JP2013534143A - 細胞培養物から得られた液体のpH変化によってプロテアーゼを不活性化するための方法 - Google Patents

細胞培養物から得られた液体のpH変化によってプロテアーゼを不活性化するための方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013534143A
JP2013534143A JP2013524426A JP2013524426A JP2013534143A JP 2013534143 A JP2013534143 A JP 2013534143A JP 2013524426 A JP2013524426 A JP 2013524426A JP 2013524426 A JP2013524426 A JP 2013524426A JP 2013534143 A JP2013534143 A JP 2013534143A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
proteases
cell culture
ccf
changing
protease
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013524426A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013534143A5 (ja
Inventor
ヤコビ,アレクサンダー
アンブロジウス,ドロテー
ドブベルティーン,フィリーネ
エッカーマン,クリスティアン
ノーテルファー,フランツ
Original Assignee
ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=43530522&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2013534143(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング filed Critical ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
Publication of JP2013534143A publication Critical patent/JP2013534143A/ja
Publication of JP2013534143A5 publication Critical patent/JP2013534143A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P21/00Preparation of peptides or proteins
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K1/00General methods for the preparation of peptides, i.e. processes for the organic chemical preparation of peptides or proteins of any length
    • C07K1/14Extraction; Separation; Purification
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • C12N9/48Hydrolases (3) acting on peptide bonds (3.4)
    • C12N9/50Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25)
    • C12N9/64Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from animal tissue
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/99Enzyme inactivation by chemical treatment

Abstract

本発明は、生物学的製剤の精製作業の開始時に細胞培養上清のpHを複数回変化させることによって、プロテアーゼを不活性化するための方法に関する。最初に3〜5のpHに、続いて7〜9のpHに設定される。

Description

発明の背景
技術分野
本発明は、生物学的製剤の製造の分野に属する。本発明は、特に無細胞の細胞培養上清中のタンパク質分解活性酵素を不活性化することによって生物学的製剤を調製するプロセスを改良することに関する。
背景
タンパク質、ポリヌクレオチド、多糖などの生体分子は、医薬として、診断用薬として、食品添加物、界面活性剤などとして、研究用試薬として、および多数の他の応用に、ますます商業的重要性を勝ち取りつつある。通常は、例えばタンパク質の場合、天然起源から分子を単離することではそのような生体分子のニーズにもう応えることができず、バイオテクノロジーの生産方法を使用する必要がある。
タンパク質のバイオテクノロジー調製は、典型的には適切な発現ベクターへのDNAフラグメントのクローニングから始まる。適切な原核または真核発現細胞に発現ベクターをトランスフェクションし、続いてトランスフェクションされた細胞を選択した後に、後者を発酵槽中で培養し、所望のタンパク質を発現させる。次に、細胞または培養上清を回収し、その中に含有されるタンパク質を処理し、精製する。
回収された液体中に、例えば無細胞の培養上清中にプロテアーゼが存在することが知られている。モノクローナル抗体またはリコンビナントタンパク質などの生物学的製剤、および固定化プロテインAなどのクロマトグラフィー材料は、両方とも、プロテアーゼによって非常に急速に分解する、または構造が損傷するおそれがある。これは、生成物の品質(均質性、機能性)を危うくすることにつながり、クロマトグラフィー材料では、結合能が減少し、結果として結合した生成物画分の汚染につながる。特に無血清培養および高生産性細胞では、生産される生物学的製剤は、高い相対濃度で存在し、したがって分子構造のタンパク質分解性損傷を特に受けやすく、低下した収率およびより低い生成物品質の両方につながる。
プロテアーゼによって起こるタンパク質の損傷は、中性pHであっても起こるおそれがあるが、大規模なタンパク質分解は、特に、精製プロセスのために、例えば捕捉段階、例えば陽イオン交換クロマトグラフィーに望まれる結合条件を生み出す(コンディショニングする)ために、無細胞培養上清を酸性pHレベルに調整しなければならない場合に観察されるおそれがある。
いくつかのプロテアーゼ、例えばペプシンなどの消化酵素が、pHレベルの変化によって不可逆的に不活性化されることが知られている(Z. Bohak, Purification and Characterization of Chicken Pepsinogen and Chicken Pepsin, Journal of Biological Chemistry 244 (17) (1969) 4633-4648; B. Turk, V. Turk, Lysosomes as Suicide Bags in Cell Death: Myth or Reality?, Journal of Biological Chemistry 284 (33) (2009) 21783-21787)。プロテアーゼ阻害剤の添加も提案されている(A.J. Barrett, A. A. Kembhavi, M. A. Brown, H. Kirschke, C. G. Knight, M. Tamai and K. Hanada, L-trans-Epoxysuccinyl-leucylamido(4-guanidino)butane (E-64) and its analogues as inhibitors of cysteine proteinases including cathepsins B, H and L, Biochem. J. 201 (1982) 189-198)。しかしながら、これらは非常に高価で、有毒であり、生成物からの除去が困難である。したがって、これらは安全な医薬を経済的に生産するための選択肢ではない。
発明の簡潔な概要
本発明は、生物学的製剤の精製プロセスの開始時に、細胞培養上清のpHを何度も変化させることによってプロテアーゼを不活性化する方法に関する。本発明の利点は、生成物の品質および生成物の収率の改良、ならびにクロマトグラフィー材料に関するより長い寿命である。
驚くことに、回収された、哺乳動物細胞系(例えばCHO、「チャイニーズハムスター卵巣」細胞)の無細胞発酵上清が、酸性pHに変化させることによって活性化することできるプロテアーゼであって、また、続いてpHを中性範囲に変化させることによって至適pHでのその活性を不可逆的に不活性化することができるプロテアーゼを含有することが見出された。中性pHレベルで活性なプロテアーゼもまた、酸性pHレベルに変化させることによって中性条件下でその活性を不可逆的に不活性化することができる。
本発明は、特に、細胞培養物から得られた液体中のプロテアーゼを不活性化するためのプロセスであって:
(a)その液体のpHを3〜5に調整する段階、および次に
(b)その液体のpHを7〜9に調整する段階
を含むプロセスに関する。
pHを2回変化させることによる、CCF由来のプロテアーゼの活性化および不活性化を示す図である。 酸性pHにおけるモデル基質であるインターフェロン(IFN)の分解を示す図である。0.1mg/mlインターフェロンを、pH4において10%(v/v)細胞培養上清(CCF)と共に37℃で0または14時間、pH変化を行って、およびpH変化を行わずにインキュベーションし、SDS−PAGEによって分離した(レーン2〜4)。pHの変化は、20℃にてpH4およびpH7で5分停止させて行った。IFNの分解は、pH変化を行った場合の方がpH不活性化を行わない場合よりも有意に少ない(レーン3)。14時間後にIFNは完全に分解した(レーン4)。レーンの配置:1 − マーカー;2 − インキュベーション前のIFN(0.1mg/mL);3 − CCF+IFN(pH4)、pH変化を行う、インキュベーション14時間;4 − CCF+IFN(pH4)、pH変化を行わない、インキュベーション14時間。 10%(v/v)のCCFと共にpH4.0で3時間インキュベーションすることによるタンパク質IFNの分解のRP−HPLCによる分析を示す図である。中和によりプロテアーゼを不活性化し、続いてIFNと共にpH4.0でインキュベーションした後、3時間後に、IFNの72%がRP−HPLCによってまだ検出することができ、一方で同時に不活性化を行わない場合、IFNの43%だけがまだインタクトであった。したがって、タンパク質分解活性を野生型タンパク質の半分に減少させることができる。 酸性pHおよび中性pHにおける蛍光アッセイを示す図である。CCF中のプロテアーゼは、pH3.5(●)およびpH7(△)で活性である。pH3.5およびpH7でCCF中に存在するプロテアーゼによって生じるタンパク質分解活性の測定値として、ペプチド基質を切断することによるフルオロフォアの放出を測定した。 pH変化を行う場合およびpH変化を行わない場合における中性プロテアーゼのタンパク質分解活性を示す図である。中性プロテアーゼは、pH<5への酸性化およびその後の中和によってほぼ完全に、そして不可逆的に不活性化することができる。それぞれの場合にpH7で測定を行い、ペプチド基質を切断することによるフルオロフォアの放出を、タンパク質分解活性の測定値として測定した。 pH変化を行わない場合およびpH変化を行う場合における酸性プロテアーゼのタンパク質分解活性を示す図である。図1と同じようにpHを変化させることによって、CCF中のプロテアーゼの活性化/不活性化を行った。活性化したプロテアーゼはpH<5で活性であり、基質を切断する。pH≧7での短時間インキュベーションによって不活性化された活性化プロテアーゼは、pH3.7で35%に減少した残留活性を示す。測定は、それぞれの場合にpH3.7で実施し、ペプチド基質を切断することによるフルオロフォアの放出を、タンパク質分解活性の指標として測定した。
発明の詳細な説明
本発明は、精製プロセスの開始時に細胞培養上清のpHを何度も変化させることによってプロテアーゼを不活性化するためのプロセスに関する。本発明の利点は、生成物の品質および収率の改良ならびにクロマトグラフィー材料の寿命の延長である。
驚くことに、回収された哺乳動物細胞系(例えばCHO、「チャイニーズハムスター卵巣」細胞)の無細胞発酵上清は、酸性pHに変化させることによって活性化することができ、また、続いてpHを中性範囲に変化させることによって至適pHでのその活性を不可逆的に不活性化することができるプロテアーゼを含有することが見出された。中性pH値で活性なプロテアーゼもまた、酸性pHレベルに変化させることによって中性条件下でその活性を不可逆的に不活性化することができる。
別の局面では、本発明は、細胞培養物から得られた液体中のタンパク質分解を減少させるためのプロセスであって:
(c)その液体のpHを3〜5に調整する段階、および次に
(d)その液体のpHを7〜9に調整する段階
を含むプロセスに関する。
細胞培養上清の酸性化後に、存在するプロテアーゼの活性化が明らかに起こり、これは、本来リソソーム性のタンパク質分解酵素(カテプシン)が存在することを示している。これらのプロテアーゼは、エンドサイトーシス性タンパク質の分解に関与し、全ての組織中に不活性なプロ形態として一様に発現し、細胞内のエンドソーム中に位置する。これらの区画が成熟してリソソームを形成することに伴って、pHが激しく低下し、それがリソソーム性プロテアーゼの自己触媒性活性化とトランスの活性化の両方につながる。細胞外腔へのカテプシンの分泌は、主に腫瘍組織の転移に関連して議論されており、いくつかの個別のカテプシンについては、細胞培養物中への分泌も記載されている。
中性pH値でのタンパク質分解活性は、一方で分泌されたプロテアーゼに、他方で、本来は膜内に位置するが、おそらく製造プロセス中に細胞膜から分離され、溶液中で活性であり続けるプロテアーゼによるものとすることができる。
典型的には、生物学的製剤プロセスにおいて、細胞は、生成物を含有する細胞培養上清から遠心分離または濾過によって分離される。次に、無細胞上清が無菌濾過(最大孔径0.2μM)され、再緩衝化のためにダイアフィルトレーションされた後、捕捉段階が続く。pHを2回変化させることによる不活性化を、細胞から細胞培養上清を分離した直後の最初期に行い、それをその後、任意の他の加工段階に使用することができる。
pHレベルを選択する場合、生成物の分子および技術装置が損傷してはならず、したがってpHレベル<3(生成物タンパク質の化学修飾およびスチール製容器の腐食増加)ならびにpH>9(アスパラギンおよびグルタミンの脱アミド)は回避しなければならない。それぞれのpH値での保持時間も生成物タンパク質の安定性に依存する。酸性化によるプロテアーゼの活性化に関する時間枠は、できるだけ短くなければならないが、有利には少なくとも5分(min)である。例えば、5から30分の間、好ましくは5〜15分の保持時間が有利である。酸性pHレベルで活性化のための保持時間がより長いと、ターゲットタンパク質のタンパク質分解が増加するおそれがある。中性pHでの酸性プロテアーゼの不活性化のためのその後の保持段階の時間枠は重要ではなく、pHは、いくつかのプロセス段階にわたり維持することもでき、または再度変更することもできる。それは、全ての中性活性プロテアーゼがすでに不活性化されており、それ以上タンパク質分解活性を検出することができないからである。中和段階のための有利な保持時間は、例えば5〜60分である。
それぞれのターゲットpH値への調整は、1回添加によって、あるいは撹拌しながら酢酸もしくは塩酸などの酸または水酸化ナトリウム溶液もしくはトリスなどのアルカリ液/塩基を滴定することによって、溶液中で行うことができる。酸段階では、有利には3から5の間のpH値、例えばpH3.5〜4.5、好ましくは4が選択される。その後の中和による酸性プロテアーゼの不活性化のために、7〜9、好ましくはpH7.4〜8.5のpH値が有効であることが証明された。
本発明は、4℃〜37℃、好ましくは15℃〜37℃、好ましくは20〜37℃の温度範囲で行うことができる。本発明を実施するために好ましい範囲は、20℃〜30℃である。
pHを2回変えることによって酸性および中性プロテアーゼを不活性化するためのプロセスは、哺乳動物細胞(CHOおよびNS0)の無細胞培養上清でうまく行われた。結果は、他の生産生物の培養上清にもあてはめることができ、生成物タンパク質の要件、特にそのpH安定性の範囲内で様々な生物学的製剤の製造に使用することができる。
本発明は、純粋に物理化学的な方法および生化学的な方法を利用する。異なるpHユニットを介してpHを2回変化させることによって(図1)、酸性プロテアーゼ活性の最大75%および中性プロテアーゼ活性の最大90%を不可逆的に除去することができる。プロテアーゼ活性は、二つの検出方法、すなわち、a)ペプチド切断後の蛍光放出、およびb)ネイティブなタンパク質基質の分解による検出方法を使用して、検出することができる。
生成物および装置に有害なプロテアーゼは、迅速で簡単な物理化学的方法によって生物学的製剤医薬の製造中に不可逆的に不活性化することができる。結果として、細胞培養上清は、様々な方法で使用することができ、様々な精製技法によって得ることができる。
タンクへの酸およびアルカリ液の添加は、実施が非常に迅速かつ簡単であり、工業応用のために大規模化することもできる。プロテアーゼの不活性化後に、細胞培養上清を非常に多様な方法で精製プロセスに適合させることができる。従来の製造プロセスに比べて、停止時間またはpH値は重大でない。
実施例
作業実施例1:回収後、捕捉段階前のpH変化
CHO細胞を最終体積80Lの流加培養で11日間成長させる。細胞培養上清(CCF)を20℃に維持し、貫流(throughflow)ディスク遠心分離機を使用して細胞から分離し、フィルターカスケードを通過させて無菌濾過する。次に、酢酸の添加によりCCFのpH値をpH4に低下させる。ターゲットpHに到達した後、それを5〜10分間維持してから、水酸化ナトリウム溶液の添加によってCCFをpH7.5に中和する。さらに処理する(捕捉段階)前に、捕捉段階に適切な結合条件を得るために、CCFに50kD MWCOメンブランを通過させて限外濾過/ダイアフィルトレーションする。
作業実施例2:CCFと細胞の分離直後、無菌濾過前のpH変化
CHO細胞を最終体積80Lの流加培養で11日間成長させる。細胞培養上清(CCF)を貫流ディスク遠心分離機を使用して細胞から分離し、20℃に維持する。次に、常に撹拌しながら酢酸を添加することによりCCFのpH値をpH4に低下させる。ターゲットpHに到達した後、それを5〜10分間維持してから、水酸化ナトリウム溶液の添加によってCCFをpH7.5に中和する。次に、処理されたCCFにフィルターカスケードを通過させて無菌濾過する。さらに処理する(捕捉段階)前に、捕捉段階に適切な結合条件を得るために、CCFに50kD MWCOメンブランを通過させて限外濾過/ダイアフィルトレーションする。
作業実施例3:rProtA捕捉段階後、ウイルスの不活性化前のpH変化
CHO細胞を最終体積80Lの流加培養で11日間成長させる。細胞培養上清(CCF)を貫流ディスク遠心分離機を使用して細胞から分離し、フィルターカスケードを通過させて無菌濾過し、PBS(pH7.5)を用いるrプロテインAアフィニティークロマトグラフィーである捕捉段階に適切な結合条件を得るために、50kD MWCOメンブランを通過させて限外濾過/ダイアフィルトレーションする。MabSelectクロマトグラフィーカラムに、カラムマトリックス1mLあたり32mgのmAbをチャージし、酢酸緩衝液(pH3.5)を用いた段階で抗体を溶離させる。撹拌しながら1Mトリスを添加することによって、生成物を含有する画分のpHをpH7.5に調整し、そのpHを周囲温度で10分間維持してから、ウイルスの酸性不活性化に適切な条件を選択する。
材料および方法
細胞培養上清
治療用タンパク質の分泌生産のために最適化されたマウス生産細胞系およびCHO生産細胞系を無血清培地中で数日間培養する。細胞培養上清(CCF、無細胞の細胞培養液)を濾過または遠心分離によって細胞および不溶性成分から分離し、それぞれのpHに調整後、10〜20%(v/v)で活性アッセイのために使用する。
pH値の調整
細胞培養上清を酢酸の添加によって酸性化する。試料を直ちに混合し、選択されたpHで5〜10分間インキュベーションする。沈降成分を遠心分離によってペレットにし、捨てる。水酸化ナトリウム溶液または1Mトリス塩基の添加によってpHを上昇させる。
プロテアーゼの種類を決定するための阻害実験
個別の種類のプロテアーゼを阻害するために、CCFを異なる市販阻害剤と共にインキュベーションし、次に、残留活性があれば活性アッセイで調べる。使用した阻害剤の濃度は、製造業者が推奨する濃度である。
活性アッセイ
蛍光アッセイ、フルオロフォアの放出による分析
タンパク質分解活性の動態測定および定量測定に使用される基質は、種々のペプチド−フルオロフォア結合体であり、その切断は、アミノメチルクマリン(AMC)などの蛍光色素の放出またはN−メチルアミノベンゾイル−ジアミノプロピオン酸(Nma)に対するジニトロフェニル(Dnp)の消光作用の消失につながる。蛍光シグナルの増加は、Multilabel-Counter Victor2, 3(Perkin Elmer, Massachusetts, USA)を用いてλEx=380nm;λEm=460nm(AMC)、λEx=340nm;λEm=460nmで測光的にモニターしてもよい(図3)。
動態分析および定量分析のための全てのアッセイを、0.2mMペプチド−AMC、10〜20μMペプチド−MCAまたは5〜10μM DnP−ペプチド−Nmaの基質飽和で、10〜20%(v/v)CCFの存在下、pH7(100mMトリス/HCl、200mM NaCl)およびpH3.5(100mM 酢酸Na、200mM NaCl)において実施する。
分解アッセイ、PAGEおよびRP−HPLCによる分析
タンパク質分解活性の定性分析に使用される基質は、インターフェロンファミリー(IFN)のネイティブなタンパク質である。IFNは、分子量が22.5kDであり、溶液中でモノマーとして存在する。分解アッセイのために、0.1mg/ml IFNを10%(v/v)CCFと共に37℃、pH4で最大24時間インキュベーションし、SDS−PageおよびHeukeshovenによる銀染色によって検出する(Heukeshoven, J., Dernick, R., Improved silver staining procedure for fast staining in PhastSystem Development Unit. I. Staining of sodium dodecyl sulphate gels. Electrophoresis, 9, (1988) 28-32.)か、またはタンパク質の分解をタンパク質分解活性の測定値としてRP−HPLCによって決定する。
RP−HPLC分析は、Vydac 214 TP-C4カラムを使って水中に0.2%(v/v)TFA(溶液A)からアセトニトリル中に0.15%(v/v)TFA(溶液B)の勾配溶離によって、UV検出器(Waters 2487 Dual Absorbance Detector)を備えるWaters製HPLC装置(Waters 2695 alliance)で行う(表1)。
表1:RP−HPLC−C4カラムについての溶離勾配。勾配は水性溶媒から有機溶媒に移行する。
時間 溶液A 溶液B
[min] [%] [%]
5.0 60 40
15.0 30 70
15.1 10 90
19.0 10 90
19.1 60 40
21.0 60 40
結果
CCF由来プロテアーゼによる基質切断は、酸性pH値pH<5およびpH7付近の中性範囲に位置する2個のピークを有する。それぞれのプロテアーゼの活性は、タンパク質の分解および蛍光発生ペプチド基質の切断後の蛍光放出によってモニターすることができる(図2および4)。図2に、10%(v/v)CCF存在下、pH4でのIFNの分解を示す。わずか2、3時間後にIFNは酸性条件下で分解し(レーン4)、図4に、pH3.5およびpH7でインキュベーション後の20%(v/v)CCFによるDnp−ペプチド−Nma基質の切断の経時的な進行を示す。漸増する蛍光シグナルが、ペプチド基質切断の測定値である。活性を、酸性および中性pH値の両方で観察する。
この活性は、プロテアーゼの種類に特異的な阻害剤によって抑制することができるので、CCF中にいくつかの種類のプロテアーゼが存在し、2群、すなわち低pHレベルでのみ活性な酸性活性プロテアーゼおよび中性pHレベルでのみ活性な中性活性プロテアーゼに分類できることを示している。酸性活性プロテアーゼは、中性pH値で活性を有さず、中性活性プロテアーゼは酸性pH値で活性を有さない。中性活性プロテアーゼは細胞分離時にすでに活性であるが、CCF中の酸性活性プロテアーゼの活性化は、反応条件が酸性化されるまで起こらない。
中性プロテアーゼを不活性化するためのpH二段階変化
未処理CCF由来の中性プロテアーゼの活性は、pH7で蛍光アッセイにより測定することができる(図5、丸印)。pH7からpH<5に続いて中和という二段階変化にCCFが供されるとき、pH7の蛍光アッセイでは実質的にさらなる活性を検出することができない(図5、三角印)。
CCFの短時間酸性化およびその後の中和は、中性活性プロテアーゼのタンパク質分解活性の不可逆的な全消失につながる。
酸性プロテアーゼを不活性化するためのpH二段階変化
CCFの酸性化によって活性化されるプロテアーゼのタンパク質分解活性は、蛍光アッセイおよびタンパク質分解アッセイにおいてpH3.5で検出することができる(図6、四角印)。しかしながら、酸性化後にCCFを中和すると、この活性は維持されない。中和後に酸性プロテアーゼに至適なpH3.5の反応条件を復元すると、蛍光アッセイで測定可能な酸性プロテアーゼの活性は、未処理CCFに比べて最大65%減少する(図6、三角印)。
タンパク質の分解もまた、pHの二重変化によって減少する。モデルタンパク質であるIFNの分解は、中和段階後に有意に減少する(図3、灰色棒線)。
pHを何度も変化させる結果として、ネイティブなタンパク質基質であるIFNの分解を50%減少させることが可能であった(図3、RP−HPLCによる定量)。

Claims (10)

  1. 細胞培養から得られた液体中のプロテアーゼを不活性化するためのプロセスであって:
    (a)該液体のpHを3〜5に調整する段階、および次に
    (b)該液体のpHを7〜9に調整する段階
    を含むプロセス。
  2. 細胞培養から得られた液体中のタンパク質の分解を減少させるためのプロセスであって、
    (a)該液体のpHを3〜5に調整する段階、および次に
    (b)該液体のpHを7〜9に調整する段階
    を含むプロセス。
  3. 段階(a)でのpHが、3.5〜4.5の範囲であることを特徴とする、請求項1または2記載のプロセス。
  4. 段階(a)でのpHが、5分〜30分間維持されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項記載のプロセス。
  5. 段階(a)でのpHが、20〜30℃の温度で行われることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載のプロセス。
  6. 段階(b)でのpHが、7.4〜8.5の範囲であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項記載のプロセス。
  7. 段階(b)でのpHが、5分〜60分間維持されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項記載のプロセス。
  8. 段階(b)でのpHが、20〜30℃の温度で行われることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項記載のプロセス。
  9. 液体が、哺乳動物細胞培養物由来の液体であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項記載のプロセス。
  10. 液体が、哺乳動物細胞培養物由来の無細胞液体であることを特徴とする、請求項9記載のプロセス。
JP2013524426A 2010-08-20 2011-08-12 細胞培養物から得られた液体のpH変化によってプロテアーゼを不活性化するための方法 Pending JP2013534143A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP10173540 2010-08-20
EP10173540.5 2010-08-20
PCT/EP2011/063915 WO2012022688A1 (de) 2010-08-20 2011-08-12 Verfahren zur inaktivierung von proteasen in einer aus einer zellkultur gewonnen flüssigkeit durch ph änderung

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013534143A true JP2013534143A (ja) 2013-09-02
JP2013534143A5 JP2013534143A5 (ja) 2014-09-25

Family

ID=43530522

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013524426A Pending JP2013534143A (ja) 2010-08-20 2011-08-12 細胞培養物から得られた液体のpH変化によってプロテアーゼを不活性化するための方法

Country Status (9)

Country Link
US (2) US20120295323A1 (ja)
EP (1) EP2606142B1 (ja)
JP (1) JP2013534143A (ja)
KR (1) KR20130105813A (ja)
CN (1) CN103068999A (ja)
AU (1) AU2011290782A1 (ja)
CA (1) CA2807693A1 (ja)
SG (1) SG187834A1 (ja)
WO (1) WO2012022688A1 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06505731A (ja) * 1991-02-01 1994-06-30 クールター コーポレイション 免疫グロブリンのF(ab´)↓2フラグメントを製造する方法
JPH1198997A (ja) * 1997-08-01 1999-04-13 Toray Ind Inc インターフェロン−γの製造方法
WO2002072615A1 (fr) * 2001-03-09 2002-09-19 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Methode de purification de proteines
WO2004035608A2 (en) * 2002-10-18 2004-04-29 Abgenix, Inc. System and method for cleaving antibodies

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
IL79176A (en) 1985-06-20 1992-06-21 Kirin Amgen Inc Process for the recovery of erythropoietin from a fluid
US5919698A (en) * 1995-09-25 1999-07-06 Novo Nordisk A/S Disinfection and cleaner of contact lenses
CN1203627A (zh) 1995-12-07 1998-12-30 诺沃挪第克公司 酶活性的选择性灭活
US6866844B2 (en) * 2002-11-07 2005-03-15 Biomarin Pharmaceutical Inc. Precursor N-acetylgalactosamine-4-sulfatase, methods of treatment using said enzyme and methods for producing and purifying said enzyme
US20060173167A1 (en) * 2003-08-13 2006-08-03 Gunter Stempfer Process for the purification of recombinant polypeptides
CN102612650B (zh) * 2009-11-18 2015-09-30 合同酒精株式会社 电泳分析方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06505731A (ja) * 1991-02-01 1994-06-30 クールター コーポレイション 免疫グロブリンのF(ab´)↓2フラグメントを製造する方法
JPH1198997A (ja) * 1997-08-01 1999-04-13 Toray Ind Inc インターフェロン−γの製造方法
WO2002072615A1 (fr) * 2001-03-09 2002-09-19 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Methode de purification de proteines
WO2004035608A2 (en) * 2002-10-18 2004-04-29 Abgenix, Inc. System and method for cleaving antibodies

Also Published As

Publication number Publication date
US20180346950A1 (en) 2018-12-06
CA2807693A1 (en) 2012-02-23
AU2011290782A1 (en) 2013-02-21
CN103068999A (zh) 2013-04-24
US20120295323A1 (en) 2012-11-22
WO2012022688A1 (de) 2012-02-23
SG187834A1 (en) 2013-03-28
EP2606142A1 (de) 2013-06-26
KR20130105813A (ko) 2013-09-26
EP2606142B1 (de) 2018-02-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20230242897A1 (en) Methods of purifying recombinant adamts13 and other proteins and compositions thereof
JP2022119887A (ja) エンドトキシン測定剤
Darkoh et al. Characterization of a prolyl endoprotease from Eurygaster integriceps Puton (Sunn pest) infested wheat
Greene et al. Two trypsin inhibitors from porcine pancreatic juice
Pérez et al. Optimization of pancreatic trypsin extraction in PEG/citrate aqueous two-phase systems
Zhou et al. Implementation of advanced technologies in commercial monoclonal antibody production
CN102822339A (zh) 在核酸存在下沉淀阴离子表面活性剂离子的方法
Amid et al. A novel aqueous micellar two-phase system composed of surfactant and sorbitol for purification of pectinase enzyme from Psidium guajava and recycling phase components
WO2011062174A1 (ja) 電気泳動分析方法
JP2013534143A (ja) 細胞培養物から得られた液体のpH変化によってプロテアーゼを不活性化するための方法
Ling et al. Approaches for the generation of active papain-like cysteine proteases from inclusion bodies of Escherichia coli
EP1977245B1 (en) Method for determining the concentration of virus particles/virus antigens
Li et al. Characterization of barley serpin Z7 that plays multiple roles in malt and beer
Milne Check Chapter 5 updates
JP2016525535A (ja) 昆虫メタロプロテイナーゼ阻害剤
CN114763370B (zh) 一种抗氧化十肽及其制备方法和应用
CN111233973A (zh) 一种精氨酸衍生物Pro-Phe-Arg-AMC的合成方法及用途
Lindeman Protein production and purification of type II transmembrane protease Tmprss2 in Pichia pastoris (Komagataella phaffii)
AU2018201646A1 (en) Method for Purifying Recombinant ADAMTS13 and Other Proteins and Compositions Thereof
CN111196838A (zh) 一种精氨酸衍生物Cbz-Phe-Arg-AMC的合成方法及应用
Liddell Introduction to downstream processing
Amid et al. Research Article A Novel Aqueous Micellar Two-Phase System Composed of Surfactant and Sorbitol for Purification of Pectinase Enzyme from Psidium guajava and Recycling Phase Components
Mangel et al. Assay for the Adenovirus Proteinase
Eisenhauer THE PURIFICATION, CHARACTERIZATION, AND DISTRIBUTION OF AN OVARIAN DIPEPTIDYL PEPTIDASE II FROM PREGNANT SOWS THAT PREFERENTIALLY CLEAVES PROLYL BONDS (PROTEASE, EXOPEPTIDASE)
Saldanha Proteolytic enzymes in grass pollen and their relationship to allergenic proteins

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140811

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140811

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20150306

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150818

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160202