JP2013532730A - N−アルキルモルフィナンを調製するためのタンデム法 - Google Patents
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- C07D489/02—Heterocyclic compounds containing 4aH-8, 9 c- Iminoethano-phenanthro [4, 5-b, c, d] furan ring systems, e.g. derivatives of [4, 5-epoxy]-morphinan of the formula: with oxygen atoms attached in positions 3 and 6, e.g. morphine, morphinone
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Abstract
Description
本出願は、2010年8月4日に出願された米国仮出願第61/370,628号の利益を主張し、上記米国仮出願第61/370,628号は、その全容が本明細書に援用される。
本発明は、概して、ノルモルフィナン中間体の単離なしでのN−アルキルモルフィナンの調製に関する。
ナルトレキソン、ナルブフィン、ナロキソン、ナルメフェンおよびブプレノルフィン等のN−アルキルモルフィナンは、重要な麻酔薬である。N−アルキルモルフィナンを調製するための現在の方法は、いくつかの分離ステップを含み、該ステップにおいて、ノルモルフィナン中間体は常に単離され、次いでN−アルキル化試薬と反応してN−アルキルモルフィナンを形成する。ノルモルフィナンは非常に水溶性が高いため、ノルモルフィナン中間体の損失を最小化するために、典型的には多回抽出が必要とされる。結果として、これらの単離方法は、有機相と水相とを分離するために、多くの場合、長い時間、時として数日間をも要する。したがって、必要なのは、N−アルキルモルフィナンを、短時間で、労力をかけずに、かつ高収率で調製することができる、合理化された対費用効果の高い方法である。
本発明は、タンデム加水分解/アルキル化反応を経由してN−ヒドロカルボキシカルボニルモルフィナンからN−アルキルモルフィナンを調製するための方法を提供する。
R1およびR2は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、{−}OR8、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立に選択され、
R3は、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから選択され、
R14は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、{−}OR8、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから選択され、
R8、R17およびZは、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立に選択され、
Xは脱離基であり、かつ
Yは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシおよびアセタールから選択され、ここで、各破線は、任意選択の二重結合を示す]
に従って、(a)式(II)を含む化合物を求核試薬と接触させて、式(III)を含む化合物を形成するステップと、(b)式(III)を含む化合物を、二酸化炭素ガス、続いてR17Xを含むN−アルキル化剤と接触させて、式(IV)を含む化合物を形成するステップとを含む。
R1およびR2は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、{−}OR8、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立に選択され、
R3は、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから選択され、
R14は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、{−}OR8、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから選択され、
R8、R17およびZは、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立に選択され、
Lはハロゲンであり、
Xは脱離基であり、かつ
Yは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシおよびアセタールから選択され、ここで、各破線は、任意選択の二重結合を示す]
に従って、(a)式(I)を含む化合物を、LC(O)OZを含むN−脱メチル化剤およびプロトン受容体と接触させて、式(II)を含む化合物を形成するステップと;(b)式(II)を含む化合物を求核試薬と接触させて、式(III)を含む化合物を形成するステップと;(c)式(III)を含む化合物を、二酸化炭素ガス、続いてR17Xを含むN−アルキル化剤と接触させて、式(IV)を含む化合物を形成するステップとを含む。
本明細書において開示されるのは、N−メチルモルフィナンからN−アルキルモルフィナンを調製するための効率的な合成法である。特に、N−メチルモルフィナンを脱メチル化してN−ヒドロカルボキシカルボニルモルフィナンとし、次いでこれを加水分解してノルモルフィナンとする。重要なことには、ノルモルフィナン中間体は単離されず、N−アルキル化剤とインシチュで直接反応して、N−アルキルモルフィナンを形成する。したがって、N−アルキルモルフィナンは、タンデム加水分解/アルキル化反応を使用して、N−ヒドロカルボキシカルボニルモルフィナンから調製される。この新たなタンデム法はワンポットで行われるため、プロセス時間および労力の有意な減少がある。
本発明の一態様は、N−ヒドロカルボキシカルボニルモルフィナンからのN−アルキルモルフィナンの合成のための方法を包括する。該方法は、N−ヒドロカルボキシカルボニルモルフィナンを求核試薬と接触させて、ノルモルフィナンを形成するステップと、該ノルモルフィナンを、二酸化炭素ガス、続いてN−アルキル化剤と接触させて、N−アルキルモルフィナンを形成するステップとを含む。有利なことに、該方法の2つのステップは、ノルモルフィナン中間体を単離することなく、シングルポットでタンデムに行うことができる。
本発明の別の実施形態において、式(IV)を含むN−アルキルモルフィナンは、式(I)を含むN−メチルモルフィナンから調製される。該方法は、式(I)を含む化合物を、LC(O)OZを含むN−脱メチル化剤およびプロトン受容体と接触させて、式(II)を含むN−ヒドロカルボキシカルボニルモルフィナンを形成するステップを含む。式(II)を含む化合物を、求核試薬との接触によって加水分解して、式(III)を含むノルモルフィナンを形成する。該方法は、式(III)を含む化合物を、二酸化炭素ガス、続いてR17Xを含むN−アルキル化剤と接触させて、式(IV)を含む化合物を形成するステップをさらに含む。該方法の利点は、式(III)を含む中間化合物を単離することなく、アルキル化ステップを加水分解ステップの直後に行ってよいことである。例示の目的で、反応スキーム1は、本発明のこの態様に従う、式(IV)を含む化合物の合成を描写するものである:
R1およびR2は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、{−}OR8、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立に選択され、
R3は、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから選択され、
R14は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、{−}OR8、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから選択され、
R8、R17およびZは、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立に選択され、
Lはハロゲンであり、
Xは脱離基であり、かつ
Yは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシおよびアセタールから選択され、ここで、各破線は、任意選択の二重結合を示す]。
方法は、式(I)を含む化合物を、LC(O)OZを含むN−脱メチル化剤およびプロトン受容体と組み合わせることによる、反応混合物の形成から開始する。反応混合物の成分および方法のこのステップの反応条件について以下で記述する。
様々なN−脱メチル化剤が、本発明の方法において使用するのに適している。概して、N−脱メチル化剤は、式LC(O)OZ[式中、LおよびZは、上記で定義された通りである]を有するハロギ酸ヒドロカルビルとなる。好ましい実施形態において、Lは、クロロまたはブロモであってよく、Zは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、フェニル、ベンジル、メトキシメチル、ビニルまたは2−クロロエチルであってよい。好ましい実施形態において、N−脱メチル化剤は、ハロギ酸アルキル(例えば、クロロギ酸メチル、ブロモギ酸メチル、クロロギ酸エチル、ブロモギ酸エチル、クロロギ酸プロピル、ブロモギ酸プロピル、クロロギ酸イソプロピル、ブロモギ酸イソプロピル、クロロギ酸ブチル、ブロモギ酸ブチル、クロロギ酸イソブチル、ブロモギ酸イソブチル等)、ハロギ酸アルコキシアルキル(例えば、クロロギ酸メトキシメチル、ブロモギ酸メトキシメチル、クロロギ酸エトキシメチル、ブロモギ酸エトキシメチル等)、ハロギ酸ベンジル、ハロギ酸フェニル、ハロギ酸ビニルまたはハロギ酸2−クロロアルキルであってよい。概して、アルキルは、1から8個までの炭素原子を含む。例示的な実施形態において、N−脱メチル化剤は、クロロギ酸アルキル、クロロギ酸フェニル、クロロギ酸ベンジル、クロロギ酸ビニルまたはクロロギ酸2−クロロアルキルであってよい。
式(I)を含む化合物のN−脱メチル化を容易にするために、反応は、典型的にはプロトン受容体の存在下で実行される。概して、プロトン受容体は、約7から約13、好ましくは約8から約10のpKaを有する。用いられ得る代表的なプロトン受容体は、ホウ酸塩(例えば、Na3BO3等)、第二および第三リン酸塩(例えば、Na2HPO4およびNa3PO4等)、重炭酸塩(例えば、NaHCO3、KHCO3、それらの混合物等)、水酸化物塩(例えば、NaOH、KOH、それらの混合物等)、炭酸塩(例えば、Na2CO3、K2CO3、それらの混合物等)、有機塩基(例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジン、およびそれらの混合物等)、有機緩衝剤(例えば、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、N−(2−アセトアミド)−イミノ二酢酸(ADA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(BICINE)、3(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸(CAPS)、2(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸(CHES)、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンプロパンスルホン酸(EPPS)、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸(HEPES)、2(4モルホリニル)エタンスルホン酸(MES)、4−モルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)、1,4−ピペラジンジエタンスルホン酸(PIPES)、[(2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸(TAPS)、2−[(2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ]エタンスルホン酸(TES)、それらの塩および/または混合物等)、ならびにそれらの組合せを包含するがこれらに限定されない。プロトン受容体が有機緩衝剤である場合、該有機緩衝剤は好ましくはヒドロキシ置換窒素原子を欠いており、それは、この置換基が反応物のハロギ酸ヒドロカルビルとの反応と競合し得るためである。一実施形態において、プロトン受容体は、NaHCO3、KHCO3、K2CO3、NaOH、KOHおよびそれらの混合物から選択される。好ましい実施形態において、プロトン受容体は、NaHCO3、KHCO3またはそれらの組合せである。
反応は概して溶媒の存在下で行われる。溶媒は、非極性有機溶媒であっても極性非プロトン性溶媒であってもよい。代表的な非極性溶媒は、アルカンおよび置換アルカン溶媒(シクロアルカンを包含する)、芳香族炭化水素、エステル、エーテル、ケトン、ならびにそれらの組合せを包含するがこれらに限定されない。用いられ得る具体的な非極性溶媒は、例えば、ベンゼン、酢酸ブチル、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルケトン、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、フルオロベンゼン、ヘプタン、ヘキサン、イソブチルメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸ペンチル、酢酸プロピル、トルエン、およびそれらの組合せを包含する。適切な非プロトン性溶媒の非限定的例は、アセトン、アセトニトリル、ジエトキシメタン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルプロピオンアミド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジメトキシメタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、1,4−ジオキサン、ギ酸エチル、ホルムアミド、ヘキサクロロアセトン、ヘキサメチルリン酸アミド、酢酸メチル、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、塩化メチレン、メトキシエタン、モルホリン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、プロピオニトリル、スルホラン、テトラメチル尿素、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、トリクロロメタン、およびそれらの組合せを包含する。例示的な実施形態において、溶媒は、クロロホルム、酢酸エチルまたはアセトニトリルであってよい。
概して、反応は、約0℃から約100℃まで、より好ましくは約20℃から約60℃までの範囲である温度で行われることになる。種々の実施形態において、脱メチル化反応は、約30℃、約40℃、約50℃、約55℃または約60℃で行われ得る。反応は、典型的には、周囲圧力下、好ましくは不活性雰囲気(例えば、窒素またはアルゴン)中で実施される。
方法は、式(II)を含む化合物を、式(II)を含む化合物が開裂されるような求核試薬と接触させて、式(III)を含む化合物を形成するステップをさらに含む。反応物および方法のこのステップの反応条件について以下で詳述する。
様々な求核試薬が、方法のこのステップにおいて使用するのに適している。概して、求核試薬は、約13より大きいpKaを有し得る。この特徴を有する求核試薬は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物(例えば、NaOHおよびCa(OH)2等);アルコキシド(例えば、メトキシド、エトキシド等);カルバニオンの第1族の塩(例えば、メチルリチウム、ブチルリチウム等);アミド(例えば、ナトリウムアミド、リチウムメチルアミド、リチウムイソプロピルアミド等);ならびに水素化物(例えば、水素化ナトリウム、NaBH4等)を包含する。好ましい実施形態において、求核試薬は、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムであってよい。
反応混合物は溶媒系も含む。溶媒系は、好ましくは非極性溶媒を包含する。代表的な非極性溶媒については節(II)(a)(iii)において上記で詳述されている。好ましい実施形態において、非極性溶媒は、ベンゼン、クロロホルム、ジエチルエーテル、酢酸エチル、ヘプタン、ヘキサン、酢酸n−プロピル、トルエン、またはそれらの組合せであってよい。例示的な実施形態において、非極性溶媒はトルエンであってよい。反応混合物に添加される非極性溶媒の量は、変動してよく、そうなるであろう。概して、非極性溶媒対式(II)を含む化合物のモル比は、約0.5:1から約100:1までの範囲であってよい。一実施形態において、非極性溶媒対式(II)を含む化合物のモル比は、約1:1から約20:1までの範囲であってよい。好ましい実施形態において、非極性溶媒対式(II)を含む化合物のモル比は、約2:1から約10:1までの範囲であってよい。例示的な実施形態において、非極性溶媒対式(II)を含む化合物のモル比は、約4:1であってよい。
反応は、約0℃から約100℃まで、またはより好ましくは約50℃から約90℃までの範囲である温度で行われ得る。種々の実施形態において、反応温度は、約50〜70℃、約70〜80℃、約80〜85℃、または約80〜90℃の範囲であってよい。反応は、典型的には、周囲圧力下、好ましくは不活性雰囲気(例えば、窒素またはアルゴン)中で実施される。
方法は、式(III)を有する化合物を含む反応混合物を、二酸化炭素ガスと接触させて過剰な求核試薬を中和し、続いてN−アルキル化剤と接触させて、式(IV)を含む化合物を形成するステップをさらに含む。より具体的には、二酸化炭素ガスをステップBからの反応混合物に吹き込んで発泡させ、ここで二酸化炭素ガスは求核試薬と反応して、炭酸塩化合物を形成する。結果として、反応混合物のpHが調整される。したがって、求核試薬がKOHまたはNaOHである実施形態において、二酸化炭素ガスとの接触がKOHまたはNaOHをそれぞれKHCO3またはNaHCO3に変換する。反応混合物に添加される二酸化炭素の量および接触持続時間は、変動してよく、そうなるであろう。いくつかの実施形態において、結果として生じる炭酸塩化合物の形成を、視覚的にモニターすることができる(すなわち、該化合物は反応混合物から沈殿する)。反応温度は、約0℃から約100℃までの範囲であってよい。好ましい実施形態において、二酸化炭素ガスとの接触は、室温で行われ得る。
式(I)、(II)、(III)または(IV)のいずれかを含む化合物は、偏光の回転に対して(−)または(+)配向を有し得る。より具体的には、モルフィナンの各キラル中心は、RまたはS配置を有し得る。本明細書において記述されている化合物は、少なくとも4つのキラル中心、すなわち炭素C−5、C−9、C−13およびC−14を有し得る。各キラル中心において、炭素原子の立体化学は、独立に、RまたはSである。C−5、C−9、C−13およびC−14の配置はそれぞれ、RRRR、RRRS、RRSR、RSRR、SRRR、RRSS、RSSR、SSRR、SRRS、SRSR、RSRS、RSSS、SRSS、SSRS、SSSRまたはSSSSであってよく、但し、C−15およびC−16原子の両方が分子のアルファ面上に、または両方が分子のベータ面上にある。
本発明のさらなる態様は、式(IV)を含むN−アルキルモルフィナンが、節(II)(b)および(c)において上記で詳述した通り、式(II)を含むN−ヒドロカルボキシカルボニルモルフィナンから調製される方法を包括する。手短に述べると、式(II)を含む化合物を求核試薬と接触させて、式(III)を含むノルモルフィナン中間体を形成する。方法は、式(III)を含む化合物を、二酸化炭素ガス、続いてR17Xを含むN−アルキル化剤と接触させて、式(IV)を含む化合物を形成するステップをさらに含む。
本明細書において記述されている化合物は、不斉中心を有する。不斉置換原子を含有する本発明の化合物は、光学活性またはラセミ体で単離され得る。特定の立体化学または異性体が具体的に示されているのでない限り、構造のすべてのキラル、ジアステレオマー、ラセミ体およびすべての幾何異性体が意図されている。
17−フェノキシカルボニル−4,5−エポキシ−3−メトキシ−環状1,2−エタンジイルアセタール−(5α)−モルフィナン−6−オンの合成−試行1
下記の反応スキームは、脱メチル化反応を描写するものである。
17−フェノキシカルボニル−4,5−エポキシ−3−メトキシ−環状1,2−エタンジイルアセタール−(5α)−モルフィナン−6−オンの合成−試行2
17−メチル−4,5−エポキシ−3−メトキシ−環状1,2−エタンジイルアセタール−(5α)−モルフィナン−6−オン1(1.0g)、重炭酸ナトリウム(0.74g)および酢酸エチル(5mL)の混合物を、氷浴中で10分間冷却した。冷却した混合物に、クロロギ酸フェニル(0.44mL)を滴下添加した。得られた混合物を50℃に3時間徐々に加熱した。室温に冷却した後、5mLの水を反応混合物に添加し、相を分離させた。有機相を取り出し、水相を酢酸エチル(2×5mL)で抽出した。合わせた有機相を、1.0N水酸化ナトリウム溶液(2×5m)、2.5%HCl溶液(2×5mL)で洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤で濾過した後、濾液を減圧下で蒸発させて、1.3g、純度=82%を得た。
17−(シクロブチルメチル)−4,5−エポキシ−3−メトキシ−環状1,2−エタンジイルアセタール−(5α)−モルフィナン−6−オンの合成
N−アルキル化合物は、下記の反応スキームに従って調製した。
17−(シクロプロピルメチル)−4,5−エポキシ−3−メトキシ−環状1,2−エタンジイルアセタール−(5α)−モルフィナン−6−オンの合成
シクロプロピルメチル誘導体は、下記の反応スキームに従って調製した。
N−フェノキシカルボニルジヒドロテバインの合成
ジヒドロテバインは、下記の反応スキームに従って脱メチル化した。
17−(シクロプロパニルメチル)−4,5−エポキシ−3−メトキシ−6−メトキシ−(5α)−モルフィナン−6−エンの合成
下記の反応スキームは、シクロプロピル誘導体の調製を描写するものである。
Claims (15)
- N−ヒドロカルボキシカルボニルモルフィナンからN−アルキルモルフィナンを調製するための方法であって、
該N−ヒドロカルボキシカルボニルモルフィナンを求核試薬と接触させてノルモルフィナンを形成するステップと、
該ノルモルフィナンを二酸化炭素ガス、続いてN−アルキル化剤と接触させて該N−アルキルモルフィナンを形成するステップと
を含む、方法。 - 前記N−アルキルモルフィナンが式(IV)を含む化合物であり、前記N−ヒドロカルボキシカルボニルモルフィナンが式(II)を含む化合物であり、前記ノルモルフィナンが式(III)を含む化合物であり、かつ前記N−アルキル化剤がR17Xである請求項1に記載の方法であって、
a)該式(II)を含む化合物を前記求核試薬と接触させて、式(III)を含む化合物を形成するステップと、
b)該式(III)を含む化合物を二酸化炭素ガス、続いてR17Xと接触させて、該式(IV)を含む化合物を形成するステップと
を含み;
R1およびR2は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、{−}OR8、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立に選択され、
R3は、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから選択され、
R14は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、{−}OR8、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから選択され、
R8、R17およびZは、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立に選択され、
Xは脱離基であり、かつ
Yは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシおよびアセタールから選択され、ここで、各破線は、任意選択の二重結合を示す、
方法。 - 請求項2に記載の方法であって、前記式(III)を含む化合物が単離されず;前記求核試薬が、アミド、アルコキシド、水素化物および水酸化物から選択され;前記式(II)を含む化合物対該求核試薬のモル比が約1:1から約1:8までであり;前記N−アルキル化剤が、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化アリール、メタンスルホン酸アルキルおよびp−トルエンスルホン酸アルキルから選択され;該式(II)を含む化合物対該N−アルキル化剤のモル比が約1:1から約1:2までであり;該方法がベンゼン、クロロホルム、ジエチルエーテル、酢酸エチル、ヘプタン、ヘキサン、酢酸n−プロピル、トルエンおよびそれらの組合せから選択される非極性有機溶媒を含む溶媒系の存在下で行われ;該非極性溶媒対該式(II)を含む化合物のモル比が約0.5:1から約20:1までであり;かつ、該方法が約0℃から約100℃までの温度で行われる、方法。
- 請求項2に記載の方法であって、前記求核試薬が水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムであり;前記式(II)を含む化合物対該求核試薬のモル比が約1:4.1であり;前記N−アルキル化剤が、ハロゲン化シクロプロピルメチル、ハロゲン化シクロブチルメチル、ハロゲン化アリルおよびハロゲン化ベンジルから選択され;該式(II)を含む化合物対該N−アルキル化剤のモル比が約1:1.1であり;該方法がトルエンおよびジメチルスルホキシドを含む溶媒系の存在下で行われ;トルエン対該式(II)を含む化合物のモル比が約4:1であり;トルエン対ジメチルスルホキシドの容積比が約5:1であり;該方法が約60℃から約90℃までの温度で行われ;かつ、前記式(IV)を含む化合物が少なくとも約50%の収率を有する、方法。
- 前記式(II)、(III)および(IV)を含む化合物の光学活性が、(−)鏡像異性体、(+)鏡像異性体およびそれらの組合せから選択され;かつ、C−5、C−13、C−14およびC−9の配置が、RRRR、RRRS、RRSR、RSRR、SRRR、RRSS、RSSR、SSRR、SRRS、SRSR、RSRS、RSSS、SRSS、SSRS、SSSRおよびSSSSからそれぞれ選択され、但し、C−15およびC−16の両方が、分子のアルファ面またはベータ面のいずれかの上にある、請求項2から4のいずれかに記載の方法。
- 前記N−アルキルモルフィナンが式(IV)を含む化合物であり、前記N−ヒドロカルボキシカルボニルモルフィナンが式(I)を含む化合物であり、前記ノルモルフィナンが式(III)を含む化合物であり、かつ前記N−アルキル化剤がR17Xである請求項1に記載の方法であって、
a)該式(I)を含む化合物を、LC(O)OZを含むN−脱メチル化剤およびプロトン受容体と接触させて、式(II)を含む化合物を形成するステップと、
b)該式(II)を含む化合物を前記求核試薬と接触させて、式(III)を含む化合物を形成するステップと、
c)該式(III)を含む化合物を二酸化炭素ガス、続いてR17Xと接触させて、該式(IV)を含む化合物を形成するステップと
を含み;
R1およびR2は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、{−}OR8、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立に選択され、
R3は、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから選択され、
R14は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、{−}OR8、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから選択され、
R8、R17およびZは、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立に選択され、
Lはハロゲンであり、
Xは脱離基であり、かつ
Yは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシおよびアセタールから選択され、ここで、各破線は、任意選択の二重結合を示す、
方法。 - 前記N−脱メチル化剤が、ハロギ酸アルキル、ハロギ酸アルコキシアルキル、ハロギ酸ベンジル、ハロギ酸フェニル、ハロギ酸ビニルおよびハロギ酸2−クロロアルキルから選択され;前記プロトン受容体が、約7より大きいpKaを有し、かつNaHCO3、KHCO3、Na2CO3、K2CO3、NaOH、KOHおよびそれらの組合せから選択され;前記式(I)を含む化合物対該N−脱メチル化剤対該プロトン受容体のモル比が約1:1:1から約1:3:6までであり;前記求核試薬が、アミド、アルコキシド、水素化物および水酸化物から選択され;前記式(II)を含む化合物対該求核試薬のモル比が約1:1から約1:8までであり;前記N−アルキル化剤が、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化アリール、メタンスルホン酸アルキルおよびp−トルエンスルホン酸アルキルから選択され;該式(II)を含む化合物対該N−アルキル化剤のモル比が約1:1から約1:2までであり;かつ、前記式(III)を含む化合物が単離されない、請求項6に記載の方法。
- ステップ(a)の反応が、ベンゼン、クロロホルム、ジエチルエーテル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、ヘプタン、ヘキサン、トルエン、アセトニトリル、1−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ホルムアミド、アセトン、テトラヒドロフランおよびそれらの組合せから選択される溶媒の存在下で行われ;該溶媒対前記式(I)を含む化合物のモル比が約0.5:1から約20:1までであり;ステップ(a)の反応が、約0℃から約60℃までの温度で行われ;ステップ(b)および(c)の反応が、ベンゼン、クロロホルム、ジエチルエーテル、酢酸エチル、ヘプタン、ヘキサン、酢酸n−プロピル、トルエンおよびそれらの組合せから選択される非極性有機溶媒を含む溶媒系の存在下で行われ;該非極性溶媒対前記式(II)を含む化合物のモル比が約0.5:1から約20:1までであり;かつ、ステップ(b)および(c)の反応が、約0℃から約100℃までの温度で行われる、請求項6に記載の方法。
- 前記N−脱メチル化剤がクロロギ酸アルキルまたはクロロギ酸フェニルであり;前記プロトン受容体がNaHCO3またはKHCO3であり;前記式(I)を含む化合物対該N−脱メチル化剤対該プロトン受容体のモル比が約1:1:1.5から約1:3:3までであり;ステップ(a)の反応が、約0℃から約60℃までの温度で、クロロホルムまたはアセトニトリルから選択される溶媒の存在下で行われ;該溶媒対該式(I)を含む化合物のモル比が約2:1から約10:1までであり;前記求核試薬が水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムであり;前記式(II)を含む化合物対該求核試薬のモル比が約1:4.1であり;前記N−アルキル化剤が、ハロゲン化シクロプロピルメチル、ハロゲン化シクロブチルメチル、ハロゲン化アリルおよびハロゲン化ベンジルから選択され;該式(II)を含む化合物対該N−アルキル化剤のモル比が約1:1.1であり;ステップ(b)および(c)の反応が、約60℃から約90℃までの温度で、トルエンおよびジメチルスルホキシドを含む溶媒系の存在下で行われ;トルエン対該式(II)を含む化合物のモル比が約4:1であり;かつ、トルエン対ジメチルスルホキシドの容積比が約5:1である、請求項6に記載の方法。
- 前記式(I)、(II)、(III)および(IV)を含む化合物の光学活性が、(−)鏡像異性体、(+)鏡像異性体およびそれらの組合せから選択され;かつ、C−5、C−13、C−14およびC−9の配置が、RRRR、RRRS、RRSR、RSRR、SRRR、RRSS、RSSR、SSRR、SRRS、SRSR、RSRS、RSSS、SRSS、SSRS、SSSRおよびSSSSからそれぞれ選択され、但し、C−15およびC−16の両方が、分子のアルファ面またはベータ面のいずれかの上にある、請求項6から9のいずれかに記載の方法。
- R1、R2およびR14が、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、アルキル、アルケニル、アリール、置換アルキル、置換アルケニル、置換アリール、アルコキシカルボニルおよびアロキシカルボニルから独立に選択され、
R3が、水素、アルキル、アルケニル、アリール、置換アルキル、置換アルケニル、置換アリール、アシル、アルコキシカルボニル、アロキシカルボニル、アセタール、エーテル、シリルエーテルおよびアルキルスルホニルから選択され、
R17およびZが、アルキル、アルケニル、アルキルアリール、アラルキル、アリール、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキルアリール、置換アラルキルおよび置換アリールから独立に選択され、
XがハロゲンまたはSO2ORであって、ここで、Rは、アルキル、アリール、置換アルキルまたは置換アリールである、SO2ORであり、かつ
Yが、メトキシ、エトキシまたはエチレンアセタールである、
請求項2から10のいずれかに記載の方法。 - 前記溶媒系が、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコールおよびそれらの組合せから選択されるプロトン性溶媒をさらに含むか;または、前記溶媒系が、アセトニトリル、1−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ホルムアミド、アセトン、テトラヒドロフランおよびそれらの組合せから選択される非プロトン性溶媒をさらに含み;かつ、該非プロトン性溶媒対前記非極性溶媒の容積比が約1:1から約1:10までである、請求項3から5または8から11のいずれかに記載の方法。
- ワンポット法である、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
- 前記ノルモルフィナンが単離されない、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
- 前記モルフィナンの光学活性が、(−)鏡像異性体、(+)鏡像異性体およびそれらの組合せから選択される、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
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