JP2013525549A - 微生物バイオマスから多価不飽和脂肪酸含有組成物を得る方法 - Google Patents
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Abstract
微生物バイオマスから少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸を含んでなる精製脂質組成物を得る方法が開示され、精製脂質組成物は、少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸を含んでなり、微生物バイオマス油組成物と比べてトリアシルグリセロールに富む。
Description
本出願は、その内容全体を参照によって本明細書に援用する、2010年4月22日に出願された米国仮特許出願第61/326,793号明細書の優先権を主張する。
本発明は、二酸化炭素を含んでなる溶媒による破壊微生物バイオマスの抽出と、分画によって、少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸を含んでなり、トリアシルグリセロール(triacylglyercols)に富む、精製脂質組成物を得る方法に関する。
医薬品および食事療法製品に、エイコサペンタエン酸(EPA;ω−3)およびドコサヘキサエン酸(DHA;ω−3)などの多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含めることに対する関心の高まりがある。PUFA含有脂質組成物は例えば天然微生物源から、組換え微生物から、または魚油および海洋性プランクトンから得られる。PUFA含有脂質組成物は、特定条件下で酸化的に不安定であることが認識されており、酸化されていない組成物を得るためには、かなりの注意を払う必要がある。
特許文献1は、低級アルカノールがある魚油グリセリドをエステル交換して低級アルキル脂肪酸エステルの混合物を形成するステップと、超臨界条件下で二酸化炭素(CO2)により前記エステルを抽出するステップを含んでなる、濃縮されるPUFA部分と同一鎖長の飽和および一不飽和脂肪酸部分を比較的低比率で含有する、魚油中のPUFA部分を濃縮する方法を開示する。
高濃度EPAを生じる連続向流超臨界CO2分画法のために開発された工程流れ図が、非特許文献1によって開示されている。工程の原材料は、メンハーデン油の尿素結晶化エチルエチルであり、デザインの基準は、90%の収率で90%のEPA(エチルエステル)の生成物濃度である。
特許文献2は、トリグリセリド含量が高く、酸化安定性が高い、微生物PUFA含有油を開示する。これに加えて、低温殺菌された発酵ブロスに由来する微生物バイオマスから、このような油を回収する方法が記載されており、微生物バイオマスを押出して顆粒状粒子を形成し、乾燥させ、次に適切な溶媒を使用して乾燥顆粒から油を抽出する。
V.J.Krukonis et al.(dv.Seafood Biochem.、Pap.Am.Chem.Soc.Annu.Meet.(1992),Meeting Date 1987,169−179)
PUFA含有脂質組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール、および遊離脂肪酸の配分を調節し得る方法が求められる。改善された酸化安定性を有するPUFA含有脂質組成物を得る方法が、所望される。トリアシルグリセロールに富むPUFA含有脂質組成物を得る方法もまた所望され、このような組成物を得る経済的な方法についても同様である。
第1の実施形態では、本発明は、
a)少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸を含んでなる油組成物を有する未処理破壊微生物バイオマスを液体または超臨界流体二酸化炭素を含んでなる溶媒で処理して、
(i)実質的にリン脂質を含まない脂質画分を含んでなる抽出物、および
(ii)リン脂質を含んでなる残留バイオマスを得るステップと、
b)ステップ(a)パート(i)で得られた抽出物を少なくとも一度分画して、少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸を含んでなる精製脂質組成物を得るステップと
を含んでなる方法に関し、精製脂質組成物は、未処理破壊微生物バイオマスの油組成物と比べてトリアシルグリセロールに富む。
a)少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸を含んでなる油組成物を有する未処理破壊微生物バイオマスを液体または超臨界流体二酸化炭素を含んでなる溶媒で処理して、
(i)実質的にリン脂質を含まない脂質画分を含んでなる抽出物、および
(ii)リン脂質を含んでなる残留バイオマスを得るステップと、
b)ステップ(a)パート(i)で得られた抽出物を少なくとも一度分画して、少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸を含んでなる精製脂質組成物を得るステップと
を含んでなる方法に関し、精製脂質組成物は、未処理破壊微生物バイオマスの油組成物と比べてトリアシルグリセロールに富む。
第2の実施形態では、トリアシルグリセロールに富む精製脂質組成物は、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール、遊離脂肪酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの脂質構成要素を含んでなる。
第3の実施形態では、トリアシルグリセロールに富む精製脂質組成物は、未処理破壊微生物バイオマスと比べて少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸に富む。
第4の実施形態では、本発明の方法は、
a)ステップ(a)パート(i)で得られた抽出物を分画して、少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸を含んでなる精製脂質組成物を得るステップ、および
b)ステップ(a)パート(ii)のリン脂質を含んでなる残留バイオマスを抽出剤で処理して、リン脂質から本質的になる残留バイオマス抽出物を得るステップ
からなる群から選択されるステップをさらに含んでなり、精製脂質組成物は、未処理破壊微生物バイオマスの油組成物と比べて、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール、遊離脂肪酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される脂質構成要素に富む。
a)ステップ(a)パート(i)で得られた抽出物を分画して、少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸を含んでなる精製脂質組成物を得るステップ、および
b)ステップ(a)パート(ii)のリン脂質を含んでなる残留バイオマスを抽出剤で処理して、リン脂質から本質的になる残留バイオマス抽出物を得るステップ
からなる群から選択されるステップをさらに含んでなり、精製脂質組成物は、未処理破壊微生物バイオマスの油組成物と比べて、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール、遊離脂肪酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される脂質構成要素に富む。
第5の実施形態では、ステップ(a)の処理は約20℃〜約100℃の温度、および約60バール〜約800バールの圧力で実施される。ステップ(b)の分画は、分画条件の温度または圧力、または温度と圧力を変更することで実施される。
第6の実施形態では、ステップ(a)の処理溶媒は超臨界流体二酸化炭素を含んでなり;ステップ(b)の分画は約35℃〜約100℃の温度および約80バール〜約600バールの圧力で実施される。
第7の実施形態では、未処理破壊微生物バイオマスは、油性微生物細胞を含んでなる。
第8の実施形態では、少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸は、リノール酸、γ−リノレン酸、エイコサジエン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、ω−6ドコサペンタエン酸、α−リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、ω−3ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
第9の実施形態では、リン脂質を含んでなる残留バイオマスまたはリン脂質から本質的になる残留バイオマス抽出物は、水産養殖飼料の構成要素として使用するのに適する。
第10の実施形態では、未処理破壊微生物バイオマスは、未処理破壊微生物バイオマス中の総脂肪酸の重量%としての測定で少なくとも25重量%のエイコサペンタエン酸を含んでなる。
第11の実施形態では、本発明は、少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸を含んでなる油組成物を有する未処理破壊微生物バイオマスを液体または超臨界流体二酸化炭素を含んでなる溶媒で処理して、
(i)実質的にリン脂質を含まない脂質画分を含んでなる抽出物、および
(ii)リン脂質を含んでなる残留バイオマスを得る方法に関し、
前記未処理破壊微生物バイオマスは、その乾燥細胞重量の25%よりも多くを油として蓄積するヤロウィア(Yarrowia)属の油性微生物から得られ、
少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸を含んでなる前記油組成物は、少なくとも20個の炭素原子と4つ以上の炭素−炭素二重結合を有する多価不飽和脂肪酸を、総脂肪酸の重量%としての測定で少なくとも25重量%含んでなる。
(i)実質的にリン脂質を含まない脂質画分を含んでなる抽出物、および
(ii)リン脂質を含んでなる残留バイオマスを得る方法に関し、
前記未処理破壊微生物バイオマスは、その乾燥細胞重量の25%よりも多くを油として蓄積するヤロウィア(Yarrowia)属の油性微生物から得られ、
少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸を含んでなる前記油組成物は、少なくとも20個の炭素原子と4つ以上の炭素−炭素二重結合を有する多価不飽和脂肪酸を、総脂肪酸の重量%としての測定で少なくとも25重量%含んでなる。
未処理破壊微生物バイオマスは、好適にはヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)から得られ、少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸はエイコサペンタエン酸を含んでなる。
第12の実施形態では、リン脂質を含んでなる残留バイオマスが抽出剤で処理されて、リン脂質から本質的になる残留バイオマス抽出物が得られる。
生物学的寄託
以下の生物学的材料が、10801 University Boulevard、Manassas、VA 20110−2209の米国微生物系統保存機関 (ATCC)に寄託され、以下の名称、受入番号、および寄託日を有する。
以下の生物学的材料が、10801 University Boulevard、Manassas、VA 20110−2209の米国微生物系統保存機関 (ATCC)に寄託され、以下の名称、受入番号、および寄託日を有する。
上に列挙した生物学的材料は、「特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約」の条項に従って寄託された。列挙された寄託は、指定の国際寄託機関で少なくとも30年間維持され、それを開示する特許の付与に際して公的に入手可能となる。寄託株の利用可能性は、政府の行動によって付与された特許権を失墜させて主題発明を実施する認可とはみなされない。
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y4305は、米国特許出願公開第2009−0093543−A1号明細書に記載される技法に従って、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y4128から誘導された。ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y9502は、米国特許出願公開第2010−0317072−A1号明細書に記載される技法に従って、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y8412から誘導された。同様に、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y8672は、米国特許出願公開第2010−0317072−A1号明細書に記載される技法に従って、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y8259から誘導された。
本明細書で言及される全ての特許および非特許文献の開示は、その全体を参照によって本明細書に援用する。
量、濃度、またはその他の値またはパラメーターが、範囲、望ましい範囲、または好ましい上位値と好ましい下位値の一覧のいずれかとして提示される場合、これは範囲が別個に開示されるかどうかにかかわらず、あらゆる上側の範囲限界または望ましい値と、あらゆる下側の範囲限界または望ましい値とのあらゆる組から形成される、全ての範囲を具体的に開示するものと理解される。一連の数値が本明細書で列挙される場合、特に断りのない限り、範囲はその終点と、範囲内の全ての整数および分数を含むことが意図される。範囲を画定する際に列挙される特定の値に、本発明の範囲を限定することは意図されない。
本明細書の用法では、「comprises」、「comprising」、「includes」、「including」、「has」、「having」、「contains」または「containing」またはあらゆるその他のバリエーションは、非排他的包含をカバーすることが意図される。例えば、構成要件の一覧を構成する組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもこれらの構成要件のみに限定されず、明示的に列挙されない、またはこのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置に固有でない、その他の構成要件を含んでもよい。さらに特に断りのない限り、「or」は排他的orでなく包括的orを指す。例えば条件AまたはBは、以下のいずれかによって満たされる。Aが真で(または存在し)Bが偽であり(または存在せず)、Aが偽で(または存在せず)Bが真であり(または存在する)、AおよびBの双方が真である(または存在する)。
さらに本発明の構成要件または構成要素に先立つ不定冠詞「a」および「an」は、構成要件または構成要素の事例数(すなわち発生率)に関して非制限的であることが意図される。したがって「a」または「an」は、1つまたは少なくとも1つを含むものと解釈すべきであり、構成要件または構成要素の単数語形は、数が単数であることを明らかに意味する場合を除いて、複数もまた含む。
本明細書の用法では、「発明」または「本発明」という用語は、特許請求の範囲および明細書に記載される、本発明の全ての態様および実施形態を指すことが意図され、いかなる特定の実施形態または態様にも限定されないものと解釈される。
本開示では、以下の定義が使用される。
「超臨界流体」は、「SCF」と略記される。
「二酸化炭素」は、「CO2」と略記される。
「米国微生物系統保存機関」は、「ATCC」と略記される。
「多価不飽和脂肪酸」は、「PUFA」と略記される。
「リン脂質」は、「PL」と略記される。
「モノアシルグリセロール」は、「MAG」と略記される。
「ジアシルグリセロール」は、「DAG」と略記される。
「トリアシルグリセロール」は、「TAG」と略記される。本明細書では、「トリアシルグリセロール(TAG)」という用語は、「トリアシルグリセリド」という用語と同義であり、グリセロール分子にエステル化された3つの脂肪酸アシル残基から構成される中性脂肪を指す。TAGは、長鎖PUFAおよび飽和脂肪酸、ならびに鎖長のより短い飽和および不飽和脂肪酸を含有し得る。
「遊離脂肪酸」は、「FFA」と略記される。
「総脂肪酸」は、「TFA」と略記される。
「脂肪酸メチルエステル」は、「FAME」と略記される。
「乾燥細胞重量」は、「DCW」と略記される
「重量%」は、「wt%」と略記される。
「超臨界流体」は、「SCF」と略記される。
「二酸化炭素」は、「CO2」と略記される。
「米国微生物系統保存機関」は、「ATCC」と略記される。
「多価不飽和脂肪酸」は、「PUFA」と略記される。
「リン脂質」は、「PL」と略記される。
「モノアシルグリセロール」は、「MAG」と略記される。
「ジアシルグリセロール」は、「DAG」と略記される。
「トリアシルグリセロール」は、「TAG」と略記される。本明細書では、「トリアシルグリセロール(TAG)」という用語は、「トリアシルグリセリド」という用語と同義であり、グリセロール分子にエステル化された3つの脂肪酸アシル残基から構成される中性脂肪を指す。TAGは、長鎖PUFAおよび飽和脂肪酸、ならびに鎖長のより短い飽和および不飽和脂肪酸を含有し得る。
「遊離脂肪酸」は、「FFA」と略記される。
「総脂肪酸」は、「TFA」と略記される。
「脂肪酸メチルエステル」は、「FAME」と略記される。
「乾燥細胞重量」は、「DCW」と略記される
「重量%」は、「wt%」と略記される。
本明細書の用法では、「微生物バイオマス」という用語は、PUFAを含んでなる微生物油を製造するために実施される、含油微生物の微生物発酵からの微生物細胞物質を指す。微生物バイオマスは、ホールセル、ホールセル溶解産物、均質化細胞、部分的加水分解細胞物質、および/または破壊細胞の形態であってもよい(したがって微生物バイオマスという用語は、未処理微生物バイオマスまたは未処理破壊微生物バイオマスを包括的に指してもよい、後述)。
「未処理微生物バイオマス」という用語は、溶媒による抽出前の微生物バイオマスを指す。微生物バイオマスは任意選択的に、例えば脱水して乾燥させ、ペレット化および/または顆粒化してもよい。「未処理微生物バイオマス」および「未精製微生物バイオマス」という用語は、本明細書で同義的に使用される。
「未処理破壊微生物バイオマス」という用語は、破砕処理されているが、溶媒による抽出はされていない微生物バイオマスを指す。当業者は理解するように、例えば細胞溶解のための化学的方法、またはビードビーター、スクリュー押出などの物理的手段を通じた機械的破砕をはじめとする多数の細胞破砕方法が利用できる。
「残留バイオマス」いう用語は、溶媒で少なくとも1回抽出された、含油微生物の発酵から得られる微生物細胞物質を指す。したがって残留バイオマスは、抽出によってPUFA含有微生物油が除去された消耗微生物バイオマスである。
「富む」という用語は、例えば元の量をわずかにのみ超える量、または例えば元の量を指数関数的に上回る量などのより大きな量を有することを意味し、その間の全ての量を含む。
「低下」または「枯渇」という用語は、例えば元の量をわずかにのみ下回る量、または例えば特定材料が完全に欠如している量などのより少ない量を有することを意味し、その間の全ての量が含まれる。
「脂質」という用語は、あらゆる脂溶性(すなわち親油性)天然分子を指す。脂質は、細胞膜の構造的構成要素、エネルギー保存源、およびシグナル伝達経路中間体などの多数の重要な生物学的機能を有する多様な化合物である。脂質はケトアシルまたはイソプレン基のどちらかに、完全にまたは部分的に由来する、疎水性または両親媒性の小型分子として広く定義されてもよい。Lipid Metabolites and Pathways Strategy(LIPID MAPS)分類体系(National Institute of General Medical Sciences,Bethesda,MD)に基づく脂質の概説を下の表1に示す。
「油」という用語は、25℃で液体であり、通常は多価不飽和である脂質物質を指す。油性生物では、油が総脂質の大部分を構成する。「油」はトリアシルグリセロール(TAG)で主に構成されるが、その他の中性脂肪、リン脂質(PL)、および遊離脂肪酸(FFA)もまた含有してもよい。油中の脂肪酸組成および総脂質の脂肪酸組成は、一般に類似しており;したがって総脂質中のPUFA濃度の増大または減少は、油中のPUFA濃度の増大または減少に対応し、逆もまた然りである。
「中性脂肪」とは、脂肪体の細胞中に貯蔵脂肪として一般に見られる脂質を指し、細胞のpHでは脂質は荷電基を有さないため、このように称される。概してそれらは完全に非極性であり、水に対する親和性がない。中性脂肪は、一般に脂肪酸とグリセロールのモノ−、ジ−、および/またはトリエステルを指し、それぞれモノアシルグリセロール(MAG)、ジアシルグリセロール(DAG)またはTAGと称され、または集合的にアシルグリセロールとも称される。アシルグリセロールからFFAを放出するためには、加水分解反応が起きなくてはならない。
「抽出」という用語は、溶媒の手段によって、基質から1つまたは複数の構成要素を除去する物理的または化学的方法を指す。
「分画」という用語は、分子の複合混合物の構成要素を選択的に分離して、出発原料と異なり、また互いに異なる、構成要素配分を有する画分にすることを指す。
「抽出油」という用語は、その中で微生物油が合成される微生物などの細胞物質から分離される油を指す。抽出油は、多種多様な方法を通じて得られ、最も単純なものは物理的手段のみを伴う。例えば、様々なプレス構造(例えばスクリュー、エキスペラー、ピストン、ビードビーターなど)を使用した機械的破砕が、細胞物質から油を分離し得る。代替方法として、油抽出は様々な有機溶剤(例えばヘキサン、イソヘキサン)による処理を通じて、酵素的抽出を通じて、浸透圧衝撃を通じて、超音波抽出を通じて、超臨界流体抽出(例えばCO2抽出)を通じて、鹸化を通じて、そしてこれらの方法の組み合わせを通じて行い得る。抽出油のさらなる精製または濃縮は、任意選択である。
「精製脂質組成物」という用語は、本明細書で開示される抽出および分画法の生成物である、微生物油組成物を指す。したがって精製脂質組成物は、実質的にリン脂質を含まない抽出油である。当業者は、分画プロセスにおいて様々な画分を分離し得ることを理解するが、分画から得られる少なくとも1つの精製脂質組成物は、微生物バイオマスの油組成物と比べてTAGに富む。TAGに富む精製脂質組成物は、DAG、MAG、FFA、およびそれらの組み合わせを含んでなってもよい。DAG、MAG、FFA、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される脂質構成要素に富む精製脂質組成物など、中性脂肪、FFA、およびそれらの組み合わせの様々な画分を含んでなる追加的精製脂質組成物もまた分離されてもよい。精製脂質組成物をさらに精製して、「精製油」を製造してもよい。
「実質的にリン脂質(PL)を含まない」という用語は、約0.1重量%を下回るリン脂質を含んでなることを意味する。したがって脂質画分を含んでなる抽出物は、総脂質の重量%としての測定でPL濃度が約0.1重量%を下回れば、実質的にPLを含まない。同様に精製脂質組成物を含んでなる抽出物は、総脂質の重量%としての測定でPL濃度が約0.1重量%以を下回れば、実質的にPLを含まない。
本明細書では「総脂肪酸(TFA)」という用語は、例えば微生物バイオマスまたは油であってもよい所与のサンプル中において、(当該技術分野で既知の)塩基エステル交換法によって、脂肪酸メチルエステル(FAME)に誘導体化できる全細胞脂肪酸の総和を指す。したがって総脂肪酸は、(DAG、MAG、およびTAGをはじめとする)中性脂質画分からの、および(ホスファチジルコリンおよびホスファチジルエタノールアミン画分をはじめとする)極性脂質画分からの脂肪酸を含むが、FFAは含まない。
細胞の「総脂質含量」という用語は、乾燥細胞重量(DCW)のパーセントとしてのTFAの尺度であるが、総脂質含量は、DCWのパーセントとしてのFAME(FAME%DCW)によって近似できる。したがって総脂質含量(TFA%DCW)は、例えば100ミリグラムのDCWあたりの総脂肪酸のミリグラムに等しい。
総脂質中の脂肪酸濃度は、本明細書中で例えば100ミリグラムのTFAあたりの所与の脂肪酸のミリグラムなどのように、TFAの重量%[「%TFA」]として表される。本開示中では、特に断りのない限り、総脂質に対する所与の脂肪酸のパーセントへの言及は、%TFAとしての脂肪酸濃度に等しい(例えば総脂質の%EPAは、EPA%TFAに等しい)。
場合によっては、細胞中の所与の脂肪酸含量をその乾燥細胞重量の重量%(%DCW)として表すことが有用である。したがって例えばEPA%DCWは、次式に従って求められる。
(EPA%TFA)*(TFA%DCW)]/100
しかし乾燥細胞重量の重量%(%DCW)としての細胞中の所与の脂肪酸含量は、以下のように近似し得る。
(EPA%TFA)*(FAME%DCW)]/100
(EPA%TFA)*(TFA%DCW)]/100
しかし乾燥細胞重量の重量%(%DCW)としての細胞中の所与の脂肪酸含量は、以下のように近似し得る。
(EPA%TFA)*(FAME%DCW)]/100
「脂質プロフィール」および「脂質組成」という用語は同義であり、総脂質中または油中などの特定の脂質画分に含有される個々の脂肪酸の量を指し、この量はTFAの重量%として表される。混合物中に存在する個々の脂肪酸の総和は、100になるべきである。
「脂肪酸」という用語は、約C12〜C22の様々な鎖長の長鎖脂肪酸(アルカン酸)を指すが、鎖長のより長い酸およびより短い酸の双方も知られている。優勢な鎖長は、C16〜C22の間である。脂肪酸の構造は「X:Y」の簡易表記体系によって表され、式中、Xは特定の脂肪酸中の炭素[「C」]原子の総数であり、Yは二重結合数である。「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」、「一不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」(PUFA)、および「ω−6脂肪酸」(「ω−6」または「n−6」)と「ω−3脂肪酸」(「ω−3」または「n−3」)の区別に関わる追加的詳細は、参照によって本明細書に援用する米国特許第7,238,482号明細書にある。
本明細書でPUFAを記述するのに使用される命名法を表2に示す。「略記法」と題された欄ではω−基準系を使用して、炭素数、二重結合数、そしてこの目的で1番目であるω炭素から数えたω炭素に最も近い二重結合の位置を示す。表の残りは、ω−3およびω−6脂肪酸とそれらの前駆体の一般名、明細書全体を通じて使用される略称、および各化合物の化学名を要約する。
「高レベルPUFA産生」という用語は、微生物宿主の総脂質の少なくとも約25%のPUFA、好適には総脂質の少なくとも約30%のPUFA、より好適には総脂質の少なくとも約35%のPUFA、より好適には総脂質の少なくとも約40%のPUFA、より好適には総脂質の少なくとも約40〜45%のPUFA、より好適には総脂質の少なくとも約45〜50%のPUFA、より好適には少なくとも約50〜60%、最も好適には総脂質の少なくとも約60〜70%のPUFAの産生を指す。PUFAの構造形態は限定的でなく;したがって例えばPUFAは、FFAとして、またはアシルグリセロール、リン脂質、硫脂質または糖脂質などのエステル化形態で総脂質中に存在してもよい。
「含油微生物」という用語は、微生物油を産生できる微生物を指す。したがって含油微生物は、酵母、藻類、ユーグレナ属、ストラメノパイル、真菌、またはそれらの組み合わせであってもよい。好ましい実施形態では、含油微生物は油性である。
「油性」という用語は、それらのエネルギー源を油の形態で貯蔵する傾向がある生物を指す(Weete,In:Fungal Lipid Biochemistry,2nd Ed.,Plenum,1980)。概して、油性微生物の細胞油はS字形曲線に従い、脂質濃度は対数後期または初期定常期においてそれが最大に達するまで増大し、次に静止期後期および死滅期中に徐々に減少する(Yongmanitchai and Ward,Appl.Environ.Microbiol.,57:419−25(1991))。油性微生物がそれらの乾燥細胞重量の約25%を超えて、油として蓄積することは珍しくない。油性生物の例としては、モルティエラ(Mortierella)属、スラウストキトリウム(Thraustochytrium)属、シゾキトリウム(Schizochytrium)属、および様々な油性酵母からなる群から選択される属の生物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
「油性酵母」という用語は、油を産生し得る酵母に分類される微生物を指す。油性酵母の例としては、ヤロウィア(Yarrowia)属、カンジダ(Candida)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、およびリポマイセス(Lipomyces)属が挙げられるが、決してこれに限定されるものではない。
「動物飼料」という用語は、ペット、家畜などの飼育動物をはじめとする動物、または例えば養魚業などの食物生産のために飼育される動物による専用消費が意図される飼料を指す。「水産養殖飼料」、「アクアフィード」および「飼料栄養素」という用語については、米国特許出願公開第2006−0115881−A1号明細書で定義される。
一般に、油性微生物中の脂質蓄積は、増殖培地内に存在する全炭素対窒素比に応えて引き起こされる。油性微生物中における遊離パルミチン酸(16:0)の新規合成をもたらすこの過程については、米国特許第7,238,482号明細書で詳細に述べられる。パルミチン酸は、エロンガーゼおよびデサチュラーゼの作用を通じて形成される、鎖長のより長い飽和および不飽和脂肪酸誘導体の前駆体である。
(飽和および不飽和脂肪酸、そして短鎖および長鎖脂肪酸をはじめとする)幅広い脂肪酸が、脂肪酸の主要保存単位であるTAGに組み込める。本明細書に記載される方法では、長鎖PUFAのTAGへの組み込みが最も望ましいが、PUFAの構造的形態は限定的でない(したがって例えばEPAは総脂質中にFFAとして、またはアシルグリセロール、PL、硫脂質または糖脂質などのエステル化形態で存在してもよい)。より具体的には、本方法の一実施形態では、含油微生物は、LA、GLA、EDA、DGLA、ARA、DTA、DPAn−6、ALA、STA、ETrA、ETA、EPA、DPAn−3、DHA、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのPUFAを産生する。より好適には、少なくとも1つのPUFAは、EDA、DGLA、ARA、DTA、DPAn−6、ETrA、ETA、EPA、DPAn−3、DHA、およびそれらの混合物からなる群から選択されるPUFAのように、少なくともC20鎖長を有する。別の実施形態では、少なくとも1つのPUFAは、少なくともC20の鎖長と、4つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、すなわちPUFAは、ARA、EPA、DPAn−6、DPAn−3、DHA、およびそれらの混合物からなる群から選択される。別の好ましい実施形態では、少なくとも1つのPUFAは、EPAおよびDHAからなる群から選択される。
ほとんどのPUFAは中性脂肪としてTAGに組み込まれて脂肪体中に保存されるが、油性生物中の総PUFAの測定は、ホスファチジルコリン画分、ホスファチジルエタノールアミン画分、およびTAG画分中に位置するPUFAを最低限含むべきであることに留意することが重要である。
本明細書の一実施形態では、本発明は、少なくとも1つのPUFAを含んでなる精製脂質組成物を得る方法に関し、精製脂質組成物は未処理破壊微生物バイオマスの油組成物と比べてTAGに富む。TAGに富む精製脂質組成物は、DAG、MAG、FFA、およびそれらの組み合わせをさらに含んでなってもよい。少なくとも1つのPUFAを含んでなり、DAG、MAG、FFA、およびそれらの組み合わせに富む、追加的精製脂質組成物画分が得られてもよい。好適には、TAGに富む少なくとも1つの精製脂質組成物は、微生物バイオマスの油組成物と比べて遊離FFAが枯渇しており、未処理破壊微生物バイオマスと比べて少なくとも1つのPUFAに富む。最も好適には、富化された少なくとも1つのPUFAは、少なくとも20個以上の炭素原子を有する。
本明細書の代案の実施形態では、本発明は、未処理破壊微生物バイオマスが液体または超臨界流体二酸化炭素を含んでなる溶媒で処理される方法に関し;(a)未処理破壊微生物バイオマスは、その乾燥細胞重量の25%よりも多くを油として蓄積するヤロウィア(Yarrowia)属の油性微生物から得られ;(b)少なくとも1つのPUFAを含んでなる油組成物は、少なくとも20個の炭素原子と4つ以上の炭素−炭素二重結合を有するPUFAを、全脂肪酸の重量%としての測定で少なくとも25重量%含んでなる。これは、(i)実質的にリン脂質を含まない脂質画分を含んでなる抽出物;および(ii)リン脂質を含んでなる残留バイオマスをもたらす。
本発明は本明細書で開示される方法に広く関するが、未処理破壊微生物バイオマスがそれから得られる、含油微生物それ自体を得るのに有用であり得る関連方法の概要が、理解されるであろう(図1Aおよび図1B、およびその中のテキストボックスへの言及を参照されたい)。ほとんどの方法は、少なくとも1つのPUFAを含んでなる微生物油の増殖および生産をできるようにする条件下で、特定の微生物が培養される微生物発酵(図1A、A)に始まる。適切な時期に、微生物細胞を発酵容器から収穫する。この未処理微生物バイオマス(図1A、B)は、破砕処理(図1A、C)を実施するのに先だって、脱水、乾燥、ペレット化、顆粒化などの様々な手段を使用して、任意選択的に処理してもよい。次に未処理破壊微生物バイオマスの油抽出(図1A、D)を実施して、リン脂質[「PL」]を含んでなる残留バイオマス(例えば細胞残骸)(図1A、E)と、実質的にPLを含まない抽出油(図1A、I)を生成し、それを任意選択的に分画して(図1B、J)、少なくとも1つのPUFAを含んでなる精製脂質組成物を生成してもよく、精製脂質組成物は、未処理破壊微生物バイオマスの油組成物と比べてTAGに富む(図1B、L)。PLを含んでなる残留バイオマス(図1A、E)をさらに抽出してもよい(図1B、F)。図1Aおよび図1Bのこれらの各態様は、下でさらに詳細に考察される。
含油微生物は、微生物発酵を通じて微生物バイオマスを産生する。微生物バイオマスは、天然または組換え(「遺伝子改変」)に関わらず、少なくとも1つのPUFAを含んでなる微生物油を産生できる、あらゆる微生物から得られてもよい。したがって例えば、含油微生物は、酵母、藻類、ユーグレナ属、ストラメノパイル、真菌、およびそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。好適には微生物は、微生物油中に高レベルのPUFAを産生できる。
例としてARA油の商業的供給源は、典型的にモルティエラ(Mortierella)属(糸状菌)、ハエカビ(Entomophthora)属、ピシウム(Pythium)属、およびチノリモ(Porphyridium)属(紅藻)の微生物から製造される。中でも注目すべきことに、Martek Biosciences Corporation(Columbia,MD)はARA含有真菌油(ARASCO(登録商標);米国特許第5,658,767号明細書)を製造し、これは実質的にEPAを含まず、モルティエラ・アルピナ(Mortierella alpina)またはシウム・インシジオスム(Pythium insidiuosum)のどちらかに由来する。
同様にEPAは、用いられる特定微生物の天然能力に基づく多数の異なる方法を通じて、微生物を利用して製造し得る[例えば従属栄養珪藻キクロテラ(Cyclotella)種およびニッチア(Nitzschia)種(米国特許第5,244,921号明細書);シュードモナス(Pseudomonas)種、アルテロモナス(Alteromonas)種またはシュワネラ(Shewanella)種(米国特許第5,246,841号明細書);ピシウム(Pythium)属の糸状菌(米国特許第5,246,842号明細書);またはモルティエラ・エロンガータ(Mortierella elongata)、M.エクシグア(M.exigua)、またはM.ハイグロフィラ(M.hygrophila)(米国特許第5,401,646号明細書)]。天然でEPAを産生する微生物について述べる役立つレビューは、Z.Wen and F.Chen,In Single CellOils;C.Ratledge and Z.Cohen,Eds.;AOCS Publishing,2005の「Prospects for EPA production using microorganisms」と題されたレビューである。
DHAもまた、天然微生物の天然能力に基づく方法を使用して製造し得る。例えばシゾキトリウム(Schizochytrium)種(米国特許第5,340,742号明細書;米国特許第6,582,941号明細書);ウルケニア(Ulkenia)(米国特許第6,509,178号明細書);シュードモナス(Pseudomonas)種YS−180(米国特許第6,207,441号明細書);スラウストキトリウム(Thraustochytrium)属LFF1株(米国特許出願公開第2004/0161831A1号明細書);クリプテコジニウム・コーニイ(Crypthecodinium cohnii)(米国特許出願公開第2004/0072330A1号明細書;deSwaaf,M.E.et al.BiotechnolBioeng.,81(6):666−72(2003)およびAppl Microbiol Biotechnol.,61(1):40−3(2003);エミリアニア(Emiliania)種(特開平5−308978号公報(1993);およびジャポノキトリウム(Japonochytrium)種(ATCC#28207;特開199588/1989号公報]のために開発された方法を参照されたい。さらに以下の微生物が、DHAを産生する能力を有することが知られている:ビブリオ・マリヌス(Vibrio marinus)(深海から単離された細菌;ATCC#15381);微小藻類キクロテラ・クリプティカ(Cyclotella cryptica)およびイソクリシス・ガルバナ(Isochrysis galbana);そしてスラウストキトリウム・アウレウム(Thraustochytrium aureum)(ATCC#34304;Kendrick,Lipids,27:15(1992)やATCC#28211、ATCC#20890、およびATCC#20891と称されるスラウストキトリウム(Thraustochytrium)種などの有鞭毛真菌(flagellate fungi)。目下、DHAを商業生産する少なくとも3つの異なる発酵法がある:DHASCO(商標)を生産するためのC.コーニイ(C.cohnii)の発酵(Martek Biosciences Corporation,Columbia,MD);以前にDHAGoldとして知られていた油を生産するためのシゾキトリウム(Schizochytrium)種の発酵(Martek Biosciences Corporation);およびDHActive(商標)を生産するためのウルケニア(Ulkenia)種の発酵(Nutrinova,Frankfurt,Germany)。
組換え手段を使用した微生物油中のPUFAの微生物生産は、天然微生物源からの生産と比べて、いくつかの利点を有することが期待される。例えば、宿主中への新しい生合成経路の導入によって、および/また望まれない生合成の経路の抑制によって、宿主の天然の微生物脂肪酸プロフィールを改変し得て、したがって所望のPUFA(またはその抱合形態)の生産レベル増大と、望まれないPUFAの生産低下がもたらされるので、油生産のための望ましい特徴を有する組換え微生物を使用し得る。第二に組換え微生物は、特定用途を有してもよい特定形態で、PUFAを提供し得る。さらに培養条件を制御することによって、とりわけ微生物的に発現される酵素のための特定基質源を提供することによって、または化合物/遺伝子操作を付加して望まれない生化学的経路を抑制することによって、微生物油産生を操作し得る。したがって例えば、このようにして産生されるω−3とω−6脂肪酸の比率を修正し、あるいはその他のPUFAの下流または上流生成物の顕著な蓄積なしに、特定のPUFA(例えばEPA)の産生を遺伝子操作することが可能である。
したがって例えば、δ−5デサチュラーゼ、δ−6デサチュラーゼ、δ−12デサチュラーゼ、δ−15デサチュラーゼ、δ−17デサチュラーゼ、δ−9デサチュラーゼ、δ−8デサチュラーゼ、δ−9エロンガーゼ、C14/16エロンガーゼ、C16/18エロンガーゼ、およびC18/20エロンガーゼの特定の組み合わせなどの適切なPUFA生合成経路遺伝子を導入することで、EPAを産生する天然能力を欠く微生物を遺伝子操作して、PUFA生合成経路を発現させ得るが、導入される特定酵素(およびこれらの酵素をコードする遺伝子)は、本発明をどのようにも限定するものではないと認識される。
一例として、数種類の酵母が、少なくとも1つのPUFAを産生するように組換え遺伝子操作されている。例えば、サッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)(Dyer,J.M.et al.,Appl.Environ.Microbiol.,59:224−230(2002);Domergue,F.et al.,Eur.J.Biochem.,269:4105−4113(2002);米国特許第6,136,574号明細書;米国特許出願公開第2006−0051847−A1号明細書)、および油性酵母ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)(米国特許第7,238,482号明細書;米国特許第7,465,564号明細書;米国特許第7,588,931号明細書;米国特許出願公開第2006−0115881−A1号明細書;米国特許第7,550,286号明細書;米国特許出願公開第2009−0093543−A1号明細書;米国特許出願公開第2010−0317072−A1号明細書)における研究を参照されたい。
いくつかの実施形態では、微生物宿主細胞が油性である場合に利点が認識される。油性微生物宿主細胞は、例えばモルティエラ(Mortierella)属、スラウストキトリウム(Thraustochytrium)属、シゾキトリウム(Schizochytrium)属、および油性酵母からなる群から選択される属のメンバーであってもよい。油性酵母は天然で油を合成して蓄積でき、全油含量は、細胞乾燥重量の約25%を超えて、より好適には細胞乾燥重量の約30%を超えて、最も好適には細胞乾燥重量の約40%を超えて構成し得る。代案の実施態様では、例えばサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)などの非油性酵母が、細胞乾燥重量の25%を上回る油を産生し得るように、それを遺伝子操作して油性にし得る(国際公開第2006/102342号パンフレット)。
典型的に油性酵母として同定される属としては、ヤロウィア(Yarrowia)属、カンジダ(Candida)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、およびリポマイセス(Lipomyces)属が挙げられるが、これに限定されるものではない。より具体的には、例証的な油合成酵母としては、ロドスポリジウム・トルロイデス(Rhodosporidium toruloides)、リポマイセス・スターケイ(Lipomyces starkeyii)、L.リポフェラス(L.ipoferus)、カンジダ・レブカウフィ(Candida revkaufi)、C.プリケリーマ(C.pulcherrima)、C.トロピカリス(C.tropicalis)、C.ユチリス(C.utilis)、トリコスポロン・プランズ(Trichosporon pullans)、T.クタネウム(T.cutaneum)、ロドトルラ・グルチヌス(Rhodotorula glutinus)、R.グラミニス(R.graminis)、およびヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)(以前はカンジダ・リポリチカ(Candida lipolytica)に分類された)が挙げられる。
最も好ましいのは、油性酵母ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)であり;さらなる実施形態では、最も好ましいのはATCC#20362、ATCC#8862、ATCC#18944、ATCC#76982および/またはLGAMS(7)1と称されるY.リポリティカ(Y.lipolytica)株である(Papanikolaou S.,and Aggelis G.,Bioresour.Technol.82(1):43−9(2002))。
いくつかの実施形態では、油性酵母が「高レベルPUFA産生」できることが望ましいことがあり、生物は総脂質中に少なくとも約5〜10%の所望のPUFA(すなわち、LA、ALA、EDA、GLA、STA、ETrA、DGLA、ETA、ARA、DPAn−6、EPA、DPAn−3、および/またはDHA)を産生し得る。より好適には、油性酵母は、総脂質中に少なくとも約10〜25%の所望のPUFA、より好適には総脂質中に少なくとも約25〜35%の所望のPUFA、より好適には総脂質中に少なくとも約35〜50%の所望のPUFA、および最も好適には総脂質中に少なくとも約50〜70%の所望のPUFAを産生する。PUFAの構造形態は限定的でなく;したがって例えば、EPAは総脂質中にFFAまたはエステル化形態で存在してもよい。好適には、少なくとも1つのPUFAはTAGの形態である。
したがって本明細書に記載されるPUFA生合成経路遺伝子、および遺伝子産物は、異種微生物宿主細胞中、特に(例えばヤロウィア(Yarrowia)属などの)油性酵母細胞中で産生されてもよい。組換え微生物宿主中における発現は、様々なPUFA経路中間体を生成するのに、または今まで宿主を使用して可能でなかった新しい生成物を合成するため宿主に既存のPUFA経路を調節するのに、役立ち得る。
上で提供する引用された教示に基づいて、望ましいω−3/ω−6PUFA生成のために、多数の油性酵母を遺伝子操作できるが、油性酵母の代表的PUFA産生株であるヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)について表3に記載する。これらの株は、PUFA生合成経路遺伝子δ−4デサチュラーゼ、δ−5デサチュラーゼ、δ−6デサチュラーゼ、δ−12デサチュラーゼ、δ−15デサチュラーゼ、δ−17デサチュラーゼ、δ−9デサチュラーゼ、δ−8デサチュラーゼ、δ−9エロンガーゼ、C14/16エロンガーゼ、C16/18エロンガーゼ、C18/20エロンガーゼ、およびC20/22エロンガーゼの様々な組み合わせを有するが、導入される特定酵素(およびそれらの酵素をコードする遺伝子)および産生される特定PUFAは、決して本発明を制限するものではないことが認識される。
PUFA生合成経路を油性酵母に導入する手段は良く知られているので、当業者は、本
発明の技法が、上述のヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)株から得られる微生物バイオマスの使用、あるいはその中で発明が実証される種(すなわちヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica))または属(すなわちヤロウィア(Yarrowia))に限定されるものではないことを理解するであろう。それよりむしろ、少なくとも1つのPUFAを含んでなる微生物油を産生できる、あらゆる油性酵母またはあらゆるその他の適切な微生物が、本技法で使用するのに同等に適する。
発明の技法が、上述のヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)株から得られる微生物バイオマスの使用、あるいはその中で発明が実証される種(すなわちヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica))または属(すなわちヤロウィア(Yarrowia))に限定されるものではないことを理解するであろう。それよりむしろ、少なくとも1つのPUFAを含んでなる微生物油を産生できる、あらゆる油性酵母またはあらゆるその他の適切な微生物が、本技法で使用するのに同等に適する。
脂質が微生物によって産生される条件下において、少なくとも1つの所望のPUFAを含有する脂質を産生する微生物種を発酵培地中で培養し、成長させてもよい(図1A、A)。典型的に、微生物には、微生物の成長および/または少なくとも1つのPUFAを含んでなる微生物油の産生を可能にするいくつかの追加的化学薬品または物質と並んで、炭素および窒素源が供給される。発酵条件は、上の引用で述べられるように、使用される微生物に左右され、得られる微生物バイオマス中の少なくとも1つのPUFAを高含量にするために、最適化されてもよい。
一般に、炭素源のタイプと量、窒素源のタイプと量、炭素対窒素比、異なる無機イオンの量、酸素レベル、成長温度、pH、バイオマス生産段階の長さ、油蓄積相の長さ、および細胞収穫時期と方法を変更することで、培地条件を最適化してもよい。例えば、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)は、一般に、酵母抽出物−ペプトン−デキストロースブロス(YPD)などの複合培地内で、または(例えば成長に必要な構成要素を欠き、それによってPUFAの産生を可能にする所望の組換え発現カセットの選択を強制する、酵母窒素原礎培地(DIFCO Laboratories,Detroit,IM)などの)限定最小培地内で培養される。
少なくとも1つのPUFAを含んでなる微生物油が、微生物によって産生された場合、例えば乾燥、脱水、ペレット化および/または顆粒化を通じて発酵培地を処理し、微生物油を含んでなる未処理微生物バイオマスを得てもよい(図1A、B)。
より具体的には、例えば発酵培地を濾過し、さもなければ(例えば乾燥によって)処理して、水性構成要素の少なくとも一部を除去してもよい。当業者には理解されるように、未処理微生物バイオマスは、典型的に水を含む。好適には、微生物発酵後に、水の一部を未処理微生物バイオマスから除去して、水分レベルが10重量%未満、より好適には水分レベルが5重量%未満、最も好適には水分レベルが3重量%以下の微生物バイオマスを提供する。微生物バイオマスの水分レベルは、乾燥中に制御し得る。好適には、微生物バイオマスは、約1〜10重量%の範囲内の水分レベルを有する。
発酵培地および/または微生物バイオマスを低温殺菌し、またはその他の手段によって処理して、微生物油および/またはPUFA生成物を損ない得る、内在微生物酵素の活性を低下させてもよい。
次に溶媒による抽出に先だって、未処理微生物バイオマスに少なくとも1つの破砕ステップを実施して、「未処理破壊微生物バイオマス」を生成する(図1A、C)。破砕は機械的/物理的手段によって(例えばビードビーター、スクリュー押出などを通じて)、または化学的手段によって(例えば細胞溶解を促進する酵素処理または浸透圧処理を通じて)行ってもよい。この破砕は、微生物の細胞内容物へのより容易なアクセスを提供する。
次に未処理破壊微生物バイオマスを例えば溶媒で抽出するなどして処理し(図1A、D)、抽出油および残留バイオマスを得る。抽出油が実質的にPLを含まない脂質画分を含んでなる(図1A、I)のに対し、残留バイオマスはPLを含んでなる(図1A、E)。
油抽出は様々な有機溶剤(例えばヘキサン、イソヘキサン)を通じて、酵素抽出を通じて、浸透圧衝撃を通じて、超音波抽出を通じて、超臨界流体抽出(例えばCO2抽出)を通じて、鹸化を通じて、そしてこれらの方法の組み合わせによる処理を通じて行い得るが、本明細書の好ましい実施形態では、溶媒は液体または超臨界流体CO2を含んでなる。
超臨界流体(SCF)は、気体と液体の中間体の諸特性を示す。SCFの重要な特徴は、温度または圧力のどちらか、あるいはその組み合わせを変動させることで、流体密度が液体様から気体様密度に連続的に変動し得ることである。様々な密度依存性物理的特性も同様に、この領域で同様の連続的変動を示す。これらの特性のいくつかとしては、溶媒強度(SCF媒体中の様々な物質の溶解度によって証明される)、極性、粘度、拡散率、熱容量、熱伝導率、等温圧縮率、膨張性、収縮性、流動性、および分子充填が挙げられるが、これに限定されるものではない。SCF密度の変動はまた、溶質の化学電位に、ひいては反応速度および平衡定数にも影響を及ぼす。したがって様々な密度依存性流体特性を調節することで、SCF媒体中の溶媒環境を特定用途のために最適化し得る。
システム温度および圧力が、臨界温度(Tc)と圧力(Pc)によって定まる対応する臨界点値を超えると、流体はSCF状態になる。純物質では、TcおよびPcは、気相と液相が共存し得る最高点である。Tcを超えると、純物質では加圧力にかかわらず液体が形成しない。同様に、Pcおよび臨界モル容積は、気相と液相が一体化する状態に対応する、このTcにおいて確定する。多成分混合物ではより複雑であるが、混合物臨界状態は同様に、共存する気相と液相の諸特性が識別不能になる状態と同定される。超臨界流体の考察については、Kirk−Othmer Encycl.of Chem.Technology,4th Ed.,Vol.23,pg.452−477を参照されたい。
全試薬および生成物に対して不活性であるという条件で、例えば、CO2、テトラフルロメタン(tetrafluromethane)、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、イソブタン、イソブテン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびそれらの混合物をはじめとするが、これに限定されるものではない、PUFA含有微生物油を微生物バイオマスから分離する溶媒による未処理破壊微生物バイオマスの処理など、一次抽出ステップでは、あらゆる適切なSCFまたは液体溶媒を使用してもよい。望ましい溶媒としては、CO2またはC3〜C6アルカンが挙げられる。より望ましい溶媒は、CO2、ペンタン、ブタン、およびプロパンである。最も望ましい溶媒は、CO2を含んでなるSCF溶媒である。CO2を含んでなるSCFは、例えば一次抽出ステップにおいて微生物バイオマス中に含有されるPLを可溶化しないなど、例えば追加的溶媒の存在または量が方法にとって無害でありさえすれば、上に列挙した溶媒の1つ以上などの少なくとも1つの追加的溶媒(すなわち共溶媒)をさらに含んでなってもよい。しかしエタノール、メタノール、アセトンなどの極性共溶媒を添加して溶媒相に意図的に極性を与え、残留微生物バイオマスからのPL抽出を可能にして(すなわち任意の二次抽出中に)、PLを単離してもよい。
少なくとも1つのPUFAを含んでなる微生物油を含んでなる未処理破壊微生物バイオマスを、少なくとも2つの方法に従って、適切な抽出条件下で液体または超臨界CO2によって処理し(図1A、D)、抽出油および残留バイオマスを提供してもよい。第1の方法に従って、例えば圧力増大および/または温度低下の下などの、溶媒密度増大に対応する抽出/分画条件下で、CO2による未処理破壊微生物バイオマスの処理を複数回実施して、少なくとも1つのPUFAを含んでなる精製脂質組成物を含んでなる少なくとも1つの抽出物を得る。抽出物の精製脂質組成物のFFA、MAG、DAG、およびTAG配分は、複数の各抽出の選択された抽出条件に対応する溶媒密度に左右される、それらの相対溶解度に従って変動するが、少なくとも1つの精製脂質組成物は、未処理破壊微生物バイオマスの油組成物と比べてTAGに富む(図1B、L)。
別法として、本方法に従って、第2の方法では、実質的にPLを含まない脂質画分(図1A、I)を含んでなる抽出油を提供するように選択された抽出条件下で、未処理破壊微生物バイオマスをCO2などの溶媒で処理し(図1A、D)、引き続いて一連の多段圧力降下分画ステップを実施して、精製脂質組成物を提供する。これらの各段階的圧力降下ステップは、溶媒密度低下に対応する圧力および温度条件において分離容器内で行われ、液相精製脂質組成物を単離して、それを例えば単純なデカンテーションによって抽出相から分離し得る。提供される精製脂質組成物のFFA、MAG、DAG、およびTAG配分は、段階的分離容器の選択された条件に対応する溶媒密度に左右される、それらの相対溶解度に従って変動する。少なくとも1つの精製脂質組成物は、未処理破壊微生物バイオマスの油組成物と比べて、TAGに富む(図1B、L)。
第2の方法によって得られる精製脂質組成物は、抽出条件が適切にマッチする場合、第1の方法で得られる抽出物に相当してもよい。したがって第1の方法の実行を通じて、本方法によって得られる得る精製脂質組成物を例示することが可能であると考えられる。
本方法に従って、実質的にPLを含まない脂質画分を含んでなる抽出物(すなわち抽出油)(図1A、I)を得るのに十分な温度および圧力および処理時間で、未処理破壊微生物バイオマスを液体またはSCF CO2などの溶媒によって処理してもよい。脂質画分は、中性脂肪(例えばTAG、DAG、およびMAG)およびFFAを含んでなってもよい。十分な処理時間、ならびに適切なCO2とバイオマスの比率は、例えば実施例1に記載されるように、特定の微生物バイオマスサンプルについて抽出曲線を生成することで判定してもよい。これらの抽出曲線は、抽出温度、圧力、CO2流速条件、そして細胞破砕程度やバイオマス形態などの変数に左右される。本方法の一実施形態では、溶媒は、液体または超臨界流体CO2を含んでなり、CO2と微生物バイオマスの質量比は、例えば約20:1〜約50:1など、約20:1〜約70:1である。
次に、実質的にPLを含まない脂質画分を含んでなる抽出物(図1A、I)を任意選択的に少なくとも1回分画して、精製脂質組成物を得てもよい。分画は、分画条件の温度、圧力、または温度と圧力とを変更することで、実施してもよい。分画は、例えばSCFに富む抽出物の逐次圧力低下、一連の多段ミキサーセトラーまたは抽出塔内の液体またはSCF溶媒抽出、短行程蒸留、真空水蒸気蒸留、または溶融結晶化をはじめとする、いくつかの分離法の1つにおいて達成されてもよい。抽出物を分画するステップを1回または複数回反復して、追加的精製脂質組成物を提供してもよい。
例えば抽出物の圧力を低下させることは、溶解した溶質の溶解度を低下させて、各分離容器内に分離液相を形成する。例えば熱交換器の使用を通じて各分離容器に供給される抽出物温度を調節し、各分離容器内に、所望の溶媒密度と、対応する溶質溶解度を提供し得る。最初の抽出物は、同様の溶解度パラメーターを示す様々な種類の脂質構成要素(例えばFFA、MAG、DAG、およびTAG)の複合混合物からなるので、様々な構成要素の正確な分離は達成されず、むしろ分画ステップで得られる各精製脂質組成物が、生成物の配分を含有する。しかし一般に、溶解度がより低い化合物は、最高圧力で動作する第1の分離容器内に濃縮し、溶解度が最も高い化合物は、最低圧力で動作する最終分離容器内に濃縮する。最終分離容器は、抽出相の圧力を十分に低下させて抽出相内の残留溶質の大半が本質的に除去され、比較的純粋なCO2ストリームが、この容器の上部から再循環されて、最初の抽出容器に戻されてもよい。
少なくとも1つのPUFAを含んでなる精製脂質組成物は、実質的にPLを含まない。精製脂質組成物の少なくとも1つは、微生物バイオマスの油組成物と比べてTAGに富み(図1B、L)、DAG、MAG、またはそれらの組み合わせをさらに含んでなってもよい。TAGに富む精製脂質組成物は、FFAをさらに含んでなってもよい。分画ステップにおいて別個に、または組み合わさって得られてもよいその他の精製脂質組成物としては、FFAが枯渇しているTAG富化生成物、TAGが枯渇しているFFA富化生成物、MAGおよび/またはDAGに富むFFA富化生成物、MAGおよび/またはDAGが枯渇しているFFA富化生成物、MAGおよび/またはDAGに富むTAG富化生成物、およびMAGおよび/またはDAGが枯渇しているTAG富化生成物が挙げられる(図1B、K)。用いられる分画条件に従って、本方法の一実施形態では、TAGに富む少なくとも1つの精製脂質組成物は、微生物バイオマスの油組成物と比べてFFAが枯渇していてもよい。一実施形態では、TAGに富む少なくとも1つの精製脂質組成物はまた、微生物バイオマスの油組成物と比べて、少なくとも1つのPUFAに富んでいてもよい。
一実施形態では、TAGに富む少なくとも1つの精製脂質組成物は、バイオマスの油組成物と比べて、20個以上の炭素原子を有する少なくとも1つのPUFAに富んでいてもよく、20個以上の炭素原子を有する少なくとも1つのPUFAは、好適には少なくとも4つの炭素−炭素二重結合を含んでなってもよい。
処理および分画温度は、液体またはSCF CO2を提供し、少なくとも1つのPUFAの熱安定範囲内にあり、TAG、DAG、MAG、およびFFAを可溶化するのに十分なCO2密度を提供するように、選択されてもよい。一般に、処理および分画温度は、例えば約35℃〜約100℃など、約20℃〜約100℃であってもよく;圧力は、例えば約80バール〜約600バールなど、約60バール〜約800バールであってもよい。
図2は、本発明の方法の一実施形態を概略的に示す。図2では、未処理破壊微生物バイオマスを含んでなるストリーム10、およびCO2を含んでなるストリーム38が、容器14に入るのが示される。未処理破壊微生物バイオマスを含んでなるストリーム12、および平衡化CO2と抽出物の混合物を含んでなるストリーム16が、容器18に入るのが示される。少なくとも1つのPUFAを含んでなる微生物油を含んでなる未処理破壊微生物バイオマスのCO2による処理は、容器14内において初期温度T14および圧力P14で、および容器18内において温度T18および圧力P18で行われる。T14はT18と同一であっても異なってもよく;P14はP18と同一であっても異なってもよい。得られた平衡化CO2と抽出物の混合物は、ストリーム16として容器14を出て容器18に入り、その中で微生物バイオマスおよびCO2のさらなる処理が行われて、ストリーム20として示される、実質的にPLを含まない脂質画分を含んでなる抽出物が提供される。残留バイオマス(図示せず)は、容器14および16内に残る。所望ならば、追加的抽出容器が本方法に含まれてもよい(図示せず)。代替方法としては、所望ならば、本方法は1つの抽出容器のみを使用してもよい(図示せず)。2つ以上の抽出容器の使用は、抽出容器への溶媒添加の相対順序を変更することで(図示せず)、および例えば微生物バイオマスを装填しまたは残留バイオマスを除去するために1つまたは複数の抽出容器をラインから外す間に(図示せず)、工程全体にわたる連続的CO2フローを可能にするので、有利であり得る。
抽出容器の下流には、直列に配置される2つの分離容器、容器22および28が示され、その中では、抽出物の分画が、例えば熱交換器(図示せず)の使用を通じて任意選択的に温度調節されて、段階的圧力低下を通じて実施される。所望ならば、追加的分離容器を本方法に含めることもできる(図示せず)。CO2と実質的にPLを含まない脂質画分とを含んでなる抽出物が、ストリーム20として容器22に入るのが図示される。容器22内では、圧力P22はP18よりも低く、温度T22はT18と同一であっても異なってもよく;本方法の操作条件下では、溶解度がより低い脂質構成要素を含んでなる別個の液相が形成される。本方法によって得られる第1の精製脂質組成物に相当するストリーム24として、抽出物の分画から得られる分離液相が容器22を出るのを示す。ストリーム26として示される残留抽出物は、圧力P28がP22と比較してより低く、温度T28がT22と同一であってもなくてもよい、次の分離容器28に装入される。本方法の操作条件は容器28内に分離液相の形成を可能にし、それがストリーム30として分離容器28を出るのが示される。ストリーム30は、本方法によって得られる第2の精製脂質組成物に相当する。
ストリーム32として示される比較的純粋なCO2を含んでなる残留抽出物を、容器28から抽出容器14および/または別の抽出容器(図示せず)に再循環させてもよい。再循環CO2は、貫流型CO2の使用に優る、経済上の利点を典型的に提供する。ストリーム34として示されるパージストリームを使用して、工程へのCO2の連続的再循環によって蓄積し得る揮発性構成要素を除去し得る。補給CO2を添加して、パージを通じて発生するCO2損失を埋め合わせてもよい。図2に示すように、ストリーム36と合流する補給CO2ストリーム8によって、補給CO2を再循環CO2ストリームに添加し、合併CO2ストリーム38を提供してもよい。代案としては、追加的CO2を別個の供給ストリーム(図示せず)として、容器14および/または容器18に添加することもできる。
図3は、本発明の方法の抽出ステップの一実施形態を概略的に示す。図3では、CO2を含んでなるストリーム70が、未処理破壊微生物バイオマス(図示せず)を含有する抽出容器76内に装入される。任意選択的に、ポンプ(図示せず)を使用して、共溶媒(ストリーム72として示される)がCO2ストリームに添加され、CO2と共溶媒とを含んでなる合併ストリーム74を提供する。共溶媒を使用しない場合は、ストリーム70とストリーム74は同一であり、CO2のみを含有する。少なくとも1つのPUFAを含んでなる未処理破壊微生物バイオマスのCO2処理は容器76内で行われ、実質的にPLを含まない脂質画分を含んでなる抽出物が、CO2溶媒および任意選択的に共溶媒と共に、ストリーム78として容器から取り出される。残留バイオマス(図示せず)は、抽出容器内に残る。次に実質的にPLを含まない脂質画分を含んでなる抽出物は、図2に関して上述したように少なくとも1つの分離容器内で分画してもよく、または任意選択的に、実質的にPLを含まない脂質画分は、CO2および任意選択的に共溶媒(図示せず)を放出することで抽出物から単離してもよい。
上記一次抽出からの残留バイオマスは、PLを含んでなる(図1A、E)。この残留バイオマスに、例えば塩化メチレンなどの極性有機溶剤、またはCO2とアルコールなどの極性共溶媒とを含んでなる混合溶媒など、極性抽出溶媒による2回目の抽出をして(図1B、F)、実質的に中性脂肪を含まないPL画分(すなわちPLから本質的になる残留バイオマス抽出物;図1B、H)を得てもよい。極性共溶媒は、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、および/または2−プロパノールを含んでなってもよい。PLを含んでなる残留バイオマス(図1A、E)または抽出PL画分(図1B、H)のどちらかが、例えば水産養殖飼料として使用するのに適してもよい。
本明細書に記載されるCO2ベースの抽出/分画法は、従来の有機溶剤ベースの方法と比べていくつかの利点を提供する。例えばCO2は、無毒で不燃性であり、環境に優しく、容易に入手でき、安価である。CO2(Tc=31.1℃)は、微生物バイオマスから熱的に不安定な脂質を比較的低い温度で抽出して、微生物油中の脂質分解を最小化し得る。抽出脂質は、有機溶剤を取り除く熱的処理を通じてでなく、加圧抽出物からCO2を単に放出することで、CO2溶媒から単離されてもよい。抽出物中の脂質画分は実質的にPLを含まず、微生物バイオマスから単離されてもよい。PLを含有する残留微生物バイオマス(図1A、E)は、例えば水産養殖飼料のための販売に適した副産物であってもよい。PLは、中性脂肪が枯渇した比較的純粋な副産物(図1B、H)として、残留微生物バイオマスから抽出されてもよい。実質的にPLを含まない脂質画分(図1A、I)を分画し(図1B、J)、例えば破壊微生物バイオマスと比べてFFAおよびDAGに富む(そしてTAGが枯渇している)精製脂質組成物(図1B、K)と、破壊微生物バイオマスと比べてTAGに富む(そしてFFAおよびDAGが枯渇している)精製脂質組成物(図1B、L)を生成してもよい。
したがって少なくとも1つのPUFAを含んでなる精製脂質組成物を得る方法が提供され:
a)少なくとも1つのPUFAを含んでなる油組成物を有する未処理破壊微生物バイオマスが液体またはSCF CO2を含んでなる溶媒で処理されて、
(i)実質的にPLを含まない脂質画分を含んでなる抽出物、および
(ii)PLを含んでなる残留バイオマスが得られ、
b)ステップ(a)パート(i)で得られた抽出物が少なくとも一度分画されて、少なくとも1つのPUFAを含んでなる精製脂質組成物が得られ、精製脂質組成物は、未処理破壊微生物バイオマスの油組成物と比べてTAGに富む。
a)少なくとも1つのPUFAを含んでなる油組成物を有する未処理破壊微生物バイオマスが液体またはSCF CO2を含んでなる溶媒で処理されて、
(i)実質的にPLを含まない脂質画分を含んでなる抽出物、および
(ii)PLを含んでなる残留バイオマスが得られ、
b)ステップ(a)パート(i)で得られた抽出物が少なくとも一度分画されて、少なくとも1つのPUFAを含んでなる精製脂質組成物が得られ、精製脂質組成物は、未処理破壊微生物バイオマスの油組成物と比べてTAGに富む。
好適には、ステップ(a)の処理は約20℃〜約100℃の温度と、約60バール〜約800バールの圧力で実施され、ステップ(b)の分画は約35℃〜約100℃の温度と、約80バール〜約600バールの圧力で実施される。本明細書で開示される方法は、分画条件の温度、圧力、または温度と圧力とを変更することで、実施されてもよい。
なおも別の態様では、本明細書で開示される方法はまた、
(1)ステップ(a)パート(i)で得られた抽出物を分画して、少なくとも1つのPUFAを含んでなる精製脂質組成物を得るステップ、および
(2)ステップ(a)パート(ii)のPLを含んでなる残留バイオマスを抽出剤で処理して、PLから本質的になる残留バイオマス抽出物を得るステップ
からなる群から選択されるステップもさらに含んでなり、精製脂質組成物は、未処理破壊微生物バイオマスの油組成物と比べて、DAG、MAG、FFA、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される脂質構成要素に富む。
(1)ステップ(a)パート(i)で得られた抽出物を分画して、少なくとも1つのPUFAを含んでなる精製脂質組成物を得るステップ、および
(2)ステップ(a)パート(ii)のPLを含んでなる残留バイオマスを抽出剤で処理して、PLから本質的になる残留バイオマス抽出物を得るステップ
からなる群から選択されるステップもさらに含んでなり、精製脂質組成物は、未処理破壊微生物バイオマスの油組成物と比べて、DAG、MAG、FFA、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される脂質構成要素に富む。
別の実施形態では、本明細書で開示される方法は、油性微生物細胞を含んでなる未処理破壊微生物バイオマスを利用する。これらの油性微生物細胞は、好適には、酵母、藻類、ユーグレナ属、ストラメノパイル、真菌、およびそれらの混合物からなる群から選択される。より好適には、細胞は、モルティエラ(Mortierella)属、スラウストキトリウム(Thraustochytrium)属、シゾキトリウム(Schizochytrium)属、ヤロウィア(Yarrowia)属、カンジダ(Candida)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、およびリポマイセス(Lipomyces)属からなる群から選択される属のメンバーであり、ヤロウィア(Yarrowia)属が特に望ましい。
微生物バイオマスは、LA、GLA、EDA、DGLA、ARA、DTA、DPAn−6、ALA、STA、ETrA、ETA、EPA、DPAn−3、DHA、およびそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つのPUFAを含んでなる。好適には、少なくとも1つのPUFAは、EDA、DGLA、ARA、DTA、DPAn−6、ETrA、ETA、EPA、DPAn−3、DHA、およびそれらの混合物(すなわち少なくとも20個の炭素原子を有するPUFAに相当する)からなる群から選択される。本例で実証されるように、未処理破壊微生物バイオマスは、TFAの重量%としての測定で好適には少なくとも25重量%のEPAを含んでなるが、これは本発明を制限するものではない。
代案の実施態様では、少なくとも1つのPUFAを含んでなる油組成物を有する未処理破壊微生物バイオマスを液体またはSCF CO2を含んでなる溶媒で処理して、
(i)実質的にPLを含まない脂質画分を含んでなる抽出物、および
(ii)PLを含んでなる残留バイオマス
を得るステップを含んでなる方法が提供され、
前記未処理破壊微生物バイオマスは、その乾燥細胞重量の25%よりも多くを油として蓄積するヤロウィア(Yarrowia)属の油性微生物から得られ、
前記少なくとも1つのPUFAを含んでなる油組成物は、少なくとも20個の炭素原子と4つ以上の炭素−炭素二重結合を有するPUFAを、TFAの重量%としての測定で少なくとも25重量%含んでなる。
(i)実質的にPLを含まない脂質画分を含んでなる抽出物、および
(ii)PLを含んでなる残留バイオマス
を得るステップを含んでなる方法が提供され、
前記未処理破壊微生物バイオマスは、その乾燥細胞重量の25%よりも多くを油として蓄積するヤロウィア(Yarrowia)属の油性微生物から得られ、
前記少なくとも1つのPUFAを含んでなる油組成物は、少なくとも20個の炭素原子と4つ以上の炭素−炭素二重結合を有するPUFAを、TFAの重量%としての測定で少なくとも25重量%含んでなる。
未処理破壊微生物バイオマスは、好適にはヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)から得られ、少なくとも1つのPUFAは好適には少なくとも1つのEPAを含んでなる。
EPA(またはその誘導体)などの少なくとも1つのPUFAを含んでなる抽出油組成物および/または精製脂質組成物は、公知の臨床および医薬的価値を有する。例えば米国特許出願公開第2009−0093543A1号明細書を参照されたい。例えばPUFAを含んでなる脂質組成物は、静脈内栄養補給される患者のための、または栄養失調を予防または治療するための食餌性代替品または栄養補給剤として、特に乳児用調製粉乳として使用されてもよい。代案としては、精製PUFA(またはその誘導体)は、通常の使用において、受容者が、栄養素補充の所望量を受領するように配合された料理用油、脂肪またはマーガリンに組み込まれてもよい。PUFAはまた、乳児用調製粉乳、栄養補給剤またはその他の食品に組み込まれてもよく、抗炎症性またはコレステロール低下剤としての用途があることもある。任意選択的に、組成物は、医学または獣医学いずれかの医薬用途のために使用してもよい。
ヒトまたは動物のPUFA補給は、添加されたPUFA、ならびにそれらの代謝子孫(metabolic progeny)のレベル増大をもたらし得る。例えばEPAによる処理は、EPAだけでなく、エイコサノイド(すなわちプロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサン)、DPAn−3、およびDHAなどのEPAの下流生成物のレベル増大もまたもたらし得る。複雑な調節機構は、このような機構を阻止、制御または克服して、個体中において特定PUFAの所望レベルを達成するために、様々なPUFAを組み合わせ、またはPUFAの異なる抱合体を添加することを望ましくし得る。
代案としては、動物および水産養殖飼料は、概して少なくとも1〜2%の栄養成分がω−3および/またはω−6PUFAであることを要するので、PUFAまたはその誘導体を乾燥飼料、半湿潤および湿潤飼料などとして、これらの配合物の合成において利用し得る(米国特許出願公開第2006−0115881−A1号明細書)。特に本明細書で、PLを含んでなる残留バイオマスが、水産養殖飼料またはその構成要素として使用するのに適してもよいことが熟考された。代案としては、残留バイオマスを抽出剤で抽出し、水産養殖飼料調製品中で有用であり得る、PLから本質的になる残留バイオマス抽出物を得てもよい。
本発明を以下の実施例でさらに定義する。これらの実施例は本発明の好ましい実施形態を示しながら、例証としてのみ提供されるものと理解すべきである。上の考察およびこれらの実施例から、当業者は本発明の本発明の本質的特徴を見極め得てその範囲と精神を逸脱することなく本発明に様々な変更と修正を加えて、それを様々な用途と条件に適応させ得る。本発明の範囲を示すものとして、前述の明細書よりもむしろ添付の特許請求の範囲を参照すべきである。
以下の略称が使用される:
「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーであり、「C」は摂氏であり、「kPa」はキロパスカルであり、「mm」はミリメートルであり、「μm」はマイクロメートルであり、「μL」はマイクロリットルであり、「mL」はミリリットルであり、「L」はリットルであり、「min」は分であり、「mM」はミリモル濃度であり、「cm」はセンチメートルであり、「g」はグラムであり、「wt」は重量であり、「hr」は時間であり、「temp」または「T」は温度であり、「SS」はステンレス鋼であり、「in」はインチであり、「i.d.」は内径であり、「o.d.」は外径であり、「%」はパーセントである。
「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーであり、「C」は摂氏であり、「kPa」はキロパスカルであり、「mm」はミリメートルであり、「μm」はマイクロメートルであり、「μL」はマイクロリットルであり、「mL」はミリリットルであり、「L」はリットルであり、「min」は分であり、「mM」はミリモル濃度であり、「cm」はセンチメートルであり、「g」はグラムであり、「wt」は重量であり、「hr」は時間であり、「temp」または「T」は温度であり、「SS」はステンレス鋼であり、「in」はインチであり、「i.d.」は内径であり、「o.d.」は外径であり、「%」はパーセントである。
材料
以下の材料が、実施例で使用された。全ての商業的試薬は、受け取られたまま使用された。使用された全ての溶媒は、HPLC等級であった。塩化アセチルは、99+%であった。TLCプレートおよび溶媒は、VWR(West Chester,PA)から得られた。HPLCまたはSCF等級二酸化炭素は、MG Industries(Malvern,PA)から得られた。
以下の材料が、実施例で使用された。全ての商業的試薬は、受け取られたまま使用された。使用された全ての溶媒は、HPLC等級であった。塩化アセチルは、99+%であった。TLCプレートおよび溶媒は、VWR(West Chester,PA)から得られた。HPLCまたはSCF等級二酸化炭素は、MG Industries(Malvern,PA)から得られた。
微生物バイオマスの調製
少なくとも1つのPUFAを含んでなる様々な量の微生物油を産生するヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)のいくつかの酵母株について、下述する。微生物バイオマスは二段階流加発酵プロセスで得られ、次に下述するように後処理過程を実施した。
少なくとも1つのPUFAを含んでなる様々な量の微生物油を産生するヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)のいくつかの酵母株について、下述する。微生物バイオマスは二段階流加発酵プロセスで得られ、次に下述するように後処理過程を実施した。
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)株:
本明細書の比較例、および実施例1、2、3、4、7、8、および9は、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y8672株バイオマスを使用した。Y8672株の作成については、米国特許出願公開第2010−0317072−A1号明細書に記載される[参照によって本明細書に援用する]。ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)ATCC#20362に由来するY8672株は、δ−9エロンガーゼ/δ−8デサチュラーゼ経路の発現を通じて、総脂質に対して約61.8%のEPAを産生できた。
本明細書の比較例、および実施例1、2、3、4、7、8、および9は、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y8672株バイオマスを使用した。Y8672株の作成については、米国特許出願公開第2010−0317072−A1号明細書に記載される[参照によって本明細書に援用する]。ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)ATCC#20362に由来するY8672株は、δ−9エロンガーゼ/δ−8デサチュラーゼ経路の発現を通じて、総脂質に対して約61.8%のEPAを産生できた。
野性型ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica) ATCC#20362と比較した、Y8672株の最終遺伝子型は、Ura+、Pex3−、unknown 1−、unknown 2−、unknown 3−、unknown 4−、unknown 5−、unknown 6−、unknown 7−、unknown 8−、Leu+、Lys+、YAT1::ME3S::Pex16、GPD::ME3S::Pex20、GPD::FmD12::Pex20、YAT1::FmD12::Oct、EXP1::FmD12S::ACO、GPAT::EgD9e::Lip2、FBAINm::EgD9eS::Lip2、EXP1::EgD9eS::Lip1、YAT1::EgD9eS::Lip2、FBAINm::EgD8M::Pex20、FBAIN::EgD8M::Lip1、EXP1::EgD8M::Pex16、GPD::EaD8S::Pex16 (2コピー)、YAT1::E389D9eS/EgD8M::Lip1、YAT1::EgD9ES/EgD8M::Aco、FBAIN::EgD5SM::Pex20、YAT1::EgD5SM::Aco、GPM::EgD5SM::Oct、EXP1::EgD5M::Pex16、EXP1::EgD5SM::Lip1、YAT1::EaD5SM::Oct、YAT1::PaD17S::Lip1、EXP1::PaD17::Pex16、FBAINm::PaD17::Aco、GPD::YlCPT1::Aco、およびYAT1::MCS::Lip1であった。上の発現カセットの構造は、簡易表記体系「X::Y::Z」によって表され、Xはプロモーター断片を記述し、Yは遺伝子断片を記述し、Zはターミネーター断片を記述し、それらは全て互いに作動的に連結する。略称は、次のとおり:FmD12は、フザリウム・モニリフォルメ(Fusarium moniliforme)δ−12デサチュラーゼ遺伝子[米国特許第7,504,259号明細書]であり;FmD12Sは、フザリウム・モニリフォルメ(Fusarium moniliforme)[米国特許第7,504,259号明細書]に由来するコドン最適化δ−12デサチュラーゼ遺伝子であり;ME3Sは、モルティエラ・アルピナ(Mortierella alpina)[米国特許第7,470,532号明細書]に由来するコドン最適化C16/18エロンガーゼ遺伝子であり;EgD9eは、ミドリムシ(Euglena gracilis)δ−9エロンガーゼ遺伝子[米国特許第7,645,604号明細書]であり;EgD9eSは、ミドリムシ(Euglena gracilis)[米国特許第7,645,604号明細書]に由来するコドン最適化δ−9エロンガーゼ遺伝子であり;EgD8Mは、ミドリムシ(Euglena gracilis)[米国特許第7,256,033号明細書]に由来するδ−8デサチュラーゼ遺伝子合成変異体[米国特許第7,709,239号明細書]であり;EaD8Sは、ユーグレナ・アナベナ(Euglena Anabaena)[米国特許第7,790,156号明細書]に由来するコドン最適化δ−8デサチュラーゼ遺伝子であり;E389D9eS/EgD8Mは、ユートレプチエラ(Eutreptiella)種CCMP389 δ−9エロンガーゼ(米国特許第7,645,604号明細書)に由来するコドン最適化δ−9エロンガーゼ遺伝子(「E389D9eS」)と、δ−8デサチュラーゼ「EgD8M」(前出)[米国特許出願公開第2008−0254191−A1号明細書]とを連結させて作成されたDGLAシンターゼであり;EgD9ES/EgD8Mは、δ−9エロンガーゼ「EgD9eS」(前出)とδ−8デサチュラーゼ「EgD8M」(前出)[米国特許出願公開第2008−0254191−A1号明細書]とを連結させて作成されたDGLAシンターゼであり;EgD5MおよびEgD5SMは、ミドリムシ(Euglena gracilis)[米国特許第7,678,560号明細書]に由来する合成変異体δ−5デサチュラーゼ遺伝子[米国特許出願公開第号明細書2010−0075386−A1]であり;EaD5SMは、ユーグレナ・アナベナ(Euglena Anabaena)[米国特許出願公開第号明細書2008−0274521−A1]に由来する合成変異体δ−5デサチュラーゼ遺伝子であり[米国特許出願公開第号明細書2010−0075386−A1];PaD17は、ピシウム・アファニデルマタム(Pythium aphanidermatum)δ−17デサチュラーゼ遺伝子[米国特許第7,556,949号明細書]であり;PaD17Sは、ピシウム・アファニデルマタム(Pythium aphanidermatum)[米国特許第7,556,949号明細書]に由来するコドン最適化δ−17デサチュラーゼ遺伝子であり;YlCPT1は、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)ジアシルグリセロールコリンホスホトランスフェラーゼ遺伝子[国際公開第2006/052870号パンフレット]であり;MCSは、リゾビウム・レグミノサルム(Rhizobium leguminosarum)bv.viciae 3841[米国特許出願公開第2010−0159558−A1号明細書]に由来するコドン最適化マロニル−CoAシンセターゼ遺伝子である。
Y8672株の総脂質含量および組成の詳述な分析のために、細胞を二段階で合計7日間培養するフラスコアッセイを実施した。分析に基づいて、Y8672株は3.3g/Lの乾燥細胞重量[「DCW」]を産生し、細胞の総脂質含量は26.5[「TFA%DCW」]であり、乾燥細胞重量のパーセントとしてのEPA含量は[「EPA%DCW」]16.4であり、各脂肪酸濃度を重量%TFA[「%TFA」]とする脂質プロフィールは次のようであった。16:0(パルミテート)は2.3、16:1(パルミトレイン酸)は0.4、18:0(ステアリン酸)は2.0、18:1(オレイン酸)は4.0、18:2(LA)は16.1、ALAは1.4、EDAは1.8、DGLAは1.6、ARAは0.7、ETrAは0.4、ETAは1.1、EPAは61.8、その他は6.4。
本明細書の実施例6は、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y9502株バイオマスを使用した。Y9502株の作成については、参照によって本明細書に援用する、米国特許出願公開第2010−0317072−A1号明細書に記載される。ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)ATCC#20362に由来するY9502株は、δ−9エロンガーゼ/δ−8デサチュラーゼ経路の発現を通じて、総脂質に対して約57.0%のEPAを産生できた。
野生型ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)ATCC#20362と比較したY9502株の最終遺伝子型は、Ura+、Pex3−、unknown1−、unknown2−、unknown3−、unknown4−、unknown5−、unknown6−、unknown7−、unknown8−、unknown9−、unknown10−、YAT1::ME3S::Pex16、GPD::ME3S::Pex20、YAT1::ME3S::Lip1、FBAINm::EgD9eS::Lip2、EXP1::EgD9eS::Lip1、GPAT::EgD9e::Lip2、YAT1::EgD9eS::Lip2、FBAINm::EgD8M::Pex20、EXP1::EgD8M::Pex16、FBAIN::EgD8M::Lip1、GPD::EaD8S::Pex16(2コピー)、YAT1::E389D9eS/EgD8M::Lip1、YAT1::EgD9eS/EgD8M::Aco、FBAINm::EaD9eS/EaD8S::Lip2、GPD::FmD12::Pex20、YAT1::FmD12::Oct、EXP1::FmD12S::Aco、GPDIN::FmD12::Pex16、EXP1::EgD5M::Pex16、FBAIN::EgD5SM::Pex20、GPDIN::EgD5SM::Aco、GPM::EgD5SM::Oct、EXP1::EgD5SM::Lip1、YAT1::EaD5SM::Oct、FBAINm::PaD17::Aco、EXP1::PaD17::Pex16、YAT1::PaD17S::Lip1、YAT1::YlCPT::Aco、YAT1::MCS::Lip1、FBA::MCS::Lip1、YAT1::MaLPAAT1S::Pex16であった。先に定義されていない略称は、次のとおり:EaD9eS/EgD8Mは、ユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)δ−9エロンガーゼ[米国特許第7,794,701号明細書]に由来するコドン最適化δ−9エロンガーゼ遺伝子(「EaD9eS」)とδ−8デサチュラーゼ「EgD8M」(前出)[米国特許出願公開第2008−0254191−A1号明細書]とを連結させて作成されたDGLAシンターゼであり;MaLPAAT1Sは、モルティエラ・アルピナ(Mortierella alpina)米国特許第7,879,591号明細書]に由来するコドン最適化リゾホスファチジン酸アシル基転移酵素遺伝子である。
Y9502株の総脂質含量および組成の詳述な分析のために、細胞を二段階で合計7日間培養するフラスコアッセイを実施した。分析に基づいて、Y9502株は3.8g/Lの乾燥細胞重量[「DCW」]を産生し、細胞の総脂質含量は37.1[「TFA%DCW」]であり、乾燥細胞重量のパーセントとしてのEPA含量は[「EPA%DCW」]21.3であり、各脂肪酸濃度を重量%TFA[「%TFA」]とする脂質プロフィールは次のようであった。16:0(パルミテート)は2.5、16:1(パルミトレイン酸)は0.5、18:0(ステアリン酸)は2.9、18:1(オレイン酸)は5.0、18:2(LA)は12.7、ALAは0.9、EDAは3.5、DGLAは3.3、ARAは0.8、ETrAは0.7、ETAは2.4、EPAは57.0、その他は7.5。
本明細書の実施例5は、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y4305F1B1株バイオマスを使用した。ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)ATCC#20362に由来して、δ−9エロンガーゼ/δ−8デサチュラーゼ経路の発現を通じて、28〜32%の総脂質含量[「TFA%DCW」]で、総脂質に対して約50〜52%のEPAを産生できる、Y4305F1B1株の作成について下に記載する。具体的には、Y4305株F1B1は、その開示の内容全体を参照によって援用する、2009年4月9日に公開された米国特許出願公開第2008−0254191号明細書の一般方法で先に記述された、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y4305株に由来する。野性型ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)ATCC#20362と比較したY4305株の最終遺伝子型は、SCP2−(YALI0E01298g)、YALI0C18711g−、Pex10−、YALI0F24167g−、unknown1−、unknown3−、unknown8−、GPD::FmD12::Pex20、YAT1::FmD12::OCT、GPM/FBAIN::FmD12S::OCT、EXP1::FmD12S::Aco、YAT1::FmD12S::Lip2、YAT1::ME3S::Pex16、EXP1::ME3S::Pex20(3コピー)、GPAT::EgD9e::Lip2、EXP1::EgD9eS::Lip1、FBAINm::EgD9eS::Lip2、FBA::EgD9eS::Pex20、GPD::EgD9eS::Lip2、YAT1::EgD9eS::Lip2、YAT1::E389D9eS::OCT、FBAINm::EgD8M::Pex20、FBAIN::EgD8M::Lip1(2コピー)、EXP1::EgD8M::Pex16、GPDIN::EgD8M::Lip1、YAT1::EgD8M::Aco、FBAIN::EgD5::Aco、EXP1::EgD5S::Pex20、YAT1::EgD5S::Aco、EXP1::EgD5S::ACO、YAT1::RD5S::OCT、YAT1::PaD17S::Lip1、EXP1::PaD17::Pex16、FBAINm::PaD17::Aco、YAT1::YlCPT1::ACO、GPD::YlCPT1::ACOであった。先に定義されていない略称は、次のとおり:E389D9eSは、ユートレプチエラ(Eutreptiella)種CCMP389[米国特許第7,645,604号明細書]に由来するコドン最適化δ−9エロンガーゼ遺伝子であり;EgD5はミドリムシ(Euglena gracilis)δ−5デサチュラーゼ[米国特許第7,678,560号明細書]であり;EgD5Sは、ミドリムシ(Euglena gracilis)[米国特許第7,678,560号明細書]に由来するコドン最適化δ−5デサチュラーゼ遺伝子であり;RD5Sは、ペリディニウム(Peridinium)種CCMP626[米国特許第7,695,950号明細書]に由来するコドン最適化δ−5デサチュラーゼである。
Y4305細胞の総脂質含量は27.5[「TFA%DCW」]であり、各脂肪酸濃度を重量%TFA[「%TFA」]とする脂質プロフィールは次のようであった。16:0(パルミテート)は2.8、16:1(パルミトレイン酸)は0.7、18:0(ステアリン酸)は1.3、18:1(オレイン酸)は4.9、18:2(LA)は17.6、ALAは2.3、EDAは3.4、DGLAは2.0、ARAは0.6、ETAは1.7、およびEPAは53.2。
スルホニル尿素[「SUR」]耐性に基づく、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)のための優勢非抗生物質マーカーを用いて、Y4305株に形質転換を実施した。より具体的には、マーカー遺伝子は、単一アミノ酸変化、すなわちスルホニル尿素除草剤耐性を与えるW497Lを有する、天然アセトヒドロキシ酸シンターゼ(「AHAS」またはアセト乳酸シンターゼ;E.C.4.1.3.18)である(国際公開第2006/052870号パンフレットの配列番号292)。
米国特許出願公開第2011−0059204−A1号明細書に記載されるように、ヤロウィア(Yarrowia)Y4305株へのSUR遺伝子マーカーのランダム組み込みを使用し、油性条件下で培養した際に、親Y4305株と比べて増大した脂質含量を有する細胞を同定する。
2リットル発酵条件下で評価すると、Y4305株の平均EPA生産性[「EPA%DCW」]は、変異SURY4305−F1B1株の50〜52と比較して、50〜56であった。Y4305株の平均脂質含量[「TFA%DCW」]は、Y4305−F1B1株の28〜32と比較して20〜25であった。したがってEPA生産性への影響を最小限に抑えて、Y4503−F1B1株の脂質含量は29〜38%増大した。
発酵:
振盪フラスコ内で、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)の凍結培養物から接種菌液を調製した。培養期間後、培養物を使用して種発酵槽に接種した。種培養が適切な標的細胞密度に達したら、次にそれを使用してより大きな発酵槽に接種した。発酵は、二段階流加法であった。第一段階では、高細胞密度への迅速な増殖を促進する条件下で酵母を培養し;培地は、グルコース、様々な窒素源、微量金属、およびビタミンを含んでなった。第二段階では、酵母を窒素飢餓状態にしてグルコースを連続的に供給し、脂質とPUFAの蓄積を促進した。標準操作条件によって、温度(30〜32℃に制御)、pH(5〜7に制御)、溶存酸素濃度、およびグルコース濃度をはじめとするプロセス変量をモニターして制御し、一貫した工程性能および最終PUFA油の品質を確保した。
振盪フラスコ内で、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)の凍結培養物から接種菌液を調製した。培養期間後、培養物を使用して種発酵槽に接種した。種培養が適切な標的細胞密度に達したら、次にそれを使用してより大きな発酵槽に接種した。発酵は、二段階流加法であった。第一段階では、高細胞密度への迅速な増殖を促進する条件下で酵母を培養し;培地は、グルコース、様々な窒素源、微量金属、およびビタミンを含んでなった。第二段階では、酵母を窒素飢餓状態にしてグルコースを連続的に供給し、脂質とPUFAの蓄積を促進した。標準操作条件によって、温度(30〜32℃に制御)、pH(5〜7に制御)、溶存酸素濃度、およびグルコース濃度をはじめとするプロセス変量をモニターして制御し、一貫した工程性能および最終PUFA油の品質を確保した。
発酵当業者は、発酵操作それ自体、培地条件、工程パラメーター、スケールアップなど、ならびに培養物が試料採取される特定の時点に応じて特定ヤロウィア(Yarrowia)株の油プロフィールに変動が起きることを知るであろう(例えば米国特許出願公開第2009−0093543−A1号明細書を参照されたい)。
後処理過程:
処理に先だって抗酸化剤を発酵ブロスに任意選択的に添加して、微生物油の酸化安定性を確保する。酵母微生物バイオマスを脱水し、洗浄して塩と残留培地を除去し、リパーゼ活性を最小化した。次にドラム乾燥(典型的に80psigの蒸気で)または噴霧乾燥のどちらかを実施して、水分含量を5%未満に低下させ、短期保存および輸送中の油安定性を確保した。二軸スクリュー押出機を使用して、ドラム乾燥フレークまたは噴霧乾燥粉末を機械的に破壊し、微生物油がより容易に露出するようにして、それによって抽出を促進した。
処理に先だって抗酸化剤を発酵ブロスに任意選択的に添加して、微生物油の酸化安定性を確保する。酵母微生物バイオマスを脱水し、洗浄して塩と残留培地を除去し、リパーゼ活性を最小化した。次にドラム乾燥(典型的に80psigの蒸気で)または噴霧乾燥のどちらかを実施して、水分含量を5%未満に低下させ、短期保存および輸送中の油安定性を確保した。二軸スクリュー押出機を使用して、ドラム乾燥フレークまたは噴霧乾燥粉末を機械的に破壊し、微生物油がより容易に露出するようにして、それによって抽出を促進した。
一般方法
微生物バイオマス、抽出油、および残留バイオマスサンプル中の脂質配分を測定する方法:Bligh & Dyer法(Lipid Analysis,3rd ed.,W.W.Christie,Ed.,Oily Press:Bridgwater,2003で概説される手順に基づく)の変法を使用して、酵母微生物バイオマスおよび残留バイオマス(すなわちCO2抽出後)のサンプルを抽出し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で分離して、メタノール塩酸を使用して、直接、エステル化/エステル交換した。油サンプルをクロロホルム/メタノールに溶解し、次にTLCで分離して、直接エステル化/エステル交換した。エステル化/エステル交換サンプルをガスクロマトグラフィーによって分析した。
微生物バイオマス、抽出油、および残留バイオマスサンプル中の脂質配分を測定する方法:Bligh & Dyer法(Lipid Analysis,3rd ed.,W.W.Christie,Ed.,Oily Press:Bridgwater,2003で概説される手順に基づく)の変法を使用して、酵母微生物バイオマスおよび残留バイオマス(すなわちCO2抽出後)のサンプルを抽出し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で分離して、メタノール塩酸を使用して、直接、エステル化/エステル交換した。油サンプルをクロロホルム/メタノールに溶解し、次にTLCで分離して、直接エステル化/エステル交換した。エステル化/エステル交換サンプルをガスクロマトグラフィーによって分析した。
酵母微生物バイオマスおよび残留バイオマスのサンプルは、典型的に乾燥粉末として受領された。規定分(PUFA濃度に応じて100〜200mg以下)のサンプルをTeflon(商標)キャップ付き13×100mmガラス試験管内に量り入れ、それに3mL容積の2:1(容積:容積)メタノール/クロロホルム溶液を添加した。サンプルを完全にボルテックスして、穏やかに撹拌および反転させて、室温で1時間インキュベートした。1時間後、1mLのクロロホルムおよび1.8mLの脱イオン水を添加して混合物を撹拌し、次に形成された2層を遠心分離して分離した。パスツールピペットを使用して、最下層を取り出して第2の風袋測定済み13mmガラスバイアルに入れ、水性最上層を第2の1mL部分のクロロホルムで30分間再抽出した。2つの抽出物を合わせて、「第1の抽出物」と見なした。乾燥窒素によって50℃でTurboVap(商標)を使用して溶媒を除去し、残留油を適量の6:1(容積:容積)クロロホルム/メタノールに再懸濁して、100mg/mLの溶液を得た。
(酵母微生物バイオマスおよび残留バイオマスサンプルについて)上述したようにして得られた抽出油と、微生物バイオマスのCO2抽出からの油サンプルを薄層クロマトグラフィー(TLC)によって分析した。TLCは典型的に1つのタンクを使用して行われたが、個々のPLを同定する場合、2タンク手順もまた用いられた。1タンクTLC手順では、プレートの端から端まで底部から2cmに鉛筆で薄い線を引くことで、5×20cmシリカゲル60プレート(EMD#5724−3、VWRから得られた)を準備した。鉛筆線の上から、スポット間にいかなる間隙も残さずに、プレートの端から端まで適量のサンプル(約60μL)をスポットした。1〜2μLの量を使用して、第2のプレートに、既知の標準物質およびサンプルをスポットした。プレートを5〜10分間風乾して、プレートのランニングに先だって1枚の吸い取り紙と共にタンク内で少なくとも30分間平衡化させた、ヘキサン−ジエチルエーテル−酢酸混合物(容積比70:30:1)を使用して展開した。
上から1/4インチ以内までプレートを展開した後、それらをN2環境内で15分間乾燥させた。次に標準物質および小型サンプルスポットのある2枚目のプレートを、ヨウ素結晶で飽和させたタンク内で展開して、分取プレートの参照とした。バンドの端をヨウ素で非常に薄く染め、鉛筆を使用して分取プレートのバンドを識別し、各画分(すなわちそれぞれPL、FFA、TAG、およびDAG画分)に従ってバンドをグループ分けした。DAGバンドは、1,2−DAG、1,3−DAG、およびMAGバンド間にいくらかの分離を示し得て、典型的にこの全領域はDAGバンドとして切り抜かれる。バンドをゲルから切り抜いて、13mmガラスバイアルに移した。プレートの残部をヨウ素タンク内で展開し、対象のバンドの完全な除去を確認した。
各バンドを含有するガラスバイアルに、トルエン中の適量のトリグリセリド内標準を添加した。各バンドの可視濃度に応じて、100μLの0.1〜5mg/mLの内標準を通常使用した。共溶媒(この場合トルエン)を内標準と共に添加した。内標準を使用しない場合、追加的な共溶媒を添加して、鎖長のより長い脂質のエステル化/エステル交換を完了した。1mLの1%メタノール塩酸溶液(5mL塩化アセチルを50mLの冷乾燥メタノールに緩慢に添加して調製された)を添加し、サンプルに蓋をして穏やかに混合し、80℃の加熱ブロックに入れた。1後時間後、サンプルを取り出して放冷した。1mLの1N塩化ナトリウム溶液および400μLのヘキサンを添加し、次にサンプルを少なくとも12秒間ボルテックスして遠心分離し、2相を分離した。次に水性(最下)層で汚染しないように注意しながら、最上層を取り出した。最上層をインサートを装着したGCバイアル内に入れて蓋をした。
水素炎イオン化検出器(FID)とOmegawax 320カラム(30m×0.32mm内径×25μm膜厚;製造元Supelco(Bellfonte,PA))とを装着したAgilentモデル6890ガスクロマトグラフ(Agilent Technologies,Santa Clara,CA)を使用して、サンプルを分析した。ヘリウムキャリアガスは、分割比20:1または30:1で、1〜3mL/分の範囲内で一定に保たれた。オーブン条件は次のとおりであった。初期温度160℃で、初期時間0分および平衡時間0.5分間。温度勾配は、200℃まで5℃/分で最終保持時間0分間、次に240℃まで10℃/分で4分間の保持時間で合計16分間であった。入口は260℃に設定した。FID検出器もまた260℃に設定した。Nu−Chek Prep GLC参照標準(#461)を滞留時間検証のために注入した。
AgilentのCustom Reportsを使用してGC結果を収集し、百分率を計算するために各脂肪酸の面積をExcelスプレッドシートに転送した。次に脂肪酸総量を脂質クラスに変換する補正率を適用することができた。各構成要素の合計百分率を、TLCに先だって誘導体化された元の抽出物と比較した。
抽出法:
乾燥させて機械的に破壊した酵母細胞(「微生物バイオマス」)を通常、抽出容器に装填し、グラスウールプラグの間に詰めてCO2でフラッシュし、次にCO2流の下で所望の操作条件に加熱および加圧した。排出管を装着した市販のシリンダーからCO2を直接供給し、高圧ポンプで量り入れた。容器の流出側の絞り弁の使用を通じて抽出容器上で圧力を維持し、CO2溶媒を大気中に同時に排気しながら、微生物油サンプルをサンプル容器内に収集した。共溶媒(例えばエタノール)を共溶媒ポンプ(Iscoモデル100Dシリンジポンプ)の使用を通じて、抽出容器に供給される抽出溶媒に任意選択的に添加することができる。残留バイオマスを測定して抽出中の全質量損失を判定することにより、報告される微生物バイオマスからの抽出収率を重量測定的に求めた。
乾燥させて機械的に破壊した酵母細胞(「微生物バイオマス」)を通常、抽出容器に装填し、グラスウールプラグの間に詰めてCO2でフラッシュし、次にCO2流の下で所望の操作条件に加熱および加圧した。排出管を装着した市販のシリンダーからCO2を直接供給し、高圧ポンプで量り入れた。容器の流出側の絞り弁の使用を通じて抽出容器上で圧力を維持し、CO2溶媒を大気中に同時に排気しながら、微生物油サンプルをサンプル容器内に収集した。共溶媒(例えばエタノール)を共溶媒ポンプ(Iscoモデル100Dシリンジポンプ)の使用を通じて、抽出容器に供給される抽出溶媒に任意選択的に添加することができる。残留バイオマスを測定して抽出中の全質量損失を判定することにより、報告される微生物バイオマスからの抽出収率を重量測定的に求めた。
実施例5は、市販の自動SCF抽出器(IscoモデルSFX3560)を使用して実施された。この装置は、抽出容器の両端に2ミクロンの焼結金属フィルターを装着した10mLプラスチック抽出容器を使用した。抽出する基質をこの容器に装填し、次に抽出容器の内外で圧力を均等化する、高圧抽出チャンバーに装入した。CO2溶媒をシリンジポンプ(ISCOモデル260D)で量り入れ、規定の抽出温度に予熱して、次に抽出容器に通過させた。抵抗加熱ヒーターによって、抽出チャンバーを所望の抽出温度に加熱した。装置の不可分の一部である自動可変絞り弁によって、容器上で圧力を維持した。
実施例1〜4および6〜9は、特注高圧抽出装置内で行われた。抽出容器は316SS管材料から組み立てられ、容器の流出端上に2ミクロン焼結金属フィルターが装着された。冷蔵ヘッドアセンブリー(JascoモデルPU−1580−CO2)を装着した容積型ポンプによって、CO2を量り入れた。自動温度調節器によって制御される4つのCalrod加熱カートリッジを装着した、特注機械加工アルミニウムブロック内に、抽出容器を据え付けた。自動背圧調整器(JascoモデルBP−1580−81)によって、抽出圧力を維持した。
本実施例で報告される微生物バイオマス、残留バイオマス、および抽出油中の様々な脂質構成要素の分析は、本明細書で上述した薄層およびガスクロマトグラフィー法を使用して判定した。この要約は、分析的手順を使用して微生物バイオマスから抽出された脂質の分析を反映する;しかし残留バイオマスサンプルについてこの手順によって分析される脂質の量は、微生物バイオマスおよび抽出油サンプルのそれと比べて比較的小さい(典型的に最初の微生物バイオマス中の抽出油の<3%)。
微生物バイオマス、残留バイオマス、および抽出油サンプルについて脂質構成要素の相対配分を示す要約表に、結果を報告する。表の最上部の横列に示す同定された各脂肪酸について、リン脂質(PL)、ジアシルグリセリドジアシルグリセリド(DAG)、遊離脂肪酸(FFA)、およびトリアシルグリセリド(TAG)としてのその構成要素の相対配分を表縦列に垂直に示す。各サンプルの最初の行が、TLCに先だって誘導体化された元の抽出物の分析を示す一方、後続の列は、TLCおよびGCによる各構成要素の分析を提供し、各構成要素の合計百分率は、そのサンプルの右端の縦列に示される。
報告された微生物油抽出収率は、抽出前微生物バイオマスと抽出後残留バイオマス間の重量差によって決定され、百分率として表される。重量差は、CO2での処理によって抽出された微生物油量に起因すると想定された。得られた油の実重量は一般に、質量差に基づいて予想された重量の約85%以内であることが分かった。
実施例1
311バールおよび40℃における抽出曲線
本実施例の目的は、抽出曲線の生成を実証することである。316SS管材料(0.95cm外径×0.62cm内径×26.7cm長さ)から組み立てられた8mLの抽出容器に、公称2.7gの乾燥させ機械的に破壊したヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y8672株の酵母細胞(すなわち微生物バイオマス)を一連の抽出のために繰り返し装填して、40℃および311バールにおけるこの微生物バイオマスの抽出曲線を求めた。各抽出では、抽出容器および微生物バイオマスをCO2でフラッシュし、次に40℃においてCO2で311バールに加圧した。これらの条件および1.5g/分のCO2流速で、微生物バイオマスを様々な回数抽出し、一連の溶媒対供給材料比を提供して、表4に示すように、対応する抽出収率を得た。
311バールおよび40℃における抽出曲線
本実施例の目的は、抽出曲線の生成を実証することである。316SS管材料(0.95cm外径×0.62cm内径×26.7cm長さ)から組み立てられた8mLの抽出容器に、公称2.7gの乾燥させ機械的に破壊したヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y8672株の酵母細胞(すなわち微生物バイオマス)を一連の抽出のために繰り返し装填して、40℃および311バールにおけるこの微生物バイオマスの抽出曲線を求めた。各抽出では、抽出容器および微生物バイオマスをCO2でフラッシュし、次に40℃においてCO2で311バールに加圧した。これらの条件および1.5g/分のCO2流速で、微生物バイオマスを様々な回数抽出し、一連の溶媒対供給材料比を提供して、表4に示すように、対応する抽出収率を得た。
図4は、これらのデータを抽出曲線中にプロットする。約40g CO2/gの酵母溶媒対供給材料比における曲線の中断は、選択された温度と圧力において、この特定の微生物バイオマス中で利用可能な微生物油を効果的に抽出するために、少なくともこの溶媒比が必要であることを示唆する。
異なる温度および/または圧力条件で一連の抽出を繰り返し、特定の微生物バイオマスサンプルについて一連の抽出曲線を生成し得て、例えば経済性、所望の抽出収率、またはCO2総使用量に基づいて、最適抽出条件を選択できるようにする。
比較例
抽出油の分画なしの酵母細胞の抽出
この比較例の目的は、抽出物の分画または残留バイオマスの逐次抽出なしで、CO2による微生物バイオマスの抽出を実証し、得られた抽出物の脂質組成を提供することである。
抽出油の分画なしの酵母細胞の抽出
この比較例の目的は、抽出物の分画または残留バイオマスの逐次抽出なしで、CO2による微生物バイオマスの抽出を実証し、得られた抽出物の脂質組成を提供することである。
316SS管材料(1.27cm外径×0.94cm内径×26.0cm長さ)から組み立てられた18mL抽出容器に、4.99gの乾燥させ機械的に破壊したヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y8672株の酵母細胞(すなわち微生物バイオマス)を装填した。微生物バイオマスをCO2でフラッシュし、次に40℃に加熱して、222バールに加圧した。これらの条件および2.3g/分CO2の流速で微生物バイオマスを5.5時間抽出し、149g CO2/g酵母の最終溶媒対供給材料比を提供した。抽出物の収率は、18.2重量%であった。
下の表は、微生物バイオマス、残留バイオマス、および抽出油の脂質分析を要約する。
酵母微生物バイオマスでは、FFAの50重量%[「wt%」]およびTAGの59.8重量%が、EPAを含有することが分かった。具体的には、FFA中のEPAの重量%は、微生物バイオマス中のFFAの全重量%(すなわち6)で除した、微生物バイオマス中でEPAを含んでなるFFAの重量%(すなわち3)として計算され、百分率として表され、どちらのパーセント値も上の表5に示されるようにTLC分析から得られた。同様に、TAG中のEPAの重量%は、微生物バイオマス中のTAGの全重量%(すなわち82)で除した、微生物バイオマス中のEPAを含んでなりTAGの重量%(すなわち49)として計算され、百分率として表され、どちらのパーセント値も前出のTLC分析から得られた。
抽出油中のPLの不在(すなわち0重量%)は、最初の微生物バイオマス中に存在する脂質のPL画分が残留バイオマス(43重量%PL)中に残り、CO2によって抽出油中に分割されないことを示す。さらに抽出油は、微生物バイオマスのTAG含量(すなわち82重量%)と比べてTAGに富む(すなわち90重量%)。したがって抽出油は精製脂質組成物である。
より具体的には、結果は、抽出油の精製脂質組成物が90重量%のTAG、4重量%のFFA、および6重量%のDAGを含有することを示し、50%のFFAおよび58.9%のTAGはEPAを含有することが分かった。より具体的には、FFA中のEPA重量%は、抽出油中のFFAの全重量%(すなわち4)で除した、抽出油中のEPAを含んでなるFFAの重量%(すなわち2)として計算され;TAG中のEPA重量%は、抽出油中のTAGの全重量%(すなわち90)で除した、抽出油中のEPAを含んでなるTAGの重量%(すなわち53)として計算された。精製脂質組成物は、微生物バイオマスと比べてEPAに富まない。
実施例2〜4
逐次圧力抽出による脂質分画
実施例2、3、および4の目的は、様々な抽出条件下における微生物バイオマスの逐次圧力抽出を実証し、得られた抽出油の脂質組成を提供することである。
逐次圧力抽出による脂質分画
実施例2、3、および4の目的は、様々な抽出条件下における微生物バイオマスの逐次圧力抽出を実証し、得られた抽出油の脂質組成を提供することである。
実施例2、3、および4は、抽出油の脂質構成要素の分割が、多段階抽出における抽出条件の選択によって、影響を被り得ることを集合的に例証する。このような分割は、同様に、図3で例証される工程によって得られる、抽出油の逐次圧力低下から得られる。
実施例2、3、および4で得られるこれらの結果は、抽出油が引き続いて段階的圧力低下によって分画される、微生物バイオマスのSCF CO2抽出によって得られる結果と同様であることが予期される。
実施例2:
125バール〜222バール
316 SS管材料(1.27cm外径×0.94cm内径×26.0cm長さ)から組み立てられた18mL抽出容器に、3.50gの乾燥させ機械的に破壊したヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y8672株の酵母細胞を微生物バイオマスとして装填した。
125バール〜222バール
316 SS管材料(1.27cm外径×0.94cm内径×26.0cm長さ)から組み立てられた18mL抽出容器に、3.50gの乾燥させ機械的に破壊したヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y8672株の酵母細胞を微生物バイオマスとして装填した。
抽出物A:
微生物バイオマスをCO2でフラッシュし、次に40℃に加熱して125バールに加圧した。これらの条件および2.3g/分CO2の流速で微生物バイオマスを5時間抽出し、その時点で圧力を150バールに上昇させた。抽出をさらに1.2時間継続し、238g CO2/g酵母の最終溶媒対供給材料比を提供した。抽出物Aの収率は、11.7重量%であった。
微生物バイオマスをCO2でフラッシュし、次に40℃に加熱して125バールに加圧した。これらの条件および2.3g/分CO2の流速で微生物バイオマスを5時間抽出し、その時点で圧力を150バールに上昇させた。抽出をさらに1.2時間継続し、238g CO2/g酵母の最終溶媒対供給材料比を提供した。抽出物Aの収率は、11.7重量%であった。
抽出物B:
圧力を222バールに上昇させ、CO2流を2.3g/分で4.0時間継続することで、同じ部分的に抽出した微生物バイオマスに抽出を継続し、この画分について153g CO2/g酵母の最終溶媒対供給材料比を提供した。抽出物Bの収率は、抽出容器に装填した元の微生物バイオマスの6.2重量%であった。
圧力を222バールに上昇させ、CO2流を2.3g/分で4.0時間継続することで、同じ部分的に抽出した微生物バイオマスに抽出を継続し、この画分について153g CO2/g酵母の最終溶媒対供給材料比を提供した。抽出物Bの収率は、抽出容器に装填した元の微生物バイオマスの6.2重量%であった。
下の表は、微生物バイオマスと2つの抽出油画分(すなわち抽出物Aおよび抽出物B)の脂質分析を要約する。
用いられた抽出条件下では、抽出油のいくらかのTAG(すなわち82重量%)と、FFAおよびDAGの大部分は、抽出物A(各9重量%を含有する)中に選択的に分割された。最初の微生物バイオマス中に存在する脂質のPL画分は、CO2によって抽出物A中に分割されなかった。したがって抽出物Aは精製脂質組成物である。
用いられた抽出条件下では、抽出物BはTAGに富み(1重量%のDAGのみを含有し、測定されるFFAを含有しない)、実質的にPLを含まなかった。したがって抽出物Bの抽出油は、TAGに富む精製脂質組成物である。より具体的には、抽出物Bは99%のTAGを含んでなり、その内62.6%はEPAを含有した(すなわち抽出物B中のTAGの全重量%[すなわち99]で除した、抽出物B中のEPAを含んでなるTAGの重量%として計算され[すなわち62]、百分率として表され、どちらのパーセント値もTLC分析から得られた)。対照的に、EPAは、微生物バイオマス中の約59.8%のTAG中に存在した(すなわち微生物バイオマス中のTAGの全重量%[すなわち82]で除した、微生物バイオマス中のEPAを含んでなるTAGの重量%[すなわち49]として計算される)。したがって抽出物Bの精製脂質組成物は、微生物バイオマスと比べて、C20 PUFAであるEPAに富む。
実施例3:
125バールから141バールから222バール
316 SS管材料(2.54cm外径×1.93cm内径×30.5cm長さ)から組み立てられた89mL抽出容器に、15.0gの乾燥させ機械的に破壊したヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y8672株の酵母細胞を微生物バイオマスとして装填した。
125バールから141バールから222バール
316 SS管材料(2.54cm外径×1.93cm内径×30.5cm長さ)から組み立てられた89mL抽出容器に、15.0gの乾燥させ機械的に破壊したヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y8672株の酵母細胞を微生物バイオマスとして装填した。
抽出物A:
微生物バイオマスをCO2でフラッシュし、次に40℃に加熱して、125バールに加圧した。これらの条件および流速2.3g/分のCO2で微生物バイオマスを3.9時間抽出し、その時点で4.7g/分CO2に流速を増大させて抽出をさらに2.3時間継続した。次に圧力を141バールに上昇させた。抽出を4.7g/分のCO2/gでさらに4.1時間継続し、154g CO2/g酵母の最終溶媒対供給材料比を提供した。抽出物Aの収率は、8.7重量%であった。
微生物バイオマスをCO2でフラッシュし、次に40℃に加熱して、125バールに加圧した。これらの条件および流速2.3g/分のCO2で微生物バイオマスを3.9時間抽出し、その時点で4.7g/分CO2に流速を増大させて抽出をさらに2.3時間継続した。次に圧力を141バールに上昇させた。抽出を4.7g/分のCO2/gでさらに4.1時間継続し、154g CO2/g酵母の最終溶媒対供給材料比を提供した。抽出物Aの収率は、8.7重量%であった。
抽出物B:
圧力を222バールに上昇させ、CO2流を4.7g/分で8.0時間継続することで、同じ部分的に抽出した微生物バイオマスに抽出を継続し、この抽出物について150g CO2/g酵母の最終溶媒対供給材料比を提供した。抽出物Bの収率は、抽出容器に装填した最初の微生物バイオマスの15.4重量%であった。
圧力を222バールに上昇させ、CO2流を4.7g/分で8.0時間継続することで、同じ部分的に抽出した微生物バイオマスに抽出を継続し、この抽出物について150g CO2/g酵母の最終溶媒対供給材料比を提供した。抽出物Bの収率は、抽出容器に装填した最初の微生物バイオマスの15.4重量%であった。
下の表は、微生物バイオマス、最終抽出後の残留バイオマス、および2つの抽出油画分(すなわち抽出物Aおよび抽出物B)の脂質分析を要約する。
結果は、微生物バイオマス中に存在する脂質のPL画分が、残留バイオマス中に残ることを示した(すなわち抽出物A中の0重量%および抽出物B中の1重量%と対比して、残
留バイオマス中に37重量%のPL)。
留バイオマス中に37重量%のPL)。
用いられた抽出条件下では、微生物バイオマスのFFAおよびDAGが抽出物Aの精製脂質組成物中に選択的に分割される一方、精製脂質組成物抽出物BはTAGに富んでいた。より具体的には、抽出物Bは約97%TAGで、測定されるFFAはなく、約61.9%のTAGはEPAを含有することが分かった。対照的に、EPAは、微生物バイオマス中の約59.8%のTAG中に存在した(すなわち微生物バイオマス中のTAGの全重量%[すなわち82]で除した、微生物バイオマス中のEPAを含んでなるTAGの重量%[すなわち49]として計算される)。したがって抽出物Bの精製脂質組成物は、微生物バイオマスと比べて、C20 PUFAであるEPAに富む。
実施例4:
110バールから222バール
316 SS管材料(2.54cm外径×1.93cm内径×30.5cm長さ)から組み立てられた89mL抽出容器に、20.0gの乾燥させ機械的に破壊したヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y8672株の酵母細胞を微生物バイオマスとして装填した。
110バールから222バール
316 SS管材料(2.54cm外径×1.93cm内径×30.5cm長さ)から組み立てられた89mL抽出容器に、20.0gの乾燥させ機械的に破壊したヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y8672株の酵母細胞を微生物バイオマスとして装填した。
抽出物A:
微生物バイオマスをCO2でフラッシュし、次に40℃に加熱して、110バールに加圧した。これらの条件および4.7g/分CO2の流速で微生物バイオマスを7.1時間抽出し、100g CO2/g酵母の最終溶媒対供給材料比を提供した。抽出物Aの収率は、4.1重量%であった。
微生物バイオマスをCO2でフラッシュし、次に40℃に加熱して、110バールに加圧した。これらの条件および4.7g/分CO2の流速で微生物バイオマスを7.1時間抽出し、100g CO2/g酵母の最終溶媒対供給材料比を提供した。抽出物Aの収率は、4.1重量%であった。
抽出物B:
圧力を222バールに上昇させ、CO2流を4.7g/分で15.0時間継続することで、同じ部分的に抽出した微生物バイオマスに抽出を継続し、この抽出物について212g CO2/g酵母の最終溶媒対供給材料比を提供した。抽出物Bの収率は、抽出容器に装填した元の微生物バイオマスの14.6重量%であった。
圧力を222バールに上昇させ、CO2流を4.7g/分で15.0時間継続することで、同じ部分的に抽出した微生物バイオマスに抽出を継続し、この抽出物について212g CO2/g酵母の最終溶媒対供給材料比を提供した。抽出物Bの収率は、抽出容器に装填した元の微生物バイオマスの14.6重量%であった。
下の表は、出発供給酵母、最終抽出後の残留バイオマス、および2つの抽出油画分(すなわち抽出物Aおよび抽出物B)の脂質分析を要約する。
結果は、微生物バイオマス中に存在する脂質のPL画分が、残留バイオマス中に残ることを示した(すなわち抽出物Aおよび抽出物B中の0重量%と対比して、残留バイオマス
中に41重量%のPL)。
中に41重量%のPL)。
用いられた抽出条件下では、微生物バイオマスのFFAおよびDAGが抽出物Aの精製脂質組成物中に選択的に分割される一方、抽出物Bの精製脂質組成物はTAGに富んでいた。より具体的には、抽出物Bは約95%TAGで、測定されるFFAはなく、約58.9%のTAGはEPAを含有することが分かった。抽出物Bの精製脂質組成物は、微生物バイオマスと比べてEPAに富まない。
実施例5〜7
様々な圧力における超臨界流体CO2抽出
実施例5、6、および7の目的は、様々な圧力(すなわちそれぞれ500バール、310バール、および222バール)において、超臨界流体(SCF)としてのCO2による微生物バイオマスの抽出を実証し、得られた抽出油の脂質組成を提供することである。このような抽出条件は、少なくとも1つのPUFAを含んでなる精製組成物を得る方法の最初のステップで使用することができ、方法は、少なくとも1つのPUFAを含んでなる微生物バイオマスを適切な抽出条件下でCO2によって処理するステップと、引き続いて例えば逐次圧力低下によって抽出物を分画するステップを含んでなる。
様々な圧力における超臨界流体CO2抽出
実施例5、6、および7の目的は、様々な圧力(すなわちそれぞれ500バール、310バール、および222バール)において、超臨界流体(SCF)としてのCO2による微生物バイオマスの抽出を実証し、得られた抽出油の脂質組成を提供することである。このような抽出条件は、少なくとも1つのPUFAを含んでなる精製組成物を得る方法の最初のステップで使用することができ、方法は、少なくとも1つのPUFAを含んでなる微生物バイオマスを適切な抽出条件下でCO2によって処理するステップと、引き続いて例えば逐次圧力低下によって抽出物を分画するステップを含んでなる。
実施例5:
500バールにおけるSCF CO2抽出
10mLの抽出容器に、2.01gの乾燥させ機械的に破壊したヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y4305−F1B1株の酵母細胞を微生物バイオマスとして装填し、容器をIscoモデルSFX3560抽出器内にマウントした。微生物バイオマスをCO2でフラッシュし、次に40℃に加熱して、500バールに加圧した。これらの条件および0.86g/分CO2の流速で微生物バイオマスを5.8時間抽出し、150g CO2/g酵母の最終溶媒対供給材料比を提供した。抽出油の収率は、32.8重量%であった。下の表は、微生物バイオマス、残留バイオマス、および抽出油の脂質分析を要約する。
500バールにおけるSCF CO2抽出
10mLの抽出容器に、2.01gの乾燥させ機械的に破壊したヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y4305−F1B1株の酵母細胞を微生物バイオマスとして装填し、容器をIscoモデルSFX3560抽出器内にマウントした。微生物バイオマスをCO2でフラッシュし、次に40℃に加熱して、500バールに加圧した。これらの条件および0.86g/分CO2の流速で微生物バイオマスを5.8時間抽出し、150g CO2/g酵母の最終溶媒対供給材料比を提供した。抽出油の収率は、32.8重量%であった。下の表は、微生物バイオマス、残留バイオマス、および抽出油の脂質分析を要約する。
表9の結果は、微生物バイオマス中に存在する脂質のPL画分が残留バイオマス中に残り、CO2抽出油中に分割されなかったことを示す(すなわち抽出油中の0重量%と対比
して残留バイオマス中に48重量%のPL)。抽出油はまた、微生物バイオマスと比べてTAGにも富んだので、この油は精製脂質組成物であった。精製脂質組成物は、5重量%FFA、7重量%DAG、および88重量%TAGを含んでなった。
して残留バイオマス中に48重量%のPL)。抽出油はまた、微生物バイオマスと比べてTAGにも富んだので、この油は精製脂質組成物であった。精製脂質組成物は、5重量%FFA、7重量%DAG、および88重量%TAGを含んでなった。
実施例6:
310バールにおけるSCF CO2抽出
316 SS管材料(2.54cm外径×1.93cm内径×30.5cm長さ)から組み立てられた89mL抽出容器に、25.1gの乾燥させ機械的に破壊したヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y9502株の酵母細胞を微生物バイオマスとして装填した。微生物バイオマスをCO2でフラッシュし、次に40℃に加熱して、310バールに加圧した。これらの条件および5.0mL/分CO2の流速で微生物バイオマスを4.4時間抽出し、50g CO2/g酵母の最終溶媒対供給材料比を提供した。抽出油の収率は、28.8重量%であった。下の表は、微生物バイオマス、残留バイオマス、および抽出油の脂質分析を要約する。
310バールにおけるSCF CO2抽出
316 SS管材料(2.54cm外径×1.93cm内径×30.5cm長さ)から組み立てられた89mL抽出容器に、25.1gの乾燥させ機械的に破壊したヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y9502株の酵母細胞を微生物バイオマスとして装填した。微生物バイオマスをCO2でフラッシュし、次に40℃に加熱して、310バールに加圧した。これらの条件および5.0mL/分CO2の流速で微生物バイオマスを4.4時間抽出し、50g CO2/g酵母の最終溶媒対供給材料比を提供した。抽出油の収率は、28.8重量%であった。下の表は、微生物バイオマス、残留バイオマス、および抽出油の脂質分析を要約する。
表10の結果は、微生物バイオマス中に存在する脂質のPL画分の大部分が残留バイオマス中に残り、CO2抽出油中に分割されなかったことを示す(すなわち抽出油中の1重量%と対比して残留バイオマス中に40重量%のPL)。抽出油はまた、微生物バイオマスと比べて実質的にPLを含まずTAGに富んだので、この油は精製脂質組成物であった。精製脂質組成物は、16重量%FFA、6重量%DAG、および77重量%TAGを含んでなった。
実施例7:
222バールにおけるSCF CO2抽出
316 SS管材料(2.54cm外径×1.93cm内径×30.5cm長さ)から組み立てられた89mL抽出容器に、25.1gの乾燥させ機械的に破壊したヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y8672株の酵母細胞を微生物バイオマスとして装填した。微生物バイオマスをCO2でフラッシュし、次に40℃に加熱して、222バールに加圧した。これらの条件および4.7g/分CO2の流速で微生物バイオマスを13.7時間抽出し、154g CO2/g酵母の最終溶媒対供給材料比を提供した。抽出油の収率は、18.1重量%であった。
222バールにおけるSCF CO2抽出
316 SS管材料(2.54cm外径×1.93cm内径×30.5cm長さ)から組み立てられた89mL抽出容器に、25.1gの乾燥させ機械的に破壊したヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y8672株の酵母細胞を微生物バイオマスとして装填した。微生物バイオマスをCO2でフラッシュし、次に40℃に加熱して、222バールに加圧した。これらの条件および4.7g/分CO2の流速で微生物バイオマスを13.7時間抽出し、154g CO2/g酵母の最終溶媒対供給材料比を提供した。抽出油の収率は、18.1重量%であった。
毎回微生物バイオマスの新鮮サンプルを用いて、前出のこの抽出をさらに4回反復した。5つの残留バイオマスサンプルおよび5つの抽出油サンプルは、統合して混合し、5回の抽出からの複合試料を提供した。
下の表は、微生物バイオマス、統合残留バイオマス、および統合抽出油の脂質分析を要約する。
表11の結果は、微生物バイオマス中に存在する脂質のPL画分が残留バイオマス中に残り、CO2抽出油中に分割されなかったことを示す(すなわち抽出油中の0重量%と対
比して残留バイオマス中に59重量%のPL)。抽出油はまた、微生物バイオマスと比べてTAGにも富んだので、この油は精製脂質組成物であった。精製脂質組成物は、7重量%FFA、7重量%DAG、および86重量%TAGを含んでなった。
比して残留バイオマス中に59重量%のPL)。抽出油はまた、微生物バイオマスと比べてTAGにも富んだので、この油は精製脂質組成物であった。精製脂質組成物は、7重量%FFA、7重量%DAG、および86重量%TAGを含んでなった。
実施例8
85バールにおける液体CO2抽出
本実施例の目的は、85バールにおいて液体としてのCO2による微生物バイオマスの抽出を実証し、得られた抽出油の組成を提供することである。このような抽出条件は、少なくとも1つのPUFAを含んでなる精製組成物を得る方法の第1のステップで使用することができ、方法は、少なくとも1つのPUFAを含んでなる微生物バイオマスを適切な抽出条件下でCO2によって処理するステップと、引き続いて例えば逐次圧力低下によって抽出物を分画するステップを含んでなる。
85バールにおける液体CO2抽出
本実施例の目的は、85バールにおいて液体としてのCO2による微生物バイオマスの抽出を実証し、得られた抽出油の組成を提供することである。このような抽出条件は、少なくとも1つのPUFAを含んでなる精製組成物を得る方法の第1のステップで使用することができ、方法は、少なくとも1つのPUFAを含んでなる微生物バイオマスを適切な抽出条件下でCO2によって処理するステップと、引き続いて例えば逐次圧力低下によって抽出物を分画するステップを含んでなる。
316 SS管材料(0.95cm外径×0.62cm内径×26.7cm長さ)から組み立てられた8mL抽出容器に、0.966gの乾燥させ機械的に破壊したヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y8672株の酵母細胞を微生物バイオマスとして装填した。微生物バイオマスをCO2でフラッシュし、次に22℃で液体CO2によって85バールに加圧した。これらの条件および0.69g/分CO2の流速で微生物バイオマスを8.5時間抽出し、361g CO2/g酵母の最終溶媒対供給材料比を提供した。抽出油の収率は、21.4重量%であった。
下の表は、微生物バイオマス、残留バイオマス、および抽出油の脂質分析を要約する。
表12の結果は、微生物バイオマス中に存在する脂質のPL画分が残留バイオマス中に残り、CO2抽出油中に分割されなかったことを示す(すなわち抽出油中の0.7重量%
と対比して残留バイオマス中に28重量%のPL)。抽出油はまた、微生物バイオマスと比べて実質的にPLを含まずTAGに富んだので、この油は精製脂質組成物であった。
と対比して残留バイオマス中に28重量%のPL)。抽出油はまた、微生物バイオマスと比べて実質的にPLを含まずTAGに富んだので、この油は精製脂質組成物であった。
精製脂質組成物は、8重量%FFA、5重量%DAG、および86重量%TAGを含んでなった。
実施例9
SCF CO2/EtOHによる残留リン脂質の抽出
本実施例の目的は、抽出剤としてのSCF CO2とエタノールの混合物による第1の残留バイオマスサンプルの抽出を実証して、PL画分と第2の残留バイオマスサンプルを得ることである。
SCF CO2/EtOHによる残留リン脂質の抽出
本実施例の目的は、抽出剤としてのSCF CO2とエタノールの混合物による第1の残留バイオマスサンプルの抽出を実証して、PL画分と第2の残留バイオマスサンプルを得ることである。
316SS管材料(1.27cm外径×0.94cm内径×26.0cm長さ)から組み立てられた18mL抽出容器に、本明細書で「第1の残留バイオマス」と称される、実施例3からの6.39gの残留バイオマス(すなわち125バールおよび222バールにおけるCO2抽出に続くヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y8672株バイオマス)を装填した。材料をCO2でフラッシュし、次に40℃でCO2/エタノール混合物(抽出剤)によって、222バールに加圧した。CO2流速は2.3g/分で、エタノール流速は0.12g/分であり、抽出容器に供給される溶媒に5.0重量%のエタノール濃度を与えた。これらの条件で第1の残留バイオマスを5.3時間抽出して、1gの残留バイオマスあたり120g CO2/エタノールの最終溶媒対供給材料比を与えた。抽出済み材料からの油の抽出収率は、2.4重量%であった。
下の表は、第1の残留バイオマス(本実施例の出発サンプル)、第2の残留バイオマス(本実施例の抽出後の第1の残留バイオマス)、および第1の残留バイオマスの抽出によって得られた抽出油の脂質分析を要約する。
表13の結果は、抽出油が本質的に純粋なPLを含んでなることが分かることを示す。実施例3で先に実施された抽出が、微生物バイオマスから中性脂肪(すなわちTAG、DAG、およびMAG)とFFAを既に除去していた。
実施例10
本実施例の目的は、本明細書に記載される抽出および分画法で使用することができる、少なくとも1つのPUFAを含んでなる代案の微生物バイオマスを提供し、微生物バイオマスの油組成物と比べてTAGに富む精製脂質組成物をもたらすことである。
本実施例の目的は、本明細書に記載される抽出および分画法で使用することができる、少なくとも1つのPUFAを含んでなる代案の微生物バイオマスを提供し、微生物バイオマスの油組成物と比べてTAGに富む精製脂質組成物をもたらすことである。
ω−3/ω−6PUFA生産のために遺伝子操作されている多数の油性酵母が、本明細書の開示に準じて適切な微生物バイオマスであるが、油性酵母ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)の代表株を表3に記載する。これらとしては、ATCCに寄託された以下の株が挙げられる。Y.リポリティカ(Y.lipolytica)Y2047株(ARA産生;ATCC登録番号PTA−7186);Y.リポリティカ(Y.lipolytica)Y2096株(EPA産生;ATCC登録番号PTA−7184);Y.リポリティカ(Y.lipolytica)Y2201株(EPA産生;ATCC登録番号PTA−7185);Y.リポリティカ(Y.lipolytica)Y3000株(DHA産生;ATCC登録番号PTA−7187);Y.リポリティカ(Y.lipolytica)Y4128株(EPA産生;ATCC登録番号PTA−8614);Y.リポリティカ(Y.lipolytica)Y4127株(EPA産生;ATCC登録番号PTA−8802);Y.リポリティカ(Y.lipolytica)Y8406株(EPA産生;ATCC登録番号PTA−10025);Y.リポリティカ(Y.lipolytica)Y8412株(EPA産生;ATCC登録番号PTA−10026);およびY.リポリティカ(Y.lipolytica)Y8259株(EPA産生;ATCC登録番号PTA−10027)。
したがって例えば、表3は総脂肪酸の25.9%〜34%のGLA、総脂肪酸の10.9%〜14%のARA、総脂肪酸の9%〜53.2%のEPA、および総脂肪酸の5.6%のDHAを産生する微生物宿主を示す。
当業者は、本発明の技法が、高レベルEPA産生を実証する微生物バイオマスに限定されるものではなく、代案のω−3/ω−6PUFAまたはその組み合わせまたはそのPUFAの高レベル産生を実証する微生物バイオマスにも等しく適切であることを理解するであろう。
Claims (14)
- 方法であって、
a)少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸を含んでなる油組成物を有する未処理破壊微生物バイオマスを液体または超臨界流体二酸化炭素を含んでなる溶媒で処理して、
(i)実質的にリン脂質を含まない脂質画分を含んでなる抽出物、および
(ii)リン脂質を含んでなる残留バイオマスを得るステップと、
b)ステップ(a)パート(i)で得られた抽出物を少なくとも一度分画して、少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸を含んでなる精製脂質組成物を得るステップと
を含んでなり、ここで精製脂質組成物が、未処理破壊微生物バイオマスの油組成物と比べてトリアシルグリセロールに富む、上記方法。 - トリアシルグリセロールに富む精製脂質組成物が、
a)ジアシルグリセロール、
b)モノアシルグリセロール、
c)遊離脂肪酸、および
d)それらの組み合わせ
からなる群から選択される少なくとも1つの脂質成分を含んでなる、請求項1に記載の方法。 - トリアシルグリセロールに富む精製脂質組成物が、未処理破壊微生物バイオマスと比べて少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸に富む、請求項1に記載の方法。
- (1)ステップ(a)パート(i)で得られた抽出物を分画して、少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸を含んでなる精製脂質組成物を得るステップ(ここで精製脂質組成物が、未処理破壊微生物バイオマスの油組成物と比べて、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール、遊離脂肪酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される脂質構成要素に富む);および
(2)ステップ(a)パート(ii)のリン脂質を含んでなる残留バイオマスを抽出剤で処理して、本質的にリン脂質からなる残留バイオマス抽出物を得るステップ;
からなる群から選択されるステップをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。 - ステップ(a)の処理が約20℃〜約100℃の温度、および約60バール〜約800バールの圧力でなされる、請求項1に記載の方法。
- ステップ(b)の分画が、分画条件の温度または圧力、または温度および圧力を変えることで行なわれる、請求項1に記載の方法。
- ステップ(a)の処理溶媒が、超臨界流体二酸化炭素を含んでなり;
ステップ(b)の分画が、約35℃〜約100℃の温度および約80バール〜約600バールの圧力で行なわれる、請求項1に記載の方法。 - 未処理破壊微生物バイオマスが、油性微生物細胞を含んでなる、請求項1に記載の方法。
- 少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸が、リノール酸、γ−リノレン酸、エイコサジエン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、ω−6ドコサペンタエン酸、α−リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、ω−3ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1または3に記載の方法。
- リン脂質を含んでなる残留バイオマス、または本質的にリン脂質からなる残留バイオマス抽出物が、水産養殖飼料中の成分として使用するのに適する、請求項1または4に記載の方法。
- 未処理破壊微生物バイオマスが、該バイオマス中の総脂肪酸の質量%として測定して、少なくとも25質量%のエイコサペンタエン酸を含んでなる、請求項1に記載の方法。
- 少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸を含んでなる油組成物を有する未処理破壊微生物バイオマスを液体または超臨界流体二酸化炭素を含んでなる溶媒で処理して、
(i)実質的にリン脂質を含まない脂質画分を含んでなる抽出物;および
(ii)リン脂質を含んでなる残留バイオマス;を得るステップを含んでなり、
ここで未処理破壊微生物バイオマスが、その乾燥細胞質量の25%よりも多くを油として蓄積するヤロウィア(Yarrowia)属の油性微生物から得られ;そして
上記少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸を含んでなる油組成物が、少なくとも20個の炭素原子と4つ以上の炭素−炭素二重結合を有する多価不飽和脂肪酸を、総脂肪酸の質量%として測定して、少なくとも25質量%含んでなる方法。 - 未処理破壊微生物バイオマスがヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)から得られ、ここで少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸がエイコサペンタエン酸を含んでなる、請求項12に記載の方法。
- リン脂質を含んでなる残留バイオマスを抽出剤で処理して、本質的にリン脂質からなる残留バイオマス抽出物を得る、請求項12に記載の方法。
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