JP2013542266A - 認知障害を処置するためのベンゾジアゼピン誘導体、組成物、および方法 - Google Patents

認知障害を処置するためのベンゾジアゼピン誘導体、組成物、および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ベンゾジアゼピン誘導体、治療有効量のこれらのベンゾジアゼピン誘導体を含む組成物、ならびにα5サブユニット含有GABAA受容体のアゴニストに対して応答性である認知障害を伴う中枢神経系(CNS)障害、例えば、加齢性認知障害、軽度認知障害(MCI)、認知症、アルツハイマー病(AD)、前駆期AD、外傷後ストレス障害(PTSD)、統合失調症およびがん療法が関連する認知障害の処置においてこれらの誘導体または組成物を使用する方法に関する。

Description

本発明は、α5サブユニット含有GABA受容体のアゴニストに対して応答性である認知障害を伴う中枢神経系(CNS)障害、例えば、加齢性(age−related)認知障害、軽度認知障害(MCI)、認知症、アルツハイマー病(AD)、前駆期AD、外傷後ストレス障害(PTSD)、統合失調症およびがん療法が関連する認知障害を処置するための化合物、組成物および方法に関する。
GABA受容体(GABAR)は、神経伝達物質γ−アミノ酪酸(GABA)によって作動するCl−透過チャネルを形成する、異なるサブユニット(α1〜6、β1〜3、γ1〜3、δ、ε、π、θ)のプールからの五量体のアセンブリーである。不安障害、てんかん、不眠、麻酔前鎮静、および筋弛緩を含めた様々な薬理効果は、異なるGABAサブタイプによって媒介される。
GABAシグナル伝達の減少は、認知障害を伴う様々なCNS障害に関連付けられることが様々な研究によって実証されてきた。特に、哺乳動物の脳において相対的に低密度であるα5含有GABARは、学習および記憶の修正において役割を果たす。従前の研究は、加齢性認知低下を伴うラットにおけるGABA受容体のα5サブユニットの海馬での発現の低下を実証した(特許文献1を参照されたい)。このような結果は、α5含有GABAR機能のアップレギュレーションが、認知障害を伴うCNS障害、例えば、加齢性認知障害、軽度認知障害(MCI)、認知症、アルツハイマー病(AD)、前駆期AD、PTSD、統合失調症およびがん療法が関連する認知障害の処置において有効であり得ることを示唆する。
したがって、認知障害を伴うCNS障害の処置のための治療用調製物において有用なα5含有GABARのアゴニストが必要とされている。
国際公開第2007/019312号
本発明は、式Iの化合物、
Figure 2013542266
または薬学的に許容されるその塩
[式中、
X、ならびにαおよびβによって指定される2個の炭素原子は一緒になって、N、OおよびSから独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有するC5〜C10芳香族環を形成し、
Yは、−N=または−C(R)=であり、
mは、0〜4から選択される整数であり、
それぞれ出現するR、R、RおよびRは、
ハロゲン、−R、−OR、−NO、−NCS、−CN、−CF、−OCF、−SiR、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−SON(R)、−SOR、−(CR1〜3R、−(CR1〜3−OR、−(CR0〜3−C(O)NR(CR0〜3R、−(CR0〜3−C(O)NR(CR0〜3OR、−C(O)R、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−C(S)R、−C(S)OR、−C(O)OR、−C(O)C(O)OR、−C(O)C(O)N(R)、−OC(O)R、−C(O)N(R)、−OC(O)N(R)、−C(S)N(R)、−(CR0〜3NHC(O)R、−N(R)N(R)COR、−N(R)N(R)C(O)OR、−N(R)N(R)CON(R)、−N(R)SOR、−N(R)SON(R)、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)C(S)R、−N(R)C(O)N(R)、−N(R)C(S)N(R)、−N(COR)COR、−N(OR)R、−C(=NH)N(R)、−C(O)N(OR)R、−C(=NOR)R、−OP(O)(OR)、−P(O)(R)、−P(O)(OR)、および−P(O)(H)(OR)
から独立に選択され、
各Rは、
H−、
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−、
(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
[(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−、
(C6〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、および
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−
から独立に選択され、
あるいは2つのR基が同じ原子に結合しているとき、上記2つのR基は、それらが結合している原子と一緒になって、N、O、S、SO、およびSOから独立に選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3員〜10員芳香族環または非芳香族環を形成してもよく、ここで、上記環は、(C6〜C10)アリール、(C5〜C10)ヘテロアリール、(C3〜C10)シクロアルキル、または(C3〜C10)ヘテロシクリルに必要に応じて縮合されており、
ここで、それぞれ出現するRは、0〜5つのR’で独立に置換されており、
ここで、それぞれ出現するR’は、H、ハロゲン、−R’’、−OR’’、−NO、−NCS、−CN、−CF、−OCFおよび−N(R’’)から独立に選択され、
ここで、R’’は、Hまたは−(C1〜C4)−脂肪族であり、
ただし、式Iの上記化合物は、
Figure 2013542266
でもない]
を提供することによって、上記の必要性に対処する。
本発明はまた、式IIの化合物、
Figure 2013542266
または薬学的に許容されるその塩
[式中、
X、ならびにαおよびβによって指定される2個の炭素原子は一緒になって、N、OおよびSから独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有するC5〜C10芳香族環を形成し、
Z、およびγによって指定される炭素原子、およびδによって指定されるN原子は一緒になって、
Figure 2013542266
から選択されるトリアゾロ環を形成し、
mは、0〜4から選択される整数であり、
それぞれ出現するR、RおよびRは、
ハロゲン、−R、−OR、−NO、−NCS、−CN、−CF、−OCF、−SiR、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−SON(R)、−SOR、−(CR1〜3R、−(CR1〜3−OR、−(CR0〜3−C(O)NR(CR0〜3R、−(CR0〜3−C(O)NR(CR0〜3OR、−C(O)R、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−C(S)R、−C(S)OR、−C(O)OR、−C(O)C(O)OR、−C(O)C(O)N(R)、−OC(O)R、−C(O)N(R)、−OC(O)N(R)、−C(S)N(R)、−(CR0〜3NHC(O)R、−N(R)N(R)COR、−N(R)N(R)C(O)OR、−N(R)N(R)CON(R)、−N(R)SOR、−N(R)SON(R)、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)C(S)R、−N(R)C(O)N(R)、−N(R)C(S)N(R)、−N(COR)COR、−N(OR)R、−C(=NH)N(R)、−C(O)N(OR)R、−C(=NOR)R、−OP(O)(OR)、−P(O)(R)、−P(O)(OR)、および−P(O)(H)(OR)
から独立に選択され、
各Rは、
H−、
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−、
(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
[(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−、
(C6〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、および
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−
から独立に選択され、
あるいは2つのR基が同じ原子に結合しているとき、上記2つのR基は、それらが結合している原子と一緒になって、N、O、S、SO、またはSOから独立に選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3員〜10員芳香族環または非芳香族環を形成してもよく、ここで、上記環は、(C6〜C10)アリール、(C5〜C10)ヘテロアリール、(C3〜C10)シクロアルキル、または(C3〜C10)ヘテロシクリルに必要に応じて縮合されており、
ここで、それぞれ出現するRは、0〜5つのR’で独立に置換されており、
ここで、それぞれ出現するR’は、H、ハロゲン、−OH、−R’’、−OR’’、−NO、−NCS、−CN、−CF、−OCFおよび−N(R’’)から独立に選択され、
ここで、R’’は、Hまたは−(C1〜C4)−脂肪族である]
を提供することによって、上記の必要性に対処する。
式Iおよび式IIの化合物を使用して、GABAα5受容体アゴニストとしての活性によるなど、本明細書に記載されている状態を処置することができる。
本発明はまた、上記の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む組成物を提供する。
本発明の別の態様において、それを必要としている被験体またはその危険性がある被験体において認知障害を伴うCNS障害を処置するための方法を提供し、この方法は、上記被験体に、治療有効量のGABAα5受容体アゴニストまたは薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む。本発明の特定の実施形態において、GABAα5受容体アゴニストまたは薬学的に許容されるその塩は、12時間または24時間毎に投与される。
図1は、8アームのラジアルアーム迷路(RAM)試験において10匹の老齢の障害された(AI)ラットの空間記憶保持に対するメチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートを投与することの作用を描写するグラフである。黒い棒は、ビヒクル単独で処置したラットを指す。中白の棒は、異なる用量でのメチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートで処置したラットを指す。斜線の棒は、TB21007およびメチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートの組合せで処置したラットを指す。 図2は、海馬および小脳におけるRo154513の結合に対するメチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレート(静脈内に投与)の作用を示すグラフである。メチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートは、海馬においてRo154513の結合を遮断したが、小脳においてRo15413の結合に影響を与えなかった。 図3は、静脈内に投与したメチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートによる用量依存的なGABAα5受容体占有を示すグラフであり、受容体占有は、完全な占有を定義するために、RO15−4513の海馬(高GABAα5受容体密度の領域)曝露とRO15−4513の小脳(低GABAα5受容体密度を有する領域)曝露との比によって、またはGABAα5選択的化合物であるL−655,708(10mg/kg、静脈内)を使用することのいずれかによって決定される。 図4は、海馬におけるメチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートについての曝露と占有との関係を示すグラフである。メチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートは、老齢の障害されたラットにおいて作用が活動性である、曝露時点のGABAα5受容体の約32%を占有する。 図5(A)〜(B)は、8アームのラジアルアーム迷路(RAM)試験における10匹の老齢の障害された(AI)ラットの空間記憶保持に対する、エチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートの作用を描写するグラフである。図5(A)は、上記RAM試験における10匹の老齢の障害された(AI)ラットの空間記憶保持に対する、エチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートの作用を示し、ここでは、ビヒクル対照を3回試験し、異なる用量のエチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートを2回試験した。図5(B)は、上記RAM試験における10匹の老齢の障害された(AI)ラットの空間記憶保持に対する、エチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートの作用を示し、ここでは、ビヒクル対照を5回試験し、3mg/kg用量のエチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートを4回試験し、他の用量のエチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートを2回試験した。図5(A)および5(B)の両方において、黒い棒は、ビヒクル単独で処置したラットを意味し、中白の棒は、異なる用量でのエチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートで処置したラットを指す。 図5(A)〜(B)は、8アームのラジアルアーム迷路(RAM)試験における10匹の老齢の障害された(AI)ラットの空間記憶保持に対する、エチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートの作用を描写するグラフである。図5(A)は、上記RAM試験における10匹の老齢の障害された(AI)ラットの空間記憶保持に対する、エチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートの作用を示し、ここでは、ビヒクル対照を3回試験し、異なる用量のエチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートを2回試験した。図5(B)は、上記RAM試験における10匹の老齢の障害された(AI)ラットの空間記憶保持に対する、エチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートの作用を示し、ここでは、ビヒクル対照を5回試験し、3mg/kg用量のエチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートを4回試験し、他の用量のエチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートを2回試験した。図5(A)および5(B)の両方において、黒い棒は、ビヒクル単独で処置したラットを意味し、中白の棒は、異なる用量でのエチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートで処置したラットを指す。 図6は、海馬および小脳におけるRo154513の結合に対する、エチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレート(静脈内に投与)の作用を示すグラフである。エチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートは、海馬におけるRo154513の結合を遮断したが、小脳におけるRo15413の結合に影響を与えなかった。 図7は、完全な占有を定義するために、RO15−4513の海馬(高GABAα5受容体密度の領域)曝露と、RO15−4513の小脳(低GABAα5受容体密度を有する領域)曝露との比によって計算した、静脈内に投与したエチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートによる用量依存的なGABAα5受容体占有を示すグラフである。 図8(A)〜(C)は、モリス水迷路行動課題を使用した老齢の障害されたラットにおける、ビヒクルであるジメチルスルホキシド(DMSO)と比較した、6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンの作用を示すグラフである。図8(A)は、6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンを投与されたラット、およびビヒクルであるDMSOを投与されたラットにおける訓練の間の逃避待ち時間(すなわち、ラットが水プール中の隠れたプラットフォームを見出すのにかかった平均時間(秒))を示す。図8(B)は、6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンを投与されたラット、およびビヒクルであるDMSOを投与されたラットが、標的の輪状部分(annulus)および反対の輪状部分において費やした時間の量を示す。図8(C)は、6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンを投与されたラット、およびビヒクルであるDMSOを投与されたラットによる標的の輪状部分および反対の輪状部分における横断の回数を示す。 図8(A)〜(C)は、モリス水迷路行動課題を使用した老齢の障害されたラットにおける、ビヒクルであるジメチルスルホキシド(DMSO)と比較した、6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンの作用を示すグラフである。図8(A)は、6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンを投与されたラット、およびビヒクルであるDMSOを投与されたラットにおける訓練の間の逃避待ち時間(すなわち、ラットが水プール中の隠れたプラットフォームを見出すのにかかった平均時間(秒))を示す。図8(B)は、6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンを投与されたラット、およびビヒクルであるDMSOを投与されたラットが、標的の輪状部分(annulus)および反対の輪状部分において費やした時間の量を示す。図8(C)は、6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンを投与されたラット、およびビヒクルであるDMSOを投与されたラットによる標的の輪状部分および反対の輪状部分における横断の回数を示す。 図8(A)〜(C)は、モリス水迷路行動課題を使用した老齢の障害されたラットにおける、ビヒクルであるジメチルスルホキシド(DMSO)と比較した、6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンの作用を示すグラフである。図8(A)は、6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンを投与されたラット、およびビヒクルであるDMSOを投与されたラットにおける訓練の間の逃避待ち時間(すなわち、ラットが水プール中の隠れたプラットフォームを見出すのにかかった平均時間(秒))を示す。図8(B)は、6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンを投与されたラット、およびビヒクルであるDMSOを投与されたラットが、標的の輪状部分(annulus)および反対の輪状部分において費やした時間の量を示す。図8(C)は、6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンを投与されたラット、およびビヒクルであるDMSOを投与されたラットによる標的の輪状部分および反対の輪状部分における横断の回数を示す。
(1)定義
本明細書において別段の定義がされない限り、本出願において使用される科学用語および技術用語は、当業者が一般に理解する意味を有する。一般に、本明細書に記載されている、化学、細胞および組織培養、分子生物学、細胞生物学およびがん生物学、神経生物学、神経化学、ウイルス学、免疫学、微生物学、薬理学、遺伝学ならびにタンパク質化学および核酸化学と関連して使用される命名法、およびこれらの技術は、当技術分野で周知であり一般に使用されるものである。
本発明の方法および技術は一般に、他に示さない限り、当技術分野で周知の従来の方法によって、ならびにこの明細書を通して引用および考察している様々な一般およびより特定の参照文献において記載されているように行われる。例えば、「Principles of Neural Science」、McGraw−Hill Medical、New York、N.Y.(2000年);Motulsky、「Intuitive Biostatistics」、Oxford University Press, Inc.(1995年);Lodishら、「Molecular Cell Biology、第4版」、W. H. Freeman & Co.、New York(2000年);Griffithsら、「Introduction to Genetic Analysis、第7版」、W. H. Freeman & Co.、N.Y.(1999年);およびGilbertら、「Developmental Biology、第6版」、Sinauer Associates, Inc.、Sunderland、MA(2000年)を参照されたい。
本明細書において使用される化学用語は、「The McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms」、Parker S.(編)、McGraw−Hill、San Francisco、C.A.(1985年)によって例示されるように、当技術分野における従来の使用に従って使用される。
上記の全て、ならびに本出願において言及する任意の他の刊行物、特許および公開された特許出願は、本明細書において特に参照により組み込まれている。矛盾している場合、その特定の定義を含めて、本明細書を優先する。
この明細書を通して、単語「含む(comprise)」またはバリエーション、例えば、「含む(comprises)」または「含むこと(comprising)」は、示された整数(または構成要素)または整数(または構成要素)の群を含むことを暗示するが、任意の他の整数(または構成要素)または整数(または構成要素)の群を含まないことを暗示しないと理解される。
単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈によって明らかにそれ以外のことの指示がない限り、複数を含む。
「含めた(including)」という用語は、「これらに限定されないが、以下を含めた」を意味するために使用される。「含めた」および「これらに限定されないが、以下を含めた」は、互換的に使用される。
「薬剤」という用語は、本明細書において、化合物(例えば、有機または無機化合物(例えば、本発明の化合物を含めた)、化合物の混合物)、生体高分子(例えば、核酸、抗体(その部分、ならびにヒト化抗体、キメラ抗体およびヒト抗体およびモノクローナル抗体を含めた)、タンパク質またはその部分、例えば、ペプチド、脂質、炭水化物)、または生物学的材料、例えば、細菌、植物、真菌、または動物(特に、哺乳動物)の細胞もしくは組織から作製した抽出物を表すために使用される。薬剤は、例えば、構造に関して公知である薬剤、および構造に関して公知でない薬剤を含む。このような薬剤のα5含有GABARアゴニスト活性によって、これらの薬剤を本発明の方法および組成物における「治療剤」として適したものとし得る。
「患者」、「被験体」または「個体」は互換的に使用され、ヒトまたはヒトではない動物を指す。これらの用語には、哺乳動物、例えば、ヒト、霊長類、家畜動物(ウシ、ブタなどを含めた)、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコなど)、およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)が含まれる。
「認知機能」または「認知状態」とは、それぞれ、これらに限定されないが、注意、情報取得、情報処理、作業記憶、短期記憶、長期記憶、前向性記憶、逆向性記憶、記憶想起、弁別学習、意志決定、抑制反応制御、注意セットシフト(attentional set−shifting)、遅延強化学習、逆転学習、自発的行動の一時的統合、ならびに自分の周囲およびセルフケアに対する興味を表現することを含めた、学習および/または記憶に関与する任意の高次の知的脳過程または脳の状態を指す。
ヒトにおいて、認知機能は、例えば、これらだけに限定されないが、臨床全般印象改善尺度(CIBICプラス尺度);簡易精神状態検査(MMSE);神経精神症状評価(NPI);臨床認知症評価尺度(CDR);ケンブリッジ神経心理学自動検査バッテリー(CANTAB)またはサンド臨床評価−老齢期(SCAG)によって測定し得る。Folsteinら、J Psychiatric Res 12巻:189〜98頁、(1975年);Robbinsら、Dementia 5巻:266〜81頁、(1994年);Rey、L’examen clinique en psychologie、(1964年);Klugerら、J Geriatr Psychiatry Neurol 12巻:168〜79頁、(1999年)を参照されたい。
動物モデル系において、認知機能は、動物が空間的情報を使用する、モリス水迷路(MWM)、バーンズ円形迷路、高架式ラジアルアーム迷路、T字迷路または任意の他の迷路を使用することを含めた、当技術分野において公知の様々な従来の方法で測定し得る。動物における認知機能の他の試験には、前パルス抑制、潜在抑制、物体認識試験、遅延試料非マッチ試験(delayed non−match to sample test)、反応時間課題、注意セットシフト、十字迷路セットシフト課題、社会的相互作用課題、および社会認識試験が含まれる。
認知機能はまた、イメージング技術、例えば、ポジトロン射出断層撮影法(PET)、機能的磁気共鳴映像法(fMRI)、単光子射出コンピューター断層撮影法(SPECT)、または脳機能の測定を可能とする任意の他のイメージング技術を使用して測定し得る。動物において、認知機能はまた、電気生理学的技術によって測定し得る。
認知機能を「促進する(promoting)」とは、年齢をあわせた正常な、障害されていない被験体の機能、または若年成人被験体の機能とより密接に類似するように、障害された認知機能に影響を与えることを指す。認知機能は任意の検出可能な程度まで促進し得るが、ヒトにおいて好ましくは、障害された被験体が、年齢をあわせた正常な、障害されていない被験体または若年成人被験体と同じレベルの熟達度で正常な生活の毎日の活動を行うことを可能にするほど十分に促進される。
認知機能を「保存する(preserving)」とは、認知機能が低下しないように、または最初の症状もしくは診断において被験体において観察されたものより下に落ちないように、またはこのような低下を遅らせるように、正常または障害された認知機能に影響を与えること指す。
認知機能を「改善する」とは、被験体において認知機能を促進し、かつ/または認知機能を保存することを含む。
「認知障害」とは、年齢をあわせた正常な被験体(すなわち、認知試験において所与の年齢について平均スコアを有する被験体)において予想されるほど強くない、被験体における認知機能を指す。場合によっては、認知機能は、年齢をあわせた正常な被験体において予想される認知機能と比較して、約5%、約10%、約30%、またはそれを超えて低下している。
「加齢性認知障害」とは、老齢の被験体における認知障害を指し、ここで、老齢の被験体の認知機能は、年齢をあわせた正常な被験体において予想されるものほど、および若年成人被験体において予想されるものほど強くない。場合によっては、認知機能は、年齢をあわせた正常な被験体において予想される認知機能と比較して、約5%、約10%、約30%、またはそれを超えて低下している。場合によっては、認知機能は、年齢をあわせた正常な被験体において予想される通りであるが、若年成人被験体において予想される認知機能と比較して、約5%、約10%、約30%、約50%またはそれを超えて低下している。加齢性の、障害された認知機能は、軽度認知障害(MCI)(健忘性MCIおよび非健忘性MCIを含めた)、年齢が関連する(age−associated)記憶障害(AAMI)、および加齢性認知低下(ARCD)と関連し得る。
「軽度認知障害」または「MCI」とは、日常生活の正常な活動において問題をもたらさない低レベルの認知欠損によって特徴付けられる状態を指す。MCIの臨床的特性決定は、被験体または情報提供者が表す少なくとも1つの認知領域(cognitive domain)における認知に関する愁訴の存在、神経心理学的試験についての、年齢についてあわせた標準より少なくとも1.5標準偏差低い障害の客観的証拠、および日常生活の活動は損なわれていないままであることを含み得る。MCIを有する被験体における認知欠損は、記憶、言語、付き合い、注意、知覚、問題解決、実行機能および視覚空間能力を含めた任意の認知エリアまたは精神過程が関与し得る。例えば、Winbaldら、J. Intern. Med. 256巻:240〜240頁、2004年;Meguro、Acta. Neurol. Taiwan. 15巻:55〜57頁、2008年;Ellisonら、CNS Spectr. 13巻:66〜72頁、2008年、Petersen、Semin. Neurol. 27巻:22〜31頁、2007年を参照されたい。MCIは、特に記憶の障害(またはそれがないこと)によって特徴付けられる、健忘性MCI(aMCI)および非健忘性MCIにさらに細分割される。上記被験体の年齢および教育レベルを鑑みて、記憶が障害されていることが見出される場合、MCIはaMCIと定義される。他方、上記被験体の記憶が年齢および教育に関して損なわれていないことが見出されるが、言語、実行機能、または視覚空間能力などの他の非記憶認知領域が障害されている場合、MCIは非健忘性MCIと定義される。aMCIおよび非健忘性MCIは両方とも、単一ドメインMCIまたは複数ドメインMCIにさらに細分割することができる。aMCI−単一ドメインとは、記憶が障害されているが、他の認知エリアが障害されていない状態を指す。aMCI−複数ドメインとは、記憶および少なくとも1つの他の認知エリアが障害されている状態を指す。非健忘性MCIは、1つより多くの非記憶認知エリアが障害されているか否かによって、単一ドメインまたは複数ドメインである。例えば、PetersonおよびNegash、CNS Spectr. 13巻:45〜53頁、2008年を参照されたい。
「年齢が関連する記憶障害(AAMI)」とは、加齢による記憶の低下を指す。患者が少なくとも50歳であり、かつ下記の基準の全てを満たす場合、AAMIを有すると考えてもよい。a)患者は、記憶能力(memory performance)の低下に気づいている、b)患者は、若年成人と比較して、記憶の標準的試験の実施において劣っている、c)正常な加齢を除いた記憶低下の全ての他の明らかな原因が除外されている(すなわち、記憶低下は、他の原因、例えば、最近の心臓発作または頭部損傷、うつ、医薬品の有害反応、アルツハイマー病などによって生じたものではあり得ない)。
「加齢性認知低下(ARCD)」とは、ヒトにおける加齢の正常な結果である記憶能力(memory ability)および認知能力の低下を指す(例えば、Craik & Salthouse、1992年)。これはまた、事実上全ての哺乳動物種に当てはまる。年齢が関連する記憶障害とは、若かったときと比較して客観的記憶低下を伴うが、それらの同年齢の人々と比較して正常である認知機能を伴う高齢者を指す(Crookら、1986年)。年齢と一致した記憶低下は、より軽蔑的ではない表記であり、これは、これらが正常な発達上の変化であり(Crook、1993年;Larrabee、1996年)、病態生理的ではなく(Smithら、1991年)、顕性の認知症にはめったに進行しない(Youngjohn & Crook、1993年)ことを強調する。DSM−IV(1994年)は、ARCDの診断上の分類を体系化してきた。
「認知症」とは、日常生活の正常な活動を妨げる重度の認知欠損によって特徴付けられる状態を指す。認知症を有する被験体はまた、他の症状、例えば、判断力の障害、人格の変化、失見当識、混乱、行動の変化、話すことの困難、および運動の欠陥を示す。異なるタイプの認知症、例えば、アルツハイマー病(AD)、血管性認知症、レビー小体を伴う認知症、および前頭側頭型認知症が存在する。
アルツハイマー病(AD)は、その初期フェーズにおいて記憶欠損によって特徴付けられる。後期症状には、判断力の障害、失見当識、混乱、行動の変化、話すことの困難、および運動の欠陥が含まれる。組織学的に、ADは、β−アミロイド斑およびタンパク質tauの変化によって特徴付けられる。
血管性認知症は、脳卒中によってもたらされる。症状はADの症状と重複するが、記憶障害に焦点はあてられていない。
レビー小体を伴う認知症は、脳のニューロン内に形成されるα−シヌクレインの異常な沈着によって特徴付けられる。認知障害は、記憶および判断の障害、ならびに行動の変化を含めて、ADと同様であり得る。
前頭側頭型認知症は、グリオーシス、ニューロンの脱落、前頭皮質および/または前部側頭葉における表在性海綿状変性、ならびにピック小体によって特徴付けられる。症状には、社会的技能および言語表現/理解力の低下を含めた人格および行動の変化が含まれる。
「外傷後ストレス障害(PTSD)」とは、外傷の再体験、外傷と関連する刺激に対する精神的無感覚または回避、および覚醒状態の増加によって特徴付けられる、破局的事象に対する即時型反応または遅延型反応によって特徴付けられる不安障害を指す。再体験現象には、侵入性記憶、フラッシュバック、悪夢、および外傷を思い出させるものを受けての心理学的または生理学的窮迫が含まれる。このような反応によって不安が生じ、かつ、このような反応は、患者の生活の質ならびに身体的および情緒的健康に対する、慢性および急性の両方の、かなりの衝撃を有し得る。PTSDはまた、障害された認知能力(cognitive performance)と関連し、PTSDを有するより老齢の個体は、対照患者と比べて認知能力がより大きく低下する。
「統合失調症」とは、陽性症状、例えば、異常なまたはゆがめられた精神的表示(例えば、幻覚、妄想)、モチベーションおよび適応性目標指向活動の減少によって特徴付けられる陰性症状(例えば、無快感、感情の平板化、意欲消失)、ならびに認知障害を含めた、精神病理スペクトラムによって特徴付けられる慢性の消耗性障害を指す。脳における異常は統合失調症における精神病理の全スペクトラムの根底にあると提唱されている一方、現在利用可能な抗精神病剤は、患者の認知障害の処置において大部分は無効である。
「がん療法が関連する認知障害」とは、がん療法、例えば、化学療法および放射線照射で処置されている被験体において生じる認知障害を指す。脳に対する、がん療法の細胞毒性および他の有害な副作用は、記憶、学習および注意などの機能において認知障害をもたらす。
状態または患者を「処置する」とは、臨床的結果を含めた有益または所望の結果を得る措置を講じることを指す。有益または所望の臨床的結果には、これらに限定されないが、加齢性認知障害、軽度認知障害(MCI)、認知症、アルツハイマー病(AD)、前駆期AD、PTSD、統合失調症およびがん療法が関連する認知障害と関連する1つまたは複数の症状の緩和、軽減、またはその進行を遅延させることが含まれる。
「認知障害を処置する」とは、認知障害を有する被験体において、1つまたは複数の認知試験における該被験体の能力が任意の検出可能な程度まで改善し、またはさらに低下することが防止されるように、認知機能を改善させる措置を講じることを指す。好ましくは、その被験体の認知機能が、認知障害の処置の後で、年齢をあわせた正常な、障害されていない被験体の機能、または若年成人被験体の機能とより密接に類似する。ヒトにおける認知障害の処置は、認知機能を任意の検出可能な程度まで改善し得るが、好ましくは、障害された被験体が、年齢をあわせた正常な、障害されていない被験体または若年成人被験体と同じレベルの熟達度で正常な生活の毎日の活動を行うことを可能にするほど十分に改善される。
被験体への物質、化合物または薬剤「を投与すること」または被験体への物質、化合物または薬剤「の投与」は、当業者には公知の種々の方法の1つを使用して行うことができる。例えば、化合物または薬剤は、静脈内に、動脈に、皮内に、筋肉内に、腹腔内に、静脈内に、皮下に、目に、舌下に、経口で(経口摂取による)、鼻腔内に(吸入による)、脊髄内に、脳内に、および経皮で(吸収による、例えば、皮膚の管路(duct)を通して)投与することができる。化合物または薬剤はまた、該化合物または薬剤の徐放(extended release)、緩慢放出または制御放出を提供する、再充填可能なデバイスもしくは生分解性ポリマーデバイスもしくは他のデバイス、例えば、パッチおよびポンプ、または製剤によって適切に導入することができる。投与はまた、例えば、1回、複数回、および/または1回もしくは複数回の長期間に亘って行うことができる。いくつかの態様において、上記投与は、直接的投与(自己投与を含めた)、および間接的投与(薬物の処方する行為を含めた)の両方を含む。例えば、本明細書において使用する場合、薬物を自己投与するよう患者に指示し、または該薬物を他の人から投与を受けるよう患者に指示し、かつ/または患者に薬物についての処方箋を提供する医師が、該薬物を該患者に投与する。
被験体への物質、化合物または薬剤を投与する適当な方法はまた、例えば、該被験体の年齢、該被験体が投与のときに活動的であるかまたは不活発であるかどうか、該被験体が投与のときに認知が障害されているかどうか、該障害の程度、ならびに該化合物または薬剤の化学的および生物学的特性(例えば、溶解性、消化性、バイオアベイラビリティー、安定性および毒性)によって決まる。好ましくは、化合物または薬剤は、例えば、摂取によって被験体に経口投与される。いくつかの実施形態において、上記経口投与される化合物または薬剤は、徐放製剤もしくは緩慢放出製剤中に存在し、またはこのような緩慢放出もしくは徐放のためのデバイスを使用して投与される。
薬物または薬剤の「治療有効量」または「治療有効用量」は、被験体に投与されたときに意図する治療効果を有する薬物または薬剤の量である。完全な治療効果は、1回の用量の投与によって必ずしも起こる訳ではなく、一連の用量の投与の後にのみ起こり得る。このように、治療有効量は、1回または複数回の投与で施され得る。被験体が必要とする正確な有効量は、例えば、該被験体のサイズ、健康および年齢、認知障害またはCNS障害の他の症状(例えば、加齢性認知障害、軽度認知障害(MCI)、認知症、アルツハイマー病(AD)、前駆期AD、PTSD、統合失調症およびがん療法が関連する認知障害)の性質および程度、ならびに投与のために選択される治療剤または治療剤の組合せ、ならびに投与方法によって決まる。当業者は、通例の実験作業によって所与の状況について有効量を容易に決定することができる。
本発明の化合物はまた、プロドラッグ、類似体または誘導体を含む。「プロドラッグ」という用語は、当該技術分野で認められており、生理学的条件下で、α5含有GABARアゴニストに変換される化合物または薬剤を包含することを意図する。プロドラッグを作製するための一般の方法は、生理学的条件下で加水分解または代謝され、所望の化合物または薬剤を提供する部分を選択することである。他の実施形態において、上記プロドラッグは、宿主動物の酵素活性によってGABAα5受容体アゴニストに変換される。
「α5含有GABARアゴニスト」または「GABAα5受容体アゴニスト」とは、本明細書において使用する場合、α5含有GABARの機能をアップレギュレートする化合物、すなわち、GABA作動性Cl電流を増大させる化合物を指す。いくつかの実施形態において、α5含有GABARアゴニストは、本明細書において使用する場合、GABAの活性を増強する正のアロステリックモジュレーターを指す。
「類似体」は、本明細書において、別の化学的実体に機能的に類似するが、同一の化学構造を共有しない化合物を言及するために使用される。例えば、類似体は、ベース化合物または親化合物に十分に類似しているため、軽微な構造的差異があるにもかかわらず、該類似体は、治療用途におけるベース化合物の代わりをすることができる、すなわち、GABAα5受容体アゴニストであり得る。
「誘導体」は、本明細書において、化合物の化学修飾を言及するために使用される。化合物の化学修飾は、例えば、水素をアルキル基、アシル基、またはアミノ基で置き換えることを含むことができる。多くの他の修飾がまた可能である。
「脂肪族」という用語は、本明細書において使用する場合、直鎖状もしくは分岐状アルキル、アルケニルまたはアルキニルを意味する。アルケニルまたはアルキニルの実施形態は、脂肪族鎖中に少なくとも2個の炭素原子を必要とすることが理解される。脂肪族基は典型的には、1個(または2個)〜12個の炭素、例えば、1個(または2個)〜4個の炭素を含有する。
「アリール」という用語は、本明細書において使用する場合、単環式または二環式の炭素環式芳香族環系を意味する。例えば、アリールは、本明細書において使用する場合、C5〜C10単環式またはC8〜C12二環式の炭素環式芳香族環系であり得る。フェニルは、単環式芳香族環系の一例である。二環式芳香族環系は、両方の環が芳香族である系、例えば、ナフチル、および2つの環の1つのみが芳香族である系、例えば、テトラリンを含む。
「複素環式」という用語は、本明細書において使用する場合、化学的に安定的な配置で、各環中にO、N、NH、S、SO、またはSOから選択される1〜3個のヘテロ原子またはヘテロ原子基を有する単環式または二環式の非芳香族環系を指す。例えば、複素環式は、本明細書において使用する場合、化学的に安定的な配置で、各環中にO、N、NH、S、SO、またはSOから選択される1〜3個のヘテロ原子またはヘテロ原子基を有するC5〜C10単環式またはC8〜C12二環式の非芳香族環系であり得る。「ヘテロシクリル」の二環式非芳香族環系の実施形態において、1つまたは両方の環は、上記ヘテロ原子またはヘテロ原子基を含有し得る。「ヘテロシクリル」の別の二環式の実施形態において、2つの環の1つは、芳香族である。別の複素環式環系の実施形態において、非芳香族複素環式環は、芳香族炭素環に必要に応じて縮合され得る。
複素環式環の例には、3−1H−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(1−アルキル)−ベンゾイミダゾール−2−オン、2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロチオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、2−モルホリノ、3−モルホリノ、4−モルホリノ、2−チオモルホリノ、3−チオモルホリノ、4−チオモルホリノ、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−テトラヒドロピペラジニル、2−テトラヒドロピペラジニル、3−テトラヒドロピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、1−ピラゾリニル、3−ピラゾリニル、4−ピラゾリニル、5−ピラゾリニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、2−チアゾリジニル、3−チアゾリジニル、4−チアゾリジニル、1−イミダゾリジニル、2−イミダゾリジニル、4−イミダゾリジニル、5−イミダゾリジニル、インドリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾチオラン、ベンゾジチアン、および1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−オンが含まれる。
「ヘテロアリール」という用語は、本明細書において使用する場合、化学的に安定的な配置で、各環中にO、N、NHまたはSから選択される1〜3個のヘテロ原子またはヘテロ原子基を有する単環式または二環式の芳香族環系を意味する。例えば、ヘテロアリールは、本明細書において使用する場合、化学的に安定的な配置で、各環中にO、N、NHまたはSから選択される1〜3個のヘテロ原子またはヘテロ原子基を有するC5〜C10単環式またはC8〜C12二環式の芳香族環系であり得る。「ヘテロアリール」のこのような二環式芳香族環系の実施形態において、
−両方の環は、芳香族であり、
−1つまたは両方の環は、上記ヘテロ原子またはヘテロ原子基を含有し得る。
ヘテロアリール環の例には、2−フラニル、3−フラニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、N−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、ピリダジニル(例えば、3−ピリダジニル)、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、テトラゾリル(例えば、5−テトラゾリル)、トリアゾリル(例えば、2−トリアゾリルおよび5−トリアゾリル)、2−チエニル、3−チエニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル(例えば、2−インドリル)、ピラゾリル(例えば、2−ピラゾリル)、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、プリニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、キノリニル(例えば、2−キノリニル、3−キノリニル、4−キノリニル)、およびイソキノリニル(例えば、1−イソキノリニル、3−イソキノリニル、または4−イソキノリニル)が含まれる。
「シクロアルキルまたはシクロアルケニル」という用語は、芳香族ではない、単環式または縮合もしくは橋架けした二環式の炭素環式環系を指す。例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニルは、本明細書において使用する場合、芳香族ではない、C5〜C10単環式または縮合もしくは橋架けしたC8〜C12二環式の炭素環式環系であり得る。シクロアルケニル環は、不飽和の1つまたは複数の単位を有する。好ましいシクロアルキル基またはシクロアルケニル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、ノルボルニル、アダマンチルおよびデカリニルが含まれる。
本明細書において使用する場合、炭素原子の表記は、示された整数および任意のその間の整数を有し得る。例えば、(C1〜C4)−アルキル基における炭素原子の数は、1、2、3、または4である。これらの表記は、適当な基中の原子の総数を指すことを理解すべきである。例えば、(C3〜C10)−ヘテロシクリルにおいて、炭素原子およびヘテロ原子の総数は、3(アジリジンにおけるように)、4、5、6(モルホリンにおけるように)、7、8、9、または10である。
「薬学的に許容される塩」は、本明細書において、化合物の治療的に活性な無毒性の塩基性塩および酸性塩の形態である、本発明による薬剤または化合物を指すために使用される。塩基としてその遊離形態で生じる化合物の酸付加塩形態は、上記遊離塩基の形態を、適当な酸、例えば、無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば、塩酸もしくは臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など;または有機酸、例えば、例えば、酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、環状酸(cyclic acid)、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸などで処理することによって得ることができる。例えば、WO01/062726を参照されたい。
酸性プロトンを含有する化合物は、適当な有機塩基および無機塩基で処理することによって、それらの治療的に活性な無毒性の塩基付加塩形態、例えば、金属塩またはアミン塩に変換し得る。適当な塩基性塩形態には、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩など、有機塩基を有する塩、例えば、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、およびアミノ酸、例えば、例えば、アルギニン、リシンなどを有する塩が含まれる。逆に、上記塩の形態は、適当な塩基または酸で処理することによって、その遊離形態に変換することができる。化合物およびこれらの塩は、本発明の範囲内に含まれる溶媒和物の形態で存在し得る。このような溶媒和物には、例えば、水和物、アルコラートなどが含まれる。例えば、WO01/062726を参照されたい。
本発明の方法および組成物において有用な化合物の多くは、これらの構造において少なくとも1つのステレオジェン中心(stereogenic center)を有する。このステレオジェン中心は、R配置またはS配置で存在し得、上記RおよびSという記号は、Pure Appl. Chem.(1976年)、45巻、11〜30頁において記載されているルールと一致して使用される。本発明はまた、上記化合物の全ての立体異性体の形態、例えば、鏡像異性体形態およびジアステレオ異性体形態、またはこれらの混合物(立体異性体の全ての可能な混合物を含めた)に関する。例えば、WO01/062726を参照されたい。
さらに、アルケニル基を含有する特定の化合物は、Z(zusammen)またはE(entgegen)異性体として存在し得る。どの場合にも、本発明は、両方の混合物および別々の個々の異性体を含む。ピペリジニル環またはアゼパニル環上の複数の置換基はまた、ピペリジニル環またはアゼパニル環の平面に対して互いにシスまたはトランス関係で位置することができる。上記化合物のいくつかはまた、互変異性形態で存在し得る。このような形態は、本明細書に記載されている式(formulae)において明示的に示されていないが、本発明の範囲内に含まれることを意図する。本発明の方法および組成物に関して、化合物(複数可)への言及は、特定の異性体形態が特に言及されていない限り、その可能な異性体形態のそれぞれの化合物、およびこれらの混合物を包含することを意図する。例えば、WO01/062726を参照されたい。
本発明は、α5含有GABARの機能をアップレギュレートする化合物、すなわち、GABA作動性Cl電流を増大させるα5含有GABARアゴニスト(または正のアロステリックモジュレーター)を提供する。
本発明は、1種または複数の本発明の化合物を、薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤と一緒に含む薬学的組成物をさらに提供する。
本発明は、α5含有GABA受容体のアゴニストに対して応答性である認知障害を伴うCNS障害、例えば、加齢性認知障害、MCI、認知症、AD、前駆期AD、PTSD、統合失調症およびがん療法が関連する認知障害を処置するための方法をさらに提供する。特定の実施形態において、この方法は、加齢性認知障害、MCI、認知症、AD、前駆期AD、PTSD、統合失調症およびがん療法が関連する認知障害と関連する認知障害を処置する方法である。
認知障害を伴う様々なCNS障害(例えば、加齢性認知障害、MCI、認知症、AD、前駆期AD、PTSD、統合失調症およびがん療法が関連する認知障害)は、種々の病因を有し得る。しかし、上記の障害のそれぞれにおける認知障害の症状は、重複する原因を有し得る。したがって、1つのCNS障害における認知障害を処置する組成物または処置の方法はまた、別のCNS障害における認知障害も処置し得る。
(2)ベンゾジアゼピン誘導体および組成物
本発明は、式Iの化合物、
Figure 2013542266
または薬学的に許容されるその塩
[式中、
X、ならびにαおよびβによって指定される2個の炭素原子は一緒になって、N、OおよびSから独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有するC5〜C10芳香族環を形成し、
Yは、−N=または−C(R)=であり、
mは、0〜4から選択される整数であり、
それぞれ出現するR、R、RおよびRは、
ハロゲン、−R、−OR、−NO、−NCS、−CN、−CF、−OCF、−SiR、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−SON(R)、−SOR、−(CR1〜3R、−(CR1〜3−OR、−(CR0〜3−C(O)NR(CR0〜3R、−(CR0〜3−C(O)NR(CR0〜3OR、−C(O)R、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−C(S)R、−C(S)OR、−C(O)OR、−C(O)C(O)OR、−C(O)C(O)N(R)、−OC(O)R、−C(O)N(R)、−OC(O)N(R)、−C(S)N(R)、−(CR0〜3NHC(O)R、−N(R)N(R)COR、−N(R)N(R)C(O)OR、−N(R)N(R)CON(R)、−N(R)SOR、−N(R)SON(R)、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)C(S)R、−N(R)C(O)N(R)、−N(R)C(S)N(R)、−N(COR)COR、−N(OR)R、−C(=NH)N(R)、−C(O)N(OR)R、−C(=NOR)R、−OP(O)(OR)、−P(O)(R)、−P(O)(OR)、および−P(O)(H)(OR)
から独立に選択され、
各Rは、
H−、
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−、
(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルケニル−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−、
(C6〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、および
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−
から独立に選択され、
あるいは2つのR基が同じ原子に結合しているとき、上記2つのR基は、それらが結合している原子と一緒になって、N、O、S、SO、またはSOから独立に選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3員〜10員芳香族環または非芳香族環を形成してもよく、ここで、上記環は、(C6〜C10)アリール、(C5〜C10)ヘテロアリール、(C3〜C10)シクロアルキル、または(C3〜C10)ヘテロシクリルに必要に応じて縮合されており、
ここで、それぞれ出現するRは、0〜5つのR’で独立に置換されており、
ここで、それぞれ出現するR’は、−H、ハロゲン、−R’’、−OR’’、−NO、−NCS、−CN、−CF、−OCFおよび−N(R’’)から独立に選択され、
ここで、R’’は、−Hまたは−(C1〜C4)−脂肪族である]
を提供する。
ある特定の実施形態において、本発明の化合物は、
Figure 2013542266
でもない。
本発明はまた、式IIの化合物、
Figure 2013542266
または薬学的に許容されるその塩
[式中、
X、ならびにαおよびβによって指定される2個の炭素原子は一緒になって、N、OおよびSから独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有するC5〜C10芳香族環を形成し、
Z、およびγによって指定される炭素原子、およびδによって指定される窒素原子は一緒になって、
Figure 2013542266
から選択されるトリアゾロ環を形成し、
mは、0〜4から選択される整数であり、
それぞれ出現するR、RおよびRは、
ハロゲン、−R、−OR、−NO、−NCS、−CN、−CF、−OCF、−SiR、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−SON(R)、−SOR、−(CR1〜3R、−(CR1〜3−OR、−(CR0〜3−C(O)NR(CR0〜3R、−(CR0〜3−C(O)NR(CR0〜3OR、−C(O)R、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−C(S)R、−C(S)OR、−C(O)OR、−C(O)C(O)OR、−C(O)C(O)N(R)、−OC(O)R、−C(O)N(R)、−OC(O)N(R)、−C(S)N(R)、−(CR0〜3NHC(O)R、−N(R)N(R)COR、−N(R)N(R)C(O)OR、−N(R)N(R)CON(R)、−N(R)SOR、−N(R)SON(R)、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)C(S)R、−N(R)C(O)N(R)、−N(R)C(S)N(R)、−N(COR)COR、−N(OR)R、−C(=NH)N(R)、−C(O)N(OR)R、−C(=NOR)R、−OP(O)(OR)、−P(O)(R)、−P(O)(OR)、および−P(O)(H)(OR)
から独立に選択され、
各Rは、
H−、
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−、
(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルケニル−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−、
(C6〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、および
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−
から独立に選択され、
あるいは2つのR基が同じ原子に結合しているとき、上記2つのR基は、それらが結合している原子と一緒になって、N、O、S、SO、またはSOから独立に選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3員〜10員芳香族環または非芳香族環を形成してもよく、ここで、上記環は、(C6〜C10)アリール、(C5〜C10)ヘテロアリール、(C3〜C10)シクロアルキル、または(C3〜C10)ヘテロシクリルに必要に応じて縮合されており、
ここで、それぞれ出現するRは、0〜5つのR’で独立に置換されており、
ここで、それぞれ出現するR’は、H、ハロゲン、−OH、−R’’、−OR’’、−NO、−NCS、−CN、−CF、−OCFおよび−N(R’’)から独立に選択され、
ここで、R’’は、Hまたは−(C1〜C4)−脂肪族である]
を提供する。
式Iの化合物についてのある特定の実施形態において、Yは、−C(R)=である。例えば、Yは、−CH=でよい。
式IまたはIIの化合物についてのいくつかの実施形態において、X、ならびにαおよびβによって指定される2個の炭素原子は一緒になって、m個の出現するRで必要に応じて置換されているフェニル環を形成する。いくつかの実施形態において、mは、1である。
ある特定の実施形態において、本発明の化合物は、I−AまたはII−Aの式を有し、
Figure 2013542266
ここで、全ての可変部分は、本明細書における実施形態のいずれかにおいて定義する通りでよい。
以下の説明は、本明細書に記載のような式I、I−A、IIおよびII−Aの実施形態のいずれかに適用される。
いくつかの実施形態によると、本発明は、化合物を提供し、ここで、mは、1〜4から選択される整数であり、少なくとも1つのRは、−ORであり、ここで、Rは、0〜5つのR’で置換されている(C1〜C12)−脂肪族−、例えば、(C1〜C12)−アルキル−である。いくつかの実施形態において、mは、1〜4から選択される整数であり、少なくとも1つのRは、−ORであり、ここで、Rは、非置換(C1〜C4)−脂肪族−、例えば、メチルである。ある特定の実施形態において、1つのRが存在する。
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物を提供し、ここで、mは、1〜4から選択される整数であり、少なくとも1つのRは、0〜5つのR’で置換されている(C1〜C12)−脂肪族−、例えば、(C1〜C12)−アルキル−である。ある特定の実施形態において、少なくとも1つのRは、少なくとも1つの−OHで置換されている。他の実施形態において、mは、1〜4から選択される整数であり、少なくとも1つのRは、ハロゲン、例えば、Cl−またはBr−である。これらの実施形態のいくつかにおいて、1つのRが存在する。
本発明はまた、化合物を提供し、ここで、Rは、0〜5つのR’で置換されている(C1〜C12)−脂肪族−である。いくつかの実施形態において、Rは、(C1〜C4)−脂肪族−、例えば、(C1〜C4)−アルキル−である。いくつかの実施形態において、Rは、メチル、エチルまたはイソプロピルである。
ある特定の実施形態によると、本発明はまた、化合物を提供し、ここで、Rは、0〜5つのR’で置換されている(C1〜C12)−脂肪族−である。いくつかの実施形態において、Rは、(C1〜C4)−脂肪族−、例えば、(C1〜C4)−アルキル−である。別の実施形態において、Rは、少なくとも1つのハロゲンで置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、ジフルオロメチルである。
別の態様において、本発明は、化合物を提供し、ここで、Rは、−C(O)ORであり、ここで、Rは、0〜5つのR’で置換されている(C1〜C12)−脂肪族−である。いくつかの実施形態において、Rは、−C(O)ORであり、ここで、Rは、(C1〜C4)−脂肪族−、例えば、(C1〜C4)−アルキル−、特に、メチルまたはエチルである。
本発明のいくつかの実施形態によると、Rは、−C(O)N(R)である。具体的な実施形態において、Rは、−C(O)N(R)であり、ここで、少なくとも1つのRは、−Hである。別の実施形態において、Rは、−C(O)N(R)であり、ここで、各Rは、独立に、(C1〜C4)−脂肪族−、例えば、(C1〜C4)−アルキル−である。いくつかの実施形態において、Rは、−C(O)N(R)であり、ここで、各Rは、独立に、メチルまたはエチルである。さらに別の実施形態において、Rは、−C(O)N(R)であり、ここで、上記2つのR基は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、N、O、S、SO、およびSOから独立に選択される0〜3個のさらなるヘテロ原子を有する3員〜10員芳香族環または非芳香族環を必要に応じて形成する。より具体的な実施形態において、Rは、−C(O)N(R)であり、ここで、上記2つのR基は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、N、O、S、SO、およびSOから独立に選択される0〜3個のさらなるヘテロ原子を有する5員または6員芳香族環または非芳香族環を必要に応じて形成する。
本発明はまた、化合物を提供し、ここで、Rは、少なくとも1つの(C1〜C4)−脂肪族−、例えば、(C1〜C4)−アルキル−で必要に応じて置換されている(C5〜C10)−ヘテロアリール−である。適切なヘテロアリールの例には、5員および6員ヘテロアリール、特に、少なくとも1個の窒素原子および少なくとも1個の酸素原子を含有するもの、例えば、酸素原子および窒素原子が上記環中にある場合、それぞれはRがその構造の残りの部分に結合している場所から離れて位置するものが含まれる。適切なヘテロアリールの例には、オキサゾールおよびオキサジアゾール、例えば、1,2,4−オキサジアゾールおよび1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。ある特定の実施形態において、Rは、単一の(C1〜C4)−アルキル−、例えば、メチルまたはエチルで置換されている。
いくつかの実施形態において、本発明は、式IまたはI−Aの化合物を提供し、ここで、Yは、−CH=であり、X、ならびにαおよびβによって指定される2個の炭素原子は一緒になって、ハロゲン(例えば、−Clおよび−Br)ならびに−OR(Rは、(C1〜C4)−アルキル−(例えば、メチル)である)から選択される1つの置換基で置換されているフェニル環を形成し、Rは、(C1〜C4)−アルキル−(例えば、メチルまたはエチル)であり、Rは、(1)1つまたは2つのハロゲン(例えば、−F)で置換されている(C1〜C4)−アルキル−、(2)−C(O)OR(Rが、(C1〜C4)−アルキル−(例えば、エチル)である)、(3)−C(O)N(R)(ここで、各Rは、独立に、(C1〜C4)−アルキル−(例えば、エチル)であり、またはここで、上記2つのR基は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員非芳香族環(例えば、ピロリジン環)を必要に応じて形成する)、ならびに(4)2個の窒素原子および1個の酸素原子を有する5員ヘテロアリール環(例えば、1,2,4−オキサジアゾール)(上記5員ヘテロアリール環が1つの(C1〜C4)−アルキル−(例えば、メチル)で置換されている)からなる群から選択される。式IまたはI−Aの化合物についての上記の実施形態のいくつかにおいて、Yは、−CH=であり、X、ならびにαおよびβによって指定される2個の炭素原子は一緒になって、−OMe、−Clまたは−Brで置換されているフェニル環を形成し、Rは、メチルまたはエチルであり、Rは、−CONEtおよび−C(O)OEtから選択される。式IまたはI−Aの化合物についての上記の実施形態のいくつかにおいて、上記化合物は、
Figure 2013542266
ではない。
本発明の特定の化合物の例には、
Figure 2013542266
Figure 2013542266
Figure 2013542266
が含まれる。
本発明はまた、上記のようなR、RおよびRの様々な組合せを含む。これらの組合せは、上記の他の可変部分(variable)の値のいずれかまたは全てと交互に組み合わせることができる。例えば、Rは、−ORまたはハロゲンであり得、Rは、(C1〜C4)−アルキル−であり得、必要に応じてRは、−C(O)OR、または−C(O)N(R)である。別の例において、Rは、−ORまたはハロゲンであり、Rは、(C1〜C4)−アルキル−であり、Rは、5員または6員ヘテロアリールである。上記の例のそれぞれについて、化合物は、上記の基(group)の特定の値を有することができる。
本明細書において示す任意の実施形態はまた、他に示さない限り、上記化合物の標識されていない形態、ならびに同位体標識形態を表すことを意図する。同位体標識化合物は、1個または複数の原子が、選択された原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられていることを除いては、本明細書において示す式によって描写される構造を有する。本発明の化合物中に組み込むことができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、および塩素の同位体、例えば、それぞれ、H、H、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Cl、125Iが含まれる。本発明には、本明細書に定義されているような様々な同位体標識化合物、例えば、その中に放射性同位体、例えば、H、13C、および14Cが存在するものが含まれる。このような同位体標識化合物は、代謝研究(好ましくは、14Cで)、反応速度論研究(例えば、HまたはHで)、検出技術もしくはイメージング技術、例えば、ポジトロン射出断層撮影(PET)または単光子射出コンピューター断層撮影法(SPECT)(薬物または基質組織分布アッセイを含めた)において、または患者の放射性処置において有用である。特に、18Fまたは標識化合物は、PETまたはSPECT研究のために特に好ましい場合がある。本発明の同位体標識化合物およびそのプロドラッグは一般に、非同位体標識試薬を、容易に利用可能な同位体標識試薬で置換することによって、スキームにおいて、または下記の実施例および調製において開示されている手順を行うことによって調製することができる。
上記で列挙した個々の実施形態のいずれかは、式I、I−A、II、またはII−Aを個々に定義することができ、または組み合わせて、本発明の好ましい一実施形態を得ることができる。
別の実施形態において、本発明は、薬学的に許容されるキャリアと、式I、I−A、II、またはII−Aの化合物または薬学的に許容されるその塩の形態とを含む薬学的組成物を提供する。
また、塩基性窒素含有基は、低級ハロゲン化アルキル、例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、およびヨウ化ブチル;硫酸ジアルキル、例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチルおよび硫酸ジアミル;長鎖ハロゲン化物、例えば、塩化デシル、臭化デシル、ヨウ化デシル、塩化ラウリル、臭化ラウリル、ヨウ化ラウリル、塩化ミリスチル、臭化ミリスチル、ヨウ化ミリスチル、塩化ステアリル、臭化ステアリル、およびヨウ化ステアリル;ハロゲン化アラルキル、例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチルなどの薬剤によって四級化し得る。それによって、水溶性もしくは油溶性、または水分散性もしくは油分散性の生成物が得られる。
これらの組成物において使用し得る薬学的に許容されるキャリアには、これらに限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えば、ホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースをベースとする物質、ポリエチレングリコール、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれる。
(3)一般合成方法論
本発明の化合物は、当業者には公知の方法によって一般に調製し得る。下記のスキーム1〜4は、式IまたはI−Aの化合物の調製のための一般合成経路を提供する。通常の技量の有機化学者には容易に明らかである他の同等のスキームを代わりに使用して、下記の一般スキームによって例示されるような、分子の様々な部分を合成し得る。
Figure 2013542266
Figure 2013542266
当業者が認識するように、Y、Xならびにαおよびβによって指定される2個の炭素原子によって形成される環、上記で描写したもの以外のR、RおよびRを有する式IまたはI−Aの化合物は、様々な化学試薬または合成経路によって調製し得る。
(4)認知障害を評価する方法
動物モデルは、認知障害を伴うCNS障害に対する処置を開発および評価するための重要な資源の役割を果たしている。動物モデルにおいて認知障害を特徴付ける特色は典型的には、ヒトにおける認知障害に拡大される。したがって、このような動物モデルにおける有効性は、ヒトでの有効性を予測するものであると見込まれる。CNS障害についての動物モデルにおける認知障害の程度、および上記CNS障害に対する処置方法の有効性は、種々の認知試験を使用して試験および確認し得る。
ラジアルアーム迷路(RAM)行動課題は、空間的記憶を特に試験する認知試験の一例である(Chappellら、Neuropharmacology 37巻:481〜487頁、1998年)。RAM装置は、例えば、8つの等距離を隔てて離間したアームからなる。迷路アームは、中央プラットフォームの各小平面(facet)から張り出している。食物用ウェルが、各アームの遠位末端に位置している。食物を、報酬として使用する。ブロックを配置して、任意のアームへの侵入を防止することができる。上記装置を囲む多数の追加の迷路のキュー(cue)がまた提供され得る。習慣化および訓練フェーズの後、被験体の空間記憶を、対照化合物または試験化合物での処置条件下で、上記RAMにおいて試験し得る。上記試験の一部として、トライアル前に、被験体を、ビヒクル対照、または試験化合物の投与量範囲の1つで前処置する。各トライアルの初めに、8アーム迷路のアームの一部を遮断する。被験体は遮断されていないアーム上の食物を得ることが可能であり、上記トライアルのこの最初の「情報フェーズ」の間にそれへのアクセスが可能である。次いで、上記情報フェーズとそれに続く「保持試験」との間の遅延期間(例えば、60秒間の遅延、15分間の遅延、1時間の遅延、2時間の遅延、6時間の遅延、24時間の遅延、またはより長い遅延)の間に被験体を迷路から取り出し、その間に該迷路上のバリアを除去し、このようにして8アーム全てのへのアクセスを可能にする。遅延期間の後、被験体を中央プラットフォーム上に戻し(従前に遮断されていたアームへのバリアを除去する)、上記トライアルのこの保持試験フェーズの間に残りの食物報酬を得ることを可能にする。遮断されたアームの同一性(identity)および配置は、トライアル全体にわたって変化をつける。上記保持試験フェーズの間に被験体が起こした「エラー」の数を追跡する。上記被験体が、上記トライアルの前遅延構成要素(pre−delay component)において既にそこから食物が回収されているアームに入った場合、または被験体が、遅延後セッションにおいて、既に訪れたアームを再び訪れる場合、該トライアルにおいてエラーとなる。より少ない数のエラーは、より良好な空間記憶を示す。次いで、様々な試験化合物による処置計画の下で試験被験体が起こしたエラーの数を、認知障害を伴うCNS障害の処置における該試験化合物の有効性について比較することができる。
CNS障害モデル動物の認知障害に対する試験化合物の作用を評価するために使用し得る別の認知試験は、モリス水迷路である。水迷路は、該迷路に対して新規な一群のパターンで囲まれたプールである。上記水迷路についての訓練プロトコルは、海馬依存性であることが示されてきた修正された水迷路課題に基づき得る(de Hozら、Eur. J. Neurosci. 22巻:745〜54頁、2005年;SteeleおよびMorris、Hippocampus 9巻:118〜36頁、1999年)。上記被験体は、上記プールの表面下に隠れている水面下の逃避プラットフォームを見つけるように訓練される。その訓練トライアルの間、被験体を、上記プールの周界の周りのランダムな開始位置から上記迷路(プール)に放つ。上記開始位置は、トライアル毎に変える。上記被験体が、設定した時間内に逃避プラットフォームを見つけない場合、実験者は該被験体を該プラットフォーム上に導き、置き、該プラットフォームの場所を「教える」。最後の訓練トライアルに続く遅延期間の後に、逃避プラットフォームの非存在下で保持試験を行い、空間記憶を評価する。(今はない)逃避プラットフォームの場所について被験体が選好するレベルは、例えば、マウスがその場所において費やした時間、またはその場所を横断した回数によって測定される場合、より良好な空間記憶、すなわち、認知障害の処置を示す。次いで、異なる処置条件下で上記逃避プラットフォームの場所に対する選好を、認知障害を伴うCNS障害の処置における上記試験化合物の有効性について比較することができる。
(5)加齢性認知障害
本発明は、α5含有GABARアゴニストおよびその類似体、誘導体、ならびに薬学的に許容されるその塩および溶媒和物を使用した、加齢性認知障害またはその危険性を処置するための方法および組成物を提供する。特定の実施形態において、処置は、加齢性認知障害と関連する1つまたは複数の症状の緩和、軽減またはその進行を遅延させることを含む。特定の実施形態において、加齢性認知障害の処置は、認知症(例えば、AD)への、加齢性認知障害(これらに限定されないが、MCI、ARCDおよびAAMIを含めた)の転換を遅延させることを含む。上記方法および組成物は、MCI、ARCDおよびAAMIなどの状態における、加齢性認知障害の処置、またはその危険性に対する処置を目的とした臨床適用において、ヒト患者のために使用し得る。この方法のための上記組成物の用量および投与間隔は、本明細書に記載のように、これらの適用において安全で有効なものである。
いくつかの実施形態において、本発明の方法および組成物によって処置される被験体は、加齢性認知障害を示し、またはこのような障害の危険性がある。いくつかの実施形態において、上記加齢性認知障害には、これらに限定されないが、年齢が関連する記憶障害(AAMI)、軽度認知障害(MCI)および加齢性認知低下(ARCD)が含まれる。
動物モデルは、このような加齢性認知障害に対する処置を開発および評価するための重要な資源の役割を果たしている。動物モデルにおいて加齢性認知障害を特徴付ける特色は典型的には、ヒトにおける加齢性認知障害に拡大される。したがって、このような動物モデルにおける有効性は、ヒトでの有効性を予測するものであると見込まれる。
加齢性認知障害の様々な動物モデルは、当技術分野において公知である。例えば、広範な行動特性決定は、老齢ロングエバンスラットの異系交配種において認知障害の自然発生形態を同定してきた(Charles River Laboratories;Gallagherら、Behav. Neurosci. 107巻:618〜626頁、(1993年))。モリス水迷路(MWM)による行動評価において、ラットは、上記迷路を取り巻く空間的キューの配置に導かれて、逃避プラットフォームの場所を学習および記憶する。認知基礎能力(cognitive basis of performance)を、上記逃避プラットフォームの場所についての探索における、上記動物の空間的バイアスの尺度(measure)を使用して、プローブトライアルで試験する。研究集団における老齢ラットは目に見えるプラットフォームまで泳ぐことが困難ではないが、該プラットフォームがカムフラージュされているとき(空間的情報の使用を必要とする)、年齢依存性の障害が検出される。異系交配のロングエバンス種における個々の老齢ラットについての能力は、大きくばらつく。例えば、これらのラットのある割合は、若年成体と同等に成し遂げる。しかし、概ね40〜50%は、若年成体の能力の範囲から外れる。老齢ラットの間のこのばらつきは、確かな個体差を反映する。このように、老齢集団の中で、ある動物は認知が障害されており、老齢の障害された(AI)と表記され、他の動物は障害されておらず、老齢の障害されていない(AU)と表記される。例えば、Colomboら、Proc. Natl. Acad. Sci. 94巻:14195〜14199頁、(1997年);GallagherおよびBurwell、Neurobiol. Aging 10巻:691〜708頁、(1989年);Gallagherら、Behav. Neurosci. 107巻:618〜626頁、(1993年);RappおよびGallagher、Proc. Natl. Acad. Sci. 93巻:9926〜9930頁、(1996年);Nicolleら、Neuroscience 74巻:741〜756頁、(1996年);Nicolleら、J. Neurosci. 19巻:9604〜9610頁、(1999年);国際特許公開第WO2007/019312号および国際特許公開第WO2004/048551号を参照されたい。加齢性認知障害のこのような動物モデルを使用して、加齢性認知障害の処置における、本発明の方法および組成物の有効性をアッセイし得る。
加齢性認知障害の処置における本発明の方法および組成物の有効性は、上記のような、モリス水迷路およびラジアルアーム迷路を含めた種々の認知試験を使用して評価し得る。
(6)認知症
本発明はまた、α5含有GABARアゴニストおよびその類似体、誘導体、ならびに薬学的に許容されるその塩および溶媒和物を使用した、認知症を処置するための方法および組成物を提供する。特定の実施形態において、処置は、認知症と関連する1つまたは複数の症状の緩和、軽減、またはその進行を遅延させることを含む。特定の実施形態において、処置する症状は、認知障害である。特定の実施形態において、上記認知症は、アルツハイマー病(AD)、血管性認知症、レビー小体を伴う認知症、または前頭側頭型認知症である。上記方法および組成物は、認知症の処置を目的とした臨床適用において、ヒト患者のために使用し得る。この方法のための上記組成物の用量および投与間隔は、本明細書に記載のように、これらの適用において安全で有効なものである。
動物モデルは、認知症についての処置を開発および評価するための重要な資源の役割を果たしている。動物モデルにおいて認知症を特徴付ける特色は典型的には、ヒトにおける認知症に拡大される。したがって、このような動物モデルにおける有効性は、ヒトでの有効性を予測するものであると見込まれる。認知症の様々な動物モデルは、PDAPP、Tg2576、APP23、TgCRND8、J20、hPS2 Tg、およびAPP+PS1トランスジェニックマウスなど当技術分野において公知である。Sankaranarayanan、Curr. Top. Medicinal Chem. 6巻:609〜627頁、2006年;Kobayashiら、Genes Brain Behav. 4巻:173〜196頁、2005年;AsheおよびZahns、Neuron. 66巻:631〜45頁、2010年。認知症のこのような動物モデルを使用して、認知症の処置における本発明の方法および組成物の有効性をアッセイし得る。
認知症、または認知症と関連する認知障害の処置における本発明の方法および組成物の有効性は、上記のような、モリス水迷路およびラジアルアーム迷路を含めた当技術分野において公知の種々の認知試験を使用して、認知症の動物モデルにおいて評価し得る。
(7)外傷後ストレス障害
本発明はまた、α5含有GABARアゴニストおよびその類似体、誘導体、ならびに薬学的に許容されるその塩および溶媒和物を使用した、外傷後ストレス障害(PTSD)を処置するための方法および組成物を提供する。特定の実施形態において、処置は、PTSDと関連する1つまたは複数の症状の緩和、軽減、またはその進行を遅延させることを含む。特定の実施形態において、処置される症状は、認知障害である。上記方法および組成物は、PTSDの処置を目的とした臨床適用において、ヒト患者のために使用し得る。この方法のための上記組成物の用量および投与間隔は、本明細書に記載のように、これらの適用において安全で有効なものである。
PTSDを有する患者(および、PTSDを有しない、外傷に曝露された程度が低い患者)は、より小さな海馬容積を有する(Woonら、Prog. Neuro−Psychopharm. & Biological Psych. 34巻、1181〜1188頁;Wangら、Arch. Gen. Psychiatry 67巻:296〜303頁、2010年)。PTSDはまた、障害された認知能力と関連する。PTSDを有するより老齢の個体は、対照患者と比べて認知能力がより大きく低下し(Yehudaら、Bio. Psych. 60巻:714〜721頁、2006年)、認知症を発症するより大きな可能性を有する(Yaffeら、Arch. Gen. Psych. 678巻:608〜613頁、2010年)。
動物モデルは、PTSDについての処置を開発および評価するための重要な資源の役割を果たしている。動物モデルにおいてPTSDを特徴付ける特色は典型的には、ヒトにおけるPTSDに拡大される。したがって、このような動物モデルにおける有効性は、ヒトでの有効性を予測するものであると見込まれる。PTSDの様々な動物モデルは、当技術分野において公知である。
PTSDの1つのラットモデルは、時間依存性感作(TDS)である。TDSは、重度にストレス過多の事象へ動物を曝露させること、それに続く従前のストレスの状況を思い出させるものが関与する。下記は、TDSの一例である。ラットを拘束器中に入れ、次いで水泳タンク中に入れ、一定期間、例えば、20分間水泳させる。これに続いて、各ラットを次いで意識消失するまでガス麻酔剤に直ちに曝露させ、最後に乾かす。上記動物を、数日間、例えば、1週間乱されないままにする。次いで、上記ラットを、最初のストレス要因(stressor)、例えば、水泳タンクにおける水泳セッションからなる「再ストレス」セッションに曝露させる(Liberzonら、Psychoneuroendocrinology 22巻:443〜453頁、1997年;Harveryら、Psychopharmacology 175巻:494〜502頁、2004年)。TDSは、上記ラットにおいて音響驚愕反応(ASR)の増強をもたらし、これはPTSDの顕著な症状である過剰音響驚愕に匹敵する(KhanおよびLiberzon、Psychopharmacology 172巻:225〜229頁、2004年)。PTSDのこのような動物モデルを使用して、PTSDの処置における本発明の方法および組成物の有効性をアッセイし得る。
PTSD、またはPTSDと関連する認知障害の処置における本発明の方法および組成物の有効性はまた、上記のような、モリス水迷路およびラジアルアーム迷路を含めた当技術分野において公知の種々の他の認知試験を使用してPTSDの動物モデルにおいて評価し得る。
(8)統合失調症
本発明は、α5含有GABARアゴニストおよびその類似体、誘導体、ならびに薬学的に許容されるその塩および溶媒和物を使用した、統合失調症を処置するための方法および組成物をさらに提供する。特定の実施形態において、処置は、統合失調症と関連する1つまたは複数の症状の緩和、軽減またはその進行を遅延させることを含む。特定の実施形態において、処置される症状は、認知障害である。上記方法および組成物は、統合失調症の処置を目的とした臨床適用において、ヒト患者のために使用し得る。この方法のための上記組成物の用量および投与間隔は、本明細書に記載のように、これらの適用において安全で有効なものである。
動物およびヒトの研究は、統合失調症において、例えば、大脳皮質および海馬の様々なエリアにおいてGABAシグナル伝達が低下することを実証する。例えば、Akbarianら、Arch. Gen. Psychiatry 52巻:258〜266頁、1995年;Volkら、Arch. Gen. Psychiatry 57巻:237〜245頁、2000年;Hashimotoら、J. Neurosci. 23巻:6315〜6326頁、2003年;Hashimotoら、Mol. Psychiatry 13巻:147〜161頁、2008年;Lodgeら、J. Neurosci. 29巻:2344〜2354頁、2009年;Yoonら、J. Neurosci. 30巻:3777〜81頁、2010年を参照されたい。認知障害はまた、統合失調症と関連する。認知障害は、精神病の発症に先行し、影響されていない親類において存在する。統合失調症と関連する認知障害は、機能的転帰についての良好な予測判断材料を構成し、該障害のコアの特色である。統合失調症における認知の特色は、前頭葉皮質および海馬回路における機能不全を反映する。統合失調症を有する患者はまた、海馬の病態、例えば、海馬容積の減少、ニューロンのサイズの減少および機能不全的活動亢進を呈する。これらの脳領域における興奮および抑制の不均衡はまた、統合失調症患者において記述されてきており、これは抑制性機構を標的とする薬物が治療剤であり得ることを示唆する。例えば、Guidottiら、Psychopharmacology 180巻:191〜205頁、2005年;Zierhut、Psych. Res. Neuroimag. 183巻:187〜194頁、2010年;Woodら、NeuroImage 52巻:62〜63頁、2010年;Vinkersら、Expert Opin. Investig. Drugs 19巻:1217〜1233頁、2009年;Youngら、Pharmacol. Ther. 122巻:150〜202頁、2009年を参照されたい。特に、α5サブユニットを含むGABA受容体の作用を選択的におよび正にモジュレートする化合物は、鎮静、健忘、または耐性を生じさせることなしに、抗不安、抗パニックおよび抗痙攣作用に寄与する治療剤として提案されてきた(Guidottiら、Psychopharmacology 180巻:191〜205頁、2005年)。
動物モデルは、統合失調症についての処置を開発および評価するための重要な資源の役割を果たしている。動物モデルにおいて統合失調症を特徴付ける特色は典型的には、ヒトにおける統合失調症に拡大される。したがって、このような動物モデルにおける有効性は、ヒトでの有効性を予測するものであると見込まれる。統合失調症の様々な動物モデルは、当技術分野において公知である。
統合失調症の1つの動物モデルは、メチオニンによる長期の(protracted)処置である。メチオニンで処置されたマウスは、死亡した統合失調症患者の脳において報告されているものと同様な、前頭皮質および海馬におけるGAD67の不十分な発現を示す。メチオニンで処置されたマウスはまた、驚愕の前パルス抑制、および社会的相互作用の欠損を示す(Tremonlizzoら、PNAS、99巻:17095〜17100頁、2002年)。統合失調症の別の動物モデルは、ラットにおけるメチルアゾキシメタノール(methylaoxymethanol)アセテート(MAM)処置である。妊娠した雌性ラットに、在胎17日目にMAM(20mg/kg、腹腔内)を投与する。MAM処置は、子孫において、解剖学的変化、行動の欠損およびニューロンの情報処理の変化を含めた統合失調症様表現型への病態発生過程を再現する。さらに具体的には、MAMで処置されたラットは、前前頭皮質および海馬の部分においてパルブアルブミン陽性GABA作動性介在ニューロンの密度の低下を示す。行動試験において、MAMで処置されたラットは、潜在抑制の低下を示す。潜在抑制は、任意の結果を伴う従前に曝露された刺激についての学習が低下する行動的現象である。従前には良性であった刺激を無視し、かつこのような刺激との関連の形成を減少させるこの傾向は、感覚過負担を防止すると考えられる。低い潜在抑制は、精神病を示す。潜在抑制は、下記の様式でラットにおいて試験し得る。ラットを2つの群に分割する。1つの群は、複数のトライアルに亘ってトーン(tone)に前もって曝露される。他の群にはトーン提示をしない。次いで、両方の群を聴覚性恐怖条件付け手順に曝露し、同じトーンを有害刺激、例えば足への電気ショックと併行的に提示する。引き続いて、両方の群にトーンを与え、トーン提示の間の運動活性における上記ラットの変化をモニターする。恐怖条件付けの後、上記ラットは、運動活性を強力に低下させることによって上記トーン提示に反応する。しかし、条件付け期間前にトーンに曝露されていた群は、強い潜在抑制を示す。トーン提示に反応した運動活性の抑止は減少する。MAMで処置されたラットは、対照的に、障害された潜在抑制を示す。すなわち、恐怖条件付け手順前のトーンへの曝露は、恐怖条件付けの抑止において有意な作用を有さない(Lodgeら、J. Neurosci. 29巻:2344〜2354頁、2009年を参照されたい)。統合失調症のこのような動物モデルを使用して、統合失調症の処置における本発明の方法および組成物の有効性をアッセイし得る。
統合失調症、または統合失調症と関連する認知障害の処置における本発明の方法および組成物の有効性はまた、上記のような、モリス水迷路およびラジアルアーム迷路を含めた当技術分野において公知の種々の他の認知試験を使用して、統合失調症の動物モデルにおいて評価し得る。
(9)がん療法が関連する認知障害
本発明は、α5含有GABARアゴニストおよびその類似体、誘導体、ならびに薬学的に許容されるその塩および溶媒和物を使用した、がん療法が関連する認知障害を処置するための方法および組成物をさらに提供する。特定の実施形態において、処置は、がん療法が関連する認知障害と関連する1つまたは複数の症状の緩和、軽減またはその進行を遅延させることを含む。上記方法および組成物は、がん療法が関連する認知障害の処置を目的とした臨床適用において、ヒト患者のために使用し得る。この方法のための上記組成物の用量および投与間隔は、本明細書に記載のように、これらの適用において安全で有効なものである。
化学療法、放射線照射、またはこれらの組合せを含めたがん処置において使用される療法は、患者において、記憶、学習、および注意などの機能における認知障害をもたらし得る。がん療法の脳に対する細胞毒性および他の有害な副作用は、数十年持続し得るこの形態の認知障害の基となるものである。(Dietrichら、Oncologist 13巻:1285〜95頁、2008年;Soussainら、Lancet 374巻:1639〜51頁、2009年)。
がん療法に続く認知障害は、正常な認知のために必須である前頭葉皮質および海馬回路における機能不全を反映する。動物モデルにおいて、化学療法または放射線照射への曝露は、これらの脳系、特に、海馬に特に依存する認知試験における能力に悪影響を与える(Kimら、J. Radiat. Res. 49巻:517〜526頁、2008年;Yangら、Neurobiol. Learning and Mem. 93巻:487〜494頁、2010年)。このように、これらの皮質および海馬系を標的とした薬物は、がん療法を受けている患者において神経防護的であり、がん療法として使用される治療介入を上回って持続し得る認知障害の症状の処置において効果的であり得る。
動物モデルは、がん療法が関連する認知障害に対する処置を開発および評価するための重要な資源の役割を果たしている。動物モデルにおいてがん療法が関連する認知障害を特徴付ける特色は典型的には、ヒトにおけるがん療法が関連する認知障害に拡大される。したがって、このような動物モデルにおける有効性は、ヒトでの有効性を予測するものであると見込まれる。がん療法が関連する認知障害の様々な動物モデルは、当技術分野において公知である。
がん療法が関連する認知障害の動物モデルの例は、抗新生物剤、例えば、シクロホスファミド(CYP)で、または放射線照射、例えば、60Coγ線で動物を処置することを含む。(Kimら、J. Radiat. Res. 49巻:517〜526頁、2008年;Yangら、Neurobiol. Learning and Mem. 93巻:487〜494頁、2010年)。次に、がん療法が関連する認知障害の動物モデルの認知機能を認知試験によって試験し、がん療法が関連する認知障害の処置における本発明の方法および組成物の有効性をアッセイし得る。がん療法が関連する認知障害の処置における本発明の方法および組成物の有効性は、上記のような、モリス水迷路およびラジアルアーム迷路を含めた当技術分野において公知の種々の認知試験を使用して評価し得る。
(10)研究ドメイン基準(RDoC)
本発明は、α5含有GABARアゴニストおよびその類似体、誘導体、ならびに薬学的に許容されるその塩および溶媒和物を使用した、神経障害および神経精神の状態における障害を処置するための方法および組成物をさらに提供する。特定の実施形態において、処置は、このような障害と関連する1つまたは複数の症状の緩和、軽減またはその進行を遅延させることを含む。
研究ドメイン基準(RDoC)は、神経系に影響を与える疾患および障害の診断のための臨床基準(例えば、DSMおよびICD)を増大させると予想される(例えば、Am. J. Psychiatry 167巻:7頁(2010年)を参照されたい)。上記RDoCは、ゲノミクスおよび神経科学における発見、ならびに臨床所見に基づいた分類を提供することを意図する。上記神経系の特定の神経回路におけるα5含有GABA受容体の高発現は、RDoCにおいて同定される、神経回路の機能不全についての治療標的であり得る。
(11)GABAα5サブユニット結合および受容体アゴニスト活性についてのアッセイ
GABAα5サブユニットを含むGABA受容体に対する試験化合物の親和性は、当技術分野において公知の受容体結合アッセイを使用して決定し得る。例えば、参照により本明細書中に組み込まれている米国特許第7,642,267号および米国特許第6,743,789号を参照されたい。
α5含有GABARアゴニストとしての試験化合物の活性は、当技術分野において公知の電気生理学的方法によって試験し得る。例えば、米国特許第7,642,267号およびGuidottiら、Psychopharmacology 180巻:191〜205頁、2005年を参照されたい。アゴニスト活性は、例えば、GABAα5サブユニットを含むGABA受容体の、GABAによって誘導される塩素イオンコンダクタンスをアッセイすることによって試験し得る。このような受容体を発現する細胞を、有効量の本発明の化合物に曝露し得る。このような細胞は、本発明の化合物を含有する体液と接触させることによって、例えば、脳脊髄液と接触させることによって、インビボで本発明の化合物と接触させ得る。細胞と本発明の化合物とを、GABAの存在下で接触させることによって、インビトロの試験を行い得る。上記試験化合物の存在下での、GABAα5サブユニットを含むGABA受容体を発現している細胞におけるGABAによって誘導される塩化物コンダクタンスの増大は、上記化合物のアゴニスト活性を示す。コンダクタンスにおけるこのような変化は、例えば、GABA受容体サブユニットmRNA(GABAα5サブユニットRNAを含めた)を注射されたXenopus卵母細胞、GABA受容体サブユニットをコードするプラスミドをトランスフェクトしたHEK293細胞、またはインビボ、エキソビボで、もしくは培養したニューロンで行う電位固定アッセイを使用することによって検出し得る。
(12)組成物および投与方法
本発明の組成物および方法において使用される化合物および薬剤は好ましくは、末梢に投与されたときに、血液脳関門を容易に通過すべきであることを理解されたい。しかし、血液脳関門を通過することができない化合物は、例えば、脳室内経路によって中枢神経系に直接有効に投与することができる。
本発明のいくつかの実施形態において、上記α5含有GABARアゴニストは、薬学的に許容されるキャリアと共に製剤化される。他の実施形態において、キャリアは使用されない。例えば、上記α5含有GABARアゴニストは、単独で、または薬学的製剤(治療組成物)の構成要素として投与することができる。上記α5含有GABARアゴニストは、ヒト医療における使用のために任意の便利な方法での投与のために製剤化し得る。
いくつかの実施形態において、本発明の治療方法は、化合物または薬剤の組成物を、局所に(topically)、全身に、または局所に(locally)投与することを含む。例えば、本発明の化合物または薬剤の治療組成物は、例えば、注射(例えば、静脈内、皮下、または筋肉内)、吸入もしくは吹送(口または鼻のいずれかによる)または経口、口腔、舌下、経皮、鼻、もしくは非経口投与による投与のために製剤化し得る。本明細書に記載されている化合物または薬剤の組成物は、埋没物(implant)もしくはデバイスの一部として製剤化してもよく、または緩慢放出もしくは徐放のために製剤化してもよい。非経口投与されるとき、本発明において使用するための化合物または薬剤の治療組成物は、好ましくは発熱物質なしの生理学的に許容される形態で存在する。技術および製剤は一般に、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Meade Publishing Co.、Easton、PAに見出し得る。
特定の実施形態において、非経口投与に適した薬学的組成物は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、製剤を、意図するレシピエントの血液と等張にする溶質、または懸濁化剤もしくは増粘剤を含有し得る1種または複数の薬学的に許容される無菌の等張性水性溶液もしくは非水性溶液、分散液、懸濁液もしくは乳濁液、または無菌の粉末(使用の直前に、無菌の注射可能な溶液または分散液に再構成し得る)と組み合わせたα5含有GABARアゴニストを含み得る。本発明の薬学的組成物において用いてもよい適切な水性キャリアおよび非水性キャリアの例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、および適切なこれらの混合物、植物性油、例えば、オリーブ油、ならびに注射可能な有機エステル、例えば、オレイン酸エチルが含まれる。例えば、コーティング材料、例えば、レシチンを使用することによって、分散液の場合必要とされる粒径を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって、適正な流動性を維持することができる。
α5含有GABARアゴニストを含む組成物はまた、アジュバント、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散化剤を含有し得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含ませることによって確実にし得る。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを上記組成物中に含むことがまた所望される場合がある。さらに、注射可能な薬学的形態の長期吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含ませることによってもたらし得る。
本発明の特定の実施形態において、α5含有GABARアゴニストを含む組成物は、それぞれが活性成分として所定の量のα5含有GABARアゴニストを含有する、例えば、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤(香味付けしたベース、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを使用して)、散剤、顆粒剤の形態で、または水性もしくは非水性液体中の液剤もしくは懸濁剤として、または水中油型もしくは油中水型の液体乳剤として、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤として、または香錠(不活性なベース、例えば、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアを使用した)などとして、経口で投与することができる。
経口投与のための固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤など)において、上記α5含有GABARアゴニストを含む1種または複数の組成物は、1種もしくは複数の薬学的に許容されるキャリア、例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、ならびに/または下記のいずれか:(1)充填剤もしくは増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/もしくはケイ酸;(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、および/もしくはアカシア;(3)保湿剤、例えば、グリセロール;(4)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、および炭酸ナトリウム;(5)溶解遅延剤、例えば、パラフィン;(6)吸収促進剤、例えば、第四級アンモニウム化合物;(7)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなど;(8)吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイトクレイ;(9)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物;ならびに(10)着色剤と混合し得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、上記薬学的組成物はまた、緩衝剤を含み得る。同様のタイプの固体組成物においてはまた、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤として、賦形剤、例えば、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用することを、採用してもよい。
経口投与のための液体剤形には、薬学的に許容される乳剤、マイクロ乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が挙げられる。上記α5含有GABARアゴニストに加えて、上記液体剤形は、当技術分野で一般に使用される不活性な希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール(エタノール)、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物を含有し得る。不活性な希釈剤以外に、経口組成物はまた、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味剤、着色剤、芳香剤、ならびに保存剤を含むことができる。
懸濁剤は、活性化合物に加えて、懸濁化剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル、微晶質セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにこれらの混合物を含有し得る。
上記のように、上記化合物、薬剤、およびその組成物は、緩慢放出、制御放出または徐放のために投与し得る。「徐放」という用語は、薬学の技術分野で広範に認識されており、本明細書において、長期間、例えば、1時間以上に亘って(を通して、またはその間)、剤形から環境への活性化合物または薬剤の制御放出を指すために使用される。徐放剤形は、長期間に亘って実質的に定速度で薬物を放出し、または実質的に一定量の薬物が長期間に亘って漸増して(incrementally)放出される。本明細書において使用される「徐放」という用語には、用語「制御放出」、「長期放出」、「徐放(sustained release)」または「緩慢放出」が含まれる(これらの用語が薬学において使用される場合の)。いくつかの実施形態において、上記徐放投与量は、パッチまたはポンプの形態で投与される。
当業者、例えば、医師は、本発明の組成物および方法を使用して、上記被験体を処置するためのα5含有GABARアゴニスト(複数可)の必要量を容易に決定することができる。投与計画は、例えば、α5含有GABARアゴニストの作用を修正する様々な要因、上記疾患の重症度またはステージ、投与経路、ならびに個体に特有の特徴、例えば、年齢、体重、サイズ、および認知障害の程度を考慮して、個体について決定されることが理解される。
体表面積に標準化することは、種の間の用量を外挿するために適当な方法であることは当技術分野において周知である。ラットにおいて年齢依存性認知障害の処置に使用される投与量からヒト相当用量(HED)を計算するために、式HED(mg/kg)=ラットの用量(mg/kg)×0.16を用いてもよい(Estimating the Safe Starting Dose in Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers、2002年12月、Center for Biologics Evaluation and Researchを参照されたい)。例えば、この式を使用して、ラットにおける10mg/kgの投与量は、ヒトにおける1.6mg/kgと等価である。この変換は、より一般の式であるHED=動物の用量(mg/kg)×(動物の重量(kg)/ヒトの重量(kg))0.33に基づいている。
本発明の特定の実施形態において、上記α5含有GABARアゴニストの用量は、0.0001〜100mg/kg/日である(70kgの典型的なヒト被験体を考慮して、0.007〜7000mg/日である)。
本発明の特定の実施形態において、投与の間隔は、12時間または24時間毎に1回である。より頻繁ではない間隔、例えば、6時間毎に1回の投与もまた使用し得る。
埋没物、デバイスまたは緩慢放出製剤もしくは徐放製剤によって投与される場合、上記α5含有GABARアゴニストは、1回、または患者の生涯に亘って必要に応じて定期的に1回もしくは複数回投与することができる。臨床適用のためのこれらの投与間隔の中間またはより短い他の投与間隔をまた使用してもよく、本発明の方法に従って当業者が決定し得る。
所望の投与時間は、当業者による通例の実験作業によって決定することができる。例えば、上記α5含有GABARアゴニストは、1〜4週間、1〜3カ月間、3〜6カ月間、6〜12カ月間、1〜2年間、またはそれを超えて、上記患者の生涯までの期間投与し得る。
α5含有GABARアゴニストに加えて、本発明の組成物および方法はまた、他の治療的に有用な薬剤を含むことができる。これらの他の治療的に有用な薬剤は、本発明の方法によるα5含有GABARアゴニストと同時または逐次的に単一の製剤で投与し得る。
本明細書に記載されている組成物および方法は、取り組む用途について適切であるように適応させ、修正してもよく、本明細書に記載されている組成物および方法は、他の適切な用途において用いてもよく、このような他の追加および修正形態はこの範囲から逸脱しないことを当業者は理解する。
本発明は、下記の実施例からよりよく理解される。しかし、考察される特定の方法および結果は、下記の実施形態においてより完全に記載するように、本発明を単に例示するものであることを当業者は容易に認識する。
(実施例1)
化合物1の合成
ステップ1:
Figure 2013542266
厚壁の反応バイアルを脱気し、N雰囲気下に置いた。これに、2−ヨード−4−メトキシフェニルアミン34(2.10g、8.43mmol)、CuI(0.161g、0.843mmol)、およびビス−トリフェニルホスフィン−パラジウム(II)クロリド(0.292g、0.42mmol)を加えた。そのフラスコをNで再びパージし、−78℃に冷却した。メチルアセチレンを、ガス(1.69g、42.2mmol)としてフラスコ内に送達した。シリンジによってフラスコにTHF(25mL)をゆっくりと加えた。反応物をRTに温め、16時間撹拌した。混合物をジエチルエーテルで希釈し、水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させた。濾過および濃縮によって0.735g(54%)の生成物35を茶色の油として得て、これはLC/MSおよび1H NMRによって示されるように、次のステップへ進めるのに十分な純度のものであった。(MS:[M+1=162])。
ステップ2:
Figure 2013542266
化合物35(1.83g、11.35mmol)をN雰囲気下に置き、DMF(10mL)に溶解した。これに、クロロシクロペンタジエニルビス−(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)(0.405g、0.51mmol)およびエチルアジドアセテートの滴下溶液(45mL、0.5Mの溶液、22.5mmol)を加えた。反応物をNでパージし、RTで3日間撹拌した。LC/MSによって示されるように、反応混合物は、11:26:13の比の出発材料35、トリアゾールクリック付加物36、および環化生成物37からなった。
さらなる量のクロロシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)−ルテニウム(II)(0.09g)およびエチルアジドアセテート(23mL)を加え、反応物をさらに5時間撹拌した。混合物をジエチルエーテルで希釈し、有機相を飽和NaHCOで洗浄した。水相をジエチルエーテルで逆抽出した。合わせた有機相を、MgSOで乾燥させた。濃縮した残渣をISCO(勾配、100%ヘキサンから100%EtOAc)によって精製し、出発材料を除去し、36および所望の生成物37の混合物を茶色の固体として得た。37への36のさらなる環化に作用を及ぼすように、残渣をp−キシレン(20mL)に溶解し、140℃で15時間撹拌した。反応物を0℃に冷却し、濾過し、1.58gの化合物37を、次のステップに採用するのに十分な純度の灰色〜白色の粉末(57%)として得た(MS:[M+1=245])。
ステップ3:
Figure 2013542266
化合物37(0.1285g、0.526mmol)を、Nのブランケット下で−20℃にてTHF(2.5mL)に溶解した。これに、t−BuOK(97%、76.7mg、0.684mmol)を加えた。ジエチルクロロホスフェート(98.8uL、0.684mmol)を滴下で添加した後、−20℃から10℃に温めながら、混合物を5時間撹拌した。反応混合物を−78℃に再冷却し、これにエチルイソシアノアセテート(80.5uL、0.736mmol)、続いてt−BuOK(97%、76.7mg、0.684mmol)を加えた。反応物を−78℃からRTに温め、次いで一晩撹拌し、飽和NaHCOを加えることによってクエンチし、EtOAcで抽出した。有機相を飽和NaHCO、ブラインで洗浄し、次いで乾燥させ(MgSO)、濃縮して、残渣を得た。ISCO(勾配、EtOAcからEtOAc中の2%MeOH)による精製によって、56.9mg(32%)の化合物1を黄色の固体として得た(MS:[M+1=340])。
(実施例2)
化合物2の合成
ステップ1:
Figure 2013542266
化合物1(221.8mg、0.654mmol)およびLiOH(31.3mg、1.31mmol)を4:1のTHF/HO(6.5mL)に溶解し、混合物をRTで14時間撹拌し、濃縮し、0.4NのHClおよび飽和NaHCOで中和した。溶液を5℃で一晩保存し、沈殿物を濾過によって集め、カルボン酸38を淡黄色の粉末(179.5mg、88%)として得て、これを次のステップにおいて直接採用した(MS:[M+1=312])。
ステップ2:
Figure 2013542266
カルボン酸38(91.5mg、0.294mmol)を、DMF(2mL)に溶解した。溶液にジイソプロピルエチルアミン(0.154mL、0.882mmol)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(167.6mg、0.441mmol)、およびジエチルアミン(91.2uL、0.882mmol)を加え、混合物をRTで16時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させた。濾液の濾過および蒸発によって粗生成物を得て、これをISCO(勾配、ヘキサン/EtOAc)によって精製し、化合物2を薄茶色のアモルファス固体(107.2mg、100%)として得た(MS:[M+1=367])。
(実施例3)
化合物3の合成
Figure 2013542266
実施例2、ステップ2において記載されているものと実質的に同様の手順を使用して、86.1mgの化合物38を、化合物3(100.7mg、100%)に変換した(MS:[M+1=365])。
(実施例4)
化合物4の合成
ステップ1:
Figure 2013542266
化合物1(0.169g、0.498mmol)をジクロロメタン(2.5mL)に0℃で溶解し、水素化ジイソブチルアルミニウム(1.49mL、THF中1M、1.49mmol)で処理した。RTに温めながら、反応物を3時間撹拌し、メタノールでクエンチし、濃縮し、このように得られた残渣をISCO(勾配、DCMから10%MeOH/DCM)によって精製した。相当するアルコール39(0.119g、80%)がオフホワイトの固体として形成された(MS:[M+1=298])。
ステップ2:
アルコール39(0.119g、0.401mmol)をジクロロメタン(8mL)に溶解し、MnO(0.386g、4mmol)で処理した。反応物をRTで16時間撹拌し、濾過し、濃縮し、86.3mg(73%)の相当するアルデヒド40を茶色がかった固体として得て、これは次のステップに採用するのに十分な純度のものであった(MS:[M+1=296])。
ステップ3:
アルデヒド40(0.863g、0.292mmol)をジクロロメタン(2mL)に0℃で溶解し、[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]−硫黄トリフルオリド(Deoxo−fluor)(0.646g、2.92mmol)で処理し、RTで16時間撹拌した。混合物をさらなるジクロロメタンで希釈し、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄し、有機相をMgSOで乾燥させた。濃縮によって粗生成物を得て、これを分取TLC(ジクロロメタン/MeOH5%)によって精製し、化合物4(55.7mg、60%)をオフホワイトの固体として得た(MS:[M+1=318])。
(実施例5)
化合物5の合成
Figure 2013542266
N−ヒドロキシアセトアミジン(73.6mg、0.944mmol)を、3回連続のトルエン中の希釈および濃縮(各回3mL)によって乾燥させた。真空中で乾燥させた後、これにTHF(3mL)およびNaH(34.8mg、0.871mmol)を加えた。RTで15分間撹拌した後、化合物1(246.4mg、0.726mmol)を加え、生成した混合物をRTで2時間、次いで70℃で5時間撹拌した。混合物を冷却し、氷水(20mL)で希釈し、冷蔵庫中で一晩静置した。オフホワイトの沈殿物を真空濾過し、水で洗浄し、真空中で乾燥させ、120.5mg(48%)の化合物5をオフホワイトの固体として得た(MS:[M+1=350])。
(実施例6)
化合物6の合成
ステップ1:
Figure 2013542266
実施例1、ステップ1において記載したものと実質的に同様の手順を使用して、2−ヨード−4−メトキシフェニルアミン34(0.5215g、2.1mmol)を、1−ブチンを使用して41に変換した。収量:0.3262g(89%)(MS:[M+1=176])
ステップ2:
Figure 2013542266
実施例1、ステップ2において記載したものと実質的に同様の手順を使用して、化合物41(321.2mg、1.83mmol)を42および43の混合物に変換し、これを引き続いて環化させ、上記のような43を唯一得た。収量:固体として193.1mg(41%)の化合物43(MS:[M+1=259])。
ステップ3:
Figure 2013542266
実施例1、ステップ3において記載したものと実質的に同様の手順を使用して、化合物43(113mg、0.437mmol)を化合物6に変換した。収量:29.9mg(19%)(MS:[M+1=354])。
(実施例7)
化合物7の合成
ステップ1:
Figure 2013542266
実施例2、ステップ1において記載したものと実質的に同様の手順を使用して、化合物6(52.8mg、0.149mmol)を、化合物44に変換した。収量:31.0mg(64%)(MS:[M+1=326])。
ステップ2:
Figure 2013542266
実施例2、ステップ2において記載したものと実質的に同様の手順を使用して、化合物44(32.1mg、0.0908mmol)を化合物7に変換した。収量:黄色の固体として34.7mg(100%)(MS:[M+1=381])。
(実施例8)
化合物8の合成
ステップ1:
Figure 2013542266
実施例1、ステップ1において記載したものと実質的に同様の手順を使用して、2−ヨード−4−メトキシフェニルアミン34(0.5g、2mmol)を、3−メチル−1−ブチンを使用して45に変換した。収量:0.25g(38%)(MS:[M+1=190])。
ステップ2:
Figure 2013542266
実施例1、ステップ2において記載したものと実質的に同様の手順を使用して、化合物45(130mg、0.69mmol)を46および47の混合物に変換し、これを引き続いて環化させ、上記のような47を唯一得た。収量:固体として23mg(12%)の化合物47(MS:[M+1=273])。
ステップ3:
Figure 2013542266
実施例1、ステップ3において記載したものと実質的に同様の手順を使用して、化合物47(23.2mg、0.0852mmol)を化合物8に変換した。収量:4mg(13%)(MS:[M+1=368])。
(実施例9)
化合物9の合成
ステップ1:
Figure 2013542266
実施例1、ステップ1において記載したものと実質的に同様の手順を使用して、2−ヨード−4−クロロフェニルアミン48(1g、3.95mmol)を、メチルアセチレンを使用して49に変換した。収量:0.521g(80%)(MS:[M+1=166])。
ステップ2:
Figure 2013542266
実施例1、ステップ2において記載したものと実質的に同様の手順を使用して、化合物49(514mg、3.12mmol)を50および51の混合物に変換し、これを引き続いて環化させ、上記のような51を唯一得た。収量:固体として335mg(43%)の化合物51(MS:[M+1=249])。
ステップ3:
Figure 2013542266
実施例1、ステップ3において記載したものと実質的に同様の手順を使用して、化合物51(187mg、0.752mmol)を化合物9に変換した。収量:黄色の泡として62mg(24%)(MS:[M+1=344])。
(実施例10)
化合物10の合成
ステップ1:
Figure 2013542266
実施例1、ステップ1において記載したものと実質的に同様の手順を使用して、2−ヨード−4−ブロモフェニルアミン52(1g、3.36mmol)を、メチルアセチレンを使用して53に変換した。収量:0.65g(91%)(MS:[M+1=211])。
ステップ2:
Figure 2013542266
実施例1、ステップ2において記載したものと実質的に同様の手順を使用して、化合物53(673mg、3.2mmol)を54および55の混合物に変換し、これを引き続いて環化させ、上記のような55を唯一得た。収量:固体として412mg(44%)の化合物55(MS:[M+1=294])。
ステップ3:
Figure 2013542266
実施例1、ステップ3において記載したものと実質的に同様の手順を使用して、化合物55(125.8mg、0.429mmol)を化合物10に変換した。収量:黄色の泡として38.8mg(23%)(MS:[M+1=389])。
(実施例11)
α5含有GABA受容体(GABAR)アゴニスト活性の評価
ステップ1:GABARサブユニット(α5、β3、γ2、α1、α2およびα3)のクローンの樹立、および相当するcRNAの調製:GABA−Rα5、β3、γ2、α1、α2およびα3サブユニットのヒトクローンは、商業的供給源から得られる(例えば、OriGene、http://www.origene.comおよびGenescript、http://www.genescript.com)。これらのクローンを、pRC、pCDM、pcDNA、およびpBluescript KSMベクター(卵母細胞発現のため)または他の同等の発現ベクター中に工学技術で導入する。従来のトランスフェクション剤(例えば、FuGene、Lipofectamine2000、またはその他)を使用して、宿主細胞を一過性にトランスフェクトする。
ステップ2−Xenopus卵母細胞発現系におけるα5β3γ2、α1β3γ2、α2β3γ2、およびα3β3γ2サブタイプの機能的GABARアッセイ:α5、β3、γ2、α1、α2およびα3サブユニットコードするcRNAを、T3mMESSAGE mMACHINEキット(Ambion)を使用してインビトロで転写し、Xenopus laevisから調製したばかりの卵母細胞中に注射する(α:β:γ=2:2:1の比または他の最適化した条件で)。2日間の培養の後、卵母細胞からのGABA作動性Cl−電流を、TEVC装置(Warner Instruments,Inc.、Foster City、CA)を使用して行う。GABA、ベンゾジアゼピン、およびジアゼパムを参照化合物として使用して、系を検証する。
ステップ3−α5β3γ2サブタイプに対する試験化合物のアゴニスト活性についての評価、およびEC50=5μMの選択性カットオフに達するときのα1からα3をカップリングしたβ3γ2サブタイプに対するオフターゲット活性の試験:卵母細胞からのGABA作動性Cl−電流を、試験化合物の存在下でTEVC装置において測定する。各試験化合物のアゴニスト活性を、5ポイントの用量反応アッセイにおいて試験する。試験化合物は、いくつかの参照化合物を含む(α5β3γ2サブタイプについての文献のEC50値は、3〜10μMの範囲である)。α5β3γ2サブタイプにおけるEC50を、各化合物について得る。α5β3γ2におけるEC50が≦5μMである場合、他の3つのサブタイプ(α1β2γ2、α2β3γ2およびα3β3γ2)のEC50を、さらに個々に決定して、化合物の、他のサブタイプを上回るα5β3γ2サブタイプに対する選択性について試験する。
ステップ4−α5β3γ2サブタイプに対するさらなる試験化合物の評価、およびEC50=0.5μMの選択性カットオフに達するときのオフターゲット活性の試験:試験化合物の第2のバッチを、同じ戦略を使用して試験するが、より低いEC50カットオフ(0.5μM)を用いる。再び、上記化合物のそれぞれについてのα5β3γ2サブタイプのEC50を決定する。α1からα3をカップリングしたβ3γ2サブタイプは、α5含有受容体に対するEC50が<0.5μMである場合のみ試験する。
(実施例12)
GABAα5受容体に対するアゴニスト活性についての化合物の評価
本発明の化合物のアゴニスト活性は、2電極電位固定(TEVC)装置において、GABAα5β3γ2サブタイプ受容体を発現しているXenopus卵母細胞からのGABA作動性Cl−電流に対するこれらの作用を測定することによって決定した。上記GABA EC50の5%超の増強作用を実証した化合物は、GABAα5受容体の正のアロステリックモジュレーションを有する化合物であることを示した。すなわち、これらの化合物は、GABAα5受容体においてGABAの作用を強化する。
材料
成体雌性Xenopus laevisカエルは、Nasco(Fort Atkinson、WI)から購入した。ゲンタマイシン、3−アミノ安息香酸エチルエステル、GABA、ジアゼパム、フルマゼニル、およびコラゲナーゼは、Sigma(St.Louis、MO)から購入した。使用した全ての化学物質は、試薬グレードのものであった。GABAストックを、細胞外溶液、すなわち、NaCl(88mM)、KCl(2mM)、MgSO(0.82mM)、Ca(NO(0.33mM)、CaCl(0.41mM)、NaHCO(2.4mM)およびHEPES(10mM)を含有する改変バース塩類溶液(MBS)中で調製した。ジアゼパム、フルマゼニルおよび本発明の化合物のストック溶液を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製し、次いで使用直前に、細胞外溶液で適当な濃度に希釈した。DMSO曝露からの有害作用を避けるために、DMSOの最終濃度は0.3%(v/v)以下であった。
実験手順
(A)Xenopus卵母細胞におけるGABA−Rα5β3γ2またはα1β2γ2サブタイプの発現
Xenopus卵母細胞を、従前に公開された手順によって単離した(例えば、Goldinら、Methods Enzymol. 207巻:266〜279頁、(1992年)を参照されたい)。単離したXenopus卵母細胞に、哺乳動物の発現ベクター中にクローン化したGABAR cDNA(α1β2γ2またはα5β3γ2の1ngの総容量について1:1:1比)を注射した。特に、α1、β2、γ2を、pcDNA3.1.中にクローン化し、α5およびβ3を、pcDNA3.1myc−His中にクローン化した。ベクターを、部分配列決定によって確認した(DNA Core Facility、University of Southern California、USA)。注射後に、卵母細胞を、ペトリ皿(VWR、San Dimas、CA)中のインキュベーション媒体(2mMのピルビン酸ナトリウム、0.5mMのテオフィリンおよび50mg/Lのゲンタマイシンを補充した改変バース塩類溶液(MBS))中に保存した。全ての溶液を、0.22μMのフィルターを通過させることによって無菌化した。18℃で保存した卵母細胞は、注射の1〜2日後にGABAR(例えば、α5β3γ2またはα1β2γ2サブタイプ)を通常発現した。注射後5日まで卵母細胞を実験に使用した。
(B)α1およびα5GABARを発現しているXenopus卵母細胞におけるGABA用量反応
卵母細胞の固定、流体送達および8個の卵母細胞からの電流記録の同時進行を自動化する、高ハイスループット2電極電位固定(TEVC)システム(OpusXpress A6000;Molecular Devices、Union City、CA)を使用して、全ての電気生理学的記録を行った。
上記のセクション(A)において調製したGABA−Rα5β3γ2またはα1β2γ2サブタイプを発現しているXenopus卵母細胞を、OpusXpressの8つのチャンバー中に入れ、3mL/分でMBSを灌流させた。3MのKClで充填したガラス電極(0.5〜3メガオーム)を使用した。卵母細胞の膜電位を、−60mVで電位固定した。0.5μA超の保持電流を有する卵母細胞を廃棄した。
異なる濃度のGABA(α1含有GABARについて3μM〜10mM、またはα5含有GABARについて0.3μM〜1mM)を、1回30秒間アプライし、添加(application)と添加の間に5〜15分の洗浄を行った。より高いGABA濃度をアプライした後に、より長い洗浄期間を許容した。各週の初めに、GABA用量反応実験を行い、卵母細胞のバッチについての概ねのGABA EC50濃度を決定した。EC50は、α1含有GABARに対して100〜200μM、およびα5含有GABARに対して10〜20μMの範囲であった。
(C)ジアゼパムおよびフルマゼニルを参照化合物として使用した、Xenopus卵母細胞発現系におけるα5β3γ2またはα1β2γ2サブタイプの機能的GABA−Rアッセイ
ジアゼパムおよびフルマゼニルを、参照化合物として使用した。この研究において、α5β3γ2GABARを発現している卵母細胞からのGABA作動性Cl電流を、ジアゼパムおよびフルマゼニルの存在下でTEVC装置において測定した。GABA EC20を4〜5回30秒間アプライし、安定的な反応を確立した。1μMのジアゼパムを、60秒間前もってアプライし、それに続いて1μMのジアゼパムおよびEC20濃度のGABAを30秒間共にアプライした。15〜20分間の洗浄後、1μMのジアゼパムおよび10μMのフルマゼニルの組合せを60秒間アプライし、それに続いてEC20濃度のGABAとの同じ組合せを30秒間共にアプライした。15〜20分間の洗浄後、1μMのジアゼパムおよびEC20のGABAを共にアプライすることを繰り返し、回復を確立した。
ジアゼパムの作用を、ジアゼパムをアプライする前のGABA−誘導電流のピーク振幅(参照)と共に、ジアゼパム−(EC20のGABAを加えた)−誘導電流(試験1)のピーク振幅から分析した。フルマゼニルの作用は、ジアゼパム−誘導電流(対照)のピーク振幅で標準化したジアゼパム−プラス−フルマゼニル−(EC20のGABAを加えた)−誘導電流(試験2)のピーク振幅から決定した。他の化合物はまた、この研究において参照化合物として使用し得る。例えば、同じプロトコルを使用して、メチル−6,7−ジメトキシ−4−エチル−β−カルボリン−3−カルボキシレート(DMCM)およびL655708を1μMで試験した。
(C)α5β3γ2サブタイプGABARに対する試験化合物のアゴニスト活性
本発明の化合物は最初に、ジアゼパムおよびフルマゼニルについて上記で提示したものと本質的に同様のプロトコル(セクション(B)を参照されたい)を使用して、GABA受容体(α5β3γ2)を含有する卵母細胞におけるGABAのEC50濃度を増強するこれらの能力について、1μMでスクリーニングした。この研究において、GABA−Rα5β3γ2サブタイプを発現している卵母細胞からのGABA作動性Cl電流を、上記試験化合物の存在下でTEVC装置において測定した。具体的には、GABA EC50を4〜5回30秒間アプライし、安定的な反応を確立した。次に、上記試験化合物(1μM)を60秒間前もってアプライし、それに続いて該試験化合物(1μM)およびEC50濃度のGABAを30秒間共投与した。15〜20分間の洗浄後、EC50のGABAを再び1回試験した。化合物の試験および好結果の洗い流しが完了すると、1.0μMのジアゼパムを試験し、2つのGABARサブタイプに対する比較活性のために使用した。
各試験化合物の作用を、ジアゼパム−(EC50のGABAを加えた)−誘導電流(対照)のピーク振幅で標準化したジアゼパム−プラス−化合物−(EC50のGABAを加えた)−誘導電流のピーク振幅から決定した。他の濃度の上記試験化合物はまた、同じプロトコルに従って試験し得る。
上記GABA EC50の5%超の増強作用を実証する化合物は、該化合物が上記GABAα5受容体に対して正のアロステリックモジュレーション作用を有することを示す。このような化合物は、上記GABAα5受容体においてGABAの作用を強化する。上記GABA EC50の5%超の増強作用を実証した例示的化合物を、下記の表1に示す。
Figure 2013542266
(D)α1β2γ2サブタイプに対するオフターゲット活性についての試験化合物の評価
GABAα5受容体に対する正のアロステリックモジュレーション作用を有する化合物を、ある範囲の濃度(すなわち、0.01μM、0.1μM、1μM、10μMおよび100μM)に亘って評価し、GABAα5受容体(α5β3γ2)における濃度反応曲線およびGABAα1受容体(α1β2γ2)と対比しての選択性を決定した。
(E)データ分析
各実験ポイントについてのデータは、4個以上のXenopus卵母細胞から、および少なくとも2種の異なるカエルから得た。nは、試験したXenopus卵母細胞の数を指す。結果は平均値±SEMとして表現する。エラーバーが示されていない場合、これらは、記号より小さい。Prism(GraphPAD Software、San Diego、CA)およびExcelを使用して、曲線の当てはめおよび統計分析を行った。GABA濃度反応曲線を、非線形回帰分析:[I=Imax[A]nH/([A]nH+EC50 nH)](式中、Iは、ある範囲のアゴニスト濃度[A]をアプライした後に記録したピーク電流であり、Imaxは、推定最大電流であり、EC50は、最大半量(half−maximum)反応に必要とされるGABA濃度であり、nは、Hillスロープである)を使用して得た。
(実施例13)
老齢の障害された(AI)ラットにおけるメチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートの作用
van Nielら、J. Med. Chem. 48巻:6004〜6011頁、(2005年)における化合物番号6に相当するメチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートは、選択的α5含有GABARアゴニストである。これは、+27(EC20)のα5のインビトロでの有効性を有する。老齢の障害されたラットにおけるメチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートの作用を、RAM課題を使用して研究した。さらに、α5含有GABA受容体におけるメチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートによる受容体占有をまた研究した。
(A)ラジアルアーム迷路(RAM)行動課題を使用した老齢の障害されたラットにおけるメチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートの作用
老齢の障害された(AI)ラットのインビボの空間記憶保持に対するメチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートの作用を、ビヒクル対照および4つの異なる投与量レベルのメチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレート(0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kgおよび3mg/kg、ip)を使用して、ラジアルアーム迷路(RAM)行動課題において評価した。RAM行動課題は、8匹のAIラットで行った。5つの処置条件全て(ビヒクルおよび4つの投与量レベル)を、全ての8匹のラットに試験した。
使用したRAM装置は、8つの等距離を隔てて離間したアームからなった。高架式迷路アーム(7cmの幅×75cmの長さ)は、八角形の中央プラットフォーム(30cmの直径、51.5cmの高さ)の各小平面から張り出していた。上記アーム上の透明な側壁は、10cmの高さであり、65°の角度を付け、トラフを形成した。食物用ウェル(4cmの直径、2cmの深さ)は、各アームの遠位末端に位置した。Froot Loops(商標)(Kellogg Company)を、報酬として使用した。Plexiglas(商標)でできたブロック(30cmの高さ×12cmの幅)を配置して、任意のアームへの侵入を防止することができた。上記装置を囲む多数の追加の迷路のキューをまた提供した。
上記AIラットを、前訓練試験(pre−training test)に最初に供した(Chappellら、Neuropharmacology 37巻:481〜487頁、1998年)。前訓練試験は、馴化フェーズ(4日間)、訓練フェーズ(標準的ウィンシフト課題)(18日間)および別の訓練フェーズ(14日間)(実験者によって指定されたアームの一部の提示(例えば、5本のアームが利用可能であり、3本のアームは遮断されている)と、8本のアームのウィンシフト課題の完了(すなわち、全ての8本のアームが利用可能である)との間に短時間の遅延が課された)からなった。
上記馴化フェーズにおいて、連続4日間、8分のセッションでラットを上記迷路に慣らした。これらのセッションのそれぞれにおいて、食物報酬を、RAM上(最初は、中央プラットフォームおよびアーム上、次いで徐々にアームに限定する)にまいた。この馴化フェーズの後に、標準的訓練プロトコルを使用し、ここでは食物ペレットを各アームの末端に位置させた。ラットは、毎日1回のトライアルを18日間受けた。8つの食物ペレット全てが得られたとき、または16回の選択がなされ、もしくは15分が経過したときに、それぞれの毎日のトライアルを終了した。この訓練フェーズの完了の後、第2の訓練フェーズを行い、ここでは、そのトライアルの間に短時間の遅延を課すことによって、記憶要求が増加した。各トライアルの初めに、8アームの迷路の3本のアームを遮断した。ラットは5本のアーム上の食物を得ることを許され、上記トライアルのこの最初の「情報フェーズ」の間にそれへのアクセスが許可された。次いで、ラットを上記迷路から60秒間取り出し、その間に該迷路上のバリアを除去し、このように全ての8本のアームへのアクセスを可能にした。次いで、ラットを中央プラットフォーム上に戻し、上記トライアルのこの「保持試験」フェーズの間に残りの食物報酬を得ることを許した。遮断されたアームの同一性および配置は、トライアル全体にわたって変化をつけた。
上記保持試験フェーズの間にAIラットが起こした「エラー」の数を追跡した。上記ラットが、上記トライアルの前遅延構成要素において既にそこから食物が回収されているアームに入った場合、またはラットが、遅延後セッションにおいて、既に訪れたアームを再び訪れた場合、トライアルにおいてエラーとなった。
上記前もっての訓練試験が完了した後、ラットを、上記情報フェーズ(いくつかの遮断されたアームの提示)と上記保持試験(全てのアームの提示)との間により延長された遅延間隔、すなわち、2時間の遅延を伴うトライアルに供した。上記遅延間隔の間、ラットは、カート上のラット個々のホームケージ中にいて、試験室中の迷路のそばから離れたままであった。AIラットを、毎日のトライアルの前に、下記の5つの条件の1回のショットによる、30〜40分間の前処置を行なった:腹腔内(i.p.)注射による、1)ビヒクル対照−5%ジメチルスルホキシド、25%ポリエチレングリコール300および70%蒸留水;2)メチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレート、0.1mg/kg;3)メチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレート、0.3mg/kg;4)メチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレート、1mg/kg);および5)メチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレート、3mg/kg。注射を1日おきに与え、洗い流しの日を介在させた。その試験期間内に、各AIラットを、5つの条件全てで処置した。任意の潜在的なバイアスを均衡させるために、薬物の作用は上昇−下降する用量系列を使用して評価し、すなわち、該用量系列を、最初に昇順で与え、次いで降順で繰り返した。したがって、各用量は、2回測定された。
パラメトリック統計(対応のあるt検定)を使用して、異なる用量のメチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートおよびビヒクル対照という状況において、上記RAM課題の2時間の遅延バージョンでの上記AIラットの保持試験における能力(delayed test performance)を比較した(図1を参照されたい)。上記トライアルにおいて起こったエラーの平均数は、ビヒクル対照(エラーの平均数±平均値の標準誤差(SEM)=3.13±0.62)を使用するより、3mg/kgのメチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートによる処置(エラーの平均数±SEM=1.31±0.40)において有意に少なかった。ビヒクル対照処置と比べて、メチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートは、3mg/kgで記憶能力を有意に改善した(t(7)=4.233、p=0.004)。
上記AIラットが0.3mg/kgのα5含有GABARインバースアゴニストであるTB21007で併行的に処置されたとき、3mg/kgの治療用量は無効となった。TB21007/メチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートを組み合わせての処置(0.3mg/kgのTB21007、および3mg/kgのメチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレート)によってラットが起こしたエラーの平均数は2.88±1.32であり、ビヒクル対照で処置したラット(3.13±1.17の平均エラー)と差異はなかった。したがって、空間記憶に対するメチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートの作用は、GABAα5受容体依存的作用である(図1を参照されたい)。
(B)α5含有GABA受容体占有に対するメチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートの作用
動物
成体雄ロングエバンスラット(265〜295g、Charles River、Portage、MI、n=4匹/群)を、GABAα5受容体占有研究のために使用した。ラットを、換気したステンレススチールのラック中に12:12の明/暗サイクルで個々に収容した。食物および水を自由に摂取させた。行動的に活発である用量における化合物の曝露を評価するためのさらなる研究において、若年または老齢ロングエバンス(Long Evan)ラット(n=2〜4匹/群)をこれらの研究のために使用した。
化合物
Ro15−4513を、海馬および小脳におけるGABAα5受容体部位についての受容体占有(RO)トレーサーとして使用した。他のαサブユニット含有GABA受容体と比較したGABAα5受容体に対するRo15−4513の選択性に基づいて、ならびにRo15−4513ga動物およびヒトにおけるGABAα5のRO研究のために首尾よく使用されてきたため、Ro15−4513を上記トレーサーとして選択した(例えば、Lingford−Hughesら、J. Cereb. Blood Flow Metab. 22巻:878〜89頁(2002年);Pymら、Br. J. Pharmacol. 146巻:817〜825頁(2005年);およびMaedaら、Synapse 47巻:200〜208頁(2003年)を参照されたい)。Ro15−4513(1μg/kg)を、25%ヒドロキシル−プロピルβ−シクロデキストリンに溶解し、RO評価の20’前にi.v.投与した。メチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレート(0.1〜10mg/kg)はNox Pharmaceuticals(India)によって合成され、25%ヒドロキシル−プロピルβ−シクロデキストリンに溶解し、トレーサー注射の15’前にi.v.投与された。溶解度の限界のために1ml/kgの容量で投与した最も高い用量のメチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレート(10mg/kg)を除いて、化合物を0.5ml/kgの容量で投与した。
組織の調製および分析
トレーサー注射の20’後に、ラットを頚椎脱臼によって屠殺した。全脳を迅速に取り出し、滅菌水で軽くすすいだ。胴体の血液をEDTAコーティングしたエッペンドルフ管中に集め、研究完了まで湿った氷上で保存した。海馬および小脳を解剖し、1.5mlのエッペンドルフ管中に保存し、組織の抽出まで湿った氷上に置いた。薬物を受けたことがないラットにおいて、6つの皮質脳組織の試料を集め、ブランクおよび標準曲線試料の作製に使用した。
0.1%ギ酸を含有するアセトニトリルを、組織試料の重量の4倍の容積で各試料に加えた。標準曲線(0.1〜30ng/g)試料について、標準物質の計算した容積は、アセトニトリルの容積を減少させた。その試料をホモジナイズし(FastPrep−24、Lysing Matrix D;5.5m/s、60秒間または音波プローブディスメンブレータを使用して7〜8ワットの出力;Fisher Scientific)、14,000rpmで16分間遠心分離した。(100μl)上清溶液を、300μlの滅菌水(pH6.5)で希釈した。次いで、この溶液を完全に混合し、Ro15−4513(トレーサー)およびメチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートについてLC/MS/MSによって分析した。
血漿曝露については、血液試料を、14000rpmで16分間遠心分離した。遠心分離の後、各試料からの50ulの上清(血漿)を、0.1%ギ酸を加えたアセトニトリル200μlに添加した。標準曲線(1〜1000ng/ml)試料について、標準物質の計算した容積は、アセトニトリルの容積を減少させた。試料を、超音波水浴中で5分間超音波処理し、それに続いて16000RPMで30分間遠心分離した。100ulの上清を、各試料バイアルから取り出し、新しいガラス製自動試料バイアル中に入れ、続いて300μlの滅菌水(pH6.5)を加えた。次いで、この溶液を完全に混合し、メチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートについてLC/MS/MSによって分析した。
受容体占有は、海馬における占有(高GABAα5受容体密度の領域)と小脳における占有(低GABAα5受容体密度を有する領域)とを比較した比率法によって、およびさらに、高用量のGABAα5の負のアロステリックモジュレーターであるL−655,708(10mg/kg、i.v.)によって決定し、完全な占有を定義した。
ビヒクル投与、それに続く1μg/kg(i.v.)のRo15−4513のトレーサー投与によって、小脳(0.36±0.02ng/g)と比較して、海馬においてRo15−4513の>5倍高いレベル(1.93±0.05ng/g)がもたらされた。メチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレート(0.01〜10mg/kg、i.v.)は、10mg/kgの用量で(i.v.)、Ro15−4513の小脳におけるレベルに影響を与えることなく(図2)、海馬においてRo15−4513結合を用量依存的に減少させたが、これは>90%の占有を実証する(図3)。ROを計算する両方の方法は、上記比率法に基づいて、またはL−755,608を使用して、メチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートについてのED50値として1.8mg/kgまたは1.1mg/kgという非常に類似の結果を生じさせ、占有を定義した。
メチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートの曝露は、0.01mg/kg(i.v.)で、血漿および海馬の両方において定量化限度未満(BQL)であったが、0.1mg/kg(i.v.)で海馬において低レベルで検出可能であった(表2を参照されたい)。海馬曝露は、0.1mg/kgから1mg/kg(i.v.)への用量の10倍の増加に伴って直線状であり、曝露において12倍の増加をもたらした。1mg/kgから10mg/kg(i.v.)への用量の増加は、曝露を約5倍増加させたのみであった。1mg/kgから10mg/kg(i.v.)に用量を増加させると、血漿曝露は12倍増加した。
Figure 2013542266
上記認知研究において行動的に関連性のある用量での曝露を決定するために、さらなる研究を老齢ロングエバンスラットにおいて行った。若年ロングエバンスラットにおける曝露をまた決定して、若年ロングエバンスラットにおいて行った受容体占有研究と関連させた。若年および老齢ロングエバンスラットにおける曝露は、相対的に同様であった(表3、図4)。用量を1mg/kgから3mg/kg(ip)に3倍増加させることによって、若年および老齢ラットにおいて海馬および血漿の両方で曝露の用量比例的な増加より大きな増加がもたらされた(4.5〜6.6倍の範囲の増加)。
Figure 2013542266
上記RO研究において、海馬における180ng/gの曝露(1mg/kg、i.v.)は、ROを決定するために使用する方法によって32〜39%の受容体占有を表した。この曝露は、3mg/kg(ip)にて老齢ラットにおいて観察されたものと匹敵し、これはこのモデルにおいて認知の有効性のために30〜40%のROが必要とされることを示唆する。
これらの研究は、メチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートが、GABAα5受容体占有において用量依存的な増加を生じさせたことを実証した。メチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートはまた、>1の脳/血漿比を伴って良好な脳曝露を実証した。本研究によって、メチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレートが、GABAα5サブタイプ受容体において正のアロステリックモジュレーションによってその認知増強作用を生じることがさらに実証された。
(実施例14)
老齢の障害された(AI)ラットにおけるエチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートの作用
Achermannら、Bioorg. Med. Chem. Lett. 19巻:5746〜5752頁(2009年)における化合物番号49に相当する、エチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートは、選択的α5含有GABARアゴニストである。
老齢の障害された(AI)ラットのインビボの空間記憶保持に対するエチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートの作用を、ビヒクル対照(25%シクロデキストリン、これは、上昇/下降系列の初め、中間および終わりに3回試験した)およびエチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートの6つの異なる用量レベル(0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、10mg/kgおよび30mg/kg、各用量を2回試験した)を使用して、実施例3(A)に記載されたような課題と本質的に同様なラジアルアーム迷路(RAM)行動課題において評価した。同じビヒクル対照、およびエチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートの用量を使用して同じ実験を繰り返し、ここでは、上記ビヒクル対照を5回試験し、上記3mg/kg用量のエチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートを4回試験し、他の用量のエチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートを2回試験した。
パラメトリック統計(対応のあるt検定)を使用して、 異なる用量のエチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートおよびビヒクル対照という状況において、上記RAM課題の4時間の遅延バージョンでの上記AIラットの保持試験における能力を比較した(図5(A)および5(B)を参照されたい)。ビヒクル対照処置に比べて、エチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートは、3mg/kg(t(7)=4.13、p=0.004、またはt(7)=3.08、p=0.018)、および10mg/kg(t(7)=2.82、p=0.026)で記憶能力を有意に改善した。
実施例13(B)において記載されているものと本質的に同様な手順に従って、α5含有GABA受容体占有に対するエチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレートの作用をまた研究した(上記を参照されたい)。この研究は、エチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレート(0.01〜10mg/kg、i.v.)が、10mg/kgの用量(i.v.)で、Ro15−4513の小脳レベルに影響を与えることなく(図6)、海馬においてRo15−4513結合を減少させたことを実証したが、これは>90%の占有を実証する(図7)。
(実施例15)
モリス水迷路行動課題を使用した老齢の障害されたラットにおける6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンの作用
Chambersら、J. Med. Chem. 46巻:2227〜2240頁(2003年)における化合物44に相当する6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンは、選択的α5含有GABARアゴニストである。
老齢の障害された(AI)ラットのインビボの空間記憶保持に対する6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンの作用を、モリス水迷路行動課題において評価した。水迷路は、迷路に対して新規な一式のパターンに囲まれたプールである。上記水迷路についての訓練プロトコルは、海馬依存性であることが示されてきた修正された水迷路課題に基づいてもよい(de Hozら、Eur. J. Neurosci. 22巻:745〜54頁、2005年;SteeleおよびMorris、Hippocampus 9巻:118〜36頁、1999年)。
認知が障害された老齢ラットに、カニューレを側脳室中へと片側に埋め込んだ。定位座標は、ブレグマの後方1.0mm、正中線の側方1.5mm、および頭蓋骨表面の下側3.5mmであった。約1週間回復させた後、上記ラットを水迷路において2日間前もって訓練し(1日当たり6回のトライアル)、プールの表面下に隠れている水面下の逃避プラットフォームの場所を見つけさせ、上記逃避プラットフォームの場所をその日その日で変化させた。前もっての訓練の間に、大脳脳室内(ICV)注入を与えなかった。
前もっての訓練の後、水迷路訓練および試験の40分前に、ラットに、5μlのDMSO中の100μgの6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オン(n=6)、またはビヒクルであるDMSO(n=5)のいずれかのICV注入を投与した。訓練は、2日間の1日当たり8回のトライアルからなったが、隠れた逃避プラットフォームは、同じ場所に残した。トライアル間に60秒間の間隔を設けて、ラットに60秒間を与えて上記プラットフォームの場所を見つけさせた。上記ラットを訓練の終了の24時間後にプローブ試験(120秒間)にかけ、ここでは上記逃避プラットフォームを取り除いた。上記訓練の間に4つのブロックがあり、各ブロックは4回の訓練トライアルを有した。
ビヒクルおよび6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンで処置したラットは、訓練の初めにほぼ同じ時間で逃避プラットフォームを見出した(ブロック1)。訓練のこのブロックにおいて、ビヒクルおよび6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンで処置したラットは両方とも、上記逃避プラットフォームを見出すのに約24秒を費やした。しかし、6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンで処置したラットは、訓練の終わりに、ビヒクル単独で処置されたラットより上手に(すなわち、より速く)プラットフォームを見出すことができた(ブロック4)。ブロック4において、6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンで処置したラットは、上記逃避プラットフォームを見出すのに約9.6秒を費やし、一方、ビヒクルで処置したラットは、約19.69秒を費やした。これらの結果は、6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンが、ラットにおいて水迷路課題の学習を改善させたことを示唆する(図8(A)を参照されたい)。
訓練の24時間後の試験トライアルの間、上記逃避プラットフォームを取り除いた。上記ラットの探索/水泳パターンを使用して、該ラットがトライアル前訓練の間に上記逃避プラットフォームがどこに位置していたかを覚えているかを測定して、該ラットの長期記憶を試験した。このトライアルにおいて、「標的の輪状部分」とは、トライアル前訓練の間に上記逃避プラットフォームが位置していたエリアの周りの該プラットフォームのサイズの1.5倍の指定されたエリアである。「反対の輪状部分」は、上記標的の輪状部分のサイズと同じサイズの対照エリアであり、これは上記プール中の上記標的の輪状部分と反対に位置する。上記ラットが良好な長期記憶を有した場合、トライアル前訓練の間に上記プラットフォームがあった場所の周りのエリアを探索する傾向がある(すなわち、上記「標的」の輪状部分;上記「反対の」輪状部分ではない)。「輪状部分における時間」は、上記ラットが上記標的の輪状部分または反対の輪状部分のエリアにおいて費やした時間量(秒間)である。輪状部分における「横断の回数(#)」は、上記ラットが上記標的の輪状部分または反対の輪状部分のエリアを泳ぎ渡った回数である。
ビヒクルを投与されたラットは、上記標的の輪状部分および反対の輪状部分において同じ時間量を費やしたが、これはこれらのラットがトライアル前訓練の間に上記プラットフォームがどこにあったかを覚えていないようであることを示す。対照的に、6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンで処置したラットは、上記「反対の輪状部分」において費やした時間、または上記「反対の輪状部分」を横断した回数と比較して、上記標的の輪状部分において有意により時間を費やし、上記「標的の輪状部分」をより頻繁に横断した。これらの結果は、6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンが、上記水迷路課題においてラットの長期記憶を改善させたことを示唆する(図8(B)および8(C)を参照されたい)。
本発明の化合物は、上記GABAα5受容体に対して正のアロステリックモジュレーション作用を実証した(例えば、実施例12を参照されたい)。これらの化合物は、上記GABAα5受容体においてGABAの作用を強化する。したがって、本発明の化合物は、他のGABAα5受容体選択的アゴニスト、例えば、メチル3,5−ジフェニルピリダジン−4−カルボキシレート、エチル3−メトキシ−7−メチル−9H−ベンゾ[f]イミダゾ[1,5−a][1,2,4]トリアゾロ[4,3−d][1,4]ジアゼピン−10−カルボキシレート、および6,6ジメチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オンによって生じた作用と同様の、老齢の障害された動物(例えば、ラット)において認知強化作用を生じさせるはずである(例えば、実施例13〜15を参照されたい)。

Claims (42)

  1. 式Iの化合物、
    Figure 2013542266
    または薬学的に許容されるその塩
    [式中、
    X、ならびにαおよびβによって指定される2個の炭素原子は一緒になって、N、OおよびSから独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有するC5〜C10芳香族環を形成し、
    Yは、−N=または−C(R)=であり、
    mは、0〜4から選択される整数であり、
    それぞれ出現するR、R、RおよびRは、
    ハロゲン、−R、−OR、−NO、−NCS、−CN、−CF、−OCF、−SiR、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−SON(R)、−SOR、−(CR1〜3R、−(CR1〜3−OR、−(CR0〜3−C(O)NR(CR0〜3R、−(CR0〜3−C(O)NR(CR0〜3OR、−C(O)R、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−C(S)R、−C(S)OR、−C(O)OR、−C(O)C(O)OR、−C(O)C(O)N(R)、−OC(O)R、−C(O)N(R)、−OC(O)N(R)、−C(S)N(R)、−(CR0〜3NHC(O)R、−N(R)N(R)COR、−N(R)N(R)C(O)OR、−N(R)N(R)CON(R)、−N(R)SOR、−N(R)SON(R)、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)C(S)R、−N(R)C(O)N(R)、−N(R)C(S)N(R)、−N(COR)COR、−N(OR)R、−C(=NH)N(R)、−C(O)N(OR)R、−C(=NOR)R、−OP(O)(OR)、−P(O)(R)、−P(O)(OR)、および−P(O)(H)(OR)
    から独立に選択され、
    各Rは、
    H−、
    (C1〜C12)−脂肪族−、
    (C3〜C10)−シクロアルキル−、
    (C3〜C10)−シクロアルケニル−、
    [(C3〜C10)−シクロアルキル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
    [(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
    (C6〜C10)−アリール−、
    (C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
    (C3〜C10)−ヘテロシクリル−、
    (C6〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)脂肪族−、
    (C5〜C10)−ヘテロアリール−、および
    (C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−
    から独立に選択され、
    あるいは2つのR基が同じ原子に結合しているとき、該2つのR基は、それらが結合している原子と一緒になって、N、O、S、SO、およびSOから独立に選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3員〜10員芳香族環または非芳香族環を形成してもよく、ここで、該環は、(C6〜C10)アリール、(C5〜C10)ヘテロアリール、(C3〜C10)シクロアルキル、または(C3〜C10)ヘテロシクリルに必要に応じて縮合されており、
    ここで、それぞれ出現するRは、0〜5つのR’で独立に置換されており、
    ここで、それぞれ出現するR’は、H、ハロゲン、−R’’、−OR’’、−NO、−NCS、−CN、−CF、−OCFおよび−N(R’’)から独立に選択され、
    ここで、R’’は、Hまたは−(C1〜C4)−脂肪族であり、
    ただし、式Iの該化合物は、
    Figure 2013542266
    でもない]。
  2. 式IIの化合物、
    Figure 2013542266
    または薬学的に許容されるその塩
    [式中、
    X、ならびにαおよびβによって指定される2個の炭素原子は一緒になって、N、OおよびSから独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有するC5〜C10芳香族環を形成し、
    Z、およびγによって指定される炭素原子、およびδによって指定されるN原子は一緒になって、
    Figure 2013542266
    から選択されるトリアゾロ環を形成し、
    mは、0〜4から選択される整数であり、
    それぞれ出現するR、RおよびRは、
    ハロゲン、−R、−OR、−NO、−NCS、−CN、−CF、−OCF、−SiR、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−SON(R)、−SOR、−(CR1〜3R、−(CR1〜3−OR、−(CR0〜3−C(O)NR(CR0〜3R、−(CR0〜3−C(O)NR(CR0〜3OR、−C(O)R、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−C(S)R、−C(S)OR、−C(O)OR、−C(O)C(O)OR、−C(O)C(O)N(R)、−OC(O)R、−C(O)N(R)、−OC(O)N(R)、−C(S)N(R)、−(CR0〜3NHC(O)R、−N(R)N(R)COR、−N(R)N(R)C(O)OR、−N(R)N(R)CON(R)、−N(R)SOR、−N(R)SON(R)、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)C(S)R、−N(R)C(O)N(R)、−N(R)C(S)N(R)、−N(COR)COR、−N(OR)R、−C(=NH)N(R)、−C(O)N(OR)R、−C(=NOR)R、−OP(O)(OR)、−P(O)(R)、−P(O)(OR)、および−P(O)(H)(OR)
    から独立に選択され、
    各Rは、
    H−、
    (C1〜C12)−脂肪族−、
    (C3〜C10)−シクロアルキル−、
    (C3〜C10)−シクロアルケニル−、
    [(C3〜C10)−シクロアルキル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
    [(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
    (C6〜C10)−アリール−、
    (C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
    (C3〜C10)−ヘテロシクリル−、
    (C6〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)脂肪族−、
    (C5〜C10)−ヘテロアリール−、および
    (C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−
    から独立に選択され、
    あるいは2つのR基が同じ原子に結合しているとき、該2つのR基は、それらが結合している原子と一緒になって、N、O、S、SO、またはSOから独立に選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3員〜10員芳香族環または非芳香族環を形成してもよく、ここで、該環は、(C6〜C10)アリール、(C5〜C10)ヘテロアリール、(C3〜C10)シクロアルキル、または(C3〜C10)ヘテロシクリルに必要に応じて縮合されており、
    ここで、それぞれ出現するRは、0〜5つのR’で独立に置換されており、
    ここで、それぞれ出現するR’は、H、ハロゲン、−OH、−R’’、−OR’’、−NO、−NCS、−CN、−CF、−OCFおよび−N(R’’)から独立に選択され、
    ここで、R’’は、Hまたは−(C1〜C4)−脂肪族である]。
  3. Yが、−C(R)=である、請求項1に記載の化合物。
  4. が、−Hである、請求項3に記載の化合物。
  5. X、ならびにαおよびβによって指定される2個の炭素原子が一緒になって、m個の出現するRで必要に応じて置換されているフェニル環を形成する、請求項1または2に記載の化合物。
  6. mが、1〜4から選択される整数であり、少なくとも1つのRが、−ORであり、ここで、Rが、0〜5つのR’で置換されている(C1〜C12)−脂肪族−である、請求項1または2に記載の化合物。
  7. Rが、非置換(C1〜C4)−脂肪族−である、請求項6に記載の化合物。
  8. Rが、メチルである、請求項7に記載の化合物。
  9. mが、1〜4から選択される整数であり、少なくとも1つのRが、0〜5つのR’で置換されている(C1〜C12)−脂肪族−である、請求項1または2に記載の化合物。
  10. 前記少なくとも1つのRが、少なくとも1つの−OHで置換されている、請求項9に記載の化合物。
  11. mが、1〜3から選択される整数であり、少なくとも1つのRが、ハロゲンである、請求項1または2に記載の化合物。
  12. 前記少なくとも1つのRが、Cl−またはBr−である、請求項11に記載の化合物。
  13. が、0〜5つのR’で置換されている(C1〜C12)−脂肪族−である、請求項1または2に記載の化合物。
  14. が、(C1〜C4)−脂肪族−である、請求項13に記載の化合物。
  15. が、メチル、エチルまたはイソプロピルである、請求項14に記載の化合物。
  16. が、0〜5つのR’で置換されている(C1〜C12)−脂肪族−である、請求項1または2に記載の化合物。
  17. が、少なくとも1つのハロゲンで置換されている、請求項16に記載の化合物。
  18. が、0〜5つのR’で置換されている(C1〜C4)−脂肪族−である、請求項16に記載の化合物。
  19. が、−C(O)ORであり、ここで、Rは、0〜5つのR’で置換されている(C1〜C12)−脂肪族−である、請求項1または2に記載の化合物。
  20. Rが、(C1〜C4)−脂肪族である、請求項19に記載の化合物。
  21. Rが、メチルまたはエチルである、請求項20に記載の化合物。
  22. が、−C(O)N(R)である、請求項1または2に記載の化合物。
  23. Rの少なくとも1つの出現したものが、Hである、請求項22に記載の化合物。
  24. 各Rが、独立に、(C1〜C4)−脂肪族−である、請求項22に記載の化合物。
  25. 各Rが、独立に、メチルまたはエチルである、請求項24に記載の化合物。
  26. 同じ窒素原子に結合している2つのR基、および該R基が結合している窒素原子が一緒になって、N、O、S、SO、およびSOから独立に選択される0〜3個のさらなるヘテロ原子を有する3員〜10員芳香族環または非芳香族環を形成する、請求項22に記載の化合物。
  27. 前記芳香族環または非芳香族環が、5員または6員環である、請求項26に記載の化合物。
  28. が、少なくとも1つの(C1〜C4)−脂肪族−で必要に応じて置換されている(C5〜C10)−ヘテロアリール−である、請求項1または2に記載の化合物。
  29. が、メチルまたはエチルで必要に応じて置換されているオキサジアゾールである、請求項28に記載の化合物。
  30. Yが、−CH=であり、
    X、ならびにαおよびβによって指定される2個の炭素原子が一緒になって、ハロゲンおよび−OR(ここで、Rは、(C1〜C4)−アルキル−である)から選択される1つの置換基で置換されているフェニル環を形成し、
    が、(C1〜C4)−アルキル−であり、
    が、
    (1)1つまたは2つのハロゲンで置換されている(C1〜C4)−アルキル−、
    (2)−C(O)OR(ここで、Rは、(C1〜C4)−アルキル−である)、
    (3)−C(O)N(R)(各Rは、独立に、(C1〜C4)−アルキル−であり、またはここで、該2つのR基は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員非芳香族環を必要に応じて形成する)、ならびに
    (4)2個の窒素原子および1個の酸素原子を有する5員ヘテロアリール環(ここで、該5員ヘテロアリール環は、1つの(C1〜C4)−アルキル−で置換されている)
    からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
  31. Figure 2013542266
    Figure 2013542266
    から選択される、請求項1に記載の化合物。
  32. 治療有効量の請求項1から31のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩、および許容されるキャリア、アジュバントまたはビヒクルを含む薬学的組成物。
  33. 請求項32に記載の薬学的組成物を投与するステップを含む、それを必要としている被験体において認知障害を伴う中枢神経系(CNS)障害を処置する方法。
  34. 認知障害を伴う前記CNS障害が、加齢性認知障害である、請求項33に記載の方法。
  35. 前記加齢性認知障害が、年齢が関連する記憶障害(AAMI)、軽度認知障害(MCI)または加齢性認知低下(ARCD)である、請求項34に記載の方法。
  36. 前記加齢性認知障害が、軽度認知障害(MCI)である、請求項35に記載の方法。
  37. 認知障害を伴う前記CNS障害が、認知症である、請求項33に記載の方法。
  38. 前記認知症が、アルツハイマー病(AD)、血管性認知症、レビー小体を伴う認知症および前頭側頭型認知症からなる群から選択される、請求項37に記載の方法。
  39. 前記認知症が、アルツハイマー病(AD)である、請求項38に記載の方法。
  40. 認知障害を伴う前記CNS障害が、統合失調症である、請求項33に記載の方法。
  41. 認知障害を伴う前記CNS障害が、がん療法と関連する、請求項33に記載の方法。
  42. 認知障害を伴う前記CNS障害が、外傷後ストレス障害(PTSD)である、請求項33に記載の方法。
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