JP2013528230A - ノーオプション重症虚血肢(cli)を処置するための組成物および方法 - Google Patents

ノーオプション重症虚血肢(cli)を処置するための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する対象、すなわち「ノーオプション(no-option)」CLIを有する対象において、創傷治癒を増加させる、創傷サイズを減少させる、非切断生存を増加させる、切断を予防する、新たな壊疽を予防もしくは遅らせる、生存確率を増加させる、および死亡を予防または遅らせることを含む、重症虚血肢(CLI)を処置する方法を提供する。本発明の方法は、造血、間葉、および内皮系列の混合細胞集団を含む組織修復のための単離された細胞集団を、ノーオプションCLIを有する対象に投与する段階を含み、細胞の生存率は少なくとも80%であり、かつ組成物は:a)約5〜75%生存CD90+細胞を含み、組成物中の残りの細胞はCD45+であり;b)2μg/ml未満のウシ血清アルブミンを含み;c)1μg/ml未満の酵素的に活性な採取試薬を含み;かつd)マイコプラズマ、エンドトキシン、および微生物の汚染を実質的に含まない。

Description

関連出願
本出願は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2010年6月10日に提出された米国特許出願第61/353,512号の恩典を主張する。
発明の分野
本発明は、混合細胞集団の組成物、組織修復およびプロセスのためのインビボでのその後の使用、ならびに特に標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈するそれらの患者および対象の重症虚血肢(CLI)の処置に関する。
発明の背景
再生医療は、再生細胞、たとえば幹細胞および/または前駆細胞(すなわち、体の分化していない親細胞)が自身を無限に再生して成熟専門化細胞へと発達する能力を、臨床的に標的化される様式で利用する。幹細胞は、初期発生段階の際の胚、胎児組織、ならびにいくつかの成体臓器および組織において見いだされる。胚幹細胞(以降、「ESC」と呼ぶ)は、体の全てではないが多くの細胞および組織タイプになることが知られている。ESCは、個体の遺伝情報の全てを持っているのみならず、体の200+の細胞および組織のいずれかになる新しい能力を持っている。このように、これらの細胞は、再生医療にとってとてつもなく大きい可能性を有する。たとえば、ESCは、心臓、肺、または腎臓などの特異的組織に生育することができ、次にこれらを用いて損傷した臓器および疾患を有する臓器を修復することができるであろう。しかし、ESC由来組織は、臨床的限界を有する。ESCは、必然的に別の個体、すなわち胚に由来することから、レシピエントの免疫系が新しい生物材料を拒絶するリスクが存在する。そのような拒絶を予防するために免疫抑制剤が利用可能であるが、そのような薬物はまた、細菌感染症およびウイルスに対する免疫応答などの望ましい免疫応答を遮断することが知られている。
その上、ESCの起源、すなわち胚に対する倫理的論争が、十分に記録に残されており、予測可能な将来に対するさらなる、そしておそらく克服できない障害を表している。
成体幹細胞(以降、互換的に「ASC」と呼ぶ)は、ESCの使用に対する代替物を表す。ASCは、多くの非胚組織に静かに存在して、損傷した組織を治癒することができるように、おそらく外傷または他の破壊的疾患プロセスに対して応答待ちをしている。特に、各個体が、全てではないが多くのタイプの細胞および組織になる能力をESCと共有しうるASCのプールを有することは、ますます多くの科学的証拠により示されている。このように、ESCと同様にASCは、再生医療の臨床応用に関してとてつもなく大きい可能性を有する。
ASC集団は、骨髄、皮膚、筋肉、肝臓、および脳の1つまたは複数に存在することが示されている。しかし、これらの組織におけるASCの頻度は低い。たとえば、骨髄における間葉幹細胞の頻度は、有核細胞100,000個中1個から1,000,000個中1個であると推定されている。このように、そのような組織からのASCについて提唱されるいかなる臨床応用も、細胞精製および細胞培養のプロセスにより細胞数、純度、および成熟度を増加させることが必要である。
細胞培養段階は、細胞数、純度、および成熟度の増加を提供しうるが、それらは犠牲を払って提供している。この犠牲には、以下の技術的困難の1つまたは複数が含まれうる:細胞の加齢による細胞機能の喪失、おそらく有用な細胞集団の喪失、細胞の患者への可能性がある適用の遅れ、金銭面での費用の増加、培養時の環境微生物による細胞の汚染リスクの増加、および採取した細胞に含まれる培養材料を取り除くためのさらなる培養後処理の必要性。
より具体的に、全ての最終細胞製剤は、米国食品医薬品局(FDA)が課す厳密な必要条件に適合しなければならない。FDAは、全ての最終細胞製剤が、ヒト対象においてアレルゲン作用を生じることができることが知られている「異質の」タンパク質を最小限にしなければならないと共に、汚染のリスクを最小限にしなければならないと要求している。その上、FDAは、細胞生存率は最少でも70%を期待しており、いかなるプロセスもこの最小限の必要条件を一貫して超えるべきである。
望ましくない溶存培養成分から細胞を分離するための既存の方法および装置、ならびに現在臨床で用いられている多様な装置があるが、そのような方法および装置は、例として生存率の低減および細胞の生物機能の低減、ならびに遊離の細胞DNAおよび破片の増加によって示される、分離プロセスの際に適用される機械的力によって引き起こされる細胞の損傷、という重要な問題を抱えている。さらに、有意な細胞の喪失は、全ての細胞を分離装置に移すことができないことのみならず、装置から全ての細胞を抽出できないことにより起こりうる。加えて、混合細胞集団の場合、これらの方法および装置は、より大きくより脆弱な亜集団の選択的喪失による細胞プロファイルのシフトを引き起こしうる、
このように、組織修復、組織再生、および組織工学などの細胞治療の分野において、実質的に高い生存率および機能性を有し、ならびに細胞を培養および採取する際に必要である材料が実質的に取り除かれた、患者に直接投与するための準備ができた細胞組成物が必要である。さらに、細胞治療製剤としてのこれらの組成物の臨床での実施および大規模販売にとって適したこれらの組成物の産生を可能にするための信頼できるプロセスおよびデバイスが必要である。
本発明は、造血、間葉、および内皮系列の混合細胞集団を含む組織修復のための単離された細胞組成物を対象に投与する段階を含む、標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する対象における重症虚血肢(CLI)を処置する方法であって、細胞の生存率が少なくとも80%であり、組成物が、a)約5〜75%生存CD90+細胞を含み、組成物中の残りの細胞がCD45+であり、b)2μg/ml未満のウシ血清アルブミンを含み、c)1μg/ml未満の酵素的に活性な採取試薬を含み、ならびにd)マイコプラズマ、エンドトキシン、および細菌の汚染を実質的に含まず、それによって重症虚血肢(CLI)の臨床的帰結(clinical consequence)を改善または予防する方法を提供する。組織修復のための単離細胞組成物は、本明細書において組織修復細胞(TRC)組成物とも呼ばれる。実施例1および2に記述される臨床試験に用いられるこの組成物の調合は、イクスミエロセル-Tとしても知られる。
本発明の方法のある態様において、標準的な血行再建法は、開放外科技法(open surgical procedure)または経皮血管内技法(percutaneous endovascular procedure)である。さらに、標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞の存在は、理学的検査、血管造影法、カラーフローデュプレックス超音波、またはその任意の組み合わせによって決定されうる。
本発明の方法のある局面に従って、対象は、下肢において血管閉塞を呈しうる。またはもしくはそれに加えて、対象は、肢に、脈の触れない、少なくとも2週間の反復性の虚血性安静時痛、潰瘍形成、または壊疽を呈しうる。対象が下肢に血管閉塞を呈する場合、対象はさらに、足または足指に、足に脈が触れない、かつ足指の収縮期血圧が50 mmHgに等しいかもしくはそれ未満であるか、または足首の収縮期血圧が70 mmHgに等しいかもしくはそれ未満であるかのいずれかである、少なくとも2週間の反復性虚血性安静時痛、潰瘍形成、または壊疽を呈しうる。
ノーオプション(no-option)重症虚血肢(CLI)の例示的な臨床的帰結には、安静時痛の増加、肢(腕または脚)の可動性の減少、潰瘍形成、創傷サイズの増加(創傷サイズの倍加)、創傷治癒の減少または障害、新たな壊疽、肢での脈の減少または非存在、組織の喪失(組織の壊死)、切断(例として、大切断術とならない手指または足指などの指の切断)、大切断術(たとえば、脚の距骨またはそれより上での切断として定義される)、または死亡が挙げられるがこれらに限定されない。罹患肢の機能の減少は、肢の可動域の減少、強さの減少、または身体運動持続時間の減少を含むがこれらに限定されるわけではない。本発明の方法のある局面において、肢は脚であり、罹患肢の機能の減少は、歩行距離の減少または歩行時間の減少を含む。
標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する対象の処置は、臨床目標を達成する。例示的な臨床目標には、疼痛の減少、罹患肢の機能の増加、創傷サイズの減少、創傷治癒の増加、新たな壊疽の遅延もしくは予防、切断の遅延もしくは予防、または生存の増加が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
臨床目標が疼痛の減少である場合、疼痛の減少は、組成物の投与前の期間での対象による鎮痛薬投与の要求または鎮痛薬の用量を、組成物の投与後の時点での対象による鎮痛薬投与の要求または鎮痛薬の用量と比較することによって決定され、投与要求が減少すればまたは用量が減少すれば、処置が組成物の投与後に対象の疼痛を減少させたことを示している。
臨床目標が罹患肢の機能の増加である場合、罹患肢の機能の増加は、組成物の投与前の期間での肢の可動域、強さ、または身体運動の持続時間の測定値を、組成物の投与後の時点での肢の可動域、強さ、または身体運動の持続時間の測定値と比較することによって決定され、可動域が増加すれば、強さが増加すれば、または持続時間の測定値が増加すれば、処置が組成物の投与後に対象の罹患肢の機能を増加させたことを示している。
臨床目標が、創傷サイズの減少である場合、創傷サイズの減少は、組成物の投与前の期間での創傷の面積、周囲長、または深さの測定値を、組成物の投与後の時点での創傷の面積、周囲長、または深さの測定値と比較することによって決定され、面積、周囲長、または深さの測定値が減少すれば、処置が組成物の投与後に創傷サイズを減少させたことを示している。
臨床目標が、創傷治癒の増加である場合、創傷治癒の増加は、組成物の投与前の期間での創傷の活動性炎症、血管新生、コラーゲン沈着、線維増殖、肉芽組織形成、上皮化、収縮、またはリモデリングの測定値を、組成物の投与後の時点での創傷の活動性炎症、血管新生、コラーゲン沈着、線維増殖、肉芽組織形成、上皮化、収縮、またはリモデリングの測定値と比較することによって決定され、活動性炎症、血管新生、コラーゲン沈着、線維増殖、肉芽組織形成、上皮化、収縮、またはリモデリングの測定値が増加すれば、処置が、組成物の投与後に創傷治癒を増加させたことを示している。
臨床目標が、新たな壊疽の遅延または予防である場合、新たな壊疽の遅延または予防は、組成物の投与前の期間での組織壊死の測定値を、組成物の投与後の時点での組織壊死の測定値と比較することによって決定され、組織壊死の測定値が同一であるかまたは減少すれば、処置が組成物の投与後に新たな壊疽の形成を遅らせたかまたは予防したことを示している。
臨床目標が切断の遅延または予防である場合、切断の遅延または予防は、組成物の投与前の期間での対象の切断に関する予後を、組成物の投与後の対象の切断に関する予後と比較することによって決定され、切断までに要する時間が増加すれば、または回復により切断技法が回避されれば、処置が罹患肢の切断をそれぞれ、遅らせたかまたは予防したことを示している。
臨床目標が、生存の増加である場合、生存の増加は、組成物の投与前の期間での対象の生存に関する予後を、組成物の投与後の対象の生存に関する予後と比較することによって決定され、予想される生存期間が増加すれば、処置が組成物の投与後に対象の生存を増加させたことを示している。
組成物は、1つまたは複数の部位での筋肉内注射によって投与されうる。好ましい態様において、組成物は20カ所に注射される。
組成物の細胞は単核球に由来する。これらの単核球は、骨髄、末梢血、臍帯血または胎児肝臓に由来する。
任意で、組成物の細胞は、ヒトに投与するために適した医薬品グレードの電解質溶液中に存在する。ある局面において、組成物は、ウマ血清および/またはウシ胎児血清を実質的に含まない。
本発明のある局面において、組成物のCD90+細胞の少なくとも10%は、CD15を同時に発現する。またはもしくは加えて、組成物のCD45+細胞は、CD14+、CD34+、またはVEGFR1+である。
本発明の方法のある態様において、組成物中の生存細胞の総数は、3500万個から3億個である。好ましい態様において、組成物は、平均で90〜180×106個の生存細胞を含む。その上、細胞は、15ミリリットル、10ミリリットル、または7.5ミリリットル未満の容積中に存在しうる。
本発明はまた、造血、間葉、および内皮系列の混合細胞集団を含む組織修復のための単離細胞組成物を対象に投与する段階を含む、標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する重症虚血肢(CLI)と診断された対象における非切断生存を増加させる方法であって、細胞の生存率が少なくとも80%であり、組成物が、a)約5〜75%生存CD90+細胞を含み、組成物中の残りの細胞がCD45+であり、b)2μg/ml未満のウシ血清アルブミンを含み、c)1μg/ml未満の酵素的に活性な採取試薬を含み、ならびにd)マイコプラズマ、エンドトキシン、および微生物の汚染を実質的に含まない方法を提供する。本発明の方法のある態様において、非切断生存は、同様に重症虚血肢(CLI)と診断されて、同様に標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する無処置対象と比較した場合に、処置対象において増加する。非切断生存は、切断が行われるまで、対象が死亡するまで、またはその両者が起こるまでの組成物の投与時間として定義される。
本発明は、造血、間葉、および内皮系列の混合細胞集団を含む組織修復のための単離細胞組成物を対象に投与する段階を含む、標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する重症虚血肢(CLI)と診断された対象における大切断術を阻止する方法であって、細胞の生存率が少なくとも80%であり、組成物が、a)約5〜75%生存CD90+細胞を含み、組成物中の残りの細胞がCD45+であり、b)2μg/ml未満のウシ血清アルブミンを含み、c)1 μg/ml未満の酵素的に活性な採取試薬を含み、ならびにd)マイコプラズマ、エンドトキシン、および微生物の汚染を実質的に含まない方法を提供する。本発明の方法のある態様において、血管閉塞は脚で生じる。血管閉塞が脚で生じる場合、大切断術は、脚の距骨またはそれより上での切断である。本発明の方法のある局面において、大切断術は、組成物の投与時から投与後1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または25年まで阻止される。またはもしくは加えて、大切断術は、たとえば理学的検査、血管造影法、カラーフローデュプレックス超音波、またはその任意の組み合わせによって確認した肢の血行が再建される場合に、阻止される。肢の機能と共に血行再建が得られる対象は、大切断術を無期限に回避して、それゆえ大切断術が阻止される。
本発明は、造血、間葉、および内皮系列の混合細胞集団を含む組織修復のための単離細胞組成物を対象に投与する段階を含む、標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する重症虚血肢(CLI)と診断された対象における新たな壊疽、組織喪失、切断、または死亡の発生を遅らせる方法であって、細胞の生存率が少なくとも80%であり、組成物が、a)約5〜75%生存CD90+細胞を含み、組成物中の残りの細胞がCD45+であり、b)2μg/ml未満のウシ血清アルブミンを含み、c)1μg/ml未満の酵素的に活性な採取試薬を含み、ならびにd)マイコプラズマ、エンドトキシン、および微生物の汚染を実質的に含まない方法を提供する。本発明の方法のある態様において、新たな壊疽、組織喪失、切断、または死亡の発生は、同様に重症虚血肢(CLI)と診断されて、同様に標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する無処置対象と比較して、処置対象において遅れる。本発明の方法のある局面において、切断は、小切断術および大切断術を含む。
病的肥満、進行糖尿病、または高齢(全身健康状態不良を伴う)などの基礎医学的状態も有するノーオプションCLIを有する対象は、ノーオプションCLIのより重度の帰結を永久には回避することができない可能性があるが、それらの患者は、クオリティオブライフの有意な増加を経験するために十分な期間、これらの事象の発生を遅らせることによって、これらの方法から恩恵が得られる可能性がある。さらに、高齢者は、ノーオプションCLIよりむしろ年齢により病的状態が生じるまで切断を回避することによって、恩恵が得られる可能性がある。それゆえ、ノーオプションCLIの罹患によらず、対象の健康状態が既に不良である可能性があることから、ノーオプションCLIを「処置する」という考え方には、可動性の改善、疼痛の減少、創傷治癒の改善、創傷サイズの減少、ならびに組織喪失、切断、および死亡の遅延が含まれる。ノーオプションCLIの処置は、それ以外は健康である個体では治癒でありうるが、平均的な対象においてノーオプションCLIを有する対象を処置する場合の成否の測定は、既存の症状の改善、またはより悪い症状の発生の遅延を含む。
本発明は、造血、間葉、および内皮系列の混合細胞集団を含む組織修復のための単離細胞組成物を対象に投与する段階を含む、標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する重症虚血肢(CLI)と診断された対象における生存確率を増加させる方法であって、細胞の生存率が少なくとも80%であり、組成物が、a)約5〜75%生存CD90+細胞を含み、組成物中の残りの細胞がCD45+であり、b)2μg/ml未満のウシ血清アルブミンを含み、c)1μg/ml未満の酵素的に活性な採取試薬を含み、ならびにd)マイコプラズマ、エンドトキシン、および微生物の汚染を実質的に含まない方法を提供する。本発明の方法のある態様において、生存確率は、同様に重症虚血肢(CLI)であると診断され、同様に標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する無処置対象と比較した場合に処置対象において増加する。生存確率は、処置が失敗するまでの時間、または処置が成功する可能性を表現するもう1つの方法である。本明細書において提供されるデータは、ノーオプションCLIを有する個体がノーオプションCLI誘発有害事象を経験するまでにより長い期間生存することから、彼らが本発明の組成物の投与によって統計学的に有意な恩恵を得ることを証明している。
本明細書において提供される方法のある態様において、組成物は、標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する対象に、もう1つの治療と併用して投与される。例として、対象が、処置を受けている肢または自身の体の別の部分に基礎疾患のアテローム性動脈硬化症を有する場合、組成物は、薬剤と併用して投与される。企図される薬剤は、脂質を低減させ(脂質またはコレステロール低減治療)、血小板凝集もしくは血管壁への血小板の付着を低減させ(抗血小板治療)、または血圧を低減させる(抗高血圧治療)。その上、本発明の方法の対象は、処置した肢または自身の体の別の部分にノーオプションCLIに関連する創傷を有しうる。このように、組成物は、局所または全身創傷ケアと併用して投与される。例示的な創傷ケアには、感染症を減少させるための薬剤(抗生物質のような)、炎症を減少させるための薬剤、治癒を促進するための薬剤(抗酸化剤)、および脈管形成を促進するための薬剤(血管新生促進因子);創傷のために組織を生育させる基質を提供するためのマトリクスまたは足場;および死んだ組織、損傷した組織、または感染した組織を除去するための外科的介入(挫滅組織切除)が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
ノーオプションCLIを発症する患者/対象はしばしば、肥満、糖尿病、および/または高齢である。その上、これらの患者は、一般集団より高率で心疾患を経験する。このように、本明細書において提供される方法はまた、肥満(例として、オリツスタット(olitstat)および非処方薬版アライ(alli)を含む薬物)、心疾患(例として、高コレステロールまたは高血圧と闘うために用いられる薬物)、および糖尿病(たとえば、I型のためのインスリンおよびII型のための減量治療)のための処置と併用して用いられうる。
1つの局面において、本発明は、混合細胞集団を含む組織修復のための単離細胞組成物を提供する。細胞は、ヒトに投与するために適した医薬品グレードの電解質溶液中に存在する。細胞は単核球に由来する。たとえば、細胞は骨髄、末梢血、臍帯血、または胎児肝臓に由来する。細胞は、造血、間葉、および内皮系列の細胞である。細胞の生存率は少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれより上である。組成物中の生存細胞の総数は、3500万個から3億個であり、25 ml、20 ml、15ml、10 ml、7.5 ml、5 ml未満、またはそれ未満の容積中に存在する。組成物中の生存細胞の少なくとも5%は、CD90+である。たとえば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%またはそれより多くがCD90+である。いくつかの局面において、CD90+の少なくとも5%、10%、15%、20%、50%またはそれより多くがCD15を同時発現する。好ましくは、細胞は約5〜75%生存CD90+であり、組成物中の残りの細胞はCD45+である。CD45+細胞は、CD14+、CD34+、またはVEGFR1+である。
組成物は、細胞組成物の産生時に用いられる成分、たとえばウシ血清アルブミン、ウマ血清、ウシ胎児血清、酵素的に活性な採取試薬(たとえば、トリプシン)などの細胞培養成分を実質的に含まず、ならびにマイコプラズマ、エンドトキシン、および微生物の汚染を実質的に含まない。好ましくは、組成物は、10、5、4、3、2、1、0.1、0.05μg/mlまたはそれ未満のウシ血清アルブミンおよび5、4、3、2、1、0.1、0.05μg/mlの酵素的に活性な採取試薬を含む。
本発明の組成物および本発明の組成物を作製する方法は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、国際出願PCT/US2007/023302、公開番号WO 2008/054825に提供される。
特に明記していなければ、本明細書において用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書の記述と類似または同等の方法および材料を本発明の実践または試験において用いることができるが、適した方法および材料を以下に記述する。本明細書において言及した全ての刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる。矛盾する場合、定義を含めて本明細書が優先するであろう。加えて、材料、方法、および実施例は、説明するために限られ、制限すると意図されない。
本発明の他の特色および長所は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
本発明の様々な他の目的、特色および付随する長所は、以下の詳細な説明からよりよく理解されるが、添付の図面に関連して考慮すればより十分に認識され、図面において類似の参照記号は、いくつかの写真を通して類似または対応するパーツを指示する。
図1A〜Dは、採取後のバイオリアクターにおいて骨髄細胞を拡大するプロセスを描写する一連の写真である。 図1Aの続きである。 図1Bの続きである。 図1Cの続きである。 図2A〜Bは、開始骨髄(A)対拡大後のTRC集団において見いだされる細胞タイプの頻度分布を描写する一組のグラフである。本発明の方法に従うTRCの拡大はまた、骨髄において見いだされる初期段階の細胞数を増加させる。AとBの違いは、細胞タイプの頻度が、バイオリアクターにおいて骨髄細胞のTRC集団への拡大後に幹細胞および前駆細胞に向かってシフトすることを証明している。 骨髄吸引液およびTRC製剤試料の表現型分析を描写するグラフである。フローサイトメトリー分析を、自動シングルパス灌流培養の前の吸引試料およびTRC製剤について行った。吸引液およびTRC試料の両方に関して完全な表現型分析を行った試料を有する患者を含めた(n=19)。バーの上の数字は、100万個単位での平均細胞数を示す。 処置失敗が最初に発生するまでの時間、大切断術の複合エンドポイント、創傷総表面積の倍加、新たな壊疽の発生または死亡に関するカプラン-マイヤー生存プロットを描写するグラフである。打ち切られた観察を「+」の記号で示す。 第一の中間分析時点での非切断生存のカプランマイヤー生存プロットを描写する一組のグラフである。打ち切られた観察を「+」の記号で示す。 最後の試験データベースロックでの非切断生存のカプランマイヤー生存プロットを描写する一組のグラフである。打ち切られた観察を「+」の記号で示す。 対照(プラセボ処置)群対TRC処置群のいずれかにおける経時的な(6ヶ月のウィンドウの期間)6ヶ月間の(切断を受けた患者の百分率として表記)切断率に関する第一の中間分析の結果を描写するグラフである。ノーオプション重症虚血肢と診断された対象に両方の処置条件を提供した。第一の中間分析からのデータは、TRC処置集団の19%が切断を受けたのに対し、対照群では43%が切断を受けたことを示している(p=0.14、フィッシャーの正確確率検定)。 対照(プラセボ処置)群対TRC処置群のいずれかにおける経時的な(6および12ヶ月の時点で収集および示されたデータ)12ヶ月間の(切断を受けた患者の百分率として表記)大切断率に関する第一の中間分析の結果を描写するグラフである。ノーオプション重症虚血肢と診断された対象に両方の処置条件を提供した。6ヶ月および12ヶ月で第一の中間分析を行うと、データは、TRC処置集団の18%が切断を受けたのに対し、対照群では36%が切断を受けたことを示している(p=0.39、フィッシャーの正確確率検定)。 12ヶ月間の追跡調査を完了した患者における完全な創傷治癒率に関する6および12ヶ月の時点での第一の中間分析のデータを描写するグラフである。6ヶ月の時点では、対照群とTRC患者群のあいだに統計学的な差はなかった(P=1.00、フィッシャーの正確確率検定)。12ヶ月の時点での第一の中間分析では、TRC処置群における創傷治癒の発生率はより高かったものの、標本サイズが小さいために同様に統計学的に有意ではなかった(P=0.61、フィッシャーの正確確率検定)。 最終試験データベースロック時の、ベースラインで創傷を有する患者の非切断生存(AFS)のカプランマイヤー生存プロットを描写するグラフである。 最終試験データベースロック時の、ベースラインで創傷を有する患者の処置失敗までの時間(TTF)のカプラン-メイヤー生存プロットを描写するグラフである。
発明の詳細な説明
本発明は、細胞治療のための細胞を産生する組成物および方法の発見に基づいている。組成物は、組織修復、組織再生、および組織工学のためにヒトへの投与にとって独自に適している幹細胞および前駆細胞に富む混合細胞集団である。これらの細胞は、本明細書において「組織修復細胞」または「TRC」と呼ばれる。本明細書において紹介した方法およびデータは、TRCが、標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する患者/対象における重症虚血肢を処置することを証明する。
組織修復細胞(TRC)
TRCの単離、精製、特徴付け、および培養は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、WO2008/054825に記述されている。
TRCは、単核球から産生された造血、間葉、および内皮細胞系列の細胞の混合物を含む。単核球は、成体、青年、胎児、または胚組織から単離される。たとえば、単核球は、骨髄、末梢血、臍帯血、または胎児肝組織に由来する。TRCは、たとえばインビトロ培養プロセスによって単核球から産生され、それによって開始材料として用いた単核球集団と比較して表現型および機能的差異の両方を有する独自の細胞組成物が得られる。加えて、TRCは、高い生存率と、産生の際に用いられる成分の低い残留レベルの両方を有する。
TRCの生存率は、少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれより上である。生存率は、トリパンブルー排除などの当技術分野において公知の方法によって測定される。この生存率の増強により、TRC集団は組織修復においてより有効となるのみならず、最終細胞製剤の保存期間および凍結保存能を増強する。
産生の際に用いられる成分とは、ウマ血清、ウシ胎児血清、および細胞採取のための酵素溶液などの培養培地成分を意味するが、これらに限定されるわけではない。酵素溶液には、トリプシン(動物由来、微生物由来、または組み換え型)、様々なコラゲナーゼ、代替微生物由来酵素、解離物質、一般的なプロテアーゼ、またはこれらの混合物が挙げられる。これらの成分を除去することにより、それを必要とする対象へのTRCの安全な投与が提供される。
好ましくは、本発明のTRC組成物は、10、5、4、3、2、1μg/ml未満のウシ血清アルブミン、5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5 μg/ml未満の採取酵素(酵素活性によって決定)を含み、マイコプラズマ、エンドトキシン、および微生物(たとえば、好気性、嫌気性、および真菌)の汚染を実質的に含まない。
エンドトキシンを実質的に含まないとは、生物製剤に関してFDAによって容認されるTRCの用量当たりのエンドトキシン、すなわち総エンドトキシンが5 EU/kg体重/日より少ない量が存在することを意味し、この量は、平均体重70 kgの人の場合TRCの全用量あたり350 EUを意味する。
マイコプラズマおよび微生物の汚染を実質的に含まないとは、当業者に公知の一般的に認められる検査の記録値が陰性であることを意味する。たとえば、マイコプラズマの汚染は、TRC製剤試料を、ブロス培地においてサブ培養して、これを1、3、7、および14日目に適当な陽性および陰性対照と共に寒天プレート上に37℃で分散させることによって決定される。製剤試料の外観を、顕微鏡によって倍率100倍で陽性および陰性対照の外観と比較する。加えて、指標となる細胞培養物の接種物を3および5日間インキュベートして、DNA結合蛍光色素を用いて、落射蛍光顕微鏡によって倍率600倍でマイコプラズマの存在に関して調べる。製剤は、寒天および/またはブロス培地技法および指標細胞培養技法がマイコプラズマ汚染の証拠を示さなければ、申し分ないと見なされる。
製剤が微生物の汚染を含まないことを確立するための無菌性試験は、米国薬局方ダイレクトトランスファーメソッド(Direct Transfer Method)に基づく。この技法は、採取前の培地排液および濃縮前の試料を、トリプシン大豆ブロス培地および液体チオグリコーレート培地を含む試験管に接種することを必要とする。これらの試験管を、曇り(混濁)の出現に関して14日間のインキュベーションのあいだ定期的に観察する。いずれかの培地においていずれかの日に曇りが出現すれば、汚染を示しており、透明な外観(生育なし)は、実質的に汚染を含まないことを示している。
TRC内の細胞がBM-MNCと比較してクローン原性のコロニーを形成することができるか否かを決定した。造血(CFU-GM)および間葉(CFU-F)系コロニーの両方をモニターした(表1)。表1に示されるように、CFU-Fは280倍増加したが、CFU-GMは、培養によってわずかに増加したに過ぎなかった。
(表1)
Figure 2013528230
結果は、8回の臨床規模の実験の平均値±SEMである。
TRC組成物の細胞は、細胞表面マーカーの発現によって特徴付けされている。表2は、開始BM MNCおよびTRCに関するフローサイトメトリーによって測定された典型的な表現型を示す。これらの表現型および機能の差により、TRCは単核球開始組成物と高度に識別される。
(表2)
Figure 2013528230
M=間葉系列、H=造血系列、E=内皮系列。結果は、4回の臨床規模の実験の平均値である。
造血、間葉、および内皮系列のマーカーを調べた。CD11b骨髄、CD14 auto-単球、CD34前駆細胞、およびCD3リンパ球系列を含むほとんどの造血系列細胞は、わずかに減少するが、CD14 auto+マクロファージは81倍拡大する。CD90+およびCD105+/166+/45-/14-によって定義される間葉細胞は、373倍まで拡大する。成熟血管内皮細胞(CD144/146)およびCXCR4/VEGFR1+支持細胞を含む、脈管形成に関係しうる細胞は、6から21倍拡大する。
ほとんどの造血系列細胞は、これらの培養において拡大しないが、最終製剤はなおも80%に近いCD45+造血細胞およびおよそ20%のCD90+間葉細胞を含む。
TRCは、それらが由来する単核球集団と比較してCD90+細胞に関して非常に濃縮されている。TRC組成物中の細胞は、少なくとも5%、10%、25%、50%、75%またはそれより多くのCD90+である。TRC組成物中の残りの細胞はCD45+である。好ましくは、TRC組成物中の細胞は約5〜75%生存CD90+である。様々な局面においてCD90+の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%またはそれより多くもまたCD15+である(表3)。加えて、CD90+はまた、CD105+でもある。
(表3)
Figure 2013528230
対照的に、骨髄単核球(BMMNC)中のCD90+集団は典型的に、1%未満であり、そのためCD45+細胞は、BMMNC中の有核細胞の99%より多くを構成する。このように、開始単核球集団と比較してTRC組成物中の成熟造血細胞の多くは有意に低減する(表2)。
造血、間葉、および内皮幹細胞のこの独自の組み合わせは、単核球と異なるのみならず、細胞治療において現在用いられる他の細胞組成物とも異なる。表4は、間葉幹細胞および脂肪細胞由来幹細胞と比較したTRCの細胞表面マーカープロファイルを示す(Deans RJ, Moseley AB. 2000. Exp. Hematol. 28: 875-884; Devine SM. 2002. J Cell Biochem Supp 38: 73-79; Katz AJ, et al. 2005. Stem Cells. 23:412-423; Gronthos S, et al. 2001. J Cell Physiol 189:54-63; Zuk PA, et al. 2002. Mol Biol Cell. 13: 4279-95)。
たとえば、間葉幹細胞(MSC)は、CD90+に関して高度に精製され(95%より多くのCD90+)、CD45+の割合は非常に低い(あるとしても)。脂肪細胞由来幹細胞は、より変動が大きいが、同様に典型的に95%より多くのCD90+を有し、CD45+血球は組成物の一部としてほとんど存在しない。同様に、多能性成体前駆細胞(MAPC)も存在し、これはBMMNCから培養され、それによってMSCとは異なる集団でCD49cを同時発現する純粋なCD90集団が得られる。用いられる他の幹細胞は、CD34+細胞、AC133+細胞、およびCD34+lin-細胞を含む高度に精製された細胞タイプであり、これらは本来、組成物の一部としてCD90+細胞をほとんどから全く有しないことから、TRCとは実質的に異なる。
細胞マーカー分析もまた、本発明の方法に従って単離されたTRCが、より高い割合のCD14+auto+、CD34+およびVEGFR+細胞を有することを証明している。
(表4)
Figure 2013528230
TRC集団に存在する細胞タイプの各々は、多様な免疫調節機能を有する。単球/マクロファージ(CD45+、CD14+)は、T細胞活性化を阻害するのみならず、マクロファージによるインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)発現を示す(Munn D.H. and Mellor A.L., Curr Pharm Des., 9:257-264 (2003); Munn D.H., et al J Exp Med., 189:1363-1372 (1999); Mellor A.L. and Munn D.H., J. Immunol., 170:5809-5813 (2003); Munn D H., et al., J. Immunol., 156:523-532 (1996))。単球およびマクロファージは、炎症および組織修復を調節する(Duffield J.S., Clin Sci (Lond), 104:27-38 (2003); Gordon, S.; Nat. Rev. Immunol., 3:23- 35 (2003); Mosser, D.M., J. Leukoc. Biol., 73:209-212 (2003); Philippidis P., et al., Circ. Res., 94: 119-126 (2004))。これらの細胞はまた、寛容および移植免疫抑制を誘導する(Fandrich F et al. Hum. Immunol., 63:805-812 (2002))。調節性T細胞(CD45+CD4+CD25+)は、損傷後の生得の炎症反応を調節する(Murphy T.J., et al., J. Immunol., 174:2957-2963 (2005))。T細胞はまた、自己寛容の維持ならびに自己免疫疾患の予防および抑制の原因でもある(Sakaguchi S. et al., Immunol. Rev., 182: 18-32 (2001); Tang Q., et al., J. Exp. Med., 199:1455-1465 (2004))。T細胞はまた、移植の寛容を誘導して維持し(Kingsley C.I., et al. J. Immunol., 168:1080-1086 (2002); Graca L., et al., J. Immunol., 168:5558-5565 (2002))、および移植片対宿主病を阻害する(Ermann J., et al., Blood, 105:2220-2226 (2005); Hoffmann P., et al., Curr. Top. Microbiol. Immunol., 293:265-285 (2005); Taylor P.A., et al., Blood, 104:3804-3812 (2004))。間葉幹細胞(CD45+CD90+CD105+)は、IDOを発現して、T細胞活性化を阻害する(Meisel R., et al., Blood, 103:4619-4621 (2004); Krampera M., et al., Stem Cells, (2005))のみならず、抗炎症活性を誘導する(Aggarwal S. and Pittenger M.F., Blood, 105: 1815-1822 (2005))。
TRCはまた、programmed death ligand 1(PDL1)の発現の増加も示す。PDL1の発現の増加は、抗炎症性サイトカインIL-10の産生に関連している。PDL1発現は、非炎症状態に関連している。TRCは、炎症の誘導に反応してPDL1発現を増加させ、これはTRCの抗炎症特性のもう1つの局面を示す。
BM MNCとは対照的に、TRCはまた、少なくとも5つの別個のサイトカインならびに創傷修復および炎症のダウンレギュレーションの制御の両方に関して強力な活性を有する1つの調節酵素を産生する。具体的に、TRCは、1)インターロイキン-6(IL-6)、2)インターロイキン-10(IL-10)、3)血管内皮増殖因子(VEGF)、4)単球化学誘引タンパク質-1(MCP-1)、および5)インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1ra)を産生する。これらの5つのサイトカインの特徴を以下の表5に要約する。
(表5)
Figure 2013528230
TRCのさらなる特徴は、インターロイキン-α(IL-1α)、インターロイキン-β(IL-1β)、インターフェロン-γ(IFN-γ)および最も特にインターロイキン-12(IL-12)を含むTh1炎症経路を活性化することが知られているある中心的なメディエータを自発的に産生できないこと、または非常に低レベルで産生することを含む。重要なことにTRCは、これらの後者のTh1-型サイトカインを、培地交換もしくは灌流培養の際にも、または細菌リポ多糖類(LPS)などの公知の炎症性の刺激による意図的な誘導後でも自発的に産生しない。TRCは、抗CD3 mAbによるT細胞誘発後に限って低レベルのIFN-γを産生した。最後に、現在の方法によって産生されたTRCは、抗炎症性サイトカインIL-6およびIL-10をより多く産生すると共に、炎症性サイトカインIL-12をより少なく産生する。
その上、TRCは、インドールアミン-2,-3ジオキシゲナーゼ(IDO)と呼ばれる重要な免疫調節酵素の発現に関して誘導可能である。本発明に従うTRCは、インターフェロン-γによって誘導されるとより高いレベルのIDOを発現する。IDOは、動物モデルおよびヒトにおける新たなおよび進行中の炎症反応をいずれもダウンレギュレートすることが証明されている(Meisel R., et al., Blood, 103:4619-4621 (2004); Munn D.H., et al., J. Immunol., 156:523-532 (1996); Munn D.H., et al. J. Exp. Med. 189: 1363-1372 (1999); Munn D.H. and Mellor A.L., Curr. Pharm. Des., 9:257-264 (2003); Mellor A.L. and Munn D.H., J. Immunol., 170:5809-5813 (2003))。
先に考察したように、TRCは、CD90およびCD15を同時発現する細胞集団に関して非常に濃縮されている。
CD90は、多数の系列に分化することができる幹細胞および前駆細胞に存在する。これらの細胞は、分化の状態が異なる異種細胞集団である。細胞の分化状態を定義する細胞マーカーが、胚または胎児起源の幹細胞に関して同定されている。これらのマーカーの1つであるSSEA-1は、CD15とも呼ばれ、マウス胚幹細胞において見いだされるが、ヒト胚幹細胞では発現されない。しかし、これはマウスおよびヒトの両方の神経幹細胞において検出されている。CD15はまた、ヒト骨髄または脂肪組織由来の精製間葉幹細胞において発現されない(表6)。このように、CD90およびCD15の両方を同時発現するTRC中の細胞集団は、独自の細胞集団であり、CD90成体由来細胞の幹細胞様状態を定義しうる。
したがって、本発明のもう1つの局面において、CD90およびCD15の両方を発現する細胞集団をさらに濃縮してもよい。さらに濃縮するとは、細胞組成物が、5%、10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%CD90+CD15+細胞を含むことを意味する。TRCはさらに、細胞表面マーカーに対する抗体を用いる陽性または陰性選択などの当技術分野において公知の方法によって、CD90+CD15+細胞に関して濃縮することができる。CD90+CD15+細胞に関してさらに濃縮されているTRCは、心臓の修復および再生において特に有用である。
(表6)
Figure 2013528230
TRCの産生法
TRCは、骨髄単核球(BM MNC)を含む任意の哺乳動物組織から単離される。BM MNCの適した起源は、末梢血、骨髄、臍帯血、または胎児肝臓である。血液は、この組織が容易に得られることからしばしば用いられる。哺乳動物には、たとえばヒト、霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、またはブタが挙げられる。
TRCを生成するための培養法は、従来の細胞分画法を用いて、赤血球および多形核細胞のいくつかを除去することによる開始材料(たとえば、組織)からのBM MNCの濃縮によって始まる。たとえば、細胞は、FICOLL(登録商標)密度勾配分離を用いて分画される。培養を開始するために十分量の細胞を提供するため、培養のために必要な開始材料の容積は、典型的に小さく、たとえば40から50 mlである。しかし、任意の容積の開始材料を用いてもよい。
次に、自動細胞計数器を用いて有核細胞濃度を評価して、開始材料の濃縮分画をバイオチャンバー(細胞培養容器)に接種する。バイオチャンバーに接種された細胞数は、その容積に依存する。本発明に従って用いられうるTRCの培養は、104から109個/ml培養物の細胞密度で行われる。Aastrom Replicellバイオチャンバーを用いる場合、全体で細胞2〜3×108個を、およそ280 mlの容積に接種する。
接種前、バイオチャンバーに培養培地をプライミングする。実例で説明すると、本発明に従って用いられる培地は、3つの基本成分を含む。第一の成分は、IMDM、MEM、DMEM、RPMI1640、アルファ培地、またはマッコイ培地、または同等の公知の培養培地成分を含む培地成分である。第二は、少なくともウマ血清またはヒト血清を含み、任意で仔ウシ胎児血清、新生仔ウシ血清、および/またはウシ血清をさらに含みうる血清成分である。任意で、当技術分野において公知の無血清培養培地を用いてもよい。第三の成分は、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、ソルメドロール、またはこれらの組み合わせなどのコルチコステロイド、好ましくはヒドロコルチゾンである。培養培地はさらに、B7H3ポリペプチド、VSIG4ポリペプチド、または両方の組み合わせを含む。Aastrom Replicellバイオチャンバーを用いる場合、培養培地は、IMDM、約10%ウシ胎児血清、約10%ウマ血清、約5μMヒドロコルチゾン、および4 mM L-グルタミンからなる。細胞および培地を、培養プロセスの際に制御された傾斜灌流スケジュールでバイオチャンバーの中に通過させる。細胞を2、4、6、8、10、12、14、16日またはそれより長く培養する。好ましくは、細胞は12日より短いあいだ培養される。理論に拘束されたくはないが、B7H3ポリペプチド、VSIG4ポリペプチド、またはその両方を加えることにより、TRC、特にCD45+、CD31+、CD14+、およびauto+細胞集団の急速な拡大が起こるであろう。この急速な拡大は培養時間を大きく低減させ、これはヒトに移植するために適した細胞を製造する場合に特に長所である。
たとえば、Aastrom Replicellシステムの細胞カセットを用いる場合、培養物は5%CO2および20%O2で37℃で維持される。
これらの培養は典型的に、おおよそ生理的であるpH、すなわち6.9から7.6のpHで行われる。培地は、1から20容積百分率の酸素、好ましくは3から12容積百分率の酸素を含む酸素含有雰囲気に対応する酸素濃度で維持される。O2濃度の好ましい範囲は、細胞付近のO2濃度を指し、培地表面または膜を通してでありうるO2導入地点を必ずしも指すのではない。
標準的な培養スケジュールは、1週間に1回行われる1回交換、または1週間に2回行われる培地および血清の1/2交換のいずれかとして、培地および血清を毎週交換することを要求する。好ましくは、培養物の栄養培地を交換して、好ましくは、2×106から1×107個/mlの密度で培養した細胞の場合、連続的または定期的に約24から約48時間あたり約1ml/ml培養物の速度で灌流する。1×104から2×106個/mlの細胞密度の場合、同じ培地交換速度を用いてもよい。このように、約107個/mlの細胞密度に関して、本発明の培地交換速度は、約24から約48時間あたり、細胞107個あたり培地1 mlとして表記されうる。細胞107個/mlより高い細胞密度の場合、単位時間あたり細胞あたり一定の培地および血清の流れを得るために、培地交換速度をそれに比例して増加させてもよい。
骨髄細胞を培養する方法は、Lundell, et al., "Clinical Scale Expansion of Cryopreserved Small Volume Whole Bone Marrow Aspirates Produces Sufficient Cells for Clinical Use," J. Hematotherapy (1999) 8: 115-127(参照により本明細書に組み入れられる)において記述されている。骨髄(BM)吸引液を、等張緩衝食塩水(Diluent 2, Stephens Scientific, Riverdale, NJ)中で希釈して、Coulter ZM細胞計数器(Coulter Electronics, Hialeah, FL)を用いて有核細胞を計数する。Manual Lyse(Stephens Scientific)を用いて、赤血球(無核)を溶解して、密度勾配遠心(Ficoll-Paque(登録商標)Plus, Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)(比重1.077)によって、単核球(MNC)を300g、25℃で20分間分離する。BM MNCを、培養前に、4 mM L-グルタミン9GIBCO BRL, Grand Island, NY)、10%ウシ胎児血清(FBS)(Bio-Whittaker, Walkersville, MD)、10%ウマ血清(GIBCO BRL)、20μg/mlバンコマイシン(Vancocin(登録商標)HCl, Lilly, Indianapolis, IN)、5μg/mlゲンタマイシン(Fujisawa USA, Inc., Deerfield, IL)、および5μMヒドロコルチゾン(Solu-Cortef(登録商標), Upjohn, Kalamazoo, MI)を添加したイスコブ改変ダルベッコ培地(IMDM)である長期BM培養培地(LTBMC)によって2回洗浄した。
細胞の保存
培養後、細胞をたとえばトリプシンを用いて採取して、洗浄して増殖培地を除いた。細胞を医薬品グレードの電解質溶液、たとえば血清アルブミンを添加したIsolyte(B. Braun Medical Inc., Bethlehem, PA)に浮遊させる。
または、細胞を、以下に記述される洗浄採取技法を用いて採取前にバイオチャンバー中で洗浄する。任意で、採取後に細胞を濃縮して、融解時の細胞凝集を阻害するために、10%DMSO(Cryoserv, Research Industries, Salt Lake City, UT)、10%HSA(Michigan Department of Public Health, Lansing, MI)、および200μg/ml組み換え型ヒトDNアーゼ(Pulmozyme(登録商標), Genentech, Inc., South San Francisco, CA)を含む凍結保護保存溶液を用いて、250 mlクリオサイト凍結容器(Baxter Healthcare Corporation, Irvine, CA)などの生物学的適合性の容器中で凍結保存する。クリオサイト凍結容器を予め冷却したカセットに移して、速度制御凍結(Model 1010, Forma Scientific, Marietta, OH)によって凍結保存する。凍結した細胞を、液体窒素フリーザー(CMS-86, Forma Scientific)に直ちに移して、液相で保存する。濃縮した培養物の好ましい容積は、約5 mLから約15 mLの範囲である。より好ましくは、細胞は7.5 mLの容積に濃縮される。
培養後
バイオチャンバーから採取する場合、細胞は、細胞の培養を支持するために必要である様々な溶存成分のみならず培養の際に細胞によって産生された溶存成分からなる溶液中に存在する。これらの成分の多くは、患者への投与にとって安全でないか、またはそうでなければ適していない。それゆえ、ヒトにおいて治療的に用いる準備ができた細胞を作製するために、細胞治療応用における細胞の保存およびヒトへの投与にとって適した医薬品グレードの注射可能な電解質溶液などの望ましい組成を有する新しい溶液に、培養液を交換することによって、溶存成分を細胞から分離することが必要である。
多くの分離プロセスに関連する有意な問題は、これらのプロセスの際に適用される機械的力によって引き起こされ、例として細胞の生存率および生物機能の低減ならびに遊離の細胞DNAおよび破片の増加によって示される細胞の障害である。加えて、全ての細胞を分離装置に移すことができないのみならず、装置から全ての細胞を抽出することができないことにより、有意な細胞の喪失が起こりうる。
分離戦略は、一般的に遠心分離または濾過のいずれかを用いることに基づく。遠心分離の例は、COBE 2991細胞プロセッサー(COBE BCT)であり、および濾過分離の例は、CYTOMATE(登録商標)細胞洗浄装置(Baxter Corp)である(表7)。いずれも、採取した細胞から溶存培養成分を分離(洗浄)するために用いることができる市販の最新技術の自動分離デバイスである。表7に見ることができるように、これらのデバイスによって、TRCの細胞生存率の有意な低下、細胞の全量の低減、および大きく脆弱なCD14+auto+亜集団の選択的喪失による細胞プロファイルのシフトが起こる。
(表7)
Figure 2013528230
当技術分野におけるこれらの限界は、ヒトに用いるために適した細胞集団を作製するための製造および産生プロセスを実行する際に問題となる。細胞に対する損傷を最小限にして、それによって細胞の喪失が最少で高い生存率および生物機能を保持しながら望ましくない溶存成分が除去された細胞溶液が得られることが分離プロセスにとって望ましい。加えて、安全でない最終製剤を生じる微生物汚染を導入するリスクを最小限にすることが重要である。細胞の取り扱いおよび移し替えがより少なければ、このリスクは本質的に低減されるであろう。
本開示において記述される本発明は、機械的力に対する細胞の曝露を最小限にして、回収することができない細胞の閉じこめを最小限にする、細胞を洗浄するための分離プロセスを実行することにより、現在の技術におけるこれらの限界の全てを克服する。その結果、なおも望ましくない溶存培養成分を有効に分離しながら、細胞に対する損傷(たとえば、生存率または機能の低減)、細胞の喪失、および細胞プロファイルのシフトは全て最小限となる。好ましい実行において、分離は、細胞が分離される同じデバイス内で行われ、これによってもう1つの装置を用いる移し換えおよび分離による汚染のさらなるリスクを消失させる。本発明に従う洗浄プロセスを以下に記述する。
洗浄採取
細胞をバイオチャンバーから除去した(採取した)後に、細胞を培養材料から分離(洗浄)するために別の装置に移し換える従来の培養プロセスとは対照的に、洗浄-採取技術は、順序を逆転させて、バイオチャンバーから細胞を採取する前に全ての分離(洗浄)段階を完了するために独自の手段を提供する。
培養材料を細胞から分離するために、望ましい組成の新しい液体(または気体)を、好ましくはバイオチャンバーの中央に、および好ましくは既定の制御された流速で導入してもよい。これによって、液体は置換され、たとえば開口部を通してバイオチャンバーの周囲に沿って押し出され、これを排液バッグに採取してもよい。
本発明のいくつかの態様において、バイオチャンバー内の液体空間の直径は、約33 cmであり、液体空間の高さは約0.33 cmであり、およびすすぎおよび/または採取液をバイオチャンバーに加える流速は、約0.03から1.0容積交換(VE)/分、好ましくは0.50から約0.75 VE/分である。これは実質的に、約8.4から約280 mL/分に相当し、好ましくは140から約210 ml/分に相当する。流速および速度は、いくつかの態様に従って、培養細胞の大部分がバイオチャンバーに保持されて、排液バッグの中に失われず、プロセスを完了するために過剰な長時間を必要としないことを確実にするために役立つ。一般的に、チャンバー内の細胞量は、104から108個/mLの範囲でありうる。TRCの場合、量は105から106個/mLの範囲でありえて、上記のバイオチャンバー寸法に関して3000万個から3億個の総細胞数に対応する。当然、当業者は、バイオチャンバーの寸法が変化すると細胞量が変化することを理解するであろう。
いくつかの態様に従って、バイオチャンバーから培養細胞を採取するにあたって、以下のプロセスを後に行ってもよく、これを以下の表8に大まかに概要する。バイオチャンバーに導入される溶液をバイオチャンバーの中央に加える。排液培地バッグ76は、液体または気体をバイオチャンバーに導入する各段階の後に置換された対応する液体を収集しうる。したがって、細胞を培養後、バイオチャンバーに、条件培養培地(たとえば、IMDM、10%FBS、10%ウマ血清、培養時に細胞によって分泌された代謝物)を満たして、約3000万個から約3億個の細胞を入れる。次に、0.9%NaCl溶液(「すすぎ溶液」)を、約1.5から約2.0リットルの全容積がバイオチャンバーから押し出されるまで、約140から210 mL/分でバイオチャンバーに導入してもよい(段階1)。
バイオチャンバー内で新しいまたは異なる液体を導入するために1回容積交換を行うと、バイオチャンバー内の元の液体を有意に低減させるが、元の液体の何らかの量は残っているであろう。したがって、新しい/異なる液体をさらに容積交換すれば、元の液体が有意に除去されるであろう。
任意で、関心対象細胞がTRCなどの接着細胞である場合、すすぎ溶液は採取溶液によって交換される。採取溶液は典型的に、培養表面に接着した細胞を剥離させる酵素溶液である。採取溶液は、たとえば0.4%トリプシン/EDTAの0.9%NaCl溶液を含み、これを全量約400から約550 mLが送達されるまで約140から210 mL/分でバイオチャンバーに導入してもよい(段階2)。その後、既定の時間(たとえば、13〜17分)経過させて、バイオチャンバーの培養表面に接着した細胞を酵素的に剥離させる(段階3)。
0.5%HSAを添加したIsolyte(B Braun)を、酵素溶液を置換するために、全量約2から約3リットルが送達されるまで約140から210 mL/分で導入してもよい(段階4)。
この時点で、望ましくない溶液(培養培地、酵素溶液)の細胞からの分離は実質的に完了する。
採取される容積を低減させるために、Isolyte溶液の一部を、好ましくは開示の流速でバイオチャンバーに導入される気体(たとえば、空気)を用いて置換する(段階5)。これは、バイオチャンバーに存在する容積のおよそ200から250 ccを置換するために用いられうる。
次に、バイオチャンバーを撹拌して、沈降した細胞を溶液中に浮遊させてもよい(段階6)。次に、この細胞浮遊液を、細胞採取バッグ70(または他の容器)に排液してもよい(段階7)。第二の溶液のさらなる量をバイオチャンバーに添加してもよく、他の任意の残留細胞をすすぎ落とすために2回目の撹拌を行ってもよい(段階8および9)。次に、この最後のすすぎ液を採取バッグ70に加えてもよい(段階10)。
(表8)
Figure 2013528230
治療法
組織修復細胞(TRC)は、コオプションCLIの処置にとって有用である。本明細書において記述される方法のある態様において、TRC組成物の投与は、患者の死亡が含まれうる(ノーオプションCLIの結果ではない)ノーオプションCLIの進行を一定期間遅らせるかまたは予防する。他の態様において、TRC組成物の投与は、ノーオプションCLIの症状を改善して、それによって個体に関するクオリティオブライフを改善する。
重症虚血肢(CLI)
重症虚血肢すなわちCLIは、四肢(手、足、および脚)への血流を減少させる動脈の重度の閉塞である。実際に、患者がCLIと診断される場合、血流は最少であり、患者は重度の疼痛を呈し、これはしばしば治癒することができない開放創(皮膚潰瘍またはびらんを含む)の出現と一致する。CLIによって引き起こされる疼痛は一定であり、生活の全ての局面に広がる。CLI関連疼痛は、患者が安静にしている場合に患者が最も気づきやすく、それゆえこの疼痛は安静時痛とも呼ばれる。安静時痛の一時的軽減は、肢を動かすまたは短期間の歩行によって見いだすことができる。
ノーオプションCLIは、いかなる公知のまたは標準的な血行再建術を用いることによっても、動脈血流を罹患肢に回復することができない型のCLIである。典型的に、ノーオプションCLIの患者は、アテローム性動脈硬化症またはアテローム性動脈硬化性血管疾患(AVSD)に罹患しており、これらは動脈壁がコレステロールなどの脂肪材料の蓄積の結果として肥厚している状態である。基礎となるアテローム性動脈硬化性血管疾患(AVSD)の結果として、対象は、血管の閉塞を呈する。閉塞が完全であれば、個体は、1つの障害に基づいてノーオプションCLIであると診断されうる。しかし、個体は、そのほとんどがその個体の独自の生理学に基礎を有する多様な理由からノーオプションCLIを発症する。多くの場合において、患者は、アテローム性動脈硬化症に加えて肥満または糖尿病などの他の医学的基礎疾患を有する。多数の医学的状態を有する患者は、血管閉塞を呈するのみならず、開放外科技法または経皮血管内技法のいずれかを含む標準的な血行再建法を適用する場合のさらなる障害を呈しうる。例として、閉塞の位置によっては、標準的な処置が行われない可能性がある。またはもしくは加えて、患者が肥満、糖尿病、または高齢であるために、患者はそれでなくても手術またはその後の回復にとって十分に健康でない可能性がある。患者は、血行再建に対する容認可能な代替法を有しないことから、患者はノーオプションCLIの範囲に入る。
処置を行わなければ、ノーオプションCLI患者は着実に悪化するであろう。現在の治療は、疼痛管理および創傷のケアを通して患者をより快適にするために十分であるに過ぎないか、または切断により人生をわずかに延長させるに過ぎない。しかし、手術から回復しないことを理由に血行再建技法に適合しない患者は、等しく切断からも回復する可能性は低い。その結果、ノーオプションCLIの処置の必要性は増し、本発明の前まではその必要性は満たされていない。
本発明の方法に従って、TRCは、実施例1および2に提供される技法を用いてノーオプションCLI患者に送達される。
本発明は、造血、間葉、および内皮系列の混合細胞集団を含む、組織修復のための単離細胞組成物を対象に投与する段階を含む、標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する対象における重症虚血肢(CLI)を処置する方法であって、細胞の生存率が少なくとも80%であり、組成物が、a)約5〜75%生存CD90+細胞を含み、組成物中の残りの細胞がCD45+であり、b)2μg/ml未満のウシ血清アルブミンを含み、c)1μg/ml未満の酵素的に活性な採取試薬を含み、ならびにd)マイコプラズマ、エンドトキシン、および微生物の汚染を実質的に含まず、それによって重度下肢虚血(CLI)の臨床的帰結を改善または予防する方法を提供する。組織修復のための単離細胞組成物はまた、本明細書において組織修復細胞(TRC)組成物とも呼ばれる。実施例1および2に記述される臨床試験において用いられるこの組成物の調合はまた、イクスミエロセル-Tとしても知られる。
標準的な血行再建法は、開放外科技法または経皮血管内技法である。標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞の存在、すなわちノーオプションCLIの存在は、理学的検査、血管造影、カラーフローデュプレックス超音波、またはその任意の組み合わせによって決定されうる。
対象は、その任意の部分を含む1つまたは複数の上肢または下肢において血管閉塞を呈しうる。またはもしくは加えて、対象は、1つもしくは複数の肢において、脈の触れない、少なくとも2週間の反復性の虚血性安静時痛、潰瘍形成、または壊疽を呈しうる。対象が下肢に血管閉塞を呈する場合、対象は、足または足指に、足の脈が触れず、かつ足指の収縮期血圧が50 mmHgに等しいかもしくはそれ未満、または足首の収縮期血圧が70 mmHgもしくはそれ未満のいずれかである、少なくとも2週間の反復性の虚血性安静時痛、潰瘍形成、または壊疽を呈しうる。
ノーオプションCLIを有する対象の処置が成功すれば、無処置のノーオプションCLIの臨床的帰結を回避するか、またはTRC組成物の投与後の臨床目標を達成する。その上、病的肥満、進行糖尿病、または高齢(全身健康状態不良を伴う)などの基礎医学的状態も有するノーオプションCLI対象は、ノーオプションCLIのより重度の帰結を永久には回避することができない可能性があるものの、患者は、クオリティオブライフの増加を経験するために十分な時間これらの事象の発生を遅らせることによって、これらの方法から恩恵を得る可能性がある。さらに、高齢患者は、ノーオプションCLIまたはその有害事象よりむしろ年齢により病的状態が発生するまで切断を回避して、それによってしばらくのあいだクオリティオブライフの増加を提供することによって、自身の生活を延長させうる。患者がノーオプションCLIに罹患しているか否かによらず、対象の健康状態が既に不良である可能性があることから、ノーオプションCLIを「処置する」という考え方は、移動度を改善させる、疼痛を減少させる、創傷治癒を改善する、創傷サイズを減少させる、ならびに組織の喪失、切断、および死亡を遅らせることを含む。ノーオプションCLIの処置は、例としてそれ以外は健康である個体では治癒でありうるが、平均的な対象におけるノーオプションCLI対象を処置する成功の測定は、既存の症状の改善、またはより悪い症状の発生を遅らせることを含む。
本明細書において記述される方法は、患者が回復を経験する場合、またはノーオプションCLIに関連する有害事象が、患者が自身の人生を持続させるためにその発生を回避する期間遅れる場合に、臨床的帰結が起こるのを予防する。高齢患者では、この生存期間は、より若い患者より短い可能性があるが、いずれの状況においてもエンドポイントはなおも、回復または病的状態である(ノーオプションCLIとは無関係な原因により)。回復は、血行再建または罹患肢が機能的であるために十分な復活のいずれかによって定義される。たとえば、罹患した脚が自身の体重を支えることができないために、患者が歩行を助けるために杖、歩行器または車いすを用いている場合、機能的な回復には、血行再建の程度に応じて、個体が自身の体重を支えることができることから、杖、歩行器、または車いすの使用に身を任せることさえ含まれるであろう。罹患肢の十分な機能を再度獲得する対象は、この肢の動きを維持することができ、それゆえさらなる処置および理学療法を通して永続的に切断を回避すると企図される。
ノーオプションCLIの臨床的帰結は、処置がなければ、疾患が進行するにつれて必然的に起こる有害事象である。臨床的帰結という用語は、疼痛の増加、創傷サイズ、治癒の減少、新たな壊疽、および死亡などの自然の帰結、ならびに切断などの医学的帰結の両方を包含するために用いられる。医学的帰結は、健康な人に起こる帰結と比較すると有害事象であるが、医学的帰結は、患者の生命を持続させるための、または患者のクオリティオブライフを改善させるための必要な介入(たとえば、手術および切断)を含む。ノーオプション重症虚血肢(CLI)の例示的な臨床的帰結には、安静時痛の増加、肢(腕または脚)の可動性の減少、潰瘍形成、創傷サイズの増加(創傷サイズの倍加)、創傷治癒の減少または障害、新たな壊疽、肢での脈の減少または非存在、組織の喪失(組織壊死)、切断(例として、大切断術とならない手指または足指などの指の切断)、大切断術(たとえば、脚の距骨またはそれより上での切断として定義される)、または死亡が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。罹患肢の機能の減少には、肢の可動域の減少、強さの減少、または身体運動の持続時間の減少が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。この方法のある局面において、肢は脚であり、罹患肢の機能の減少は、歩行距離の減少または歩行時間の減少を含む。またはもしくは加えて、ノーオプションCLIを有する対象の処置は、臨床目標を達成する。例示的な臨床目標には、疼痛の減少、罹患肢の機能の増加、創傷サイズの減少、創傷治癒の増加、新たな壊疽の遅延もしくは予防、切断の遅延もしくは予防、または生存の増加が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
臨床目標が疼痛の減少である場合、疼痛の減少は、組成物の投与前の期間での患者による鎮痛薬投与の要求または鎮痛薬の用量を、組成物の投与後の時点の患者による鎮痛薬投与の要求または鎮痛薬の用量と比較することによって決定され、投与要求が減少すればまたは用量が減少すれば、処置が組成物の投与後に対象の疼痛を減少させたことを示している。
臨床目標が罹患肢の機能の増加である場合、罹患肢の機能の増加は、組成物の投与前の期間での肢の可動域、強さ、または身体運動持続時間の測定値を、組成物の投与後の時点の肢の可動域、強さ、または身体運動持続時間の測定値と比較することによって決定され、可動域が増加すれば、強さが増加すれば、または持続時間の測定値が増加すれば、処置が組成物の投与後に対象の罹患肢の機能を増加させたことを示している。
臨床目標が創傷サイズの減少である場合、創傷サイズの減少は、組成物の投与前の期間での創傷の面積、周囲長、または深さの測定値を、組成物の投与後の時点の創傷の面積、周囲長、または深さの測定値と比較することによって決定され、面積、周囲長、または深さの測定値が減少すれば、処置が、組成物の投与後の創傷のサイズを減少させたことを示している。
臨床目標が創傷治癒の増加である場合、創傷治癒の増加は、組成物の投与前の期間での創傷の活動性炎症、血管新生、コラーゲン沈着、線維増殖、肉芽組織形成、上皮化、収縮、またはリモデリングを、組成物の投与後の時点の創傷の活動性炎症、血管新生、コラーゲン沈着、線維増殖、肉芽組織形成、上皮化、収縮、またはリモデリングと比較することによって決定され、活動性炎症、血管新生、コラーゲン沈着、線維増殖、肉芽組織形成、上皮化、収縮、またはリモデリングの測定値が増加すれば、処置が組成物の投与後に創傷治癒を増加させたことを示している。
臨床目標が新たな壊疽の遅延または予防である場合、新たな壊疽の遅延または予防は、組成物の投与前の期間での組織壊死の測定値を、組成物の投与後の時点の組織壊死の測定値と比較することによって決定され、組織壊死の測定値が同一であるかまたは減少すれば、処置が、組成物の投与後の新たな壊疽の形成を遅らせたかまたは予防したことを示している。
臨床目標が切断の遅延または予防である場合、切断の遅延または予防は、組成物の投与前の期間での対象の切断に関する予後を、組成物の投与後の対象の切断に関する予後と比較することによって決定され、切断までに要する時間が増加すれば、または回復により切断技法が取り消されれば、処置がそれぞれ、罹患した肢の切断を遅らせたかまたは予防したことを示している。
臨床目標が生存の増加である場合、生存の増加は、組成物の投与前の期間での対象の生存に関する予後を、組成物の投与後の対象の生存に関する予後と比較することによって決定され、予想される生存期間が増加すれば、処置が組成物の投与後に対象の生存を増加させたことを示している。
イクスミエロセル-Tとしても知られるTRC組成物は、1つまたは複数の部位での筋肉内または血管内注射によって投与される。好ましくは、組成物は、およそ20カ所に筋肉内注射によって投与される。TRC組成物は、大きい16ゲージ針から非常に小さい30ゲージ針までのみならず、最少侵襲性技法のための非常に長い28ゲージカテーテルまでの広範囲のサイズの針を通して送達されうる。
組成物の細胞は、単核球に由来する。これらの単核球は、骨髄、末梢血、臍帯血または胎児肝臓に由来する。
任意で、組成物の細胞は、ヒトへの投与にとって適した医薬品グレードの電解質溶液中で調合または提供される。組成物は、ウマ血清および/またはウシ胎児血清を実質的に含まない。
本発明のある局面において、組成物のCD90+細胞の少なくとも10%がCD15を同時発現する。またはもしくは加えて、組成物のCD45+細胞は、CD14+、CD34+、またはVEGFR1+である。
組成物中の生存細胞の総数は3500万個から3億個である。好ましくは、組成物は、平均で90〜180×106個の生存細胞を含む。細胞を、15ミリリットルに等しいかもしくはそれ未満、10ミリリットルに等しいかまたはそれ未満、または7.5ミリリットルに等しいかもしくはそれ未満の容積に浮遊させてもよい。
具体的に、本発明は、造血、間葉、および内皮系列の混合細胞集団を含む、組織修復のための単離細胞組成物を対象に投与する段階を含む、標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する重症虚血肢(CLI)であると診断された対象における非切断生存を増加させる方法であって、細胞の生存率が少なくとも80%であり、組成物が、a)約5〜75%生存CD90+細胞を含み、組成物中の残りの細胞がCD45+であり、b)2μg/ml未満のウシ血清アルブミンを含み、c)1 μg/ml未満の酵素的に活性な採取試薬を含み、ならびにd)マイコプラズマ、エンドトキシン、および微生物の汚染を実質的に含まない方法を提供する。任意で、非切断生存は、同様に重症虚血肢(CLI)と診断されて、同様に標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する無処置対象と比較して、処置対象において増加する。非切断生存は、切断が行われる、対象が死亡する、またはその組み合わせが起こるまでの組成物の投与期間として定義される。
本発明は、造血、間葉、および内皮系列の混合細胞集団を含む、組織修復のための単離細胞組成物を対象に投与する段階を含む、標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する重症虚血肢(CLI)であると診断された対象における大切断術を阻止する方法であって、細胞の生存率が少なくとも80%であり、組成物が、a)約5〜75%生存CD90+細胞を含み、組成物中の残りの細胞がCD45+であり、b)2μg/ml未満のウシ血清アルブミンを含み、c)1μg/ml未満の酵素的に活性な採取試薬を含み、ならびにd)マイコプラズマ、エンドトキシン、および微生物の汚染を実質的に含まない方法を提供する。血管閉塞は、脚において生じうる。血管閉塞が脚に生じる場合、大切断術は、脚の距骨またはその上での切断である。この方法のある局面において、大切断術は、組成物の投与時から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または25年が経過するまで阻止される。またはもしくは加えて、大切断術は、例として理学的検査、血管造影、カラーフローデュプレックス超音波、またはその任意の組み合わせによって確認される肢の血行が再建される場合に阻止される。肢の機能と共に血行再建が得られる対象は、大切断術を無期限に回避して、それゆえ、大切断術が阻止されている。
本発明は、造血、間葉、および内皮系列の混合細胞集団を含む、組織修復のための単離細胞組成物を対象に投与する段階を含む、標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する重症虚血肢(CLI)であると診断された対象における新たな壊疽、組織の喪失、切断、または死亡の発生を遅らせる方法であって、細胞の生存率が少なくとも80%であり、組成物が、a)約5〜75%生存CD90+細胞を含み、組成物中の残りの細胞がCD45+であり、b)2μg/ml未満のウシ血清アルブミンを含み、c)1μg/ml未満の酵素的に活性な採取試薬を含み、ならびにd)マイコプラズマ、エンドトキシン、および微生物の汚染を実質的に含まない方法を提供する。任意で、新たな壊疽、組織の喪失、切断、または死亡の発生は、同様に重症虚血肢(CLI)であると診断され、同様に標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する無処置対象と比較して処置対象において遅れる。この特異的方法に従って、切断という用語は、小切断および大切断術の両方を含む。
本発明は、造血、間葉、および内皮系列の混合細胞集団を含む、組織修復のための単離細胞組成物を対象に投与する段階を含む、標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する重症虚血肢(CLI)であると診断された対象における生存確率を増加させる方法であって、細胞の生存率が少なくとも80%であり、組成物が、a)約5〜75%生存CD90+細胞を含み、組成物中の残りの細胞がCD45+であり、b)2μg/ml未満のウシ血清アルブミンを含み、c)1μg/ml未満の酵素的に活性な採取試薬を含み、ならびにd)マイコプラズマ、エンドトキシン、および微生物の汚染を実質的に含まない方法を提供する。任意で、生存確率は、同様に重症虚血肢(CLI)であると診断され、同様に標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する無処置対象と比較して処置対象において増加する。生存確率は、処置失敗までの時間、または処置が成功する可能性を表現する代替法である。本明細書において提供されるデータは、ノーオプションCLIを有する個体が、無処置個体と比較してノーオプションCLI誘発有害事象を経験するまでの生存期間がより長いことから、この組成物の投与により統計学的に有意に恩恵を受けることを証明している。
本明細書において提供される方法のある態様において、組成物は、標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する対象に、もう1つの治療と併用して投与される。例として、対象が、処置を受ける肢または自身の体の別の部分に基礎疾患であるアテローム性動脈硬化症を有する場合、組成物は、薬剤と併用して投与される。企図される薬剤は、脂質を低減させる(脂質またはコレステロール減少治療)、血小板の凝集もしくは血管壁に対する血小板の付着を低減させる(抗血小板治療)、または血圧を低減させる(抗高血圧治療)。その上、本発明の方法の対象は、処置した肢または自身の体の別の部分においてノーオプションCLIに関連する創傷を有しうる。このように、組成物は、局所または全身創傷ケアと併用して投与される。例示的な創傷ケアには、感染症を減少させるための薬剤(抗生物質などの)、炎症を減少させる薬剤、治癒を促進する薬剤(抗酸化剤)、および脈管形成を促進する薬剤(血管新生促進因子);創傷のために組織を生育させる基質を提供するためのマトリクスまたは足場;および死亡組織、損傷組織、または感染組織を除去するための外科的介入(挫滅組織切除)が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
ノーオプションCLIを発症する患者/対象は、しばしば肥満、糖尿病、および/または高齢である。その上、これらの患者は一般集団より高い発生率で心疾患を経験する。このように、本明細書において提供される方法はまた、肥満(例としてオリツスタットおよび非処方版アライを含む薬物)、心疾患(例として、高コレステロールまたは高血圧と闘うために用いられる薬物)、および糖尿病(たとえば、I型のためのインスリンおよびII型のための減量治療)の処置と併用して用いられうる。
薬物の投与および剤形
記述のTRCは、生理学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤を含む薬学的または生理学的に許容される調製物または組成物として投与することができ、ヒトおよび非ヒト動物を含む関心対象のレシピエント生物の組織に投与される。TRC含有組成物は、滅菌生理食塩液または他の生理学的に許容される注射可能な水性液体などの適した液体または溶液中に細胞を浮遊させることによって調製することができる。そのような組成物において用いられる成分の量は、当業者によってルーチンで決定することができる。
TRCは、皮下、静脈内、筋肉内、および大槽内を含む非経口注射経路によって投与することができる。他の投与様式には、クモ膜下腔、皮内、および経皮が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。本発明の1つの態様において、TRCの投与は、内視鏡手術によって媒介されうる。
注射可能な投与に関して、組成物は、滅菌溶液もしくは浮遊液中に存在するか、または保存剤、安定化剤、および溶液もしくは懸濁液をレシピエントの体液(すなわち、血液)と等張にする材料を含みうる薬学的および生理学的に許容される水性または油性媒体中に浮遊させることができる。賦形剤の非制限的な例には、水、pH 7.4のリン酸緩衝生理食塩液、0.15 M塩化ナトリウム水溶液、デキストロース、グリセロール、希エタノール、およびその他、ならびにその混合物が挙げられる。実例となる安定化剤は、ポリエチレングリコール、タンパク質、糖類、アミノ酸、無機酸、および有機酸であり、これらは単独または混合物のいずれかとして用いられうる。用いられる量または分量ならびに投与経路は、個体に基づいて決定され、当業者に公知の類似のタイプの応用または適応で用いられる量に対応する。
本発明と一貫して、TRCは、血管、筋肉、骨格筋、関節、および肢を含む体の組織に投与することができる。
TRC浮遊液中の細胞数および投与様式は、処置される部位および状態に応じて変化しうる。本発明に従う非制限的な例として、組織修復を行うためにTRC約35〜300×106個を注射する。本明細書において開示される実施例と一貫して、当業者は、各々の例に関して決定された必要条件、制限、および/または最適化に従って、TRCに基づく処置の量および方法を調整することができる。
好ましい態様において、TRC薬学的組成物は、約8から54%CD90+細胞および約46から92%CD45+細胞を含む。TRC薬学的組成物は好ましくは、約35×106個から300×106個の生存有核細胞、および約7×106個から75×106個の生存CD90+細胞を含む。TRC薬学的組成物は、好ましくは0.5 EU/ml未満のエンドトキシンを有し、細菌または真菌の生育を有しない。好ましい態様において、TRCの用量は、薬学的に許容される水性担体4.7〜7.3 mL中に含まれる。好ましい浮遊用溶液は、I型多成分電解質注射液(USP/EP)である。1型多成分電解質注射液の各100 mLは、塩化ナトリウム、USP(NaCl)234 mg、酢酸カリウム、USP(C2H3KO2)128 mg、および酢酸マグネシウム4水和物(Mg(C2H3O2)2・4H2O)32 mgを含む。これは抗菌剤を含まない。pHは塩酸によって調節される。pHは5.5(4.0から8.0)である。1型多成分電解質注射液は、好ましくは0.5%ヒト血清アルブミン(USP/EP)を添加される。好ましくは、TRC薬学的組成物は、非凍結状態で0〜12℃で保存される。
TRCの適応および送達様式
TRCは、記述のプロセスを用いて患者に送達するために製造および処理されうるが、最終製剤は、全ての培養成分がFDAによって安全であると思われるレベルまで実質的に除去されているTRCである。細胞が70%より上の最終生存率を有することが重要であるが、最終細胞浮遊液の生存率がより高ければ、最終的な細胞用量はより強力かつ効率的となり、および細胞の破片(死細胞からの細胞膜、オルガネラ、および遊離の核酸)がより少なくなり、閉鎖無菌的処理システムを維持しながら、培養および採取成分を実質的に低く維持して細胞生存率を増強するプロセスは非常に望ましい。
本発明を、以下の非制限的な実施例においてさらに説明する。
実施例1:ノーオプション重症虚血肢(CLI)患者における拡大した自家骨髄処置の治験の設計および方法
「ノーオプション」重症虚血肢患者における拡大した自家骨髄細胞の筋肉内注射(処置、「イクスミエロセル-T」としても知られる)の安全性および有効性を決定するために、RESTORE-CLI試験としても知られる無作為プラセボ対象二重盲検多施設フェーズII臨床試験を開始した。イクスミエロセル-T処置を受けない患者には、電解質溶液のみを含むプラセボ対照を投与した。
本試験の主目的は、血行再建に対して容認可能な代替策を有しない患者を用いて、CLIに罹患している末梢血流を回復するためにイクスミエロセル-Tを安全に用いることができるか否かを決定することであった。試験の主要エンドポイントは、有害事象(AE)であった。
本試験の副次的目的は、CLI、特にノーオプションCLIの処置におけるイクスミエロセル-Tの効能を調べることであった。試験の副次的エンドポイントは、処置失敗が最初に発生するまでの時間(TTF)、処置した脚の大切断術、全ての原因による死亡、ベースラインからの総創傷表面積の倍加、および新たな壊疽であった。
本試験は、対象150人を含めるように設計したが、患者86人で無作為化を中止した。これらの患者86人中72人がイクスミエロセル-T処置を受けた。本明細書において紹介したデータは、患者72人全員に関する12ヶ月間のデータの最終分析を含む。
ノーオプションCLI
重症虚血肢(CLI)および特に「ノーオプション」CLIは、なおも未だ対処されていない主要な医療ニーズである。CLI患者の20%までもが最初の6から12ヶ月以内に死亡する;2年、5年、および10年死亡率はそれぞれ、およそ35%、70%、および100%である。患者の40から50%もの多くが6から12ヶ月以内に肢の大切断術を受けるであろう。CLI患者集団は主に高齢者であり、それゆえこの集団が、肢の大切断術後にリハビリに成功して、独立した生活状態を維持する能力は不良である。
CLIは、多方面のアプローチを用いて処置される。血管閉塞は、脂質の低減、抗血小板および抗高血圧治療によって薬理学的に処置されうる。結果としての創傷は、外科的挫滅組織切除を含む標準的な方法によって処置される。血行再建は、処置の最も重要な方法であり続ける。標準的な血行再建法は、開放外科技法または経皮血管内アプローチのいずれかを含む。
全てのCLI患者の大きな割合である最も重篤なCLI患者にとって、標準的な方法を用いる有効な血行再建は、開放手術を妨害する疾患または関連する共存症の位置または程度により、可能ではない。血行再建の成功を得ることができないCLI患者は、現在のところ有効な処置の選択肢を有しない。現在、CLIに関してFDAが承認した治療はない。この「ノーオプション」CLI患者集団に関する治療は、集中的な創傷のケア、疼痛制御、および肢の最終的な切断による、関連する共存症の管理に限定される。このように、ノーオプションCLI患者は、医学的ニーズが満たされていない重篤で生命を脅かす疾患を有する集団を表す。
方法
試験「重症虚血肢を処置するために末梢動脈疾患を有する患者における組織修復細胞(TRC-自己骨髄細胞)の使用」(RESTORE-CLI)は、重症虚血肢(CLI)を有する患者において、生理的電解質溶液に浮遊させた拡大した自己骨髄細胞(「組織修復細胞」または「TRC」)の筋肉内注射を、細胞を含まない同じ電解質溶液の注射と比較する、プロスペクティブ無作為二重盲検プラセボ対照多施設試験である。試験は、Aastrom Biosciences Inc. in Ann Arbor, Michiganが主催した。プロトコールは、米国食品医薬品局(FDA)の生物製剤評価研究センター(CBER)および参加施設の施設内倫理委員会により審査された。参加者は全員、書面での自発的な同意書を提出した。試験のいかなる他の局面にも関係していない専門家医師3人と統計学者1人からなる独立したデータ安全性モニタリング委員会(DSMB)が、RESTORE-CLIのために具体的に作製されたDSMBの契約に従って試験における参加者の安全性をモニターした。
適格患者は、触診可能な足の脈が触れず、かつ足指の収縮期血圧が≦50 mmHgであるかもしくは足首の収縮期血圧が≦70 mmHgである、足もしくは足指の、少なくとも2週間の持続性の反復性の虚血性安静時痛、および/または潰瘍形成、または壊疽として定義される下肢CLIの診断を有する18歳から90歳の男女であった。平坦なまたはかすかに拍動性の容積脈波記録(PVR)およびより高い収縮期血圧を有する患者を、主催者の審査に基づいて含めることができた。無作為化前6ヶ月以内に血管造影またはカラーフローデュプレックス超音波によって確認された、施設の主治験担当医によって決定された容認可能な血行再建の選択肢を有しない鼠径下閉塞疾患を有する患者が、試験に適格であった。必要に応じた抗高血圧治療、適切な抗血小板治療およびスタチン治療による血圧制御の確立が、登録前に必要であった。
主な除外基準は、制御不良の糖尿病(HbA1c>10%として定義);>50%の狭窄を有する既知の大動脈腸骨動脈疾患;腱または骨が露出した創傷(またはヴァーグナー創傷スケールでの創傷の重症度がグレード3より上);無作為化前2週間以内の既知の同側の血行再建技法の失敗(適切な血行の回復の失敗として定義される、すなわち技法はABI 0.15またはそれより多くの増加、PVRの実質的な改善、または臨床改善を達成しなかった);標的肢における距骨またはそれより上での以前の切断;関係する肢の感染症(たとえば、発熱、化膿、および重度の蜂巣炎によって現れる);および任意の活動性湿性壊疽組織であった。
患者を本部で2:1に無作為化した(処置:対照)。診察を、-14日目(骨髄吸引または偽吸引)、0日目(注射)、3日目、および7日目、ならびに3、6、9、および12ヶ月目に予定した。
登録を、2007年4月に米国の20カ所の臨床施設で開始した。計画した試験集団規模は当初、患者150人までであった。2009年11月までに患者33人が治験を完了する機会を得て(12ヶ月間の追跡調査診察)、プロスペクティブに計画された第一の中間分析に含めた。第一の中間分析を、その時点で6ヶ月間の追跡調査を完了した追加の患者13人を含めるように拡大した。2009年11月までに、12ヶ月間の追跡調査を完了した患者32人の組と6ヶ月間の追跡調査を完了した患者14人の組のみを、盲検を外して中間分析に含めて報告した。その後登録を停止して、登録した患者全員を12ヶ月間の効能エンドポイントを完了するまで追跡した。試験の最終データベースロックは、2011年5月に行った。
骨髄吸引、TRC産生、および筋肉内注射
無関係な医師(TRC注射を行う医師以外)が、後腸骨稜から骨髄およそ50 mLを吸引した。対照患者には、腸骨骨膜を貫通せずに腸骨稜に吸引針を挿入することを伴う偽吸引を行った。TRCを作製するために吸引液を夜間にAastrom Bioscienceに送付した。単核球数が不十分であるために骨髄液がエクスビボ処理に不適であると決定された場合、またはTRC製剤が総生存細胞およびCD90+生存細胞の無菌性および数に関して製造の仕様を満たさなかった場合には、患者を試験から除外した。
TRC製剤を、シングルパス灌流バイオチャンバーにおいておよそ12日間にあわたって生成した後、低温保存(0〜12℃)条件で維持するように設計された輸送容器で臨床施設に輸送した(Dennis et al. Stem Cells. 2007 Oct; 25(10); 2575-82)。TRCは、高い生存率で患者の骨髄から培養された有核細胞の混合物である。TRCは、主に2つの細胞表現型からなる:CD90+細胞表面マーカーによって定義される間葉の幹および前駆細胞、ならびにCD45+細胞表面マーカーによって定義される造血および内皮の幹および前駆細胞。色素排除による膜の完全性によって測定した総細胞生存率は、70%より大きいかまたは70%に等しい。細胞を、5.8から8.4 mLの容積で、0.5%ヒト血清アルブミン(HSA)を添加したHypoThermosol(登録商標)(BioLife Solutions)およびIsolyte(登録商標)(B. Braun)の生理的溶液中に浮遊させる。RESTORE-CLI中間分析における患者のTRCの特徴を結果の章に示す。
その中の2500万個がCD90+である平均で1億3600万個の総生存TRC、または電解質(対照)溶液を、虚血下肢の20カ所に注射した。大腿の下3分の1、患者のふくらはぎの最大直径、ならびに最大ふくらはぎ直径に対して近位の1つの位置および遠位の1つの位置の周囲に4本の環状の直線状バンドによって印をつけることによって注射部位の位置を決定した;全ての筋肉群を含めるために、各バンドに沿って0.5 mLを少なくとも2.0 cm離して筋肉の中0.5インチの深さで5カ所に注射した。試験の際に注射技法の変更を行った。この変更後、直線状のバンドあたり4カ所の注射を行い、残りの4カ所の注射を、足の背側または足底表面から筋肉群の中に投与した。
試験エンドポイント:安全性評価
安全性は、直接評価を介して(理学的検査、バイタルサインの測定および検査値を含む)、および試験診察または電話での連絡の際の患者による自発的報告によって、試験を通して連続的に評価した。DSMBは、ルーチンに基づいて安全性データを審査した。
試験の主要エンドポイントは、安全性であり、これは有害事象、吸引部位評価、注射毒性、および注射部位評価を含んだ。同様に安全性エンドポイントである切断率および創傷治癒を、以下の効能の評価の章に記述する。
患者が無作為化された処置を受けたか否かによらず、無作為化して吸引を行った患者全員として定義される安全性集団について、分析を行った。主要安全性エンドポイントは有害事象を含む。AEの収集は、患者がインフォームドコンセント書類に署名した後に始まり、12ヶ月間の追跡調査診察まで持続する。しかし、吸引により出現したおよび処置により出現したAEのみを要約する。AEを、強さおよび試験薬との関係によって報告して、基本語(PT)毎に事象を経験した患者の数(N)および割合(%)によって要約した。完全にするために、AEの一覧は、登録した(署名したインフォームドコンセント)患者全員が経験したAEを含む。
試験エンドポイント:効能の評価
TRC処置の効能を副次的エンドポイントにより評価した。主効能の測定は、処置失敗が最初に発生するまでの時間、非切断生存、大切断術の頻度、および創傷治癒を含んだ。治験担当医は、自身の臨床判断に基づいて独立して切断の決定を行った。
複合的な処置失敗エンドポイントは、以下の事象を含んだ:処置/注射した肢の大切断術、死亡、創傷表面積のベースライン(0日目)からの倍加、または新たな壊疽の発生。大切断術は、注射を受けた肢における距骨または距骨より上での切断として定義された。所定の患者に関して、処置失敗が最初に発生するまでの時間は、処置失敗事象のいずれか1つが起こる最も早い日として定義された。いかなる処置失敗事象も経験しなかった患者では、その最後の試験日を用いて無事象期間を決定した。
非切断生存期間は、大切断術または死亡が報告された最初の日として定義された。大切断術または死亡を経験しなかった患者の場合、その最後の試験日を用いて無事象持続期間を決定した。
創傷治癒を、異なる3つの評価に従って評価した:創傷のヴァーグナー創傷スケールを用いた重症度、完全な創傷治癒、および総表面積。ヴァーグナー分類は、創傷の深さを測定するために有用であるが、総表面積は、より浅層部のヴァーグナー1および2分類創傷における変化を測定するために有用である。試験の登録時に存在した創傷のみを、ヴァーグナー創傷スケールによって、および完全な創傷治癒に関して評価した。総創傷表面積は、各個々の創傷の表面積の合計として計算した。ベースライン評価後に出現した創傷に関して、その創傷のベースライン表面積はゼロとして定義された。
12ヶ月:処置を受けた無作為化患者全員として定義される効能集団について分析を行った。効能エンドポイントは、TTF(処置失敗までの時間)およびAFS(非切断生存)を含んだ。TTFは、注射(試験0日目)から処置失敗事象のいずれか1つが起こった最も早い日までの日数として定義される。AFSは、注射(試験0日目)から大切断術または死亡が報告された最初の試験日までの日数として定義される。大切断術は、処置した脚の距骨または距骨より上での切断として定義される。TTFおよびAFSは、カプランマイヤー(KM)曲線を用いて各々評価して、ログランク検定のp値も同様に提供した。加えて、処置の効果の推定値を得るために、Cox比例ハザード(PH)分析を行った。効能エンドポイントの各々に関して、Cox PH分析からのハザード比(HR)およびその95%信頼区間(CI)を、イクスミエロセル-Tの処置効果の規模を記述するために提供した。
統計分析
フェーズII臨床試験として、治験の一次目的は、探査的であった。計画された標本の規模は、TRC患者100人と対照患者50人、およびα=0.05、両側で6ヶ月での対照複合一次事象発生率65%の仮定に基づいたが、この場合30%の処置効果を検出するために80%を超える検出力が存在するであろう(TRC事象発生率は39%)。
第一の中間分析に関して、安全性および効能データを無作為化および処置患者集団について処置後6および12ヶ月で要約した。6および12ヶ月集団は、2009年11月現在でそれぞれ、6または12ヶ月間の追跡調査を完了する見込みがある全ての試験参加者として定義された。最終試験データベース分析に関して、安全性および効能データを、処置後12ヶ月を通して要約した。
非切断生存および処置失敗が最初に発生するまでの時間をいずれも、処置群毎にカプラン-メイヤープロットを用いて要約して、ログランク検定のp値を説明目的のために提供した。6および12ヶ月での大切断術の割合を、フィッシャー正確確率検定を用いて分析した。
欠測データに最直前のデータを代入する(last-observation-carried-forward、LOCF)方法を、創傷の位置またはそれより上の切断により除去した創傷、総創傷表面積、およびヴァーグナー創傷スケールカテゴリに関して用いた。
創傷の重症度の測定は、ヴァーグナー創傷スケールカテゴリに基づいた。統計学的評価は、0日目に存在する最も重度の損傷(最高のヴァーグナースコア)に基づいた。各時点での各ヴァーグナースケールカテゴリにおける患者の数および割合と共に、ベースラインからのヴァーグナースコアの低減に基づく創傷が改善した患者の数および割合。フィッシャーの正確確率検定を用いて、創傷の改善を経験した患者の割合の群による差を分析した。
完全な創傷治癒を、ベースラインで存在したその創傷が所定の時点で治癒した(各々の創傷に関して創傷サイズ0 cmおよびヴァーグナースコア0)患者の数および割合として要約した。総創傷表面積およびベースラインからの変化を記述統計によって要約した。
実施例2:ノーオプション重症虚血肢(CLI)患者における拡大した自己骨髄による処置の治験結果
患者の登録および特徴
6ヶ月集団において第一の中間分析に含めた患者46人の素因を表9A、9B、10Aおよび10Bに示す。同意の撤回(患者1人)、死亡(患者1人)、必須評価の診察を受けなかった(患者3人)、追跡不能(患者1人)、および注射した脚の切断(患者1人;これはプロトコールによって許可される治療中止理由ではなかった)による7例の処置群治療中止を認めた。対照群において、治療中止1例は死亡によるものであった。治療中止した患者を全員、全ての効能分析に含めた。処置群における撤回7例中5例は、6ヶ月の時点後に起こった。この時点で、患者の治療中止理由および転帰を表10Aに示す。最終データ分析に含めた患者72人のベースライン特徴を表11に示す。
第一の中間分析の時点で、12ヶ月の時点で、対照患者では3人であったのに対し、イクスミエロセル-T患者9人が処置後に試験を中止した。イクスミエロセル-T患者は、以下の表10Bに明示されるように多様な理由から治療中止した。表12は、処置後に試験中止した患者の詳細な情報を示す。治療中止した患者は全て、イクスミエロセル-Tおよび対照を含め、全効能分析に含めた。
最終試験データベースに関して、糖尿病患者の割合は、対照群(63%)ではイクスミエロセル-T群(44%)より高かった(表9B)。ベースラインでの糸球体濾過速度(GFR)が≦30である患者は、イクスミエロセル-T群では1人(2%)である;対照患者は全員ベースラインGFR>30である。加えて、イクスミエロセル-T患者48人中29人(60%)および対照患者24人中16人(67%)が、ベースラインで創傷を有した。
(表9A)RESTORE-CLI中間分析での患者の素因−6ヶ月集団
Figure 2013528230
TRC、組織修復細胞。
(表9B)RESTORE-CLI最終データベース分析の患者の素因
Figure 2013528230
a 分母としてのスクリーニングした患者。b 分母としてのスクリーニングした患者。c 分母としての無作為化した患者。d 分母としての吸引した患者。e 分母としての処置した患者。
(表10A)6ヶ月で治療中止した患者:試験期間、治療中止理由、および効能データへの寄与
Figure 2013528230
(表10B)12ヶ月での試験中止理由の要約
Figure 2013528230
(表11)RESTORE-CLIの患者の人口統計学−最終試験データベース
Figure 2013528230
(表12)処置後中止した患者(12ヶ月);試験期間、治療中止理由、および効能データへの寄与
Figure 2013528230
骨髄吸引液およびTRC表現型の分析
骨髄吸引液およびTRC製剤の両方からの細胞の細胞表面表現型を、TRCを投与した患者19人においてフローサイトメトリーによって評価した。図3に示した結果は、無処理の骨髄単核球と培養拡大TRCとのあいだの確立された表現型の差と一貫する(Dennis et al. Stem Cells. 2007 Oct; 25(10): 2575-82)。総細胞数は、主に、成熟リンパ球および顆粒球を含む非増殖性の造血細胞の喪失により半分より多く減少し、これはCD45+細胞数の顕著な減少の反映である。対照的に、CD90+間葉細胞集団は、細胞100万個から2500万個へと約25倍拡大した。CD14+発現によって定義される単球は、およそ2倍拡大した。自己蛍光CD14+活性化マクロファージの特異的集団は、75万個から900万個より多くまで12倍増加した。TRC対BM吸引細胞の比率、または図3に含まれる任意の細胞サブセットにおいて、糖尿病と非糖尿病対象のあいだで、t-検定により有意水準=0.05で有意差は認められなかった(データは示していない)。
安全性の転帰
全体的な有害事象(AE)の要約を表13に示す。ほぼ全ての患者がAEを報告した;TRC処置および対照群におけるAEの割合は、無作為化患者において32対14と一貫した。重篤な有害事象(SAE)を有する患者の割合は群のあいだで類似であった:TRC処置患者では44%および対照患者では57%。TRC処置群および対照群において各々1例の死亡を認めた;いずれも処置に関連しないと考えられた。6ヶ月集団において全体で4人またはそれより多くの患者によって報告されたAEを表14に記載する。骨髄吸引および注射部位毒性は最小限であった。
ほとんどの重度のAEは、治験担当医によって、処置とは「無関係」であるかまたは「関係する可能性が低い」と決定され、むしろ基礎疾患に関連すると決定された。処置患者における2つの事象は、TRC処置に「おそらく関連する」と見なされた。患者1人は、骨髄吸引後でTRC注射前の処置した肢において中等度の蜂巣炎を示した。第二の患者では、試験34日目に、処置した肢の第一足指の重度の局所感染症が記録されたが、これは試験63日目までに消散した。第一の「蜂巣炎」SAEは、最終分析では無関係であるようにグレードが低下している。重度の局所感染症の第二のSAEも同様に、最終分析時に、34日目を発症日として終了日を113日目とする「創傷敗血症」へと更新された。因果関係は同じままであるように思われる。
表15は、試験終了時の安全性集団(吸引した患者)に関する安全性の全体的な要約を提供する。イクスミエロセル-T群で4例の死亡、対照群で2例の死亡を認めたが、いずれも処置とは無関係であると思われた。イクスミエロセル-T群では、死亡した患者のうち3人は、死亡時なおも試験に参加していた(患者1人は股関節骨折に関連して試験148日目に死亡した;患者1人は、うっ血性心不全に関連して試験132日目に死亡した;および患者1人は、腎障害に関連して試験333日目に死亡した)。死亡した最後のイクスミエロセル-T患者は、試験を完了したが、後に、試験後498日目に神経膠芽腫のために死亡した。対照群において、死亡した患者はいずれも、死亡時になおも試験に参加していた(患者1人は、試験37日目に循環血液量減少性ショックのために死亡し、患者1人は、試験258日目に心障害のために死亡した)。
イクスミエロセル-T群の患者1人および対照群の患者1人が、試験の際に処置した肢において血行再建技法を受けた。
(表13)中間での安全性の概要−6ヶ月集団
Figure 2013528230
TRC、組織修復細胞
(表14)中間で最も頻繁に報告された有害事象−6ヶ月集団
Figure 2013528230
TRC、組織修復細胞
(表15)安全性の最終的な要約(12ヶ月)
Figure 2013528230
* さらなるイクスミエロセル-T患者が試験完了後〜100日目に死亡した。
効能の転帰
中間分析は全てそれぞれ、6ヶ月または12ヶ月集団に基づいた。最終的な効能分析は、無作為化、吸引、および処置した全ての患者を含んだ。
処置失敗までの時間
処置失敗は、大切断術、死亡、創傷サイズのベースラインからの倍加、または壊疽の新規発生の複合エンドポイントとして定義された。
図4における最終分析からのKM曲線は、TTFが対照の患者と比較してイクスミエロセル-Tの患者に関して統計学的に有意に長かったことを示している(p=0.0032;ログランク検定)。Cox PH分析は、処置にHR=0.38、95%CI=(0.20、0.74)を与え、これは、イクスミエロセル-T群における処置失敗のリスクの統計学的に有意なおよそ62%の低減を意味する(p=0.0047)。
2群の区別は、追跡調査の最初の100日以内に出現して、中間分析における試験の残りを通して維持された。6ヶ月集団において、対照群の患者14人中11人(79%)およびTRC処置患者42人中13人(41%)が、この定義により処置に失敗した(フィッシャーの正確確率検定、P=0.026)。処置失敗の最初の出現の病因と共に各タイプの失敗を経験した患者の総数を表16に記載する。
(表16)複合処置失敗エンドポイントの発生(6ヶ月エンドポイント)
Figure 2013528230
非切断生存
中間での6ヶ月集団の分析により、非切断生存(AFS)は、対照の患者と比較してTRC処置患者において有意に長かったことが判明した(図5A、ログランク検定、P=0.038)。処置失敗までの時間に関して、分布の区別は、追跡調査の最初の50日以内に出現して試験を通して維持された。対照およびTRC処置患者の非切断生存期間の中央値には達していなかった。
最終分析に関して、図5BのKM曲線は、AFSが対照の患者と比較してイクスミエロセル-T患者に関して長かったことを示しているが、差は、12ヶ月のエンドポイントで統計学的有意性に到達しなかった(p=0.3880;ログランク検定)。AFSのCox PH分析は、処置にHR=0.68、95%CI=(0.28、1.65)を与え、このことはイクスミエロセル-T群において処置した肢の大切断術/死亡のリスクのおよそ32%(p=0.3913)の低減を意味する。
ベースラインで創傷を有する対象におけるTTFおよびAFS
ベースラインで創傷を有する患者は全体で45人(イクスミエロセル-T群29人および対照群16人)であった。非切断生存(AFS)および処置失敗が最初に発生するまでの時間(TTF)の両方を、この患者サブセットにおいて分析した。図9および図10はそれぞれ、AFSおよびTTF分析のKM曲線を与える。
AFSに関して、ベースラインで創傷を有するイクスミエロセル-T処置患者29人中6人(20.7%)およびベースラインで創傷を有する対照患者16人中7人(43.8%)がAFS事象を有した(図9)。分析により、AFSが、対照の患者よりこれらのイクスミエロセル-T処置患者においてわずかに統計学的に有意に長いことが示された(p=0.0802、ログランク検定)。
TTFに関して、ベースラインで創傷を有するイクスミエロセル-T患者29人中13人(44.8%)およびベースラインで創傷を有する対照の患者16人中14人(87.5%)がTTF事象を経験した(図10)。分析により、TTFが、対照よりイクスミエロセル-T処置患者において統計学的に有意に長いことが示された(p<0.0001、ログランク検定)。
大切断術
6ヶ月目での中間での6ヶ月集団に関して、大切断術は、処置群の19%に対し、対照群の43%に起こった(P=0.14、フィッシャーの正確確率検定)。膝上対膝下の切断では群のあいだで差がなかった。膝下切断は、各群において大切断術を必要とする患者の66%に起こった。12ヶ月の集団に関して、大切断術は、6ヶ月および12ヶ月で処置群の18%と比較して対照群の36%に起こった(P=0.39、フィッシャーの正確確率検定)。
創傷治癒
患者33人が、ベースラインで効能評価を可能にする評価可能な創傷を有した。各創傷に関してヴァーグナースコア0および創傷サイズ0 cmとして定義される完全な創傷治癒を、ベースラインで存在する全ての創傷が所定の時点で治癒した患者の百分率として要約した。完全な創傷治癒を、図8においてベースラインで創傷が存在する12ヶ月患者集団について示す。6ヶ月目での12ヶ月集団に関して、処置群と対照群のあいだに完全な創傷治癒の差はなかった。12ヶ月では、完全な創傷治癒は、対照群(13%)と比較して処置群(31%)においてより大きい割合で存在した;これらの差は統計学的に有意ではなかった。創傷治癒の他の測定(ヴァーグナー創傷スケール、総創傷表面積)は、群のあいだで有意差を示さなかった。
結論
RESTORE-CLIは、ノーオプションCLI患者を処置するために拡大した骨髄単核球(TRC)を用いる最初のプラセボ対照自己幹細胞臨床試験である。本試験は、二重盲検であり、CLIにおいてこれまでに報告された細胞治療より大きい対象集団を調べる。このフェーズII臨床試験の中間分析は、TRC治療が安全であり、可能性がある効能転帰の改善を生じることを証明した。
吸引、注射技法、またはイクスミエロセル-T処置に関連した安全性の問題はなかった。さらに、イクスミエロセル-Tおよび対照患者の両方に関して報告されたAEの頻度およびタイプは、この重度に病気の患者集団において予想された頻度およびタイプであった。治験担当医は、有害事象の大部分を処置とは無関係であるとした。試験を中止したイクスミエロセル-Tおよび対照患者に関連する全ての詳細を、厳密に調べた:これらの患者に関する編集された情報は、安全性の懸念のシグナルを発しなかった。
このフェーズ2臨床試験は、イクスミエロセル-Tと対照群のあいだで効能のエンドポイントに関して統計学的差を示す検出力を有しなかった。イクスミエロセル-T処置のリスクおよび恩恵に関する情報を提供して、フェーズ3開発プログラムをさらに精密にするために、効能エンドポイントを分析した。重要なことに、少数の患者にもかかわらず、TTF(処置した脚の大切断術、全ての原因の死亡率、創傷サイズのベースラインからの倍加、または新たな壊疽)は、効能集団に関して対照患者と比較してイクスミエロセル-T患者に関して有意に長かった(p=0.0032;ログランク検定)。さらに、イクスミエロセル-T処置群ではAFSがより長いという証拠が存在した。非治癒創傷および壊疽はいずれも、切断に至る疾患の進行の指標であることが知られていることから、この小規模フェーズ2臨床試験においてTTFが統計学的有意であることは、大規模フェーズ3臨床試験においてAFSが統計学的有意性に達するという確信を与える。
本試験は、主にTRC治療の安全性および認容性を評価するために行われた。自己細胞治療において予想されたように、TRCの投与は安全かつ良好に容認された。SAEを報告する患者の数は、対照群と比較してTRC処置群において類似であった。RESTORE-CLIは、効能を証明するために統計学的に設計されておらず、これは臨床試験の副次的目的であった。さらに、中間分析は、6ヶ月エンドポイントで対象86人中46人に限って行われたが、最終分析は、12ヶ月のエンドポイントでイクスミエロセル-T処置対象72人全員において行われた。中間および最終分析はいずれも、処置失敗が最初に発生するまでの時間に統計学的有意差があることを明らかにした。中間分析により、TRC処置および対照対象のあいだで非切断生存に統計学的有意差が見いだされたが、12ヶ月の報告では、処置群の非切断生存の臨床的に重要な増加が見いだされた。これらの群のあいだで統計学的有意差の検出力を有するために十分な対象を有するフェーズIII臨床試験では、非切断生存も同様に12ヶ月エンドポイントで有意であろうと予想される。創傷治癒の差は、統計学的に有意ではないものの12ヶ月でTRC処置患者に対して好ましいが、6ヶ月の時点では好ましい傾向はなく、永続的な臨床上の恩恵と一貫した。同様に、本臨床試験において収集したデータは、創傷治癒の差が、より大規模試験では統計学的に有意であろうという結論を支持する。
本明細書において報告した細胞拡大技術の長所は、局所麻酔下で必要な骨髄の採取量が比較的少量であることを含む。代替技術は、全身麻酔下で骨髄500〜600 mLまでを採取することが必要である。TRCの他の可能性がある長所は、拡大プロセスが、血管新生および脈管形成にとって重要であると思われる細胞系列を濃縮し、その再生機能を障害する可能性がある骨髄前駆細胞に対する慢性な医学的状態の抑制効果を逆転させる可能性がある点である(Lawall H. et al. Thromb Haemost. 2010 Mar 31 ; 103(4): 696-709)。
本明細書において提供した分析は、骨髄由来TRCの筋肉内注射が安全かつ良好に認容され、対照対象と比較して非切断生存および処置失敗が最初に発生するまでの時間の有意な改善を提供することを証明する。これらの中間結果は、TRCが、血行再建代替策がなくともCLI患者の処置の実現可能な選択肢であることを示唆している。
他の態様
本発明を、その詳細な記述と共に記述してきたが、前述の記述は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を説明するのであって、制限すると意図されない。他の局面、長所、および改変は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。

Claims (39)

  1. 造血、間葉、および内皮系列の混合細胞集団を含む、組織修復のための単離された細胞組成物を対象に投与する段階を含む、標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する対象における重症虚血肢(CLI)を処置する方法であって、該細胞の生存率が少なくとも80%であり、かつ該組成物が:
    a)約5〜75%生存CD90+細胞を含み、該組成物中の残りの細胞がCD45+であり;
    b)2μg/ml未満のウシ血清アルブミンを含み;
    c)1μg/ml未満の酵素的に活性な採取試薬を含み;かつ
    d)マイコプラズマ、エンドトキシン、および微生物の汚染を実質的に含まず、
    それによって重症虚血肢(CLI)の臨床的帰結(clinical consequence)を改善または予防する、方法。
  2. 組成物の細胞が単核球に由来する、請求項1記載の方法。
  3. 単核球が、骨髄、末梢血、臍帯血、または胎児肝臓に由来する、請求項2記載の方法。
  4. 組成物の細胞が、ヒトへの投与にとって適した医薬品グレードの電解質溶液中に存在する、請求項1記載の方法。
  5. 組成物のCD90+細胞の少なくとも10%がCD15を同時発現する、請求項1記載の方法。
  6. 組成物のCD45+細胞がCD14+、CD34+、またはVEGFR1+である、請求項1記載の方法。
  7. 組成物が、ウマ血清および/またはウシ胎児血清を実質的に含まない、請求項1記載の方法。
  8. 組成物中の総生存細胞数が3500万個から3億個である、請求項1記載の方法。
  9. 細胞が15ミリリットル未満の容積中に存在する、請求項8記載の方法。
  10. 細胞が10ミリリットル未満の容積中に存在する、請求項8記載の方法。
  11. 細胞が7.5ミリリットル未満の容積中に存在する、請求項8記載の方法。
  12. 標準的な血行再建法が、開放外科技法(open surgical procedure)または経皮血管内技法(percutaneous endovascular procedure)である、請求項1記載の方法。
  13. 対象が、下肢に血管閉塞を呈する、請求項1記載の方法。
  14. 対象が、肢に、脈の触れない、少なくとも2週間の反復性の虚血性安静時痛、潰瘍形成、壊疽をさらに呈する、請求項1記載の方法。
  15. 対象が、足または足指に、足の脈が触れず、かつ足指の収縮期血圧が50 mmHgに等しいかもしくはそれ未満であるか、または足首の収縮期血圧が70 mmHgに等しいかもしくはそれ未満であるかのいずれかである、少なくとも2週間の反復性の虚血性安静時痛、潰瘍形成、または壊疽をさらに呈する、請求項13記載の方法。
  16. 標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞の存在が、理学的検査、血管造影、カラーフローデュプレックス超音波、またはその任意の組み合わせによって決定される、請求項1記載の方法。
  17. 組成物が、1つまたは複数の部位での筋肉内注射によって投与される、請求項1または13記載の方法。
  18. 組成物が平均90〜180×106個の生存細胞を含む、請求項1または13記載の方法。
  19. 対象における重症虚血肢(CLI)の臨床的帰結が、疼痛の増加、罹患肢の機能の減少、創傷サイズの増加、創傷治癒の減少、新たな壊疽、切断、または死亡である、請求項1記載の方法。
  20. 罹患肢の機能の減少が、肢の可動域の減少、強さの減少、または身体運動の持続時間の減少を含む、請求項19記載の方法。
  21. 前記肢が脚であり、かつ罹患肢の機能の減少が、歩行距離の減少または歩行時間の減少を含む、請求項19記載の方法。
  22. 対象の処置が臨床目標を達成する、請求項1記載の方法。
  23. 臨床目標が、疼痛の減少、罹患肢の機能の増加、創傷サイズの減少、創傷治癒の増加、新たな壊疽の遅延もしくは予防、切断の遅延もしくは予防、または生存の増加である、請求項22記載の方法。
  24. 疼痛の減少が、組成物の投与前の期間での対象による鎮痛薬投与の要求または鎮痛薬の用量を、組成物の投与後の時点での対象による鎮痛薬投与の要求または鎮痛薬の用量と比較することによって決定され、要求が減少するかまたは用量が減少すれば、処置が、組成物の投与後に対象の疼痛を減少させたことを示している、請求項23記載の方法。
  25. 罹患肢の機能の増加が、組成物の投与前の期間での該肢の可動域、強さ、または身体運動の持続時間の測定値を、組成物の投与後の時点での該肢の可動域、強さ、または身体運動の持続時間の測定値と比較することによって決定され、可動域が増加するか、強さが増加するか、または持続時間の測定値が増加すれば、処置が、組成物の投与後に対象の罹患肢の機能を増加させたことを示している、請求項23記載の方法。
  26. 創傷サイズの減少が、組成物の投与前の期間での創傷の面積、周囲長、または深さの測定値を、組成物の投与後の時点での創傷の面積、周囲長、または深さの測定値と比較することによって決定され、面積、周囲長、または深さの測定値が減少すれば、処置が組成物の投与後に創傷のサイズを減少させたことを示している、請求項23記載の方法。
  27. 創傷治癒の増加が、組成物の投与前の期間での創傷の活動性炎症、血管新生、コラーゲン沈着、線維増殖、肉芽組織形成、上皮化、収縮、またはリモデリングの測定値を、組成物の投与後の時点での創傷の活動性炎症、血管新生、コラーゲン沈着、線維増殖、肉芽組織形成、上皮化、収縮、またはリモデリングの測定値と比較することによって決定され、活動性炎症、血管新生、コラーゲン沈着、線維増殖、肉芽組織形成、上皮化、収縮、またはリモデリングの測定値が増加すれば、処置が組成物の投与後に創傷治癒を増加させたことを示している、請求項23記載の方法。
  28. 新たな壊疽の遅延または予防が、組成物の投与前の期間での組織壊死の測定値を、組成物の投与後の時点での組織壊死の測定値と比較することによって決定され、組織壊死の測定値が同一であるかまたは減少すれば、処置が、組成物の投与後に新たな壊疽の形成を遅らせたかまたは予防したことを示している、請求項23記載の方法。
  29. 切断の遅延または予防が、組成物の投与前の期間での対象の切断に関する予後を、組成物の投与後の対象の切断に関する予後と比較することによって決定され、切断までに要する期間が増加するか、または回復により切断技法が取り消されればそれぞれ、処置が、罹患肢の切断を遅らせたかまたは予防したことを示している、請求項23記載の方法。
  30. 生存の増加が、組成物の投与前の期間での対象の生存に関する予後を、組成物の投与後の対象の生存に関する予後と比較することによって決定され、予想される生存期間が増加すれば、処置が、組成物の投与後に対象の生存を増加させたことを示している、請求項23記載の方法。
  31. 造血、間葉、および内皮系列の混合細胞集団を含む組織修復のための単離細胞組成物を対象に投与する段階を含む、標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する重症虚血肢であると診断された対象において非切断生存を増加させる方法であって、該細胞の生存率が少なくとも80%であり、かつ該組成物が:
    a)約5〜75%生存CD90+細胞を含み、該組成物中の残りの細胞がCD45+であり;
    b)2μg/ml未満のウシ血清アルブミンを含み;
    c)1μg/ml未満の酵素的に活性な採取試薬を含み;かつ
    d)マイコプラズマ、エンドトキシン、および微生物の汚染を実質的に含まない、方法。
  32. 非切断生存が、同様に重症虚血肢(CLI)であると診断され、かつ同様に標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する無処置対象と比較して、処置対象において増加する、請求項31記載の方法。
  33. 造血、間葉、および内皮系列の混合細胞集団を含む組織修復のための単離細胞組成物を対象に投与する段階を含む、標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する重症虚血肢(CLI)であると診断された対象における大切断術を阻止する方法であって、該細胞の生存率が少なくとも80%であり、かつ該組成物が:
    a)約5〜75%生存CD90+細胞を含み、該組成物中の残りの細胞がCD45+であり;
    b)2μg/ml未満のウシ血清アルブミンを含み;
    c)1μg/ml未満の酵素的に活性な採取試薬を含み;かつ
    d)マイコプラズマ、エンドトキシン、および微生物の汚染を実質的に含まない、方法。
  34. 血管閉塞が脚で生じる、請求項33記載の方法。
  35. 大切断術が、脚の距骨またはそれより上での切断である、請求項34記載の方法。
  36. 造血、間葉、および内皮系列の混合細胞集団を含む組織修復のための単離細胞組成物を対象に投与する段階を含む、標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する重症虚血肢(CLI)であると診断された対象における新たな壊疽、組織喪失、切断、または死亡の発生を遅らせる方法であって、該細胞の生存率が少なくとも80%であり、かつ該組成物が:
    a)約5〜75%生存CD90+細胞を含み、該組成物中の残りの細胞がCD45+であり;
    b)2μg/ml未満のウシ血清アルブミンを含み;
    c)1μg/ml未満の酵素的に活性な採取試薬を含み;かつ
    d)マイコプラズマ、エンドトキシン、および微生物の汚染を実質的に含まない、方法。
  37. 新たな壊疽、組織喪失、切断、または死亡の発生が、同様に重症虚血肢(CLI)であると診断され、かつ同様に標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する無処置対象と比較して、処置対象において遅れる、請求項36記載の方法。
  38. 造血、間葉、および内皮系列の混合細胞集団を含む組織修復のための単離細胞組成物を対象に投与する段階を含む、標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する重症虚血肢(CLI)であると診断された対象における生存確率を増加させる方法であって、該細胞の生存率が少なくとも80%であり、かつ該組成物が:
    a)約5〜75%生存CD90+細胞を含み、該組成物中の残りの細胞がCD45+であり;
    b)2μg/ml未満のウシ血清アルブミンを含み;
    c)1μg/ml未満の酵素的に活性な採取試薬を含み;かつ
    d)マイコプラズマ、エンドトキシン、および微生物の汚染を実質的に含まない、方法。
  39. 生存確率が、同様に重症虚血肢(CLI)であると診断され、かつ同様に標準的な血行再建法を用いて消散することができない血管閉塞を呈する無処置対象と比較して、処置対象において増加する、請求項38記載の方法。
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