用し、回転速度1500rpmを用いて、実施例2に上述した通りに調製されたナノ薄膜の2試料を、45秒間、Oプラズマ処理にかけ、続いてフィブロネクチンコーティングを形成した。25.000細胞/cmに等しい濃度を得るために、このように処理した試料上に2種の細胞、骨格筋細胞C2C12および心細胞H9c2を播種した。
蛍光顕微鏡画像で、生細胞(緑色)と死細胞(赤色)を識別するために特定の色素が使用される、Live/Dead(登録商標)蛍光着色により測定される細胞生存能力を評価することを可能にするテストを用いて、生体適合性および細胞接着性を確認した。この方法を用いた細胞物質の評価を播種後24時間、および播種後7日に、両タイプの細胞について実行し、どちらの場合にも、フィブロネクチンでコーティングされた本発明のナノ薄膜の卓越した生体適合性、ならびに短期および長期の両方における細胞の高い接着性を確認した。
実施例7
PEDOT/PSS層の成膜ステップで市販品Clevios(商標)PH1000を使用し、回転速度1500rpmを用いて、フィブロネクチンコーティングをせず、表面特性を変更するのに好適な処理を欠いた、実施例2に上述した通りに調製したナノ薄膜の試料上に、骨格筋細胞C2C12を10.000細胞/cmに等しい濃度で播種し、播種後24時間に、Live/Dead(登録商標)蛍光着色を用いたテストを実行した。この場合にも、本発明のナノ薄膜上に播種された細胞のほぼ全部が、接着しかつ生きており、したがってこの材料の生体適合性を証明した。
実施例8
寸法30×30mmのケイ素基材上に、ケイ素プレポリマー(成分A)12mgと市販の二成分製品Sylgard(登録商標) 184(Dow Corp.,USA)架橋剤(成分B)1.2mgを混合することにより調製した生成物1.5mlおよび混合物の総重量に関して15重量%に等しい量のn−ヘキサンを、成膜した。基材上に成膜する前に、混合物を勢いよく数分間撹拌し、次いで真空脱気処理に数分間かけて、成分の混合中に形成する気泡を除去した。
次いで、基材を6000rpmの回転速度で150秒間回転させ、その後、架橋およびPDMS層形成のために温度95℃の炉に1時間入れた。次いで、このようにして得たPDMSの表面を、Harrick Plasma Inc.製のPlasma Cleaner PDC-32Gを用いて、出力7W、圧力250mTorrで30秒間、空気プラズマ処理にかけた。
次いで、このようにして得たPDMS層上に、重量比PEDOT/PSSが1/2.5であるPEDOT/PSSの水性分散液からなる、市販品Clevios(商標)PH1000(H.C.Starck GmbH,Germany)を使用し、やはりスピンコーティングでPEDOT/PSS層を成層した;基材を、500rpm/sで加速しながら、2000rpmの速度で1分間、回転させた。次いで、生成物を、温度170℃で1時間、熱処理にかけた。
このようにして得た生成物上に、フォトレジスト樹脂MICROPOSIT(登録商標)S1813(登録商標)PHOTO RESIST,Shipley Company,USAの層を、スピンコーティングで成層し、基材を速度4500rpmで30秒間回転させ、次いで温度100℃の加熱板上に1分間のせ、Mask Aligner MA6 Suess Microtec(SUSS MicroTec Lithography GmbH,Germany)を使用することによって移動されるパターンをもつフォトリソグラフィー用マスクとぴったり接触させて置き、紫外線に13.6秒間曝露した。
Microposit(登録商標)MF(登録商標)-319 Developer(Shipley Company,USA)溶液中に1分間浸漬し、その後脱イオン水ですすぐことにより、所望のパターンをフォトレジスト上に画定することが可能になり、フォトレジストマスク、すなわち導電性ポリマー層の限局的カバーを入手できる。
次いで、生成物を10重量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中に2分間浸漬し、続いて脱イオン水で洗浄し、窒素または圧縮空気の噴射を浴びせるガンで乾燥させることにより酸化処理が行われる。そのような酸化処理は、所望のパターンに従って、PEDOT:PSS薄膜の露出区域における導電性を失活させる。
次いで、Microposit(登録商標) 1165 Remover(Shipley Company,USA)と呼ばれる好適な製品中に、室温で2分間浸漬することによりフォトレジストマスクを完全に除去し、続いて水で洗浄し、窒素または圧縮空気ガンで乾燥させる。
そのようにして得た生成物上に、ポリ(乳酸)(PLA)の層を、その溶液(クロロホルム中に20mg/ml)からスピンコーティングにより成層し、基材を速度3000rpmで20秒間させ、次いで温度200℃の加熱板上に10分間のせ、最後に、温度15℃の脱イオン水中に浸漬することにより急冷し、その後窒素または圧縮空気ガンで乾燥させた。
このようにして得た生成物上に、溶液の総重量に関して10重量%に等しい濃度のPVA水溶液の成膜を、ドロップキャスト法で実行した。室温で約8時間の風乾後、PVAの表面を好適な薄刃でカットし、薄膜を、ピンセットで持ち上げることにより、調製基材から剥離した。次いで、PDMSに関して、PLAへの方が導電層の接着性が大きいことにより、PVA層、PLA層およびPEDOT/PSSの「パターン化した」導電層からなる薄膜を、PDMSの基材から剥離した。次いで、PVA/PLAおよびPEDOT/PSSの薄膜を、PVA層が完全に溶解する水中に入れ、PLAの均一層および「パターン化した」PEDOT/PSSからなるナノ薄膜を水中にリリースした。
図6は、水中で浮動している、この自立したナノ薄膜の写真画像を示す;この画像で、導電層の表面の限局的酸化により形成される所定のパターンを識別することも可能である。

Claims (24)

  1. 以下のステップ:
    a)第1ポリマー層および導電性ポリマー層の、成長用支持体上への逐次成膜であって、前記成長用支持体上に前記第1ポリマー層および前記導電性ポリマー層からなる薄膜を得るために、前記導電性ポリマー層の成膜がスピンコーティングで実行されるステップ;
    b)ステップa)に由来する薄膜の熱処理ステップ;
    c)水に可溶性であり、前記導電性ポリマー層が第2ポリマー層に接着するような、第2ポリマー層の成膜ステップ;
    d)前記第2ポリマー層上の前記導電性ポリマー層を、増殖用支持体上の前記第1ポリマー層から剥離するステップ;
    e)ステップd)に由来する前記第2ポリマー層上の前記導電性ポリマー層を水中に浸漬すること、および前記第2ポリマー層を溶解させることにより、前記導電性ポリマー層を自立したナノ薄膜としてリリースするステップ;
    を含むことを特徴とする、生体適合性の、自立した、導電性ポリマーのナノ薄膜の調製方法。
  2. 前記導電性ポリマーが、分散剤との錯体の形のポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記分散剤がポリスチレンスルホン酸塩(PSS)である、請求項2に記載の方法。
  4. 重量比PEDOT/PSSが1/2.5である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記第1ポリマーがケイ素ポリマーおよび疎水性エポキシ樹脂から選択され、ステップa)における成膜後、前記導電性ポリマー層の成膜前に、前記第1ポリマー層がプラズマ処理にかけられる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記第1ポリマー層がポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)の層である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)層の前記成膜が、粘度を下げる溶媒と共に加えられる前駆物質のスピンコーティングにより実行される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記溶媒が5〜140重量%の量で加えられるn−ヘキサンである、請求項7に記載の方法。
  9. ステップb)における前記熱処理が90〜200℃の間に含まれる温度で実行される、請求項1に記載の方法。
  10. ステップb)における前記熱処理が、前記薄膜を170℃の温度に1時間当てることにより実行される、請求項1に記載の方法。
  11. ステップc)における前記第2ポリマーが、ポリビニルアルコール(PVA),ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、および水溶性セルロースエーテル類からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  12. 前記第2ポリマーがポリビニルアルコール(PVA)である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記第2ポリマー層が、溶液の総重量に関して5〜20重量%の範囲の濃度のPVAを有するPVA水溶液のドロップキャスト成膜により調製される、ポリビニルアルコール(PVA)層である、請求項1に記載の方法。
  14. ステップe)における前記ナノ薄膜のリリースが、35〜40℃の間に含まれる温度の水を使用することにより実行されかつ/または機械的撹拌にかけられる、請求項1に記載の方法。
  15. ステップe)に由来する前記自立したナノ薄膜の前記水溶液からの回収、および液体媒体中または固体支持体上の任意選択的な移動をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  16. ステップe)で得られる前記自立したナノ薄膜が、40〜200nmの間に含まれる厚さを有する、請求項1に記載の方法。
  17. 前記ナノ薄膜の厚さが45〜100nmの範囲である、請求項16に記載の方法。
  18. ステップb)の後でかつステップc)における可溶性ポリマーの成膜前に、前記導電性ポリマー層の限局的非可逆的酸化のステップb’)をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  19. ステップb’)における前記酸化が、水溶液中の次亜塩素酸ナトリウム、水溶液中の過酸化水素、および酸素プラズマの中から選択される酸化剤を用いて、ステップb)に由来する薄膜の処理により実行される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記酸化処理が、マイクロコンタクトプリント法(μCP)、インクジェット印刷,電気化学的過剰酸化またはフォトリソグラフィーの中から選択される技術で実行される、請求項19に記載の方法。
  21. 前記導電性ポリマー層上の追加的ポリマー層の成膜ステップb”)をさらに含み、ステップc)で成膜される前記第2ポリマーが、前記追加的ポリマー層に接着する、請求項18に記載の方法。
  22. 前記追加的ポリマーが、ポリ乳酸,および樹脂SU8から選択される、請求項21に記載の方法。
  23. 請求項1に記載の前記第2ポリマー層上、または請求項21に記載の前記追加的ポリマー層および前記第2ポリマー層上に、前記導電性ポリマー層を含む、生体適合性の、自立した、導電性ポリマーのナノ薄膜を調製するための中間体。
  24. 水中で前記第2ポリマー層を溶解することにより、生体適合性の、自立した、導電性ポリマーのナノ薄膜を調製するための、請求項23に記載の中間体の使用。
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